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政府委員(町田稔君)
駐車場法案の各条につきまして、概略の御
説明を申し上げます。
まず第一章は総則でありまして、この
法律の目的及び用語の定義についての
規定を設けております。
第一条はこの
法律の目的を
規定したものでありまして、
都市における自動車の駐車のための施設の整備に関し必要な事項、すなわち駐車場整備地区の指定、路上駐屯場及び路外の設置及び維持管理並びに大
規模建築物における駐車施設の付置に関する事項を定めることにより、道路交通の円滑化をはかり、公衆の利便に資するとともに
都市の政治、経済、文化等の機能の維持及び増進に寄与することが、この
法律の目的である旨を明確にしたものであります。
第二条は、この
法律で用いられております路上駐車場、路外駐車場、道路、自動車及び駐車の意義を定義したものでありますが、そのうち特に重要な路上駐車場より路外駐車場について御
説明いたします。
路上駐車場とは、駐車場整備地区内にある道路法の道路の路面に区画を明確に表示して設置される自動車の駐車のための施設でありまして、広く一般の利用に供されるものであります。また路外駐車場とは、道路の路面外、すなわち道路外の場所または道路の地下に設置される自動車の駐車のための施設でありまして、一般の利用に供されるものをいうのであります。
次に第二章におきましては、駐車場整備地区の指定に関し
規定をしております。すなわち第三条におきましては、駐車場整備地区は
都道府県知事の申し出に基いて建設大臣が
都市計画法の定める手続によって指定するものとし、
建築基準法第四十八条第一項に
規定する商業
地域内で自動車交通が著しく輻湊する地区について、道路の効用を保持し、円滑な道路交通を
確保するための必要があると認められる場合に指定する旨を定めたものであります。なお駐車場整備地区の指定に際しては、道路交通取締りと密接な関係がございますので、建設大臣または
都道府県知事は、それぞれ国家公安
委員会または
都道府県公安
委員会の
意見を聞かなければならないものとしたのであります。
次に第三章は、路上駐車場に関して必要な事項を
規定したものであります。第四条は、路上駐車場設置計画の決定及びその変更について
規定したものでありまして、
都道府県知事が
政令で定める
基準に従って、建設大臣の承認を得て決定し、変更するものとしております。この路上駐車場設置計画は、駐車場整備地区における路外駐車場に収容することのできない自動車の駐車需要に応ずる路上駐車場の配置及び
規模に関する計画でありまして、路上駐車場の設置が路上駐車の禁止または
制限と密接な関係があり、設置の主体が道路管理者たる
地方公共
団体でありますので、
都道府県知事はあらかじめ
都道府県公安
委員会及び関係道路管理者の
意見を聞いてこの計画を決定しなければならないものと
規定しております。また建設大臣が路上駐車場設置計画を承認しようとするときは、陸上運送との調整をはかるため、あらかじめ運輸大臣の
意見を聞かなければならないものとしております。
第五条は路上駐車場の設置及び廃止に関する
規定でありまして、路上駐車場は道路管理者である
地方公共
団体が、前条の
規定により建設大臣の承認を受けた路上駐市場設置計画に基いて設置する旨を
規定いたしますとともに、路上駐車場は格外駐車場によっては満たされない自動車の駐車需要に応ずるためのものでありますので、路外駐車場の整備に応じて逐次廃止されるものと定めております。
第六条は、通路管理者である
地方公共
団体は、路上駐車場に自動車を駐車させる者から、
条例で定めるところにより駐車料金を徴収することができる旨を
規定しております。ただし駐車料金は消防自動車、救急自動車等の緊急自動車及び公務に従事する自動車で、
政令で定める自動車が駐車する場合、及び深夜その他自動車交通の少い時間内に駐車する場合には、これを徴収することができないものとしております。また駐車料金の額については、
政令で定める額をこえてはならないものとするとともに、
政令で定める額も駐車一時間につき五十円をこえることができないものとしております。なお不法に駐車料金を支払わずに駐車している者については、定められた駐車料金のほかに、その二倍に
相当する額の割増金を徴収することができるものとして、違反行為を防止するために必要な
措置を講じているのであります。
第七条は、前条の
規定により徴収した駐車料金及び割増金の使途を限定したものでありまして、路上駐車場の管理に要する費用に充当するほか、駐車場整備地区内の
地方公共
団体の設置する路外駐車場の整備に要する費用に充てるように努めなければならないものとして、所要の路外駐車場をできる限りすみやかに整備し、その整備に応じて路上駐車場を逐次廃止し、もって道路交通の円滑化をより一そうはかることができますような
措置を講じた次第であります。
第八条は、路上駐車場の位置を明確に表示するため、道路管理者が道路法の
規定による道路標識及び区画線を設置しなければならない旨、並びに駐車料金の額の表示その他路上駐車場の利用に必要な事項を表示するため、道路管理者である
地方公共
団体が標識を設けなければならない旨を
規定しております。
第九条は、以上各条に
規定するもののほか、路上駐車場の設置その他路上駐屯場に関し必要な事項を
政令で定めるものといたしたのであります、
次に第四章におきましては、路外駐車場に関し必要な事項を定めておりましす。
第十条は、建設大臣に対し、駐車場整備地区の指定に伴う路外駐車場の配置及び
規模についての
都市計画決定の義務を課するとともに、
地方公共
団体に対し、
都市計画に基く路外駐車場の整備に努力義務を課したものであります。
第十一条は、路外駐車場の構造及び設備の
基準に関する
規定でありまして、
建築基準法その他の法令のほか、新たに
技術的
基準を定めることとし、自動車の駐車の用に供する部分の
面積が五百平方メートル以上であるものの路外駐屯場の構造及び設備は、この
技術的
基準に関する
政令に上らなければならない旨を
規定したものであります。
第十二条は、
都市計画法第二条の
規定により定められておる
都市計画区域内に
おいて、有料の路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の
面積が五百平方メートル以上のものを建設し、管理しようする者は、あらかじめ
都道府県知事に路外駐車場の位置及び
規模、構造、設備その他必要な事項を届け出なければならない旨を
規定したものであります。
第十三条は、駐車場管理者がその路外駐車場を一般の利用者の利用に供しようとするときは、あらかじめその
業務の運営の
基準である管理規程を定めて
都道府県知事に届け出なければならないこと、並びに管理規程の必要的記載事項及び駐車料金の額の
基準を
政令で定める旨の
規定であります。
第十四条は、届け出にかかる路外駐車場の休廃止及び休止しておる路外駐車場の再開に際しては、前条と同様にあらかじめ
都道府県知事に届け出なければならない旨を定めたものであります。
第十五条及び第十六条は、駐車場管理者の責務について
規定したものでありまして、第十五条は、路外駐車場の公開の義務及び管理
規定に従って
業務を運営すべき旨、並びに構造及び設備の適法維持義務を
規定したものであります。第十六条は、自動車の保管に関し善良な管理者の注意義務を尽すべき旨を
規定したものであります。
第十七条は、
都市計画として決定された道路または公園の地下の路外駐車場の建設について必要な道路法または
都市公園法の
規定による占用の許可の特例を
規定したものであります。
第十八条は、
都道府県知事の駐車場の管理者に対する報告の
聴取及び
資料の提出要求権、並びに立ち入り及び検査の権限を
規定したものであります。これらはいずれもこの
法律を施行するために必要な
限度に
おいて認められる旨を一
規定したものであります。
第十九条は、
都道府県知事の、駐車場管理者の違法行為に対し是正命令を発する権限を
規定したものでありまして、特に路外駐車場の構造及び設備が利用上著しく危険であるときは、駐車場管理者がそれを是正するまでの間は、その路外駐車場の供用停止を命ずることができるものとして、利用者の安全が脅かされることがないようにいたしております。
次に、第五章におきましては、大
規模の
建築物における駐車施設の付置について
規定いたしております。すなわち第二十条に
おいては、
地方公共
団体が駐車場整備地区内及びその周辺の
条例で確める区域内に
おいて、
延べ面積が三千平方メートル以上の大
規模建築物の新築または増築をする者に対し、その
建築物またはその
建築物の敷地内に駐車施設を設けることを義務づける
条例を制定することができる根拠を与えたものであります。ごく大
規模の建設物は駐車需要の著しい増加をもたらすものでありますから、その
建築物に適当な駐車施設がないときは路上駐車の増加を来たし、道路交通をさらに悪化させることになりますので、大
規模か
建築物を新築または増築する場合には、
一定の
規模の自動車駐車施設の付置を義務づける旨の
条例を制定できるものとしたものであります。
第六章におきましては、この
法律の施行を担保するために必要な罰則
規定を設けております。すなわち路外駐車場に関してその設置及び管理の届出、または是正命令の違反について罰金刑を課し得る旨を定めたものであります。
なお
法律案の
付則におきましては、この
法律の施行期日、
経過規定及びこの
法律の施行のために必要な関係
法律に所要の
改正を行うための
規定を設けております。
以上で簡単でございますが、この
法律案の各条についての概略の御
説明を終ります。