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1957-04-25 第26回国会 参議院 建設委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十五日(木曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   委員の異動 四月二十四日委員大河原一次辞任に つき、その補欠として坂本昭君を議長 において指名した。 本日委員斎藤昇辞任につき、その補 欠として三木與吉郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            三木與吉郎君            武藤 常介君            内村 清次君            北 勝太郎君            村上 義一君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局管    理部農地課長  小林 誠一君    林野庁指導部計    画課長     山崎  齊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会に関する件 ○国土調査法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまから委員会開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。四月二十四日、大河原一次君が辞任され、補欠として坂本昭君が指名せられ、四月二十五日、斎藤昇君が辞任せられ、補欠として三木與吉郎君が指名せられました。
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。駐車場法案審査のため、運輸委員会連合審査会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。—御異議ないと認め、さよう決定いたしました。なお開会日時は来月七日午後一時といたしまして、運輸委員長にこの旨申し入れることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。
  5. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、国土調査法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  6. 田中一

    田中一君 二十八年に国土調査法の一部を改正する法律案政府から提出されたときに、いろいろ問題があったのでありますが、結局私が記憶を呼び起してみますと、当時の政府答弁としては、基準点調査が主で、これが直接国民の所有するところの土地に対する何らの負担がかからないというような答弁があったように記憶しておるのです。従って、本法ができてから今日までの国土調査法に基く調査の実態というものがどういう形で行われておったかということを、最初に総括的に御説明を願いたいと思います。
  7. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 地籍調査の問題につきましてお答え申し上げます。地籍調査は、従来は任意方式と申しますか、市町村がやりたいといって申請して参りましたら、国が補助金を出してやらせるという形をとっております。ただ、地籍調査基準になります基準点であります先日お話ししました三等三角点の次に四等三角点を作っております。これは二方キロ一つになっております。この基準三角点につきましては、全額国費で実施しており、従来の経過から申しますと、国費でお願いしておりました事業の方は比較的よく進んでおります。昭和三十一年度末までに一万五千八百二十点済んでおります。これに対しまして、地籍調査の方は三十一年度までに約三千二百方キロでございます。現在のところでは基準点伸びに応じまして、地籍調査伸びが追いついていかれない、はるかにおくれておる、こういう関係でございます。これは一方が国費でやり、一方が町村負担でやる、こういうところに食い違いが起っているかと存ずるわけでございます。
  8. 田中一

    田中一君 本法施行後、予算補助費幾ら年度ごとについておって、それから直轄する基準点の設定といいますか、これに対して予算がどのくらいあったかという点、何か資料があったら出してもらいたい。はなはだ不親切で何も資料が出ていないのですよ。
  9. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまの年度別の表は今確かめまして、後ほど御報告申し上げます。  それから予算につきましては、地籍調査予算が三十一年度までに三億六百万円でございます。基準点につきましては四億三千四百万円でございます。
  10. 田中一

    田中一君 委員長めんどうですから資料で出していただきたい。
  11. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは植田さん、今田中委員がおっしゃる通り資料として正確なことを一つ御提出願いたい。いつ、ころできますか。
  12. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) すぐ作ります。
  13. 中山福藏

    委員長中山福藏君) できるだけ早く一つ……。
  14. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 今持って参ります。
  15. 田中一

    田中一君 やはり資料を出してもらわぬと、一々全貌を知るためにもくだくだとこまかい質問をしなければならないのですよ。そしてノートをとらなければならないものですから、非常に困るのですよ。私は資料が出て一応見るまで、質疑を留保しておきます。
  16. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御質疑のおありの方はありませんか。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  17. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をつけて。  ちょっと政府の方に質問しますが、地籍調査というものは約五年ぐらいこれはやられておるわけですね。ところがいろいろと地方に旅行して、地籍関係訂正とかあるいはそれに類似した何と申しますか、台帳の記載というものが十年も二十年も前のがそのままに放置されておるというところが相当多いようですが、それなんかいつごろ完了する予定になっておりますか。それをちょっと承わっておきたいのですが。
  18. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 土地台帳訂正といういう形で法務省系統でやりますならば、あるいは割合にこれは簡単に参るかと思うのでございます。しかし地籍調査をいたしておりますのは、これは土地面積等を確定いたしまして、国土開発に資する、こういう意味で精密な誤差のない図面を作り、また簿冊を作ってそれを登記所に持って参りまして、土地台帳の表示を変更する、こういう形になりますと、これは財源の問題から申しまして相当かかると思っております。後ほど御説明申し上げる予定でありましたが、一方キロやりますのに費用といたしまして約二十四万円かかります。そういたしますと、この法律計画しております三万五千方キロやりますにも九十億以上の費用がかかります。国が約三分の二負担するわけでありますから、やはり六十何億の国費を持たなければならぬ。三万五千方キロでこの調子でございますから、三十六万方キロといういうのが全部の国土面積でございますが、この中で国有地等も相当ございますので、実際一筆調査を要する面積といたしましては、これは広く考えまして約十万方キロくらいだろうと思いますけれども、それにいたしましても三百億くらいの事業費を国、地方が注ぎ込まなければならない。従いまして、正確な意味土地調査を行なって土地台帳訂正するということはなかなか大へんな仕事だろう、こう思っております。
  19. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 実は裁判の行われるゆえんというものは、政府当局地籍を綿密に調査して法務局にこれを提示するという手続が非常に緩慢なために、この訴訟というものが数限りなく提起されておるわけですね。それで六十何億というようなたくさんの費用がかかるということから考えて、なかなかそう簡単にこれを処理することもできないようにも思われますけれども、しかし全国民の迷惑ということは非常なものなのです。これで。かつまた、たとえば実測台帳面とが違う。これは二十年くらい前の話ですけれども鹿児島県においては、その台帳面と違うはみ出したところを政府が金を取ってさらに払い下げるという手続をとったところがあります。だからこれをやられたら、全国的にいわゆる自然増収というのですか、そういうことが幾らでも政府はやろうと思えばやれる。ことに山林なんかというものは実測台帳面は非常に違う。それを台帳面通りに何ですね、実測面との差異というものに対して金を取る、払い下げ代金を徴発するということになりますれば、これはどんなことでもやれるような感じを受ける。それを今日まで、やはり実測面台帳面の違うところは、山林のごときは非常に多いわけですね、このために幾多の裁判が提起されて、訴訟経済上非常に不当な取扱いを受けておる。こういう点についてどうですか、政府間において、当局間においていろいろと折衝が続けられておりますか、どうですか、そのまま放置されておりますですか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  20. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまの土地紛争解決という問題につきましては、地籍調査が非常に役立つわけでございまして、この法律案の私ども準備いたします際におきましても、そういう委員会を作りましていろいろ議論を承わったのでございますが、そのときにも法曹関係の方は、異口同音に一つぜひ境界をはっきりして、こういう紛争をないようにしてもらいたいものだと、こういうような御要望がございました。そこで地籍調査をいたします場合におきましては、従来から各町村で持っておりますところの絵図面的な土地図面でございます、これは字限図と称しておりますが、これも参考になるわけでございますが、図面通りには実際は参っておりませんので、地籍調査に当りまして、境界等をきめる場合には必ず土地関係者に立ち合っていただいて、その話し合いをつけなければなりません。そういう際に従来紛争のありましたものも解決いたしますし、また将来の紛争の種になるというものも解決するわけでございまして、土地紛争解決という点においては地籍調査をやるということが一番いいことでございます。  鹿児島県で地籍調査をしまして、なわ延び国有という問題がございましたが、これを実行できるところはそうあるまいと思います。もちろん国有地民有地境界が不明確でございまして、国有地面積がはっきりいたすという場合もあろうかと思いますが、なわ延びはなわ延びとしまして、やはり地元の人たち十分話し合いがついたところで、それぞれの帰属をきめていく問題じゃないかと考えております。
  21. 西田信一

    西田信一君 今度のこの改正の第一点は、従来地方公共団体とか、あるいは土地改良区等が自発的にやっておったのを、今度は国の方で特に必要と認めた場合には地方と相談をしてその実施をすると、こういうことになるようでございますから、そこで、「特に」といたしまして書いてあるのです。「特にすみやかに地籍調査を行う必要があると認める」場合とあるのですが、これは国の認める場合をさしておるのでありますね、特にすみやかに地箱調査を必要とすると考えられる、どういう場合にそういう必要と考えられるかという点について具体的に一つ……。
  22. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 全国面積の三十七万の中での三万五千でございます。各種開発事業が実施されますような地域でございまして、大体平坦地農耕地中心と、こういうような所に相なろうかと考えております。そういう面積三万五千と申し上げましたのは、これにはまあ一つの根拠があるわけでございまして、そういうような地籍調査を厳格にやっておく必要のある面積といたしましては、五万三千方キロございます。そのうちの一割程度におきましては国有地が入っておりますので、これを差引しますと四万八千という数字が出て参ります。ところがこの四万八千方キロのうちにおきまして、農林省土地改良事業をやりまして確定測量までやるのがございます。これが一万三千方キロでございます。これを除きまして三万五千方キロときめたわけでございます。従来は農林省でやります確定測量は、この測量精度というものが土地調査精度に合っておりませんので、せっかく確定測量をいたしましても、もちろんこれは土地台帳を修正することはできるかと存じますけれども地籍調査ほどの厳密なものでございませんので、地籍調査基準に合わしてやろうとすれば、もう一度やり面す必要があったわけでございます。それを三十二年度予算におきましては農林省とも打ち合せいたしまして、大蔵省とも打ち合せいたしまして、土地改良確定測量地籍調査と同じ精度でできるように予算を三十二年度からつけることにいたしましたので、土地改良確定測量精度経済企画庁が認承をいたしまして、したものは地籍調査と同様の効果を持たせることにいたしました。そういうことにいたしまして一万三千方キロを節約できました。残りました三万五千方キロということを目標にして、大体十カ年計画仕事を進めたいと考えているわけでございます。その所要経費が九十数億に上るわけでございます。
  23. 西田信一

    西田信一君 そうしますと、この法律のねらいとするところは、三万五千町歩民有農地地籍調査をやるということがねらいである、このように解してよろしいのですか。
  24. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私先ほど間違えたかと存じますが、三万五千万キロでございます。一方キロは百町歩でございます。そういうように御了解願いたいと思います。この法律目的はまず第一次に三万五千方キロを手がけまして、それが終りますれば、その次の段階に入って参りまして、それで継続的のものでございます。
  25. 西田信一

    西田信一君 そうしますと、ここに「特にすみやかに地籍調査を行う必要があると認める地域」ということは、ちょっとこの説明なり書き力がおかしいと思うのですが、全国的に必要と認めた場合と考えてよろしいのですか。
  26. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この法文をごらん下さいましてもおわかりだと思いますが、都道府県計画というのがございます。都道府県計画がございますれば、国で作りますものは全国計画と称したいわけでございますけれども全国の三十七万方キロ対象にした計画を作りますと、費用についても膨大なものでございますが、全国計画の一部で、しかも地籍調査を早くやる必要があるというものをどういう名前で表現するかということになりますと、全国計画というにはあまりに面積からいくと小さいものでございます。そこで特定計画と、こういう名前で表現したわけでございます。
  27. 西田信一

    西田信一君 そういたしますと、この三万五千方キロ農地を第一次に取り上げて、すみやかに地籍調査を行う必要があると認めているわけでありますが、その理由はどういうところにありますか。
  28. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 農地と必ずしも限定するわけではございませんで、農耕地帯中心でございますので、山林も入りますし、その間に国有の河川がありますとか、道路がございましたら、そういった国有地についても調査をするわけでございます。こういう地帯におきましては各種事業が行われるわけでございますが、従来各種事業は、やはり着手いたします場合に測量を要するわけでございます。調査段階においても測量し、それがまた予算がつきまして実施するときにも測量する、あるいは土地買収等が必要でございますれば、近隣の土地測量もしなければならないということで、測量事業の種類によっては各種の方面から、各種精度の、種々の違った測量が行われるのでありまして、これがちょっと考えますと、費用は安いわけでございますが、何べんも繰り返しますと、かえってむだな金を使うようなことになりますので、そういった開発事業が行われるところを中心にしてやることが国民経済的にいいのじゃないか、こう考えておるわけでございまして、三十七万方キロその他の地域についてもやりたいのでございますが、それほど大きな計画を立てますのもいかがと思いましたので、三万五千方キロ計画をもちまして、計画といたしましては特定計画—必ずしも三万五千というわけじゃございませんけれども、現在私ども大蔵省と打ち合わしておるものは三万五千を一応の特定計画として発足いたしたいと考えておるわけでございます。
  29. 西田信一

    西田信一君 従来この地籍調査を自発的に都道府県、あるいは市町村が行なっておったと思いますが、これらの調査の結果、地籍の増加といいますか、延び、これは一体平均してどのくらいあったか、その実績がおわかりでございましたら、お伺いしたい。
  30. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) まあなわ延びが出ますことが通例でございまして、農耕地につきましては一割から二割、山林になりますと、それよりももっと多く出るのが普通でございます。これは平均的に申しますわけにも参らぬわけでございますが、長野県の一つの村でやりました例で申し上げますと、田につきましては一八%、畑につきましては三五%、宅地が三一%、山林が七〇%、山林はちょっと多いかと存じますが、こういう例もございました。多くの場合なわ延びが出ておるようでございます。
  31. 西田信一

    西田信一君 従来の任意にやっておったというのは、いわゆる府県が自発的にやっておる連絡調査、いわゆる国有地民有地との境界をはっきりさせるという目的でやっておったと思います。連絡測量なんかも含まれておると思うのですが、それ以外に何か自発一的に地籍調査が行われておったというのは、どういう形で行われておったのか。
  32. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話の例におあげになりましたのは入ってないと存じます。やはり昭和二十七年以来厳重な規格を定めまして、本格的な地籍調査を実施しておることには変りはないのでございますが、何分にも、地籍調査は三十七万方キロを頭に描いて考えますと、相当な金額になるものでございますから、従って国費の持ち分を初めからそう多くは期待できなかったのであります。従って二十七年度やりましたときには、わずか事業費の四分の一しか補助しない、こういう貧弱な財源状況からスタートいたしたわけでございまして、ちょっとついでに申し上げますが、二十七年は四分の一でございまして、その後三年間は三分の一補助という状況でございましたが、三十一年度苦労しまして、大蔵省と交渉しましてこれを二分の一補助に切りかえたわけでございます。それを今回の改正で、これを補助でなくて負担ということにしまして、地籍調査仕事は国の事務であると同時に地方事務でもあるというふうに地方財政法改正も別途お願いいたしまして、負担ということにいたしまして、三分の二を国で持ち、残りの三分の一を県と町村とが六分の一ずつ持つわけでございますが、そのほかに特別交付税の方で相当めんどうをみてもらいますので、事業費町村の実負担は大体九分の一ぐらいになるのじゃないか、ここまで負担率を持って参りますれば、相当進捗ができるのじゃないかと、かように考えております。それから従来もこの計画によりまして、相当特殊の市町村におきましては地籍調査をやってくれたのでございますが、多分そういった町村仕事が終りまして、今後今まで希望しない町村にもやってもらうということになりますと、やはり町村負担を九分の一ぐらいにしないと、なかなか仕事が進まないのじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
  33. 西田信一

    西田信一君 そこで費用負担関係ですが、都道府県が行う場合と市町村が行う場合とでは、どちらも三分の二になるようですが、国の負担が三分の二。どちらも三分の二でございますね。
  34. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) はあ、三分の二……。
  35. 西田信一

    西田信一君 そこで、都道府県が行う場合には都道府県が三分の一を負担するし、市町村が行う場合には県が六分の一、それから市町村が六分の一と、こうなるわけですね、そこで市町村が行う場合と都道府県が行う場合とではそういうふうに違うのですが、市町村に行わせるか、都道府県に行わせるかということに対しては、それをどういうふうに定めるのですか。
  36. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 従来の例から行きましても、また地籍調査というものは単に測量をするばかりでなく、所有者の確認という行為も伴いますものでございますから、市町村単位でやっていただく方が望ましいわけであります。そういう意味から申しまして、今後におきましても、市町村でやっていただくことになろうかと思いますが、例外的に北海道の場合におきましては、北海道各種土地に関する帳面を道庁が持っているという場合もございますので、そういう例も残しておく必要がございますし、また県によりましては、数カ町村合せて県でやってもいいという場合もあるいはあろうかと思いまするので、そういう道を残してあるだけでございまして、中心市町村でやって参りたいつもりでおります。
  37. 西田信一

    西田信一君 その場合市町村負担は六分の一であるが、交付税等において九分の一くらいで済みそうでありますが、今のお話を伺いますと、宅地などでは今までの実積では三割五分も地籍増があるということでございますが、そうしますと、その土地所有者もある意味においては一つの利益を受けるということになると思うのでございますが、その市町村等が行う場合には、その市町村負担分、これについては何か土地所有者にも若干の負担をかけさせるというような考え方をもっておられるのか、全く特別の負担はかけないで、市町村財政においてまかなわせるというようなお考えであるか、その方針はいかがですか。
  38. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 先ほど申しましたように一方キロ、百町歩調査をいたしますのが二十四万円かかりまして、その九分の一の費用でございますから、これは町村負担で十分できるんじゃないかと思っておりまして、これを土地所有者負担金として課するというようなことは、私どもの方からそういう指示をする考えは持っておりません。町村の方で何かそういう措置でも講ずれば別でございますが、特に考えておりません。
  39. 西田信一

    西田信一君 それから、そういう市町村事業を行う場合、調査を行う場合に土地所有者、いわゆる土地権利者というものの同意か何か必要とするかしないか、その点はどういうことになっておりますか。
  40. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 町村でやります場合においては、町村議会の議決を要しますが、土地所有者同意は要しません。しかしながら先ほど申しましたように、これは境界の問題にも関連いたす問題でございますから、やり方等につきましては公示いたしまして、そうして土地所有者の方に地籍調査に対する利害を反映さす道をふさぐことのないように、関係者十分自分の意見を言えるような形において実施することにいたしております。
  41. 西田信一

    西田信一君 それから地籍調査の結果、大体において延びがあると思いますが、減る場合も出てくると思います。そういう場合もあると思いますが、そういう場合のふえたものと減ったものと、それらの何と言いますか、利害関係はどういうことになるか、その点について伺いたい。
  42. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 土地は現在の土地台帳法にのっております一筆ごと調査するわけでございまして、一筆境界というものはおのずからきまっておりますので、その自分の持ち地として境界内で、しかも境界紛争がなければそのまま、境界があれば紛争の問題を解決してきめたわけでございますので、減りましてもふえましても、自分土地自分土地として確認するだけでございますので、その間の問題はないと考えます。
  43. 西田信一

    西田信一君 国の方では、先ほどの第一問に対するお答えで、主として三万五千方キロ農地対象にこの問題を行うということでございましたが、そこで市町村等要望によって、希望によって、宅地を主としてやりたいという場合でも、国の方では調査費の範囲内においてこれを認めてゆかれるというお考えであるかどうか。
  44. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私の説明が足りませんで申しわけございませんでした。農地という言葉を申しましたのは、農耕地帯という意味でございまして、その中には宅地は当然入るわけでございます。一つ図面の中に入ります地域農地宅地も一切含めまして、道路敷も河川敷も一切含めまして地籍図を作り、地籍台帳を作るわけでございます。
  45. 西田信一

    西田信一君 私がお尋ねしているのは、そういう場合はもちろんそれは宅地も含まれますけれども、ある市町村全部をやらないで、市町村内のある区域だけをやるという場合も、字何々というようなそういう場合にそれは主として市街地である、市街宅地であるというような場合でも、国の方ではこれを認められるお考えであるかどうかということをお尋ねしているのです。
  46. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 農耕地と申しましたのは、相当開発の進んで今後もまた相当な事業が行われる、こういう意味で例的に申しましたのでございますから、それ以上の地域、市街地等につきまして必要な所におきましては、それはぜひ実施していただきたいと考えております。ただ一町村の中の一つの部落だけをやりまして、他の方をやらないということはこれは望ましいことでもございませんので、一つ町村が始めましたならば、一つその全町村の区域内をやっていただきたい、そういたしませんと、先ほどのなわ延び関係がございまして、なわ延びの出ました方が土地台帳を修正されて税金が重くかかるということがあってもまずいことでございますから、ぜひ町村の全部の区域を終えまして、固定資産税がかかるならば、今度できました新しい地籍調査に基いた正確な基準で公平に固定資産税を課するという形に持って参りたいと思いますので、ぜひそういうふうにいたしたいと思います。
  47. 西田信一

    西田信一君 調査の結果地籍の変更を、つまり土地台帳の登記まで一切この仕事で行われるわけですね。
  48. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのことでお答え申し上げる必要もございませんが、ちょっと申し上げますと、従来は地籍調査が進みましても土地台帳が改まるだけでございまして、不動産登記簿の方の修正ができなかったわけでございます。従って自分登記所に行ってその土地不動産登記簿を直さなければならぬ、一件の手数料が三十円でございますけれども、出し入れ等も加えますと相当手数料がかかりますので、それをいやがったわけでございます。今度はそれが同じ登記所手続といたしまして職権でできる、また実際の土地が合筆になっておりまして、死んだおやじの土地自分土地とが実際は間のあぜ等を取り払いまして、一つの単位になっているような場合でも、それは実際地籍調査の面でいきますと、一枚の田として扱うべきでございますが、ところが不動産税の問題は片づいておりましても、不動産の登記をやっておりませんと、それがうまく参りませんので、それをやるとなると不動産登録税をかけなければならない、それがいやだというようなことがございましたので、それを役所の方でやりまして税金をとらない、こういうようなところまで注意をいたしておるのであります。
  49. 西田信一

    西田信一君 所有者の希望によっては、分筆合筆もこの調査とあわせて行うところがあるのでございますか。
  50. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 分筆合筆の事実がございますれば、その事実に応じまして調査をいたします。
  51. 石井桂

    ○石井桂君 今回のこの国土調査法改正説明を拝見しますと、今度は地籍調査事業についてこの促進をはかるためにというようなことが書いてある。それは主として国の負担あるいは都道府県負担の率をよくするということの意味ですか。
  52. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 今回の改正の一番大きな点は負担率を高くするという点でございます。その次の問題といたましては、これを計画的にやるということでございまして、従来任意でございますと、この仕事はどうも公共事業と違いまして効果が出て参らぬものでございますから、市町村が金がないからというような理由で、県の係の者がおやりになりませんかと勧めても、なかなかやってくれないということでございます。そこで十カ年の計画で、各県にこの程度をお前の方で地籍調査をやらぬかということを勧めまして、それを全国的な特定計画をきめまして、それを府県の段階では十カ年なら十カ年の年度計画に分けまして、一つの村は今年度はやりたくないといってもそれでは来年、再来年はいかがでございましょうか、こういう話をいたしまして、それでは再来年やりましょうということになりますれば、再来年になればその町村は前に約束があるので、ぜひやらざるを得ないような気持にする。こういう気持で、しかも従来は地籍調査におきましても希望によってやりますと、一つの村がやりましても、隣りの村が続いてやってくれませんと、効果が上がらない場合があります、そういうときにはぜひこの計画方式をとりまして、計画と申しましても決して強制ではございませんけれども、そういう形で勧誘して参りまして、十カ年終りますれば、その範囲内で相当まとまった地籍調査ができるようにして参りたい、こういう意味でございますので、その点が第二のねらいでございます。またこういうふうに国の計画というものを立てませんと、地籍調査が国と地方との共同事業という性格もはっきりしないわけでございます。従って大蔵省負担率も上げてくれない、こういう関係もございまして、両方の意味でそういうふうに。その次に、先ほど申し上げました登記に関する手続を簡素化した次第でございます。
  53. 石井桂

    ○石井桂君 この地籍調査につきましては、国勢調査と同じように定期的にこれを調査するという計画ではなくて、日本全体の面積のうちの何分の一か必要な部分だけを特定調査をしてやられるわけですか。それとも先ほど申し上げましたように、国勢調査のように五年目ごとに調査をする、これは費用と手間がかかるので、何カ年に一ぺんくらいやられればいい、こういう意味なんでしょうか。
  54. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 何分費用もかかる仕事でございますし、また国勢調査方式に一定の日時、これをかりに一カ月なら一カ月に延ばしてみたといたしましても、一ヵ月内に必ずでき得るものでもございません。また農地測量する場合におきましては、作物のあるときにはできない、やはり作物を刈り取った農閑期にやらなければならない。こういうような事情もございまして、全国一律に一斉にやることは不可能ではございませんけれども、そういたしますと、かえって経費もよけいかかりますので、むしろ逐次やってゆく方がいいのじゃないかと思っております。しかしながら三十七万方キロの中の三万五千でございまして、面積からいえばまことに小いのでございますが、一方から申しますと、日本のように山林国におきましては、その大半が山林でございまして、この国有関係は別途また林野庁の方でお調べ願っておりますので、やはり一枚々々の田畑について調査する面積というものはそう多くないと思っております。この第一回の特定計画を進めまして、それに対して各地方要望が非常に強い、この調子ならばもっと進めてもいいし、また国の財政からいってもできると思いましたときには、できるだけ早目にこの面積も拡大して参りたいと思っております。
  55. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、特定地域調査を終り、その次に重要な地域をやるということにすると、これは十年か十五年かかりますか。
  56. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) やはり十年、十五年はかかると思います。国の財政がそこまで持ってくれればよろしいのですけれども、なかなかそうもいかないのじゃないかと思います。ただ、今までのことを申し上げますと、初めは予算一ぱい使ったのでございますが、三十一年度になりますと使い残りが出て参りまして、この三十二年度はもっと使い残りが多くなるというありさまでございまして、やはりこれは使い残りがないくらいに地元からの要望が強く出るくらいにしなければならない。三十二年度の各県の状況をみますと、負担率が非常に高くなったものでございますので、三十二年度は一億三千万円の金では足りないくらいの要望が必ず出て参ります、そういうふうになって参りますれば、私ども大蔵省予算を要求いたしますのにも根拠ができまして楽でございます。今までのところはそういう見通しも十分つきかねたわけでございます。
  57. 石井桂

    ○石井桂君 一昨日地理調査所長のお話ですと、地図と言いましたかね、地図は生きているという言葉を使っておったが、それほど地籍は変動するという説明があったように私は聞いております。そうすると、十五年に一ぺんぐらいな調査だと、まあひどく変るような所はしょっちゅうやっていなければ意味がないのじゃないか、たとえば例を新潟市にとりますと、三年か四年のうちに海岸が削られて一町か二町後退してしまっている。そしてまあ君家が建っていたところが海になってしまった。そういうような激しい変化のある所もありますし、また人工的に干拓をしている所もあるでしょうし、あるいは海を埋め立てて陸地を作っている所もあると思うのです。そういうのが十五年目ぐらいに調査されるのだと、大きな目から見ればネグリジブルかもしれないけれども、正確なものが得られないのです。そういうのでここにある国土総合開発の施策の策定の資料として正確が期し得られるかどうかという問題があるのですが、どうでしょう。
  58. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 新潟のような海岸の陥没する所におきましては、これは問題だと思いますが、そういう事故のない所におきましては、そう大きく心配する必要はないのじゃないかと存じますけれども、しかしながら、どこの土地におきましても土地改良も行われれば、道路、河川の改良改修も行われるわけでございまして、そういう際におきましての測量精度を相当高くさへやっていただきますと、買収した所と残りました所の地籍面積さえはっきりいたしておりますれば、それは土地台帳の方で土地登記の手続の際に相当気をつけてやっていただく限りにおきましては、今回のやりますところの地籍調査の正確は維持できるのではないかと考えております。特殊な場合はこれは別かと存じております。
  59. 石井桂

    ○石井桂君 国土総合開発に地籍調査をお使いになる必要なことはわかっておるのですが、どういうところへ大体利用するのですか。私はまあ非常に寡聞なものだからわからないのですが、国土総合開発に関する施策を策定するためにまあこれは大いに貢献するだろうということが書いてあるのですが、私もその通りだと思うのですが、一体どういうところに使って、たとえば山林の木材の年産は九千万石なら九千万石ある、そうすると、山林面積はこのくらいだから何年目にはこれくらい出るだろう、そういうところへ使うのですか。必要だと思うことはわかるのですが、常識的に具体的にはどんなところへ使われますか。
  60. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私どものところで国土総合開発もともに所管しているわけでございますが、国土総合開発という専業の説明は非常にまずうございますが、総合という面に強調せられまして、ただいま仰せられました木材資源とか、そういうふうなことになりますると、そうしますと、これは一筆ごと調査をする必要もないわけでございまして、国土総合開発の事業をここに分けてみまして、土地災害の復旧事業であるとか、それから干拓の事業であるとか、土地区画整理事業、河川事業道路事業、こういうふうに開発事業を分けて参りますれば、個々の事業についてこういうふうに作りました地箱というものは大いに役立つ、こういうふうに考えております。総合開発を広義に広く大げさに解釈しますと、ちょっと石片先生特にその点おっしゃるのだと思いますが、そこまでの密着点はあるいは欠けておるかと存じております。
  61. 石井桂

    ○石井桂君 そうしますと、いろいろな国土開発をする諸計画に対する基礎の資料になると、こういうことでいいわけですか。
  62. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) さようでございます。
  63. 石井桂

    ○石井桂君 先ほど植田さんから御説明がありまして、この国の負担都道府県負担、あるいは地元の市町村負担関係がだんだん改良されてくるので専業が促進されるだろう、そこで今まではやりたがっておりません地元が非常に進んでくるだろう、こういう見通しのようでございます。幸い自治庁の奥野部長さんが見えておりますが、今度のような負担関係で地元といたしましては、そういうふうな地籍調査の促進が望めるような経済状態にありますかどうですか。お見通しを承われれば—せっかくおいでになっておりますからお聞きしたいと思います。
  64. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように毎年度国がいろいろな仕事計画して参ります場合に、地方負担を伴うものがずいぶんあるわけでございます。こういうものも地方団体がこなせるかどうか、そういう意味地方団体全体の財政の推移を見通して計画を立てているわけでございます。今回の国土調査に要します地方負担の問題につきましても、地方財政計画に織り込んでおるわけでございますので、そういう意味では、全体としてこなしていけるというふうに存ずるわけでございます。個々の団体につきましては、地方交付税制度を通じまして最小限度必要な財源は保障しておりますので、国の計画に入っております範囲のものについては、こなしていけると考えておるわけでございます。
  65. 石井桂

    ○石井桂君 赤字の多い財政再建整備による団体ですか、そういうものについては特に何か補助率はきまっているようですし、負担率はきまっているようですしするから、そういうところに対してはこの調査をするときどういう恩典といいますか、便宜を与えられるんでしょうか、法律的には。
  66. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 財政再建計画を立てて財政の再建に当っておりますような団体につきましては、特定の公共事業につきまして補助率をきめるという措置がとられておるわけでございます。こういった調査費用につきましては、現在のところとられていないわけでございます。
  67. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、非常に苦しい団体は地籍調査などはやらないということに考えられますね。
  68. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 国土調査の必要性の問題と、その団体の財政状況の両方あわせ考えていかなければならない問題だと思います。
  69. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、もし総合開発の上からいって、ぜひここを調査しなければならぬという場合に、赤字団体であればこれは全額国が負担するとか、都道府県負担するという形があってしかるべきだと思うのですが、国のために必要だと、総合的に考えて。そういう場合には、それは何ら法律的には今回の改正では考えられていないわけですか、これは植田さんから。
  70. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この費用は一方キロが二十四万円でございまして、一町村でやります単位が多くて五万キロ、大体三万キロ程度でございます。二十四万円の三倍でございまして、それの九分の一程度になりますと、大ていの貧弱団体でもやる気になればやれるのではないか。それも先ほど申しましたように町村がすぐにやる気がなければ、やはり四、五年延ばしておいて、四年度の終りごろにやってくれぬかという話し合いもできるわけでございまして、そこに再建団体としての措置を法律上講じなくてもいけるのではないかと考えておるのでございます。
  71. 石井桂

    ○石井桂君 市町村だとか、そういう自治体はおそらく身近かな問題の住宅問題だとか、学校だとか、道路を直すんだとか、そういうものに追われ通しで、またそれ以上住民に税金を取り立てることは、もう限度にきていると思うのですよ。そういう場合にこの国土調査法による地籍調査がなしくずしに何年かかってもかまわないのだ、端的にいえば、植田さんはだんだん偉くなってしまって、あとに次に来る部長さんに送っていけばいいんだという、ゆうゆうたる調査でいいのかどうかということを私は疑問に思うのですが、こういうものはやはりうんとお金がかかっても重点的に一思いにわっとやってしまうところが効果があるので、長年かかって、そうしてあとからあとから補正しなければならぬような調査は、どうも国土開発総合計画調査の基礎になるようにもどうも思えない。何か道楽の仕事のように思うんだけれども、私の考えは間違っているでしょうかね。そういう長いだらだらとやっていく調査による効果というものは、あまり期待ができないように思うのですが。
  72. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまの石井委員お話にございますことは、私もこの仕事をしない前におきまして、この仕事が旧安定本部の仕事でやっておりまして、私は建設省の会計課長の当時にその点を痛感した問題でございます。私はその地位につきまして、しかも先ほど申しましたように毎年度の予算さえ執行できない状況になりましたときに何らかの解決策を講じなきゃならぬと思って微力でございますが、やっとここまでの改正しかできなかったわけでございますが、これで相当の程度の解決にはなると存じております。しかしながら国土調査というものは、特に地籍調査だけをとりましても、先ほど国勢調査の話がございましたけれども、やはり一どきにぐっと金を出しまして、数年の間に仕上げてしまうという方式が一番いいんじゃないかと考えます。しかしながらこれを今さら言ってみても実は始まらないわけでございまして、二十七年の法律を作ったときに、四分の一の補助でスタートしたこと自体が考えればおかしいわけでございます。あの当時、国の仕事でやりますか、もっと負担率を高くいたしまして一緒にやればできたわけでございますけれども、何しろ国土調査という仕事、このほかに土地分類調査、水調査という非常に広範な調査でございます。広範な調査でございまするから相当資金もかかるわけでございますが、これをやります当初に、そこまでの資金の手当がつけばよかったわけでございます。その資金の手当も十分でないままに始めたわけでございまして、これがだんだんと沈滞ぎみでありますのを、何とかこの際回復いたしたいと考えておるわけでございます。  それからついででございますが、最近国土調査という問題につきまして特に関心を持たれておりますのは、新農村建設運動でございます。新農村建設運動といたしまして、各種の小規模な統計事務もございますが、やはりこれは農村の二三男なりあるいはその農村に住みつく長男の郷土愛の精神を植えつける仕事としては適当ではなかろうかということで、三十一年度以来農林省も非常に熱心にやってくれることになっております。また今回予算農林省に計上になりました郷土青年対策でございますが、その一翼といたしましても、この地籍調査、特に測量技術等の研修をいたしまして、そういう人たち自分町村に帰れば、地籍調査の中堅になるような養成もいたしたいと、かように考えております。また自治庁でやっています新町村建設の運動におきましても。こういう仕事はちょうど格好な仕事じゃないか、こういうふうな気持で、機運的には相当各種の運動で取り上げられるような形勢になっておりますので、あるいは現在の十年計画で三万五千万キロという小さな計画が、一、二年ならずしてもっとこれを大きくして全国的な問題にしたらいいじゃないか、こういう機運が盛り上ることを期待しておるわけでございます。
  73. 石井桂

    ○石井桂君 その今御説明の中にあった水調査ということは、今回の地籍調査には面接関係はないのですか。
  74. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 水調査地籍調査とはそれほど深い関係はございません。基準点地籍調査とは関係ございます。
  75. 石井桂

    ○石井桂君 数年前にも何か台風が起きて関西地方がだいぶやられた。そのとき私はこの建設委員会から派遣されて調査に行ったのですがね、あれは何という川ですか忘れてしまいましたが、和歌山県の川だったのですが、日高川ですか、そしてそのときにもう熟練した、常駐されたいろいろな土木関係の方だとか、あるいは出張所員が方方にいまして、降雨量や何かを計算している。ところがこれは非常にどっさりの雨量が来るから危険だということを言っても。地元がちっとも警戒しなかった。そのために何百人かの死傷者を出したわけですが、私は降雨量や何かがすぐ計算ができて、森林地帯がどれくらいあるかとか、はげ山地帯がどのくらいあるかということが出ておれば、科学的にすぐまあ降雨量や何か計算できて、集まる水も計算できると思うのです。そういうことを考えたものですから、一体地籍調査なんというものが完備して、降雨量なんかの気象の状況が機械的にはっきり出てくれば、すぐ一分を出ずして計算ができて、そうして警報なり何なりが出て、そうして河川の流域にいる住民の方が避難もできるのじゃないか、こういうふうに思うのです。それで今お聞きしたわけです。そういうものにもこの水調査というものは関連あるかと思ってお聞きしたのですが、水調査というものと地籍調査はまあそういうふうに考えれば関係はあるが、それは遠くの遠くの関係であって、面接の関係はない、こういうわけですね。
  76. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) そういう意味におきまして関係ございませんが、水調査の問題が出ましたのでございますが、水調査はそれぞれの治水利水の官庁でやっております。また国土調査法でもやることになっております。国土調査法の水調査は必ずしも経済企画庁だけが主務官庁になってやるという体制ではございません。関係各省と共同歩調でやる程度で、現在のところは地籍調査の程度でございまして、まだ進んでおらないのでございますが。
  77. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっとお尋ねいたしますが、あなたの石井委員に対する答弁はですね、いろいろ承わっておりますと、国土調査国土開発の前提条件としてですね、一般的に普遍的に、一律にですね、土地調査をやるというようにも聞こえますが、これはあなたの要旨をせんじ詰めて考えてみると、政府要望に応じて重点的にその必要の高度のものから、高度な地方から調査を始めるということに承わっておいていいですか。
  78. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) いろいろ申し上げましたので、あるいは誤解を生じたかと思いますが、ただいま委員長お話にありました通りでございます。
  79. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 ちょうど地方自治庁から見えておるのですが、この地籍調査ということは、われわれ日本としては非常に重大なことで僕らも大賛成であるのですが、そのために、従来土地台帳にありますものは御存じの通りに、ただ各所有者の昔申し出た数量だけをとどめたというようなことも聞いておるのですが、それで今度実際希望したところの町村がこういう地籍調査をやってみて、先ほど植田君のお話通りに田では一八%、あるいは畑では三〇何%なわ延びをやるというようなことになって、その所有者は一度に所有の田畑が坪数が多くなったといって喜ぶ反面、地方自治庁の方ではそれを対象にして固定資産税とか何とかということの増減をしなければならないということだけれども、さっきあなたの話では、これは当分一村が完成するまでは固定資産税の課税対象を変えないと、こういうことですが、これに対して地方自治庁の奥野君の方の意見はどうなのですか。
  80. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 土地調査が行われますると、地籍にだいぶ変動があるのであります。固定資産の評価に当りまして、台帳にそのままのっとって考えていくか、あるいはまた実態に即して考えていくかというまあ二つの問題があると思うのです。台帳では田になっておりましても、現実には宅地になっておる所もずいぶん多いわけでございますが、こういう場合におきましては、現況に従って評価をいたしていくというように指導をいたして参っております。  もう一つ台帳に記載されております地籍と現実の地籍とが食い違っておるというものもだいぶん多いのでございますが、こういう問題につきましては、土地調査の進行している際でもございますので、原則として台帳地籍にのっとって調査をしていく、こういう方針をとっておるわけでございます。たまたま土地調査の過程においてなわ延びが出てきたからといって、ただちに評価を引き上げていく、こういうことはさせないようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。こういう主義に即した評価の基準を示しておるわけでございます。
  81. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 そうすると、結局自治庁の御意見というものは、従来まあ固定資産税を一万円出す、これがなわ延びによって、従来の固定資産税の比率によってやると一万五千円になるということは困るから、やはり地籍が多くなっても、固定資産税は一万円にするという意味において、率を下げて評価するというような方針をとるのですか。あるいは暫定的に、一年はそういうように従来の固定資産税の比率にして、順次上げて正当な比率に持っていこうと、こういう方針なんですか、どうなんですか。
  82. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地目は現況によるわけでありますが、地籍台帳による、そういうことによって市町村土地調査が完了して、台帳面の記載も変更されるというふうに考えておるわけでございまして、それをやった上で評価の仕直しをするという考えでおるわけでございます。
  83. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 そうするとですね、一つの村が全部できたときにそういうことが起る、こういうお話なんですが、そうすると、このAの村と、隣の村は全然そういう地籍調査をしないということになると、大体環境が同じような所で、課税台帳の比率というものもほとんど同じだというような所ではですね、私の考えは、やはりそういうAはやって、Bはやらないというときに、やはりAはBと同じように、昔ながらそのままに当分の間はほうっておく方がいいのじゃないかと、こういうように思うのですが、どうですか。
  84. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 問題になりますのは、地方交付税を計算する場合の基準財政需要額の点ではなかろうかというふうに思っておるわけであります。この場合には、自治庁から示しております平均価格に、それぞれの段階の固定資産税の基礎になります地籍を乗じて算定するわけでございます。なわ延び状況も個々の市町村みんな同じ状況だというわけでもございませんので、台帳面が全体として改まります場合には、やはりそれを基礎にせざるを得ないのじゃないだろうかというふうに思っておるわけであります。ただ極端に、その結果被害を受ける—というと語弊があるかもしれませんが、そういう市町村がありました場合には、暫定的に特別な配慮を何らかの形においてするという必要は起ってくるかもしれませんが、計算そのものはやはり新しい地籍台帳によらざるを得ないのではないかというふうに思っております。
  85. 田中一

    田中一君 今岩沢さんの質問された問題ですが、現在までにですね、どのくらい増加をしておりますか。それが山林がどのくらいで、宅地がどのくらいで、田畑がどのくらい……。
  86. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 今まで調査しておりました全部のものについての調査はいたしておりませんが、長野県の一村におきます実例から見ますと、田におきまして一八%、畑におきまして三五%、宅地におきまして三一%、山林におきまして七〇%、これは山林については若干多過ぎるのじゃないかと思いますが、大体これに近い見当でなわ延びがあるのではないかと考えております。
  87. 田中一

    田中一君 林野庁の山崎計画課長が見えておりますので、ちょっと伺いたいのですが、私ども一番心配したのが、このやはりわれわれが想像したと同じようにですね、山林延びが多いということです。従来この斜面というものはですよ、どういう工合に固定資産としての算定を加えておるのか。私は斜面に対する見方でもって非常に大きくなるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどういう工合にあなたの方では認めて地籍調査をやっておるのですか。
  88. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 山林面積につきましては、その斜面を水平面に直すといいますか、その斜距離というものを水平距離に直しまして、それによってその面積を出すということばやってきております。
  89. 田中一

    田中一君 そうすると、これはこうなっておる場合ですね、これはこう直して計算するというわけですね。逆にこれでやっているのですか。
  90. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) そうです。水平に、こういうものを水平にして、この面積に変える。
  91. 田中一

    田中一君 ああ、水平に。そうすると、そこで、生産されるものですね、というものに対しては、結局経済効果の問題ですね。たとえば森林法によって斜面には植林をしなくちゃならぬとか何とかありましたね。そういう面の生産される、その斜面で生産されるものがありますね。そういう場合に、課税の対象は立木の生長によるというようなものに対して課税の対象になるのであって、土地そのものは少しも課税の対象になりませんか。
  92. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) その場合には、土地はやはり土地面積に対して課税になりますし、立木に対しても、やはりその立木の石数というものについて評価いたしまして、課税の対象になる、こういうことになるわけであります。
  93. 田中一

    田中一君 長野県の一村の例として今示された、山林の七〇%延びがあるというこの実態というものは、おおむね全国的にこういう傾向のものだと考えておりますか。
  94. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 山林台帳面積と実面積との関係につきましては、程度の差はもちろんあると思いますが、大体実面積が大きいということは、全国的に言えるものだと考えております。
  95. 田中一

    田中一君 この国有財産の調査は、台帳面と実績とは狂いはありませんか。
  96. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 国有林の面積につきましては、台帳面積というものにはよらないので、実測面積というものを基にして国有林は考えてきておりますので、現在約八百万町歩と言われておりますが、それは全部実測面積というものになっておるのであります。
  97. 田中一

    田中一君 田の場合一八%の延びと言いますが、これはこの場合にはどこから、どこをはかっておるのですか。田の場合、水田の場合はですね、あぜも何も、道も全部一緒にひっくるめているのか、それともそういうものは別の見方をしているのかです。
  98. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 内畦畔は全部面積の中に入っております。所有地の範囲の中のものは全部入っております。
  99. 田中一

    田中一君 するとあぜ道も道路も、水田地域道路は全部私道ですね、私道は田になっておるのですか。
  100. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私用の私道につきましては、これは田と畑とは質は違っておりますけれども、これもその中に、基準の中に入っております。
  101. 田中一

    田中一君 奥野さんに聞きますがね。固定資産税の田と民道ですね、私道ですね、それと畑と、こういうものに対する課税率というものは違いがありますか。あるいは宅地ですね。そういうものは……。
  102. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) あぜなどは、これは田なり畑なりの台帳に記載されているというふうに考えております。土地台帳の中に田としてあがっている場合には、畦畔も入っているというふうに私は承知しているのですが……。
  103. 田中一

    田中一君 そうすると、あぜはこれはよく変更しますからね。これは水路の関係その他のことでやむを得ぬと思いますが、相当六尺程度の通路がよくあるものなんです、通路ですね。道路じゃなくて通路ですね。こういうものはやはり水田地の場合には水田、畑地の場合には畑地と、こう算定しておるのですか。計算しておるのですか。
  104. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私の先ほどの説明が足りませんでございました。私用の道路になっておるものにつきましては、所有者は水田の持主と同じでございましても、公衆用道路という表示で土地台帳に載っております。
  105. 田中一

    田中一君 じゃ公衆用道路というものは、どういう延びか縮みかを示しておりますか、調査の結果。一つの事例として、一つの区域を調べた場合にどういう工合になっておりますか、また何%占めておりますか、その区域の。
  106. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいま公衆用道路のパーセントはちょっとわかりかねますので、まことに申しわけございません。
  107. 田中一

    田中一君 非常に危険なわけなんですね、百姓は何もわからぬから常にだまされてしまうのですよ。ことに今度の場合でも政府はどんどん登記しちゃっておるから。自分の方の調べたものが是なりと信じて職権登記というのですか、何かやっちゃうわけです。みんながそうするとお上のやったことは間違いないと思って了承しちゃうわけでしょう。従って一つの区域を示して、たとえばここにあります—、どこでもいいです、広島なら広島の吉川村のある一部落をモデルにして正確に資料が出ておるはずでありますから、それを急速に出して見せて下さい。たとえばこれに対する県道が幾ら村道が幾ら、それからあとの公用通路ですか、道路ですか、こういうものが幾ら、あぜ道がどのぐらい、田がどのくらい、畑がどのぐらい、原野がどのぐらい、そういう工合にずっとこまかくして出してみて下さい。
  108. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 承知いたしました。
  109. 田中一

    田中一君 私はそれが出なければ—これに対する採決をしないということは言いませんよ。結局私は一番心配するのは、衆議院でこれがすらすらと通って来ちゃって、満場一致で。農林とか林野庁、農林水産関係の方々と連合審査を持たないできたように見受けられるのですが、こういうことに対しましての林野行政、あるいは農地行政をやっておる両方の方々は、こういうことによって農民なり山持ちなりの負掛というものか新しく加重される。ことに山林の場合には七〇%というと相当なものですよ、税金の面から見ても。どういう考え方を持っておるのですか。この調査によってしわ寄せを受けるといいますか、ゆすぶられる階層の行政に携わっておるあなた方として……
  110. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 林野庁といたしましては、国有林は先ほど申し上げましたように、国有林特別会計自体の経費をもちまして実測というものを続けて参りまして、その実態は明らかになっておるのでありますが、民有林につきましては、全体の調査というものが非常に経費もかかわりますし、困難だというふうな関係もあるのでありますが、昭和二十六年度に森林法を改正をいたしまして、当時の森林危機というものを乗り切っていくために、森林の面積あるいは地籍というものの実態を十分に把握いたしまして、それを元にして林政というものを進めていくべきではないかという見地から、森林計画制度というものを打ち出したのであります。で、これは二十七年度から始めまして、三十一年度までの五カ年問におきまして、全国の民有林につきまして、主として航空写真を利用いたしまして、それから地望図を作るということにいたしまして、その地望図を現地々々におろして、これの面積地籍というようなものの調査を行いまして、相当精度の高い民有林についての全体調査がようやく完了したという段階になっておるのであります。で、これによりまして、従来のいわゆる台帳面積というものと、実測面積そのものが出たとは言い切れないのでありますが、実測に近い、ほぼ実測に近いものが全体として把握できたというふうな段階にあるのであります。で、こういうものをもとにいたしまして、今後の林政を推進していく基礎とするという考え方でおるのでありまして、この国土調査というようなものによりまして、山林というものの実態というものがより確実に把握できるということは、林野庁としても望ましいことだというふうに考えておるのであります。
  111. 田中一

    田中一君 農地局どうです。
  112. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 農地行政をやります上からも、農地の実態把握ということは非常に大切なことでございまして、土地の地目、地籍というものを正確に把握しますことが、農地行政の運用をうまくやる基礎になると考えております。で、先ほども申されましたように、農地のなわ延びの問題があるかと思いますが、そのなわ延びにつきましても、やはり正確ななわ延びをつかむということは農地行政の基礎になることだと存じます。そこでやはり農民の負担になります問題があろうかと思いますが、これはやはりそこの地方自治体の財政需要なりと、農民の負担という均衡の問題として全般的に調整していただきたい、かように思っております。
  113. 田中一

    田中一君 林野丘で指導して実測をやらしたという結果は、どういう姿になって現われておりますか。
  114. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 昭和二十六年度当時に民有林の面積を一応予測をしておったのでありますが、それに対しまして約一割程度の森林面積の増加という形になって結果は現われたという現状であります。
  115. 田中一

    田中一君 そうすると、林野庁でやった場合には平均一割程度ということなんですね。その場合には土地台帳訂正ということは要求しておりましたか。
  116. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 土地台帳をそれによって訂正するというふうなことは、林野庁としては何も考えていないというのであります。
  117. 田中一

    田中一君 むろん登記の力もそれはしておりませんね。登記をせよということ、これは自分が自発的にやるわけですから、登記をせよということは言っておらないですね。
  118. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) それは登記なんかは何も強制するというようなことは考えてないのでございまして、またこの調査結果を税務署というような方面にはっきり示すということも実は現在やってないという段階であります。
  119. 田中一

    田中一君 農地局の力は、むろんこれは食糧の植付、それから収穫、大きな問題、供出というような問題からも、基礎資料としては必要なものだと思いますけれども、今林野庁の方へ私が、質問したと同じような点については、結論的にどういうことになっておりますか。たとえばいまの台帳の問題は、あなたの方で調べてみてなわ延びがどのくらいあったかということ、それから、それに対して台帳並びに登記簿への記載は別に進めておらないならば、おらないということですね、そういう点はどういうのが指導された現状でしたか。
  120. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 農地行政もいろいろあるのでございますが、農地関係の問題といたしましては、農地法の二十一条で小作料の最同額をきめるということで、農地地方を二十九年と三十年にかけて調査いたしましたけれども農地法の施行につきましては、全部これは農地面積については土地台帳によるということになっておりまして、従いまして、面積調査はそのときにいたさなかったわけでございます。従いまして、農地法の適用につきましては、原則といたしまして土地台帳によっておるということでございます。
  121. 田中一

    田中一君 そうすると、結局土地台帳、たとえば今の長野県下の一つの例として説明されたように、水田として一八%の延びがあったということがはっきりしている。あなたの方は植付反別というものはむろん実際から見た場合の一八%というものはないものとして認めておったわけですね。そうしますと、米の供出などもやはりそこからくる基準で算定しておったのですか。
  122. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 米の供出の関係につきましては、これは食管行政でございますので、私どういう算定基礎で供出をきめましたか、この点について存じておりませんので、お答え申し上げかねるわけでございます。
  123. 田中一

    田中一君 おそらく岩沢さんが質問したと思いますけれどもね、固定資産税の延びに対する課税方法といいますか、たとえば山林にしても七〇%と非常に大きなものなんです。むろんわれわれ政治に携わるものは、国の実態というものははっきりする方がけっこうなことなんですけれども、そのために、農民なりあるいはそれによって生活している人たちが、急に七〇%高い税金を払うということになると、担税力があるかないかわからないと思うのです。急にそういうことをされれば、やはりそれに対する不信といいますか、決してそれは正しいとは思いません。思いませんけれども、そういう気持を持つのじゃないかと思うのです。それで、今までやってきたところの調査法では、土地台帳の改訂だけはやっておったように記憶しているのですが、今後登記簿を強制的に直した場合に、これはむろん地方税ですから、一番よく知っているのは地方が知っているわけなんです。そういう点についてはどういう指導をしてきたのです。かまわないから正しいものは正しいのだから、実測の結果が正しいのだからそのままやれというのか、それとも、それを何らか軽減するような方法をとっているのか、あるいは分割で長期にわたってやるようにしているのか、どういう指導をしておったのですか。
  124. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 形式的なことを申し上げますと、地籍というよりも各筆、ことに評価をいたしておるわけでございまして、地勢その他のことも勘案しておるわけでございますから、かりに地籍が違っておったから評価を当然上げなければならないのだということにはならないと思います。しかし、実質的にはその辺の土地であれば坪当りどれくらい、地籍がこれくらいだから、かけてこの筆の評価は幾らだ、こういうふうにきめて参っておったと思います。負担の公平ということになりますと、実際の地籍に即して評価をしていくのがよろしいと思うわけでありますけれども、たまたま調査をして、見つかった所だけ高い税金を背負わなければならないということも不合理なことでございますので、市町村として調査が済んだ暁に、全体均衡な負担になるようにというような仕組みで評価をさしたい、かように考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、先ほども申し上げたわけでありますが、土地の地目につきましては現況主義で見ていくわけでございます。しかしながら、地籍につきましては、原則として台帳主義で見ていく、こういう指導をいたして参ってきておるわけでございます。
  125. 田中一

    田中一君 現在調査をやっておる所、その地方財政的に現状のままの予算を組んでいるのだと思うのですが、今あなたが御答弁になっているようなことで公平は期せられますかしら、国民全体に対する公平ですね。その地方的な村なら村という単位が完成した場合には、むしろん村当局考えるでしょうけれども、部分的に。一県、県という単位になった場合には担税の公正ということは考えられますか、具体的に。完全に納得する形で行われますかしら。
  126. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) おっしゃっています点は二つあるだろうと思うのであります。市町村内における土地相互間の負担が均衡を得ているかどうかという問題、市町村間における土地負担が均衡を得ているかどうかという問題だと思います。市町村内の土地の均衡の問題につきましては、原則として全体調査を終った上でそれに従っていくわけでございますので、そういう方式をとれば均衡はとれると思います。市町村市町村との間におきましては、調査を完了した所が早く負担がふえてくる、こういう問題は出てこようかと思います。ただしかしながら、その場合に原則としてなわ延びが出てきておるわけであって、減ってくる所は少いわけでありますから、どっちかと言いますというと、免れておった課税負担を結局は背負わなければならない、こういうことなのでございますし、またそのなわ延び状況市町村相互間において全く同じ率で延びているのだというわけでもございませんので、その点についてはいたし方ないのじゃなかろうかというような考え方をいたしておるわけでございます。
  127. 田中一

    田中一君 まああなたのもらう給与にしても、いろんな形でもって税の対象にならないような給与の方式があると思うのです、これはもうどこでもやっておりますことですが。そこで、農民だけが、山を持っているのは農民でしょう、多くは。農民だけが少しも狂いのない、お前はこれだけの資産があるから、お前はこれだけの土地を持っているからこれだけだというような課税方式は、今後ともずっと推し進められると思うのです。そういうものと、あなた自身の、あなた自身というと、あなたを問題にしちや悪いかもしらぬけれども、給与ですね、あなたはやっぱり役所の車を使っているでしょう、送り迎えしているに違いないのです。もう部長だから。これなんか、やっぱり給与の一つなんですよ。そういう面から見て、どうもやはりそういうことだけでしゃくし定木に割り切ることよりも、もう少し国の全部が、一応国の地籍というものが完成された暁にやるのだということの方がいいような気がするのですが、やはり日本の農民は結局零細農業ですから、そういう下積みになって、非課税になっているような人たち負担というものを、どこかで何らかの形でもって全体均衡のとれた形の対策を立てなければ、どうにもならない。一番弱い者だけがやはり番負担が重いんだという印象を受けると思うんですよ。むろん、自治庁とすれば、そういう小さな規模の財政を持っている地方を預っているものですから、そういう点については根本的な考え方を立てなけりゃならぬと思うんです。そういう点は、今のようなしゃくし定木的な答弁じゃ私は満足しないんで、もう少し潤いのある、均衡を保ったような措置をとれないものかどうかと思うんです。今のような考え方は、自治庁内であなたの方の中でもって問題になったことございませんか。これは、あなたの給与とあなたの生活というものと比べてみて、農民が相当強いしわ寄せになるんじゃないか。過酷というよりも、正しいんでしょう。正しいんでしょうけれども、あなたと比べてみてという点でもって、一つ何か方法を考えられないかという点を伺いたいと思うんです。
  128. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 田中さんのお話を伺っているとよくわかるのでありますが、正直なところ、今まで非常になわ延びが出てしまって負担が急に過酷になったという話を聞いておりませんので、そういった意味の研究を、正直のところいたしておりません。ただ、どちらかといいますと、山林を零細農民に結びつけていくという点につきましては、私たちとしてちょっと異論があるのであります。
  129. 田中一

    田中一君 山林は別ですよ。解放してなかったから。
  130. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 将来、なおそういう問題がいろいろ起ってくるだろうと思うのでございますが、調査の進行につれまして、善処をして参りたいというふうに存じます。
  131. 田中一

    田中一君 この法文の中に職権登記というのは、これはいやもおうもないんでしょう。結局実測してこれが正しいんだと言えば、職権でもってかまわず台帳のほかに登記をしちゃうということなんでしょう。そうすると、これが正しいということの正しいということをほんとうに立証するのは、どういう形で農民に、あるいはその土地所有者に納得させようとしているのか、伺いたいんです。
  132. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 従来は、地籍調査の成果は、土地台帳まででございまして、それを登記簿の方に移しませんと、その後の登記ができない。すなわち、かりに一割のなわ延びがあるたんぼを、土地台帳では直っておりましても、不動産登記簿が直っておりませんと、売買の登記ができないと、こういう不都合がございましたので、職権登記の道を開いたのでございます。お話しの点は、そのもとになっております地籍調査の有権性の間脳であろうかと存じますが、この点につきましては、調査いたします場合に公示いたしまして、関係者が熟知する方法も講じます。また、できました地籍調査の成果につきましても、縦覧に供するわけでございます。そういう形におきまして、関係者は十分承知したものができ上るということにいたしております。従いまして、従来の手続で最後まで手続が済んでおりませんでしたのが、かえって地籍調査の進行を妨げておりましたが、その点を今回改めたいと考えておるのでございます。
  133. 田中一

    田中一君 そうすると、一々実測する場合には所有者を立ち会わすんですか。
  134. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 実測に当りましては、一々立ち合わせます。また、境界につきましては、両当事者に入っていただきまして、従来字限図等におきまして不明確な境界も、その際に話し合い解決つけまして、はっきりしたものを作りまして登記所に持ち込むわけでございます。
  135. 田中一

    田中一君 その場合、まあ農民の場合ですね、田畑の場合ですよ、農閑期を選んでのみやっておるんですか。それともあなたの方でそういうこともお考えなしに、自分計画でやっておるんですか。
  136. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この仕事市町村にお願いいたしておりまして、市町村におきましては、場合によっては測量の会社を使う場合もございますが、大部分の仕事は、地元の若い人たちに若干の期間講習を受けてからやってもらっております。そういう関係もございますし、また、田畑に作物がありますときには測量をすることも不便でございますので、こういう外業というものは農閑期を選びまして、内業はそういう時期でなくともできますものですから、外業で土地所有者に集まってもらわねばならぬようなことにつきましては、努めて農閑期を選んでおると承知いたしております。
  137. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと山崎君にお尋ねしますが、さっき田中委員の質問に答えて、山林実測によって課税対象とされておるというお話があったように聞いたんですが、そうですが。
  138. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) 山林は、民有林につきまして、実測というものが今まで県その他の手によって正確に行われたということはないわけでございまして、実測というものをもとにして課税対象とするというふうにはなっていないわけであります。
  139. 中山福藏

    委員長中山福藏君) なっていない。そうすると、それは調査済みのものに対しては実測したものに対して課税するけれども、いまだ調査の終らないものに対してはそのままに放置しておくと、こう了承していいわけですか。どうなんです。
  140. 山崎齊

    説明員(山崎齊君) この民有林の調査につきましては、現在までは都道府県に国が二分の一の補助をいたしまして、都道府県が航空写真というようなものを使って、実際に近い面積を出しているというやり方をやっておるわけでありまして、二十七年度から三十一年度までの五カ年間に、全体の民有林につきますそういう調査は完了したのでございますが、それは課税の対象となるものでないということでやったのであります。
  141. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  142. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起して。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十八分散会