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1957-04-23 第26回国会 参議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十三日(火曜日)    午前十時十九分開会   —————————————   委員の異動 四月十九日委員北勝太郎辞任につ き、その補欠として杉山昌作君を議長 において指名した。 四月二十日委員坂本昭君及び杉山昌作辞任につき、その補欠として藤原道 子君及び北勝太郎君を議長において指 名した。 本日委員藤原道子辞任につき、その 補欠として木下友敬君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            井上 清一君            斎藤  昇君            武藤 常介君            内村 清次君            大河原一次君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    建設大臣官房会    計課長     關盛 吉雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省地理調査    所長      武藤 勝彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本道路公団法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○駐車場法案内閣送付予備審査) ○国土調査法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。四月十九日北勝太郎君が辞任され、補欠として杉山昌作君が指名され、四月二十日坂木昭君、杉山昌作君が辞任され、補欠として藤原道子君、北勝太郎君がそれぞれ指名されました。   —————————————
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 日本道路公団法の一部を改正する法律案及び駐車場法案一括議題とし、両案の提案理由説明政府から聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  それでは建設大臣から説明をお願いいたします。
  5. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいま議題になりました日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  日本道路公団は、御承知通り有料道路建設管理を総合的かつ効率的に行うこと等を目的として、昨年四月設立されたのでありますが、以来同公団は、事業の推進をはかり、道路整備の促進に寄与して参っているのであります。日本道路公団は、高速自動車国道法及び道路整備特別措置法の一部を改正する法律に基きまして、有料高速自動車国道建設管理の任に当ることとなっているのでありますが、高速自動車国道の効用を確保いたしますためには、休憩所給油所等付帯施設整備することが必要でありますので、同公団がこれらの施設建設管理を行うことができることといたしたいと存じます。また、高架構造有料道路利用合理化をはかるため、道路建設一体として設けることが適当であると認められる事務所倉庫等を同公団建設管理することができるようにすることが適当と考えます。これらの点に関しまして、所要改正を加えることといたした次第であります。  まず第一に、高速自動車国道の円滑な交通を確保するために必要な休憩所給油所その他の施設政令で定めるものの建設及び管理を行うことを新たに日本道路公団業務といたしました。  第二に、日本道路公団は、建設大臣の認可を受けて、高架有料道路新設または改築一体として建設することが適当であると認められる事務所倉庫、店舗その他政令で定める施設当該道路新設または改築に伴い取得した土地建設し、及び管理することができることとし、また、委託に基き、これらの施設建設することができることといたしました。  第三に、これらの業務運営の適正を期するため、業務を行う場合の基準政令で定めることとし、公団は、この基準に従って業務を行わなければならないことといたしました。以上の改正のほか、日本道路公団事業実施の円滑をはかるため、不動産登記法及び政令で定めるその他の法令の適用について同公団を国と同様に取り扱うことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、ただいま議題になりました駐車場法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  わが国における自動車保有台数は、毎年三十万台をこえる増加を示し、現在では百六十万台余に達しておりますが、大都市ことにその中心部にこれらの自動車が集中し、これがため市街地の道路交通は著しく混雑して参り、もはやこれを放置することを許さない状態に立ち至っております。都市内の自動車交通が混雑し、道路交通が円滑を欠くに至りますと、都市における業務機能を低下せしめ、ひいては公衆の利便を著しく阻害することとなるのであります。  都市内の道路交通の混雑を招来している大きい原因は、道路上に自動車が無秩序に駐車していることにより、他の自動車の通行や駐車が阻害されていることにあるのであります。大都市においては、従来も一部において自動車駐車場建設が進められて参っておりましたが、これらのみによってはとうてい都市中心部における自動車駐車の需要を満すことができない現状であります。政府といたしましては、以上申し述べました現状に対処するため、都市中心部における自動車駐車のための施設整備に関し総合的施策を講ずることとし、ここに駐車場法案を提出した次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明いたします。まず第一に、整備地区の制度を設けたことであります。建設大臣は、商業地域内において自動車交通が混雑する地区について、都市計画法の定める手続によって、都市計画施設として駐車場整備地区を指定することができることとし、路上駐車場及び路外駐車場整備と大規模建築物に対する駐車施設付置を総合的に行うことといたしたのであります。  第二に、路上駐車場を設けることができることといたしたことであります。  都道府県知事は、駐車場整備地区について路上駐車場設置計画を定めて建設大臣承認を受けるものとし、道路管理者である地方公共団体は、この計画に基いて路上駐車場設置し、その利用者から駐車料金を徴収することができることといたしました。  第三に、路外駐車場整備について所要規定を設けたことであります。  建設大臣は、駐車場整備地区内の路外駐車場の配置及び規模都市計画として決定し、地方公共団体はこれに従って路外駐車場整備に努めなければならないことといたしました。  また、一定規模以上の路外駐車場構造及び設備は、政令で定める基準によらなければならないものとし、路外駐車場駐車する自動車の安全をはかることといたしました。  次に、一定規模以上の有料路外駐車場設置する者は、都道府県知事に、その設置及び管理に関する事項について届出を行うものとし、その駐車場一般公共の用に供するように管理するとともに、寄託された自動車の保管に関する責任を加重して、利用者の利益の保護をはかるようにいたしました。なお、都道府県知事は、路外駐車場施設の維持、保全または業務運営が本法の規定に違反していると認めるときは、その施設または業務改善命令を発する等の監督のための措置を定め、あわせて利用上危険な施設について供用停止を命ずることができることといたしました。  第四に、大規模建築物における駐車施設付置に関し定めたことであります。地方公共団体は、駐車場整備地区及びその周辺において一定規模以上の大建築物が建築されるに際して、その建築物駐車のための施設付置を義務づける条例を制定することができるようにいたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されるようお願いいたします。
  6. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 両案の質疑は次回に譲ります。   —————————————
  7. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、国土調査法の一部を改正する法律案議題に供します。  まず本案の逐条の御説明政府委員からお願いいたします。
  8. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国土調査法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法案内容といたしまして、国土調査法改正いたしたいと考えます点は、次の通りであります。  第一は、国土調査法第一条の目的改正でございますが、現行法では国土調査目的は、「国土開発及び保全並びにその利用高度化に資するため、」と規定せられているのでございますが、後ほど御説明申し上げますように、改正法律案の弟二十条の二及び第三十二条の二におきまして、地籍調査成果に基き現行法において規定されております土地台帳訂正をいたすのみならず、さらに不動産登記簿訂正をも行い得るようにいたしたいと考えますので、これに応じて第一条の目的中にこの趣旨を明確にするため、「あわせて地籍明確化を図る」ことを加えたいと考えております。  第二は、第二条の定義改正でございまして、これも後ほど御説明申し上げますように、本改正法案の第六条の二及び弟六条の三におきまして、特にすみやかに地籍調査を行う必要があると認められる地域について、国及び都道府県が定めました計画に基いて実施することといたしたいと考えておりますので、従って第二条の定義のうちに、現行法地方公共団体等が申し出て国土調査の指定を受けて行うもののほか、ただいま申し上げました計画に基く地籍調査をも加えることといたし、これに伴う条文の整理をいたしたものでございます。  第三は、地籍調査に関する計画設定実施に関するものでございます。すなわち先般の提案理由説明のうちにもございましたように、地籍調査重要性にかんがみまして、特にすみやかに地籍調査実施する必要があると考えられます地域について、計画的にかつ重点的に調査実施いたしますために、本改正法案の第六条の二において、まず内閣総理大臣地籍調査に関する特定計画設定することにいたしたのでございます。この特定計画長期計画として考えておりますが、都道府県と協議し、かつ国土総合開発審議会調査審議を経ました上で、重点的に調査実施すべき地域事業量及び期間を定めたいと考えておるのでございます。次に第六条の三におきましては、まず都道府県が、ただいま申し述べました特定計画に基きまして都道府県計画を定めることにいたしたのでございます。この計画都道府県長期計画といたしまして、都道府県の実情に即して県内の地域について優先順位を定め、年度別実施すべき地域及び事業量等を定めたいと考えておる次第でございます。次に、都道府県計画に基いて毎年度地籍調査事業計画を立てることにいたしたいと考えております。すなわち、この事業計画におきまして、都道府県の毎年度の具体的な実施が決定せられるわけでございます。この計画設定に当りましては、実施すべき者となる市町村その他土地改良区等と協議し、さらに、あらかじめ内閣総理大臣承認を求めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。次に内閣総理大臣は、毎年度の予算の金額の範囲をこえて国が負担することとなるような計画承認を与え得ない旨を規定いたしております。以上の方法によりまして、毎年度事業計画が決定いたしますと、都道府県知事はこれを公示することにいたしております。次に、第六条の四におきまして、事業計画により、定められたところにより地方公共団体土地改良区等は調査実施する義務を負うことといたしておる次第でございます。  第四は、先ほど御説明申し上げました第六条の四の規定に基く地籍調査実施に要する経費の負担についての規定でございまして、市町村または土地改良区等が実施する場合には、都道府県地籍調査に要する経費の六分の五を負担することとし、そのうち十分の八を国が負担することといたしております。次に、都道府県実施する場合には、地籍調査に要する経費の三分の二を国が負担することといたしております。従いまして、国は地籍認否に要する経費については、いずれの場合も三分の三を負担し、都道府県はみずから地籍調査実施いたします場合は三分の一、市町村等実施いたします場合は、都道府県及び市町村等はそれぞれ六分の一を負担することとなるのでございます。  第五は、成果の取扱いに関する規定でございます。すなわち現行法第二十条第二項の規定によりますと、地籍調査成果登記所に送付されますと、登記所はその成果に基きまして土地台帳訂正するのでございますが、土地台帳訂正されました結果不動産登記簿と符合しなくなると、そのままでは不動産登記法第四十九条の二の規定によりまして、自後の登記が行い得ないことになっているのでございます。地籍調査実施いたしますと、土地台帳における土地の表示はほとんど全部と申してよいほど変更されることになりますので、これに応じて不動産登記簿の方も訂正しなければなりません。これを個々所有者登記せしめることはきわめて困難であり、また登記所としましても、一々個々所有者の申請を待って訂正することは、事務能率から申しましてもはなはだ非能率なことでございますので、これを一括登記所において職権で変更登記をすることに不動産登記法特例規定したのでございます。  第六は、本改正法案第二十二条の二の規定でございまして、これは国の機関またはこれに準ずる番が国有地すなわち土地台帳法第四十条の規定に基き、土地台帳適用を受けない土地について地籍調査に類する調査または側壁を行う場合におきまして、その調査または測量成果がなるべく地籍調査と同等の効果を上げるようにし、または地籍調査と重複を避けるために、内閣総理大臣が必要な勧告をいたすことができるよう規定したものでございます。  第七は、本改正法案第三十二条の二の規定でございますが、これも前に御説明申し上げました本改正法案第二十条の二とともに不動産登記法特例でございまして、すなわち本改正法案第三十二条の規定によります合筆があったものとしての調査をする必要がある際に、相続による登記が未了のため土地台帳訂正することができず、従って現状に即した調査ができない場合が生じてくるのでございますが、これを当該土地所有権登記名義人またはその相続人登記せしめることはなかなか大へんなことでございますし、地籍調査をより正確なものといたしますためにも、地籍調査実施する者が本人にかわって登記できるように規定したものでございます。  なお付則の第三項について御説明申し上げますと、これはただいま申し上げました本改正法案第三十二条の二第一項の規定による代位登記をいたす場合におきまして、現行規定では地籍調査を行うために土地所有者登録税を納付せねばならなくなる結果、なかなか土地所有者の同意が得られず、そのために地籍調査の完全な実施が阻害される場合が少くありませんので、土地所有者が納付すべき登録税を免除するよう登録税法の一部を改正する規定でございます。  以上本改正法案内容を御説明申し上げました次第でございます。
  9. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 田中一

    田中一君 どうもこういうめんどうな法律は、植田君がすらすら自分で書いたものだけを読んだんじゃわれわれ理解できないんです。資料として出されているもののうちどれがどうで、どれがこうでと説明をしなければなかなかわからないんです。それで今日は企画庁に対しては質問しませんが、幸い地理調査所から人が見えているようですから、関連してその方に質問したいと思いますが、いかがですか。
  11. 中山福藏

    委員長中山福藏君) できるだけこの法案に関係のある範囲で……。
  12. 田中一

    田中一君 全部関係ございます。  地理調査所長に御質問しますが、今当委員会議題になっております国土調査法、これが通って土地改良区または市町村のほかに国が調査をするというような道が開けることになるわけですが、現在の地理調査所はどういう経緯で今日に至ったか。どういう仕事を今までやってきたかということについて、総括的な御説明を願いたいと思うのです。
  13. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  まず第一に、地理調査所の沿革を申しますか、できましたこと、それから前の、地理調査所の前身であります陸地測量部のやったことにつきまして、それからまた現在大体どんなことをやっておるかというふうなことについて申し上げたいと思います。  地理調査所はいかにして発足したかということを申し上げます。地理調査所戦前陸地測量部仕事を受け継いで、戦後の情勢に即応しこれを発展せしめたものであります。陸地測量部の五万分の一地形図三角点水準点などが日本国土の実態を明らかにし、国土開発、経済の再建の足がかりを与える基礎資料として、軍が残した数少い文化的遺産の一つとして考えられていることは御承知通りであります。陸軍でやりました数多くの仕事がありますが、それらについて私たちは何一つ現在残っているものを知りません。ただ私の方に残っておりますこの測量の結果の三角点とか水準点、あるいは地図というものが唯一の文化的の遺産ではないかと考えておる次第でございます。しかしながら、戦前地図を作るということは、その目的が軍事的なことに向けられておりましたので、五万分の一地形図を中核といたしまして、比較的小さい縮尺の地図測量が限定されておりました。で、各種の建設事業に伴って今日われわれが必要としている大きなスケールの詳細な測量にはほとんど手を着けておりません。またその技術は全く外部に対して閉されていたのでございます。ですから、前には陸地測量部がどんな方法でどんな精密さでどうしてやってきたかということは、外部の人にはほとんど知れないでいたのでございます。そうは申しますものの、その技術は実際には非常にすぐれておりますし、またそれをやっておりました技術家たちは非常に良心的でありましたので、その結果は五万分の一図だけではなくて、地盤の変動、たとえば地震等が起りますと、前に測量のやってあった地域を再び測量して見る。そうしますと、三角点水準点が動いておることがわかりますが、こういうことは非常に精密な結果を出しておりまして、これは世界的に非常に高く買われているのでございます。一九五一年に私がブラッセルの国際測地学会に出席しましたときに、特に水準測量委員長が、日本はこういうふうな地盤の変動調査に対して非常な貢献をしている。これは世界の国でほかの田に見られないことであって、われわれは測量の結果からこういうことが得られることは非常にうれしいことである。これは日本調査所に深甚の敬意を表するということを言われました。そのくらいに各国から認められているのでありますが、これと申しますのも、測量部が正直なりっぱな仕事をやっておった結果であると私たちは考えております。  このようにわれわれが受け継いだ遺産はどんなものであるかと申しますと、三角点が三万八千五百七十八点、内訳が一等が九百一二十五点、二等が五千一三十四点、三等が三万二千六百九点、水準点が九千七百九十七点、こういう結果になっております。五万分の一地形図は千二百六十三面でございます。それから二万五千分の一地形図が、戦前できましたのが千百四十七面、一万分の一地形図が二言三十四面、二十万分の一、これは編算図でございますが、五万分の一から編算した地図でありますが、この地勢図がただの百十二面でございます。このうち五万分の一地形図と二十万分の一地勢図国土の全域をおおっておりましたが、二万五千分の一地形図は、たとえば師団の所在地とかあるいはその周辺など、軍事的に重要な地点に限られておったようでございます。一万分の一地形図要塞地帯と三大都市に限られておりました。経済開発を主眼とする今日から見ますと地区の選定は必ずしも適当ではないのであります。また五万分の一図にいたしましても、昭和の初めから外地の測量に重点をおいたため、満州事変の勃発以来ほとんど内地の仕事は認められないでおりました。これらの結果従って内地の地図経年変化修正はほとんど実施されておらなかったのでございます。同様にまた河川改良やそれから排水計画基礎資料として一ミリメートルまでの正確さで地面の高さを定めていくような精密な水準測量も、国道に沿った所だけで、今日われわれが必要とするような山の中というようなとこまではとうてい選んではおらなかったのでございます。  これが大体測量部でやっておりました仕事の概要でございますが、次に戦後に地理調査所はどんなことをやっておったかということを申し上げたいと思います。地理調査所終戦直後、八月の十五口に終戦になりまして、八月三十一日に廃庁、九月一日にすぐ発足したのでございますが、終戦というようなごたごたのときに出発しましたので、最初の仕事は現在のように整った形にはなっておらないのであります。それですが、まず第一に私どもの着手いたしましたことは、戦時中に秘密として発行をとどめられておりました地図の再発行で、一般に対しての発行でございます。この事業昭和二十三年から二十四年ごろまでに一段落を遂げております。しかしその内容戦前のままで別に修正は加えてはございませんでした。また中には二十万分の一図のように原版が戦災で失われたものがありまして、これは大へん惜しいことでございましたが、疎開の途中新宿駅へ搬出しておりましたものを爆撃のために焼けてしまったのでございますが、戦後二十万分の一図がすぐ必要になりまして、これを応急的に作らなければならないということになりました。従来ありました地図を複写して急速にこれを作って参りました。しかしこれはなんと申しましても、できている図から複写したので、しかも色わけすることができませんでしたので、一色で出したので非常にきたない図でございます。今でも幾分残っておりますが、最近はほとんどこれを新らしく改めまして、きれいなものにしてあります。その上また当時は占領下という特殊事情のために、そのほかにいわゆる指令作業がございました。で、米軍の要求に応じて大部分の力をそちらの方に振り当てざるを得なかったのでございます。しかしながら、地図はこれは生きているものでございまして、今日の姿を表わしておかない地図はわれわれは使うことができません。歴史図としては別でございますが、地図は古くてはほとんどその価値が半減されるのは自明のことでございます。で、戦時中並びに戦後に、道路整備都市の発展がきわめて急速に計画されたのにかかわらず、地図の大部分は昭和初年の状態を表現しておりましたので、これを急速に現状に近づけるために、指令作業によるクラシフィケーション、これは三角点水準点の位置を再調べする仕事、それから道路や橋梁というふうなものを調査する仕事でございますが、そのクラシフィケーション調査成果と、それから米軍からもらいました空中写真によりまして、まず応急的に五万分の一図の経年変化修正に着手しました。そうして昭和二十四年にこれを完了しております。しかし、これはあくまでも応急的なもの、でありまして、きわめて細部に至りますと、手の届かない点も実はあるのでございますが、とにかくできるだけ、たとえば道路であるとか、それから都市の発展であるとか、そういうふうなものを直せということで応急的に直したものでございます。まあ測量部では非常に良心的にやったのでございますが、当時の測量法が平板測量でございましたので、平板測量と申しますと、よく町の中でやっておりますが、三脚の上へ板を載せてその上に図を置いてかいていくあのやり方でございますが、あれでもって全国をやったので、山のような部分になりますと、相当狂っているところもございます。これは空中写真を見ますと一目瞭然でございまして、そういうふうなところも、手の届く限りは修正いたしております。しかしながら、現在まだ、たとえば日光の奥であるとか、あるいは南アルプスの付近であるとかいう所には、まだ多小遺憾な点が残っておるのでありまして、これらの点につきましては、なお急速に修正するようにいたしております。  次に、経済再建のために国及び地方公共団体利用に供するために、米軍から貸与されました空中写真を配布する仕事をいたしました。水力資源の開発とか土地改良、あるいは都市計画などの戦後経営に対しまして、在来ほとんど正確な大縮尺地図がなかったために、空中写真の配布の効果はまことに大きなものがあったと考えるのであります。このことは、佐久間ダムや只見川などの調査資料としてこれらの空中写真から作った地図調査の最初の資料の一つとなったことを申し述べれば十分だと考えております。で、これらのことを御存じの方は、よくこれらの空中写真がいかに有用なものであるかということを御認識なさったことと考えておるのでございます。  しかしながら、どのようによい資料がありましても、それを生かす技術がなくては、資料の価値は著しく減殺されます。また、同じ場所に対して違った機関がほとんど内容の似通った測量を重複して実施することは、国及び地方の経費のむだ使いになることはこれは明らかでございます。そしてまた、その隣合った地区測量した地図をつなぎ合せて利用できるようにしておけば、広い地域の総合的開発のために大きな役に立つのに違いないのでありまして、このような観点に立ちまして、測量事業の重複の排除、それから座標系の統一、作業規程の承認による測量作業の企画の合理化測量士及び測量士補の試験による技術者の能力の検定の四点を主要な目的といたしまして、測量法を制定さしていただきました。そしてこれを今実施しておるところであります。  ここに注意しなければならないことは、この法律による作業規程の、審査と助言並びに測量士試験を通じまして、各省技術者はもとより市町村に至るまで、旧陸地測量部においてつちかわれ、地理調査所においてさらに一段とみがきをかけられました測量技術が一般に開放されてきたということであります。ですから、現在では、うちの方でやっております測量技術がそのまま、区域は小さくても、それと同じような手法によって外でもだんだんと行われるようになってきております。それで、その測量法による調査と助言の件数並びに測量士、測量士補試験の受験者数はどんなことであるかと申しますと、審査の件数は、測量成果が三百三十五件、それから作業規程の審査を受けて来たのが百六十八件でございます。それから測量士、測量士補の受験者数は、三十一年度一万六千二百名ほど、三十二年度は一万六千四百名ほど、最近ほとんどこの数は似通った数になっております。毎年一万四、五千から六千くらいの程度に落ちついておるようでございます。  ここで注意しなければならないことは、測量事業の究極の目的は、国土の実態を科学的に把握することであります。で、この目的のために、地表面の状態を地図として確認することはもちろん大切でありますが、それと同時に、地下資源開発のために、地下の構造を明らかにし、また、狭い国土を合理的に活用するためには、土地利用の状態を確認しなければなりません。また、国あるいは地方の状態を知るためには、比較的小縮尺の地図利用して、交通、人口等の重要な要素を総合的に理解しなければなりません。  で、このような目的のために、戦後地理調査所実施した事業に次のようなものがあります。まず、国土全域にわたる重力測量と地磁気側壁でございます。地下資源調査のための最新の手段としては、重力探査、磁気探査、あるいは地震探査など各種の方法が実用化されておりますが、これらはいずれも重力あるいは地磁気の局地異常をとらえて、それから地下資源の有無を推定するものであります。しかし、局地異常をつかまえるためには、国土全般にわたる平均的密度をもってそれを調査しなければなりません。で、このために、全国的に重力あるいは地磁気の測量実施する必要があるのでございます。この目的のために、地理調査所昭和二十八年以来、重力及び地磁気の全国的調査に着手いたしまして、昭和三十三年にその第一段の調査を完了する予定でおります。しかも、この測定に使用し、その精度と能率増進に大きな力となった地理調査所型地磁儀と重力計は当所職員の設計になるものでありまして、その性能については国際的にきわめて高く評価されているものであります。たとえばこの重力計でございますが、これは重力振子は、時計の振子のような振子を振る機械でございますが、これは一昨年ワシントンへ持っていきまして、ワシントンの原点に持っていきまして比較したのでございます。今世界の重力の原点は、ドイツのポツダムとそれからアメリカのビューロー・オブ・スタンダーズ、これは日本の度量衡検定所のような役所でございますが、そこにございます。そこで日本の重力の価を世界的に統一するためには、ドイツのポツダムか、あるいはワシントンにつながなければなりませんので、一昨年ここへ持って行って比較したのでございます。で、ワシントンではビューロー・オブ・スタンダーズに世界原点が一つありまして、それから海岸及び測地測量局に弔う一つのアメリカの内の重力の原点がございます。しかしながら、このアメリカ原点の方はビューロー・オブ・スタンターズの原点から海岸測量局が自分のところの機械でもって取りつけてはかった価でございまして、最近グラビメ一夕ーと申しまして、ごく狭い範囲を非常に精密に重力をはかる機械がアメリカにたくさんできております。これは石油の探鉱によく使われる機械でございますが、広い範囲に使うことは不適当でございますが、狭い所は非常に精密にはかれます。たとえば一ミリガール、これは重力の単位でございますが、センチメートルの千分の一のところの単位でございます。そのミリガールの百分の一程度まで精密にはかれるものでございます。それで、ビューロー・オブ・スタンダーズの原点とそれから海岸及び測地測量局の原点をつないでみたところが、どうも海岸及び測地測量局のやった原点の価に何ミリガールぐらいかの違いがあるということが推定されておったのであります。ところで私の方から持っていきました重力振子でビューロー・オブ・スタンダーズで測定しましたら、海岸及び測地測量局でぜひ自分の方もはかってくれということで、海岸測量局に持って行ってはかりましたところが、その差がぴしゃっと出てしまったのであります。従来重力振子でこの程度の違いがわかるということはほとんどなかったのであります。普通重力振子の精度は、プラス・マイナスの三ミリガール程度が今まで限度とされておりました。それが百分の一あるいは十分の一程度まで明らかになったというので、非常に驚いている次第でございます。去年の秋にパリの国際測地学連合の重力分科会の集りがございました。私の方から測地部長の奥田技官が参ったのでございますが、その席上でも日本の器械が非常にいいということをケンブリッジ大学のブラウンという教授、それからアメリカのライスという技師、そういう人たちから非常に賞賛されました。それで、そのときにぜひ、この会長はフランスのルジエーという人がやっておりますが、ルジエーがぜひとも今度日本が南極に行くなら、日本の行く南極地域には重力の測定が一つもないから、日本の器械を持って行ってやってくれないかということを希望されたそうでございます。しかしながらこれに対しまして、アメリカとイギリスの連中は、ああいうふうなりっぱな器械は、南極のような所に持って行って、ぶちこわしでもしたら大へんなことになるから、これは考えなければいけないということを申し入れたそうです。そうしたら、それは必ずしもあの器械でやってくれという意味ではないのであって、まあ日本のようなすぐれた技術を持っているものが行って、そういうところのものを何でもいいから一つ出してくれないか。これはリコメンドではない、ウイッシュであるということを申したそうでございます。それで、また最近重力の中央局から私の方へ、日本でもってベイルート、それから豪州の南の方の重力の測定をやってくれないかということを申して参ったのでございます。これはどうも金のかかることで、われわれの日本の金を使って、そういうところまでやれるかどうか、私まだよくわかりませんが、とにかくそのくらいに重く見られているものでございます。  それから南極へ行く途中に、シンガポールとそれからケープタウンはぜひ日本の器械ではかってほしい、これは地球の形をきめるために地球上の各種の重力を調べる必要がある。精密な測定が欠けているので、その器械によって補足してくれということを要望されております。果してわれわれの重力班が今度の南極探険に参加できるかどうか、はっきりきまっておりませんが、行ける場合にはぜひ実施したいと思っておる次第でございます。  そこで今国際測地学会のことを申しましたが、これは従来測量会議のありますたびに測量部長あるいは所長が出席しておったのでございますが、今年は九月にカナダのトロントでこの総会があることになっておるのでございまして、私たちは去年あたりからもうすでにそれに参加するために予算を出してくれということを実はお願いしておったのでございますが、どういう行き違いでありますか、ことし本省の会計課長が申しますのには、ことしは旅費がないということを申し渡されたのでございます。これは私としては非常に遺憾なことであります。私個人が行くとか行かないとかいう問題でなくて、日本測量界における地位というものは世界的に非常に認められておるのでございまして、日本から行かないとすると、これはどういうわけであろうかという疑問をおそらく持つだろうと思います。これは何としても日本の文化のために惜しいことで、何とか行けるようにいたしたいと努力をしておる次第でございます。  だいぶ話が横道にそれてしまいましたが、次に土地利用高度化をはかるための手段としまして、まず第一段階として、現在の土地利用の形態を確認し、次いでそれが果して最も合目的利用されているかいないかを判断する基準として、土地あるいは地形の実態を把握しなければなりません。この趣旨に沿った事業として当所が実施しておりますのは、建設計画局と共同いたしまして、国庫の二分の一の補助によって、各府県が実施しておる土地利用調査であります。これはすでに数カ年やっておりまして、全部では二百四十三図葉を完了しております。これは県で計画して、そうしてうちの方でこれの指導とそれから監督をやっておるのでございます。これは本来こういうふうな仕事は各国とも測量部そのものが受け持っておる仕事でございまして、私たちもこれについては大蔵省に初め強く私の方で直接やれるようにお願いしたのでございますが、どういうわけか、予算をつけてもらえませんで、現在のような形になって、はなはだ不明瞭な形でこれは進行しておるのでございます。しかし、このできました結果は、非常にすぐれておりまして、たとえば一昨年でしたか、イギリスのスタンプ、これは地理学者としても世界的な男でございますが、来ましたときに、日本のできております土地利用図を見て、非常に賞賛をして、これはイギリスでやっておるものよりも非常にりっぱにできておる、おせじかもしれませんが、非常にほめていただいたわけでございます。  次に土地の持っておる潜在力の調査は、日本では従来実施されていなかったのであります。従ってその方法論も確立しているとは言えないものでありますが、調査所では昭和三十年以来国土調査事業の基本調査として土地分類調査実施を経済企画庁から委託され、また独自の見解に基いて、最も利用度の高い平野地帯の構造を明らかにするため沖積地調査を細々ながら実施しておるのであります。で、この沖積地の調査は、たとえば地震のありましたようなときに、同じような土地にありながら非常に破壊度の高い所がありますし、またそうでない所もあるという工合で、上から見たのではほとんど同じように見えていて、実際の被害の程度が非岩山に違っておるのであります。こういうふうな所は、おそらく下に何らかの違いがあるであろうということを考えまして、これは一応沖積地帯についてもう少し調査しておいた方がよかろうという考えがありましたので、これは企画庁の仕事と関連しまして、これをやっておった次第でございます。  次に湖沼等の内陸水面の調査でございますが、これは干拓等農地造成、それから淡水漁業資源の確保等のために役に立つものでありますし、また山岡部にあります湖沼でありますと、その水の利用ということはこれは大切なことだと思いますので、この調査を始めたのでございますが、これは数年予算を提出しましても、いつも削られてしまって通らない仕事の一つでございます。しかしながら、地図の上には湖水は書いてありますが、その水深等は記載してございませんので、これは修正測量の一部と解しまして、修正測量費予算の一部をさきまして、細々ながらやっております。従来までにやりましたところでは、琵琶湖の一部、それから浜名湖の一部等をやっております。まあしろうと考えでございますが、たとえば平野地帯にあります大きな浜名湖とか琵琶湖とかいうようなものは、単にさきに申しました干拓とかあるいは漁業とかいうものばかりでなく、船を通したり何かするためにもその深さ等は知っていないと困るということをしばしば言われるのでありまして、そのためにもやる必要があると考えているのでございます。それから山間地の水のようなものは、しろうと考えでありますが、水は現在では日本のような貧乏な国では有力なエネルギー資源だと考えられるのでありまして、湖水の深さとそれからその周囲の地形というものを関連さして調査しておきますと、この湖の水を最大限に利用することができるのではないかと考えるのであります。で、現在やっておるかどうか私知りませんが、たとえばサイフォン式か何かで深いところまで湖水の水を外へ導き出すようなことができたならば、たとえば冬の渇水期のようなときにもかなり有意義に利用されるのではないかというようなことも考えている次第でございます。  国土、それから地方の総合的把握に対しましては、当所は昭和二十二年の米軍指令による土地利用図を最初といたしまして、発電所とそれからその配給経路を明らかにするための電力図、それから農村経済の自給度と都市の機能の関係といったようなものを調査した一連の国土実態図を出しております。しかしながら、これはわかる人には非常に評判がいいのでありますが、最近も本省の監査がございましたときに、こういう地図は作るのはよくないのではないかといったような意見を実は聞いたのでございます。しかし、たとえば統計局ではいろいろな統計を出しておりますが、あれを見てすぐわかるような人たちは比較的少いのではないかと思いまして、われわれはああいうふうな統計を図に表わして、一目瞭然だれにでもわかるようなものを一つ作ってみようということで、これは試作的に従来作っておったのでありますが、これは今後も私としては続けて各種のこういうふうな統計的なものを八十万分の一のスケールで統一的にやっていきたいと考えておる次第でございます。しかしこれについては、本省あたりではかなり疑問があるように聞いておるのでございますが、まああっさり申しますと、よくわからないのじゃないかといったような感じがしないでもございません。  次に、ごく局地的に具体的な調査を遂行するためには、今までは私の方で持っております地図はせいぜい五万分、都市で一万分、平野部で二万五千分といったようなものでございますが、こういうふうな具体的な調査を遂行するためには一千分の一あるいは二千五百分の一といったような大縮尺の正確な詳細な地図を作って、また土地の高度の正確な測量がぜひとも必要であることは言を待たないところでございます。しかるに戦前の三角測量水準測量は精度的にはきわめて高いものでありましたが、五万分の一の製作を直接の目的としていましたためにその密度が荒く、とうていそのままではこの種の大縮尺測量にすぐさま使える状態にはなかったのであります。それでヨーロッパ諸国では例えばスイスのごときは一方キロに二点、ドイツでは一方キロに一点の三角点を置いておって、数千分の一の正確な地図を作っておりまして、あらゆる工事と調査の資料として使っていることは、わが国に比較しまして格段の相違があるのでございますが、この立ちおくれを少しでも克服するきっかけとなったのは国土調査法の施行でありまして、この事業の一翼を分担することによりまして、さしあたり二方キロに一点の四等三角を設置することを目標として、昭和二十六年以来この事業に参加し、まだ実験的規模を脱することはできませんが、愛知用水に関連して半田市周辺の五千分の一の測量実施しております。また国土調査事業がさしあたっての目標として、主として一筆地調査を主題としておりますために、用排水工事等にどうしても必要な二等水準測量実施が困難であることは、これははなはだ遺憾に考えているところであります。またその四筆三角測量も農耕地を第一次目標としているために、日本の七〇%をおおい、また水力資源として欠くことのできない森林地帯に現在の調査法では拡張できないと思われますが、これはまことに遺憾であると思います。  地図の縮尺についても同様なことが考えられるのでございまして、現在の五万分の一図が各種の工事や調査の資料として非常に有用であることは、すでに事実が証明しているところでありますが、国土の徹底的な再開発のために、また測量法の重複排除の精神に最も合う方法は、五千分の一程度の大縮尺の地形図を全国的に整備することにあると考えます。しかしこれを実行するとなりますと、現在の五万分の一の地図の百倍に近い地図を作らなければならないことになりまして、その実現はほとんど現在の私の方としましては不可能であると思います。このためさしあたって実現できる目標として昭和二十三年以来、調査所では二万五千分の一の地図地域の拡張と、旧図の修正を企画して、実施に移しているのであります。そうしてその測量地区の選定に当りましては、各省の要求に沿わせて、たとえば自治庁の要望に上る奄美大島その他の西南諸島の測量、あるいはまた根釧原野と申しますか、北海道の根室、釧路の付近の原野でございますが、あそこの開発のための測量等に協力している次第でございます。  以上、大体現在やっておりますことのあらましを申し上げたのでありますが、まず、これからの目標としましては、二万五千の完成を主体として考えたいと思っている次第でございます。このためにまず平野地帯で約千面くらいを作らなければなりません。今ありますのが千二百面程度でありますから、あと千面くらい作ろうと思っておりますが、それが年にかりに二百面やるとしても五カ年かかります。ところが現在の能力では約百面程度であろうと思われます。そうしますと、約十年の歳月を要してしまうことになりまして、これは大へん期間が長くかかり過ぎるのではないかという意見が多いのでございまして、できれば五年くらいでやってしまいたい。しかしこのためには相当人をふやさなければならない。たとえば測図において二百人近い—これは本所で使うばかりでなく、私の方には支所が七カ所ございます。札幌、仙台、富山、名古屋、広島、高松、福岡、こういったような所に支所がございますが、こういう所にさらに人を配置するものを加えますと、二百名くらいの人を増員しなければならない、そうしてこの地図の製作を円滑にやるためには測図の方に五十名くらいの増員が必要である、これは主として四等三角の拡張に要するものでございますが、それから今度は地図の製作に約百名くらいの人間が要るであろう、それから印刷に五十名くらいの人が必要であろう、とにかく四、五百名の人がこの仕事のために要るのではないか、このくらいのものをぜひいただけたらということを実は考えている次第でございます。  まあそのほか、最近は測量の方法が大へん変って参りまして、たとえば今までは地上の長さをはかるのにテープを引いてはかったのでありますが、これを光の速度でもってはかるというようなことが考えられてきております。で、こういう方面の問題、それから今まで計算は人の力によりましてやっておったのでございますが、これは三角の計算と申しますのは、御存じのようにアジャストメント、平均計算に非常な労力を要するのでありまして、非常に大きい三角形の計算になりますと、一年から二年かかるものがある、ちょっとしたものでも半年くらいはかかってしまいます。こういうふうに時間をかけておっては、はなはだ時代の要求にマッチしないということで、できれば電子計算機のような毛のを備えつけて、そうして早く片づけるというようなことも実は考えている次第でございます。そうして今年度はそれの試験といたしまして、それを使う費用を実はお願いしたのでございますが、これもお認めをいただけなかったのでございます。たとえばまた私の方の測量器械でございますが、これは測量部が古かったものですから、その当時買った器械は今でも完全に使ってはおりますが、非常に古くなっているのでございます。しかしながら諸国を回ってみまして、私の方で使っているような古い器械を使って測量をしているところは私の見た限りではございませんでした。大がい測量博物館のようなところに陳列してあるような器械、それを現在われわれは使っているのであります。しかしこれにつきましては、大蔵省でも非常に御理解をしていただきまして、最近逐次、毎年わずかずつでありますが、これを交換するようにして下すっております。  それから測量技術の点につきましては、測図にしましても、あるいは三角測量水準測量等にいたしましても、これは外国にほとんど劣らないばかりか、その技術そのものは非常に進んでおると思っております。ただ私たちが現在最も困っておりますのは、地図をかく、清書する作業でございまして、これは各国とも困っているようでありますが、これはいかにエレクトロニックスが発達しても、機械的に自動的にできるようなことはまずおそらくないのじゃないかと思います。これはどうしても人の手によってかかれなければならぬ、たとえば山の等高線のようなものは一つ一つみな違っておるのでございまして、これを統一してかくなんというようなことはとうていできないことでありまして、従ってこれをいかに早く、しかもきれいにやり上げるかということは、私たちの目下負わされている大きな課題の一つでございます。これにつきまして、最近特にスイスあたりで非常に発達して参りましたのは、合成樹脂の面にフィルムを塗りまして、その上へとった地図を焼きつけて、そうしてその上をのみでもって削っていく方法がありますが、スクライビングと申しておりますが、この方法によりますと、割方初歩の人、大して練習しない人でもきれいな線が出て、そうしてりっぱな地図ができ上るのでございます。で、これを取り入れたらどうかというので、目下これは試験中でございます。おそらく近い将来において私の方の地図の作製は、製図はほとんどこのスクライビングに変っていくのじゃないかと思われるのであります。  それからさっき光波の速度でもって長さをはかるということを一申し上げましたが、日本におきましては非常に面積が狭いものですから、長い基線、たとえば私の方で使っておりますものは四キロから六キロ程度の長さでございますが、これを直線上にそれだけ求めるということは、近ごろでは非常に困難になってきております。たとえば東京の近所の相模野にも、これは日本の一番古い基線がございます。しかしながら今はその中間を小田急が通り、またアメリカの駐留軍の兵舎等、いろいろな工場などができておりまして、もうとうていあれを再びはかることはできないような状態になっておるのでありまして、それでどうしてもテープではかるのでなく、光速度を利用する器械のようなものを使わない以上、たとえば地震のあったときに長さがどう変化してきたかというようなことを調査するのにも、従来のようなやり方ではとうていできないのじゃないかと考えております。現在スエーデンで作っておりますジオデメ一夕ーというものがございますが、これを昨年一台買いまして試験しておるのでございますが、これはまだ試験の時期中でありまして、実際にはかりました四キロメーターの基線と比較してみましたのですが、まだ一サンチ程度の違いが認められる、これがぴったり合うようでないと実際には使えないのじゃないかというので、庁内でもってその誤差のくる原因がどこにあるかということを鋭意研究しております。これらにつきましても、近い将来におそらく三角測量は、極端なことを申しますと、もうセオドライトを使わないで、経緯儀を使わないで、おそらく光りでもってきめてしまうというような日がくるのじゃないかと実はわれわれは夢みておる次第でございます。そうしてこういうような、測量に関するいろいろ新しい事柄は、さっき申しました国際測地学会、ことしトロントにあります学会のようなところで持ち寄りまして、討論して発達をはかっておる次第でございます。  そのほか申し落しましたが、国際測地学会の使命としては、その国でやった仕事を報告して、それから今申しました技術の点と、それから国際的に協力する、たとえば重力とか磁気とかのように国際的にはからなければきまってこないようなものの仕事を、これからいかようにあんばいしてやっていくかというようなことの相談をするのでございますが、そういうところにおいても、行くたびに新しい方法ができておりまして、近ごろでは三角測量のかわりに三辺測量という言葉がすでにでき上っておる次第でございます。  概略以上で測量部以来の仕事の由来、また地理調査所でやって参りましたこと、これからやりたいことのきわめてかいつまんだお話を……。
  14. 田中一

    田中一君 そういうことは質問したときに答えてください。  予算を見ますと、大体測地基準点復旧に必要な経費基準測量に必要な経費、これは経済企画庁から依頼してあるものですか。それとも自発的に建設大臣がこれを命令するものですか。
  15. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 基準点の測量につきましては、経済企画庁に予算を計上いたしまして、それを基準調査所に委任支出いたしております。
  16. 田中一

    田中一君 そうしますと、そのほか、単に建設大臣の命令で行う事業のみならず、他の部局からもいろいろ依頼、委託があると思います。そういうものを一切国土調査に関する経費は企画庁で予算を計上して分けておるのですか。それともあなたの方は国土調査法に基く事業だけを依頼しておるわけですか。
  17. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 経済企画庁から委任支出しておりますのは、国土調査法に基くものだけでありまして、先ほどの基準点、そのほか土地分類調査につきましても委託いたしております。
  18. 田中一

    田中一君 所長に伺いますが、ほかの役所からは測量の依頼はございませんか。
  19. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 御質問にお答えいたします。私の方で委託されております大きな仕事は、自衛隊からの二万五千分の一図がございます。これは今年度約九十枚、北海道の札幌よりもっと北の方、それから帯広付近、その付近にわたりまして約九十枚、それから企画庁の四等三角、北海道開発庁からたぶんまだ確定はしていないようでございますが、五、六枚の二万五千分の一の地図の委託があると思います。これは非常に実は誤解を招く問題なんでございまして、私の方は自分の仕事をやるのに実は手が足らないのでございます。二万五千分の一とか、四等三角というのは私の方独自の計画として持っておるのでございます。しかしながら予算を提出しますときに、私の方からも出すのでございますが、いつも私のものは削られまして、自衛隊、これは企画庁のやつは法律できまっておりまして、これは初めから明らかでございますので、私の方では企画庁の分は載せないのでございますが、たとえば九州の炭鉱地帯のような所はしょっちゅう地盤が非常に大きく変ってきております。そういう所も的確に調査もし、また地図修正するためにはかなりの範囲にわたって四等三角を置かなければならない。しかしながらそういうふうなものを出しましても、今までほとんど予算のついたことはございません。結局私ども帳面ずらから見ますと、私どもの予算、四等に関する限りは企画庁の……。
  20. 田中一

    田中一君 あなたに申し上げたいのですが、質問に答えていただきたいのです。あなたの意見は先ほどるるお述べになったので、また最後に伺ったときにお述べになればいいので、質問だけに答えていただきたい。
  21. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) それならほかには、たとえば自衛隊とそれから企画庁との委託等があります。
  22. 田中一

    田中一君 今定員としては一ぱいなんだ、仕事としては今持っている仕事で従事する者は一ぱいなんだけれども、頼まれたんだというような御発言があったように思いますが、実際の測量に従事している人たちは現在何人いるのですか。
  23. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 私の方の定員は六百名でございまして、そのうち事務関係の人たちが約二百名ぐらいだと思いますが……百五十八名でございます、事務関係の人が百五十八名ばかりおります。あとは主として技術屋でございます。これには印刷の方も入っておりますから、測量に従事しているのは製図部で百五十名程度、それから測地部でやはり百五十名程度であろうと思います。
  24. 田中一

    田中一君 経済企画庁から依頼されている仕事は、当然今の定員の方々が仕事をするようになっているのでしょうが、自衛隊その他から依頼されている仕事はだれがするのですか。
  25. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) それをする人でございますか。つまり自衛隊の仕事は大部分が測図部の仕事でございます。つまり地形測量をやる人たち……。
  26. 田中一

    田中一君 定員法の定員が六百名おる。そのうち本年度に計上されている予算の事業を行うには六百人でも重いくらいだという発言がさっきからあったように思うのです。そうしますと、ほかから依頼される受託事業というものはだれがやっておるのですか。
  27. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 実は私の方の提出しますときの計画では、私の方の人間をフルに使えるような計画を出しております。しかしながらその予算の大部分はもらっておりません。現在ではうちの方の人たちの大部分が自衛隊及び企画庁の仕事をやっているという結果になっております。ですから見たところではうちの方には仕事がなくて、委託事業だけをやっているというふうに見えると思います。
  28. 田中一

    田中一君 定員法の定員が六百名おって、正規の、自分の意思で測量したいという希望の事業には人間が余る、こういうのですか。そうして企画庁並びに自衛隊から頼まれている事業の分でようやく六百名が仕事にありついているのだ、こういうのですか。
  29. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 何と申しますか、つまり自衛隊でやっている仕事も、それから企画庁でやっております仕事も、私の方の長い計画に実は載っている仕事なのでございます。それをうちの方の予算でなく、自衛隊及び企画庁の予算でもってやっているという形に表向きはなっておるわけでございます。
  30. 田中一

    田中一君 ですから、企画庁の分は三十二年度予算に計上してあるのですから、当然これは地理調査所がすべき仕事なんです。所長が自分の趣味ではないでしょうけれども、あれもしたい、これもしたいというのはあなたの御意見であって、地理調査所は国の要請にのっとってどんな仕事でもしなければならぬ、すべきものである、従って六百名の定員というものの仕事の量というのは、現在三十二年度の予算で一ぱいなのかと聞いておるのです。オーバー・ワークなのかと聞いておる。あるいは人が余っておるかと聞いておるのです。
  31. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 私の方の人間、つまり技術者でもってやっておる仕事は、実はほとんど自衛隊とそれから企画庁の仕事で精一ぱいなのでございます。本来のうちの方の計画と申しますか、それは予算がきておらないのでございます。
  32. 田中一

    田中一君 三十二年度にあなたの方でやっておる仕事は、六百名の定員で間に合っておるのかと聞いておるのです。
  33. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 間に合っております。六百名でなく、ほかに準職員とそれから臨時が……。
  34. 田中一

    田中一君 ですから、それをちゃんとおっしゃっていただきたいのです。
  35. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 準職員が百三十名、それか臨時が三百名ほどおります。これでも実際には非常に手不足を感じておる次第でございます。
  36. 田中一

    田中一君 そう早く言ってくれればいいのですよ。  そこで、今後企画庁の方では地籍調査の問題は相当やろうという意向があるようです。予算は二十億程度のものを要求したように聞いておりますけれども、この程度になっておりますけれども、その他に自衛隊、企画庁以外に依頼されておる仕事がありますか。
  37. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) さきに申し上げました根釧原野の仕事が五図葉ばかり、これはまだ確定してはおりませんが、おそらく委託してくると思います。
  38. 田中一

    田中一君 そのほかにも、なお国として当然せなくちゃならぬいう、あなたの技術家としての良心から、所長としての、学者としての良心から、あれもしたい、これもしたいという御希望もあると思いますが、それは最後にお伺いいたしますが、たとえば、あなた御存じでないかもしれないけれども、本年度は相当たくさんの道路整備の予算が計上されておるのです。ことに高速自動車道といって自動車ばかりが通るという道路計画も立っているわけなんです。ことに立川辺を起点として名古屋の小牧に行く直線の自動車専用の道路法律も通っておるのです。そうして建設省に四千万の調査費、それから運輸省では五百万の調査費がこれに充てられております。道路局長に聞きますと、本年度は四千五百万、五百万は交通面の運輸省の調査費であって、建設省に出ております四千万というのは、主として空中写真によるところの調査をしたいと言っているのです。これはあなたの方に依頼はありましたか。
  39. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これはすでに私の方に話してきております。もし本省がほんとうに私の方にやらせるつもりなら、これはやらざるを得ないと思って準備をしております。
  40. 田中一

    田中一君 やらせるりつもりならやらざるを得ない、ではないのです、やる義務があるのです。あなたは何のために月給をもらっておるのです。当然しなければならないのです。私の言っておるのは、ほかにやらせるようならば、なぜこの機関にやらせないのかといってあなたは文句を言っていいと思うのです。従って、そのために必要な経費も、それから人員も要求すべきなんですよ。ところで、そういう四千万の調査というと、今、現在でも千名以上の職員が、むろん補助員まで含めて、職員が仕事が多いのだということならば、こういう仕事を受けるとどういうことになりますか。もっと勤務が苦しくなるのじゃないですか。労働が激しくなるのじゃないですか。
  41. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) それは当然それだけ労働がふえて参りますから、苦しくなります。
  42. 田中一

    田中一君 武藤さん、あなたは所長として、余分の仕事をかかえて職員をそんなに苦しめていいと思いますか。
  43. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これは、今度もしそれを私の方でやることになりますと、人の面も当然考えていただかなければならないと私は考えておるのでございます。
  44. 田中一

    田中一君 その四千万の金はどういう形でくるのです。たとえば補助員、非常勤労務者を雇う場合に、やはりいろいろうるさい制約を受けておるのでしょう、あなたの方の場合。その場合には四千万という金がどういう形であなたの方に交付されて、それによって調査を進めていくのですか。
  45. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) まだ実はそれがきまっておりませんので、実はどういう形でくるかということは、私はっきりしたことは申し上げることはできないのでございますが、私どもの希望としましては、これは、十分人を雇う費用とか、そういうふうなものにも回せるようなものでいただきたいと考えております。
  46. 田中一

    田中一君 職員は全然増さないでもいいのですか、それが来ても。
  47. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 新しく雇う人は、これは手足になって働く程度の人で、その基幹になりますものは、うちの方の優秀な技術者を使わなければできないと思います。それば特に下で働く人たち技術がすぐれていなければいないほど、その指導者は優秀な者が当らないとできないと思います。
  48. 田中一

    田中一君 まあ旧陸軍の陸地測量部のあの職員を全部引き取ったわけじゃないのでしょう。町にも大分散っていると思うのですが、そういう民間の—あなたは優秀な技術、優秀な技術とおっしゃる、なるほど優秀な技術でしょう、先ほどいろいろ国際会議においても日本が相当注目されているようですから。ですが、民間における測量士、こういう人たちを動員する例がございましたか。そうして、こういう人たちは一定のこれは測量法でもってきまっている資格を持っておるのですか。あなたの方の優秀な技術家と同じような優秀な技術を持っておるものとわれわれは見ますが、そういう方々を使って調査をしたことがございますか。
  49. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 従来はまだ地方の人を使ってやったことはございません。
  50. 田中一

    田中一君 経済企画庁では、相当大幅な調査をやろうという意図は持っておるのです。本年度は予算が少いからできぬでしょうけれども、その場合には定員増ということは、今の政府の考え方じゃ考えられないのですよ。結局そうすると、労働強化になるわけですね。これではいかぬからということで、残されているものはあなたの旧部下でしょう、きっと町にあるところの測量士という方々、こういう方々を活用するような意思はないわけですか、今後とも。
  51. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これは従来とても、そういう人たちが手伝ってくれることを非常に希望しておるのでありますが、何しろ私の方で使います場合の給料と、それから町の会社でもらっております給料との間に相当な開きがございます。それで、うちの方で許されるような給料ではなかなか来てくれません。ただ地方の会社へ委託で仕事を出したならば、これは受けるだろうと思います。しかし人だけをつれてくるということは非常に困難だと私は考えております。
  52. 田中一

    田中一君 この予算書にある地図修正側壁に必要な経費というのは、これは防衛庁ですか。
  53. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これはうち本来のものでございまして、二万五千と五万分の一の修正を主として考えております。
  54. 田中一

    田中一君 これは防衛庁から頼まれたものじゃないのですね。
  55. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 修正は防衛庁から頼まれておりません。新しい地図を、二万五千を作ることを頼まれております。
  56. 田中一

    田中一君 そうすると、防衛庁から依頼をされてる仕事というものはこの予算面に現われてないわけですね。
  57. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 私の方の予算面には現われておりません。
  58. 田中一

    田中一君 どのくらいの事業費になる見込みですか。
  59. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 三千二十五万五千円になっております、ことしは。
  60. 田中一

    田中一君 この企画庁から今度依頼してあるのは、測地基準点復旧に必要な経費と、復旧事業基準測量事業と両方ですか。
  61. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 企画庁から委任支出をいたしておりますものは、地理調査所の予算には計上しておりません。一般会計予算でございますので、委任支出で支出官が地理調査所でやるわけであります。金額は四千二百二十四万円でございます。
  62. 田中一

    田中一君 こういうものはどういう形で支出することになっておるんです。
  63. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 経済企画庁の予算を委任支出するわけでございまして、支出官が地理調査所の方の支出官にかわるわけでございます。
  64. 田中一

    田中一君 防衛庁も今と同じような形ですか。
  65. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 全く同じでございます。支出員でございます。
  66. 田中一

    田中一君 ここにあるいま二つの測地基準点復旧事業基準測量事業、これは建設大臣からの命令の事業ですか。
  67. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) さようでございます。
  68. 田中一

    田中一君 もう一ぺん伺いますがね、そうすると今の予算面に現われてる事業費、これも、消化するのに現在の人員でもまだ人が足りない、こういう実態なんですね。
  69. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 建設省の予算面にある仕事をやるためにはこれは人は余っております。
  70. 田中一

    田中一君 どのくらい余っています。
  71. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) つまり自衛隊と企画庁の仕事を合せて一ぱいの程度でございます。
  72. 田中一

    田中一君 愛知用水公団などはどのくらいあるのですか。半田でやっていると言ったでしょう、あなたさっき。
  73. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 五千分の一で約十図葉だと思います。
  74. 田中一

    田中一君 金額でどのくらいですか。
  75. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 試験的にやったので、約百万円から百五十万円程度、はっきりした数字を現在記憶しておりませんが、その程度ではないかと思います。
  76. 田中一

    田中一君 本年度に依頼を受けるであろうと予想されている事業の金額はどのくらいになりますか、今の防衛庁関係と企画庁関係を除いて。
  77. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これから委託を受けるのであろうと考えておるものは、建設省の道路修正が二百五十万円ばかりのものが実はあるのでございますが、それから南極観測が三千二百万円程度でございます。
  78. 田中一

    田中一君 これは全部道路関係ですか。
  79. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 三千二百万円は南極観測でございます。道路の方は二百五十万円程度予定しております。
  80. 田中一

    田中一君 あなたもさっきお聞きになったと思いますが、今度国土調査法の一部を改正して、市町村または土地改良区等その他たくさんありますが、こういう団体が調査をやるということになっておるのですが、そういう際に市町村またはその他の方々がやる場合に、あなた方がそれに対して依頼を受けてやった例はありますか。
  81. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 従来依頼を受けた記憶はございません。
  82. 田中一

    田中一君 そうすると、こういうものが全部測量法に基く測量士または測量士補というのですか、がやっておるのですか。
  83. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) そうであろうと私は考えております。
  84. 田中一

    田中一君 むろんこういう方々は国家試験を経て、その技術を身に修得しているのですから、間違いないとい思いますが、そういう方々とあなた方の測量技術とどのくらい違いがあるのですか、違いはありませんか。
  85. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これは仕事によって違うのでございまして、私の方でやっておりますのは、いわゆる大地側量、地球を対象にしたようなしかけの測量は、普通はやっておりません。小地測量と申しておりますごく狭い地域仕事をやっております。そういう仕事に関する限りはどなたがやってもそう違わないと思います。
  86. 田中一

    田中一君 ちょっと話が前にさかのぼるのですが、道路局では今空中測量をしたいために四千万円の予算をとっておりまして、あなたの方に二百五十万くらいの仕事がくるであろうと想像されているのは、どういう程度の事業なんですか。
  87. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 先ほど申し上げましたのは大へん失礼いたしました。今考えられております新しく道を作るための測量ではなくて、全国の二十万分の一の道路図を作る予算でございます。ですからまだ今考えておりますような仕事に対しては、どの程度予算をこちらによこすのかということは、今協議中なのでございますが、まだきまっておりません。それからこのほかに御ついでですから、申し上げて差しつかえがあるかどうかわかりませんが、河川局からもある程度の仕事をやってほしいというふうなことを申されております。
  88. 田中一

    田中一君 そうすると、同じ建設大臣が所管している道路局とか河川局、地理調査所というものでありながら、地理調査所の実態というものを理解しないで、河川局から頼みたいとか、あるいは道路局から頼みたいとかいうことでもって、派生的な依頼でもって同じ建設省の所管内でそういう形の仕事をしておるのですか、今まで。
  89. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 建設省からは、従来地方建設局等から、たとえば道路とかダムとか、そういうふうな仕事の依頼は受けておりますが、本省からは従来はございませんでした。本省で実際にそういうふうな地図を作ることが従来あまりなかったのかどうか、私はこれは知りませんが、会議のようなときに、本省でやるような測量の大部分は私の方にやらしたらどうかということはしばしば提案しております。   —————————————
  90. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際御報告申し上げることがあります。委員変更の件を御報告申し上げます。本日藤原道子君が辞任され、補欠として木下友敬君が指名されました。   —————————————
  91. 石井桂

    ○石井桂君 非常に初歩な質問なんですが、地積というのは、地球の表面の面積なんですか。それとも水平に正射影された面積なのですか、どっちですか。
  92. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 普通面積と言っている場合には、下へ投影した面積で言っております。たとえば山のような所でありますと、側面の面積でありませんで、山全体の面積を下へ平らに落したときの面積で言っております。
  93. 石井桂

    ○石井桂君 不動産なんかに登記するのも正射影の図面なんですか。
  94. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) さようでございます。
  95. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、今度の地籍調査というのは、やはり実際の表面の面積でなくて、上から水平に投影された地積をはかるわけですか。
  96. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 私たちはそういうふうに実は承知しております。
  97. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、実際に林産物だとか、いろいろなものの高というものは、正射影の面積でなくて、実際に長い広い面積ではえてくるものの産物だろうと思うのですが、そういう地積だけで傾斜に関係のない地積が出ても、国土開発からいっていろいろな資源や何かの調査に正確な数量が出てこないと思うのですが、その辺植田さんのお考えはどうでしょうか。
  98. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私も建設省におりましたときに武藤所長からそのお話を承わりまして、なるほどとわかったのでございます。経済企画庁がやっております地籍調査につきましては、正射影の線でやっております。私しろうとで十分なことはわかりませんが、やはり立木も垂直になりますから、そういう関係で、その方が正しいのじゃないかと考えております。
  99. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、普通は地図にグラビメ一夕ーをあてて、グラビメーターで出てくる答えは、結局五万分の一とか二千分の一で精度は違いますけれども、地図でグラビメーターで計算すれば出てくるわけですか。それを所長さんからちょっとお答え願いたい。
  100. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 正射影の下へ投影しました面積がグラビメ一夕ーで出て参ります。
  101. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を始めて。
  103. 田中一

    田中一君 今地理調査所武藤所長からいろいろ実情を伺ったのですが、これはむろん今本委員会にかかっている国土調査法の一部を改正する法律案に関連してお話を伺っているのですが、現在地理調査所には、大体定員法の定員が六百名、準職員百三十名、補助職員二百名、約千名前後の職員がいるわけです。そうして三十二年度についている予算の面から見ますと、人間が余るのだ、こういうのです。三十二年度予算に現われている事業を行うのには人間が余るのだ、しかし継続的に防衛庁から約三千万円余の事業を依願されている。今度企画庁から、国土調査法改正によって本年度四千二百二十四万円の仕事の依頼がある。これでもってどうやら一ぱいになる。皆、一人の職員も遊ぶことなく仕事ができる。そこで、そのほかに予定されている事業としては、受託事業としては道路局関係から二百五十万円程度、南極探険隊の関係でもって三千二百万円程度のものが本年度くる予定だ。そのほかに国土開発縦貫自動車道、これの調査費が四千万円ついておりますね、本年度の分として。これはせんだって道路局長のお話を聞くと、空中測量をしたいのだ、おおむねこれになる、こうい話でした。現在まだ地理調査所にはその話がないそうです。私は自分で今記憶を思い起してみると、占領軍から借りた空中写真というやつは、全部地理調査所が所管して複写か何かしておったのですね、当時単行法律を作って。その法律は全部もう廃法になりましたけれども、ところでその四千万の支出というものは、空中測量事業地理調査所に本年度はやるつもりなんですか。それとも別なところに頼むつもりなんですか。
  104. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) ただいまお話の道路調査に関する経費の執行につきましての相手方を、どこで空中写真測量をやらすかというお話でございますが、これはわれわれのところではまだ正式に地理調査所でやらすということに相談を決定しておるわけじゃございませんけれども、大体政府全体として大蔵省が—地理調査所が現在の機構として、それからまたさらに三十二年度におきましても、空中写真政府全体の事業といたしまして行う場合には、地理調査所の機能を使用いたしてやった方がいいと、こういう観点もありまして、空中写真の機械の購入費を三十二年度予算にも実は織り込んであるわけでございます。従って今田中委員の御質問の具体的な実行につきましては、道路局の希望等もありましょうから、地理調査折の機械の整備とにらみ合せまして、要するに正確にして、かついいものができるということを念願としておるわけでございますので、そういうふうな方向で検討すべきものじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  105. 田中一

    田中一君 空中写真の機械を今度通路局が買うのですか、道路局が四千万円の費用で買うのですか。建設省が持とうというのですか。あるいはそれを買って地理調査所に持たせようというのですか。
  106. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) 空中写真の機械は地理調査所の予算の中に計上してあるわけでございます。従って地理調の事業費の庁費の中に予算計上されております。
  107. 田中一

    田中一君 たとえば本年度道路局ばかりでなく、河川局からも頼みたいというような意向があると伺っておるのですが、建設大臣の所管の中にこの地理調査所というものが日本で唯一の測量機関としてあるのです。しかしこの存在というものを考えないで、勝手に同じ建設大臣の所管内の各部局から頼むとか頼まないとかいう意思が個々別々に従来とも出ておるものなんですか。あるいは当然この仕事は、本年度事業のうちのこの部分地理調査所にさせるのだという前提のもとに予算の井上が見られておるのか。またそれが実際に従来ともに建設省が予算を計上する最初に、今言ったような考慮をしないで、あとからばらばらにやっておるというようなこともあったと思うのですが、どっちなんです。
  108. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) お話のように地理調査所のいわゆる整備された機能を使いまして、そして必要とする測量並びに必要とする地図の印刷を行うことは、全く田中委員のお話の通り計画的にやっておるわけでございまして、その間の予算の折衝の過程におきましては、それぞれ話が、事業の執行の主管局との間において現実に予算がきまりましたときに、個々の専業計画の執行は建設省全体としては地理調査所に一元的にやってもらうという方法で今日まで運用されております。そういうわけで、だんだんと設備内容も充実して参りましたので、お話のように地理調査所の機能も十分使おう、こういう方向で進んでおります。
  109. 田中一

    田中一君 そうすると、三十二年度の場合、予算書に計上されている事業と、防衛庁依頼のものと、経済企画庁から依頼されているものでもってちょうど仕事が一ぱいになる。その他建設本省の各部局から依頼されるもの、あるいは南極探険隊ですか、これの測量などを入れますと、仕事が過重になるという現状だそうです。それでむろん防衛庁並びに企画庁のことはあなた御存じないと思いますが、防衛庁から依頼されるというものが、この今日の地理調査所の定員ですね、それは受けるという前提のもとに今日の機構というものがあるのか、今まで仕事が多かった、けれどもだんだん減ってきて、現在では防衛庁並びに経済企画庁の仕事をもらわなければ、人間の首を切る状態にあるのだということが現実にあるわけなんですから、そういう点はどういう配慮のもとに地理調査所というものが現在あるのですか。これはむろん機構の問題よりも事業費の問題です。仕事をさせるかさせないかの問題なんです。従ってあなたは会計課長として十分その点は御理解になっていると思うのですが、どういう考え方を持っておられるのです。
  110. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) ただいまの御質問は、なかなか一元的に御説明するのに困難な御質問でございますが、大体この防衛庁の御依頼する測量並びに地図の調製の業務は、その計画に基きまして国内の特定地域から調製が始ってくるわけでございます。スケールその他におきましても、地理調が行いますスケールと変らない縮尺のものが逐次別途計画的に行われるわけでございますが、最近の地理調の使命というものは、そういう計画がなくても、やはり内地並びに北海道全体の地図の調製を計画的に縮尺別の地図を調製していかなければならないわけであります。これはいずれも予算と同時に計画がきまる、こういうことになっておりまして、従って地理調といたしましては、その事業の執行におきましては、与えられた予算の範囲内において事業計画を立てる、これが現実の姿でございます。その間におきまして、個々測量につきましては、地理調査所と防衛庁が、仕事の段取り並びに年度別計画のうち、当年度執行の部分についての意見調整をいたしまして、そうして本来の業務執行と支出委任によりまする事業の執行とのいわゆる調整を行いつつ今日やっておるわけでございます。ただ事業の予算の性質が防衛支出金でございますので、移しかえ等の方法をとることが困難な性質のものでございますので、その人員のいわゆる所管予算の計上ということが技術的に困難という部面が、事業の執行をいたします地理調としては困難な要素を含んでおります。そこで今年の三十二年度予算の折衝の場合におきましては、実は防衛庁の行いまする地図の調製業務計画性を地理調の機構に与えまして、そしてこの本来の業務と防衛庁の支出委任業務との調整を、人的面におきましてもうまく考慮する方法も折衝いたしたのでございますけれども、先ほど前段に申し上げましたような経費の支出の面と、それからその経理をまた決算という形におきまして防衛支出金というもので支出しなければならない、こういう関係がございますので、移しかえ等の経理による支出の方法は困難であるということで、ただいま御指摘にありましたような点が問題として残るわけでございます。これは今後、現実には事業執行面における調整はいたしておりますけれども、できるだけ計画がはっきりいたしますれば、それに見合った形で地理調本来の機構というものについての整備を人員の面からも考えまして、経常的な事務壁というものはどのくらいになるものかということから検討すべき問題だと思っております。
  111. 田中一

    田中一君 そうしますと、今の防衛庁並びに経済企画庁から依頼されている仕事も含んだ人的構成だと、こういうことに理解していいのですね。
  112. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) これはただいま申しましたように、つまり定められた予算の執行に応ずる人員のつまり計画を出しておるわけでございますので、従って地理調の仕事と防衛庁の仕事との間における調整をした結果が予算上はこのような形になって現われておる。従って重要なものはあらかじめ協議をいたしまして、そしてでき上ったものが現在の姿でございますので、ただいまのような御意見の通りだと思っております。
  113. 田中一

    田中一君 むろん今度の国土開発縦貫自動車道の調査も、それから河川局から出ようというものも、従来道路局から出ておるようなものも一切含んだものであると、予算の計上は初めから、事業を起案する当初から、これらの建設省の所管の事業のうち測量に関する問題は一切地理調査所にやらすんだという前提のもとに考慮されているということに理解していいのですか。
  114. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) そういうふうに御理解していただいてけっこうです。
  115. 田中一

    田中一君 武藤さんに伺いますがね、今会計課長の答弁をお聞きになりましたね。そうすると先ほどあなたが多少泣き言的なことをおっしゃったことも相当解明されたと思うのです。あなたの立場と、あなたの方の事業と、ことに構成人員等も考慮されて全般の計画を立てておるのだということです。従って人は決して余ってはおりません、足りないくらいだと思うのです、結論として。だからそういう点はよくお考えになって御発言願わぬと、部分的なものだけを見るあなたの御答弁を見ていると、誤解があるといけませんから、その点は一つ注意して下さい。仕事があり余って非常にあなたの方は苦しい立場に追いやられるということになると思いますから。
  116. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと武藤さんにお伺いしておきますが、あなたがいろいろおっしゃったこと、質疑応答の中からいろいろと聞かされると、非常に人員の構成の面、予算の面、事業の面、あらゆる面において錯綜して、ある場合においてはその処理に困られる場合が多々あるんじゃないかという気がしますがね。何かもう少し筋を立てた方策を打ち出すというようなお考えないですか。
  117. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 従来とも今御質問のありますような点につきましては、非常に困っているのでございまして、できるだけこれをすっきりした姿にしたいと思いまして、これは關盛さんと官房長等にも御相談しまして、自衛隊あるいは企画庁等に交渉してもらったのでございますが、なかなかこちらで思うように参らないのでございます。さっき關盛さんも申されたように、たとえば自衛隊の費用で申しますと、こちらの予算としてつけてくれれば一番仕事は簡単なのでございますが、防衛分担金等の関係でそれをこちらの方に移せないといったような点がありまして、非常に困っておるのであります。それと人の点につきましても、同様にこれをこちらで雇うことができなければ、向うの職員をこちらへある程度回してやらしてくれたらどうかというようなことまで申し上げておるのでありまして、こういうことについては今でも關盛さんたちが交渉を継続していると私は考えております。
  118. 中山福藏

    委員長中山福藏君) どうもこれから国土開発とか高速度の道路とか、いろいろな問題が拡大された状態で現われてきておりますから、今の錯綜した状態では、ことが敏捷に運ばぬというような憂いが生ずるのじゃないかというふうにも思うのですが、これはやはり今年度の予算はすでに計上されておって、あなた方の職域の範囲業務の実態というものも大体把握しておられると思いますけれども、来年度なんかから相当こういう点は事前に内閣当局と交渉されて、何とかりっぱな一つ方策を講じてもらわなければ、非常に私は事務が渋滞するのじゃないかと考えるのですが、そういう点はどうですか。
  119. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) まことに御意見の通りでございまして、今後この点につきましては、十分本省等にも折衝しまして、ことに仕事量の増加することはこれは見え透いておりますことでもございますから、それの支障のないようにいたしたいと考えております。
  120. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それから關盛さんに最後にお尋ねしておきますが、あなたは今田中さんに明確に答えられたあの経費の点、それから人員、事務量に対する予算との関係、あれは責任をもって間違いないということを言えますか、ちょっとお尋ねしておきます。
  121. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) 全体としてその通りでございますが、まだ道路局と地理調の方で話し合いがまとまっておらない縦貫道の調査の問題がございます。これはやはり性質といたしまして、地理調査所が担当すべき業務になろうと思っておりますが、まだはっきり地理調の方と正式の協議がととのっておらない段階でございますが、できるだけそういう方向で仕事をやるように調整をしたい、こういう点を付け加えさしていただきたいと思います。
  122. 田中一

    田中一君 武藤さん何か御希望がさっきあったようですから、御希望の点を速記にとどめておいてもけっこうでありますが、それをここで御発言になるなら、私の質問の形でもって御発言いただいてもけっこうです。
  123. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 大へん御親切な御意見を伺いまして、ありがとうございます。私の方で希望したいのは、今ここで大へん問題にたりました人の点でございますが、今まででも非常にこれはうちの方の人には相当過重な労働をかけております。今後ますます仕事がふえるに従って、こういうようなことは許されないことでございますので、何らかの形で、これは定員増加ということは、先ほど田中委員の申されましたように、現在の段階においては非常に困難だと思いますが、たとえば準職員とか、そういうふうな人たちの形でもけっこうでございますから、これを大幅に増加していただいて、そうして各方面の測量に関する要請を完全に遂行していきたいと、こう考えておりますから、この点を一つ本省側でも十分考えていただくようにお願いしたいと思います。
  124. 田中一

    田中一君 私は今の所長さんの発言、はなはだ不満なんです。少くとも一つの高度の技術を持ってやっている人たちは、おそらく測量士または測量士補という方々もあるでしょうけれども、またその資格をいつでも与えられる人もあると思う。その人たちが国家公務員として一応これだけの大きな仕事をしているにかかわらず、準職員でいいなんという発言ははなはだ——あなたのところに使われておる、従事しておられるところの職員に対してはなはだ聞き捨てならないことなんです。当然定員法によるところの国家公務員として早く直してくれということを要求しなければいかぬのです。建設省ですら一万一千名程度のものを、どうしてもこれだけは定員法の定員にしろということを大蔵省と折衝しているのです。それにかかわらず、現業の所長のあなたがそんな弱気でどうするのですか。
  125. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これは私の発言が非常に間違っておりました。これは私としましても、腹の中ではむろん普通の定員に入れてもらうことが望ましいのはわかり切ったことでございますが、ただ現在なかなか本省等とも今までずいぶん折衝したのでございますが、定員を増加してくれということをなかなか承知してくれませんので、窮余の策としての、ただ仕事の面からの希望だけでございまして、ただその人たちの待遇の面と言いますと、これははなはだ不満足なことであることはこれは間違いございません。私は心からぜひ本当の定員として、普通の技官として増員したいことをこれは希望しております。
  126. 田中一

    田中一君 少くとも委員会の議事録に残るのです、あなたの発言というものは。だからあなたは、高度の技術を持っておることに練達な諸君は、全員定員法を改正して国家公務員としての資格を与えてくれということをここで言わなければならぬのですよ。
  127. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) 私は、今回田中委員から、私はほんとうに腹の中から希望しているようなことについての意見をお伺いしまして、心から非常に感激しております。その点をつけ加えさせていただきます。
  128. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと私からも希望したいのですが、この技術家の人はややもすると因循になって、専門家として尊ぶべき立場におられるのですが、私もこの専門技術家には非常に敬意を表する。ところが建設大臣とかあるいは内閣に対して、自分の腹一ぱい思っておることを、機構改革に対する希望なんかをよう言われぬのじゃないかという感じを私はひしひしとさっきから受けておる。それで、たとえば防衛庁から自衛隊の測量関係のことを頼まれると、そういう委任事項をやっておるのだということがありますがね、これはどういうふうにせねばならぬという希望とか、あなた方の体験に基いた意見とかいうものがなくちゃならぬのですがね。それが少しも私ども感受しないような感があって、しかしたくさんの不平もあれば希望もあなた方の心持じゃわだかまっておるだろうという感じを受けるわけですね。これはこの次にあなたがおいでになるかどうかは知りませんが、もし出られないと因りますから、私は最後に聞いておきたいと思います。あなた方の地理調としての希望というものを一つ最後に言うて下さい、何にもないのですか。
  129. 武藤勝彦

    説明員武藤勝彦君) これはもう希望と申しますか、また夢と申しますか、とにかくそういうものについてはたくさんのものを実は持っております。しかしながら現実の問題として、従来こちらで希望するようなことはかなり実際面で押えられてきております。これは私たちの力が実は足らないのではないかと考えておるのでありますが、こういうふうな点は、これはまた意見になっておしかりを受けるかもしれませんが、全般的なつまり何と言いますか、良識の向上ということが、一般の人たちのそういうことが必要なのじゃないかと思いまして、測量というものは従来下積みになっておるものでありまして、あまりそれの効果ということを認識していない点があるのじゃないかと思うのでございます。たとえば人の面についても予算の面についても、これは言うことをお許し願えれば、たとえば私の考えとしましては、これは国でもってさっきも申しましたように数十億の金を測量のためにおそらく使っておると思います。私どもの方で使っておる予算は、わずかに本省予算といたしましては三億六千万円程度のものでございます。これは非常に私には不可解なのでございまして、測量行政というものはとにかくその大部分は一括して私どもの方でやるのが当然じゃないか、そういう意見を持っておるのでございます。これにできるだけ近づけるような方策を持っていくべきであるということで、まあ各省がどの程度の予算になるかということも調べるのでございますが、これはなかなか調べにくいのでございまして、ただ概算的に考えても数十億に上っておるように思っておりますから、今後はできれば国の測量全部はうちの方で引き受ける、ただこまかいものだけはそれは現場でやらざるを得ないものがありますから、これはよろしいとして、大部分はやるべきであるという考えを持っております。これが将来測量に対しての私の夢でございます。
  130. 田中一

    田中一君 会計課長に言いますが、今このように質疑を行なって参りましたけれども、従来建設大臣技術を尊重するということは当委員会に出席されてるる述べておられるのですから、官房長並びに次官、大臣にもこの旨をお伝え願いたい。そうして一元的な測量というものを、高度の技術を持つものは全部建設省にというように、建設省に集約して仕事をしてもらって、むだを排除して正しさを期するということについて御伝言願いたいと思います。
  131. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十八分散会    —————・————— 四月十九日本委員会に左の案件を付託された。   一、東北開発促進法案予備審査のための付託は三月三十日)