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1957-03-28 第26回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十八日(木曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————   委員の異動 三月二十七日委員大谷瑩潤君辞任につ き、その補欠として酒井利雄君を議長 において指名した。 本日委員谷口弥三郎辞任につき、そ の補欠として斎藤昇君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            井上 清一君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            中野 文門君            武藤 常介君            内村 清次君            大河原一次君            重盛 壽治君            北 勝太郎君            村上 義一君   衆議院議員            二階堂 進君            中島  巖君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長    事務取扱    鬼丸 勝之君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    大蔵省主計局主    計官      松永  勇君   参考人    住宅金融公庫総    裁       鈴木 敬一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土開発縦貫自動車道建設法案(衆  議院提出) ○住宅金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員長及び理事打合会の結果を御報告申し上げます。  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案、本案は大蔵委員会付託のものであるが、本委員会付託がえをするということを希望する、これが第一であります。第二は消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案、次に東北開発促進法案、右両案は建設委員会付託を希望するというのが第二であります。以上理事会の報告を終了いたします。     —————————————
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 委員変更の件を御報告申し上げます。三月二十七日、大谷瑩潤君辞任され、補欠として酒井利雄君が指名されました。三月二十八日、谷口弥三郎君が辞任され、補欠として斎藤昇君が指名されました。     —————————————
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、国土開発縦貫自動車道建設法案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いします。
  5. 田中一

    田中一君 提案者に伺いたいのですが、二十六日に、高速自動車国道法案のうち「附則第五項中『基本計画及び』を削る。「附則第八項を削る。」という修正案政府から提案されました。この点は衆議院においてはむろん御存じと思いますが、この削除によって、基本計画予定路線の策定というものは総理大臣が行うことになっておりまするけれども、実際はどこがこの調査を実施するかについては、提案者はどういう考えを持っていますか。
  6. 中島巖

    衆議院議員中島巖君) ただいまの御質問は、第三条の二項の内閣総理大臣及び第五条の内閣総理大臣、この関係につきまして、内閣提出八十一号、高速自動車国道法案において削除修正が出されました。それをまた政府は撤回した、それについて衆議院としてはこの二つの件についてどういう考えを持っているか、こういう御質問の御趣旨のようにお伺いいたしましたが、衆議院といたしましては、私が御説明するまでもなく、この法案は一度衆議院を可決されまして参議院へ送付されたものであります。参議院は二十四国会におきまして相当修正をされまして、衆議院へまた回付されたものでありまして、従いまして衆議院といたしましては、参議院の御意思を尊重いたしまして、修正なくして衆議院建設委員会においては可決するという方針を申し合せてとっておったのであります。ところが本年度政府におきましては、この国土開発縦貫自動車道建設法案小牧付近それから吹田付近までの間に三十億の予算を計上いたしておったわけであります。この法案によりますと、この法案が通過した後に審議会を設置し、そうして予定路線決定いたしまして、さらに国会において法律決定する、こういうことになっております。従いまして、本国会中に時間の関係上それらの手続ができない、こういうような関係小牧吹田間を第三条によりまして、この法案修正いたしたわけであります。  それから第十三条における委員が二十八人のところを、高速自動車道関係上、交通関係におきまして国家公安委員会委員長を入れることが適当であるというような各方面からの御希望がありましたので、これだけ、その他はこれに関する字句の修正でありまして、従いまして、参議院の議決のそのままという考えでありましたが、本年度予算を執行する上に差しつかえる部分、それからただいま申しました審議委員国家公安委員長を一名追加する、この二つ修正の点にのみとどめたような次第であります。
  7. 田中一

    田中一君 内閣からはきょうだれもお見えになっておりませんので、質問あとに回しますが、大蔵省見えておりますか。
  8. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 松永主計官がおります。
  9. 田中一

    田中一君 本法案の第十条の修正基礎調査の点でありますが、現在中央道調査費として、聞くところによりますと、建設省においては道路調査費の中から四千万円、同じく運輸省におきましても五百万円の調査費を計上しているというふうに聞いております。この本法案のままの姿でその四千五百万円の調査費は使用できるものかどうかという点について、御見解を伺いたいと思います。
  10. 松永勇

    説明員松永勇君) この四千万円の予算は、道路事業調査費として計上してございます。従いまして、建設省が行うこの所掌にかかる道路事業調査費として、四千万円を使うことは差しつかえないと思います。国土開発縦貫自動車道調査ということになりますと、これは建設省所管外考えられますので、これは適当でないのではないか。ただ建設省道路一般行政をつかさどっておりますので、道路一般行政調査を行うという趣旨調査費を使うことならば支障ないのではないか。従ってもし建設省からこういう趣旨実施計画の承認が求められれば、承認される方針でございます。
  11. 田中一

    田中一君 そうしますと、四千万円の予算というものはどの調査費の中に、中央道としての費目になっておるのか、そういう名称はなくて、ただ一般的な道路調査費九千幾らというものの中に入っておるものなのか、そうしてこれは今お話のように、行政をつかさどる役所として、全般的な行政上の調査をする上の路線ということならば使える、路線だから使わしてくれという意思表示があれば可能であるというように御説明なんですか、もう一ぺん伺います。
  12. 松永勇

    説明員松永勇君) ただいま申し上げました通り国土開発縦貫自動車道予定路線調査ということでは趣旨が困るから、道路法上の一般道路調査ということでしたら差しつかえないのではないか、かように考えております。  なお、前段の御質問中央道ということを特に予算にうたっておるかどうかという点でございますが、国会に提案されております予算案には、道路事業調査費となっておりまして、それが特に中央道であるということは明らかにされておりません。
  13. 田中一

    田中一君 もしこの法律案のうちに、この国土開発縦貫自動車道建設法案にして予定されておるところを道路調査をさせようとするならば、第十条をこのようにしたならば使えますか、読んでみますが、これは第一項として加えるわけですが、「政府は、この法律施行後、すみやかに第三条第三項の規定による国土開発縦貫自動車道予定路線決定に関し必要な基礎調査を行わなければならない。」という一項を入れれば、完全に国土開発縦貫自動車道建設法による予定路線調査をすることができるかどうか。
  14. 松永勇

    説明員松永勇君) ちょっと今いただきましたので、まだよく検討をいたしておりませんが、この条項はいずれにしろ十条第一項のいわゆる予定路線に関する法律施行後の問題だと思います。そうしますと、ただいま問題になっております中央道調査の金を使うか使わないかということは、この法律施行前、すなわちこの法律国会に提案するための調査、それは三条第三項から出てくる調査だと、かように考えられますので、このままではちょっとまずいのではないかというふうに思っておりますが、早々の間でございますので、まだ研究不十分でございますが、そういうふうにちょっと考えます。
  15. 田中一

    田中一君 では一般道路調査という形で、建設省がこの法律案成立中央道調査を行う場合に、大蔵省は不本意ながら了解をして認めるという態度なのか、あるいは解釈によっては使えるのだというお考えを持っておるのか、どっちですか。
  16. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほども申し上げましたように、国土開発縦貫自動車道調査として行われることは適当でないという考え方を持っておりますので、まあ実質上、名目を避けて実質上の調査を行わせるために予算を使用をしてもよかろう、こういう考えでございますので、まあこれは不本意ながらと申し上げては失礼でございますが、まあ裏をくぐって実質上の目的を達したという調査になるかと思います。
  17. 田中一

    田中一君 その点については衆議院においても相当提案者の間には御議論があり、かつ四千五百万円のその調査費というものを使いたいという意思はあったと思うのです。従って提案者に伺いますが、今大蔵省当局答弁を聞きますと、この法律案通りならば、成立後といえども中央道調査はできないというのが一応の結論であります、解釈であるように伺いますけれども、それで提案者はよろしいのでございますか。
  18. 中島巖

    衆議院議員中島巖君) この点につきましては、衆議院といたしましてもいろいろと議論のあったところであります。そこでただいま大蔵省説明のありましたように、国土開発縦貫自動車道として調査するということはやはり疑義があるけれども、ただいまこの道路国道として的確であるかどうかというようなことについて調査するには差しつかえはないというような意見を持っておる者が非常に多いのであります。なお、私が申し上げるまでもありませんけれども高速自動車国道法案なるものも、現在衆議院において審議中でありまして、参議院においても予備審査をされておると思いますが、この法案が通った場合におきまして、この法案の中にうたわれておるところの、果して国土開発縦貫自動車道国道として、高速自動車道国道として的確であるやいなやという調査については、ただいま大蔵省の一言われた通り予算執行に何ら差しつかえはないのじゃないかというような意見を持つ者が非常に多かったことを御報告いたしておきます。
  19. 田中一

    田中一君 この法律案を担当する行政庁の長は総理大臣になっております。従って内閣からどなたか見えておりますか。
  20. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  21. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起して。
  22. 田中一

    田中一君 そうすると、中央道調査をするということでなく、この法案指定している予定線調査をするのでなくて、一般道路調査という形で行わしめるというような考えを持っておるのですか。
  23. 中島巖

    衆議院議員中島巖君) まだその点につきまして、衆議院建設委員会としましては意見一致——意見一致と申しますか、をはかったことはありませんけれども審議の過程におきまして、ただいま田中さんより御指摘になりました問題は幾たびか論議されたのでありますが、大多数の意見といたしましては、あとから出てくる高速自動車国道法案に規定されておるところの自動車国道として、この道路が的確であるかいなかという調査をするには、現在の問題になっております四千万円は道路事業調査費として計上されてあるのでありますが、差しつかえなかろうという意見が非常に多かったことを申し上げておきます。
  24. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、この法律案が通過いたしまして成立いたしました場合、実際の調査内閣のどこが担当するように考えておりますか。
  25. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) これは主として建設省所管をすることになると思いますが、事柄によっては運輸省共管の面もあります。大部分建設省専管でやりたいというようなことであります。
  26. 田中一

    田中一君 その点については総理大臣と……、この法律案は、総理大臣もあなたもこれは提案者でありますから、この法律案の内容はよく御存じのはずであります。従ってこの法律案が通った場合にはどうするのだということは、総理大臣とも話し合ってございますか。
  27. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) その点につきましては、十分内閣審議会とも打ち合せいたしておりまして、実施官庁としては建設省がこれに当るという面が多かろうと思います。
  28. 田中一

    田中一君 今年の二月六日に、運輸大臣並びに建設大臣高速自動車国道の取扱いについての協定書と申しますか、そういうものを作成しておるのを拝見しておりますが、これはむろんこの法律案が通った場合、総理大臣が適当なる部署をもってこれに当らしめることになると思いますが、この協定書の中にはこの国土開発縦貫自動車道の問題は触れておりませんが、国土開発縦貫自動車道は当然高速自動車国道指定をするという前提に立っての協議でございますか。
  29. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 御質問の点はさような結論でございまして、この縦貫道法案通りますると、この道路高速自動車国道指定を受ける、こういう前提に立ちまして、その管理、建設その他いろいろな問題についての具体的な問題を協議をするようなわけであります。
  30. 田中一

    田中一君 そういう前提からの協定書でありますと、当然閣議の了承を得て建設大臣審議会の庶務を持ち、なおかつ一切の問題の解決には宮澤、南條大臣がこれに当って、調査はむろんのこと、事業の遂行にも支障がないということが確認されておるわけでございますね。
  31. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) その通りであります。
  32. 田中一

    田中一君 三月四日にこの法律案衆議院に提案されて以来、本日まで約二十日以上というものはその点についての論議が尽されておったわけです。幸い衆議院参議院修正意思を尊重下さいまして、一応年度内に国土開発縦貫自動車道建設法の中に盛り込んでありますところの予定路線のうちの一部を、三十二年度予算でこれを実施しようという考え方が一点修正されただけで、あと事務的な扱いでございますが、参議院に回付されまして、本日この最後の審議並びに討論、採決をしようという気がまえでおりますけれども行政大臣としての建設大臣でなくて、しいていえば行政大臣としての総理大臣の立場から、一応この法案成立した場合に、だれがどこにその事務的なものを扱わせるかということの意思を伺っておきたいのです。それで今だれか、官房長官なり、あるいは副官房長官なりの出席を求めておりますけれども、もし来られない場合、閣僚の一人として 国務大臣としての建設大臣内閣の総意を代表して、ここではっきりと、この法律案が通った場合には、この面はどこ、この面はどこということをここで開陳できますか。
  33. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) その点についてはできると思います。なおこの機会に申し上げておきますが、内閣としては最初この附則の八項を高速自動車法修正案として出してあるわけであります、縦貫道の……。その趣旨はやはり今御質疑のように内閣総理大臣とはなっておりまするけれども、実際の面においては、あの八項の修正によって運輸大臣並びに建設大臣がこの面に、この三条並びに五条の面に当るということを修正することが妥当だという考えでないかと閣議決定しておったのであります。でありますから、この趣旨から申されても、内閣総理大臣の気持は、この法案が通過いたした場合においては、もちろん運輸大臣建設大臣共管の場合においては共管、また専管の場合においては専管させるというふうな趣旨のことは、私国務大臣として責任をもって申し上げることができると思います。従いまして今回の措置としては、先ほどの調査費の四千万円というものは、いろいろ不本意な面もあり、大蔵省考え方としてもいろいろ事情もございますけれども、将来はやはり差しつかえがあったならば、この点は明確にさしていただく時期があるのであるし、またそうしてもらうことが、本法の施行においてもっとも適切な処置であると考えております。
  34. 田中一

    田中一君 今、大臣の御意見でありますが、御承知のように国土開発というものは、やはりここに並んでおります電源開発にいたしましても、国土総合開発にいたしましても、すべて内閣総理府に置いてあるわけなんです。これは提案者意見というものも、おそらく運輸建設両省に置かないで、この電源開発並びに国土総合開発のこの企画面総理府に置くのが妥当であるというような考え方で、この法律案を提案されたものじゃないかと考えているわけであります。そういう点について、二階堂さん並びに中島さんの御意見を伺いたいと思うのです。むろんこれは衆議院提案者として伺うわけでございますが、その点の御意見はどうなっておりますか。
  35. 中島巖

    衆議院議員中島巖君) ただいま建設大臣からお話がありました点も、衆議院側といたしましては相当問題になった点であります。それから第十二条の審議会の点と関連いたしているわけでありますが、提案者考えといたしましては、現在の道路費が三百数十億、本年御承知のようにワトキンス勧告書に基きまして、と申しますか、あれを契機といたしまして、二百億ふえて五百何億というような状態でおるわけであります。しかしこの法律案を実行に移す場合においては、三百億前後の大幅の予算がさらにこれに加わってくる。こういうような結果になるわけでありまして、従いまして、この審議会なんかの構成におきましても、私ども、単に交通の面という道路というのではなくいたしまして、劈頭の目的趣旨にもありますように、国土普遍的開発ということを大きく盛り込んでおりますので、第一点といたしまして、国土普遍的開発につきましては、やはり経済閣僚ども加わったところの審議会でなければいけない。それから第二点といたしましては、ただいま申し上げましたように大幅な予算の要るものでありますから、従って大蔵大臣ども加えたところの閣議決定にひとしいような審議会でなければいけない。この二つの点が内閣総理大臣を会長とするという太い線であります。  それから、ただいま御指摘になりました第五条の基本計画、それから予定線建設の問題に移りますけれども、これがちょうど電源開発促進法と同じような意味合いを持つものでありまして、現在電源開発が年間四、五百億の財政投融資並びに外資などを入れて実行されているのも、やはりこの審議会内閣総理大臣であり、そうして電源開発促進法の第三条によりまして、基本計画もまた内閣総理大臣になっております。けれども実際は御承知のように通産省でやられておるという実態でありまするけれども、これが国家的大事業施行するに当りましては、やはりこうした組織に相当のウェートを持たねばいかぬのじゃないかというようなわれわれの考えであります。  それから事業面の点についていろいろ御指摘があり、また建設大臣からも御答弁がありましたけれども、これらの点につきましては、やはり先ほど私が申し上げたような点を主張する者もありましたのあるいはこれでは仕事がやりづらいではないかということを申される方もありました。けれども、いずれにしても参議院でかように可決された案でありますし、それから衆議院建設運輸委員会としても意見が統一できませんし、一応これで施行したのちにおいて、この方がよければこのままとし、あるいは悪ければそのときにまたあらためて考えたらどうかというような意見が非常に多かったのであります。以上衆議院建設委員会審議の模様を御報告いたしたわけであります。
  36. 田中一

    田中一君 自民党の二階堂さんはどうですか。
  37. 二階堂進

    衆議院議員二階堂進君) 総理大臣とそれから建設運輸大臣との権限の問題につきましては、先ほど大臣も申されましたように、いろいろ問題があることは御承知通りでありまして、私どもはやはりこの権限の点につきましては、将来明確にしておいた方がよいのではないかというような意見を持っております。
  38. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと松永主計官にお尋ねしておくのですが、この四千万円の建設省道路調査費ですね。これは今承わっておりますというと、一般道路調査という権限建設省にあるのだから、かりに国土開発の場合における調査というものはできないという解釈をしても、ただいまも申し上げました通り一般道路調査権限があるのだから、実質的にはこれは調査できるのだというような予算編成の組み方がこれまでありましたか。そういうのが一ぺんあったかどうかを一つ聞かしていただきたい。
  39. 松永勇

    説明員松永勇君) 私も寡聞にしてそういう事実を聞いておりません。それからなお大蔵省の内部でこの問題が論議されたときに、いろいろこれに類似したことを聞いたわけでございますが、古くから主計局におります者も非常にどうもわかりにくい、そういう事実はあまり聞いたこともないというようなことを申しておりました。
  40. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これは相当に大きな問題だと思うのですが、一般的にそういう概括的な権限があるという解釈をとれば、予算編成の文字の使い方に非常な悪例を将来に残すことだと思うのです。だからこの際、責任をもって大蔵省当局として一つはっきりした態度をお示し願わないというと、私どもとしては非常に考えさせられるところが多いのですが、もう一ぺんその点をはっきりさせておいていただきたい。
  41. 松永勇

    説明員松永勇君) 最初申し上げましたように、国土開発縦貫自動車道としての調査と銘打って調査するということは、やはりこれは総理府事務なるのではなかろうか、すなわち三条総理大臣決定すると、でその決定ということは、ただ決定という事実だけではなくて、それを中心としたいろいろな調査とか審査とか、そういうものが一体となって一つ事務というものが行われてゆく、官庁職務権限を行う場合にもそういうあり方が妥当な姿である。そういうふうに考えておりますので、国土開発縦貫自動車道としての調査決定一体となるべき調査、そういうものを建設省が行うということは、これは建設省設置法から見れば適当でないのではないか。そういう調査としては、やはり総理府が行うべきものではないかというふうに考えられるわけでございます。しかし一方建設省は、道路一般の問題としてそれを調査する、あるいは建設するという職務を与えられておりますので、その調査として行う、それがたまたま一致すると、ある時点からそれを総理府に移すというようなことになるかと思いますが、事務あり方としてはそこにぎごちないものが出て来はしないか、こういうように感ずる次第であります。
  42. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 特に私はお願いしておくが、私は委員長としていろいろ議論しておってはほかの方に非常に差しつかえると思って遠慮しますが、その点は思想的の問題の対立というものが法律的に表われてくるのじゃないかという気もしますが、一つ十分御検討をしておいていただきたいのですが、ただ便宜的に一応法律解釈をそういうふうに持っていかなければ、この場合おさまらないということになれば、これはすべてが便宜的に扱われるというと、将来に悪影響を残すものであるから、その点から私はあなたに御質問を申し上げておるのですが、一つ十分御検討していただきたい。これだけお願いしておきます。  ちょっと速記をとめて下さい。    午前十一時三十八分速記中止      —————・—————    午後零時二十七分速記開始
  43. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起して。
  44. 田中一

    田中一君 この法律案成立いたしましても、まだ建設省並びに運輸省に計上されております本年度予算の中の道路調査費の金が、スムーズな使用が不可能であるというような見解を大蔵省は示しております。これはまことに残念な話であって、この法律案は二十二国会で提案以来熱心に促進して参ったところのわれわれといたしまして、やはり合理的な使用が可能なことが望ましいのであります。従ってこの法案の実施ということになりますると、われわれの責任でございますから、適当な方法でこの計画実施のための予定路線の策定というものに対して十分に資金が使えるように、近い将来にお取り計らい願いたいと思うのです。そういう点の提案者として意思があるかどうかの問題をまず伺いたいと思うのです。
  45. 中島巖

    衆議院議員中島巖君) ただいまお尋ねの点は、先ほど参議院建設委員会においても論議の中心点であるように拝察いたしたのでありますが、また衆議院建設委員会におきましても、その点が論議の中心でありました。それから本年度の予算に計上したる消化につきましては、衆議院といたしましても、この事業の促進のためにぜひこれを消化するようにみな希望いたしておるわけであります。それで御質問の点の本年度予算の消化という点と、それから第三条第三項の「内閣総理大臣」並びに第五条の「内閣総理大臣」に対して、建設大臣並びに運輸大臣に訂正したらどうかというような意見につきましても、衆議院といたしましても、非常に論議の中心点であったのであります。従いまして、提案者といたしましては、今後運営の上におきまして円滑を欠くような面が出て参りますれば、この点は大いに研究して考えねばならぬ点であるということを申し上げておくわけでございます。
  46. 田中一

    田中一君 私は提案者に申し上げたいと思うのは、希望するところは、これは議員提案でありますから、内閣はこの計画を進める上におきましてですね、円滑を欠くような運営ならば、その点は提案者において修正されることが一番望ましいと思うのです。これが政府意思だけでこの修正がなされぬように、四百三十名の提案者を代表する中島さんと二階堂さんにお願いしておきます。  同時に、内閣の一員である国務大臣としての南條さんに伺っておきたいのは、われわれの意思が今申し上げたような点でございまして、なお提案者もそのような考え方を持っておられるというのならばです、提案者としての南條さん、建設大臣としての南條さん、国務大臣としての南條さんが、やはり妥当なる話し合いを進められて、そのような点の改正へお進み願いたいということをお願い申し上げておきます。その点についての御意見を伺って、私のもう質疑はやめますから……。
  47. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまのお尋ねにつきましては、建設省といたしまして、また私個人のこの中央縦貫道路の署名者の一人といたしましても、十分この国会の総意であります中央縦貫道路ができるだけ早く、そうしてりっぱに完成することが望ましいのでありまして、それがためにいろいろ政府としての権限、あるいは処置等が摩擦のないように円滑にいく方法を、また法律上、法制上処置されることが望ましいわけであります。この点についていろいろ今日まで皆さんの御苦心があったことは多とするのでありますが、どうか今回のこの四千万円の調査費の使途の方法につきましても、私どもは十分な完璧なものとは考えませんけれども、先ほど申しました趣旨によってできるだけ善処して、そうして国会意思もこれを尊重し、また将来これに対する完璧を期するための法制上の処置につきましては、今後の国会審議の場合に十分御考慮を願うことを私は皆さんにお願い申しまして、この法案のすみやかなる通過をお願い申し上げる次第でございます。
  48. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは、質疑を終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  50. 村上義一

    ○村上義一君 この法案は、さきに参議院において修正されまして、衆議院に回付しましたので、もともとこの法案は非常に高遇な理想を掲げられておるものであります。高邁な理想であるだけに、実行についてわれわれ非常に考えさせられたのであります。  今回衆議院において第三条修正せられ、少くとも小牧吹田間の路線決定し、そしてこの地については実際実地に何してきたと言い得るのでありまして、しかも政府におかれましては、過日来の審議の過程にかんがみまして、政府の方でも、この建設調査費の四千万円を充当することについて、さらに建設費の三十億を充当することについても、先に二月六日でありましたか、運輸大臣建設大臣協定書閣議決定に際しましても、これが使用及び実行について了解が成立しておる趣きでありまするが、第三条の第三項につきまして、今後永久にこの三項の明文にかんがみますると、円滑なる運営がどうかと危惧の念を持たざるを得ないのであります。この点については困難な事態が発生するということを予見せられるような場合には、あらかじめそれぞれ適切な手段を講じられることと考えられまするが、まあ諸般の事情にかんがみまして、本案は賛成して、このまま通過せしめたいと私考えるのであります。本案に賛成いたします。
  51. 石井桂

    ○石井桂君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案になっております国土開発縦貫自動車道建設法案に賛成の意を表します。  この法案は、国土開発という大きな目的を持つ法案でありまして、画期的なものであり、今日の道路行政に寄与するところが大であると確信いたします。しかし、今日までの論議の経過にかんがみまして、一日も早く成立せしめたいために、多少いまだ法の目的とするところを達成するためには足りないところがあるように考えます。従いまして近い将来、これらの不備な点を十分一つ修正することを期待いたしまして、本案に賛成をいたします。
  52. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 社会党を代表いたしまして、私も本案に賛成をいたします。けれども国土開発の面から、もっと大きく言うと、日本全体の今日の実態から考えます場合に、産業振興の根幹ともなるべきこうした道路建設法が、すでにおそきに失しておる。そこで私どもは、この日本全体の産業振興の根幹ともなるべきこの法案には賛成はしますが、内容をつぶさに検討させていただきますれば、多くの矛盾と、不可能な面等もいろいろ織り込まれておるように考えます。しかし大局的な意味からは賛成すると同時に、おそきに失したという意味から、急速にこれの促進をはかってもらいたいという点と、さらには、今日きめられた内容をもって、国土開発の縦貫自動車道路が完全に私は達成せられるとは考えられないので、これの進行状態等とにらみ合せまして、その実態に即応したような法律を、さらに研究し作り上げていく必要があるのではなかろうか、こういうようなことを十分ごしんしゃく願って、これが実施のために促進せられんことを要望いたしまして、本案に賛成いたします。
  53. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  それでは本案の採決を行います。国土開発縦貫自動車道建設法案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  55. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     石井  桂  岩沢 忠恭     西田 信一  田中  一     稲浦 鹿藏  斎藤  昇       中野 文門  内村 清次     大河原一次  重盛 壽治     北 勝太郎  村上 義一
  57. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それではこれで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後二時二十三分開会
  58. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 休憩前に引き続き、これより委員会を再開いたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  59. 田中一

    田中一君 きょうは公庫の総裁がお見えになっているので、率直に伺いたいのでありますが、もしも御都合が悪ければ、速記をとめてなさっても差しつかえございませんが、私は差しつかえございません。その場合は委員長の許可を得て下さい。  今年になって突如として、事業の運営上どうしても副総裁を置かなければならぬというようなことになったらしく、提案された法案の中には副総裁を一名置くということになっております。これはたくさんな事業を抱えておるからやむを得ず総裁に代行するものを置くのだという考え方であるならば、一応うなずけますけれども、そのために理事を一名減員する、理事の五名を四名にするということになりますと、実態は少しも変っておらない。たれか副総裁というものを、理事五名のうちの一名を副総裁に選任するということになりますが、これはここに提案されている理由では理由にならぬと思うのです。で、ことに私が承知しております範囲におきましても、もはや二、三年前から副総裁という看板は庁内に掲げられまして、そうしてわれわれも何々副総裁というような言葉で呼んでおったのを承知しております。従ってなぜそうなったか。今まである特定の人が副総裁という名前をまあ僣称しておったという事実、それからなぜそうしなきゃならなかったかという経緯を、政府側からの答弁と同時に総裁から率直にお述べ願いたいと思うのです。まず政府は監督上そうしたものがあってもいいんだと、黙認したのだいうことになれば、その点から先に御説明願いたいと思うのです。
  60. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいまお尋ねの、すでに副総裁と呼称する、僣称とおっしゃいましたが、僣称しているのじゃないかという点でございますが、たしかに法律上は現在副総裁はないわけでございます。ところが僣称という言葉は少し語弊があると思いまするが、昭和二十七年六月公庫の組織規定、まあこれはいわゆる内部規定でございますが、その改正におきまして、副総裁を置くということに定められ、自来内部規定に基いて副総裁が置かれているという状況でありまして、この内部規定の改正に当りましては、建設省といたしましても了承をいたしております。なぜそういう内部規定で副総裁を置くことになったかという事情につきましては、私も詳細には承知いたしておりませんけれども、まあ公庫が発足いたしまして、だんだん機構も複雑になり、業務もふえてきたので、単に理事のうちの一名を総裁がきめて代行させるというようなことでは不十分である。従いまして理事のうち一人を正規に、正規と申しますか、総裁の代理機関として制度的にはっきりした方がいいのじゃないか、こういうような事情で内部規定による副総裁の制度が設けられたというふうに承知いたしております。
  61. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 先ほどのお尋ねに対しまして、建設省当局から今、鬼丸局長代理から申し述べられましたので尽きているかとも存じまするが、私の名前もおさしでありましたようですし、一言申し添えたいと思います。私の方は御承知通り昭和二十五年に、全国の業務を役職人総計百五十人で掌理いたしますことで出発されたのでありまするが、自来今日におきましては、債券の全額、つまり管理いたしておりまする貸付残額が一千二、三百億に達しておりまするし、また人件費はできるだけしぼるようにみずからも努めておりまするし、予算措置の上からもさようにされましてきたんでありまするが、現在においては役職員の総計まさに八百名に達せんとしておるような状況でありまして、人数の上からも、また業務分量の上におきましても、相当な増加でございます。ことにただいまこの改正法律案中で、いわゆる中高層耐火建築物の融資ということが議会の御協賛を得て成立いたしますると、そういう新しい業務を始めなければならぬことに際会いたしておりまして、これは在来の諸貸付に一部類似しておる点ももちろん多いのでございまするけれども、また相当内容の性質を異にするものも含まれておるような次第でございまして、これらの貸付につきましては、相当私初めすべての役職員が緊張して、その職務を完遂することに特別努力を要するかと考えておるような次第でありまして、ただいま省当局からお答え申し上げたような大体の成り行きでございますが、この際さらに法律、すなわち国会の御協賛を得て、画然たる副総裁というものを置いていただきまして、一そうその効果を著しく上げたい、かように考えた次第でありまして、副総裁を法律上はっきり置いていただきたいという希望は前から持っておりまして、法律改正も取り上げてもらいたいということを私の意思としまして、常々主務省にお願いしたことも数回に及んでおるのでありますが、それぞれいろいろな経緯がありまして、今日まで国会にその改正案が提案されませんで過ぎ去りましたことは、非常に遺憾にたえませんが、今回ようやくそれが提案いたされましたので、どうか皆様方の御賛同を得まして、実現し得まするように、ひたすらお願いを申し上げる以外にない次第でございます。どうぞよろしく御了察をいただきとうございます。
  62. 田中一

    田中一君 もう副総裁になる候補者がはっきりときまっておると私は思うのですが、今まで二十七年の内部規定できめた、その副総裁ときめた方が、今度おやめになって別の人が来るのですか、それともその人がそのままはっきりした身分で副総裁になるのですか。どういう考え方ですか。
  63. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 何分人事にわたります事柄で、具体的に正確にはこの場合お答えいたしかねます。ただ一言申し上げたいのは、今回法律で副総裁という一職務を明らかにお認め下さることとなりますれば、いよいよもってその地位は、私ども政府機関に関する限り、私の、ことに任命権を持っております範囲におきましては、最高の人事と申しますか、最大の人事と申しまするか、私としても慎重に考えまして、実現するべく熟慮いたしたいと考えております。ことには、これも現行法にございます通りでありまするが、理事につきましては、任命権は総裁にございまするけれども、「主務大臣の認可を受けて」、こういうことになっております。今回の改正法律案で、副総裁の任命につきましても同様な字句に相なっております。私の任命権とは申しましても、これは完全な任命権でございませんので、主務大臣、すなわちこの場合私のところで申しますと、大蔵、建設大臣に承認を得なければならぬということになっておりますんで、正式に承認を得まする以前の事実行為としましては、あらかじめよく御相談しまして、御相談の実際上一致したところで公式に承認を得る、こういう手続に出まする次第でございます。ただいまこの場合、どうきまっておるかおらぬかというお尋ねでございまして、きわめて私としてはお答えしにくいのでありまするけれども、その辺をもってお答えにかえさしていただきたいと思います。
  64. 田中一

    田中一君 二十七年から今年までにもはや四年たっておるわけであります。今まで内部で副総裁と称します方が、任期はいつかはっきり知りませんけれども、少くともこうして国会におきまして、私がこういうような質問をするのは、気持よくないのです。まことに残念な話でありまして、ことに今まで副総裁という名前を内部で使っておった方にしてみれば、これはまことに考えてみますとお気の毒な次第であって、これは一に監督官庁であるところの建設省が、これに対する道義的な責任は感じなければならぬと思うのです。希望するところは、その今まで副総裁、こういう形の地位におったという人は、おそらく副総裁としての適任者であるかと思うのです。従って人事の問題は、むろん法律にありますように主務大臣等に相談の上きめるということになっておりますけれども、できるなら、任期がまだ続くのであるならば、その方がですね、まあその人を副総裁という職につかすのが私は正しいのじゃないかという考えを持っておりまするので、できるならばそのような配慮をしていただきたいという希望を政府に申し上げておきたいと思います。それに対して鬼丸君、どういうお考えを持っておるか、伺いたいと思います。
  65. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 大臣の気持をそんたくした形のような意味で申し上げますが、考え方といたしましては、ただいま住宅金融公庫総裁が申し上げましたように、今回この新しい副総裁制度が、皆様の御審議の結果生れましたならば、最適任者をあらかじめ大臣と総裁の間において十分相談なさいまして、そうして認可する方針でございます。
  66. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと私関連してお尋ねしておきます。その副総裁というのを法律上規定してかかるというのは、総裁事故あるときは総裁に代行する職務を行うということになるのですか。ちょっと聞いておきますがね、それで今まで副総裁という名義を用いられて同じ代行ということをやられたのなら、今度法律で認めるのと認めないのと副総裁というのは二様に考えられるのですね。この意味が何と申しますか、その代行せられた行為の法律上の価値というものは違ってくるように考えますが、その点はどうなるのですか。
  67. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 私からお答えしてよろしいかどうかと思いまするが、現在総裁についての規定が第十条の一項にございまして、すぐ二項に、理事についての職務権限が規定してございます。理事は、総裁の定むるところによって公庫を代表し、それから総裁を補佐して公庫業務を掌理する、でしたか、ということが職務権限になっておりますので、理事でも公庫を代表し、あるいは総裁を補佐して業務を掌理するということはできない限りではないんでありまして、まあいわば現在内部規定だけで一人の理事を指名しまして、いわゆる副総裁にしておったというのもまあその条文から出ておる次第であります。ただこれが内部規定でその十条の現在の第二項に足場を置いて、内部規定だけでやっておるという場合と、法律上副総裁そのものをはっきり選任及び職務権限をお定めになりまして、それによって副総裁が任用されるという場合とは、やはり外部に対する何といいますか、法律上どちらかというと、それは一そう法律上の力がはっきり明確に加わる、公庫を副総裁として代表し、あるいはまた総裁を補佐して業務を掌理するというようなことがはっきりして重みが加わる。それからまた外に対しまして、副総裁の法律上の行為ということはめったにはないと思います。正式の法律行為は、ただまあ総裁が欠員であるとか事故があった場合に総裁の名においてすべきものを副総裁がかわって法律行為を営む、契約をするというようなことはもちろん大いにあり得るかと思います。現在までのは内部規定の副総裁でありまするから、法律行為、すなわちこの公正契約でありますとか、他の人格者と契約を結ぶとか、そういうことには副総裁名で処理いたしたことがございません。たまたま私が総裁の任を受けまして、現実職務を離れたことがなかったものですから、そういう場面も実は出てこなかったかと思いまするけれども、現実ありませんかったけれども、内部規定だけの、かりに副総裁ということでは、そういうことは実践上遠慮すべきものだ、少くも法律上はあるいは無効だという議論は成り立つかもしれません。少くも実践上は遠慮すべきものだというふうに考えておりますけれども、これを法律ではっきり明定されますならば、そういう場合に当りましても、堂々と実は総裁の代行ということが有効に成り立ち得るかと思います。  それからもう一つは、内部の役職員に対する取りまとめというようなことが、やはり内部規定だけでよりも、法律に基く副総裁としての職務権限ということが明定されますならば、たとえば今まで、またこの改正後も理事及び副総裁加えて五名出すことは変らないのでありまするが、この五名がそれぞれ前歴なりそれからいろんな関係が複雑と申しまするか、なっておりまして、その意味でも総裁がこれを統轄掌理するということは当然でありまするけれども、その下を受けて副総裁が一応の統合的掌理をするということがきわめて内部に対しても明瞭に、しかもたやすく行えるかと、かように考えた次第でございます。こういうことは、前から実は実現を私としてせいぜい希望しておりましたが、今日ようやく初めてこういう提案になりまして、非常に私としても多年の本懐を満たしていただけると、こういうことで非常に喜んでおるような次第でございます。一応ごあいさつ申し上げます。
  68. 中山福藏

    委員長中山福藏君) もう一点尋ねておきますが、結局第十条に総裁の職務権限と、それから理事職務権限というものがはっきりしておりますね、そうすると、副総裁という名義を五年間用いられたということは——このたび修正せられんとする職務というものを、自称副総裁と申しますか、合議によるところの副総裁と申しますが、その副総裁という名義を用いられてやられたということは、これは法律に基かずして結局修正案と同じ行為をやられておったのですか、どうですかそこは。結局明確化するというのですから、それをやっておられたのではないですか。
  69. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 大体ただいま委員長からお尋ねのようなことであると申し上げざるを得ないと思います。ただ裁総が不在のとき、もしくは故障のある場合において、理事がこの総裁の職務権限を代理する、代行するということが現在の規定——将来も続くわけでありますが、その規定によりまして、理事中のだれかをあらかじめ——もし総裁が故障もしくは不在の場合においては、これこれの理事が総裁の代理をするんだということをあらかじめきめておくことが実情に合いまするし、とっさに総裁が病気になったとか、欠員になったということが生じましても、いつ何どきでも当然の代理者があらかじめあるということが便利であり、また現在のお説の十条の二項においてそういうことを予想して規定がございますので、それをある理事者中の特定人を指名しておくということが便利であり、またその法文に基いてするならば、これは内部規定といえども、十条の二項にも総裁の定むるところによりということが、結局そういうものも一つに包含されておるだろうというような当時研究をいたしたわけであります。当時法制局の方にも念のために相談いたしましたが、それはまあ決して違法ではあるまい、よかろうと……。
  70. 中山福藏

    委員長中山福藏君) いやもうわかりました。そこで一点だけだめを押しておきますが、規定のない理事が、副総裁としての今度修正せられんとする、期待される職域の範囲を、いわゆる理事としての職域の範間を逸脱して、副総裁という期待される人がしなければならぬ行為をやっておりたときには、五年間の行為というものは法律上有効か無効か、これだけだめを押してお尋ねしておきます。
  71. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 原則として公庫法十条第二項に、総裁の定むるところにより、総裁の故障……もしくは代表するとか、代理するとかいうこともございますから、法律上は有効と思っております。しかし先刻申し上げたように、いわゆる副総裁をしてその名において法律行為を実行さしたということは現実、過去にございませんので、法律行為としてどうかという点の御疑念に当るようなことは、過去においてないということに御承知おき願いたいと思います。
  72. 田中一

    田中一君 これは鬼丸君に伺いますが、どうも住宅公団法並びに道路公団法のときにも、この役員の問題については数々論議を尽しているのです。どうも政府はこれに対して一貫した意思を持っておらないということがはっきりしたわけなんです。たとえば三つの国家機関に準ずる公庫、公団を見ましても、住宅金融公庫法では総裁一名、理事五名以内、監事二名以内になっております。それで先般でき上った道路公団法でも、これは役員として総裁一名、副総裁一名、理事六名以内及び監事二名以内、ところが住宅公団法ではこれはもうずいぶんこの問題は論議したのですが、政府はその非を悟らず強弁をして、このまま押し通しているのです。公団法はこうなっております。総裁一名、副総裁一名、理事五名以上及び監事三名以上、こういう規定があるわけです。そこで役員に対する思想統一がないじゃないかという点を再三再四繰り返して当委員会政府に追及しておるのですが、それを改めない。だからこういう現行法ができておるのです。従って一番古くからできたところの住宅金融公庫としては、ほかと見合うならば、副総裁を置くことに対して私は反対するものではない。ないが、事業相当ふえて、一千億以上の融資があり、またその事務相当にあるというならば、なぜ理事を一名減員して四名にするかという点であります。もう一ぺん数字を申し上げると、住宅金融公庫では総裁一名、理事五名以内、監事二名以内、住宅公団法では役員として総裁一名、副総裁一名、理事五名以上、監事三名以上、道路公団法では総裁一名、副総裁一名、理事六名以内及び監事二名以内、一体何の根拠から以内とか以上とか、それからただいま提案されておるところの住宅金融公庫法の一部改正のように、あえて一名の理事を減員するかという点について、おそらくわれわれをごまかすような答弁はできるでしょうけれども、明確な答弁はできないであろうと思うのです。なるほど道路公団は請負人にまかす、住宅公団も請負人にまかすのですが、おのずから自分で建設をやるわけです。住宅金融公庫は一種の金融機関であって、金は二百億であろうと、一千億であろうと、一千五百億であろうと、これは事務的な扱いは職員の問題であって、大差ないと思うのです。大差ないと思うのですが、今総裁に言わせれば、相当伸びておりますといって、かなり仕事は忙しいでしょう。そうすると減員する理由は見当らないのです。副総裁を一名増員するということは考えられても、理事を一名減ずるということは考えられない。ことに以上とか以内とかいうような、こうした思想統一のないような法文の並べ方というものは、私は納得いかないのです。こういう点についてはどういう考えを持っておりますか。説明する根拠がございますか。
  73. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) お尋ねの中の第一点の公庫、住宅公団、道路公団、この三つの機関の役員のきめ方が、人数その他非常に不統一であるという点は、まさにその通りでございます。法律に規定してあるところはそろっていないということは事実でございまするが、それぞれの根拠法律が制定された時期は御承知のように違っておりまして、その当時、制定当時政府部内でもいろいろな議論があったのでございまするが、公庫は今の五名以内という規定の仕方で、私その当時の詳細な議論承知いたしておりません。その後、御承知のように住宅公団が三十年に法律として制定されましたが、住宅公団法の場合は、現業的な仕事を相当やっていく、将来また現業業務が伸びるであろうというようなことから、実情に合せて役員をふやし得るように制度としてはきめておいた方が便利ではないかというような議論をいたしまして、結局そのような考え方で、以上という形で政府の案もきまって、国会の御審議も経たわけであります。道路公団の場合におきましては、政府部内の考え方も、住宅公団の場合と少し変ってきまして、どうも以上というのは少しおかしいじゃないか、率直にこれは申しますが、やはり以内とすべきである、もう役員もなるべく最小限度の人員でやっていくように考えるべきであるというようなことから、やはり以内というような点については、これまたいろいろ国会でも御審議願った状況で御承知通りでございますが、とにかく以内という形に変って、公庫と同じような表現形式に相なったのでございます。まあ私どもといたしまして、ここで簡単に以内に統一すべきであるというふうには申し上げかねるのでございまするが、いきさつはそういういきさつであるということを申し上げておく次第であります。  それからもう一点の、今回の副総裁の設置に伴い理事一名を減ずるというのは、提案の趣旨説明からいってもどうかというような御意見のように拝聴いたしましたが、まあ率直に申し上げますると、それは理事一名減ぜられないことの方が望ましいのでございます。しかしながら、いろいろ政府部内におきましても、この点も慎重に討議されました結果、一名を減ずる、まあ金融機関的な性格を持つ公庫としては、少数精鋭の役員構成をもって業務の執行に万全を期するというふうに考えるという趣旨のもとに、一名減ということに相なったと考えておるのでございます。
  74. 田中一

    田中一君 どうもそれはもう鬼丸君にそういう強い追及をしてもしようがないと思うのですが、全くこうした国家機関の傍系的な機関を作るのに、これはあり得ないのです。われわれは住宅公団法のときにも、反対理由の一つとして、以上という点をあげた記憶があるのです。なぜかというと、以上というと無限大に広がるのです。以内というと、はっきりした制約がある。御趣旨の非常に高能率的な運営をやって、あまり国民に負担をかけないという衷情はわかるのですが、以上というきめ方などは、これはお話にならないのです。私はいつも公団そのもの、公庫を作るときに、特定なる役員の顔を想像しながら、顔を頭に描きながら、ああどうも一人がどうした、あれはどうしてもいなければならぬから一名ふやそうじゃないか 普通二名だが三名にしてくれないかと こういうようなことが今の形になったのじゃないかと思うのです。そこで私は今鬼丸さんの御説明じゃ納得しません、これは絶対納得しません。従って住宅金融公庫だけが四名にしても仕事ができるかどうかの問題、これは鈴木総裁はおそらく政府と相談して あなたがもし御自分の事業をすっかり見ておって、今言ったように一千億以上もの貸付になって事業が伸びておるということなら どうしても副総裁一名を増員してほしいと、こういうような要望があってしかるべきと思うのです。仕事が伸びておるなら伸びておるように、おそらく少し伸びておるはずでございます。従って総裁としては四名でいいのか また他の二つの公団が相当あなたの方と比べてみますと規定が違っておるのですね。副総裁というのがどうしても必要ならば、副総裁をもう一名増員するのがしかるべきなんです。この点について率直に、総裁何もあなたは国民のために——任命権は内閣が持っておるのでしょうけれども 国民のために事業を遂行しておるのですから、率直にあなたの現在やっておる業態から見てのお考えを披瀝していただきたいと思うのです。
  75. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) その事柄については、すでに主務省を代表されて鬼丸局長代理からも申し述べられた中に、理事は減じない方がどちらかといえば望ましいと、こういう一言がありましたのですが、公庫総裁の私の立場から申しまして、鬼丸局長代理の申されたことは至極同感であります。ただし、まあできるだけ謙抑な態度で、まことにわれわれの職務は庶民階層のためにという考え方で今までのところ進んで参ったのでありまして、できるだけ内部の者が一致団結をいたしまして、政府の意図する範囲内において極力黽勉励精でありたいと、かように考える意味合いから申しますと、ただいまのところ政府提案の理事四名という結果で満足するのほかはないかと存じます。ただし先ほど申し上げたように、今まででもほぼ同じようなものが少数ありましたけれども、今度の中高層耐火建築の貸付方法はこれは実践してみんと何ともはっきり申し上げにくい点がございます。こうあるだろう、あああるだろうというただいまのところ想像しかできぬ次第でございますので、この政府提案のままで副総裁は設けていただくけれども理事はかわりに一名減という原案のままでお認め願うとして、実現した上で今度の新しい貸付方針、金額においても戸数においても、今度は在来の、三十一年度までの実況から申しますと、著しく私どもからいえば任務と負担がふえておる、かように考えております。その三十二年度分を極力遂行するべく努力いたしてみまして、どうしても足らぬという場合には、その実践の体験上から、政府主務省等にわれわれの意図するところを、実践の結果をひっさげて希望を申し入れるような機会もあるかも存じません。しばらく実際に行なってみたい、かように私としては覚悟を、決心をしておる次第でございます。御了承を願っておきます。
  76. 田中一

    田中一君 今総裁の言葉の中に、答弁の中に政府が任命するとなっておりますけれども、そのもとはですよ、国会なんです、衆参両院なんです。政府はただ提案するにすぎません。これを四名に減ずるか、現状にするかという意思は、国民の名において国会が持っておるのみなんです。政府は持っておりません。両院の決定において政府がそれを遂行するにとどまるんです。従って総裁は率直に自分が過重な事務を預かるということは非常に苦しいと、政府に訴える必要はございませんから、そういう点は国会に訴えてしかるべきなんです。われわれはそのためにどうしても一名の理事がなくちゃならないんだという認定をいたしますと、たとえ政府が提案したものであっても、意思がどうあろうとも、実際に仕事をする面のあなたの意思というもの、あなたの現在の運営の状態というものを勘案して、理事の一名の増員は容易でございます。これは政府意思できまるべきものではございません。こういう点に総裁は何か思い違いがあるんじゃないかと思います。政府意思なんというものは一応提案された案として出ておりますけれども決定するものは国会でございます。従ってもしオーバー・ワークとなるというならば、われわれは副総裁一名の増員という点に修正して、あなたの御要望にこたえることも可能なんでございますから、その点は率直にお述べを願いたいと思うんです。何も政府に遠慮することは一つもございません。それがどうかということを率直にお述べを願いたいと思います。これで十分であるというならば、そういうように御答弁を願いたいと思うんです。で鬼丸住宅局長も、もしも現状は副総裁一名増員の方がいいんだというならば、これを修正して一名増員ということでもってきめることも可能でございますから、それも含めて率直にお述べを願いたいと思うんです。
  77. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 重ねてお尋ねに対しましてお答え申し上げます。私先ほど来申し上げたのは、国会が中心であるという田中さんの御意見ともとるものではないと考えております。ただ私どもとしましては、在来理事五名おりましたのが、そのうちの理事一人が正式に法律上副総裁として、国会でお認めになった副総裁になるということは、私どもの立場から申しましても一歩前進なのでございます。理事の総数五名でなく、そのうちの一名が正式の天下晴れての副総裁としてお認めを願うということでありますから、まずそれで三十二年度の事業執行に当ってみたい、実践の上でどうしてもこれではたえがたい、加重な負担である、単に総裁の私の負担のみならず役員全体の過重な負担である、なかなか国家なり政府なりの意図されるところを十分に果し得ないという見込みが実践上立ちましたら、そのみぎりはその通り申し上げて増員もお願いをすることがあるかもしれません、かように申し上げておる次第でございまして、しばらく時をかさしていただきたい、かように申し上げておく次第でございます。以上をもってお答えといたします。
  78. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 私からも一言だけお答え申し上げておきますが、ただいま総裁から申されましたことと全く同趣旨でございます。将来公庫の運用の実態を見きわめました上におきましては、将来はさらに検討をいたしたいと考えております。
  79. 田中一

    田中一君 この住宅公団の方の以上という規定をしたような問題も、これはまことに奇怪至極なんです。これは私どもといたしまして、もう再三再四口をすっぱくしてほかの法文と同じように以内にきめたらどうかという点を申し上げたはずなんですが、とうとう当時の自由党並びに民主党、緑風会の同意を得られなかったために、やむを得ずこういう規定になっておるのです。私は今の住宅金融公庫の現状、いわゆる理事以外の副総裁というものがどうしても必要なんだというこの考え方の上に立って考える場合に、五名の理事が四名に減員することはいいとは思っておりません。私はやっぱり過重な責任を負うことになりはしないかという懸念があるのです。総裁は時をかしてくれとおっしゃるけれども、現にそういうことは現われておると思うのです。数々の新しい業務が加わって参っております。まあ今日までは金を貸すだけの業務がおもありましたから、あまり事故はございませんで、けっこうと思いますけれども、住宅公団なども地方に参りますと、数々な問題を残しておるのです。これもやはり監督業務といいますか、相談する業務の責任者の上に相当十分でない人間の配置があったのじゃなかろうかと考えておるわけでございますけれども、これは一つ住宅公団における役員の規定のごとき、こうしたものは、これはやはり鬼丸さんの方の所管のことですから、何とか改めるようなことを考えなければならぬと思うのですが、この法に関連して、あなたどう考えておりますか。
  80. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 住宅公団法の規定しておりまする役員の規定の仕方につきましては、将来の機会におきまして、検討を加えて参りたいと思います。
  81. 西田信一

    ○西田信一君 鬼丸局長代理にお伺いします。今度の法律改正におきまして、中高層耐火建築物に対して貸付の道を開いたということに対しては、私は非常にけっこうなことだと思います。ただその内容において明確でない点が数点ございますので、順次お尋ねいたしたいと思います。  まず第一にお聞きしたいのは、現行法において今度削除になりますが、十七条の第六項にあるのですが、「人の居住の用に供する相当部分を有し」という字句で従来表現されておったのが、今度の改正案では「相当の住宅部分を有する」こういうふうに変るようになっておりますが、これは表現の仕方が違うが、実際には全く同意義であるのかどうか、何か相違があるのかどうかお尋ねいたします。
  82. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 従来の十七条六項の規定におきましては、ただいま御指摘のように「人の居住の用に供する相当部分を有し」云々とございます。今回新たに追加されました第七項の規定におきましては、「相当の住宅部分を有する」云々と規定してございまするが、これは本質的にあるいは理論的に異なる質のものであるとは考えておりません。ただ実際のこの立案の考え方を申し上げますると、今回は原則は二分の一程度の住宅部分を有するものと考えておりますけれども、防火建築帯、あるいは防火建築帯にまたがる部分、あるいはそれに準ずるような地帯におきましては、この二分の一が四〇%なり三〇%になりましても、そういう建物を対象にいたしたいというふうに考えておりまして、その住宅部分が多少少くても、そういう地域においてはこれを取り上げて参りたいという気持を持っております。
  83. 西田信一

    ○西田信一君 そういたしますと、ただいまの説明で、次の私の質問に対して若干のお答えがあったように思うのでありますが、「相当の住宅部分を有する」ということは、どの程度かということをお尋ねしたかったのでありますが、従来の「人の居住の用に供する相当部分」という字句よりも今度の「相当の住宅部分を有する」というのは、若干緩和された意味において改正字句が用いられている、こういうふうに解していいのか、そうして先ほどお答えの中にありましたが、原則は五割であるが、あるいは三割ないし四割の住宅部分でも対象に考える場合がある、このように解してよろしいのですか。
  84. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 御意見通りでございます。
  85. 西田信一

    ○西田信一君 次にお尋ねをいたしたいのは、今度の十七条の第六項におきまして、いわゆる土地の合理的な利用及び災害の防止という目的のための貸付と、それから目的は同じかと思いますが、防火建築帯におけるところの建物の貸付と、こう二つに区分されている。そうしてその貸付条件は一方は三階建て以上に限られているが、一方におきましては、将来三階建にする二階建の建物まで貸し付ける、こういうふうになっているようでございまして、お尋ねをしたいのは、この前段の土地の合理的利用及び災害防止というこの目的から言うならば、防火地帯内において取り扱うと同様に、将来三階建が予約されているところの二階建建物までも貸し付ける必要があるのじゃないか、その方が適当じゃないか、こういうふうにも考えられますが、これに差異を設けている理由はどういう点にありますか。
  86. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいま西田先生から御指摘のように、第一条において追加されました目的の規定におきましては、「土地の合理的利用及び災害の防止に寄与するもの」というふうに規定いたしておりますので、まあ両方の効果をねらっているわけでございます。ところで十七条七項の業務に関する規定におきましては、防火建築帯の区域と他の地域と区別いたしましたが、この点は一般の地域並びに防火建築帯におきましても、お話のように高層化と災害防止、あわせて徹底させますためには、むしろ同列に三階以上というふうに考えることが至当であるという議論も出るわけです。あるいは御指摘のように、防火建築帯を特に二階建に認めるならば、一般の地域もそれにならわしたらどうかという御意見も出るわけでございまするが、この点につきましては、現在の耐火建築促進法におきまして、防火建築帯につきましては特別な御承知のように助成措置を講じておるのでございます。で、それと相呼応いたしまして、現行規定の足貸しにおきましても、防火建築帯におきましてはやはり三階以上の建設を予定した構造とした二階建のものに認めておる。こういう特例がずっと今日まで行われておりまして、これはやはり防火建築帯を急速に建築帯らしく整備いたしますのには、一挙に三階建を建てさせることでは、かえって建ちにくいという面がありまするので、三階建を予定した構造とした二階建を認めていこう。こういうことで、防火建築帯の早急なる整備を実現する趣旨でこういう規定を設けております。従いまして、防火建築帯だけはそういう例外的に考えまして本則と言いますか、原則的には三階以上で高層化、すなわち土地の合理的利用及び防災という両方の効果をねらっていこう。こういうふうに考えて従来の経緯を引き継ぎまして、区別しておるような次第でございます。
  87. 西田信一

    ○西田信一君 御説明ですが、私はその考え方はどうも納得いかないのでして、耐火建築促進法の取扱いと同列に扱いたいという単なるその理由であるとするならば、非常に薄弱であると思うのです。それで、私は二階に下げろというのじゃなくて、同じ三階にするのだが、近い将来に三階建を予定した構造というのでありますから、土地の合理的利用及び災害防止というこの目的に沿うという見地からするならば、当分二階建であるが、近い将来に予定されておるものを認めるということはむしろ必要じゃないか。災害防止という、土地の利用ということを考えないで災害防止という点だけから考えるならば、まあ中高層であるから該当しませんけれども、平屋でもこういう耐火構造のものは進めていきたいのですが、平屋はもちろん中高層ということには入らないのですから、三階建でけっこうですが、将来三階建にするものを促進する、こういうものを促進するという意味からいうならば、むしろ二階建まで、将来の予約されておるものについては二階建まで認めてやるということが、むしろこの法律を作る趣旨に沿うのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、そういうふうにはお考えになられないでしょうか。同じことをお尋ねするようですが、もう一度……。
  88. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 先ほどお答えいたしましたので内容的には尽きることになりますが、多少言葉があるいは足らなかったかと思いますが、今回中高層耐火建築帯につきましても、従来の足貸しの制度の趣旨を踏襲いたしまして、都市全体の中でも防火建築帯には重点をおいて、この帯状の防火帯を一つ早急に耐火建築で埋めていきたい、こういう気持が非常に強いのでございます。従いまして、そのためには二階建のものでも三階の構造を予定したものを認めよう。ほかの地域は初めから三階で一つやってもらいたい。従って、あるいはほかの地域につきましては、そう軒並みにどんどんできるというわけには参らないかもしれませんが、防火上の要請を防火建築帯については相当強く考えて参りたい、こういうことでございます。
  89. 西田信一

    ○西田信一君 次にこの融資条件についてでございますが、今度のこの適用を受けますのは、店舗、事務所と住宅とがくっついたものでございますが、これが住宅と店舗とが別々の事業主体といいますか、建築主が変るという場合でも適用を受けると、こういうことのようでございますが、これは別々に貸付の申請をしてもこれは貸付の対象になるのかどうか。この点はいかがでございますか。
  90. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 御指摘のような場合には、まあ一種の共同建築のような形態に考えて参りたいと思いますので、設計は両者で、まあ二つの機関なら二つの機関でよく相談してもらいまして、一緒に連名で出してもらう。工事も一つ一緒にやっていただくというふうに考えております。
  91. 西田信一

    ○西田信一君 たとえばまあ店舗等は企業家がやると、それからその上に公営住宅が乗っても差しつかえないと、こういうことであり、しかもその場合に公営住宅等は別な資金措置考えられるわけでございますから、そういう場合には共同で申請するというようなことが実際問題としてどうかと思うのですが、そういう場合にはたとえばこれは区別して、一方に将来この上に公営住宅を建てるのだということで、こういう条件つきで融資をし、その上に公営住宅なら公営住宅として建てるということがあっても融資の対象になり得るのかどうか、こういう点はいかがですか。
  92. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 店舗部分の上に公営住宅なりあるいは協会住宅等を乗せます場合、将来ということで不確定なものであれば、ちょっと店舗部分だけは先に建ったら融資するというわけには参らぬと思います。従いまして、やはり設計は一本でいいし、実際一緒に工事をやるのだということで申請してもらいまして、ただ公営住宅の場合には御承知のように別途の公営住宅としての手続が別に県なり市から出てくるわけでございますので、そこが少し公営住宅の場合ダブるような、余分な手数がかかりますけれども、そういうふうに扱って参りたいと思います。
  93. 西田信一

    ○西田信一君 それはわかるような気もしますが、まだわからない点がある。そこで設計は一緒にすると、ところが建築の主は全く変るわけです。地方公共団体と個人と変りますから、そこで従ってこれは共同に請負いに出すというようなこと、共同に建築をする、事業をすることが不可能な場合もあり、従って時間的な何と申しますか、差異というか、おくれというか、こういうものが生ずる場合があろうと思うのです。そういう場合でも差しつかえないのか。それからまた公営住宅でなくて、個人が住宅を建築する場合に、従来の制度によって安い金利の金を借りてやると、こういう場合もあると思いますが、そういう場合でもこれは二つに切り離して、同時に合同設計であって、それが引き続いて行われるという場合には対象になり得るのかどうか、その点がどうもわからないのですが。
  94. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 設計は一本にできておったけれども、建築主が別々だから業者も違うという場合もあり得ると思います。その場合多少工事の実施期間がずれてくるということもあり得ると思いますが、その場合は実情によりまして、なるべくそういう場合を救済して参りたいと考えております。それから先ほどちょっと申し落しましたが、共同的な建築でありましても、建築主が違うわけでございますから、公庫との関係におきまして、たとえば協会住宅と個人が両方でやった場合には、それぞれ債権債務の関係はやはり別々になるということでございます。
  95. 西田信一

    ○西田信一君 次にお尋ねしたいのは、住宅を含めて借ります場合には、償還期間は十年であって、金利は六分五厘と、こういうことになる。住宅の方についてもそういうことになると思いますが、従来公庫の貸付は住宅については五分五厘でございましたし、この場合この住宅部分については償還期限も、あるいは金利も同じような扱いをすることが住宅政策の上から言えば適当であろうと、こう考えるわけでございますが、この住宅部分について切り離して考えるということは、そういうお考えはどうして持たれないのですか。
  96. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 御指摘の点につきましては、中高層耐火建築物自体として住宅部分につきましても融資を受ける場合には、まあ産労住宅等のかね合いを考えまして、六分五厘でやっていただこうというふうにいたしたのでございます。従いまして御指摘の点は、なお御意見のように一般個人住宅としての貸付あるいは分譲住宅 賃貸住宅等他の一般貸付によります分には、その当該住宅部分は一般貸付の五分五厘で貸し付けられるわけでございまして、住宅部分のみは五分五厘になりますから、私どもといたしましてもこれは一つ方針でございますが、中高層耐火建築物そのものとしての融資を六分五厘、十年間で請負おうという方はもちろんけっこうでございますけれども、でき得べくんば協会、公社等の一般貸付による住宅を店舗部分の上に乗っかるように一つ指導方針としては推奨して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 西田信一

    ○西田信一君 最後に総裁にお尋ねしておきますが、この法律通りましてこれが働きました場合に、いわゆる土地の合理的利用及び災害防止という見地から貸し付ける中高層耐火建築、それからもう一つは防火地帯内に設ける耐火建築につきまして、来年度どのくらいの希望と言いますか、申し込みがあるというお見通しでありますか。大体公庫としてはどの程度の要望があるかということについてのお見通しを伺いたい。
  98. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) いわゆる中高層耐火建築物と申しますか、それに対する貸付資金といたしまして、ただいま国会に提出されておりまするわれわれの方の予算案では四十八億見積っております。それからもう一つの災害復興住宅についてもお尋ねがあったように聞き取りましたが、その方につきましては約十億円予算で見込んでおります。ただし災害の方は申すに及びませんし、ことに中高層の方も相なるべくは全部消化し尽すように、各関係都道府県その他のお力添えを得まして、貸付のあふれるごとき申し込があることを希望しておりますけれども、これは初めてのことでありますので、申し込みをとってみませんと、今果してどのくらいになり得るか、四十八億に達しないか、四十八億を超過して、ある部分は査定しなければならぬか、どういうふうになりますか、ただいま確言は申し上げにくいところでございます。
  99. 西田信一

    ○西田信一君 私は予算のことは承知しておるのです。ただ予算はこれこれであるが、こういう制度を設けるに当って非常に要望があって、その要望にこたえる、また政策としても適当であるところの見地から、こういう改正を行おうとするものと思う。そこで予算案で四十八億もとってあることについても、もちろん根拠があると思いますが、非常にこういう要望があり、法律を制定し、かつ、こういう道を開く、こういうことであろうと思いますので、非常に要望があるのかどうか、今のお話では何とか努力して消化したいという非常にちょっと期待に反した答えでございましたが、大体どういう見通しであるかということをお聞かせ願いたかった。
  100. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 特に御指名でお尋ねでございましたからお答え申し上げましたが、かくのごとき法律改正案を提案された主務省の考え方としては、宅地がなかなか得がたい。ことに大都市の比較的都心部ですね、そういう所の土地が存外に十分に利用し尽されておらぬ。かりに利用しておっても、かえって木造の一階建くらいのものが銀座の通りにもあるというごとき状況は、都市の構成上非常に遺憾であるから、全部この土地を十分に利用し、あるいはまた耐火建築物で充満したい、こういう改良的意図を持って提案された部分が非常に多いかと思います。そういう分子が多いかと思います。私の方の在来の公庫法で、いわゆる全貸しと称しておりますが、あるいはまた足貸しと申しまして、上に庶民住宅を乗っけて、その重荷を支えるため下の基礎主要構造部に貸す。両方やっておりますが、その間の状況を見ますと、はなはだ遺憾ながらわれわれの企図するごとき大都市の都心部にこの二カ年間の経験ではかえってないのです。われわれのあまり希望しないと言っては語弊があるかもしれませんが、地方の中小都市あたりにかえって希望があった。これは全貸し並びに足貸しの制度が制定された初年度の昭和三十年度のごときは、東京都内になし、それから大阪市内になし、かえって中小都市に熱烈な希望があったというので、これらの応接、並びに指導と言いますと少し語弊がございますが、折衝にはわれわれも非常に苦心いたしまして、これは新しい制度でありますから、宣伝普及も十分に……、われわれが不完全な結果よく理解されなかった点もあったかと思いますので、今度の中高層耐火建築物の融資につきましては、前の実例にもかんがみまして、その宣伝と理解を特に主務省におかれてもそうでありますが、われわれも努力しなければならない。やはりこの中高層の貸付は政府機関たるわれわれの実施の方針といたしましては、五大都市と申しますか、六大都市の比較的都心部、それと中小都市におきましては、耐火防火建築帯内の指定された内部というようなところへ超重点的に力を入れて、集中的の宣伝と御理解をいただくように、そういうことでいきたい、現場の私ども考え方を申し上げるとその通りでございます。
  101. 石井桂

    ○石井桂君 関連して。  今、忘れちゃいけないものですから無理に割り込んだのですが、中高層の制度を建てるために十七条の七項に、「中高層耐火建築物並びに防火建築帯」云々と書いてあって、そして「且つ、主要構造部を耐火構造とし、」と書いてあるのですよ。そうすると簡易耐火構造には融資がないように十七条七項に書いてあるのですが、ところが説明には簡易耐火構造には貸すと書いてあるのだが、どっちがほんとうですか、ちょっと忘れてはいけないものだから聞いているのだけれども。十七条の新しい七項です。
  102. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 七項の「且つ、主要構造部を耐火構造とし、」というのは、二階建の建築物、その二階建にかかるというふうに御了解を願いたいと思うのであります。
  103. 石井桂

    ○石井桂君 二階建にかかると、どういうふうに読むのですか。簡易耐火構造ではいけないと読むのですか。
  104. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 中高層耐火建築物という概念は前に定義で言っておりますので、これは簡易耐火構造のものでも差しつかえないというふうに考えております。つまり第二条の六号に定義を規定いたしておりますから。
  105. 石井桂

    ○石井桂君 だからわからなくなってしまうのです。あなたの方の説明に……。
  106. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) もう一ぺん答えます。そこでこの中高層耐火建築物という三階以上のものは、簡易耐火のものがまじる、中高層耐火建築物は。それからこのあとの防火建築帯における二階建のものは、これは主要構造部を耐火構造としたものであると。
  107. 石井桂

    ○石井桂君 そうするとこういう形を考えていいですか。二階までは耐火構造で、三階、四階が鉄骨作りだ、こういうものに融資はあるのですか。
  108. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 建築基準法上の制約の問題は別ではありません、その通りしておかなければいけませんが、お話のようなものは差しつかえないと、この法律の中高層耐火建築物としては差しつかえないというように考えております。
  109. 石井桂

    ○石井桂君 そうすると、あなたの方の提案理由の説明の中の四ページですよ、四ページを見ていただきたい。その三行目の「これらの中高層耐火建築物の建設に対する融資につきましては、従来の多層家屋に関する融資の制度を改め、原則として相当の住宅部分を有し、かつ、耐火構造または簡易耐火構造の建築物で、地上階数三以上を有するものを建設する者に対し、必要な建設資金を貸し付けようとするものであります。」と書いてありますから、だから防火地帯では全部耐火構造でなければいけないことはわかります。だけれども、防火地帯でないところでは、鉄骨で二階までは耐火構造であれば、上は三階、四階、五階、六階、七階、八階、九階、許されるだけこれは融資ができると、こういうふうに読むんですか。
  110. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 御指摘通りでございます。
  111. 西田信一

    ○西田信一君 ちょっと総裁からも御答弁がございましたが、こういう新しい道を開かれた建設省として、どういう一つこれに対する見通しを持っておられるか。
  112. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 今回の新しい中高層耐火建築物の融資につきましては、先ほど総裁がるる申されたことにつきましては、私も同様に考えておるところでございます。従来の足貸しなり全貸しの経験にかんがみまして、今回の新しい制度の実施につきましては、相当工夫、努力を要するものと考えておりまするが、ただ従来の足貸し制度よりは条件がよくなっております。また最近大都市の当局者等の意向を聞いてみましても、非常に関心を示しておりますので、先ほど総裁が申しましたような、大都市の都心部なり、あるいは特に防火建築帯、それに準ずるような場所に重点を置きまして、これを推進していきたいと思いまするが、それにつきましては、特に大都市の市当局、それからその所在する府県当局関係部課に積極的な応援、協力をわずらわすことが必要だと考えておる次第でございまして、そのため、よりより地方からの意見も聞いておりまするが、この法案成立いたしますれば、早速これらの大都市また関係府県の当局者にこの趣旨を徹底いたしますとともに、十分協力してもらうような態勢を進めて参りたいと考えております。その意味におきましては、予算に計上されました四十八億、これにつきましては、十分これを消化していきたいと、かように念願しておる次第でございますので、委員各位におかれましても、ぜひ一ついろいろ今後とも御後援を賜わりたいとお願いを申し上げておく次第でございます。
  113. 田中一

    田中一君 まことにけっこうな制度で、私は大賛成です。私は年来、数年間この運動を続けて参りましたので、今度具体化したので非常に喜んでおります。ただしかし、この制度をほんとうに国民に周知徹底せしめるという努力が今まで足りなかったのではないかという点であります。ことに先ほど西田君の質問に答えて総裁が言っておるように、東京を含める六大都市にはあまり希望がなかったということは、今言う当然高度に敷地を使うには、共同建築化されなければならぬという点が大きな理由です。もう一つ大きな理由は、地方公共団体が耐火建築促進法によるところの事業の主体になろうとする意欲がなかった点です。これは耐火建築促進法に基く土地収用その他の点が規定されたにもかかわらず、地方公共団体に対する働きかけが足りないために、その共同建築なり共同建築の区域の全部の八割の同意すら受けられない点が、この要求が大都市になかったゆえんだろうと思うのです。  そこで伺いたいのは、今度のこの制度によって災害復興住宅は市町村に大体代行させたいというような答弁が昨日か一昨日の質疑の方にございましたが、中高層住宅の面についてはやはり市町村、まあ村までいかぬでも、大きな町程度までそれに代行させるというような意図がおありですか。
  114. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) ただいまのお尋ねにお答え申し上げますが、中高層耐火建築物の貸付につきまして、府県市町等に貸付の決定を代行させる意図はございません。むしろこれは希望してもいろいろな難点もございましょうし、それからまた貸付の審査決定ということは非常にむずかしいと予想しております。まあ十分に慎重な態度で公庫みずから当るていの覚悟、態度でなければ正鵠なる貸付を得るということはなかなか難事であると思います。ただまあ設計などにつきましてはある程度——ただいまきめておりません。きまっておりませんけれども、ゆだね得る相手が大都市等でありますならば、あるいは府県であるならば考え得る部面もあるかと思います。よく一つ慎重にこれは国会の御趣旨等も奉じまして、熟慮してきめたいと思っております。
  115. 田中一

    田中一君 少くとも公庫が融資住宅に対してその審査をゆだねておるという目的から見ても、この建築基準法を掌握している東京を含める六大都市、しいて言えば東京以外の五大都市は、せめてそうした意欲を市民に徹底させるためにも、これを代行させるという考えはございませんか。
  116. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 先ほどの御質問の際に一部お言葉がございました災害復興住宅につきましては、緊急を要する簡易にしてかつ敏速な貸付をというのが一般の要望であるし、また国会の御要求でもあるように考えます。立法の趣旨もそこにあると思いまするから、これは法律では貸付の決定はこの限りにあらずとございますけれども、なるべく敏速かつ簡易な貸付の決定ができますように公庫がきめるのでありまするけれども、さような取り計らいを実施上工夫して参りたい、かように考えております。ただ中高層耐火建築物の方はむしろおそい方がよろしいとは申しませんが、拙速より巧遅を尊ぶ、かようなふうに考えておりますので、十分慎重な手続と態度で貸付の決定、つまり貸付に至りまする審査等につきましては、中高層耐火建築物はさように取りはかって参りたい、心組は以上の通りでございます。
  117. 田中一

    田中一君 懸案になっておりましたところの大都市に対する建築基準法の業務は、五大都市には委譲をさせてございます。従ってこれは今あなたがおっしゃるように、巧遅な実施がつかさどれる適当なる都市ではなかろうかと考えておるわけでございます。原則的に小さな都市にまで及ぶということは考えられませんけれども、少くとも建築基準法の行政をつかさどっている五大都市にはこれをまかすというような点は考慮されておりませんか。
  118. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) 今直ちにまかすという決心まではついておらぬことは事実でございます。けれども、建築基準法のいわゆる特定行政庁として六大都市がきまったのでありまするから、実際において建設基準の審査等におきましては、よほどまかせたと同じ結果になるように生み出すことが近い将来にできると思っております。
  119. 田中一

    田中一君 御承知のように、先ほど総裁が言っているように、五大都市には需要が少いということをおっしゃっているのですが、これはPR運動が足りないのです。市長は自分の市の繁栄をはかるためにはいろいろな方法をとっている。単なる都道府県という行政機関以外の市町村の方が熱意が強いじゃないかと思うわけなんです。そこで私はせめて建築行政を持っておるところの市には当然まかすべきじゃなかろうか、むろんこの際には、ただ大阪府の例をとってみますと、大阪市内には今まで皆無だとおっしゃいました。しかし大阪市を離れたところのほかの都市においては、中都市においては相当あったのだろうと思う。従って大阪市の場合には、大阪市役所にそれをまかせれば、これは相当希望する点がたくさんあろうと思うのです。従ってその建築行政を担当しておる五大都市にはこれをおまかせなすった方が、このあなたの事業が今度の中高層建築の場合でも徹底し、需要が相当起ってくるのじゃなかろうか、こう考えるわけなんですよ。ことに耐火建築促進法に基く共同建築にいたしましても、八〇%の人が承認すれば二〇%は強制収用されるというような法文もありますし、この場合には事業を遂行するのはやはり市が遂行しなければならぬことになっております。従ってあなた方の方でもう少し実態をつかんで、一面簡素化を行うという点からみてもその資格と申しますか、準備がある、受け入れ態勢がある市には当然行わしめる方が目的達成の促進になるのではないか、こう考えるわけなんですよ。従ってそういう点はもはや相談とか何とかいう範囲のものではない。だから建設省の方ではそういう五大都市に対してはどういう……これは公庫自身が考え決定すべきものでありますけれども、どういう指導をするつもりか、伺いたいと思います。
  120. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 五大市からの、御指摘のような中高層耐火建築物に関する関係業務の委託についての要望も聞いております。なお五大市の所在する府県の意向も、これはほとんど聞いておりませんが、近く聞いてみたいと思います。かれこれ十分これらの地方公共団体の意見を聞きました上で、適切な措置をとるように、公庫の方にも指示と申しますか、意見を述べたいと思っておりますが、私の気持といたしましては、先ほど申し上げましたように、また田中先生からも御指摘がありましたように、特に五大市におきまして、今回の新しい制度を積極的に具現してもらいたいという希望を持っておりますので、できるだけ能力のある五大市につきましては、業務の委託を考えてもらいたいと思っております。ただその場合も、その所在する府県がやはりそっぽを向かないように、お互いに市と府県でなるべく協力し合うような態制をとってもらうことが望ましいと存ぜられますので、やはりその点を十分考慮の上で、一つ最善の措置をとっていただきたい。かように公庫に対しましては希望を持っておるようなわけでございますが、具体的には、これからなお十分検討した上で措置をいたしたいと考えております。
  121. 田中一

    田中一君 この中高層耐火建築物の点は、ここではっきりと土地の合理的使用と災害の防止と、そして住宅という点が訴えられてあるわけなんです。そこで総裁は先ほど十分にこの三つの目的を達成するための一番の該当する土地というものは、主として大都市であるのだということを言っておりました。しかしそれが全然ないので弱っておるのだということになりますと、都道府県というものは、そこまでの力が及ばないのではなかろうかということが考えられるわけなんです。そういたしますと、今鬼丸さんが言っておるように、もう試験済み、住宅では試験済みなんです。御承知のように大都市は、あるいは大都市と言いますか、五大市というものは区を持っているところもございます。あるいは市を持っているところもございます。結局身近かになって、その市民の利益のために、防災と土地の高度利用と住宅難解決という、三つのこの柱をもって、ひざ詰めでこれを活動するによってのみ解決するのではなかろうかと思うのです。従ってもう鬼丸さんはそういうふうに進めて、指導したいというお考えを持っておりましようが、先ほど総裁の御答弁によると、もう試験済みなんです。従ってこの際もう割り切って、ことに建築行政を持っておる、建築行政というものを自分で握っておるところの五大市には、当然府県に与えられるところのものを移管すべきであるという考えを持つわけであります。都道府県で現在持っておりますところの窓口というものは、そのまま残されるものなんです。その市当局はその行政区域内の点にとどまりますから、市以外の、五大市以外の都市、市町村に対しては、当然府県がやるべきであろうと考えております。総裁自身の口から今までの現状をお述べになっておるのだから、私はこういうふうな一つ意見を注文をつけてるわけなんです。これは鬼丸さんの今の答弁にあわせて、総裁から率直な見解を伺いたいと思うのです。それでまた今後どうするかという問題も、抽象的なそういう言葉じゃなくって、少くとも建築行政を握っておるところの市であるならば、その市にさせようということ、もう少しつづめて考えますと、五大市にはこれを移譲させる方針でいこうというような答弁を願えるならば、私はまことに幸いであろうと存ずるのです。それがまた総裁が今まで足貸し住宅をやりながら、それが徹底されなかったという点を補ってあまりあると思うのです。その点御答弁願います。
  122. 鈴木敬一

    参考人(鈴木敬一君) お答え申し上げます。田中委員さんからの御質疑中の御意見はよく実情を御承知で 実情をうがった御意見と存じます。十分傾聴に値すると思います。なお御趣旨を奉じまして善処いたしたいと思います。ただ先刻私から御答弁申しました全貸し、足貸しの際の、大都市の都心部に申し出でが少なかった これは当時初年度のことでもあったし、われわれも宣伝普及に特別の工夫と努力をいたし、かつまた関係府県、市等とともに、その方に力を加えまして、三十年度あたりの失敗のようなことにならぬように努めたいと、かように申し上げたのでありまして、御趣意とそういう点では一致した考え方と思います。  それから五大都市はもちろんですが、六大都市に建築基準法の施行が最近移りました。それに関連して公庫の設計審査等の点については十分考えておりますので、中高層の耐火建築物の貸付関係におきましても、御説の通りこれを一つ考え方として実行して参りたい、鬼丸住宅局長等の御答弁と決して矛盾するものではない、かように申し上げ得ると思います。
  123. 田中一

    田中一君 まあ鈴木さんの人柄で、ものをはっきり言わぬ方だから、大体私の考えておる方向に進むものであろうと解釈して、その点の質疑はその辺にしておきますが、もう一つ伺いたいのは、結局この仕事をきめる、遂行する、完全に遂行する上において一番の問題になっておるのは、利害に対する理解です。これが徹底しておらんことなんですよ。この得だという印象を与えますと、喜んで奉仕をするのが日本の国民性なんです。損な場合にはなかなか奉仕はしない。この場合はやった方が得なんです。その土地を提供し中高層建築をやるということが得なんです。これが徹底されないところに難点があるのであって、これは公庫の運営と申しますか、これが一番大きなポイントになると思います。まことに総裁はまじめな方であって、言い方によりますと、石橋をたたいて渡り過ぎるのじゃないか、もう石橋さんもおらんのですから、かわりに岸に沿って流れるように、一つ幅のある生きた実施をしていただきたいと思うのです。どうも地方の声を聞きますと、鈴木さんはまじめすぎて、かたすぎる。かたすぎるということは法律を守るということでございましょうが、そこに地方々々の実情がございます。今度のものも二分の一というものに限界を置くのでなく、二分の四・八ぐらいならまあ認めようという法律措置ができております。一つこの精神を体して、運用の妙をこれから選ばれますところの副総裁とともにうまくやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問は大体この辺で終ります。
  124. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと皆さんにお諮りいたします。特定多目的ダムの審査のため、参考人として弁護士野間海造君、東京大学助教授加藤一郎君の出席を求めたいと存じますが、これは時間の関係上特に皆さんにお諮りしてきめたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお出席の日時は明二十九日午後一時にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  127. 田中一

    田中一君 これは鬼丸君に申し上げますが、運営に当って中高層建築の場合に、あまりやかましいことを言わないでやってほしいのです。とにかく住宅を建てようという意図と、災害から守ろうという意図と、この二つの柱というもの、これはもうはっきりしているのですから、幅のある運営をしてもらわぬと同じ轍を踏みますから、一つ十分に検討して下さい。
  128. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  129. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起して下さい。  ほかに御質疑はございませんか。——なければこれをもって質疑を終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。
  131. 石井桂

    ○石井桂君 この際討論を省略して、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  132. 田中一

    田中一君 石井君の動議に賛成いたします。
  133. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは討論を省略して、採決に入ります。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成のお方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  134. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂  岩沢 忠恭     西田信一   田中  一     小山邦太郎  斎藤  昇     中野 文門  内村 清次     大河原一次  北 勝太郎     —————————————
  136. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは報告いたします。  農林水産委員会から連合審査の申し出がありましたが、撤回されましたから、さよう御承知を願います。  明日午後一時から参考人を呼ぶことにいたしておりますから、さよう御了承願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会      —————・—————