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1957-09-27 第26回国会 参議院 建設委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月二十七日(金曜日)    午前十時十八分開会   —————————————   委員の異動 九月十二日委員坂本昭辞任につき、 その補欠として片岡文重君を議長にお いて指名した。 九月二十一日委員片岡文重辞任につ き、その補欠として坂本昭君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            斎藤  昇君            増原 恵吉君            内村 清次君            坂本  昭君            重盛 壽治君            北 勝太郎君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   説明員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    建設政務次官  堀内 一雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   参考人    日本住宅公団総    裁       加納 久朗君    日本住宅公団理    事       渋江 操一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (公団家賃問題等に関する件)  (高速自動車国道等に関する件)  (昭和三十三年度建設省関係重要施  策に関する件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。九月十二日坂本昭君が辞任され、補欠として片岡文重君が指名せられ、九月二十一日片岡文重君が辞任せられ、補欠として坂本昭君が指名せられました。   —————————————
  3. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それではまずお諮りいたします。本日公団住宅家賃問題等に関する件を調査のために、日本住宅公団総裁加納久朗君、同公団理事渋江操一君及び同公団計画部長曽田忠君を、また高速自動車道に関する件の調査のために、日本道路公団理事金子柾君に、それぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  5. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは最初に公団住宅家賃問題等に関する件を議題に供します。  ただいま参考人の方々のほかに、建設省から政務次官堀内一雄君及び住宅局長植田俊雄君が出席されております。御質疑の方は順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 前回の委員会公団側から現在紛糾しておりますところの家賃の値上げの問題について、いろいろ参考人諸君からお話を伺いましたけれども、最近私は問題の中心になっておりまするところの柏市の光ケ丘団地へ行って参りました。いろいろ実情を聞いてみますと、この対策協議会として全国的な折衝を重ねておるのは、御承知のように家賃が高い、家賃を値下げしてくれというような運動でありますが、側々のケースについて調査をしてみましたところ、光ケ丘団地公団に対する要望というものの根幹をなすものは、地方税法第三百五十九条に基く固定資産税に見合う、固定資産税課税対象にならないというところに、根拠があることが発見されたわけでございます。そこで自治庁から奥野税務部長もきょう出席を求めておりますが。まだ参っておりませんけれども、ともにその点について質疑をしたいと考えておるのです。その点について政府としてはむろん監理官を出しておるのですから、そういう点も十分調査をしておると思いますけれども、地方税法第三百四十三条、三百五十九条、これらに対して政府はどういう考え方を持っておるか、先に態度を表明していただきたいと思います。
  7. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 私ただいま御指摘になりました条文をただいま記憶いたしておりません。いたしておりませんが、地方税法も検討いたしました結果、公団住宅につきましては、固定資産税が賦課されるのが当然だと考えております。
  8. 田中一

    田中一君 私は植田君に申しますがね。条文も知っておらんけれども、だれかに概念的に聞いて、今のような扱いが正しいのだというような考え方は、これは公団理事者ならいざ知らず、少くとも法律をもってわれわれの議論のよりどころとするこの委員会において、そういう発言ははなはだ不謹慎だと思うのです。従ってその条文について十分にお調べになり、そして局長としての発言を希望するわけなんですけれども、じゃ伺いますが、だれから現在の公団のとっておる態度が妥当なものであるということをお聞きになりましたか。
  9. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 地方税法によりますと、一月一日現在にあります固定資産に対しまして、その次の四月一日の属する年度課税する、こういうふうな条文に相なっておったと記憶いたしておりますので、お答えいたしたわけでございますが、ただいま御注意のございましたように、条文につきまして、十分検討いたして詳細なお答えを申し上げるべきであるというふうに考えます。
  10. 石井桂

    石井桂君 私は、これは公庫総裁には言っておりませんが、公団公庫家賃算定固定資産税分が入ると思うのですが、同じようなものを作って、そうして評価算定に差があるだろうと思うのです。そこで公団住宅に対しては、坪当り幾らとして固定資産税を計算しておるのですか。公庫の方の貸し出し住宅に対する坪当り幾らとしてやっておるのか、それを伺いたいのですが、非常な差があるようですが、もっとおわかりやすく言いますと、公団住宅坪当り四万円でできるものとしての固定資産税評価があるように聞いておりますが、ところが金融公庫から貸し出されて同じ建物を建てて、五万六千円のものとして評価された、公団の方が二万六千円安く評価してある。ところが現場を見ると同じものなんですよ。公庫公団も借りるものとあるいは分譲を受けるものがありますが、たまたま提供者が違うだけで同じものなんだから、国民としては安い方を借りたいわけなんだけれども、たまたま公庫が先にできたり、あるいは近所であったりということで、どっちか選ぶわけになったわけですが、そういう差があることを御承知ですか、どうですか、まずその点から。
  11. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 現実の問題といたしまして、住宅固定資産税にはいろいろ問題があるわけですが、御承知通り現在公団住宅につきましては、固定資産税を課しております。ですからこれも申し上げるまでもないことでございますが、公営住宅につきましては交付金を課すことになっております。第一種公営住宅には、普通税率の十分の四、第二種公営住宅につきましては十分の二を課することになっております。これは法律では課することになっておりながら、現実にはそれを入居者に負担させないようにその不足分交付税でみる、こういう形になっておりますから、人居者は負担していないわけでございます。  また公庫住宅にきましては、公庫から融資を受けまして自分で建てた人につきましては、ただいま御指摘通り固定資産税がかかっておりますが、住宅協会とか住宅公社が貸し付けまして、賃貸住宅といたしまして管理いたしておりますものにつきましては、事業主体課税主体とが同一でありますか、あるいは県市という近接関係にあります。そういった事情もありますので、現実には土地についてだけ今は固定資産税を課しまして、それは月額にいたしますと十円程度固定資産税を課しているだけで、公団並み固定資産税を課すところまではいっていないわけでございます。従いまして、ただいまのところは、自分の家として建てた場合につきましては、そういう評価アンバランスがございますが、賃貸住宅としてのアンバランスはまだ現実には出ていないわけでございます。けれどもこれもいずれは何らか自治庁とも交渉いたしますし、同じというわけには参らないと思いますが、何らかの調整を要する段階が近い将来考えねばならぬ、かように考えておるわけでございます。
  12. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、私の聞き方が悪かったかもしれませんが、賃貸住宅であれば、公営住宅それから金融公庫から融資を受けたたとえば住宅協会住宅、そういうものの賃貸住宅に対しては固定資産税分が今のところかかっていない、それから公団の方はかかるようになっておる、こういう差なんですね。それでいいのですか。
  13. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) そういう差が現実にあるということを申し上げたわけで、それが正しいという意味じゃ決してございません。さればと申しまして、誤解がありますと困るので申し上げますが、現在の公団住宅に対する固定資産税は、先ほど法文指摘が十分でございませんでしたけれども、かけることになっておって、それをまた契約によって入居者に負担をしてもらうということになっておる。この事実は否定するわけでも決してございません。それはその通り必ず励行してもらわなければならぬものとこう存じております。
  14. 石井桂

    石井桂君 そうすると、分譲住宅の場合はどうなんでございますか。
  15. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 分譲住宅の場合につきましては、固定資産税所有主にかかるのでございますから、労務者用に建てました社宅につきましては、当然所在の市町村で法定通り固定資産税を課しておるものと考えております。ただ御承知通り新築を奨励いたしますために、固定資産税新築後三年間半減するという措置をとっておりますが、その恩恵によりまして、三年間だけ固定資産税は減額されております。
  16. 石井桂

    石井桂君 分譲住宅といいましても、今私が例にとるのは金融公庫融資による住宅協会分譲住宅、それから公団分譲住宅、こういう場合におのおのに固定資産税がどうかかるかということをお聞きするわけです。まあ局長お答えにくければ鮎川君にお諮りして、皆さんがいいと言えばよろしゅうございます。
  17. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 固定資産税所有権対象にしてかけるわけでございますから、協会等分譲住宅につきまして所有権が移っておりますときには、移された新しい所有主に対してかかっておりますし、そうでないときには、もとの所有者であります協会にかかることになっております。
  18. 石井桂

    石井桂君 御承知のように金融公庫住宅公団住宅も、分譲が完了されるのは三十年とか三十五年後なんです、所有権が移るのは。だからその状態賃貸住宅と全く同じなんですよ。そういう状態です。所有権が移るのは、登記が完全にされるのは三十五、六年後なんですね。だから賃貸住宅とあまり違わない。ところがその公庫住宅公団住宅が、坪当り評価が同じものに対して非常に違うということを私は指摘したいのです。公団の方はきょう御列席の奥野部長その他のお計らいで、実際は六万円ぐらいかかるものを四万円だとして評価しておるのですよ。金融公庫の方は五万六千円だとして評価しておる、こういうあり方が——同じようなものなんですよ。国民はどっちを借りてもいいのだ、どっちを買ってもいいのだけれども、たまたま公団住宅が近くにあれば公団をとる、あるいは便利なところに公庫があるから公庫をとる。こういう工合住宅行政をつかさどる監督官庁としては、まるで同じものを片方は四万円、片方は五万六千円の建築費だということで割り出した固定資産税の差というものは、これは倍ぐらいに違うようになるのです。そういうことがあっていいかどうかということなんですが、その点はいかがですか。
  19. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) これは今後研究をいたさなければならぬ大きな問題でございますが、やはり賃貸で最後まで通す住宅と、分譲して、若干資金を持っておられるような方との住宅に差はあっていいのじゃないか、これはまだ確信を持って言うところまでは参っておりませんけれども、それで石井先生お話しになりましたようなことを貫き通すならば、すべての住宅に他の民間住宅と同じように固定資産税を課すべしという議論にもなってくるわけでございまして、せっかく自治庁評価を統一してくれまして、この建築につきましては坪四万円でございます、その恩恵にほかのものが全部下げられるということであれば、これはいいわけでございますが、これはなかなかむずかしいといたしますと、やはり賃貸住宅なるがゆえに特例も、また特点もある程度は認められてしかるべきではなかろうかと存じておるわけでございます。
  20. 石井桂

    石井桂君 植田局長お答えは私の言っていることを聞き違いをしていると思う。賃貸住宅分譲住宅固定資産税が差があってもいいかということを聞いているんじゃありませんので、それは当然だと思う。ただ私の聞いているのは、同じ賃貸住宅にしても、それから分譲住宅にしても、同じ形のものを公団がやるか公庫がやるかで固定資産税算定に、著るしい変化があるようなことは困るじゃないか、だからお比べになるなら金融公庫公団賃貸住宅金融公庫及び公団分譲住宅、そういうものの固定資産税をお比べになり、そうしてその上に差があってもいいかという質問なんです、私のは。分譲住宅賃貸住宅固定資産税はそれは差があっても私もいいと思う。そういう質問じゃないんですから。
  21. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) わかりました。冒頭に申し上げましたように、公団住宅固定資産税の問題は、今現実の問題として起っております。公庫貸し出しによる協会あるいは公社住宅につきましては、固定資産税土地についてだけ各地で賦課しておりますけれども、それでまだ現実の問題として起しておりません。これは理論から申しますれば、すべてを統一的に解決すべき問題であったかと存じますが、まだ解決していない問題でございます。今後その問題が検討されるべき時期には当然お話しのようなことも考慮に入れて検討すべきものと心得ております。
  22. 石井桂

    石井桂君 問題が起らぬうちに備えて考えておくことが必要じゃないですか。公団の問題が起ったからといって泥縄式にやっているからこんなことになって国民が困る。だからあなたのお考えは前後してしまっておると思う。私は問題が起らぬうちに、同じような状態があるからという考えのもとに対策を立てるのは当然だと思うんですよ。まあこれは私の意見になりますから、ちょうど奥野部長も見えておりますし、田中委員奥野さんを呼んでおるようですから、あとでまたこの問題はやりますから、それまで留保しておきます。
  23. 田中一

    田中一君 奥野さんに伺いますが、一つの事例として申し上げるんですが、光ケ丘団地完成はちょうど本年の一月一日の現況というものは、建物のうちで、店舗が約八八%、それから土木工事が九七%、ガスができておりましたけれども、屋内の衛生設備水道等完成しておらない。そうして二月の八日に募集して、二月二十日に抽選をして、三月十六日どうやら入居する状態になったというんで入局したわけなんです。で、地方税法の三百五十九条には、当該年度に課するものに対しては一月一日の現在のもので課税するんだということになっております。そうしてまたそれが一応税法によって地方公共団体課税しようとする場合には、もし異議があるならば、それに対して公団というか家主は、異議があるならば異議申し立てを一カ月以内にするということになっておりますけれども、今のような完成状態であり、かつ水道等完成しておらないという現状から見て、当然課税しようという意思が柏市にあったというなら、この法文によってその状態にないということを抗告することが可能なんです。ところが公団はそれをしておらないんです。本年の一月一日では入居する状態ではなかった、いわゆる完成しておるものではない、完成しておらなかった。従って課税すべき対象には完全になっておらない現状にあったにもかかわらず、そして入居者は三月十六日に入居しておる、そういう物件に対しては、この三百五十九条に当然該当する課税対象になるべき物件であったかどうかということに対しては、どうお考えになります。
  24. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 具体の事実を承知しないのでありますけれども、当該市は課税すべき状態に一月一日現在においてあったものとして取り扱ったものと想像いたします。御指摘になりましたのは付帯設備のようでございますけれども、付帯設備完成しているか、完成していないかということは、家屋課税される状態にあったかという問題とは別個の問題でございます。付帯設備ができておりませんでも、家屋としてできておりまする場合には課税することに従来から取り扱って参ってきておるわけでございます。
  25. 田中一

    田中一君 この大阪の事例でありますが、一応その入居する状態、いわゆるこの住居として住める状態になければ住居とならぬというような判例があったように聞いておるんです。また今言う通り完成はしておらぬというような場合、これは当然公団側としては、家主としては、それに対して状況というものを市側徴税者の方に認識してもらって、適当な措置がとれたと思うんです。事実において完成していないものを先成したということを認めるということはあり得ないと思うんです。それでそういう場合にはこの法律の面では、いわゆる一カ月以内ですか、一カ月以内に異議申し立てをするということになっておりますけれども、そういうことを公団はしておらないように聞いておるんですが、その点は公団としてはどういう措置をとりましたか。
  26. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 光ケ丘の問題につきましては、ただいま田中委員からお話がございましたような問題点があるということで、まあ公団の立場としては課税した課税権者であります柏市に対して、これはまだ一月一日現在のいわゆる固定資産税対象ということで認定してもらっては困る、何とかこれは課税対象のあれからはずしてもらいたいという意見は出しましたのでありますが、今自治庁からお話がございましたように、入居可能な状態ということと、課税対象になるこの建築物工事進行状況から見た主体建築のできておる状況ということはおのずから違うのであって、それで課税対象としては入居可能の状態に至らなくても、主体建築としてすでにでき上っておるという認定がつくならば、これは柏市としては課税対象として取り扱わざるを得ないというような返事を受けたような次第であります。そういうような結果から、ご存じのようにその後のいわゆる公租公課取扱いというものをその点から出発して考えいておるとうことでございます。
  27. 田中一

    田中一君 そうすると異議申し立てはしないで、話し合いでもって承認したということでございますか。法文にあるような手続を省略して向うの言い分を承認したということなんですか。
  28. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 田中委員の仰せになりました異議申し立てに相当するような取扱い手続ではなかったかとも思っております。しかし公団としてはその機会に考えられるまあ最も適正な手段ということで、文書による陳情を公団意思としまして柏市に提出したようなことでございます。
  29. 田中一

    田中一君 当時店舗は約八八%の出来高であったということに記録に残っておりますけれども、これらのものにも一律な課税をされたものと思うのですが、完成という度合は自治庁ではどういう認定をして考えておられるのですか。私どもは完成というものは一〇〇%というように考えておるのですが、その点はどういう工合考えておるのですか。
  30. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 具体建築物家屋と呼べる段階になったかどうかということでございますが、従いまして、たとえば柱が立っただけじゃあ家屋と呼べないと思います。しかしながら荒壁を塗っただけだから家屋じゃない、これも言えないと思うのでありまして、そういうことで具体の問題につきましては、しばしば係争の問題になるわけでございますけれども、荒壁を塗っていませんでも、あるいはまたふすまが入っておりませんでも、それは家屋認定できるわけでございますので、そこまでできておるものは皆家屋として扱っておるわけでございます。ただお話具体のものがわかりませんので、よく承知をいたしませんけれども、三月にすでに入居していると、おそらくその間においていろいろな手続も経て入居をさしておると思うのでございますが、そうしますと、一月一日にはやはり家屋と呼べる段階にはもうあったのじゃないだろうか、市が家屋認定して課税をしていったのは当然じゃなかろうかというふうに私には想像されるわけであります。
  31. 田中一

    田中一君 これは非常に不思議なことを伺うわけですけれども、完成というのは、今言う通り人が入れない状態であっても完成だとおっしゃるのですか。これは御承知のように賃貸住宅であって、人が住める状態で初めて経済効果を発揮するものなんです、これはですね。むろんあき家だって完成したものは完成したものでございましょうけれども、今まああなたの方はぜにさえ取ればいいという思想かもしらぬけれども、しかし未完成のものを——私は一〇〇%のものが完成だと思うのですよ。完成の場合には完成という意思表示をそれを建てるものはするでしょう。また建築基準法によっても完成なら竣工という届出をするでしょう。そういう状態でないものを、一方的に課税する方が、認定したならば、その認定は正しいと言えるのですか。そういうような指導をあなたの方はしているのですか。
  32. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 先ほども申しましたように、家屋に対して固定資産税を課するということになっておるわけでございまして、家屋に対して固定資産税をかりに、まあそういう人はないだろうと思いますけれども、完成という言葉を非常に方便に解釈いたしました場合には、荒壁だけで使っているとか、あるいは水道を敷かないで使っているとかということも現実問題としてあり得るわけでございます。法律的には家屋に対して課税をすると書いてございますし、家屋になれば不動産でありますし、不動産登記もできるわけであります。不動産登記ができる状態になったものが家屋だというふうに解釈をしておるわけであります。立法論としてはその課税の時期をもっと明確に、あるいは使用開始の時期とか、いれども、現行法のもとにおきましては家屋に対して課するのだ、一月一日に家屋と呼べる段階でございませんければ、一年中そのものに対してはかりに二月にでき上ろうと課税はしない。そのかわり一月一日現在におきまして、使用は開始しておりませんでも、あるいは壁は塗っておりませんでも、家屋と呼べる段階にありました場合には課税をしていく、こういう取扱いをいたしております。
  33. 田中一

    田中一君 ですから、家屋と呼べる段階というのはどういう程度のものをさしているのかと伺っているわけなんですよ。これは非常に微妙な問題ですから、今後の問題があるわけなんですよ。  じゃその問題を伺う前にちょっと渋江君に伺いますが、登記はいついたしましたか。
  34. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 現在その期日をはっきりいたしておりませんから、あとで申し上げます。
  35. 田中一

    田中一君 これは加納さんに申し上げますが、こういうふうな重大な問題について、登記した日もわからぬというのじゃ困るのですが、今電話で早速お聞きになって調べていただきたいと思うのです。そういうことを言われると、奥野君に対して私は質問ができなくなってくるのですよ。
  36. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 用意しておりません。調べまして、すぐお答えすることにさしていただきたいと思っております。
  37. 田中一

    田中一君 課税をする現状と申しますか、完成認定するというあなたの場合ですね、今言ったような程度のものの指導をしておるのですか。行政指導をしておるのですか、あなた自治庁としては。
  38. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 家屋として使用できる状態にあったものにつきましては、家屋に対する固定資産税を課していけるということでありまして、具体の問題は非常にまあいろいろなケースがございます。たとえて言いますと、壁が塗っていないのに課税をしている、これは避けるべきだと思います。しかし上壁も塗っていないから、上壁は一月の十日になって塗ったのだと、だから一月の一日はまだ家屋とは言えないと、こういうことは言えない、こういう考え方をとっておるわけであります。通常家屋として使用できる状態になったと、そのことがかりにたとえば完成した上で入居者を入れるべきだと、こういう議論はあるかもしれませんけれども、住もうと思えばまあ住める状態になったという場合には、家屋認定して差しつかえない、こういう考え方をとつているわけであります。
  39. 田中一

    田中一君 今言う通り、全部一〇〇%完成という状態でないにかかわらず、課税を一方的に、金をとるあなたの方が非常に指導がよろしくて、そこで徴税者の方はどんどん徴税しようという気持になるのでしょう、これは当然。しかしそういうものをおそらく公団の方ではしいて、本年度から固定資産税に見合うものを払いましょうという意思表示じゃないと思います。これは今言う通り公団の性格というものは決して営利企業じゃないですから、やはりそういうことになれば、契約書に基く公租公課というものを入居者に払ってもらうということになっておりますから、なるべく軽減しようという考え方を持っておると思います。ところが公団の方はそれをしなかった。折衝をやったでしょうけれども、国民が、われちれが納得するような手続を踏んでおらない、こういう事実なんです。そうすると、公団としては当時の状況自治庁が各地方に指導しているような、完成したと見られるような状態であったということになるのですか。交渉したということは、おそらくそのような状態でないという点から、該当しないのじゃないかという折衝をしたのだろうと思いますが、それを引込めて、正式な手続をしないで引込めたということは、自治庁指導する柏市の認定というものが正しいのだという点においてやったのですか、それともやむを得ず屈服したものですか。
  40. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 公団の立場としましては、いわゆる課税権者の正しい認定であれば、それに屈服することにしなければいけない、これは根本の考え方でございます。そこで課税権者が正しい認定をして下すったかどうかということについては、課税権者のいわゆる裁量の上で、民間の住宅に対する認定、いわゆる固定資産税一般の取扱いの方で、公団が特に不利な取扱いを受けるということでは、これは私ども承服できないという立場をもちろんとって考えていきたいと思います。しかし、一般民間に対する課税権者の公正な取扱いの上で、公団についても同様な公正な取扱いが行われたということでありますれば、私はこれは認定は正しいものだという前提に立って、公団として取扱いをきめていく、こういうことで処理すべきものだというふうに考えております。今自治庁からお話がございましたように、私どもも、地元公共団体に今申しました手続をとりますと同時に、自治庁にも私どもの疑問にしているところを訴えたことは事実であります。従って、自治庁考え方においても、やはり主体建築物ができ上っているという状況であれば、使用開始時期とは別に、やはり固定資産税対象にする。これは公団だけでなくて、課税権者としての認定一般の考え方として、そういうことで行われておるということでありますから、私どもとしては、そのような考え方に承服するという考え方でございます。
  41. 田中一

    田中一君 八八%出来高というものは一〇〇%出来高でないということは数字でおわかりと思います。そういうものも柏市では課税しようといった場合に、それでもかまわずやれというふうに従来指導しているのですか。
  42. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 八八%の意味がよくわからないのですけれども、たとえば付帯設備が抜けておるという問題でありました場合には、先ほど申しましたように、家屋に対して課税をすることになっておりますので、主要構造物につきまして家屋認定ができるようになっております場合は、課税すべきだというふうに考えているわけであります。その場合におきましても、たとえばたびたび申しますように、壁を塗っていないのだからまだ九〇%しかできていないのだ、こういう場合におきましては、家屋におきましても不動産登記をできる状態でございます。その場合には法律に言っている家屋に該当する、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
  43. 田中一

    田中一君 そうすると、上屋と壁と屋根と入口が閉してあれば、それが建物だ、住宅だという認定をするのですか。
  44. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 使用できる状態にありますならば、家屋という認定ができると思います。ただ実際問題といたしまして、その家屋がまだ本当に使うのには半年以上もかかるような状態にあるのか、一、二カ月でもう入居できるような状態にあるのか、そういうところが、やはり情状がある程度酌量されてしかるべきものじゃないだろうかというふうには存じておるわけであります。
  45. 田中一

    田中一君 そうすると、一方的に柏市の要求というものを聞いて、その程度ならよかろうということでもって、自治庁としては当然払うべきものだというように公団の方に返事をしたわけですか。
  46. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、柏市の実際の問題は私実は聞いておらないのであります。ただ家屋に対しまする課税は何十年来ずっとやってきておるわけでございますし、また一月一日現在で家屋になっているものを課税をする、その以後のものは一年間の間は、かりにでき上ってもその年の分は課税しない、こういうやり方をずっと繰り返しておりますから、慣習的にどこでも異議なくこの問題については行われている。近来、こういう問題については訴訟事件もないし、大体安定している、こういうふうに私たち存じております。
  47. 田中一

    田中一君 公団の方ではどういう努力をしたか、もう一ぺん伺いたいのですが、問題は法律にある通り、一月一日現在の現状ということになっているから、それを課税すべきやすべからざるやという点は微妙なものなんです。おそらく公団は確かに高い家賃だという国民の非難を受けておるような現状においても、高い家賃を上げて公祖公課分までも、微妙な段階にあるにかかわらず、課税さして入居者から取ろうというような考え方はなかったと思う、実際は。しかし、あなたの方で、今言う通り自治庁にも折衝したと思いますが、あなたの方でその現状を顧慮せずして、一応そういう状態ならこうだというような答弁をしているのじゃないかと思います。従って、公団としてはどういう努力をしたか、私は努力した上にかつ異議申し立てをしないということは、やはり国民に納得させられないほどの現段階においては、手落ちがあったのじゃないかという考えを持つのですが、もしもほんとうに鋭意柏市にも折衝し、なお自治庁にも折衝したというならば、納得のいくような形の手続法律でもってきめてあるのでございますから、それについて手続をしなかったというそしりは免れぬと思います。それについてどう折衝したか。
  48. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 全体として固定資産税の問題については、前々の委員会からいろいろお話がごさいましたように、これについての課税額、負担額というものは、できるだけ安くしてもらいたいというのは公団の全体的な気持と思いますから、もちろん柏市の問題についても疎漏の考えをもってこり問題を処理しようというつもりももとよりなかったわけでございますし、そういう意味からいたしまして、先ほど来お話がございましたように、なるほど異議申し立て手続を正式にとらなかったということは、これは形式上から申しますれば、私どもとしては異議申し立てをすべき権利が与えられておりながら、その権利を行使しなかったということはどうだというおしかりを受ければ、なるほどその点については、あるいは形式上もう一段異議申し立て手続まで踏んで、この措置をとるべきだったというのもごもっともかと思います。しかし私どもの課税評価額の問題にいたしましても、それからそれに適用される時期の問題にいたしましても、全般を含めて、柏市と何回か繰り返し足を運んでおったわけでございますから、そういう意味合いからいたしまして、史質的な私どもの努力は、できるだけ柏市で、三十二年度課税対象からはずしてもらえるものならはずしてもらいたいという気持を持って折衝しておったわけであります。まあ、これはしかし口頭その他でもって担当者その他と、市当局と話をいたしておりますから、結果として現われたものは、最終的には公団の正式の意思表示としては、いわゆる陳情書の形で、三十二年度課税対象にはならない、これを認定をしてもらうことはできないか、こういうことで最終的な話し合いをしたつもりであります。そういうことでるる公団の立場を述べた結果としまして、今先ほど来お話がございましたような、一月一日現在の固定資産税対象に付すということで認定せらるべきものだと判定せられました以上は、これは事後の手続に従って、私ども公祖公課を課そう、こういうことで処置するほかはないということで運んだのであります。全体としてこの文書に表われた方式としてはそういうことでありますけれども、その間における評価方式なり、先ほど四万円というお話がありましたが、これもかなり地元の公共団体と折衝をし、最終的には自治庁にも相当の時間をかけて御協力いただいて、その評価をした、それら全体を見ていただきますれば、固定資産税の問題については、私はかなり手は尽したつもりであるというふうに思っておるのであります。
  49. 田中一

    田中一君 奥野さんに伺いますがね。昭和四年二月三日付の大阪地方裁判所の民事第六部ですか、の判決を資料として発見したのですけれども、こういう判決をしておるのです。「屋蓋を設け人の起居出入しうる内部構造を有する程度の工作物ならざれば地物と云うを得ず」という判決が下っておるのです。従ってあなたは今当事の状況をお知りにならないから、ここでとやかくいうことは差し控えを願いたいと思うのです。ただこういう「屋蓋を設け人の起居出入しうる内部構造を有する程度の工作物ならざれば建物と云うを得ず」という判決例が、大阪地方裁判所民事第六部の昭和四年二月三日の日に下されておるという事実があるわけです。そこで非常に微妙な問題です。御承知のように、社会問題として今日公団の値上げの問題は、非常に入居者の立場からみる場合に、また将来公団住宅に入ろうとする方々の気持というものは、おそれをなしておる実情だと思う。ことに明年から——昨年までは月収二万七千円から入居する資格があっうのでございますが、本年度できたものからは、三万五千円程度の収入がなければ入れないと思う。そうすると国民の入る家じゃない、やはり大衆の入る家じゃないという考え方を持っております。従ってこういう判決例を見ても、公団としては柏市に対して行政訴訟を起すという意思がなければならぬと思う。今までは法律に基く異議申し立ての期間というものがある。この点に対しては多少の手落ちはお認めになったように私見受けましたけれども、そういうことをするから問題が起るのである。公団としては行政訴訟を起すという意思はありますか、またなくてはならぬと思う。というのは、今あなたがるる申し述べられたような柏市、自治庁等に対して折衝したという経緯があるならば、それを具体的に国民に納得させる意味において、起すべきが妥当であろうと思う。ここで加納総裁は非常に強気をもって契約に基く立ちのきは当然時期がくればやるのだということを言っておりますので、それはそれでやってごらんなさい。当然法律に基く公団の運営でございますから、やるべきものはおやりなさい。しかし同時にそういうようなあいまいな状態にあったということが、今渋江理事の言葉を聞いても立証される以上、行政訴訟を直ちに起すという努力がなくちやならぬと思う。従ってこの点について総裁の御意見はいかがですか。
  50. 渋江操一

    参考人渋江操一君) その前に……。
  51. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) どうぞ。
  52. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 私からちょっと申し上げさせていただきたいと思います。今お話がございましたように、入居者固定資産税を負担することについて納得してもらうという努力を一方にしておる。柏市の場合については今まで一方にそういう問題がございましたけれども、入居者に対しては七百円程度固定資産税、公祖公課相当額はかかるわけでありますから、それを御判断の上で一つ正式の契約その他を結んでいただくようにお願いしたい、こういうこともあわせて契約前にお話し申し上げて、契約の段階に至り、そうしてそういう経緯を踏んできて、入居者の方にはかなり手を尽したつもりなんであります。そういう前提でもって契約していただきまして、なおかつできれば入居者の立場として三十二年度課税対象からはずしてもらえればもらいたかった、こういうことがあとで出てきたと思うのでありますが、しかし契約当時については、それだけの手を踏んだ上において公祖公課相当額というものがある程度かかりますということを、入居者にそれぞれ公団意思は徹底したつもりでありますが、その上で契約していただいたのでありますから、私どもは入居者の立場に立って、やるべきことを十分やってなかったというおしかりでありますが、今振り返って見れば、私どもとしてはかなりこれには手を尽して、入居者に知っていただくべきことを知ってもらつたということのように考えております。そういう点田中委員から、まだそれでも十分でなかったというおしかりがあるようでありますけれども、当時の状況としては、私どもとしては、ことに光ケ丘の場合については、相当公団の立場としてやるべき注意なり、努力すべき点なりはやったというふうに私どもは感じているのであります。なお、そういうおしかりがあるのでありますから、今後の問題としては注意したいと思いますが、こと柏に関する限りは、相当の努力をしたというふうに考えているつもりであります。
  53. 田中一

    田中一君 私は公団側が努力をしないと言っているのじゃないんです。最善なる努力を払ったろうと思うのです。思うが、入居者並びに国民全般に与える印象というものは、今言うように固定資産税地方税法によるところの権利の行使という、異議申し立てということがなされておらなかったということです。従って今まで折衝したということは、異議申し立てをすべき折衝だと思うのです。その手続を正式にしてないから納得できない面があるのであって、私今申し上げたような、昭和四年二月三日の大阪地方裁判所の判決例もありますから、公団は直ちに行政訴訟を起して最善の、当然地方税は徴税されるべきものでないという根拠から訴訟を起しなさい。むしろ起さなければ、一方的に入居者に対して自分の方の手続上の最善は尽したというその行為は尽しておらないという結果になるわけです。従って行政訴訟によって、これこれのものに対しては固定資産税をかけるべきものでないという訴訟を起しながら、入居者に対しては、先ほどから加納総裁が言っているように、どうか法律によるところの公団の権利を行使なすって、出すなら出しなさいというんです。今の場合にはそういうような最善を尽しておらない。最善を尽すというのは、入居者並びに国民に対して納得する形のものが出てこなければならぬと思うのです。その形というのは今言う通り入居者に対して立ちのきの、明け渡しの訴訟を起すど同事に柏市に対しては当然行政訴訟を起して、今のような大阪の地方裁判所に起ったような好結果をもたらすような努力をしなければならぬと思うのです。この点については総裁はどういう考えを持っておるか。いいかげんなことを言うとえらいことになりますから、強気でなくやって下さい。
  54. 加納久朗

    参考人加納久朗君) 私はいいかげんなことをこういう神聖なところで言ったことはありません。そのことを前に申し上げておきます。それからこういう仕事をやって行きますには、やはり地方自治体とよく相談して、円満に話してゆきませんとできないことでありまして、光ケ丘団地を作りますのも、初めから柏市が非常に協力をしてくれまして、そのおかげであれができたようなわけでございます。できたあとでも道路の問題、学校の問題、その他について柏市の希望をいれ、こちらからも希望を持ち出し、ある程度までこちらが道路を半分作ったような次第でありますのを、また柏市があとからまたよく直すからといってそれを手直しをしたというような事情もあって、すべて円満に話をして柏市とやっておるわけであります。  それから家の課税状態でございますが、私は自分がせっかちだものですから、たびたびあの工事には行って見ております。それで一月にはりっぱに家ができてもう入れる状態になっておるのですが、まだ道路ができ上らなかったというようなことで入居が三月までになりましたのです。従って柏市が固定資産税をかけるべきものである、どうかなりませんかど言っても、いやもうこの状態だからかけますよと言ったときには、私は円満にその認定に従う方がいいと思います。従いまして、私は行政訴訟を起す意思はございません。
  55. 田中一

    田中一君 加納さんがやっておる加納住宅会社ならけっこうでございますが、少くとも法律できめられておる問題であって、あなたの主観というのは必要でないのです。あなたは法律によって与えられた権利と義務だけを行えばいいのでありまして、あなたの御意見は伺いたくないと思うのです。従ってあなたがおっしゃっておるように当然課税さるべきものという前提に立つならば、なぜ理事者を使って柏市なり、自治庁に折衝したのですか。あなたの立場は個人の意思はないのです。公団総裁としての立場でものを言わなければならないと思うのです。まあ加納住宅会社ならいざしらず、住宅公団というものはあなたの認定するものでなくして、法律によって与えられた現状によって課税なり何なりされるものであって、この点は今渋江理事がるる自治庁なり柏市なりと折衝したというものとはおのずから違うのですよ。そして総裁は今言う通りこの状態ならば課税さるべきものだという認定が何の根拠をもってされたかということです。今ここに、私の手元にあります資料から見ましても、店舗等は八八%できたはずです。八八%というものは完成というものではなかったはずです。従って現場をあなたが見てこれはよろしい、これは悪いという認定をされたのか、それとも観念的なものであって、柏市にいろいろお世話になったから、御恩返しにその税金を払いましょうということなのか、そういう言葉をあなたの口から聞(ことははなだ遺憾と存じます。
  56. 加納久朗

    参考人加納久朗君) 私は自分総裁という職務を尽しておりますので、私はみずからの目で見て、これでいいということでもってやっております。でありますからして、すべて私の責任であります。でありますからして、もしこの加納総裁がやっていることが悪いということであったら、どうか議会の方から政府の方へおっしゃって、私を免職されたらいいのです。私は最善を尽してやって、これ以上やる必要はないと思って自分ば自信をもってやっておりますから……。
  57. 田中一

    田中一君 現に資料として八八%しかできなかったと示されておるにもかかわらず、それは完成したということの認定はあなたの間違いであります。私は加納さんは相当熱心にこの住宅問題と取り組んでおるのはよく知っております。その点は尊敬しております。しかしながら今いうように柏市からいろいろ世話になったから、だから八八%出来高のものを一〇〇%できたという認定に対しては、私は間違いを犯しているということを言っているのです。
  58. 加納久朗

    参考人加納久朗君) それは少し言い方がちゃんぽんでおかしいのですよ。そういうことを言っているのじゃないのですよ。この仕事をするのには法律ばかりで、理屈ばかりで、けんかばかりでいくものではないのです。やはりこれだけの仕事をやっていきますには、地方公共団体と円満に話をしてやっていかなければならないということをまず申し上げたのであって、不都合だからすぐ行政訴訟を起す、そういう気持には私は絶対になれない。それから八八%と田中さんがおっしゃるけれども、一体あなたはどれだけ見ていらっしゃつて八八%とおっしゃるのですか。責任者の私の方が見て、もうすでにこれに適していると思ったらそれでいいじゃありませんか。
  59. 田中一

    田中一君 私はそういうのは論議にならぬと思うのです。問題にならぬと思うのです。従ってそれでは直ちに一月一日現在の出来高をお示し願いたい、公団から。
  60. 加納久朗

    参考人加納久朗君) それは出しますがね。建設大臣というものが私の方をよく監督しております。私がいけなければ私をおやめさせになったらいいのです。小さいことで一々かれこれおっしゃっても、これだけの大きな仕事をできるものではありませんよ。田中さんはさっきから聞いていると、光ケ丘登記はいつか、それを持っているかどうか、きょうここへくるときに、光ケ丘の問題でこういうことを聞くから、証拠を持って来いとおっしゃれば別ですけれども、きょういきなりここにきてそういうものを持っていないから不都合だと言ってもそれは無理ですよ。この神聖な議会でもってそんな無理を国民参考人に対しておっしゃるものではないと思うのです。
  61. 田中一

    田中一君 無理か無理でないか、渋江理事は今おっしゃる通り、今直ちに持って参りますと言っております。総裁は口を慎しんでもらいたいと思います。それから総裁は今指摘されていたように、三十二年一月一日の現状というものの出来高をすぐお示しを願いた、と思うのです。これはすぐあると思うのです。問題は、あなたは柏市とか自治庁というものに対してはあまり抵抗を示されないで、一番弱い入居者に対して権利を行使しようというお考えを持っているのではないかと思うのです。
  62. 加納久朗

    参考人加納久朗君) そんなことはない。
  63. 田中一

    田中一君 ということは、今言う通り渋江理事は、これは微妙な問題であって、課税さるべきものか、するものでないかということがはっきりわからぬと、しかしながらできるならば今の現状では課税してほしくないということ、これは柏市なり自治庁なりに折衝するということを言っておるのです。あなたお聞きになったはずです。そういう状態ならば、入居者の方では家賃が高いのは困るのだと言っておるのですから、そういう状態は最善を尽して、一方行政訴訟を起しなさい。そういう意思があったんですから。あなたは自分でもっておれが見たんだからいいと言うけれども、総裁がものをきめなければすべていいということではないのです。法律があなたの権限というものをきめておるのです。それによって建設大臣があなたを監督しておるのです。従って先ほど言っておるように、加納住宅会社ならいざ知らず、この住宅公団総裁というものはおのずから限界というものがあると思うのです。同じ役員であるところの渋江理事は今言う通り最善を尽して、課税されないような現状ならしてもらいたくないと思って、折衝すると言っておるんで、あなたはあなたでもって、このおれが見たならば、これは課税すべきものだから、それで何が悪いと言っておるが、そういうものではないんで、国会というものはそういう形の審議をするもので、おれにまかせろということでは審議はできません。
  64. 石井桂

    石井桂君 ただいまやりとりをお聞きしていますと、まあ完成しなければ固定資産税課税できないように受け取れる議論なんですが、そういうふうなんでしょうか。ちょっと奥野部長に御参考にお聞きしたい。
  65. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 家屋と見られるか見られないか、これが課税できる時期になっているかなっていないかであります。柱を立てただけではそれは不動産としての家屋にはなっていないと思います。しかしながら上壁を塗っておりませんで、あるいは電灯線を引き込んでおりませんでも、それはやはり不動産としての家屋にはなっておるかもしれません。従いまして、完成という言葉で議論をしたのでは、家屋に対する固定資産税課税する時期になっているかどうかということにつきまして問題がこんがらかる、こう思っております。宏屋として使用できる状態になっていますならば、それは家屋である、そういうふうに私たち考えておるわけであります。従いまして、付帯設備はもちろんこれも論外というふうに存じております。
  66. 石井桂

    石井桂君 それで私がもう一つ疑問に思うのは、今大阪地方裁判所の判決というのを田中委員に伺ったんですが、私がそれをお聞きして今形を想像してみると、屋蓋を設けてということがあるんですが、これは屋根だろうと思うのです。屋根を設けて人が住まえるようにならなければ貸しちゃいかぬ、こういうような判決だったと思うのです。もっとも正確にはわかりませんが。そうするとまあ家屋なんというものは六〇%、七〇%、八〇%、まあパーセンテージによって違いますが、たとえば壁などが塗ってなければ八五%くらいになるんだな。仕上げができてなければ。そういうときでもやはり住みたい人が多勢いれば住まわせるのがこれは人情だ。住みたい人から言えば早く貸してくれということになるのだろうと思うのです。その前に八五%だからつまり固定資産税課税できないという建前になっておれば、法律でこれはもう明らかに軍配がどっちに上るかわかると思うのだけれども、固定資産税をかけ得る現状は人の住まい得る程度だけじゃ非常にこれはきめ方が大ざっぱなんですね。だから屋根を設けて荒壁をつけてということだと、コンクリートは屋根だけ打って壁をつけて、窓のわくをつけてガラスを入れれば、仕上げができなくても住めると思うのですよ。一体どういう程度をさすのか、それが問題なんで、それによって議論が分れてくるだろうと思うのですが、今自治庁ではどういうところをねらっているのですか。
  67. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 実は家屋というのは、建築にかかりましてから、かなり広い範囲を家屋として従来から取り扱っております。田中さんの御指摘になりました判例は、実は私は非常に広い範囲の家屋に言っているように読み取れるのですが、おそらくそういう争いではないかと思うのですよ。大体雨露をしのげる程度になれば常識的に家屋と言える。人が住めるとか住めないとかいう議論、あるいは人を入れるか入れないかという議論、いろいろございましょうけれども、法律的に家屋になれば、これは不動産の扱いを受けるわけであります。これは広い意味でありまして、従来からたくさん判例がございますけれども、かなり広いものを家屋と言っているわけであります。自分家屋であります場合には、仕上げができておりませんでも、もう住み得ると思うのでありますけれども、賃貸住宅になりますと、今総裁がおっしゃいましたように道路まで整備してかかった上で使わせると、こういうことになるだろうと思うのでございまして、法律的には家屋というものは、雨露をしのぎ得るところまででき上っていれば不動産としての家屋でありまして、不動産登記をすれば不動産として受けつけておるはずだと考えております。また、そういう判例もずいぶんたくさんございますので、この点も申し添えておきたいと思います。
  68. 石井桂

    石井桂君 もう一つ御参考に私は申し上げておきたいと思うのですが、建築基準法などで竣工した場合に竣工届というものを出させる。これは法律で必要要件を満たしてあれば、でき上って仕上げがしてなくても落成を認可するのですよ。だから法律の建前がねらうところによって、たとえ工程が六〇%であっても、法律で要求しているつまり制限条件を満たしておれば竣工とみるのですが、ただその法律によっておのおの標準が違うのではないかと思うのです。建築基準法でいえば、家がすっかり竣工ができて道路に飛び出しちゃいかぬという規定があれば、飛び出さないで仕上げる見込みああれば、仕上げができてなくても竣工と認めるが、法律の目的に合致した点から出来高を判して、まあ未完成でもいいとか何とかいうことになる。ところが固定資産税をかける時期が一体何パーセントでどういう状態、仕上げがないような場合でもかけるのが妥当かどうか、あるいはほんの未完成でも人が住み得る場合にはもう使用したらかけ得るのか、そこら辺が今の政府当局と田中委員のやりとりではわからないので、それでお聞きしているのですが、もうちょっと奥野さんからうまい、わかりやすいような御答弁がございませんでしょうか。
  69. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 税をかける時期は非常に重要な問題でございます。固定資産税の場合には毎年一月一日現在の実況で課税するか課税しないかをきめてしまうわけであります。しかし不動産取得税のような問題になりますと、これはいずれは課税できるわけでございます。固定資産税の場合はずっと継続していくものでございますから、そこで不動産取得税の場合と固定資産税の場合とは立法を異にしているわけであります。固定資産取得税の場合には使用の始まったときを課税の時期だと、こういうような態度をとっております。固定資産税の場合には家屋と呼べるようになったときが課税の時期だと、こういうことにしておるわけでございまして、従いまして、三月四月にもう使用現実に始まっておるものならば、一月一日にはもう家屋と呼べるものであったということにまあ普通はなるのじゃないだろうか。また、そうしませんと、翌年の一月までにはもう課税ができないわけでありますから、むしろ不公平になるのじゃないだろうかと思います。しかしバラック建てのようなものであって、三月四月に開始したものでも着工が一月だということもあると思いますが、しかし鉄筋コンクリートのような大きな建物であったら、三月に現実入居しておるなら、一月一日にはもうすでに当然家屋と呼んで固定資産税課税ができる時期だったと、こう私には思わざるを得ないのであります。争いのない状態度でないだろうかと、こう実は思わざるを得ないのであります。大体において主体構造ができ上っておって、住もうと思えば住める、雨露がしのげる、こういう状態であれば家屋でございまして、不動産登記の場合も登記を受け付けておるわけであります。
  70. 田中一

    田中一君 私はなぜ公団がそれに対する訴訟を起さんかという、起せということを勧めるかというと、今のような問題は、将来ともにたくさん同じようなケースをもって起ってくる。住宅公団というものは今年度あるいは来年度つぶれるものではないのです。一応相当の金を投資し、分譲もやっておるのですから、これは継続されるのです。従って国民に明確に、今自治庁のやつもあいまいです。なかなかケースケースでもって違うでしょうから、あいまいです。それを的確に国民に知らすためにはやはりそうした訴訟を起して、そして一つの判決例をとって国民に示すことが、一番親切な方法なんです。あなたは訴訟なんか起す意思はないということをはっきりおっしやるのですけれども、それでは国民は納得しないのです。従って今後公団というものは継続して事業する以上、やはり今のような問題については、これは私は光ケ丘団地のことだけ申しておりますが、ほかの団地もあるでしょう。そういうものに対してあいまいなものがあるならば明確にすべきです。そうして契約に基く家賃の値上げはおやりなさい。しかしながらあいまいであるということになると、これはもう国民の前にはっきりと、くどくど申し上げますけれども、これは加納さん個人の事業ではないのです。また国民全体が相当かような三万二千円以上の所得の国民がほしがっておるものです。従ってあいまいでない態度を示さなければならぬと思うのです。それには今申しましたこの一つのケースによって、一応入居者が契約に違反した場合には当然これは立ちのきの訴訟を起すでしょう。同時にあいまいな課税に対しましては、訴訟を起して明確にすべきが公団将来のために幸いであろうとこう考えておるのであります。弱い者だけにしわ寄せするという考え方は持ってならぬと思う。あなたはそういうお考えを持っておらぬだろうと思いますけれども、しかし現にあなたの部下の理事はすでに柏市なり自治庁なりに折衝して、何とかこれは該当しないのじゃないかという折衝をやっておるにかかわらず、値上げを強行したりなんかということになるならば、そのために現在問題が起きているのでしょう。それを解決するためには最善なる道をとるべきが妥であろうと思う。従って今私が申し上げておるようなことに対して、政府はどういう考えを持っておりますか。公団へすっかりまかしてあるから、公団意思一つでものをきめてよろしいという見解か、さもなければ今言う通り新聞紙上に出ておるような、公団固定資産税値上反対というこの運動に対して、解決しようという意図があるから私はあえてこの委員会発言しておるのです。それは奥野君の答弁だって石井君の質問に答えたものすら的確につかめておりません。それはケースケースで違うでしょう。そこでそういうものをはっきりさせるためにも当然行政訴訟を起して、明確にすべきが将来の公団のために必要ではないかという考えを申し上げておるわけです。政府はどういう考えを持っておりますか。
  71. 堀内一雄

    説明員堀内一雄君) まことに重大な事柄でございますが、監督省としての建設省意見加納総裁を信頼いたしまして、そしてそのやったことを支持しているのでございます。ただ、しかしながらただいまいろいろお話がありしましたから、今後なお調査いたしたいと思います。
  72. 田中一

    田中一君 ちょっとこれは私が申し上げて間違ったら、これは渋江君からも訂正してもらいますが、東京都内の国立、蓮根、この団地固定資産税がかからんそうですね。かかっておらんそうですね。はっきり答弁して下さい。
  73. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 蓮根、国立とも家屋に対する固定資産税はかかっておりません。土地についてだけ固定資産税がかかっております。
  74. 田中一

    田中一君 私が調べました資料によりますと、国立の第一、第二工区は三十二年一月一日現在では竣工しております。同時に蓮根の方も第一と第五工区、これは竣工しております。従って竣工しておってもかけない分もあるのでございます。いいですか奥野さん、かけない分もあるのでございます。これは住宅局長加納総裁もよくお聞き下さい。私の資料が間違いでないことば今渋江理事から裏書きされましたけれども、はっきり申し上げます。従って竣工しているものでも行政措置か何かでもって課税しないものもあるのです。しかし光ケ丘の場合には、非常に公団側としては課税されないのではなかろうかと思うからこそ折衝しているにかかわらず、課税された。それに対しまして、行政訴訟も起さずにそれが正しいのだという総裁のお言葉というものは私は受け取れません。従って国立並びに蓮根の場合、どういう経緯で課税されないのか、この点を御答弁願いたいと思う。と言って渋江さんに申しますが、だから私がこういう質問をしたから国立や蓮根が今度課税される状態になったのでは、これはえらいことです。(笑声)これは速記録を抜けということは言いませんけれども、一つの意見として申し上げているわけでございますから、その点もお含みながら御答弁願います。
  75. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 今私その点をお答えしたいと思ったのです。田中委員からそういうアンバランスはできるだけなくせ、従って課税権者のつまり課税認定ということについて、本来課税されるべきものを課税しないものであっても、いわゆる公平論からむしろ課税すべきが相当なものの取扱いをどうするか、こういうお話でありますが、私どもの公団考え方としては、まあ先ほども申し上げましたように、終始一貫しているつもりであります。できるだけ入居者の負担のかからない方法において課されるならば、その方法を選びたいということだけであります。従って、課税権者課税し得べくしてその課税権を行使してもらわないでそのままになっておるものは、これはあえて求めて課税してもらう道を選ぶ必要はない。その根本の考え方光ケ丘についても同様な考え方から出発しているのであります。しかし言うべきことを言って、その結果として課税されるべく認定そのものが正当なものであるということであるならば、これは私どもは正当にその認定に服するということは、これまた当然のことではないかということでしておるのであります。それで、田中さんからるるお話がございましたけれども、入居者の立場といたしましては、これは三十二年度課税対象になることはこれははずすということですね。つまり一月一日現在の課税対象になる認定からはずしてもらって、いわゆる三十二年度はまるまる課税対象にならぬというのは、それは考えても無理だろう、これもその通り言っておるのです。それはそういう国立とかそういったものに比べてもっと何とかやる余地があるのではないかということも、これは公平論から言われております。しかしその公平もおのずから課税技術上許される限度を越えては、私どもは言うべくして無理ではないかというふうにも考えておるのです。そういう点から現在出ております結論については、私どもとしてはこれは納得していただけるものだというふうに感ずるわけでございます。
  76. 田中一

    田中一君 奥野税務部長も、このようなことがあるから取れるといって指示しては困ります。しかしこういう事実があるにかかわらず、国民が納得しない面があるからこういう運動も起っているのです。そこでですね、私は別の方法で柏市の協力に対しては恩をお返しする方法があると思うのです。ただ今言う通り、当然柏市が取らなければならないのだという現状で取るというならば、やはりそれを納得するならば、行政訴訟を起して入居者の前にはっきりと結論づけることが正しいと思うのですよ。将来の公団の運用の面からいってもそういう納得がなくちゃならぬと思うのですよ。そういうことができない、あるいはしないということは、これは何といいますか、財界の大物の加納さんにしてはちょっと言葉が過ぎたのじゃないかと思うのですよ。これはやはり国民のための住宅なんですよ。柏市のための住宅でもなければ、それから政府のための住宅でもないのです。従ってこういうアンバランスもあるのですから、柏市の場合には納得する形の行政訴訟を起して、結論をつけて、国民の前に知らせるということが適当でないかと思うのです。これは奥野さん、あなたなどが行政指導をして、やはり円満に解決さすということも一つの方法なんです。また建設大臣は本年度はどうもしょうがないけれども、次年度は何とか方法をとろうということを言明しておるのです。従って私の言っているのは固定資産税というものが不当に課せられたのではないかという点も今日は追及しておるわけなんでして、家賃が高額に失するということは当然なわれわれの主張であり、反省を求めている点でありますけれども、今の場合はその竣工までの、完成までの工程において無理があったのではないかといっているのですから、これは当然行政訴訟をあなたの方でも起すようにお進めになっていただきたいと思うのです。ただ、入居者にお前たちは家賃が高いといって反対するから、契約に基く期限が来たならば全部立ちのきの訴訟を起すということだけでは解決にならないのです。そういう点はもう一つ建設省並びに自治庁それから公団、この三者において妥当な線を出すような努力をしていただきたいと思うのです。奥野さんどうです。
  77. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 住宅公団住宅に対します固定資産税の問題につきましては、いろいろ地方で紛議が起っておりますし、また住宅公団からも大へん御熱心な御意見もございましたので、今後にいろいろな問題の起って参りますることを予想しながらも、あえて元来市町村が独立して評価すべきものを自治庁評価の基準を地方に通達したような次第でございます。従いまして、この前の措置をとっているのならば、当然私たちはこれで問題は全部結着するものだ、こういうふうに考えておりますので、その点は私たちの努力いたしました点も御了承を願っておきたいと思うのであります。
  78. 田中一

    田中一君 政府側としては十分検討しようという今政務次官から発言があったのですが、奥野さんの方もこれはやはり相当検討して公団——だいぶ加納さんはいきり立っておりますけれども、一つ加納さんにもよく納得願って、国民のための公団住宅なんです。もっともこれは高額所得者に対するものでございますけれども、この高額所得者も今言う通りの反対をしているのですから、その点については一ぺん話し合って下さい。そうしてなるべくせっかく家を求めて入ったのですから、それに対して納得という形はやはり合法的に一つの姿を出さなければ納得をするものではないのですよ。おれにまかせろという思想は私はよくないと思うのですよ。加納さんも渋江さんもそういう点について全国的な視野から見て公団というものを育成するならば、そうした措置をとるようにしていただきたいと思うのですよ。
  79. 加納久朗

    参考人加納久朗君) 御趣旨はよくわかりました。けんけん服●いたします。
  80. 坂本昭

    坂本昭君 田中委員からの質問でほぼ尽きていると思いますが、なお関連して若干私の考えを付け加え、また御意見を承わりたいと思います。  公団がかねがね非常な努力をしておられて、特に今問題になっています光ケ丘団地についてはデパートもあるし、診療所もあるし、一つの住宅環境として、団地としての新しい考えをもってやっておられる、そういう努力を私は非常に高く評価もするものでございます、一応は。ただし一応はでございます。そこでその点は先ほど来だいぶ加納さん、自分の努力が認められないということで非常に御不満のようでございましたが、そういう努力はお認めするものですけれども、大体きょうの論議は、だいぶ法律論が中心であったのですが、法律というものは、法律のために私はあるのではないと思うのです。たとえば、今家屋はどういうものであるか、住宅とはどういうものを呼ぶか、これは先ほど来奥野部長の見解では、不動産登記というような一つの条件をあげて、家屋というものの概念を説明しておられたのです。しかし法的な家屋の概念というものは、時代によって当然変遷してくるものだと思うのです。なるほど大昔ならば、雨露をしのげればそれが家屋であったと思う。なるほどそういう意味では、先ほど昭和四年のあの民事の例をあげておられましたが、そういうものを家屋と呼んでもよかったでしょう。しかし、今日私たちは、家屋というものは、そこでわれわれが近代的な、憲法で保障された最低生活のできるそういうものをわれわれは家屋と呼び、住宅と呼ぶべきだと思う。従って、先ほど付帯設備などはどうでもいいというようなお考えをたしか漏らしておられたと思うのですが、私はそうはいかないと思うのです。やはり水道もあり、電気もあり、ラジオも聞ける、場合によればテレビも見れるという状態、これがほんとうの住宅というものである。特に私申し上げたいのは、住宅公団というものは、一つの公営方式をもって国家が責任を持って国民の住生活というものを保障しようとして作られた組織だと、そう思うのです。そうしますと、当然この家屋というものに対する概念を自治庁でも根本的に考え直していただきたい。実は私もまだこの家屋に対する固定資産税については研究不足でありますから、私もこれから研究していきたいと思うのですが、今承わっておった範囲では、どうも自治庁の見解というものは、何か国民全体としておそらく納得しがたいものではないか。特にわれわれが今問題としているのは、そこで住めるだけじゃありません。少い家賃で住めるということ、これは田中委員が最も指摘された点でございますが、低家賃であるということ、これは高額所得層の人は別として、実際はそんなにたくさん高額所得層の人はおらないのです。ですから低家賃ということは国民全般にとって必然的に基本的に大事な点なんです。そこで特にこの住宅公団が今置かれている、この国民に対する住生活の保障という大きな使命を総裁は特に考え起していただきたい。  で、二つお聞きしたいのですが、一つは自治庁奥野部長に、先ほど田中委員質問されましたが、当面の住宅公団固定資産税の問題、並びにまあこれの一番の基本になるのは公営住宅の問題ですけれども、公営住宅については、今までいわば特例的に特別な措置がとられていますが、こういう措置は明年度も、あるいは将来ともにずっと続くものであるかどうか、あるいはまたそれに関連して、公営方式で行われているこの住宅公団について率直にどういう見解を持っておられるのか。実はこの間住宅局長に伺ったのですが、住宅局長の見解では、これは個人的な見解であったかもしれませんが、明年度自治庁の見解としては、住宅公団固定資産税の減免免除についてはきわめて悲観的である、そういうことを少し触れておられたのです。これについて重ねて自治庁の見解を承わりたい。  それからもう一つ、住宅公団総裁に対しては低家賃ということ、とにかく家賃が高いからこういう問題が起っているのであって、住宅公団として低家賃の問題についてどういう考えを持っておられるか、特にこれは最も張り切っておられる総裁にはっきりした御意思を承わりたい、以上です。
  81. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 住宅公団住宅に対します固定資産税につきましては、事務的には現在以上に特別な法的措置をとるという考えは持っておりません。またそのこと自体はきわめて不公平な結果になりはしないか、固定資産税全体のバランスがくずれてしまう、こういうまあ考え方を強く持っておるわけであります。
  82. 坂本昭

  83. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) なお公営住宅の問題につきましては、公営住宅住宅公団住宅とは同じようだとおっしゃいましたが、私たちは非常に違うと思っておるのであります。国民が出し合いました税金をある意味においては公営住宅使用者に贈与しておるわけであります。言いかえれば国が二分の一なり三分の二なりの補助を与えておるわけでありまして、その補助分は家賃に転嫁させません。公団住宅につきましては、これは国民の出しました税金も使っておるでしょうけれども、それは償却費の形で家賃の中に織り込まれておるはずだと思います。従いまして公営住宅、言いかえれば低額所得者に供給する住宅につきましては、国民全体である程度の援助をしているわけでありますから、課税の面におきましてもある程度の援助を与えるということは、これははずが合っておると思うのです。しかし住宅公団住宅につきましては、一定の所得者以上の者を対象にしておるわけでございますので、税についてかりに減免をするということは、国民の租税につきまして、ある程度の贈与をすると同じことだろうと思うのであります。そういう意味では非常な不均衡を招来いたしまして、一般の固定資産税につきましては、小さい商店につきましても、みんな固定資産税を普通に負担しておるわけでありますので、不公平な結果になりまして、穏当でないと、こういう考え方でございます。  公営住宅につきましては、従来からできております公営住宅について別途家賃調整の問題があるようでございまして、家賃調整の問題があるならば、その問題と並行して府県有資産等所在市町村交付金の問題を考えたらいいのじゃないかと思っております。従いまして、来年度以降の問題につきましては、建設省家賃調整の問題をどう扱うべきか、それと並行して御相談申し上げたいというように考えております。
  84. 坂本昭

    坂本昭君 公営住宅につきましては、自治庁の御見解で納得できるのです。そして多分今後とも引き続いて今までの通りの政策がとられるだろうと、まあそれは期待してもいいだろうと思うのです。ところで今の住宅公団について、何か少し自治庁考えは違っておるのじゃないでしょうか。というのは、住宅公団というものは、私たちの考えるところでは、勤労者に対するところの住宅の保障であるとわれわれはそういうふうに考えておるのです。だから今の自治庁考えだと、何かこう住宅公団の方は高額所得者に対するものであり、公営住宅の方は低額所得者に対するものだというふうに非常にはっきりと分けておられるようですが、私は実はそう分けなくて、もちろん程度の差、内容の差はありますが、やはりそうはっきり分けるべきではない。従ってやはり住宅公団というものは公営住宅とは言いませんが、公営方式の一つの住宅であって、今のようにはっきりと区別して、住宅公団については考えないという、そういう行き方ではどうも国民の実生活から見て私は適当でない、その点考え直していただきたい、そう思うのでございます。
  85. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) あるいは私の答弁で誤解を受けているのじゃないかと思いますので、少し補足しておきたいと思います。かりに住宅公団住宅につきまして、固定資産税の負担を軽減するといたしまするならば、その固定資産税の収入は市町村の財源でございます。市町村の財源にしわ寄せして住宅公団住宅家賃の軽減をはかるべきかどうかということになりますと、これは私は穏当でないとこう考えておるわけです。住宅公団住宅につきまして低家賃政策をとることは、何も反対しておるわけではございません。御承知のように現在のところでは、家賃構成の中に占めます固定資産税は一割内外ではないかと思います。一番大きなものは何といいましても金利だと思うのであります。国がいろいろな形で融資しておりますその金利が、全体の家賃の中で半分以上を占めておると思います。ですから低家賃政策をとるならば、とる道はたくさんあると思うのであります。それを私は市町村の財源にしわ寄せするということは、他の家屋に対する固定資産税比べて均衡を失するのじゃないかと、かように考えておりますことを御答弁申し上げたのであります。
  86. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの問題については、自治庁の独自の見解があると思いますから、低家賃政策については、加納総裁の説明があった後に住宅局長建設大臣はおられませんから、次官あるいは局長から御説明いただくことにして、自治庁に対する御質問は終ります。
  87. 加納久朗

    参考人加納久朗君) ただいまの御質問に対しまして、三つの点をお答えしたいと思います。  第一は、できるだけ低家賃にしたいというために、調査、研究あらゆることを努力いたしまして、コストの引き下げということを努力しておるわけでありまして、従ってプリファブの研究、それから設計を規格化するというような点、それから資材の買い入れというような点についてもできるだけ注意を払う、たとえば鉄につきましては、かつては一トン十万円近くもいって困った経験もございますので、当時から三製鉄会社と交渉いたしまして、公団に対しては建値でもって引き続いてずっと供給してもらいたいということを交渉して、今日一カ月に千五十トンまでは建値でもらう約束をしております。今日では市価が下っておりますからよろしゅうございますけれども、今度は市価が上ってきたときに困りますから、それを保障しておかないと、公団建築費というものが常に動揺しなければならないというようなことで努力しております。そういうことで建設費の方については、相当切り詰めた点まで行っておるのであります。  それから第二の点を申し上げますと、一番困るのは土地なんであります。土地の値段が非常に上ってきて、これは公団でもどうすることもできないのでありまして、これも公団が買います場合には大きい団地を買うのでありますから、小さい所を買うよりは安く買うことができます。それから公団に対して売りました人たちが所得税を免除されるということで、これが一つの売手の方の有利な立場に立つものですから、そういうことで説得して非常に苦心して土地を安く買おうと努力しておるのであります。それでございますから、土地の今まで買いましたところを一々その付近の土地の値段と比べていただくならば、おそろしく公団は安く買っておる、こう私は存じております。  それから第三の点でありますが、しからばコストが下げられるか、結局詰めていきますと、その次は金利の問題になるのでありまして、ただいま賃貸住宅については四分一厘の金利で計算しております。分譲住宅の力は七分の金利で計算をしております。どうして四分一厘というものが出るかといいますと、今年の予算三百六十五億円のうち九十五億円政府が出資しております。それはただの金でありますから、それとそれから政府の方の資金を拝借するのが六分五厘、それとそれから市中で公団債を発行して借りますのが七分二、三厘につきます。それから銀行、保険会社等から借ります。ですから利息のついている金のパーセンテージが非常に大きいわけでございます。それでこれは市中金利というものはどうにもなりません。しかし、もし国家が融資して出資していただく、無利子のをもっとふやしていただくということならば、これが四分一厘が三分何厘になるということになると、賃貸住宅の方はずっと家賃が低廉になってゆくのではないか、こういうように存じておりますので、私がお願いすることは、政府の出資をふやしていただくということが今日では家賃を下げるという唯一の問題点にしぼられてくるんじゃないか、こういうように存じております。
  88. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 公団住宅家賃をできるだけ下げるように、また将来騰貴傾向にございますものを騰貴させないように努力いたしますことは、建設省としても当然努力すべき問題でございまして、来年度以降の問題につきましても、この建設費その他の問題もございますが、固定資産税というものも一つのファクターでございますので、この点についても何らかの協力を得られないものかということで、私どもといたしましては自治庁にも交渉はいたしておるわけでございます。しかし、ただいまの段階においての自治庁意見は、ただいま奥野税務部長が答えた通りでございまして、今後の私どもの折衝に待つわけでございますが、しかし地方税の問題というものは奥野部長意見を待つまでもなく、他にも波及するファクターが非常に多いわけでございまして、そういうことをにらみ合せながら妥当なところで解決できるように努力いたしたいと思っておりますが、地方税の問題は地方自治体の税収にもなる問題でございまして、きわめて微妙な問題でもございますので、ただいまのところこれをどういうふうに解決するめどがあるかということを申し上げる段階には立ち至っていないのでございます。  ただいま総裁から申し述べられました来年度以降の資金構成その他の問題につきましては、建設省も来年度予算において大蔵省に要求しておる次第でございまして、今建設省といたしましても最善を尽しまして、こういった方向に進むことを、ただいまといたしましては期待いたしておるわけでございます。
  89. 田中一

    田中一君 これは別の問題ですが、宇田川町の分譲住宅、これは四階建九十戸、三棟ですね、敷地は千五百二十六坪ということになって、これを分譲したのですが、ところがこの千五百二十六坪のうち三万ですね、宅地の三万六間、結局三百坪というものが道路敷に当るということになって、そのために地元とあなたの方と話し合いをしておることは御承知だと思います。そこで建売りをする場合、分譲をする場合はそれに要する敷地というものの考え方というものはどうなっているか、今三万が道路敷になって、それが三百坪滅ってしまう、従って道路に接近してアパートが持たれるということになるわけなんです。そういう点については基本的な態度はどういう形でやっているか、分譲しているか、道路というものを含んで分譲をしているのか、それとも初めから道路になるということを納得でもってやっているのか、それで宇田川町のケースとしてどういうふうになっているか。
  90. 渋江操一

    参考人渋江操一君) ただいま御質問のございました宇田川町の分譲住宅でございますが、これは土地の譲渡方式は全敷地を共有という形におきまして譲受人に売り渡す、こういう契約をいたしております、そういう取り扱いをいたしております。御指摘がございましたように、一部が道路敷になるという事態が新しく発生したのであります。しかしこの事態は実は契約当時わからなかったわけではなかったということも判明いたしました。当時宇田川町の敷地が区画整理の一応区域内に入っている、戦災復興計画による区画整理内に入っておるという関係もございまして、その区画整理の事業の施行に伴いまして、減歩を受けるという事態が当時予定されておったということであります。そういうことからいたしまして、今の土地全敷地を今までその減歩の対象になる土地までも含めて売り渡しの対象考えておった、取り扱っておったという点については、なお再調査、検討すべき余地があるんじゃないかというふうにも考えております。現在のところでは、これに対する公団の取り扱いはどうするか、差しあたり入居者の希望を中心にいたしまして、この環境は。できるだけ減歩その他で減らさないで、敷地を現在の環境のままでできるだけ残してもらいたいというのが譲受人側の希望でございまして、その線に沿いまして、区画整理事業施行主体であります東京都と現在折衝をいたしております。できるだけ百パーセント入居者側の希望、すなわち、公団側の希望が受け入れられるかどうかわかりませんが、できるだけその減歩を少くしてもらいたい、まあこういうことで努力をしているような状況でございます。
  91. 田中一

    田中一君 売り渡しの分譲住宅は、いつ分譲したのですか。
  92. 渋江操一

    参考人渋江操一君) 昨年の十一月分譲契約をいたしました。
  93. 田中一

    田中一君 少くとも昨年の十一月に、当然これは道路敷になって、お前の方に売った敷地は減るんだぞという前提で売っているものではないと思う。これはむろん公団側調査の疎漏というか、これははなはだ問題だと思うのですけれども、まさか農地を地目変換しないで、宅地だといって売ることはないと思いますけれども、それまでのことは間違いないと思いますけれども、少くとも市街地におけるところの土地というものは非常に高い。分譲して自分のものでなくなるなどというものに対して、そういうことがわからずに売るなんということは、これは論外なんです。住宅公団が、総裁幾らいばっても、少くともそういう問題のわからない総裁じゃ困るのです。現に昨年の十一月に分譲していながら、千五百六十二坪のうち三百坪というものが減るんだということが、当然前提でわかっていながらこれを売るなんということは、大きな間違いどころじゃない。これは私は非常に不可解なものだと思う。同時に、またそういうようなケースがほかにもあるんじゃないかという心配を持つわけです。私は行政庁がどうあろうとも、少くとも入居者というものが善意な形でもって、その代価というものは正しい代価を払っている現状においては、寸土といえども減るということがあってはならないと思うのです。状況の変化ではございません。前提にそういう問題がありながら、それを私は故意とは思いませんけれども、調査もしないで買い取って分譲してなんということになりますと、他の分譲地に対する公団の信頼というものは薄れてくるわけです。これに対しては、現在の入居者に対して、一つの土地でも現状のままでいくというような努力をするという言明を総裁からもらいたいわけです。同時にまた、できる限りなんというあいまいな言葉は要らないのです。もしかりにやむを得ず何とか返してしまうならば、金でもって計算するというような、おかしな話になりますけれども、やはりこの環境、空地というものがあってこそ、初めて住宅の価値があるわけです。それが周囲六間全部取られてしまえば、住宅地の価値というものは減ってくるわけです。それに対しては、金であろうと何であろうと、要求に応ずるような、弁償すべきが妥当であろうと思うのです。それに対する決意を伺いたいと思う。
  94. 加納久朗

    参考人加納久朗君) まことにごもっともな御注意でございまして、できるだけ田中さんのおっしゃるような方針に沿って、分譲を受けた人たちに満足を与えるようにしていきたいと思います。
  95. 田中一

    田中一君 総裁はオールマイティーなんです。あなたのおっしゃる言葉を聞いていると、「できるだけ」なんという言葉をおっしゃらないでとさっき言ったわけなんですが、必ず十一月に分譲した当時にその分譲を受けた人間全員に対して、その要求は全面的に受け入れる覚悟であるという御答弁こそ望ましいんです。
  96. 加納久朗

    参考人加納久朗君) 分譲を受けた方の要求は、できるだけ……。
  97. 田中一

    田中一君 できるだけ……。(笑声)
  98. 加納久朗

    参考人加納久朗君) それは、ものことはすべてできるだけがあれですから、それでいく。それはもう常識ですよ。(笑声)それから区画整理ができたから土地が減ったという見解もあるでしよう。
  99. 田中一

    田中一君 そういう理屈は聞きたくない。
  100. 加納久朗

    参考人加納久朗君) 開きたくない、それじゃもう言いません。(笑声)
  101. 石井桂

    石井桂君 関連して奥野さんにお聞きしたいんですけれども、さっき坂本先生に対する奥野さんの答弁で、あなたは家賃の調整ということをいわれた。私の記憶によると、二十三年に東京高輪町にアパートができたのが始まりで、ずっと今日までできている。十二坪の住宅がその当時六百円、今四千何百円になっている。これを調整するといっても、十年もたった今日、六百円を千五百円に上げるんだということだけども大騒ぎになってしまう。で、簡単な調整という言葉を言われたんですけれども、調整をお宅の方で示唆する御用意があるんですか、どうですか。つまりプール計算にしようというんでしょう。それを一言だけ一つ……。これは大へんな問題だと思います。
  102. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 公営住宅に関しまする県有資産所在市町村交付金の額につきましては、転嫁しようと思ったら転嫁できる、こういう立法になっておるわけであります。これにつきまして建設省の方から、家賃調整の問題があるから、今直ちに転嫁をすることは差しとめてもらいたい、こういう要請があったわけであります。従いまして私たちの方でも、その考え方を入れまして、昨年度に引き続き、今年も府県あるいは市町村に、公営住宅に関しまして、交付金は渡さなければならないが、それを公営住宅の居住者に転嫁することはやめてもらいたい。そのかわり、それに応ずる財源は府県の方に別途交付する、こういうことを申したわけであります。こういう話し合いの関係で、家賃調整が別途予想されておるから、交付金の転嫁もそれと並行して行うのが筋道だと思いますので、そういう意味で転嫁を差し止めておりますと、かようにお答えしておるわけであります。
  103. 石井桂

    石井桂君 建設省から、一つそれを裏づける御答弁を願いたい。
  104. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 公営住宅交付金の問題につきまして、ただいま奥野部長が申しましたような趣旨のことを通牒の中にうたいまして、交付金入居者負担を二年間延ばして参りましたことは事実でございます。しかし家賃調整という言葉は、言葉では簡単に申しますけれども、これには非常に大きい法律上、社会上の問題を含んでおりますのでございまして、私どもといたしましては、この問題に対処いたします態度は、きわめて慎重でございまして、まだいかなる結論も出ておるわけではございません。そういう話題が前からあったということは事実でございます。また研究問題でありますことは事実でございますが、何らの結論も得るところまで至っておりませんことを申し上げておきます。
  105. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは本件はこの程度にいたします。
  106. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 次に、高速自動車道に関する件を議題に供します。  参考人として、道路公団理事金子柾君が出席しておりますから、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  107. 田中一

    田中一君 前国会が終ってから国土開発縦貫自動車道の審議会が持たれたと思うのですが、ここで一応付議する基本計画の決定をみたということになっていますけれども、大ざっぱでいいですから、その経緯を一つ御報告願いたいと思います。
  108. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 国土開発縦貫自動車道建設法並びに高速自動車国道法が通りましてから以後、小牧から神戸間の高速自動車国道の建設につきましてとられました処置、経過について簡単に御説明申し上げます。この小牧—神戸間の高速国道の建設につきましては、まず国土開発縦貫自動車道建設法に基きまして、小牧—吹田間の基本計画を立てなければならぬわけでございます。また吹田から神戸間の高速自動車国道につきましては、高速自動車国道法によりまして、予定路線をきめなければならぬわけでございます。基本計画につきましては、国土開発縦貫自動車道建設審議会に五月八日付議されまして、路線部会がこの審議に当ったわけでございますが、路線部会を三回開きまして、六月十四日の第二回の審議会におきまして、吹田—神戸間の高速自動車国道の予定路線を原案通りきめたほか、小牧—吹田間の国土開発縦貫自動車国道建設線の基本計画を原案の一部を修正いたしまして議決されました。  この次に起ります問題は、路線の指定でございますが、路線の指定につきましては、八月二十一日に第三回の審議会を開きまして、原案の一部を修正いたしまして議決、答申されたのでございます。これに基きまして、八月三十日に政令を公布いたしました。この後に残ります問題は、整備計画を立てまして、この整備計画に基きまして、道路整備特別措置法に基いて建設大臣が道路公団に対して工事施行命令を出すわけでございます。この工事施行命令ができましたならば、工事の実施計画書の認可申請を公団建設大臣に出すわけでございますが、この認可がありまして工事の着手になるということでございます。現在の段階は路線も指定されましたし、基本計画も立っておるわけでございますので、整備計画を急いでおる段階でございますが、この整備計画は、ただいま経過地等につきましては案がまとまっておるわけでございますが、この中に工事費の概算を乗せなければならぬわけでございます。この工事費の概算につきまして、当初いわれておりました工事費が相当額増額されなければならぬ結果になりましたので、この点につきまして大蔵省と折衝中でございます。これをできるだけ早くきめたいということで焦慮いたしておるわけでございますが、今月中にはこの整備計画を決定いたしたく努力いたしておるところでございます。  一方公団といたしましては、この整備計画がきまる前でございますが、現地に調査事務所を三カ所設けまして、それぞれ所長をきめ、これに理事をあてまして、現地の調査に乗り出しておるわけでございます。現地の態勢ができておりますので、整備計画ができ、施行命令が出され、工事の実施計画書ができますれば、着手ということになるわけでございますが、工事の実施計画書はそれぞれ進めております。施行命令が出ればすぐ計画書が出る段取りにいたしております。  以上が小牧から神戸間の高速自動車国道の建設についてとられている措置でございますが、なお正確に申しますと、小牧—吹田間は高速自動車国道中央自動車道で、路線番号は一号ということでございますが、それから吹田から神戸間は高速自動車国道吹田—神戸線で、路線番号が十一号ということになっております。以上簡単でございますが、経過報告を申し上げました。
  109. 田中一

    田中一君 そこで、御承知のように、この路線につきましてはですね。地元民ばかりでなく、国民全部が注目し、待望しているものなんです。国家の予算面からみても、三十二億でしたか、いうものを支出しておりながら、いまだ整備計画ができないで、そうして公団側が、今道路局長が言われているように、滋賀県、愛知、岐阜、京阪地区に工事事務所をもって、いつでも着手できるような受け入れ態勢を持っているというにかかわらず、いまだ着手ができないということは、はなはだ国民の期待を裏切るものだろうと思うんです。これには、おそらく公団総裁というのは財界人であって、相当自分の思うままに、経済的に、それから時間等のロスがなくして、また早期効果を上げようという意欲は持っていると思うんです。これはおそらく役所の人たちよりも、そういう方の方が利にさといですから、そういう考えを持って受け入れ態勢に万全を期していると思うんです。しかしどこまでもできないというなら、どっかに欠陥があるのじゃないかというような気持がするわけであります。  まず最初に伺いたいのは、いつごろ整備計画を決定するか、同時に施行命令をして、いつごろまでに考えているかという点でありますが、どういう考え方を持っているか、ことに原案の作成者はおそらく道路局長の手元だと思うんです。審議会もそれによって今一部修正と原案承認という形でもって審議会も通っているというふうに伺っておりますが、そういう点の見通しはどうなっておりますか。
  110. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 整備計画がおくれておりますので、着手がおくれておりますのはまことに申しわけないのでございますが、本年度予算もついておりますしできるだけ早く実施いたしたいと努力はいたしているわけでございます。初め基本計画を立て、ましたときには、基本計画ができましたなら、すぐ整備計画を立てるという目標でやっておった。基本計画が立ちますと、この基本計画については利害関係者は意見を申し出ることができることになっておりますが、この期間が一カ月でございます。この一カ月が過ぎたときに整備計画をきめていただきたいということで努力いたしておったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、整備計画に載せられます工事費の概算、それが問題になっているわけでございます。と申しますのは、当初の工事予算が一宮—西宮間で約七百億と見積られておったわけでございますが、その後相当高価に変更しなければならなくなった部分が出て参りまして、まあこれらのことがございまして、この区間について約百億ほどの増額が見込まれるに至ったのでございます。この増額がありましたので、小牧から神戸間にいたしますと約千億の金が要るわけでございますが、これにつきまして、この金の処置等につきましては大蔵省と折衝いたさなければならぬわけでありますが、大蔵省との間にまだ意見の調整ができないでおるわけでございます。しかし、だんだん話も詰まって参りましたので、ここ数日間には決定できるかと考えておりますが、これがきまりますれば、その他の点につきましては大した問題はございませんので、整備計画を審議会に付議することができょうかと考えております。審議会の御審議につきましては、どの程度日数がかかるか、あらかじめ予測することはできないわけでありますが、これも簡単にお認め願えますれば、来月初旬には工事施行命令が出せはせんかと考えておるわけでございます。またそういう目標で努力をいたしておる現状でございます。
  111. 田中一

    田中一君 この法律が通って予算もついておるというにかかわらず、全体計画というものが一応立っておるはずなんです。むろんこれは路線によって実地調査をすれば多少の食い違いがあろうことはこれも予測されておったわけなんです。従ってせめて用地買収あたりのことは、一応決定を予想されるものは着手しなければ、これはますます地価の高騰ということが考えられるのです。現にあの路線の地主等はどこにそれが来るかというので、これはむろんそこに路線が貫通いたしますと、地価は相当上ると思うのであります。そのためにいろいろ不測の、予定以外の変更を余儀なくされたという点が多多あると思うのです。従って僕は基本計画と同時に直ちに整備計画、施行命令、こういうのはもう間をおかないで決定されるのが、予算の面においてもいたずらな予算増を見ないでも済むのじゃないかという考え方を私ども持っておるわけなんです。来月初旬にはこれができるというなら、おそいけれども非常にいいと思うのです。ただ大蔵省あたりが、全体に対してとやかく言うのは、これはもう将来の問題であって、現にもう三千一、二億の金は本年度予算でもってもう決定しておるのです。決定していれば、その分だけでもせめて仕事ができるということをわれわれは考えておるのですが、どういうところで大蔵省はあなたの方に向って、たとえば一宮—西宮間の七百億がどうも百億程度ふえるのじゃないかという予想、これはそのときになってやってもいいのですよ。この道路は大蔵省の命令で作ったのではないのです。国民の命令で作っている道路なんです。どういうわけで大蔵省が本年度の予算を通っているこの金を使わせないのかという点について、簡単でいいですから御説明願いたいと思います。
  112. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 大蔵省といたしましても、この建設のためには相当の予算を組まなければならぬわけでございます。また年度計画も相当の金額でございますので、あらかじめ立てておかなければならぬわけでございます。そういう点からいろいろ検討されておるわけでございますが、ただ本年きまっている予算をどこかに使うということは、これは必ずしも不可能ではないわけでございますが、ただ全体がまとまらないと、使う金も確実に使えるということになりませんので、整備計画が立ってから使うということにならざるを得ないわけでございます。そういう関係で、ことしの予算を使わせないという意味ではないのでありますが、全体計画を立てて、それによって使っていこう、こういう考え方でございます。
  113. 田中一

    田中一君 先ほど申すように、おくれればおくれるほど用地買収は困難になってくるのです。これはわれわれは当委員会で三十二年度の予算を審議するに当って、強く要望しているはずです。一気呵成に路線を決定して、買うべきものは手を打たなければならぬ。一千億が千五百億、二千億になるのはもう明らかなんです、今日の社会においては。それを大蔵省は云々ということではなはだわれわれは納得できないのです。きまっている予算を使うのに金を出資するのに何も大蔵省に遠慮することはない、全体の計画は全体の計画として、将来の問題として大蔵当局とも十分に折衝してもよろしいと思う。しかしながら決定しておる金というものは、もう直ちにやってよろしいと思うのです。これは大臣に強く要求したいと思うのですが、大臣がおりませんけれども、道路局長からそういう点については早期に審議会をお開きになって、整備計画の決定を見て直ちに施行命令もお出しになるように希望します。そうしてただ先ほど言っているように公団が、政府自体がやるものではなく、公団にまかして施行を委任するわけですが、公団としては経済人であるから、ずいぶん上手なむだのないような行き方をすると思うのです。で、それに対する権限というような問題も、法律以外のワク内におけるものは相当大幅に譲ってやってもいいのじゃないかという気持を多分に持っているわけです。ということは、できた、いよいよ着工命令も出た、出たけれども、まだこうでもないああでもないというのでは、これはとてもやれるのではないと思うのです。  そこで僕はこれで二、三、伺いたいのは、今大蔵省と折衝しているというのはおそらく継続費の問題だと思うのです。この国土開発縦貫道に対しては特例をもって継続費の制度を組んでやるという意思はないかどうかという点です。年度々々のものではなくして、三年計画なら三年計画という予算を大幅に組んでやる意思はないか。ちょうど大臣が見えたので、もう一度繰り返して、大臣から答弁を求めていいですか。
  114. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 今の点はお答えいたします。
  115. 田中一

    田中一君 そういうような考え方は持ち得ないかという点はどうでしょう。
  116. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) これは整備計画で全体計画を立てます。年度割までこれは出ませんが、陰には年度割もあるわけでございますが、事実継続費と同じことだと考えておるわけでございます。こういう仕事は継続的に考えて実施いたさなければ効果がありませんので、継続にするかどうかという問題は検討いたしますが、事実上は継続費的に計画いたしたいと考えておるのであります。
  117. 田中一

    田中一君 根本建設大臣が見えたから、今の道路局長の御答弁を確認してもらいますが、どうも三十数億予算がついている経費は国道、この名神高速道路ですね、これがいまだ着工に至っていない。基本計画は先般の審議会できまったらしいのですが、まだ整備計画がきまらない。今道路局長の言明では、来月初旬にはあまり議論がなければ原案通り通るのではないか、そうすると直ちに施行命令が出せるのではないかというような見通しを述べておられました。そこでこれに関連して大蔵当局は予算の面でとやかくいって、いまだ三十二年度に決定しておるお金すら使っておらないのは、非常にむだなことなんです。公団は御承知のように総裁がああいう人ですから、相当委員会でも強気で話しておりますから、やれると思うのです。そうすると用地その他の問題につきましても、ただ単に年度割の予算でありますと、次々と路線決定と同時に値段が上ってくるんですよ。この一宮—西宮間で約七百億の予算を組んでおった。ところがどうも今度百億程度増額しなければならぬという情勢になったと、従って小牧—神戸間で千億ぐらいになるんじゃないかと、そういう面で大蔵省と折衝しているというお話があったのですが、これは時間をとればとるほど一千億が一千二百億、一千五百億にならなければできなくなるような現状なんです。そこで今大臣への質問としては、これだけは特に継続費ということを認めさして、特別な年度割でなくて、継続費として自動的に支出さすというような形をとる意思はないかということを今伺ったのですが、局長は事実において全体計画をもってやるから、継続費的のものになるのであろうということなんですが、そういうことになるならば、たとえば先般の財政投融資の問題も繰り延べるなんていうことが出てきたわけなんですが、そういうもののワク外においてはっきりした継続費的なものにする意図はないかどうかという問題を今伺ったわけなんですが、建設大臣としてはその意思はおありでしょうか。また今ここでないなんて言われると困るから、おありならおありのようにあるようにそのようにですね、努力するということならそれでもいいですから、伺いたいと思うのです。
  118. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) この問題は、実は道路のみならず、河川についても同様の問題がございます。そういう観点からいたしまして、私としては御趣旨のようにすることが国費の経済的使用にもなると同時に、また工事着工した場合における工事者もまたこれは非常にやりやすいと、さように思いまして、できるだけそういうようにしたいと思って、大蔵省にはそういう方針で折衝いたしたいと、かように考えております。ただ何しろこの問題はすでに当委員会はもとよりのこと、農林関係にも同様ございまして、私が政調会長当時もすでに七年から前からも実は大蔵省に対して折衝しておりますが、何しろ大蔵省がかなり強い抵抗をしておりまするので、現在確信をもって三十三年度からこれはやれるという段階には至っておりません。しかしながら十分御趣旨に沿って折衝を続けて参りたいと、かように考えております。
  119. 田中一

    田中一君 そのような計画ができた上はですね、技術的な実施の監督ということはむろん必要でありましょうが、大幅に政府の干渉ということを除いて、基本的な計画が立つたならば、それを推進させるというような方途ですね、法文にある監督権というものをあまり行使しないと、まかしてやらせるということも工事を促進する一つの方法かと思うのですよ。そういう点についてはどういう考えを持っておるか。ただ株主その他については十分やってもよろしいと思うのですが、今のような監察制度ですね、大蔵省が来てどうする、こうする、決算委員会が来て、いや会計検査院が来てどうするこうするというようなことをしないでですよ、とにかく早期に完成するという意図のもとに、事前にとやこう言わないで、決定したものは決定したものでよろしいのです。あとでもって調べるものは十分調べて功罪を明らかにするという方途をとっていただきたいと思うのですよ。そうしなければやはりさっき大臣が言ったように用地買収その他になりますと、おそくなりますと、おそくなりますたんびに国費が乱費されるという傾向になるようですから、そういう点建設大臣として、監督者としての建設大臣が道路公団に対する信頼と申しますか、他のものはいろいろ干渉は受けましょうけれども、この道路に限っての態度というものを一つ明らかにしてほしいと思うのです。
  120. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お示しのように道路公団を特別に作ったゆえんのものは相当の権限を与えて、すみやかにその事業を直轄工事あるいはまた委託工事というようなことよりも総合的に効果あらしめるために作ったこれは団体でございまする、団体というか、機関でございまするので、できるだけ総括的に責任をもって措置せしむるという態勢をとっております。しかし同時にこれは私的な団体ではございませんで、やはり政府の事業を実施する政府機関でございまするので、そのために建設省としては、技術的にもあるいはまた運営面においても、遺憾なからしむる意味において絶えず監督する、そのためには監理官を派遣しているのであります。これは常時一体となってやらせるようにして、個々の小さな干渉はできるだけ避けておると、こういう方針で進めて参っておる次第でございます。
  121. 田中一

    田中一君 次に伺いたいのは、現在のまあ法律では計画変更、これは常にその実施面に当っての計画変更というのは、道路管理者より都道府県知事に相談して協議してきめるのだということになっておりますけれども、こういう点もむろん都道府県知事は別に道路管理者としては地方議会の承認を得る必要なく、その当面の行政部局の意思によって決定されると思いますけれども、こういう点もやはり早くやるにはどうしても便宜な方法をとって、やはり実質的に公団の施行の権限というものを大幅に認めてやると、これは法律を改正しなければできないことでありますけれども、行政指導の面において、法律通り行いながら実際の扱いとしては、便宜な形で扱うというような考え方を私は持ってほしいと思うのです。そこでそういう点については法律改正をしないでも手続の簡素化という面についてどういうお考えを持っているか、伺いたいと思うのです。
  122. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 各都道府県は今仰せの通り管理権あるいはまた行政上の権限を持っておるのでありまして、これを侵すわけには参りません。しかもまた特に用地買収とか、新たに高速度道路なんかを作るという場合になりますれば、これに関連しまして地方道なりあるいはまた農地関係なり、いろいろの要請も出て参りますので、これが付帯的事業としてなされていくために両者の間は非常に密接な利害関係がありまするので、でき得るだけ公団といたしましても地元自治体と連絡をとって、円満をはかっていきたいと思うのです。最近はようやくそういう方面も軌道に乗りつつあるやに私は承知しておりますし、また近く、もうすでにできたと思いますが、調査事務所も設けられまして、今までは東京から出張して行っていろいろやるということを、常時都道府県あるいはまた町村とも連絡をとって、そうして紛争を避けつつ進めて参りたいと考えておる次第でございます。
  123. 田中一

    田中一君 この高速自動車道と縦貫自動車道とが乗り合っての今度の計画なわけなんですから、つまりおのずから地元においてもそれから工事を実施させる公団においても、相当複雑な様相を持つであろうと思うのです。今大臣が言っているように地方道との関係とか、あるいは河川の関係とか、いろいろあると思うのですよ。そこでその今度の計画が縦貫自動車道の精神でやるのだということを確認してほしいと思うのです。ということは、この今度の建設する道路についてはつまり総合性というものは非常にうたわれなければならぬと思うのです。そこで他の工事、いわゆる河川にいたしましても、また他の関連する乗り合う事業にいたしましても、それらの調整ということは非常にむずかしいと思うのです。そういう点についてもできるならば関係都道府県なり、あるいは監督指導する、計画を樹立するところの原案を作るところの建設省としては、常に乗つかって、同体となって、もう仕事の進行の事前にそういう問題を解決しながら進んでいくというような方途を示してほしいと思うのです。同じように公団に施行を委託したのだからといって、それだけに言うのではなくして、都道府県もそれから建設省の方も他の事業との関連がありますから、もう事前に乗っかって進めていくというようなことも考えにゃならぬと思うんです。そういう点について公団で、やれ河川局とどうだこうだとか、あるいは府県のそうした面との折衝等を、やはり問題のないような最大公約数で、これならいいというものがあったらどんどん進めていくということを一つ希望したいと思うんですが、その点はどうでしょう。
  124. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お示しの通り、この事業を執行する場合におきましては、道路のみならず、農地、河川あるいは都市計画にもこれは影響して参るわけであります。そういう意味におきまして、すべての実施面におけるそうしたある意味における政治工作的な諸問題が多数派生してくるのでありまするが、それをすべて公団の責任者にのみやらせるということは困難でございます。その意味におきまして、その点につきましては、建設省が中心となりまして、あるいは農林省、あるいは都道府県、あるいは部内における調整等は十分にいたしまして、その上に公団が実施面においてスムースにいけるようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  125. 田中一

    田中一君 用地買収の点は、現段階ではどの程度まで話し合いが進んでおるか、道路局長から御答弁願いたいと思います。
  126. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 用地買収について具体的に折衝を始めますのは、整備計画が立ち、施行命令が出てからでございますが、現在は縦貫自動車道あるいは高速国道が通ることに反対しておる地域があるわけでございます。それらの地域に対しまして具体的に折衝を始めておるわけでございますが、それはまだ、用地をどういう値段で買うという折衝ではなくて、こういう所を通すが協力してもらいたいという相談でございますが、それを各地において始めておるわけでございます。
  127. 田中一

    田中一君 大幅に土地収用法を発動してやるという考え方はお持ちでしょうか。当然これは土地収用法の発動し得るワク内に入るものですから、その場合には早期完成と言いますか、仕事をスムースに進めるために、土地収用法の発動というものを前提にしながら考えられますか。これはもうこんなことを言うのはおかしいくらいでもって、反対がある場合にはどこまでも反対するんです。どこまでも最後まで反対するような行き方なんです。あとは金額の取引の問題、補償の問題になってきますが、土地収用法発動してどしどし進めるというような考え方を持っておるのか、あるいは地元の話し合いで円満に進めていこうという考え方を持っておるのか。円満ということになると、土地収用法を発動しても円満にいく場合もあるんです。私自身の私見を言いますと、土地収用法を発動して十分に向うに補償の対価を与えるということの方が早いんではないかというような気持が私はするわけなんです。たとえば、米軍の基地あたりにいたしましても、思想的に反対、理論的に反対ということは、これは一応その通りでありまするけれども、やってもいい場合には、やはり補償の問題でひっかかってくるのが通例です。これは、今度は最高なるスタッフを持つ審議会で決定されたものをやろうというならば、そういうような考え方か、どういうような考え方でもって遂行していこうとするか、伺いたいと思います。
  128. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お示しのように、これは法律上可能であり、また、最終的にはそういう問題で解決をつけなきゃならぬ問題が出てくると思います。しかし、できるだけこれは地元の方々の意向をもそんたくし、しかもまた、国家目的、さらにまた国の経費との関係においてこれはきめられなけりやなりませんので、従って、これはケース・バイ・ケース考えられなきゃならぬと思っております。この整備計画が立った所は、全部初めから大ワクで土地収用法をぶっかけてそれからやるということは、今必ずしも適当ではないんじゃないかと考えております。  私けさ、神戸、大阪、京都付近に参って来ましたが、あの地域においては若干の抵抗もあるようですけれども、相当理解が持たれまして、これは具体的な個々の問題については聞いておりませんが、府知事あるいは市長、これらの方々も、神戸、大阪、京都付近は割合に理解を持っておると、こういうふうに聞いております。ただ、非常に難点をはらんでおりまするのは、滋賀県と岐阜県の地区でございます。これも、成規の手続をもって意見書を出して来ているのを見ますというと、絶対に反対だというのは割合に少うございます。むしろ、これこれの条件、これこれの条件をしてくれという方が多いのでありまするが、そういう状況下においては、やはりできるだけその条件をどうして満たすか、あるいはそれがどうしても満たされなければ、どういうふうな話し合いでこれをきめるかということが前提条件である。しかも、それがどうしてもできない場合においては、法律に基くところの手続をもって、今お示しのようにそれから後具体的な交渉その他のことも考えていいじゃないか、かように現在考えておる次第であります。
  129. 田中一

    田中一君 現行の土地収用法は、結局補償は金銭補償ということになっておるので、土地収用法を改正して、やっぱり同じものを、たとえば家には家を、田畑には田畑を、という形でもって造成して現物補償ですね、というような考え方は、法律を改正すればできるのです。これはそういう形ならば納得する面もあると思うんです。そのために生業補償といいますか、生活補償といいますか、そういうものをむろんやりながら、やはり田畑には田畑を、家には家を、宅地には宅地を、という形の行き方を土地収用法を発動してやるんだということになるならば、おそらく問題ないと思う。金銭補償だけではやはりできない面がたくさんああのじゃないか。したがって、今度の話し合いというものも、高額な金銭補償で納得する面もあると同時に、また、現物の補償でなくちゃならんという面も相当あると思うんです。そういう点については、私は現在の土地収用法を改正して、金銭補償だけでなくできるんだということを法律で表じた方がスムースに行くんじゃないかという考えを持っておりますが、これはまあ官房長の方の所管かもしらんけれども、官房長、官房長から大臣に一ぺん話しておいておかれて——ああそうか、都市計画の問題になるか、一つそういう考え方が持てないかどうか、あなたから説明してもらって大臣から聞きたい。大臣はそんなことをあまりおわかりにならないと思いますから、大臣によく話してもらいたいと思う。
  130. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) はなはだしろうとで、事務的なことはわかりませんけれども、御趣旨の精神ははよくわかります。けれども、土地収用法にそういうふうな同様なる物件を与えることによって処置するということになりますと、これは非常に便利なようで、また非常に困難な問題もあるいはできやしないか。しかし、実際には金銭賠償にはなりまするけれども、たとえば、農地を失った方には、補償は金銭でやりまするけれども、ある場合においては耕地のあっせんをする、あるいはまた宅地を失った人には、これに対して適当な宅地をあっせんする。これは現実の行為としてなされておるわけでありまして、先ほどもお示しのように、特に相当長距離にわたって相当大きな事業をやる場合においては特にそれが必要だということで、高速度道路整備計画を実施する場合におきましては、農林省とも十分に連絡をとり、その方面を進めて参りたいと考えておりまして、御趣旨はその通りでありまするので、そういうふうな実際的な効果を現わすようには努力したいのでありまするが、これを直ちに土地収用法を改正して、厳密に現物賠償ということを規定することについては、慎重に検討の必要があるのではないかと考えておる次第であります。
  131. 田中一

    田中一君 もっとも日本の土地は狭くて、今言う通り現物補償をし得るようないい地点がないのが実情でありますけれども、私はもうその段階にならなければ、日本の今日の新憲法のもとにおける公共事業の実施というものは、非常な困難があるのではないかということを考えておるわけです。その点は私の意見でありまして、今言う行政措置でというか、金銭賠償という建前であるけれども、それを実際の指導の場合においては十分に実効を上げるような措置をしておるのだというお話がありますが、それができておるなら何も問題はないのです。むろん今度できる道路というものはだれのものでもないのです、自民党のものでもないので、国民のものである、決してそれをとやかく言うのではない。ただ実際に法律という厳然たる壁にぶつかって、これを行使する官僚諸君の頭が法律というもので制約されるということになると思う。正しい官僚は常に法律の壁でもって仕事をしていくことになるのでありますけれども、そのために、官僚諸君のためにその壁を一ぺんやわらかくして、現物支給という形をとるならば、もっとスームスにいくんです。それが経済効果を早く上げるということには最も効果的ではないかということを、これは私の考えを申し上げたのです。  先ほど道路局長には早く整理計画を立てるようにという希望を述べておきました。大体来月初旬には審議会の議がきまるのではないかという答弁でありました。建設大臣もこれらのものが長引けば長引くほど補償の面、あるいは全体の予算の面においても困難が持たれるということに考えておりますので、その点についてはあなたも委員の一人でしたか。
  132. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 一人です。
  133. 田中一

    田中一君 総理大臣が会長でしたか。
  134. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 会長です。
  135. 田中一

    田中一君 一つ閣内におきましても、政府部内の足並みだけはせめて一つそろえていただきたい。同じ行政官庁の中の意見がまちまちでありますと、結局それがおくれるもとである、かつまた今までのこうした事業は民間の学識経験者あるいは地元選出の国会議員よりも、行政官庁の意見の食い違いということが、こうした事業の早期遂行を妨げているという実情でありますから、そういう点を十分考えていただきたいと思います。そういう点について大臣の心がまえをお示し願いたいと思います。
  136. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 仰せの通り十分努力いたします。   —————————————
  137. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは次の問題に移りたいと思います。昭和三十三年度建設省関係重要施策に関する件を議題にいたします。本件につきましては、去る十日の委員会において、建設大臣より御説明を承わりましたので、本日はその質疑を行いたいと思います。御発言のおありの方は順次お願いをいたします。
  138. 田中一

    田中一君 たしか昭和三十二年度の予備費は八十億だと思いましたけれども、これの現在までの支出状況ですね、これを伺いたいのです。ということは、明年度は災害対策の予算というものをどのくらい計上するつもりであるか、それからもう一つは、ただ自由に使える金ですね、災害対策費として自由に使える金というものはどのくらい見込もうとする気持を持っておるのか、建設省並びに他の農林省、運輸省を含めた額を大臣から伺いたいと思います。
  139. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 数字を持っていないのでちょっと申し上げかねますが、かつては予備費が五十億程度になっておった場合もありますが、本年度は八十億程度。この大部分が実は災害関係に充てられておるわけであります。現在までの執行の状況、詳しく承知しておりませんので、いずれ事務当局から調べた上で御報告を申し上げたいと存じます。なおまた明年度についても予算における予備費の問題も、これはまだ具体的に閣議の議題になっておりませんので、私から申し上げることはまだ適当じゃないと思います。いずれ予算編成の時期になりまして、一応そういうものがアウトラインでも出ましたならば申し上げられると思いますが、現在全然予算の規模についてすら閣議の議題になっておりませんので、申し上げかねます。しかし、やはりこれは従来の経験からいたしますれば、予備費として八十億ないし百億程度を持っておるということは、これは非常に安全であり、また従来の規模から見てまあそのあたりが一応の目安じゃないかとも思っておりますが、これは何ら確信ある基礎に基いたものでもありませんので、一応の感覚論としてさように考えておる次第であります。
  140. 田中一

    田中一君 このお示しになった重要政策については、どれもこれもまことにこれができたならば、いいがなというような気持を持つものばかりですが、今いうこれは建設大臣の構想でありますから、あまりこまかい点については質問すべきでなかろうとも考えておるのです。で、拾い上げて一つ伺いたいのは、昭和二十九年から行われた住宅金融公庫並びに先年始めた住宅公団の宅地造成、これは相当行われております。この宅地造成によって開発した宅地の隣接地の価格の変動というものを一つ調査願いたいと思うのです。大体において値下りした所はおそらくないでしょう。相当大幅に値上りしたわけなんです。従って公団が買ったときの価格、それからその隣接の土地がどのくらいな変動をもたらしておるかという点の調査を一つしていただきたいと思うのです。これは私こんなことを申し上げておりますが、もうしておるのですか、しておればいいのですが、しておるかいなか、まず伺いたいと思います。
  141. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) ただいまのお話のことは常識的にもわかるわけでございまして、たとえば光ケ丘団地の価格に対して付近の土地がどの程度になっておるかといううわさ程度、聞き込み程度のものはございますけれども、体系的なものはございませんので、御趣旨に沿いまして、早急にその点調査いたしたいと思います。
  142. 田中一

    田中一君 私が建設大臣に伺いたいのは、来年度あたりもしそれが異常な高騰を示したならば——私は大体団地計画には反対なんです。ことに首都圏という区域をきめて、そこに住宅をどんどん持っていくなんということは反対なんですよ。光ケ丘団地に行ってみますと、よくまあここに住んでおるというような環境です。将来はいざ知らず、あそこに将来新しい生産工場でもてきるならば別でございますけれども、現状のままならば、ほこりの町、砂漠のような町で木も何もないひどい町なんです。それでも隣接宅地がどんどん増加していくならば、この通路法、河川法等でやっておる受益者負担という考え方を新しく持たなければ、真の意味の宅地問題の解決はしないのじゃないかと思うのです。受益者負担、これはなかなかむずかしい問題でしょう。今日のような資本主義社会においては困難な問題ですが、これは当然の権利であると思うのです。しかし、それを国が国民の金によってそれを造成するということになれば、やはり政治的なものがなくてはならぬと思うのです。従って野方図もなくそれを放置するということだけでは解決されぬのじゃないか、いわゆる宅地の問題は解決されぬのじゃないかという点です。それで先国会でも改正された公団法の水面海面の埋め立て等は、これは一つ賛成し得る面もございますけれども、いたずらに食糧の生産されるべき土地を宅地化する、それも大幅な宅地化計画をするということ、それによるところの地方の負担、地方財政の負担等を考えまして、やはり隣接宅地、それはどこまでの規模にするか、今私は自分の案を持ちませんけれども、そういうものに対する受益者負担というものを考慮されないかという点でございます。その点について、まあ大臣御答弁願えれば非常にけっこうですが……。
  143. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 住宅政策の上で、一番むずかしい問題は、いかにして安くよき環境を住宅宅地として入手するかという問題だと思います。その観点からいたしまして、やはり住宅を作って、あとはそのままにしておくわけにはいきませんから、あるいはいろいろな公共施設をしてやらなければならぬ場合もございます。二十戸、三十戸ではそれができない。それで、やはり相当程度団地住宅を作ることによって、工事それ自身も割合にコスト・ダウンもできる、あるいは規格のものができやすいということと、同時に入った方々に対して十分な施設をしてあげるというようなことで、公団の方といたしましては大体団地制度をとつております。しかるところ、それに基きまして、従来相当安い所が、そういう住宅が密集してきたということで、商店もあるいはまた農業関係もいろいろ売りさばきが非常に楽になるということで、相当程度の高騰を来たしておるということはお示しの通りでございます。それで、それらのいわば地代の価上りによる利益、これを何とかして還元する方法が必要じゃないか、こういうお示しの点だと思います。これは住宅政策として、あるいは建設行政の政策としてこれを税法上どうするかということは困難な問題だと思います。これはあるいは現在の法律においても、それだけ地価が上り所得が上れば、それに対して所得税なり何かがかかるということで調整されているかもしれませんけれども、これは非常に不完全だ、土地の値上りによる収益に対しては非常に経度が低いということにおいてお示しの点があったかと思いますが、これは建設行政上どうすべきかということは非常に問題があるのでございまして、われわれの権限もそこまでなかなかいかないと思います。そこでこれは全体として税法上の措置でいたすかどうかということは十分に慎重に研究いたさなければならぬと思いますので、今後大蔵省等と検討の上、お示しの線に沿うて研究を進めて参りたいと考えております。
  144. 田中一

    田中一君 先ほども住宅公団総裁に来ていただきまして、住宅公団が求める宅地に対しては税金がかからないのだということを言っておりました。従ってそういう措置はとられておるのです。住宅公団に売る場合には税金はかからない、売った方の側に対する所得税はかからないのだ。それとしやはり同じように、宅地造成のためにそうした税法上の措置をとっているのです。従ってこれは宅地造成の面から見ても、決して受益者負担というような税を取っても私は不忠義はないと思うのです、現にやっているのですから。従って私はただ単に、おれの方の畑じゃないというのではなくして、建設大臣が発議ができると思うのです、閣内においても。そういう措置は一つ十分お考えを願いたいと思うのです。  次に伺いたいのは、午前中にやかましく論議しておりました公団家賃の値上げの問題は、これは済みましたから言いませんが、大臣の読み上げました施策、お話になった施策を見ますと、公営住宅家賃減免の措置を講ずる、それから勤労者特に中小企業従事者のために公営住宅、産業労働者住宅及び公団住宅の供給について改善をはかりたいということになっておりますが、現在だれも求めて公団住宅に入ろうというものはおらないのです。公営住宅がないからやむを得ずあそこにいこうという方が多いのです。従って多くの人たちは政府公団が説明しているように、公営住宅に入る者以上の高額所得者であるということは立証されておらないのです。今まで、昨年度までは大体において二万七千円以上の者、収入が。ところが本年度からは三万二千円以上の者にきまっておりますが、とにかく家賃が商い安いよりも、家がないのだという非常にどうにもならぬような方々が公団住宅に飛び込んでいく。希望者が多いから需要が多いのだという考えを軽はずみにお持ちになると、これは大きな間違いであって、だれも高い家賃のものにいくことはないのです。公営住宅がどんどん建ってくれればその方にいきたいのです。そうしてごまかすわけじゃないのでしょうが、家に入りたいから、収入も二万円緯度の者も二万七千円程度の証明を何らかの方法で持って来て入るというのが現状なんです。そこで入ってしまえばやはり二万七千円以上の収入というものにみなされるわけでありますが、実状というものを調べてみますと、二万七千円以下の収入の人が多いわけです。従って過渡的に住宅公団に入るけれども、別に公営住宅の方に自分が入れるならば入りたいという希望が強い。現在では公団住宅に入っている者が公営住宅に対する入居の資格と申しますか、家がないのじゃない、家があるのです、公団住宅に入っているのですが、公営住宅の募集に応ずるということは現在とっているのですか、とらないでいるのですか。そういう点は家があるから不適格者だといって受け付けないのですか、その点は住宅局長に伺いたい。
  145. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) この点は、私各県によりまして多少やり方は異にしていると思いますが、公団住宅入居者につきましても、希望者は公営住宅にも申し込みをさせておる、かように考えております。拒否している事実はないと思います。
  146. 田中一

    田中一君 そういうことならば、その問題は確かならばそれでけっこうです。私も十分調べてみます。また住宅局長もそれを徹底的にお調べになって、一つ次の機会までに資料を出していただきたい。こういうことは実際にいって、住宅局はどしどししなければならぬことなんです。そういう調査はどしどししなければならぬことなんです。実態をつかんでおらないで、住宅戸数が何十何万戸なんということはおかしな話なんです。それは一つなるべく早く調べていただきたい。そこで明年度公営住宅に出そうという金と、それから公団住宅の方に出そうという金、従ってそれによるところの戸数です。これが私は今のような考え公団住宅を望んで、公営住宅をうっちゃっても入りたいということよりも、やはり安い家賃の家に入りたいという者が多い。従って明年度計画、このお示しのものには私非常に不満に思うのです。従って明年度はぜひとも公営住宅、低収入者層の方が日本は多いのです。従ってそういうものに対して強く予算を盛り上げていただきたいというように考えるわけなんです。これはおそらく大臣が主張したものじゃなくて、事務当局が書いた数字を大臣がこの間御説明になったと思いますが、こういう点は大臣の意思でもって、強く低収入者層の住宅というものに重点を置くことが、反対党におります私ではありますけれども、望ましいと思いましす。住宅問題というのは政党政派に関係ございません。政策でも何でもないのです。なるべく安く大勢の人を入れたいというのが主でありますから、ぜひとも建設大臣の査定といいますか、省の意思をきめる場合には、そういう方向に持っていっていただきたい。と同時に、先ほど言っているように、公営住宅家賃減免の措置は、現在でも法律でできるようになっております。これをやろうとおっしゃる、この意欲、これは非常にけっこうでありまして、見上げます。しかしながら、公団入居者に対しましても、たとえば今までは二万七千円の収入があったけれども、今くびになって一万五千円だという場合には、やはり減免措置が、思想で出発するならばこれは当然あってもいい。もしそれができないならば、そういう方々に対しては、お前の月給は今度一万五千円になったから、ここに公営住宅があいたから、こちらの方に移れという措置がなされると思います。それができないならば、やはり減免措置をとるべきであろう、こう考えます。そういう点はどう考えておりますか。これは法律改正でなくてもできるのじゃないかと思うのです。公団の事業計画でできるのじゃないかと思います。
  147. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 公営住宅について家賃の納入を猶予するという規定が現在ございます。また、地方の財政の許す限りにおきましては、相当数生活保護階層、あるいはボーダー・ラインの階層の入居者に対しまして猶予をいたしております。しかしながら、特別会計を作っておるにいたしましても、また作っていないところにおきましても、公宮住宅の管理上の財政の理由等からいたしまして、必ずしも意のごとくなっていないわけでございまして、その点が厚生省の第三種公営住宅の要望として現われているわけでございます。私ども住宅行政の衝に当っている者といたしましては、第三種公営という考え方の規模の小さいもの、しかも隣棟間隔を密にして建てるということは望ましいことでもございませんので、そこで厚生省ともよく打ち合せまして、建てる方の住宅の規模は現在の第二種公営住宅程度にいたしまして、そこによって家賃として決定されます金額を一応とるわけでございますが、生活保護法階層でございますとか、ボーダー・ラインの階層に対しましては、これを生活保護法で住居費として積算されている限度まで下げるということを目標にいたしまして、これを制度化いたしますためには、国が財政的な援助をする必要があると思いますので、この住宅の管理主体、事業主体に対しまして、その差額の——従いまして二千円の家賃住宅に対しまして、家賃を減免いたしまして、千百円ということにいたしますと、差額は九百円でございます。その八割を国から寄付したい。従って、従来は法律上は猶予するという規定がございますが、それが意の通り行われておりませんでしたので、これを国の制度として取り上げてみたいという考え方でございます。従いまして、家賃減免という場合の考え方は、生活保護階層あるいはボーダー・ライン階級所得から申しますと、月収八千円程度のところを目標にして考えているわけでございます。それ以上の階層については、ただいまのところ検討いたしておりません。従いまして、公団住宅につきましても、個々の所得に応じて家賃をスライドしていくというふうな考え方は持っていないわけであります。
  148. 田中一

    田中一君 公団公庫、公営、この三つの住宅政策に対して、建設大臣は、前年度比べまして、どういう戸数を当てはめたならば望ましいかという考えがおありだと思います。従って、私はさっき要望しておりますように、公営住宅の方に相当大巾に予算を流してくれという要望に対して、大臣の一つ御意見を伺いたいと思います。
  149. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) ここにお示してありまするように、公営住宅五万八千戸、公庫住宅八万九千戸、公団住宅が三万五千戸と大体やっておりまして、これはいろいろのケースから検討いたしまして、私その方面についてはあまり詳しくないのでありまするが、事務当局の提出した案を省議においていろいろ検討した結果、こういう結論を出した次第であります。現在のところはこれが妥当である、かように考えております。
  150. 田中一

    田中一君 まあ、そんなことじゃ、来年選挙があったら嘆きますぞ。(笑声)  そこで前回の委員会で私初め社会党から提案しておりますところの公営住宅の一部改正法律案、これは政府としては御検討願いましたか。
  151. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 私手元に改正法案を実は持っておりませんでしたので、検討が大分おくれておりました。しかし最近ある雑誌に出ておりましたので、それを拝見いたしました。正直なところそう申し上げます。従いまして、私はその条文の内容の個々につきまして、現行法といろいろ対照したところもございますが、個々についてまでは検討いたしませんでしたが、枢軸になっている御趣旨の点はわかっております。わかっておりますが、あの枢軸になっている点は先ほどお答えいたしました通りの内容でございまして、家賃を所得にスライド幾ら、あるいは誤解がありましたら、間違っておりましたら、お許し願いたいと思いますが、過去の低い家賃のものも高くして調整するというふうなお考えがあるかと思うのでございます。この辺のところにつきましては、そう急に政府としても賛否の意見を申し上げることはできないかと存じております。
  152. 田中一

    田中一君 まあ、その程度でも局長が見たというなら、いいですが、次に伺いたいのは、三十二年度において四十八億の中高層建築の予算を計上し、私はこれが本年度幾らぐらい消化されるかということを非常に注目して見ているのです。私自分も、私の年来の主張でありますから、各地域にわたって啓蒙しております。促進するようにやっております。しかし実際において、これが本年度の実績としてどのくらい上るか、ことに一番ねらいとするところの何といいますか、地価も高く、それから密集地域というものに実際に行われるものはどのくらいあるか非常に懸念しております。そこでこれは、ある面からいうと機関の、機関といいますか、取扱い機関が不適当ではないかという気持もするわけなんです。というのは、この中高層建築法律案の提案というものは単行法でなされるであろう、また、単行法でするのだというようなことを私も期待しておりました。また、政府も当時そういうことを言明しておりました。ところが、突如として金貸しであるところの住宅金融公庫にこれが預けられて、そこから中高層建築という政策的な、政治的な面じゃなくて、ただ金を貸してやるのだという観念の機関にゆだねらたということが一番欠点ではないか。単行法で地方行政庁にこれをゆだねて、その計画、盛り上ってくるところの計画、むろんこれには直接に同じ行政区域でありますところの各都道府県なり市町村なりは、地元の取りまとめ、それから、どうしてもここには必要なんだというような面、これは都市防衛と申しますか、都市の不燃化の問題からいいましても、たとえば住宅問題の解決にいたしましても、宅地造成の解決にいたしましても、こうした問題は金を借りようというものの意思じゃなくて、行政的な見地からその都市のための必要性というものはおのずから生まれてくる。そういうことでいくならば、もう少しスムースにまた仕事が進められるのじゃないかという気もするわけです。  そこでお願いしたいのは、現大臣が一応住宅金融公庫法の改正でもって前国会でそれをきめておりますけれども、単行法でただいま申したような宅地の造成というものを、とんでもないところに持っていかないで、都心に置く。むろん住宅問題の解決にもなれば、都市の不燃化、いわゆる都市災害というものを火災から守る、火災という都市災害から守るということも考えられるという点から見て、あの法律を改正して、単行法で直接に補助金あるいは融資を府県に流すというような制度をとれないものであるか、こう考えるのです。四十八億の本年度融資の金というものは、どのくらいまでこれが使えるものかということが非常に疑問であります。計画はたくさんございましょうし。おそらく数百億の計画があると思うのです。そうしてこの法律の賛否をきめる際にも、住宅公団総裁に、あなたは都道府県からの要請というものを十分に参酌して、その意思にまかせるというような気持はないであろうかという質問をいたしますと、とんでもございません、住宅金融公庫は国家から預った金でございますから、自分のところの自主的な運営をいたしますという答弁をしております。これは今の法律の建前からいえばごもっともでありますけれども、これではわれわれの考えておるような所期の目的は達せられません。そういう点については、そういう一つ勇気をもって、建設大臣がこれを単行法をもって、明年度は聞くところによりますと、四十八億より増した七十七億とかの予算を計上したいということがあるのでございますから、そういう方向に向ってするということは言えぬでしょうが、これは検討するという気持がございませんか。
  153. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 金融公庫が中高層の建築について相当積極的に指導しておるようでございまして、具体的なことについては承わっておりませんが、最近非常にこれが要望も多くなってきております。こういう状況を聞いております。これは都道府県の意向よりもやはり実際やってみた場合において、そこに入ったのは特に商人が多いようですが、非常に成果が上っておる。売れ行きがよろしい。それから店舗が非常にきれいになっておる。こういう観点からむしろ中小企業対策としてこれを大いに活用したい、かように考えております。ところでこれを都道府県に委任してやらせて、公庫の手を離してやるということが果して適当かどうか、私はちょっと決断がつきません。と申しますのは、現在公庫の出張所も主要な所にみな出ておりまして、しかもこれはやはり総括してこれをやらなければならぬことでございますし、その負担能力あるいは経営の実態、これを都道府県でやるということが果して効率的であるかどうかについては、私判定つきませんので、現在のところせっかくのお申し出でございますが、単行法でやるという気持を私は持っておりません。もう少しこれは経緯を見まして、金融公庫でやって非常に支障をきたしておるという状況、あるいはまた要望する人々から非常に不便だという点があるならば、これを改正してやっていいと思いますが、今直ちに単行法を制定するという段階とは私考えていないのであります。しかしせっかくのお申し出でございますから、事務当局をして十分諸般の状況を検討せしめてみたいと思います。
  154. 田中一

    田中一君 厚生省はたしか昨年度三十億でしたか、四十億でしたか、都道府県の手を経て産労住宅融資しておるのです。住宅金融公庫に国が金を出すことはけっこうです。事業はやはり都道府県に委任するという形が望ましいと言っているのです、私が考えるのは。現在ではそうでない。そこで現在土地問題につきましての立法というものは、あなたまだおわかりでないと思いますけれども、耐火建築促進法というものもあるのです。これはちょうどこれと見合うものなんです。耐火建築促進法は、単行法でもって地方公共団体が施行しておる。事業主体地方公共団体になった場合に、八割の土地所有者、地主が承知するならば土地収用法も発動してよろしいという法律を、われわれ国会で作っておる。これに乗っければよろしい、ただ金を貸すんだという観念だけでは適当な都市が求める好条件の土地が得られない。この住宅金融公庫融資にいたしましても、全部都道府県が指導しておるのです。PRは都道府県、市町村が全部やっているのです。大きな一筆の地主というものは容易です。本年度やっているのは主にそれです。私ども全国にいろいろ指導をやっております。とにかく一番これが必要だ、また危険度が強いというところには、これは土地の価格も高い。住宅に持っていっていい土地があれば適格地だ、そういう場合には、何といっても自分土地をもって家を建てているという者もあれば、他人の土地を借りて自分の家を持っている者もあれば、他人の土地へ他人が借りて家を建てているものもあれば、ケースが違うわけです。従ってなかなか話がつかないんです。ずいぶん地方的にこの問題に対しては指導もしてやっているんですが、利害が一致しないんです。しかしこれはやはり都道府県、市町村が地元に対して強く、耐火建築促進法等いろんな法律がありますから、これをミックスしてやれば容易だというんです。従って私の単行法ということができなければ、住宅金融公庫の資金は事業としては都道府県の市町村の、地方自治体の意思にまかすということも一つの方法だと思うんです。それをやはり金貸しというやつは、どうも県の方にまかすのは危くてしょうがないというようなことを言うのは、せんだっての鈴木総裁意見です、そういうことでは今できません。やはり持てるもの、大企業家、大地主のみに融資されるという傾向にならざるを得ないんです。それは実際われわれが中高層というものの融資考える場合に、今大臣が言っているような中小企業対策としての実は上らないわけです。そういう点については十分に御考慮願いまして、明年度七十数億という金の融資をしようというなら、その点について実態をお調べになって、本年度四十八億が幾ら消化されるということも考え対策を立てていただきたいということを希望します。  もう一つそれに関連しますが、ここに大臣は不良住宅地区の改良事業をやろうと言っております。これは前国会でしたか、私は南條建設大臣に対して、この問題に政府が手をつけないならば、社会党はこれに活を入れて生かすような法律案を出すと言ってどうかつしたわけです。今度は幸いにしてこういう提案がなされたということに私は非常に共鳴を感じます。これらのものは、今の中高層建築に対する融資並びに耐火建築促進法等、都市における宅地その他の中小企業対策を加味しながら活用すれば、また容易に行われるということです。従って、これがやっと日の目を見たから——死んでる法律でしたが、やっと日の目を見たから、十分にミックスして、コンデンスしながら住宅問題、宅地問題等の対策をお立て願いたい。これでもしもおれの方ではどうもなかなかできぬということならば、私も野党でございますが、参画いたしまして、国民のために知恵をお互いにしぼり合ってもいいと思いますけれども、その点も十分お考え願いたいと思います。  大体私の質問はこの程度にして、次の委員会にでもあとの問題を……。
  155. 石井桂

    石井桂君 今、田中委員から住宅政策についての御質問がありまして、それに関連して私も大臣にちょっとお聞きしたいと思うのです。今年度住宅政策の、国民から一番要望されている住宅というのは公営住宅です。今年度が四万六千戸、来年度が五万八千戸の計画です。この数字はもちろん多いとは思いませんが、五万八千戸の予算を取るのは、まあ非常に大臣が決意をもってやられたのだと思います。そこで、私はこれは与党でもそう思っているのですが、もう少し住宅政策、ことに低家賃住宅政策に力を入れる、そうして公営住宅計画が三カ年ごとに計画されているわけです。三カ年に十五万戸建てるとか、十八万戸建てるとか言うて、今年度はたしか第二期の公営住宅計画の初年度に当ると思うのですが、この初年度に当って大きく打ち出してやりませんと、いつもジリ貧になってしまって、毎年公営住宅政策が議会で承認されていながら何万戸残ってしまうのです。そういうことのないように一つ大臣の御決意をこの際公式の席で御発表願いたい。
  156. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘通り田中さんやあなたの言われる通りでございまして、公営住宅の需要は非常に多いし、また非常にこれが成果を上げております。ただこの問題は非常に予算措置が多くかかりまするために、事実上なかなかこれを満たしていない、そういう関係から、従来厚生省あるいは労働省がそれぞれ別個の立場において、あるいは労働政策とし、あるいは厚生保護政策の一環として予算を請求されておる。建設省もこれを要求する、そこで所管争いのような状況のもとに両方ともこれはつぶされておる、こういう現況が多かったと思います。そこで私は事前にそうした所管争いをしておるからというのでたな上げされてははなはだ遺憾であるから、厚生省において生活保護を受けるようなボーダー・ラインの人々の考えも非常にけっこうだから、しかし住宅政策としては政府として一貫してやるべきだということで、これは話し合いをつけました。そこで厚生省の意向を十分取り入れる態勢をとり、それから労働省についても、これは政治的折衝をして、労働省の意向も建設省公営住宅の中に組み入れるということでやっておりまするので、従来よりは所管争いによる間隙をなくした、こう思っております。ただしかし、大蔵省との間ではこれはなかなかむずかしい状況でございまして、これはお示しのように、私は全力を注いでこの問題はやりたいと思い、また政調会においてもこの問題を相当理解していただいておる。幸いにいたしましてこの問題は党派をこえて、衆参両院とも非常な熱意をもって御支援いただいておりますので、私はこの御声援を背景として、全面的にこの実現をはかりたいと、かように思いまして、もとより住宅政策はどれが重点で、どれが重点でないというわけにはいきませんけれども、やはり何と申しても公営住宅がもっともこれは重点中の重点として施行すべきだと思いまして、そのつもりで努力いたしたいと存じます。
  157. 石井桂

    石井桂君 私は住宅政策についての大臣の御決意は了とするのですが、ただこれに伴ってやはり家賃政策ですね、これはやはり並行してとられないと、戸数だけ満たすということは、やはりこれは国民の要望にぴったりこないと思います。先ほど住宅局長から非常に低額所得者に対しまして、社会保障の立場から家賃の面にまあ軽減できるような補助金の形か何かをとられるという話がありましたが、非常にけっこうだと思うのですが、もっと徹底した何か方策、先ほどから田中さんからもお話があったように、家賃の算出には宅地もずいぶん関係があると思う。宅地というものは高騰して下ることのないものなんですね。これに対して、まあ農地政策のような工合に国有地にすることは、これは当然とうてい望むことはできないと思うのですけれども、あらかじめ区画整理をやってしまって、そうしてすぐ宅地に向くようにしておくとか、いろいろな政策があわせてとられたら、かなり安く用意もできるんじゃないかというふうにも考えられるわけです。つまり現在遊んでいる土地を、そうしてまあ草や何か一ぱい生えておる土地を進んで入手して宅地造成をあわせてして、そうして、現在はあるいは緑地になっておるかもしれませんが、そういう所で支障のない所を、あわせて積極的に宅地を造成するということによって、家賃に響く経費を少くして、そういうようなこともまじめにやられたらずいぶんこれは効果があると私は思うのです。そういう計画、首都圏の方の関係ではやっておるようですが、これはやはり建設省で御計画になった計画ですか。
  158. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お示しのように宅地が年々非常に暴騰している。これはあらゆる家賃に響いてくる。こういう関係からいたしまして、お示しのように各都市あるいは町村に至りましても、公営住宅の関連と、それから一般宅地の造成の上からも、都市計画はできるだけ幅を大きくしてやっていくように指導いたしております。特に東京あるいは大阪、その他五大都市には、この都市計画あるいは都市改造と相関連いたしまして、宅地の暴騰をできるだけ防ぐとともに、若干値上りしても、それが公共の用に供せられていくように、公共の用とはそれだけ上ったものが公共の所得になるように、あるいはまた地代の値上げが民間の重荷にならないようにというような政策が一つと、それからもう一つは、公団並びに公庫が宅地を入手する場合に相当将来を見通して大幅にやれるようにしたい。そういう観点から、実はこれは非常にむずかしい問題でありますが、われわれの構想としては、宅地の造成もしくは入手については別途勘定にして、少くともこれは五年ないし十年のプール計算でまかない得るようにする。従ってある意味においては現在の計画よりもどんどん宅地の入手できるような、金の使い方ができるような方法の検討を私は事務当局に要請しておるのであります。それに基いて大蔵省に今折衝させつつあるわけであります。非常にむずかしい問題ですけれども、お示しのようにただ自然のままにまかせておって、高くなったからやむを得ないというようなことでは、こういう大きな事業はできないのでありまして、こういうような新たなる構想を進めて参りたいと思っております。
  159. 坂本昭

    坂本昭君 大臣に一つお伺いいたしたい。最初の委員会で、大臣が各省の住宅政策を調整して、特に低額所得層に対する住宅政策を完成したいと、非常に張り切ってお約束いたされまして、われわれは非常に期待を持っておったのでございます。その中で、各省の所管争いの調整はかなり大臣の御努力で准捗しているように私は拝見いたしました。しかし低所得層に対する住宅対策というものは、どうもまだこの間お示しになった内容を拝見したところでは、はっきりうかがわれません。今も与党の方からも御質問と言いますか、御鞭撻があった程度で、私は非常にこの点遺憾だと思います。今度国民生活白書が出ておりますけれども、この中で、おもな家計費の動きがグラフで出ております。その中で群を抜いて住居費の占めるパーセンテージが非常に多いのです。これはやはり大臣が住宅問題に対してもっともっと努力しなければならないことを如実に示していると思う。しかも来年度計画を見ますと、公営住宅はわずかに五万八千戸です。このことは今田中委員指摘通り私どもとしては非常に都合がいいのです。われわれはこの点で大いに政府を反撃して選挙演説をやるのに都合がいい、この点はまことに感謝にたえないことです。その点は私確認しておきまして、一つだけお伺いしたいのは、けさほどから住宅公団総裁家賃の問題についていろいろ論議いたしました。もちろん固定資産税の問題も論議されたのですけれども、結局帰するところは低家賃の問題、そこで総裁がるるとしてここで陳情した結論は、政府出資額を増してもらいたい、これは公営住宅、それから公庫住宅全部に供通する問題です。ですからあの大きな加納総裁の切々なる訴えによって動かされまして、一つお伺いいたしたいのは、昭和三十一年のときは出資額が九%程度、それから本年度が三六%、来年度計画はどの程度住宅公団に対して政府出資をお考えになっておられるか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  160. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) ただいま数字を調べればすぐわかるわけでありますが、具体的な数字はのちほどお手元にお届けいたしますが、従来の賃貸住宅の資金コストにつきましては、現在は四分一厘でございます。これを三分二厘五毛、といいますのは、資金運用部資金の六分五厘の半分でございます。従いまして、賃貸住宅については政府出資金が半分、資金運用部資金が半分である、こういうような構成になるように、要求をしております。
  161. 坂本昭

    坂本昭君 それによって大体どの程度家賃の引き下げを政府としては考えておられますか。
  162. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) これによりますと、大体家賃のレベルを、現在衣の入居者が負担をしておられる家賃程度に据え置く、こういうことを大体の目標にいたしておるわけであります。と申しますのは、用地費も高くなりますし、建築費も若干高騰を見込んだわけであります。それから規模にいたしましても若干引き上げたいと、かように思っておりますので、そういう計算からいたしますれば、現在程度家賃に据え置くためにも、三分二厘五毛という一応の計算が出るわけであります。もっとも政府出資を増すということは非常にむずかしい問題でありますため、できるだけ努力いたします。三分二厘五毛でなければそれでは来年度家賃が上るかということになりますと、必ずしもそうとも参らんわけでありまして、規模で工夫をいたしますれば、必ずしも現在程度家賃に据え置くことには三分二厘五毛にすることが絶対必要だと、こういうことでもございません。現在の予算の要求の態勢といたしましては、三分二厘五毛といたしまして現行の家賃の水準を維持する、こういうように考えておるわけであります。
  163. 坂本昭

    坂本昭君 どうもいろいろな御説明を承わりまして、大臣がかなり住宅政策について、来年度は大きな飛躍をしておるとあちらこちらで述べられておられますけれども、一向そういう点が見受けられないようにこちらは確認いたしてよろしゅうございますか。
  164. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) それは個人の自由でありまして、判断の自由は私は束縛しないのであります。しかしながら住宅政策といい、社会保障といい、これは見方によってはいろいろとこれは足らない点があると存じます。しかしながら、少くとも住宅政策が鳩山内閣の当初から取り上げられて、これが軌道に乗り、現実にこれが成果を上げておるという事実は、これはあなたも認められておる通り、ただそれがあなた方が期待するほどいかないということについて、あなたの判断を下されることは自由でございますが、われわれとして現在の国家財政上から見て、私自身が満足とは思わないけれども、ある程度順を追って確立して参りたいと思っております。時に低額所得者の問題は今日までいろいろ強く言われながら、全然ほとんど手がつかなかった、来年度はぜひこれは先ほど住宅局長から御説明申し上げたあの綿に沿って第一歩を進めていきたい。それから順次この問題を拡大して参りたいと考えておる次第でございます。
  165. 石井桂

    石井桂君 私住宅政策でないのですが、地すべり防止対策です。これは大臣にお聞きしたいと思うのですが、建設省でも地すべり防止法案を御用意になっておられる、また新聞紙上によると、農林省でも地すべり法案を御用意になっておられる、こられはどういうふうに処理なさっていくか、またこの来たるべき通常国会に御用意ができるかどうか、その点をお聞かせ願います。
  166. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 地すべり対策は従来とも言われてきましたが、本年九州の豪雨災害によって、これがさらに一段とクローズアップされてきたわけであります。御指摘のように地すべりに対する現在の状況における所管は、これは建設省と農林省、いずれも関係ございます。そこで両省に関係があるということで、実は両省とも消極的であったのではなかろうかと思います。それで結局ああいう問題は、緊急砂防の工事対象としているだけであって、予防措置も十分できていない。そこで私が与党並びに政府に諮りまして、これはぜひ立法措置も講じ、さらに従来の施策を統一して実施すべきであるということで、立法措置にかかったのでありまして、しかし私の方から農林省の分までやるということは、いかに同じ政府であっても、権限として適当ではなかろう、われわれはわれわれの方として原案をまとめて、農林省は農林省として必要な条項を検討しまして、両省二回ばかり事務当局と折衝しております。提案する場合においては、当然一本としてやりたいと思っております。現在の段階ではおのおのの所管の立場において地すべり対策に該当すべき要件を検討しております。今から調整するという段階でございます。通常国会にはぜひとも私は提案いたしたいと考えている次第であります。
  167. 石井桂

    石井桂君 われわれも地すべりに対しては非常に関心を持っておりまして、三十日から五日間岐阜、長野の方へ参るのですが、地すべり地帯の調査もできると思うのですが、願わくばどうぞ一つ大臣の政治力で、農林、建設、円満に一つ早く法案を出していただきたい、これが一つ。これと同時に、問題がもう一つあるわけです。昨年下水道法というものが通りました。下水道建設建設省所管です。最後にいって終末処理の問題は厚生省になっているのですね、そうすると、人間の胴体から上は建設省で下の方は厚生省だ、私ども実際非常に不便だ、こういう点は同省譲り合って、行政がうまくいくようにできないものか。われわれ地すべり対策法案のことを心配するのは、そういう問題が起きやしないかという心配をするものですから、あわせて関連してお聞きしておきたいのは、下水道の終末処理というような問題は、やはり専門家が必要ならば建設省にいてもらって、そうして一貫した下水道行政ができるようにするのが筋だと思うのです。その点大臣のお考えいかがですか。
  168. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) ごもっともな御意見でございまして、しかしこれは、行政をどの線で分割するかということはなかなかまた、設置法の建前をとっていくというと、片方の筋を通していくと、かなり奥まで筋が通っていってしまう、そういう観点から、若干不便ではありまするが、こういう結果になったと思います。しかしまだ一年も実施されないうちに権限争いするということも適当でないと思います。厚生大臣とも十分連絡をとりまして、現実に支障なからしめるということが、これまた行政官の運営の妙であります。御指摘のように十分にそれに気をつけます。今のところ、この問題のために非常に対立があり、そのために事業執行に困難を来たしているというほどのことはまだ聞いておりません。だいぶ両方とも気をつけてやっていただいていると思いますので、当分このままにして、もし非常に障害があるという状況になりますならば、これはあらためて検討いたしたいと思いますが、現状においてはこの所管の分離されておるにもかかわらず、両省あるいは出先の十分なる理解のもとに、万全を期したいと考えておる次第でございます。
  169. 石井桂

    石井桂君 もう一つ。これは大臣でなくてもけっこうなんですが、計画局長にお尋ねしておきたいと思うのですが、都市計画についても来年度は非常に事業をおやりになるように拝承いたしましたが、ことに都市計画の中の区画整理ですが、区画整理は遅々として大都市あたりが進まない。進まないのであるが、その計画を見ますと、非常にうまくない計画をやっている場合が非常に多い。御存じかもしれませんが、区画整理というのはどの宅地も道路に直接面して裏家をなくすというのが区画整理の目的なんです、大体は。そして都市の生活を愉快にできるように換地していくというのが……。ところが、私のところへ都内で二、三カ所ですが、陳情がありまして、そしてその換地を拝見しますと、非常に無理な換地が多いのです。例にたとえれば、ウナギの寝床みたいな道路を入って、相変らず中の中に宅地が換地されている。一たん入口に火事でもあると焼け死んでしまうというような換地がだいぶあって、私のところへだいぶ陳情に来ている。これはおそらく東京ばかりでなくて大都市の趨勢だろうと思うのであります。そういう区画整理の実際の指導というものを、一々の指導はしなくても、大きな方針あたりは示してないと、これが不平を方々に起しまして、区画整理が実際進まない理由になるんじゃないかと、こう思うのですが、もし必要ならば私の方から事例を差し上げますが、実際に一つ区画整理を監督しておられる所管局長とされては、そういう事例をお聞きになったかならぬか、またどういう御方針をおとりになって区画整理をおやりになっているか、そういう点を一つ。
  170. 町田稔

    説明員(町田稔君) ただいま御指摘のございましたように、区画整理につきまして、その設計が不適当な事例もございますことを私たちも承知いたしております。それでそういう際に建設省の方にいろいろ直接話がありましたときには、私の方で再検討いたしまして、修正をするというようなこともいたしております。なお基準につきましては、区画整理の設計基準を作りまして、あらかじめ示してございますので、この基準に従って各地方におきまして計画を立てておりますが、なお今後も十分注意をいたしまして、内容につきましても指導強化して参りたいと思います。
  171. 石井桂

    石井桂君 区画整理の認可は従来と同じようにお宅の方で許可しているんじゃないですか。
  172. 町田稔

    説明員(町田稔君) 区画整理につきましては、設計の段階におきまして建設大臣の承認を得ることになっております。その設計に基きまして、個々の換地をいたしますのは、全部事業主体にまかされておりまして、これは建設省に参っておりません。
  173. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは本件につきましての質疑はこれをもって終りといたします。   —————————————
  174. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) なおこの際御報告を申し上げておきます。  先般御協議を願いました委員派遣は、岐阜、長野両県下に石井理事と重盛委員が来たる三十日から五日間派遣せられることになりました。   —————————————
  175. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) また来月の委員会は十日及び十一日にいたしたいと思いますがいかがでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それではそういうように決定いたしました。  では本日の会議はこれをもって散会いたします。    午後一時五十五分散会