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1957-03-05 第26回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月五日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            中野 文門君            武藤 常介君            内村 清次君            大河原一次君            坂本  昭君            北 勝太郎君            村上 義一君   政府委員    建設省計画局長 町田  稔君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件(昭和三十二年度建設省関  係予算に関する件) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまから委員会を開会いたします。  つきましては、理事会の報告をまずいたします。本日は、河川道路計画土木研究所予算調査について審議をいたします。それから七日は、国土開発縦貫自動車道法案というのが、ちょうど本日衆議院に上程されて、これがこちらに送付されることになりますから、議運にかけまして、それから本委員会に付託されることと考えまするから、もしその法案が当委員会に参りますれば、優先的にこれを取り扱うことにいたしまして、その次に、現在政府から提出されておりまする日本住宅公団法の一部改正につきましては、すでに説明済みであります。国土調査法の一部改正道路整備特別措置法の一部改正高速自動車国道法案住宅金融公庫法の一部改正、この四法案予備審査をいたしたいと考えております。それからその次に住宅、営繕、建築研究所予算調査をいたすこととするつもりであります。なおその際北海道開発についても調査いたします。  第三には、土曜日にいかなる審査をすべきかにつきましては、参議院の建設委員長衆議院建設委員長といろいろ折衝いたしまして、そして七日にその結果を皆様方に御報告申し上げて、そして土曜日に建設委員会を開くかどうかということをきめるつもりでおります。これは理事会においてそういうふうに取り扱う方がよかろうということになっておりますから、さように私の方で処置したいと考えております。   —————————————
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本日は昭和三十二年度建設省関係予算に関する件のうち、河川道路計画及び土木研究所関係の分について順次御質疑を願いたいと存じます。御質疑のある方は御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 特定多目的ダム建設工事特別会計が今度新設されることになっておりますが、これについて一応この三十二年度予算説明の中を見ますと、大体のことがわかるようになっておりますけれども、問題はアロケーションの問題、これがどういう積算の基礎に立って今後とっていくかという点について御説明願いたいと思います、最初に。
  5. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 特別会計の歳入の内容といたしまして、一般公共事業でやる分と、電気その他の水を利用する側のダムに対する分担金アロケーションの問題でございまするが、これは従来におきましては、電源開発促進法の第六条の二に、そういうふうなあわせて事業をやる場合の費用負担方法をきめるということが制定されておりまして、それに従いまして、政令あるいは総理府令等が制定されております。従来におきましても、その方法によってやって参ったのでございますが、今回の特別会計分担につきましても、その方法を用いましてやっていくつもりでおります。
  6. 田中一

    田中一君 ここに説明書を見ますと、これにあげられておる約十二河川ですか、の設計調査も含めた十二の河川が名前が出ておりますけれども、これはもはやどこをだれが発電をするか、電開促進法に基く負担の開始だということがはっきりときまっておりますか。
  7. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今その特別会計に十二カ所のダム事業及び計画調査を三十二年度においてやることになっておりますが、そのうちではっきりと電気事業者のきまっておりまするのは、天竜川が長野県、荒川の発電が埼玉県、それから愛媛県の肱川は愛媛県、これまでは確定しておりまして、岩木川和賀川由良川球磨川等は継続中のものでございますが、大体予定者がきまっております。その他新規の事業をやります名取川淀川につきましては、予定はされておりますけれども、今後におきまして、きめていかなければならぬものと考えております。それから三本の雄物川鬼怒川揖斐川計画調査につきましては、計画をはっきり立てまして、その上で事業者をきめていく、こういうことに考えております。
  8. 田中一

    田中一君 むろん今の三本だけがきまっておって、あとはきまらぬとおっしゃるけれども、一応分割された会社並びに府県ですね、これが話題というか、交渉がされておると思うんです。そこでその他の河川についても、これをきめるのはこれからきめるのでしょうけれども、現在交渉中あるいは話し合い中のものは岩木はどこ、和賀川はどこ、由良川はどこと御説明願いたいと思うのです。
  9. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それでは想定されておりまするものを申し上げますと、岩木川青森県の県営でやるように話が進んでおります。それから和賀川につきましても大体県営で進めたい、県の申し出もありますし、そういう気持でおります。由良川は京都の府営でやりたいというふうに考えております。それから球磨川につきましては、熊本県と九州電力が両方ともやりたいという申し出がありまして、この調整をこれから早急につけなければならぬ、こういうふうに考えております。それから宮城県の名取川は、これは発電はございませんで、上水道工業用水でございまして、工業用水宮城県、上水道は仙台市、塩釜市というものを想定しております。それから淀川の天ヶ瀬のダムにつきましては、目下のところ関西電力予定しております。それから雄物川鬼怒川揖斐川等につきましては、計画調査でございますので、今まで申し上げましたほどはっきりはしておりまんが、大体雄物川は秋田県がやりたい、鬼怒川はそこにあります水利権関係もございまして、東京電力がやりたいというふうなことで考えております。それから揖斐川岐阜県営になりまするか、あるいは中部電力になりまするか、それはこれからの問題でございます。
  10. 田中一

    田中一君 この十一億一千四十三万円というのは、この電開促進法第六条第二項の規定による割合と少しも変っておりませんか。
  11. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは各担当省とも協議いたしまして、今後はっきり協定書みたいなものを作らなければいけませんが、概算におきましては、各省と話し合いをつけでおるのであります。
  12. 田中一

    田中一君 各府県とも基準がまちまちであろうと思うのですが、全部一律な計算の上に立っておりますか。
  13. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ここにあげておりまする十二、あるいはまた電気事業負担金を取る分は十二ではございませんが、その分につきましては同じ方法を採用しております。
  14. 田中一

    田中一君 たとえば岩木川の、青森県が県営でやりたいという場合に、その配電方法はやはり東北電力に売るということになるのですか。
  15. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 大部分が電力会社卸売をするという想定でございます。
  16. 田中一

    田中一君 それに対する県の収入というものはどの程度のものを見込んでおるのですか。卸売をする場合の生産費販売価格との間の差金というものは、どういう算定のもとにやっておるのですか。
  17. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 電力売電単価をきめるのは通産省が認可するわけでございますが、大体の方針といたしましては、電気を起すまでにがかった費用、それから経営費等を考えまして、それを償却する立場に立ちまして原価を出しまして、それに経営費あるいは県のフェアリターンというものを考えまして、それで卸売電気料金をきめております。
  18. 田中一

    田中一君 それから次に受益者負担についてでありますけれども、地方債証券償還年限が、地方公共団体負担金納付の特例に関する法律施行令償還年限と違う、施行令では十三年になっておりますが、ここでは十五年を想定しておるということになっておりますけれども、それはどういうことでそうなったのですか。
  19. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お話の通り一般会計直轄工事分担金納付は十三年で、工事をやります翌年から十三年でございますが、この特別会計によりまする地方分担金相当分償還は二カ年延長しております。その理由といたしましては、ほかの同種の事業及び地方債償還年限等を勘案いたしまして、大体十五年が適当ではないかという——たとえば農林漁業金融公庫土地改良等は十五年、漁港も十五年、林道も十五年というふうなのがございますので、それらも勘案いたしたのが第一の理由でございます。また他の事業に比較いたしまして、このダム事業は特に事業費が大きゅうございますし、また今回の措置によりまして、事業費が相当増大するということにかんがみまして、償還年限を延長いたしまして、地方公共団体償還を従来よりも若干毎年の償還を少くしてやろうというふうな観点から、こういう措置を考えておる次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 むろんこれは法律には関係ございませんが、施行令関係しているということなんですね。
  21. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういうふうに考えております。
  22. 田中一

    田中一君 それからここに、説明書を見ますと、四十六ページの下の方の(2)ですが、この「完成後の管理は行わない。」いわゆるこれはどういうことを言っておるのですか。
  23. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これはダムができ上りまして、その維持であるとか、ゲートの操作というようなものをこの特別会計で行わないということを言っておるわけでございまして、一般会計ではもちろん国が管理する場合もございますし、県が管理することもある次第でございまして、この特別会計ではやらないということを言っているわけでございます。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると、当然国は目的、がたくさんあるのでありますから、単に発電オンリーではない、従って全体の管理はするけれども、この特別会計の中ではしないということだけなんですね、当然国は管理に参画するということは間違いございませんね。
  25. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  26. 田中一

    田中一君 それからその次にある、「三十二年度一般会計よりの受入額前提として新旧制度による施工工事量を比較すると、従来の制度による場合約五十五億、粋別会計の場合約六十五億である」という、これをきめた考え方、それから内容等を御説明願いたいと思います。どういう根拠でそうなったか。
  27. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) こういう考え方をいたしました根拠は、一般会計から四十六億円余りを繰り入れいたしまして、それにプラス地方分担金の分を加えまして、その分は財政資金特別会計から借り入れてかわりにやっておこう、そうすると十億近い分事業量拡大になるわけです。特別会計から借り入れてやっておきまして、それはあとで県が分担金で納める、県の方の分担金納入は従来と同じでございまして、結局一般会計からは四十六億円しか出さないのでございますけれども、事業といたしましては、九億七千万円がプラスになりまして、従来の公共事業と同じだけの仕事ができる。九億何がしの借り入れをやりまして、特別会計といたしましては、四十六億に九億七千万を加えた分だけ仕事をやりまして、九億七千万円だけは地方が従来と同じような分担金を返納すると同じ方法で返せばいいと、こういうことで事業量拡大を考えよう、こういうことで考えたのでございます。
  28. 田中一

    田中一君 従来の五十五億円では不十分であるという考え方なんですか。ちょっとそこのところ明確に納得できないのですが、従来の五十五億円ではできない、従いまして——できないよりも完全ではない、従って九億七千万円というものをそれに足して、より完全なものができるんだという考え方なんですか。単なる事業量増大ということがたとえば発電量その他が増大するということなんですか。これは技術的な面からもどういうことのようにわれわれ理解したらいいんでしょう。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 六十八億円という特別会計内容になりますが、このうち十一億円余りは従来電気事業者負担として出しておりましたが、これは変らないのであります。その残りの約五十七億円でございますが、十一億引きますと五十七億円余りになりますが、これだけの事業事業費がない、今やっておる分も十分の仕事ができない、公共事業費の分としてですね、そういう事情でありますのに、一般会計から四十六億しか出なかった、それにつぎ足してやろう、つぎ足さぬと十分の仕事ができないということでございまして、先生の今おっしゃった通り電気事業も合せますと、六十八億円ないと、今やっておるダムが順調に進められないということでございます。
  30. 田中一

    田中一君 そうすると、単価の構成ということになるわけですか。たとえば九億七千万円というものを足さなければ予定された工事が完成しないという考え方ならば、この六十五億にしたらいいのであって、五十五億出す必要はないと思うのですが。
  31. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 結局今やっております事業を順調に進めるには五十七億円要ると、しかし一般会計からは四十六億円しか出せなかった。その不足分一つ財政投融資の方から借り入れてやっていこう、こういう考え方でございまして、事業としてはどうしても五十七億円公共事業費には要るわけでございます。
  32. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  33. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起して。
  34. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今なるほど金さえふやせば五十七億円できるわけでございます。ただその面から考えると、そういうことに相なりますが、一般会計財政投融資との関係から、どうしても五十七億円にするには、十億円足らずのものは、財政投資へ置きかえないと予算がうまくまとまらないという点もございまして、その点からだけだと、そういう結果からそういうふうになったのでございます。
  35. 田中一

    田中一君 どうも僕にはわからないのですがね。一ぺん山本君(2)というところを読んでみて下さいな。あなた五十七億五十七億と言うが、五十七億というのはどれを言っているのかわからぬのですよ、説明が。ここにあるのは、「従来の制度による場合約五十五億円、特別会計の場合約六十五億円である。」とこう書いてあるのですよ。従来の制度による場合と、どういう制度の違いがあるのかというのです、特別会計と。それから特別会計の場合には、従来の制度公共事業費で出しておる。特別会計とする場合には十億を増さなければならぬという理由がわからぬのです。
  36. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それではこれについて申し上げますると、従来は一般会計におきまして出す金と、電気事業者の持つ金とを合せますと五十五億円しかない。この制度をやりまして、特別会計を作りまして、地方分担金をさらに賦課することができるようにしたのが特別会計の特徴でございまして、そういう制度を作って十億円借り入れをすることができるようになったために、六十五億円の事業ができる、こういうことでございます。
  37. 田中一

    田中一君 そうすると新しく……地方分担金は従来からもとっているのでしょう。
  38. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) とっております。
  39. 田中一

    田中一君 それを何もとっているものを、あらためてこの特別会計の中に地方分担金を入れるということをしないでも、従来とちっとも変りないじゃないですか。
  40. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 従来はたとえば百億という直轄事業をやりますると、その四分の一を地方分担させまして、それを国庫に十三年かかって納付させるわけでございます。今回は百億へさらに地方分担金の分を賦課しまして、国がやってしまうわけであります。その百億以上の分は地方負担する。地方分担金だけ、入った分だけ事業がふくらむわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 そうすると、従来は地方分担金というものは国庫納入される、だからその工事費の中には入って  いないというのですか。
  42. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  43. 田中一

    田中一君 そうすると、不十分な工事をしておったということになるのですか。それとも事業量が伸びるということは、従来でも完成された工事になっているのでしょう、計画は。九億七千万分だけの地方公共団体納付金というものは、これに投入するということによって事業量が伸びると申しますけれども、たとえば、かりに発電の場合に、五万キロの発電の場合に、それを六万キロにできないから五万キロにするのであって、金の問題ではないと思うのですよ。もし今までの発電工事というものが六万キロ要るけれども、金の都合によってこれを五万キロにするのだということで工事をやっていくということなら、これは別問題です。われわれが理解しているのは、この河川の水は結局五万キロの発電しか出ないという前提のもとに五万キロの発電をしていると見ている。今のお説によると、金が出ないから六万キロのものを場合によって五万キロにしたということに聞こえるのですが。
  44. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点はあるいは誤解を招くような答弁をしたかもしれませんが、計画自体を変えるわけではございません。ただ年次予算を幾らにするかという問題でございまして、この特別会計を作ったために、年次予算が来年度におきましては、今までの制度による場合よりも十億円よけい仕事ができるということでございます。
  45. 田中一

    田中一君 どうも僕にはわからないのですが、十億円よけいできるというのですか。
  46. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういうことでございます。
  47. 田中一

    田中一君 どうもこれは納得ができないのですよ。僕が頭が悪いせいかもしらぬけれども、もう一ぺん僕は質問しますが、これでわからなければ、あとでもう一ぺん調べてから質問します。従来地方公共団体負担しておったところの費用というものは国庫納入させる、従ってその工事には直接加算されないのが現状であった。それを今度はその分だけ加算して、加算するかわりにその金がないだろうから、それは別の方から融通して立てかえてやろうということなんですね。そうすると、従って地方公共団体負担する負担金というものは、工事費にかわってこれに投入されるということになるわけですね。
  48. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  49. 田中一

    田中一君 そうすると、従来は地方公共団体負担というものは、全然工事費に加算されていなかったのかどうかという問題です。
  50. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地方分担金工事費に加算されないで、大蔵省収入として入っているということです。
  51. 田中一

    田中一君 そうすると、計画そのものが同じであるならば今までは国庫公共事業費としての負担が少なかったということですね。今までと同じような計画ならば、その分だけやはり投融資か何かの形でもって、あるいは公共事業費として投入しておって、それを地方公共団体負担金として国庫納入をやっておったでしょう、納付金として。そうすると、仕事の実体の量というものは伸びるということがちょっとわからないのですよ、僕には。
  52. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それでは、ちょっとその点を非常にわかりにくい私も説明をしたのでございますが、たとえば、ことしダム公共事業費として百億要るという場合を想定いたしますと、従来は一般会計予算で百億計上しなければならぬわけでございます。その中の四分の一、二十五億というものは、県から雑収入として大蔵省へ入ったわけでございます。結局工事費には充当されなかった。ところが今度の制度によりますると、百億要るときは七十五億、概略の計算でございますが、七十五億一般会計から出せばよろしい、二十五億は特別会計から借りて百億にして仕事をやっていく、ただしその二十五億は県があと特別会計に返すということでございまして、国の方も別に収支償うわけでありますし、県の負担の方も従来と変りないということでございます。
  53. 田中一

    田中一君 そうしますと、工事費というものは前の計画とちっとも変ってないということですね。
  54. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  55. 田中一

    田中一君 それだとね、これはおかしいのであって、従来の制度による場合約五十五億、特別会計の場合は六十五億、何も六十五億と言う必要はない。百億の工事は百億です。五十五億の工事は五十五億なんです。何も金がふえているのじゃない、従って十億仕事が伸びるということは言えないですよ。
  56. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の点はそういう考えでございまして、来年度は六十五億どうしても仕事として要るんだと、そのうち一般会計から五十五億、あと十億は今の借入金でまかなっていく、こういうことに御了解いただきたい。
  57. 田中一

    田中一君 何というでたらめな、ごまかしのことを書くのかわからぬ。何かあなたの御説明を聞くと、事業費はその分だけ伸びる、地方公共団体納付金だけ伸びるというふうに印象づけられておったのですね。伺ってみれば、本年度は六十五億かかるんでしょう。一向計画そのものは変ってないじゃありませんか。
  58. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 従来の制度だと五十五億しかやる金がない。特別会計制度を作ってこそ初めて十億入れまして、そして来年度事業がなせる、こういうことでございます。
  59. 田中一

    田中一君 そんなこと何も公共事業費を余分に出せばいいじゃないですか。同じことじゃないですか。こういう説明の仕方がおかしいですよ。実際ちっとも従来と変ってないです。事業量としては一つも変ってないです。前と同じだとおっしゃっているでしょう。事業が伸びる伸びるとおっしゃるから、そうすると納付金分だけは余分に——納付金九億七千万ですか、それだけは余分な金がついて、計画よりも九億七千万円分計画が伸びるのだという説明のように了解したのですが、おそらく、同僚議員はどういうふうに理解したか知らぬけれども、そういうふうに理解した。というのは、先ほどこの事業量が百億と想定するならばという御想定でこれははっきりした。そうするとここに五十五億、本年度は六十五億になるんだというのは、六十五億は工事量じゃないですか、実際の。
  60. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、ちっともここにこういうことを書く必要も何もないと思う。少しも事業量は伸びておりません。計画通り事業量です。金の出方の問題だけが違ってくるのであって、今言う通りその雑収入として国庫納入される地方分担金というものは当然そういう形で納入はされるけれども、その分だけ取り出して融資によって加算された工事費となるんだということ、従って公共事業費として出す予算というものは九億七千万円分だけ減っているのだということになるのですね、公共事業費として出す分は減っているのだということになりますね、そうじゃないのですか。
  62. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういう見方もありますが、ここにありまする説明は、一般会計からは五十五億円しか出さないが、この制度を採用したために六十五億円に事業量を増大することができる、それが来年度はどうしてもやらなければならぬ事業量である……。
  63. 田中一

    田中一君 六十五億円必要なものは六十五億円出せばいいじゃないですか。どっちみちそのうちの四分の一だけは国庫納入されるので、国の財政は少しも変りない、そこにごまかしの魔術があるのですよ。事業量はちっとも伸びてないです。
  64. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ダムの全体の一般会計からの支出は、大体におきまして三十一年度と三十二年度同じ量が出ております。そういう点から考えまして、この特別会計を作ったためにそれにさらに十億つけ加えまして、三十一年度よりも十億余り事業量がふえておる。
  65. 田中一

    田中一君 六十五億、十億増したということが、制度の上で増すのじゃないのです。当然公共事業費を余分にやれば六十五億になるのですよ。これは予算委員会で分科会で一ぺん質問するようにしますから、それまでにあなたの方でわれわれしろうとにはっきり得心のいくような形の説明を準備しておいて下さい。
  66. 西田信一

    ○西田信一君 河川局長にお尋ねしますが、私はあなたの説明でわかるのですが、こういうふうに理解していいのでしょう。従来分担金国庫収入に入っておった。そこで従来これが国庫納金として入っておったものが、これが特別会計の中に加えられて、借入金でこれを加えて事業費として使えることになったから、その分が前年度より十億ふえる。田中委員の言っておられるのは、国庫に入るところの収入金はそれを予算プラスして出せば同じである。しかし現実は前年度よりはその分だけ国庫の歳入に入っておったものが直接この特別会計に借入金で使うからふえるのだ、こういうことなのでしょう。そういうふうに理解してよろしいですか。
  67. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の通りでございます。
  68. 田中一

    田中一君 ちょっとおかしいですよ。どうも西田君の言ったのは、私は納得したわけじゃないですよ。今言っておる計画事業量というものはきまっているのでしょう。たとえば昨年は五十五億だった、ことし六十五億にしたというのはわかります。この十億増したのははっきりしておる。計画事業量の問題です、これは。それで先ほどの御説明によると、府県分担というものは雑収入国庫へ入る、たとえばあなたが百億と想定したところの御説明を伺うと、百億というものの場合には二十五億は十三年の償還国庫雑収入に入るのだ。しかし計画そのものが百億なんだということですね、今までの場合は。今度の場合には、入る二十五億というものを特別会計から融資をしてやって百億の中の二十五億として工事をするのだということなのでしょう、あなたのおっしゃった御説明は。そうすると百億の工事量というものはちっとも変っていなくて、ただ三十一年度から三十二年度の十億の違いは当然であって、これは計画が十億伸びれば伸びたことになるのですし、従ってそういう制度をとったからといって伸びるわけじゃないのですよ、工事の実態というものは。私はそう思うのですがね。
  69. 西田信一

    ○西田信一君 私はこの河川局長のさっきの答弁がちょっと誤っておるのじゃないかとこう思われるのですよ。百億の場合を想定されて、百億の事業を行うために従来は実際には七十五億しかやっておらなかった、今度その予算が百億になる。その理由は、従来は二十五億は国庫の歳入に入っておった、国の一般会計予算は七十五億しかなかったのだが、今度はそれが国の歳入に入らずに特別会計借り入れによってその七十五億に二十五億プラスされたから、二十五億だけ事業量が伸びるのだ、こういう説明をされたと思うのですがそうじゃないのですか。
  70. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) さっき田中先生に申し上げましたのは、金の出方の例といたしまして、事業量を百億ということを申し上げましたけれども、従来のやり方でいいますと、一般会計からの分だけしか事業に充当できないのであります。今回の処置によりまして先ほどお話のありましたように、地方分担金分だけは特別会計から借り入れまして事業を行いますので、それだけは一般会計だけでやる分に比較しますと、事業量が増大するわけです。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、地方公共団体はどういう形でその自分の分担金借り入れておったのですか。計画事業というものは百億なら百億なのですよ。それを七十五億しか国庫費用で支出しなかったというのは、あとの二十五億というものはどういう形で支出さしておったのですか。
  72. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは毎年の直轄事業を見ますると、普通の県だと直轄事業費で四分の一、それから財政再建団体だと一割でございますが、その分を分担命令を出しまして、交付公債で納めておきまして、それを先ほど申し上げました十三年間で償却しているわけでございます。
  73. 田中一

    田中一君 それでは総額の百億は、ちっとも変っておらないじゃないかというのです、私の言うのは。地方公共団体が国に借金をして、そしてその分はこちらに投入されているのでしょう、二十五億分は。そうして百億になっているのでしょう。そうじゃないのですか。
  74. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほどの例は非常に工合悪いのでございますが、従来は、先ほどの例で申し上げますと、七十五億の国費を出す。その四分の一なりあるいは十分の一の分担金をかけます。そうすると、まあその分は地方公共団体大蔵省に納めるだけで、仕事にはならないわけでございます。七十五億の仕事しかできないわけでございます。
  75. 田中一

    田中一君 そうすると、従来は百億の計画事業というものを七十五億しかなかったということなんですか。実際には百億のものは百億しているのでしょう。していないのですか。
  76. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 三十一年度におきましては、必要な事業はやっておりました。しかし三十二年度におきましては、残務費用といたしましてもっと金が必要だ、予算が必要だということに相なりまして、その伸ばす方法といたしまして、こういう制度をとったわけでございます。
  77. 田中一

    田中一君 どうも僕にはわからないんですがね、皆さんわかったかどうか知らんけれども。百億の事業計画というものは、その年度に、三年なら三年でいいんですが、三年でもって百億の工事を従来からもしておるのでしょう。工事は一応完成しているんでしょう、それを国でやる分が七十五億、百億のうち四分の三でもって打ち切っておるのですか。事業そのものは。
  78. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 従来におきましては、もちろん要る分は一般会計で支弁して、工事を完遂しておったわけでございます。
  79. 田中一

    田中一君 それはそのうちの四分の一なら四分の一というものを十三年間の償還国庫納入しているということなんでしょう。
  80. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  81. 田中一

    田中一君 そうすると、少しも事業は伸びてないということですよ、結局。(「事業は伸びないけれども、促進はするんだよ」と呼ぶ者あり)
  82. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それではいろいろ断片的に申し上げましたのであれですが、ちょっと比較したものがございますので、それを読み上げまして御答弁申し上げます。   現行の予算制度においては、多目的ダム費用のうち治水事業負担分相当額については、その全額を一般会計歳出予算に計上し、その治水事業負担分に対する地方公共団体負担金は、あと一般会計の歳入として徴収することになっております。従ってこの方式を三十二年度予算の金額に当てはめてみると、三十二年度事業費一般会計負担分四十六億三千余万円、電気事業者負担金十一億一千余万円、計五十七億四千余万円が総事業費ということになります。   一方、この特別会計制度によりますときは、現行制度では事業施行後一般会計の歳入に徴収することになっている地方公共団体負担金をその償還の引当財源として、これに相当する金額を当初から資金運用部資金の借り入れによってまかなうことによって、一般会計の歳出を増加せず、その事業費を増加しようとするものであり、これを三十二年度予算について申し上げますと、まず治水事業負担分として純国費負担額に相当する一般会計よりの繰り入れ四十六億三千余万円、地方公共団体負担額に相当する資金運用部よりの借り入れ九億七千八百余万円のほか、電気事業者負担金として十一億一千余万円、その予備収入等一億五千六百余万円で、これを合計すると、その総事業費は六十八億七千六百余万円となり、先に申し上げた五十七億円に比較すると、約十億円程度が増額されることになり、事業の促進がはかられることになります。」こういうことでございます。
  83. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連質問。先ほど西田委員の言われた説明通りだと私も思うのですが、だから河川局長の説明がちっとまずいのじゃないかと思うんですよ。その点田中委員が何度も繰り返して説明しておられるのであって、今言われた財政投融資からの借入金ですね、今度はその借入金一の分だけ工事ができるのでしょう。昔はつまり地方分担金をその部分だけは名目だけでできなかったのです。だからさっき百億ということを言われたけれども、あの分は百億全部できるのではなくて、七十五億しかできなかったのです。そういうことじゃないでしょうか。
  84. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 説明がまずくてあれでございますが、断片的に申し上げましたので、非常におわかりにくかったと思いますが、今読み上げました通りでございまして、今お話の通りでございます。
  85. 田中一

    田中一君 七十五億しかできないと言うのはわかります。しかしですね、私が伺いたいのは、百億の事業計画というものを持っていながら、七十五億で今日まで仕事をやめておったんですか。私はこれは国の立場から、国がそれでやめておりましたということになると思うのです。しかしその工事というものは、百億の完成ならば、あとの二十五億という工事はしたのか、しないのかという問題が新しく起きてくるのです。国の財政の面から見れば、しないのだということは言えるでしょう。しかし実際に百億の計画事業というものは、百億なかったなら完成にならないんですよ。従ってそれがどうかと伺っているのです。その場合にも地方公共団体負担金というものを国が出しているはずなんです。結局百億なら百億というものが工事の完成であるというならば、あとの二十五億を出して、百億の工事の完成をしているわけなんです。だからこそ地方公共団体負担があるのです。従ってあなたが今七十五億でございますということになると、これは大きな問題になると思うのです。計画事業費というものが百億ならばですよ。それを七十五億で、国の支出の面においては七十五億でとめておる。しかし二十五億なければ完成しないというならば、現に今までやっておるところの工事は、どういうふうにして完成しておるのかと、私はそれを伺っているのです。あとのあなたの言う七十五億云々、国の財政面から云々という説明と、工事の完成の面から言う説明と食い違いがあるから伺っているんです。どうなるのですか。
  86. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 百億という例が非常にまずくて、おわかりにくかったと思いますが、従来におきましては、決してこういう制度をとらなかったためにおくらしているということではないのでございまして、ただし三十二年度におきましては、先ほども御説明申し上げましたように、促進するために金がよけい要るという点から、こういう制度をとったわけでございます。
  87. 田中一

    田中一君 それは促進にならないんですよ。促進とか何とかいうのじゃなくて、実際のたとえば肱川なら肱川のダムというものは百億かかるのだとなったら、百億というものを現に投入しているのでしょう、それは財政資金であろうと何であろうと。いまのアロケーションのものであろうと、今やっているんでしょう。七十五億の工事量なら七十五億が計画工事なんです。
  88. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それはその通りでございまして、百億円要るものは七十五億円で仕上げるわけじゃございませんので、ただ七十五億円と二十五億円を二年度にわたって出すというような方法もあるわけでございます。それなら百億かかるものを早くやるためには、一年で出そうというような考え方になるわけでございます。
  89. 田中一

    田中一君 大体わかりましたが、今言う通り、今坂本君、それから西田君が言っていることともちょっと違うと思うんです。百億のものを七十五億、国の財政面から見る七十五億はわかるのですよ、こいつは。しかし国の計画工事は百億なら百億でもって完成するのです。全部完成しておるのです。七十五億なら七十五億が計画工事の完成の資金なんですよ。金の出方の問題ではないのですね。しかしそのうちの財政投資だけが七十五億だ。あとの二十五億というものは、計画事業量が百億だから二十五億というものは地方公共団体負担金というものを納入なら納入あと回しにして、前もって適当な方法で、いまの借金で工事を進めているのだという説明ならば、前と変りないじゃないかということなんですよ、私が言うのは。そこのところが今坂本君、西田君、どういう考え持っているか知らんけれども、私そこの点、計画工事というものは百億ならば百億が工事量であって、百億全部を国がしておるわけです。そうして借りた分のうちから四分の一というものを地方公共団体負担して償還しておることだと思うのですが、その点はもう一ぺんくどく聞きますけれども、坂本君などどういう御理解を持っておるかわからんですがね、国の財政面から見ると、七十五億は違いないでしょう。あとは二十五億出ておりますから、そういう御説明だとすると事業量が伸びておらんじゃないかということですよ。その年度は伸びるかしらんけれども、完成という点から見るならば、事業量が伸びておらないじゃないかということなんですよ。三十二年度においては、三十二年度で十億事業が伸びておるということはこれはわかりますけれども、その点が僕にはわからないのですがね。
  90. 坂本昭

    ○坂本昭君 私も西田委員説明のように理解したのですよ。考えてみるとどうも変なんですがね。(笑声)実際これは、だから何か事業を一体会計検査院あたりが検査したときにはどうなるのですか。今、二年もかかると言っておりますけれども、場合によっては十年もかかって百億の事業が行われておったことがあるのですか。会計検査院が検査するときは一体どの年度工事量というものを検査していっているのですか、従来……。今度はわりにわかりがいいのですがね。今度の三十二年度特別会計でいくと、これは比較的事業そのものとしてはわかりがいいのです。しかし今までの計画の、今までやって来たこの場合は一体何年で完成されておったのですか、工事は……。
  91. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ダム事業は最近におきましては非常に進んでおりますが、終戦直後始めましたダムなどにつきましては、六、七年かかったものもあります。最近は四年ないし五年で仕上げております。
  92. 田中一

    田中一君 坂本君の質問ですがね。私はそういう問題よりも、この従来の制度より本年度制度というものがいいというところが納得できない。ただその分だけ促進されるということがいいといっているのですが、四十六ページの特定多目的ダムの(2)ですね。(2)の項ですが、ここに書く必要は何もないのです。制度によって金がふえたのじゃないのです。
  93. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 特別会計制度を作りました理由といたしましては、先ほど来申し上げましたように、財政資金を入れるということが一つの点でございます。それからもう一つは、先ほどもちょっと触れましたが、一つダムを作るのに、国の金とそれから電気事業者の金が一つダムに入りまして、共同事業というふうな形でダムが作られておる。今度の制度によりまして、電気事業者の方から出す金は負担金として特別会計が取ります。従いまして、ダムは国の機関である特別会計が作ってしまうということですから、そのダムは国のものになります。従いまして、将来の管理等におきましても非常によろしいし、それからまた工事中の予算の経理、従来におきましては委託工事でありますので、経理が二つになっておる。それが今度は一本の経理でできるというふうな点もございます。ですから特別会計を設定いたしました利点といたしましては、先ほど申し上げました以外に、ただいま申し上げました利点があるわけであります。
  94. 田中一

    田中一君 そうするとその年度において、この三十二年度においては十億程度のものは伸びるというのであって、工事そのものに対する実態と、その工事に必要とするところの費用というものは総体的に伸びておらないということですね。計画工事費というものは全体としては伸びておらない。本年度は十億程度が余分になるということを言っておるのですか。
  95. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 工事費の全体というものは動いておるわけではございません。ただ三十二年度がそういう形で、財政資金の分だけは従来のものよりもふえるということでございます。
  96. 西田信一

    ○西田信一君 受益者負担金という制度がございますね。これは電気事業者以外にどういうものが想定されておりますか。
  97. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 電気事業者等の負担金ということで上げられております事業といたしましては、電気事業、それから水道、工業用水が今想定されるものでございます。
  98. 西田信一

    ○西田信一君 都道府県負担金ですか、これは四分の一と、それから再建団体は一割と申されましたが、それ以外に例外はございますか。
  99. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 治水事業に対する分担金はその二つでございまして、例外はございません。
  100. 西田信一

    ○西田信一君 北海道についても例外はありませんか。
  101. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 北海道は直轄事業は全額国費でございますから、その点は間違いなく……。
  102. 西田信一

    ○西田信一君 そうしますと、北海道の場合には、この事業費を伸ばすという目的は北海道においては考えられないわけでありますがこうなると……。
  103. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 来年度におきましては北海道の事業はありませんが、こういう方法では地方分担金の分に対する借り入れということは北海道についてはできない……。
  104. 西田信一

    ○西田信一君 そこでお尋ねいたしますが、北海道については建設省としてはどういう御方針であるかお伺いしたいのです。この多目的ダム特別措置法によって北海道が扱われるというお考えであるか、あるいは北海道は別途考えるというお考えであるか。
  105. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 特定多目的ダム法におきましては、北海道の分も考えたい、こういうふうに考えております。
  106. 田中一

    田中一君 それではもう一つお伺いしたいのですが、この予備収入、これはどういうことでございますか。私はこういう工合に理解しておるのです。この点は方々から金をもらったものを銀行に預けておいた利子じゃないかと見ておるのですが、これは何ですか。
  107. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 予備収入といいますのは、予備費を支出します場合の不足財源に充てる場合の収入予定したものでございます。その予定財源といたしましては、事業費負担割合で予定しております。ここで合計いたしまして一億五千百五十数万円の予備収入というのがございますが、この負担割合でいきますと、一般会計よりの繰り入れが一億四百八十余万円、資金運用部よりの借り入れが二千百六十余万円、事業者負担金が二千五百十余万円でございます。従って予備費の使用を必要とするときに、一般会計よりの繰り入れ分については、一般会計の予備費よりこの会計に繰り入れることになるわけであります。それから借入金や事業者負担金、これについてはそれぞれ借り入れをいたしまして、負担金を徴収する、こういうことになるわけであります。
  108. 田中一

    田中一君 そうすると、予備費というのは借入金ですか、率直に言って。
  109. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 約七〇%は一般会計よりの繰入れを予定しております。それから残りの分は借入金でございまして、あと負担金を取るわけでございます。
  110. 田中一

    田中一君 一般会計からの受け入れば四十六億三千万円余というものが計上されておるのですが、予備収入ですね、合理的な何かの行為があって収入というものは、収入金になると思うのです。借入金はどこまでも借入金なんです。それから一般会計からくるものなら収入という形で、生み出されたものですね、どうして予備収入という形でもって表わしているものかわからないのです、僕には。
  111. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、予備費の支出を必要とする場合が出てくるわけであります。そのときに財源がないわけでございまして、そのときにその財源に充てるための収入予定しているわけであります。その限度を御承認いただく、こういうことでございます。
  112. 田中一

    田中一君 収入というものはどこからくる収入を充てにしているのですか。
  113. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 一般会計の予備費からの収入が約七〇%。
  114. 田中一

    田中一君 そうしますと、第二の項にありますところの、工事中の災害復旧を実施するということになっておりますが、これはそういう点、いわゆる国からの当然くる交付金がここにあるのだというものを予備費として予定しておるのですか。こういう点もただ金がなくて困るから、そのために予備費という一項目をもって準備するのだと、収入というものは当然の権利によるところの収入なんですよ、権利によるところの。それは何らの行為もしないで収入がありっこないのです。何をしてこの収入がくるかということを伺っておるのです。あなたの説明しておるのは、支出の面からくるところの収入というものを想定しているのですが、私が伺いたいのは、収入というのは当然なる行為によって受けるところの収入なんです。それは何であるかという、何をしてその収入がくるのかと伺っておるのです。
  115. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お話の通りこの収入一般会計の予備金というのがございますが、それで出せる範囲のものでもちろんあるわけでございます。この場合に想定されるのは災害でございますが、そのときには災害が起きますと、国庫負担法によりまして災害予備金から出すわけでございますが、災害の復旧事業をいたしますにも、各事業者負担してよろしいということでございますから、その負担割合に準じて一般会計からの予備金の収入を見込んでおるわけでございます。予定しておるわけでございます。
  116. 田中一

    田中一君 そうすると今申し上げたように、災害があるものと想定して、当然補助される収入だということで、そういう理解を持っていいのですか。
  117. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは必ずあるというものではございません、もちろん。ただし当初予定されないような必要が生じてくるわけでございまして、そのときには一般会計の予備金からこれに繰り入れて使うようにする。そのときにはほかの事業者も持たなければいけないから、その分も合せて特別会計収入とし、さらに支出を計上いたしまして御承認をいただくわけでございます。こういうことでございます。
  118. 田中一

    田中一君 やはり納骨したような納得しないようなものですがね、しかしこういう工合に根拠の明らかでない立て方がちょっとまずいのですよ。これは河川局長にこういう細かいことを質問する人はないでしょうけれども、これは相当あなた腹をきめてかからぬと、ひっかかりますよ。今言うように、収入というものは何かということを考えても、あなたは支出の面のみ収入予定しているというでしょう。収入されるものの対象は何か、どこからどういう理由によって収入があるのかということを質問されると、今まああなたが災害と、私が呼び水を出したらすぐ飛びついてきましたけれども、災害だけじゃないと思うのです。まだほかに考えなきゃならぬものがあると思うのです。一つ伺いますけれども、たとえばこの六十数億という金全部考えてみますと、六十八億七千六百万というこの金はいつごろこの特別会計に交付されることになるのですか。これは初めからこう来ておるということだけで済むのですか。
  119. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは継続事業等におきましては、来年度の当初からやるわけでございまして、それに必要な資金はこれに繰り入れてもらう、こういうつもりでおります。
  120. 田中一

    田中一君 この会計は全部特別会計でありますが、国の金でありますから、これには金利がつきませんね。どこに預金しても。
  121. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 繰り入れ金には利息はつかないと……。
  122. 田中一

    田中一君 従来とも公団その他の団体は国からの交付金、借入金をもって一般市中銀行に預金をして、その資金によって自分のところの事務経費というのをまかなっているのが今日の慣例です。従来とも住宅公団にいたしましても、それから道路公団にいたしましても、全部国の金を借りて、それを市中銀行、商業銀行に預託をして、そうしてその利子、金利がこの事務経費になっているのが通常だ、従ってそういう形のものは、ここには想定されておらないのですね。
  123. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういうふうな工事事務費であるとか、事務費というものははっきり規定されておりまして、工事事務費が一億九千四百万円余り、それから事務費が一億二千五百八十万円ということでございまして、いずれも項になっておりまして、融通はできないということになっております。
  124. 田中一

    田中一君 だから伺うのです。こういうものが出ておりますから、この予備費というもの、一億何千万円という予備の収入というものは、どこからくるかということは解明されなきゃならぬのですけれども、今ここであなたが言ったことをそのまま私は一応承知しておきますけれども、もう少し詳しく内容について、どういう根拠の金を想定しているか、むろんこれだけの積算があるのですから、一億五千百六十万円というものがあるのですから、この経理内容はわかるはずですから、どこからどういう金が予定されたかということを一つ資料として出していただきたいと思います。私この問題はこれで打ち切ります。
  125. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま治水費の分担金の問題が話題に乗りましたが、分担金は御承知のように四分の一、あるいは北海道のごときは分担金はない、こういうふうなことになっておりますが、これは地域の関係や、種々なる開発の関係で当然のことと思いますが、茨城県では利根川の問題が常に重大になっておりまして、利根川の治水は東京都の防衛のために相当力を入れておる。ところが茨城県もあの利根川の治水のためには多大な分担金を仰せつけれて、今御承知のように再建整備の問題がありますが、この負担金が非常にかさんで、県は非常な困難を感じておるようで、これがえらい問題になっておるのですが、こういう地域に対しては分担金を幾らかかげんするというような方法を講ずることがやはり必要ではないかと、こう考えるのですが、当局はこれに対しまして格段のお考えはありませんのでございますか。
  126. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地方分担金は、従来におきましては、短い年度の間で納めるということになっておりました関係から、非常に地方財政を圧迫するということで、先年地方公共団体負担金納付の特例に関する法律というのができまして、先ほど来御説明申し上げましたように、十三年間でそれを国庫納付するということになっておりまして、相当長い期間で返すことでございますので、比較的軽くなったというふうに考えております。ただ利根川の工事は非常に最近進めておりますので、各県に対する負担金が非常に大きくなっていることは事実でございまして、たとえば千葉県等の財政再建の県につきましては、負担金が一割になりましたので、前に比べますと、非常に負担の額は少くなっております。現在におきましては、そういうふうな財政再建の県につきましては、そういうふうな方法をとっておりますので、非常に軽くなってきておりますが、茨城県はまだそういうふうな再建団体になっておりませんので、従来の率でやるよりほかはやむを得ないというふうに考えております。
  127. 武藤常介

    ○武藤常介君 千葉県の方は特段な扱いをされているということなんですが、やはり茨城県は年賦にすると非常に一時的には楽のように思いますが、だんだん累積して参りまして、今日では非常な苦痛を感じておる、再建整備の県にならなくも、何とか特段な扱いをして、地元負担金を軽減するというような特別の方法をとってあげることがよいのではないか。これはなかなか重大な問題でありますが、やはり当局としては相当考えてやらねばならぬのではないか。ことに利根川の沿岸は、茨城県としては非常に長距離にわたっておりまして、長い間食糧の生産で茨城県はほんとうに犠牲を払っておる県である。しかもその半面、そういう特段な犠牲を払っておるというようなことで、やはり当局が、国家がそういう県の事情を徴して、大所高所からこれを救済してやるというようなことが必要であろうと思うので、私はこの話題だけを今日は申し上げて、御研究の資料に供したいと思うのです。
  128. 西田信一

    ○西田信一君 先ほど御答弁があって、北海道にもこの適用を考えているということでごさいましたが、その点については、私どもも別に考えがあるわけでございますけれども、建設省とされては、北海道開発庁と協議の上にそういう方針をきめられたのかどうか、その一点を一つお伺いしたい。
  129. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの御質問でございますが、特別会計法は大蔵省が作成いたしまして、北海道開発庁と打ち合せまして、今回の特別会計では北海道は除いているということで、開発庁と相談されてそういうことにされたわけでございます。私の方も来年度はちょうどありませんし、また北海道開発庁がそういうことならば、今回は特別会計法からは北海道を除くことに賛成したわけでございます。ただ特定ダム法というものは、そのほか管理の問題等もありますので、これは北海道に対しても適用するように考えていきたい、こういうふうに思っております。特別会計法とダム法との二つの問題がございますが、特別会計法は先ほど申し上げましたように、今度は除いて参るということでございます。
  130. 石井桂

    ○石井桂君 地盤沈下に対する今年の予算は、ここに書いてある地盤変動対策事業費補助という予算に出ているのですか。五億七千三百万円というこれですか。幾らになっていますか。
  131. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地盤変動対策事業補助というのは、河川と道路を合せまして、三十一年度が五億六千二百万円でございまして、三十二年度は五億七千三百万円でございます。
  132. 石井桂

    ○石井桂君 今年度の地盤対策費を充てる個所はどういうところですか、おもに。
  133. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 四国地方では四国の四県、それから中国の山口、広島、岡山、島根の四県、近畿といたしましては兵庫、和歌山の二県、それから東海地方で愛知、三重の二県でございまして、合計十二県になっております。
  134. 石井桂

    ○石井桂君 東京都は地盤変動でなくて、高潮対策の費用として別に上げているのですか。
  135. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 高潮対策という項目がございまして、海岸災害復旧助成事業費補助というのが災害関連事業費の中に入っております。その中に高潮対策というのがございまして、その中に東京は入っております。それから例の高潮の東京都の恒久対策というのは五千万円だけ来年度はみまして、それは河川事業費の中に入っております。
  136. 石井桂

    ○石井桂君 どうして地盤変動対策の事業費が、向こうへ行ったりこっちへ行ったり、いろいろな形に現われているのですか、地盤沈下に対する対策というのは同じ性質のものであろうかと思うのですが。
  137. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地盤変動というのは、分け方といたしましては、地震の影響によるものを地盤変動と考えまして、それから高潮対策というのは、地下水のくみ上げ等に、よりまして、地盤が下っているものというふうに区別しております。
  138. 石井桂

    ○石井桂君 地盤変動というのは、その原因で分けているというわけですか。地盤変動の対策は、地盤変動は同じであるけれども、その対策は地盤変動を起した原因が、地震であるか高潮であるかということで分けておるのですか。
  139. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 予算の便宜上、そういうふうな原因で分けております。
  140. 石井桂

    ○石井桂君 地震や何かの急激な災害によりますと、地盤変動を急激に起したところはわかります。しかし、徐々に目に見えないような規模で長い間変動していく調査ができておらぬと、もう人の口に上るころには防ぎ得ないような災害が起る原因になるだろうと思うのです。そこで、御当局では、そういう地盤沈下の現況が調査できておりますか。
  141. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地震等によりまする沈下の変動量、それから地下水のくみ上げ等によりまする重要地域の沈下量等は調べでおります。
  142. 石井桂

    ○石井桂君 それならば、近い将来に一つそういう調査ができておったら、資料をそろえて御提出願いたい。
  143. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 了承いたしました。
  144. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連、今地盤変動の対策事業費の補助の問題がちょっと出ましたけれども、御承知の通り、東海とそれから南海の大地震で、今局長の指摘された十二県が大へんな被害をこうむっているのです。ところが、実際今までにその補助としてなされた額を私の調べたところでは、大体二十八億五千万円程度しかできていません。もちろんこれは建設省だけではありません。建設省もそれから運輸省も含まれていますが、その所要額大体百十二億程度のうち、三〇%ぐらいしか進捗されていないですよ。それぐらいしか変動によるところの公共土木施設の災害の復旧は行われていない。もちろん、だからこれは河川局長さんだけ問い詰めるわけじゃありませんけれども、今までなされたうちでやはり河川局の工事量が一番多いので、一つ河川局、道路局、運輸省全部ひっくるめて、河川局長さんに御返答いただきたいのです。河川局の方で、今までの復旧事業のうち七五%程度がお宅の管轄になっているのです。それで第一番目にお伺いしたいことは、こういうふうに東海地震と南海地震が済んでずいぶん、もうかれこれ十年以上になっているのですよ。それにもかかわらず、まだ三〇%ぐらいしか進んでいないということは、それで第一にお伺いしたいことは、一体何年かかって復旧事業というものを完成していただくつもりか。私としては、これはぜひ緊要災害の復旧事業として取り上げて、三十二年度から二年以内に一つ完成する意思を持っておられるかどうか。この点一つ局長の御答弁を願いたい。  それからもう一つ最後に、この補助率は三分の二になっております。ところが御承知の通り地方財政は相当貧窮しておりますし、特にこういう地震の災害を受けた所は、いずれも非常に困っている所であって、この補助率の三分の二をもっと上げていただくところの意思はないか、この三つの点。何年かかってやり遂げてもらうかということと、三十二年度から少くとも二年くらいで完成してもらいたい、それから補助率を上げてもらいたい、この点について一つ御返答を承わりたい。
  145. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お説の通り、地盤変動は相当多額の経費を要するわけでございますが、先ほどお話もございましたように気がつかないでおったというのが多分にございまして、その後水害予防というようなものもございまして、従って事業の施行が非常におくれております。現在までの建設省所管の実施状況を申し上げますると、実施済みのものが約七十一億ございます。それから地盤変動として取り上げておりまするもので、まだやらないのが四十八億余り、そしてそのほかにまだ調査中として、取り上げてもらいたということで調査しているものが約十六億円ございます。この残事業調査中のものを加えますると、本年度予算をもってそのままやりますると、六年ないし七年まだかかるというような状況でございます。しかし、私どもといたしましては、この事業をできるだけ早くやりたいということで、まあ少しではございますけれども、三十二年度予算におきましても、多少の増額はしているつもりでございますが、今後におきましても、できるだけ早くやるように努力するつもりでございます。  また、補助率の問題でございますが、一般の災害事業に比較いたしますると、三分の二でございますので、災害に比べますると補助率が少いのでございますが、その点につきましても、私どもといたしましては、補助率を高めるように努力はするつもりでございますが、この点に対しての見通しは、ただいまはっきりとお答えを申し上げることができないような状況でございます。
  146. 坂本昭

    ○坂本昭君 今局長さん、何か気がつかない点があってと言われますが、これは地震で全部わかっているのですよ。わかっていまして、さらに七十一億もやられたというのですけれども、建設省でそんなにやっているはずないのですよ。建設省で河川局の分が三十一年度末で進行額が二十一億四千四百万、それから道路局関係が二億六千万、わずか二十四億程度しかできていないのです。そんな七十一億もとてもできていやしません。とんでもない。それほどたくさんできているのじゃなくて、あとにとにかく変動を受けて、それで道路がくずれ、そしてまた困っているところがあと七割以上あるのですから、その点えらい河川局長さん認識不足もはななはだしいと思いますが。
  147. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点ちょっと詳しい御説明をしなかったのでございますが、地盤変動対策事業の、実質的に地盤変動対策事業といたしまして、昭和二十三年から二十八年の間でやった事業量が四十八億余りございます。それから地盤変動対策事業として名前をつけてやりました第二期工事が、昭和二十七年から三十一年の間に二十三億六千五百万円ございまして、それを合せますと、先ほど申し上げましたような七十一億が実施済みだ、こういうことに相なっております。
  148. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうすると、あとどの程度の復旧事業として必要額を建設省としては計算しておられるのですか。
  149. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども御説明申し上げましたように、すでに決定しておりまする残事業が四十八億余り、それから今調査中というものが十六億円ございまして、合せますると六十四億円余りになります。
  150. 坂本昭

    ○坂本昭君 三十二年度予算五億七千三百万円のこの内容については、どういうような御計画を持っておられますか。
  151. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げました十二県の地盤変動のうち、重要なものから私どもはやりたいというふうに考えておりまして、これは各県と、その事業内容につきまして、打ち合せ中でございます。
  152. 坂本昭

    ○坂本昭君 災害は忘れられたころにくるというのだけれども、これなどは忘れぬうちから、目に見えて残っているのでして、むしろ、一番最初に多目的ダム特別会計のところで借入金の問題がきょうだいぶ論議されましたけれども、なぜこういう面について財政投融資の借入金などをやって、一挙に解決しようというそういう御計画を持たれないのですか。
  153. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これの重要なことは私どもも十分認識しておるわけでございますが、努力が足りませんで、先ほど申し上げましたようなまだ残事業が六年以上もかかるというようなことで、非常に申しわけないのでございますが、今後におきましては、できるだけ事業を早く推進するように万全の努力をするつもりでございます。
  154. 坂本昭

    ○坂本昭君 どうも国土荒廃に帰して、これはとにかく守るに値する日本国土だとは言えませんしね。その点六年かかって申しわけないということじゃはなはだ責任上看過できない言葉でございまして、一つ特にこの点努力していただきたいと思います。
  155. 石井桂

    ○石井桂君 坂本委員と同じ意見ですが、私もその地盤変動対策のみならず、地盤沈下の対策もずいぶんおくれていると思うのです。大雨が降ると、東京でいえば江東三区は水びたしになってしまう。いつも一年に一ぺんずつ畳をぬらすような災害が起きる、これは事実です。これをやはり何年も何年も放っておいて、少しずつやるということじゃ意味ないと思うので、今度は五千万円補助が入って一億五千万円の工事ができますがね、それにしても非常に微々たるもので、この点は坂本委員と同じ意見ですから、一つわれわれも一生懸命やりますが、御努力願いたいと思う。  それでついでに聞いておくのですが、東京の河川は大がい泥が一ぱいに川下に堆積して、船がもう動けなくなっちゃっているのですね。で、浚渫の予算というのはこれに載っておりますかどうですか、また載っておるとすれば昨年よりもふえておるかどうか、その辺を伺いたい。
  156. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 浚渫予算というのは、河川の改修、ことに直轄河川の改修費の中には相当量のものを見ております。そして重要な河川の浚渫につきましては、三十一年度よりも増強するつもりであります。
  157. 石井桂

    ○石井桂君 直轄河川だけに船が通っておるわけじゃないのです。舟運のことを考えると、たとえば伝馬船や荷足船、そういうものでも縦横無尽に直轄河川、重要河川を脈として支線が方々に出ている。それがみんな交通がとまっちゃうようなことがあると困るわけです。そういうめんどうは直轄河川以外には見ないわけですか、浚渫の面で。
  158. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 川を掘るということは洪水を防御すると同時に、今おっしゃられましたように舟運を増すということがあるわけでございまして、私ども与えられた予算のうちでは、重要な地区の浚渫なり護岸なり堤防なりをいたすわけでございますが、東京都内の河川の浚渫につきましても、従来におきましても若干の補助金は出してきたわけでございます。ただ東京都も前におきましては、財政が非常によかった時代におきましては自分でやっておられたのでありますが、最近におきましては、わずかでございますが補助金を出したというような状況でございます。来年におきましては重要な地点につきましてぜひ考えたい、こういうように思っております。
  159. 石井桂

    ○石井桂君 この前あなたでない前の米田さんですか、そのときにお伺いしたのですがね、舟運のことは運輸省でやる、こう言うのですね。舟運が不便になったから泥を浚渫するのは運輸省の事業費でとってもらう、それで自分の方は治山治水、そういう面で河川を守っておるのだから、だから水さえ海へ流せばいいんだと、こういうような御答弁があったように僕は記憶しているのです。少くとも建設省の河川局であれば、泥が詰って川がふん詰まりをしてしまうようなことであっては、これは河川の役をしないわけですから、何かこう運輸省の仕事のお手伝いをするようで業腹だというようなお考えでなく、河川のめんどうは建設省の河川局でみるという意味の事業計画が私は必要じゃないかと思うのだ。私も長い問役所におりましたから、そういうふうなことを言えた義理じゃないかもしれないけれども、責任の分担とか、責任を遂行する面にのみとらわれて、結局よけいな仕事をやって下さらぬところにギャップが出て仕事に支障を来たすのじゃないか。むしろ勇ましく取り合ってくれた方が私は仕事がよけいできると思うのです。どうも少し消極的のようにわれわれは考えるのですが、河川局長御自分で御自分のことをお考えになって、そういうふうには考えませんか。
  160. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今舟運のことは港湾だ、あるいはは治水のことは建設省なのだというようなお話でございますが、見方といたしますれば、やはり私どもといたしましては、川をまず治水の方から考えなければならぬということは、私どもの常に考えておるところでございます。しかしそれをやると同時に舟も通れるような利益も非常に多いのでございますから、それらも一つ加味いたしまして、河川事業をやっていきたいというのが私の考えでございます。
  161. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっとそれに関連してお聞きしておきます。宇治川の船の運行ですね。それが非常にこのごろむずかしくなった、というのは建設省の河川局が川床に対して土砂を採取するということがいかないというので、淀川の下の方では土砂の採取を許さぬ、長柄というところがありますが、長柄の近傍では許さない。そして枚方とかあちらの上流部の方でないと採取を許可しないということになりまして、ただで土砂を採取して方々に運搬する土砂の業者が非常に困っておるというので、いろいろ建設省に交渉した事実があります。そこで川床の土砂の採取をすれば堤防の決壊というものがあって河川はんらんのおそれがあるというので、そういう態度をとられたということを聞いておりますが、結局ただいま聞きますと、土砂の採取ということに補助金を出したということですが、今石井さんのお尋ねに対して河川局長はそういうことを御答弁なすっておりましたが、今でも川の上流じゃないとあの土砂の採取は許されなくて、川下では絶対取っちゃいかぬと地方河川課では言うておるわけですね、地方官庁では。そういうことでは補助費なんかの点から考えましても非常に不利益だと思うのですがね、今どういう方針をとっておりますか。それをちょっとお知らせ願いたい。
  162. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話は、川を掘って川床を下げるのが必要な所も川によってはあるわけでございます。また下げますと、川の中にはいろいろの護岸であるとか、水制とかいうものがたくさん工作物があるわけです。それは川床があまり動かないというのを前提といたしまして作っておるのが多いのでございます。土砂を非常に採取いたしますると、工作物が、護岸であるとか水制であるとか水門であるとかいうものが危くなる、あるいは川の流れが非常に偏流してしまう、片寄って流れるということがある場合におきましては、そういう所はなるべく掘らさないようにする。ただ一方川が非常に上流から土砂を非常によけい持ってきて堆積する場所がきまってくるというような所は、できるだけ早く掘って、こちらで金をかけても掘りたいような所でございますので、そういうところは進んで掘ってもらう、砂利会社に掘ってもらうというようなことでございまして、一がいに下流は掘らせないとか、あるいは上流だけを掘らせるというようなことはきめておるわけではございません。ただ淀川の場合には、おそらく下流の方の川の地盤が、先ほどお話ありましたように沈下いたしまして、川も一緒に沈下いたしております。そのために非常に底をもっと掘らせますと、構造物などが非常に根がいたんでくる、あるいは川が横流れを起すというようなおそれがある所は、やはり土砂の採取を禁止しておるというようなところがあると思います。
  163. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それは、あなたのおっしゃることは伸縮性を持たせんといかぬ。弾力性を持った指令を与えていないから、この五、六年前の高槻、枚方方面には非常な洪水と申しますか、堤防の一部が決壊して、そうしてできたての稲がすっかり枯れてしまったことがあるのですがね。それはどういうわけかというと、あなた方の指令があやまっておったからこれはきておるのです。その証拠には、川の下の方に土砂が堆積したために逆流したわけですね。流れが一応とまって、高槻方面というのはそのために支流の川が逆流して、上の方に流れて、そうして新しい住宅が全部川底になったという事実があるのです。それは御承知の通り淀川という川は源平時代には長柄の辺は夜ちょうちんをつけて舟遊びをしたくらいという深いところだった。それを取っちゃいかぬというので、あなた方の指令そのままを地方官憲では守っておるわけでありまして、そこへ砂がたまったために水の流れがとまって、支流というものを逆流してすっかり満潮のときには水を押し上げて、周囲の支流にその水がはんらんして行ったという事実があるのです。これはやはり伸縮性を持った指令を与えておかれないと、川下の方では取っちゃいかぬという本省からの指令があったからというようなことで、地方の役人さんなどなんかがそういうことになりますと、非常に地方の住民は困るわけです。高槻なんかもその実例なんですね。みんな公営住宅というのは屋根だけ水面に出ておったというような状態で、どうかそういう点は一つ以後御注意下さいますように御願いしておきます。
  164. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点についてお答えいたしておきますが、私の方といたしましては、どの川のどこを掘ってはいかぬというようなことを指令しているわけではございません。その点につきましては、直轄工事をやっているところは、地方建設局がその河川管理いたします県と相談いたしまして、具体的には処置しているわけでございます。それからまた淀川の高槻付近の堤防が切れましたのは、あのときの水量が非常に多かったためにああいうふうなことになったわけでございまして、川の断面が最近特に下流の方が小さくなっているというようなことは、私どもないと考えております。その点なおよく研究してみます。
  165. 中山福藏

    委員長中山福藏君) まあ補助費の関係がありますから、その補助費を出さんでもいいところに出すようになりますのでちょっとその点御注意いたしておきます。
  166. 田中一

    田中一君 局長に伺いますが、あなた二十四国会で海岸法が制定されたのを御存じですね。そこで、これはむろん地方からの要請、並びに国としてもそれを認められて出したものと思うのですが、この三十一年度のあなたの方が出しておるところの国土建設の現状で見ると、今後緊急に整備を要する海岸の事業費、約二百八十億と、こうあなたの方で決定づけておるのです。そしていて、三十二年度で約三億程度の予算なわけなんです。そこで運輸省その他の関連する工事費でもって結局海岸堤防、あるいは海岸線というものに対する仕事はしているのだという御説明があるかもしらぬけれども、この法律の制定というものの精神というものが、本年度予算には盛り込んでおらない。そこで伺いたいのは、このような二百八十億円の緊急を要する事業があるのだというこのきめ方はどういう調査によってこの実態をつかんだかという点です。本年度予算においては調査費すら特別に織り込んでございません。事業費が約三億弱の程度のものを織り込んでいるにすぎないのです。どういう形で今までの二百八十億というものを算定したか、調査方法をどういう方法をとったか、と同時に今後そういう問題に対する調査、実態把握というものがどういう形で仕事をするか、またその実態把握をするための諸経費というものは本年度予算には発見されません。従ってどこに依存してどの経費からその調査をするかということを伺いたいと思うのです。
  167. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お話しの通り海岸の事業を促進する必要は非常に痛感しております。先ほど二百八十億という内容はどうして調べたかということでございますが、それは各県から資料をとりまして、図面によりましてやった総事業費でございます。それで、それは二百八十億もかかるのに海津の事業は少いのじゃないかというお話でございますが、この前も御説明申し上げましたように、建設省の所管いたしまする海岸の事業といたしましては、海洋保全事業と、それから災害関連事業といたしまして高潮対策と海津助成、それから先ほどの地盤変動対策、それから特別失業対策というふうな事業で海岸に対する事業を行なっております。その事業全体につきまして予算的に比較いたしますると、三十二年度は約二十三億五千万円でございます。それから三十一年度は二十三億六十八百万円で、実は三十二年度の方が一千万円少いわけでございますが、これは災害関連事業のうちで事業の完成いたしたもの、あるいは災害の減少等によりまして災害関連事業が減ったというふうな関係上、災害関連事業費が約一億減っておりますから、海岸保全事業あるいは地盤変動におきまして、増額をしておるわけでございます。ただこれで決して十分だということを考えておるわけじゃございませんで、私どもといたしましては、今後この事業をできるだけ推進したいというふうに考えております。また海岸保全事業といたしましては、昨年非常に災害が多かった有明地区の海岸堤防等につきましては、三十一年度に比べましては圧倒的の事業費一をつけまして、その促進をはかりたいというふうに考えております。  それから調査の問題でございますが、国といたしましては、直轄事業もぜひやりたいということで、来年度は海岸侵食のはなはだしい北陸で一カ所直轄の調査をしたいというふうに考えております。
  168. 田中一

    田中一君 その調査費はどういう形で出すのです、調査費としてはどこにあるのですか。
  169. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 河川事業調査費の中へ入っております。
  170. 田中一

    田中一君 この二百八十億は今お話伺うと、地方公共団体から来た書類によっての算定だと言いますけれども、この実態というものは完全に実地調査をして把握しているのですか、政府としては。
  171. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) まだ現在におきましては、実際に実地調査をやったのではないのでありまして、今後具体的の調査をよくやりまして、これを確定していかなければならぬものだと考えております。
  172. 田中一

    田中一君 この河川等の調査費の中のどのくらいがこれに本年度は考えておりますか。
  173. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 二百万円考えております。
  174. 田中一

    田中一君 これは補助費ですか、それとも国が直接に調査をするという費用ですか。
  175. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 直轄、国が直轄でやる費用として見ております。
  176. 田中一

    田中一君 では将来とも直轄工事でもって海岸線の整備をしようという考えは持っているのですね。
  177. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 重要な地区とか、あるいは非常に技術的にむずかしい地区につきましては、直轄で調査もいたしますし、直轄事業もやりたいと考えております。
  178. 田中一

    田中一君 本年度のこの二十三億五千万の中には幾ら直轄工事を組んでおります。
  179. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この事業といたしましては、まだ直轄事業はありません。
  180. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃ本日はこれでもって散会いたします。    午後零時三十二分散会