○国務大臣(
根本龍太郎君)
昭和三十三年度
建設省関係重要施策について御説明申し上げたいと思います。
建設省といたしまして、三十三年度
予算請求に当って重要な問題だけを一応取りまとめまして、現在これから大蔵省との折衝に入るのでありますが三十三年度の施策の要点について御
報告申し上げまして、御了解と今後の御協力をお願い申し上げます。
建設省におきまして、来年度に実施することを
計画しております重要施策の概要について御説明申し上げます。
まず第一に治水対策につきましては、
昭和三十一年度を初年度とする治水事業緊急五ヵ年
計画の達成を目標といたしまして、その推進をはかる方針でありまして、その所要領は約五百九十二億円の
見込みであります。このための施策といたしましては、第一に直轄河川改修工事及び直轄砂防工事について、新たに特別会計を設定いたしまして、
資金のワクを拡大して事業の促進をはかりたいと
考えておるのでございます。またこれらの直轄事業につきましては、継続費制度及び国庫債務負担行為制度を拡充いたしまして、事業の合理的、効率的な促進をはかりたいと
考えておるのでございます。
第二に、去る七月下旬の九州地方の水害の状況等にかんがみまして、特に砂防工事、地すべり等防止対策事業の促進をはかることはもちろんでありますが、そのほか地すべり等の地域における危険防止のための諸施策を講じたいと
考えておるのでありまして、このために立法措置をも検討しておる次第であります。
第三に、水害を未然に防止するためには、河川、海岸及び砂防施設等の維持管理を徹底する必要があると
考えますので、新たにこれらの公共土木施設の維持補修に対する補助を行いたいと
考えておるのであります。
以上申し述べましたほか、明年度の
計画といたしましては、特別会計による多目的ダムの
建設、及び海岸保全施設の整備、地盤変動対策事業の促進に重点を置くほか、最近問題となっております河川の水質汚濁防止対策事業を促進して参りたいと
考えております。なお、以上の措置とあわせて、水防倉庫及び水防用通信機等の整備並びに洪水予報のための無線通信設備の増強をはかり、水害対策の万全を期したいと
考えております。
次に災害復旧対策について申し上げます。まず災害復旧事業の復旧方針といたしましては、二十九年以前のものにつきましては、明年度に全部これを完了いたしまして、三十年以降の発生災害につきましては、国庫負担法の
趣旨にのっとり緊要工事については三カ年でこれを完了するよう復旧したい方針であります。以上の方針による明年度の災害復旧事業費はおよそ四百十六億円を要する
見込みであります。
なお、災害復旧工事の実施に当っては、再度の被害を防止するため必要がある工事については、できるだけ災害復旧助成事業あるいは災害関連事業をあわせて行い、改良的な復旧工事を実施して参りたいと
考えております。このため災害関連事業費等を増額いたしたいと
考えております。
第二に道路の整備について申し上げます。わが国の道路整備は、
昭和二十九年度以降道路整備五カ年
計画を根幹として進められてきたのでありますが、この道路整備五カ年
計画がこれまでに示した実績は、
昭和三十二年度末において大よそ七二%の進捗率であります。しかしながら、わが国における最近の産業経済の発展が要請する道路輸送の強化、すなわち道路整備の充実は、すでに今日において最も緊急を要するものとなったので、道路整備五カ年
計画の規模をもってはとうてい満足することのできない事態に立ち至っておりますので、このまま推移するならば、産業の円滑な発展に支障を及ぼすことと
なりますので、道路整備五カ年
計画そのものについて再検討を加えなければならぬものと
考えております。ここにおいて、従来の道路整備五カ年
計画を発展的に解消いたしまして、新たに
一般道路事業及び有料道路事業をあわせて道路整備十カ年
計画を樹立し、毎年度における道路整備事業の規模を拡大してすみやかに現在における道路輸送需要の解決をはかるとともに、今後の経済情勢の進展に対応させたいと存じております。この十カ年
計画は
昭和三十三年度以降十カ年間の自動車輸送の
伸び等を勘案いたしますと、国の道路事業費純一兆九千億、
一般道路事業約一兆四千億円、有料道路事業約五千億円が必要と
なりますので、これを
昭和三十三年度から実施しようとするものでございます。
この十カ年
計画を実施するため、初年度に必要とする事業費は
一般道路事業約千百二十億円、有料道路事業約四百億円、計千五百二十億円、うち国費は九百九十億円でございます。なお、これに即応して来年度以降におきましては、一級国道を国の直轄により全面的に
建設及び維持補修を行うこととし、国の重要幹線である一級国道の交通確保の完璧を記する所存でございます。
なお、高速自動車国道中央自動車道及び高速自動車国道吹田、神戸線につきましては、
昭和三十五年竣工を目途といたしまして、
昭和三十二年度に引続き
用地買収、機械購入及び一部工事の施行を行う予定でございます。
第三に、都市
計画について申し上げます。近年都市に集中する人口は、年々増加の一途をたどっておりますが、これに対処するためにも、また都市をして産業活動の中心の場としての機能を十分発揮させるためにも、都市の諸施設を総合的に整備することが急務と
考えられますので、都市
計画事業に関する長期
計画を策定し、強力にこれを推進いたしたいと
考えております。これがため、
昭和三十三年度に必要とする経費は国費二百二十七億円でございます。
その内容は多岐にわたりまするが、まず第一に長期にわたって断続実施して参りました戦災復興事業につきましては、
昭和三十三年度をもって完了いたしたいと
考えております。街路事業につきましては、道路整備十カ年
計画に即応し、都市の混雑した交通の緩和と事故防止のため特に立体交差、橋梁等の構造物と舗装の施行に重点をおきまして、首都圏、五大都市、工鉱業地帯等につきましては、特に他の事業との関連を考慮して実施するよう
考えておるのでございます。
なお、都市の公共施設中最も立ちおくれておる下水道事業につきましては、ことに下水道が地下埋設物であり、道路工事に先行して整備することが最も合理的、経済的である点を考慮いたしまして、十カ年
計画により下水道普及の著しいおくれを取り戻すとともに、生活躍境の整備をいたしたいと
考えております。
なお、これを実施するに要する経費は五十億円でございます。
第四に
住宅対策について申し上げます。本年度は御
承知のとおり約五十万戸の
住宅建設を目標として
建設を進めておりまするが、
昭和三十三年度におきましては、
民間自力建設戸数を合せ約五十三万戸の
建設を目標としております、このうち
政府計画住宅は、二十一万二千戸で、この
内訳は、
公営住宅五万八千戸、公庫
住宅八が九千戸、
公団住宅三万五千戸、及び厚生年金
住宅等三万戸でございます。このように
政府計画住宅について
戸数の増加をはかるほか、
住宅の規模を引き上げ、不燃高層率を高めるとともに、
家賃の適正化をはかりたいと
考えております。
特に低額
所得者については、
公営住宅の
家賃減免の措置を講じ、また勤労者、特に中小企業従事者のために
公営住宅、産業労働者
住宅及び
公団住宅の供給について改善をはかりたいと存じます。
母上が
住宅建設計画の大要でございますが、現下の宅地難に対処するために、
日本住宅公団及び
住宅金融公庫の宅地造成事業を強化し、また既成市街地の高度利用と都市不燃化をはかるため中高層の耐火共同
建築物の
建築の促進をはかりたいと存じます。次に都市の不燃化をはかり、かつ地方中小都市における火災を防止するため、防火
建築帯の造成を拡充強化いたしたいと
考えております。また老朽危険
住宅の建てかえ、都市再開発保健等のための不良
住宅地区改良事業を促進いたしたく
考えております。以上の施策に必要な経費は、
政府資金及び
政府保証の民間
資金を合せ約千四百五十億円であります。
第五に、官庁営繕について申し上げます。官公庁施設の
建設等に関する
法律の施行に伴い、
昭和三十三年度において、
一般会計に属する営繕関係
予算のうち独立機関を除き、
建設省所管営繕
予算といたしましては、約二百六十億円でございますが、そのうち特に大規模工事について、事業の能率化と、経費の効率化をはかるための継続費の新設、散在する木造官庁
建物の不燃化、合同化、特別修繕費の大幅増額をはかることによりまして、官庁施設の
建設整備を促進いたしたいと
考えております。
その他公共諸事業の能率的遂行をはかるため常勤労務者等定員外職員の定員化を実現すること、
建設業及び
建設技術の海外進出を促進するため助成措置を講ずること、産業開発青年隊の育成助長と海外進出のため特に積極的施策を講ずること、
建設関係研究機関の整備拡充をはかること等を
考えております。
以上をもちまして、明年度において実施することを
計画しております
建設省関係の重要施策の概要を御説明申し上げたのでありまするが、
建設行政の推進上きわめて緊要でありますこれらの諸施策の実現について、格段の御協力をたまわるようお願い申し上げる次第でございます。