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1957-04-13 第26回国会 参議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十三日(土曜日)午 前十時四十四分開会     —————————————   委員の異動 本日委員谷口弥三郎君辞任につき、そ の補欠として伊能繁次郎君を議長にお いて指名した。     ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君    委員            伊能繁次郎君            大谷藤之助君            後藤 義隆君            堀本 宜實君            松岡 平市君            吉江 勝保君            相澤 重明君            阿具根 登君            片岡 文重君            島   清君            岸  良一君            杉山 昌作君            大竹平八郎君   国務大臣    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    法務省刑事局長 井本 臺吉君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省振興局長 大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十四回決算委員会を開会いたします。  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日は、農林省所管のうち、全国購買農業協同組合連合会経理に関する件に関し説明を聴取いたします。  本件に関し御出席の方は、井出農林大臣渡部農林経済局長河野農業協同組合部長大坪振興局長中川会計検査院第四局長の諸君であります。  まず・本件に関する概要説明政府側から聴取いたします。
  3. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま全購連関係する事案につきまして、その経過を簡単に御説明申し上げたいと思います。  いわゆる全購連事件発端は、三月の二日に、経理部主計課員河村某小切手支払い伝票を記帳する地位を利用して、業者からの支払い請求のない架空の支払い伝票を記帳いたしまして、主計課長並びに経理部長を欺瞞し、全購連名義多額小切手を振り出してこれを騙取した。その金額は約五千六百万円、そういう容疑逮捕されたときから起るのであります。  右、河村事件関連いたしまして、捜査当局におきまして全購連会計帳簿を押収取り調べました結果、経理部長立岩昭和二十九年から三十年にわたって遊興飲食支出約三百万円余の事実が確証されまして、これに基きまして農林省肥料課海内技官収賄容疑逮捕され、引き続いて肥料部員の山川、あるいは肥料部員寺田が引き続いて逮捕されまして、目下事件捜査当局で調査中なのであります。  その内容につきましては、私の方では新聞紙等で承知する以外詳細にいたしません。それぞれ捜査進行につきまして、全購連事業あり方、あるいは全購連経理あり方、あるいは全購連と官庁との関係、そういうものについて一つ一つ問題を処理していかなければなりませんが、ただいまのところは、今申し上げましたように、ちょうど事件捜査進行中でありますので、詳細に御説明申し上げることができないのであります。  以上、簡単でありますが、経過について御説明申し上げます。
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  今の渡部経済局長の御説明につきまして、御質疑のある方は御質問を願います。
  6. 久保等

    久保等君 今きわめて簡単な一言の御説明があったのですが、すでにこの問題については、衆議院の特に決算委員会、あるいは当該農水等委員会でも、この問題に触れていろいろ審査がなされておるようでありますが、参議院におきましては、私ども衆議院における審査と同じような形で繰り返して審査をいたそうとは実は考えておらない。しかし、問題は非常に大きな、しかもまた国民全体がきわめて重大な関心を払っておる問題だと存じます。すでに申し上げるまでもなく、農林省関係におきましては、多久島問題が出て、この委員会でもすでに数回にわたって取り上げた。約一億になんなんとする多額の公金が、きわめて若い一事務官によってこの問題が処理されておったというようなことで、非常に国民の大きな憤激を買った、その問題の刑事的なもちろん事犯に対する結論の出ないさなかにおいて、再び今回こういった問題が出たのですが、すでによほど前に、第二の多久事件として、こういった問題がちらほら新聞紙上にも出ておった経緯があるのですが、最近に至って、急ピッチに捜査当局捜査進行するに従って、全く抜き差しならない泥沼的な印象を国民に今与えて参っておると思う。  私は従って、農林大臣出席でございますが、あらゆる問題について触れたい問題があるわけですが、特に全購連問題についても、私は衆議院審査等関連して、いろいろ農林大臣としてもお考えがあろうかと存じます。従って、今の経過報告ということでは、これは経過報告にも何もなっておらないので、むしろ新聞紙上に報道せられたうちの十分の一、百分の一か程度の、きわめて一部が当決算委員会において報告せられたにすぎないと思う。私はもう少し、一体根本的な原因が那辺にあったと農林大臣としては考えておるか。またそういったことの一体責任の所在がいかなるところにあるか。あるいはまた、今後の方針についても、いかような方針でもって、こういったことが再び繰り返されないように考えておられるか。そういったことについて、一つここででき得る限り詳細に、しかも私はきわめて誠意に満ちた御報告を最初に伺いたい。かように考えます。
  7. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま渡部局長から、今回の全購連事件につきまして、ごく概括的に御報告を申し上げた次第でありますが、この際、私からも御質問に答えつつ、一言申し上げたいと思うのであります。  ただいま御指摘のように、農林省部内において、昨年多久事件なるものが起りまして、非常に国民の皆さんの憤激を買ったその後、幾ばくならずしてまたこのような問題が持ち上りましたことは、衷心遺憾にたえないところでございます。これにつきましては、先般当委員会におきましても、多久事件関連をいたしまして、農林行政あり方を根本的に再検討をしなければならぬという意味のことを申し上げたつもりでございますが、なお引き続いてかような不始末が明らかに相なりましたことは、まことに残念であり、申しわけのない次第と思うのであります。最近の全購連事件、あるいはその他農業団体にもこれに類似したような問題が頻発しておりますることは、農協運動がますます重要性を加えておる今日、与えるところ影響も決して少くございませんで、これが組合運動の将来に暗影を投ずるというふうなことでございましたならば、まことに遺憾千万でございます。この原因はいろいろありましょうけれども、まず第一に、農協の役員が大部分農業者の出身でありまして、企業経営と申しましょうか、経理能力において必ずしも十分でないというような問題もあろうかと思うのであります。また、従来農協監査というものに対しましては、農協中央会において自治監査というものを行なっておりまするし、また行政庁において行う検査もございまして、その不正事件を摘発する、あるいはこれを防止するというようなことが、検察的な立場からでなくして、経営方法の適否を診断し、これを批判する、そうして経営合理化並びにその発展を期するという意味における指導監査と申しますか、指導検査に重点が置かれて参った、こういうふうなことも監査の点について言い得るかと思うのでございます。あるいはこの機構なり機能なりが、人員その他の関係で決して十分でなかった、こういうことも指摘されようかと思うわけでございます。さらにまた、過去におけるこの種の不正事件に際しまして、系統組織に与える悪影響というふうなものを重視いたして、関係者による被害額填補によって、実損を最小限度に食いとめようとする配慮から、いわゆる温情主義というふうなことも言えるかと思いますが、こういうことからして、その後の犯罪を容易ならしめた、安易な気持を抱かせたというふうなこともないではなかろうと思うのであります。  まあいずれにいたしましても、これらの不正事件には、直接的には、事件発生組合における職場規律の紊乱というものに原因があることは言うまでもなかろうと思うわけであります。従いまして、農林省といたしましては、ことにこの肥料の問題をめぐって、役所内部からも逮捕をされる人間を出すというふうなことでございまして、まことにこの点は相済まない次第と思うのであります。そこで、この際、どうしても抜本的に問題を洗いまして、そうして、よって来たる原因を突きとめ、その宿弊を根本的に解決をする、こういう態度で臨もうといたしておるわけでございます。  本省としてのただいまの方針を申し上げますならば、これらの事情を検討をいたしまして、農協その他農業団体に対しては、役職員の資質の向上をはかるために研修制度を拡充強化する、こういうことを一つには考えております。また経理内部における牽制組織を確立せしめまして、そうして経理核心が相互牽制的な視野から眺めることができるようにする、さらに役職員の権限及びその責任明確化をはからなければならないと考えておるわけであります。行政庁検査は、これは農協法によりますると、毎年一回は定例にこれを行わなければならぬことになっておりますが、従来、これは人員とか予算とかの関係に制約を受けまして、必ずしも十分でなかったと思うのでございます。これらを拡充しなければ相ならぬと思っておるわけであります。そうして、それと同時に、農協部内における自治監査、これをさらに徹底を期さなければならぬと思うのでありまして、これがためには、農協中央会という機関は、いわば組合に対する指導であるとか、自治監査であるとか、こういうことが主たる使命でございますから、これを充実させなければなるまいと考えておるのであります。そして、事件関係責任者に対する信賞必罰主義、任免ちっちょくを明らかにする、これを徹底させなければならぬと思うのでございます。農林省監督立場にありまする農協団体にこのような事件が起り、しかもこれが直接役所関連をして、不祥な、逮捕者を出したというようなことは、先ほど来申し上げるまでもなく、返す返すも残念に思う次第でありまして、この機会を契機といたしまして、団体に対する農林行政あり方を根本的に再検討をいたしまして、一刻も早くもろもろの疑惑を解き、正しい軌道の上に乗せる、こういうための努力を払いたいと考えておる次第でございます。  一言申し上げてお答えにかえる次第でございます。
  8. 久保等

    久保等君 今、刑事局長もお見えのようですから、本件に関して、刑事事件として扱った今日までの経緯について、一つ概略説明を願いたいと思います。
  9. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) お尋ねの件につきましては、目下東京地方検察庁並び警視庁の係官が緊密な連係のもとに捜査中でございまするが、現在までに判明いたしておりまする捜査経過並びに事案内容は次の通りでございます。  本件は、東京警視庁捜査二課におきまして、全国購買農業協同組合連合会経理部主計課員河村秀郎不正容疑を探知いたしましたので、本年三月二日、同人任意出頭を求めまして、取り調べをしましたところ、過去三年間にわたりまして、全購連における、農機具などの購買先業者に、全国購買農業協同組合連合会の支払う小切手支払い伝票を記察する地位を利用いたしまして、業者からの支払い請求がないにもかかわらず、不正に支払い伝票を記票し、全購連名義多額小切手を振り出させて、これを騙取したということを自供いたしましたので、直ちに裁判官の令状を求めまして、河村の身柄を逮捕するとともに、この河村の居宅、全購連の事務所なでを捜索いたしまして、関係証拠物件を押収いたしました。そうして同人につきましては、その後勾留の上捜査を遂げまして、三月二十三日及び四月二日の二回に、合計五千六百十七万百九十円の小切手詐欺罪ということで東京地方裁判所公判請求をしたわけでございます。  さらに、この河村被告捜査関連いたしまして、太陽自動車株式会社築地営業所長東海林竹次郎がこの河村被告と共謀いたしまして、同営業所の全購連に対するハイヤー代金水増し請求合計五十四万七十円余の事実が明らかとなりましたので、とれも取り調べをいたしまして、本年の四月二日に同人詐欺罪として公判請求をしたわけでございます。  さらにその後、全購連経理部長立岩順一農林省農林経済局肥料課職員に対する遊興費多額贈賄及び経理部の前主計課長河原三を業務上横領、それから燐酸加里課課員寺田寛会社員の狭川勝明、これをやみドル買い外国為替及び外国貿易管理法の違反、それから農林省経済局肥料課課長補佐海内藤作を、右、立岩からの多額金員収賄、さらに、第一肥料株式会社大倉純郎につきましては、右、海内に対する多額金員贈賄の各容疑が発生いたしましたので、それぞれこれを逮捕いたしまして、ただいま引き続き捜査中でございます。  検察庁といたしましては、事件重要性にかんがみまして、鋭意真相の究明に努力をいたしておる次第でございます。なお、これに関連して、いろいろ世上にもうわさが飛んでおりますので、このうわさの実体をもこの機会にはっきりさせたいということで、引き続き捜査に全力をあげておる次第であります。
  10. 久保等

    久保等君 先ほどの農林大臣の御説明の中にもあったと思うのですが、やはりこういった非常に広範な各方面に汚職の問題が発展して参っておるような問題については、ただいまの刑事局長お話でも、事の発端になりました河村なる者のやった経過も、約三年間にわたって行われた不正事件であるようであります。従って、単に一日二日のうちに、にわかに出て参った問題ではないだけに、これに対する特に検査の面から見た手落ちという問題が非常に強く指摘せられるのじゃないかと思うのです。もちろん、全購連内部における自主監査のきわめて不徹底な、むしろ当然やるべき検査すらが、予算がないとか、人員が足りないとかいうことは一応の理由といたしましても、とにかく私は責任のある検査がなされておらなかったということが一つ言えると同時に、これは農林当局そのものも私は責任立場にあることを考えてみた場合に、非常に、三年間にわたってこういった問題について事前に発見できなかった。また刑事事件になって、検察当局で言われておることも、当の全購連会長なりあるいは副会長といったような責任のある人間そのものが、捜査当局によって摘発せられた後に自分も実は気がついたのだというようなことを言っておるのですから、これは全く一般国民から見るならばあぜんたらざるを得ないと思うのです。このことは、私は同時に、農林当局についても言えるのじゃないかと思う。先ほど農林経済局長お話にあったように、また御説明の中にもきわめて簡単なお話があった。それで目下検察当局の手に移っておる問題であるからというお話だったのです。私は、もちろん刑事事件になって、扱い方がどうなっておるかという、そういうきわめてここ数日あるいは一月足らず前後の経過よりも、よってきたる原因なり経過というものが非常に重要だと思う。また、それに対してどう農林省考えておるかという問題が、きわめて私は重要な問題だと思う。ところが先ほどの御説明は、そういう点においても私は非常に遺憾だと思うのです。そこで検査の問題についても、本年の一月ごろに、すでに相当長期にわたって検査されたというのですが、一体どの程度検査をやられたか、こういう問題について、これほど広範な各方面にまで影響を持ち、関連性を持っておる問題ですら、何ら端緒となるべき事実を発見できなかったのか。これは本年一月にどういう検査が行われたのか、それからすでに三年間にわたる問題であるとするならば、その間においても、私は直接これは農林省自体検査の衝に当ったと思うし、それから先ほど大臣の御説明でも、実は全購連という団体は比較的経理能力において欠けるところがあるのではないかという指摘もあったと思うのですが、私はそうだとすれば、なおさら、そういう点の検査については農林省責任を持って、回数が必ずしも多くできないにいたしましても、やる検査そのものはきわめて峻厳に、適正に検査がなされてしかるべきだと思う。しかも両三年にわたるこういう事件、しかもまた、最近においては一月に検査を行なったというのだが、こういうことについても何らこの問題についての核心に触れるような、また、その問題に若干でも示唆が与えられるような検査が一体なされたのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  11. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御指摘になりました全購連検査につきましては、昭和二十六年十月、昭和二十七年十二月、三十年十二月及び三十二年の二月、この間であります。四回検査を実施してきております。この間、二十八年及び二十九年は検査を行なってきておりませんが、これは法律に基きまして、連合会整備促進あるいは指導農業協同組合連合会の解散、あるいは信用組合連合会調整勘定整理、そういう事態が重なりまして、府県信用組合連合会あるいは府県経済連指導連等検査を重点的にいたしましたので、手が及ばなかったのであります。三十年の十二月の検査は、全購連の二十九事業年度について行い、ことしの二月は、三十事業年度について行なっておるのであります。二十九年の検査の場合には、先ほど大臣からちょっとお話がありましたが、昭和二十六、七年までは非常な赤字を持っておりまして、やっと昭和二十九会計年度再建整備の目標が達せられたというふうな状態になったのであります。従いまして、二十九年度の決算検査では、遺憾なことでありますが、帳簿整理とか、あるいは本所、支所との関係、そういったことが非常に整理がまずくありまして、私の方ではこれに対しましていろんな指摘事項を出しておるのであります。すなわち、事業推進費支出等についてははっきりと事業管理費の中に計上する、かつ基準を明確にする、こういうふうなこと、すなわち経理区分をはっきりしなけりゃならない、これは御指摘がありますように、経済団体相当の大きい量を扱っておるのでありますから、経理内容につきましては、相当大きい会社経理と同じ経理が行われるべきでありますが、先ほど大臣もちょっと申し上げましたように、農業団体の弱点と申しますか、性質から、必ずしもうまくできておらなかったのであります。そういう点につきまして指示を与えました。第二につきましては、内部監査制度をもっと強化をするような指摘をいたしました。そのほか、こまごました諸規定の整備について指摘を行いました。また、二十九年度の検査で一番大きい問題は、内部留保金五億一千二百万円というものが指摘されました。これを正当な経理に戻すように指示いたしました。これは三十一年の五月に決算の修正をいたさせまして、臨時総会を開催し、正規の経理に戻すことにいたしたのであります。三十年度の決算につきましては、その後の経過——、二十八年、二十九年、三十年の取扱い数量事業分量が非常にふえてきておりますので、指摘に基く事項整理というものも必ずしも十分でないようでありました。二月の決算の結果を私の方でまとめまして、いろいろ数字整理、再照会、こういうふうなことをやっておる途中に河村事件が起きまして、現在までのところ、押収された帳簿を、捜査当局ところに行きまして写しかえ等によって数字整理をいたしております。まだはっきり申し上げるところまでの検査報告に至らないのであります。  御承知のように全購連は、全国の五十の府県経済連組織いたしてできておりますし、小樽 東京、名古屋、大阪、福岡に支所を持ち、相当の大規模でありますので、私の方の検査も、河村事件のごときを発見することができなかったのは非常に遺憾であります。非常に恥じ入るとともに、今後の検査については、これらの事件が再び起らないようにということで、先ほど大臣が申し上げましたような今後の対策を考えつつある次第であります。
  12. 三浦義男

    委員長三浦義男君) なお、ちょっと申し上げますが、委員の変更がございましたので、御報告申し上げます。谷口弥三郎君が委員を辞任されまして、伊能繁次郎君が補欠として選任されました。  以上、御報告申し上げます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 この際、お尋ねをしておきたいのですが、農林省が、民間の自主的団体である全購連に対するところ指導あるいは育成の方針というものをどういうふうにお考えになっておるかということが、一番私は重要な問題だと思うのです。ともすれば農協組織を再編成するとか、農民団体を再編成するとかいう、いわゆる官僚統制への道が、実は農民自体組織というものをこういうふうな混乱に陥れる大きなやはり私は根源になるのではないか。もっと端的にいうならば、いわゆる農林省検査官あるいは監査官というものが、実は農民自体組織に対する指導という名目によって、そしてこれらのいわゆる実際に仕事の不十分である人たちに対する指導という面において、実はいろいろな役得あるいはまたそうした行政上の権利というものを乱用して、そうしてこれらの資金、あるいはまた、そうしたいろんな関係のいわゆる会社に対するところの取引、こういうものが行われるところに、私は問題の本質があるのじゃないか。さっきも言われるように、単に農林省監督官をふやすとか、監査を一回多くやるとかいうことでは、私はこの本質解決ができない。こういうふうに考えるのであるが、農林大臣としては一体どういうふうな考え方を持たれておるのか、この点をお尋ねをしたい。
  14. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの御発言中にございましたいわゆる自主的団体と申しますか、全購連その他農協は、そういう建前に立っておることは間違いございません。戦争中あるいは戦前、この農業会と申しました時代には、かなり性格が変っておったと思うのでありますが、戦後農協法の成立とともに、まさしくこれは自主的な団体ということに相なったわけでございます。従いまして、本来ならば行政庁があまり介入をしないということが建前でございましょうが、しかし新しく編成がえをされた農業協同組合というものを育成強化するということのためには、やはりある程度のお手伝いもしなければならないというまあ過渡的な時期があったろうと思うのでございます。しかも、先ほども申し上げましたように、農業者団体でございまして、経理とか経営とかいう面にふなれの部分もございまするので、まあそういう点は一種の指導助成と申しましょうか、そういう形で扱って参った次第でございまして、御質問は、おそらくそういう観点から、役所団体とが何か安易な関係に置かれて、その間の秩序というふうなものが正しく確立をされなかったというふうな点にあろうかと思うのでございます。まあそういう欠陥もあるいは認めなければならぬ部分もございましょう。しかしそういう点を反省をいたしまして、この上は、役所役所団体団体、その正しい秩序区分をしなければならぬものと、こう考えております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 少くとも農協法に基いて今日の全購連があるというのは、すでにもう十年にもなっておるわけです。この間におけるいわゆる政府の指導というものが適切であれば、こうした事態を惹起することは私はないと思う。ところが、政府がいわゆる全購連の育成助長という名目、いわゆる政府が融資を行うとかというような中にも、やはり若干の農業団体に対するところのそうした甘やかしたというようなことを、先ほどもちょっと表現があったようですが、甘やかしたのではなくして、実際には無知な点につけ込んだということが私は言えるのではないかと思う。ですから、一方では応援を、つまり育成助長するために助成金を出すから、そのために一つ何らかの点を考えろ、こういうようなところが、私はやはり実際にこうした不正疑獄というものが起きるような問題になってくるのじゃないか。だから行政官庁といわゆる民間団体とのあり方というものを、今、大臣の言うようにはっきりして、指導育成をするということになれば、当然農業組合の役員の指導方針あるいは職員の研修、こういうことについても、単に官庁が手を出すということでなくても私はできるはずだと思うのです。そういう点の今までの指導面というものがやはり私は不足しておったのが、こうした実際の面に表われてきたことが大きな問題だと思うのです。  そこで私は一つお尋ねをしたいのですが、今までに一体農林省はどのくらいの助成金を出しておったのか、この点をお答えを願いたいと思うのです。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいまの御質問を、全購連に対する補助金だけについてお答えいたします。  全購連につきましては、再建整備の奨励金を二十六、二十七、二十八、二十九と合計九千六百八十万円余を出しております。これは再建整備法の第十四条によりまして、再建整備の目的が達しますれば、交付された奨励金は利子を加えて政府に返すことであります。先般来その十四条の返し方についての法案が衆議院を通過いたしまして、参議院へ回ってきておりまするが、これに基きます省令に基いて返すことになります。  次に、肥料需給安定法に基きまして、需給の安定を確保いたしますために、硫安について国内消費量の一割を基準として全購連に貯蔵いたさせまして、不需要期に買い入れて需要期に放出せしめる、そのための金利、倉敷を補助する制度がございます。これは二十九年度に九千百万円、三十年度に四千三百万円、三十一肥料年度分としてただいま進行中でありますが、予算に計上されておりますのが六千八百万円、こういうふうになっております。  さらに、農薬の予備貯蔵、農薬管理補助金というのがあります。これは病虫害の異常な発生対策といたしまして、それに応急の間に合わさせるために、全購連に農薬を保管させておったのでございます。これは二十六年度から実施いたしておりまして、二十六年度で約五百二十五万円、二十七年度で千七百三十六万円、二十八年度で二千百十八万円、二十九年度で四千九百九十二万円、三十年度で一億四十九万円、三十一年度で八千万円、三十二年度の予算額は六千六百万円、こういうふうなものであります。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 全購連に対する助成あるいは育成という意味での今のこの補助金の各般にわたる金額が出されたわけでありますが、これはいわゆる政府が全購連に対するまあ助成の意味でありまして、このほかに全購連が購買をする他の民間会社との取引、こういうものについてはどのようになっておったか、その間の経緯を御説明を願いたい。
  18. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 全購連一つの農業必需資材の購買、必需品の取扱い業者といたしまして、そのほかのいわゆる商業者と競争的立場に立っておるのであります。これは戦後、占領がやむ前後から諸物資の統制が解けてきておりますから、統制が解けましてからは、普通の商社と対等の立場に立っておるのであります。ただしその間、全購連取扱い数量をできるだけ多くさせたい、こういう関係で、非常に熱心に関係官庁なり関係方面に働きかけておったのであります。質問のお答えになっているかなっていない、……。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 大臣に私の方からお伺いしておる趣旨が、まだ不徹底なように思いましたが、たとえば、先ほどの硫安の一部手持ですね、手持というものはどのくらいの資産になるのか、あるいはそれの利子というものを計算していくと、どのくらいの額になるのか、外国商社との取引関係によって生ずる金額というのはどのくらいになっておるのか、こういう点を私どもは一応やはり明らかにしてもらいたいと思う。そういう中から、先ほどの助成金というものの金額と、商社との取引金額との合計というものがどのくらいになっておるか、こういうところ多額な私どもは含み資産というものがあるのではないか、こういう点を私どもは考えるわけなんです。その点が今の局長説明では、何か全購連も一般の商社と同じ商売をやるのだから競争の立場にあるのだというだけでは、ちっとも事件核心というのはわからぬじゃないですか、そういう点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  20. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほどの局長説明の中で、再建整備に関する奨励金、これが九千万円余りあると申し上げましたが、これは今、参議院で御審議願っておりまする再建整備法の改正案が成立いたしますれば、当然国庫へ返ってくる金でございます。  それから肥料と農薬についての調整保管の金利と倉敷でございますが、これはまあ助成といえば助成でありまするが、やはり肥料政策あるいは農薬の政策に関連をいたしまして、全購連という団体をして保管をせしめておるのでございまするから、まあ金利、倉敷の出費はかかるわけでございまして、これを政府から補給をしてやっておる、こういう性質のものでございます。  それからあとの問題は、全購連経済団体としてやはりこれは商取引をやっておる、こういうことに局長は触れたのでありまして、たとえば肥料をどれだけ扱う、農薬をどれだけ扱う、こういう具体的な数字は、もう一度局長から御説明いたさせます。
  21. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  22. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。
  23. 島清

    ○島清君 大臣は、この事件が発生をいたしましてから、省内の部課に対しまして、一体いかなる思量のもとにどういつだような大臣としての善処を講ぜられてきたかということについて最初に御説明をいただきたい。  さらに大臣の御答弁の中で、何か倫理的な面のことを強調されて、ごく当りまえのこと、当然になされておらなければならないというようなことを三項目ばかり並べて、それで答弁をしておられたようでありまするが、私は承わっておりまして、そういうことすらなされてないところにそういう問題が起ってくるのだというふうに聞いておったのでありまするが、もしそれであるといたしまするならば、その事件の発生の重要なポイントが、そういったような倫理的な面にのみあったと思われておるのか、それとも機構上からくる欠陥などというようなものについてはお考えにならなかったのかどうか、倫理的な面と機構上の面と、それから人的な面と、一体どこにこういう問題が発生をする要因があったかどうかというようなことについて御説明をいただきたいと思います。  さらに久保委員も先刻御指摘になりました通り多久事件以来、何か知らぬけれども、農林省の外郭団体に氷山の一角みたように、掘れば掘るほど不正が続々と出てくるのじゃないかというような印象を国民に与えておる。大臣は就任以来、こういうような外郭団体に対しましてどのような配慮をなされてきたかどうかということについてお答えをいただきたいということと、さらに農林省の不正不当事件指摘というものは非常に多いのであります。これに対しましては、私思いまするに、農林大臣というものは相当の重要な閣僚でございまして、たとえば河野一郎さんが鳩山内閣の時代において鳩山内閣総理大臣というよりも、河野一郎内閣総理大臣といわれたくらいでございまして、その農林省の長官として農林行政に専念するよりも、むしろ政治家として、農林行政を見ないで政治活動ばかりをするというところに、大体監督の不行き届きがあったのではないか。私はこれは河野農林大臣時代に発生した事案なので、あえて前河野農林大臣の御氏名を申し上げるわけでありますが、こういうところにもやはり欠陥がありはしないかということについて、大臣はお考えになったことがあるかどうかということをお答えいただきたいということと、さらにむしろそういったような外郭団体を持っておることによって、外郭団体がそういうことをなし得ることによって、たとえばその監督の衝に当らなければならない役人さんのうちにも、むしろこういう連中と一緒になって、それが役得のごとくに考えておるような傾向はありはしないかどうか。これは私は必ずしも農林省ばかりではなくして、今の役人さんのうちにはこういったような傾向がかなりあるのではないかというふうに憂えるものの一人でございます。従いまして、そういう角度からこういう問題をながめられたととがあるかどうか。もしそういうような角度からながめられたといたしまするならば、一体どういったような結論に到達されたかどうかというようなことをお答えいただきたいと思うのであります。  さらに私は、渡部局長の答弁を承わりまして、非常に残念に思ったのでありまするけれども、新聞紙の報道以外のことは不明であるというようなことは、少くとも私は決算委員会へお出ましになってお答えになるような御答弁じゃないと思うのであります。私たちは責任のありまするところの最終的な御答弁を今御要求申し上げておるわけではございませんので、現段階において新聞紙の報道以外の、監督官庁の立場上ここに御答弁、御報告があってしかるべきものがあると思うのであります。私たちは何も検察庁的な立場において、新聞に報道されておる以外のものをここで発表していただいて、さらにそれを起訴しようというような考えは毛頭あるわけではございませんので、 (笑声)どうかそういうことは一つ御遠慮なく、監督官庁として現段階において発表のでき得ることは、大臣も大胆率直に一つ御答弁をいただきたい。  時間がないようでありますので、この点だけ御答弁を御要求申し上げまして、私の質問をこれで終ります。
  24. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 非常に多岐の点にわたった御質問だったと思いますが、逐次お答えをいたします。  先ほど私の申し上げましたことが、何か主として倫理面のことを強調したというふうにお受け取りいただいたようでございまするが、これは仰せられましたように、倫理の面、さらに機構の面、あるいは人の面、それぞれに問題はわたっておるかと思うのでございます。で、私といたしましては、この問題が起りまするや、直ちに省内の関係部課長に対しまして、ともかく農林省が今や国民の信頼を失いつつあるこの事態に際して、われわれとしていかに対処すべきか、私自身この問題の解決のために重大な決意をもって臨む旨を強調いたしました。そうして相戒めたわけでございます。それにつきましては、確かに職場の規律と申しますか、秩序と申しますか、こういう面で改善をしなければならぬ点も多々ございます。あるいは人の面においてあまりにも長く同じ職場に一人の者が専任されるという形が問題を停滞させて、そこにいろいろとよどんだものができてくるおそれがある、こういう点も指摘をいたしておるのであります。あるいはまた、多久事件などは機構の問題から申しまして、農業保険課という課が非常に膨大な課でございまして、一課長のあるいは管理能力をこえた人員を擁しておったかと思うのであります。こういう点は、むしろ適正規模をどういうふうに設定するかという一つの機構の問題に相なろうかと思うのであります。まあこういう点に対しまして、まだ最終的な結論というまでにはいっておりませんけれども、今回を機会にいたしまして、全面的な改革を加えなければならぬと考えておる次第であります。  それから河野前大臣のことにお触れになりましたが、私は河野さんが政治面において非常に働かれたことをもって、行政面において問題が閑却されておったとは実は考えておりません。  さらに外郭団体の問題にもお触れになりましたが、先ほど来お答えをいたしましたように、たとえば農業協同組合というふうなもののあり方が、いわば一つの公共性を持った団体だというような考え方が、これはそういう面も確かにあるでありましょうが、そういう考え方が、経済団体としての合理性を貫かなければならない点を見失っておるようなこともやや考えられるのではないかという感じがいたすのであります。これは一つ経済団体であります以上は、やはり厳粛な経済法則に貫かれている面を見失ってはいけないのでございまして、そういう点、何か行政庁と非常に心やすだてな、民間の会社などと別個な感じを抱くような、安易な気持——これは指導する面はもちろん指導しなければなりませんが、厳密に区分すべき点は明確に認識をしなければいけないのでございまして、そういうふうな欠陥もありたのではないかというふうに考えまして、この点をやはり是正をしなければならぬと思っておるのであります。  今回の全購連問題に関しましては、特に私、農協関係者の中で中央会という団体がやはり農協部内指導面、監査面を受け持つ団体でございまするから、荷見会長を招致をいたしまして、役所役所立場でこの際、従来の宿弊を断ち切る考えであるが、農協部内においては中央会の立場において一つ相戒めて、この問題を契機として農協の立て直しをしてほしいということを強く申し入れたような次第でございます。  全部お答えいたしましたかどうか、とりあえずかように御了承いただきます。
  25. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間ございませんから端的に大臣にお伺いいたしたいのでありますが、全般を通じて見まして、私どもの感想から参りまするならば、結局は機構の問題に帰一するのではないかというように考えるのであります。ということは、あまりにも全購連というものが大きな権威を持っておるということ、すなわち、年間の売り上げが八百億にも近いような売り上げを持っておる。こういうことは一般の業者からいいまするならば何千軒にも匹敵する大きな売り上げなんであります。こういう大きな権力のところに勢いこういう大きな問題が出てくるということは考えられるのでありまして、そういう意味におきまして、ことに肥料会社の、輸入会社からいたしまするならば、これくらい安全な売り渡し先はないわけでありまして、全購連は供米代金というものを常に押えておるというような観点からいたしまして、こんな安全なお得意さんはないので、従ってそこに先ほども経済局長かなんかお話しになったと思いますが、内部留保金というような、奇怪しごくな莫大な金というものが浮いてくる。一説によりまするというと、経済局長は五億一千万と申しましたが、何か六、七億もあるんじゃないかと。これは私どもの考えからいたしますならば、相当これはリベートというような問題じゃないかと思うのでありますが、この点はいずれまた経済局長お尋ねするといたしまして、こういうような点から考えまして、何か独占的に近いこういった大きな権威ある団体というものが、勢いこういうようなものを巻き起しているというように私どもは考えるので、根本的な問題は、この機構というものを変えるということに、私は大きな重点を置いていかなければならぬと思うのでありますが、その点に関して大臣一つ率直な意見を伺いたいと思います。
  26. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 農協という団体農民を基盤として、各町村の単位組合、都道府県連合会、それから中央における、たとえば購買事業は全購連、販売は全販連というような、一つの系統的なピラミッド型の組織ということに相なっておりまする関係で、農民の必需品を一指購入をする、大量に購入をすることによって廉価なる物が得られる、こういう考え方自体においては、これは農協運動の方向であろうと思いまするが、しかしその間に御指摘になられましたような欠陥もあるやに考えられます。あるいはそれが公正なる競争を妨げておるというふうな面もあろうかと思いまするが、今回の問題を機会に改むべきは十分に反省をして改めなければならないと、かように考えます。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 簡単にお伺いいたします。  私は本問題につきまして角度を変えてお尋ねしたいと思うのですが、多久事件にいたしましても、この事件にいたしましても、一課長補佐あるいは係長が自由にこういうことをなし得るようになっておる。そういたしますと、この上には課長もおりましょうし、部長もおる、局長もおる、こういう人たち能力がないのではないかと思うんです。そういう方たちに能力がないからこういう莫大な事件を、しかも全購連の汚職ということを出してあるけれども、新聞等で見てみれば、この汚職の根源は、海内という課長補佐が金を巻き上げて、あるいは飲食を強要する、こういうことでついにこういう汚職に発展したんだ、こういうことまで言われておる。そうすれば、ただ一人の課長補佐がそういうことをやって、あとの全役所の方々は何も知らなかったんだということになれば、この肥料問題に関する限りはただ一人のものである。そうすればその上司やその下部の者は何をしておったか。私は全く能力がないんだと、多久島の場合もその通り、一事務官が一億からの金を自由にしておるのに、だれも知らなかったというようなことで済ましておるようでありますが、そういうことはあり得ないと思う。そうするならば、その上に監督の任にある、その任にある人はこれは無能力者だと、かように思われるが、その点はどういうふうに思われるか。  それからもう一点は、全購連ができましてから、農民よりもメーカーのこれは保護機関になっておる。商人からこういう肥料を買うよりもこっちから買った方が高いんだ、商人から買う方が安いんだということを指摘されておる。しかもそれを役所がわざわざ全購連に出しなさいということをメーカーに指令しておる。こういうことは、役所自体が十分知っておるはずだと思うんです。そうすれば役所自体の中にメーカーとの結託が大きいんじゃないかと、かように思うのでありますが、この二点について御答弁を願います。
  28. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 一課員、一係長が大金を自由にする、その上司という者がこれを知らずして処理がなされておるという点を御指摘になったわけでありますが、これは役所組織の中に確かに欠陥があろうと思うのであります。相互に牽制をし監視をする、こういう機能に欠けておるのではないかと思うのでありまして、あるいは役所行政というものは判この行政であると言われるように、めくら判が押されて処理をされていくというふうなこともございましょう。かかる点は根本的に考え直してみなければならぬものと思うのでありまして、おそらく民間の感覚からいたしましたならば、こういうことは一体あり得べきことかと疑われるのも無理からぬことだと思うのでありまして、少くともこの金銭を扱う役所経理面というものに対しては、抜本的な再検討が行われなければならぬと考えておるわけであります。  それから、全購連はむしろメーカーと近接をして高い肥料を農村へ送り込んでいるという御批判でありますが、この点は全国一つのプール計算にしてありまする関係から、平均をいたしました価格というものが、場所によっては私は安い所もあると思います。商人が直接非常に工場に近い所から運賃等を節約して仕入れをする、こういうものと、全国プール計算をしたものとに、まあ差ができるような地帯が場所によってはできるのではないか、全国的に全部が全部高いということは私はなかろうというふうに思っておるわけであります。まあ大体そういうことで。
  29. 片岡文重

    ○片岡文重君 私は大臣が急いで帰られるのを非常に残念に思いますが、その点についてはまた後ほどにして、また申し上げたい点もありますが、とれも後日に譲って、簡単に二、三点をお聞きしたいと思うのです。一つ経済団体としての農協というものは、この経理の面については最も自粛して厳正に行われなければならなかったと恵うのですが、農協経理の紊乱、農協経理といえば、きわめてルーズなものだという声が、早くから一般に伝わっておったのです。これは国会等においても、しばしば指摘され論議されてきたのですが、依然として改まっておる形跡が見えない。これは一体どこに原因があるのか。  それからいま一つは、先ほど阿具根君からの質問にありました補佐程度のものが、課長以下の諸君で、一人や二人のことでやっておられるということを言っておりますが、これは課長補佐もしくは係長程度の諸君がそういうととをやったということは、それ以上の上級の諸君が、そういうことをやっておるのを見逃さなければならないような事情があったのではないか。これは特にきょうあたりの新聞を見ると、国会議員の諸君も何か引き合いに出されております。この点は国会の信用にも関しますから、後日明確にしていかなければならないと思いますが、こういう経理の紊乱とそれから上級者が、指導的な立場にある諸君が、現実に不正不当を働いておる諸君を疑わしいと思っても、十分に監督し、これを矯正せしめることのできなかった事情にあるのではないかということが、われわれには考えられる。その点について一体大臣はどういうふうにお考えになっておるのか。  それからこういう事態が起るということは、これもしばしば指摘されておるように、そもそも農協制度に対する機構の複雑化にある。肝心の農民諸君がどういう組織になっており、どういう手続を経て自分の所に金が渡ってくるのかがわからんような状態に置かれておる。これは早くから簡素化しなければならぬということが言われておった。これも簡素化の約束は政府としてしばしばされているけれども、具体的には何ら見るべき措置がとられていない。この点について、大臣は在職中にすみやかにこの農協制度の改革を行う意思があるのかどうか、この点を具体的に一つ明確にしていただきたいと思います。
  30. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 第一点の農協経理というものが非常に紊乱をしておるという御指摘でございますが、これは全部が全部そうでもありますまいけれども、一つはやはり担当の役職員というものが農家の出身の方が多い関係もあり、やはりこういった能力の点において乏しいのじゃないか、ここにも原因があろうと思いますが、私は先ほどもちょっと申し上げましたように、農協自体がこれは経済団体としての立場をもっと明確に把握しなければいけない。ただ協同組合だから共存共栄だから相寄ってその場が円満にいけばいいのだというのではなくして、一銭一厘といえども、これはやはりこれが経済の基礎なんだという考え方の上に立たなければならぬのじゃないかと思うのであります。  それから一課員あるいは一課長補佐という程度の者が、このような大それたことがやり得る、その上司というものは全く何をしておったのかということに相なるのでありますが、これはやはり機構全体の問題として十分に再検討をしなければならないと思うのであります。  農協の機構が複雑であって、農民に対してわかりにくい、これをもう少し簡素化しなければならぬという御説でございますが、このあたりあるいは根本問題として農協法実施以来十年近い歳月が流れたわけでございますので、この辺で一度反省をして締めくくる時期が来ているのじゃないか、こういうふうに考えております。
  31. 片岡文重

    ○片岡文重君 今のは答弁になっておりません。私は大臣の今の二点についての御答弁は不満ですけれども、特に機構の簡素化を具体化する意思があるのかどうか、あるとするならば、いつごろやられるのかということをお聞きしているのであって、時期に達しておるかどうかということは、私はもうとうから時期に達しておる。従って大臣はこれを簡素化する意思があるのかないのか、あるとするならば、具体的にどう考えておるのか、その時期は一体いつごろになるのか、この点をお聞きしているわけです。
  32. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この問題は、私は今役所あるいは団体の内部におけるこの問題をめぐっての当面の対策に追われているような次第でございまして、今の御質問はむしろ一種の恒久対策と申しますか、農協の機構を根本的に建て直し、簡素化する、私もその必要は先ほど申し上げましたように感じておる次第でありまして、それにはしばらくやはり時間をかしていただきたいと思うのでございます。今国会にというわけにはもちろん参りません。十分に検討を遂げたい、かように考えます。
  33. 久保等

    久保等君 一言、私この機会に、時間がございませんから、結論的な点で大臣に強く御反省を願い、また一つきわめて明確な措置をとっていただきたい、このことを申し上げたいのです。それは実は本件についても、前の多久事件についてもそうでありますが、さらにはまたひいて、当決算委員会が年々歳々決算報告審査して、農林省の一般的な農林行政に対する指摘事項会計検査院の指摘事項、これに対する善後措置の問題等を見ましても、全く改善の実は、実績を認めることはできないわけです。先般も二十九年度の決算報告に対して、特に農林省に対しまして警告決議を再度にわたって実は満場一致で決定をした経緯もあるのです。ところで先ほど大臣の御答弁にもありましたように、こういう具体的な不正事件が起きた場合に、それに対する責任の所在というものが常に問題になるわけです。大臣も言われておりますように、責任態勢を明確化したいというお話があったのですが、私はもちろんそういろ態勢を各般の面について考えていただく必要があると思うのですが、今回のこの問題、具体的なこの全購連事件に対する問題についても、ぜひ一つ私は国民の納得のいく責任の所在を明確にしてもらいたい。言葉をかえて言いますならば、厳罰ないしは厳正なやはり処分の措置をとってもらいたい、このことを強く申し上げたいと思うのです。それは時間がございませんから、具体的ないろいろ指摘したい事項があるのですが、たとえば今回の事件にいたしましても、先ほど数字であげられましたように、補助金が全購連に少くとも出されておるのです。金額の多寡は別として、また元利をつけて返す返さないは別として、とにかく国家予算の中から補助金を出しておる、ところが現実は、内容をあげてみると、五億円に上る含み資産を持っておったというようなことについては、私はこれは農林行政、ことに肥料行政については、農林当局の怠慢ないしは農林当局そのものが一体どういう検査を行なっておったか、こういうことについて非常に大きな疑惑を持たなければならない。従って指導監督という立場における農林当局の非常にきわめて大きな責任において、これを回避することは許されないということと、同時に農林省そのものの公務員である海内課長補佐が現実に一汚職問題を起しておる。これは農林当局そのものの問題なんです。こういう私は二つの観点から考えてみると、農林当局そのものが非常に重大な責任をとらなければならないということだけは明確ではないか、最近とかく汚職問題が出ますと、その捜査過程において自殺者が出る、非常に何か悲壮感に襲われるような、自殺者が出るのですが、この自殺者の心境なり経緯考えてみると、常に何かこの不正問題に関する渦中にあると目される人間が、その不正問題が明るみに出て拡大していくことをおそれて、火消し役を勤めて、みずから生命を断つという経過が、いろんな事犯の場合において見られるのです。私は国民にとってこれほど人をばかにしたことはないと思う。みずから責任があると感じて、みずからの責任をわびる意味において命を断つという形においては、これは命を断てということは決して申しませんけれども、しかしこういう責任の取り方ではなくて、その捜査当局の対象人物になっておる人間が、上司をかばうというか、つまらない義理人情という観点から、あるいはまた汚職問題をできるだけ不拡大にしようという意味から、とかく自殺者が出るという事件が非常に多いのです。私は、自分の部下が不正をやった、従ってそれに対する責任を感じて、みずからは何らやましいところが個人的にはなかったが、しかし責任者の立場において、責任をとるという意味で、自殺者が出たということは、寡聞にして実は聞かないのです。私はここらに日本の今の官庁組織、また政府関係機関責任問題というものに対して、きわめてこれは責任観念が地を払っているという現実を見のがすことができないと思う。私は特に大臣がここに御出席ですから、大臣に要望したいと同時に、先般も岸総理がこの委員会出席されたときにも強調しておいたのです。一体今の岸内閣そのものが汚職、疑獄問題について、どういう責任をとろうとしているのか。またそういう問題について、今後どういう一体善処をしようという決意を持っているかという点について、総理にも御質問申し上げたのですが、確たる御答弁がない。いわばその場限りの適当な御答弁で、その場を過ごしている。私はここらに今日の汚職が続出してくる根本的な原因があるのじゃないかと思います。少くとも今度のこの事件についても、私はいろいろ原因をとってみれば、一事ならざる多数の原因があると思う。しかし問題は、今後も再びこういう問題が起らないという最も有効なる方法は、先ほど片岡委員からもあった全購連の機構あるいはそれに対しての監査、そういった問題もありましょう。ありましょうが、しかしながら今度の出た問題については、私はやはり厳正に国民の納得のゆく形で、責任者に対する措置をとる、処分を行うという問題がある。これはきわめて端的である。私は一罰百戒という点から言っても、ぜひ必要ではないかと思う。私は特に従来から、決算委員会における諸般の何千件に上る不正不当事項を扱ってみて、つくづく感ずることは、責任が結局雲散霧消した形になってとられておらない。すでに先般国鉄問題あるいは運輸当局の問題について、むしろ汚職、疑獄をやった人間は、結果的には依願免職でやめた。そうしてこう横すべりして、政府関係機関に近いような会社に就職しているという措置がとられているような心がまえでは、こういう問題を未然に防ぐということは断じて私はできないと思う。従ってそういう点についての綱紀粛正という立場からも、本事件は、私はそういう意味で、雨降って地固まるという立場で、本件の処理に当っていただきたい、かように考えて、かつその点を特に強く大臣に要望しておきたいと思うのです。それに対する御所見を伺って、今日の私の質問を終りたいと思います。
  34. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まことにおっしゃる通りと存じます。御趣意をよく尊重いたしまして、対処いたす所存であります。
  35. 久保等

    久保等君 それで私、先ほど途中でやめましたが、もう大臣はおいでになりませんが、なお、事態を明確にする意味で若干お伺いしたいのですが、刑事局長お尋ねを最初にいたしたい一つの点は、先ほど本件に対しての問題が、三年間にわたって不正問題が行われておったというお話ですが、一番最初のときはいつだったのでしょうか。その年月を一つはっきりお願いしたいと思います。
  36. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) ただいまのお調べでは、本件の犯罪の事実は、昭和二十九年八月中旬から昭和三十二年二月下旬までということになっております。
  37. 久保等

    久保等君 それから農林経済局長お尋ねをしたいと思うのですが、この五億円余に上る含み資産というものが、昨年の五月ごろに、何が発見をせられたという御答弁で先ほどあったと思うのですが、少くとも二十六、七年ごろまでは赤字団体であり、従ってこれについては、再建整備組合としての指定を行なったということになっているようでありまするが、一体いつまでが赤字であって、含み資産が発見せられたのは昨年だと言うんですが、この五億円余の含み資産がどの間に生れた、出てきた含み資産であるというふうな判断をしておられるか、検査の結果なりあるいは最近のいろいろの状況から、私は的確な資料等に基いての御判断ができると思うのですが、五億円余の含み資産は、いつ一体、いつからいつまでの間に生れてきた含み資産だというふうにお考えになっておりますか。
  38. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 五億一千万円の含み資産がわかりましたのは、先ほど申し上げましたように、三十年の十二月に農林省検査いたしました結果出てきたのであります。これは肥料公団がなくなりまして、肥料の統制が撤廃されまして、その際、公団手持ちのカリ塩を全購連が譲り受けて配給いたしました。その後カリの輸入価格がだんだん上ってきまして、手持ちのカリ塩の評価益が出た。これが一番大きい理由であります。全購連といたしましては直接輸出入には関係がないのでありますが、輸入されましたカリの取扱いはその当時約半分近くだったと思います。それがだんだん取扱い数量がふえまして、最近では輸入カリの七割程度を扱っておるところまできております。さらにお話になりましたように、二十九年度の決算は、当初は約六千四百二十七万円の欠損を出した決算をしておったのであります。これをただいま申し上げました検査によりまして、含み益を正当な経理に計上さすことにいたしまして、これを五億一千万円のうち、赤字欠損金として計上しておりまするものを補てんいたしまして、残りを価格変動準備金として三億八千万円、それから貸し倒れ準備金といたしまして二千五百万円を計上いたします。五億一千万円から三億八千万円、二千五百万円と六千四百七十万円の欠損補てんをいたしました残り約三千五百万円を次年度繰り越し剰余金として計上さすことにいたしました。
  39. 久保等

    久保等君 その点非常に私はもう少しはっきりと究明して参らなきゃならぬ問題があるように受け取れるのですが、というのは、二十九年度末といえば、昭和三十年三月三十一日ということになるわけです。その当時には欠損金という形で二十九年度の決算報告は出てきておった。ところが三十年の十二月に五億円余りの含み資産というようなことが検査の結果判明したというようなことになるのです。そうすると、そのことだけで判断をするならば、一応何か半年ぐらいの間に急転直下非常に含み資産がふえてきたというような、帳面づらの上だけから見ればそういう判断になるかと思うのです。しかし私はそういうことはちょっと考えられないので、おそらく二十八年、九年、そのころすでに表面的なそういう決算報告とは別に、実態としては含み資産というものがあったのだ。しかしそれをただ数字の上で決算報告とか何とかいうところには表わされなかったというような経過があったのじゃないかというように考えざるを得ないと思うのです。たまたま先ほどの御説明だと、二十八年、九年ころは検査農林省としてはやっておらないというお話があったと思うのです。それから先ほど最初の不正をやっておるのは二十九年の八月からだというお話なのです。そうだとすると、ちょうど検査の行われておらないとき、しかも不正問題が起きた当時は、もうすでにただいまの御説明から聞いても非常な含み資産がある、もう現実にあったと、こう判断されるわけです。従って三十年の三月三十一日、すなわち二十九年度の決算報告というものは、全くでたらめの決算報告であったのだということは、これは類推というよりもはっきり判断できるのじゃないかと思います。そうすると私は一体農林省が二十六年から始まって二十七、八、九、特に八、九年あたりに補助金を出しておったというような問題は、帳面づらがなるほど赤字であったというような報告はされておったかもしらぬが、実情はむしろそうではなくて、非常に好況に恵まれたというか、カリの輸入価格それから販売価格、その間において差金を大いにもうけておった。が、しかしそういうことは全然数字の上には上ってきておらぬから、相変らず二十八年も二十九年も補助金は出しておった。補助金は先ほど大臣の御答弁によるというと、返してもらうと言った。返してもらうもらわぬにかかわらず、とにかく国の予算なんだ。国民の血税を一銭たりともそういうインチキをやっておるものに交付する必要はない。また交付してはならぬ。また二十八年、二十九年、期間はいつに的確にはなるかしりませんが、とにかく二十八年、二十九年ごろに補助金を出したというような事態は、これは農林当局としての大きな手落ちであると、こう判断せざるを得ない。その点どうでしょうか。
  40. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど御説明申し上げました補助金の種類に二つあるわけであります。一つ再建整備のためのものであります。これは事業全体の経理がうまくいくかいかぬかによって出しておる。それからあとは硫安の保管と農薬の保管のためのものであります。これはちゃんと、なんぼ保管した、どうしていつ出したということで、その金利と倉敷等を補助しておりますから、この点は一般会計と紛淆は……もし紛淆があれば簡単に見つかります。それがない。そこで今の再建整備の金を果して二十九年度、これは決算期は、八月から始まりますので、二十九年度と申しますと、二十九年の八月から三十年七月三十一日まで、そのときにこういうものがあれば、当然そのときの補助金はもらっちゃいかぬじゃないか、こういうことになる。これはその年の補助金といたしましては、実は交付しておったのでありますが、先ほど申し上げましたように、決算を修正させましたから、その分は取り返したのであります。さらにさかのぼって、果して二十九年度だけで五億一千万円の含み資産があったのかどうか、もっと前にあったかもしらぬじゃないか、こういう問題が残るのであります。これは私の方ではその当時十分調べまして、三十年度の決算についても、そういう点を過去にさかのぼってできるだけ調べろというわけで、いろいろやってきておるのでありますが、明確になっておらないのであります。これはあるいはただいま捜査当局の方で、いわゆる含み資産あるいはリベート問題等、いろいろやっておりまして、これは私の方では検査が、何といいますか、全購連内部だけの書類でしか検査ができない。相手方に行って検査することができないから、隔靴掻痒の感があるのであります。あるいはそういう点から、果して二十九年だけの含み資産であるか、あるいは二十八年にさかのぼっての含み資産であるかということも明らかになるのではないかというふうなことも考えておりますが、現在のところはまだ明確にお答えすることができないのであります。
  41. 久保等

    久保等君 現在のところ明確にお答えできないと言われますが、まあ常に刑事事件になると、書類は全部検察当局に持っていかれておるので、調べろと言ってもどうもしょうがないのですというお話です。それは、今日現在の状態において、私はそれはそうだと思う。しかし何も刑事事件などにならなければ、こんな不正事件がわからないのかという疑惑を、実は反対の立場から言えばそういう解釈になると思う。少くとも二十七、八年の話が今ここで出てきて、もう四年も五年もして、あの当時の状況は一体どうであったかと言って聞いても、いや実は今もう書類がないのでわかりませんという話なんです。これはもう私は全く農林当局そのもの指導監督における、非常に大きな、私は先ほどもちょっと大臣にも申し上げたが、責任問題であると思うのです。外部から刑事事件になって指摘せられて、関係書類がないから、一体あの当時果して含み資産があっただろうか、なかっただろうか、そのあたりは何とも責任ある答弁ができないというような程度監督指導だったら、私は何のために監督指導をやっているのかということに相なると思うのです。  しかも私は先ほど来の御説明を聞いた限りにおいても、これはどうも五億円と名のつく大金の含み資産がある、しかもそれは単に一、二の課長、全購連の一関係課長だけの操作によって、私は大勢の目をのがれることはできない問題だと思うのです。いかに肥料天皇と言われておるか、何か知らぬけれども、一課長補佐なり係員のよくなし得るところではないと思うのです。私はやはり何人かそれに関連した農林当局関係者も、まあ以心伝心というか、お互いにそこに共謀的な犯罪要因があるのではないかという疑いを深めざるを得ないのです。そうなってくると、問題は単に全購連内部におけるそういうたまたまの係員の不心得によって事実がそのままに率直に農林省報告せられなかった、従ってその事態が明確でないし、また今日はもう調べろと言っても書類がないからしようがないのだという程度の問題ではないと思う。  農林経済局長、私は特にそういう点ではあなたが直近の長官というか、上司である、上司の立場である。私はそうだとすれば、こういう問題については大体勘というものが働くと思う。あそこはとにかくくさいじゃないかという程度の判断は、これはできると思う。あなたが少くとも農林行政、特に経済関係行政を担当しておられた場合には、私はそういうことに対して、なぜ今日までそういう点についてのほとんどその手が打たれていなかったということについて、非常に残念に思うのです。  今、私の問いたださんとするところは、二十七、八年ごろの実態というものについて、もう少し何とかわれわれに御説明が願えるような御努力は願えないものだろうか、どうだろうか。今人手にもう渡ってしまったのでどうにもならないと言ってしまえば、それ切りの話なんです。しかし、それではどうも私は相ならぬと思う。一体いつからどういう方法でそういう五億一千万円に上る含み資産というものが生まれてきたのか、私はひとり全購連のみならず、関係方面についても、これは私は逐次やはりあなたの方でお調べになって明確にしなければならぬと思うのです。  私はまあ大臣には、時間がないから、結論的な責任問題について追及をして参りましたが、私はその前に特にあなた方の手によって事態の内容について、もう少しはっきりした御説明を願はなければならぬ問題だと思うのです。そうしなければ、単に何か五億一千万といってみたって、そうこの問題が単に一、二の関係者によって不正問題が行われたという程度説明では、これはどうしても納得できない。今後の全購連の機構なり、あるいはあり方の問題についても、根本的に考えて参る場合も、私はそういう点で、いろいろな面において非常に重要だと思うのです。ここで不正問題がこれほどまでに表面化してしまった以上、なおさら、この点は私は徹底的に糾明を願いたいと思う。こういう面について書類が行ってしまったという程度の事務的な答弁では納得できないと思うのです。司法当局で、私はどの程度検察当局でこの問題についてただいま私が質問した点について数字的なところまで調査せられているかどうかは、これはわかりませんが、もし刑事局長の方で、若干でも私の方で今伺った点で、何かおわかりになる点があれば、御説明願いたいと思う。  要するに私の質問いたしておるのは、五億一千万の含み資産、これはもうある程度責任のある御答弁として私は承わっておきますが、それが一体いつごろから、年次的に考えるなら、いつごろから生まれてきた含み資産と目されるのかどうか。そこまで手が回っておらなければいたし方ないと思いますが、お調べになった立場でおわかりになっておれば、御説明願いたいと思います。
  42. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私どもの方は犯罪があるかないかということの確定に目下努力中でございまして、含み資産の問題は新聞その他で伝えられておるわけでありますけれども、その点に関する明快な調べができておりませんので、帰りましてから、なおよく関係の係官にその事情を聴取いたしまして適当な機会に御答弁いたしたいと思います。
  43. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいま久保委員お話でありますが、二十九年度の含み資産の問題につきましては、一応二十九年度として出ているのでありますが、御指摘のように、それが何年から出ているかということについての問題が、ただいまはっきり申し上げられないと言っているわけであります。私の方ではこの問題をどうしてもはっきりしなければ、今度三十年度の検査報告もできないわけであります。従いまして、これはただいま御説明ができないと申し上げているだけであります。私どもの方としては、ここまで追及をしたが、これ以上わからぬ、私の方でも非常に疑問を持っておるわけで、特に三十年度の、翌年の分については、それをさかのぼって追及をすることが一つのポイントになっておったわけでありますから、私の方でも今後調べまして、調べが出てきますれば、御報告申し上げたいと思うのであります。決してサボっているというわけではないのでありますから、その点御了承願いたい。
  44. 久保等

    久保等君 最後に、ちょうど当委員会は三十年度の御承知のように決算報告審査をいたしておるのですが、私はぜひこの問題については、三十年度ということのみならず、この案件一件として、そういうことについて一つ十分に調査をせられ、そうして的確な一つ決算報告という意味で、三十年度の決算報告に追加するということになるかもしれませんが、とにかくこの案件単独として十分に一つ事態を明確にするように御努力を願って、早急に一つ報告を出してもらいたい。このことを一つ要望しておきたいと思います。
  45. 島清

    ○島清君 今の久保委員質問関連して刑事局長にお聞きしておきたいのですが、新聞紙では末広がりで底なし沼というように書いておるのですね。そこで今現在の資料、お調べになりました資料等からして、新聞の報ずる通り、どこまで事件が拡大するかわからないといったような、非常に根深くして広範なもので、末広がりの性質のものであるかどうか、一つお知らせいただけたらいただきたいと思います。
  46. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 新聞にはいろいろな想像をまじえて発表されておりますので、私あの新聞の通りであるとは考えておりません。しかし先月の二日に河村被告逮捕されましてから、わずか一月足らずの間に十名近くも逮捕されているような事件でありまして、その金額も一個人の詐欺金額で五千六百万円に上るような関係でございますから、なお、ある程度関係者が問題になると思いますけれども、ちょっとただいまのところ、まだ大部分関係者が調べの途中でございまして、今どの程度までこれが発展するかということは、私といたしましてもちょっと見込みがつかないので、まことに恐縮でございますけれども、その見通しの点につきましては、いま少しく時日をかしていただきませんと、何とも申し上げかねる実情でございます。
  47. 島清

    ○島清君 ちょっとお答えしにくいかと思いますけれども、どうでしょう、これは全購連だけの問題にとどまるのか、それとも、それ以外の方面に波及していく資料が今あるかどうかということ、お答えしにくければ、別にたって私要求いたしませんけれども、差しつかえなければ。
  48. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) ただいま非常に微妙な段階になっておりますので、いましばらくお答えをいたすのは猶予していただきたいと思います。
  49. 久保等

    久保等君 私一言刑事局長に要望しておきたいと思います。きょうは、法務大臣にもぜひ御出席を願う予定であったのです。何か御出席いただけなくて非常に残念に思っているのですが、ぜひ一つ法務大臣にもお伝えをいただきたいと思うのです。本件については、当決算委員会としては、本日初めていろいろ経過をお聞きしたのですが、いずれにいたしましても、先ほど来私が申し上げているような観点から、本件についてもきわめて私真剣に、特に徹底的にこの問題については一つ法務当局で取り扱っていただきたい。しかも、できるだけ捜査能力等を動員していただいて、徹底的に、しかも能率的に、早急に、この問題に対する全貌を明らかにしてもらいたい。そのことが、いろいろな、とにかく問題がありまするが、やはり、問題を明確にして、それに対する責任という問題をやはりはっきりすることが、私は非常に大切だと思うのです。何かしら非常に大きな問題で、しかも広範にわたる問題は、とかく政治的に扱われて、国民が非常に不可解のうちに雲散霧消するような結論になりがちの点があるのですけれども、これは私が具体的に指摘するまでもなく、ここ数年間の経過はまさにその通りになっているのです。むしろ新聞に毎日々々書かれると、国民の方自体がどっちかというと不感症に多少なってきているのじゃないかという感じすらするのです。  それから、話は違いまするが、きょう法務大臣が来ておれば、私お尋ねをしたいと思ったのだが、最近の暴力事件ですけれども、これらについても、一体法治国家のもとにおいて、こういうことが今日日本の各地において、とにかく新聞その他で報道せられ、また現実にわれわれが体験をするというようなことは、これはもう全く情ない話だと思うのです。これは一にかかってやはり私は法務当局に大いに一つ勇断をもって対処してもらう以外に方法がないと思うのです。こういう点についても、ぜひ一つ法務当局の奮起を促がしたいと思うのですが、全購連の今回の問題については、早急に、しかも私は徹底的にこの問題を一つ洗っていただく。それで、国民の前に明らかにしていただく。このことがもう百のお説教あるいは説法をするよりも、最も私は効果的であるし、国民自体に対して、その信に答えるゆえんでもあると思うのです。当決算委員会も、そういう意味で、この問題については非常に大きな関心を払っていますし、しますので、この点はぜひ一つ法務大臣にもお伝えを願い、それからまた、この席においても、私は一応刑事局長の御見解も承わっておきたいと思います。
  50. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私どもは、犯罪者を摘発するのが職分でございますけれども、なお、かような公務員の涜職、横領、詐欺、背任というようなものにつきましては、ほかの犯罪にも増して、これは厳重に検挙処罰しなければならぬものと私は考えておりまするし、日ごろ、いろいろな検察官の会同その他の席におきましても、かようなものは、まずまっ先に取り上げて、厳重に処置しなければならぬということを申しているわけでございまするが、本件につきましても、能力の許す限り、なるべく早く徹底的にこれは摘発してもらいたいというふうに考えております。  なお、暴力事犯につきましては、これはいつも新聞紙などに伝えられます通り、しり切れトンボになりがちのものでありまして、常時検挙の手綱をゆるめずに参りませんと、とかく人のうわさも七十五日といいますように、七十五日もたちますると、もはや暴力検挙というようなことも人の関心から薄れて参るような傾向にありまするので、これもまた、常時手綱をゆるめずに、徹底的にやって参らなければいかぬということを考えておりまするし、また、いろいろな機会にそれらのこともわれわれの仲間で検討いたしているのでございますが、先般も別府の地区におきましては、妙な事件が起きて、われわれのところ報告が参っておりまするが、あのような暴力事件につきましても、われわれといたしましては、能力の許す限り厳重に処置して参りたいというふうに考えております。なお、本日は法務大臣山口の方へ出張しておりますので、出席できませんでございましたが、お帰りになりましてから、当委員会の御趣旨のところはお伝え申し上げるつもりでございます。
  51. 島清

    ○島清君 私も久保委員と同様にお聞きしたいのでありますけれども、久保委員は、やはり国民の良心と良識を代表されて強い要望をされたと思うのですが、「殺人狂時代」というチャップリンの映画には、人を一人二人殺すと犯罪人で、大ぜいを殺すと英雄になるという、社会を調刺したような映画があるのですね。ところが、日本の国会におきましても、との前みたように、指揮権を発動いたしまして、事件がうやむやに葬られてしまうというようなことで、日本国民は、まあチャップリンの「殺人狂時代」という映画じゃありませんけれども、日本の司法権に対しては、そういう意味において、非常な疑惑を持っているわけですね。今度の事件についても、私がその発展性いかんということをお聞きしたのは、まあまだ表面化はしていませんでしょうけれども、かなり上層部の方に波及していくのじゃないか。ところが、これがまたいつの間にか、適当なところで押えられるのじゃないかというような不安となにを持っているわけですね。ですから、どうかそういうことのないように、司法権の権威といいますか、何といいますか、こういうものを一つ守っていただいて、そして国民に不安のないような取調べを進めてもらいたいということを、特に私も言いたいために、局長にああいう質問をしたのですが、そういう意味で御検討願いたいと思います。
  52. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 議事進行。本案につきましては、各委員から非常に質問がたくさんあるだろうと思いますが、だいぶ時間も過ぎておるようなので、あらためて、相当これは深く掘り下げてやるべきではないかと思うのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういう点で、また次回に、委員長の方から日取りをきめていただいて、一応きょうはこの程度で散会願いたいと思います。
  53. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をやめて。   〔速記中止
  54. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないと認めます。  本件に関する質疑は、今回はこの程度でとどめて、本日の審議を終了いたします。  次回は明後日十五日月曜日午後一時から法務省の部を審議いたします。  では、これをもって委員会を散会いたします。    午後零時五十一分散会