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1957-03-15 第26回国会 参議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十五日(金曜日)    午後一時十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            江藤  智君            後藤 義隆君            平島 敏夫君            堀本 宜実君            吉江 勝保君            相澤 重明君            赤松 常子君            阿具根 登君            大倉 精一君            片岡 文重君            高田なほ子君            杉山 昌作君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 岸  信介君   政府委員    法制局長官   林  修三君    調達庁次長   丸山  佶君    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳沢 英蔵君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君         ―――――    会計検査院長  東谷傳次郎君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     古川 汎慶君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十年度国有財産増減及び現在  額総計算書内閣提出) ○昭和三十年度国有財産無償貸付状況  総計算書内閣提出) ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出)(第二十  五回国会継続) ○昭和二十九年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続)   ―――――――――――――
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第十八回決算委員会を開会いたします。  本日の理事会において申し合わせました事項について御報告申し上げます。  本日の日程についてでございますが、本日はまず午後一時から二時までの間、岸総理大臣出席を求めまして、三十年度決算について総括質疑を行い、次に日米合同委員会の問題について外務大臣として質疑を行いたいと思います。二時から大蔵省関係質疑を行います。これが終ってなお時間がありましたら、十八日月曜日の委員会散会後に予定しておりました、三十年度決算審議方針について懇談を行います。  十六日の日程について申し上げますが、農林大臣は午前十時から、あまり時間はないという話でございますが、出席することになっております。従って定刻通り午前十時に委員会を開きたいと思いますから御承知を願いたいと思います。従って明日の日程は配布いたしました通りのものとなります。  次は十八日月曜日以後の日程は、前回の理事会において打ち合せした通りでございます。  なお、この日程には、昭和三十年度の決算総括質疑は入っておりませんが、適当の機会を見ましてぜひ三月中に行いたいと存じます。  以上、御報告申し上げましたが、理事会の申し合せ通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) では御異議ないと認めましてさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書  昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和三十年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算雷  昭和二十九年度政府関係機関決算書  昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書  を議題といたします。  本日は、昭和三十年度決算及び昭和二十九年度決算総括質疑を行います。  ただいま御出席の方は、岸総理大臣東谷会計検査院長の諸君であります。  岸総理大臣が大体二時まで御出席になっておりますので、まず、岸総理大臣に対する質疑をお願いいたします。
  5. 久保等

    久保等君 総理大臣にいろいろお尋ねをいたしたいことがあるのですが、当決算委員会はすでに二十九年年度の決算報告について審査を行なって参りまして、まあ大体この二十九年度決算報告についての最終結論を出す段階になっておるわけであります。さらにまた、三十年度の決算報告についての審査に入ろうといたしておるのですが、たまたま内閣も更迭せられまして、岸内閣の成立を見まして、私、総理大臣に御出席をいただいたこの機会に、特に当決算委員会として重要な二、三の問題についてぜひ一つ確かめておきたいと存ずるわけであります。  本日、非常に時間がないので、私思っておりますることを十分お尋ねすることができないと思うのですが、いずれきわめて近い機会にぜひ一つ総理に御出席を願って、三十年度の総括的な質疑の際に、さらに十分一つお尋ねをしたいと思っておりますから、まあそういう点で、本日はさしあたって、二十九年度の決算を上げなければならない立場にありまする当委員会としての、締めくくりをいたします観点からお尋ねを主としていたしたい。  非常に例年会計検査院での指摘せられまする不正不当事項が多いわけなんですが、二十九年度の場合について考えて見ましても、案件として実に二千二百四十六件となっております。金額にして七十三億程度不正不当事項指摘をせられておるわけなんです。さらにまた三十年度も出されておりまするが、これも金額において約七十億に近い金額であり、件数にしまして、やはりほぼ同じ程度の二千百八十五件の多きにわたっているわけなんです。  そこで私は決算委員会といたしましても、従来から具体的な問題についての事項指摘して、具体的ないろいろと改善策等についても当委員会としてはでき得る限り建設的な立場から批判をいたし、また、それに対する政府見解も尋ねていっているのですが、しかしここ私自身、数年間の決算報告を見て痛感されますることは、これらに対する非常に処分あるいは最終的な締めくくり、こういうものが、やはり結果から見まするとおろそかにせられているという感を非常に深くいたすわけなんです。ところで今度の内閣は、果してこの綱紀粛正吏道刷新ということをやはり強調せられているわけでありますが、岸総理臨時代理の当時におきましても、石橋内閣方針としても明確に宣明をせられておりまするし、その方針は、今日、岸内閣になって、総理大臣も引き続いて私は堅持せられておる方針だと思うのですが、一体この綱紀粛正あるいは吏道刷新という問題についていかなる具体的な、また、いかなる熱意を持っておられるのか、最初にまずその点を一つお尋ねをいたしたいと存じます。
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 綱紀粛正吏道刷新の問題につきましては、すでに施政方針等におきましてその所信を明らかにいたしておるのでありますが、これはいうまでもなく、一面においては、根本的に申しますというと、政治そのものが正しく、かつきれいな、国民の信頼するようなものにしなければならない。従って政府及び政治そのものについて、われわれが非常な反省を加えますと同時に、公務員につきましては、いろいろ公務員に関する法規、また会計に関する法規、その他これらが服務いたしまするについて定められている法規があるのであります。これを正しく解釈して、正しく執行することは、公務員の最も大事な職務でございます。しかるに今御指摘のありましたように、年々会計検査院報告に見まするというと、不当な支出や、あるいはこれに関係するいろんな問題がありますことは、私ども非常に遺憾でありますが、今申しましたような心がまえを持ちまして、この綱紀粛正吏道刷新には極力、力をいたさなければならぬと思っております。もちろん、これは口でそう申しましても、過去の実績に見ましても、なかなか現実にそれを具体的に表わして、そうして目に見えるような効果を上げるということは非常に困難な問題であります。従って困難であるからそれじゃ仕方ないのだというようなことを考えることは、もちろん許されないのでありまして、よほど政府におきましては強い決意と、また熱意を持ってこれを実現しなければならぬ。行政改革の問題にいたしましても、あるいは人事の問題にいたしましても、あらゆる面から信賞必罰の徹底を期するようにして、そうしていろんな点についての今、会計検査院のこの報告等に関しましては、十分にそれを検討し、反省をしまして、その事実に対する処置を誤まらない、今申した方針によってこれを貫いていくということが必要であります。私といたしましては、特に私自身が過去において官吏の経歴を持っておる者で。ございまして、従って一面官吏職務遂行等に関しましても、私自身の多少の経験をも生かして、そうして正しい公務執行をやりたい、こう考えております。
  7. 久保等

    久保等君 今の総理大臣の御答弁では、きわめてどうも内容がいかがなものであるか、理解できないのでありまするが、私は、新内閣として、綱紀粛正問題を一つとって考えてみても、何かやはり具体的なものをはっきりと今の内閣として御明示を願わなければ、これはとても総理の言われる程度言葉の表現では、私ども納得できないわけなのです。特に最近行われておりまする、たとえば責任者処分等の問題についても、これはきわめて遺憾に思っておるのですが、その問題については後ほどお伺いいたしたいと思います。  まず、一般施政方針演説の中で言われておりまする、行政監察を一段と強化したいということを、特に総理の口から、私、本会議場でお伺いしておるわけなのですが、一体どういうことを具体的にお考えになっておるのか。特に、当決算委員会は、若干衆議院の決算委員会運営と違いまして、行政監察そのものを当決算委員会で取り扱うことになっておるわけです。従って、決算についてはもちろんのこと、行政監察的な立場からも、十分に行政面を見て参ろうという立場でありまするだけに、私はただいま総理の言っておられまする行政監察の強化とは一体何を意味するものなのか。それから、私のお尋ねせんとするところは、綱紀粛正の問題なのですが、それに対しても、岸内閣として一体どういう方針を従来と違って特におやりになろうとしておるのか、その点をお尋ねしておるわけですが、もちろん鳩山内閣当時においても、現総理幹事長をやっておられて、党の責任者であられたわけですが、その当時のことは別といたしましても、今日の岸内閣は、一体どういうふうに国民に対して納得のいくような方針をお持ちなのか。これはぜひ一つ総理の口から明確にお答えを願いたいし、もしその点に対しての具体的な結論を持っていないとすれば、一体これからこうこうで努力したい、あるいは検討しようというようなことについても、一つもう少し率直な突っ込んだ見解を御表明願いたいと思うわけです。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これはいうまでもなく、行政監査の問題は、国会において決算委員会もその重要な職責を持っておられるわけでありまするし、また会計検査院、それから政府面においてもありまする行政管理庁の仕事、こういうもので、行政監査があらゆる面から行われておるわけでありますが、これを一そう徹底することはもちろん必要であります。また、私ども考えなければならないことは、未然に防ぐということが、その本来の目的でありまするけれども、しかしそういう事態が起りました場合が不幸にしてあった場合には、これに対して、やはり法によってそれを処罰して、将来を戒めるということをしなければならない。それにつきましては、今の刑法やあるいは諸種の刑罰規定等が不十分なものもあります。問題になっておる公務員の背任に対する問題であるとか、あるいは政治上のあっせん収賄罪の問題であるとか、こういうものは今検討中でありますが、十分に検討して、問題になっておるこれらの問題に関するやはり政治あり方、また公務員職務遂行あり方についての方向を明示するような、法制を整備する必要もあろうと思います。また、先ほども一言触れましたが、やはり終戦後非常に行政事務も多くなりまして、従って行政機構等も複雑になっております。これをできるだけ簡素にして、そうして責任の所在を明確ならしめる、こういうこともこれは必要であると思うわけです。そういう意味における行政機構改革等検討して作る必要がある、こう考えておりますが、この公務員の問題、行政上の問題につきましては、なかなか一つやり方でもって、これで一切のそういう禍根を断つというわけにはなかなか参りかねる問題であります。私は、こういう今申し上げたような各般の問題について、十分に一つ政府の意のあるところを国民納得せしめるという処置をとっていきたい、こう思っております。
  9. 久保等

    久保等君 今の総理の御答弁程度でもぴんとこないのですが、前の鳩山内閣当時、当初非常に国民が重大な関心を持ち、また非常に国民気持にもぴんときた問題は、例のマージャン、あるいは大臣公邸廃止等といったような、具体的な二、三の問題が組閣早々国民の前に公約といいますか、国民の前に発表せられたのですが、たったあの程度のことでも、国民としては非常にこれに対して大きな期待を寄せた。これは一体、今、国民がどういう気持にあるかということについて、あの問題ほど非常にわれわれの考えさせられたことはない。不幸にしてあの問題すらもきれいな形で結末がつけられなかったわけで、その点私ども遺憾に思っておるのですが、しかし、あの公約せられた当時の国民は、一般のわれわれの、決算報告等審査しております立場から考えますならば、まことに具体的な問題として、しかもその軽重の差からいえば、まことに、われわれが問題にしておる決算報告全体から見れば、きわめて個々の小さい問題であります。しかし非常に問題は具体性を持ち、きわめて的確な問題であっただけに、国民としては非常に大きな期待を寄せていたのです。私は今度の岸内閣が、少くとも国民に理解されるような、また国民に非常に了解が得られるような、何か具体的な問題をぜひ一つ明確に打ち出される必要があるのではないか。従って今言われておりますることも、抽象的な御答弁だとか、抽象的な問題ではなくて、具体性を持った形で綱紀粛正という問題が取り上げられなければならないと思う。総理が今御答弁になられておりまする、それならば原則論に立って具体的な問題が処理されておるかどうか、このことを私は、総理になられる前の問題は別にいたしまして、総理になられました今日において、総理の現に就任せられた後における問題の扱い方一つを見ても、非常に遺憾に思いますることは、つい最近私ども知らされた事実でありますけれども、かつてのあの造船疑獄当時に問題になったところの、運輸省官房長の問題の扱い方について、この問題も実は二月十日付で何か依願免官という措置がとられたそうでありますけれども、果してこういう扱い方が、私は国民納得をし得る処分方法であるかどうか、これは処分ではもちろんない、依願免という形ですから、一般の、本人の都合によって、病気等でやめたいという場合のやめ方と全く同じ方法で、あれだけ問題になった造船疑獄に関連する、しかも高級官僚である、特に運輸省の非常に重要なポストにいた壷井玄剛氏が問題でありますが、こういう扱い方自体、あるいはまた国鉄で最近問題になっておりまする例の用地の問題をめぐっての事件に関連する前事業課長の人が、ごく最近、これも二月の末ですか、二月の二十八日とかに、やはり依願免の形で処理をせられたとか聞くわけです。一体これはどういう方針岸内閣は……、先ほど総理の言われたように、一罰百戒だという立場からするならば、これらのごときは、とうてい私は納得できる問題ではないと思います。一体こういう問題等に対する扱い方が、私はきわめてこれは許しがたい措置だと思います。しかも、一般公務員そのものの処罰という問題と関連しての均衡論という立場から考えましても、非常に私は納得できないのは、休職期間を非常に長くして、一般下級職員公務員等が何か不正問題等を起した場合には、これは当然三年でも四年でも休職になるわけです。それで、その後何らかの結論が出た場合に、これに対して、最終的な懲戒免職なら懲戒免職という扱いがなされておるのです。従って、私は、そういう内部そのものにおいての扱い方としても、これは非常に不均衡であり、非常に納得のできないやり方である。そういう立場からも問題があります。同時に、ただいま私があげました一、二の例のごときは、これは非常に世人の注目を集めた大きな問題であります。非常に大きな政治問題化するほどの問題を起した人たちであります。しかし、もちろん、だからといって、私はそれによって最終的な結論をつけろ、最終的な厳罰主義を持てということは言いたくない。しかし少くとも、なぜそういう事態が明確になるまで待って何らかの措置をするというだけの方法がとれなかったのか、これらのごとき問題については、私はたまたま一、二の例をあげたのですが、また、最近行われておりまする防衛庁の問題についての三十年度決算に対する処分の問題についても、私はやはり同じようなことが言えると思います。それは、内容はすでに総理も御承知かと思いまするが、防衛庁の場合におきましては、これは例年非常に不正不当の事項の多いところでありますし、昭和三十年度の場合におきましても、まあ私の計算によりましても、不当事項として指摘せられておりまする金額は約四億三千万円程度になるわけであります。さらにまた、金額に見積り得ないもので、実は会計検査院から指摘されておりまする金額でもやはり約二億六千万円前後のものが会計検査院から指摘せられているわけです。これらの金額は、合して見ますると、とにかく七、八億といったような金額になるのですが、もちろん、これが不正不当事項の全貌ではないと思います。会計検査院の調査の能力にもおのずから限界がありまするから、ほんの一部にすぎないと思うのですが、しかし、ちょっと一つの例をあげても、それだけの不正とまではいかないにしても、九分九厘私は不当事項だと見たいのですが、とにかくそういう不当事項を犯しておりますが、それに対して、一体何人がどういう処分を受けたかということになりますと、はなはだ残念ながら、減給処分を受けた人がただ一人だけ、不正事件を起したのは、これは別です。二、三百万円程度不正事件があったとすれば、それに対する懲戒処分をなされておりますが、そういう不正事件は別として、不当事項にして金額にして約七、八億円になんなんとする不当事項を起した防衛庁は、三十年度の決算報告に対する処分減給者一名、それ以外はいわゆる戒告だとかあるいは訓告だとか、あるいはまた注意だとかいう程度になっております。行政処分といわれる処分戒告というのは、これは全く最下位の、処分といえば処分ですが、何も痛痒を感じない程度処分です。わずかに減給者一名、しかもそれが何かきわめて名目程度にすぎない減給者がわずかに一名という処分、これは、特に私は岸総理が、総理大臣に就任せられたごく最近の処分の結果であります。こうしてながめてみますと、一体総理先ほど言われた一罰百戒というような言葉は、どういうところから出て、具体的にはどういうふうになっておるかということについて、非常に私は大きな疑問を持つわけでありますし、そういったことを考えてみましても、私が今指摘しました二三の事項、あるいは二、三の関係各省の中における会計検査院から指摘せられた問題等に対する処理方法考えてみましても、果して総理一体どうお考えになるのか、それからまた、先ほど程度の御答弁で済まされるかどうか、ぜひ一つこれらの具体的な事項等をかみ合せて考えられて、総理はどういう御所信を持っておるのか、もしこれに対して総理があまり適当でないとお考えになるならば、どういうふうにこの問題を処理されようとするのか、これは、三十年度の決算報告については、私どもこれから審議を始めようとするような段階にあるわけですから、もちろん各省庁において最終的な全部の責任者処分というようなことについては、まだ私は終っておらないのではないかという気もするのですし、また、ごく最近終ったばかりの状態じゃないかと思いますし、事がきわめて最近の問題でもありますししますので、これに対する具体的な扱い方に対して総理のお考えがあるならばぜひお伺いしたい。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 官吏が何か不正な行為がございまして、刑事の訴追を受ける場合においては、もとの古い官吏法の上におきましては、私どもが役人をいたしておった当時は、全部それは当然休職になって、そうしん判決が下って、もしも無罪であるならば、復職をいたしますし、有罪の判決が確定すれば、その際に懲戒処分を行うという建前になっておりましたが、戦後の規定は、そういう何が改正されておるようでありまして、今お話のような扱いが行われておるのでありますが、私は、これについては、先だっても予算委員会で同じ問題を指摘されまして、当然もとの古い規定のようにするということをお約束するわけじゃありませんけれども扱いとして、今、久保さんの御指摘になりましたことは、私はきわめて妥当でない、こう考えます。これに対する各省扱い等につきましては、十分一つ検討をいたしまして、今申したように、依願免官等方法によって、起訴中の者がそれをやめて、あとで懲戒の余地がないというようなことがどんどん行われるということは、これは望ましくないと思いますから、これらについては、一つ最近の事情を十分に検討して、適切な処置考えてみたい、こう思っております。いろいろ会計検査院から指摘されましたそういうはっきりした不正事件として、刑事事件でない問題でありましても、その事実を検討いたしまして、過去におきましても、それぞれ行政上の処分を講じております。おりますが、しかし、いろいろな批評はありましょうが、そういうような場合に、事情を十分検討してみないと、直ちにこれを厳罰だけで臨むということが適当であるかどうかは、これはその事情によって裁量しなければならぬ問題もあると思います。しかし、いずれにしても、そういうものが全部抜けてしまって、締めくくりが一向なっておらぬじゃないかというような印象を与え、もしくはそれについて何らの反省が行われないような処分でありますならば、これを相当に厳格にして、十分将来を戒めるに足るような処分を講ずることは、私は当然であると思います。十分一つ御趣旨のような点につきまして、関係各省とも相談をし、検討をいたしまして、処置考えて参りたい、こう思います。
  11. 久保等

    久保等君 ただいまの問題についても、私はきわめて著しい見落すことのできない問題として指摘をいたしておるわけでありますが、総理は、予算委員会でも御答弁せられておりますが、法の建前が、戦時中までの建前と違ってきた、確かに字句の表現の仕方は違っておるわけでありますが、しかし、こういう場合に、あの法の精神なり、あの規定というものは、当然依願免にしてもいいのだという形に今の法の建前はなっておらないと思う。これは、今日の国家公務員法といえども、それからまた、これに関連する公社関係の法律にしても、そういう形にはなっておらない。要するに、これは休職にすることができるとなっておるから、休職にしなくてもいいかといった、そういう建前じゃなくて、これはあくまでも今言った、すべての場合に例外なく、必ず休職にしなければならぬということでも、これはいろいろ無理があると思います。しかし少くとも運用の面からいっても、常識からいっても、私は具体的に先ほど来出ておるような問題について、これを依願免にしてもいいのだという建前には、これは全然なっておらないと思う。私は、制度的にも非常に大きな欠陥ががあるからやむを得ないのだというふうな気持総理がもし御答弁をされているとするならば、これは法制局長官もおいでになられるから、私は長官にお伺いしてもいいと思うんですが、これは時間がないからまた後日に譲りますけれども、非常に私は法の建前なり、現行制度からいっても、こういう運営というものは、全くこれは法をそれこそ乱用しているというそしりを免れない。従ってそういう立場から、現にそういう運用がされておるとするならば、私は、総理の意図とも反するとするならば、これに対して明確な指示を与えるべきだし、そうして、現にこういう問題を行なった事実に対し、責任者そのものの責任問題を私どもは究明をしておかなければならぬじゃないか。これが末端の機関において、あるいはまた非常な辺陬の地において、たまたま上司の目の届かないところで比較的ルーズな扱いをされたというのであれば、これはまた大きな役所の機構ですからままあり得るかもしれませんが、先ほど来申し上げておるような問題は、いずれも非常に大きな問題である。従って最高責任者が少くとも私は直接これに対するやはり裁断を下された問題だと了承しておるわけです。そうだとすれば、私はそれらの処分に対する責任という問題が、こういう処分をされたことに対してやはり考えなければならぬ問題だと思う。それについて総理はどうお考えになりますか。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お話のように、これは問題自体がきわめて重要な意義を持っておるものでありますから、その直属長官は十分に責任を持ってそういう処置をしたものと考えます。従いまして、今日までのところにおきましては、私はそういう場合の扱いについてのはっきりした指示も与えておりませんけれども、私としては、先ほど申し上げたように、十分一つ検討して、その今後の方針をきめたい、こう思っております。
  13. 相澤重明

    ○相澤重明君 この際、総理にお伺いをしておきたいのですが、今の久保委員の発言にもありましたように、造船汚職の問題は非常に大きな国民の反撃をかったわけであります。その造船疑獄の問題について、去る二月の二十一日の衆議院の決算委員会において、これらの経過についての政府は説明を求められておるのでありますが、いまだにこれらの経過についてはっきりした結論を出しておらない。しかも外航船舶建造資金貸付利子補給については、あれほど世論が大きくなったにもかかわらず、飯野海運等の五社に対して百三十七億の莫大な利子補給をしておるということは、非常に私ども納得のいかない問題である。そういう問題をどうして政府は今まで処理をすることができないのか。しかもその中における一つの問題が、先ほど久保委員が言った壷井官房長の問題にも関連して参っておる。だからこれは、いわゆる政府がみずからの政策によって国民の目をおおわんとしておるのが、こういうふうな形に現われておるのじゃないかということが、私どもとしてはまず二十九年度の決算を上げるに当って総理からお聞きをしておかなければならぬのであります。いわゆる国鉄の運賃を値上げする、あるいはまたガソリン税の引き上げを行うというように、一般国民の方ではまた値上げをされるか、物価高になるかというのにもかかわらず、一面においてはたくさんの国家資金というものがそういうふうに流れておる。一体いまだその解決がつかないというのはどういうことなのか、こういう点を私は総理に明らかにしてもらわなければならぬ。もちろん、これは関係の中村法務大臣の答弁もあると思うのでありますが、本日は出席されておりませんが、少くとも二十九年度に行われたそうした問題が、いまだ二月の衆議院における二十一日の決算委員会においてその結果が明らかにされてないという、こういうちゃんと議事録が出ておる。そういうようなことで、あなたが言う吏道刷新の問題やあるいは綱紀粛正というもの、あるいはまた自民党の政策として国民に対する奉仕というものが行えるのかどうか、こういう点について私は第一にお聞きをしておきたい。  第二点といたしましては、これは本参議院の委員会においても当初議論された問題でありますが、国有財産が非常に乱脈に管理をされておる。こういうことは、いわゆる国有財産の中で徴収決定済額が六十九億七千余万円あった。しかしそのうちにいわゆる収納未納のものが約十七億円、しかしそれが政府もだいぶ努力をして、そのうちの一二%から八%まで減額されたということは、本決算委員会でも言われておる。いまだに収納未納が、二十九年度ですよ、収納未納がたくさんあるということが本決算委員会でも言われておる。しかし、それについては今後の問題として、国有財産審議会というのを作って、中央、地方ともにこれがいわゆる収納が早くできるように努力しておるということを言っておるけれども、たとえばあなたが御承知のように、戦時中から戦後を通じて国民が一番多くの疑惑を持った伏魔殿ともいわれる軍の払い下げ問題、いわゆる広島の呉市における非鉄金属の求償額の処理の問題についてはいまだに結論がついていないように思うけれども一体こういうような処置というものは、どのようにあなたはお考えになっておるか、国民は当時、やはり自民党の政府は何か幹部の方だけで国有財産というものをうまく処理をしちゃった。しかしだんだん処理ができない、処理ができないといって長年かかってしまえば、しまいには煙になってしまって、国民の実際の目の届かぬところで彼らだけがふところに入れてしまった、こういうようなことをいわれると思うのです。そういうことをいわれておっては、あなたが言うところの国民に対するところのいわゆるほんとうの政治的な暗い影をなくし、政治の貧困というものをなくしていくことには私はならぬと思う。そこでそういう国有財産の審議会というものが中央、地方に持たれておるけれども一体そういうものの処理がどういうふうに進んでおるか、あるいはまたそうしたいまだに民間会社の未収の問題があるけれども、あなたはそういうものを処理する根本的なお考えを持っておるか、こういう点を私はお尋ねをいたしておきたいと思います。  第三点といたしましては、三月八日の衆議院の決算委員会において、日本国有鉄道の固定財産管理運用に関する決議案が出ておるのでありますけれども、あなたは総理大臣として少くとも国有財産あるいは日本国有鉄道の固定財産管理運用に関する決議についてどのようにお考えになるか、これはやはり先ほど久保委員が申し上げましたように、官吏綱紀粛正という問題が、ともすれば末端の係員に責任を負わされてしまって、そして最も重要であるべき、しかもまた最も多くの利得を受けておるところの上層がそのままに放置をされる、こういうことについては、これは絶対にわれわれは許すことはできない。またあなたの百八意でもないと思う。従って衆議院の決算委員会におけるこれらの決議についてあなたはどのようにお考えになるか、以上の三点についてお答えを願いたいと思います。
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 一応私からお答えいたします。なお国有財産の問題につきましては、政府委員から補足説明を行うことにいたします。  第一の造船疑獄の問題の結末という問題は、これは私は裁判の問題がまだ何してないし、私ども最後の結末が得られないために、最後的な一切の始末がついておらぬという問題があろうかと思います。もちろん、われわれは、ああいう問題が早く結末がついて、そうしてこれに対する政府処置が明確にされることが必要だという御趣旨に対しましては、全然同感でありますが、そういう問題があろうと思います。  国有財産の管理処分の問題につきましては、従来からもいろいろ議論があるところであり、批判があると思うのであります。従いまして、これの改善をするために、今度の国会に法律改正案を提出することになっております。  それから御質問の最後の点につきましては、もちろんわれわれは、ああいう事件につきましては、責任の地位にある者の責任を明確にしなければならないということは言うを待ちませんから、下に重く上に軽いというようなことは、これは本末を転倒するものであり、むしろ逆に考えていかなきゃならぬ。これらに対する衆議院の決算委員会における決議につきましては、十分その趣旨を尊重して参るつもりでおります。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 国有財産管理につきまして、ただいま御質問につきまして総理からお話がございましたので、大体おわかりかと思うのでございますが、一言つけ加えさしていただきます。  国有財産の処分及び利用収入が非常に収納未済が多いという点につきましては、当委員会におきましてもたびたび御注意をいただきまして、私どももこれが改善につきましては、日夜努力をいたしております。御承知のように、昭和三十年度決算におきましては、会計検査院からの報告にもございますが、過去数年に比較いたしますと、若干改善の跡を見ておるのでございますが、私どもといたしましては、決してこれをもって満足はいたしておりません。さらに一そうの努力を払いまして、これが改善に努めたいと存じております。従いまして、御質問の中にもございました国有財産審議会につきましては、ただいま総理大臣からもお話がございましたように、当国会に国有財産法の改正法律案を提案いたしまして御審議をお願いすべく、目下政府部内におきまして準備を進めておりまして、これによりまして、国有財産審議会は法律上の委員会となりまして、ただいま御指摘のような管理、処分の面における重要な改善の措置につきましても、きわめて有意義な御意見あるいは御審議をいただくことと期待をいたしております。詳細は、なお後刻申し上げることにいたしまして、一言補足申し上げます。
  16. 久保等

    久保等君 実はきょう総理大臣には、外務大臣としていろいろ御答弁を願う日米合同委員会の問題がありますので、私の実は質問も中途半端のような形で打ち切らざるを得ないことを非常に残念に思うのですが、ただここでさらに総理に強く要望申し上げておきたいことは、決算委員会に対する総理を初めとする各大臣の出席の問題について、私は強くこれは総理に要望申し上げたいと思うのです。従来からの運営を見ておりましても、とかく予算委員会といいますると、これはとにかくお百度を踏んでも審議に御協力をされる政府が、事、決算の問題になりますと、非常にこれは出席が悪い。一年間を通じまして総理大臣出席するのは一、二回、私の記憶によりますると、二回出席せられた総理大臣がかってなかった、ここ数年間の経過を見ておりますると……。特にこれは、岸総理大臣は非常に精力的な総理でもありまするから、そういうことはないと存じまするが、ぜひ決算委員会におきまして、事の結末に対しても政府は、やはり私は、いい悪いは結果から見るのですから、いろいろあると思うのですが、責任を持ってやはり事に当るという気魄を示してもらいたいと思うのです。特に委員会のうち決算委員会の問題についても、これは特に予算委員会において熱意を注がれると同じように、決算委員会に対するわれわれの審議についても十分な一つ御協力を願いたいし、同時に私は各関係大臣にも、その点は一つ閣議その他の機会において十分に総理から御指示を願うような一つお取り計らいを願いたいと思うのです。本日のところもわずか一時間ということですが、これは一時間ではどうにもこうにも、決算報告書は、御承知のように三十年度一カ年の会計検査院報告は、カツオぶし式に日ぼしにしただけでもこれだけあるのです。書類においてとにかく何十貫目かあるわけです。とにかく大へんな内容を持った、決算委員会審議した結論の総括質問、あるいはその審議に入ろうとする総括質問において、わずか三十分や二十分ではどうにもならないと思う。本日のところはやむを得ない御事情もございましょうから、これは割愛をいたしますが、今日中ぜひ一つ予算委員会審議等ともにらみ合せまして、分科会になりました際に、ぜひ一つ総理にもう一ぺん御出席を願って、数時間の時間を当委員会に御割愛願いたいと思うのです。私はこれは個人の気持よりも、当決算委員会委員の強い要望だと思う。(「異議なし」と呼ぶ者あり)これは決算委員会として、ぜひそういうことをやらなければならぬと思います。先ほど申し上げたように、当委員会が行監関係の問題についてもこれを審査する立場でありますので、ぜひ一つその点についての総理の御活躍を願いたいと思うのです。  同時に、先ほどちょっと具体的に取り上げましたから、総理に対してきょうただいまにおける一つ結論的な答弁を願いたい点は、特に責任者に対する処分の問題について、総理としては、個々いろいろ具体的なことが、先ほど指摘しておりますような事項にかんがみ、何らかの指示をせられる御意図を持っているかどうか、これを先ほど来の私の質問に対する回答として、御答弁を願いたい。それから決算の重要性にかんがみ、決算委員会に対する協力を、一つ出席という点について総理一つ答弁をお伺いして、私はそれで質問を打ち切りまして、次に日米合同委員会の問題がありますから、そちらの方に譲りたいと思います。一つ簡潔に御答弁願いたい。
  17. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 決算委員会出席の問題につきましては、こちらの理事会あるいは国会対策委員会等におきまして、時間をお打ち合せを願いたいと思いますが、私は今お話になりましたように、幸いにほかに自慢するところはありませんが健康で、(笑声)努力は幾らでも惜しみませんから、できるだけ時間の許す限り私は出ることをお約束していいと思います。その具体的な時間につきましては、それぞれの機関で一つお打ち合せを願いたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)  それから責任者の、先ほどのもう一つの御質問でありますが、私は今おあげになりました具体的事実をさっそく調べまして、十分私の考えを指示するつもりでおります。
  18. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、それじゃ日米合同委員会の問題について御質疑を願います。
  19. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がございませんから、要点だけ御質問申し上げます。御答弁いただきたいと思います。  この前、衆議院の予算委員会で、岸総理行政協定、安保条約の改訂については今後調査したい、そうしてその悪い点を改めたいというような御答弁をなされたと思うのでありますが、どういう点について現在これは不当だとお考えになっておりますか。今、調査を特にしたいというふうに考えておられるというのはどういう点でございますか。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は安全保障条約や行政協定の問題に関して、いろいろな機会に御質問がありまして、これに答えて、私自身としては、今具体的にどこをどうするということは申し上げることは適当でないけれども、全面にわたって、制定された当時と今日の現状というものは相当違っているし、これらの、また国民の各方面のこれに対する批判なりあるいは国民的な気持の上から、これが改訂等についても意見がだんだん強く盛り上ってきているという事態を頭に置いて、そうして再検討をしてみたいということを申し上げているのであります。従いまして、今日具体的にどこをどうして、どの点がどうだということを、私が責任者としてこの席で申し上げることは適当でないと思います。
  21. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではお伺いいたしますが、行政協定並びにこれに伴う日米合同委員会は、正しく運営されているとお考えでございますか。
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは今日までの日米合同委員会運営をされてきました経過を見まして、私は必ずしもこれが全部望ましい姿とは考えないところもありますが、しかし大体において、これが今日までの運営というものが、大きな方針においては誤まっておらないだろう、こう思っております。
  23. 岩間正男

    ○岩間正男君 だいぶその点について具体的にお調べを願いたいと思うのでありますが、当委員会におきまして岸根の米軍宿舎建設の問題がございました。また昨日は運輸委員会におきまして、横浜の港湾の米軍貨の荷役の問題、こういう問題が起ったのであります。当委員会におきましても、岸根の問題につきましては、再三にわたって関係者の出席を求めまして、この問題を追及していったところが、日米合同委員会運営行政協定とも関連しまして、非常に不当な事実がここで明らかにされたと思うのであります。これは大体を申し上げますというと、米軍の宿舎を横浜の中心部から周辺部に移す、こういうことで、二十九年度の予算としまして約十三億ばかり組まれた。ところがあそこでは周辺の住民、農民を初め市民、労働者、青年、婦人という方が非常にこれに反対した。そのために実は工事が進捗しなかった。それにもかかわらず、もう予算が更改される年度末になりましたので、そこで前渡金として実は一億六千万円ばかりのものを渡した。これにつきましては、会計検査院としては、これは不当である、そういうような払い過ぎそれ自身が問題だ、こういう形なんです。しかもそれが半年間にわたって住民の反対もあって工事は打ち切られた。そうして実際始めたのは五月からという見当のやつが十月まで延びた。その間の、これは金の問題、それから処理の問題、その点が非常に問題になったわけであります。ところが、その中で問題になりましたのは、大体建設行政に携わっておる建設省を入れまして、施設特別委員会の中に建設部会というものが、分科会があるわけです。ところがこういう施設分科会というようなものは、ほとんど一回も、日米合同委員会の一分科会でありますが、持たれていない。そうして調達庁が米軍の要求によりまして、もうどんどん工事だけは建設省にさせ、全部の責任は建設省の方にまかしてくる、こういう実態が出てきたのであります。  さらに問題をもっと追及してみますと、驚きましたことには、それから建設は始められておるのです。ところが実際に入る予定になっておりましたところの、最初移る予定になっておりましたところのキャンプ・コウ、その他の四個所につきましては、現在建設の完遂をまじかに控えておるこの岸根の宿舎には移らないで、別なところに移っておる。こういう実態を調達庁の諸君さえ、現に調達庁の責任者をここに出席を求めまして聞いてみましたら知らなかった。それでは何のために多くの人の反対を無視して、そうして会計法的に見ますというと、会計検査院が不当だと指摘しなければならないような形で作っておったところの米軍の宿舎、それが最初の予定をまるで変更して、今後どう使うかということについてもわからない形で運営された。これは非常に私は日米合同委員会運営そのものの中に問題があり、調達庁の性格そのものがアメリカの言いなりほうだい、アメリカの御用機関となっておって、日本の国民のいろいろなそういうような要求や要望や、それに対する反対や、こういうものを無視しているという形で運営されている。これは重大な問題だ。  それからもう一つ申し上げますというと、横浜の港湾の問題でございますが、港湾の荷役につきましては、日本の国内法によりまして、港湾運送事業法によりまして、当然ちゃんと公示された公示料金によって米軍は業者を通じてこれを雇わなければならないということになっているわけです。ところが、これを全然今まで無視しまして、入札制度でどんどんどんどんとこれは買いたたかれていった。ですから国内法は完全にじゅうりんされてきたわけです。従って、これに対して当然労働者も反対する、業者も反対するという事態が起った。運輸委員会では昨年の十一月から努力しまして、そうしてそこで、あくまでもこれは日米合同委員会の問題であるから、日米合同委員会に持ち込むということで、外務省の方でもその後努力されて、合同委員会の特別委員会がそのために作られた。日本側四人、それからアメリカ側七人、これで構成されて、二月の八日から第一回を持つことになったのでありますが、全然これは持たれていない。第一回目の開会に当りまして、前の日に突然都合が悪いからといってこれをけっておる。第二回目になりますと、また同じように前の日にこれはだめだというのでけってきておる。第三回目もまた同じようにこれをけってきた。そうして最近になりましてようやく一回持たれたというのでありますが、ところがそれは何も港湾の問題を、荷役の問題をここでやるところの会ではないというので、これもまただめになってたな上げされたというような形、ところが一方におきましては、米軍は今度は方式を変えて、日本の調達庁を通じまして、県に指令を出し、県の労働課を通じまして、直用の人夫を四次にわたって募集する計画を立て、すでに二回は募集されているのであります。昨日もこれは問題になったのでありますけれども日米合同委員会は当然このような紛争を解決するために私は持たれているのだと思うのであります。そうして行政協定の十二条によりましても、当然米軍の調達のやり方が国内法をいろいろな意味で乱す、日本の経済にいろいろな影響を与えるときには、当局者と十分相談してやらなければならない。それについては、やはり当然これは合同委員会の問題になると思うのでありますが、その合同委員会が、実はこの行政協定によりますというと、一方から要求があれば即刻直ちに持たれなければならない。ところがこれが実際作られたのは、昨年の十一月から要求しておったのでありますが、これがそれから四カ月後の二月なんです。そうしてしかもその運営を見ますと、今申しましたようなやり方です。これは私は非常に行政協定がじゅうりんされているのではないかと私は一つ思います。  第二は、行政協定の十二条によりまして、このような日本の国内法をじゅうりんするようなやり方で直用の方式を、日米合同委員会を作って、そこで両者が会議を持つことになっておりながら、これを無視して、陰の方では勝手なことをやっておる。こういうことになりますと、日米合同委員会そのものは行政協定をさえじゅうりんしているという結果になっているということを、私は指摘せざるを得ないわけであります。こういう形で運営されているところに、日本の政治の暗黒面というものが依然としてある。こういう点から当委員会としましても、この前、どうしてもこの日米合同委員会の問題につきまして、最高責任者岸総理に対しまして、この点を明らかにしていただくということになったわけであります。で、私はお聞きしたいのでありますが、こういうような合同委員会運営は、私たちが長い時間を費しまして、当委員会並びに運輸委員会等ではっきり明らかにした事実でございます。これは速記録をあとでお読みいただけば明らかでございます。この運営に対して、岸総理はどうお考えになるか、この点をお伺いしたい。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今おあげになりました具体的な事実につきましては、私ははなはだ何でありますが、内容を正確に詳細にまだ承知いたしておりません。しかし、日米合同委員会というものは、行政協定に基いて作られておるものでありまして、従いましてその運営というものは、あくまでも法律に論拠をおいて正しく運営されなければならないということは言うを待ちません。もしも今お話のような事実になっておりましたとすると、それは合同委員会の望ましい運用の姿とは私は考えられません。従いまして、あくまでも日米合同委員会運営は、将来法規に基いて正しく公正に行われなければならない、またそういうふうにするように私は努力をしていきたいと、こう思っております。
  25. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず第一に二十六条によりますというと、合同委員会は、一方から要求があれば、即刻直ちに行われなければならない、それが四カ月も遷延されたことについてはどうお考えになりますか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今申し上げましたように、それは正しい法に従っての運営ではないと思います。
  27. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから十六条には、米軍は日本の国内法を尊重しなければならないと、はっきり明記いたしておる。しかるに、先ほども申しましたように、港湾運送事業法によりますと、これは労働者を保護する立場からの保護立法だと思いますが、公示料金によってやらなければならない、明確にいたしておる。これは全部今までじゅうりんされて参りました。しかも今度は方式を変えて直用というようなやり方で、日米合同委員会を全然無視して、国内法が侵犯された形でやられているのでありますが、この点について総理はどうお考えになりますか。(相澤重明君「大体外務省はけしからぬ、ちっとも大臣に報告していないじゃないか、何をやっているのだ」と述ぶ)
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ちょっと今の御質問の点は、港湾法や、その他の現実にありましたこと等について、今、岩間君の御質問の何と、事務当局の方から事情を聞きますと、ちょっと少し食い違いがあるようでありまして、事務当局から、一応われわれの方の事務的な考え方を述べさせたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは昨日、実は合同委員会の主席の千葉欧米局長の出席を求めまして、この点はもうここにも運輸委員会出席の同僚諸君が五、六人おるのでありますけれども、ほとんどこれは明らかになったと思いますが、時間の関係でどうでございますか、委員長つまり説明員の説明を聞いておると……。
  30. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  31. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 おそらくこういう問題だろうと思います。あなたが説明するのは、十二条の第四項という問題を出しているのですが、十二条の第四項では、労務の調達があるときには、日本政府の関係者の協力を得てやらなければならない、手続規定なんです。そして一項、二項、三項、四項とあるが四項は全部総括的にこれは読まなくちゃならない、法文の解釈そのものにおいて、昨日ほとんど結論が出たと思いますけれども、これは全くでたらめ、労務を提供する労務の内容そのものがはっきり問題になってくる。その労務というものは、あくまでもこれは日本の港湾運送法によらなければいけないという建前になっているのは明らかだと思います。こういう点が非常に侵犯されている。昨日の千葉欧米局長の答弁によりましても、これは速記録をお読みいただけばわかりますが、前言とこの次の答弁がまるで三回も四回もひっくり返ったのは事実であります。先ほどの御答弁をお取り消しにならなければこの言葉は成り立たない、この言葉をお取り消しにならなければ先のが成り立たない、どうだというふうに追い詰めますというと、どうもその点ははっきりしなかったわけだ、そういうような形でこれはやられている。しかもこれは単に法規の解釈だけじゃなくて、事実これが多くの何千人の横浜の労働者の低賃金を招来する原因になっているものであるために、あそこの労働者たちが、自分の生活保護の立場から、昨年は非常に長い間の戦いをした、さらにまた、これに対して現在の直用のやり方に対しては非常に不満を持って反対を表明している、こういう事態が起っているのですが、私は日本の国の経営におきまして、独立というようなことを言われておって、しかもこの行政協定が作られた、これは私たち反対でありました。しかしとにかくこれは作られた。国会にもかけられないで行政協定が行われた。少くも行政協定のこの条文は守られなければならないというふうに考えるのですが、この点で明らかな侵犯があります。国内法は無視されていることはこれは明らかなんです。そういう点につきまして、たとえば調達庁の諸君の説明を聞いてみますというと、米軍から請われたものはもちろん提供しなければならないということを言っている。こういうことになりますと、これは何ということになるのです。こういう点についてこれは総理はどうお考えになりますか。
  33. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど来申し上げております通り、私はやはり合同委員会運営というものは、あくまでも法規に従って正しく運営されなければならぬと思います。今の御指摘の事実につきましては、私なおよく実際の事実を私自身検討いたしまして、また事務当局がどういう考えを持っておるかもよく何しました上で御返事したいと思います。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題を明らかにしようと思いましてずっと進めて参りますと、政府間の各機関が非常に意見が不一致だということが明らかになりまして、運輸省は、これは運輸大臣にお聞きいただけばわかりますけれども、あくまでも国内法を守る建前から、やはり日米合同委員会に持ち込んでそれをやめさせる方向に努力させていった。しかし、なかなか外務省が、一つは合同委員会に持ち込むことをこれは実は怠っていた。もう一つは、調達庁はまるでそういうような運輸省やり方を陰から引っくり返すような実際におきましていろいろな指令を出しまして、横浜の県を通して労務を調達する、この直用の何をするような指示をしておる。こういうようなことも明らかになりました。そうしますと、これは非常に不統一であり、しかも日米合同委員会運営というものは、そういうあまり責任のないような方たちによって運営されていくというようなことでは、これは非常に私は重大な問題じゃないかと思うのです。従って最高責任者として、当然この問題は、日本の独立の問題並びに国内のいろいろな政治との関連におきまして、ただ単にこれは運輸とか……、この当決算委員会において問題になったのは、全くこれは氷山の一角だと思う。あらゆる面でこういう問題がやはり発生している。砂川のあの基地の問題とか、そういう問題になりますと、もっともっと出てくると思うのです。こういう点についてもっと政府の意見を統一して、はっきり行政協定を侵犯しているやり方に対しては、もっと厳然たる態度をおとりになるべきじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますけれども、これは総理のご意見はいかがでございますか。
  35. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 合同委員会の問題につきましては、外務大臣の所管の問題でございまして、従いまして、その運営が、先ほど来論議されておりますように、あくまでも行政協定やその他の法規に従ってこれを正しく運営するということは、私の責任であると思います。従いまして、十分御指摘の点につきましては、私具体的になお内容検討いたして、正しい運営の方向に持っていくようにいたしたいと、かように考えます。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 とりあえず、日本の体面の立たない問題が一つあります。それは、合同委員会を作って、せっかく特別委員会で相談するという場を作っておきながら、完全にこれが無視されて、ほっぽらかされて、一方においてどんどんどんどんとこの直用をやっているという事実があるのです。私は少くとも、これは最低線におきまして、この合同委員会でその問題がはっきり結論が打ち出されるまでは、やはりそのような米軍の横紙破りは一時やめるべきであるということは、少くとも今政府がこれに対してはっきり意思表示をされるべきことであると考えますが、いかがでございましょうか。
  37. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今の御質問は、抽象的な一つの原則の何としての御質問のように思いますが、私はやはり具体的にこの事実をあげて運営の正当化というものを期していかなければならぬと思います。で、今おあげになりましたような、何かそれを無視してこれを、合同委員会というものの機能を無視したようなやり方を何か米軍の方でやるという場合におきましては、それはもちろん、そういうことのないように、合同委員会が置かれた本来の趣旨に従って、合同委員会が十分機能を発揮するように持っていくことは、これは当然であろうと思います。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 決して抽象論じゃないのです。ここに具体的な事実がございますが、時間の関係からあまりくどく申し上げませんけれども、三十一年の十二月一日に、外務省から日米合同委員会にこの問題の検討を申し入れた。その次には、十二月十九日に、運輸省から外務省へ促進方を依頼した。そこでさすがの外務省もこれはやらざるを得なくなって、外務省から日米合同委員会にこの問題の特別委員会を作って検討するように提案した。そうしてこれに対して三十二年の一月二十三日に、アメリカ側が承知したということを通告してきました。それから一月二十四日の百五十四回の日米合同委員会でこのことを確認したということをいっているわけです。そうして日本側から四人、米国側から七人の委員を出しまして、この問題に関する特別委員会を構成したわけであります。第一回の会合が二月八日に持たれることになって、ところが前日になって、どうしたわけか、突然延期を申し入れられた。第二回が二月の十二日に持たれることになったのであります。ところが前日になって突然延期を申し入れられた。第三回が二月の十九日に持たれることになったところが、これがまた前日になって突然どうしたことか延期を申し入れられた。そうして二月二十七日に市ヶ谷司令部でこれは持ったそうです。これは第一回の会合になるのですが、実際は四回にもなった。そこで討議が始まったところが、こういう問題はここでやるのではないということでぱっとやられた、こういう事態が具体的にあるのでございます。決して私は抽象的なことを申し上げておるのじゃなくて、そうして一方におきましては、米軍の要求によりまして、どんどんと米軍の直用が始まっているのであります。二月二十五日に二十名を雇ってくれ、三月八日に百二名を雇ってくれ、三月二十四日に百二十四名、四月八日は百四十名、少くとも三百八十六名ですか、これは雇ってもらいたいということで、明確な通知が来ておるのであります。こういうことになりますと、これは日米合同委員会というのは架空のものになる。作ってはおくけれども、実際は何もそこで相談もできないし、それからこちらの委員の方も、局長が一人入っておりますが、課長とかそういう人たちなんで、これは腹はあるでしょうが、腹を表現できないというような格好になっておるのであります。そういうような格好で、向うのは相当な者が出ております。そういう形で、実に権威のない格好なんだ。こういうことで運営されるとしますと、そこで問題をきめるという形で作られた日米合同委員会は、全然たな上げされて、向うの方でどんどんこれを進めていき、調達庁がこれに対して、やはり、意思はいざ知らず、これに対して援助した格好になって、指令を出したりしておるのです。こうなりますと、日本の政府機関というものは、この点不統一きわまる。それから第二には、日米合同委員会というのは、行政協定さえも守ることができない、こういう格好で運用されている日本の国政の実態というものは、こういう形でもし進められていくとすれば、これは重大な問題じゃないか、これは一国の体面に関する問題であります。私は、ですから、こういう問題は、少くとも合同委員会でやれ、それで結論を得るまでは、一方的の直用はたな上げする、はっきりこれは日本政府としては最低の意思表示をすべきだ、もしそれで国内法が守れないことになりますならば、二十六条の規定にまりまして、当然これは政府間に差し戻して、両国の政府間の外交折衝によって決定されなければならない条項でございますから、そこに私はいくべきじゃないか。これは当然行政協定を、私は反対でありますが、守る範囲内において、だれでも最低そこにやらなくちゃならないのじゃないだろうか、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  39. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 岩間君のあげられました具体的事件につきましては、先ほど申し上げておるように、よく私自身がまだ内容承知いたしておりませんから、責任を持って検討いたして、これについての事情を私自身として明確に理解した上において、この合同委員会が、先ほどから申し上げておるように、正しい運営がされるように、責任者としてはこれを持っていくということを申し上げます。
  40. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連質問。時間がないようですから、私は演説はやりません。それでは端的にお伺いいたしますから、明確にお答え願いたいのですが、それは対米関係の問題について今、岩間君からいろいろ御指摘がありましたが、実際問題として、岸総理は、対米協力関係ということを言っておられるのですが、その実態は、一対一ではない、従属関係のような状態が方々に起っておる。しかもこれがために、日本人の生命財産というものが間接的に直接的に脅かされておる。たとえば、今まで問題になりましたところの相馬ヶ原事件でもそうであります。あるいは砂川の問題でもそうであります。ところが間接に駐日米兵によって日本の国民の生命財産が脅かれておる。たとえばその一つをお伺いするのですが、最近日本の国の治安というものが、いわゆるピストルでもって、拳銃でもって生命財産を奪う、こういうようなことが非常に横行しておって、国民に不安の念を与えておる。ところが拳銃の出どころというものが、アメリカの兵隊さんからどんどん出てきておる。しかもこれがたくさん市場に流れて、拳銃のやみ値段というものがずっと下っておる。二千円、三千円出せば買えるようになっておる。これに対しまして政府当局は、アメリカ当局に協力をお願いをするというようなことが新聞に出ておりました。こういうような問題は、あるいは法的解釈云々ということは別にしまして、これは人道問題であり、外交問題であると思う。こういうものに対しまして、政府はいわゆる協力をお願いするというのじゃなくて、もっと根本的にきぜんたる態度をもってこの問題の処理に当られなければならぬと思う。今、国民は、このために非常に不安を覚えておりまするが、この真相と、それに対する政府方針というものに対しまして、この委員会を通じて明確に一つ表示をお願いしたいと思います。
  41. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 拳銃等の所持またはこれの使用につきましては、もちろん法規によってこれを取り締らなければならぬ、また取り締るようになっております。そうして最近の事例である、いろいろこれが人命に危害を及ぼしておるというようなものの場合におきまして、その凶器に使われた場合においては、その出所等をもちろん突き詰めて、将来のこれの取り締りに資していることは当然でありますが、今お話のように、米軍のもちろん正式の機関で出されるものじゃない。これはいろいろなこれまたやみ的に向うから入手する事例が多いのだろうと思うのであります。従いまして、それに関する将来の根をとめるということは、当然取り締らなければならないことでありますから、それに対する処置を講ずるのも当然であろうと思います。新聞にどういうことが出ておったか知りませんけれども、別にお願いをするという性質のものじゃなしに、明確になれば、その明確な根をとめるように、それに対してはアメリカの方も当然協力をし、またアメリカの方としても、それは不正にそういうものを流させるようなことにはなっていないと思うのです。従ってそれをアメリカ側も取り締ることに協力をしてもらうということは当然であろうと思います。
  42. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の言っておるのは、アメリカの正式機関から流れれば、当然表面に立った問題になるわけであります。ところがそうじゃなくて、アメリカの兵隊のやみと申しますか、兵隊から流れてくる、どんどん、どんどん流れてくる。しかもこれはいわゆるパンパンを買ったとか何とかいうやつなら被害が少いかもしれないが、これは間接殺人です。これは数十丁流れておる。あるいはもっと多いかもしれません。こういうものを政府当局がどういう実態になっておるか知らない、これでは国民は不安でたまらないわけなんであります。でありますから、私の聞いておるのは、そういう公式じゃなくて、非公式にどんどん流れてくる。そういうのが間接的に日本の国民の生命財産を脅かしておる、こういう事実に対して、あなたは対米関係をどう処理をなさるつもりか、善処をなさるにしても、具体的にどうするつもりか、その腹を聞かしてもらいたい。
  43. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、根本の考えでありますが、日米協力ということを非常に強く主張しております。しかし、それは決して、占領時代から一つの今日までややともすると惰性的にありましたところの日米の関係を、そのままに是認しようということではないのであります。あくまでも独立の完成、自主的な立場から日米関係の調整ということを私は考えておるわけであります。従いまして、今御指摘のような事実がありますならば、これは日本の社会を防衛する意味から、われわれは当然その出所を確かめて、そういうことが行われないように考えることは、これは当然であろうと思う。それが相手が、米軍からそういう事実がはっきり出たならば、アメリカに対して、今、日本の社会の安全をわれわれは確保する意味において、当然これを要求し、協力をさせるということも当然でありますし、またアメリカ側としても、私は当然それはやるべきことであろうと、こう思うのであります。
  44. 大倉精一

    ○大倉精一君 もう一点だけお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど日米合同委員会のお話が出ましたが、いわゆる占領時代の遺物であるところの覚書――メモランダムというのは、やはりいまだに行われておる。たとえば今、港湾関係の問題についてもそうであります。ところが、向うのメモランダムというものに対しまして、先方の解釈とこちらの解釈とが必ずしも一致してない。そして、そのメモランダムというものが、これは一片の紙片にすぎないのでありまして、これはもうじゅうりんされておる。たとえば一例を申しますと、米軍が行うところのたとえば輸送業務とか、そういうものは、日本の法律にもありますから、いわゆる免許を持った業者でなければいけないという法律があるからそれにやらせると、こういう覚書がある。ところが現実にどうかというと、免許業者でない、免許を持ってない者でも現に仕事を横浜においてやっておる。これをだんだんただしてみると、基地内においては日本の法律のワク外である、ワク内であると、こういうまちまちの解釈が行われておって、このメモランダムが何の権威もない。でありますから、私は端的に伺いたいのは、もう占領時代の遺物であるこういうものはやめて、必要ならば協定書を取りかわす、こういう工合にすべきじゃないかと思うんですが、御所信を承わっておきたいと思います。
  45. 岸信介

    国務大臣岸信介君) なるべく私は、先ほども申しましたように、占領時代の惰性をそのまま認めていくというようなことでなしに、日本の独立完成、自主的な立場から日米関係というものを新しい基盤に置いて協力関係をしていく、それには今お話のような事態は、これはなるべく明確にすることが、むしろ明朗な関係ができるわけですから、そういうような何に対しましては全面的に一つ検討して、明朗な形に持っていきたい、こう思います。
  46. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して最後にお聞きしたいのでありますが、安保条約、行政協定の改廃について検討するというお話でありましたけれども、これは具体的に政府としてはどういう方策をお持ちでありますか、どういう具体的に組織を作り、そうして検討するのでありますか、その腹案についてお聞きしたいと思います。
  47. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は今どういう組織でこれを検討するというふうには考えておりません。外務大臣として私の責任において検討し、日米関係の再調整をいたしたい、かように考えております。
  48. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  49. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  以上をもって昭和三十年度及び二十九年度決算についての総理外務大臣に対する本日の総括質疑を終ります。  速記をとめて。    午後二時四十五分速記中止    ―――――・―――――    午後三時七分速記開始
  50. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  では次に、昭和二十九年度決算のうち、大蔵省関係について質疑を行います。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵政務次官にお伺いしたいと思うのですが、税の増収について非常に努力をされておると思うのですが、いまだ未納のものが非常に多いように思われるのですが、その後努力をされた結果、どのようになっておるか、まず第一に御報告願いたいと思います。
  52. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 相澤委員お尋ねでございますが、ただいま数学的な資料を手元に持ち合しておりませんので、具体的な御答弁ができませんから、直ちに取り寄せましてお答えをいたしたいと思いますので、暫時御猶予を願いたいと思います。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは今の次官の御説明については了承いたしますが、次に基本的な問題になるかと思いますが、特に決算委員会としてやはり納税の問題については非常に関心を持っているわけでありますが、税収の場合に納税組合を一般的に作って、そうして完納の考え方を奨励をすることもできると思うのでありますが、納税組合の育成についてどういうふうにお考えになっておるか、この機会に御意思を発表していただきたいと、こういうふうに思うのです。
  54. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 納税組合につきましては、申すまでもなく、納税者の納めやすいように、なるべく余裕のあるときにこれを用意させるという意味からいたしまして、この組合の普及に努めておるわけでございます。具体的な内容等につきましては、後刻事務局からその御必要によりまして御説明を申し上げさせたいと思います。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは納税組合の育成、助成というものについては、これは国民全体の非常に関心を持っておる問題でありますから、大蔵省としても、適切な指導助成というものを確立するように、後刻もし考えがあったらば当委員会に出していただきたい。  次にお尋ねをいたしたいのは、日本開発銀行の福岡支店における取扱いの問題でありますが、本委員会においても検査院並びに関係者から御報告があったわけですが、その当時のいわゆる振興飛島鉱業株式会社といわゆる振興鉱業開発株式会社の連帯責任における貸付の未収が非常に多い、しかしこれについては、大蔵省としては関係方面を督励して努力をされるということが言われておったと思うのでありますが、その後この貸付の回収というものはどういうふうになっておるか、こういう点についてお尋ねをいたしたいと思うのです。
  56. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) お尋ねの点につきましては、その後回収に努力いたしまして、ある程度成績をおさめておりますが、その結末等につきましては、まことにどうも不用意で申しわけございませんが、今手元に資料を持っておりません。さっそく事務当局を呼びまして御答弁に当らせたいと思います。
  57. 相澤重明

    ○相澤重明君 関係者が、国税庁関係、あるいは管財局関係の問題についても、私は十分な資料が提出されるものと思うのですが、衆議院においては、よくこの点は具体的に事例をあげられて実は報告をされておるわけなのです。しかしどうも参議院に来ると、割合に資料がいつでもおくれがちになる。こういう点が、私ども決算委員会として、どうも衆議院だけが優先をされるように考えられるので、そういう点について当局側の態度を一つ伺っておきたい。
  58. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま相澤委員から管財局というお話がございましたが、管財局長は先ほどからお待ちしておりますので、どういう御質問でもお答えいたしますから、どうぞ。
  59. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと相澤君に申し上げますが、きょうは管財局関係のい特に日本銀行の住宅の問題について質問が残っているから、それをやろうということであったのです。従って、政府委員もその方面の人しか呼んでおりませんから、どうぞそのつもりで御質問をお願いいたします。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、私の申し上げるのは、これは特に、住宅問題に入るわけなんですが、その前に、この決算委員会の中で、先ほど申し上げたように、全般的なものについて、終る前に一度確認しておかなければならぬ、こういう趣旨で、大蔵省の問題についてまだ最終的な報告がないので、そういうものを受けておきたい、そうして具体的に住宅関係の問題に入っていく、こういうふうに考えたので、実は御質問をいたしたわけなのです。ですから、それらについては、あとでまた資料を一つ御提出を題って、そうして審議をいたしたい、こういうふうに考えております。  そこで大蔵省の管財局関係の問題ですが、この前の決算委員会において御報告になった国有財産の処分収入及び利用収入の面のいわゆる未納、この額がまだ非常に多いということを本委員会で述べられておったのですが、管財局がその後――先ほどもちょっと総理への御質問の中で申し上げましたが、国有財産審議会というものを中央、地方に持って、できるだけそういうものを早く回収をする、こういうふうに言われておったのでありますが、その後の経過は書類で提出をしていただけるかどうか、この点を一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  61. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 資料の御要求でございますれば、もちろん提出をいたします。管財局長は出席をいたしておりますから、口頭でここで概略の御答弁を申し上げてよろしければ、管財局長から御答弁をいたさせます。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは簡単に、そうしてあとはなるべく資料でわかりよく一つ提出をしていただきたいと思います。
  63. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは簡単に御説明申し上げます。先ほど総理大臣にも相澤委員から同趣旨の御質問がございまして、お答えを申し上げたのでございますが、ただいま問題になっております二十九年度の収入、これまた先ほど申し上げましたように、いまだ満足すべき状態とは申し上げませんが、とにかくここ数年逐次改善を見ております。特に三十年度におきましては相当の向上を示しておりますので、これは数字は資料によってお答えを申し上げたいと思います。  次に、国有財産審議会との関係で、どういう具体的な改善措置を講じておるかという点につきまして、一言補足をさせていただきたいのでございますが、私ども今までこの国有財産の処分をいわば役所側だけの判断でやって参っておったということを率直に反省をいたしまして、昨年の四月に閣議決定によりまして、国有財産審議会を中央と地方にお作りを願ったのであります。で、これによりまして、役人の調査ではなかなか気のつかないような点、特に払い下げをいたします場合の相手方の事業なりあるいは資力なり、その他の点につきまして、民間の方々から非常に有益な御意見を実はいただいておりまして、これが私どもといたしましては、国有財産の管理処分上裨益するところがきわめて大きかったというふうに確信をいたしております。  つきまして、今御指摘の未収債権の問題でございますが、これにつきましても、中央審議会におきまして、非常に有益な勧告と申しますか、答申が出されておるのでございまして、その要点を申し上げますと、その貸付あるいは売り払いに当りましては、相手方の資力、信用というものについて、せっかく大蔵省というところは、先ほども御質問のございました納税の関係、あるいは銀行の融資の関係等、非常に広範な情報といいますか、資料と申しますか、そういうものがあるのでございますから、管財行政という部面にきょくせきすることなく、ただいま申し上げたような各方面からの資料を検討いたしまして、そうして相手方の資力、信用等を十分に把握すべきである。また事業の選定に当りましては、だんだんと経済の正常化に伴いまして、いわゆる経済計画、あるいは経済再建計画というふうなものとの関連におきまして、産業の優先順位というふうなものについて、広い視野から総合的な見地で選択をすべきである。さらにまた、こまかい点になりますが、この処分と自後の徴収の面とが従来とかく連係が不十分のように思うから、いわゆる連絡箋というふうなものを活用いたしまして、管財の内部におきましても、相手方が従来どういうふうな事績をあげておるかということを、たとえば納税の面から、また銀行等への資金の返済等につきましても、十分情報、資料を集めまして、これを処分課の方に事前に連絡をいたしまして、いやしくも信用上いかがわしいような方には新しい処分あるいは貸付ということを行なってはいけない。これらの点につきましては、当然役人としても心得ておくべきことでございますが、これを審議会等におきまして、実際の体験等に基くお話を伺いますと、非常にわれわれとしては得るところが多いのでございます。かような見地から、時間の関係もございますので端折りますが、私どもといたしましては、ぜひとも今後、今申し上げましたようないろいろな工夫をこらすことによりまして、まず財産の処分を適正化する。この処分の適正化によりまして、いわば本源にさかのぼりまして、未収債権の絶無を期して参る。こういうふうな見地から今、立案を進め、すでにその相当部分は実施に移しておるわけでございます。これがやがては三十一年度あるいは三十二年度というふうに、決算上好成績を上げて参りますことを、私どもは固く信じておりますような次第でございます。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは管財局長になおお尋ねをしたいのですが、これは二十四国会、二十五国会でも、問題になって、会計検査院の方からも御意見が出ておると思うのですが、一つの例として、広島県の呉市に行われた……旧豊川海軍工廠の跡を自衛隊にお貸ししたのが、その際にそこで鈴木電機株式会社というのですか、ここのいわゆる使用料やあるいは弁償金の問題が当時議論されておったのですが、いまだに解決がついておらないように聞いておるのですが、それは具体的にどうなっておるのか、一つ御説明を願いたい。
  65. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 豊川海軍工廠はたしか東海財務局の管内と思いますが、その通りでございましょうか……。東海財務局管内に豊川海軍工廠というのがございまして、ここにたしか電線その他の売り払いの関係がございます。検査院から御指摘があったような事案につきましては、最近の事例を、私どもの方といたしましては大体全部徴収済というふうに考えておりますが、お話が呉ということでございますので、その具体的事案をちょっと正確にお教え願いまして、すぐここでお答えをいたしたいと思います。呉でございましょうか、それとも豊川、いわゆる東海財務局の名古屋の管内でございましょうか、どちらでございましょうか。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは二十四国会、二十五国会から本委員会においても当初指摘をされた事項だと思うのですが、委員会の日時を、いつだったですかね、ちょっとまだ……、そのときの状況で、これは広島県呉市に対する非鉄金属の求償額の処理についてということで論議があったと思うのです。それの問題が、いわゆる国有財産がいつまでも放任されておる、処理がされておらなかった、こういうように本委員会においても議論されておったと思うのですが、私今、いつの日だったかちょっと忘れましたが、これは二十五国会でもたしか論議されたと思うのですが、それについてまだ最終……これは二十五国会ですね、二十五国会の、昨年の、三十一年十一月二十七日の本委員会においてもこれは論議をされておるけですね。これは三浦委員長のときにされておる問題でありますが、これについて処理がまだ不十分のように思うのですが、今、管財局長の言われるのは、すでに会計検査院の出された七十四号ですか、七十四号に対する問題ですね。これについてのお答えを願いたいと思います。
  67. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) わかりました。申し上げます。昭和二十五年に旧豊川海軍工廠に自衛隊が駐屯することになりまして、同地区格納の賠償指定機械を緊急配置するよう当時の軍政部から指令が出ました。この際、軍政部の係官を通じまして、鈴木電機株式会社に一時使用の認可を与えるようにというふうなことで使用さしておった次第であります。これが昭和二十八年になりまして、貸付料を相手方に通知をいたしたわけであります。処分を怠慢に付しておったわけではございませんが、通知いたしましたところ、相手方は現に今のようないきさつで使用しておった。非常に相手は有利な立場にあったわけであります。そこで交渉いたしましたが、使用料が高過ぎる、それから機械のうち、四台は非常に機能が悪くて使いものにならないというふうな、いわばクレームをつけたわけでございます。そこでさっそく私どもの方でそのクレームのつきました機械につきまして調査いたしましたが、まあこれは現実に使用しておらないということが認められました。そこでこれにつきましては返還を勧告したような次第でございます。  それからその他の機械につきましては、さっそく使用料をきめまして、昭和三十一年、昨年の二月二十三日に市の弁償金という形におきまして徴収決定の行政処分は了したわけであります。そうして収納につきまして厳重な督促をいたしておるのでありますが、遺憾ながら今日までまだ実は納入になっておりませんが、私の方としての措置を完了いたしましたので、この上はやむを得ませんから、強硬処分をいたすことにいたしまして、ただいま訴訟の提起の手続を進めております。  以上、お答え申し上げます。
  68. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほど私の質問の中で二つのことを一つに言ったと思いますから、今の後段の方の豊川の方はわかりました。  それで前の、広島の件、呉市における問題の会計検査院からの指摘された事項についてはその後どうでしょうか。質問が二つだったのですね。
  69. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) わかりました。たしか「楢」「谷風」という二つの軍艦の問題、これはたしか当委員会からもどなたかの先生においでいただきまして、現地でお調べをいただいたと思うのであります。これは結論的に申し上げますと、呉市という公共団体を非常に私どもは信用いたしまして、呉市に一切を処理させるようにいたしておりましたところ、御案内のように犯罪事件が起りまして、そこから非鉄金属というふうなものがなおあった。これは当然善意の公共団体でございますと、国からそういうものがないという建前で使用するような場合に、あるいは一定のものを払い下げられたような場合に、これは当然われわれの方に通知をしていただけるものと思っておったのです。先般当委員会委員の方においでいただいたときにも、非鉄金属と鉄との区分がわからなかったというふうな、まことに私どもとしても意外な答弁を公共団体の吏員がしたそうでありまして、まことにこれはわれわれとしても憤慨いたしておる次第であります。そこで本件はあくまでも、その節も広島財務局からお答え申し上げましたように、呉市に一切の責任を持たせまして弁償させるべく折衝いたしまして、やっと呉市との間に話し合いがついておりますが、近く解決を見ることと思います。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のやつね、市会通りましたか。
  71. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。  鉄の方は市会を通りまして、非鉄関係はこの次の市会に必ずかけるということになっております。
  72. 久保等

    久保等君 前から問題になっております日銀の宿舎問題で若干御質問したいと思っておりますが、まあ大臣もお見えにならぬし、またまだ銀行局長も見えられないようでありますから、十分な質問が実はできないので非常に残念に思うのですが、まあ政務次官、きょうは大臣の代理として御出席になっておるそうですから、あまり具体的なこまかい問題等についての質問は保留をいたしたいと思うのですが、ただ日本銀行の一般業務の執行状態、特に問題になっておる宿舎問題等についての、私は大蔵省としての管理、監督という面でどういうお考えを持っておられるのか、お聞きをしたいと思うのですが、実はたまたま問題になっておりまする宿舎の問題、これらもこの前、日銀の副総裁も御出席願って――十分な実は御質問もできなかったのですが、若干御質問をして聞いた。実はまあ十八人ばかりかつての日銀の最高幹部であった諸君が、昨年あたりまで全員ずっと退職後も宿舎に入っておった。昨年十四件ばかり一挙に払い下げを行なって処理をしたのですが、なお今日四件ばかり残っておる実情にあるわけなんです。それで私は単に個々の、一つ一つの問題についてとやかく申し上げようとは実は思わないのですが、ただこれらを概観して痛感することは、日本銀行といえば何といっても銀行の総元締めであるし、それからまた、いろいろな意味においてこれは一般官公庁にとってもむしろ私は非常に憧憬の、羨望の的になっておるといったように、いろいろな意味での一つのセンターだと思うのです。ところが、そこの面において、一体大蔵省が、どの程度平生管理、監督という立場で扱っておるのか、非常に私は疑問に思うわけなんです。いずれまた、大臣に御出席を願った機会にもお尋ねをしたいと思うのですが、日本銀行というものは、一体どういう形で日常業務が執行せられておるかという点で、一つ具体的に申し上げますと、今日の社会常識からは非常に奇異に感ずるのですが、一本店の理事が地方に出張する際におけるこれに対する扱い方等をいろいろと聞いてみましても、おそらく私は、果して大蔵省そのものがそういう実情を知っておるかどうか危惧の念を持つのですが、それは地方に出たときに、一理事が地方に行った場合にでも、いわゆる天皇の行幸というあだ名をもって呼ばれるほど非常な何か、地方では今日の常識からは少しじゃなくて、だいぶ行き過ぎたような扱い方がなされておる。これも私は個々の問題を取り上げてとやかく申し上げようとは思わないのですが、ただ日銀というものの実態がどういうものであるかということの一部を示す面においては、一つのやはり私は大きな参考になるのじゃないかと思うので申し上げるのですが、地方に出張等に行かれた場合には、事前にもう一週間前くらいから支店あたりの従業員は、これを出迎えることについての予行演習をやる。しかも一同を集めて訓示といいますか、あいさつを行うことについてなどは、何分くらいかかって広場に集まって、何分くらいで終了するかということについて、何かストップウォッチ等を用いて予行演習をやるというような話を聞くのです。これはおそらく、天皇陛下でももしそういうことをやるとするならば、非常に国民の批判というものが強く出てくる今日において、しかも山里離れたところの地方の常識なり、地方のいわばその土地における一つの風習というような意味で、まだ取り残された、いわゆる非民主的な地域というものは、地方によってはまだあると思うのですが、しかし事、日本銀行の本店の一理事が地方に出張した場合における扱い方の、ただいま申し上げましたように、まことにちょっと信用すべからざるようなことが現実に行われておる。かほどまでに日銀というところは、日常、従業員そのものの中においてもおそらく私はきわめて封建的な、きわめて非近代的な形の運用がなされておるのじゃないかということは、まあただいま申し上げた一つの例から考えても察知するにかたくないと思うのです。しかも、私が前、当委員会で取り上げました宿舎問題等においても、十八名の前幹部が十年になんなんとする間宿舎に居すわっておる。しかも昨年国会等で宿舎問題が問題になった際、前後に十四件ばかりこれをその本人、従来入っておった本人に払い下げた。しかもその価格も、その後資料を出してもらった限りにおいてはきわめてこれまた非常識な、今日の価格で考えますと、少くとも四、五百万程度するのじゃないかと思うのですが、わずか百四、五十万円程度で払い下げられておるというようなことについては、私は単にたまたま一つの問題として取り上げるのは非常に、もう少し考えなければならない問題がひそんでおるのじゃないかというように考えるのです。日本銀行法の定めるところによって、これは大蔵当局は十分に管理、監督をすべき立場にあるわけなんです。ところが、ただいま申し上げたようなことが、今日この世代において現存しておるということを考えた場合に、私は大蔵当局にも猛反省を実は願わなければならぬと思うし、そういう点で、実は銀行局長にも御出席を願うし、また大臣にも御出席をぜひ願って、一つの私は例として申し上げて、十分に一つ、灯台もと暗しということがありまするが、灯台もとはもう少ししっかりやってもらわにゃ困るじゃないか。先ほどちょっと指摘せられた、これは部門は若干大蔵省のうちでも違う国有財産管理の問題についても、これはとかく戦後十年間、今日までこれがルーズにというか、実態把握すらなされないままに現状に及んでおるということについて、当委員会でしばしば指摘して、ようやくにして三十二年度の予算の中で、どうやら今後三年ぐらいかかれば、国有財産の実態把握についても見通しがつくであろうという状況まで今日到達をしている。そういうこれはまあ管財局関係の問題、それからただいま私が問題にしておりまする問題は、銀行局のあるいは監督の、管下にある問題だと思うのですが、あまりにもこういった点については常軌を逸した扱いなり、あるいはまた処理がなされておるわけなんです。大蔵当局は非常に予算の編成についてもとかく、比較的弱いところと言っちゃ語弊があるけれども、手きびしくやるところは非常に的確にやっておられる反面において、こういう非常にルーズなところがある。実情について私がお聞きしても、おそらくそういう実情については政務次官おそらくここでお聞きになっている程度だろうし、銀行局長もおいでになって、どの程度実情を私は把握しておられるか知りませんが、非常にそういう点について私はどうも納得がいきかねる問題があるわけです。少くともそういった点について、管理、監督の立場にある大蔵当局として、日銀といえば非常にまあ切っても切れない、いろんな意味で密接不可分の関係にあると思うのです。それがとかく何かなれ合い、ないしは見て見ないふりをするというようなことがあっては、これは非常に私は国民に対して相済まない問題だと思うのです。日本銀行の場合は確かに、決算報告一般政府関係機関の場合と同じような形で出てきませんから、また、会計検査院としてもそういう扱い方をしておりませんから、私は若干今日までこの方面に対しての十分な調査あるいは検査等が行われなかったのだと思うのだけれども、しかし少くとも日本銀行といえば、これは何といっても政府機関と一般国民は理解をしておると思うし、むしろその実体においては一般政府関係機関以上にこれは日本の経済界、金融界、あらゆるものを動かしておる非常に重要な私は機関だと思う。そういう点から申しまするならば、また、そういう面のみならず、資本の場合を考えてみても、五割以上はこれは日本のとにかく国の資本が投下せられておりまする特殊銀行ですよ。こういう銀行においても、今言ったような一つの例を、問題を考えてみても、非常に私はこの際、大蔵当局の反省を促したいと実は思うのですが、まず政務次官の立場で御理解になっておられる範囲内で、私、若干長い話をしたのですが、これは実情をある程度御理解願う意味で前置き的な意味で申し上げたのですが、いかようにお考えになりますか。
  73. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 久保委員の御質問にお答えいたしますが、問題の性質がなかなか重大な問題でございますので、本来、大臣からお答え申し上げるべきですが、本日は事情やむを得ませんので、私かわってお答えいたします。  御質問の焦点である日銀の宿舎問題につきまして、まずお答えいたしますが、実は私も新任早々でございまして、決算委員会でこの問題があるということを聞きましたので、さっそく調査をいたしてみましたが、私も率直に申し上げまして、この調査をしてみて、実は内容に驚いております。御指摘になりました十八人ですか、まあ全体から見ますれば二割弱の程度でございますが、中には二、三名、相当長期にわたって退職後も宿舎を占拠しておるといいますか、そのままに住んでおったというようなものがあるのは、御指摘通りでございまして、なおまた、いろいろと久保委員からお話しのありました通り、日銀といえばまあ天下の羨望の的になっている、何といいますか、かつては法王というような名前さえもつけられたくらいの格式を持ったところでございますから、そういうところの職員が、退職後もなお宿舎に入ったままで居すわるというがごときことは、私は断じて許さるべきものではないと思います。ただこの処置につきましては、昨年あたりも御指摘いただきましてから、大蔵省といたしましても、できるだけ明朗な解決をはかるべきであるということで、極力急いで参っておりまして、だいぶ解決をされまして、なお若干わずかでございますが、未解決の分があるということは、これまた、まことに遺憾に存じます。中には入っております本人に払い下げをしたという問題もあるわけでございます。それも私実は率直に申し上げますと、非常に不可解千万だと思いまして、一部公営住宅あたりで、いかに借家人の権利を守るといいながら、入ってる人間がこれはもうそれで買い取ってしまうんだと、しかもそれを評価をする場合には、先から住んでおれば、何といっても入ってる人間の方が立場が強くなるわけでありますから、これで何だかんだという理屈をつけて負けてしまって、一般相場から見れば安い価格で払い下げるということになりますと、これはどうも公平の見地からいきまして、まことに捨ておけない問題になると思うわけであります。まあ私どもが調べてみますると、一応理屈は立っておるようでありますが、一応聞ける理屈としては、財産税の物納等で国に提供された屋敷等を日銀が買い取って宿舎に充てておったというようなものは、これは必ずしも日銀の職員の宿舎として適当なものばかりではないということは、これは常識でわかるわけであります。従ってきわめて不適当なものを日銀が将来ともかかえ込んでおっても、宿舎にはどうも不適当だから、これは適当な価格で払い下げ得るものならば、これは人情としても、日銀に長く勤めた人に対して譲ってやるということであるならば、これは一応私もうなずけるわけでございますが、ただどうも長く日銀に勤めて、長くその家に住みついておったから、人情におぼれてこれに払い下げると、しかもそれは本人が幾ら幾らかつて負担をしたから、それを差し引くというようなことでやっておるようでありますが、これは私はもっと厳密に調べて、適正な、だれから見ても問題のない、明朗な問題の解決をしなければならぬというふうに強く感じておるわけでございます。  なお重役が出張をいたします場合に云々という御指摘がございましたが、もちろん大蔵省としては監督官庁でございますから、日銀全般の運営につきましては重大な関心を持ち、また監督に疎漏があってはいけないと思いますが、一々どのような形で理事あるいはその他の人々が出張しているかということにつきましては、一々チェックするわけではございませんので、御指摘のような点があるとすれば、これははなはだ遺憾でございます。ただ大蔵省としては日銀の予算の査定につきましては、主計局も相当渋く査定をいたしておるのでありまして、出張の回数等も、実は日銀の仕事のあり方からいたしますと、むしろ大蔵省の査定がきびし過ぎて、どうも少くて困る、これでは十分な機能が発揮できないというような総裁からの意見もあるくらいでございまして、大蔵省と日銀が切っても切れない関係だから、なれ合いでいいかげんな、ずさんなことをしておって、日銀は思う存分羽を伸ばして勝手なことをしているというような趣旨の御指摘がありましたが、さようなことは私どもは断じてないと思っております。  お答えになりませんかもしれませんが、私はまあ率直に申し上げて御了解を願い、今後大蔵省としても、御指摘のような点のないように最善の注意を払ってこの監理に当りたいと考えておる次第でございます。
  74. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁の中で、私は非常に危険を感ずるものを直感したんですが、この住宅の問題について、いわゆる将来日銀の住宅として適当でないものを払い下げる、この場合に、日銀に長く勤めておった者に対して、やはりそういう便宜を与えることもあるというような御発言があったんですが、まあ一般論としてはそれでいいかもしれません。が、しかしそこにいろいろな問題が発生する余地が出てくるんではないかと思うんです。で、私は日銀のそういうようなものは、これは国のものでありますから、私のものではありませんから、まあ私のものというと語弊があるかもしれぬが、ないから、これを日銀の者に優先してやるんだ、こういうところからいろいろなものが出てくるんじゃないか、こう思うわけなんです。  もう一つは、一歩譲ってそうとしても、日銀は小使から総裁まである、ですからこの小使から総裁までの間に一体だれに譲るか、この場合におそらくいわゆる家を買える財力、資力のある人に譲って、そうでないような人には売らない、そういう結果になるんじゃないか。今の次官の御答弁は、一応もっとものようだが、その辺に何か不明朗なものができる原因が出てくるんじゃないか、もう少しこれは厳格に考えるべきじゃないかと思いますが、この点について承わっておきたいと思います。
  75. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 私の先ほどの御答弁申し上げたのは、ちょっと言葉が足りなかったか、ちょっと誤解されたようで、重ねて申し上げますが、日銀の宿舎の払い下げにつきまして、私がうなずける一つの理由として、財産税で国に納めたものが宿舎として、職員の宿舎として非常に不適当な規格のものがあったという意味で申し上げたのでありまして、これは将来こういうものはどんどん払い下げるんだという意味で申し上げたのではございません。私はかような払い下げというようなことが将来行われることは望ましくないと思うのでありまして、やるべきでないと思っております。ただ今までは何分居すわっておる人がなかなか多くて、実際としては処理がつかないというので、窮余の一策として十数件こういうものがあるわけでありますが、その中で理由をいろいろ調べてみますると、まあ多少うなずけるというのは、今申し上げたような事例がございますということで申し上げたわけです。従って私は根本的には払い下げなんというものは、日銀がよほど困って、国会でも問題になり、大蔵省から責められて、いよいよ困ったので、かような窮余の一策としてとったものと思いますが、これは本来やるべきものではないから、今後やらすべきものではないと思います。
  76. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと私の発言、誤解されておると思うのですが、私の言うのは、いわゆる人情とかあるいは日銀に長く住んでいる者に優先とか、そういうような心理状態があるところにいろいろな問題が発生する根源があると思うんです。特にたとえば、住宅の譲渡、売買等の問題は、法律に触れない、刑事問題にはならないかもしれない、ならないだろうと思う、これは一種の役得なんです。ところが上の方の人は役得というものの悪に対して不感症になっている、普通に思っておる。刑事問題にさえならなければ平気だと思っておる。たとえば一萬田さんでも、あの住宅問題が国会で問題になってから、あわてふためいて家を買って変っちゃった、そういうことができるならば、なぜもっと早くやらなかったか、でありますから、私が言いたいのは、そういうところからいわゆる役得をしておっても平気でおる、悪いと思わない、役得の悪に不感症になっておる。ここに汚職の根源があると私は思う。今あなたのおっしゃったお言葉の中にそんなことがあるようにうかがえると思うんです。あるいは前の井上印刷局長ですね、この処分の問題につきましても、この前の国会でございましたが、依頼免官はけしからぬじゃないか、こういう詰問に対しまして、役人が免官をされるということは、これは非常に重い罰でありまして、これは重罰でありますという答弁を平気でやっておられた。きょうの委員会でも問題になったと思うんですが、運輸省の壷井さんの問題もありました。そういうことが、その言葉の中の奥にそういういわゆる役得の悪といいますか、そういうものに対する、あるいは悪い意味におけるところの人情の悪、これを何とも思っていない、不感症になっている、こういうところに、私は今の汚職の根源がある、こういうことを重視して、今のお言葉の中にちらっと私はそれを感じたからお伺いしておるわけです。もう少し厳格にこれはこれ、あれはあれと、こういうけじめをつけて取扱いすべきじゃないか、こういうことを言っておるわけです。
  77. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 御注意の点は全くその通りであります。私の言葉のあやでそういう印象を受けられたとすればこれは改めます。ただいまも申し上げた通り、私は過去にこういう筋の通らない処分をした事実につきまして、その事情を調べましたときにいろいろと理由を聞いたわけなんでございますが、その聞いた理由の中に、今申し上げたようなことがあったという意味で申し上げたわけでありまして、人情論で解決していくんだというような考え方で私は御答弁申し上げたのではございませんから、どうかその点は御了解いただきたいと思います。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。ちょっとお伺いしますが、この前の御答弁によりますというと、あれを払い下げても日銀の行舎問題については差しつかえないんだ、つまり余ってるんだ、こういうような御答弁だったと思うのです。ということは事実そうですが。私は最近聞いたのでありますけれども、もうあそこの下級銀行員は行舎が非常に不足して、行舎を建ててくれという要求を日銀のたしか労働組合だと思いますが、そこではそういうような要求を現に提出しておる、こういうことを聞いておる。そうしますと、この前の大蔵省ですか、それから日銀側の答弁と、はなはだ食い違いがあると思うのでありますが、いかがでございますか。
  79. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) この前にどなたが御指摘のような御答弁を申し上げたか、私まだ聞いておりませんが、私の調べたところでは、決して日銀の社宅は余っておるから払い下げたというわけではなくて、私も今率直に申し上げている通り、まさしく筋の通らない解決方法を無理にやっておるということは、はなはだ遺憾なんでございます。で、私が今申し上げた通り、財産税で物納になったような大きなものを、これを社宅として置いておきましても不適当である、これはむしろ換価いたしまして、その金でむしろもっと小じんまりとした適当な社宅を数多く作った方が、むしろ効果的だというものは、これは理由が一応うなずけるというふうに申し上げただけでございまして、決してこの払い下げをしたことを是認する意思は私には毛頭ございません。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 次官の答弁とは関係のないことなんです。ですからその点はまあ御心配なく。そうじゃなくですね、たしか松岡委員の質問に対して、一体差しつかえないのか、こういうのを払い下げても少しも差しつかえないのか、そしたら、大丈夫でございます、これは余って、別に今後差しつかえないと、こういうことを言っておるわけです。ところが実際調べてみるというと、とにかく社宅が非常に困っている。下級職員の諸君は社宅が困って、そして早く建ててくれという要求をしばしばこれは日銀当局に出しておる。しかし解決がつかないんだと、こういう実情を私寡聞でありますけれども耳に入ったわけなんです。そうするというと、話がまるでとんちんかんになってるんじゃないかと思うので、こういう実情について、これは御存じなんですか、どうなんです。
  81. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 先ほどの先日の御答弁は、日銀の当局からあったと思います。ただいま政務次官からお話し申し上げましたような、財産税の物納のときに納められた家で、非常に古ぼけておりまして、この表に出ておりますものも二十年以上経過したものも相当あるわけでございますが、こういう古くて、かつ非常に大きい、個人の住宅としては相当大きいものがございますので、こういう家は、この人たちに払い下げても、それと似たようなものを買う必要はない。すなわち、こういう大きい家を売って似たようなものを買うんなら、これは全然意味がないものでありまして、御指摘通りでございますけれども、組合から要求がありますのは、若い人たち、たとえばアパートの一室であるとか、あるいは小型の住宅であるとか、そういうものはやはり要求がございますことは、これはご指摘通りでございまして、こういう古い、管理費と申しますか、修繕費と申しますか、そういうものが非常にかかる家は、これはもう二十何年たっておるのですから払い下げまして、そのかわり小さいコンクリートのような、管理費のかからないものを……。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 おかしいですね。大体今、住宅問題というのはどういう形で出ているかというと、土地がない。御承知のように、私はあなたに、釈迦に説法する気はない。たとえばこの前問題になりました十年前、十一年前に副総裁をやってた人の例を見るというと、あそこは百五十……渋谷の神山町、まあ東京では第一級の住宅地です。こういうところで家が古くなったから住めないといってこんな家は取っ払ったって大したことはない。地価の問題です。あそこは二十万円以上ですよ、われわれ調べてみたけれども、大体われわれの話した勘が当っております。三十万として四千五百万円です。こんな土地があれば、そんな古ぼけたものは取りこわしちゃって、そこに何十人も入れる行舎を建てればいいのです。そういうふうに運用するのはできるはずでしょう、あなたの説明されるように。ここのところ何とか切り抜けようと思ったって無理である。全体を総合した形で、価格の問題は実際は解決してないし、日銀としては非常に不足したそういうさなかにありまして、この前の十四件だけでも、土地だけでも二千坪以上あると思うのです。これは転用して、新しく建てれば、建築費の方は何倍か、地価から比べると五分の一、十分の一というようなものです。行舎問題も解決することができるのです。ところが実際は、そういうような下級職員の実情については目をつぶって、上級職員の者だけが問題になっておる。そしてそれは同時に上級職員の、今の幹部諸君にとっては、同時に自分のあすの問題だから、あしたこの次自分が退職したときやはりその公邸を自分に入れて、ここにも私のところに投書があります。あとで読もうと思っているのです。こういう格好で行われているのだから、従ってこの前のような日銀の答弁は、私は非常に不当だと思う。ですから私たちは、あれを競売した、その金を、貸すときの条件のようなものをさらに割り引いて安い評価をして、それでやったということは了承できない。なお申し上げたいのですが、今度の問題が朝日新聞に出まして、当委員会で問題になりまして、問題になってから盛んにこのことを口実にして、下級職員に対して日銀当局で早く出ろ、今、国会で問題になっているから、どんどん早く出ろ出ろと言って行舎を追い出す事実があると聞いておりますが、これはいかがですか、逆用されているのです。こういうところまで次官はお調べになれば、非常に下情に通じる名次官ということになると思いますが、いかがでございますか。
  83. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) まことに皮肉なことなんでございますが、実は私が決算委員会でこの問題があるということを聞きまして調べましたとき、今ここにいる総務課長が、御承知通りないろいろと説明を私にいたしましたときに、私はすぐそれに気がつきましたから、今、都会で宅地が非常に貴重なものなんで、建物が古くなったからといっても土地は腐らないのですから、すぐ利用したらどうか、それを建物が不適当であるといって、全部を安く十ぱ一からげに払い下げてしまうということはおかしいのではないかという質問を私がいたしたのであります。これは最初から私申し上げておる通り、筋の通らない窮余の一策の解決策としてやったものである、今後はかようなことは認むべきではないと、もちろん、それは一件々々私行って調べたわけではございませんから、りっぱな庭があり、庭に価値のあるものをぶちこわしてしまって平らにするのには、なかなか大へんな経費がかかるものですから、ほかに代替地があればそっちの方が有利だということも、詭弁を弄すればあったかと思いますが、一般的に申しますと、御指摘通りに思っております。換金の評価につきましては、換金は絶対自信があると申しておりますので、私どもは信用いたしておるわけであります。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお聞きしているのは、そういう立ちのきを迫られておる下級職員がおるという事実についてはどうですか、御存じありませんか、つまり運用されて……。
  85. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) これはやはり規律を立てていくということでありますから、これは上下の差はない、やはりやることはきちんとやらなければいかぬと思いますが、下級職員であるから追い出しをすると、上級職員だから温情主義でいくということが、今後はあってはならぬと思っております。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 私もそう思っています。決してこれはえこひいきしようなどということは考えておりません。しかし一方は払い下げをやっておいて、一方は追い出しをやったとしたら、これはどうです、つじつま合いますが。これはだれが考えたって、つじつま合わぬでしょう。しかもこの中で問題になっているのは、この前からいろいろあるようですが、その下級職員の何を聞いてみますというと、戦争中に入れということで入れられて、それからその後退職をした、停年なんかで退職をした、そうして行く先がないので、なかなか出られない。しかしこれは資産があれば買うこともできる。ところがアパートみたいになっているというので、全部アパートを買うというわけにはいかぬのですから、おそらくこれは買うといっても絶対買うことができない。これに対して非常に過酷に立ちのきを迫られて、退職者の中で三人自殺をした者があるそうです。一人は瀬戸内海で投身自殺、一人は大阪城から飛び込み自殺をやっている、一人は行方不明、こういうふうに日銀の実態について聞いているのでありますが、しかしながら、私は何も下級職員だからこれを擁護しようとか、そういうことを言っているのじゃない。しかし、実情はなかなかこれは退職金も当時もらえなくて非常に困って、そうして生活に追い詰められて、これを買うことはできない。一方の立場を考てみますというと、これはその後退職してから、そうそうたる会社になんか入って、金融でも何でも十分にやれる社会的なそのような地位もある人、こういうような人と、これは立場を同じにして論ずることはできないと思う。しかも今度の問題を逆用して、今、国会で問題になっているから、どんどん立ちのけというようにこれを逆用するに至っては、全くこれは私は言語道断と言わざるを得ないのでありまして、むしろ上に立つ者は範を示して、そうしてみずから現在の買い取ったのをもう一ぺんこれを公売くらいにきちんとして、しかる後に下級職員人たちに話をするのなら、これは話はわかると思うのですよ。これは全く逆用して、そうしてこれによって彼らのそういうふうなやり方を進めていくに至っては、私は非常に言語道断だと思うわけですが、私は決して先ほど申しましたように、下級職員を弁護しようなんということは少しも考えておりませんが、上の方がそういうように曇っていて、どうして一体下を取り締ることができるのですか、この点お伺いしたいのです。
  87. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 御指摘の点でございますが、お手元にも差し上げました資料にございます通り、いわゆる上級職員といいますと、局長ぐらいからあるいは支店長以上のもので、払い下げたものが十四件ございますが、いわゆる下級職員というものでやはり九件ばかりあるわけでございます。これは上級、下級を問わず、先ほど申し上げました通り、筋の通らないことは認めるべきでないと思います。今後は十分監督に注意いたしたいと思います。
  88. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは大事なことですから、私ちょっと意見を申し上げて所見を伺っておきたいのですが、私の申し上げておることは、役得ということについて私は非常に大きな関心を持っているわけです。それで、役所であろうが、会社であろうが、その人の地位が課長であろうが局長であろうが、あるいは一給仕であろうが、これはそんなに木で鼻をくくったような残酷なことはできない、これは当然でありますが、それと役得と間違えてはいけない、こういうことなんです。もう少し具体的に申し上げますと、いわゆる局長であろうが、あるいは課長であろうが小使であろうが、平等にめんどうを見ろということなんです。でありますから、課長、局長というものが役得をもって役所のそういう財産を不当に安く払い下げてもらえる、それが役得の悪である、こう私は思うのであります。でありますから、そういうことは避けて、いわゆる課長だ、局長だという人は、家の一軒くらい借りる、あるいは買う資力がありますから、そういうものを探すあるいはあっせんをする。そういう労は当然とってやってけっこうだと私は思う。同時に下級職員については特にそのことが重大であるので、停年になる人ば突然停年になるわけじゃない。三年、四年前からわかっておるのでありますから、そういう人のためには、大所高所からそういう問題についてはめんどうを見てやるということが私は必要であろうと思うのであります。にもかかわらず、それを取り違えて、そうしてそういう資力のない下級職員に対して、国会で問題になっているから出ていけ。国会で問題にしている内容の精神というものをあなたは曲解をしているか、逆用をしている。私は局長を憎んで、あるいは課長をかたきにして言っているわけじゃない。そういう人が立場上役得というものを不当に享受するから、それがいけないということなんです。ところが小使さんや普通の平社員は、役得も何も一切ない。でありますから、今あなた方が出ていけ出ていけと言うのなら、じゃ三年、四年前からその住宅に入っている人たちの住宅問題について心配しておったかどうか、何かそういう措置をしておったかどうか、おそらくなかったろうと私は思う。でありますから、今直ちに天から降ったように、お前たちあした出ていけと言うのは、これはまるつきりお役所仕事の典型的なものであって、そういうような形式的なことは私はとらないのであります。私は今申し上げたことを繰り返して申し上げまするが、いわゆる役得はいけないから、めんどうを見てやりなさい。これは長く勤めておった者に対して当然責任はあると思いますので、そういうような精神でもってこの問題は取り扱ってもらいたい、こう私は思うのですが、御所見を伺いたい。
  89. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 今日退職したからあした出ていけということは、これはできる話でないことは申すまでもございません。私が最初の御説明のときに人情論をちょっと申し上げておしかりを受けたのは、そういう意味で申し上げたのでありますが、今のお話しは、非常に人情あふるるお説で、まことにごもっともだと思うわけであります。これは、たまたま問題になりましたのは、日銀でございますが、日銀内部の問題でございますから、私の方からもそういう御注意のあったということを十分伝えまして、今後上下の別を問わず、親切な扱いをするように監督上も注意いたしたい、御了承をいただきたいと思います。
  90. 久保等

    久保等君 今の問題についてもいろいろ問題があるのですが、結論的には、政務次官の御答弁で、私も一応現状に対する処置方法としてはそういう方向でいかざるを得ないと思うのですが、当初この問題が問題になったとき、あれは日銀側でしたか、大蔵省側の答弁でしたか、住宅関係だから、住宅事情があって、それはなかなか簡単に出られなかったのだという答弁だったのです。ところが、いかに住宅事情が困難であろうとも、十年になんなんとする形で居すわらなければならぬという事情は、どうしてもこれはわれわれ納得がいかないのです。同時にこれはいろいろ資料を出していただいて、手元にもあるのですが、この十八名の方々の中で、ほかへ転職されなかった方は一名もないのですよ。こういう人たちは、十八名が一人残らず、これは全部一般社会的に考えれば非常にしっかりした会社、大会社あるいは公団関係の理事、重役におさまっているんですよ。ここに実は私ども指摘しなければならない問題がある。やめてすぐ路頭に迷って、実は一時金ももらえなかった、退職金もきわめてわずかだ。買えといっても無理だし、出ていけということも無理だということで、それがかりに四年が五年になり、六年になったにしても、それこそそういう人たちについては住宅事情があり、個人的な事情があって、出ようとしても出られないのだという人たちについては、これは私はそれこそ十分めんどうを見てやってしかるべきだと思うのです。ところが出していただいた資料を見ても、私が劈頭にちょっと申し上げた日銀の封建性というか、日銀の非近代性というものが、住宅事情に対する扱い方についても出ている。ということは、二十二、三年ごろに入って、いまだに入っている方が事実いるようですが、わずかに一年に全国を通じて一名ずつくらいの人だったら、これは確かに私は事情やむを得ないでおられるのだということは推測がつくけれども、十八名が枕を並べて昨年まで入っているという事情については、いかに私どもが温情主義でいくとしても、これはとても納得できない。十八名のうちで、ただいま就職をしておられない、遊んでおられる方は一名おるようです。しかしこの一名の方も、実はやめられると同時に就職はしたんだが、今は遊んでおられる。十七名の方は厳として、いろいろ職種は変ったにしても、なお公団その他の会社関係の実は重役をしておられるのです。私はこの人たちが、住宅事情がやはり相変らず非常にむずかしいので出られないという事情はどうも納得いかない。今日四名の方がなおかつ残っておるという問題なんです。ところがこの四名の方々はそれぞれ就職をして、りっぱにせられておる方々であります。だからこの方々が出られなかったという事情についても、私どもはちょっと納得がいかない。ただ先ほど岩間委員も言われたように、従業員の場合には二、三そういった――特にその問題ばかりではなかったかもしれないけれども、まあ自殺をした原因はおそらくそういう問題ではないかといわれるような形で処理をされておりながら、片方においてこういう十八名の諸君が、とにかくぬくぬくと十年近くも居すわっているということについては、私は非常に遺憾に思うのであります。従って、私は運用の面については、そういう人たちについては特殊な、それこそ個人の家庭の事情あるいは経済事情によって出られない方があると思うのです。それをすらとにかく引っ張り出せ、引きずり出してでも出しなさいということを、私どもは申しておるのではないので、やめられて、しかもしかるべき重要な会社なり公団に勤めておられて、なおかつ日銀当時の役職なるがゆえに入られた人だと思うのです、一般職員ではないのですから。重役といいますか、本店の理事なり部長なり、あるいは局長等をやったゆえに百何十坪あるいは数十坪の住宅に住まわれたと思うのであります。私はそういう意味で、全く役得としてこれは日銀が貸与したものだと思うのです。そうだとすれば、これは一般の民間における貸借関係、賃貸関係とは性格がおのずから違うと思う。そこを私は問題にしている。みそもくそも一緒にした形で、一従業員の家庭の事情のいかんを問わず、それから部局長は皆退職金をもらい、大きな重要な会社に入っている。千編一律にやりなさいとは私も申しておらない。だからあくまでもそういう温情主義を生かすなら生かすようにしてやりなさい、しかし日銀の規定を見ますと、この前も御説明を伺ったのでありますが、実は今何カ月たったら出なければならぬという規定がないかということを質問いたしましたら、それはやめたらすぐ出るのが建前だと言うから、それこそ非常識だ、むしろ三カ月なり半年なり一年なりという猶予期間を置いて出るような形でこの行舎の運用規定を作るのが実情に沿っているのに、むしろやめたらすぐ出るのだという建前で作っている規定だから、私は、逆に役員の人は十年も居すわるし、それからそういう役付のない、ほんとうの下級職員はすぐにも出て行けというような圧力を受けるものだから、みずからの生命を断たなければならないという悲劇が起ると思うのであります。だから私は、こういう規定はもう少し精密に作っていただかなければならぬと思うのですが、その実情に沿ったように、また、ある程度運用の面で確かに血もあり涙もあるように運用していいと思うのですよ。とにかく社会常識からいっても、いかなる温情主義をもろてしても、温情主義をもって考えれば考えるほど、実は私は義憤を感ずるのです。こういう問題については、先ほど政務次官の言われた中には、いわば戦後の払い下げで、払い下げでもしなければならぬようなものであったと言われたけれども、それだって私はその人になぜああいう低額で払い下げなければならぬかということについて、やはり問題が残っております。先ほど行舎の問題でいろいろ問題が言われておった。だからといってあの価格で払い下げるということが正しかったか、あの価格で払い下げられたことが正しかったとはいえない。従って私は、昨年の十四件を一括して片づけられるこの処理方法は、まことに遺憾だと思います。特に私は大蔵当局のおひざ元の問題である、しかも切っても切れない関係にある日銀の問題であるだけに、私はぜひ一つこの問題についても十分一つ善後措置考えていただきたい。と同時に、先ほど劈頭に申し上げた日銀の運用についても、きわめて非近代的な非民主的な行内における実情のあるという点も、大蔵当局は十分に一つ管理、監督の立場から御反省を願いたい。またいずれこの委員会にぜひ一つ私は日銀の責任者、総裁なり副総裁に御出席を願って、行内における運用の問題についてぜひとも一つ、たまたまこういう問題から私も事情を若干伺ったのですが、非常に今の常識からいって、全く苦笑を禁じ得ないような事実が今日行われておる。そのことが今言った行舎問題なんかの扱い方の中にも、私はやはり一つの具体的な事実として出ておると思うのです。今の世の中で一本店の理事が行くのに、天皇陛下のようなスケジュールを作って、そして一女子従業員のごときは、お前はお手ふきを持って行け、便所へ入ればこの係はだれさんだといったような形で、雨が降ったときにはだれがこうもりがさをさす、車のあけ締めをだれがするのだというようなことまで行われておるということは、一つ一つの事柄は全くくだらないことだと思うのです。そういう形で日銀というものが運用されておるのだとするならば、これは私は国民からそれこそ日銀の格式どころではなく、嘲笑を買うと思う。嘲笑どころではなく、国民から反感を買うと思う。日銀の権威を高め、私は日銀の格式を高めるならば、それこそ今言う行舎関係なんかをこういう形で処理されることくらい日銀の権威と格式を下げることはないと思う。と同時に、地方に行って従業員にそういう形の扱い方をさせることくらい人間を、何と申しますか、それこそ基本的人権の多少侵害にもなるのじゃないかと思われるような、全く奴隷的な形で従業員を使うというようなことは、これは日銀という非常にレベルの高い、何といいますか、事業体であるだけに、それからまた日本の金融関係の総本山であるだけに、私どもは強くそのことを繰り返して申し上げているのです。この点については、管理、監督の立場にある大蔵当局並びにその当面の日銀そのものに対して、私は非常な反省一つ願いたいと思っておるのです。そういうことでなければ、日銀の何と申しますか、ほんとうの明朗化、それからまた日銀のほんとうの意味の格式と権威を保持することは困難だと思う。私は実は聞いて非常にあぜんとしたのだし、おそらくここにお聞きになっている方でも、私のただいま申し上げたようなことは、そんなばかげたことがという気持の感じを受けられる方々もおありになると思う。私も実は戦時中くらいまでは日銀のそういう事情も若干は耳にしておったのですが、これは当時の社会構造なり、あるいはまた当時の空気からいって、ある程度は、そういうこともあってもまあまあ普通あり得ることだといって見のがせる問題だと思うのですが、今日なおかつそういう一理事の地方旅行なんかの場合に、全くどうも聞いてちょっとあきれるようなことが現実に行われるようじゃ、どうもやはりこれは根本的な問題があると思うし、そのことがたまたま行舎問題においての扱い方については、全く主客転倒したような形で、役得のある諸君に温情を無制限に行われている。それでむしろ下の方の従業員の諸君には、国会で問題になったからお前たちはすぐ出ていけ、あるいは国会で問題になろうとしているから宿舎なんかはそうは建てられないというような形で、一体、日銀の内部の運用について、一般職員が、どの程度まで知識があるかということに対して、私は疑問を持っている。いわば行内においても、おそらく上部のことを、一体銀行そのものがどういう形で運用されているかということは、従業員諸君はつんぼさじきに置かれて、ほとんど知らないと思う。私はこの機会一つ大蔵当局の方に二十九年度の予算と決算、それから三十年度の予算と決算、それから三十一年度の予算、これを一つ大蔵当局の方から予算書そのものを出していただくのも大へんでしょうから、もし何か余部でもあれば、そういう形ででも出してもらっていいのですが、もしそういうものがなければ適当に一つ項目をある程度まとめた形で、そうあまり大部の資料にならないような形でお出しを願いたい。特に問題になっている行舎関係のものだとか、それから給与、人件費、そういったようなものが、どういう形で使われているのか、そういうことがもし大蔵当局でお気づきになった点があるならば付記をしてもらいたい。もしなければ、その事実のままを資料としてお出しを願いたい。ぜひ一つこういう問題について、私は特に事をかまえて、問題を荒立たせようとは思っておらない。しかし少くとも近代的な今の社会において日の当らないような、何か変な形のものが日銀等においてあるとすれば、これはやはり明朗化していかなければならぬ。私はそういうただ一念でありますし、しかもこのこと等については、あまり大蔵当局なり、会計検査院が従来から調査をやられたこともないようですから、そういう点で私は特にこの際にこの問題を取り上げることによって、日銀が若干でも従来よりも明朗化していく、さらに内部の運用というものが、民主的になったという形になるならば幸いだけれども、きょうはまだ銀行局長もとうとうお見えにならなかったようですが、これについての当局としての銀行局長、あるいは大蔵大臣等にもいずれ後日機会があると思うのですが、ぜひこの問題については真剣に、私は誠意をもって処理をしてもらいたい。本日のところは時間もあまりないようですから、私はこの前の資料に基きまして、若干気のついた分を指摘申し上げたのですが、政務次官もまだ十分事情がおわかりにならない点もあると思いますから、十分な御答弁をいただかなくてけっこうですが、その点だけは指摘を申し上げて、十分に一つ関係の方々に御連絡等御報告を願って、いずれまた御答弁をお題いしたいと思います。
  91. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 久保委員の御指摘の点でございますが、日銀の宿舎に居すわりました十八人が、先ほど来大へん問題になっておるわけでございますが、御指摘通り、十八人のうち、現在まだ無職というのはたった一人でございまして、あとの十七人はそれぞれ民間に職を求めておる。これは有能な人が民間に職を求めておる。これは有能な人が民間に活用されることはけっこうだと存じますが、これは逆に、御指摘通り逆に申せば、それだけの生活も保障され、収入のある者がなおかつ、いかに温情主義とはいいながら、日銀の宿舎に居すわっているということは、まことにけしからぬことでありまして、この点は私は最初から申し上げておる窮余の一策として払い下げというふうな筋の通らない処置をやったのでございますが、今後やるべきでないと考えております。  念のために申し上げますが、昭和二十二年以降、いわゆる幹部と称せられる部局長以上で退職しましたものは百十四名ございます。百十四名のうち十八名が結局最後までぐずねておった。そして払い下げを受けたのが十四名ということになっております。いわゆる下級職員では九名ばかりある、こういうふうな実態でございます。十八名という数字は大へん問題になりまして、全部が、上級職員は全部居すわったような印象を受ける方があるといけませんから、数字だけは明らかにしておきたいと思って申し上げたわけであります。  なお、この価格の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げた通り、これは日銀当局も、またこれは勧銀に委嘱をして評価してもらったものであるから、また勧銀としてもこれは確信があると申しております。しかし私も一々回ったわけではございませんから、はっきりと絶対自信があると申し上げるわけには参りませんが、高いものは四百万以上、安いものでも百二十万から百六十万というふうな評価になっておるわけでございまして、果してこれが現在の時価から絶対に正しいかどうかということは、確言はできませんけれども、勧銀当局では絶対保証できると申しておりますから、きわめて不等な価格で払い下げが行われたということにはならないのではないかと思っております。  それから理事の旅行の問題でございますが、これは最初の御質問にお答え申し上げた通り、天皇の行幸のような状態だという御指摘でございますが、これは私ども事務局におきましても、常時監督に当っております事務局におきましても、かようなうわさ話も聞いておらないと申しております。ただ何といいますか、日本人は官尊民卑の弊風と申しますか、とかく日銀さんから重役がお見えになったといえば、下にも置かぬもてなしをするというふうな傾向があるんじゃないか、これは十分戒慎しなければならないことだと思っております。  なお、御指摘の資料につきましては、誠意をもって調製をいたしまして、至急提出するようにいたします。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 勧銀の問題はこの前もやったのですから、またやる必要はないと思いますが、私はちまたの声を、この問題に対するちまたの声を、これは聞いてもらいたいと思うので、簡単ですから、このちまたの声を紹介したいと思います。あの問題がちょっと朝日新聞に出ましたその晩に、速達で送られてきたものであります。「前略、日銀の公舎払い下げの問題が参議院で論じられ、本朝の朝日新聞紙上に載っているので知りました。この問題は日銀公舎の近くにいるわれわれのような普銀の者は全く解せないことが多い。例にあがっている敷地百九十坪、建坪五十坪が百八十万円という程度のはざらで、勧銀の評価も金を貸す立場の評価で、安いことはもちろんなのです。これが日銀の連中のねらいなのです。勧銀に責任を転じている次第です。同じように日銀公舎にいても、集団的に日銀が建てた公舎に住んでいる者や、ビルディング型の公舎に住んでいる者は、停年がきても買うわけにいかない。高い給料の連中は、一戸建で集団でないために買い取れる。安い給料の連中は集団だから買えない。買えば勧銀の評価が安い。退職資金が建物の割安だけ実質上ふえているわけです。建物の評価は、あき家の評価をしないで、いる者が居すわることを建前として評価させる。つまり井上日銀副総裁が言ったように、強制執行もできないからというのは、あき家の値段でないのです。今住んでいる者が立ちのかない場合の値段なのです。全く不合理ではありませんか。銀行券を発行する特権の上に生活している者は、このようによい待遇を受ける特権があるのでしょうか。全部が公舎から出ることが必要なのです。普通の銀行はみなそうしています。日銀にそれができぬのは、理解できません。そして自分で別の家を建てるなり見つけるなりするのが一番公平です。強制執行をやってもよいのです。第一、公舎は純然たる賃借家屋ではありません。借家法によって保護を受けるものではありません。退職すれば当然利用ができないことは、服務規定等があってそれに従うわけでしょう。もっといじめてやって下さい。」というのですが、私はそんな気持はありません。(笑声)  「近所にいると全く腹の立つことが多いのです。勧銀を呼び出して評価の基準をお尋ね下さい。きっとあき家としての評価ではありませんし、金を借りるときの値段に近いものです。ですから売るのなら、それを最低にして競売すれば、他に買人が現われて、公正な値段が定まりましょう。とにかく公舎からは出るべきであって、払い下げを建前とすることは不公平であり、役員の背任行為であります。井上副総裁も、多少の情が動きと言っているではありませんか。これができないでは、日銀は大きな顔ができません。日銀の幹部は、次は自分が払い下げを受けねばならないことを知っています。」、こういうような手紙なんで、案外ちまたの声を私は代表している言葉じゃないかと思うのです。当委員会における論議は、この大衆感覚を忘れて、事実上の論議に終っては、問題の本体をつかむことはできないと思います。従ってこのような問題について、最後にどのようにお考えになるか伺って、私の質問を終ります。
  93. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 大衆の感覚につきましてのお話でございますが、これはちょっとはたで見ておる者からすれば、住宅難の世の中でそういう声の起るのも、むべなるかなと感じます。従いまして、今後はいわゆる日陰のことが行われないように明朗な処置をするように、厳格な監督もし、また日銀当局にも反省を促して、皆様方から再び御指摘を受けないような処置をとらすべきだと考えておる次第でございます。
  94. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  95. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  ほかに御質疑はございませんか。――以上をもって本日の審議を終了いたします。  次回は、明三月十六日土曜日午前十時より、昭和二十九年度の総括質疑を行います。では、これをもって委員会を散会いたします。    午後四時二十九分散会