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1957-03-04 第26回国会 参議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月四日(月曜日) 午後一時四十七分開会     ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君    委員            石井  桂君            後藤 義隆君            平島 敏夫君            松岡 平市君            吉江 勝保君            高田なほ子君            津  良一君            杉山 昌作君            大竹平八郎君            岩間 正男君  政府委員   中小企業庁長官  川上 為治君  事務局側   常任委員会専門   員        池田 修藏君  説明員   大蔵省銀行局総   務課長      古川 汎慶君   会計検査院事務   総局第一局長   大澤  實君   会計検査院事務   総局第五局長   上村 照昌君   住宅金融公庫理   事        八嶋 三郎君  参考人   農林漁業金融公   庫総裁      山添 利作君   商工組合中央金   庫理事長     村瀬 直養君   商工組合中央金   庫理事      安田 元七君   商工組合中央金   庫監理部長    細井 次郎君   国民金融公庫総   裁        櫛田 光男君   中小企業金融公   庫総裁      坂口 芳久君   日本銀行総裁  井上 敏夫君   日本銀行理事   谷口  孟君   日本銀行文書局   長        國府田守登君   日本銀行管理部   長        鷹野 孝徳君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継続) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継続) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第二十五回  国会継続) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十五回国会継続) ○国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (日本銀行経理状況に関する件)     —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第十四回決算委員会を開会いたします。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書を議題といたします。  まず、農林漁業金融公庫の部を審議いたします。検査報告批難事項は第二千二百四十三号から第二千二百四十五号までであります。  本件に関し出席の方は、上村会計検査院第五局長山添農林漁業金融公庫総裁、前板農林漁業金融公庫監査室長諸君であります。  まず、会計検査院から説明をお願いします。
  3. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 農林漁業金融公庫検査といたしまして、三十年二月から八月までの間に、貸付件数にいたしまして二千二百八件、金額にいたしまして八十八億六千四百余万円につきまして実地調査をいたしました結果、管理等が不十分といたしまして指摘いたしましたのが、そのうち五百十九件、十三億七千百余万円になっております。検査報告を提出いたします当時、なお繰り上げ償還未済のものが相当ありましたが、それらにつきましては、内容別におもなるものといたしまして、報告番号の二千二百四十三号、二千二百四十四号、二千二百四十五号、三つに分けて記載してございますが、その内容といたしましては、公庫貸付は、貸付対象事業補助金交付がありましたときは、一定額を繰り上げ償還することになっておりますが、繰り上げ償還が行われてなかったもの、あるいは融資されました場合に、実際の工事費申請額よりも少額で完成したというような理由その他のことによりまして、公庫業務方法書に規定してあります貸付限度額をこえる結果となりまして、繰り上げ償還を要する事態のものと、貸付目的以外に資金が使用されましたために繰り上げ償還を要する事態というふうに分れております。  現在におきまして是正状況を申し上げますと、全体につきまして約四百六十万円くらいの繰り上げ償還未済になっておりまして、相当是正されておる形になっております。なお、地方公共団体において、当初国の補助事業といたしまして施行した工事が、本院の検査によりまして、出来高が不足しておる、あるいは粗漏工事があるというようなことがございまして、この手直しに要する資金が要るわけでありますが、その資金といたしまして農業協同組合に対して貸し付けられたものが三件、貸付金額にして二百五十五万円あまりございますが、これは公庫の金は財政資金が財源になっております関係上、融資の対象としてはいかがであろうか、かように考えておるわけであります。もちろん、金融公庫におきましてこれらを承知の上でお貸しになったわけではもちろんございませんが、これらに対しましては繰り上げ償還をすることとなさいまして、一件が現在において償還未済になっておる状況でございます。  以上をもちまして説明を終ります。
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 農林漁業金融公庫から御説明をお願いします。
  5. 山添利作

    参考人山添利作君) 最初に農林漁業金融公庫の最近の概況をごく簡単に御報告申し上げたいと思います。  農林漁業金融公庫貸付金の現在高、最近におきましては、すなわち昭和三十二年一月末現在におきましては、貸付金残高が一千二十億円になっております。この農林漁業金融公庫貸付は、すべて受託金融機関を通じておりまして、農林中央金庫地方銀行及び都道府県信用組合連合会を通じて貸付を行なっております。この受託機関別貸付を見ますると、三十一年度新規貸付について見ますると、農林中央金庫が四三%、地方銀行が一五%、信用組合連合会が四二%というふうになっております。この公庫資金源といたしましては、三十一年一月末現在におきましては、政府からの出資金が五百二億円、借入金は、これは資金運用部及び簡保でございますが、四百九十六億円でございます。ただしこの借入金は、さらに年度末までに百五十億円程度を借り入れる見込みになっております。  三十一年度におきまする公庫新規貸付金は二百九十億円の計画でございましたが、北海道冷害等がございまして、災害復旧資金並びに自作農資金の増額をいたしまして、二十五億円ふえることに相なりました。三十一年度合計といたしましては三百十五億円となる見込みでございます。  これが最近における公庫状況でございます。  ただいま会計検査院から御指摘になりました事項の第一点は、国の補助金を金を借りました人が交付を受けまして、それは公庫補助金相当分を返還することになっております。これは主として災害復旧に多いのでございまして、御承知のように災害は直ちに復旧をしなければなりませんけれども、国の補助金はなかなか参りません。これはどうしても後年度になります。公庫といたしましては、当面必要とする災害復旧資金を出しまして、補助金交付されましたときにはそれを繰り上げ償還してもらうということにいたしておるのでございます。ところが補助金交付されましても、受託金融機関と、それから補助金交付いたしまする当局でございます都道府県の県庁との間に連絡不十分等のことがございまして、とかく補助金の返りがおそいということがございますわけでありまして、この点を会計検査院から御指摘を受けました次第であります。このことにつきましては、受託金融機関を督励いたしまして、都道府県十分連絡をし、補助金交付を知りまして、その補助金の繰り上げ償還をいたすように督励をいたしておるのでございますが、最近におきまして農林省からも特に通牒を都道府県あてに発していただきまして、都道府県側からも十分なるこの点に関する御協力を願うようにいたしておるのであります。今後この点は相当改善をされるものと考えておる次第であります。なお、御指摘になりました件につきましては、ただいままでに九三%が是正済みになっております。  第二点は、公庫貸付金をいたしました場合に、これは借り受け者が実際に負担しまする額の八割以内というのを貸付金限度といたしておる次第であります。ところが先ほど会計検査院の第五局長からもお話がございましたごとく、実際工事をやってみますると、その経費計画と違うことがございます。経費が少くて済む、そのような場合に、貸付限度超過となりまする部分はこれを繰り上げ償還することになっておるのであります。公庫といたしましては、この当初貸付をいたしました場合におきましては、これは貸付でございまして、契約を結ぶわけでございまするが、実際の資金の払い出しは、府県の工事出来高証明でございまするとか、あるいは請負者請求書でありまするとか、そういう証憑書類受託機関においてとりまして、工事経費と確認をして払うということにいたしておるのでございまするけれども、その間やはり貸付超過というようなことをきたしますことは、ままそういうことがございますことは、まことに遺憾でありますが、この点につきましても、今後一そう受託金融機関を督励いたしたいと考えておるところでございます。この件に関連いたしまする事項は、現在までに九五%是正をいたしております。  なお、第三の点といたしまして、公公庫資金を、貸し付汁ました目的以外に資金を流用いたしたいという場合でございます。この場合におきましては、もとより繰り上げ償還をさせるわけでありまして、この防止といたしましては、先ほど貸付金制限額超過にならないようにという項で述べましたごとく、工事出来高証明でありまするとか、あるいは請負人の資金請求書等、その使途を見届けて出すようにというように措置はいたしておるのでございまするけれども、その間まあごまかされると申しますか、そういうことによりまして、他の方面資金が流用されることが時にあることはまことに遺憾に存じておる点であります。これらの点につきましても、今後一そう留意をいたして参りたいと考えておるわけであります。この、他の方面資金を不当に流用したという件につきましては、ただいままで九七%が是正されておるような次第でございます。  おおむね以上でございます。
  6. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。  御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。なお本日はだいぶ案件が立て込んでおりますので、予定としては、大体二時三十分ごろまでに農林漁業金融公庫関係は終了したいと思うのでありますが、その点を申し添えておきます。
  7. 久保等

    久保等君 公庫の方では貸付に当って、ほとんど何といいますか、書類で、県知事あたり意見書等を一応審査して貸付をされておるようですが、貸し付けられたあと、何かについて、公庫自体として実地に出向いていって状況なんかまあ調査せられるというか、状況をごらんになるようなことはやっておられるんですか、どういう方法でそういった点についてやっておられるか、御説明願いたいと思います。
  8. 山添利作

    参考人山添利作君) 貸し付けました後における事業実績等を見て回りますことは、きわめて必要なことでありまして、第一次的にはこれは受託金融機関ができるだけ実地について、検査というと大げさでございますが、見て回るように申しておるのでありまして、この点につきましては、最近かなり監理実地について受託金融機関がやっておるようでございます。公庫といたしましては監査室というのを設けまして、そこに班を四つ作りまして、一年中の計画を立てまして、実地を見ておるわけでございます。しかし何分にも件数が非常に多いことでございまして、この公庫監査室による監査というのは、そう直接目を届けるということはなかなかむずかしいんでありますが、それでも二千前後は毎年実施をいたしておるわけであります。
  9. 久保等

    久保等君 この監査室というのは何名ぐらいおいでになるんですか。それからまた、公庫自体も何人ぐらい今全部で従業員おいでになるんですか。
  10. 山添利作

    参考人山添利作君) 公庫の人員といたしましては二百六、七十名でございますが、監査室におります人は十一名、四班を作っておるわけです。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ちょっとお尋ねいたしますが、昨年、例の河野農林大臣がモスクワに漁業交渉に行かれまして、非常に北洋漁業界というものが前途に対して希望を持って、大手会社自己資金相当必要な用意もされたわけですが、その他大手以外の共同船団と申しましょうか、そういうものがかなり用意されたように聞いておるんですが、たまたま交渉期待通りにいかなかったというので、だいぶ大手以外の出漁団が失望もし、非常な損失を受けたということをわれわれ聞いておるんですが、これに対する貸し出しというものはどうなっておりましょうかo
  12. 山添利作

    参考人山添利作君) これは公庫の、ただいまのところ別段のそれについての故障を聞いておりません。たしかあれは十数億、直接ないしは間接というとおかしいのですが、ともかくそちらの方に金がいって、一時これはどうなるかと思いましたけれども、現在それについて特別支障が起っておるように実は私は聞いていないですが、そういうことと思います。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今御答弁を聞けば、何かその跡始末につきまして、おそらく当時といたしましては、大手以外の出漁団というものが非常な損をしたということは、大体われわれのところで想像ができるのでありますが、それについて、むろんあなたの方だけでなく、市中銀行その他いろいろ金融機関から借りておると思うのでありますが、あなたの方からどのくらいお借りをし、また同時にその決済というものはどういう状況になっておるかということを一つ、今でなくてよろしいですから資料を一つ提出していただきたい。
  14. 山添利作

    参考人山添利作君) 承知いたしました。ただし私の方では、漁船建治資金だけでございます。
  15. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ほかに御質疑ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御質疑はないと認めます。では、農林漁業金融公庫検査報告批難事項第二千二百四十三号から第二千二百四十五号までの質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  18. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それでは速記を始めて。  次に、商工組合中央金庫の部を審議いたします。検査報告批難事項は第二千二百四十七号であります。  本件に関し御出席の方は、上村会計検査院第五局長村瀬商工組合中央金庫理事長安田商工組合中央金庫理事藤原総務部長細井商工組合中央金庫監理部長諸君であります。  まず、会計検査院から説明をお願いします。
  19. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二千二百四十七号の商工組合中央金庫札幌支所の問題でございますが、同支所の三十年三月末の延滞貸付金は、いろいろの措置をとられたのでありますが、六億五千六百万円ございまして、貸付残高の二十四億に対しまして二六%の相当高率に上っております。そのうち大口なものといたしましては、ここに記載してございますように、年度末におきまして、北海道澱粉協同組合連合会の分が一億四千百万円、北海道肝油工業協同組合の分が一億二千六百万円ございます。かようになりましたのは、融通手形をその成因等について十分検討せられないで受け入れられたり、あるいは貸付後の管理が十分でなかったというようなことによるものと思いますが、特に北海道澱粉協同組合連合会関係日栄株式会社振出手形七千六百七十三万円を割り引いておられます。また、北海道肝油工業協同組合関係ローヤル水産株式会社振出手形を一億一千三百余万円を割り引いておられますが、これらがいずれも不渡りとなっております。ところが、これらの会社資本金が百万円ぐらいの会社でございまして、かように多額の手形を割り引かれるというような点は、少し行き過ぎではなかろうかというふうに考えるものでございます。いずれにしても貸付等につきまして十分でなかった、かように考えるものでございます。
  20. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、商工組合中央金庫から御説明をお願いします。
  21. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) 順序として業務の全般をお話し申し上げましょう。  まず、昭和二十九年、三十年度業務概況をお話しを申し上げたいと思います。  商工組合中央金庫は、商工組合中央金庫法に基いて設立せられておりまする特殊法人でありまして、中小企業等組織体、すなわち中小企業等協同組合法に基く事業協同組合、それから、あるいは協同組合連合会企業組合及び信用協同組合、それから塩業組合法に基く塩業組合に対する金融円滑化をはかってその健全な発展に寄与することを目的といたしておるものでございます。当金庫取引対象は、戦前においては商業組合工業組合及び商工組合でありまして、戦後においては昭和二十四年までは商工協同組合法に基くところの商工協同組合でありましたが、同年の六月、中小企業等協同組合法が施行せられまして、事業協同組合、それから協同組合連合会企業組合及び信用協同組合取引対象となりました。さらに二十八年の七月に塩業組合法が制定せられまして、塩業組合がこれに加えられるに至ったのでございます。なお取引対象は、従来組合だけに限られておりましたが、昭和二十六年の十二月に組合構成員に対しても直接取引ができるようになったのでございます。  当金庫資本金は、設立の当初は一千万円で、政府組合折半出資をしておりましたが、前後十回にわたって増資を行いましたこと等によりまして、現在は二十八億四千万円と相なっております。その内訳を申し上げますと、組合出資が十五億九千七百九十万円、それから政府出資が十二億四千二百十万円でありますが、政府出資はさらに一般会計からの普通出資十億二百十万円と、それから産業投資特別会計からのいわゆる優先出資というものが二億四千万円ございまして、その二つになっております。政府一般会計からの普通出資の十億二百十万円のうち十億円は、昭和三十年度予算によって新たに出資されたものでございます。なお政府普通出資に対する配当につきましては、いわゆる劣後配当という措置がとられておりまして、現在これに対して配当は行なってはおりません。  次に、当金庫の行いまする業務の範囲は次の通りになっております。  すなわち、第一に所属組合、またはその構成員に対する貸付、これが一番中心でありまするが、貸付種類は、五年以内の定期償還貸付及び二十年以内の年賦、半年賦、または月賦償還貸付のほかに、手形割引及び当座貸し越しでございます。第二に所属組合あるいはその構成員のための債務の保証、それから第三は、所属組合またはその構成員のための内国為替業務、それから四番目は、所属組合またはその構成員のための有価証券の保護預り、または委託売買、第五は、所属組合のための出資払込金受け入れ、またはその配当金の支払い、第六は、中小企業等協同組合、その構成員、それから公共団体、非営利の団体主務大臣認可を受けた銀行その他の金融機関からの預金受け入れ、これが本業務でございます。  以上の本業務のほかに、国務大臣の認可を受けて、国とか公共団体銀行その他の金融機関業務の一部も代理することができることとなっておりまして、現在は、第一には中小企業金融公庫から委託された貸付業務、それから第二は、政府から委託された信用保険の取扱いの業務、それから第三には、自転車振興会連合会等から委託せられました納入金受け入れ、それから金融機関に対する資金貸付補助金交付、これらの業務を行なっておるのでございます。  なお、当金庫は、貸付資金を調達する方法として、債券発行が認められておるのでございまするが、その債券利付債券割引債券、いわゆる割商と称しておりますが、利付債券割引債券の二種類で、発行限度は、払込資本金準備金合計額の二十倍となっておるのでございます。  当金庫目的とか業務内容等は以上申し述べた通りでございまするが、当金庫の、ただいま問題になっておりまする二十九年度及び三十年度における業務の成績は次の通りでございます。  当金庫貸出は、戦後中小企業資金需要の増大に伴って逐年相当の伸張を示して参りましたが、二十九年度以降は、いわゆる経済安定政策の推進及びこれに引き続く金融緩慢化の浸透によりまして、貸出の増勢も若干低下して、貸出残増加額も、二十九年度は七十一億円、三十年度は六十四億円余にとどまっておるのでございます。すなわち、二十九年度における貸出実行額は一千三百三十九億円、回収額は一千二百六十八億円、差引の増加額は七十一億二千万円で、年度末の貸出残高は五百三十五億七千万円でありました。また三十年度におきまする貸出実行については一千五百一億円で、二十九年度に比べまして百六十億円余の増加でございまするが、一方回収額も千四百三十七億円に達しましたので、結局貸出の残の増加額は六十四億七千万円にとどまって、年度末の残高は六百億五千万円に相なったのでございます。  各年度末におきまする貸出金使途別に申し上げますと、二十九年度末におきましては、総貸出が五百三十五億七千万円でございましたが、そのうち運転資金は四百七十七億八千万円で、八割九分二厘、それから設備資金は五十七億九千万円で、一割八厘でございましたが、三十年度末におきましては、総貸出六百億五千万円のうち、運転資金は五百二十四億三千万円で、八割七分三厘、設備資金は七十六億一千万円余で、一割二分七厘と相なって、二十九年度に比べまして、設備資金貸出の比率がやや高くなっておるのでございます。この傾向は大体今日まで続いております。  さらに業種別では、二十九年度末におきましては、総貸出金のうち、製造業が六割四分二厘、卸小売業が二割三分六厘、それからその他が一割二分二厘と相なっております。  以上申し上げましたのは二十九年度末でございますが、三十年度末におきましては、製造業が六割五分七厘、卸小売業が二割二分八厘、その他が一割一分五厘と相なっておるのでございます。  それから、この間の資金状況についてちょっと申し上げますと、当金庫資金は、預金借入金のほかに、債券発行による資金が主要な資金源となっております。債券につきましては、戦後一時その発行が停止されておりましたが、昭和二十五年六月から発行を復活いたしました。そして二十五年度中の債券発行は五十一億円でありましたが、二十六年度以降は、政府資金運用部による利付債券の引き受けが行われることとなりましたために、発行額も逐年増加をいたしまして、二十六年度は六十八億円、二十七年度は百十六億円、二十八年度は百八十七億円、二十九年度は二百億円、三十年度は二百六十一億円と相なっておりまして、三十年度末の発行残高は四百三十億二千六百万円に達しておりまして、総資金の六割八分を占めているのでございます。なお三十年度発行残高のうちに、利付債は二百七十四億一千六百万円、それから割引債は百五十六億一千万円と相なっております。  それから預金につきましては、昭和二十五年以降は、資金の大半が債券発行によってまかなわれてきたことと、また二十八年十二月には六十六億三千万円に及んでおりました政府指定預金が、その後逐月引き揚げられることとなりましたために、総資金に対する預金の割合は、二十七年度が三割七分、二十八年度末が二割七分・二十九年度が二割三分、三十年度が二割二分と・かように漸次低下を示しているのであります。このうち、組合等のいわゆる系統預金は、二十九年度末が五十二億七千万円、二十八年度末が六十四億八千万円、それから二十九年度末が七十九億三千万円、三十年度末が九十二億三千万円余でありまして、年間十二億円から十五億円程度増加いたしているのでありまするが、総資金に対する割合ではほとんど変化がなく、一割五分前後にとどまっている現状でございます。  次に借入金につきましては、戦後債券発行が停止されていた時期には、借入金に対する依存度はかなり高く、二十五年三月末には、運用資金量の三割に及んでおりましたが、以後、債券発行の復活に伴いまして、資金源の充実を見ました結果、借入金に対する依存度は低下して参りまして、二十八年度末には四十億九千万円で、総資金に対して八分九厘、それから二十九年度末には二十六億一百万円で、四分九厘、それから三十年度末には十二億九千万円で二分二厘と相なっているのであります。なお二十九年度借入金二十六億一千万円のうち二十億円は、従来一般会計から当金庫貸し付けられたのでありまするが、二十八年九月に中小企業金融公庫が発足いたしました。その発足に伴って同公庫からの借入金に振りかえられたものでございます。同借入金は、三十年七月に十億円を返済いたしているのでございます。  それから最後に、二十九年度及び三十年度の損益の状態を御説明申し上げますると、二十九年度の総益金は六十八億三千万円余、総損金が六十五億一千二百万円でございまして、差引剰余金は三億一千八百万円になっております。これに前期繰越金を若干加えまして、当期剰余金は三億二千二百万円ということになっております。その剰余金の処分は、いわゆる優先出資の消却準備金に六千六百万円、それから優先出資配当金に二千七百万円、その他諸積立金に一億五千九百万円を充てました以外に、普通出資に対しましては年五分の割合で配当をすることといたしまして、その分として六千五百万円を充てまして、四百万円を後期に繰り越したのでございます。  次に三十年度におきましては、総益金は八十一億四千八百万円、総損金は七十八億一千七百万円でありまして、差引三億三千万円余の剰余金を計上いたしまして、これに前期繰越金を加えて、当期の剰余金は三億三千四百万円と相なったのでございます。その剰余金の処分は、優先出資の消却準備金として六千六百万円、それから優先出資配当金として二千二百万円、その他諸積立金として一億七千万円を充てましたほかに、組合普通出資に対しましては前年度と同様に年五分の割合で配当を行うことといたしまして、この分として六千四百万円を充てまして、一千万円を後期繰越金といたしたのでございます。  大体概況は以上申し述べた通りでございます。  次に会計検査院から御指摘になった事柄について弁明をお許しを願いたいと存じます。  検査院ではいろいろの点が指摘がありますが、一つは貨付先の北海道の澱粉協同組合連合会、これに対しての貸付は不当ではないか、第二は、北海道の肝油工業協同組合、これに対する貸付も不当ではないか、最後に北海道の札幌支所貸出の延滞の状況相当に多いのじゃないか、これらの点が御指摘になった点でございます。一応とれらの点について弁明をお許し願いたいと存じます。  まず第一に北海道の澱粉協同組合連合会、これは道内の各地区に存在しておりまする十一の協同組合の連合体で、これら傘下の組合は千数百の組合員を擁しているのでありまするが、当金庫は毎年度これら業者の原料買付等に要しまする資金貸し付けてきたのでございます。会計検査院が御指摘になりました担保手形振出人の日栄株式会社、これは資本金はまことに御指摘通り百万円のものでございまするが、その実態は、小樽の商品取引所会員でございまして、澱粉水あめ等を取扱い、年商——一年間の商売が五億円に達しており、地元一流の地位にあったために、本連合会は澱粉水あめ等の大口荷さばき機関としての立場から、日栄株式会社に大口売り込みを行う関係にあったのでございます。担保手形はこの両者の取引から生じたものでありまするが、金庫手形を受け取るに当りましては、主要取引銀行及び興信所による調査の結果として、信用状態が良好であり、連合会の資金繰りも十分検討を加えて貸付を行なったのでございます。連合会が日栄に対し大量取引をなす関係から、貸付が漸次大口化して参りましたことも、まことにやむを得ない次第であったと存ずるのであります。しかるにその後秒砂糖の輸入の増大等によりまする澱粉の市況が悪くなった、こういうような関係から、地元の業界はあげて資金繰りが窮屈になりまして、融通手形による資金操作を行うように至ったのでございまして、結局日栄株式会社昭和二十八年五月に倒産するに至って、連合会もまた資金の返済が著しく困難となって、ついに延滞を生ずるに至ったのでございまして、この点はなはだ遺憾に存ずるのでございます。  次に北海道肝油工業協同組合の点でございまするが、この組合に対する貸付金は、道内の零細肝油粗製業者の精製肝油共同設備の設備資金として、国庫及び道の補助金のほか、当金庫から貸付けたものでございます。そのほかに粗製肝油の買い取り資金として貸付けた、両方でございます。しこうして会計検査院が御指摘になったように、担保手形振出人のローヤル水産株式会社、これはまことに資本金が百万円の小さい会社でございまするが、その実態は、わが国肝油の主要貸付先の米国五大肝油取扱い業者の一つでありまするところのノブコ・ケミカルと申します会社の日本の代理店でありまして、またインターナショナル・フィッシャー、この会社の代理店を兼ねておりまして、昭和二十六年度の取扱いの実績は、全国生産量の三割を占めておりまして、組合の大口売り込み先でありました。当金庫担保手形はこの両者の取引から生じたものでありまするが、当金庫手形を受け取ります際には、取引銀行等により信用調査をいたしました結果も良好でありまして、道内産業の維持育成、並びに輸出振興に寄与するところが少くないと考えて貸付を行なったのでございます。しかるに輸出好調時におきまするところの生産設備の乱設が原料の買いあさりを招きまして、原料高、いわゆる原料高製品安となりまして、これに加えて昭和二十七年度下半期に至りましては、濠州の合成ビタミンが米国に進出をいたしまして、日本からの輸出が急減いたしましたため、輸出内需ともに業界は衰微の一途をたどりまして、昭和二十八年六月にローヤルの手形が不渡りとなり、ついに倒産するに至ったのでございます。組合もその結果、これがために資金の返済が困難となって、ついに延滞を生ずるに至ったのでございます。なおその間に組合運転資金を設備の方に流用固定したという等の事情もありまして、ついにこういう状態に相なりましたことはまことに遺憾と存ずるのでございます。  それから、両会社状況は以上申し述べた通りでございますが、全般的に札幌支所の延滞状況会計検査院の御指摘通りに、非常に相当に悪いことは事実でございますが、これは北海道における貸付対象が原始産業に近いものが多く、かつ内地産業に比べまして、地理的にまた経済的に劣勢を免れ、ざるにかかわらず、地方の進展をはかりますためになるべく貸付をしたい、かように努力して参りましたのでございます。そこで昭和二十七年、二十八年の両年度にわたりましては膨大な資金の需要がありまして、その資金需要にこたえて、年間の件数が五千件ないし六千件、金額がそれぞれ百億円に上る貸付を行ったのでございまするが、当時としてはわずかに札幌の支所一店のみをもってこれに対処せざるを得ず、かつ人員の充実も急速にははかることができないような事情にありましたので、貸付に関する調査管理等に多少不十分な点があったことは申しわけないと考えております。  そこでその事後の措置はどういうふうな措置をして参りましたかと申しますると、まず事務的の改善をいろいろ加えて参りました。債権の回収にいろいろ努力して参りましたことは申すまでもないのでありますが、そのほかに事務的の改善と、それから当時の責任者に対してどういう措置をとったかということを簡単につけ加えて申し上げたいと存じまするが、ただいま申しましたように、北海道一円は非常に広くて、店舗がわずかに札幌一つでは、なかなか管理をやるという点についても、貸出調査をする等についても遺憾がありまするので、昭和二十八年の八月に函館に店を設けました。それから翌年の二十九年の九月には帯広に店を設けまして、今後はできるだけ善処をいたしたいと考えておりまするのでございます。  それから札幌の支所の陣容の強化について申し上げますると、昭和二十九年の三月にその支所長を更迭をいたしまして、札幌の店は商工中金としては一流の店でありますが、そこの支所長から格のずっと下っておりまする新潟の支所長に転任をさせました。それから人員の増加相当にはかって参りました。すなわち昭和二十六年三月から昭和二十八年の五月に二十名ないし三十七名でありましたが、現在札幌、函館、帯広の三支所合計いたしますと、九十二名程度に増員をいたしておりまするのでございます。特に調査管理の担当者を充実することに努めて参りました。  それから融資並びに管理の対策といたしまして、実地調査を一そう厳重にいたし、それから手形事故の予防、特に特定商社振出手形の集中取り込みによりまする事故の防止、こういう点については格段の注意を払うように措置をして参っております。それから本所といたしましても、検査部、この役づきの職員を増員し、その機能を拡充強化いたしました。また新たに本所に調査部というものを設けまして、一般経済調査並びに業務調査を行いまして、随時これらの資料を全店舗に配付いたしまして、経済動向の把握並びに貸付管理上の参考に供しようと考えて参ったのでございます。  それから当該責任者に対する措置はどういうふうにしたかと申しますと、ただいま申しましたように、当時の札幌の支所長に対しては厳重戒告をいたしまして、そして戒告の上に、札幌から先ほど申しましたように、新潟の支所長に配置がえをいたしました。それからさらに昇給等についても十分に考慮して、減額をいたすような措置を講じて参りました。  検査院の御指摘の点は、一応非常に私どもとしても遺憾の点と存じまするが、大体こういうような事情で起ったことを御了承を願いたいと存じます。
  22. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。御質疑のある方は、順次発言をお願いいたします。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間の関係上ごく簡単に一、二お尋ねをいたしますが、昨年の十二月に、第二十五臨時国会において本院並びに衆議院におきまして、中小企業の年末金融という問題を取り上げて決議をされたわけでありますが、商工中金あたりは最もその点について大きな関心を持たれ、また当然措置をすべきであったと思うのでありますが、これについて簡単でよろしゅうございますから、具体的な報告を御説明願いたい。
  24. 安田元七

    参考人安田元七君) かわりまして申し上げます。  いろいろ年末に御決議をいただいたうちにおきまして、商工中金につきましては、年末には一つ事務を迅速にやるようにという点があったと思いまするが、そういう点につきましても、特に支所長等にも指令いたしまして、万遺憾なきを期したわけでございます。また零細金融につきまして信用組合を十分利用するようにというたしか決議があったと思いまするが、その点につきましては監督官庁とも御相談いたしまして、信用組合に代理制度を設けるということで、大体全国の信用組合の六十五店舗につきまして私どもの方の代理貸しをしてもらうということで、その制度も確定いたしまして、先般各信用組合に通知いたしまして、現にそれで動いておるのでございます。
  25. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点、これは別の問題でありまするが、今御指摘の、並びにまた御説明の、札幌の例の手形の問題でありますが、この一支所長といいますか、支所の権限というものは手形割引等については特別な内規等もあるのでございますか。
  26. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) もちろんございます。
  27. 安田元七

    参考人安田元七君) 私から……大体支所長にまかしてありまするところが二百万円程度で、それ以上につきましては本所へ、審査部の方で合議をさせまして、それで審査部の方から指令が出て、出すと、こういうことになっております。
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、日栄株式会社並びにローヤル水産の両件については、むろん本所に報告があって、これは本所が承認をしてやったわけですか。
  29. 安田元七

    参考人安田元七君) そういうことになっております。
  30. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 村瀬さんからいろいろ御説明がありましたけれども、われわれの常識から考えまして、わずかそれは金額が百万円のものが、片一方は七千七百万円、それから片一方は一億一千三百万円というようなものを、かりに一年の売り上げが五億あろうが、十億あろうが、とにかくそれに一割に近いものが簡単に本所でこれを認めるということ、それからこれについては何か北海道澱粉協同組合なりあるいは北海道肝油工業協同組合なりが何か保証手形でも入れるとか、あるいはまたそれに関連する個人手形を保証に入れるとか、何かそういうことはなかったのですか。
  31. 安田元七

    参考人安田元七君) あの当時非常に商工中金の仕事がおそいということ、これは全国的にさようなことが問題になっておりましたときに極度契約という新しい制度を設けまして、その組合とあるワクの範囲内において契約をする、そうしてその契約につきましてはあらかじめ木所の方の承認を受ける、その範囲内でありまするなれば手形割引支所長でやる、かようなことに相なっておったのでございまし  て、従いまして、ただいま御指摘通り本所の方につきましても遺憾の点のあったことは確かだと思いまするが、その極度契約という形におきましても、この極度契約を、先ほど理事長から申しました通り、取り込み人、振り出し人、別に制限をするというふうな事柄をもう少しやっておればよかったのではないかと思いまするが、その当時はそこまで至っておらなかった事柄が、今申し上げたようなことに相なった一つの原因かと思うのでございます。
  32. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それは民間からいえば、事務的にいうならば、むしろ私はこれは無謀なことだと思うのですが、これについて何か特別に政治的な圧迫とか、あるいは政治的な立場でこうやらざるを得なかったというようなことは、これはあなたの方でもしあっても、ざっくばらんに御答弁できるかどうか知りませんけれども、この点はいかがですか。
  33. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) その点は特に注意して調べましたが、そういうことは全然ございません。またそういう点が全然ありませんから、処置をする場合、まあ厳重に処置をいたしますからどうぞ……。
  34. 久保等

    久保等君 これは回収にもちろん鋭意努力をしているのでしょうが、特に後者の場合については回収見込みが大体可能と言われておるのですが、ほぼそういったことについて具体的にどういう確信が……。
  35. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) 今お話のように担保物件の処分とか、それから手形の振り出し人に対する追求、それから保証人に対する追求等により、回収に鋭意努力はいたしておりまするが、ただいま御指摘通り澱粉協同組合の方はある程度回収はできるかと思いまするが、肝油の方はお話の通り非常に困難のような状態に相なっております。しかし、なおできるだけ努力をいたしたいと、かように考えております。
  36. 久保等

    久保等君 これだけの焦げつきというと、その間に何か刑事的な問題なり、あるいはまた何かそういう問題が今日継続しておるような事実はないのですか。
  37. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) その点は特に調べましたが、そういった点は全然ございませんです。
  38. 久保等

    久保等君 やっぱり何かお役所仕事的で非常にのんびりしたちょっと常識で考えられないような非常に放漫な貸付をやったように考えられますが、確かに当初のころはいわばはなやかな取引がなされて、相当資金の回りなんかも活発で、表面的には相当信用せられるような状態にあったかと思うのですが、実態の調査の仕方が非常に甘かったということだったと思うのですが、あとから見ると、なるほど資本金百万円に対して一億円余りの貸付で焦げつきができたなんということは、これはどうも普通の金融機関、特に民間の金融機関なんかの場合だったらあり得ない事態ではないかと思うのですが、非常に何か常識離れのした融資をやったきらいがあるのですが、会計検査院でも指摘せられておりますように、貸付後の管理が非常に怠慢であって、目的外に使用せられていること自体も長期にわたって知らなかったということを指摘されておるのですが、まことに遺憾であったといえぱそれ切りの話ですが、いつごろから最初は貸し付けて、いつごろからこの状況が非常に悪くなってきたのか。当時はわからなかったとしても、今はわかっていると思うのですが、その当時若干、数年間の経過を御説明願えませんか。
  39. 細井次郎

    参考人細井次郎君) 簡単にお答えいたします。北海道澱粉協同組合連合会に対する貸付は、二十五年の十二月、五百万円の貸付を初めといたしまして取引を反復継続しております。それから肝油工業協同組合に対する貸付は同じく二十五年の九月から取引を開始いたしまして、肝油組合がローヤル水産の倒産の影響を受けまして店を閉めるまででございまして、二十八年の六月、これで肝油組合に対する取引はストップしております。そういう状況であります。
  40. 久保等

    久保等君 澱粉の方は。
  41. 細井次郎

    参考人細井次郎君) 澱粉の方は二十八年の十二月まででございます。
  42. 久保等

    久保等君 それで両方ともなんですか、結局ぶつつぶれるまで知らなかったということでございますか。
  43. 細井次郎

    参考人細井次郎君) お答えいたしますが、両方とも二十八年に入りましてから、澱粉については日栄、肝油組合についてはローヤルの状況が今までのようにはいっていないというようなふうに現地の方で判断をいたしまして、だんだんと内密に調査を進めておったような次第であります。ただこれをどうするかということについての結論でありますが、いきなりストップすべきものか、あるいはなお援助を続けていくがよろしいか、その辺の最終的な判断がつかないうちに、澱粉については日栄が倒産する、肝油組合についてはローヤル水産が手をあげる、こういう状態に入ってしまったのでございます。
  44. 久保等

    久保等君 先ほど北海道方面支所の増置あるいは人員の面で増員等をやって、管理の面についての対策を講じたというお話があったのですが、支所の問題は、地方、北海道のみならず、ほかにも当然支所をお持ちになっているだろうと思うのですがね。非常にこの北海道に集中的にこういう二つの大きな事故を起してしまったのですが、全国的にもそういったようなことについて特別な措置を講じられておるのかどうか。それからまたほかの方面にもこういうとにかくずさんなというか、非常にのんびりしたことをやっていると、これはやはり事故があとからまた出てくる可能性も考えられるのですが、他の方面に対しての何か対策等もお立てになっておるのかどうか、あわせて一つ、この問題だけでなくて、お聞かせ願いたいと思うのですがね。
  45. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) 今、店は五十三ございます。そしてほかの店についても、お話がございましたように、十分に措置を講じて参っておりまして、別にほかの店については問題になる点はございません。
  46. 久保等

    久保等君 ということは、結局現在においては、貸付後の管理等については、十分に実態把握が常時できるような態勢が、今でき上っておるということですか。
  47. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) 大体そういうふうに努めております。大体そういうふうになっていると思います。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 久保さんの質問に関連して詳しく聞きたいのですが、澱粉連合会の方に貸付が始まったのは二十五年の十二月である、こういうお話ですが、二十六年にはどのくらい貸し付け、二十七年にはどのくらい貸し付けたのですか、数字をあげて説明してほしいのです。
  49. 細井次郎

    参考人細井次郎君) 残高で申し上げますと、北海道澱粉協同組合連合会に対する貸付残高でありますが、二十六年の十二月は五百万円、それから二十七年の十二月は一億三千六百万、二十八年が一億六千四百万円、それから肝油工業協同組合に対する貸付は、二十六年の十二月が一億四千四百万円、二十七年の十二月の貸付残高が二億百万円でございます。
  50. 高田なほ子

    高田なほ子君 澱粉連合会の方は、二十五年の十二月に五百万円貸し付けたんでしょう。
  51. 細井次郎

    参考人細井次郎君) そうでございます。
  52. 高田なほ子

    高田なほ子君 二十七年にはどれだけ貸し付けたのですか、貸し付けたのはどれだけですか。
  53. 細井次郎

    参考人細井次郎君) こまかく申し上げます……。
  54. 高田なほ子

    高田なほ子君 こまかく言わなくていいのです。二十七年にはどれだけ貸し付けてあるかということです、澱粉工業会に対してね。
  55. 細井次郎

    参考人細井次郎君) ちょっと月別に出してございますので……。
  56. 松岡平市

    ○松岡平市君 そういうものをそこで出すのでなくて、詳細に両件について、貸付、返還、その状況を文書にして提出していただきたい。
  57. 細井次郎

    参考人細井次郎君) そういたしますと、貸付額、資金の用途……。
  58. 松岡平市

    ○松岡平市君 それから返還の額、どういうふうに貸し付けて、どういうふうに返還したかといういきさつを、これは相当大きいのです。で、ちゃんと順当に返還されたものなら返還されている、あるいは手形を、幾月の手形を出したのだということの取引が、両社ついて詳細にわかる資料を委員会に出していただきたい。委員長に要求いたします。
  59. 三浦義男

    委員長三浦義男君) よろしゅうございますね、今の資料。
  60. 久保等

    久保等君 その資料になお追加して、今いった日栄という、何ですか、会社ですか、それからまたローヤル水産という会社ですか、こういった要するに貸した相手方の、一体どういう人的な構成で、いつごろからできたものなのか、そういったような状況もわかるように、一つ資料を出してもらいたいということですね。
  61. 三浦義男

    委員長三浦義男君) よろしゅうございますね。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 私が今質問した趣旨は、倒産に至る、二十七年から二十八年にかけての業界の不況であるにかかわらず、貸付金というものが非常にふえているように私には考えられる。そういう業界の不況にかかわらず、貸付がふえているということについて、非常に不思議に考えるので、松岡さんからも御発言があったから、私は詳細な資料をお願いしたい。
  63. 安田元七

    参考人安田元七君) 澱粉工業というものの北海道における重要性というようなところをかんがみまして、先ほど理事長から申し上げた通り、砂糖の輸入で澱粉が非常に価格が下って、苦境に陥ったという事情があったわけでございまするが、何とか北海道における地方産業としての澱粉の産業をもり立てたいというふうな、さような希望で、申し上げたようなふうな事態に相なったのでございます。
  64. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると、あなたの方の金庫で、単なる経済上の、金を確実に返すか返さぬかというようなことの顧慮のほかに、北海道の澱粉工業のために特別な考慮を払ってやった、それがこういう結果をもたらした、こういうことになるのですか。
  65. 安田元七

    参考人安田元七君) お話しのような趣旨で考えておったのでございまするが、事志と違ったような事態になったのでございます。
  66. 松岡平市

    ○松岡平市君 事志と違ったとおっしゃるのですが、それは金庫独自の御判断に基いて、北海道の澱粉工業を育成するためには、相当な危険があっても、商工中金というものの使命は、そういう場合は危険を冒してもそういうふうにしてやらなければならぬという考慮をあなたの方の、金庫自体の、あなた方がそういう判断に基いてそういう金融取引をしておられた、こういうふうになるわけですが、それでよろしゅうございますか。
  67. 安田元七

    参考人安田元七君) 危険を冒したというお話でございまするが、先ほど来理事長からも申し上げた通り、日栄商事というものにつきましては、当時商社というものは相当資本金はわずかででも、大きな仕事をやっておったのでございまして、先ほど申し上げた通り、その日栄というものについての判断について、なお、あめ業者の方にも、日栄商事が大口に売っておった先でございますので、私どもは日栄というものを信頼しておった、こういうふうに御了解願いたいと思うのでございます。
  68. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうも一番初めからのお話とちょっと私は矛盾してきたことを発見してきたのです。あなたの方は、支所のいろいろな人員や何かで十分気がつかなかった。従ってそれを是正するために、今度は人等もふやし、そして十分そういう危険のないようにするようにした、こういうふうに一応お話しになったと思う。ところが、今お話を聞くというと、人があろうとあるまいと、そういう人間がおろうがおるまいが、中金の中央部において、ある産業の育成ということを考えて、北海道澱粉工業というもののために、催促すべきものを、今言う危険どころじゃない、結果からは非常に損失を招いたわけです。そういうことを考慮して督促すべきものを督促しないで、貸出に多少の危険を感じても貸し出した、こういうことをあなた御自身ここで言っていらっしゃるわけですが、金庫がそういうふうな特別な考慮を払われるについては、何らかその工業者かあるいは他の者が、特に北海道の澱粉工業について金庫が特別な考慮を払わなければならぬようないろいろな示唆を与えたとか、制限をしたとか、こういうことがあったんではないかということが直ちに考えらる、そういうふうに私たちは考えざるを得ないようなふうな御答弁なんです。そういうこともなしに、あなたの方の商工中金というものは、そういうふうな政治的ないろいろな考慮をして金融をしておられるのかどうか、これははっきりしておいていただきたい。
  69. 安田元七

    参考人安田元七君) それは先ほど理事長から申しました通りさようなことは絶対にないのでございまして、私の言葉が非常に足らなかったかとも思いまするが、根本的にはかような結果になりましたのは、人員の不足なり、あるいはまたその調査も、大きな地域において支所が一つしがなかったというところにあるわけでございまするが、しかしながら、この澱粉工業というものは、業者も千数百名もおり、なお北海道の主要な地方産業でありまするので、これについては何らかでき得るなれば私どもは応援いたしたいという意図も作用したというふうに御了解願いたいと思うのでございます。
  70. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうもあなたは言葉が足らぬのじゃなくて、私は少し多過ぎると思うんだが、一番しまいの商工中金というものの立場から考えて、いろいろ金融をやかましく締める場合もあるだろうし、それからまあ多少手ごころを加えるという場合もこれは当然あると思う。しかし、それがある一つの工業あるいは地方産業というようなことについて、あなたの方が独自の判断で、それで今言うように、北海道は澱粉の問題は重大な地方産業でもあるから、多少ゆるやかに金を貸しておるというような方針をそのときはとっておられた。こういうふうに、これも一つの理由だとおっしゃる。そうするというと、今日もなお地方の産業というようなものをあなたの方で判断されて、あるものは非常にやかましく、貸出をしない、あるものについては相当そういうふうに手ごころを加えてゆるやかに貸出をしておるというようなことでそのときあったんだから、今日もなおやっておられるというふうに私たちは一応理解せざるを得ないと思う。そういうことをやっておられるかどうか、そのときはやっておられたとあなたは言っていらっしゃるのだから、今日もやっておられるのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  71. 安田元七

    参考人安田元七君) 地方産業の維持、育成という点は私どもの主義、方針といたしておるところでございまするが、しかし、それによって手ごころを加えるというふうなさような考え方はいたしておらないのでございまして、その当時におきましても手ごころを加えるという意味でいたしたのではなくて、先ほど来いろいろと申しましたいろいろの理由によってかようなことに相なったというふうに御了解願いたいと思うのでございますが。
  72. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうも初めのままのことならいいけれども、あなたがあとから澱粉工業というものは北海道の特別な重要な産業だから、そういうことも顧慮してこういう結果になったのだとか、そういうことをつけ加えられるから、それは今言うように北海道の澱粉工業は重要であって、そういうところにぜひこれらの発展のために商工中金が金を貸して下さることはわれわれも希望するところである、希望するところであるが、そのためにあなたの方がこういう事態を起すようなことの原因がそこにあったのだという理由をそこにつけられることは、私たちはちょっといささか奇異の感を持つわけです。これはあなたの方が商工中金の業務上の怠慢であった、あるいは不注意であった、あるいは人の不足のためにこういうことになったのだということでお話しになれば、われわれもこれをなぜそういうことであったかということ以上に言いようはないと思うけれども、特別に重要産業であるから、それもこういう理由の一つであると、こう言われるというと、これはちょっと私たちはもう少しいろいろなお話をお伺いしなければならぬと私は思うのですが、その辺のところを、今はそうでもないように言っていらっしゃるが、そこらはどちらであるかお伺いしたい。
  73. 安田元七

    参考人安田元七君) 言葉が足りなくて、また言葉が非常に不適当であったので誤解を生じたのかとも思いますが、先ほど非常にたくさん貸しておったというふうなお話もあったので、五百万であったのが一年のうちに一億にもなったということについてどういうことかというふうな御趣旨もあったので、これについては北海道における産業の重要性、澱粉の重要性という意味を申し上げたのでありまして、全くその地方産業の維持振興ということは私どもの主義方針といたしておるところではありまするが、しかしながら、だからといってその地方産業特殊のものについてルーズにやるというふうなさようなことは考えておらないので、この点をさよう御了承願いたいと思います。
  74. 松岡平市

    ○松岡平市君 まあ大体話がだんだんわかってきましたが、そうすると結局貸付額がこういう多額に上った、資本金の小さい会社にもかかわらず、多額に上ったのは、北海道の澱粉工業というものは重要産業であり、非常に取引が大きくて、その大きな取引を今あげられておる会社等がやっておったのだから、相当多額の金を貸すことも、その当時は別に不都合でなかったのだ、こういう判断であったということを言っていらっしゃるわけですか。
  75. 安田元七

    参考人安田元七君) 大体さようでございます。
  76. 松岡平市

    ○松岡平市君 それならそれで了承できるわけですけれども。
  77. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今、松岡委員指摘をした通り、私の質問とそれからあなた方の御答弁が非常に食い違っているのですね。ということは、さっき理事長から、支所の人たちの処分をしたと、こうおつしゃられるのだが、私はその支所の責任は一体どの程度までかということを質問すると、大体二百万円までだ、それ以上は本所でやられるのだということで、むしろ責任はそういう意味においては本所の人たちがとるべきであって、そうして支所だけが責任をとるべきじゃないのじゃないか、そういう点が何か非常に食い違っているのですが、これ以上の質問はいたしません。これはいずれ三十年度で質問します。
  78. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) 今お話しの、今各所の委任の何が……。それは各所は自分の単独でやれる、委任なんです。それから、それ以外のものについては、もちろん支所は全面的に調査をして、そうして本所の方に進達して、本所の方では大体書面の審査をしてやっていくから、まあ中心はやっぱり支所の方で全面的に調査して、それを信用してやっていく、こういう建前になっておりますから、だからやっぱり支所が非常な重要な役割を占めておるという点は変りがないと存じます。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような御説明があると、どうもいま少しただしてみなくちゃならないと思うのですが、二百万までが限度ですか、支所限度は……。
  80. 村瀬直養

    参考人村瀬直養君) これは非常にグレードがありまして、支所の地位、それから取引種類等によって非常に区別が複雑になっております。大体を申しますと札幌については二百万……。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 それ以上に何倍か貸し出しているわけですね。そのときの責任の所在というものは、これはどこにあるとお考えになりますか。それから今の御説明だというと、いろいろ調査したり、それから向うの申告と、そういうものが重要な基礎になるので、書類審査をやるだけで、あとはもうこっちで認めるのだ、こういうことなんですが、こういう形でやっぱりいろいろなことが起っているわけです。しかし、これは責任の所在だけは明確にしておかなければならない。つまりめくら判を押したからその上司の、上の人は責任がなかったというようなお話になるわけです、今のお話によると。それは大へんなことだと思うので、中央としては責任はどうお考えになっていらっしゃるのか支所長を処断した、厳重にこれを処断したということになるのですが、私はどうもお聞きしておって、支所長を処断しただけでこのことをお考えになるとすれば筋違いになっているのじゃないかと思いますが、責任の主体の問題、この点を伺っておきます。
  82. 安田元七

    参考人安田元七君) 先ほどちょっと極度契約についてのお話を申し上げたのでございまするが、その当時には中金の仕事が大へんおそいというので、非常によくわかった組合につきましてはある程度のワクというものを設けまして、その範囲内におきましては支所長において専決できるというふうなさような制度を設けておったのでございますが、さようなためにも、大体その組合についての調査、あるいはまたどういう程度のワクにするかという、そういうようなことにつきまして十分に私どもの方も、本所の方におきましても注意をいたしたのでございましたけれども、さようなときにおきましてかような事態が起ったのを契機にいたしまして、その後さっき申し上げました通り振出人の手形につきましても、振出人別に制限を設けるというふうな処置もその後いたしておるのでございまするが、しかしながら、根本的にはお話の通り、本所においても大いにこれは責任を感じておるというふうに私御了解願ってけっこうだと思います。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは当然そうだと思いますね。形式は書面審査ということで、向うから申請してきたから貸したので、貸したやつは責任がないのだ、こういうことでは責任の主体というものは非常に不明瞭だと思います。そういう点で、やはり私は中央の責任の所在等も明らかにさるべきではないかと思います。  もう一つお聞きしたいのですが、これは何か貸し例れ準備資金というようなものはあるのですか、これはどの程度になっておりますか。
  84. 安田元七

    参考人安田元七君) 毎年設けておるのでございますが、その当該年度のあれはちょっと……。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体どんな額ですか。
  86. 安田元七

    参考人安田元七君) 二十九年度では二億九千万でございます。三十年度は三億六千九百万円でございます。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十一年度はどうですか。
  88. 安田元七

    参考人安田元七君) 三十一年度はちょっと資料を持っておりませんけれども、今決算しております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 二十九年度というと、準備資金のこれは半分ぐらい食っちゃったわけですね、この一件で……。
  90. 安田元七

    参考人安田元七君) 全部それで落したわけではないのでございまして、先ほど理事長から申し上げました通り、まだ物的担保もあり、また保証人の追求し得るものも残っておるのでございます。
  91. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると物的担保もあり、それから追求し得るものもあるというのは、二十九年の会計検査院検査で、今までに北海道澱粉協同組合連合会、それから北海道肝油工業協同組合、それぞれについて回収金額はどのくらいになりますか、この批難を受けたあとに回収した金額はどれだけあるかということを伺っているのです。
  92. 細井次郎

    参考人細井次郎君) お答えいたします。昭和三十年四月以降の状況でございますが、澱粉協同組合連合会につきましては約三百万円、それから近く担保物件の競売によりまして入金いたしますものが百八十万円、それから北海道肝油工業協同組合につきましては七百二十万円に相なっております。
  93. 松岡平市

    ○松岡平市君 それから先ほど私は資料を要求いたしましたが、そのときにあなた何か忘れたとか、安田理事の言われたことはよくわからないが、その当時貸付を促進するために、各組合ごとに限度をきめておった、ただしその取引の相手のことについてはきめてない、これはきめる必要があったのだというようなことを説明されて、何かよく知らんけれども、そのときにこの二つの協同組合について、あなたは幾らその限度を認めておいでになったか、これはわかっているだろうと思うので、これを御説明願って、それからそのときに全国というのもおやりになったはずだが、全国にどういうふうにそのときに、何とか制度というものをお作りになったとき、貸付限度をそれぞれの組合におきめになったわけでしょうが、これを一つ参考資料に明らかにしていただきたい。今さしあたりこの二つの組合についてそのときの貸付限度というものがどういうふうになっておったか、ちょっと御説明を願いたい。
  94. 細井次郎

    参考人細井次郎君) お答えいたします。北海道澱粉協同組合連合会に対する極度取引は五千六百万から一億二千万まででございます。それから肝油工業協同組合につきましては極度二千万から一億三千三百万までの間であります。
  95. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうするとこの二つの協同組合というものは、それぞれこの問題を起した日栄株式会社と、それからローヤル水産株式会社以外とはもう全然取引はしてなかった。少くとも手形割引いてもらうとか、商工中金に世話を願う取引というものは全然なかったということになる。金額からいって取引はなかったと、大体そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  96. 細井次郎

    参考人細井次郎君) 北海道澱粉協同組合連合会につきましては、主として日栄との取引によって連合会が取得いたしました手形を担保にいたしまして割引いたわけでございます。そのほかの販売先の振り出し手形も入っております。それから肝油工業協同組合につきましては大部分がローヤル水産の手形であったことは間違いございませんが、ほかの販売先の手形も入っておりましたわけであります。
  97. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると先ほど安田理事からお話になった事務の迅速をとうとぶために、各組合ごとに、その取引は別として、組合ごとにあなたのきめられた金融のワクは一億何千万、片っ方は一億ほどと言われておるけれども、一つの会社とこれくらい取引しておられる組合に、あなたの方はその限度をこえてやっぱり貸し出してあったという事実はあるのですね。今きめられておる限度をこして取引しておったという事実はないのですか。
  98. 細井次郎

    参考人細井次郎君) お答えいたします。澱粉連合会につきましての取引経過から見まして、先ほどお答え申し一上げましたように、極度契約を五千六百万から一億二千万ということを申し上げましたが、取引の販売数量が増加するにつれまして、極度——ワクを増加していったわけでございます。それでその間にこの極度契約に基く取引が反復継続された、こういう内容になろうかと思います。肝油工業協同組合に対する極度取引関係も同様の経路をたどっておりまして、先ほど申し上げましたように、当初二千万の極度でございましたものが、販売高の増加につれまして極度額をふやしていくということになるわけでございます。
  99. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると何ですか、この極度契約というものは、初めはまあ片っ方は二千万からスタートした。それから取引がふえればずっとそれは順次自由にふえていける組織なんですか、その極度契約というものは、大体説明を聞いておるというと、この事故を起した二つの取引先の取引額がずっと多ければ、多いままに極度契約のマキシマムになっていったと、こういうふうに考えられますね。どうもその金額から見てみて、私は帳簿を見てないからはっきりしたことは言えないけれども、極度契約というものは、何も三に制限があるのでなくて、取引をしさえすれば、相手方があって、手形を持ってくれば、それに対してはどんどんあなたの方は極度契約を認めてやる。二千万からスタートしたものが一億何千万になっても、取引さえしておれば認めると、こういう制度でございますか、極度契約というものは。
  100. 細井次郎

    参考人細井次郎君) お答えいたします。その取引の足取りはお話の通りになろうかと思いますが、極度金額の設定につきましては、販売高でございますが、販売高をやはり当時としては、中心にとられておったのであります。それで業者の、澱粉については澱粉連合会、肝油については肝油工業組合の販売先に対するこの販売高の増加の趨勢、それから販売品の化体されました手形の入手状況等を中心にいたしまして、だんだんふえて参りましたので、現地の判断としては、正常に取引をしておるものと判断して、これに必要な資金を融通した、こういうことになるのでございます。
  101. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちっとも私は極度契約というのは何を押える……。先ほどのお話によると、支所長で専決できる貸付金額は二百万円だ、札幌に関する限りそういうものであって、それより以上のものは本部でやることになっておる。ところがこういう事態が起ったのは、その当時貸付がおそいという非難があったから、組合ごとに極度契約というものを、ちゃんときめたワクを、そのワクの中では自由にやらせることにしたのだ、こういう御説明があったと私たちは理解しておる。ところがその極度契約は、取引高が多くなれば、販売高が多くなれば勝手に向うがふやしていってもいい、こういうふうに極度契約も何もない。この場合においては支所長の権限を、二百万円から一億何千万円の貸付まで自由にさせるということにしてあったのだという説明とちっとも違わぬと思う。何を言っておられるかわれわれには了解できない。
  102. 安田元七

    参考人安田元七君) 極度契約につきまして申し上げますると、最初五百万円、それが極度契約の改訂というふうに、たとえばそれを一千万円にいたしまするについては、取引数量が多くなったということとか、あるいはまた売れ先きがふえたとか、いろいろの情勢を本所へ言って参りまして、本所で五百万円であったのを一千万円が適当と認めれば、一千万という極度契約の改訂ということの承認をいたすというわけでございまして、極度契約が漸次ふえたことにつきましては、支所長だけで勝手にやれることでなくて、本所の方において認可をいたしてやらしておる、かよう御了承願いたいと思います。
  103. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると極度契約は、初め二千万からスタートした、そのときは一千万円までは支所長が本社の意向を聞かずに貸し付けることができるようもなワクを設定されたのですか、もう少しはっきり一つわかるようにして下さ、い。
  104. 安田元七

    参考人安田元七君) その点は、手形の振出人でございますね。振出人を限定いたしまして、日栄商事とか何とか商事の手形については、二千万なら二千万、それについては日栄商事の取引関係官がどのくらいあるかということを見まして、二千万円なら二千万円という極度反契約を承認する、かようなことでございまして、先ほど申し上げましたのは、その振出人についてももっと制限をする、たとえば二千万にいたしましても、日栄は三百万とか、それ以外のところは四百万というふうなことをその当時にやっておればよかったかと思いまするが、その点は抜けておったのでございますが、ただ・しかし振出人につきましては、どこそこどこそこという制限はいたしておるのでございます。
  105. 松岡平市

    ○松岡平市君 そういう極度というのは、あなたの方の相手方、組合に極度をきめられたのですか。
  106. 安田元七

    参考人安田元七君) そうでございます。
  107. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記とめて。    〔午後三時三十七分速記中止〕      —————・—————    〔午後三時五十五分速記開始〕
  108. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題でもう一つ考えていただきたいのは、やはり一億以上の金ということになりますと、小口の——五十万というような小口の要望というのは非常に多いと思うのですが、するとこれは二百件ですな、そういう小口の要求を二百件まかなうことのできる金なんです。従ってそっちの方でこういう形でロスをやっちゃったために、二百件の中小企業の人がやはり借りる権利を失っておるのです。そういうことを考えていただきたい。運用の仕方ですね。ほんとうに切実な中小企業の、ことに零細な業者では金がほしいのです。金はこういうところにいかないで、大口のところにだけいく、そういう形で運用されて、その打撃のために中小企業の実際要求というものは踏みにじられている結果になっている。これは意図するかしないかという問題じゃない。客観的にそうなるのだから、そういう点での責任はもつとこれは私は深くお考えになる必要があると思うのです、そういう点は。
  110. 安田元七

    参考人安田元七君) ただいまのお話でございますが、これは先ほど申し上げた通り、誤解はないかと思いまするが、澱粉については十一の組合の連合会に貸したのでございまして、それは業者にいたしますと、手数百人に相なるわけでございます。また肝油の組合につきましても、貸しましたのは組合一カ所でございますが、組合員は零細な肝油の業者でございますので、この点は誤解ないようにお願いいたしたいと思います。
  111. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 他に御質疑ございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御質疑はないと認めます。  速記をとめて。    〔速記中止
  113. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  では、商工組合中央金庫の分につきましては、資料の提出を待って、次の機会にまた審議をいたすこととして、今日は一応ここでとどめたいと思いますが、いかがでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  115. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  次に、国民金融公庫の部を審議いたします。検査報告は報告書の三百八十九ページでございます。  本件につき御出席の方は、上村会計検査院第五局長、櫛田国民金融公庫総裁、服部国民金融公庫総務部長の諸君であります。  まず、会計検査院から説明をお願いします。
  116. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 国民金融公庫につきましては批難事項としては掲載したものがございませんが、一、二御説明いたします。  二十年九度末におきまして六カ月以上元金の延滞しておりますものが五十億ばかりございまして、年度末の貸付残高の四百四億に対しまして十二%と、こういうふうになっておりますが、このうち主要なものといたしましては、更生資金貸付金が非常に多いわけでございまして、金額にいたしまして、前に申しました五十億に対して四五%、二十二、三億になるかと思いますが、あるわけでございまして、これは御承知のように相当零細な貸付で、焦げつきの状況にもなっておるような関係もございますので、適当な処置をお考えになることが適当ではないかということを記載してございます。  それから次に、国民金融公庫は、銀行その他一般金融機関からの資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対し小口生業資金貸し付けるということが目的になっておるわけでございますが、三十年四月から九月までの間におきまして、東京支所ほか十六支所検査をいたしました結果、大口貸付のうちには、銀行その他一般金融機関との間に多額の取引を行なっているもの、あるいは他の政府関係機関から貸付を受けているもの、多額の現金、預金等を保有しておりまして、経営状態等から見まして資金繰りに余裕があるのではないかと見られるものが相当ございます。これらは公庫目的からいたしまして、できるだけ抑制されることが適当ではないかというふうに考えまして、そういう点記載してございます。
  117. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、国民金融公庫から御説明を願います。
  118. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 二十九年度の国民金融公庫貸付状況につきましては、ただいま会計検査院の方から御指摘がありましたようなことがございましたわけでありますが、それにつきまして若干補足的に御説明申し上げて御了承を得たいと存じます。  二十九年度末におきましては、元金の延滞額が全部で二十三万三千余件、五十億余に上ったわけでありますが、先ほどお話がございました通り、その中の大部分は更生資金貸付、これは昭和二十一年、国民金融公庫の前身でありまする庶民金庫以来からいたしました、主として引揚者に対しまする貸付でございますが、現在におきましてその約七割余というものが延滞しておるような状況でございます。何分にも大へんに小口零細の金融でございましたのみならず、引揚者の方々のその後の経済状況その他がまだ十分に更生いたしておりません関係からかようなことに相なりまして、大へん残念に存じておりますが、なおこの点につきまして、最終的にいろいろな整理をいたさねばならぬかと存じておりますが、何分にも件数が大へん多いのでございますので、ただいま、やっとこの程度までの調査ができましたわけでございます。  大体、貸し付けた方でなくなられた方、また行方不明になられた方、それから生活保護法の対象になりまして生活保護を受けておられる方、これらの方々のを合せますと、大体二割見当がそれに該当するようになっております。で、それらの方々につきましては、少くとも何か最近の機会において最終的な処理をいたすのがよろしいのではないかと研究いたしておりますが、何分この貸付は、当初政府から都道府県経由で私どもの方に資金交付を受けた関係がございまして、その法律的関係その他につきまして、なお検討を要する点がありますので、その最終的処理を目標といたしまして、ただいま関係方面といろいろ御相談をいたしておる最中でございますので、この点は御了承願いたいと存じます。  なお、その他の貸付でございますが、主として普通貸付ということに相なります。普通貸付の方は大体回収の状況が大へんよろしゅうございまして、ことに最近に至りましては、経済界の一般的な好転といいましたことも影響があるかと存じますが、現在のところでは三%九の延滞率になっております。一昨年は大体五%見当でございましたが、現在三%九、なおとれらの管理状況でありますが、できるだけ早期回収に努めるとともに、私どもの建前といたしましては、どうしてもこれはお客さんと私どもとがともに生きていくという観点からいたしまして、何と申しますか、言葉は少し語弊があるかと存じますが、不幸にしてお客様の方で事業上の関係からいろいろ蹉跌とか、あるいは失敗なされたような場合におきましても、できるだけ御相談に応じて、細く長くと申しますと語弊があるかと存じますが、そういうふうな行き方で、逐次御相談の上でこの管理の実を上げていきたいと思いまして、まあできる限り努力いたしておるようなわけでございます。何分かようなことに相なっておりますことを遺憾に存じておる次第でございます。  それから次に御指摘を受けました点、これは普通貸付に関するものでございますが、御承知通り、私どもは銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする中小企業の方々に対して小口の営業資金をお貸し付けするのを念といたしてやっておりますのでありますが、そのお客様の中で、貸し出しましたうちで、あるいは一般金融機関との間に相当多額の取引があり、あるいは預金相当持っておる、あるいは他の政府関係機関、これは主として中小企業公庫でありますが、それの貸付を受けている対象につきましても貸し付けたということについて御指摘を受けました点、大へん恐縮に存じておる次第でございます。  二十九年度におきましては、公庫といたしましては、この普通貸付を、件数にいたしまして二十二万七千余件、金額にいたしまして三百八十億九千万円の貸付をいたしました。一件平均金額は十六万七千円に相なります。大体金額別に申しますと、そのうちで二十万円以下の貸出が十九万件、二百三十一億に相なりまして、件数におきまして八三%余、金額におきましては大体六一%というものを二十万円以下の貸付にいたしたわけでございます。それで現在は二百万円まで貸付ができるわけでありますが、五十万円を超え二百万円までの貸付が全体で約二千五百余件、金額にいたしまして二十四億円ほどに相なります。件数において全体の一%一、金額におきましては六%二という割合にいたしたわけであります。  御指摘がありました点につきまして申し上げますと、私どもの貸し出しいたしまする対象として、大体中小企業の何と申しますか、定義といいますか、資本金が千万円以下、従業員が三百人以下、こういったようなものが中小企業の範疇と申しますか、カテゴリーと通常いたされておりまして、大体その程度の方々に対してお貸しするというのは差しつかえないのではないかというふうなばく然とした基準を設けておりましたようなわけでありました。御指摘を受けました例を二、三申し上げますというと、あるいは中小公庫から一二百万円、ある場合には一千万円の設備資金として貸出をすでに受けておる向きに対しまして、運転資金として八十万円とか、あるいは設備資金として二百万円出した例がございました。この点もきつく御指摘を受けたわけでございます。そのときの事情を詳しく調べてみたのでありますが、一つは……。  その前に、言い落しましたが、会計検査院から東京以下十六支所の分につきまして御指摘を受けましたのは、全体におきまして百二十一件ございました。その十六支所におきまして直接貸しいたしました分は、全体で件数において八万件でございました。八万件、百四十五億の貸出を二十九年度においていたしたのでございました。その中で百二十一件、一億一千万円のものにつきまして——合計でございますが、御指摘を受けたわけでございます。  その一々を申し上げますとあれでありますが、二、三の例を申し上げようと思ったのでありますが、一つは、中小公庫との関係でございましたが、たとえば名古屋の支所におきまして、窯業関係貸し出した例がございました。その場合におきましては、その業者が輸出陶器をやっておりまする中小企業でございました。総額において二千五百万円の新しいかまを作る計画を立てまして、中小公庫から千万円、それから自己資金といたしまして大体五百万円見当、それから他の金融機関から八百万円見当でありましたか拝借すると、どうしても二百万円ほど足りないので、公庫ではどうだろうかというような御相談を受けたケースがございました。そういった場合にいろいろ名古屋支所においても考えたのでございましたが、この二百万円がありませねばどうしても所要のかまができ上りませず、そういたしますれば、せっかく東南アジア、その他等に対しまする輸出関係がスムーズにいかないのではないかというふうなことを考えまして、この二百万円を出したようなケースがございました。  それから、たとえばこれは東京で起きた例でございますが、会社の名前を申し上げますとあれでございますが、カメラ関係の新しい業者がございましたが、その場合におきましても、当初その会社は戦後早々でありましたが、十九万円の会社でスタートいたしました。これは有名なカメラ会社の技術を導入いたしましてやっておりました。その会社に対しましてはまだ一般に信用がつきません時代に、私どもの方から少しばかり融通をいたしましたのが基礎となりまして発展をとげて参ったような会社がございます。その会社が三百万円中小公庫から拝借いたしまして設備をやったのでありましたが、その会社運転資金の方につきましてはどうもまだ不足する状態がございましたので、その当時資本金が五百万円でございましたが、第二回目の問題といたしまして、百万円ほど運転資金貸し付けたのでございましたが、むしろその百万円を貸付をいたしますことによりまして、中小公庫から拝借をして作りました設備がもっとフルに有効に動ける、こういつたような関係から貸し出したようなものもございましたわけであります。その他いろいろございましたのでありますが、私ども念といたしますところは、全く会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに恥かしいことでございまして、その当時におきましては、ちょうど二十九年度の何と申しますか、デフレがかなりきびしいときでありましたので、お客様方の需要もなかなか真剣なものがございましたのでありますが、かくのごとく御指摘を受けるような貸付をいたしましたのは相済まぬことだと存じます。ただ、そのときを振り返って見まして、今後の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、一般的にそういった場合の取扱いにつきましての基準が少しぼんやりしておったという点に、いろいろな問題があろうかと存じまして、その後こういった他の金融機関相当多額にわたる借り入れをすでに持っております方々、あるいは資本金その他が相当充実している方々等に対しましては、何らかの制限を設けることが、基準を設けることが適当かと存じまして、一般的にそういうことを差し控えるということを指導いたしますと同時に、内部的に、たとえば資本金が五百万円というのを一応限度にしております。それからほかの金融機関から借り入れておりますものが、いろいろ合せまして、大体最高限度千万ぐらいまで、それ以上借り入れるような方々に対しては、これはもうどんな場合でも最初からお断り申し上げる。従業員も普通は中小企業は三百人といっておりますが、これは業態によりますが、まあその半分の百五十人以下ぐらいのところにしぼろうではないか、さようなことにいたしまして、現在においては、この御指摘のありましたようなことを繰り返すことのないようにまあ抑制いたして参っているような次第でございまして、何とぞそこら辺御了承いただきたく存じましてお願い申し上げる次第でございます。  簡単でございますが、御説明はこれで……。あとは何か御質問がございましたら詳細にまたお答え申し上げたいと思います。
  119. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。御質疑のある方は順次御発言を願います。御質疑はございませんか。——では国民金融公庫の部の質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  121. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  次に、住宅金融公庫の部を審議いたします。検査報告は、報告書の三百九十ページにございます。  本件に関し御出席の方は、上村会計検査院第五局長、八嶋住宅金融公庫理事、江ケ崎住宅金融公庫貸付部長鈴木住宅金融公庫経理部長、鮎川建設省住宅局総務部長、磯江大蔵省銀行局特殊金融課長の諸君であります。  まず、会計検査院から説明をお願いします。
  122. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 住宅金融公庫検査の結果につきましては、特に違法、不当と認めたものはございません。ここに概況が書いてございますが、これは一般の概況でございまして、特に御説明するほどのこともございませんので、省略させていただきます。
  123. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、住宅金融公庫から説明をお願いいたします。
  124. 八嶋三郎

    説明員(八嶋三郎君) 本日、総裁出張不在でございまして、私かわりましてこの席に参った次第でございます。  住宅金融公庫昭和二十九年度業務の実施の概況につきましては、会計検査院の御報告にある通りでございます。昭和二十九年度貸付契約が計画通りに行われておらなかったことについて、多少補足的な説明をさせていただきたいと存ずる次第でございます。その点がここに書かれてございませんので、その点だけ補足さしていただきたいと思うのでございます。  二十九年度に入りまするに先立ちまして、まず昭和二十八年度におきまして、前年度におきまして貸付契約が、計画に対しまして多少オーバーをいたしにのでありまするが、これはそれまでの実績に照らしまして多少脱落があるという、辞退をする者があるということを十分見越しまして、計画を多少越えて当せんなり、または貸付の予約をすることにいたしたのでございまするが、その見込み違いが若干ございましたのと、また、たまたま昭和二十八年におきましては、御承知通りに大風水害がありまして、新たに貸付契約をする必要がございましたことも加わりまして、計画よりも多少オーバーせざるを得なかったような状態であったのでございます。従いまして、昭和二十九年度におきましては、この分の調整のために、契約件数のかげんも控え目にしたということと、たまたま二十九年度は非常に金詰りでございましたので、産業労働者住宅の貸付契約の辞退が出ました関係上、計画通りに行われなかったことによりまして計画通りにいかなかった、計画よりも多少下回らざるを得なかったというような実情に相なっておるのでございます。  その次に宅地造成の問題でございまするが、これは計画二十六万坪に対しまして、その実績が五十八万坪となっておるということでございますが、これは宅地造成は昭和二十九年度から実施いたしました事業でございまして、従いまして、当初の年であります。宅地の造成をするということよりも宅地を取得しようということに重点を置きましたので、この造成費用をすべて取得の方面に回したのでございます。すなわち、取得の計画の二十六万坪と造成の計画の十六万坪、合計四十二万坪の費用をもちましてこの五十八万坪の買収をやらさしたということに相なっておりまするので、当初の計画と多少その点におきまして実施面において違いをきたしておるというような実情に相なっておるのでございます。  以上、大体簡単でございまするが、ここに書いてありますることにつきましての補足的説明をさせていただいた次第でございます。
  125. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明を終りました。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  126. 松岡平市

    ○松岡平市君 大したことではありませんが、あなたの方の金融公庫の金を、旅館を作るためには貸さない、ところがもう初めから旅館にすることを目的にしてアパートをこさえるということで金を借りて、アパートとして設計して借りて、やがてこれが旅館になっておる、こういう事実があるようでございますが、そういうことお気づきになったことございませんか。
  127. 八嶋三郎

    説明員(八嶋三郎君) 御承知通りに住宅金融公庫の金は、現在の法律におきましては足貸しにするような場合は、これはまあ昭和二十九年度まででございません。現在の状態で申し上げたいと思うのでございまするが、現在の法律におきましては、土地を持っておる者がそこにまあ住宅を作るという場合におきまして、その土地を出させやすくするためにもとに店舗なり住宅以外のものを作るというような場合におきましては、これをげたばきなり足貸しというような形で言っておるのでありまするが、その主要構造部に対しまして金を貸しておる場合があるのでございます。しかし今御指摘のような、設計を初めから全部をホテルにするなりいたしまして私の方に持ってくるというようなものにつきましては、相当最初から設計等につきまして慎重に審査をいたしまして、そういうようなげたばき以外のものにつきまして、純粋のいわゆる住宅に作るべきものを営業用に作るというようなものに対しましては、私どもとしては金を貸し付けておらないのでございます。従いまして、その後そうした用途変更等がございまするならば、一時償還なりをさせまして、はっきりとその間の処置をつけたいと思っておる次第でございます。
  128. 松岡平市

    ○松岡平市君 じゃ、そうすると、そういう事例についてはあなたの方では今お気づきになっておる事例がないかどうか、お気づきになっておるかどうかということを聞いている。そういう事例が昭和二十九年度までのうちにあなたの方で貸し付け……げたばきでもあるんだが、アパートにするということで、旅館ということではだめだから、アパートならよろしいということで、アパートですから旅館になり得るような部屋割りになっておる、ちゃんと鉄筋コンクリートで、相当な金を貸して……。
  129. 八嶋三郎

    説明員(八嶋三郎君) 今のところそういうようなものにつきましては気づいておりませんでございますが……。
  130. 松岡平市

    ○松岡平市君 気づいておらなければけっこうであります。またあとであれしていただいてけっこうです。ちょっとなお、今は旅館でも、土地を提供して、げたばきであれば、上は全部三階、四階、五階というようなものを旅館にするというものでも貸し付けることはできるんですか。
  131. 八嶋三郎

    説明員(八嶋三郎君) いわゆる非住宅部分につきましては、多層住宅でありまする場合におきましては、それが住宅部分が三分の二以上あるというような場合におきましては、非住宅部分の足、その主要構造部に対しましては貸すという道が開けておるのでございます。
  132. 松岡平市

    ○松岡平市君 旅館にでもいいわけですね。初めからホテルだという、温泉旅館でもよろしいのですか。
  133. 八嶋三郎

    説明員(八嶋三郎君) それは非住宅部分でございますから、旅館でもいいとは思いますが、ただものによりましては、いわゆる住居の環境を害するというようなものにつきましては、私どもは遠慮していただきたいというので、その点は慎重に取り扱っておる次第でございます。
  134. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないと認めます。では住宅金融公庫の部の質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。
  136. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、中小企業金融公庫の部を審議いたします。検査報告は報告書の三百九十四ページでございます。  本件に関し御出席の方は、上村会計検査院第五局長、坂口中小企業金融公庫総裁、江崎中小企業金融公庫理事、井染中小企業金融公庫総務部長、川上中小企業庁長官、磯江大蔵省銀行局特殊金融課長の諸君であります。  まず、会計検査院から説明をお願いいたします。
  137. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 一、二御説明いたします。  三十年四月から九月までの間におきまして、貸付件数百六十九件、七億三千五百余万円の貸付金について実地調査しました結果、貸付金目的外に使用されたと認められますものが十六件、金額にいたしまして四千五百余万円ございました。これについては繰り上げ償還の手続をとられることになっておるのでございますが、検査報告を整理いたしておる時期には、そのうち十一件、二千九百十六万円がまだ操り上げ償還未済になっておったわけでございますが、現在におきましては、二、三を除いて償還になっております。  次は、委託金融機関に対しまする業務委託手数料でございますが、これは手数料といたしまして、実収利息に対しまして代理店が五割保証しておられます甲方式につきましては、貸付金額によって多少違いますが、四〇%から四五%、それから代理店が三割保証することになっております乙方式につきましては、二五%から三〇%となっております。しかし貸付の一件当り平均金額中小企業金融公庫と大体似ております株式会社日本長期信用銀行の手数料を見てみますと、元利金については代理店が全額保証ということになっておるわけでございますが、手数料といたしましては、還元代理貸付あるいは単純代理貸付というふうなものによって多少違いますが、実収利息に対しましては二六%あるいは二二%となっておりまして、相当の開きがあるわけでございます。一方業務委託手数料は二十九年度におきまして十一億、相当多額に上っておるわけでございまして、さような点から考えまして、料率については相当検討の余地があるのではないかという点を申し述べておるわけでございますが、その後一部料率の引き下げをしておられるように承知いたしております。  以上で説明を終ります。
  138. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に中小企業金融公庫から御説明を願います。
  139. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 私どもの公庫は二十八年の九月に業務を開始いたしまして、今回会計検査院から御指摘を受けましたのはその第二期目でございまして、二十九年度でございます。  御指摘を受けました一つは、ただいまお話しのありました資金の用途外使用でございます。当時は公庫貸付は全部代理貸付、代理店を通しての貸付ばかりでございまして、仕事を早く進めまする関係上、一応代理店の方で調査いたしましたものにはすみやかに資金を流して仕事を早くやりたいということに急いでおりましたので、御指摘のように十六件目的外の使用をしておるのがわかりました。つきまして、ただいまもお話しのございましたように、あと一、二件を除きましてほとんど繰り上げ償還をいたされております。なおこの事実にかんがみまして、その翌年、代理店の方を監査いたしまする人もふやしまして、貸し付けました後の資金が効果的に目的通りに使用されておること等も監査いたしまして、目的外使用のないように努めておる次第でございます。  それから第二点といたしまして、業務委託手数料が他の手数料に比較して高いというお話しでございました。ちょうど公庫は、先ほどもお話し申しましたように、二十八年度の九月から業務を開始いたします際、開発銀行中小企業関係の融資をも引き継ぎましたので、とりあえず当時開発銀行の方でやっておられました手数料をも参酌いたしまして、今お話しのございましたように甲方式については三百万円以下は四割五分、三百万円超は四割というような手数料を定めておりましたが、私どもといたしましても多少高いのではないかということを考えておりましたので、三十年度におきまして、検査院の御指摘もありましたので、約一割五分程度下げまして、甲方式について申しますと三百万円以下につきまして四割五分を三割八分に、三百万円をこえるものにつきましては四割を三割四分に引き下げて参りました。なお、これから先のことでございますが、なお来年度におきましてはさらに代理手数料を引き下げるようにただいま検討中でございます。  非常に簡単でございますが、一応私の補足説明を終らせていただきたいと思います。
  140. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。御質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  141. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 先ほど商工中央金庫のときにも一応御質問申し上げたのですが、同じことなんですが、昨年の十二月、二十五臨時国会において衆議院並びに本院において年末の中小企業金融対策という問題を決議したわけであります。あなたの方は中小企業金融の大元締であるのでありますが、具体的にどういう措置をとられたか、概要でけっこうですが、御説明願いたい。
  142. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 具体的に一番そのうちで表面に出ます数字で申しますと、十二月に予定しておりました資金の量を、一月から三月の間に予定しておりました資金から八億円ばかり繰り上げまして支給いたしましたほか、なるべく早めに資金が出ますように各代理店を督促いたしますとともに、公庫といたしまして、本年度におきましては、二十九年度ころにはやっておりませんでしたが、直接貸付の融資の促進をはかりました次第でございます。
  143. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないと認めますので、中小企業金融公庫の部の質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  145. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  次に、  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  今回は日本銀行経理状況に関する件のうち、日銀の宿舎問題を審議いたします。  本件に関し御出席の方は、大澤会計検査院第一局長、谷口日本銀行理事、鷹野日本銀行管理部長、國府田日本銀行文書局長の諸君であります。  まず、日本銀行から説明をお願いします。
  146. 谷口孟

    参考人(谷口孟君) 日本銀行の職員宿舎の件につきましてお話を申し上げます。  日本銀行業務を遂行いたします上におきまして職員の転勤を必要とするのでありますが、昨今のような住宅事情におきましては、その宿舎を銀行で設備することが必要になって参るのであります。戦後、日本銀行におきましては、この必要を満たすためにいろいろの工夫をいたしまして宿舎を設備いたしたわけであります。従いまして、職員が退職をいたしました場合には、この宿舎を明け渡してもらうことを方針といたしておるのであります。ところが現実の問題といたしまして、明け渡しが延び延びになったものが若干あるのであります。これにつきましては、今、鋭意整理を促進しておる次第でございます。この退職者の宿舎事情につきましては、昨年六月当委員会で資料を御要求になりまして提出してあります。また最近におきまして、その後の事情の御要求がありましたので、お手元に資料を提出した次第でございます。この資料につきましては、当面の担当者でありますところの鷹野管理部長をして説明させたいと思います。
  147. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) それではお手元に差し上げました資料について御説明申し上げます。  第一表は「部局長以上の職員関係」でございます。部局長以上の職員で退職後なお舎宅に居住しております者は、昨年六月御報告いたしました当時は十二名ございましたが、その後鋭意整理に努力いたしました結果、現在は四名に減少しております。この四名につきましては第一表の通りでございます。なお、この四名につきましても、それぞれ近く解決する見通しでございます。  それから第二表の「退職者に払下げたもの」についてでございますが、これは交換したものはございません。払い下げたものはこの表にある通りでございまして、この場合の払い下げ価格につきましては、勧業銀行の評価を基準としております。売却しました公舎は、もともと住宅払底当時にやむを得ず買ったものでございまして、建築後相当の年数を経過しております。それでこの維持のためには、昨今非常に修理費がかさんで参りましたので、行舎の管理上、処分して更新した方が適当と認めるものに限って処分することにいたしております。  それから第三表の「下級職員関係」でございますが、退職後なお居住している者は、三十一年六月現在で四十七名でございます。これにつきましても、引き続き整理に努力しております。上述の四十七名中には、退職後多少年数を経過しているものが少数ながらございますが、これらはおおむね老令、かつ生活も不如意の者がありまして、立ち退き先についても、早急には期待できない事情にあるもので、やむなく居住さしている者もございます。ある程度は本人の事情も考えながら、無理のない解決方法を検討したいと思っております。なお、退職者に払い下げたものの件数は、二十三年以降三十一年六月末で九件でございます。以上をもちまして、この上衣の説明を終ります。
  148. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りましたので、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  149. 久保等

    久保等君 最初にちょっと会計検査院にお伺いしたいと思うのですが、先ほどからいろいろ公社関係の決算報告を中心にして審議をしておるのですが、性格的にいって、日本銀行というものに対して会計検査院は、公社と同じように扱い方はされておらないのじゃないかと思うのですが、日本銀行なんかについてもいろいろ検査をやっておられるのかどうか。毎年かりにできないとしても、何年かに一ぺんやるとか、日本銀行に対する会計検査の方針あるいは態度というものはどういうものなのですか。
  150. 大澤實

    説明員(大澤實君) 日本銀行は御承知通り、いわゆる政府関係機関として予算、決算を国会で審議される機関ではございません。しかしながら、国が資本金の二分の一を出資している法人としまして、会計検査院検査の範囲に入っております。会計検査院としましては、その面と、もう一つは国庫金の出納機関であるという両面から、日本銀行に対しては毎年検査を行なっております。しかし、その検査内容は、主として国庫金出納の検討という面を主眼としまして、あとは日本銀行  の大きな勘定項目の内容の検討、それから経費の面におきましても、資産の取得あるいは処分というものの価格の当否ということに対しては一応検討しておったのでありますが、何といいますか、その国に対する関係は、政府関係機関に対する関係ということよりも相当希薄なことになっておる点が実情でございます。
  151. 久保等

    久保等君 それじゃ事務的に資料を補足する意味で日銀の方にお尋ねしたいと思いますが、三月四日付の資料をいただいて手元にあるのですが、行舎規定の抜粋があるのですが、三カ条掲げであるのですけれども、これはやめられた方は、何カ月か何カ年か知らぬけれども、行舎規定の中に、やはり出られる期限といったようなものが定められておるのですが、どうなんですか。
  152. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 今の行舎の規定でございます。これは元来、日本銀行に勤めておる人に職務の必要上貸しておるものでありまして、もともと退職した人については、当然退職と同時に明け渡すという建前をとっておるわけでございます。ただ戦後の事情によりまして、先ほど管理部長が申しましたように、若干の退職者が行舎になお住んでおると、こういう状況でございます。これらにつきましても、元来の性質にかんがみまして、できるだけ早く円満に出ていただくように手配をしておるような次第でございます。
  153. 三浦義男

    委員長三浦義男君) なお総務課長が見えましたから……。
  154. 久保等

    久保等君 この規定はいつお作りになった規定ですか。
  155. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) これはいろいろの改廃がございましたが、戦後、昭和二十四年ころに作った規定でござ  います。
  156. 久保等

    久保等君 そうすると建前としては、やめられたら直ちに出てもらうという方針で、従って特別に猶予期間といったようなものも建前としては考えていないのですか、やめればすぐ出てもらうんだという考え方で、従ってこの行舎規定の中にはそういう立ちのき期間といったようなものも別に規定していないということなんですか。
  157. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 今お話の通りなんです。建前としては、退職と同時に明け渡すと、こういう建前をとっております。事実上多少延びている者があると、こういうわけです。
  158. 久保等

    久保等君 それからお尋ねしたいと思うのですが、この昨年六月に最初出していただいたものについてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、それぞれおやめになってからどっかにお勤めの方がむしろ多いのじゃないかと思うのですが、今度新しくいただいた資料を別にして、この前いただいた十二名の方々で、今度この建物なり土地を払い下げられた分、まだ現在残っておられる方もあります。六月二十二日付のいただいた資料の分について、(イ)の項について、全然ゆうゆう自適せられておるという方もおありになるのじゃ、ないかと思いますが、そういった現職関係をちょっとお知らせ願えませんか、おわかりになる範囲で……。
  159. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 現職につきましては、はっきりいたしていないのでございますが、わかったのだけ申し上げます。  富田史朗さんは、これは日本信用調査株式会社社長、それから加藤寛一、これは日本輸出入銀行理事、それから土井太郎、これは日本果実副社長、それから中川良吉、これは愛知用水公団理事でございます。あとはちょっとはっきりいたしませんが……。
  160. 久保等

    久保等君 それから「退職者に払い下げたもの」ということでお書きになっておるのですが、この払い下げ価格の問題、これは先ほど日本勧業銀行の評価を基準にしてやられたというんですが、評価を基準として定めたということで、まあどの程度を基準にしたのか、よくわからないのですが、まあしかし押しなべて全部退職者に払い下げられたのも、昨年全部について一応整理せられたような形になっております。従ってごく、比較的最近の経済状況のもとで価格の評価がなされたと思うのですが、これは基準としてどこでおきめになったのですか、何か日銀の中の所管局で単独におきめになったのですか、どの部門で最終的な価格はおきめになるのですか。
  161. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 所管部局は管理部になっておりますので、管理部できめまして重役の決裁を経て実施しております。
  162. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この「行舎規定抜萃」の中に、第一条に「役宅、舎宅、及療舎」と、こうありますが、まあ役宅はむろん役員でしょうが、役宅、それから舎宅等の区別は、大体坪数とか、そういうことの内規があるのですか、限定は……。
  163. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 役宅、舎宅、寮舎でございますが、この区別は、坪数は役宅は一般的にいって広いことは間違いありませんが、坪数というよりも、これを役宅するという前提のもとに作る、あるいは買ったものはあるわけです。それを指定してあるわけです。
  164. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから第九条に「舎宅及寮舎の使用者は毎月使用料を納付すべし」と、こうありますが、この基準は大体どういう算定でやっておられるのですか。
  165. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 各戸の使用料は、その耐用年数とかあるいは坪数とか、交通機関とか、いろいろな関係から各戸の家はきめておりますが、しかし大体におきまして世間一般の、あるいは官吏のための公舎とか、あるいは銀行会社の社宅というようなものの大体標準をとっているわけでありますが、私の聞きましたところによりますと、公舎の関係は大体最高百円ぐらいと、こういう話でありますが、私の方も最高百三十三円ぐらいにきめておるような次第でございまして、大体平衡をとる。これは坪当りでございますが、平衡をとっておるつもりでございます。
  166. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 具体的にお尋ねいたしますが、もうこれは相当の日にちがたっておりますが、兵庫県の西宮地区に、たしかこれは舎宅と申しますか、寮舎と申しますか、当時これは阪神地区でも模範的な建物というよりも、さすがは日銀の舎宅、寮舎だといわれるほど一般のサラリーマンをして垂涎せしめた建物ができたわけなんでありますが、あの辺で大体具体的にどのくらい家賃を取っておるか、むろん大小があるのだろうと思いますが、家賃といいますか、使用料ですね。
  167. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 私その西宮の現実を見ておりませんが、今のお話の模様ですと、最近建ったもののようでありますが、これにつきましては、寮の方は坪数でなくて、畳数によって料金を取っているようなんですが、大体九十五円ぐらいかと思っているのですが……。
  168. 久保等

    久保等君 それじゃまあ大蔵省の方が見えたから、ちょっと大蔵省の方にお尋ねしたいと思いますが、まあ監督官庁は、これは当然大蔵省になっておるのですが、業務並びに財産等についての監督をやっておられるわけでありますし、またいろいろ報告も受けておられると思うのですが、宿舎関係の財産について、大蔵省として日銀のこういった宿舎をいろいろ管理といいますか、監督調査等をして把握しておられると思うのですけれども、今までこの問題について大蔵省として特別の意見なり、あるいはまた指示等行なったことがありますか、どうですか。
  169. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 日銀の経費関係の問題として、予算、それから決算の段階でこの問題にタッチしているわけであります。最近では特に新しい宿舎を建てるときにこれをどうするか、それからまあ古い退職者で居住しておる者の明け渡しをどうするか、こういうものは最近特に話し合っているところでございます。その他この予算、決算という段階でこの問題は起ってくるのですが、それ以外でも始終日銀とは話し合う機会を持っております。
  170. 久保等

    久保等君 いや、その話し合う程度でなくて、少くとも日本銀行法の定めるところによっても、これはまあ大蔵省は監督官庁という主務官庁としての立場があるでしょう。従って、日銀の財産、たとえば今の宿舎の問題等にしても、これに対しての管理、運営、こういつたような問題についても これはやはり一応監督官庁としての立場があるのだと思います。従ってただ単に予算、決算の文書等を眺めて、ただ内容についてどうとかこうとかいう机上だけの問題でなくて、財産管理等の実情はどうなっているかというようなことについても、これは当然タッチしていなければならない問題だろうと思います。今のお話だと、そうすると特に何ですか、ここでお聞きしたいと思っている宿舎等の問題について、直接具体的にこうすべきではないか、ああすべきじゃないかという大蔵省としての指示というか、考え方を表明したこともなければ、それからまた銀行側の方からも、特別どうこうということで、あまり宿舎等についての報告も聞かれたことがないということなんですか。
  171. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) そういうことでは決してございませんで、宿舎の状況等は、常にどういう状況になっておるか、特に充足の関係でございますね、どれだけの人間がおって、そしてどれだけの宿舎が必要であるかというような関係から特に見ております。ただ報告机上の空論ではないかというようなことなんでございますけれども、実際に日銀関係の仕事をしている人員というのはきわめて少数でございますから、各支店に現地に行って、管理状況がまあきれいにやっているとか、粗末に扱っているとかいうようなことまではこれは見ておりません。しかし全体的にどういうふうに運営されているか、つまり家賃であるとか、あるいはどのくらいの人間に対してどれだけ家があるかというような状況は、これは始終見ておるわけであります。それから先ほど申しました新しく建つ場合とか、それからやめた場合どうするか、こういうような問題は始終見ておるわけであります。
  172. 久保等

    久保等君 先ほどちょっと日銀の方にお伺いしたら、やめられた場合に、従来入っておった行舎からの立ちのき問題について、いつまでに出なければならぬ、あるいはまたどの間ぐらいの余裕を見て出なければならぬという規定も実はないというお話なんですよ。従って実際の運営状況は、昨年の六月当時の資料を出していただいたのですが、それによると、まあ部長さん級以上の方々、これはもっとも幹部の方であり、これはおそらく普通の会社銀行等ではむしろ及びもっかない立場の人たちなんですが、十二名の方が、長い方は約十年近く入っておられるという状況である。ところが建前としてはすぐ出てもらうのだという建前らしいのですが、この抜粋をちょっと見ても、不思議に感ぜられたことは、重要な点についての定めがほとんど規定の中に定められていないというふうな状況なんでございますが、大蔵省の方でもこういつたことは御存じだったのですか。
  173. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 立ちのきの点については、特に問題のありましたとき、あるいは随時にこれを立ちのきを履行するように、こういうことは始終申しておるわけであります。ただ何分にも最近は住宅事情もよくなりましたとはいえ、従来一般の人でもそうだと思うのでございますけれども、家に入っておるのをすぐ出ろという状況になりましても、なかなか行く先がないというような実情もございまして、多少例外的に行舎に居残っておるという場合もあるわけでございますが、しかしこれは何らかの方法によって、逐次出ていただくということは始終申しておるわけでございます。
  174. 久保等

    久保等君 いや、そういう話ではちょっと説明にならぬので、出されておる資料を中心にして、これにやっぱりピンとくるような御説明をいただかぬと説明にならぬと思うのですよ、だからむしろ下級職員関係の方の、ここの資料を見ますと、下級職員といっても、少くとも何千人か日銀にはおられると思うのですが、そういった方々はむしろ二十一年にたった一人しかいないとか、二十三年の年は一人もいない ——下級職員の場合には一人もいない年があるのに、むしろ高級のポストにある方々が枕を並べて十二名も居すわっておるということなんですよ。だから、こういった少くとも宿舎の使用の仕方というものは、これはだれが考えても、おそらく治外法権的な立場で何か入っておるんじゃないかというふうに現実にはなっておるのだね。だから、話はむしろ逆で、従業員の方が若干数が多ければ、これは話はわかるのですが、それが下の方はほとんどいない、しかも今まで住宅事情が非常に困難だから居すわっておることはやむを得ないというのなら、むしろそれならば一般下級職員の方が住宅事情が非常に困難で、なかなか出ようと思っても出られないという事情なら考えられますが、しかし先ほどお伺いして、十分お答えいただけなかったのです。おやめになっても、十分しかるべきところにお勤めになっておられる、これは日本の一般の国民から見れば非常な高いレベルの方々だと私は思うのですが、そういう方々が長い間、約十年近くも入っておられるという状態、これは昨年一挙に約八名ばかり解決をして、全部払い下げられたような形になっておるのですが、これはおそらく昨年あたりいろいろ国会でもこういう問題が取り上げられたり等の事情があって、おそらく非常にピッチを上げて処理されたのだと思いますが、払い下げをするについても、何か御相談を受けたことがございますか。
  175. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) ここで御指摘通り、昨年来ピッチを上げて、退職者がそのまま居住しているというような状態を一掃しますために、払い下げの制度を考えたらどうかということを、私どもの方から相談を持ちかけまして、いろいろ問題もございましょうけれども、なかなかそういう方法でも考えませんと促進いたしませんので、そういう方法を考えました。で、勧銀の評価価額によってこれは払い下げるということにしまして、相当数処理したわけでございます。なお、その点はおっしゃいますように努力いたします。
  176. 久保等

    久保等君 総務課長では十分なお答えができないと思うのですが、非常にこれ見方によって、見方によらなくても、これはちょっと資料をいただいただけでも、非常に日本銀行というのは、これは特殊な治外法権的なところだという印象を非常に強く受けるのです。特に昨年その払い下げられた価格等の問題については、これは東京都内にこういう安いところがあるなら非常にありがたいと思いますね。百坪前後の敷地に四、五十坪の建坪でそうして百五十万、百六十万なんというのは、これは日銀や大蔵省ではたやすく手に入るのかもしれませんが、これは一体どういう経過でこういう価格になったのか、先ほどの話では、勧業銀行の評価を基準にやったと言いますが、大体の  一般の市価はこの程度だというふうにお考えなんですか。また、日本銀行でもこういう評価をされるのですか。具体的に、ほとんどすべてといっていいくらい、二百万円以上のところはないのですが、高いところで、約百九十坪の敷地で五十坪の建物が百八十万円というのが最高にして、安いところでは九十万円、あるいはこれは借地ですから別ですが、それにしても、建坪が五十坪もあろうというところで、これは非常に常識はずれに安いのですが、これは普通、適正価格というようにお考えになっているのですか、これはそれぞれお伺いしたいと思います。大蔵省の方、日銀の方と。
  177. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 払下価格は先ほども申し上げましたように、日本勧業銀行の評価をとりまして、その評価に基いてやっているわけでございます。われわれといたしまして、日本銀行が特に高いとか安いとかという見地でなしに、公正に客観的な相場を基準にしております。
  178. 久保等

    久保等君 大蔵省の方はどうですか。
  179. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 払い下げの価格についてはいろいろな見方もございましょうけれども、しかし頼るとすれば、やはり勧銀の評価額というのよりほかにまた適当なものもないのではないかと思う次第であります。
  180. 久保等

    久保等君 それで管理部長さんですかの方にお伺いしたいと思うのですが、これは勧銀の評価価額そのままですか。
  181. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 勧業銀行の評価を基準にしております。で、そのままではございません分もございます。と申しますのは、勧業銀行の評価というのは中値でございまして、中値というのは、上二割、下二割の幅のあるのが通例になっております。それでその中値を基準といたしておりますので、上下二割程度のものも相当ございます。
  182. 久保等

    久保等君 一つその点もそれならば資料でもってお出し願いたいと思うのですがね。日本勧業銀行でどういう評価をせられたのか、その日本勧業銀行の評価の一つ基準というものを、後ほどでけっこうですが、一つ一つこれはやってもなかなか大へんですから、質問はあまりいたさないことにして、資料を一つ出していただきたいと思います。お出し願えますか。
  183. 三浦義男

    委員長三浦義男君) よろしうございますか。
  184. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) では後ほど資料を提出することにいたします。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまいただいた資料の中で、どうもこれは個人の名前を出すのは工合が悪いから、個人の名前は別にしますけれども、五番目、副総裁、退職年月日、二十一年六月一日、払い下げ年月日、これが三十一年六月四日、約十年間このまま放置されたのですが、具体的にこの事由はどういうわけですか。
  186. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 今お尋ねの具体的のものでありますが、これは退職されてからも出ていただくように、当該担当のところで交渉は続けてきていたのでございますけれども、いろんな諸種の事情のために、三十一年の六月まで延びていたような次第でございます。以上であります。
  187. 松岡平市

    ○松岡平市君 諸種の事情を一つ説明して下さい。諸種の事情というやつを説明して下さい。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 どういうことですか。
  189. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) これはだいぶ年数がたっておりますので、私も最近かわりまして、つまびらかにしないのでありますが、しかしながら、いずれにしましても、戦後の事情のために、お買いになる、あるいはよそへ移るということについて、相当一挙に話し合いがつくのに困難もあったと思うのであります。
  190. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 関連。今の岩間委員の言われた、名前は申しませんが、人については十カ年間も放置してあったわけですが、この方はこの日本銀行の役職をやめられて、その後どうなさっているか、おわかりなんですか。
  191. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) 私もおやめになりましてから、その後全部どういうふうにやられたかということは承知しておりませんけれども、ただいまは日本航空の社長をやっておられるように聞いております。
  192. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そうしますと日本銀行をやめられて、そうしてそういうような日本でも代表的な役職についておられる方に対して、十年間も役宅をそのままにしているというようなことは、これはまあ非常な国民に対して疑惑を与えることだと思うのですが、一体その点あなたは、あとから来たのだから知らぬというお話ですが、それはどうも腑に落ちかねる問題で、今日この決算委員会に出ておいでになって、しかもこの問題であるということは十分おわかりなはずである。しかるにそういうような逃げるような、責任を回避するような態度というものは、はなはだ私どもは承服ができないのですが、一体その事情等について、今松岡委員の言われたように、諸種の事情を一つ十分に御説明願いたい。
  193. 谷口孟

    参考人(谷口孟君) ただいまの御質問ごもっともと思うのであります。今指摘された方は、数年前に日本航空の社長に就任されましたが、それまで当初パージでありまして、日本銀行をやめたときは、まあ収入もほとんどなかったわけであります。いろいろ苦心されて、現在社長になられたわけであります。そうしてその間われわれとしましても、明け渡しの方法なり買い取りなり、いろいろと折衝をしておったわけです。このたび、昨年とれがまとまりましてようやく解決をした、こういう事情にあるのであります。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十一年の六月四日というと、これはどういう日になるかということは、国民も知っていると思うんですがね、つまり国鉄の総裁の公社問題が昨年五月にずいぶん騒がれた。で、そのあとにこれは急遽こういうことをやったんじゃないですか。
  195. 谷口孟

    参考人(谷口孟君) 昨年の六月四日にこの表が提出されたわけであります。懸案の問題を解決すべく、大蔵省からの要請もありまして、ずっと前から努力をいたしておったわけであります。まあ最近のような実情におきまして、逐次解決の方向に向って、この一年間に相当の成績を上げたというのが実情でございます。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあそうだとはおっしゃれない立場かもしれませんですがね、大体みなこれは見ますというと、三十一年の四月、五月、六月、十月というような、やはり問題がやかましくなってからこういう問題が起っているのじゃないか、こういうふうにわれわれは推量されるわけです。そこでこのうち、見ますと、これは二階建五十四坪、敷地が百六十二坪半というような相当広壮な邸宅になるわけですがね、これは地価はどのくらいとお考えになりますか、渋谷区神山町五十八番です。とういうところでは地価は大体どのくらいになっておると、あなた方も常識をお持ちだと思うのです。渋谷区神山町という住宅は一級地なんです。こういうところでは地価は、土地の値段はどれくらいだというふうにお考えになりますか。
  197. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 勧銀の評価によりますと、地価が坪一万六千円、それから建物の値段が二万七千三百円、これは建物は築後二十八年を経過しておりまして、相当老朽の建物でございます。で、地価はさら地でございますとさらに高いかもしれませんが、上物がございますので、勧銀はこういう工合に評価しております。
  198. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) ちょっと先ほど初めのお話に、私、横から申し上げますが、大蔵省といたしましては、明け渡しの具体案を作れということを、たしか二十七年ごろであったと思いますが、そのころから指示しておるのでございまして、さらに具体的には三十年の暮に明け渡し対策要項というものを作りなさいということを催促をいたしたわけであります。従って、国鉄云々という時期とは必ずしも関係なく前からやっていたわけではございます。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはまあ一応役目柄そういうことをされるだろうと思うのですが、それが毎年でも、それから年に何回でもやられなくちゃならないことで、むしろおそきに失したと思うのですが、しかもそれをほんとうに実行させるという意思がなければ、これは全く問題にならないと思う。そういう点で、これは私たちはやはり推測ですから、この点はそうだと、あなた方おそらくおっしゃらないだろうと思いますけれども、しかし国民の疑惑の眼というのは決してこれは解けるものでありませんよ。  もう一つそれと一緒に関連してくるのは、勧銀の評価で売買するといっても、そんな銀行王国というものの中で操作されても、国民が承知しますか。師民の前の問題です。これは国有財産ですよ。だから勧銀の評価で売買すると それで都合のいいときにはやる。しかし、一般のときにそんなことができますか。たとえば、この邸宅を今担保に入れる、あるいはこれを売るということになったら、時価はこれは膨大なものです。おそらく二千万円や三千万円の価格だろうと思う。これは常識でしょう。そんなことあなたたちはもつと抜け目ないでしょう、御存じだろうと思う。だからそういうような形で、ここのところでつじつまが合って、この委員会の眼は通っていくかもしれない、いや、通らないだろうと思うが、そういう形で通ったからといって、国会答弁式なものでくぐり抜けようと考えたら、これは大きな問題だろうと思う。その点はどうでしょう。
  200. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 私、責任を逃れるわけではございませんけれども、昨年の夏に総務課長になりまして、この問題を聞いて、こういう方法で日銀の退職者の明け渡しについて努力しておるということを聞きましたときには、これは必ずしもいい方法だとは私個人は思わなかったのですけれども、と申しますのは、今おっしゃいますように、売買価格の問題、払下価格の問題がある。しかし、そのときに何を基準にとるか、これはほかに基準も適当なものは必ずしもないんじゃないか、一つ一つ非常に緻密に計算をしてやればともかくでありますけれども、そういたしますと、勧銀の評価というようなものが一つの基準になるのじゃないか、ただし具体的にはこれは日銀におまかせしますが、そういうものを基準としてやっておるんだと、こういうお話です。それならそれも一つの方法であろう、しかし私は、こういう退職者に払い下げるという方法が非常に最善の方法であるとは必ずしも思いません。しかし、それじゃどうすればいいのだ、強制執行で立ちのきをさせるかということになりますと、これは長い間私のポストの前任者や前々任者がおられてできなかったということ、これは強制執行をやってもできない。この中にはえらい方もおられますけれども、先ほどのお話にありましたように、ある時期にはパージで困難されておった方もある、あるいは現在もそういう方もあるかもしれないというような人に、これは強制執行が必ずしも適当な方法とは言えないと思います。そうすれば、どういう方法で明け渡すかということになりますと、私は、これは最善の方法とは決して思いませんけれども、これも一つの方法ではないかということで、その方法をとってきたわけでございます。しかし、もっといい方法があるかどうかは、これはもっと考えてみる余地はあるかもしれないと思っております。現在としてはこの方法でやってきたわけであります。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はこれは、つまり言えば、強制執行でもいいんじゃないか。というのは、やはり綱紀粛正が叫ばれているのですね。普通の貧しい階級が家を借りているのとは違うのです。借家を借りて、そうしてそこに地上権が発生する、あるいは借家権が発生する、それを強制執行させているです、政府はね。ところがどうです、こういうつまり大物だから、日本銀行総裁というようなことになりますと、こういうところは非常に穏便でしょう。これはしかも行舎なんですよ、役宅なんです。役宅について、こういう人たちがやはり綱紀粛正の範を示さないで、どうしてこれはやれますか。一体民間ではずいぶん強制執行をやられているのです。税金なんかで滞納があるというと、強制執行をやられて追い出されているのですよ。これはあなた、課は違うかもしれませんが、主税局あたりで聞いてみたら、こういう問題とこの問題を対照して考えてみたときに、これは国民は納得しますか。強制執行でけっこうじゃないですか。行きどころはあるのです。これは追放になったからというが、個人的な事情を言っているのではない。だから名前をあげなかったのですが、名前をあげていないのは、公けの論議にしたいからあげないのです。そうでしょう。こういう人たちはそれでまさか路頭に迷うということはない。ところが、路頭に迷う階級は強制執行をやられているのです。税金の滞納なんか、もっと切実な生活の逼迫の問題でやられている。しかも、こういう人たちはどうでしょう。払い下げがいいというので、銀行には通用するかもしれないが、国民には通用しないような勧銀の評価で、そうして一万六千円——渋谷の神山町がどのくらいの時価しているかということは、われわれだってつんぼさじきにいるわけではありませんよ。どれくらいの時価しているかということはみな知っているでしょう。渋谷に行って聞いてごらんなさい。これが一万六千円という価格で百六十坪が払い下げられておる。この土地だけでも膨大なものですよ。これは何としたって二千万、どんなに最低見積っても二千万以下ということはありませんよ。まず普通にいったら三千万とか三千五百万とかになるのではありませんか。そういうものが、五十四坪四分二厘というようなこういう二階建の家とともにわずか三百万で売られているのですよ。これは実際われわれに売ってもらった方がいいくらいです。われわれのような貧乏な階級に、これは三百万でなくて、五百万くらいで売ってもらって、そうしてこれを三千万くらいで売れば、どれくらいもうかるかということはだれでも知っているのです。そういうことは天下に通用しない。ここだけ言いくるめればいいということであなた方これを説明されようとするのですか。それならわれわれにも覚悟がある。日本銀行だからといってそういう特権的な立場をとるということは、これは許されないと思う。国有財産そのものに対して、こういうような形でもって売却されて、そこだけ通用するのだ、イタチの仲間の通用じゃないか。こういう点はもう少しやはり、今綱紀粛正ということを言っておるのですから、石橋内閣が言って、岸さんもそれを継承すると言っておる。五大公約の一つです。そういう態勢の中で、この当委員会でそのような論議でぬけぬけと通られると思っておられたら、それは大へんな間違いです。これはわれわれ国民を代表して一言言わなくちゃならぬ。時あたかも三十一年六月四日というのです。われわれだって推測がつきますよ。ここではあなたたち公然と言えないでしょう。しかし、世の中がやかましくなってきて、公舎の問題で騒いでおった。そういうような態勢の中で、これも何とかつじつまを合せておかなければ工合が悪いから、そろそろ十年以上たつからと……、勧銀の安い評価でやっていけば三百万です。そうして、しかもこれが日本航空会社の社長さんになっているのだから、三百万ぐらいわけないでしょう。こういうことで国有財産に入り込んでいる、そういうことになりませんか。私は国民はこういうふうに解釈するだろうと思いますが、こういう点についてどうでしょうか。この問題について、ここにおいでになる日銀の最高責任者の御意見を私は一応承わっておきたい。
  202. 井上敏夫

    参考人(井上敏夫君) ただいま具体的の人の住居及びその払い下げの問題について御質問がございましたが、私どもとしましては、先刻来担当の谷口理事、それから管理部長、文書局長が、お答えしておりますように、できるだけ、これはもとより公正を期したいと思いまして、勧業銀行——これはただいま普通の銀行にはなっておりますが、長年不動産鑑定のエキスパートを持っておりますので、この評価に従いまして、それに現に住んでいる人が買う場合は、勧銀あたりの話を聞いてみますと、若干これは安くなっておるようでございます。全く新しい土地、新しい家屋を取得する場合とでは、そこにおのずから売買価格に違いがあるように承知しておりますので、その辺を加味をいたしたことと存じます。私こまかく計算の方法まで実は存じておるわけではございません。できるだけその辺だれからも非難のないようにということは、常々部局の者にも申しておる次第でございます。これは私からはっきりお答え申し上げておきたいと存じます。
  203. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうでしょうかね。まああなたの方はいろいろな事情があって立ちのきをできなかった。ところが、立ちのかない人は、先ほどからしばしば言われるように、名前を見たら、だれでも、われわれでも、ああこの人は何をしていると知っている人たちであります。もし、立ちのく意思があり、あなた方が立ちのかせる意思があれば、借家のできる人です。これは率直に申し上げて、一人々々、この人はこういう人で、やめられてからどういう公団に行かれた、会社に行かれたと知っている人が何人もあります。長きにわたっては十年間、そうして先ほど聞けば坪当り一番高いので百三十三円で住まわしておられる。これはいろいろおっしゃるけれども、やはり悪いのです。日本銀行とかあるいは諸官庁とかいうものが、そういうことを、住宅事情が逼迫しているからというようなことで、……先ほど岩間君も言われたように、住宅事情の逼迫は、何も日本銀行の高級職員ばかりではない、あるいは各省の高級官吏ばかりではない、みなしている。そこの中で、ともかくも各省の高級官吏だとか日本銀行の部長だ、局長だというような人々が、長きは十年にわたって、いろいろ御事情もおありだったろうけれども、役宅に居すわっておる。今日もなお相当な社会的地位、相当高い俸給をとっている人がおられる。これはあなた方が何とおっしゃっても、国民の、そういう日本銀行というような、そこの部長や局長はどうあるべきものだ、どのくらいの生活をしていているものだという一般の考え方からしましても、これをあなた方が放置しておかれるということは、いろいろ御事情もありましょう。柳田さんの場合は柳田さんの場合があったかもしれないけれども、柳田さんの場合にしたところで、よしんば追放されたところで、追放解除されてからどのくらいになりますか。柳田さん自体が、この家に匹敵する家とか、この家よりもいい家とかいうことで探されると困難かもしれないが、ほかの者はみな借りた家でも立ちのかなければならないときにはずいぶん苦労してやはり立ちのいておる。それを今までほうっておかれたということについては、これは一も二もなく悪かったということを、もっと気持よくあなた方やはりその点については、委員会に対してのみならず、世間一般に対してはっきり言っていただきたい。そうしてあとの処理について、勧業銀行以外に何も標準はないじゃないか。公入札してごらんなさい、その家を売るというと、先ほどから岩間委員が言っておられるようなことで、勧業銀行の評価というものは、いろいろな評価の仕方があって、何も一つのところにきまっておらないのですから、それは担保として幾ら見るかということもありましょうし、買う場合や売る場合や、いろいろあります。住まっておる人間に売るときはとおっしゃるけれども、住まうのは、これはあなた方と賃貸契約をして住まった人ではない。たまたま局長になった、部長になったということで非常に安い、これは一種の銀行の福利施設だと思います。坪当り百三十三円が最高だとおっしゃる、そういう家は東京にありません。そこに長い間住まって、そうしてやめてからも相当長くその安い家賃のままで住んでおられる。おそらくあなた方の方は——日本銀行は、これらの人々、十人の同じ役宅をやはり設営しておられると思います。あるいは現在その役職におる人が、この人たちが立ちのかぬために、当然部長であり局長であるために住める家に住めないというように、あなた方が苦労を分けておられるからそれでいいじゃないかとおっしゃるかもしれないが、それならそれでそのようにしなければならぬ。それで、今住んでおるということから多少安くと……、これは非常に言いづらい比喩ですけれども、どろぼうに追い銭みたいなものである。そういうやり方は誤解を招くのです。あなた方は非常に正当な方法でやっておるというふうにおっしゃるけれども、これはとてもわれわれは、なるほど日本銀行がいい処置をしているとは言いかねるのです。実をいうと、こういう居抜きのままで世間の誤解を受けるような払い下げというような方法は、先ほど銀行局の総務課長は、あまり自分はいい方法とは思わぬとおっしゃったけれども、われかれも相なるべくはさような人々がよそで家を買って、この家が不要ならば別なところに移っていただきたい。あるいはこれは正当な価格であるかもしれないけれども、広く世間は、あなた方が勧業銀行の正当な標準だとおっしゃればおっしゃるほど、どうもやはり、あなた方のかつては先輩であったし、同僚であった、やがてはあなた方自身にもそういうことがあるいはこないとも限らない、そういう場合も予測して、大へん手心を加えた処置をしておられると言われても、言いわけ立たぬではないか。私は政府与党でございます。私は岩間君に、あるいは久保君に、それは君たちの言うことが無理だということは一言も言えません。どうでございましょう、副総裁、こういう今までのやり方について、あるいはこういう処置について、これでいいのだというようなふうな御答弁は、少し私は日本銀行として御反省を願いたい。もう少し、こういう措置をするについてはこういう事情があってこういうことだと言って、率直に、こうせざるを得ないと、納得のできる理由を披瀝していただかなければ、われわれやはりこの措置についてあくまでも追及せざるを得ないと思うのです。もう少し何とか処置の方法もあったろうと思うし、今ごろになって、いろいろな事情があって、事情があってと……、事情はだれにでもあるのですから、それをたてにとられて、あなた方がいわばまあ放置しておられた。さっき管理部長さんですか、これらの人々について今は何をしているかと聞いたら、十人のうち四人おあげになった、あとは知らぬと。家主がもし立ちのきを要求するということだったら、その人は現在どのくらいの収入があり何をしているかくらいみな知っておられるはずです。管理部長ほどの人が国会に答弁に来られるのに、その人がどういう収入があるか、どういう生活をしているかということを全然知らぬ、当面の管理部長が四人だけこういう仕事をしておられるというような態度で立ちのきを迫っておる。これでは解決つかぬと思う。もう少しこういう問題は、世間が、去年問題になった高級官吏の公舎立ちのきの問題というようなことで今そのことについては問題にしているのですから、日本銀行ならば、これは諸官庁の高級官吏よりももっとあなた方の日常の待遇はいいのですから、そうしてまたおやめになれば黙っておってもいずれも……。このうちのだれが何もしない人がありますか。みな相当なところに、相当な地位に、先ほどおあげになった方々でも、ある証券会社の社長だとか、日本で有名な会社の副社長になっているとか、こういう人々ばかりです。どうでしょう、副総裁、もう少し何とかわれわれが納得できるような、われわれがというよりも、国民が納得できるような御答弁ができないものでしょうか。
  204. 井上敏夫

    参考人(井上敏夫君) まことに何といいますか、言葉が足りなくて何でございますけれども、まあ私どもとしてこういう方法しかないだろうということで実はこの制度を設けましたので、これは客観的に見て、なお、ただいま御注意もございましたし、どんなものであるか、今後の検討を決して怠るものではないことは、この席から申し上げておきたいと思いますが、ただ、まあ先ほどから具体的な人のことが出ておりますが、谷口理事からお答えしましたように、パージでもありましたし、それからまあ大へん露骨なことになりますが、退職賜金はパージの関係でこれはあげてもございませんし、その後航空会社の社長にはなられましたが、これとて私どもとして決して捨ておいたわけではないのでございまして、言うに言われぬ談判を実は続けて参りまして、ようやく片がついた次第でございます。まあ世間から見られますと、そこにいろいろ、これはわれわれ十分その声を聞いていかなくちゃいかぬことは、申し上げるまでもございませんが、まあ長年同じところにいた者として、若干の情が働くこと、これはまあ人間である以上、どうぞその辺は御了解を願いたいと思います。さればといって、それだからできるだけいい職にあった者には便宜をはかるとか、どうするというしんしゃくを加えていることでないことは申し上げるまでもないと思いますが、先ほど強制執行のお話も出ましたが、どうもなかなか三十年以上も同じところで勤めておられた人々に、そういうこともちょっとこれは実は私どもとしてできかねますので、できるだけ早く出て、あけていただくというのが、これが原則でございますから、やむを得ざるものについて、またその評価に合う、支払能力のある方につきましては、大蔵省の御了解も得てあります。その人に譲っていくという方法をとってきたわけであります。
  205. 松岡平市

    ○松岡平市君 今まで住んでおったうちと同等のうち、それにしか日本銀行の高級幹部なんかは住んでいかぬという規則はないのです。お互いに役人をしておる者も、首になれば役人のときと違う生活が展開されることはやむを得ないと思います。そういう観点に立っておられれば、私はもう少しはっきりしたことができると思う。この事例から見ると、日本銀行で高級職員になって、役宅に住んでおった者は、あなたの答弁を聞くと、これは全部おりさえすればよろしい、三年や五年、長きは十年でもおれる。あなたの方で催促されれば、勧業銀行の評価に手心を加えて、そのおるうちは必ず自分のものにしてもらう、こういう事例、ほとんど全部がこういう解決になっておる。そういう事例を、これは日本銀行の高級職員にはっきり作っていいものかどうか。これは極端なことかもしれませんが、ほとんど全部そういう解決になっておる。そういうことになってくると、日本銀行の高級職員は、そういうことをせぬ者はこれはばかだということになる。日本銀行で首になったら、そこの役宅はがんばってさえおれば、勧業銀行の評価に手心を加えて払い下げてもらえる。買う金ぐらいは銀行で担保にして貸すでしょう、土地と家屋を一緒にしたら……。一般庶民は、十坪、十二坪のうちを買うためにどれだけの苦労をしておるか。金は貸してもらえません。ところがあなた方の方の高級職員であれば、勤めておるときは安い家賃で役宅におって、それから後やめても五年や八年はその家賃でおられる。そしてあげくの果ては、そのうちを銀行に担保に入れて借りれる金で自分のものにできる、こういうことになる。こういうことですよ、やっていらっしゃることは……。どうでしょう、私は、もう少し何とか気のきいた解決をしていただかないと、非常に貧乏している連中は承知せぬだろうと思いますがね。
  206. 井上敏夫

    参考人(井上敏夫君) 今後、三年、五年というような事例はおそらく万々ないだろうと思います。それは私としましても、規定をこさえさしたわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、規定の上ではすぐにも立ちのきの処理をつけるということになっておりますから、まあ即刻といっても、なかなか世帯を動かす、あるいは新しいところをめっける、これまた実際問題として容易でございませんので、少くてもまあ半年、あるいは長くても一年ぐらいには片をつけるようにということは、常に下僚の者に申しつけておる次第でございます。従って従来、先ほどから御説明申し上げましたように、終戦後、相当不合理と申しますか結果においてそういうこともあったことは認めます。今後できるだけそこは客観的に見ても適当なように、なお十分の配慮は加えていきたいと思っておる次第でございます。
  207. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 一点だけ伺いたいと思います。この「退職者に払下げたもの」という第二の表の下に、払い下げは本行が行舎運営上差しつかえないと認めたものに限り払い下げをしたということが書いてあるわけですが、そうしますと、どこかに後任の人が入り得る住宅が銀行としてできておって、従って差しつかえない、こういうことに解釈していいのか、あるいは新しく建築をされて、差しつかえないのか、その点を伺いたい。
  208. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 先ほども申し上げましたように、非常に年数が、三十年近くたっておりまして、非常に営繕費がかかりますので、払い下げて更新した方がよいものと、それから後任者につきましては、自分が家を持っているとか、あるいはその必要がないというものにつきまして、払い下げて行舎の運営に差しつかえるものにつきましては払い下げておりません。
  209. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そうしますと、ここの表では十三払い下げられたわけだが、この十三の住宅につきましては、そのうち新築されたものはどのくらいありますか。
  210. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) この十三の払い下げにつきましては、新築したものはございません。それから、なお申し上げますが、ここには退職後居住した者だけを載せておりまして、退職後あけたものにつきましては資料の提出がございませんので、あけたものは載せておりませんので、これは日本銀行の高級職員が全部残っておるということではございません。このほかにもちろんあけたのもあるわけでございます。
  211. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そうしますと、この払い下げた十三につきましては、新築しなくても、銀行として住宅があったわけですか。
  212. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 先ほど申し上げましたように、このほかにあげたものもありますし、あるいは自分の後任者が自分の家を持っておったという場合もございます。
  213. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちょっと具体的にお聞きしますが、それでは仙台の支店長、これは役宅に……。仙台支店長というのは杉並区の馬橋におるわけです。退職直前の支店長……仙台に役宅はないのですか、これはどういうことですか。仙台支店長の伊藤斎という人です。昭和二十二年六月四日に仙台支店長で退職して、そうして住居は杉並区の馬橋二の百七十四に役宅がある。
  214. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 杉並のは仙台支店長での役宅ではございませんので、これは仙台支店長になりまして、最後は仙台支店長でございましたが、仙台支店長から一度本店詰めになっております。
  215. 松岡平市

    ○松岡平市君 資料の間違いですか。
  216. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) はあ。
  217. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると、支店長は一人も居すわりはおらない。あと居すわりは副総裁理事が二人、局長、部長、監事、そういう人ばかりです。東京在勤の……。先ほどの説明で、日本銀行業務運営上住宅を用意しなけれげならない、これはごもっともだと思う。特に地方の支店等に異動をさせた場合に家がないというようなことで、かければ因る、これらの人々も今、おっしゃるように家が……。東京都内においてもよその支店長、あるいは大阪の支店から東京本店詰めになった場合に、こういうものが必要であったということだろうと思う。そうするとここに表になっているのでも十何人全部役宅に住んでおられる。これはみんな退職した人ですから、あとは同じ地位にすわっておられる人は全部役宅を持っておられるかどうか。現在自分のものに住んでおるとか何とか、そういう人がおるだろうが、ここに該当する副総裁その他、役宅はどうなっているのですか、何人今ダブって、これが使えなくなったから、後任の人は……役宅を幾つ日本銀行でちゃんと用意しておられるか、それを一つ教えて下さい。
  218. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 副総裁の場合には、副総裁理事から副総裁になっておりますので、理事の家がそのまま副総裁の家になっております。それからこれが退任しまして、その後任が必ずしも支店から来ているとは限っておりませんので、そのまま本店におったままこの役職が変った場合は多数ございます。
  219. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると、これはまあ理事が副総裁になれば、あとまた理事ができると思うが、その理事はかつては統計局長であったとか、管理局長であったとかいうもので、その宿舎におるということで、少くともこの十二、三といううちは、役宅は日本銀行運営上不必要だ。あなたの話を聞くというと、どうしても日本銀行の運営上、この住宅事情からして、こういうものを日本銀行が持たなきゃならぬという最初の御説明であったが、これはやめた人に占拠されておって、そのあとはなくても済んでおる。一つ大蔵省に勧告いたします。総務課長、よく聞いておって下さい。日本銀行においてこういう役職の人には今後役宅を日本銀行が作ることは、一つ大蔵省としてやめるように御勧告を願いたい、そう言わざるを得なくなる、それでよろしゅうございますか。
  220. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 現在新しい日本銀行の部局長以上のために役宅の新設ということにつきましては、私ども大蔵省にそういう予算のお願いをいたしておりません。
  221. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると、こういう問題を起したのは、過去の住宅事情のためにやむを得ずしてやったことで、今後は日本銀行は、こういう役職の人たちには役宅は不必要だ、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  222. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 今後におきましては、できるだけ退職と同時に出ていただく、あるいは退職と同時と申しましても、ただいまのような家屋事情でございますので、そこに多少のずれはやむを得ないと思いますが、原則として出ていただくという考えでおります。
  223. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちょっと話が違うのですよ。こうして役宅はほとんど全部払い下げられるのだから、あけられた以外のものはもう役宅は必要ないということになる、現在は。副総裁は別に理事であって役宅を持っておったからそのままでよろしい。私は新しく理事になられた方もおられると思うのだけれども、そのあとをカバーせられた人に、自分のうちなり何か役宅を持っておられて、十年前から、あるいは去年までかもしれない、日本銀行運営のために必要であった役宅は、占拠されたまま払い下げられて、今は現実に使っていらっしゃらないのだから、なくてもいいという結論になるわけです。前は住宅事情で要ったけれども、もうこれから先は要らない、こういう事情になるわけですか。
  224. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 現状におきましては、これはなくてもよろしいというととでございます。
  225. 久保等

    久保等君 いろいろお尋ねすればするほどわからなくなるのだけれども、先ほどの仙台の支店長が本店詰めになってやめられたというのですが、転勤せられた日付はおわかりになりますか。
  226. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 当時の資料をただいま持ち合せておりませんので……。
  227. 久保等

    久保等君 それじゃ私も若干資料をやはり出していただいて検討したいと思うのですが、やめられて入っておられる方々、それからすでに払い下げたものの、銀行をやめられて入っておられたときの家賃はどのぐらいこれを取って一おられたのですか。今お一わかりになりますか、十四人ばかりおいでになる分、それからまだ入っておられる四人の方々、これらの家賃はどのくらい取っておられたり、あるいはまた現に取っておるのか……。
  228. 國府田守登

    参考人(國府田守登君) すでに払い下げたものの方についての家賃につきましては、ただいま資料を持っておりませんが、現在入られている方の家賃につきましては資料を持っておるわけであります。大体、先ほど申しました家賃の規定から大体一年ぐらい経過したものは、四割ぐらいよけい取るという建前で家賃を取っておりました。
  229. 久保等

    久保等君 それじゃ一部だけお聞きしても何ですから、全部について、家賃はどのくらい取っておられたり、またおられるか、それからまたおやめになった方がどこかにおそらくお勤めになっておるだろうと思うのですが、そのお勤めになっておる職名、それからいつお勤めになったか、そういった点、それからこの建物なり土地を銀行で手に入れられた時期は、いつそれぞれのものについて手に入れられたのか、また、その当時の価格はどの程度で入手せられたのか、それから建物の建築時期はいつであるのか、いっそれぞれの建物は建てられたのかという点、それからこの四名の分については、これは常識的にも当然つけていただかなければならなかったと思うのですが、やはり所在地と、土地建物の大きさ、これは現在まだなお入っておられる分についての全然資料がないようですから、一つ出していただく、その点を一つお願いしたいと思うのですが、出していただけますか。
  230. 松岡平市

    ○松岡平市君 それと、やはり修理費をかけられたときの値段、修理をどういうふうにされたかはともかくとして、どれだけの修理費を払って、注ぎ込んであるということもやはり大事なことです。
  231. 久保等

    久保等君 それから払い下げられた分については、この払い下げ価格、とのときに即金でもって一括して代価は支払われたような形になっておるのですか、それとも若干ずつ分けて徴収せられたのか、どういう方法ですか。これは特に昨年一年間にわたって十四件処分しておるわけですから、どういう方法でこれは払い下げられたのか、その点はちょっと今お伺いしたいと思うのですがね。
  232. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 代金の支払い方法は、現金もしくは三ヵ年賦となっております。
  233. 久保等

    久保等君 三カ年賦と……なかなか非常に便宜的な方法をとっておられますな。それじゃこの十四件のうちで、全部その代金を徴収せられた分は何件で、それから何ヵ月か何年か知らんが、そういう分割払いをせられておるのが何件なんですか、今とこで御即答願えますか、その程度のことは……。
  234. 鷹野孝徳

    参考人(鷹野孝徳君) 今手元にちょっとその資料ございませんので、後ほど……。
  235. 久保等

    久保等君 それじゃいろいろ資料をまた出していただかなければよくわかりませんが、いずれにしても、これは先ほど来松岡委員からお話になっておりましたが、副総裁にも非常にお忙しいということで、勤務時間中には国会にも出られないというお話だったそうで、非常にお忙しいのだろうと思うのですが、しかしこういう具体的な問題については、やはり総裁なり副総裁も、これは国会とあまり御縁がないわけじゃないのですから、ぜひ今後お出ましを願ってお願いしたいと思うのですが、私は少くとも、先ほど来御説明を伺っておっても、一般の社会常識としては非常にもうこれはルーズなやり方だと思うのです。少くともこういうことは、銀行屋さんというものは、どちらかというと、事金銭、物に関しては非常にきちょうめんなのが建前であろうと思うのです。ことに日銀は金融界の総本山でありますから、民間金融機関に対してはきわめて手きびしい。手きびしいといっては語弊がありますが、厳格に処理をされておるだろうと思う。また、そうしなければならぬと私は思うのです。ところが事こういう問題になると、今まで入っておられる方は居心地がいいことは事実だろうと思いますが、居心地がいいということのままに推移したようにしか受け取れない。従って私は日本銀行そのものとしても、たまたまこの宿舎問題を取り上げたのですが、宿舎問題等についても一つの方針を、今の社会常識において許される範囲内における方針というものを立てられる必要があると思う。ところが先ほど来の御答弁では、全く別にそうまずいことをやったとも思っておられないような御答弁、副総裁初め各関係者の御答弁を承わっても、ただ御説明を申し上げるという形で御説明をされておるのですが、一向にどうもこれに対して特別そう指揮をされるようなものでもないといったようなふうに私どもには受け取れたのですが、しかし私どもは単に別段非違を鳴らすだけでなくして、やはりあり方について今後十分お話もしなければならぬと思います。先ほど来申し上げた行舎規定の問題についても、こういう行舎規定ができておることも私は不明にしてあまり多くを知らない。日本銀行の行舎規定について、融通無碍な適用ができる行舎規定は知らないのです。建前は、直ちに出ていただくなんといっても、大体直ちに出ていただくということは非常識きわまることで、そんなことは現実にできないので、やめたからといってその瞬間に出ろといっても出られない。だから出られる範囲内で、三カ月なら三カ月、半年なら半年、その期間において準備をして出ていただくという行舎規定にすべきだ、ところがその規定は不備で作っておりませんでしたという御答弁ならわかるが、建前としては、直ちに出ていただくなんという説明では、これはきわめて非常識きわまる御答弁だと思う。むしろそういうできないことをやらせようといったってこれはできないので、だからかりに半年なら半年、最高一年なら一年という何らかのそういう基準、社会常識に基く基準というものを私は設定せらるべきだと思う。おそらくこういうルーズな公舎規定、宿舎規定なんというものは日本広しといえどもあまりないと思う。しかも金融機関の総本山として、またこれを監督するのは国有財産管理を扱っておる大蔵省だ。その大蔵省の先ほど来の御説明を聞いても、少くともこの問題についてはどの程度一体適切な勧告なり指導を行なってきたかということについては、全然先ほど来の御説明では理解できないのですがね。従って、これは大蔵当局にもこの問題については私は非常に大きな責任があると思う。たまたま昨年宿舎問題等が問題になって資料を出していただいたのですが、私もひょっと見ておったら、非常にひときわ目立ったのが実はこの問題なんですよ。ですからことさら日銀の内部をどうこうしようというのではなくて、各政府関係機関、それからもちろん各省、準政府機関等の宿舎問題の資料を出していただいたら、それがひときわ目立って非常識な扱い方をされておったのですから、機会があればお聞きしたいと思っておったのですが、先ほど来お尋ねしておりますと、ますますどうもこの国会の委員会で適当な答弁さえしておけばいいんじゃないかという態度で、何かこの委員会に臨まれたのではないか、邪推をするわけじゃないのですけれども。先ほどの仙台支店長の問題にしても、先ほどのああいう御答弁では私どもは納得できない。おそらくやめられる直前に東京転勤になって、本店詰めになったという形で御答弁をされたのではないかと思いますが、そういう私は、何といいますか、うまく答弁するとか、下手に答弁するとかいう問題でなく、本質的にこういう問題についてどういうふうに答弁するのが正しいのか、また社会常識としてどの程度の扱い方をするのが正しいのかということは、それこそ日本のトップ・レベルにある機関であり、また役員の方々についても一般従業員にしても、一般国民から見れば、むしろ羨望せられる立場にある方々、そういう立場の方が全く非常識きわまるようなことをやられておったのでは、これは日銀というものは、一番信用あるいは名誉といいますか、面子というか、そういうものを非常に尊重せられる機関だと思うのですが、そういう面子を尊重しなければならぬ立場で、あまりどうも国会といえどもやたらに頭を下げることはまかりならんという心情がおありになるかと思いますが、私はそんなものではないと思うのです。信用というものは、ただ適当に言い逃れていれば信用がつくものではないと思うのですが、やはり悪い点は悪い点として率直に私は、是正をしていただかなければならぬと思うのですが、きょう初めておいでを願って、時間もあまりございませんが、ぜひ今後の処理の問題についても御検討をわずらわしたいと思いますが、大蔵当局でもこれは一つ、今まであまりタッチをしておられないならば、日本銀行法の定める一つの立場から、私はやはり大蔵当局としても責任ある今後の扱い方について検討を願いたいと思うのですが、従ってきょうのところは時間もございませんから、先ほど申し上げたような資料を御提出願って、またいずれ適当な機会においでを願って御説明を伺いたい、こういうふうに私は考えます。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 同時にそういう日銀の方々の方で対策をお考えになると同時に、当委員会としましても、これに対する態度をやはり明らかにすべきじゃないかと思うのです。従って、これは理事会においてこの問題を明らかにするように努力されたいと思います。いかがでしょうか。これはできれば決議なり何なりやると、今後公舎明け渡しに関する原則的なものを確立する、そうでないと、一方でどんなに綱紀粛正などと言っても全く問題にならない。これは全く馬の耳に念仏になりますから、綱紀粛正ということは、明確にこういうようなところがら改めなければ話にならぬと思います。その点どうですか。
  237. 三浦義男

    委員長三浦義男君) いずれこの問題が取り上げられましょうから、そのときこ……。
  238. 古川汎慶

    説明員(古川汎慶君) 実は、これは十一月に数件ございますけれども、私も先ほど来申し上げましたように、まあ、明け渡しの功を急いで、必ずしも最善の方法でないけれども、ぜひ明け渡したいという熱意からこういう方法がとられたんだと思うのですけれども、実はこの点についてはすでに再検討の要ありと私どもは実は思っておるのであります。
  239. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  240. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それでは速記を起して下さい。  本件につきましては、今後資料の提出を待ってから後、またあらためて取り上げることにいたしまして、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  以上で本日の審議を終了いたしました。次回は明三月五日火曜日午後一時からでありますが、同日の委員会では、まず懇談の形で、三月八日の二十九年度決算総括質疑方法打ち合せ、できれば質疑を通告していただいて、出席要求の大臣をきめることにいたしたいと存じます。また、決算議決に当って警告議決を出すかいなか、出す場合にはどの省に出すというようなことをお話し合いしたいと思います。さらに審査報告書の内容について、お手元に昭和二十九年度決算審議の結果による問題点、その一として差し上げてありますが、その二が明日でき上りますので、この点についても打ち合せをされたいと思います。この懇談で打ち合せた後に、国鉄の決算と民衆駅の問題を審議いたします。  ではこれをもって委員会を散会いたします。    午後六時十九分散会