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説明員(
石渡達夫君) 御説明いたします。
第七百八十七号は、
一般会計の
国立帯広療養所及び
国立療養所刀根山病院におきまして、二十六年四月から三十年三月までの間に診療した患者に対する
病院収入を
徴収決定しないでいたものが五百六十八万三千円ばかりでありまして、そのうち百三万三千円は一ヵ年以上も古いもので、一ヵ年以上もたっているのに
徴収決定の処置をとらなかったものでございます。こういうように
徴収決定をしなかったのは、
病院の側におきまして
徴収決定をして金が入らないというと非常に
病院の成績が悪いというふうにとられることを心配しまして、金が入るまで
徴収決定を見合わしていたというような事態があったり、また係員の不注意によってこうした結果になっているのであります。それで
実地検査の結果、
会計検査院で注意しましたところ、三十年七月までに
厚生省におきまして
徴収決定の処置をとっております。
次に七百八十八号から八百四十号まで、「
国庫補助金等の
経理当を得ないもの」、これについて御説明いたします。初めの(一)の分は、結核、
性病等予防事業に対する
国庫補助金等の
精算が当を得ないもの、それは初めにあがっていますのは、
結核予防法なんですが、この
結核予防法に対する
補助金につきましては、百十九ページの七百八十八から七百九十二までに各件案があがっております。これは大体におきましてこの間違いが起りました原因は、その摘要に書いでございますが、ここに書いてあることは、結局この
予防接種とか
健康診断というものは県が施行するものと、町村が施行するものと、両方あるんでございます。それで町村が施行する場合に、町村の方で自分の方に医者がいないものですから、県の
保健所に委託して
健康診断、
予防接種をする、その県に委託してやった
予防接種とか
健康診断の
経費を、県の方で間違いまして、自分の方でしたものと町村の分をあわせまして、それに対して国の
補助をやっている、こうした結果間違いが起きているのであります。この町村がしました
健康診断等につきましては、別に国の
補助が行っておりますから、従って国の
補助がダブって行ったような格好になる、こうした府県が
結核予防補助金におきまして五件、三百万円ばかりになっております。
次に、
療養所運営費補助金でありますが、これが全部で人件、二百五十万円ばかりになっております。これは
補助の
対象としてはならないものを
補助の
対象に加えていたためであります。
それから八百一号から八百三号まで、
性病予防法の国の
補助金の
交付当を得ないもの、三件あがっております。三件で百七十二万八千円でございますが、この内容は、
補助の
対象としてはならないものを含めておりましたり、あるいは八百二号のように、この
補助金は
運営費の
補助金でありますので、
運営費の
補助を誤まって
建設費の
補助に用いたというような例でございます。
それから次に
精神衛生費の
補助金が二件あがっておりますが、これは
補助の
対象としてはならない
経費を含めていたものであります。
それから次に
保健所の
運営費の
補助金、これが一件、
国庫補助金を返納すべき額が二十万円あがっております。これは
補助対象外の
施設費を含めているものです。
その次に八百七号、
優生手術の
交付金でありますが、これは北海道におきまして
補助対象外の
道職員の旅費を含めていたのであります。この
交付要項によりますと、この場合の
補助の
対象になりますのは、
優生手術を受ける患者の旅費とか、あるいはつき添い人の旅費だけを
補助の
対象としております。それにもかかわらず、この場合には本
事業に関連はあったのでありますが、
道職員の旅費を
補助の
対象として含めていたものであります。
次に八百八号、これは山梨県で、
甲府市外五十四町村が
日本住血吸虫病、こういう病気の、
地方病の
予防のために
コンクリートのみぞを作る工事ですが、この
工事費を四千五百万円ばかりかけてやっております。それに対して県が三分の二
補助いたしまして、その県の
補助に対して国が二分の一
補助するものであります。国の
補助としましては、この金額に対して千五百十七万二千円ばかりの
補助をしております。その
補助の状況を
会計検査院で検査したのでありますが、各町村とも
設計過大がありまして、
補助金が約八十五万八千円
超過交付になっておるという事態であります。本件は
日本住血吸虫病の
予防のために、その病気の
中間宿主をなすところの
宮入貝を撲滅する、こういう趣旨で、従来どぶ泥のみぞを改修し、
コンクリートにしまして、そうしてこの
宮入貝がすめないようにするという趣旨の工事であります。この工事の設計に当りまして、
厚生省におきましては、このみぞを全部新しく掘って
コンクリート張りにするという設計にしておるのでありますが、現地を見るというと、相当部分が従来のみぞがありまして、従来のみぞを利用するために、新しくもう土を掘らなくてもいいというところが相当あるのであります。そういうところを
計算しますと、設計において、そのみぞの切土二万六千九百六十三立米になっておりますが、そのうち千九百八十五立米、これは既存の水路を利用するから、こうした切土の
経費は要らない、こういう
計算になります。その
工事費が百四十一万二千円になっております。また、
コンクリートを一・三・六の
配合比の
コンクリート工事をやるのでありますが、その積算を
立米当り四・八袋として
計算しておられます。しかしこの一・三・六の
コンクリートの
基準量は四・五袋で普通間に合うと、そうするとこの場合ならば十分に間に合ってあるのでありますから、この
基準量立米当り四・五袋のセメントでもって
計算しますというと、この分が百十六万二千円ばかり
行き過ぎになっておる。この両方の合計で
工事費が二百五十七万四千円ばかりが
行き過ぎになっております。これに対する
国庫補助金八十五万八千円、これが
超過交付になっておるのであります。
次に、八百九号から八百十一号まで御説明します。これは「
水道関係補助金の
精算にあたり
処置当を得ないもの」でございますが、二十八、二十九両年度に
簡易水道整備、
特別鉱害対策等水道関係の
国庫補助事業につきまして検査をしたのでありますが、そのうち、
請負金額をつけ増ししたり、
夫役賃金を過大に計上しましたり、あるいは
路面復旧の
出来高不足となっているものに対し、実際の
工事費を確認しないままに
精算を了したために、
補助金が
超過交付になっておりますものが百九万五千三百十一円でございます。その代表的な例を八百九号から八百十一号までに掲げてございます。
次に「
生活保護費負担金の
交付にあたり
処置当を得ないもの」、八百十二号から八百二十六号まででございますが、
地方公共団体が
国庫負担金の
交付を受けて
生活保護事業を行なっておりますが、その
支出額は毎年非常に上っておる。この国の
補助金だけについて見ましても、二十九年度は三百五十四億というような
支出額になっております。この
生活保護費の中で特に
医療扶助費の占める比率が毎年非常に飛躍的に上っておりまして、これはこの
医療扶助を受ける人が増加する関係もありますが、一つには医療の内容も充実しまして、
生活保護費全体がふえる額よりも非常に
医療扶助費がふえておる。ちょっと数字を申しますと、
生活保護費に占める
医療扶助費の比率が二十六年度は三六%、それが二十九年度は四九・五%、ほとんど半分に近いくらいになっております。それでこの歩合がうまくいっておるかどうかということを概括的に検査をしたのでございますが、三十年度中に百七十二
福祉事務所について
調査をしたのでございます。その
調査は、この
医療扶助を受けている家庭につきまして、その病人が六ヵ月以上継続して
医療扶助を受けておる、それからその家庭のある人が勤めておりますが、その勤めておる
収入が適正に
計算されておるかどうかということを見たのであります。全体の
調査件数は、さっき申しました百七十二
福祉事務所につきまして、千三百七十三人について、これは
医療扶助を受けている家庭から働きに出ている人の
調査をしたのでありますが、それが千三百七十三名、この
収入がうまく適正に算定されておるかどうかという
調査をしたのであります。ところがそのうち不適正なものが八百十二件、結局、
国庫負担金相当額超過になっておりますものが千七百七十四万九千円というふうになっております。こうした事態が生じましたのは、結局その働いております者の
収入認定に当りまして、この被
保護者の申告、あるいは雇い主の証明に不実な点がありましたり、また
保護の
実施機関が
調査を十分にしなかったということに原因があると思われます。特にこの
医療扶助につきましては、従来相当の生活をしていた者が、一
たん病気になりますことによりまして、急に
生活保護世帯に陥る、
医療扶助を受けている間は結局
最低生活をするべく余儀なくされる、その
最低生活と申しますのが、
生活保護法に基きまして、
厚生省が
最低生活基準というようなものをきめておりますが、この基準が相当に低いのでありまして、結局、
医療扶助を受ける間はその家庭は
最低生活を余儀なくされるというようなことから、どうしても
収入を低く申告する傾向がある、こうした事情は、
福祉事務所の方でも十分に調べればわかると思いますけれども、事情が事情でどうも強く言えないような場合もある、こうしたことが原因になりまして、国の
扶助が
行き過ぎになっているというような結果になっております。同情すべき事態もございますが、しかしながら、
生活保護に対する国の
財政負担が著しく増加しておりまして、特に二十九年度におきましては、国の
負担不足が二億六千二百万円も出ている。これは国の資金繰りから国の負担ができなくて、このかわりは県が肩がわりして払っているというようなことになっております。それからなお、予算繰りの都合上払えないので、翌年度に繰り延べているものが七億七千四百万円もある、こういうような苦しい事態でございますから、なるべく公平に、
ほんとうに
生活保護に値する家庭にまんべんなくこの
扶助がいきますように、
ほんとうに
生活保護の効果を十分に達するように一つ御努力をお願いしたいと思います。
それから「
児童保護費負担金の
精算当を得ないもの」、これは八百二十七号から八百三十号までですが、これは
児童福祉法に基きまして、
児童福祉施設の
児童保護に要した
経費に対しまして、都道府県が支弁しました
経費について、国が八割
補助をするのでありますが、
厚生省におきまして
国庫負担基本額の限度をきめまして、府県または市町村が実際に支弁した額がこの
限度額を上回る場合には、実際の
支弁額によらないで
限度額を
補助の
基本額にする、また、実際の
支弁額が
限度額を下回った場合には、この
限度額によらないで、実際の
支弁額によるというような
交付条件を定めているのであります。ところが、本件の場合には、実際の
支弁額がこの
限度額以内であるにかかわらず、
限度額をそのまま
国庫負担の
基本額として国の
補助を受けているのであります。そのためにここに掲げてございますように、八百二十七号から八百三十号まで、四件にわたりまして百二十三万四千円の
超過交付になっております。
次に八百三十一号から八百四十号まで、「
国民健康保険助成交付金の
交付にあたり
処置当を得ないもの」、これについて御説明します。
国民健康保険の
補助金がうまく行っているかどうかということにつきまして、三十年度中において
会計検査院におきましては百八十二
保険者について
調査をしたのでありますが、その結果、この八百三十一から八百四十号に掲げてあるような、
交付が適正を欠いた例がございまして、全体において六百六十三万一千円の
超過交付になっております。こういうような事態につきましては、従来も指摘したところでありまして、その後
厚生省におきましても
交付の際の審査及び
保険者に対する
指導監督がかなり行き届いて、改善の跡はうかがわれますが、なお依然としてこうした事態がありますことは、この
補助を受けます団体におきまして、
正当交付額以上に
交付を受けようとする傾向がなおありますほかに、この
補助金が非常にむずかしい条件になっておりまして、
補助金は前年度の実績を基礎にしまして、その前年度実績に三つの条件がありまして、その三つの条件を満たしたものに、四つの方式によって
計算した額を
補助金にする、非常にこれは込み入っておりまして、
補助を受ける側において悪意がなくて、
計算を間違えて
超過交付になるというような場合もありまして、そうした場合には、その
精算を
厚生省でよく見て、この方式に当てはめて間違いがないかどうかということを、町村が出した
精算書について
精算をもっとよく検討する必要があると思います。
次に、
厚生保険特別会計について御説明いたします。
二十九年度における
厚生保険特別会計の
健康勘定の
損益計算書を見ますると、収益におきまして、
保険料収入等三百九十三億一千五百余万円、費用におきまして
保険給付費等四百三十三億四千二百余万円となりまして、差引四十億二千七百余万円の損失となっております。なお、
貸借対照表におきまして、資産にあがっている
保険料の
未収金の中には、
事業所が解散したり、あるいは
従業員がいなくなったりしたいわゆる全
喪事業所というものの
保険料が約十一億一千七百万円含まれております。こうした全
喪事業所の
保険料というようなものは、なかなかとるのが困難で、今後の処理によっては
不納欠損になるというようなものが入っておりますので、こうしたものを見込むと、実質上の損というのはもっと大きなものになるというので、留意を要するところと思われます。
このように損失を生じましたのは、二十六年度以降
結核対策等の強化によって、
受診率の増加、数次にわたる
入院料点数の引き上げ、
療養給付の内容の
充実等がはかられましたが、一方、
収入面においてはその間これという対策もなかった、いろいろな事情によりますけれども、保険経済全般的な対策が十分にとられなかったということによるものと思われます。なお、こうした制度上のほかに、
業務執行面においても注意を要すると認められます点が三つございます。一つは、
保険料の
徴収不足、これが
報酬月額の
実態調査が不十分であったために、
保険料の
徴収不足を来たしているものがあったこと。それから第二には、
保険料の
収納未済が相当になっております。
保険料の
収納未済は全額で三十五億九千九百万円、そのうち
当年度分だけでも十八億千四百万円になっております。この
当年度分の十八億と申しますのは、
当年度分の
調定額に対しまして約四・五%ということになっております。この
収入未済につきましても、今後もっと努力が要るように思われます。さっき注意を要するものが三つあると申し上げましたが、それは二つの間違いでございます。
それから
国立病院について申し上げます。
国立病院の二十九年度の損益を見ますと、収益におきまして、
料金収入等八十一億円、費用におきまして、
病院経費等六十九億九千五百余万円、差引十一億円ばかりの利益になっておりまして、二十八年度のそれが三億五千六百余万円であったのに比べまして、約八億円ばかりの利益になっております。しかしながら、この収益をさらに分析しまして、
病院自体の稼働によるものではないものを除きまして、たとえばこの収益の中で
施設整備費の全額、
看護婦養成所費の半額、それから
病院経営上の
収入不足を補てんする意味で
一般会計から繰り入れたもの、こうしたものの合計が十九億二千余万円ありますが、これを収益から除きまして、また費用のうちには、
看護婦養成所、
医務出張所等の
経費が六億三千六百万円計上されておりますが、こういうものも
病院自体の
経費ではないとしましてこれを除きまして、
病院自体の稼働による損益を
計算してみますると、一億千六百余万円の欠損になっております。これはこうした方法で損益を
計算しました二十八年度分の損益が、二十八年度分は二億九百万円の損になっている点から見まして、やはりだんだんと経営がよくなっていることは間違いない事実と思われます。
なお、
国立病院につきまして、
診療収入の
徴収決定漏れが八百四十一号にあがっております。これは弘前及び
山中病院におきまして、
注射薬またはレントゲンを患者のために用いながら、これを
徴収決定を漏らしてしまった、これが
昭和二十九年四月から三十年三月までの間に七十七万六千九百八十五円ありました。このような事態は、この
病院では
伝票制度を採用していなかった、そのために医師または
診療料金請求事務に従事する
医事係の職員が、
伝票制度のなかったために、
薬品類を使用した事実を
診療録または
診療カードに登録するのを漏らした、このためにこういう事態になったのであります。これは
伝票制度の採用あるいはその合理的な活用によって、こうした事態を防いでいただきたいと思うわけです。