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1957-02-18 第26回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十八日(月曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            中野 文門君            久保  等君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            谷口弥三郎君            永野  護君            林屋亀次郎君            平島 敏夫君            吉江 勝保君            阿具根 登君            高田なほ子君            杉山 昌作君            大竹平八郎君            岩間 正男君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設大臣官房会    計課長     關盛 吉雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省営繕局長 小島 新吾君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    建設省河川次長 美馬 郁夫君    建設省河川局防    災課長     山内 一郎君    建設省営繕局営    繕計画課長   建部 仁彦君    会計検査院事務    総局第三局長  石渡 達夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十五回国会継  続)     —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第九回決算委員会を開会いたします。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  政府関係機関決算書を議題といたします。  建設省の部を審議いたします。検査報告批難事項は、第二千八十四号から第二千二百九号までであります。本件に関し御出席の方は、南條建設大臣石渡検査院第三局長美馬河川局次長小島営繕局長柴田官房長、關盛会計課長町田計画局長富樫道路局長稗田住宅建設課長の諸君であります。  まず、会計検査院から、説明を求めます。
  3. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 三百十五ページからずっと書いてございますが、三百十六ページに「直轄工事について」という見出しで書いてございますが、これは主としてダム工事について申し立てております。ダム工事が、近来非常に大きな支出になって参りまして、二十九年度におきましては、総支出額が四十六億に及んでおります。それで会計検査院としましても、ダム工事を見たわけでありますが、その中で、国の経費だけで購入した機械を共同事業使用した場合には、その使用料計算を行なって、共同事業者から徴収すべきであるのに、その計算をしていないのがある。また、工事施行に伴う人件費及び完成後のダム管理費、これは共同事業者共同で負担すべきものであるのに、国が全額負担しているというようなものがありまして、ダム建設工事が始まってからあまりに時日を経過していない不なれな点もあるかもしれませんが、一つこの辺でよく検討されて、こうした徴収すべきものはすみやかに計算をして徴収されることが望ましいと存じます。  次に、二十八年度決算検査報告に掲記しました事項事後処理について申し述べております。二十八年度掲記事項の中で、補助金返還または減額すべきもの、これが六十二件ございますが、これに対しまして、三十年九月末までに六十一件について返還または減額の命令を建設省は出しておりまして、そのうち四十五件が歳入に入りまして処理済みとなっております。また、手直しまたは補強することとしているものがございますが、そのうち七十五ヵ所について実際を見たのでありますが、これは三十年の二月から三月にかけて現地を見たのであります。この七十五につきまして、二十ヵ所が手直しをするという通り手直しがされております。残りの五十五につきましては、二十九が工事中であり、二十六が未着工でございました。この中で、検査当時はそうでありましたが、その後三十年九月末現在の進行状況報告をいただきましたところが、この五十五のうち三十二は完成したという報告に接しております。  次に、「安全保障諸費について」、日本とアメリカの間の安全保障条約第三条に基く行政協定によりまして、駐留軍都心部から郊外に移動する、こういうために、建物等代替施設工事を二十七年から二十九年までの間に二百五十億円ばかり支出しておりますが、このうちには工事着手見通しもないのに多額前金払いをしたものがある。また、道路等補助工事につきまして、安全保障費の支弁では工合が悪いようなところに対して補助を出しておるケースが見られました。  次に、三百十八ページの不当事項、二千八十四号について御説明します。これはただいま申し上げました安全保障費の問題でありますが、駐留軍使用に供する電信電話施設、または建物等工事費に対する前金払いとして六億九千二百万円払ったものでありますが、これは工事具体的内容も明らかでない、また工事着工の時期の見通しもまだはっきりしないというところに多額前金払いをしておりまして、不当であると思われるのであります。このうち五億二千九百万円は、二十八年十月に電電公社建設省、大蔵省、三者が協定をしまして、日本電信電話公社駐留軍施設をする場合の協定をしまして、その協定によって電電公社支出したものでありますが、これも三月になりまして五億二千九百万円を支出している。その支出当時には電電公社の側におきまして、大体こういうような工事をするという工事内容が決定していたものが、このうちの二億三千四百万円、また予算書のできていない、ほんの概計の域にすぎないものが二億九千五百万円、こういうような状態でありました。これに対して前金払いをいたしたのであります。このことにつきましては、三十年度一ぱいたちましても、なお電電公社工事をしない、こういうものが生じて参ったのでありますが、建設省におきまして、三十年度ぱいたってもなお工事ができなかった部分四千五百万円ばかりにつきまして、三十一年四月に電電公社から国に返還させております。そのほかの一億六千三百万円、これはやはり同じ場所の岸根地区宿舎工事鹿島建設株式会社外二十九会社に請け負わしまして、やはり三月に前金払いをしたものであります。これは関東地建前金払いをしておりますが、前金払いした理由としまして、建設省説明によりますと、大体土地のあっせんは調達庁がやっておりますが、調達庁に連絡したところが、四月一ぱいには土地の問題が解決する、五月早々には着工できる、こういう見通しで、法規に従って全体の金額の九億円に対して何割かの一億六千三百万円の前金払いをしたと申しておりますが、実際は土地問題が非常にごたごたしまして、なかなか思うように解決しない、とうとう土地収用法にかけまして、土地収用委員会裁決がやっと三十年の九月十五日に裁決になりまして、それから十月に入って工事を始めたというような結果になりまして、非常にまずいことになったわけです。これも三月当時にはもう少しよく調べれば、土地がそうやすやすと解決する見通しがむずかしいということはわかったろうと思われまして、もう少しよく調べて適当な時期に前金払いをすべきだったと思います。  それから次の二千八十五号、これは「工事費積算当を得ないもの」、これは岩手県の猿ヶ石川田瀬ダムの堰堤の排水孔穿孔工事排水孔に穴をあけましてセメントを詰める工事でありますが、東北地建工事であります。これは二十七年九月に最初に六百二十九万円で、ここにあがっております日本産業再建技術協会に請け負わせまして、その後引き続いて五回にわたりまして合計二千二百八十二万八千円で請け負わせたのであります。ここで言っておりますのは、初めに請け負わした二十七年九月の六百二十九万円については文句言わないが、二回目からの五回にわたって請け負わしたものについては、最初に請け負わした二十七年九月の際の実績をもっとよく検討すべきであった。この実績を見れば、その次の二回以降第六回までの契約が高過ぎたということがわかったはずだ。検査院あとから第一回の実績を調べ、また二回から六回までの実績を調べたのですが、その実績から見て、第二回から第六回までの二千二百万円の契約はちょっと二百三十八万円ばかり高過ぎたのじゃないか、こういうことを申しておるのであります。これは非常にぎちぎちした積算をやりまして、建設省では、第一回の契約単価を大体そのまま第二回以降第六回までに当てはめておるのでありますが、検査院におきましては、第一回の実績を見ると、穿孔するメーター当りが高過ぎる、それからもう一つは、第二回以降の実際の施工状況を見ますと、この日本産業再建技術協会というのはノミナルな請負にすぎないので、実態はすべてここにあがっております不二ボーリング株式会社通り抜けして請け負わしておる。その間この元請の会社はトンネルをしておるということもありまして、メートル当りが少し高いのと、それから諸経費の率が少し高い、こういう点を考慮しますというと、なお二百三十八万円ばかりは節減する余地があった、こういうふうに認められると存じます。  それから次の二千八十六号ですが、これは中部地方建設局で施工しました美和ダム工事用としまして送電線路の新設、それから変電所改造工事合計四千二百万円ばかりで請け負わして、九月に完成しておりますが、この施設は、長野県の要望によりまして、同県がすぐ近所で施工します発電用ダム工事のために使用する施設もあわせて施工したのでありますから、この施設は、国と県との使用電力量の按分によって県にも分担させるべきである。しかるに実態はほんの一部しか県に負担させていなかったというので、検査院が注意しましたところ、同地方建設局におきまして、総額四千二百万円を使用電力量の割合によって按分しまして、県に千八百四十八万六千円、これを負担させるように補正されております。  次に補助金について申し上げます。「公共事業に対する国庫負担金等経理当を得ないもの」、これは主として災害復旧事業について、毎年現場を歩きまして検査をしておりますが、二十九年度におきましては二百三十一工事、八千六百万円、これが工事費を除外すべき不当工事であるというふうにあげております。金額は相当金額あげておりますが、二十八年度施行しました結果と比べてみますと、二十八年度会計検査院検査した個所不当工事が含まれていた個所比率を申し上げますと、二十八年度は八%、それから二十九年度は四%、ついでに三十年度を申しますと、一・四%ということになっております。それから金額から見た工事全体と、その工事の中に含まれていた除外すべき不当金額、との比率を出しますと、二十八年度が一・七%、それから二十九年度が〇・六%、ついでに三十年度を申しますと〇・一三%、こういうふうに、大体検査院としましては同じようなウエートを注いで検査をしておるのでありますが、非常に顕著な数字改善をされております。しかしながら、なおこうした多くの不当事項があげられておりますことはきわめて遺憾に存ずるのであります。  このうち市町村と県と両方がございますが、市町村施行した工事においては、表面上は競争入札等によって工事実施設計額と同程度の額で請け負わせて施行したこととして、国庫負担金交付を受けておりますが、実際はこれより低額に請け負わして施行し、正当な自己負担をしていないものがある。このように実際上の工事費が不当に少額となったため、工事の出来高が不足したり、工事が粗漏になったものが相当にあります。また県工事におきまして、直営で施行した工事人夫賃等につけがけして資金を捻出をして、ほかの工事費等に充当しているもの、監督検収が不十分なために工事が粗漏になっているものが見受けられるのは遺憾に存ずるところであります。  その次に(1)から(9)まで代表的な事項をあげてございますが、もし御質問があればお答えすることにしまして、次に移りたいと思います。  次は、昭和二十八年、二十九年度発生災害復旧事業査定額減額させたものについて述べてございます。これは工事が終ったあと検査では十分に回復できないような国の損害を、工事着工する前に見ればもっとたやすく是正されるという見地から、二十八年度から建設省査定に対しまして、検査院現場を見て、査定が適当であるかどうかということを見ているのであります。これもさっきの工事と同じように、建設省及び工事主体監督及び自覚によりまして改善されて参っております。ちょっと数字を申し上げますと、個所比率で、さっきと同じような検査院が見た個所不当個所比率でございます。個所比率で申しますと、二十八年度が二〇・五%、二十九年度が七・二%、ついでに三十年度を申しますと二・五%、それから金額の比で申しますと、二十八年度が四・一%、二十九年度は一・八%、ついでに三十年度を申し上げますと〇・三八%、こういうふうに逐年改善の跡が顕著でございます。それでもなお、こうした不当事項がたくさんあがっておりますことは、きわめて遺憾に存ずるのであります。ここにも大きな例があがっておりますが、「同一箇所の工事建設省と農林省の双方においてまたは建設省において重複して査定しているもの、災害を受けていないのに改良工事施行しようとしているもの、近接している工事の場合、捨土を他方の工事の盛土に利用することができるのにこれを考慮していなかったり、現地の確認が不十分で所要量を過大に見込んでいるもの」などが例示されているのであります。こうしたものの合計が五百八十工事工事費において二億二千六百万円に上っております。  次に三百三十四ページの二千二百八号について御説明します。これは久留米市が二十八年、二十九年、両年度にまたがって作りました公営住宅がきわめてお粗末である、こういう例であります。これは久留米市が牟田山、中隈山団地へ公営住宅二百八十三戸を作ったものであります。との契約単価は、坪当り二万一千五百七十四円から二万五千二百九十二円でありまして、この価額がちょっと安いように思われますけれども、久留米市が同一時期に建設したほかの個所にできた公営住宅工事、これが坪当り二万七百円から二万六千六百円になっておりまして、こうした完全にできたところのその単価から見て必ずしも安くはない。しかし、まあ監督検収が十分でなかったために、いろいろな手抜きをされまして、非常に粗末な工事になっている。所要の強度を欠いており、「軸組小屋組差狂いを生じて家がゆがみ、建具の建付けが不良なものが多く、なお、整地工事が不良なため床下に雨水の流入、渋滞等があって、満足に居住することができない状態」である、こういう非常にお粗末な建物になっております。  次に、二千二百九号、「道路改修費補助金交付にあたり処置当を得ないもの」、これは先ほど総論の説明でちょっと申し上げましたが、安全保障費の使い方において当を得ないものの例であります。これは群馬県で作った道路に対する補助でありまして、駐留軍妙義山地区演習場に連絡する県道の改修工事としまして、国庫補助金を五百五十三万五千円ばかり出しております。ところが、ただいま妙義山演習場は三十年の二月二十八日に駐留軍から解除の指令がきているのであります。この工事は、三十年の三月二十五日に工事費六百七十九万六千円で請け負わせて施行したものであります。もう解除になった後に着工している。建設省におきましてもこうした場合に、三月一日までに着工しない工事に対してはその施行を打ち切ることとしておるのでありますが、本件工事と一連の道路についても、三月一日、未着工の分に対しては施行を打ち切っている状況でありますのに、本件についてはそのことなく、演習場廃止の後に着工した工事に対して補助を出しておるのであります。これはこうした方が道路行政上見て有利である、必要であると認めてやられたように伺っておりますが、もし必要があるとすれば、安全保障費でやるのはよくない、ほかの公共事業改修費補助と、こうした一般補助でおやりになるべきだと、こういうふうに考えております。以上。
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に建設省から説明をお願いします。
  5. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 建設省所管昭和二十九年度決算額は一千二百二十八億六百余万円でありまして、治水災害復旧道路及び住宅、その他各般にわたる事業を遂行したのであります。これらの経費執行に当りましては、いやしくも不当な支出や批難さるべき点のないように日夜努力して参ったのでありますが、ただいま御指摘のような事項がございましたことは、まことに遺憾に存じます。今後、貴重な国費の支出に当りましては、十分慎重を期するよう一そうの反省をいたす所存であります。  これがため、内部監査につきましては、監察官制度をなお一そう活用し、建設事業全般の適正なる執行を期するとともに、特に災害復旧事業につきましては、昭和三十年八月、新たに査定官制度を設置して、査定の厳正をはかり、実地査定の励行に努めました結果、昭和三十年度決算検査におきましては、不当事項は相当減少しておりますが、今後なお一そうの努力を続ける所存でございます。  また、二十八年度決算に関し、本委員会建設省に対する警告決議の御趣旨につきましては、まず治水関係事業の総合的、計画的運営をはかるためには、治山治水基本計画に基き、継続事業重点的促進努力し、また災害復旧補助事業適正化をはかるためには、すでに述べましたように、査定官制度を設けて実地査定を強化し、検査監督を励行し、再査定をも行いまして、補助金効率的使用を期しております。  何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。以上。
  6. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 補足説明があればお願いします。
  7. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 別段ございません。大臣のただいまのお話で……。
  8. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明を終りました。  建設大臣も御出席でありますので、大臣に対する質疑を先にお願いいたします。質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  9. 久保等

    久保等君 建設大臣がお見えになっているので、実は建設大臣にお伺いしたいのですが、その前提として、若干私は建設当局の方から全然御説明がないので、ちょっとお伺いしたいと思うのですが、二十八年度決算検査報告に対する事後処理状況について、検査院の方から先ほど御説明が若干あったのですが、昭和三十年の九月現在における状況検査院の方でも御説明があったのですが、その後どういう処理がなされておるのか、これを一つお伺いしたいと思うのですが、少くとも今までの御説明でお聞きした中で、結局返還または減額をすることとしたもののうちで十七件ばかりは、先ほどの会計検査院の御説明を聞いても、なお一昨年の九月か十月ごろ現在で、問題が未処理のままになっているはずですし、さらにはまた、手直しまたは補強を要するという問題ですが、その点については、たしか二十三ヵ所程度、これが未処理のままになっているはずなんですが、それらの問題がどのように処理をされているのか、御説明をまず伺いたいと思います。
  10. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それでは、今お尋ねの趣旨のお答をいたします。  その後、極力手直しまたは補強工事、並びに国庫負担金返還または減額を命じたものの処置をいたしましたが、現在では返還または減額することとしたもののうち、まだ未処理が三件残っております。それから手直しまたは補強することとしたもののうち、未処理が七件残っております。これらの点につきましては、現在も極力処置を進めておりますが、なお今後一そう努力をしたいと思います。
  11. 久保等

    久保等君 ただいまの問題ですが、今日現在で、両方あわせて約十件未処理になっているということになると思うのですが、そういたしますると、昭和二十八年度においてまあ本来ならば完成をすべき性格の工事があったと思うのですが、それが二十九年、三十年、三十一年もぼつぼつ終ろうとする今日、なおこれが未処理になっているということになりますると、相当私は事情として十分お伺いしなけりゃならない事情もあるかと思うのですが、金額で一体どの程度のものになるのか。それから工事そのものが数ヵ年——四年ないしは五年にもわたってなおかつどうも処理し切れないという状態について、具体的に若干一つ説明をお願いしたいと思います。
  12. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 第一の手直しまたは補強工事を必要とするものは三件でございますが、これは三件は全部町村工事でございます。金額にいたしますと、それに要する工事費は大体六百八十万円になっております。それから国庫負担金返還または減額を命じたもの、これも町村工事でございまして、それに返還すべき金額は二百六十万円、こういう計算になっております。
  13. 久保等

    久保等君 それの処理見通しはどうなんですか。
  14. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 第一の手直し補強工事につきましては三件ございますが、一件につきましては、本年度の五月、それからあとのもう一つの一件につきましては去年の十一月に、村では仕事が終っておりますが、まだ県の認定は終っておりません。それからあとの一件につきましては、いろいろ刑事事件等もからんでおりますので、その処置が済んでから手直し補強工事をやるというので、見通しはまだついておりません。  それから負担金返還または減額につきましては、極力進めておりますが、村の財政が困難であるというような理由で、はかばかしくいっておりませんが、これにつきましては今後一そう努力したい、そういうふうに考えております。
  15. 久保等

    久保等君 そこで大臣一つお伺いしたいと思うのですが、先ほど大臣の御説明にもありましたように、昭和三十年の七月に、当委員会で二十八年度決算報告の審査に当って、建設省に対して非常な御奮闘を願わなければならぬということで決議をいたしたわけですが、その決議の中でもいわれておりますことは、迅速にかつ的確にこういった不当不正等の問題のあった事項に対しましての処理を要請し、もう一段と御努力をお願いしておいたのでありますが、ただいまの二十八年度決算の問題については、今当委員会でやっているのは、これは済んだ話でありまするが、しかし二十八年度決算検査報告処理事項すら、今いわれたような未済事項が若干あるわけでありますし、そういたしますると、二十九年度決算指摘されておりまする問題等についても、今後の事後の問題とも関連をいたすわけですが、もう少し大臣として、検査報告指摘をされた事項の問題の事後処理についてどういう具体的な計画を持っておられるのか。またもう少し突っ込んで、先ほどのお話では、まあ具体的にいえば、監査官を増強した、補強したというようなことのお話があったのですが、こういった点について、私はもう少し機構的にも、あるいはまた実際いろいろやっておられます方法についても、納得のできるようなもう少し御説明を願いたいと思うのです。この前、三十年の当委員会決議をいたしました際にも、当時の竹山建設大臣ですが、大臣から抽象的な御答弁はあったのですが、それはたまたま、先ほど大臣のいわれた程度お話で、すでに三十年当時に実はお話があったわけですが、少くともすでに数年それから後経過しておりますが、その事後において具体的に今日までやってこられた方法なんです。さらにはまた、今後もう一段と御努力を願わなければならぬと思うのですが、そういった点についての大臣の御抱負をもう少し一つ詳しく御説明をいただきたいと思います。
  16. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの御質問でございますが、まことにごもっともな次第でありまして、本委員会において決議をされました点について、十分本省においてその方法について検討いたしました結果、先ほど私が申しましたように、災害復旧につきましては、ともかくも今までの監査の方法が少し手ぬるかったというようなことも考えまして、昭和三十年の八月から災害査定官というものを十名ほど設置しまして、今までの監察制度というものを特に別途にこれを強化いたしまして、実地の査定を強化しまして、実際に実地の検査なり、また監督を励行して、再査定をするようなきびしい査定をいたすということによって、監督を厳にいたしまして、不祥な事件を少くする方向に向けたのであります。幸いさようなことによりまして、まだ完全とは申しませんけれども、昭和三十年度災害につきましては、九九%ぐらいまではその実績を上げておるようなことになっておる次第でございます。  なお、工事施行につきましても、継続事業については重点作業をする、そうして早期完成をするというような方向に向けるような政策をとっておりますので、先ほど不当交付金の、補助金等の返還の措置につきましても、今のようないろいろな方向におきまして、数字から申しますと、昭和二十八年度には八二%、大体昭和二十九年度につきましても七一%ぐらい、まあ成績を上げたというような結果でありまして、今後この国民の血税の資本でありますので、公共事業につきましては十分これらの点について注意をいたしまして、当院の御決議の意に沿うように配慮いたしたいと考えております。
  17. 久保等

    久保等君 まあ補助金の問題が主として今質問の焦点になっておりますので、その問題をまず最初にもう少し御質問をいたしたいと思うのですが、補助金関係についての査定については、ほとんど百パーセントに近い実地査定を行っているというお話なんですが、実地査定をやられて、しかも結果的になおかつ不当事項が出ているというような点について、どういうふうにその点を改善せられてゆくか、まあほとんど、これは絶滅を期すということは、言うべくしてなかなか困難ですが、しかし、少くとも会計検査院指摘せられるような事項が、実地査定をやられてもなおかつ出てくるというようなことについては、やはり実地査定そのものについてさらにもう一段と何か工夫をせられなければならないという点、何か具体的にお気づきの点があるのかどうか。まあもちろん実地査定をやられたことによって、未然に相当な不当事項が事前に発見されまして、改善をされているというその跡がきわめて顕著であるということを認められるのですが、しかし実地査定をやられて、なおかつ結果的に不正、不当事項が出て参るということについて、いわば実地査定をやられたことの中に何か欠陥があり、その欠陥を是正することについて何か考えておられるような、御抱負があれば、これは大臣でなくてもけっこうですが、お伺いしたいと思うのです。
  18. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) 実は、この二十八年度決算に出ているような問題は、主として実地査定をやる前の問題でありまして、その後実地査定を徹底いたしまして、御承知のように、先ほど会計検査院かちも御説明がありましたが、非常に少くなっておるのでございます。まあ私ども、大体現在のように実地査定を中心として事務を進めていくこの現在のような態勢で、大体いろんな問題を防ぎ切れるんじゃないかというふうに考えております。ただ、この問題につきましては、地方財政が一般的に窮屈になっているような問題、その他いろんな問題にからみまして、災害復旧制度だけの問題としても論じられないような点もありますが、しかしながら現在、今のような災害復旧のやり方、内部といたしましては、査定官の制度とかあるいは監察官の制度を十分に徹底しまして、また府県なり市町村に対しまして、相当、何度も何度も繰り返して、いろんな趣旨の徹底なり、はっきりした方針を示しますことによって、おおむね私どもは所期の目的を達成できるんじゃないかと、こういうふうに考えている次第でございます。
  19. 久保等

    久保等君 次に、三百十八ページの不当事項として指摘されている問題なんですが、これは三十年度の当初においてもなお工事着工見通しがないものが、二十九年度において少くとも予算に計上せられ、しかも二十九年度の末期に至ってとにかく契約して、前渡し金を与えたというふうな形になっているのですが、金額にして、両方合せると八億余の金額になるのですが、まあどう見ても予算の消化を、何とかして形式的にでもやっておかなければ、格好がつかぬというようなことから処理をされたようにしか見受けられないのですが、二十九年度で、一体どの程度見通しなり予想をもって予算の編成を行なったのか。もう全くただ抽象的な、都心の設備を都心外に移すんだという話が、どこから出たか知りませんが、とにかく、当時まったく抽象的な予想程度で予算の編成をし、また予算の金額を確保しておいたということなんでしょうか、どうなんでしょうか。当時の状況をちょっとお伺いしたいと思いますが、施行内容なり、それから工事内容の具体的な点についての見通しも全然ないままに二十九年度一年中は経過してしまったというようなことになって、とにかく三十年度に何か引っかかりをつけておかなければならぬという程度の措置しか年度末に至ってなされなかったのですが、こういう問題は、私は予算の編成上の態度として、基本的な考え方として、こういうようなやみくもをつかむような状態の中で具体的な予算が編成せられるというようなことはあってはならないことだと思うのですが、当時の状況を若干御説明願いたいと思います。
  20. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) ただいまのお話でございますが、この不当事項にあげられました前払金の金額、これは二つになっておりまして、一つ電電公社に対して前払金を二十九年度末に急に支払ったということでございますが、安全保障諸費駐留軍の代替施設工事は全貌が非常に大きうございます。また非常に急速、できるだけ早く作れば、わが国のそれにかわる建物があくというような関係から、できるだけ急がれておりました。また、予算の繰り越し等が多少困難な情勢にあったというようなことで二十九年度末に契約したような次第でございます。当時この施設費の使い方、あるいは計画なりは、決して当てずっぽうのものではございませんで、二十七年から始りまして、いわゆる必要な施設は、日米合同委員会にかけられまして決定したものが建設面に移されます。そこでわれわれがさらにその建設に関しまして細部にわたる建設計画なり、予算概算を要求しまして、初めて大蔵省からその予算の移しかえを得て、負担行為をいたしておる次第でございます。計画といたしましては、できるだけ計画に沿うように、そう無理なあれでない、実施につきましてはできるだけその計画通りやっていった次第でございます。第二の施行の問題は、これは実に着工時期の見通しを多少誤ったということで、前払金を出す時期を誤った次第でございます。
  21. 久保等

    久保等君 最初電電公社の関係のものについてですが、今言われるお話は、これは抽象論としてはその通りだと思います。またそういうことでなければならぬと思いますが、現実にやられたこの問題については、少くともこれは二十九年度年度末に至っての状態がここに指摘されていると思うのですが、すなわち、設計書そのものも二九年度末においてもまだ作製をされておらなかった。実施段階にあります電電公社そのものでそういう状態であったということになりますると、これは私は、少くとも予算は昭和二十八年度ころから予算の編成に当ったのですから、予算を編成するその当時の状況下において、少くとも具体的などこでどういった設計内容に基く工事をやるのかということが、私は相当具体的に明確にならぬ限り、予算というものは作れないと思います。そのことについて当時の状況から判断をいたしますと、ここに書かれておりまする報告書に基いて判断をしまするならば、これは全く具体的なそういうことについての話し合いがなされておらない、ただいまお話になったように日米行政協定に基く日米合同委員会での論議はもちろん、これはなされて、そこで結論が出たものが、さらに今度は実施段階における具体的な打ち合せになって、そこで初めて工事のまあ全貌といいますか、概要が明らかになる。そうしてそれに要する数字的な予算というものがひねり出されてくるのだというように理解されるのであって、ただ単に日米合同委員会での論議が、大体どの程度のものをいつごろまでにほしいのだという程度の話では、これは予算化するといっても予算化のしょうがないと思う。私は単に、ここに具体的な一例があがっておりますから、一例を取り上げてお伺いしているのですが、どうもよく予算の審議等に当って、明年度こういう計画がある、たとえば電信電話施設等の移転の問題についてこういう実は計画があると言われているが、当の電電公社あたりで事情を聞いてみますと、全然そういう話は聞いていないということをよく耳にするのです。だからそういう上から押しつけ的に計画だけを立ててみたところで、およそ結果的にはやはりこういう事例が、単にこれ一つの事例だけではなくて、あらゆる機会に出て参る可能性がある。きめられるのは日米合同委員会できめるというのであるが、これはきわめて大ワクがきめられるのであって、また希望的な観測の上に立ってあれがきまるのであって、果して具体的に、しかもいかなる場所に、いかなる規模をもってそれが実施できるかということについては、よほど私は当のそういった実施する関係当局で具体的な、またきわめて詳細な打ち合せがなされなければならないと思うのです。ところがこういう点がえてして非常に等閑に付されておりますがゆえに、いざ予算がきた、それでいざ話を具体的に進めてみたところが、とてもそんなことは予定されている日限までにはでき上らないという場合が非常に多い。従いまして、私は今後の予算編成の上にも重大な関係があると思いますのでお伺いしたいのですが、この場合においては、おそらく二十九年度予算編成の当時といえば、まるまる一年あるいは一年以上以前の状態であると思うのです。ところがここに書かれておりますのは二十九年度末ころの状況において、なおかつ工事書というものさえ作られておらない、作られておらないというより、まず作り得ないときになって初めて話し合いが進められた。当然いつごろまでに完成をしなければならないという工事の場合には、引き受けたところでも、当然いつごろまでにやれるという工事能力というか、担当能力というか、そういうものを考えなければ、手をあけて待っているわけじゃないのでしょうから、少くも私はそういうところの実施段階について関係者との間で相当綿密に、しかも慎重に打ち合せをやられ、計画を立てられる必要があると思う。ところが先ほどの御説明を聞いても、何か上できまったやつをだんだん下におろしていった。ところがいざ実施しようというときには、一年も二度も予想よりおくれたというような結果になってしまっているのですが、そうなると今言ったふうに、渡すべからざる前渡金を年度以前においてこれを渡した。従って会計検査院から指摘されて、それをまた何か取り戻したというようなことになりますと、さなきだに人手の足りないといわれる各現場省庁においても非常に私は迷惑な話だし、それからまた会計検査院なりわれわれの立場からするならば、まことにけしからぬ、不必要な予算を取って、それであたかも必要やむを得ざる予算であるかのごとき形で予算は取ってしまった、ところがあとで見たならば、その年度で何も予算を組まなくても翌年度で十分間に合う、またそれ以上に早めることができなかったという状況に私はあったと思うのですが、こういう点については、まあたまたまここに一例が出ておりますから、この問題を中心にして申し上げるのだけれども、私はこの点は、特に日米関係の問題等になりますと、単に日本だけの立場で計画が立たないということはよくわかるのですが、こういう点について、少くも今私が申し上げたように、合同委員会できまったからその年度内にやらなければならぬ、あるいはまた指定されたときまでにやらなければならぬと言ってみたところで、果して現実にやれるかどうかという、そういうようなことも私は十分に計画を立てられ、建設当局の方でお考えを願わなければならないのじゃないかというふうに考えるのです。この問題は私はある程度、今後もなおこういうケースが十分考えられる問題でもありますし、こういった問題について、今後こういうことの絶滅をはかるということについては、単に事務当局だけのお考えでは簡単にはなかなか思うようにならない。特に建設省自体が直轄工事というような形でやられる工事ばかりでないと思いますししますから、非常に困難だと思いますから、その点一つ建設大臣の方から、今後の御所見についてお伺いしたいと思います。
  22. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの御指摘の問題でございますが、当時の関係者がただいま省内にもおりませんので、当時の事情を詳しく御説明できないことは、まことに遺憾でございますが、ただいまのところ、根本的に今後かような問題についての、予算編成についての方針はどうかということにつきましては、全くお説の通りだと思います。今後は、この一般の国内予算につきましては、予算を編成する場合には、お説のような形において大体したいと思うのでありますが、この問題は、日米間の合同委員会、その他当時の安全保障費等の関係から、多少そこに一般の場合と違ったケースがあったかとも考えますので、お説のような問題につきましては、十分今後注意いたしたい。かような方針にしたいと思います。
  23. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとこれは私わからないので、お聞きしたいのですが、日米合同委員会の、このような宿舎、米軍の宿舎を作る場合ですね、どういう委員会で扱いますか、何か分科会か何かで決定しますか、そのとき建設省としてこれに参加しておるのかどうか、その機構については建設省の方は十分御承知だと思います。大臣御存じかどうかわかりませんが、御存じでしたらお答え願いたい。大臣がわからなければ、どなたからでもけっこうであります。
  24. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 合同委員会には建設省はじかに参加しておりません。合同委員会は外務省、それから調達庁、大蔵省、この三者でやっております。それから建設省としては施設分科委員会にも参加しておりません。
  25. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどこで扱うか御存じですね。つまりあなたたちは、合同委員会で決定されてきたのだといっておりますが、この合同委員会一般できめる前に、施設委員会という分科委員会があるわけですね。
  26. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) はあ。
  27. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは建設省としては参加していない。決定する機関、その経路、そういうことがちょっとおわかりでしたら……。
  28. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 建設省といたしましては、この施設をやる、どこどこにどれくらいの概算のものでやるということがきまりますと、それが大蔵省を通じて建設省に示めされるわけであります。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 施設分科委員会というものはあるわけですね。これはどういう形で構成されておりますか、たとえば港湾分科委員会というのがあります。これはたとえば運輸省の港湾局長が分科委員会の主席をやっております。こういう事態が出ておるわけですが、ところが施設問題というのは、建設省としては等閑に付せない重大な問題だと思う。ところがこの分科委員会には建設省としては参加していないわけですが、決定されたものをうのみにさせられておるわけですか。
  30. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 建設省としては参加しておりません。大蔵省を通じて予算を建設省に移しかえになります。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 この施設内容についておわかりありませんか。建設省が実際は直轄担当される問題ですよ。どこでどう決定されるかという構成については、これはおわかりだと思いますが……。
  32. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 施設分科委員会は、調達庁と大蔵省とで構成されておりまして、所管は調達庁であります。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところがこの合同委員会に対しては、建設省の意向というようなものを反映するそういう方法はないわけですか。全部調達庁と大蔵省、これはこっち側ですね、日本側、それから米軍側が参加している、そこで分科委員会が構成されている。それについてこっちから意見を述べることができないで、全部天降りで、そこできめられたものをやらなければならぬという格好になっているのですか。
  34. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 施設のある計画につきましては、大蔵省も調達庁もその実際に必要な規模、あるいはそれに必要な予算概算、そういうものをあらかじめ建設省の方にいろいろ相談をいたして参ります。それについてわれわれの方で、それを提出いたしまして、そうして施設委員会調達庁なり大蔵省が、そのいろいろの概算にしろ規模にしろ、相当程度日本側の要求を要求するわけでございます。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると何ですか、諮問機関みたいな格好になるのですか、この中には決定権限はないので、いろいろ調査を頼まれるとか、それについて意見を徴せられるとか、そういうような場合に、こっちから能動的に、積極的にそういう意見を出すというようなことはできないのですか。全部もうそういう何は、要求がきた場合はそれに対して答える、こういう格好になっているのですか、この点はどうでしょうか。
  36. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) ただいま申しましたのは、いわゆる非公式に調達庁その他日本側の意見に対して、建設省の建設面の意見を出しております。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると公式には、機構上ではほとんどこれに対する決定に対して、意見さへ述べることができないというような形になっている。大臣にお伺いしますが、どうでしょうか、港湾委員会というのがあります。これは港湾局長が日米間の分科委員会の主席をやっておる、そういう形で非常に港湾行政についての責任を負い、その立場から日米の、とにかく占領軍との関連の問題を総合的にやっているわけです。建設省の場合にはそれがないとしますというと、全然これは日本の建設行政のらち外において、ぽっとそちらだけできめられるという格好になると、建設行政全体の面から考えて、非常に支障がくるように感ずるのですが、こういう点で、現状で果してこれでいいとお考えになりますか、大臣としてのお考えをお伺いしたい。
  38. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) この点はただいままでの経過はそういうことでございますが、建設省としてはほかに道路分科会というのが、その部門の委員長を務めている、ちょうど港湾分科会と同じように。建設の営繕に関しては大蔵省が調達庁と、先ほど申したごとく米軍側と折衝して、そうして予算の移しかえを営繕の方に持ってくるわけでございまして、建設部会というようなものにはなっておらぬというのが従来であります。これをどうしたらいいかという御意見でございますが、これはちょっと……。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと不便をお感じになるのじゃないですか、ちょっとお聞きした範囲内でも二千八十四号、それから今、久保委員からただされたような問題が発生する原因というのは、そういうふうに総合的な建設行政というものが進められていないところから起っている面も出てくると思うのですね。非常に従的というよりも、非常に消極的な、権限のない立場になっている。道路については一応分科委員会の中に入っている、これでは相当意見も出すことができるということですが、道路に比べて建設の仕事というものは遜色のない問題だと思うのです。これは建設行政を進められる上において、この合同委員会の運営そのものについては、やはり大臣の立場からこの問題を明らかにすることが必要だというふうに考えるのですけれども、今後考究されるということですが、その点をもう一歩突っ込んで御意見をお伺いしたい。
  40. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいま私がこの点について御答弁したようなわけで、今までは調達庁と大蔵省がそういうような折衝をした結果、非公式に営繕の方に話がありますと、それによって具体案を出して、そうして日米間の折衝ができたので不便がなかったというのであります。機構の問題については、お説のような面もあると思いますが、今後の処理につきましては十分とくと研究してみたいと思います。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは不便がないと言われておりますけれども、どうも私は今、二千八十四号を読んだのですが、こういう問題についてもやはり不便があることを具体的に現わしているのはこの案件ではないかというふうに考えるのですが、というのは、もう合同委員会で決定した、そうしてそれから計画を立てた、そうしてこれは支出負担行為は建設省がやっているのでしょう。そうするとそこのところだけはこれは担当させられて、全般の責任という面についてはこれは参加していないということになると、事実これは非常に片ちんばなものです。非常にかたわな格好になってこれは参加させられていることになるのです。そういう点からいいましても、私はこの機構の問題については、これは今後とも明らかにしなければならないのじゃないか。これはまあ大臣の今答弁がありましたから、この点は保留しておきますが、それと関連してお伺いしたいのですが、この二千八十四号のこの問題、つまり岸根の米軍の宿舎を作ろう、そこでまあ土地の問題が起っているわけです。これは地元民がこれに対して反対している。これはわれわれも聞いていることです。そういうことからこれがなかなか解決しなかった。そうして四月ごろに大体懸案解決になるだろう、こういう見通しの上に立って前払いをやっている。ところが実際は土地の問題は解決しなかった。そこでその金が宙ぶらりんになったと思うのです。この処理の問題につきましては、これはどうなっているのですか、この点、処理からお伺いしたいと思います。処理はその後どうなっておりますか。
  42. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) ただいまの前払い金をいたしまして、その前払い金の処理の問題でございますが、前払い金の使途について十分調査いたしましたところ、前払い金は全部東日本建設業保証会社の管理下にあって、以後その工事に必要な資材の購入等に正当に充てられておりましたことを確認いたしましたので、その後工事の進捗とともに、その出来高に応じまして前払い金の清算をいたしました。完全に清算は終っております。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 総額について伺いたいのです。この前払い金の額ですね。この工事費と、それから前払い金の額について……。
  44. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 岸根の工事につきまして、前払い金の総額は一億六千三百十一万四千七百五十円でございます。それから工事費は九億二百九十万七千五百円でございます。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから着工したのはいつですか。前渡しをやったのは四月ですか。これは前渡しの月日と着工と……。
  46. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 前渡し金を払いましたのは三十年の四月でございます。それから問題があった土地の収用委員会による決裁は、裁決になったのは九月でございます。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 九月というのは二十九年のですか。
  48. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 三十年の九月でございます。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 着工したのは。
  50. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 着工したのが十月でございます。一時工事を中止したのでございまして、初め契約は三十年の三月でございましたが、現地着工したのは三十年の十月でございます。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでこれが、工事がおくれるということが気がついて検査されたわけですか。資材を買ったかどうか、それは何月です。
  52. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 資材は、工事を中止したのではございませんで、現場の立ち入りを中止したのでございますから、着手するまでに前払い金は資材の購入あるいは外注品の費用に充てております。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは詳しく、現物、現地について調査されておるわけですか。
  54. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 調査いたしました。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですか。その点については会計検査院ではどういうふうに、つまり前渡しになって金が遊んでいるということでは、そこには金利の問題も起ってくるわけです。ままわれわれも寡聞ながら耳にしているわけです。先に前渡しになって着工がおくれている。そういう期間に金がどちらの方かに運用されるということがないわけではない。そうしますというと、その間の金利というのは、たとえば一億六千万円にすると莫大なものになるわけです、これは。これはそれだけ国家の損失になるわけですが、会計検査院として、そういう点についてまで立ち入って監査されておりますか、不当事項として指摘される限りは……。
  56. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 前払い金が実際にどういうふうに使われたかということにつきまして、私の方は事後に調査をしたのでありますが、これは先ほど営繕局長からお話がありましたように、大部分のものは資材費でありまして、資材につきましては、着工がおくれましたけれども、大体その業者がこれから使うべきところの資材の手当に使っておるようであります。ただその前金払いの中には労務費等も入っておりますから労務費については実際に着工するまで、まあ何といいますか、使いようはなかったと、こういうふうに見ております。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのうち労務費の占める部分はどのくらいになります。
  58. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 前払い金を約二〇%といたしました。その積算の根拠には労務費を含めておりません。普通前払い金は三割まで出せることになっておりますが、この場合二割でございまして、労務費に対する前払い金は入れておりません。資材だけであります。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 全然、今の会計検査院局長さんの話とこれは食い違いが出てくるのじゃないですか、この点はどうでございましょうか。
  60. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) この前金払いは、契約金額が大体九億円でありまして、それに対して一億六千万円と、こういうふうにやっておりますので、この中には、契約金額の中に資材費と労務費とが当然含まれておりますから、これに対するパーセンテージで前金払いをやっておりますから、当然その前金払いの中には資材費及び労務費の分が含まれていると思います。現にあとから調べました結果、一億六千万円の前金払いの中で資材を買っておりますのは九千五百万円ばかりであります。そのほかの部分が労務費その他の費用と存じております。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると今の局長の御説明と食い違うわけですね、明らかに。営繕局長お話ですというと、労務費は入っていない、しかも数字的な根拠をあげられたわけですな、特に差額が起って、労務費……これはどうなっておりますか。
  62. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 先ほども申し上げましたように、普通労務費その他を入れて前払い金を払う場合、三割払っておりますので、この場合は資材費あるいは外注するための費用、そういうものの前払いだけということで、そういう内容で二割払った次第でございます。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 この食い違いはちょっと委員長、おかしいと思うのですがね。会計検査院の見解と、それと違うので、こういうことじゃこれは困ると思うのです。建設省は労務費を含めないで前渡しをする建前だということを言っておる。ところが会計検査院によりますというと、労務費も入っておる。数字的な根拠もあがっているわけです。一億六千三百余万円、その中で実際資材を買ったのは九千五百万円だ、そうすると七千万円くらいというものが実はこれは浮いているわけである。私がお聞きしたいのは、労務費を入れるかどうかという点は、これは今後のやはり決算委員会でも明らかにしておく必要がありますな。これは建前として明確でなければ、この支出負担行為というものが、両者の見解でここに不一致があるようなことでは、とてもこれは話にならぬ。検査をやる建前が、基盤がもう共通のものでないのですから、これはとても問題になりません。これは一つ宿題として残して置いて。さて、七千万円何がしというのは実際浮いているわけですね。こういうものについてはどうなんですか。この間の金利とか、そういうものについては何も別に徴収するというようなことについては、建設省の方から意見は出されておらない。会計検査院としては、こういう点についてのこの金利負担の問題ですね、こういう問題についてはどういうふうになるのですか。契約行為との関連もあるだろうと思うが、どういう契約になっておるのですか。実際実行されなかった、工事は延びた、その間に資材を買ったのは仕方がない、これだって問題にすれば問題はある。これは一応おくとして、その間の七千万円という金、これは遊んでいる。これはほかに立てかえでも何でもできる金である。この金は業者に不当な利益を与えている、これについての追及はどうですか。
  64. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) くどいようで申訳ございませんが、前渡金は、この場合は、普通建築工事は資材費がおおむね工事費の六〇%でございまして、その六〇%の中の三分の一をまず資材購入費として前払金にした次第であります。従ってあくまで労務費ということでなく、資材費の中の一部ということで二割払った次第でございます。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのことは一応保留して、当決算委員会委員長にも確認してもらったので、これは宿題として、会計検査院建設省の間に食い違いがあるから、この問題は当決算委員会としては見逃しができない問題で、重大な問題ですから、これは宿題にして。しかし現実的にあなたの先の、検査官の御説明の中に、渡した金が一億六千三百何がし、そうして資材を買ったのは九千五百万円、こういうことになっておるのですから、そこでそれだけの差額があったわけです。それについて建設省はそのまま放任したのか、これはどうなんですか、この問題は、私のお聞きしているのは……。
  66. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 説明員から説明いたさせます。
  67. 建部仁彦

    説明員(建部仁彦君) ただいまの金額の中の一億六千万の中の九千万は、調査いたしました当時の資材費でございまして、そのほかに労務費の方に振りかわって会社の方で使われた分がございますので、その時期におきましては、現在の前払金の二割は正当に使用されたということをこちらでは確認しております。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 だれが考えたってそのようなことは通らない。仕事はやらない、工事は中止しておった、それで労務費を払っておった。労務費を払ったといっても、何をやっておる、そういうものに払うことを……、国庫ですよ、金をお持ちの方は自由におやりになって差しつかえないだろうと思いますが、これは個人なら、そういう道楽の人があるかもしれない。いやしくも公金なんだ。そういうことでは話にならぬと思いますが、どうでしょうか。私はそういうふうに思います。国民もそういうふうに思うだろうと思います。
  69. 建部仁彦

    説明員(建部仁彦君) ただいま申しました労務費は場外でもって加工いたしました労務費でございます。従いまして先ほど局長から申しました外注費の中の一部でございます。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 どういうことですか、しろうとなんですから詳しくやって下さい。
  71. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 資材そのものを直接購入する資材費、それから資機材については下請の会社に、工場に発注するものもございます。たとえばスチール・サッシとかそういうものは、材料費並びにその工場で働く労務費に入っておるわけでございます。そういう意味において資材費並びに外注費と申し上げたわけです。その点で全部資材費と申し上げたわけです。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点、会計検査院では調査されておるでしょうか、そこの点ですね。どうもいろいろ食い違いがあるように思います。
  73. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) その点につきましては、さっき申しましたように、とにかく一億六千万円の前金払いのうち、実際工事用に使った金は九千五百万円しかない、こういうことは数字上間違いないと思います。それから利子の問題ですが、その遊ばした利子を一体どうするかということですが、検査院といたしましては、こうした前金払いを払ったこと自体が違法である、払ったこと自体がよくないので、利子の点は、もっと前の出したこと自体が違法であるということを言っておりますので、利子の点までは突っ込んで考えておりません。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体安全保障費というもののこれは一つの片鱗を示している。安全保障費というのはこういう形で使われているのが大部分じゃないかと断言してもいいのじゃないか、前払いで業者が非常にうまくやっておる。この背後については私はあえて申し上げませんが、この背後があるのです。業者との結託で米軍も入っておる。こういう形で使われておる。実に私は今の説明ではまだまだ不十分だと思います。あれはやはり詳細に、額から言えば、これはこの全体の額から言えば、これは一億六千万円になるのですけれども、相当なこれは額ですよ。これについてもっと明細なこの仕訳ですね、こういう点を示してもらいたいと思います。  それから、この点はやはり保留していただきまして、決算委員会で上げてしまうと、さきの食管会計と同じように資料がこないのですね。通ったというので安心されるせいか知りませんが、なかなかきませんので、ぜひこれはこの次の委員会くらいまでにこの何をはっきり示していただきたいということを、特に委員長、念を押していただきたい。ようございますね、委員長一つ速記録に残していただきたい。
  75. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 今の資料をお出し下さることはよろしゅうございますな。
  76. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 御要求の資料を提出いたします。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのことをお願いいたしまして、次に大臣にお伺いするのですが、このやり方を見てみますと、これは前金払いという形で、実は建設省にその意図があったかどうかということは別問題にします。しかし事実、これは横浜の岸根の農地を取り上げられる人たちが、この問題について非常に反対しておった。あくまで米軍の宿舎を作られちゃ困る。これはいろいろな問題で、今起っておりますところの風教上の問題もあるし、実際に耕地を取り上げられて生活権を失う、こういうふうな問題、いろいろな問題からこれに対して反対の運動があったわけだ。この問題については日米合同委員会がかりに決定しようが、日本の国民の意思は尊重される建前にならなくちゃならない。ところが建設省はこの実態を十分に調べないで、あとから見るというと、こういう用地問題が未解決であるというようなことも実はあまり意にとめなかった。そうして支出負担行為をやってしまった。そうするとどういうことになるかというと、この宿舎建築に対する反対運動というものに対して非常に大きな圧力になってくる。もう建設省は建てる算段をしている。現に金も渡す。こういう格好で、実はこの住民の意思というものに対して非常にこれは圧力になる。だから最初建設省はそういう意思があったか、ないか、これは私は別問題と存じますけれども、この合同委員会に、建設省の立場からして、十分にその現地の実情を聴取し、また住民の意向というものも聴取して、そうしてそれに対して、これは技術的に考えましても、一つの正しい方針をやらなかった、いわばこれはめくら判をついたような格好で支出負担行為をやったために、その結果、住民に対してこの運動を非常に抑圧するところの結果になった。これを客観的に見ると、政治的の圧力というような形になってくるわけです。こういうような形でいま米軍との間に問題になっておりますところの安全保障に伴うところのいろいろな施設供与の問題というものがこれは行われているということになると、非常に私はこの問題は政治的な問題だというふうに考える。ですから建設省の技術的な問題は別としましても、こういう形で支出負担行為が不正に行われ、会計検査院から指摘されなければならないような形で行われる。しかもその結果は、日本の国民のこれに対する意思というものに対して一つの圧力を加えるというような結果になっている。こういうことでほかにもいろいろ例を聞いておるのでありますが、こういうやり方について、これは建設大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。今後の問題もありますので、御意見をお伺いしておきたいと思います。
  78. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) いろいろこの問題につきまして疑惑を抱かれますについては恐縮に存じますが、しかし建設省は、今までの機構といたしまして、先ほど来申し上げた通り、適正な行為をいたさんと考えておるので、今後これらの機構の問題が妥当であるかどうかということにつきましては、先ほど私が申し上げた通り、十分考究したいと思うのでありますけれども、ただいまお説のように、建設省がこのことによって日本国良民に対して何らかの政治的圧力を加えるような意図があってでもしたかのようなお説でありますが、絶対にそのようなことはないと思うので、全く事務的にこれは進められることだと思いますし、今後におきましても、さようなことのないように十分これは考慮を払いたいと思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の御説明によりますと、何か圧力を加えた、そういう政治的意図があったようにというようなことをおっしゃいましたが、私はそうは申していない。そういうような意向のあるなしにかかわらず、結果においてはそうなっている。事実そうですね。そこに機構の欠陥があると思う。日米合同委員会の問題にまた逆戻りしていかなければならないわけで、その委員会の中に建設省が参加していない。この施設の問題については参加していない。こういうことで単に押しつけられて、合同委員会の決定を実施するという面だけでいっているものですから、これは建設行政、政治的な責任の帰趨からいきますというと、直接その責任の帰趨にないというような形で、あいまいになってきているわけですね。こういうような点で、やはりさっきの合同委員会の問題を明らかにする。もう一つは、この岸根に関する問題は、こういうような、今まで安保条約によるところの支出負担行為の中での一つの典型を示すものだと思いますので、この点をもう少し明細に、先ほどお願いしましたように資料を示していただきたい。それから今後の運営について、よくこの日本の国民の意思を聞いて、建設省としましても、そういう方向に、十分に現地をよく視察して運営されるということを、特に大臣にお願いしておきたいと思います。  以上をもちまして終ります。
  80. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一、二の点についてお伺いしたいのですが、最初に、これはそこにお手元に標準があれば、それでけっこうなんですが、大体私がお尋ねいたしたいのは、建設省の、御承知の通り公共事業あるいは災害復旧等の経費は、非常に莫大なものでありますので、従ってこれを請け負うということについての、その業者についての吟味といいますか、あるいは世間的な批評といいますか、これは非常に厳重だろうと思うのでありますが、そういう点につきまして、大体まあ百万円くらいの限度、あるいは二百万でもけっこうですが、まあ百万円くらいを限度としていろいろ、土木工事もありますし、あるいは災害復旧工事、いろいろその性格は違いますが、大体請負業者という者は、建設省に登録をされているのは何件くらいあるのですか。
  81. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 建設業者の数でございますが、これは建設業法という法律がございまして、大きなものと申しますより、二府県以上にまたがるものは大臣の登録、それから各府県に事務所を持っている者は知事の登録ということに相なっておりまして、最近の数字によりますれば、両方合せまして六万六千人でございます。これは建設業法の適用を受ける者が、現在五十万円以上の工事をやる場合に適用を受けるということに相なっておりまして、そのうち、大臣の登録の方が三千人弱——二千八百人ばかり、知事登録が六万三千人くらい、合計合わして六万六千人くらいであります。
  82. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 指摘事項の二千八十五号の中に、ここに社団法人日本産業再建技術協会というのがあるのでありますが、これの実態はどういうものでありますか、ちょっとこれを御答弁願いたい。
  83. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) お尋ねの件、実は詳細な資料を持っておりませんので、詳細にお答えはあるいはしかねると思いますが、この社団法人日本産業再建技術協会は、社団法人になっておりまして、この登録関係は、大臣登録か、あるいは知事登録の関係か、ここで詳細にはっきりいたしません。ただ従来この東北地方の関係の電源開発工事等を相当やっているようであります。
  84. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 社団法人というような名前の請負というものはどうもわれわれには解せないのですが、他にこれに似たような例はありますか、請負団体で……。
  85. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) 私の記憶ではございませんと思います。
  86. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 六万からある請負業者の中で、そしてあなた方がろくに頭に浮ばないような中で、ただ一つだけある団体の様相がわからないということは、どうもけげんにたえないのですがね。まあ、それはそれといたしまして、この社団法人の日本産業再建技術協会、この実態について一つ資料を要求いたします。
  87. 三浦義男

    委員長三浦義男君) よろしゅうございますね。
  88. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) 承知いたしました。
  89. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこの社団法人の技術協会なるものが、数回にわたって指摘をせられた問題があるにもかかわらず、この不二ボーリング株式会社というものに一括下請をさせたような事実がここへ出てきておるのでありますが、私ども、実はこの間も農林関係の問題で出張いたしましたときに、これは農地改良の問題であったのですが、岐阜県の一部で、これはまあ農民がいかにしてその負担を軽くするか、いわゆる国庫の補助におんぶしようか、まあこういう——必ずしも悪質なものじゃないわけです。これは会計検査院指摘をしたのでありますが、偶然私も調査をしておる中で、その団体が、その村から出ておりまする、これは建設省の常傭人夫をしていた男だそうだが、それを請負者にしまして、そしてその県庁に秘密に——むろんまあ農林省も知らなかったのでしょうが、秘密に請負をさせたという事実があった。で、私は突っ込んでいって、その団体と、その請負業者の契約書等までとうとう発見することまでできた事実があるわけであります。これは非常に問題にもなったわけでありますが、かりにもとにかく建設——これは東北建設局の仕事なんでしょうが、その直接の仕事がこういうように平気で、一たん請け負っていたものが、下請負にこういうような不二ボーリングというような会社にこれをさせるというようなことについて、一体御当局はどうお考えになっておるのか。
  90. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) その点はまことに説明のしようもないところでございまして、私どもはこの一括請負ということは、非常に禁止しておるところであります。この点につきましても、実は現場といたしましても、十分にそういう点は注意をしてやっておったのでありますが、たまたま社団法人の会社の人が、同一人が別に不二ボーリングというような形の会社にも関係しておったということがあとでわかったような次第でありまして、私どもはあくまでも契約は法人とやっておりまして、法人とずっと仕事もやっておったというふうに感じておったのでありますが、たまたまあとでそういう事実を発見いたしまして、監督不行き届きの点は、われわれも十分に、何と申しましても説明のしょうがないのでありますが、私どもは今後は絶対にそういうことがないように、十分現場監督も注意を促しておるような次第でございます。
  91. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、その技術協会は、現在はやはり建設省の登録をそのまま続けておるのですか。
  92. 美馬郁夫

    説明員美馬郁夫君) 現在はやらしておりません。
  93. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 はい、いいです。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣に二、三点お尋ねをいたします。  まず、質問をいたします前に、本日建設省関係の審議をするに当って、大臣が御出席になりましたことは、当然のこととは言いながら、敬意を表したいと思います。決算委員会にはなかなか大臣が御出席にならない。また御出席になっても、指摘されている内容についてそう研究はしていらっしゃらない。きょう南條建設大臣がお見えになりましたが、先ほど御答弁は原稿に書いたものをお読みになっていらっしゃったようで、これは無理もないと思うのです。南條さんが直接責任をお持ちになっていない時代の審議でありますから、あなたにとことんまでこれは責任を追及するというのは、建前からしてはそうかもしれませんけれども、直接の問題としていろいろ追及することは私どももお気の毒のようには思うわけなんです。しかし前の委員会でも申し上げたのですが、やはり大臣決算委員会にしばしば御出席になられて、直接本問題に対して御責任がないにしても、問題のあるところから新しい出発をしていくという建設的な政治、血の通った政治を作り上げるためには、そうした御努力こそが非常に大事ではないか、こういうような御意見を実は私も申し上げて、前般松浦労働大臣と非常に意気投合した一幕もあったようなわけです。どうぞ一つこういう私の意見を了とせられまするならば、時折には決算委員会にもしばしは御出席下さって、私どもとともに国政運営の妙を発揮していただきたい、こういうことをまずもって敬意とともにお願いを申し上げたいと思います。  第一番にお尋ねをしたいことは、建設行政一般の問題になりますきわめて具体的な問題でお尋ねをしていくわけですが、知事選挙あるいはまた衆議院の選挙あるいは地方議員の選挙等いろいろの選挙の場合に、中央から建設大臣あるいは建設何々次官という肩書のついた方がお見えになると、大がいえらいことを演説してお帰りになる。もしこの知事を皆さんが支持してくれるならば、私はうしろだてになってそして皆さんのために道路を作りましょう、橋をかけましょうというようなことを、おくめんもなく演説をしてお帰りになっていられる。私はこういう演説の場面に二、三回ぶつかって、なるほどなぁ、これは建設大臣が選挙応援に来る、なかなかこれは効果のあるものだというようなことも、これは皮肉ですが、考えて非常に遺憾だと思うのです。私はしかし橋を皆さんのためにしっかりかけましょうということは、これはいいのですけれども、しかし私の支持するこれを皆さんが支持してくれるならばという、こういうただし書きについては承服できない。これは決して南條さんがおっしゃったというのではなくて、よく歴代の建設大臣があたかもその国費を私有物化したような見方で、そういう演説をしていられる。これは非常に遺憾なことだと思う。たとえ一厘でも一銭でも、これは国民のものであって、決して国費が私有物視されるようなことが許されるべきものでないにかかわらず、自分の肩書を利用して国民にそういうことを訴えるということについて、私は非常に遺憾の意を実は表したいと思うのです。こういう感覚だから官僚とそれから政界と、そして財界が結んで、いついつまでも悪事があとを断ちません。どうか一つ特にこの建設行政は国の補助あるいは直轄工事というようなことが非常に多いのでありますから、せめて選挙演説ではそういうような国費を私有物化して訴えまくるというようなことがないようにしてもらいたいものでございます。こういうことを私は強く考えておるわけでございます。こういう問題に対して建設大臣はどういうふうな御意見をおもちになっていらっしゃいますか、御意見を伺わしていただきたいと思います。
  95. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの御意見につきましては全く御同感でありまして、往年保守党政党対立の時代においては、相当さような問題が選挙のたびごとにあったようにも承わっておりますが、少くとも私がこのたび建設大臣に就任いたしました以後におきましては、ことに自分の考えといたしましては、ほんとうに公共事業費を扱う、最も国民の血税を扱う大事な省でありますので、省内の部員に対しましても特にその点を強く要望し、また私どもといたしましても、至平公平な立場において、需要度に応じましたいろいろな施設をしなければならぬという考えでおります。今のお説のような点が、選挙演説等の場合にあるというお説でありますけれども、これは役所が役所の立場でありますために、何か建設大臣や建設次官が参りますと、道路がよくなったり、橋がよくなったりするだろうというように受け入れ側の感じがそう思うのでありまして、決してこちらから積極的にさようなことを要望したり、あるいは約束いたしまして、特にだれだれを応援すれば、橋をつけてやる、道路をつけてやるという具体的なことは決して申すはずもないし、決してさようなことのないということを誓って、私はここに申し上げる次第であります。
  96. 高田なほ子

    高田なほ子君 御意見をお伺いしまして私も丁といたしますが、現にこれはそういうことがないように御認識のようですが、実際私もよくこの耳で聞いて、なるほどこれは建設政務次官ともなれば、あすの日にもちゃんとできるようなことを言って公約しているものだなというふうに考えておったのですが、事実その約束はある程度まで成就するのです。また成就させるために政治家としてそういう公約をする。そこでこういう不当事項、不正事項については、会計検査院なるものがあって、ただいまの御報告のように、毎年々々遺憾であると思うような事件が減っていることは御同慶にたえないのであります。この橋を直しましょう、この道路を直しましょうというような約束を勝手にしてきて、その約束が妥当であるかどうかということをきめる機関というのは、これは相当私はむずかしいものじゃないか。たとえば鳥取県、それから石川県、あるいは福岡県というふうに県々でもっていろいろと壊れたところ、道路の悪い場所の率が、姿が違っているだろうと思う。そういうものを中央でもって公平に、これはやるべきである、これは必要のない工事であるというふうにきめるような機関というもの、あるいは県でそういうことがきめられるような機関というもの、そういう機関があれば、どういう姿でこれが活動して、そうして建設行政の上に光明と公平が期されるかということについて、具体的に説明をしてもらいたいと思います。
  97. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) こまかい点についてはまた担当者から申し上げますが、たとえば道路のことに対しましても、道路審議会というものがありまして、国の大きな道路行政道路の路線、それから道路の、どういうような方向に今年度いくかという大きな問題につきましては、道路審議会に諮りまして、その諮問によって大体その方向をきめておるのであります。また小さな各府県の道路、橋梁その他の公共事業費の問題につきましては、ダムでもそうでありますが、大蔵省の主計局の方と、予算を要求いたしますときに、大蔵省におきましては非常に綿密な調査のもとに、一つ一つ個所別につきましても、予算をきめますときに折衝しました結果、相当綿密な検討の上で予算化されて国会に上程されておるのでありまして、決してお説のように、いやしくもでたらめということではありませんけれども、建設省が勝手に地方民の要望にこたえて、選挙運動を利用するがために予算の配分をするなどということは、実際問題として、機構としてはできていはいということだけは申し上げておきます。
  98. 高田なほ子

    高田なほ子君 道路審議会というのは、私も承知しておりますが、審議会は一応の諮問機関で、決定権はどこがお持ちになっておりますか。
  99. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) これはどこまでも諮問機関でありますから、この意見を尊重いたしまして、建設大臣がその方針をその意見に従ってきめていこうということであります。
  100. 高田なほ子

    高田なほ子君 決定権はやはり建設大臣がお持ちになるわけでありますから、これ以上どうこう申し上げることをはばかりますが、諮問機関の意向というものは、歴代の政府はあまり尊重しない、相当よい答申案がいつでも諮問機関には出ているが、それををやるかやらないかは、時の大臣の良識と、それから果断に待つ以外にはないと思うのです。どうぞ一つ道路審議会の諮問というものに対しても、極力公平公明を期されて、いやしくも一国の大臣、または政務次官というような、高位高宮にあられる方が、自分の権力を利用されて、選挙運動等に軽々なる公約をするようなととがないように、特に一つ申し上げたいと思います。  それから第二番目の問題ですが、これは天皇が行幸なさいます場合には、これは礼儀としてかどうかわかりませんが、とにかく突貫工事してでも、一ぺんに道路でも何でもきれいにする、これは天皇がおいでになることでありますから、できるだけきれいにしてお迎えするということは礼儀でもございましょうけれども、しかし、道路にしてもあるいは施設にしても、これは天皇をお迎えするというエチケットだけじゃなく、国民のものだという私ども観点に立たなければいけないという意見を持っているわけですが、天皇の行幸と、それから改装される道路の費用というものは、どんなふうな関係になっているものなのでしょうか、初めから予算が組まれて、その予算の通りにそれが実行されるものか、また宮内庁の計画に従って天皇の道筋をにわかにそれを直すということであれば、それは国の費用とそれから地方公共団体の負担する費用とが、どんなふうになっていくものか、この点について一応大臣のこれに対する考え方と、それから事務的な処理方法、二つに分けてお尋ねをいたします。
  101. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 私の答弁できますことといたしましては、詳細は道路局長から御答弁したいと思いますが、ただいまの御説のような問題につきましては、天皇に対する尊敬と申しますか、国民感情を表わす意味における道路整備を、そのときに限っての道路整備をいたすのでありまして、おそらくはそれがために特に特殊な予算をもって特別な施設をするというような方法ではないかと思うのであります。詳細は道路局長からお答えいたします。
  102. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) ただいま大臣から申された通りでございまして、道路整備は一定の計画に基いて実行いたしております。特に天皇がおいでになるということで、計画を新たにつけ加えたり、またそのために補助金を余計交付したり、補助率を増したりというようなことはございません。
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、あれですか、一定の予算の中でそういうことは操作されるので、別個の予算は組まないのだと、こういうふうに了解していいのですか。
  104. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) さようでございます。
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。しかしこれはまあ意見になりますけれども、国民感情としてこれを直すのだということでありますけれども、感情だけでなくて、直さなければならないのだったら、私はとっくの昔に直した方がいい、私はいつか漫画で、天皇が行幸になるというので、天皇様の首のところにほうきの絵が書いてあった、これはまあまことに天皇様もお気の毒な漫画を書かれているものだということで、そのときから一度大臣にこういうことを聞いてみたいなということで私は考えておったのですが、あまり露骨だからじゃないでしょうかね。天皇がおいでになるというと、もう突貫工事で、今までぼろくそにして、何年も何年もかまわないような所を、にわかにさあっときれいにするでしょう。まるでそれは結果から見ると、ほうきみたいな役割をしているということになって、これこそ国民感情ではなくて、むしろ失礼にわたることだというふうに私考えるんです。こういうのは私、相当の限度と良識を持ってやらなければ、天皇を神格化したり、あるいは天皇に対するほんとうの意味の親愛の情を離反させる結果になるようにすら考えられるのですが、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  106. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまのお説は、いかにも天皇の行幸に当って、特別に道路整備をするかのようなことでありますが、ただいま道路局長の答弁のように、別段それがために特別な予算があるわけではないのでありまして、その地方々々の予算の限度において、失礼にあたらぬ、またその町の美観をそこなわないように、道路の清掃であるような意味のことだと考えるのでありまして、にわかに、今まで舗装しなかった道路を急に舗装して費用をかけるというような問題でなくして、普通に水をまいてほこりの立たないようにするという程度のことは、これは決して、それがために天皇をほうきのかわりに使うというような意味じゃないと考える。これは外国使臣がかりに日本に参りました場合においても、国の礼儀としても、国民の礼儀としてもそれくらいの清掃をしておるのでありまして、お説のような点は、あまり何といいますか、行き過ぎたような考えでなく、国民感情をすなおに一つお考えになっていただきたいと思います。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと大臣は誤解していらっしゃるようですが、私は非常にすなおなんです。あなたよりむしろすなおですよ。天皇様がおいでになるから、道路をきれいにして水をまいて、それでお迎えするのは、これはもう当りまえのことで、そういうことをやらない方がどうかしていますよ。それはどなたがおいでになってもきれいにしてお迎えすることはいいんですが、そうじやないんですよ。今まででこぼこの道でも、天皇がおいでになるというと、とたんに道路工事をするんですよ。それから京都の大学のときにも私は調べに行ったんですが、学校なんかえらいきたなくて、学生の勉強もろくろくできないようなところでも、これは建設省じゃないけれども、一ぺんにさっと、天皇がおいでになるからといって、大へんな費用をかけて直している。これは決して水をまいたりきれいにしたりするというんではないんですよ。度をこしているからあなたに質問するのでね、私は天皇を否定しようとも考えていません。親愛の情をもって、それ相当の礼儀正しい意味でのお迎えの仕方ということに対して、なにもそんなことを言っているんじゃないですよ。非常に行き過ぎている面がありゃしないか。そのために県は相当の赤字をしょわなければならないようなこともあり得たという過去の実績から、御質問申し上げているんですから、誤解のないようにしていただきたいんです。  それからこのことのほかに、もう一つお尋ねしたいんですが、これは先ほど岩間さんから御質問のあった点と関連する問題です。安全保障費の問題でありますが、これは先ほどお伺いしてみますと、調達庁と大蔵省の大体の考えでもって決定されて、予算編成についてはあまり建設省そのものの独自の意見というものは出されないように私は承知しておるのです。そこで、これは資料としてもらったのでありますが、安全保障費昭和二十七年度の予算が引き続き繰り越されており、二十九年度支出済額の割に翌年度への繰り越しが多いということで、安全保障費十六種目の集計をあげた資料がございます。この資料によりますと、予算の現額は六十九億五千二百二十七万円になりますか、これに対して実際支出した額は二十三億なにがし、予算に対して支出した額は半分にも満たない、そして翌年度への繰り越しが四十六億というふうに、べらぼうな繰り越しの額があるわけです。よその省ではこういう例をあまり寡聞にして存じないのですが、あまりにも予算と、それから実際支出した額との差が大きく、そして莫大な金が翌年度に繰り越されていくという、こういう事情は一体どうしたものか、つまり建設省の予算編成の基礎算定というものがあやふやなのではないかしらというふうに考えられる。この間の事情について大臣から納得のいくように一つ説明をしていただきたいわけであります。
  108. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) それは私は詳細は存じませんから、関係当局から……。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 事務当局でけっこうですよ。
  110. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) ただいまお話のありました資料は、ちょっとわれわれの手元でどの資料を基礎におっしゃっておるかよくわかりませんので、責任のある御答弁を申し上げるわけに参らぬのでございますが、安全保障費につきましては、建設省関係で担当をいたしておりますのは、ただいまお話のありましたような営繕工事に関係する部分、あるいは道路整備に関係する部分等がございまして、それぞれ所管の建設省予算に移しかえを行うことになっております。道路整備の予算でございましても営繕関係の予算でございましても、それぞれ大蔵省関係の予算に計上されましたものを、各年度ごとに工事の必要性によりまして、先ほど出ておりましたような合同委員会もしくは各施設分科委員会内容的な相談を経まして、事業が移しかえになるわけでございますが、二十七年、二十八年と、いずれも工事の担当省といたしましては、直接工事の緊急度合というものについて、それぞれ移しかえになりますときには、非常にまあ急ぐということで担当せしめられるわけでございますが、諸般の事情から見まして、この移しかえされましたものの繰越額がかなり出ておるのでございます。これらはその事業内容から見ますと、それぞれの原因があるわけでございますが、工事担当をいたします建設省といたしましては、それぞれこの予算の年度当初からのイニシァチーブをもって予算実施の責任を担当できないで移されます関係上、できるだけまあ年度内消化なりあるいは工事の実施に必要な諸般の条件を配慮するように努力はいたして進行しておるのでありますが、そういうふうな理由一つの大きな原因かと思っております。それで二十七年から二十八年、それからまた一方におきまして、二十八年につきましては、法律でもって予算の繰り越し制度が認められたものも中にはございまして、それが二十九年にまたがっておると、こういうようなことでございまして、個々の事業内容につきましては、ちょっとここで資料を持って参りませんので御説明できませんので御了承を願いたいといます。
  111. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。
  113. 高田なほ子

    高田なほ子君 資料がないので詳細答えることができないということでありますが、二十七年度から二十九年度までの安全保障諸費の十六種目の中の統計の数字を私は申し上げているんです。聞いていて下さい。これは十六種目の統計した数字を私は申し上げている。その数字によって、こういうことを質問しているのですから、今ここでお答えができませんでしたならば、これはまた後刻お調べになってみていただきたいのであります。  ただし、一つだけお尋ねをしておきたいことは、二十七年度から八年度にかけてのこれは総計でありますが、支出済額の中に二十三億何がしという数字が出てくるわけなんです、こちら、これでもって計算したところによると。この二十三億の中に、先ほど問題になった二千八十四号の、見通しもないままに六億何がしの工事費を組んだ、これもその中に入っているということになる。そうすると、予算現額は非常にたくさん組んでいる。だが実際には支出するものは少い。そこで非常に当局があせって、こういうずざんな、この見通しのない金の支払いをするようになるのではないかしら、これは私の疑問ですよ、なるのではないかしら、そういうふうに考えるわけなんですが、あまりにもこの予算をたくさん組み過ぎるのではないでしょうか。要りもしないのに、大蔵省と調達庁の圧力に屈して、そうして担当省がその圧力のままに予算を組み過ぎるから、でたらめな支出を結局してしまうのです。そうして使い切れぬから翌年に繰り越していくという、そういう悪循環が行われているのではないでしょうか、こういうふうに尋ねているのです。数字はどうぞあとでお調べ下さい。そうではないのですか。
  114. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) ただいまお話の繰越額につきましては、昭和二十七年度におきまする建設省関係の安全保障費の繰越額は、直轄工事補助と合せまして十九億ということになっております。それから昭和二十八年度は百五十億、それから二十九年度が六十六億、こういうことになっておりまして、それぞれの事業によりまして、たとえば飛行場の施設費でありますとか、あるいは岸根の倉庫でありますとか、あるいは顧問団の新営費とか等が、内容的に見ますと、きわめて複雑なことになっております。ただ国の予算の関係といたしましては、いずれも二十七年度から九年度くらいのところでは、特にこの国の全体の予算規模を幾らか圧縮しようと、一兆円というワクに圧縮しよう、こういう形でできるだけこの安全保障費支出にまあ期待をする、あるいは補正予算等の関係に影響等もありまして、できるだけこういう支出に、つまり工事執行をできるような形にしてやりたいと、こういうのが大蔵当局その他の関係の意見で、実施官庁としては、ただいま申しましたような制約のもとに、できるだけ工事を円滑に進めるということで参った結果が、今お話のような状況になっておると、こういうように思っております。
  115. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣にお尋ねしますが、私はこの繰越金がこういうふうに多い——予算がたくさん組んでいるのだが、結局繰越金が多く残っていくというようなことの原因の中に、駐留軍に対して提供した施設、その提供した施設返還という問題については、何か合同委員会にも建設当局の発言権が非常に弱いように思う。そこで大臣駐留軍に提供した施設返還を早く求めて、そうして国民の不満を買わないように私はしていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、これについての御意見、御態度を承わって私の質問は終ります。
  116. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの御質問はひとり建設省だけの問題ではないと思いますが、しかし建設大臣といたしましては、閣僚といたしまして、国の方針として、できるだけ早く駐留軍に引き揚げてもらって、日本の防衛力を自力でもって達成する方向へいかなければならぬということは、内閣全体としても、さような方向にいくのでありまして、その意味においては、この一両年来、その方向にだんだんと、駐留軍施設日本側に返還される事実はお認めだと思うのでありますから、今後におきましても、そういう方針のもとに、そういう方向のもとに私どもとしては進みたいと思います。
  117. 高田なほ子

    高田なほ子君 あと一問、ちょっと事務的なことを伺っておきたいのですが、二千八十四号のこの問題に対して、関東地方建設局、これは事件の発生した官庁はそこですが、本省の営繕局長の大村恵一氏が退職をされているように書いてありますけれども、これはどういうわけで退職なさったんですか。これはわかっている方に答えていただきたい。
  118. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 当時の本省の営繕局長の木村恵一氏はその後退職になっておりますが、これは本件と直接関係はないように伺っております。
  119. 高田なほ子

    高田なほ子君 本件と直接関係がないのに、何で資料にこういう本件と関係があるかのごとくに出しておられますか。
  120. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 提出いたしております資料は、当時の監督者、当時の執行担当者というようなことで名前を書いてございまして、そして資料提出の当時から見ますると、退職しておる者は、ただこれは退職しておるということを書いておるのでございます。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは会計検査院の方も、先ほどお話があったように、本問題はやはり予算を組むときの見通しの誤まった欠陥が、こういうふうなことになって出てきているので、先ほどの岩間さんからの追及によってもわかるように、えらい金利がどこにいったかわからない、大へんなお金が宙に浮いてしまっている。一億六千万円という金は、これはもう容易ならざる金ですよ。一ヵ月でこれを使ってしまおうとすれば、一日に五百四十三万くらい使わなければならぬくらいの金なんです。そういうものが宙に浮いているのに、監督者はどういう一体責任を負われたのですか。何にも責任を負われていないのですか。
  122. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 先ほどお話がございましたように、当時の監督者であります本省の営繕局長もその後退職いたしております。それから担当官の関東地方建設局長の金子柾氏も退職をいたしておりますので、これらにつきましては特に退職後でございますので、処分その他の取扱いをいたしておらないような次第でございます。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 監督者の木村さんは同時に執行責任者という形にもなっていて、ずいぶん本問題については責任のおありの方なんですが、こういうえらい方は退職してしまえば、あとはもう何でもなくなってしまうのでしょうか。こういうたくさんな金額の国に対する損害に対する弁償の義務なんていうものに対しては、これは負わなくてもいいものなんでしょうか。非常に私はこういう点を疑問に思うから、今までも決算委員会で、しばしば退職された方の先の方までも調査していただいておるようなわけなんです。会計検査院の方はこういう場合に、営繕局長というような上司の責任という問題については、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。これは直接会計検査院には縁がないようでありますけれども、やはりあると私は見ております。御意見を承わらしておいていただきたい。
  124. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 予算執行職員の責任に関する法律というものがありまして、それに該当する場合には、懲戒処分の要求あるいは検定をするようになっておるのでありますが、予算執行職員の責任に関する法律と申しますのが非常にやかましい条件になっておりまして、法令違反あるいは予算違反、重過失、国損、というような事実が全部揃いませんというと、発動しないような仕組みになっております。この場合も検討しましたけれども、建設省で自発的に処分していただくのは非常にけっこうですが、法律によって処分の要求をするだけの具体的な条件が具備しないというふうに見まして、検査院の方からは積極的に懲戒処分の要求をいたさないことになっております。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとさっきの説明の中に、日米合同委員会の組織の問題で質問した中で、施設特別委員会には入っていない、なるほどそのようですが、その下にいろいろ部会があるわけですね、特別委員会に。港湾部会、陸上演習場部会、海上演習場部会、それから建設部会、道路橋梁部会と、こういうふうに五つに分れておるようですが、この建設部会には入っておられるのですか、ないのですか。
  126. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) ただいまの部会、建設部会に本省の営繕局の計画課長が名を連ねておりましたけれども、実際はこの下部組織の部会は一度も開かれたことはございません。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは重要な問題ですね、盲腸ですか、盲腸ではないでしょうか、一回も開かれておられないわけですね。
  128. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 開かれていないのであります。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 やっぱりここに問題が一つあるように思いましたね。さっきの岸根の一つを伺ってみても、建設省としての意向がほとんど反映しないで、施設部会の構成というものを見ると、大蔵省と調達庁、それから架空のところで、何だかあまり現実的な日本の建設行政とまるで違ったところで、これは天降り的にきめられておるという実態が明らかじゃないか、押し付けられた仕事だけはやらせられる、これについても——大臣行っちゃったのですね、大臣いないから仕方がないですけれども、どうですかね、事務担当官としても、どういうふうに考えられますか。これじゃちょっと困るのですね、建設省に同情するわけです。今見ても責任だけは負わされちゃって、それで実際はそういう企画には参与させない、これはばかにした話だと思う。どういうことです、これについて何か意見ございませんか。応援しているのですよ。
  130. 小島新吾

    政府委員小島新吾君) 先ほども申し上げましたように、一応どれくらいな収容人員を要するものがどこどこに必要だ、そういう大きな面の決定がまず合同委員会なりできまりまして、そのときに果してそれだけの要求する面積の建物が必要であるかどうかは、われわれの方でチェックをいたしまして、そして相手部隊と極力微細の点においても協議をいたしまして、できるだけ向うの過大な要求がある場合は、全然そこをけりまして、そうしてまた調達庁の方に報告して、それで最後案をきめるというような状況でございます。そういうことでございまして、われわれとしても極力過大な要求は、技術面その他でチェックしまして、それを主張して調達庁あるいは大蔵省と協議し、さらにそれを相手駐留軍に納得させるという状況でございます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことをやっておられるのですか、それならたのもしいわけですが、さっき高田さんの指摘のあったように、どうも予算が天下りに相当いろいろなものを含んで、ずいぶん大ざっぱな予算が組まれて、それが繰り越しになったりするわけですね。この岸根の問題もそういうことと深い関係がある。だからこれはまあいいです。これはもっとやはり政治的な問題ですから、これは事務官の方にあまり追及するのは少し気の毒ですから、今技術的な意見としてお伺いしたわけです。ただ当委員会に要望したいのは、私は日米合同委員会というものはわからないのです。これは国民も実はわかっていない。今聞いてみるというと、名前はあるけれども、運用されてない。この一つだけでも、これは重大な問題です。やはり建設行政を担当する一省が名前だけ連ねておる、それでしかも課長さん。政治責任の負うことのできない、そういう参加の仕方です。そうして上の方で現実から離れたような形でこう運営されていく、おそらくこういうような形がほかのところにも相当あるようなことを心配する。それで合同委員会の運営というものは、もう国政の行政面のあらゆる面に実は関連を持っているわけですね、深い関連を持っているのです。これは大小無数の関係があるわけです。ただ国民のみにこれが知らされていない。だから決算委員会として、実はやはり米国との関係において、この行政面を明確にしていくというためには、どうしても、日米合同委員会というものの現在の機構並びに運営の仕方について、一応の理解をわれわれは持っていないことには、まあ行政面について半分しか理解できないというような形が起ってくる、つまりかたわな形です。ですから日米合同委員会について、いつか当決算委員会でこの機構、運営、それからいろいろな点について、これはただす方法をとっていただきたいと思う。とお願いしますのは、そういうことがないというと、実際今の行政面を的確にわれわれは捕捉することはできない、つかめない、こういうととがありますので、この点御考慮いただきたいと思いますが、いかがですか。
  132. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 近い機会にやりましょう、いずれ機会をみて。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  では、本日はこの程度にとどめます。  なお、要求資料の提出を待ちまして、なるべく近い機会に建設省の部を審議いたします。  次回は、二月の二十一日木曜、午後一時から専売公社及び国有鉄道の部を審議いたします。  これをもって委員会を散会いたします。    午後四時二十八分散会