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1957-09-09 第26回国会 参議院 決算委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月九日(月曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員片岡文重辞任につき、その 補欠として赤松常子君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            久保  等君            奥 むめお君    委員            江藤  智君            後藤 義隆君            永野  護君            林屋亀次郎君            平島 敏夫君            堀本 宜実君            松岡 平市君            相澤 重明君            大倉 精一君            島   清君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            岸  良一君            杉山 昌作君            大竹平八郎君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 松永  東君         —————    会計検査院長  加藤  進君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省管理局長 小林 行雄君    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十六会国会閉会中第八回決算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更を御報告申し上げます。  九月九日、片岡文重君の辞任に伴いまして、赤松常子君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 本日の理事会におきまして申し合せたのでございますが、その件を申し上げたいと思います。  ただいま新しく認証されました検査院長がお見えになっておりまして、後刻ごあいさつがあるはずでございます。  それから明日、委員派遣北海道班の御報告を聴取したいと思います。  それから十二日の日程に、日本銀行の経理状況に関する件が上っておるのでありまして、これは御承知通り宿舎問題でありますが、日銀から日銀関係参考人出席を求めておりますが、この手続その他は委員長に御一任をしていただくということに取りきめました。  それから九月の十三日に運輸省関係の審議をやることになっておったのでありますが、ちょうどこの日は、委員の方に多数お差しつかえがあるようでございますので、これを十二日に繰り上げてやろうということを理事会できめました。と申しますのは、実は委員会がこの日程を組みましたときには、午後一時から毎日やるということにしてあったのでありますけれども、まあ暑い折でもあるし、午前の十時から少し御勉強をしていただくというつもりで十時からと決定いたしましたので、多少御勉強の度が大きくなるかもしれませんが、十二日に繰り上げて運輸省関係をやるということに、先ほどの理事会できめましたのでありますが、一応御報告申し上げました通りきめまして御異議ございませんでしょうか。  速記をやめて。    〔速記中止
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。ただいま理事会の御報告を申し上げましたが、理事会の決定通り決定して差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ではさよう決定いたします。  会計検査院長から発言を求められておりますから許します。会計検査院長
  6. 加藤進

    会計検査院長加藤進君) 私加藤でございます。  先月末院長に任命されました。今後この会にもたびたび出て参ると存じますがどうかお見知りおき下さいまして、よろしく願います。  決算委員会には従来大へんお世話になっておりまして、私ども感謝いたしておりますが、どうか今後もよろしく。私も一生懸命相勤めるつもりでおりますから、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)   —————————————
  7. 三浦義男

  8. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  本日は文部省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第七百二号から第七百三十号までであります。本件に関し御出席の方は、会計検査院保岡第二局長松永文部大臣小林管理局長天城文部省会計参事官の諸君であります。  まず、会計検査院から概要説明をお願いします。
  9. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 文部省関係昭和三十年度報告いたしますものは、九十一ページから九十二ページにかけまして概説をいたしております国立学校経理義務教育費及び公立文教施設費についてであります。  国立学校経理につきましては、歳入に納付すべき収入金領得されたもの、これにつきましてはあと説明いたしますが、不当事項七百二十九号、七百三十号、不正行為として掲げてございます。その他収入金歳出予算不足に充てたもの、すなわち歳入歳出の混淆でありますが、このほか国有財産管理の妥当でなかったもの、支出科目を間違えたものなどがあります。  不当事項に入りまして、九十三ページから九十四ページにわたりまして記述いたしておりますのを説明いたしますと、施設関係補助金交付された学校の九・四%、金額で一〇%程度のものを会計検査院実地検査いたしましたが、その結果補助金配分基本となる生徒数保有坪数が事実と違っている。これは毎年見られる事例であります。そのほか戦災坪数につきまして事実と違った申請をしたり、対象外工事費実施工事に含めたりなどして、約四千五百万円が交付補助金から除外すべきものと認められました。これは事業主体、また直接指導に当る各都府県教育委員会、また文部省、各段階でそれぞれ調査の不十分、実態をつかんでいないということに原因があると思われます。  九十四ページの表の一つ一つを申し上げますと、七百二号は、摘要に書いてございます未復旧罹災坪数を過大にしているというものは、もうほかの学校で肩がわりして復旧しているのに、それを考えないで未復旧として申請したものであります。  七百三号は、補助対象工事の実費が補助基本額に達していない。すなわち、もう少し少い金ででき上った、それだから差額を返すべきである、こういうわけです。  次の七百四号と七百五号は、保有坪数の過少であるものであります。  七百六号は、さきに説明いたしました七百二号の三十年度分でございまして、理由は同じものでございます。  七百七号、七百八号、七百九号は、同じく保有坪数を過少にしているものであります。  七百十号は、不確実な生徒数を見込んでいるものとありますが、これは公営住宅建設を予想したのでありますが、実際そこに建たなかった、こういうものであります。  七百十一号は、生徒数を過大に推定したものであります。  七百十二号も同じ態様のものであります。  七百十三号は、一つ学校とすべきものを分けてやったものでありまして、一部の生徒数及び一部の保有坪数によって国庫負担金を算定したものでありますから、それで差額が出たものであります。  七百十四号は、同じく保有坪数を過少にしているものであります。  七百十五号、七百十六号、七百十七号は、東京都の高等学校でありまして、戦災による罹災坪数を過大にしているものでありまして、この記録があいまいであったものであります。  七百十八号は、危険校舎災害に便乗して災害による被害があったものとしている。これは危険校舎ではあったのでありますが、柱を切りまして、ウインチで引っぱってこわして、災害に見せかけたというものであります。  七百十九号は、補助対象外工事費実施工事費に含めているものとありますが、これは二十九年、三十年に同じ災害に同じところを、また二十九年度復旧しないところに三十年度補助をつけた、すなわち二重補助に当るもので、補助対象外というのは三十年度補助対象でなくて、二十九年度にすでに補助対象になっていたものと、こういう意味であります。  それから九十八ページになお書きにしてありますのは、先ほど説明いたしました東京都の高等学校の三十一年度へ繰り越した分でありまして、交付は決定いたしましたものの、まだ支出しない分でございます。それから義務教育費の方に入りまして義務教育費に対する負担金につきましては、二十九年度分の精算につきまして、十九都府県に、金額にいたしまして約四四%のものにつきまして実地検査いたしました結果、そのすべての都府県に瑕疵がありました。そこで超過交付金額の大きいものにつきまして、九十九ページから百ページに表にいたしておりますが、表の摘要欄にありますように、盲ろう学校教職員給与費などが実際の支出額と相違していたり、対象とすべきでない地方公共団体職員旅費教育委員会事務をとっている教職員給与控除不足など、都府県教育委員会から提出された基本資料にあやまちがある。また文部省指導にも不十分な点があったと認められるものであります。  次に、不正行為に入りまして、秋田大学金沢大学でありますが、秋田大学の分は授業料室料、また金沢大学の分は、病院の診療料金をとったものでありますが、ともに雇の犯罪であります。秋田は会計検査院実施検査によって発見いたしたもので、金沢の方は、大学収納未済歳入繰越調書を作成するその場合にわかったものでありまして、会計検査院の方に報告されたものであります。  以上であります。
  10. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、文部省から概要説明をお願いします。
  11. 松永東

    国務大臣松永東君) 劈頭に一言だけお許しを願いたい。  先般任官しました松永東でございます。どうぞ一つよろしくお願いいたします。  ただいま御指摘会計検査院の方からなりました昭和三十年度決算につきまして、いろいろ不当事項があるとして指摘を受けました件数は、補助金につきましては、山形県松陵小学校戦災復旧工事外十九件でございます。これらの不当事項発生につきましては、まことに遺憾千万に存じており、まここに恐縮にたえないのであります。  事情をいろいろ詳細に検討いたしました結果、補助金返還を必要とするものにつきましては、関係府県に対しましてそれぞれ返還指令交付いたしまして、また関係者に対しましては厳重注意をいたしまして今日まで参った次第でございます。  次に、会計検査院不正事項として批難いたしたものにつきましては、すなわち、ただいま御説明にありました通り秋田大学金沢大学職員国庫歳入金領得に関するものでありまして、これまた、まことに遺憾にたえない次第でございます。これら不正行為を行いました本人に対しましては、懲戒免職をいたしまして、また監督責任者に対しましても懲戒処分等、それぞれいたしたのでございます。  これらの不当または不正事件発生にかんがみまして、今後におきましては、関係職員の資質の向上に努めますことはもちろん、職責の自覚を一そう促しまして、会計検査の厳重な施行等によりまして、この種の事件を再び起さないよう、極力努めたいと存じておる次第でございます。  右、御説明申し上げる次第でございます。
  12. 三浦義男

    委員長三浦義男君) なお補足説明がありますればお願いします。
  13. 天城勲

    説明員天城勲君) 特に補足して申し上げることはございません。
  14. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 会計検査院の御報告に対して、もうちょっと詳しく御説明願いたいところがございますから、二、三伺っておきたい。  ただいまの御報告によりますと、学校数において九・四%、それから金額において一〇・六%の検査をした。その検査による御報告であったと思うのですが、これは多額な補助金から見ると非常に一部分であり、また非常に多数の学校数から見ると非常に一部分のものでありますが、毎年どういうような順序でこういう率をきめてやっていかれるのか。ことしは東北ブロックをやって、この次は関東ブロックをやるというようなブロック別の方法によってでもこういう検査がされておりますものですか。一応検査のこういう数字が出たことの経緯です。これについて御説明願いたい。
  16. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 補助を受けます学校は全国にわたっておりますが、私の方で台帳を作りまして、毎年行く府県というものにしるしをつけておりますので、たとえばこの三十年度検査につきましては、北海道には行っておりません。その前の年に北海道に行っております。こういうふうにつけてはおりまして、それで大体今まで二十八年ごろから、こういう批難事項を掲げておりますが、パーセンテージは大体一〇%ぐらいのものでございます。各年度、この前文に記述してございますが、大体一〇%ぐらいでございます。  そこで、傾向といたしまして、先ほど申しましたようなものを、たとえば保有坪数であるとか、生徒数であるとかいうことが出るということは毎年でございまして、またそのほかの新しい、東京都の罹災坪数であるとか、鹿児島の二重補助であるとか、こういうものはたまには出ますけれども、大体において一〇%、二、三年来やっておりますうちに、相当パーセンテージ——悪い学校パーセンテージは少くなって参っております。ただいまの御質問にありますように、一〇%ということは少いようではございますけれども、書面検査で一応全部の学校をやりまして、それでそこに疑問の多い都府県をねらって参りますので、去年行ったところにまた行く都府県もございますが、やっぱり普通台帳によりまして、にらみ合わせながらやることと、それから書面検査において疑問のあるところの都府県に行くことと、それで日にちと旅費などをにらみ合わせて毎年やっていく、こういうわけであります。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体書面で、これはまあいいと思われるようなところは割合に手をお抜きになっていらっしゃって、書面上ちょっとおかしいのを重点的にごらんになるようなお話ですけれども、書面だけ上手にそろえる能吏がおれば、なかなかそういう不正もわからないのじゃないか。私の意見としては、東北ブロックとか、あるいは関東ブロックとかいう、全般的なそういう検査がかなり必要になってくるのではないかという考えを持っているのです。それは、この文部省予算の繰り越しと作業の停滞状況なんか見ますと、かなりほかの省の仕事とは違って、非常に緊急不可欠な重要な教育問題であるにかかわらず、べらぼうな繰越金がそのまま残って、また繰り越されていくというような、そういうところから見ても、相当全般に御検査いただく必要が今生じているのではないか、こういうような気がするからです。  あと、また大臣もお見えになっていますから、こまごまの質問は後刻に譲りますが、もう一つお尋ねしておきたいことは、不当事項に対する批難でありますが、果してこれが不当であるかどうかという問題については、なかなか教育の問題はデリケートな場合があると思う。たとえば七百十号の静岡県の沼津に起っている問題です。これは不確実な児童数を見込んで請求をし、その予算の消費がされた、こういうふうになっておるようでありますが、この場合、公営住宅を建てる予想であったものが、国の計画上でありますか、県の計画上でありますか、存じませんが、公営住宅設立が実現しなかった、このために組まれた予算であるという御報告があったわけです。最近の傾向によりますと、相当大きな公営住宅やアパートが建ちまして、一度に非常に児童数がふえて参るために、その現地にある学校では、ある意味ではにわかに子供がふえたために非常なすし詰め教育が行われているという実情なんです。でありますから、公営住宅ができるという計画の中で、当然学童の増加を予想して請求をし、また実施する場合があり得ると思うのです。しかし、だからそれでいいというのではないので、私の問題とするところは、もし、かりに検査をして、公営住宅が建たない、けれども教室数がふえたと、こういうような場合に、これは不当として批難されるでしょうか。実際に計算してみた場合に、教室がふえたために、今まで六十人もすし詰めになったのが、法律の定むるところによって五十人ぐらいになった場合には、これは不当だというふうには私は考えられないのじゃないかと思う。でありますから、ただ単に学級がふえたというのではなくて、法律に示す一学級児童の数が五十人以下になった場合には、これはけっこうなことであって、必ずしも不当であるというふうには私は考えられないのですが、特にこの七百十号はどういう状態になっておったのか、もう少しこれを詳しく御説明していただきたい。
  18. 保岡豊

    説明員保岡豊君) この七百十号について申し上げますと、公営住宅建設というその計画がまだ具体化していない、まだ頭の中で考えている程度でありましたものでありますから批難したものでありまして、その計画が一ぺんあって、それが変更したというのではないのであります。それで県の回答によりましても、教育行政建築行政の方の連絡が悪かったというようなことが言われております。それで実際にどうなったかと申しますと、三十一年度児童数は八十一人の増加見込みに対して三十二人の増加にすぎないで、不確実な要素を見込んで過大に申請したことは指摘通りであると文部省が言われております。今おっしゃいましたように、あとからそういうふうになればいいのでありますけれども、まあ予算の少いところを公平に各学校に分ける場合には、その年の五月一日の生徒数でやるということを一応の建前にしておりまして、またあとでふえた場合にはその翌年にやるということになっておりますが、そういう約束に従いまして、その約束にはずれたものはここに批難不当事項として出しておるのであります。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 不当事項であっても、今日それが非常に教育プラスになる場合もあり得るという結論ですか。
  20. 保岡豊

    説明員保岡豊君) そういう場合もあるかもしれません。それはわれわれの方は、一応補助規約に従いまして、出していないものは、その規約に従って補助が与えていないということだけを言っておるのであります。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 同様の意味で七百十八号の高知県の場合は、危険校舎があるのにかかわらず、その危険校舎復旧がさっぱりされない。これは文部省の怠慢にもよることでしょうが、それでやむを得ずして災害に便乗してやる場合というのがずいぶんあるのです。これは高知県に一例出ておりますが、私どもが知っている場合だけでもそういう場合がたくさんある。これは危険校舎に対するやはり補助金というものが適正に組まれていない。放置しておけば子供が危険に瀕する。やむを律ないからこういう場合に便乗してやる。これはもうまことに一面から見れば不当かもしれませんが、一面から見れば教育上かなりプラスしている面もあるわけですが、こういうような場合はどういうふうにこれは調整しておりますのか、これは文部省とそれから検査院の両方の御意見をこの際聞いておきたいと思います。
  22. 保岡豊

    説明員保岡豊君) おっしゃいますように教育の面にプラスしていることもあると思います。思いますけれども、われわれのところはそこを考えないでやっているわけではございませんけれども、一応その補助約束に従って出していないということだけで一応ここに出しております。この不当という意味は、そういう意味まで発展して考えておりませんわけでございます。
  23. 小林行雄

    説明員小林行雄君) ただいまの高田先生のお尋ねでございますが、七百十号の件につきましては、これは御指摘のありましたのは戦災復旧でございます。戦災復旧は御承知のように現在の制度では戦災前の原型まで復旧するというのを原則にいたしております。ただ特別な事情がある場合には多少それを上回って復旧することが認められるということで、この七百十号の件につきましては、ただいま検査院から御説明のございましたように、その学校学区地域公営住宅ができるということを見込みまして、翌年度著しく児童増加するということでありましたので、特別に認定をいたしまして補助金をつけましたのでありますが、それが事情が変って、公営住宅沼津市内の他の地区にできたというケースでございます。ただ、その翌年度児童数をとりましても、この児童はかなりやはり、公営住宅はできませんでしたけれども、ふえております。また実際建築を行いました実施状況から申しましても、かなり高い工事が着実に行われておるということを文部省としては考えまして、検査院の御指摘はございましたけれども、この場合は補助金は返させないという措置をとっておる次第でございます。  それから七百十八号に関連いたしましてでございますが、お話のございましたように、この高知県の大忍中学校校舎は、すでに前から危険校舎にはなっておったのでありますけれども、何分この組合を構成する町村がいずれも小さい、財政力のきわめて貧弱な町村でありましたために、なかなか改築もできなかったということでございます。ただ、二十八年に公立学校施設費国庫負担法ができまして、新たに災害復旧については国で三分の二の負担をするということになりましたので、組合当局者が普通の危険校舎改築よりは、国の負担の率の高い災害復旧ということを考えたものと思われます。ただいま御指摘のございましたように、結果的には確かに教育の面でプラスになるという面もございますけれども、やはりこの補助金行政といたしましては、全国的な均衡ということも考えなければならぬわけでございますので、補助金行政上はまあ遺憾な事例である、きわめて遺憾な事例であるというふうに考えるわけでございます。  ただ先ほども申しましたように、町村財政能力あるいは実態危険校舎であったというようなことを考えまして、全部を返還させるということではなしに、危険校舎として改築したならば、当然国でこれだけを補助したであろうという額を交付いたしまして、その他の残額については、これはやはり補助金適正化ということから考えまして返還をしていただいたような次第でございます。  以上でございます。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 松永文部大臣は今の事例をお聞きになって、どういうふうにお考えになっておられますか。たとえば、文部省は今大わらわになって道徳教育問題を出しておられます。会計検査院はこの補助金行政について、不当事項として批難しておるわけであります。大臣は冒頭にこの批難事項に対して遺憾の意を表されております。しかし今の局長の御説明によれば、補助金行政上は、はなはだしく遺憾であるけれども、実際問題としてはこれは万やむを得ない。そこで補助金を全額返すことをしないで、半額または三分の一をとって、教育上支障のないように遂行されるという一つ調節手段をとっておられるわけです。私の考えでは、文部省が大わらわになって道徳教育などということを——これは反対しておるわけじゃありませんよ。けっこうなんですが、おっしゃる以上は、今のような局長あるいは文部省自体に、不当事項ありとするような窮地に陥らない方策というものが私は新たに検討されるべきではないかと思う次第です。これは、この高知県のはほんの一例にすぎませんが、危険校舎でありながら金がない、かまわないでおけば子供がけがをする。やむを得ないから今言うような災害補助に乗っかってでも危険校舎改築しなければならないというのが、私は実情だと思う。これをやれば不当事項になる、文部省不当事項をやったということになってしまう。私は少くとも文部省の中からは一件の不当事項不正事項もなからしめるような努力をしなければ、これは幾ら口で道徳教育と言いましても、少くとも一件でもこういうことがあってはいけないので、何とかこの間の御研究というものが検討されなければならないのではないか、こういうふうに私は痛感しておるわけです。また一例をとれば、特に私は、松永文部大臣はおわかりになると非常に御善良な御気質で、てきぱきとやっていただけると考えますので申し上げますが、たとえば校舎を新築する、増築する、あるいはまた改築をするというような場合に、大蔵省から命令があって、古い校舎は一切使っちゃならないというので、使っちゃいけない部分は、雨が降ったら入れるのに絶体入れないのです。入れると大蔵省から不当だということでその改築工事を取り消される危険があるから、雨が降っても何でもそこを使わないで、廊下に子供すし詰めにしてぎゅうぎゅう押し込んでおるのです。私などが見れば、あそこの扉をあけて子供をこちらに入れてやれば雨しのぎぐらいにはなるだろうと思うのです。不当々々と、つまらないところに不当ということを言われるのをおそれて、さっぱり子供のことを考えないという行き過ぎも見られる。願わくば野球の方に大臣は御熱心でありますが、野球は野球でよろしいのです。できればこういう実情、特に僻村の実情、改築や増築の現場、そういうものを目星をつけて、会計検査院と並行してやっていただいたならば大へん仕合せだと思うのですが、おろかな意見でしょうが、こういう意見を持っておるわけです。どうかこの調節の方法等について御検討を願えますかどうか、一つだけお尋ねしておきます。
  25. 松永東

    国務大臣松永東君) 高田委員の御主張、まことにごもっともだと思います。私は文部行政では全くのしろうとでありますけれども、しかし、かねがねから長い間の政治生活のうちにかようなことを耳にし、かつ体験をいたしております。これはまことに御指摘通り、なるほど、それは会計検査院の厳重なめがねでにらまれますというと、これが不当と言われるようなことはありましょう。しかしながら御指摘のように、結果においてまあよかったと、むしろ法律で厳重にこれを指摘されるというと不当と言われることでも、その結果においてはよかったというようなことがままあり得ることで、かつて私どものずっと昔の慣例では、補助金をもらうために、実際の費用がかからなかったのに、うんとこれにおっかぶせていって、そうしてその自治体では何らの負担をせずに、補助金だけで目的を達したというような事例もありますが、しかし、そこはただ不当事項であるかどうかということを見きわめるのに困難なところだと考える。しかし御指摘の点もありますので、これから私どもの方では部内監査を十分に強化いたしまして、そうして御指摘のように会計検査院ともいろいろ連絡をとりまして、再びかようなことがないように、しこうしてそれをまた非常識的な、今仰せになったような、使えば使える校舎に入れないで、そうしてすし詰めにしておるということのないように一つ大いに是正してゆきたいというふうに考えております。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣に端的にお尋ねをしておきたいんですがね。ただいまの御意見には私は全面的に敬意を表するわけです。しからばやはり各教育委員会あたりに対して、五十人入れたところは違法なんだと諸君は順法精神を尊ぶならば、一学級には五十人以上入れたらいいのだということを早く文部省が公けの機関で、何らかの方法で出すべきだ。そうすれば会計検査院の方でもあえてこれを不当だと批難するには当らない。要するにこれは文部省のあやふやな態度、そのために文部省に不当といういやらしい名前を着せる結果に陥っておるのではなかろうか。これは五十人というのは法律できめた数ですから、これに従わない教育委員会は順法精神に違反しているんだから、労働組合の方だけいじめないで、やはりそういう法律に違反しておるような行政面に対してはきびしく、きぜんとしてこれに当るという態度が望ましいのではないか。文部省はこういう点についてお考えになっておるようでございますが、この際一つせっかくの折でございますから、具体的な方法について御表明いただければなおさら仕合せだと思います。
  27. 松永東

    国務大臣松永東君) お説のように文部省といたしましては順法精神にのっとりまして、十分法律の規定内で施行してゆくということに熱意を持っております。しかし何と申しましても金がないのでどうにもできませんので、まあ苦心しておりますが、しかし来年度には何とかお説のように十分実行ができるようにしたいと思って、懸命の努力を続けておるような次第であります。御了承を願いたいと思います。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 金がないのでとおっしゃるので、また言いたくなったんですが、金がなくはないと思んです。防衛費は二百三十六億余っておりますでしょう。このうちの三分の一でもいいです。あるいはまた半分でもいいです。これが文教費の方へ何とか一つ文部大臣のお力でこれが回れるように大いに御努力をしていただきたいと思います。金がないなどということはちょっと私には納得がいかないので申し上げておきます。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの質問応答を聞いておったわけですが、その中でやはり金がないという問題が出たんですが、現在危険校舎とか教室不足数ですね、そういうものがどれほどあって、それに対して年々の予算がどの程度になっておるのか、大体これでやってゆけば何年かかるか。つまりここに根本のただいまの問題があるように私はそばで聞いておったわけです。この点少し資料的にちょっと明らかにしてもらいたいと思います。不足校舎危険校舎、そういうやつですね、これをちょっと御説明願いたい。
  30. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいま御指摘の問題は私にはよくわかりませんので、局長から一つ申し上げることにいたします。
  31. 小林行雄

    説明員小林行雄君) この公立学校の施設につきましては、御承知だとも思いますが、年々五月一日現在で建物の状況の全国調査をやっております。まずその本年度の結果に基いての数字を申し上げますと、小学校校舎につきましては、大体六十八万坪程度の整備を今後必要とするということになっております。それから中学校につきましては約四十万坪の整備を必要とするということになっております。それから危険校舎の関係でございますが、大体これは小学校、中学校合せたものでございますが、二十二万坪という教学になっております。きわめて大ざっぱな数字でございますが、以上でございます。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在の予算状況では何年くらいかかる予定ですか。それと自然増等、そういうものを見合したものがあるわけでしょう。それはどういうことになっておりますか。
  33. 小林行雄

    説明員小林行雄君) これは予算の実は立て方にも関係するわけでございますが、たとえば小中学校の整備にいたしましても、危険校舎にいたしましても、大体従来は二十九年五月一日現在の数字をとりまして、それを年々計画に従って解消していくという方法を講じておったのでございますが、その後の進展等もございますので、文部省としてはこの際、明年度以降の予算につきましては、できるだけ新しい数字をとって予算の編成をしていきたいということで、ただいま予算の作成中でございますが、先ほど申しました数字につきましては、予算の三十二年度の現状で申しますと、大体小学校校舎の整備、中学校校舎の整備につきましては、三十二年度程度予算であれば十カ年程度今後必要とする。それから危険校舎につきましては、大体これは五年程度を必要とするという数字になっております。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいま大体資料について説明があって、その大略はわかったんですが、今のお話でも、まあ小中学校については十カ年かかる、その間非常に教育の上には支障がくるわけです。危険校舎については五カ年、こういうことになっておりますが、私も九州や四国地方の校舎状況をずいぶん視察したことがありますが、おそらくこれは二十二万坪というようなものじゃないだろうと思う。それから向うは白アリの発生なんかあり、それから台風が御承知のように年々続発しておるわけですね。そういうことのため非常にこれは危険校舎の危険率というものは増大している。これがまた積雪地帯でも同じようなことが、やはり北海道を視察したときまざまざと出ている。東北でもそういう姿が出ているわけです。そういうことになりますと、これは何年間か長い間文部行政の中で大きな障害になっていた。これがやはり十年かからないと解消しない。しかもこれは自然増を見ているのですか。どうもこれはそこまではっきりわかりませんけれども、おそらくそういうところ不十分じゃないかと思う。現状になかなか合わない。そうすると、今言ったような危険校舎をウインチで引っぱるというようなことをやりたくなる、やらざる得ないという事情が出てくる。そうすると不当の根源といいますか、そういう根源をはっきり、やはり現在の文部行政予算の裏づけが非常に不足している、そういうところから起っている。ここに根源があるという点を明確にしておくことが必要じゃないかと思いますが、この点は大臣はどうお考えになりますか。やはりこれを引っぱった方が悪いということだけについて、道徳教育の問題と関連さしてくると、これは問題がちょっと不明朗になってくると考える。やはり政治の根幹を明確にすることが重要だと思うので、あえてこれは御意見を承わりたい。いかがでございましょうか。
  35. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘通り、どうしても金でございます。大蔵当局と談判して、次の来年度予算は何とかしてふやしてもらわなければ、危険校舎の改修、並びにいろいろな設備費を増額してもらわぬというと、とてもこのままでやっていけぬと思うのでありまして、一生懸命折衝を始めつつありますが、これからもまた始めるつもりでございます。御指摘のことは十分承知いたしております。現状に沿うように一つやってみたいと存じております。
  36. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、九十四ページの文章のことなんですが、「この種事例については既に昭和二十八、二十九両年度検査報告に掲記して当局の注意を喚起し、漸次改善の方向にあるとは認められるが、」こう書いてあるのですが、その中で不正、不当と思われるものが調査の結果あげられているのですが、二十八年、九年度の両年度にわたって会計検査院からいろいろ指摘されたことについてなお問題が発生をするというのは、これは一体根本的にどうしたら直るかというような点について、会計検査院としてお考えが出ておるかどうか、その点ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
  37. 保岡豊

    説明員保岡豊君) やはり実態を把握するということが必要だと、そこで統計というようなものも、その統計は何に使用するかということを十分に、統計を書く人間一人一人が自分の統計を正直に書くと、正直者はばかをみるというようなことがないように、文部省指導されることが第一番だと私は思っております。それで統計を正直に書いて、その正直な統計を十分に利用するということが必要だと思います。その点が少し今まで——だんだんよくなっておりますけれども、欠けているのじゃないか。その三つの段階と申しますと、事業主体が各学校へ行って、各学校からきた統計が正しいかどうかをよく指導する。また統計の作り方をよく指導するということが必要だと思います。ぞれからその府県教育委員会事業主体指導する場合にも同じ、それから文部省教育委員会なり事業主体指導する場合も同じことだと私は思っております。
  38. 相澤重明

    ○相澤重明君 文部省にお尋ねをしたいのですが、文部省の四十一ページの一般会計の項の三行目の、「会計経理の不当事故防止については、従来よりしばしば通達を発し、また、部局の会計課長を召集して注意の喚起につとめる等万全を期している」と、こう書いてある。これをすなおにこの字句の日本語の解釈をしてみると、とにかくまあなるべく悪いことは起きないように通達を出しておる。あるいは会計課長等を召集して会議をしておる、こういうふうに見れるのですが、一体会議だけでこの問題が処理ができるのか。そういうまあ不正あるいは不当というような問題が処理をできるのか。二十八年、九年にわたって、先ほども会計検査院指摘をしておるように、三十年度はそういうことがなくなる、少くなるだろうというような方向にかかわらず、少くともこういう相当の数が出てきておる。こういうところを見ると、文部省考え方というのは、何でも頭から問題を、ただ地方の人たちを集めて、そして自分の訓辞をしておればすでに事が足りると、こういう考え方のようにこの文章から受け取れるのであるが、文部省の一体考え方はどうなのか、またどういうふうに指導してきたか、そういう点について御報告願いたい。
  39. 天城勲

    説明員天城勲君) ちょっと最初に御指摘がございました四十一ページに書いてございます文部省の態度でございますが、これは国立学校経理不当事項の防止についての措置として、こういうことに努めていることを書いたわけでございまして、検査院からいろいろ御指摘を受けております全体の不当事項が、すべてこういう形でやっているということではないわけでございます。もちろん文部省として直轄いたしております学校につきましては、いろいろな部分がございますが、公立文教のように地方公共団体に対する補助金の問題になりますと、今検査院の御指摘になりましたように基本的な数字を正しく作るとか、あるいは関係法令の理解をよく徹底してもらう、あるいは市町村に対する府県指導をねんごろにしてもらうといういろいろな方法をいろいろな角度からいたしておるわけでございまして、単にここに書いておる形だけで事を済ましているわけではございません。
  40. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは文部省にさらにお尋ねをいたしたいと思うのですが、一体この実態の把握ということがあなたの方で行われておるとするならば、教育予算というものが、先ほども大臣も御答弁になったようにまあ足りない、金が少い、こういうように今まではなっておったために、父兄の負担が非常に多いとか、あるいはまた校舎についても実際にボロな校舎に入れておかなければならぬ、いわゆる雨の降っておるときでも傘をさして学校教育を受けなければならぬ、こういうような問題がたくさんあると思うのだね。一体それじゃ文部省予算をどういうふうにふやしていくという考え方を、今回のこの指摘事項の中からあなた方考えておるのか。つまり、先ほど岩間委員から言われたのは、統計的にいってどのくらい坪数が足りない、何年たったら一体学校が直るのか、こういう点の指摘があったと思う。おそらく文部省では、全国の父兄からあるいは自治体から出しておるところの金額、こういうものについても、実態の把握ということをあなたが言われる以上は、調査をされていると思う。一体その文部省予算のほかにどのくらいの父兄の負担というのがあるのかどうか、ちょっとお知らせ願いたい。
  41. 天城勲

    説明員天城勲君) ただいま詳細な資料を手元に持っておりませんけれども、大ざっぱに申しまして、三十年度の地方財政の調査で出て参りましたいわゆる父兄負担といわれているものは百五十億ほどございます。これは建物の問題だけではございませんで、教材や学校の事業費、その他の関係のものを含めての総額でございます。
  42. 相澤重明

    ○相澤重明君 百五十億というと、文部省予算措置としてそういう父兄の負担というものをなくする方向がとれるのか、それとも、もうどうしても国家予算全般が少いから、先ほどの文部大臣の話ではないが、金がないから、やはり父兄の負担というものはこのままにして置く、こういう方針なのか、その方針について一つ文部大臣の方からこれはお答え願いたい。
  43. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘のような父兄の負担やP・T・Aの負担が多過ぎますので、これではいかぬ、何とかしてこれを軽減せんけりゃいかぬというので、今大体の予算を組みまして、そうしてこれを今まで通りを是正していきたい、こういう考え方で一生懸命努力しておるわけであります。
  44. 相澤重明

    ○相澤重明君 文部大臣の今努力されているということは、あなたの方で八月二十七日ですか、二十八日ですか、文部省で会議をやった。それでこういうものを大蔵省に要請をしたいというようなことを言われておった数字のことですか。
  45. 松永東

    国務大臣松永東君) 一応あの数字を出したのですが、それからまたさらに、これではいかぬというので、いろいろ研究を進めておるのであります。これはもう終戦後十二年にもなりますので、ここら辺ですべてを再検討をして、一ついろいろ根本的な是正方策を打ち出さなければいかぬのじゃなかろうかというので、われわれは、今御指摘のような問題も含めて一生懸命になっておる次第であります。
  46. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはまあ一つ私も横浜のことを調べてみたのですが、横浜の市の教育委員会等でいろいろ調査した結果では、二十九年度には二十五億からかかっているのが、三十年度には二十七億、あるいは三十一年度には二十八億、こういうふうなまあ教育予算になっているのですが、そのほかに私費ですね、私の費用というものは二十九年度が七億二千万、三十年度が八億二百三十万、三十一年度は八億九千五百九十万と、こういうふうに毎年、文部省考えているのは、できるだけ少くしようというのに、逆に父兄の負担、P・T・Aの負担というものは漸増しているわけです。こういう点を思い、さらに児童のいわゆる大都市に集中するというか、非常に教室が足りない、今すでに四年生まで二部授業というのが各所に出ております。まごまごすると五年まで二部授業をやらなければならない。これでは一体文部省予算を編成するのに努力している努力していると言うけれども、一般の児童を持っている父兄の立場から言うと、一体どこで努力しているのかということが、これは実際に出てくるわけです。こういう点について、まあ各都市のもお調べになったと思いますが、先ほどの百五十億というのは、私は非常に僅少に数字の上からお考えになっている点ではないかと思うのであります。まだまだ私としては多い額というものが実際に出てくる……。これは今私の申し上げたのは、単に一横浜市の場合の小さいところだけを取り上げてみてもそうなんです。そうすると文部省がよほどいわゆる大蔵省との折衝の中に、この実態というものを把握した資料というものを提出しないと、これはもう会議でもって教育委員長あるいは部課長を呼んで会議をやって見たが、文部大臣がすわっているというとなかなか実際のことを言えない。ただそのときの簡単な文部省意見だけで事が終ってしまっては、ほんとうの学校教育というものに対する親切な態度ではないのじゃないかと、こう思うのですが、まあそういう点について今後どういうふうに、そういうふうに実態の中から問題を引き出していこうとするのか、考えがあったら一つお答えを願いたいと思います。
  47. 松永東

    国務大臣松永東君) 御説まことにごもっともだと思いまして、私は任官以来日浅いのでございますけれども、なるべく多くの人とお目にかかって御意見を承わり、実態を把握したいと思って、こういうごらんになるような年寄りでございますけれども、なに一生懸命やってみようと思って、老躯にむちうって飛び回っております。御了察願います。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料の問題で関連。ただいまの父兄負担が百五十億というのですが、これは何ですか。建物の寄付とか、それから教材、事業費、これくらいですか。たとえば学童給食費用、教科書代、そのほかに学用品代、そういうものの父兄負担というものは、これは計算したのですか。たしか私は、四、五年前の話ですが、憲法二十六条による義務教育費を完全にやるとすれば、つまり憲法二十六条を百パーセンやるとすれば、文部省としてはあとどれくらいの予算が要るか、この資料を出してもらいたいということを再三請したのですが、なかなか出されなかった。最後にやっと出された。それによっても二千五百億くらいと、これは記憶しているのです。今百五十億というようなことで、これは非常に数字の開きがあるのですが、この点明確にしないというと、やはり大臣もしろうとだそうでありますから、錯覚を起されると困る。つまり憲法二十六条の問題をわれわれは問題にして見ているわけです、いつも父兄負担ということは。それをともかく当面必要な建物の寄付と教材費と事業費だと、こういうことだけで計算したのでは話にならない。従って当然、相澤委員の今の質問と、具体的な横浜の例をあげた質問と食い違いが出てくるわけです。横浜だけで八億かかる。全国でとても百五十億なんという、そんなものじゃない。こういう点どういうふうに把握されているのか。この点資料的に明確にしていただきたい。
  49. 天城勲

    説明員天城勲君) ただいま申し上げました数字は、いわば寄付金として学校で扱った金の実績から申しただけでありまして、憲法二十六条の考え、あるいはその範囲をどこにするかということはいろいろあるかと思いますが、たとえば教科書代というものはもちろん入っておりません。現在の学校の事業費教材費それから給食の雑費、建物、若干の人件費系統、そういうような経費だけでございます。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから先ほどのいわゆる施設の改善であるとか、あるいは危険校舎の問題について出されたのですが、その中に高等学校のことは言われておらなかったけれども、これは高等学校というのはきわめて新らしいものであるから十分間に合う、こういうことで、まあ小学校、中学校の坪数の問題あるいは危険校舎の小、中の問題を出されたと思うのですが、六・三・三制の問題について文部大臣はどういうお考えを持っているか。非常にこれはやはり、文部大臣は就任早々教育に非常に熱を入れられて、われわれも敬意を表しておったのですが、その中に短期大学を恒久制度にするという御意見を出されているように思うのですが、六・三・三制というものを変える考え方というものが出ているのか。それともその上に積み重ねたところのいわゆる恒久制度の大学というものを考えているのかあるいは技術を必要とするから専門教育というものを特に力を入れていこうというのか。これは先ほどのこの施設の問題で、整備をしなければならぬ、小、中学校危険校舎という点の話があったけれども、どうも高等学校の点の話が抜けているので、その点どういうお考えを持っているか、関連して一つともにお答えを願いたい。
  51. 松永東

    国務大臣松永東君) これはなかなかむずかしうございまして、実はこの間から研究を重ねて参っております。しかしまだ研究ができ上っているというわけではございません。しかし何もこれは隠す必要もございませんから、私の公開している考え方を皆さんに申し上げて御協力を仰がなければならぬと考えますので、私の今考えておる点だけを申し上げますというと、決して六・三制を変更しようなんとかいうような考えを持っておりません。ただどうしても科学技術の面をもう少し振興せんければいかぬのじゃないか。御承知のごとくオートメーション時代になっておりますし、原子力時代になる。そうして各国ともみんなこれは一生懸命になって科学技術の振興に努力をいたしております折から、わが国でもやはりその方面に全力をあげんければならぬのじゃないか。  そこでまあ今研究中でありますが、高等学校の間から科学技術の方面に向う子供たちと、大学院の方にずっとまっすぐ向う人とを二つに分けて、特段な教育を施してみたらどうであろうか。しこうして二年制の短期大学を、これにいま一年加えるとか、あるいは右申し上げました高等学校時代の科学技術教育を志向している子供たちをそれと連結いたしまして、まあ昔でいえば専門学校といいますか、そういうふうな制度を研究してみる必要があるのじゃないか。ただ、しかし名前は、やはり大学という名前をつけたので、これはなかなか大学という名前をつけたのを取ってしまって、もとの専門学校というわけには、これはなかなかむずかしいというので、大学なら大学という名前でかまわないから、その充実をはかっていけばいいのじゃないかというので、実は研究を進めております。しかしまだ、こういうふうにといって、はっきり皆様に申し上げるだけの研究がまとまったというわけではございません。今お尋ねによって私の考えておりまする一端を申し上げて御参考に供したいと思います。
  52. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると大臣、こういうことですね。六・三・三制については、これはもう日本の新らしい教育として、民主教育としてこれはあくまで進める。しかし特に国際的な視野に立って、日本のいわゆる教育水準を上げなければいかぬ、技術も向上しなければいかぬ。従って科学技術振興の特に中心問題をそういう教育の面からも一つ進めていこう。こういうことで新制高校卒業生の特にそういう方に向う者については一つそういう点で伸ばしていこう。従来の大学はそのままやはり従来の通り考えていってよろしい。短大については若干の期間を延ばしていこう、こういうことですね。結局、昔の専門学校の復活とか、あるいは大学のいわゆる期間の問題をいじることによって、あなたのお考えというものが、巷間伝えられるように、だんだん教育というものが貧乏人ができないで、金を持っている人だけが教育を受けられる、こういうような方向にいくというのではないということですね。これはいかがですか。
  53. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいまのところで、私が何とかして多少でも是正していきたいという点は御説の通りでございます。さらにまた、最後に御指摘になりました貧乏人が学問ができないようなことは絶対にこれはしてはいかぬ。むしろそれよりも、そうした定時制教育を受けている人だとか、あるいは昼間一生懸命になって工場に働いている人あたりが、その夜間の余暇を盗んで、そうしてりっぱな技術者になろうとか、りっぱな学問をしようとかいうけなげな志はどこまでも伸ばしていかなければならない。それは政府が手を出して救い上げなければならない、こういうふうに考えております。親のすねをかじって勉強している人たちよりも、むしろ貧乏人のうちからけなげに自分の修養を積んでいこうという人たちこそ政府の力で引き上げていかなければならぬという気持に燃えておる次第でございます。
  54. 相澤重明

    ○相澤重明君 文部大臣大へん努力されておるようで、われわれもけっこうなことと思って協力できると思いますが、そこで一つお尋ねしたいのは、基本というものは小中高の教育課程にあると思う。いわゆる小さいときの教育というものをなおざりにしておって、大学なり専門教育を受けさせるといっても、基礎教育のない者はできない。中心になるものはやはり六・三・三制を完全に実施することと思いますが、それについて六・三・三制は完全に今後ともこれを実施する、そういうお考えでおると確認してよろしいでしょうね。
  55. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいまそのつもりでずっと進んでおります。
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど高田委員からもちょっとお話が出ましたが、道徳教育の問題であります。あなたのいわゆる新聞記者諸君に話されたこと等を見ますというと、現在の戦後における教育の課程からどうしても道徳教育というものを推進していきたいというお話であります。道徳教育とは一体何でありますか。その考えを少しこの機会に御説明を願って、そういうことをやるためにはどういう措置を講じていきたいのか。何かお話によると、来年度の三十三年度云々というようなお話も、全国を調査をするとか、対象をどうするとかいうことがいわれておったのですが、そういう点について、せっかくの機会ですから、一つあなたの御意思を御説明願いたい。予算的な問題がありますからね。
  57. 松永東

    国務大臣松永東君) これは道徳教育とは何ぞやという意義等につきましては、私よりむしろあなたの方がよくおくわしいと思いますが、しかしお尋ねになりましたから私の考えを申し上げます。  要するに道徳教育と申しますというと、人間を作り上げていく教育をする、人格陶冶をしていくのだ。その教育道徳教育だと私は考えております。そこで今、世間の世論の声と言ってもよろしいぐらいなのは、何としてでも道徳教育を強化せなけりゃいかぬ。そこでその強化する方法としてはどういうふうにやるか。すなわち、今までの社会科の中で教えておるあの道徳、さらに地理、歴史等も、やはり青年の向上とか、あるいは人格の陶冶とかにも役立つのでありましょうが、いずれにしても、今までまっているように社会科の中でその材料を強化していけばいいのではないかというふうな説も非常に強いです。私もまた初めはそう考えておりました。だんだんいかし研究してみますというと、どうも社会科の中では少し物足らぬ気がする。と申しますのは、社会科の中で教えるその目的は、社会道徳、大衆道徳、この範疇を出でないのではないか。もっと人間を作らんけりゃならぬ。もっと掘り下げて人格を陶冶する、その人その人についての人格を陶冶する教育をせんけりゃならぬ。それにはやはり別のワクを作って、別の時間をさいて、そうして一番大事な人格を、あなたが仰せになった通り六・三・三制、これなどは一番人格を作るときでありますから、このときが一番大切ですから、そこで時間を一つ特段にさいて、その時間で要するに是非善悪の弁別心を培養する。特にその子供々々について先生がその頭を作り上げてやってもらう。こういうことにやった方がいいのではないかという考え方から、私は独立した科目を設けた方がよかろう、こういうことを考えたわけなのです。しかし、これは今やがて開かれます課程審議会ですか、これあたりに相談しまして、果してそうした方がいいか。今まで通りやって、その中で強化すればよろしいかという点、並びにその強化する材料あたりもどうするかということもお諮りをした上で、一つ考えていきたいというふうに考えております。
  58. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  59. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の速記中止中のことではあるけれども、今後の委員会の議事の扱い方として、私は委員長に苦言を一つ呈しておきたい。やはり決算委員会が何も好き好んでだてにやっておるわけではないので、やはり国会として議案というものをできるだけ早く進めていきたいために、この閉会中にかかわらず、われわれ委員会に参加をしておるわけです。当局の方でも、もちろんいろいろ仕事はあるかもしれぬけれども、そういう点については少くとも委員会の招集前に、そういう点については十分意向というものを確かめて委員会に私は臨んでいただきたい、この点は一つ私は委員長に善処方を要望しておきたいと思うのです。  質疑を続けますが、先ほどの文部大臣の御意見を承わりました。その中で触れられておられますことは、戦後の道徳教育というものを高揚していきたい、たとえば修身科等の問題もお話になった。これは次年度文部省が、いわゆる三十三年度にこういうことをやりたいのだという大臣の所信の端的な表われではないか、こういうふうに考えてよろしいかどうか。あなたは先ほどは審議会の御意向というものもお尋ねになる、あるいは十分そういう意向というものも参酌される、こういうふうにも最後にはお述べになっておりましたが、あなたの考えておることを、そういうことを委員会なりあるいはまた文部省の役人に示して、そうしてそれをいわゆる三十三年度の根本方針としていく、こういう考え方でおるのかどうか。あるいはそうでなくて、逆に委員会意見というものを十分聞き、また省議も何回も行なって、そうしてあなたのそういう考え方と一緒になるかどうか、こういう点でいくのか。その点を一つお答えを願いたと思います。
  61. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいま御指摘の後段の通りです。要するに私はこういう意見を持っておるのだというてそれを固執して、そうして三十三年度にそれを実施しようなんでいう考えではありません。劈頭に申し上げる通り、私は教育行政についてはしろうとであります。このしろうとが、こういくのだ、そういうのだというような、そんなあなた大それたことをやったひにゃ、それはもう実際非常な危険をはらむようなことにならぬとも限らぬのでありますから、その点は私は十分注意いたしまして、衆議に諮って、そうしてやった方がいいかやらぬ方がよろしいか、その内容はどうする方がよろしいかということをきめてもらって、その上で一つやってみたい、しかもそれがいろいろな機関にやはり相談を求めるようになるのであります。そういうふうに考えております。三十三年度に私がこうだということを今考えているということは絶対にありません。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣のお言葉で大へんけっこうなことだと思うのです。しかしやはり何といっても、国民の多数が大臣のおっしゃったことというものは、やはりこういうふうに今度は政府の意向というものはなっていくのであろう、あるいはこういうふうに教育行政というものは進むのじゃなかろうか、こういうふうにみんな関心を持つわけです。そこで道徳教育の問題にしても、修身科の復活の問題にしても、あるいは教科書のいわゆる取扱い方にしても、すべてが、松永文部大臣が、だいぶ今度は熱心に教育行政に携わっておるようである、しかし新聞記事やラジオで発表されることを見ると、今度はこういうふうにそれでは文部省の方針というものは大臣がとっていくのか、というような考え方というものがやはり国民の非常な大きな関心になり、その中の一つで先ほど私があなたに確認したように、六・三・三制というものを変えていく考え方がありはしないか、あるいは人格という問題について、やはり何といっても人間の基本というものは人格を尊重することなのだ、そういうところがともすれば昔のいわゆる修身科の復活、天皇制の復活という問題に入っていくと、そういう人格というものがなくなってしまう。そういうところがわれわれとしては非常に懸念される。だから先ほどお話を聞きまして、私も非常に喜んでおりましたわけですが、少くとも民主教育というものをやはり大前提にお考えになっておれば、先ほどの御答弁のような方向を私はとっていただきたい。  そうすると、それでは今度さらにお尋ねをしておきたいと思うのは、先ほどのいわゆる地方自治体なり、あるいはP・T・Aの負担というものは非常に多い、これは百五十億という答弁をされたけれども、私はそれではきかない、こう思っているのだが、少くともいわゆる父兄の負担というものがどの程度軽減される考え方を持っておるか。これはもう少くとも教育基本というものをお考えになれば、その点については重点を入れて私はいいと思う。従って今もすでに大蔵省と折衝を進めておるはずであるから、文部省考え方というものは出ている、あるいはまた大蔵省の折衝の過程だからこれは言えぬという場合もあるかもしれぬけれども、少くともそういう根本の問題について、考えが私はやはりまとまっておるのではなかろうか、こう思うのですが、そういう点について父兄の負担の軽減ということ、地方自治体のこの教育費の問題についてどういうふうにお考えになっているか、再度一つお答えをいただきたいと思うのです。
  63. 松永東

    国務大臣松永東君) 私どもの考えとしては、父兄の負担は、もうこれは義務教育でありますから、全部一つ国家で負担するのが当りまえだ、ぜひそうしてもらいたいというので、大蔵当局にも主張を強くいたします。そうして実現するように努力してみたいというふうに考えております。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。大臣の今父兄負担に対する相澤委員からの御質問に対する御答弁として了承するわけです。せっかく大蔵省と義務教育の無償の線に沿って御折衝ということでありますが、この決算の数字から見ますと、この折衝について非常に阻害になる点があるのではないかというふうに考えられるわけです。その阻害になる面の一つは、繰越金とそれから実際の予算実施する作業が非常に停滞しておる面との関連になるのですが、数字をちょっとあげますと、連年相当額を翌年度に繰り越しておるものの中で、公立文教施設整備費の補助、これは補助金の中で特に小中学校建物整備費の予算現額は三十七億です。しかし三十七億の予算現額がありながら、支出済み額は二十九億であって、翌年度に八億という膨大なものが繰り越されておる。さらに公立諸学校危険校舎改築費の補助金でありますが、この補助金予算現額は二十六億であります。しかしこの二十六億の予算現額は、たった十九億きり支出済み額になっておらないで、翌年度に六億という膨大なものが繰り越されておる。さらに公立諸学校建物戦災復旧費の補助金が、予算現額が五億七千九百万円でありますが、この予算現額のうちで支出済み額になっておるのが三億四千何がし、結局翌年度に繰り越される額は二億三千六百万円という実に大へんな額が繰り越されておる。あまつさえ連年予備費を使用しながら、緊急不可欠の性格を持つ予備費が全額使われることなしに、翌年に繰り越されておる。額を言いますと、これは文教施設災害復旧補助費それから公立諸学校建物その他戦災害復旧費の補助金として予備費の中から出た予算現額が八億何がしですが、そのうち七億支出済み額で一億が翌年度に繰り越されておる。こういうふうに非常に緊急な問題であり、先ほど岩間委員から御質問で明らかになったように、十年計画、五年計画というような、私どもにははなはだ緩慢な計画の中にありながら、しかも現場はすし詰め教育危険校舎の増大というような大へんな急場にありながら、このような莫大な繰り越しが、毎年のように各項目にわたって繰り越されておる。これでは大蔵省が実際の数字を見た場合に、こういう繰り越しがあるのだから、この予算は削ってもいいじゃないかという詰論に到達するのではないか。それではせっかくの大臣の御決意が折衝の過程で数字の上から減額される危険性を持ってきはしないか。だとしたならば、この際、文部省はなぜこのような繰越額か生じているのか。しかも、これは一年度にとどまった問題じゃない。今あげた数字の予算現額のことごとく、この予算現額の中に前年度からの繰越金の膨大なものが入っている。こういうようなことであっては、この危険校舎とか、あるいは中小学校の整備坪数の不足等の問題について、なかなかに大蔵省は納得しないだろうと私は思う。なぜこのような繰り越しが出てきているのか。そして、この繰り越しは毎年、例年のごとくに繰り返されているのだ。この繰り越しのゆえに、予算折衝の上に大きな阻害を来たしているのではないか。こういうような疑問が私には去らない。これが要するに父兄の負担の増大になって結果として現れてきているのではないか。こういうような危惧を持つわけであります。  従いまして、質問の要点は、この繰越金のあまりにも膨大なるがゆえに、予算折衝に障害を来たしているのではないか。もう一つは、事務当局の方から、なぜこのような膨大な繰り越しが出ているのか。その繰り越しがなぜ毎年のように繰り返されているのか。その原因ですね、現況、そういうものについて詳しく説明をしていただきたい。二つ質問します。
  65. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 補助金の繰り越しにつきまして、ただいま高田委員から御指摘のありましたように、相当多額の数字が翌年度に繰り越されておる実情でございます。  これはまず予算の決定時期の問題がございまして、暫定予算でスタートいたしますと、御承知のように、二カ月あるいは三カ月というような暫定予算を組むということになりますと、その後にどれだけの本予算が組まれるかというような関連から、勢い予算補助交付決定がずれてくるというようなことがございまして、非常におくれてくるというような実情でございます。ただ平年の場合におきましては、やはり補助金の早期決定ということがきわめて繰り越し額を減少させる一番大事なことでございますので、三十年度以降は、この補助金の早期決定ということに文部省は極力力を入れまして努力をしておるところでございます。  ただ御承知のように、三十一年度等におきましては、建築の資材、ことに鋼材の急激な値上りというようなことがございまして、八月以降、建築単価の値上りということになりまして、そのために学校建築が一時混乱をしたというようなことがございます。そういうようなことから、多少時期がずれまして、繰り越しが私どもの予想以上に出たという事実がございます。  この繰り越しにつきましては、ただいま高田委員の御指摘のように、大蔵省と予算を折衝いたします場合に、やはり予算折衝上の影響が出てくるものでございますので、文部省としては極力この繰り越しを少くするよう、地方とも十分連絡をとりまして努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  66. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁は御答弁として承わっておきますが、こういうことが大蔵省との折衝に非常な障害を与えておることは文部省もお認めになっておるようでございまして、またこれを努力によって解決するために非常な御研究であることも今承わったのですが、具体的に本年度予算要求に対して、今私があげたこの数項目の予算折衝に対してどのくらいの繰り越し総額が見込まれておるものですか。数字的に御答弁いただきたい。もし今御答弁が困難でしたらあとで資料をちょうだいすればけっこうです。
  67. 松岡平市

    ○松岡平市君 私は満足いたしません。先ほど来の繰り越しの理由を暫定予算というものを一つあげられる。それから一つは鋼材の値上りをあげられる。それだけで、繰り越し額というものが、それを理由にされるのには金額が多過ぎる。補助金の早期決定というものは、これは何もわれわれがするわけじゃない。文部省がおやりになる。早くおやりになれば、この金額、これはいずれも地方は今言うように、公立小中学校の建物の整備費であろうが、危険校舎改築補助費であろうが、これはわれわれが言うまでもなく、各府県が非常に文部省にその補助金の支出を要求しておるのであります。文部省はいずれも府県からの要求を査定しておられる。予算現額では足らぬはずだ。にもかかわらずこの膨大な繰り越しをされる理由として私は一向説明にならぬと思う。もしここでそれをもう少しわれわれが納得できるように、少くともこれだけ大きな繰り越しを前年度もし、今年度もする。少くともわれわれが今審査する会計年度において、前年度からの繰り越しもあり、翌年度への繰り越しも相当額ある。何がゆえにこういうことになるのかということを、これをはっきりしていただかなければ——重大な問題です。高田議員は資料くらいでよろしいかもしらぬけれども、私はここで全委員が納得するような理由をちゃんと言っていただきたい。どうすれば少くともこれだけの必要な、非常に要求されておる補助金が、この膨大な繰り越しをしなければならぬか。文部省事務の処理の仕方に私は疑いを持つ。もう少しはっきり管理局長から御説明を願って、なるほどというように納得できるような一つ説明をしていただかなければ了承いたしかねます。
  68. 高田なほ子

    高田なほ子君 高田議員は満足していないのです。これから質問を続けようとしているところですから、どうか松岡議員の御発言に従って、明確にしていただくようにいたしましょう。非常に重大な問題です。
  69. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 私の御説明が不十分のようでございますので、もう一度御説明をさしていただきますと、三十年度から三十一年度への繰り越しと、それから三十一年度から三十二年度への繰り越し、二種類あるわけでございますが、三十年度から三十一年度への繰り越しの方は、これはやはり交付の決定事務がおくれたということであろうと思います。それから三十一年度から三十二年度への仕事につきまして、この繰り越しが相当出たというのは、先ほど申しましたように交付決定をいたしましたあとで、非常な鋼材の値上りがありましたために、建築実施が相当顕著に混乱をしたということであると思います。御承知のように交付の決定をいたします際には、大体年度内に完了ができるということを私どもとしては一応交付の条件にして決定をしていくという態度をとっておりますが、なかなか市町村におきましては、たとえばその後にいろいろ校地問題が出たとかというような、いろいろな一概に言えないような理由がございまして、意に反しておくれるというようなことが出てくるわけでございます。ただ三十一年度におきましても本年度におきましても、できるだけ早期にやるということで、三十一年度は大体八月末までにほとんど九〇%以上の交付決定をいたしております。それから本年度も八月末に大体九八%程度の決定をいたしておりますので、これが順調に進んで参りますれば、たとえば三十二年度から三十三年度への繰り越しというものは大幅に私は減ってくるものと思いますし、文部省としても、繰り越しはできるだけ減らすように、今後も極力注意し、また努力を傾けて参りたいと思っておる次第でございます。
  70. 松岡平市

    ○松岡平市君 今私たちがここで質問しておるのは、先ほど高田委員があげられた数字は、二十九年度から三十年度への繰り越し、三十年度から三十一年度への繰り越し、こういうことです。今あなたがあげられたのは、三十一年度から三十二年度への相当な繰り越しがある、そうすると、少くとも、われわれがあげている二十九年度から三十年、三十年度から三十一年度へ、三十一年度から三十二年度へ、例年繰り越しをしておる、そのうちで、暫定予算も一ぺんありました。鋼材の値上りも一ぺんあった。しかしながら、それは一度ずつしかない。別々だ。そうしたら、そういうものがないときには、そういうものが起ってくるはずはない。ところが起っておる。いずれの年度においても相当額の繰り越しは起っておる。そうすると、それは、あたな方が今言うように、鋼材の値上りと暫定予算にだけ責任を負わされることはおかしい。しかも、よしんば暫定予算であろうとも、これは処理はできる。できるはずです。何も翌年の三月に予算が決定されたわけじゃない。少くとも、本予算が決定されてから事務的に処理ができたはずだ。鋼材の値上りのために混乱を生じたということであったら、それこそ一つ私は資料をいただきたい。どこの府県で、どういう学校において、予算の配分を受けたにもかかわらず予算実施できなかった……。文部省は配賦した、しかも、実施できなくて繰り越しをせざるを得なかったものが、今あげるように三十年度においては建物の整備費において、八億八千何百万円、危険校舎についても五億、七千九百万円、三十年度から三十一年度へ繰り越したものは、前者については八億、後者については六億七千六百万円、こういうものがそれぞれ繰り越されておる。三十一年度から三十二年度への繰り越しは、何億あるかまだ知りません。われわれは、まだその決算を調査しておらぬ。それはおかしいですよ、予算のトータルと繰越額との比率がこれだけ開くということは、あなたは、先ほど、三十一年度は八月末に九十何パーセント決定した、そうしておられれば、おそらく、これから三十一年度決算は間もなくやるわけでしょうが、繰り越しはないかどうか。今年も、八月末に九十何パーセントやったとおっしゃるが、そうすると、二十九年度や三十年度においては、あなた方は八月末には何パーセントやられておったか、そういう質問をしなければならぬと思う。何か文部省のそれぞれ小中学校の建物の整備あるいは危険校舎補助金改築補助金というものの事務の取り扱いに私は納得のできないものがあるに違いないと思います。それとも、今のやり方では、今の補助金制度では、どうしてもほとんど五分の一近い、もっと多い、二割五分、あるいは三割というものは繰り越しをせざるを得ない状態になっておるということであれば、これはわれわれはこの補助金の支出の方法について全面的に考え直さなければならぬ。少くとも、文部省のやり方からすれば、これは管理局長、もう少し何かわれわれが納得する理由を説明なさなければ、これだけの多額の繰り越しというものは納得できませんよ。金額の比率を考えてごらんなさい。しかも、これは、いずれもいわゆる危険校舎だ。小中学校校舎が足りないのだと言って全国で大騒ぎをしておる項目ですよ。それが六分の一、五分の一、四分の一近いものが繰り越しされざるを得ないという処理の仕方というものはないと私は思う。もう少し、一つ、ただ鋼材の値上りと暫定予算でなしに説明をしていただきたい。
  71. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 現在の学校施設の補助金の配分につきましては、法律上その年度の五月一日の指定統計、それから先ほど申しました全国の施設実態調査の数字を使って補助金の配分をする、それをもとにしてやるということになっておるわけでございます。五月一日現在で全国調査をやるわけでございますが、その集計の結果は実は、どうしてもやはり八月近くなってくる、その八月にまとまりました数字に基いてやるものでございますので、大半については、早くて八月末、なお一部については、八月をずれることもございますが、そういった実情で、その程度までは交付の内示その他がおくれてくる、文部省としても事務的な全力をあげましても、その程度の期間は実はかかるという結果になるわけでございます。ただ、私どもといたしましても、この繰り越しをするということにつきましては、これは非常にこの学校建築の緊急性ということから考えましても、また、予算の折衝上からいたしましても、繰越額が多いということは非常に支障になるわけでございますので、その点については極力これを少くするように府県とも連絡をして力を尽しておるわけでございます。ただ、先ほどお尋ねの中にございましたように、三十年度にかなりの繰り越しがございましたが、これは、御承知のように、年度の途中で、大蔵省の方から、国の予算全般について、ことに公共事業費について一部の経費節約というようなことがございまして、従って、一度配賦を決定したものについても、ある程度また考え直さなければならぬというようなことが事実上できましたので、そのために指令がおくれるというような事態が起ったわけでございます。なお、鋼材の値上りにつきましては、御承知のように、プール鋼材の緊急斡旋所というものができまして、全国四カ所の鋼材斡旋所で建値の鋼材をあっせんする、それ以外のものについては闇で買わなければならぬということで、学校建築につきましては、補助金予算の単価がきまっておりますものですから、やはりプール鋼材斡旋所のごあっせんを待つという態度に出たわけでございます。ところが、やはり緊急斡旋所の大体の計画がずれて参りまして、そのために学校建築実施が相当おくれて参ったということは事実でございます。いずれにいたしましても、この繰り越しが多額に出るということはもちろん望ましいことではございませんので、文部省としても、極力その点につきましては、その縮減と申しますか、縮小に努力をして参るつもりでございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど私も、高田委員質問に関連して不足校舎並びに危険校舎、これはもう文部行政の中でずっと敗戦後貫いた一本の非常に重要な問題になっておる。これは鋭意解決しなくちゃならない。そこで、私は先ほどこの実態についてお伺いしたのでありますが、そうしますと、それによって、不足校舎は、小中学校の分は十カ年かかる、それから危険校舎は五カ年かかる、こういうような答弁があったわけです。しかし、これは予算現額からみてそういうことになるのかしれないのでありますが、今の繰り越しを見ますと、これは三十年度だけでも二四%になっておる。こういうことになると、全く文部省の立てている十カ年計画とか、五カ年計画というものは、これは空中の楼閣ということになる。こういう点で、非常に文部行政の施行面において弛緩が出てくるということは、これは明らかだと思う。こういう面から考えて、私は、ここ数年来、この繰り越しがあったというのですが、これについて資料を要求したいと思う。数年間の状況ですね。それが今までの予算獲得にどれほど一体一つの障害になったか。並びに、大臣に対しましては、こういう点で一体行政指導をどうするのか、この点が少くとも一つの焦点になっているのでありますから、重点的に問題を解決するために、ここのところをもっと鋭意集中してやる必要があると思うのです。そうでなければ、この問題は単に年々解決しないで永久に繰り返すということになるわけです。これはもう現状に合わないし、国民の要求にも完全にこれは違背するわけです。こういう点から、二つの点で私はぜひ責任ある答弁を求め、なお、これについてわれわれは成り行きを見守りたい、こういうふうに思うのですが、この点御意見いかがですか。
  73. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 岩間先生の御意見でございますが、確かに繰り越しが多いということは、将来計画実施の場合、また予算の面で折衝する場合にも悪いことであると思いますので、できるだけ解消に努力いたしますが、ただ、申し上げておきますけれども、この繰り越しと申しますのは、文部省予算を持っておってそれをそのまま繰り越すという形のものではございませんで、府県に大体内定をして、府県の方で建設実施いたして、それが三月三十一日までにできておらぬ、四月にできる、あるいはまた五月にできるという形のものでございます。多少三月三十一日までにできないという形のものもございますけれども、その年度を繰り越すと、必ず四五月ごろまでにはできているということでございますので、その点は御了承を願いたいと思います。資料を文部省として作って、委員会に提出いたします。
  74. 松永東

    国務大臣松永東君) 岩間委員のお尋ねによってよくわかりました。私も、実はそんなに繰り越しがあろうとは考えておらなかった。実は先ほどからの御質問によって、そんなにあっちゃこれは大へんだと、これから一体どうするかと、こう思って、先ほど来相当私も強い決心をして、こういうことがないように一つしたいと思っております。御了承を願いたいと思います。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体理由をあげられたのですが、どうしてももう一点納得がいかないのは、文部省は予備金の使い方についてどういう考え方を持っているか。緊急不可欠の場合にのみこの予備金というものは使われる性格のものでしょう。しかるにもかかわらず、三十年度では前年度から予備金であって、なおまた一億余りのものは繰り越されて、そしてさらにまた翌年に一億余りのものが今度繰り越されておる。こういうような予備金の使い方というものは、まずまず常識ではちょっと考えられない。どうしてそのような予備金の繰り越しが生ずるものか。予備費使用のほかに何か方法がなかったのか。こういう事態についてはどうも納得がいかない。あなたのあげられた理由だけでは納得がいかない。この点をもう少し詳しく説明していただきたいことと、もう一つは、本年度予算の要求について予備金があるのではないかということが考えられますが、特に予備金の使用について私は重要に考えておりますからお答えを願いたい。
  76. 天城勲

    説明員天城勲君) 予備費の点を私から申し上げますが、これは御存じの通り災害復旧費でございまして、三十年度の例で申しますと、時期的に閣議決定が十二月二十七日というときでございます。それで災害復旧につきましては、現在地方の財務局と文部省側と立ち会い検査をいたしまして最終の事業費の確定をいたすわけでございまして、期限がこういうときでございますので、私たちとしては年度内に確実にできるものだけを実は拾って、そうでないものは翌年度にという形でいつも災害復旧をいたしますので、そういう形で作業をいたしましても、時間的に二月一ぱいぐらい事業費の決定に時間がかかるわけでございます。大体災害発生と予備費の決定がこういう時期になりますので、同年度で初めからできないとわかっているものは明年度予算要求に回します。従って、できるというものだけについて事業費を決定し交付決定をいたしておるわけでございますが、やはり災害の跡始末なものでございますので、実施において、地方団体において予定通りいかないで年度を越す事例が起きてくる。このように了解しております。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 予備金を請求するときには、できるというものだけ、必要欠くべからざる場合にのみ予備金というものは使われるものでしょう。今あなたのおっしゃったのだけではどうも私は納得がいかないのです。地方に行ってごらんなさい。屋根がはがれてどうにもならないというのも、いつまでもいつまでもそのままにしておく、親の方が見るに見かねて、仕方がないから寄付を集めてやろう、こういう実態なんですよ。だから予備金の使い方、それからそれがどういうふうに実施されているのかということについては、今の理由だけではなく、もう少し責任をもって、早急にこれが処理できるように、予備金の使用というその性格をよくお考えになって御研究いただかなければ、今後どういう問題があっても、すべて県負担、県負担というふうに転嫁されてしまって、この予備金の使用の精神にのっとらないような現実になってくる。これは大臣の方で予備金の使用等についてはことさらなる御注意と今後の御研究というものがわずらわされていいのではないかと思いますが、ちょっと事務当局の御答弁では私は納得できませんから、特に大臣に、この際御決意のほどを承わっておきたい。
  78. 松永東

    国務大臣松永東君) 今の問題はきわめて重要な問題と思いますし、これから将来について非常なこうした問題を是正していかなければならぬ大きな問題である。よく御発言の趣旨を体して注意したいと思います。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三項目にわたって承わります。私は党務の関係があっておくれて参りましたので、もし質疑が重なっておる場合には答弁要りません。簡単に伺います。  文部省みずから遺憾事項のあったことは遺憾であると指摘しているわけですが、しかしこの報告を拝見しますと、秋田、金沢大学不正行為を除いた他の部分はそう悪質なものはないようで若干なりとも進歩改善のあとが見られる点は多といたしますが、今後さらに努力してもらいたい。で、この遺憾事項の大部分は、結局他の委員から指摘されましたように、施設整備がおくれているという点にあると思いますが、内容を見ましても、老朽校舎あるいは不正常あるいは災害復旧等に流用してごっちゃに金を使っている。結論としては施設の整備に使われているという形が多いわけでございますが、これから考えられることは、今の施設補助関係の法律がばらばらになっている、しかもこれが臨時法であるということに、運用の面に当っても、私はまた施設を整備するという立場においても、非常に盲点があると思うのです。従ってこれらのばらばらの法律をできるだけ簡素化し、まとめると同時に、この臨時法を恒久法にするというような点も考慮すべき段階に私はきていると思うのですが、これに対する大臣の御見解。  それから第二項目といたしましては、ここに指摘されてありますように、義務教育費国庫負担法に基いての対象にならない給与費等を負担している。こういう点が指摘されている。それらの点についてでありますが、こういう事態の起った原因としては、半額国庫負担法の対象となる基準が昭和二十八年から実施されて早々で明確でなかったためにこういう事態が起ったということが書かれております。で、伺いたい点は、その対象になる基準というものは、すでに寸分の疑いがないように各都道府県教育委員会に対して明確に指示されているのかどうかということと、それから、この中に具体的に指摘されているわけでございますが、あるいは質疑があったかと存じますけれども、伺いたい点は、教員の身分の人を教育委員会で相当事務員として使っている。特に指導主事というような職種の人は、その職労の内容からいって、この義務教育費半額国庫負担法の対象として負担さるべきものと思うわけでございますが、この法発足当時には不明確であったが、最近は自治庁、大蔵省の発言が強くて、これらが負担対象となっていないというところに、私は非常に問題点があると思うわけでございまして、この点六月付で行政管理庁の監査結果としても指摘され、文部大臣にこの勧告がなされているわけでございまして、この負担法の対象とすべきだと思うのですが、これはどういう考えを持ち、いかように取り運ばれておられるかということ、それと同じ行政管理庁からこの事項について指摘勧告がされているものとして、市町村が県費負担のワク外で県費負担であるべき教職員給与負担しているのは、これは法に照らしても妥当でないと、従って政府の文部省においては、これらの市町村負担しているのは、法の筋通りに県費負担にするよう格別指導すべきであるという行政管理庁から勧告が出されているわけでございますが、これは当然私は努力さるべきものと思いますが、いかようにお考えになり、進展をしているかという点が第二点。  それから最後に第三項目として伺いたい点は、先ほどから議論になっておりました補助金の決定交付並びに繰り越しに関する問題でありまして、相当議論がされておりましたので、私は簡単に伺いたいと存じますが、確かに管理局長が、先ほどから説明されておった一部は、私は理解できます。二大政党になって、予算年度内に成立するようになった以後というものは、政局が不安定であった時代に比べますると、補助金の決定交付というものが早くなったということは、確かに事実だと思う。また鋼材の価格の変化というものも若干関係があったと思いますが、しかし伺うとともに、強く要望いたしたい点は、この内示をしてから決定するまでが非常に長いということ、これが私はひがみかもしれませんが、予算を握っているお役人さんが、若干楽しんでいるのじゃないかとさえ私は思う節がある。内示をして決定の間を長く期間を置かないこと、それから、あなた方の努力は認めますが、都道府県教育委員会に対する指示をもう少し適正化すべきだと思うのです。あなた方はずっと相当指導しているのだろうけれども、都道府県教育委員会の担当官が、いろいろな政治的な影響力もあるかもしれないんだが、学校の位置が十かきまっていないとか、あとになって建築計画変更がくるというのがわかっているのを持ってきて、あなた方から交付決定をしてもらうというような事態がよくある。それが非常にこの繰り越しの原因になっているわけでししね、そういう点の指導適正化することもに、かようなあやまちを再三繰り返すような都道府県教育委員会に対しては、わずかなこの予算交付に当っては、若干しんしゃくするぐらいな態度が、私はあっていいんじゃないか、でなければ、先ほどから同僚委員から指摘されましたようなぶざまな結果になるわけでございまして、これらの点は、努力は認めるけれども、なお不十分な点があるから、強く私はその点指摘をいたしておきます。と同時に伺いたい点は、災害復旧補助金交付決定なんですが、これがもう再三指摘されるのですが、一般の場合と同様に、災害の場合にも非常におくれる。ことに災害の場合は、価一刻千金になるわけですから、早く交付決定がされますると、それだけ経済効果というものは上るわけですから、格別努力すべきであるにかかわらず、今次の九州災害に当ってもおそい。従って学校の施設の整備というものは、他の復旧に比べて特におくれています。現に諌早市内の小学校のごときは、まだ授業ができない状態にあるという点も、非常に遺憾とするわけですが、これには、一つは査定がおそい。極端な場合には、近ごろは地方財務局と両者で行っている関係上、二度査定する場合が少いけれども、特殊な場合は二度査定官が行く場合がある。それから財務局と共同して査定する関係上、日時がずれるということがある。こういう点は災害復旧に当っては査定を敏速にやること、そうしてこれは閣議でも文部大臣に努力してもらわなければならぬのですが、災害復旧に対するところの各省の配分、これらの決定を早くする、それから交付を早くするとともに、精算をもう少し早くしなければいけない、これは全般にも通じることですが、災害復旧予算は特にそうです。精算等早期にやる必要がある、私はこう考えているのですが、いかように考えられ、また今緊急の問題としていかように努力されているのか。以上三項目にわたって承わっておきたいと思うのですが、質問がダブった点は答弁しなくてもよろしゅうございます。
  80. 松永東

    国務大臣松永東君) 矢嶋委員の御指摘になりました今までいろいろ臨時法が出ておるのが煩雑に耐えぬ、これを一つ一本化して恒久化するのが当然じゃないかというお話、まことにごもっともです。実は就任以来、ちぐはぐになっておりますこの臨時法を一本化しようというので、鋭意今努力しまして、大体次の通常国会には提案できるような運びにしようと努力いたしております、  あとの問題は事務当局特に政府委員から説明した方がよくおわかりになると思いますので、それは私から申し上げませんが、最後の災害復旧費、これはまことに御指摘通りで、一日を争う緊急な仕事であります。それがじんぜん日を空しゅうしているという点も、うわさに聞いておりますが、閣議のあるごとに主張いたしております。さらにこれは明日も閣議が行われますので、明日もあなたの御意向を伝えまして、そうして万遺憾なきを期したいと存じます。御了承を願います。
  81. 天城勲

    説明員天城勲君) 今の御指摘の中で第二番目の義務教育国庫負担金対象の問題でございますが、二十九年度の精算を三十年度にいたしましたときには、未決定の要素あるいは義務制がもうろうで進行の過程であったというようなことではっきりしない点がございまして、検査院指摘した通りになりましたが、その後問題を整理して参りまして、今御指摘の二つの点についてお答えいたしますが、市町村負担教職員がいるということは、制度の上から妥当を欠くことは御指摘通りでございます。これは主として、財政上の問題に関連がございますが、この解消に努力して参りまして、明年度から財政措置をいたしまして、これを正規の県費負担に切りかえたい、こう思っております。事務職員の中で教員の身分で勤務いたしております者につきましては、前々から議論がございましたが、一応事務局の職員として事務を担当している者につきましては、これは負担法の対象にしないということははっきりいたしておりますが、実は事務局の職員で仕事をしながら、なお学校に勤務する、要するに両方に仕事の上で関係を持つような職員がおりまして、たとえば出張所に勤務して学校に一週間何回か行くというような形になっている職員について、最終的にどうするかということがまだ問題になっております。その他につきましては、負担法の対象としては明らかにして参りました。
  82. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つだけ再質問しますがね。あなたの答弁大体了承できたわけですけれども、指導主事の場合ですね。これは職種から、職務内容からいって、原則的には常に学校の職場に教師とともにあって助言指導するという私は職務内容を持ってると思う。従ってこの遺憾事項を見ても、よくそれにひっかかってるわけですが、そういう問題が今後起らないためにも、また指導主事の職務内容からいっても、管理主事は別として指導主事のごときものは、これは当然私は半額負担法の国庫負担対象とすべきだろうと思うのですが、あなたはどういう見解を持たれているのですか。
  83. 天城勲

    説明員天城勲君) 今おっしゃるのは、教員の身分で指導主事に当っている者でございますね。
  84. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうそう……、一般のもそうだ、僕の言うのは。
  85. 天城勲

    説明員天城勲君) 一般の指導主事につきましては、これは国庫負担法から申しますと、教員でございませんし、地方公務員のそのままの身分でございますので、これは負担法の対象は無理かと思いますが、後者につきましてはやはり負担法の対象から申しますと、義務教育に直接従事しているということが法の趣旨ではないかと思いまして、やっぱり専任で事務局で、たとえ指導主事であれ、事務局の職務に従事しているものは負担法の対象外考えるのが一応原則じゃないかと思っております。ただ先ほど私が申しましたように、そのいずれでもあり、いずれでもないような職員がおりますので、その辺についてなお検討を必要としている、こういうことを申し上げたのであります。
  86. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記やめて。    〔速記中止
  87. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記入れて。
  88. 久保等

    ○久保等君 先ほど来各委員から御質問があったので、私も若干それに関連した質問になるのですが、まあ結論的に文部省としてもう少し事務能率のやはり迅速化なり適正化というものをはかっていく必要があるんじゃないかという気がするのですが、特に義務教育国庫負担金の精算の場合についても、何かやはり三十年度の分の精算交付が実際には三十年度のが昭和三十二年の一月に内示をし、さらにことしの三月三十日ごろあたりにようやくにして精算交付を行なったというようなことになってるらしいんですが、このこと自体についても、もう少し時日を繰り上げて迅速にやれるんじゃないかと思うのですが、どうなんですか。  それから先ほどやはり一般的な補助金交付に当って、八月一ぱいぐらいに大体その交付決定を行なっておる現情だというのですが、しかしこれも特に寒冷地あたりにしてみると八月ないしは九月ごろになってやっと交付決定されるようでは、もうすぐ寒くなって工事もろくすっぽできないというようなことになると、これは年々歳々みすみす何か繰越額が出ることを前提にしながら、何か交付をしておるというようなことになるんじゃないかと思うんです。たしかに文部省としても各地方自治体から上ってくる資料等に基いて、これに対する交付決定をするのですから、自分が直接調査をしてその結果に基いてやるような一般行政官庁なんかとはまた違ったいろいろ悩みがあるだろうと思うのですが、しかしこの程度では一体今後よほどの改善が期待できないのではないかという気がするのですが、私この二点の問題で特に……。それから今言った義務教育国庫負担金が三十年度分について精算交付が非常におくれたのは、特に三十年度の場合の特殊事情があっておくれたのか、やはり今後においてもこの程度は出でないかどうか、その点をお伺いしたい。
  89. 天城勲

    説明員天城勲君) 義務教育国庫負担金の精算の問題でございますか、今までやって参りました実例から申し上げますと、翌年度で精算いたしまして大体補正予算でこれを見ておりますので、補正予算の決定時期等の関連で御指摘のような時期になっておるわけでございます。われわれとしてはできるだけ決算が決定次第精算いたしたいと考えておりますけれども、予算の編成その他の関係で他の条件によって時期が影響を受けることが今までのところございましたので、これをどうするかということが考えられなければならないかもしれませんけれども、現在の段階で大体補正で精算額を組んで参りますと、どうしても補正の時期ということにしばられて参りますので、この点は一つ御了解願いたいと思います。
  90. 久保等

    ○久保等君 一体そういう答弁で、私の質問に対する答弁になっておるとお考えになるのですか、今の答弁だと、補正予算の関係で結局国会での予算審議の決定がおくれる関係から当然おくれるのだというお話なんですか、それなら三十年度の場合を私質問しておるのですが、三十年度の補正予算がいっきまったがゆえに従ってことしの三十二年の一月になった、少くとも私計算すると、おそらく七、八カ月から十カ月前後かかっているのではないかと思うのですが、具体的に御説明願いたい、三十年度の分について。
  91. 天城勲

    説明員天城勲君) 今言葉が足りませんでしたけれども、今までの実情がそういうことになっているので申し上げたので、実は決算が決定して精算額がわかり次第これを早く出したいと思っておりますけれども、予算の積算の関係がそういうことになっておりますので、事務的にはそういう条件に支配されておるという事情を申し上げたのです。それを直す方としては、たとえば明年度予算に精算額を大体見込んであらかじめ組んどけばいいのではないか、あるいは翌年度予算から補充費等のような、明年度年度の分を出したらいいのではないかということをいろいろ研究はいたしておりますけれども、今までのところは、今申したような実情でございまして、われわれも十分この点は問題として研究は続けていきたいと思います。
  92. 久保等

    ○久保等君 そういう抽象的な答弁ではわれわれ御説明をお伺いしておってもわからないのです。三十年度の話をしておるのです。だから三十年度の補正予算が現実の問題としてどういう一体日時で決定せられたゆえに、本来ならば補正予算ということはもしないとすれば一体いつごろには完了できたのか、補正予算ということで追加決定をせられた予算があったので、従って三十年度の場合についてはこういう結果になったという何か説明がなければ、何か積算の結果そういうことにならざるを得なかった、事務的に言えば。従って文部当局としては早める手段方法はないのか、もうあなたの方ではぎりぎり一ぱいとにかく能率的に事務を運んでおるので、何らそこに縮めるところは、能率化するとかいった気持はないのだという御説明にしか受け取れない。  もう一つ先ほどお伺いした一般校舎の整備補助金の問題あるいは危険校舎補助金の問題、これなんかについても八月一ぱいくらいでほとんど大体交付決定がなされておるような御説明なんですが、これなんかはそういう方法でいけば結局ほとんど繰り越さなくても済むのかどうかということになると、従来もおそらく、先ほど来の御説明だと、八月前後ごろ決定がなされておったのではないかと思うし、そうだとするとあまり大きな改善策にもならぬのではないか、従ってそういう面の事務的な問題についてもまだまだ検討する余地があるのではないかと受け取れるのですが、その問題についてはどういようにお考えになるのですか。改善できる見通しがあるのですか、ないのですか。
  93. 天城勲

    説明員天城勲君) 義務教育の精算の事務的な時期の問題でございますけれども、御存じの通り五月の末が出納閉鎖期でございますので、六月の半ばごろになってから資料が正式に提出されて参ります。私の方では七月に大体検査をいたしまして、それが八、九と大体九月一ぱいぐらいまで計数整理と大蔵省の方といつも交渉いたしております。それで三十年度の例で申しますと、十一月に補正予算を出しまして、二月に配分いたした、こういうのが三十年度の実際にたどった姿でございます。
  94. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 学校の施設の関係の補助金でございますが、これは先ほどお答えの中にも申し上げましたように、年に児童数はその年の五月一日現在の指定統計の調査に基いて計算する、それから各学校の施設の状況につきましても、その年の五月一日現在の施設実態調査に基いて計算するわけごでざいまして、その集計が大体早くても八月初めになってくるわけでございます。従ってこの資料を使ってやる補助金を決定するということになりますと、どうしても早くても八月一ぱいはかかるという現在の状況でございます。先ほどどなたかのお尋ねにございましたが、内示から決定まで非常に長くかかる、それを楽しんでおるというようなお言葉もございましたけれども、決して私どもはそういうことはございませんで、むしろ非常に苦しんでやっておる実情でございまして、もちろんこの工事の促進をはかりますためには極力この内示から交付決定までの期間の短縮をしなければなりませんけれども、一面大体決定して動かないということになりますれば、私どもはこれは早く工事にかかっていただくということは実は慫慂しているようなこともございます。先ほどお尋ねにもございましたように、ことに北海道その他の寒冷地帯等におきましては鉄筋を打つというようなことも冬季になりますとできませんので、そういった確定した動かないものに対してはある程度早く工事にかかっていただくということを私どもも認め、慫慂しているわけでございます。期間の短縮——内示から交付決定までの期間の短縮ということにつきましては、文部省としても一そう注意をいたしまして、その短縮に努力をしたいと考えております。
  95. 島清

    ○島清君 大臣に二、三点お伺いいたしたいと思います。大臣は義務教育は全面国庫負担でなければならぬ、で、大蔵省と折衝しておられてこの実現に向って努力はしておられる、こういう御答弁でございましたが、しかしながら大蔵省の方から文部省のいうところの全面的の了解は得られないので、今はこういう実態だという御説明なのですが、そこで道徳教育を提唱しておられます大臣が、道徳教育を今の社会科から分離いたしまして単独科目として教育をするといたしますると、それに要する若干の費用がかさむと思うのですが、その単独の道徳教育の科目として教えるためにかかります所要経費をどのくらいに見積りしておられるのか、見積りの額は義務教育が全面国庫負担の実現に向っていきます場合に障害になるような額ではないかということが一点、さらに道徳教育を提唱される大臣としては、その道徳教育実施される前に、なお文部大臣としておやりにならなければならない問題がたくさんおありになると思うのでございます。一つの例をとりますると、基地の周辺の教育状況の整備、それには教育が妨害されて学校を移転したいという問題もあると思うのでございますが、しかしながら費用の問題でなかなか実現しないと思うのです。こういった、教育教育としてのすなおな、ありのままの姿として教育されていないというような環境の整備についてはどういうようなお考えを持っておられるか聞きたいということが二点と、さらにもう一つは、道徳教育の提唱者であられまする文部大臣のお考えからいたしますると、日本人は全部日本の教育を受げる条件下にあらしめなければならないということは当然のお考えだと思うのですが、同じ日本人である沖縄の児童の諸君が、文部省の、大臣の所管外の地域にあるわけなんですが、こういったような、日本人にして直接に大臣文部省などの親心といいまするか何といいますか、そういうものの及ばない地域の教育行政に対してどういうふうに考えておられるのか、さらにまたそういう地域にどの程度教育費用をお使いになっておるのか、それは今直ちにお答えにならないでもようございますけれども、資料として提出願えれば仕合せだと思います。
  96. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいまの御質問について道徳教育を強化しよう、その道徳教育強化について、道徳科というか何というか独立した科を設ける、それには相当の費用がかかる、その費用と義務教育費との関係はどういうふうになるか、こういう御質問だと思います。実のところはまだ……その費用の点についてはいろいろ研究をいたしております。ただそう大して費用がかからぬのではないかというふうに考えておるのです。それは別の科目を設けましても、やはり今の社会科の中で教えておったのを一つ引き離してそうして別個の時間をさいてやるだけでありますから、そう大した費用がかからぬのではないかというふうに考えております。その費用の詳細の点についてはまだ計算いたしておりません。すなわちこれをやるかやらぬかということも審議会等に諮ってやるということになっておりまして、まだその費用の点についてはよく研究を重ねておりません。しかし今の全般的の義務教育費に支障のないようにやっていきたいというふうには考えております。  それから今も御指摘になりました、基地の問題あたりで非常な支障を来しておるところがある。そういう事態も耳にいたしております。でありますから、そういう点も万支障のないようにやりましょうと、いろいろ研究を進めております。  さらに最後の、同じ日本国民でありがなら沖繩の人々は差別の教育を受けておるじゃないか。ごもっともです。これは何とかしなければならぬと思いまして、就任早々省内の局長連を集めまして、同じわれわれ民族、同胞でありながら、われわれの手でやはり教育をするのが至当ではないかということをいろいろ研究いたしまして、外務当局を経て、そうしてせめては教育だけでもわれわれの方にまかしてもらいたいという主張をするように計画を立てておる。それが駐留軍の方でいろいろ違った見解を持っておるかもしれませんが、しかし少くとも教育だけくらいはわれわれに委託して、われわれの手で教育せしめるというふうにやって参りたいということを外務大臣とも折衝を今しかかっておりますけれども、まだ的確な回答を得ていません。そうした方面に進んでみたいと考えております。
  97. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  98. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。
  99. 松岡平市

    ○松岡平市君 管理局長にお願いいたしますが、大へんしつつこいようだけれども、小中学校の整備補助金、それから危険校舎改築補助金、それから戦災復旧補助金、公立小中学校のこういうものについて二十九年度、三十年度、三十一年度、三年度にわたって繰り越しをせざるを得なかった府県、それから金額、それから完成の月、これは日にちまでは要らんですが、何月まで、これは今言うようにたとえば北海道というようなところにそういうものが集中的に出ておるのが、あるいはどこかの府県で累年補助金をちゃんともらいながら、実は年度内に完成せぬという府県が非常に顕著であるのかどうか。そういうことを私は明らかにしていただきたい。私たちはこれをするためには八月末日に査定を決定されて補助金交付されるということは、時期がおそければこれを早くする方法を考えなければならない。さっき申されたように文部当局で五月末ですか、その査定をやるというやつをあるいは三月末にしてもらって、少くとも五月末には補助金を決定してもらうということにその方法を改正してもらうことを要請しなければなりませんが、そういう点について一つ資料として出すように、私は委員長に要求いたしますが、できるかできないか、お出しになる意図があるかどうか明らかにしていただきたい。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題ですが、事務当局がこうなっているからこうしか仕方がないのだという答弁だったと思うのです。これに対して事務的な見地からのあなた方の意見があると思うのです。こういうものがあったらこれを加えてもらって、これは文部省の機構の中でどうなっておるかわからないけれども、そういう意見を考慮して、大臣はそれを政治的に国会とも協力して解決する、こういう方法をとるのが当然ではないかと思うのです。この問題は先ほどから申しますように一つの焦点になって国民は非常に関心を持っておるのです。私はこの間北海道を旅行してみたら八月末日に決定されて実際にその補助金をもらうのは下手をすると年度を越しておる。そうすると冬の間に工事をやれない。ところが無理をしてやる。来年になるというとそれはしめってしまって全音壁が落ちてしまう。こういう現状を私はこの目で見ている。これは今から八年くらい前のことです、そのころも問題にしたのですが、依然としてこの問題は解決しないで今まで尾を引いているということはこれは遺憾にたえない。そういうところはさまっているのだから、なんにもならないというような官僚の習慣だけでやられたのでは話にならない。こういう点について私は当然事務に携わっている諸君の意見を具体的に聴取したい。いい解決をするように努力していただきたいということをあわせてつけ加えておきたい。
  101. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 今の資料よろしゅうございますか。
  102. 小林行雄

    説明員小林行雄君) ただいま御要求の資料につきましては、できるだけお尋ねの線に沿って作成いたしまして委員会に提出いたします。
  103. 松岡平市

    ○松岡平市君 なお私は、もしある府県補助金をちゃんときめてもらって、そうして年度内に完成せぬというようなものがたびたび重なるようなところには、補助金交付やなんかについては、少し文部省も手かげんを加えるようにしなければ、とにかくなくて困っているのだから、いろいろ査定して、これは全部の要求でなくて、一部分のものを抽出しておいて、年度内に完成せぬというようなことがかくも累増しては、これは予算を折衝する場合にも都合が悪い。ぜひそういう方策を講じてもらわなければならぬから、なるべく詳しくわかるような方策、資料を出してもらいたい。
  104. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  105. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないものと認めます。  ではこれをもって文部省の部、検査報告批難事項第七百二号から七百三十号までの質疑は一応終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  これをもって本日の審議を終了いたします。    午後一時二十六分散会