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政府委員(松永
正男君)
昭和二十九年度労働省所管の
一般会計並びに特別会計につきまして、ここに
指摘されました事項について、その後どのような処置をとり、どのような経過になっておりますかにつきまして、御
説明を申し上げます。
失業対策事業費の補助金につきまして、その精算の際に処置当を得ない事項が、二千五十五号から二千六十五号まで御
指摘を受けておりますが、これらの中身につきましては、先ほど御
説明がございました通りでございます。労力費、資材費、
事務費等につきまして、不当な精算をしておったわけでございますが、特に資材費につきましては、年度末におきまして補助金によりまして購入しました資材が残存いたしました場合に、従来はそれを時価に換算をいたしまして、それを国に返納をさせるという手続をとっておったわけでございますが、三十年度からこれを改めまして、年度末におきまして資材の残存量がありました場合に、特にやむを得ないものにつきましては労働大臣の承認を受けまして、翌年度の失業対策事業にこれを使用せしむることといたしまして、翌年度の
予算補助費からこれを差し引くという制度に改めたわけでございます。従いまして、ここに掲げてございます二千五十五号から二千六十五号の事項につきましても、二千五十六号の東京都の
関係と、それから二千六十号の兵庫県の
関係につきましては、三十年度におきまして三十年度の補助費からこの分を減額をいたして処置をいたしました。その他の件につきましては、二千六十五号の北宇和郡来村の
関係を除きまして、全部につきまして、国庫に対しまして返納を要するものは全部返納をさせまして、また減額を要するものは三十年度
予算を減額をいたしまして解決いたしたわけでございます。二千六十五号の北宇和郡の来村の件につきましては、現在この村が宇和島市と合併をするということで、この返納の
事務がややおくれておるようでございますが、これも
目下督促中でございまして、回収に
努力をいたしておるわけでございます。
次に、労働者災害
補償保険特別会計につきまして御
説明を申し上げます。労災保険の二十九年におきます収支の状況は、ここで御
指摘を受けました通りでございまして、石炭鉱業等の不況の結果、
相当の赤字が出たわけでございますが、その後保険経済の内容は逐次改善を見ておるような次第でございます。御
指摘を受けました保険料の収納未済につきましては、三百八ページに六億五千四百余万円二十九年度分といたしまして未済があったわけでございますが、これにつきましても鋭意収納に
努力をいたしておるところでございます。三十一年十二月末におきまして六億五千四百万円のうち二億三千八百万円がまだ収納未済でございますが、約四億二千万円ほどの収納をいたしまして残りの二億三千八百万円につきましても収納に
努力をいたしておるところでございます。
それから三百九ページで徴収不足の御
指摘を受けておるわけでございますが、これらにつきましては、その後直ちに徴収決定をいたし、あるいは収納の督促をいたしまして、三百十ページの大口の分として掲げてございます二千六十六号、二千六十七号、三事業場にかかる二件につきましては全額収納済みでございます。その他の小口のものにつきましても鋭意
努力をいたしました結果、大部分のものを収納をいたしておるような状況でございます。
それから失業保険特別会計につきましては、ここに御
指摘を受けましたように、収納未済につきまして、過年度分が十二億五千二百余万円あったわけでございますが、二十九年度の収納未済額につきましても、その後徴収に
努力をいたしまして、二十九年度分約九億円のうち四億六千万円の徴収をいたしました。
その他につきまして
目下収納に
努力をいたしておる状況でございます。
それから
職員の不正行為につきましては、上野の公共職業安定所で不正事件が起きたわけでございますが、横領いたしました三十八万円の金のうち、三十一年一月末現在におきまして十七万四千円の回収をいたしてございます。残りにつきましても、回収の
計画に基きまして今後収納に
努力をいたす所存でございます。なお、これらの不正を行いました
職員につきましては、現在東京地方裁判所におきまして裁判が係属中でございます。これらの者の監督者につきましては、減給あるいは戒告等の懲戒
処分をいたしますと同時に、その他の
一般職員に対しましても、安定所長の
責任体制を十分に確立する、監察官による監査を強化する、あるいは会計
事務につきまして講習、研修等を行いまして、正確な会計
事務が遂行できますように
努力をいたしておりまして、今後この種の不正行為を絶滅いたしたいというふうに考えております。
次に、失業保険の保険給付の適正を欠いたものでございますが、御
指摘のありましたように、二千六十九号から二千七十七号にわたりまして九件の御
指摘を受けたわけでございますが、これらにつきましても、その後回収に
努力をいたしまして、総額一千万円のうち三十一年度末におきまして約二百十九万六千円
程度の回収をいたしてございます。残りの分につきましても回収に
努力をしておるところでございます。なお不正受給の防止対策といたしましては、先ほど会計検査院の御報告でも御
指摘がございましたように、
昭和三十年の九月に失業保険法を改正をいたしまして、被保険者の資格の取得及び喪失についての確認制度を新たに設けたわけでございます。これを厳正的確に実施をいたしますとともに、昨年の七月から失業保険の給付
調査官の制度を新たに作りまして、現在各安定所に給付
調査官を
配置してございます。これらの給付
調査官を活用いたしまして、不正受給の防止と早期発見をいたしたいということで仕事を進めてございます。さらに各安定所に失業保険金の受給資格者名簿を備えつけまして、新しく被保険者資格を取得した者との照合を行いまして、給付について適正化をはかっておるわけでございます。今後におきましては、これらの
措置をさらに一そう積極的に行うことによりまして保険給付の適正を期するように
努力する所存でございます。
それから失業保険料等の徴収不足でございますが、これにつきましては二千七十八号から二千八十三号までに御
指摘を受けておるのでございますが、これについては現在におきまして全額収納済みでございます。その他の徴収不足につきましても
努力をいたしまして、大部分のものが徴収収納済みに相なっておるわけでございます。保険料徴収につきましては、
人員不足等の事態もございますが、現有の
予算人員を最大限度に活用をいたしまして、事業場の実態の
調査をいたし、実態を把握いたしますとともに、
関係機関との連絡を密にいたしまして、徴収の完璧を期したいと考えておる次第でございます。
以上簡単でございますが、労働省所管の二十九年度
決算につきまして補足
説明を申し上げました。