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1957-06-26 第26回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月二十六日(水曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————   委員の異動 六月二十四日委員相澤重明辞任につ き、その補欠として矢嶋三義君を議長 において指名した。 本日委員赤松常子辞任につき、その 補欠として相澤重明君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            中野 文門君            鈴木  一君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            江藤  智君            後藤 義隆君            永野  護君            平島 敏夫君            堀本 宜実君            松岡 平市君            相澤 重明君            大倉 精一君            片岡 文重君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            杉山 昌作君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    建設政務次官  小沢久太郎君    建設省河川局長 山本 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○派遣委員報告昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十六回国会閉会中第五回決算委員会を開会いたします。  六月二十四日相澤重明君の辞任に伴いまして、矢嶋三義君が補欠として選任されました。また本日、赤松常子君の辞任に伴いまして、相澤重明君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 本日の理事会におきまして打ち合せましたことを御報告申し上げます。  本日の理事会は、大体今週中におきまする日程のことについて御相談したのでありますが、そのうち、本日は派遣委員の御報告を聞くことにいたします。第一は、九州班の御報告平島委員からお聞きいたします。第二は、中国四国班江藤委員から報告を伺うことにいたします。第三には、報告に関連しての質疑をいたしたいと思います。この質疑は、まあ前例がどうかわかりませんが、私は、報告をされた視察委員に対して各委員からの御質疑があるものと思っております。また関連しまして、政府にはもちろん質問おありでしょうが、そういうことに私は解しております。  それから、先ほど社会党の委員の方から、福島県の関柴ダム工事について御質疑をしたいというお話がございましたが、これは時間の関係もありますし、また日にちが二十七、二十八と、二日しかとってありませんので、今回は、もし時間がございますれば、今日この問題についての質疑をやりたいということに一応理事会では決定いたしましたので、御報告申し上げます。  明日、明後日は、大蔵省関係審議をする、こういうことにいたしましたので、御了承願いたいと思います。  以上、御報告申し上げました通りに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  を議題といたします。  本日は、先般決算委員会から九州地方中国四国地方委員を派遣いたしましたが、その実地調査の結果の報告を聴取いたします。それが済んでから、報告に関して御質疑を行いたい予定であります。  では平島委員から九州班報告をお願いいたします。
  6. 平島敏夫

    平島敏夫君 九州班報告をいたします。  九州班は、五月二十五日から六月一日まで八日間、松岡、阿具根岩間委員と私が参加し、熊本長崎福岡県下の三十年度検査報告事項中、農林省所管代行開拓道路工事一件、農業共済保険三件、災害復旧工事四件、建設省所管、伊の浦橋西海橋架設工事一件、日本国有鉄道物品調達二件を主とし、国庫補助金に関連して三県の財政概況補助金収支状況福島県における歳計現金調査し、また、熊本鉄道管理局概況についても調査いたしました。  以下、その概要を申し上げます。詳細は後ほど提出いたします報告書によって御了承願います。  まず、農林省全額国庫負担により熊本県に代行させた吉次線開拓道路について申し上げます。本道路の二十九、三十両年度施行分五千百九十四メートルのうち二千四百メートルは、旧村道四・二メートル幅を五メートルに拡張したものでありますが、開拓者は、旧村道を利用して営農支障がないということ、また、三十一年度施行予定の延長千九百七十メートルは、三十年度の終点外郭村道を結ぶものでありますが、この終点外郭村道間には、別途代行工事施行した連絡道路がありますので、その必要はないとの指摘であります。  これに対し当局は、第一点につき検査院現地即応主義はもっともであり、一律に拡幅したのは遺憾である。将来は計画路線中に既存の狭い道路がある場合に、開拓道路一貫工事として幅員を拡張するか、一部狭少部分を残すかは検討の上基準を定めたいとのことでありました。  各委員の所見としては、現状より目て、路線が部分的に四・二メートルあっても営農支障があるとは思えません。現に開拓道路外郭村道との連絡線は四・二メートル幅である等から見て、検査院批難は一応もっともだと認めました。  次に、三十年度施行終点外郭村道を結ぶ予定線は、当局において計画より除外するとの説明があり、各委員も了承しました。この予定線付近は一面のみかん畑であり、全額国庫負担でなくとも、一部補助工事でよいと認めました。  農業共済保険は、熊本県の中島村と長崎大村市の農業共済組合実地調査し、福島大和農業共済組合県庁説明を聞きました。中島共済組合(第千八百九十四号)は、事情は気の毒でありますが、共済制度を逸脱した運営であり、二百八十余万円の保険金県連合会から受領したが、組合員に支払わず、掛金徴収せず、保険金掛金賦課金等に充てており、残り現金二十三万余円を保有していたのであります。当地区は、二十六年来の災害による農作物の不況で、掛金賦課金徴収も不能となり、連合会に対する保険料の納入もできず、保険金受け入れも遅滞するに至り、共済金掛金を相殺したとのことでありました。検査院指摘後、県の指示により整理に当ったが、時あたかも町村合併による滞納税金取り立てと重複し、整理も意にまかせないが、役職員組合員連絡を密にし、部落ごとに戸別訪問して促進に当っており、現在は、二十八年災害以来の掛金徴収及び共済金支払いは約三分の一が進捗している状況であります。  大村農業共済組合(第千八百八十四号)は、二十九年産水稲共済金二百七十三万余円を二割以上の被害地に対し、損害評価通り支払ったとしておりますが、実際は共済金三百三万余円の七割、二百十二万余円を組合独自の評価による被害面積に配分し、六十万余円は別途会計に繰り入れ、また同年産麦共済金八十一万余円のうち六十三万余円だけを支払い残り十八万余円を別途会計に繰り入れていました。さらに二十六年度以降水稲及び麦共済金の二割を総会の決議に基き寄付することとし、特別会計に繰り入れて、組合一般経費、そのうち十六万六千円は役員の退職金に充て、残り四百十万余円を預金していたのであります。組合員は、共済保険の理解低く、掛金賦課金ともに低額を希望しています。しかるに二十七年度より逆に反当掛金額が増額したため、これが緩和策として、また耕地生産率災害率に差異があるのに一率の掛金であるのを応分負担とするため、共済金の一部寄付により積立金を作ったとのことであります。これは違法であっても、将来もこうせねば組合運営は困難であるとの説明でありました。検査院指摘後、普通預金七十七万余円のうち、三十二万円は寄付金として諸経費に充て、残額四十五万余円と定期預金掛金に充てるため一般会計繰り入れ済み、または繰り入れ予定とのことでありました。  福岡大和農業共済組合の事案は、大村共済組合中島共済組合との両種を混合した事態で、これに対する福岡県の指示も、大体前述二組合と同様でありましたが、組合の実際処置については説明聴取を省略しました。  福岡県三井郡大橋村の二十八年災害農地復旧補助は、同村が五千二百余万円、国庫補助金四千七百余万円で、排土十六万五千余立米施行したと言っておりますが、実際は十二万四千余立米国庫補助金を下回る三千九百余万円で施行しており、その負担分五百二十余万円を負担しないばかりか、七百余万円の剰余を生ずることとなっているのであります。村当局説明では、収入役が病気の後、死亡したため、出納簿が不備であったところ、検査院から作業日誌事業費決算により発見され、さらに県当局立ち会いで全面的な土量計算が行われ、工事量不足が確認されたものであります。監督者たる県も熊本地方農地事務局も、精算検査の際発見し得なかったのは遺憾であります。本工事は、二十八年十二月から三十年三月までに施行されたのに、補助金は四千七百余万円のうち、三十年度末までに千五百余万円が交付されたにすぎず、借入金二千四百余万円に対する金利数百万円、その他経費を捻出するためとはいえ、検査院指摘通りであります。しかし施越工事金利負担を除くため、補助金早期交付が緊要であると考えます。  同県大堰村の二十八年災害農地復旧も大体同種の事態でありますが、排土の一部をもって住宅敷地及び道路かさ上げに使った分がありました。本村は合併により太刀洗町となりましたが、超過補助金は旧大堰村で返還するものであります。  次に、有料橋、伊ノ浦橋西海橋)の建設効率の悪い件(第二千百四十号)は、二十五年九月着工し、総工費五億五千二百余万円で三十年十月完成した本橋が、接続道路改修未了のため、効率悪く、料金収入予定日額六万四千円に対し約二万円しか上らないものであります。右接続二級国道の改修は、今後さらに約三億円を要し、三十三年度末、完成の予定で、それまでは大した収益増も見込まれないものであります。これは建設省部内及び同省と長崎県との連絡も悪く、また有料橋建設は、通行者が著しく利益を受ける場合に限られており、資金資金運用部からの借入金に依存しているので、接続道路との関係を十分配慮すべきであったと思います。このように接続道路関係効率の悪いものはほかにもありますので、全国の資料により決算審議参考にいたします。  国鉄九州地方資材部及び熊本資材事務所で購入した三等寝台の毛布カバー高価であった件(第二千百五十九号)は、本社営業局が定めた規格により予定価格を算定したのでありますが、カバー横幅三十九・三インチであるから、四十二インチ幅で足りるのに、五十四インチ幅の生地を使用する計算にしたため高価となったものであります。当局説明では、当時これに適する市販品は、いずれも五十四インチ幅であったと言いますが、四十二インチ幅物も名古屋、東京では市販されており、その生地本社営業局指示した見本とほとんど同格であるから、営業局規格を少し広げておけばよかったと思われます。また地方資材部でも、本社指示規格をうのみにせず、むだを省くよう協議すべきであったと警告しておきました。  同じく九州地方資材部で三十年度中購入したけやき腕木八百七十六万余円は、予定価格の積算が悪いため約三百十万円高価であった件(第二千百六十号)であります。本件計算の内訳は、原木丸太山元価格製材費製材歩どまり、クレオソートの注入等、多岐にわたりますが、時間の関係で、原木丸太山元価格に重点を置いて調査しました。当局答弁では、検査院指摘原木価格は、熊本営林局基準価格であり、実際の取引価格とは相違することが多い云々と言いますが、熊本営林局基準価格は市価を参酌したもので、実際の取引価格もその一、二割を上下する程度であります。  批難の内容は、九州地方資材部は、西日本林材新聞関西値十二尺)(尺以上石当り四千円を参考として原産地価格を算定し、三千七百円としたというが、営林局基準価格は、末口一尺から一尺二寸五分、長さ六尺五寸から十二尺もの、発駅渡しで一等品二千七百六十円から四等品千六百六十円となっており、一等品計算しても石当り千百四十円高価だとしています。かりに基準価格の一割増と見ても八百六十四円高価となります。また製材費においても、関西資材部購入品ナラ材であり、本件ケヤキで、湾曲しやすく、かたいとはいえ七倍は高過ぎると思いました。さらに根本的には、ケヤキ家具等の需要が多く、高価であり、また耐用年数三十年といいますが、電柱本体は約十五年で、腕木も同時に取りかえるから、ナラ材に変更するがよく、当局も三十二年度はナラ材にしました。  熊本県における三十一年度国庫補助金負担金受け入れば五十三億九千万余円で、七百十八万余円の残額を生じ、国に返還を要するものであります。返還を要する事由は、検査院や県の検査で摘発したのもありますが、摘発に関係なく事業予定通り行われなかったものも含まれています。いずれにしても補助金の過剰が原因であり、全国的に調査することにしました。また当委員会が警告した補助金早期交付については、大蔵省も留意し、三十二年では補助申請及び交付促進をはかり、九月までにおおむね八〇%が交付になるよう処理を進めているとのことでありました。  次に、福岡県庁における歳計現金預託の問題について申し上げます。知事説明によれば、県の歳計現金金庫銀行以外の金融機関にも預託可能であり、住宅協会が三十年度より住宅五カ年計画資金が要り、それに流すため県庁信用組合に一億円預託協議に決裁した。しかるに三十二年二月に第一相互銀行の捜査に端を発して、右一億円が第一相互に流れていることを知ったというのであります。しかし知事住宅協会理事長でもあるのに、一億円が住宅協会に行かないことをどうして知らなかったのかとの質問に対して、住宅協会では年間十八、九億の資金が動くが、知事は実務にタッチせず、融資申請にも捺印しておらず、協会資金が行かないのは全然知らなかったとの答弁でありました。一億円は、三十年十一月県庁信用組合預金されたが、住宅協会は十二月には県の補助住宅金融公庫の融資により資金の手当がつき、信用組合より借り入れないで済んだとのことであります。一般に県の歳計現金金庫銀行以外に預託するのは、その資金が県の政策に沿うもの、たとえば中小企業を潤すなど、県内部局よりの申請によるもので、その目的に流れることが肝要ではないかとの質問に対し、知事は、一般相互銀行資金中小企業を潤すものであるから、その協議には同意しているが、一億円の行く先については、出納長保管責任でもあり、頭が回らなかったとのことでありました。なお、信用組合預託した一億円のうち、二千万円は本年二月返還されたが、八千万円の残額あることを知り、取り立てを命じたとのことでした。一方、本年三月十六日に歳計現金福岡相互銀行に四千万円、西日本相互銀行に五千万円という異例の預金をなし、両相互銀行より同月二十三日に第一相互資金を援助しているが、これは第一相互信用組合に対する債務八千万円を返さすためではないかとの質問に対し、知事は、福岡西日本相互銀行は第一相互より融資依頼を受けて援助した。それを機会にまた歳計現金も余裕があったので、出納長は両相互銀行預託したが、その際、右両相互銀行と第一相互との間に裏契約のないことを確認し、また、県との間にも裏契約は全然なく、両相互銀行は県に対し六月十五日の期限には返済確実であるとのことでありました。常識的には右歳計現金九千万円の福岡西日本相互銀行への預託は、第一相互救済のためとも思われるが、西日本相互は、本年二月末二百八十億円、また、福岡相互は百億円の支払い準備金を有しており、第一相互再建資金残額四億円があり、両相互銀行返還確実と思われるので、実績を見守りたいと思います。また、毎月約十億円の歳計現金預託利率四分一厘)しながら、他方短期借入金利率六分五厘)約十億円があるのは、歳計経理の安定を期するあまりとはいえ、県財政健全化のため改善の余地ありと認めます。  以上であります。
  7. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、江藤委員から中国四国班の御報告を願います。
  8. 江藤智

    江藤智君 中国四国班は六月十七日から二十三日まで七日間の日程で、大倉、常岡各委員と私が参加し、山口広島徳島県下の三十年度検査報告事項中、農林省所管補助金経理二件、客土引きならし代行工事一件、農業共済保険一件及び日本国有鉄道用地低価売り払い一件、それに建設省所管、太田川改修に伴う漁業補償問題を主とし、また国庫補助金に関連して、山口徳島両県の財政概況補助金収支状況等調査し、なお広島鉄道管理局概況及び会計検査の態度についても調査いたしました。  以下、その概要を申し上げます。詳細は、後ほど提出いたします報告書によって御了承願います。  一、まず山口県玖珂郡周東町(旧米川村)に対する土壌改良事業補助金の件(千六百七号)は、同村耕地八十町歩にボーキサイト五十四・五トン、三十一万九千七百五十一円(トン当り五千八百六十七円)、赤土十五万八千五百六十貫、百四十五万六千七百七十円、計百七十七万六千五百二十一円を施行したとして、国庫補助金五十二万五千三百三十三円、県費補助金二十六万二千六百六十七円、計七十八万八千円を受けているが、実際はボーキサイトを二十五万九千七百八十七円で購入施行し、赤土運搬を三十八万四千百四十円で部落施行させ、六十四万三千九百二十七円を支出したにすぎず、村は剰余補助金十四万四千七十三円のうち、十三万一千円を県への寄付命に、残額一万三千七十三円を村の一般経費に充てておる件であります。  1、県及び村当局説明によれば、地元部落施行させた赤土採取運搬には、部落民自家労力提供分があり、これが村費として計上されていなかったため指摘を受けたが、実際は正当額の七割程度は行なっていたとの説明でありました。しかし、自家労力提供分に対する資料の不備で信憑性がなく、また採取土量を確認する方法もとっていなかったため、指摘を容認すべきものと認められました。  2、事後処置としては、指摘不足分百十三万二千五百九十四円に対し、百十万八千八百円を追加施行したものであります。村の言い分によれば、当初工事追加工事を合せると設計以上の実績となるが、赤土客土は多ければ、それだけ農地生産力を増強するので、地元民も納得したとのことでありました。  3、次に、補助金を受けて施行する村から、県がその補助金の二分の一を寄付させているのは、県としては工事施行について県に協力する熱意のある村に優先的に補助するためとの説明でありましたが、この吸い上げ方式は、村に不当の負担をかけるものであり、三十一年度から廃止しております。  二、次に、岩国市藤河村土地改良区の施行した水路改良に対する補助金(一千三百六十七号)について、水路千八百二十六メートルのうち六百メートルは、基礎コンクリート百四十三立米施行したこととしているが、実際はぐり石十八立米中詰めとして、玉石コンクリート九十六立米で被覆したにすぎず、また九百六十九メートルは、基礎ぐり石三百二十立米施行したこととしているが、実際は二百二十七立米施行したにすぎない等のため、工事費査定額七百三十六万八千円に対し、実際は六百五十二万五千円で足り、事業主体は八十四万三千円の負担不足を来たしているものであります。県及び改良区の説明では、施行が二十八、二十九、三十年度に行われ、災害多発のため、手不足とはいえ監督不十分であり、指摘通りである旨、及び現工事のままでも、一応水路目的は達せられるので、出来高不足分返還することとし、県は本年五月返納を終り、改良区は県に対し、四年賦で返還するとのことでありました。  山口県における国庫支出金全般についての説明を聴取しましたところ、補助金については、適正化法施行以後は著しく経理が改善された。ただし、交付時期がおくれるために、事業の円滑を欠くとの訴えがありました。しかし立てかえ金の利子を捻出するための自己負担不足は、本県ではないとのことでありました。  災害融資補給についても交付がおそく、また、使途についても法的の疑問もあり、考えの甘い面があったのは遺憾であるとのことでした。  農業共済については、制度が実行上に困難な面があり、掛金共済金との相殺、共済金目的外使用が起ったなどの説明があったほか、共済事務負担金が、多久島事件以後、県を通じて交付されることになったが、交付時期がおくれるため、県は立てかえ払いで払っているものの、財政上困難である。しかし給料の遅配が事務能率を低下することともなり、促進されたい。なお、負担金年間三千万円である。  最後に出納長から要望がありました。  一、補助金交付一般に早くなったが、義務教育費国庫負担金の三十一年度分が四千万円まだ来てない。促進方に御協力願う。  二、補助金適正化法施行に伴い国庫補助金の概算払い、または前金払いが行なわれている場合、補助金の八、九割を交付し、残額事業費の確定後交付せられているが、県の立てかえ支弁が困難であるため、全額を概算払い、または前金払いにしてもらいたい。  三、出納長は国の支出官を委任されて、七十億円の年額を取り扱っている。その事務費地方交付税交付金に含まれている建前であるが、実質上はないにひとしく、その上支出事務のほか、物品管理官債権管理官事務が増加し、適正化法事務も複雑であるから、事務費実質交付されたい。  以上であります。  第三に、広島鉄道管理局用地低価売り払いの件であります。本件は、同管理局で、昭和三十年九月、随契により鉄道弘済会に対し、駅前の国鉄用地二百九十八坪を、総額千五百七十六万八千百五円で売り渡したものであります。右土地は、二十二年以降同会の建物敷地として使用承認してきたものを売り渡したもので、売り渡し価格は、勧銀広島法務局評価参考とした坪十二万五千円、または四万五千円から借地権相当額として三割を減額し、また投下有益費を控除して決定していますが、本用地は、使用承認の際、期間を一カ年とし、期間満了後は使用者負担更地に回復して返還すべき条件があり、また国鉄では、従来からの使用者土地を売り渡す場合、この種の減額はしないのを例とするのに、本件において減額したのは当を得ないもので、その結果約六百八十万円低価となる計算との指摘であります。  これに対し、国鉄側説明によれば、検査院は、借地権相当額を減額したというが、国鉄借地権を対象としたものではなく、単に建物付き土地に比準することとし、建物付き土地の売買においては、更地価格より減価されるのが慣行であり、広島市内では、二〜四割減額される実情で、建物移転費等も考え、三割減したというのであります。かりに借地権を考慮するとすれば、金融機関評価では、本件附近は七割程度との説明でありました。  また、本件用地使用期間は一年で、期間満了後は更地返還すべき条項もありますが、質疑応答の結果を総合すれば、弘済会が建物(木造二階建モルタル塗)の敷地としているのに、使用期間を一年としたのは、経理手続上やむを得ず定めたものと認められ、実質上は長期使用を予定したものであり、更地返還すべき場合は、国鉄において必要あるときに起るものと認められます。しかして本件は、国鉄がみずから必要とするものでなく、売り渡すものであり、更地返還すべき条件には合わないと認められました。  次に、検査院職員の検査態度につき一言します。先般当管理局に派遣された実地調査官の検査態度及び言動において、受検者を当初より罪人扱いするような、人格を無視した点があったことであります。このように常軌を逸した態度は慎むべきであります。  第四に、岡山農地事務局が徳島県に委託代行させた松茂地区客土引きならし工事の件は、引きならし立米当り単価を八十七円または七十二円と見込み、三百六十二万円を積算しているが、この種工事実績に徴して、八十三万円が過大な設計であるとの指摘であります。  過大設計とされた原因は、現地の状況が足場不良につき、標準歩がかりの高い方をとったが、客土をなし、なお、一部引きならすと、足場はよくなり、能率があがることを考慮しなかったためであります。本件指摘は県もこれを認めました。事後処置としては、過大分の返還を行なわず、その部はそのままとし、別に同額の開拓道路を増工事として施行することの承認を受け、工事も完了しております。  本件施行は、県が地元の開拓農業協同組合に請け負わしていますが、組合はさらに吉吾建設株式会社に下請けさしている実情で、地元組合に請け負わしたことは無意味となっており、むしろ県が直接業者に請け負わす方が、計算も明瞭であり、設計過大等も防げるよう設計変更等ができやすいと考えられます。  第五に、徳島県鴨居町(旧牛島村)農業共済組合の件は、本組合が二十九年産水稲共済金五百六十四万二千九十六円を損害評価通り個人ごとに支払ったとしているが、実際は、個人ごとの共済金を一括組合長名義の通帳に預金として資金管理し、組合員から支払いの申し出があったつど掛金賦課金の分を差し引き、適宜払い出していたものであります。  また、本組合は三十年二月以降、すべての共済金にこのような経理を行い、三十一年八月までに預金した六百七十三万四千二百四十六円のうち、四百四十九万七百五十五円を個人に払い出しただけで、九十九万七千七百九十三円は掛金に充当し、五十七万五千二百九十八円は防災賦課金名義で組合経費に充て、六十七万七十円は保有していたものであります。  指摘通り共済金組合長名義の通帳で預金していたことは不当でありますが、当局及び組合説明によれば、地区内に二つの農協(金融機関)があり、手続が複雑で、保険金受領後五日以内に共済金支払いを完了できないため、臨時の措置として行なったもので、資金管理をする意図はなかったとの説明であり、共済組合の内部においては、各人別口座の収支を詳細に明記整理してありました。また、掛金及び賦課金に天引き充当したのは、その徴収を確保するためのやむを得ざる処置であったとの説明でありました。しかし、指摘後はこれを改め、農業協同組合の個人別の通帳に預金し、個人は自由に引き出せる道を開き、農協において未収掛金等を個人に知らせ、承諾の上控除させており、また共済金支払いを受けなかった組合員については予納貯金にする方針であります。  農業共済全般の問題として県当局説明によれば、(一)補償が損害の平均半額にすぎないこと、三割以下の損害が補償の対象外であること、(二)基準収量の定め方が現実に合わぬこと、(三)損害評価額について農林省評価に不満があること等を農民が訴えるとのことでありました。  このうち(三)の評価については、損害評価会が法定の必要諮問機関として設置されることになった。その構成員は、学識経験者より任命されることになっているが、十分客観性を期待すること、組合評価と統計調査部の統計とが従来のように食い違いを来たさぬよう調整が円滑に行われるよう関心を有しているとのことでありました。  六、次に太田川改修に伴う補償金の問題については、中国四国地方建設局、広島農地経済部当局から概要説明を、また公平分配組合(分配を不満とする者の任意団体)の代表者及び太田川改修草津対策委員会の代表から各所見を聴取しました。  まず、本問題に関し去る当委員会以後の発展状況を申し上げます。  補償金二億六千六百余万円の配分の対象及び損害基準については、太田川改修草津対策委員会において、広島県と地建の指導のもとに、漁業権に基く実害補償の建前をもって、漁業協同組合員とともに、組合外漁民をも対象とし、損害率の基準について配分要綱案の作成を見、対策委員会の漁種別部会の承認を得ています。今、各漁民の個別実態を調査中であり、多分総会の決議は八月ごろの予定であります。  次に、各事態の内容について申し上げますが、まず地建局長と対策委員長が結んだ協定であります。その形式について対策委員長竹本四方一氏は、関係漁業者代表となっていますが、委任状の提出がなく、代表資格の形式に疑問があるとの意見があります。対策委員長説明では、当初太田川改修については、漁民の生活擁護のため反対したが、反面、治水も重要であり、転業の方法も整ったので、改修に賛成し、名称を太田川改修草津対策委員会と改め、当局に協力してきた。また、区域内漁業者の代表としての責任は十分持つとのことでありました。  地建の説明では、竹本氏を漁民代表と認定したのは、草津地区が大部分であり、実質上の代表者と認定するのに十分の確信と根拠があったというのであります。  また、この協定の立会者たる知事、市長、広島市漁業協同組合長及び同理事の立場につき、地建の説明では、協定の両当事者のほかに、第三者的立場の人、及び各組合連合会的性格を有する広島市漁業協同組合理事者を立ち合わせ、協定の解釈等に行き違いのないよう確認させ、最終解決まで関与するためだとのことでありました。  (二)次に、補償の内容と補償金支払いの方式、支払い済補償金の分配及び経費の使用についてであります。  (1)補償金は漁業権に基く実害補償を内容とするものでありまして、現在においては各当路者ともに漁業権の主体たる漁業組合ばかりでなく、組合に加入していない漁民についても実態を調査し、実害ある者には補償することに意見の一致を見、配分要綱も進展している現状であります。  この問題に関して争いとなったのは、昭和二十五年に漁業法が改訂され、漁業組合が権利者として認可を受けることになったが、組合加入を申し出ず、組合員とならなかった漁民の実害であります。右法律改正の際、公示は行われたが、漁民に対する周知徹底については、組合の幹部も不親切であり、県当局の指導も欠けるところがあったのは遺憾であります。これらのいきさつをも考慮に入れ、配分については努力中であるので、円満解決を督励しておきました。  (2)次に地建の支払い方式であります。三十一年二月以降の分は、権利者たる組合の委任状がありますが、二十九、三十年の分は、組合員の委任状が出してあります。しかし地建は、委任者たる対策委員長へ支払うことについて、各組合長の承認書を取りつけ、かつ対策委員長とともに広島市協同組合長が同行捺印した上、地建が支払っており、支払いの相手方としての適否について問題ありとする委員もありました。しかし支払いの形態としては、一歩を進めて、組合長に直接支払いをなす方が簡明な方法であったと思われます。将来配分要綱が確定し、漁民の納得を得れば、この点も自然解消になりましょう。  (3)次に受領した補償金の分配であります。現在なお草津地区分で一億四百余万円が未払いとなっております。分配のおくれた事情につき対策委員会では、組合外の漁民の分について実害を調査の要があり、全体が明らかになるのを待って配分基準を定め、支払いたかったためとの説明でありました。その間、対策委員会は内払い金の定期預金を担保として、委員長名義で一千万円を借り入れ、これを組合員に貸し付け(日歩二銭八厘)していたのでありますが、内払いの進行に伴って償却し、現在三百八十万円が残っている状況であります。この辺にも公私混淆の気分が流れており、むしろ分配金の内払い促進すべきであったと思われます。  (四)次は受領補償金からの経資の支払いであります。経費額については、科目別予算として総会の承認を得たものではなく、過去三年間は補償金の三分相当額を経費として承認を受け、最近の総会で一割相当額とする承認を得たものであり、最終までには二千万円を見込んでいるとのことであります。これらは規約の制定、または科目予算によることなく、総会の一般承認としていますが、そこにも間違いの起るおそれがあると思われます。  (五)また、補償金の使用(経費の使用を含む)についての県及び地建当局処置であります。水産業を監督する県は、対策委員会に対する指導監督に万全でなかったと思われるし、また、地建としては法的処置においては正当に委任された竹本氏に支払いを行なっており、支払い債務の履行後は、権限上直接の関係はないとしても、補償金は実害漁民の損失補償を最終目的とする点を考慮し、また、当初の協定の相手方でもあった対策委員長の補償金管理及び分配を見守るべきであったと思われます。また、対策委員長においても関係漁民の代表であり、補償金の受領代理人でもあるので、漁民の資産を管理する公的立場に思いをいたし、収支の内容を明確にし、総会の承認事項の取扱い及び一般への公表についてさらに慎重であるべきだと思われました。  第三に、現在制定の途上にある配分要綱についてであります。本要綱はまだ制定の途上でありますが、具体的内容中、被害度の計算基準について公平分配組合の不満があります。これに対し、対策委員会としては、区域内の同種漁業(たとえばカキ漁業)については同等のものであり、業種が異なる場合(たとえばカキ漁業とアサリ漁業)に差違が生じ、ノリ、アサリは被害率高く、カキは低いのであり、学識経験者の意見を聞いて策定しているとのことでありました。  説明聴取の後、公平組合の代表に対して「あまり感情に走ることなく、おおらかな気持で善処されたい。また二十五年の漁業法改正の際、組合加入について行き違いがあり、その後も対策委員会幹部の仕打ちに不満があったとしても、将来はさらりとした気持で組合に加入することも考え、共同の利益を増進することに努力されたい」と注意しておきました。  対策委員会の代表に対しては、各委員から  一、補償金は被害者たる個人に渡ることが根本である。資金管理をガラス張りにして、かつ公平に第三者たる地建及び県庁の指導も受け善処されたい。  二、一億円の預金を有しているが、厳正な収支を行うよう事務的にも整備して、粗漏ないようされたい。  三、経費を補償金の一割相当額にするような放漫さでなく、経費細目を作るなど、経理体制を確立されたい。  四、国民の血税による補償金を代理受領し、漁民のために管理する公的立場を自覚し、疑惑なきょう善処されたい、経費の二千万円も多過ぎると思う。  五、総会の決議であればどう処理してもよいとの観念は許せない。  との警告がなされました。  本件については、なお委員会において審議を願いたく思います。  以上、口頭報告を終ります。
  9. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって派遣委員報告は終りました。  では、これから右報告に関連して質疑を行うことにいたします。  ただいま政府から御出席の方は、石渡会計検査院第三局長、小澤建設政務次官、山本河川局長、横井法務省刑事課長、山根検事の諸君であります。  なお、三時以降に自治庁関係大蔵省銀行局関係の方が出席する予定でありますので、その辺をお含みの上で御質問を願いたいと思います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 太田川の問題についてちょっと二、三お尋ねするのですが、その前に、この問題は、今御報告があったように、現地調査の結果、なお幾多の問題点があると思いますので、委員会において今後さらに突っ込んだ審議をしなければならぬと思うんですが、この中央の当局者は、太田川の問題について、その後現地についていろいろ事情を調査をされたと思うんですが、もう十分な認識を持っておられますか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  11. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) 太田川の問題につきましては、当委員会でいろいろ御指摘を願いましたので、地建の担当官を呼びまして、よく事情を調査いたしました。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 それでは、一応現地の事情を十分御調査になったという前提でお伺いするのですが、私が疑問を持ってきたことについて中央の見解を二、三お伺いしたいんですが、まず第一番に、今も報告があった通りに、補償金を協定をする、並びに金を渡す、受け取る、こういう当事者が、いわゆる何ら人格のない一委員会委員長という人、こういう人と契約するあるいは協定をする、あるいは補償金を出す相手の当事者というものは適当であるかどうかということ、この見解ですね。私どもは、こういう場合にはちゃんと漁業協同組合というものが現地にあるのですから、そういうものを対象にして協定をいたし、補償金を出すというのが普通の常識だと思うのですが、何ら人格のない者を相手として協定を結び、補償金を出す、この相手方について中央の見解はどうでありますか。
  13. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) ただいまの御質問でございますが、常識的に申し上げますると、ただいま大倉先生のおっしゃる通りでございます。この問題につきましては、いろいろ折衝の経過もございまして、竹本四方一氏を選んだということになったわけでございますが、これを相手にしたということにつきましては、協定を結ぶ当時におきましては、いろいろそれまでの経過によりましてこの人たちを選定した。それから支払いをする場合におきましては、先ほども御報告がありましたように、この方が正当の受領者の委任を受けたのであるので、この人たちとやった、こういう次第でございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 これは後ほどいろいろ詳しく調査をしようと思うんですが、委任を受けたと言われますけれども、現地で調査しますというと、この委任をした人は、個々の人が委任をした、個人々々が委任しているわけであります。個人々々が随意に委任したものが、それに対して資格が適当である、こういう考え方について、どうも私は納得いかないのですが、たとえば、これが漁業協同組合としての委任であるか何かであればまた別かもしれませんが、個人々々の委任である。それが村のいわゆる漁業をやっている全部じゃない。そういう場合に、果してその人が適当であるか、あるいはその委任というのが有効適当なものであるかどうか、ここに大きな問題の出発点があったと思うんですが、その点はどうなんですかね。
  15. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) ただいまも御報告がありましたように、二十九年、三十年につきましては、組合長に委任したという形ではありませんでしたけれども、その契約を結ぶに当りまして、適任者であります組合長に書面でそういうふうな了解を得ております。従いまして、実質の委任を受けておったわけでございまして、それの確証といたしまして、その後正式の委任状が提出されておるわけでございます。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 その問題も現地で調べてきました。きましたけれども、そこに私は問題の中心、発端があると思うのであります。そういうような形式でもって協定をし、金を渡しておるから、現地の地方建設局の方では、もう金をやってしまっておるのだからこちらは何ともなりませんというような答弁があったわけなんです。これはもう相手方がそういう相手方であるから何ともならぬ、これは協同組合なら協同組合がやっておるのであれば、これはまた私はいろいろな方法があると思うのです。そういうような経過があるものだから、一口に言うならば、もうもらった方は、この補償金というものを私物化しておる、私物視しておる、そこに非常に問題点があると私は思うのです。あとからこの委任状をとったとおっしゃいますけれども、確かに三十一年にとっております。とっておりまするが、あとからとるくらいなら、なぜそのときにとれなかったかという問題も出てくるわけです。その点が私現地に行って非常に疑問に思ったわけです。そういう場合に、この中央の建設省としては、現地の地建を指導をするあるいは監督をするということはないのですか。あるいは地建の方から中央の方へ意見を求めるというようなことはないのですか。
  17. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) こうした契約の事務につきましては、地建の方にまかしてありますので、地建におきまして本省の指示を仰いでくる場合には、本省といたしましてそれに対する指示をいたします。そういうふうな仕組みになっております。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 これはほかの人からも質問があると思いますので、私は現地へ行ったものですからあまり深くやりません。  次に、現在一億円あまりの金を持っておるのですが、この保管の方法、現状について建設省としては適当であると思っておられるかどうか。何ら、これはもう少し適当なほかの方法を考えなければならぬというようなふうにお考えになっておらないのかどうか、この点について。
  19. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点に関しましては、保管の方法のもっと非常によい方法というものは考えられるわけでございまして、現在の保管の方法が私どもといたしましては万全の方法だとは考えておらないのでございますが、その点に関しましては、私どもといたしましても、その強烈な指示をするというわけには参らんのでございます。今の方法が万全な方法だとは考えておりません。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 これは万全どころではなくて、非常に私はこれは不合理であり、場合によっては不明朗な保管の方法だと思うのです。なぜならば、この預金の名義を対策委員会会計の名義にして預金をしておる。これは当然こういう大きな金を三年間も保管するのですから、これはもう保管は漁業協同組合組合長なり何なり、そういうちゃんとした人格のある名義でもって預金をし、保管をする、こういう保管の仕方が普通であろうと思うのです。それから預けてある銀行にいたしましても、第一銀行が五十万円、平和信用金庫というところに五百何十万円、広島信用金庫というところに五千何百万円、広島銀行というのに三千六百万円、広島県厚生信用組合というような銀行に一千万円という、こういうような預金の方法をとっておるわけなんですが、これはもう少しちゃんとした金融機関預金をするとか何とかいう方法はないのですか、そういうように指導できないのですか。
  21. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) ただいまの預金した銀行であるとか、あるいは信用組合等が確実なものであるかどうかという点につきましては、私どももつまびらかにはいたしておりませんが、私どもといたしましては、こういうふうな一般に渡る金でございますので、確実な方法で保管していただきたいというのは、私どもの念願するところでございます。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 ではこの問題は、最後に一点だけ……。さっきの御答弁で、必ずしも万全ではないと思う、さらに万全の方法をとってもらうというのが望ましいと思うというようなお話ですが、そのあなた方のお考えの、さらに万全なる方法というのは、どういうふうに具体的に考えておるかという、そのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  23. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) ただいまも御質問がありましたように、銀行等におきまして不確実なところがあるならば、それは確実なところに保管しなければいけないということでございますし、またその引き出し等につきましても、十分確実な方法をとっていただきたい、こういうふうに考えております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 まだあとからやりますが、今のは答弁になっておりません。もっと万全の方法が望ましいということであれば、何か具体的なお考えであるに違いないのだが、こういう答弁では今の私の質問に対する答弁になっておりません。それから、次に進みますが、現地の責任者の方々は、補償金のうちからお礼を出すという、いわゆる運動費とか、あるいはいろいろお骨折り願っておるので、その人々にお礼を出すのがこれは普通だと思うから、こういうことを公然と言って、そうして二千万円というような大きな金を費用に使ら契約をしておられる。こういうことはどうなんです、中央の考え方は、そういう事実を知っておられますか。
  25. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) お礼を出すのが当然だというようなお話は、私どもは聞いておりません。今のお話は、私どもといたしましては地建からも報告は受けておりません。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 さっきのお話ですと、現地を十分調査をして、現地の事情を十分知っておるということですから私ほお伺いしたのですが、現に最近の総会において報告があった通りに、補償金のうちの一割、そういうものを経費に充てる、一割、どのくらいになりますかといって質問したところが、組合に入る金のうちの一割ですから二千万円くらいになるでしょう、こういうお話なんです。ところが今まで大体七百八十万円くらいでしたか、経費に使っており、ここからさらに二千万円くらいふやすというので、これは一千何百万円というものを使うわけです。その金をどうやって使うかといって聞いてみると、調査するのに費用が要るから、一千何百万円要ると言う。ところがさっき報告のように、大体配分は八月ごろにきまるという。これは八月までのニヵ月か一ヵ月の間に千何百万円要るのかと聞いてみますと、いやいや、今までたくさん大へんお世話になった人もあるし、それから運動に骨を折った人もあるから、こういう方々には応分のお礼をしなければならぬから、ですからこれだけの経費を総会で承認をしてもらったのだ、こういうことを言っている。そんなことをあなたは全然知りませんでしたか。
  27. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 私どもといたしましては、そのお話は聞いておりません。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 それでは今までの決算報告は、現地と連結して御承知になっておりますか。
  29. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) この前御提出申し上げました報告書でございます。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 そのうちに、経費として七百何十万円という経費が計上されておるのですが、そういうような経費について、これはどういう経費だということを、現地に行って確認なすったかどうか、ただ決算報告書だけを見ただけですか。
  31. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 先方からの報告書を受け取りまして、御提出申し上げた次第であります。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いておるのは、七百何十万円という経費について、中央では何らの関心を持たなかったかどうか。
  33. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その内容につきまして当事者に質問はいたしませんでした。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 まあそれ以上聞いてもあなたは知らぬというから言いませんが、常識から考えて、こういうことはあり得ないと思うのです。この謝礼金ほどこに行っているか、これをこれから調査しようと思うのです。特にこの際聞いておきたいのは、現地の人の意見によりますと、委員会の人も地建の人もおおむねそういう意見だったのですが、総会において決定したことは、これはもう仕方がありませんという地建の意見もありました。ありましたが、ほかの問題はとにかくとし、国家から出ておる補償金の問題、国家のお金なんです。これはもう明らかに目的をはっきりして交付してあるはずなんです。であるからして、この交付金についての決定を、総会の決定であるからといって——いわゆる目的外に使うというようなことを総会で決定する。こういう場合に監督官庁としてはどうにもならぬのですか、これは。総会で決定したから仕方がない、謝礼を出しても、目的外だけれども総会の決定ならば仕方がないのだ。これはもうやむを得ないという見解であるのか。総会の決定であっても、補償金を目的外に使用するというような決定は、これはいけないのだという工合にお考えになっておりますか。
  35. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) この金は正当の受領者に対しまして払いました補償金でございますから、その金をどういうふうに使ってはいかぬというふうなことは、権限としては私どもといたしましては申せられないかと思います。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、かりに二千万円なり三千万円なりというものが総会で決定をされる。そうしてその使い道がいろいろ骨を折ってもらった人にお礼を出すという使い道も——そういうために総会で決定をした、それに基いてこのお金というものは、この補償金の金が、いろいろ何といいますか、疑惑を持たれるというような方へ使われても、それは仕方がないのだ、こういう御見解ですか。
  37. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 補償金は実害の額を算定いたしまして支払いいたしましたわけでございまして、私どもといたしましては、それが実害に応じて配分されるのが望ましいわけでございますが、どういうふうに使われてはいかぬというようなことを指示するわけには参りません。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、もう国家の金は相手方に渡してしまえば、もう国家としてはそれはどこへ使おうがやむを得ないことだ。かりにもっと極端に言って、渡された人の私腹を肥やす、総会の決定によって一千万円委員長にお礼を出す、こういっても、これは差しつかえないのですか。
  39. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 国の金の支払いの問題につきましては、先生が申しておられるように、支払いいたしまして、正当の受領者に渡した以上は、この金がどういうふうに使われるということにつきましては、国がそれに対しまして干渉するわけにはいかないわけでございます。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 中央の役所もそういう考えなら、現地のこの当事者もそういう考えである、そこにこの金の使い方に非常に不明朗がある。私がさっきちょっと私物化されておるといったのはそれなんです。であるから、二億六千万円もらった、そうしてこれはもらったのだから、これはもうどう使ってもかまわないのだという、こういう観念で、総会という一つのほんとうの形式、ボス組合のほんとうの形式の場を通して、その二千万円なら二千万円という莫大な金を経費に使ったり、何に使ったり、これはもうおれの金だからいいのだ、こういうような格好でやられておる。これは現地において、私はしみじみとそういう感じを深くしました。今度中央へ来てあなたの方にお伺いしますと、あなたの方でも同じような考え、払ったものはどう使おうと国としては干渉できない、こうなったら実際漁民あるいは農民という下の方の、詳しいことを知らない人がとんでもない損することになるのです、これは。そういうものに対してどうですか。
  41. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点に関しましては、私どもの方といたしましては、正当の権限委任を受けた者に対しまして払ったわけでございまして、現在におきましても、この金をできるだけ公平に分配しようということで努力はいたしております。しかし地建といたしましても、また県市と協力いたしまして、それができるだけ公平に分配されるように努力いたしておるわけでございまして、考え方といたしましては、自分が私物化しようとかいうふうな観点に立ってやっておるとは、私どもは考えておらないわけでございます。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 まことにどうも心外な答弁なんですがね、現に端的に申し上げて、二億六千万円のうちで二千万円という膨大な金を謝礼に使ってもいいんですか、それだけ漁民に渡る金が減ってもいいんですか、その点はどうですか。
  43. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 私どもといたしましては、できるだけ実害に応じましてそれが配分されるのが望ましいわけでございますが、それが絶対どういう使途に使われてはいかぬというふうには申し上げられないのでございます。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 それでは、いろいろ総会できまれば、いろいろなことをやつてもいいんだという考え方と同じだと思うんですが、しからば、それだけのお考えを持っておられるなら、果してこの委員会の総会なり委員会運営というものについても関心を持っておられると思うんですよ、この委員会運営の実態について関心を持たれ調査されたことがありますか。
  45. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) そういう委員会運営等につきましては、現状を地建において聞いております。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 まことにどうもこれは無責任なことだと思うんですが、たとえば委員会には規約があります。この規約に基いて運営されておるはずなんですけれども、これがまことにでたらめです。私が現地へ行って調べてみますと、まず第一番に委員長の竹本さんですか、竹本さんが、何か刑事事件、刑事問題を引き起して、あるいは健康状態がどうだというようなことで、委員長代理ということをやっておる。網岡という人が委員長代理になっておる。しかしながら規約にはちゃんと副委員長というのがおる。副委員長は何をやるか、委員長に事故あるとき代理するんだという。ところが委員長代理というものは規約にも何にもない。勝手にこういうものを選出して、総会でもってごたごたと話し合って委員長代理というものができておる。規約にも何にもない。あるいは規約によりますと、この委員は無報酬である、出張したときには旅費、日当は実費を支給する、こうなっておる。にかかわらず、決算報告書を見ますと、委員の手当として八十五万二千八百円というものがちゃんと計上されておる。ですからこの委員会そのものの運営というものが、私は少数の実力者によって思うように牛耳られておると思う、これは明らかにわかる。こういう委員会の実態からいわゆる二千万円もお礼に出すんだというようなことをがしゃがしゃと、総会にかけて、何も知らぬ漁民がああそうかしらんと思っているうちにきまってしまう。こういうことはどうですか。それでも国は干渉も何もできませんか、指導はできませんか。
  47. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) そういう点につきましては、県市と協力いたしまして、公平に分配されるように、先ほど御報告にもありましたように、配分基準等の作成に協力いたしておるわけでございまして、ただ先ほどからも申し上げておりますように、渡しました金を、こういうふうに使ってはいかぬというふうに、こちらで強制したり指示することはできないと考えます。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 まるっ切りこれはもう補償金二億六千六百万円渡せば、もらった竹本四方一さんの裁量次第でどうでも使えるということになる、というように思われます。さらにそれでは進めますが……。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとそれに関連して。今の御答弁は私もはなはだしくふに落ちませんが、これは損害補償——実際の損害に対する補償金で、やはり補助金としての性格を持っておると思うんです、実害を補償するわけなんですから。そこで補償金等の交付申請の手続の中に、何かそういう実害に合うようなものでなければ渡さないというような規定はないんですか。たとえばですね、これは補助金等にかかる予算執行の適正化に関する法律の施行令の第三条の中でこういうことがありますね、「交付を受けようとする補助金等の額及びその算出の基礎」という項がありましてね、その算出の基礎が明確でないような額を国が出すということは、これは規制されているんじゃないですか、補償金の場合だってやはり同じような精神が準用されるべきだと思う。そうすると、こういう手続を踏んでおらないで、二億六千万円というものをただぽっと出したものなんですか、その点について……。
  50. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) この二億六千何がしというものは、これは補償金でございまして、補助金ではございません。  それから先ほど大倉さんが言われましたように、国がこれを出せば権限としては国がこれをどうしろということはございませんが、しかしこれがどう使われてもいいというわけではございませんのでして、これが適切に、しかもそのいきました金が公平に漁民に渡るように、われわれの方といたしましては指導するといいますか、それを願っておるということでございまして、どういうふうに使われてもわれわれはかまわないということではございません。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 もちろん私はこれを補助金とは言っておらないのです。補償金に違いない。しかし補償金でありましても、その使用の方法等については、やはり相当国というものが責任を持つべき性格のものだと思うのです。補助金等の使用に関する法律がある以上は、補償金等についてもやはりこういう精神が準用されなければならないのじゃないですか。しかるにもかかわらず、全然国がこれに干渉することができないという御答弁ではちょっと納得がいかないのです。たとえば、この補助金の場合は、第三条の中に「補助事業等の経費の配分、経費の使用方法、補助事業等の完了の予定期日その他補助事業等の遂行に関する計画」、四として「交付を受けようとする補助金等の額及び算出の基礎」、こういうふうにはっきりとやはり補助金の場合には、その経過あるいはその額、算出の方法、そういうものがきちんときまった上において補助金を出されなければならないというふうに規定されているということは、国の経費をむだに使わず、国の経費計画通りに、直接被害を受けた人にいくようにするために、こういう規定があるのですから、補償金の交付等についても、こういうような精神は当然国としては責任を持ってやはり監督し、守るということがなければならないと思うのですが、全然あれですか、補償金というものはもう野放しにやっていいという見解なんですか。
  52. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) 野放しにやっていいというわけではございませんが、まあ補助金は結局国が公共団体、そういうものに対して交付するものでありまして、これは補償金でございますから、結局契約をいたしまして、組合員の依託のありますものに契約いたしまして、それで適切に払ってもらいたいという精神でございまして、われわれといたしましてはその精神に従ってやって参るということでございます。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、また問題が新しく出てきたんですが、二億六千六百万円というものを決定される基礎は、現地でいろいろ聞いたところによりますというと、ある一定の漁業区域を調査をして、そうして学者その他の意見も交えて、この区域の中でどれだけ損害があるかということを認定をして、その損害額に基いて二億六千六百万円というものをきめたというのですね。であるとするならば、二千万円そこから控除することになると、その実害額から二千万円減るわけです。この役員に対する謝礼とか、それから運動費なんということとも実害の中には入っているということになるのですよ。そういう見解はどうなんですか。
  54. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 被害の補償金の算定につきましては、ただいま先生のおっしゃったように、漁区がたくさんありますけれども、その漁区ごとに被害を算定いたしまして被害額を、契約いたしまして支払いしております。従いまして二億六千六百万円の中に実害の補償金だけしか算定しておりません。
  55. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、実害から二千万円減るわけです、ということになる。国がそれでも仕方がないとおっしゃるなら、これは何をかいわんやですが、かりにそういうお礼金が要るとか運動費が要るならば、別途にそういうものは出すべきであって、やはり一応補償金というものはそのまま漁民に渡して、漁民から徴収するなり何かしてそういうものを出すということ、これは向らの自由でしょう。それを補償金から天引きして渡して、それで一、二の実力者の裁量によって下げられていくというところに非常に不明朗なものがある。こういうものもこれはあなたの方ではわれ関せずえん、国の方で出したものだから仕方がないのだ、こういう見解ではどうも国民は納得しないのですが、どうですかね、その点は。
  56. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 私どもといたしましては、実害に応じまして支払いしておるわけでございますが、向うの支払いを受けた方におきまして自主的にそういうふうにおやりになる分でございますので、国がその分を持てというようなことはちょっと私どもとしては考えられないのでございます。
  57. 大倉精一

    大倉精一君 これはじゃもう一つ関連をして私は質問をするのですが、今も報告書にあった通りにこの補償金を担保として一千万円銀行から借りて、これを二銭八厘の利子で漁民に貸しつけておる。こういうものはやはり補償金を担保にして勝手にそういう借金をするというようなことは、これは許されるものですか。背任罪になりはせぬですか、これは。
  58. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点につきましては私どもも直ちにお答えはできません。
  59. 大倉精一

    大倉精一君 こういうものをあなた方はおわかりになっておると思って私は聞いておるのですが、そういう問題も国の方ではもうノータッチなんですか。その方針を聞いておる。お考えを聞いておる。
  60. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点に関しましても、法的に申し上げますと、渡した金の処分という問題に関連するわけでございますので、私どもといたしましてどうしてはいけないというような指示をいたすわけには参らぬのであります。
  61. 大倉精一

    大倉精一君 そうすれば、現地においてかりに配分等について、あるいはその他について、現地の地方建設局なり、あるいは県の方でやはり相談に応じていろいろタッチしておるのでしょう。これは全然それももうタッチしない、法律上権限がないからタッチしないということになっておるのですか。
  62. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 先ほども申し上げましたように、配分基準等の案を作成する場合におきましては、地建も県もタッチいたしております。ただそれを決定するというようなことは向うで実質的に最後にはきまるわけでございます。
  63. 大倉精一

    大倉精一君 それは地建や県もタッチするというのは法律に基いてやっておるわけじゃないのですね。そういう責任、任務があるのじゃないですか。それと同じことじゃないですか。法律上云々というのは、これは別に僕は法廷でものを争うわけじゃないのですが、そういう意味で言っておるのじゃないのですが、少くとも国家の金を預かり、これを補償金として金額を決定し、そうしてそれを渡した、これが漁民なら漁民に果してその補償金の目的通りに、目的を達するように分配されているかどうかということを見届ける、あるいはお世話をする、こういう一つの責任、任務があると思うのですが、そういう任務もないのですか。責任もないのですか。
  64. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点はしばしば申し上げておりますが、向うにお渡しした金につきまして、どうしろというふうな責任とか任務はないわけでございまして、しかしそれが公平に分配されるようにお世話するとかいう点につきましては、十分やらなければならないと考えております。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 それでは最後に一つ念のためにお伺いしておきたいのですが、お金を払うときに、お金を払うときに一部の者の委任状によってお金を払ったということなんですね。一部の者、あそこの漁民全体じゃないでしょう。漁民全体じゃない。一部の者の個人の委任状に基いてお金を払う、また契約をしたということ、そこで、この分配あるいはその他について、今現地でもっていろいろ対立をしておるのですが、かりに他の一部分の人が竹本四方一という人は信任できない、この人の配分案には応じられない、われわれは委任したのじゃないから、われわれの実害に対しては建設省一つ責任をもって払ってもらおう、こうなった場合に、建設省はどういうふうにお考えになりますか。
  66. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 建設省として支払いいたしておりまするのは、漁業権者でありまする漁業組合長の委任を受けました竹本氏に支払いしておるわけでございまして、そういう点でございますから、漁業補償は漁業権に対する補償ということで支払いしております。ただその算定は、実害の補償によりまして金額を算定する、こういうわけであります。
  67. 大倉精一

    大倉精一君 そこで漁業権に基いて算定をしたと、こうおっしゃるのですが、そうしますと、この場合の漁業権というのは何ですか、これは。漁業協同組合に入っておる組合員だけが持っておる権利であるのか。あるいは組合員でなければそういう権利というのは、漁業権というのはないのか、従って、漁業権のないものは補償するという対象にはならないのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  68. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 私どもといたしましては、漁業組合に対しまして支払いをいたすわけでございまして、構成員たるものに対しましていたすわけでございます。
  69. 大倉精一

    大倉精一君 支払いの相手は漁業組合としても、建設省としては、この補償の対象になるべきものは、現実にこの損害の漁業区域内において漁業を営んでおるものですね、漁業を営んでおるもの、そのものが実際に実害をこうむった、これに基いて個々に補償金を支払ってやるのだ、行き渡るようにするのだというのが本旨であるのか。あるいは漁業組合に支払金をしてあるから、それは漁業組合の自由であるという工合になるのか、どっちなんですか。
  70. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 金は漁業組合長に支払いしておるわけでございまして、その分配に当りましては、先ほどお話しがありましたように、漁業法の改正等の際におきまして、実際に実害を受けておる人があるのに渡らぬというような実情がありますから、そういう人に関してもできるだけ実害に応ずるように支払いをしてもらいたいという点は、漁業組合の方にも申し入れてあるわけであります。
  71. 大倉精一

    大倉精一君 そのできるだけという意味はどういう意味なんですか。
  72. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 実害を認定いたしまして、実害のある方に対しましては補償金が渡るようにということを申し入れてあります。
  73. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、分配については、漁業組合組合員であろうがなかろうが、そういうことには関係なく、実害に応じて平等に分配さるべきであると、こういう工合な御見解ですか。
  74. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 実害に応じまして分配されるようにということを申し入れているわけであります。
  75. 大倉精一

    大倉精一君 そこでもし万が一この漁業組合が——この場合漁業組合じゃないのですね、対策委員会あるいは分配委員会というものなんですね、そういう人々が分配に当って、組合員組合員でない者との間に差別をするというような分配方法がとられた場合には、どういう処置をされますか。
  76. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) そういうふうな区別がなされないように、配分要領等につきまして、地建も県も、組合に対しましてその案を作るときに参与をいたしておるわけであります。
  77. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私が先ほどお伺いしたのですが、との組合員以外の人が分配決定に当って、明らかにこれはもう不平等である、組合員でないがために、こういうような不平公な分配をされる、これは了承できない。われわれは委任した覚えがないから了承できない。であるから、これは建設省が国の補償金の目的に従ってわれわれの方にも公平に分配するように、建設省の方から出してもらいたい、こうなった場合にどうなりますか。
  78. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 建設省といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、総額をきめる場合に、実害の補償を算定して、すべてその中に入っておりますから、その中から支払われるものと考えております。
  79. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますれば、最後にお伺いするのですが、現実に配分を実施される場合に、組合員組合員以外のものと差別待遇をされた場合、不公平な分配を実施された場合に、建設省としては、それはやむを得ぬ、これは漁業組合の自主的な分配であるからやむを得ぬというふうなお考えであるのか、あるいはそれはいけない、それは国の補償金を出したところの目的に違うから、分配はころしなさいというふうな勧告をなされるのか、それはどっちなんですか。
  80. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点に対しましては、支払いをいたしました建設省といたしましても、また漁業組合を監督いたしまする立場にありまする県もありますから、それと共同いたしまして、公平に分配されるように組合と協力いたしましてやるつもりでございます。
  81. 大倉精一

    大倉精一君 そこで一つ疑問が残るのですが、漁業組合に金をやり、支払いをし、漁業組合、協同組合がそれを実施をするという、あるいは計画立てるというのなら、漁業協同組合に対する監督権のある県がおやりになるかもしれませんが、今度の場合は漁業組合の手を離れて草津地区対策委員会という人格のないもの、ここへ金が渡っておる。そして一切御迷惑はかけませんという一札をとっておる。であるから、これはすでに民間の任意団体である。こういう任意団体であるという場合、いわゆるこれに対しても、漁業協同組合と同様に、県は監督権によってこういう指導をすることができるのですか。
  82. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) その点につきましては、はっきり監督権があるかというような点につきましては、研究を要すべき問題でございますけれども、包括的に漁業というものにつきましては、県は指導監督をいたしておりますから、それと協力いたしまして、公平に分配されるように努力いたすつもりでございます。
  83. 大倉精一

    大倉精一君 これはもう今の質疑応答で明らかになったのですが、そもそも出発において、最後まで県の監督権を行使し得るような態勢のもとに支払いをされ、あるいは監督をするという態勢ができておるのならいいのだが、そうじゃなくて、有効か無効かわからないような委任状によって、何ら人格のない、資格のない対策委員会という任意団体——この竹本四方一に対して一札とって、そうして金を支払いをしておる。一切は、これは金を払ったのだから仕方がないという格好にきておると私は思うのです。であるから、一番初めの最初の出発の竹本四方一という果して資格があるのかないのか、国あるいは県の監督が行き届くのか行き届かないのかわからないようなところに支払いをした。ここにそもそも間違いがあると私は思う。ころいう点からずっと今まであなたの方の答弁を聞いておりますというと、ほとんど中央としては放任主義である。この一点に尽きると私は思う。この竹本四方一という者は二億六千六百万円もらって、あたかも自分がもらってしまって、その金をどうしようがこうしようが、こっちの勝手だということで、それを担保にして一千万円借りてみたり、あるいは一千万円というような大きな金を役員や何かのお礼に出してみたり、あるいは委員会の規約があるにもかかわらず、規約があってなきがごとし、あるいは一部の有力者の采配によって組合員が牛耳られておる。こういうことによって二億六千万円というものが未だに漁民に渡らない。しかもこれがどうなるかわからないというようなことになっておるのですが、私どもは建設省としてはもう少し具体的にさらに突っ込んだ監督指導をされるという、こういう考えがなかったならば、二億六千万円の行き先はわかりません、これから。これは一貫してきわめて不明瞭です。中央の指導も少しも一貫したところがない。次官どうでしょうか、大臣にお伺いするのですが、御所見を承わりたいですね。
  84. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) 先ほどからいろいろ大倉さんからお話がございまして、河川局長が答えましたように、竹本四方一が委任を受けまして、それに対して建設省が払っておる。それからまた分配の問題でございますけれども、これはなるべく公平にこれは分配するようにわれわれは努力するということ、それからなるべく早くこれが一つ分配できるようにわれわれの方としては指導するというふうにやっておるわけでございまして、私どもの方はなるべく公平、それから迅速にこれが渡るようにいろいろやっておるわけでございます。
  85. 大倉精一

    大倉精一君 最後に資料を一つ出してもらいたいと思います。三十二年三月三十一日現在の「委員会経費の内訳書」、これを見ましたが、さらに詳細な内訳をお伺いしたいと思うのですが、東京陳情費に対する内訳をお願いしたいと思います。  それから委員手当八十五万二千八百円、これはだれにどういう工合に渡っ、ておるか、これも一つ。それから事務手当金四十五万五千四百円、これはどなたにどういう工合に渡っておるのかということですね。それから交通費というものがあるのですが、二十六万二千円、東京陳情費の中に入っておるか。別途に書いてありますから、これも一つお出しを願いたい。  次に、配分委員会費百二十三万七千円。この配分委員会費というものはどういうものか、内訳について出してもらいたい。  それから、対策委員会費六十二万八千九百五十二円。  それから、実態調査費、これもまたあるんですが、どこへどういう工合に使ったのか、百四十七万五千円というもの。  それからさらに、口頭でもって向うの現地でもっていろいろお話があったのですが、合計二千万円という費用を計上するという総会の承認ですね、これは役員あるいはその他お骨折を願った人にいろいろお礼を出さんならぬからと、こういう向うのお話があったのですが、どこへどういう工合に幾らぐらいお礼を出しておるのか、また、出そうとしているのか、そういうものも一つお出しを願いたいと思う。
  86. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) ただいま大倉さんから御意見ありました資料は、実は建設省の方の資料でありませんで、組合の方の資料でございまして、なるべく出せるように私の方といたしましては努力いたしますけれども、出せるか出せぬか、ここで確約はできませんが、なるべく出せるように私の方は努力したい、そういうふうに思っております。
  87. 高田なほ子

    高田なほ子君 出せるか出せないかというのはちょっとおかしいんじゃないですか。これは、建設省と地元代表との間に結ばれた協定書がありますが、この中には、「漁業損失補償金として総額金二億六千六百万円を建設省より関係漁業者に交付するものとする」としてあって、その次に、「補償金支払について必要な書類は建設省の要求により直に提出するものとする」、こういう協定を漁業者代表と一札入れているはずです。委員会で要求したものは、必要な資料として直ちに要求する権限を建設省は持っているはずです。
  88. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 高田さん、ちょっと申し上げますが、これはまだ委員会としての要求じゃありませんから、その点はお含みを願います。
  89. 高田なほ子

    高田なほ子君 委員が要求しておる。
  90. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 委員が要求しておるが、委員会の要求としてはまだ決まっておりませんから、その点……。
  91. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) 協定書に書いてあります「補償金支払について」云々のことは、これは補償金の支払いについての書類でございまして、そのほかの書類については書いておりませんで、委員会から御要求のありました書類は、これはわれわれとしては誠意をもってやりたい、そういうふうに思っております。
  92. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 今の御要求の出せるだけのものは出していただきたい。
  93. 大倉精一

    大倉精一君 今の書類についてとおっしゃるのですが、補償金額は出しておるのですから、支払として見ていいですよ。補償金の中から出しておるのだから。私どもは、国家の金でないものを使っておるのは追及はしません。しませんが、国家の金を支払っておるのだから、支払いの明細を出して下さい。これは当然決算委員会の任務としてでも、われわれ金の行き先はやっぱりつきとめる必要がありますから。
  94. 小沢久太郎

    説明員小沢久太郎君) できるだけそういうふうに御趣旨に沿うようにして努力したいと思います。
  95. 大倉精一

    大倉精一君 できるだけ努力をするということなんですが、もし資料が出ないという場合には、その理由を明かにして下さい。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 今の場合、できるだけ努力というようなことでは、やはり審議にいろいろ先に差しつかえるから、具体的にどういう方法で、委員長、これを出す方法の努力をされるか。
  97. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ですから、これは建設省の書類じゃありませんから、組合から取って、それで……。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 当委員会として取るわけですか、委員会の権限なり何なりで。そういうようになりますか。
  99. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 皆さんどうですか、よろしゅうございますか。
  100. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 今の答弁程度でいいのじゃないですか。こっちで強制的に出させるということは、あまり穏当じゃないと思うですがね。
  101. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    午後三時三十六分速記中止    —————・—————    午後三時五十三分速記開始
  102. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それでは速記を入れて。  だんだん中国四国地方についての視察報告があり、それについての質問がございましたが、一応この視察報告についての質疑はこれで終ったこととすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  104. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    午後三時五十四分速記中止    —————・—————    午後四時十一分速記開始
  105. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を起して。  これより九州班の視察報告に対する質疑を行ないます。  ただいま大澤会計検査院第一局長、自治庁からは小林財政部長、大蔵省からは青山中小金融課長、横井法務省刑事課長、山根検事の諸君が出席されております。  では、御質疑のある方から順次御発言を願います。
  106. 岩間正男

    岩間正男君 私たち視察に参りまして、現地でいろいろ聞いたわけでありますが、きょうは視察に行った四人の委員のうち二人しかみえていないのです。ことに社会党の阿具根登君、自民党の松岡君がみえていない。私たちとしましては、まあ質問したいこともあるわけですけれども、大体きょうは報告を中心としての質問ということになっておると思うのです。この点視察に行った私たちは——むしろ皆さんの行かない方から質問を受けたいというふうに考えているから、あまりきょうのこの席では質問する点は少いわけです。ただこの問題はまたやはり時間が不足したわけです。行ってみたらば、県会をやっていて、当の責任者の県知事とわれわれは二時間しか話し合うことができなかった。当地における民主団体のこの福岡県庁の問題に対する反対のいろいろなあれが出ているのですね。そういうところとも十分に話し合いをしたり、それから福岡の県民の意向なんかも、もっと世論的にわれわれは話し合いをして、あるいはまた公聴会式のものを実はあそこで開催して、いろいろ県民の世論なんかを聞きたいと考えておりましたが、時間的に十分その目的を果すことができなかったのであります。そういう点で、調査は一応されましたけれども、この問題について、もっともっとわれわれは当委員会で明らかにしなくちゃならない点の幾つかを持っているわけです。これはできるだけ早い機会にこの問題を継続してやっていただきたいと、こういうふうに希望しているのです。私はそういう希望を委員長に申し上げて、今日のところは余り質問しなくてもいいと思っておりますが、この点いかがでしょうか。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 実は私どもも阿具根さんがお帰えりになったら、もちろん公式の席上での報告を伺うとともに、阿具根さんからも十分実は御報告を受けたいと思っておったのですが、その機会を得ませんで、本日口頭報告を承ったわけです。できますならば、どうも勘がにぶいので、口頭だけでは十分伺えないところもございますし、また阿具根さんも十分質問したいから保留しておいていただくようにという実はおことずてもあったりいたしましたので、文書で私どもにこの報告書をいただかせていただいて、さらに機会を作っていただければ、まことに仕合せだと思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 大体私どもも福岡県の問題というのが、これはただいま問題になっているわけでありますが、現在のところはこの程度にして……。この関柴ダムと太田川等はまた質疑をすることの機会もあるわけですから、そういう意味の了解は当然成り立つと私は思いますね。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  109. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  以上をもって派遣委員報告に関する質疑は終了いたしました。では本日の審議はこの程度で終了いたします。  次回は明日六月二十七日午後一時から昭和三十二年度決算大蔵省の部を審議いたします。大体管財局関係審議する予定ですから、御了承願います。大蔵大臣の出席も要求しておりますが、大蔵大臣の都合もありましょうから、なるべく大蔵大臣の審議を先にするようにお願いします。  では、これをもって委員会は散会いたします。    午後四時二十四分散会