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1957-02-07 第26回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月七日(木曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   委員の異動 二月六日委員西田隆男辞任につき、 その補欠として後藤義隆君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君            鈴木  一君    委員            石井  桂君            上原 正吉君            大谷藤之介君            後藤 義隆君            谷口弥三郎君            永野  護君            平島 敏夫君            松岡 平市君            吉江 勝保君            片岡 文重君            杉山 昌作君            大竹平八郎君            岩間 正男君   政府委員    法務省刑事局長 井本 臺吉君    農林大臣官房経    理厚生課長   川戸 孟紀君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    食糧庁長官   小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    会計検査院事務    総局第四局長  中川  薫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○派遣委員報告   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第四回決算委員会を開会いたします。  まず委員変更を御報告申し上げます。二月六日、西田隆男君の辞任に伴いまして、後藤義隆君が補欠として選任されました。  本日の理事会におきまして打ち合せしました事項を御報告申し上げます。日程変更でございますが、お手元に差し上げておきました二月十一日の日程で、厚生省大蔵省管財局の残りの分をやることにしておりました。また十五日に郵政省と労働省を審議することにしておったのでありますが、質疑者の御都合もありまして、厚生省郵政省の分を変えてくれないか、すなわち厚生省が十五日になり、郵政省が十一日になる、これだけの変更をいたしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) では、さよう決定いたします。   —————————————
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和二十九年度政府関係機関決算書を議題といたします。  まず食糧管理特別会計を審議いたします。検査報告批難事項は第千七百九十七号から第千七百九十八号まででございます。  本件に関して御出席の方は、会計検査院中川第四局長小倉食糧庁長官亀田食糧庁監査課長中西食糧庁企画課長小暮食糧庁主計課長川戸農林大臣官房経理厚生課長の諸君であります。  食糧庁から概括的な説明をお願いします。
  5. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 概括的な御説明を申し上げます。  昭和二十九年度の決算におきまして、検査院指摘されるようなことが発生しましたことは、まことに残念でございます。今後業務の運営改善を期しまして、一そう努力いたしまして、このようなことが再び起ることのないように十分戒心をいたしたいと存じます。  輸入食糧購入につきまして、海外の市場価格あるいは海上運賃市況調査等につきましては、できるだけ的確な資料の把握に努めておりますが、また、在庫病変米処理につきましては、昭和三十年の五月、十二月に厚生省がおきめになりました食品衛生上の取扱いについての結論に基きまして、いわゆるタイ国病変菌の入っているものは、みそ、しょうゆといったような加工用に、またイスランヂャ病変菌の入っているものは、飲用アルコール、糊、こういった食品以外の加工用に売却処理いたしますことといたしまして、昨年の九月までに約一万九千トンほど処理をいたしました。また、イスランヂャ病変菌が入っておりますものにつきましては、これを一般食品加工に使う、こういう場合の処理方法が昨年の二月厚生省においてきまりましたので、現在はその処理方法に基きまして、一部処分を始めております。  次に、不当事項の点でございますが、まず故麻袋購入につきまして、検査院の御指摘を受けるようなことができましたことは、まことに遺憾でございます。この輸入商社がばら積みをしてきました輸入食糧包装用麻袋につきましては、従来食糧麻袋株式会社という会社が、実質上の統制のもとに、一元的に集荷して、これを食糧輸入商社に売り渡し輸入商社は、これをもってばら積みして参ってきました輸入食糧を包装して、食糧庁に納入するということになっておったのであります。しかしながら、その後麻袋需給状況も緩和してきましたので、食糧麻袋株式会社は解散しまして、故麻袋取引自由取引になったのであります。  この自由取引のもとでの故麻袋政府買価格の算定につきましては、自由に流通している食糧麻袋以外の他用途に使用されている故麻袋についても十分いろいろ調査をいたしまして、まず修理工場庭先渡し価格調査いたしまして、これを基礎にいたしまして算出するということにいたしたのでありますが、修理工場から輸入商社政府に納入するまでの経費につきましては、先ほど申しましたような麻袋取引の機構について一部改正がございまして、集荷機関が新しく発足したばかりでありますので、こういう事情もございましたので、何分正確な資料が存在いたしませんでした。こういう事情もございまするので、的確な経費を織り込むことができないという事情がございました。のみならず、故麻袋価格は非常に時期的に変動する性質のものでございますので、政府もその変動のつど買入価格を改めるということができればよろしいのでありますが、そういうことはなかなか困難でありまするので、先ほどの修理工場庭先渡し価格にある程度の加算をしなければ、必要な量の故麻袋の確保は困難であるというふうに考えましたのでありますが、そういう計算の上におきまして適切を欠いたことは、まことに遺憾であったのであります。今後このようなことがないよう十分注意をいたしますとともに、当時の責任者に対しましては、それぞれ処分をいたし、または厳重な注意を与えておいた次第であります。  なお、買入価格につきましては、その後、市場価格等も十分再調査いたしまして、三十一年の二月に改訂をいたしております。  次に、集荷奨励金交付につきまして処置の当を得なかったものでございますが、これは昭和二十八年の北九州を襲った風水害によりまして、米を供出する際の「かます」が払底をするということで、米の供出にも重大な支障を生ずるという心配が生じたので、この心配を除いて米の供出を確保すると、こういうために、米の集荷団体が、集荷事業一つとして、供出用の「かます」あるいは「わら」というものの斡旋なり輸送ということについての仕事をいたしまする場合において負担をいたします場合には、その負担に対して助成をするということにいたしたのであります。ところが、この助成金交付に当りまして、実態調査が不行き届きの点がございまして、十分の審査が行われず、これを基礎として交付しました結果、会計検査院の御指摘のようなことになったのでございます。今後かかることのないように十分注意をいたして参ります。なお、この点に関しましての助成金交付は、北九州の無常な風水害という災害に伴って、供出期における「かます」、その原料「わら」というのが不足いたしまして、価格が高騰したと、こういう特殊事情のもとで、集荷団体が積極的に協力をいたしまして、米の生産農家供出支障がないようにする、こういう集荷団体事業に補助をするということを趣旨といたしておりましたので、この趣旨に照らして、多少形式的に充たなかったということがありましても、実質的にはこの助成趣旨に合うと考えられるものもありまするので、十分その辺は検討いたしまして、要綱の趣旨に実質的に反していないというものについては、その点を十分考慮いたしまして、実質的にも反しているというものについては、返納を命じまして、命じました返納金全額返納済みに相なっておる次第であります。
  6. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって食糧庁長官説明は終りました。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 永野護

    永野護君 これは食管制度の根本に触れる問題で、この委員会で話をすることが適当であるかどうかわかりませんけれども、幸いに長官が見えておりますから、伺いたいのでございますが、問題は内地米外米と両方にあるのですね。内地米今一律一体消費者にお渡しになっているのですか。値段は同じ値段でお渡しになっているのですか。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 内地米配給価格でございますが、これは質によりまして区別する、一等、二等、あるいは上等、並等と、こういうふうに区別して配給するということはやっておりません。そういう意味では、一律に配給いたしておるわけであります。ただ、配給基本配給希望配給というのがございまして、基本配給全国一律の価格であります。十キロ完全精白にいたしまして七百九十円というのがそれであります。希望配給の方は、消費地生産地といったような関係を考慮いたしまして、若干地域的に差がございます。それから、もともと基本配給とは価格を変えて、ある程度コスト価格的な考え方を入れた価格に相なっておるのでございます。昨年の十月までは全国一律でございましたが、昨年の十月から全国地域に分けまして、四地域のそれぞれの価格を定めておる次第でございます。
  9. 永野護

    永野護君 私、米のことには多少経験があるのですが、米ぐらい品質に差のあるものはないと思います。非常に多種多様だと思います。それを、着物にたとえて言いますと着物一反幾らというような値段のきめ方だと思うのでありまして、非常なうまい米と非常にまずい米と、それが同じ値段配給されておるのが今の実情ではないかと思います。何かまずい米がきたときは運が悪かったとあきらめておる。いい米をもらったときは、いい米が当ったというような感じで、非常な不合理配給の仕方になっておると私は思う。数百種の区別のあるものを単一の値段配給しておるというところに非常な不合理性があると私は思うのであります。これは基本の問題で、制度としての問題で、運営の問題ではありませんから、この委員会で取り上げることがいいか悪いかはちょっと議論があると思いますが、土地によって非常に差があるのみならず、年によって差がある。それから今度は月によって非常に品質が変化します。ことに新米が出回ったそのあとは、新米古米の味はまるで別の食糧であるかと思われるくらい差がある。この非常に差のあるものを、同じ値段配給するということには基本的に無理があるのじゃないか。これがわれわれが、米さえあれば、腹さえ太れば満足だという、いわゆる統制時代の辛棒する耐乏生活のときのなごりがそのまま続いておるのではないかと思うのであります。従って、今日のごとくだんだん物が潤沢になり、自由に物を選ぶことになってきたならば、つまりいい米は高い、悪い米は安いという制度に返るべき時期になっておるのではないかと思うのであります。着物一反といっても、絹もあれば、毛もあれば、人絹もありますが、特に着物なんかだったら、柄でその値段が非常に違う。米は本質的に非常に違う。好みも違う。それが同じもので配給されるという制度は非常に不合理のように思うのでありますが、この基本の問題についての長官の御意見はどうなんでございますか。
  10. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) ただいまお話のように、食糧事情にゆとりができ、終戦直後のような実態から非常に変って参りまして、現在におきましてはお説のように品質等によりまする区別をして参った方がよろしいというお説は、まことにごもっともな点があるのであります。私どももその点について最近検討を始めております。ただ全く自由経済のときに成立しましたような品質等に基く銘柄格差を、そのままの形で再現することは非常に困難でございます。従いまして、差しあたり考えておりますることは、このいわば全面的な統制下において、なおかつ、できる程度のことは、どういうことであるかということで、問題をしぼって検討いたしておるところでございますが、何らか米の品質につきましても簡単な差をつけて参る必要性が生じて参っておるということは、これは否定するわけに参りません。それを技術的、事務的にどういうふうに、統制下のもとにおいてこなしていくかということでございます。それが実は非常にむずかしいのであります。従いまして、ここでこういうようなことを考えておるという御返事を申し上げる段階にまだなっておらないのであります。とりあえず、たとえば非常にできそうなこと、一例として申し上げますと、現在水稲陸稲という区別すら消費者価格にはございません。もちろん、しろうとでは、白米になった場合に水稲陸稲区別はできないのでありますが、専門家が見ればある程度わかるということもございます。食味からいえば非常に違うということでございますので、そういうようなことからまず始めたらどうかというふうに実は考えております。しかしこれも生産者価格影響するということもございますので、その辺の利害関係もございますので、一例として申し上げましたが、そういうようなことをまず手始めに、何らかそういう御説のようなことも加味した配給制度にしたい、こう存じております。
  11. 永野護

    永野護君 この問題は、実は決算委員会で取り上げることが必ずしも適当でないとは思っております。だから他日また機会を見て、これは非常に大きい問題だと思っておりますから、お伺いするつもりでおるのですけれども、たまたま食糧庁長官が見えましたから伺ったのですが、非常に急いでやっていただきたいのは、たとえば新米古米とが非常に味が違う。古米の方はまずいのです。しかもこれが一ヵ月たつと急速に味が悪くなって、変ってくるのですけれども地域によって、いつまでも古米配給を受けるところと、それから早く新米配給してもらうところとができて、それが同じ値段である。これはなるたけ平均して、まずい米は全国の人が平均してまずい米というようにやっていただきたい。これは品質。それから価格についても、極端な例を言いますと、絹と木綿と人絹と同じ値段で買わなければならぬというような今の実情なのでありますから、この不合理性は、これは統制経済という盾の中に入っておられると、ついイージー・ゴーイングで、きのうやったものですから、きょうも続けていこうということになると思うのであります。でありますから、純然たる自由主義経済のときに戻すようなことを私は要求いたしません。しかし統制経済下でも、この不合理性をなくする部門は非常にたくさんあると思います。私どもの常識から言いますと、この不合理性について世間の非難の少いのがむしろ私はこっけいだ。ことに台所を預かっている御婦人が、こんなまずい米をと言いつつ、どうしてこんなまずい米を食べなければならないかということを、不平を言わないで、しょうがないと思って辛棒しておられるのが、今の実情じゃないかと思うのです。でありますから、できる範囲不合理性、つまり、間違うと、池田君の、貧乏人は麦を食えというようなことになって、そういう誤解を招くといけませんけれども、まずいものと、うまいものに値段の差をつけて、そうしてうまい米を要求する人は負担能力のある人ですから、相当高くしてもいいと思う。そうして少くも安い米を希望する人には今の値段より上げないようにして、他日食管法改正でもされるときには、おれは高くてもいいから、うまい米が食いたいという人の米を上げるような基本方針をおとりになるべきであって、一律一体消費者米価を上げるということよりも無理が少いように思います。今の地域差、それから時期の差、銘柄の差を、昔、取引の受け渡しのときに使っておったようなこまかいことは、これはとうていできぬと思います。できぬと思いますが、いわゆる統制範囲内においてなし得ることがあるということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、これは外米のことですけれども、今の外米買付方については、私、非常に議論があるんです。一、二年豊作だと未来永劫豊作になるようなことを言う。私は個人の関係を言ってはなんですけれども、私が初めてフィリピンの問題の交渉に行きますときには米が非常に足りなかった。だから総理から何とかして幾らでもいいから米が——フィリピン食糧問題とからみまして、フィリピンから米が来るような案を立ててくれということを総理から頼まれた。ところが、やっているうちに、今度こちらが豊作になると、今度は米のことは一切触れてくれちゃ困ると、逆に米の問題に話の触れることを封じられた。たった一年の差なんです。来年こんなことをやっておって不作だったら、また何とか米は手に入らないか……。少くも年の豊凶を問わず、大体において三百万石やそこら足りないという基本の線が通っておる限りは、お役所といたしましては、一年一年に余ったと言ってみたり、足らぬと言ってみたりしておさわぎにならないで、ある程度の平均した案をお立てになるべきじゃないか。少くも案基本はそういう案によって立てられなければならないものじゃないかと思うのであります。数年前は東南アジアの米の供給地がどこもそろって凶作だった。今度はそろって豊作になった。そうすると、今度、未来永劫食糧問題は解決したかのごとき印象のもとにこの米穀問題が取り扱われておるのが事実じゃないかと思います。そこで、たとえば一例をとって申しますと、タイとかビルマとか、非常に米の問題が他の日本との貿易の問題に非常に大きな影響を与えることは御承知通りでありますけれども、それをたとえば「もみ」で買って、そしてタイの中にフリー・ポートみたいなものを作って、そこに置いておいて、一応決済はして、持って帰る必要はないと思うのです。それは平均にどのぐらい足りないという基本の数字が立っておれば、そういう案が立ち得ると思うのです。そうしてそこへ輸出したものとすれば、御承知のように、タイとかビルマとかいう国では米の輸出が非常に大きな国の財政のあれになっておるのでありますから、そこで受け取ってやって、そうして物はこっちの所管のものに属するけれども日本には持ってこない、そうするとタイ会計も成り立つ。日本もたえずそこにそれだけの米がある。これを白米にしてしまうからで……、これを「もみ」のままで保管しておくということを考えなければならぬと私は思っておるんです。これは外米輸入基本方針になりますから、これもなかなかおそらく実務をおやりになる方にはむずかしい問題がたくさんあるという御説明があると思いますけれども、私はこれは克服し得る障害であって、お考えになればその影響は多分にあると思うのです。きょうは場所がなんですから、これ以上のことは申し上げませんけれども、たまたま長官がお見えになっておったから、実は直接の問題には触れませんけれども、米の食管会計基本に触れる問題だと思うのですが、一言申し述べさせていただきます。外米の問題はいかがですか、扱い方は……。基本に触れる問題ですが。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) ただいまのお話、なかなか傾聴に値するお話でございますが、昨年私ども内部でも、今、先生がおっしゃったような趣旨に近いようなことを検討を実はいたしたことでございます。ただいま先生お話通り、事務的に考えますと、なかなかむずかしい問題がございまするし、まだ成案を得るに至っていないのでありますが、とりあえずのところは、少し長期契約ビルマタイといったような主要な国々——輸出国日本にとっては輸入国日本にとって非常に供給源である両国等につきまして、あるいは台湾も入るかと思いますが、ある程度の長期的な契約をやって、こちらの食糧輸入ということについての安心感も持つと同時に、向う側としても輸出についてのある程度の安定した考え方が持ち得るといったようなことを始めたらどうか。もちろんビルマはそうなっておりますが、他の分についてもそういう考え方を持ったらどうかという考え方でございます。ただいま先生お話のことは部内で多少検討したことはございますけれども、自信のあるまでに実は成案になっておらないような状況でございます。
  13. 永野護

    永野護君 もう一言付け加えるのですが、長期契約というお話でありましたけれども契約長期ということよりは、実際そのときそのときに引き取ってやるということでないと、向うの国の財政が成り立たない。といって、引き取るというと、すぐに日本に持ってくるという感じだと、とれまた運営がつかぬと思いますから、私は単に長期契約というばかりでなくて、実際上、金を払ってやる、そうして日本には持ってこない、それを「もみ」で受け取る。あと白米にするときの利益はやはり向うに与えてやるということを基本にしていただきませんと、米の輸出国向う財政運営が成り立たぬと思います。この点は、将来、案をお立てになると思いますけれども、ぜひ考慮に入れてお考えを願いたいと思います。これで終ります。
  14. 上原正吉

    上原正吉君 関連して。食糧庁長官にこれはお願いしたいのですが、永野さんのおっしゃるように、輸入する米を「もみ」でということは非常に大切だと思いますが、内地の米も、「もみ」で供出して、「もみ」で保管して、「もみ」で——消費者に渡るときは別ですが、消費者に渡る前までは「もみ」のままで売り買いされるということが大切ではないかと思います。それならば、だいぶ保管も楽になりますし、品質も落ちませんし、長い貯蔵に耐えることは確かなんですから、内地の米もそういうふうなお考えが願えると、大へん国のためにもいいと思うのですが、長官においてはいかがですか。
  15. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) その問題は実は非常にむずかしい問題でございまして、輸送とか貯蔵という点からみれば「もみ」の方が合理的な点も多々あろうかと思います。もちろんかさばるといったような弊害もございますけれども、最近のような食糧事情からみれば、「もみ」の貯蔵ということは最も考えられることでございます。これは昭和の初めに非常に米が余った時代がございますが、そのときには政府は「もみ貯蔵を奨励する特別の法律も出したというような経験もございまして、そういう貯蔵という点からみますると、非常にけっこうなことであるというふうに存じますが、ただそれを「もみ」でもって政府が買い上げるということになりますると、調製の過程——玄米にする過程の作業ということについては、個々の農家から離れまして、その分だけ農家の所得が減る。またたくさん集めました「もみ」をもみずりするということもまた特別の施設が要るといったようなこともございまして、なかなか容易に解決のつかないような問題が出て参りますので、先ほど申しましたような意味での特別の備荒貯蓄という意味をかねましたような場合には、農家なり政府なりで「もみ」で貯蔵ということが有効であろうと思います。一般の場合にまで「もみ」でやるということはなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  16. 上原正吉

    上原正吉君 備荒貯蓄を励行するということだけでも大切であり、非常に有効だと思うのですが、そういうことが実現されますようにお願いをいたしたいと思います。お答えはいただきませんでけっこうです。
  17. 片岡文重

    ○片岡文重君 今までの御説明を伺っていますと、少くとも検査院から指摘されるような不当事項を出したことは非常に遺憾であって、これからそういうことのないように戒心していきたいというお話でしたが、まさにその点はそうあってしかるべきだと存じますが、この二十九年度の決算検査報告書に指摘せられておるような不当な事項は、この二十九年度の決算に当って突如として起ったわけではなく、その二十九年度に当っても、ずっと以前からこういう事項は跡を断たずに続いて来ております。しかも三十年度を見ると、また不当事項指摘されておる。こういうことはただ長官あるいは農林大臣等が戒心する、気をつけなくちゃいかんといった程度のことでは私は跡を断たないと思います。しかもこの指摘された不当事項は、相当多額な金額に上っておって、厚生関係の予算等を見れば、一億にも足りないような金がだんだん削られて行っております。そういうときに何億という金が不当に費消せられておるという事態を見るというと、特に防衛庁と並んで農林関係不当事項は多いように思うが、これらに対して具体的にもっと不当事項の跡を断つような努力をしておらなければならぬと思うのですが、浜の真砂と何とやらで、なかなかこういうものは尽きない。仕方がないと言われれば別だけれども、少くとも根絶せしめるような努力をどう具体的に払っておられるのか、この際伺っておきたいと思います。
  18. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御質疑受けましたような不当事項が年々出て参るということでは、ただ努力するということだけではまことに申しわけないので、絶無を期さなければならないことは、もちろん私どもからお話をするまでもないことでございます。具体的にどういうことをやって参ったかという趣旨の御質問でございますが、私どもといたしましてまず注意しなければなりません点は、会計経理のやり方等によりまして、そこに何かすきがございます。そこから出て参るというようなこともございまするので、そういう点につきましては、昨年も全体の業務の運営ということについて再検討を加えまして、内部の相互の牽制という点に重点を置いたやり方に気を配りまして、新しい部内の執務の体制を実は布きまして、それをただいま実行して参っております。  それから個々の問題につきまして、どういうことが起るか、これはもちろん予測できませんから、あらかじめそれについて手当をするということは、なかなかむずかしいことでございまするけれども、私どもといたしまして、ほぼどういう事柄についてどういう弊害が起り得るかということについては、ある程度想像と申しますか、起り得る分野ということも当然あるわけでございますので、そういう分野におる職員の任命あるいは異動ということについては十分注意をいたしまして、他の一般の職員とは若干気持を変えて処理をしている。またそういう仕事に従事しておる職員は、そういう気持でまたやってもらうということをかねがね注意をいたしておりますが、最近、この一両年特にこういう点について配慮いたしておるつもりであります。にもかかわりませず、毎年指摘事項が出て参りますことは、はなはだ申しわけないのでありますが、なお、私初め職員一同戒心いたしまして、こういうことが起りませんよう、一つ十分注意をいたしたいと、かように考えております。
  19. 片岡文重

    ○片岡文重君 会計経理の面における不正不当の事件は、その組織を見れば、帳簿あるいは流れておる作業を見ていけばすぐ発見できることであり、自己診断も比較的容易でありますし、検査院から指摘されるまでもなく、自戒の効果をあげるという点については、職員の入れかえ等によって比較的たやすくできると思うのですが、特に食管会計等の不当事項を見てみると、むしろ現地関係といいましょうか、そういうところに問題が多く発生するんじゃなかろうかと思われます。それからもう一つは、たとえば買い入れをする見込みなどには過大に見積って、今度は払い下げをする、といいますか、配給実績等の見積り、それからそれに対する買い上げの見込み等がはなはだ私は当を得ていないように思うのです。こういうやり方は人だけの問題じゃなしに、何かやはり機構上にもっと手を加えていかなければならんじゃなかろうかと思うのですが、需要量の推算なんかにしても、もっと出先の機関を督励して、作業を迅速に行なってくれれば、こう、たとえば三十年度のこの報告書に指摘せられておるような六、七割も見込みが違うというような結果というものは、そう私は出ないじゃなかろうか。たまたま自然現象で、豊作とか不作とかいう事態が織り込まれてはきますけれども、もっと現地における調査が迅速に行われて、しかもそれが正確に集約されてくれば、こういう見込みの大幅な違いというものは私は出ないだろうと思う。これが出てくるということは、そういう、何といいますか、中央と現地との意思の疏通といいますか、中央における状況把握というものがはなはだ的確ではないんじゃなかろうか。こういう点はやはり人だけの……もちろん人には十分原因はありますけれども、機構なんかについても、もっと具体的に考えていかなければならんじゃなかろうか。それとやはり、まあ少しうがち過ぎるかもしれませんが、食糧輸出入を扱っておる会社等の関係も、この不当事項から推測していくと、相当不愉快な想像ができないでもない。こういうことは、やはりどこからくるかといえば、見込みの過小もしくは過大に原因すると思う。それらは多く内部における集約といいまするか、そういう点に原因があると思うので、そういう点についてはもっと機構を整備する、組織をもっと拡充していかなければならんじゃなかろうか、こう思うのですが、そういう点については、近年、機構を整備したり、あるいはその組織について検討を加えておるというようなこともあまり伺っておらないのですけれども、最近、そういうようなことは行われておるのですか。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お尋ねのように、機構につきまして最近特段の改正みたいなことはいたしておりません。いろいろ不当なことが起ります一つの原因としまして、的確な調査資料に基いての対策を立てていないというようなところに原因もありはしないかという、まことにごもっともな、当を得ました御質問であります。そういう点も確かにあると思います。またあり得ると思います。ただ私どもといたしまして、食糧の需給計画を立てるといったような場合に、本庁だけの資料等ではもちろん間に合いませんので——これはものによって違いまするけれども——随時末端の機構から報告が出て参ります刻々の資料を実はもとにしまして、計画を立てて参り、またそれによって買い入れ、売却等を実施して参っておるつもりでございますが、なお不十分の点がありますれば改善に意を注ぎたいと思います。ことに外国食糧の需要ないし輸入ということになりますると、国内産の米麦と違いまして非常にまたむずかしい点があることはこれまた御指摘通りでございます。特に他のいろいろのことも注意しなければなりませんので、輸入がある一時に集中する、需要は年間である。ところがその外国食糧の需要というものは国内の米麦以上に変動する事情を持っておりまして、ごく最近の事情がわかりましても、その数カ月先にどうなるかということについては、なかなか予側がむずかしいことがございまするので、御指摘のようにそういうことについての調査が完備いたしますれば、外米輸入が多過ぎて困る、あるいはまたあまり大事を取り過ぎて少な過ぎて不測の事態になるといったようなことも避けるというようなこともできますので、そういう点について、なお御注意によりまして検討を加えたいと思います。
  21. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は二、三の点をお聞きしたいと思うのですが、第一に黄変米の処理過程、これはどういうふうになっておりますか。あるいはすでに報告があったかもしりませんし、この説明書の中にも簡単には触れておりますが、これのあらましの経過について報告を願いたいと思います。
  22. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 黄変米につきましては、一昨年のちょうど今ごろの在庫でございますが、これが約十五万二千トンございました。で、これの処理方法につきまして厚生省等とも十分話し合いをいたしました結果、昨年の二月ごろになりまして実態につきましてよく精査をいたしまして、無菌のものは食用に回してもよろしいという結論が出ました。その結論に基いて、実は在庫米につきまして検討を加えました。数量が多うございまするので、片端から無鉄砲に調査するということは不経済なことは言うまでもありませんので、大よそこれを上と中と下というふうに分けまして、上と申しまするのは、これを再検討いたしまして、差しつかえないという結論が出ますれば食品加工に回してもよろしい。下と申しまするのは、これはもう食用加工にも向かない。他の「のり」とか工業用原料に回す以外にない。中のものにつきましては、さらに調査方法を検討いたしまして、その仕分けをするということを今後いたすということにいたしまして、食糧庁としてその調査の方法に取りかかったわけでございます。そういたしまして、この上の中で無菌のものということがわかったものは加工食品、それから下というもので食用には向かないというものは、やむを得ず「のり」あるいは蒸溜酒等のアルコール原料にするということで処分をいたして参っておるのであります。そういう方法で昨年の九月までに一万九千トンを処分いたしております。その後なお調査が進みますとともに、下の方の処分も加えまして、アルコール原料等に約八千トンほど処分いたしております。現在は——二月一日現在でございますが——十一万七千トンの在庫になっております。  なお申し忘れましたが、昨年の九月に至るまでに約一万九千トンほど処分をいたしております。  以上のようなことで、最近は上質米というふうに仕分けられましたものにつきましての菌を培養いたしまして、無菌のものであるかないかという検定を実はいたしまして、その検定の結果判明をいたしてくるというものにつきましての結果によりまして処分をいたすという方法で、実は進んで参っておるのであります。
  23. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ無菌のものというのですが、これは何ですか、菌の保有量についてはパーセンテージでもあるのですか。上、中、下に分ける基準はどういうふうになっておりますか。  それからこれは全体についてはまだほとんど検査ができないのですが、今まで処理した分だけの、約二万七千トンですか、これについては一応検査したけれどもあとの十一万七千トン——二月一日現在の在庫品ですね、これについてはそのままになっているのですか。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 病変米が膨大な数量になった当時におきましての問題の菌は、ただ肉眼でははっきり仕分けがつかなかったのでありますが、その後研究が進みまして、専門家が見ればこれは病変菌がついておって工合が悪いというものと、これは大丈夫のようだというものとの大よその見当がつくように実はなったのであります。そういうわけで、まず肉眼でもって調べまして大よその仕分けをする。大よその仕分けができましたもので、上というふうに仕分けのつきましたものからサンプルをとりまして、菌の培養をやって、菌が出ないというものについては食用に回すと、こういう措置を実はやっておるのであります。そういうことで大よその仕分けをしたものは五万五千トンでございます。従いまして最近処分をいたしておりますのは、その五万五千トンのうち、上というふうになったものの中で検討をやった結果、無菌のものであるというもの、これが食用に回っております。下というものになりまして食用には向かないという判定を受けましたものは食品以外の加工用に回すという処分方法を立てておるのであります。
  25. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ専門家というのですがね。専門家について、これは農林省の都合のいい専門家じゃ工合が悪いと思うのです。科学的にどれだけ信憑性があるかという点では、これはやはり巷間ではいろいろ処置について問題があると思うわけです。どういう専門家のこれは調査の結果になるか、分析の結果になるか、こういう点も一つ問題になると思うのであります。この点も明らかにしてもらいたいと思うのですが、まあそのことはこの次に譲るとしまして、さて現在十一万七千トンもあるわけですね。それじゃあ当初はこれは何万トンですか。黄変米の当初の数は相当莫大なものじゃなかったかと思うのですが、それが年々、まあ一昨年から在庫品が完全に処分されている……十一万トンといいますと、これは莫大なものだと思います。日本の石にすれば八十万石になりますか、どんなものですか、これは膨大なものだと思う。それから起った損害の調査はできているのですか。それからもう一つ会計検査院からも指摘されたと思うのですが、これは在庫の保管料を払っているわけですね。保管料だけでも莫大なものになっているのじゃないか。つまり、処理がこのように非常に遅延しているために大へん国民の受けている損害というものは大きいのだろうと思うのです。ですから、こういう問題が倉庫の下積みのような形にされまして、黄変米の問題で騒ぐときには、一昨年あたりはこれは全国民的な問題とされたのです。しかし、その後の処理というものについては、いつでも不明瞭になってそうしてもうぼやけてしまう。問題の焦点がはずれてしまう。こういう格好では、これは国民に対して相済まんのじゃないかと思います。従って、この病変米によって起っておる損害の程度をつかんでおられるか、この資料を明らかにしてもらいたいと思います。
  26. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 病変米の検定につきましては、これはその方面の専門の技術者に依頼をしているわけですが、菌の検定は、厚生省、農林省が協議しまして権威ある研究所ないし機関に依頼をしてやっておるのであります。  それから病変米の損失の問題でございますが、この損の算定は非常にむずかしゅうございまして、どういうふうに申し上げたらよろしゅうございますか、よく見当が実はつきかねるのでございますが、まず一番異論のないと申しますか、問題のないところは、保管料の点でございます。保管料につきましては、これは年に三億八千万円の概算でございます。これは三十会計年度の概算でございますが、保管料でございます。それから次に損と考えられまするのは、買い入れ価格と今後の売り渡し価格との差に実はなって参るのでございます。売買損の問題になってくるのでありますが、それにつきましては、先ほど申し上げました検定によりまして、どういう用途に向けられるものがどの程度出てくるかということによって相当に違って参ります。と申しまするのは、一般加工用に向きまするのは、ただいま外米をもちまして加工用原材料に売却しておるものがございまするが、その価格一つの基準にいたしまして売却いたしておりまするので、食品加工に向くということでございますれば、売買損としては、特別の大きな損は出て参らないのではないかという推定をいたしております。しかしながら、そういうものが、この二月一日現在で申しますと十一万七千トンでございますが、当初から申しますと十五万トン余りのものでございますが、そういうもののうち、どれだけの量があるかということについての実は推算がまだできて参りません。食糧に向かずに、「のり」というものであるとか、あるいは「しょうちゅう」の原料の米にするとかといったようなことになりますると、値段が下って参ります。ものが悪いということもございまするし、また、そういう加工原材料としての他の比価——比べてみるべき比価もございますので安くなりますので、そういうものに向け得るものが相当多量にあるということでございますれば、トン当り何万円という線が出て参るというようなことでございまするので、その辺は、この在庫米の全体について仕分けをして、どういう売買損が出てくるかということによって大きくまあ変るという立場でございます。
  27. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの御説明では、結局損害についての調査が非常に不十分だということをこれは認めざる得をないのですね。第一に、今あなたのお話によりますと、まあ食糧加工に回す分はあまり大した損害がないというようなことを言っていますけれども食糧加工家としても、まあ病変米と名のついたものを買うという以上は、買い入れ価格で買うというようなばかなことは商売人はしないことは明らかなことです。これはどのくらいで売っているんですか、価格ですね、その差額が幾らであるのか、相違点、この点おわかりでしょうか。今までの売り渡し価格の実績があるでしょう、これをちょっと知らしていただきたいと思います。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 最近売却いたしております実績価値と申しますか、その例でございますが、普通の外米でございますとトン当り五万二千八百円、これが菌検定の結果、加工食糧に向く、こう判定をされたものでございます。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 上ですね。
  30. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) そうです。上中下の上のうち食品に向くと、こういう判定を受けたものでございます。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 中と下は幾ら……。
  32. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 安い方は、これはアルコール用に向けましたものについて申しますと、四万七千五百円程度でございます。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 買い入れ価格に中間経費、そういうもので、つまり売り渡し価格になりますね。そういうものをみますとどういうふうになりますか。
  34. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 実は買い入れ価格につきましては、ただいま資料が手元にございませんので、的確には申しかねるのでございますが、時期がある程度長期にわたっておりますのと、輸入国がやはり各地になっております関係上、よく調べて申し上げませんと、間違えますと恐縮でございますので……。客観的に申し上げるほかないので恐縮なんでございますが、二十九年ごろを頭に置いて申しますと、トン当り五万五千円といったようなことが一つの基準であろうと存じます。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 厳密に言えばこの利子でも大した莫大なものですな。だからそういう損害の計算、これは少し綿密にやっぱり公表してもらう必要があるんじゃないかと思うんです。黄変米の問題で騒ぐだけは騒いだけれども、どうなっておるかということは国民は関心を持っておる。それが意識の底に沈んでいるだけの話で、これは痛烈な関心を持ってるんです。従ってその後の処理状況については、これは一応明らかにしてもらうことが当決算委員会の当然の責任であると思うんです。従って委員長はこの点、資料を今私が申しましたように買い入れ価格、それに対して中間経費、さらにこれは金利を見なくちゃならないと思う。厳格に言えば保管料、そういうものを計算したものと、さらに売り渡し価格はどういうふうになって、何石あって、最後が幾らになって、そして損害の経費は今後どういうふうになるかというような見通しは、これは一応食糧庁でできるだろうと思います。従ってこのような資料はこれはすぐにも作成してほしいと思うんですが、この点、委員長から念を押していただきたいと思います。ようございますか。
  36. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お尋ねのように、できるだけ実態の判明いたしますようなものを、できるだけ速急に調製いたして御提示したいと存じます。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 この黄変米の問題は、まあ外米輸入制度の最もこれは集約的な現われという形でこの正体が出てきたと思うんです。この外米輸入については、われわれしろうとでもいろいろなことを耳にしているわけで、当決算委員会でもこういう問題についての問題点がいろいろ資料として調査されて、出されているようでありますけれども、この説明書を読みますと、急速にこれについて「鋭意研究の上有効適切な対策を実現したいと考えている。」ということが報告されてある。まあこれは考えている程度なのか、具体策がすでにちゃんと出されているのか、これはわかりませんけれども、少くとも問題が発生してからもう数年たってるんです。従ってこの有効適切な方策というものが相当具体的に示されなければ、このような問題の再発を未然に防ぐということは非常に困難になるんじゃないか。従ってどういうふうにこれらの問題を処理しておられるか、もう少し具体的に示してもらいたいと思います。
  38. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 病変米のことに関連いたしましてのことでございまするので、その点を中心にお話を申し上げますが、病変米が結果として入ってくるといったようなことにならないようにということについて、具体的にいたしております点でございますが、一つ輸入の時期を雨期前にすること、梅雨を越したものについてはとかく病変米がついてくる可能性が多いということで、この問題発生して以来、雨期前に米の外国食糧日本に入れるということに努めて参っております。  もう一つは、これは国によってそういう機関が整備しているところと、ないところによって違いますが、病変菌の検定をいたしまして、無菌であるという証明書を適当な機関につけて、これを外米輸入一つの条件にするということが一つございます。  それからこまかい話になりますけれども、船積みをしてからの管理が悪い、そのために病変菌が発生をするというおそれもあるのでございますが、船に乗ってからの通風といったようなことについての注意、あるいは水分の多寡ということが、これは病変菌に限りませんけれども、いろいろの支障になる原因になりまするので、水分の限度というものをはっきりいたしまして、これ以上の水分のあるもの、これにつきましては、病変菌がつきやすいというような関係から、そういう水分の点について厳重な制限をする、そういったようなことを実はやっております。  なお買付時期は、主要の輸入国に対しましては食糧庁の係官を派遣駐在させまして、現地での積み込みの監督等に当らせております。  以上のような措置を実は講じておるのであります。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはアメリカの商社が中に入っておったのがあったと思うのですが、今はどうなっておるんでしょうか。
  40. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) ちょっとお尋ねが簡明過ぎまして、お答えが間違っておるかもしれませんが、アメリカの商社が途中に介在しておるということは、最近少くともなかろうと存じます。一つは、アメリカの米でございますれば、最近は価格関係等もございまして、アメリカの米はこの一年余り輸入をいたしておりません。それから、もちろんビルマタイ等の国におきましても、向うのシッパーにあるいはアメリカ関係の商社があるかもしれませんけれども、その点、実は詳しく具体的に承知しておりませんが、アメリカの商社が介在してそこに弊害が起るといったようなことはなかろうと存じますが、何か具体的なお気づきでもございますればお聞かせ願いたいと存じます。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 きょうは正確な資料を私も準備してないし、二年前ほどの記憶なんで、これはすぐ調べればわかりますが、そういう商社が中に入って検査の問題なんかほとんどそれにまかしておる、そうして検査料を向うに払う、こういうことだが、しかし検査は非常に厳正に行われていない、こういう形で黄変米の問題が盛んに問題があったように聞いております。こういう点は今どういうふうになっておりますか。検査は政府の現地機関が向うに行って厳重に検査しているという建前になっておるのか、それとも、そのような、アメリカだけとは言いませんが、とにかくそういう商社を中に入れて、そういうものに委託をしておるというような形で行われておるのかどうか、こういう点はどうですか。
  42. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お尋ねの点は、日本食糧輸入先におきまして、積み出しの場合の発地の検査のことについてのようでございます。これは輸出港におきまして相当のここで大量のものを輸出する場合に、輸入する方からもあるいは輸出する方からもしかるべき検査機関がありまして、検査をすることになっております。その場合に、おそらく適当な機関でなくて、あるいは適当な機関であっても検査に疎漏があって、これに関連したというような問題ではなかろうかと存じます。そういう検定機関はもちろん国際的な権威がある機関でなければなりませんし、そういうものをできるだけ選定をいたしまして、そういう検査の結果をある程度信頼して取引できるようにしなきゃならぬと思います。御指摘のようなその検定機関がございますれば、今後十分注意をいたして参りたいと思います。なお発地のそういう検定機関だけの検査にまかしておくというわけにも参りませんので、私どもとしては、むしろ原則として、日本に着いて日本の港において検査をするということも実はやっております。御指摘の点がございますれば十分注意をして参りたいと存じます。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは国際的に権威のある機関かどうか事実わかりませんけれども、事実黄変米の問題は発生して、その原因が検査の非常に不十分ということにあったのですから、この点は非常に厳重にやる必要があるし、検査の方法なり、それから日本政府のこれに対する関心の度合いというものを非常に深めなければならぬのじゃないか、まあこういうふうに考えるのです。それからこれがこちらに着いたときの検査の問題についても言えると思う。検査の方法についても抜き取りというような形だけでこれはやられる、むろんそういう形でやられていると思うのでありますが、そういうものをもう少し科学的にどういうふうに厳密にやっていくか、こういう点で、おそらく先ほどの説明書の鋭意研究という問題、むろんこれだけじゃありません、いろいろな問題が含まれているのですが、立案されておると思うのですが、先ほどの御説明だけでは非常にこれは不十分なように思うのですがね、どうなんですか、鋭意研究の内容というのはこんなようなものですか。今お話を願えませんでしょうか、もう少しやっぱり具体的に。
  44. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 病変米が入ってくるといったようなことがないようにということでの具体的な予防措置につきましては、先ほど申し上げました通りでございます。  なお、先ほどのお尋ねでございます輸出港におきまする検定ということについても、その検定がしっかりしておれば不測のことも防げるというようなことであることは申すまでもございませんので、お尋ねの趣旨もございますので、なお、輸出港における検定ということについても十分注意をして参りたいと思います。なお、この病変菌の日本に着きましての検定自体は、あれは厚生省で所管しておりまして、そちらの方の検査になりまするが、私どもとしては、そういうものが入ってこないためのいろいろの措置、輸入港における問題あるいは船積中における問題等につきまして、あるいは米の品質の問題、買い入れ時期の問題等につきまして、できる限りの予防措置を実はとっておるのであります。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあもっといろいろ詳しくお尋ねしたい点が……実は私しろうとだから、よくわからないからお尋ねしておるわけなんですけれども、これはまたにしまして、これに関連してお聞きしたいのは、結局、以上のような大きな損害というのは全部食管会計の中にぶち込まれているわけですな。どんぶり勘定というような格好になってるわけですな。このどんぶり勘定というやつは、何か食管特別会計の中で有利な会計のやり方なんですか。どうも非常にこれは原始的な方法じゃないかというふうにわれわれ考えるわけですけれどもね。とにかく入るやつはみな何でもかんでも一緒くたに入れちゃう、出すときはそこから出す。まるでこれは労働者のどんぶりからやってるあの単純な会計の方式なんですね。これが日本最大の会計である、八千億にもなんなんとする、ほぼ国家予算にひとしいような膨大な規模を持つ会計のやり方として、はなはだしい非科学的な問題じゃないかと考えるわけです。従ってどんぶり勘定の特質といいますか、どんぶり勘定をやっているというと、なるほど役所では都合はいいかもしれない。しかしここからいろいろ問題が起る可能性があるように思われるのです。それからこれについては、少くとも食糧政策並びにこれを扱う食糧庁としては、もっとやはり近代的な会計の方式というものをそろそろ考えなければならぬ段階にきておるのではないか。専門家調査しても、どうも正体がつかめないような、非常にお気にさわる言い方かもしれませんけれども、伏魔殿というような政治が行われておる。こういう形の原因というものは、そういう原始的な会計の仕方にあるのではないかと思うのですが、こういう点につきましては、長官としてはどういう所見を持っておられますか、この点お伺いします。
  46. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御説のように、ただいまの食管特別会計は、それぞれ政策的意味が相当違った米、麦、澱粉、えさ、その他のものを取り扱っております。しかもその勘定が、いわばどんぶり勘定というようなやり方で処理されておるために、全体の経理の状況についてとかく疑問を抱かれるような状態で、はなはだ残念でございます。これはもともと食管特別会計が、食糧管理法とともに発足いたしました当時は、全面統制のものばかりでございまして、その間、あるいはあまり政策的な考慮の違いがございませんでしたので、全体が一本の勘定でよかったのでございましょうが、この数年来、米と麦ということでもだいぶ性格が違って参りておりますし、その他の農産物というものでも性格が違って参っておるというようなことがございまして、その間経理を区分して処理していくという必要性が私どももあるように気づいております。なおそのほか経理全体のやり方についても、もっと部外の方にとりましても、内部のわれわれにとっても、明瞭に事態が把握できるような仕組みにするという必要性があるように存じます。そういう点につきましての改善方策ということについて、これまでも多少研究をして参りましたが、できるだけそういうことについての具体的な結論を急いで出したいと、かように存じております。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 何かそういう対策というもの、そういうものは現在あるのでしょうか。  もう一つこれと関連して、ここに会計検査院の第四局長がお見えになっておるのですが、会計検査院として、食管特別会計ですね、これについてはどういう……技術的な面からでけっこうですから、政治的なことでなくてけっこうですが、技術的な面から見て、現行のような……私はさっき原始的な会計ということを申し上げたのですが、こういう形でどうでしょうか、これについての御見解ですな、会計検査院としての御見解をお伺いたしいと思います。
  48. 中川薫

    説明員中川薫君) ただいまの御質問については、食糧庁長官から御説明になりましたが、なるほど一種のどんぶり勘定のような状態であることは事実でございます。われわれといたしましても、積極的に強く意見は表示いたしておりませんけれども、検査の進行段階において、いかにも不合理である、不明瞭とまでもいきませんが、不合理であるということは指摘いたしまして、当局に改善方意見を申し上げております。  それから食管会計では、従来いわゆる官庁会計の原始的な整理をなさっておられましたけれども、その後複式簿記の会計整理をなさいまして、そういう面においては事態は明瞭になっておりますが、ただ米麦のほか、農産物で澱粉とか、それからテンサイ糖、大豆等の飼料というようなものが一本で整理されておりますことは、いかにも御意見の通り不十分だと考えております。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの会計検査院中川局長の御意見にもありますように、これは当委員会としても十分努力しなくちゃならない問題だと思います。まあ短かい時間でこの問題を突き詰めることはできないと思いますけれども、少くとも決算委員会としては非常に重要な、ある意味ではもう最大の問題かもしれません。で、そういう点で今後資料を求めるなり、委員長においても努力をしていただきたいと、こういうふうに考えるわけです。  で、それともう一点だけ最後に伺いたいのでありますが、この中間経費の問題、これとも関連して参りますが、この中間経費の問題ですが、今度の八円五十銭の値上げということをかりにやるとなると、大体政府の方策では、現在百六十億の赤字があると、それをこの値上げで埋めると、しかもまだ赤字が出ると、その点についてはこれは補正予算でやる。さらに三十三年度につきますというと、それでもなお三十三億の赤字が出てくる。これを中間経費の節約で埋める、こういう方針であったように思います。この方針は、今度の米価値上げというものが、これは国民の反対にあって一応やめになった、ですからこの一つの方針というやつはくずれたことになるわけです。しかしこの三十三億の中間経費の節約ということがうたわれておりますが、そうすると従来まあ中間経費が非常に乱雑に使われておったということを逆に裏書きするともこれは考えられるのです。ことにこのどんぶり勘定の中で問題なのは、人件費が——管理行政に従事するところのこの職員の人件費も中間経費の中でまかなわれているというような形をとっている。これはほかの場合ですと必ずしもこうなっていないのじゃないか。そうするというと結局、この食管会計の赤字の原因の中には、いろいろ不合理なものがあるというように考えられるのですが、で、とにかく今度の方針がどうであろうとも、これは相当こういうような中間経費並びにこの食糧庁の内部で操作の面で節約できる金というものは相当あるのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、こういう点についてはどういう方針をこの新たな事態に対して立てておられますか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  50. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 中間経費の節約合理化についてのお尋ねでございます。この中間経費と一口に申しましても、非常に多方面になるわけでございますが、おもなものを申しますと、先ほどからも話に出ておりました保管料、金利、運送賃、あるいはまた事務、人件費等もこれに入るかと存じますが、なお輸入食糧の諸掛り、あるいはさらに卸、小売のマージン、そういったものが多々ございます。従いまして、この諸経費合理化あるいは圧縮ということは、個々の項目によりまして、方途なりやり方が相当違ったものにならざるを得ませんので、各項目について検討をして、できるだけ合理化をする、あるいは圧縮をするということに努めたいと存じております。これまでも、今までもそういった面について努力を重ねてきているわけですけれども、今回お尋ねのような赤字の問題とも関連をいたしまして、そういう面について抜本的な措置を一つ立てたいというわけでございます。  具体的に個々に申し述べますというと、まだ検討が不十分な点もございまして、いかがかと存じますけれども、問題といたしましては、そういった各面についての事務の運営合理化、それから業務の運営合理化、両面からできるだけ圧縮に努めて、予算は一応提案をしてございまするけれども、成立する予算の範囲内におきましても、実行上の節約に努めて参るつもりでおるのであります。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局、非常に今度の値上げ問題から、それ以前にも絶えずこれは問題になっておったものでありますけれども、もうすでに予算も成立して、新会計年度を迎えようとするわけですが、少くともそういう方針が明らかになることが必要じゃないかと思うのです。ですから、ここで今後の、もっと科学的な方法で、ぴしっとした形で、困民が納得できるようなものが、これはそういう案が立てられなければならぬと思いますので、決算委員会としましても、今までのいろいろな不当事項と関連してこういう問題が今後追及されなければならないと思うので、そういう点について、委員長にこの委員会の努力を私は要望しまして、一応私は質問を終ります。
  52. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 長官に一、二点お伺いいたしますが、まず、今問題の黄変米についてごく簡単に一言だけですが、本委員会でたしか前年度の決算の審議のときに話が出たのだろうと思いますが、アルコール転化という問題が非常に高く取り上げられたことがあるのですが、これは特に通産省の要望がそこにあったように聞いておるわけですが、大体黄変米からアルコール転化になった分はどのくらいあるのですか、量として……。
  53. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 黄変米を原料としてアルコール用に回した量でございますが、これは通産省関係の工業用アルコールというものに向ける話は、昨年アルコール原料が非常に逼迫した折に通産省から申し出がございましたけれども、工業用原料として処分するということでは、いかにも価格が安く実はなりますので、お断わりをいたしております。従いまして、これまでアルコールということで処分いたしておりますのは、しょうちゅうその他の飲用アルコールのものでございます。量といたしましては、アルコールだけ集計はいたしておらないのでございますので、ちょっと申し上げかねるのでございますが、数千トンの程度だと存じます。
  54. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは全体の計算をしてみないとわからないのでありますが、最近のこういう景気になってきたときに、保管料だけでも四億に近いものを積んで、そうしてその処分の方法に現在困っている、こういうときに、なるほどアルコール用にこれを使うということになりますというと、トン当りについて、先ほど御説明の買い入れ価格が二十九年度五万五千円とすると、約七千五百円の相違がある、こういうところに非常にあなたの方としてもアルコール工業用転化の問題等については何かかなり逡巡しておる点があるのじゃないかと思うのですけれども、しかし、この保管料の問題とか、それからまた今、一面御承知通り輸入米というものが、大体貿易の面からいいますればみんなオープン・アカウントの国であります。従ってまあ事務当局がかりに、日本豊作でもあるし、それから余剰米もあるし、米は要らないのだといっても、オープン・アカウントの建前からいって、米を買わなければ日本の雑貨工業の輸出はできない。これはビルマについても、タイでも、また台湾でもしかり、そういうところに非常にあなた方の御苦心のあるところは、われわれもよくわかるのでありますが、そうして昨年のごときも、あれほど豊作であっても、相当余剰のことはわかりつつ外米を買っておるというふうな点からいうと、ますます黄変米の処置というものが困ってくる。そうしてただ単に、あなたの方は、ますます重なっていく赤字をなるべく一つこれを高く売る方面に持っていきたい、こういう苦心はわかるのですが、しかしそういうふうに総合的に国家全体の上から考えていきますと、非常に早く転化しやすい工業用のアルコールなどは、私は一番近いやり方じゃないかと、こう考える。なるほど帳簿の上においては非常に損金としては大きな金額にはなるかと思うのですが、しかしそういう客観的にいろいろな問題等を総合して考えてみますと、結局、数字の上においてはかなりの損額が出ましても、それは十二分に国民に納得のいく数字になって出てくるのではないか、こういうふうに考えておるのですが、御所見はいかがですか。
  55. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 工業用アルコールでございますると、糖密あるいはカンショの切りぼし、なまカンショ等の関係もございますが、非常に価格が実は安くないと買ってくれないという状況であるのであります。先ほどのアルコールの値段で申し上げましたのは飲用アルコールの方でございますので、これだというと相当の価格になるのでございますが、工業用アルコールといいますと二万円足らずのようなところになるのじゃないかというふうに存じますが、もちろんとの売り先といたしましては、通産省の特別会計でございますので、横流れその他の心配もございませんし、私どもとしてはそういう点からいうと、非常にやすやすとお売りするととができることでございますし、また相当多量に処分もできるということで、お話のように金利、倉敷料等の節約にもなるという利点もございます。何分価格が非常に安いのと、もう一つはカンショ切りぼし等の価格政策を同時にやっておりまして、その面と競合するということでは、またいろいろ問題も生じて参りますので、その辺を勘案しなければならぬと思いますけれども、黄変米のうち、食品加工用にいかない部分につきましては、あるいは今後工業用アルコールに一部処分していただくということが御趣旨のようにけっこうなこともあり得るかと存じまするけれども、ただいまのところ、そちらに多量にという期待は実はなかなかむずかしいような状況でございます。
  56. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点お尋ねいたしますが、これはもう問題がだいぶ違うのでありますが、例の日綿実業株式会社の専務の石橋鎮雄という人のいわゆる食糧庁に対する贈賄問題でありますが、これはその処分報告があるいは私どもにきておるのかもしれませんが、実はまだ資料を見ていないのでありますが、石橋という人は個人的にも私知っていて、非常にりっぱな人で、業界でも定評のある人格者で知れている人なんでありますが、この問題につきまして、これはまあ事実今法廷の問題になっておると思いますが、差しつかえない限り一つその部内の処分方法ですね、行政処分とか、つまり石橋氏に贈られた人たちですな、いわゆる収賄関係の問題、そのことについて一つちょっと長官からお話し願いたいと思います。
  57. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 私も実は的確なことは承知いたしておりませんので、委員会でお答えすることはいかがかと存じますが、知っております点は、石橋さんの点に関しましては、以前食糧庁の業務二部長ないし一部長をいたしておりました細田茂三郎というのに五十万円の金を与えたということでございます。その他そういう石橋氏以外につきましても若干そういう金品の問題がございまして、業務上便宜を与えたということになっておるのであります。ただこの起訴状等を見ましても、どういう具体的な便宜を与えたということは指摘がございません。また私ども役所といたしまして、法務省等にどういう職務上の便宜を与えたのかということについて、好奇心ではなくして、私どもの業務の運営の改善という意味において参考にもなるからというので、業務の運営上誤りがあって、間違いがあって直すべき点を直さなくてそういうことが起きたということならば、これは申しわけございませんので、そういう点からの是正という点からいっても知る必要があるということでお問い合せをしたこともございますけれども、特別具体的なことは実はまだお知らせ願っておらないような実情でございます。  なお石橋氏は先般起訴されまして、同時に輸入食糧関係の民間団体の委員長ですかを辞任されまして、他の方が代表者になっておるのであります。
  58. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 先ほどの黄変米のことを岩間君からお尋ねがありましたが、それに関連して一言承わりたいのですが、大体黄変米ができたのが十五万二千トン、それでこの二月一日現在にまだ処理未済が十一万七千トン、差し引いてみると、三万五千トンくらいで大体二年間かかったわけです。そうすると大体まだこれは五分の一しか処理できていないのだが、あとの十一万七千トンは一体いつごろまでに処理をされる御計画なんですか。
  59. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) はなはだ大量なものをまごまごと手間取っておりまして、膨大なる欠損をしております点、まことに遺憾に存じますが、この処分の方法につきまして実は的確な方法が、方針が立たなかったことがおくれておりまする重要な原因でございまして、昨年の春ごろから本年にかけまして基本方針が定まりましたので、今後はもう少し、あるいはもっとスピーディに処分ができる実は段取りになっております。黄変米のこの検定の作業を一方進めますと同時に、どういう一体用途に向くかという点についての需要の測定も概略いたしておるわけでございますが、先ほどお話のような工業用アルコールに大量に向ける、あるいはブタノール、アセトンといったような工業用原料に大量に向けるということでございますれば、これは相当多量に処分できるのでございますが、価格の点、あるいは他の競合物資の関係等から支障がございますので、そういう面に多量は期待できません。みそ、しょうゆでございまするとか、あるいは飲用アルコール、あるいはのり、そういったものを主体として考えておるのでございます。そういたしますれば、今後そう何年もかかるということではなく、おそらく二年程度で処分ができはしないかというふうに存じておるのであります。
  60. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  ほかに御質問ございませんか。——御質疑ないと認めます。食糧管理特別会計の分、検査報告批難事項第千七百九十七号から第千七百九十八号までの質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  63. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に、委員派遣について、派遣委員から報告願います。  兵庫県に行ってこられた吉江君からお願いします。
  64. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 それでは私から報告をいたします。  決算委員会委員派遣の第三班の調査の結果につきまして口頭報告をいたします。  第三班は、昭和三十二年一月十一日から十六日まで六日間の日程昭和二十九年度決算検査報告に記載されました兵庫県下の案件のうち、文部省、農林省、両省関係に重点を置いて調査を行いました。派遣委員は高田委員と吉江委員であります。詳細は文書による報告書によりまして御報告申し上げますが、その調査の概要を簡略に口頭で申し上げます。  今回、現地調査をいたしました案件は、昭和二十九年度決算検査報告書中文部省の補助金関係が一件、農林省の代行事業関係二件及び農林省の補助金関係四件、計七件であります。各案件について御報告申し上げる前に一般的な事項につきまして二、三申し述べますると、第一に今回の調査を通じて感じましたことは、補助事業と代行工事のいずれを問わず、事業主体あるいは工事請負人等、関係者全員の順法精神を涵養して、代行事業、補助事業に対しまする認識を高めて、ひいては工事施行者をして良心的な工事を施行せしめることが、かかる不当事項発生防止のためにきわめて必要であるとともに、事業主体と直結する県側の指導監督もさらに強化する必要を認めました。特に指導監督につきましては、ただ単に技術面のみでなく、経営、経理の面におきましても指導の必要性を痛感した次第であります。  第二に、各案件の際にも申し述べますが、工事に不慣れの受益者あるいは開拓者に工事を施行せしめるという制度につきましては、今後考慮の必要があろうと思うのであります。  第三に、請負業者に工事を請負わせる場合、いろいろの観点から検討いたしますことが、かかる不当事項発生防止のために必要と存ずるのであります。  第四に手直し工事対策といたしまして、特に経費負担方法については根本的に研究を要するものがあると認めさせられたのであります。  第五に、補助金適正化法に関しましては、県当局あるいは地元関係者、いずれも賛意を表しております。本法施行の効果に多大の期待をかけておりましたが、希望といたしましては、補助率のさらに適正化及び補助金交付の時期が実情に即しない点もありまするため、こういう点の改善の希望が申し述べられておりました。なお、交付期につきましては、補助金のみでなく、国庫支出金につきましても同様で、でき得る限り早期に交付されますることを切望しておりました。  以下、各案件につきまして申し上げます。第一は、文部省所管の第七百八十二号で、本件は兵庫県御影高等学校が戦災復旧工事の補助金を申請する際に、算定の基礎となる県有坪数を過少に申請しましたために、交付された補助金が過大となったというのであります。県有坪数が過少に申請された原因は、保有坪数測定の誤りと、県有坪数に対しまして鉄筋補正を行わなかったことの二点でありました。第一の測定の誤りは、県有坪数の測定を専門家が行わずに、教員の手で行なったために過少に測定したのであります。学校側及び教育委員会側もこの点につきましては間違いを認めております。特に教育委員会としましては、みずからも実地調査を行うべきでありましたのが、人手不足のために調査を行わず、学校側の測定をそのまま認めました点に監督不十分を認めておりました。  第二の鉄筋補正に関しましては、本件の申請当時、保有坪数算定に際しましての鉄筋補正を行うことにつきましては、文部省側と会計検査院側が解釈を異にいたしました。文部省側は、保有坪数には鉄筋補正を行わないという解釈をとっておりましたために、学校側、教育委員会側では当然この文部省の解釈に従って保有坪数に鉄筋補正を行わなかったのであります。なお、この鉄筋補正に関しまする解釈の不統一につきましては、昭和三十一年度からは会計検査院の解釈に統一されておりまするので、今後はこういう問題はないと存じます。間違いの原因は以上のようでありまするが、本件の場合補助対象工事は確実に実施されております。また、その後、昭和三十年現在では生徒数も増加いたしましたために、これらを考慮いたしまして補助金は返還させないこととなっております。本件の場合、測定上の誤差は故意に数字を変えたものとは思われませんが、人手不足とはいえ、県の教育委員会がいまだ全般的に各校の実態調査を十分行うことができずにおるということは遺憾な次第で、何らかの方策が必要と思われます。  次は、第八百六十三号、農林省所管であります。本件は代行工事としまして京都農地事務局が兵庫県に施行させておりまする奥山地区開墾建設工事のうち、昭和二十八、二十九両年度に施行しました幹線排水路は、設計が過大で、従来から存在しておりまする旧排水路を利用すれば十分であり、また同地区の工事自体も、総事業費が二千百万円余に上ります経費をわずか十三町六反の開田に投入しておるものでありまして、きわめて不経済と認められるというのであります。なお、右のほか、二十九年前に施行されました幹線用水路等の工事につきましても出来高不足、不経済工事等が指摘されておりました。まず、幹線排水路につきましては、県当局は、本地区の地勢の特殊性を考慮いたしまして設計いたしましたもので、若干設計過大は認めまするが、旧排水路を利用せよとの指摘実情に即しないという説明がありました。  次に、本地区の開墾工事の経済効果につきましては、農林省京都農地事務局、県当局等もこれを不経済であると認めておりました。事実不経済と認めざるを得なかったのであります。なおかかる不経済な工事を代行工事としまして採択した理由は、採択の当時は現在ほど経済効果を考慮しておらず、かつ本地区は当時すでに入植者も入っておったためであると、県側、農地事務局側説明をしております。今後はかかることの発生しないように、代行工事の採択に当りましては慎重を期すべきであると思われます。その他の指摘につきましては、会計検査院指摘通りというように認めておりました。このような事態を発生しました原因は、県側の説明によりますると、本工事を工事に不なれな地元の奥山地区開拓農業協同組合に施行せしめましたために、及び県側も指導監督の不十分な点があったためと認めております。指摘事項に対しまする手直し、あるいは代替工事はすでに施行されておりましたが、手直し工事等は地元開拓農協の負担において行われたとの説明でありますが、不当工事の手直し経費等の負担方法については、だれがその補償の責任をとるのかという点、及びその負担能力のない場合の資金繰りにつきましても再検討の余地があると思われます。  次に、本地区の開墾の進行状況その他について申し上げます。本地区の開墾は予定より非常におくれており、これは開拓農協側の説明によりますると、工事進捗に必要な幹線道路の建設が幹線水路等の後に行われておるためであると申しております。これらの点に関連いたしまして、計画立案、設計については地元側の意見を入れることなく、一方的に県が施行された傾向もあるようでありまするが、この点地元側の意見も建設前に入れるような方途が望ましいと思われます。また、本地区は二十三年度から二十七年度の間に建設施行されましたため池のほかに、ただいま申しましたこのため池のほかに、下流に二つのため池があります。新設のため池は、相当完備したものとなっておりまするが、下流の二つのため池は、その設備が新設のそれに比較いたしまして均衡を失しまして貯水量が急激に増大いたしました場合の危険性も予想されまするので、この点総合的見地から再検討の必要を認めた次第であります。  次は第九百十三号であります。本件は、京都農地事務局が代行工事としまして兵庫県に施行させております別所地区の開墾建設工事のうち、昭和二十八、九両年度に建設しました幹線道路が出来高不足であったというのでありますが、出来高不足発生の原因は、関係者の説明によりますると、本工事の請負人でありまする明美開拓農協が剰余金を組合の債務償還と、前の組合長の着服いたしました金の穴埋め等に流用する目的をもちまして、工事費以下の金額で業者に下請に出したためであると言われております。出来高不足分に相当する手直し工事はすでに完成しておりましたが、その金額の大小、あるいは動機のいかんを問わず、国家の工事の金を不当に流用しました点は厳に戒むべきことと認められます。本農協は、経理については帳簿も全く整備しておりませず、実際に工事に使用した金額も正確に把握できないという状況で、一般に開拓農協の会計監査機構も不備であります。営農の技術のみでなく、経理面での指導、監督の強化を痛感させられた次第であります。また、農協組合長が個人的に責任を負うという解決方法につきましても再検討の余地があると思われます。  次に、検査報告批難番号第一千三百三号、農林省所管でありますが、本件は昭和二十八年九月第十三号台風の豪雨によりまして災害を受けました有馬郡本庄村のため池の復旧工事が粗漏であり、なお、工事費は国庫補助金を下回る金額で、事業主体はその負担分を負担していないのみでなく、かえって剰余を生ずることとなっていたものであります。県当局の説明によりますと、粗漏工事として指摘されました諸点は、いずれも検査院指摘通りで、このような事態の発生しました原因は、事業主体が補助事業施行に対しまする認識不足、工事監督の不行き届き、請負人のため池工事技術の貧弱、工事施行に対しまする県の指導監督の不足及び県の工事検査がため池貯水に妨げられまして、徹底を欠いたこと等であります。きわめて遺憾であり、今後はかかることのないよう切望いたしております。なお、本工事が海潮の時期及び集水期間との関係上完成を急ぎまして、約五十日で完成したとのことであります。こういう点は認められまするが、完成を急ぐのあまり粗漏な工事を行なったことは責められなければならないと思います。  本件の事後処理は、請負業者の負担ではがね土、護岸工事等の全面的施工がえを行いまして、完成後、検査院の再検査を受けて、完了の承認を得ておりまするが、今後の問題といたしましては、まず第一に、県の監督指導の不十分の原因が人員不足に起因している点であります。この点将来でき得る限り解決いたしまして、指導監督の万全を期すべきであると存じます。第二に、本工事を請け負いました業者は、当時村会議員の職にあったとのことでありますが、村会議員がその村の工事を請け負ったという点も問題がありました。こういう点は、今後禁止すべきであると思われます。第三に、ため池工事の技術が乏しい者にこの工事を請け負わせたという点も一応問題になるかと思われます。  次に、第千三百二号でありますが、本件は、末野土地改良区の灌漑用幹線水路の改良工事が出来高不足であるというのであります。会計検査院により指摘された点は、水路の三面張コンクリートの厚さ及び高さが不足し、暗きょのふたは、鉄筋の太さが不足し、石垣の石積工事は、使用された石の控えが不足であり、かつ本工事に使用されたコンクリートはいずれもその配合比が設計と異なるものを使用していたという点であります。県当局及び請負業者の説明によれば、指摘された事項についてはいずれも指摘通りで、このような事態の発生した原因は、当時本工事を請け負った業者が、本工事以外に多数の工事を施行していたため、手不足となり、業者自身の指導監督も不行き届きであったためとのことであります。本件の事後処置としては、業者の負担で暗きょのふたについては工事をやり直し、その他の部分の不足分に対しては相当金額の代替工事を行なった後、さらに検査院の検査を受けた結果、暗きょのふたのコンクリート配合比の質が落ちている旨の指摘を受け、この差額に相当する工事を追加施行したとのことであります。本件は先に述べましたごとく、人手不足の業者と契約したためこのようなことを発生せしめたことから考えまして、今後業者の選択に当っては、業者の負担能力をよく検討し、請負能力をこえた契約を締結しないように留意すべきと思われます。  次に、第千二百九十八号は、補助工事で施行いたしました宝塚市伊子志頭首工の二十八年災及び二十九年災の災害復旧工事が出来高不足であり、かつ事業主体の負担分が不足であったというものであります。本頭首工の災害は二十八年に災害を受けまして修理中、さらに二十九年六月災害を受けまして、新たに査定を受け直し、復旧工事を行なったのでありますが、会計検査院の検査の結果、頭首工阻水壁の高さ及びエプロン部の厚さの出来高不足及び宝塚市がこの工事を予算額を下回る金額で請負業者に請け負わせておりまして、事業主体が負担いたしまする負担分が不足となっておることを指摘されたのであります。  関係者等の説明によれば、阻水壁の高さ及びエプロンの厚さ不足に関しては、本地区は伏流水が多量のため、上流で締め切りを行なっても、工事個所の完全水かえは至難であった等の原因により、設計通りコンクリート工事を行なったにもかかわらず、阻水壁下部及びエプロン下部は、セメントが水に洗條されて流された部分も生じ、ために出来高不足となったとのことであります。事後処置としては、高さ及び厚さ不足のままでも、実用上支障がないと認められたので、特に手直しは行わず、出来高不足相当分の工事費は、三十年度以降の割当事業費から減額するという方法をとったとのことであります。  本件に関しましては、事業主体の負担不足という点はまことに遺憾であります。今後関係者の反省が望まれる次第であります。出来高不足の点に関しましては工法上の問題で、本件の場合かなり困難な条件下にあったと思われまするが、今後できる得る限り万全の対策を講じまして、かような事態の発生しないように努力すべきものと思います。  最後に、第千二百九十七号は、補助事業で施行されました尼崎市園田町の頭首工の二十八年災害復旧工事が著しく粗漏で、沈床の押えに使用しましたコンクリート・ブロックは、コンクリートの配合が粗悪で、寸法も小型で、その上施行個数が設計の半量にも達しないために、完成直後再び水害を受けまして、流失崩壊するという状況で、しかも国庫補助金以下の金額で工事が施行されまして、事業主体はその負担分を負担していないのみか、かえって余剰金を生ずることになっていたというのであります。関係者からの説明によりますると、工事に未経験な受益者が工事を実施し、しかも指導監督が不適当であったためにこのような事態を発生したのであり、きわめて遺憾でありまするが、工事完成直後に再び流失した点につきましては、ただ単に粗漏工事に起因するというのみでなく、たび重なる水害あるいは河川水流の変動等によりまして河相が変化していたというような点、これに対しまする対策が十分でなかったために、河川の他の部分の被害と相待ちましてこのようなことが発生したと考えられると述べております。負担不足に関しましては、まことに遺憾であり、かつ、本工事は経理の帳簿も不備で、工事費の実態が正確に把握されていないことは残念である旨の説明がありました。  事後の処置といたしましては、手直し工事を、先に工事を施行いたしました受益者の負担で施行いたしましたが、従来の頭首工の形状が実情に即さないために、新らしい設計に基きまして全面的に工事を施行し直し、検査院の手直し検査も完了しておりました。  本件に関しまする所見は、まず第一に、工事に不なれな受益者に工事を施行せしめまして、しかも事業主体側あるいは県側の工法、経理等に対しまする監督指導が不適切であったことが、事態発生の第一原因と思われます。この点今後の改善が切望されます。また、本工事の場合、部分補修の粗漏のみを取り上げる傾向がありますが、河川の状況の変化も再流失の一因であることを考えまするならば、今後は本河川に限らず、河川の状況全般も考慮しまして、総合的な方策を講じない限り、大量出水の場合には常に同様な問題を惹起するおそれがあると認められます。特に工事が部分補修の場合で、補修部分流失の原因が悪意によらないものでありまするときには、特に考慮に入れる必要が痛感されたのであります。なお、受益者、農協等が工事を施行しまする際には、帳簿が整備されておらない例が多々ありまするが、この点に関しましては、事業主体側、または県当局の適当な指導が切望されます。  以上、簡単でありまするが、今回の現地調査の結果を御報告申し上げました。  なお、最後に一言述べさせていただきますと、会計検査院の検査につきましては、夜間懐中電灯を持ちまして検査を継続しました例もありまして、かりに不正を指摘されました場合にも、このような熱心な態度は関係者に感激を与えまして、かつ反省への指針となっておりまする状態でありまして、この点、会計検査院職員の熱心な検査の状況に敬意を表した次第であります。  以上、報告を終ります。
  65. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまの御報告について御質疑ございませんか。——ないと認めます。  これをもって委員派遣報告は終りました。  なお、書類報告は、本日の会議録末尾に掲載することにいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  66. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  次に、農業共済再保険特別会計を審議いたします。検査報告批難事項は第千七百九十九号から第千九百六十九号までであります。本件に関し御出席の方は、中川検査院第四局長、農林省、渡部農林経済局長、同じく丹羽農業保険課長、同じく川戸理厚生課長の諸君であります。  農林省から概括的な御説明を願います。
  67. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ただいま議題に供されました農業共済再保険特別会計事項でありますが、昭和二十九年度の分として指摘されましたのは、検査院からの報告にございます千七百九十九号から千九百六十九号まで、二百四十三ページ以下に掲げられておるのであります。  問題になりますのは、御承知のように農業共済保険制度は町村の組合連合会——町村で各農家に組合が共済金を払い、それを連合会で保険し、さらにそれを再保険特別会計で再保険する、こういう建前になっておるのでありますが、法律に定められます制度の運用に当りまして、共済金の支払い方がまずい、あるいは共済金と共済掛金とを相殺する、あるいは共済金を全然払わないで目的外に使用する、そういう点を指摘されておるのであります。町村合併以前におきましては一万以上の共済組合がございました。町村合併に伴いまして順次合併を進めてきておりますが、現在におきましてもなお六千以上の組合を存し、順次市町村の数に合わすことにしておりますけれども、ここに御指摘がございますように、ただいまの各事項をそれぞれ集計いたしますと、調査共済組合四百九十二に対しまして、四百十四の組合が何らかの不正あるいは不当の運営を行なっていたという指摘を受けておるのであります。私ども共済制度を運用する責にある当局といたしましては、実に遺憾に存じておるのであります。これは昭和二十二年に、戦争前の農業保険制度から新らしい制度に移り変わったのであります。制度の内容が非常に複雑であります。一筆々々のたんぼについて共済の引き受けを行い、全国を合わせますと八千万件の筆数になるのであります。それらを先ほど申し上げました組合あるいは連合会でくくってやっておるのでありまして、終戦後の社会経済状態の混乱があったとはいえ、こういう事態を起したことはまことに遺憾であると思います。私ども当局としましても、これが逆になりまして、四百九十二のうちの四百十四がよくて、その残りが悪いというのであれば、これはまだ励みがつくのでありますけれども、それが逆でありまして、悪い方が多い、こういうので実に遺憾に存じておるのであります。私の方としましては、ただいま申し上げましたような運営の点について、府県当局あるいは組合当局の実際の指導にも当っております。しかし制度それ自体としてもっと六百万農家によくわかるような方法はないかということでいろいろ考えておりまして、今度の国会に改正案を出したいと、こういうふうに考えております。  その点を簡単に申し上げますと、今までは反別で引き受けておったのを一筆ごとのたんぼのできる収量石数で共済を引き受けるようにしたらいいじゃないか、それから損害評価等につきましても、せっかく統計調査部という組織があるのでありますから、それをもう少し活用いたしまして、ただいままでは統計調査部が食糧供出という、強権供出という政府の政策に相当利用されまして、統計調査部と農家との利害が相反するというような状態が起きまして、なかなかうまく運用できなかったのでありますが、そういう食糧供出の面も、予約供出制度ということになりますし、さらにまた町村合併によりまして、これらの制度の組織の利用も可能になるということもありますので、損害評価についても改善を加えたい。それからさらにまた、この制度ができましたときには共済組合と経済行為——米の販売、肥料の購入をする、あるいは貯金を預かる農業協同組合とがうらはらの関係等で運用されておりまして、たとえば掛金は組合の貯金から差し引くと、あるいは共済金は組合の貯金に振りかえ払い込むと、そういうふうなことをやると同時に、組合の役職員等が協同組合と相当共通に使われておると、これが町村合併に伴って共済組合が合併しますけれども、農業協同組合はそれぞれの財政状況あるいは事業関係で簡単に合併ができない。どうしてもそういう協同組合と共済組合のうらはらの運営ができなくなってきております。そうしますと、災害の少い市町村あるいは耕地面積の比較的少い市町村では、共済組合独立の運営ができなくなる部面も相当出てきつつあります。そういう場合には市町村でこの共済組合の事業をやるようにしたらというふうな、いろいろな改善を考えております。一方、もし経済状態の落ちつきと、そういった制度改正によって抜本的に、どうしても日本の地理上災害を免れないのでありますから、免れないのならば免れないでそのしりぬぐいは、法が定めた適正な運営ができるように変えていきたい、こういうふうに考えておるのであります。  お手元に昭和二十八、二十九年度決算検査報告掲記事項の事後処理状況調という表を差し上げておりますので、簡単にそれを、批難事項に対する処理事情を書類で御報告いたしておりますので、一々御説明をいたすことを省略させていただきたいと思うのであります。以上、私の方からの概括的な説明は終ります。
  68. 三浦義男

    委員長三浦義男君) これをもって概括的な説明は終りました。御質疑がある方は順次御発言を願います。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 先にも申しましたように、私はまあしろうとなんで、いろいろ専門的な知識が不十分でございますから、突拍子もないこと聞くかもしれませんが、了解をしていただきたいと思います。  この前の視察旅行で広島県の安村というところへ参りますと、これは非常にまあ勉強になったわけです。農業共済組合のことについては今までいろいろ聞いておりましたが、やはり百聞は一見にしかず、ことに県の農地課か農林経済課の説明を聞き、それから県の連合会の説明を聞き、それからまあいよいよ現地に乗り込んだわけです。そうして視察が終ってからそのあとで、ちょうど傍聴に何人かの農民の方が見えておったものですから、その農民と懇談したのですが、この県の説明と、それから現地の農民の話とでは相当な食い違いがある、実態の一端に触れたんじゃないか、こういう感じがしたわけです。そういう中で、この報告書にもありますように、一番問題になりましたのは、最後に、一体この共済組合というものはあった方がいいのか、ない方がいいのか、こういうような点について率直に聞いてみますというと、結局、今のままならない方がいい、こういうことを言っているわけです。これは率直な農民の偽わらざる声じゃないか、こういうふうに思うんです。ただいま、局長説明を聞きますというと、会計検査院調査では、四百九十二件のうち四百十四件がとにかく何らかの意味で不当である、そうして掛金もなかなか払っていない、共済金の渡し方も非常にこれは円滑に行われていない、あるいはまた目的外に使用している、こういうような形、この統計と農民の言葉というものはぴったりと合うんじゃないか、こういう感じがしたんです。そういう点で、これはもういろいろくどくどお聞きしなくてもいいと思うんですが、念のためにお聞きしておきたいと思うのは、共済組合が現状に合わなくて、農民から遊離して、うまく運営されないという一番の原因ですね、これをどういうところにあるというふうにお考えになっているか、これをどのように局長さんはつかんでいられるか、ここは非常に重要だと思うので、この点について最初にお伺いしたいと思うんです。
  70. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これはいろいろあると思いますが、まず根本は、共済というのでありますから、損害があった人を損害がない人が助け合う、で、組合を作りまして、これは強制加入であります。その助ける方法としては、それぞれ持っている耕作反別に応じての掛金をかけることによって損害ある人を助ける、それを先ほど申し上げましたように、強制加入でありますから、強制するというのであります。従ってそこにまず根本的な問題があると思います。他人を助けることを——はっきりするために申し上げますが、強制しているのでありますから、村に住んで水田を耕やす限り、損害が起れば、自分の田に損害が起らなくても他人を助けなければならぬ、こういうところにまず根本的な問題がある。あと運営上の問題であります。それは損害が起りました場合に、三割以上の被害をこうむったたんぼに対して共済金がもらえるということになります。その三割以上の損害があるかどうかということを認定することについて非常に困難があるわけであります。なぜかと申しますと、各たんぼにつきまして一応それぞれ一筆ごとの基準数量というものをきめなければなりません。ところが、基準数量とはそもそも何かといいますと、これもやはり仮定の問題になるわけであります。過去何ヵ年間かの平均をとりまして、これがこのたんぼの基準数量である、もう少し専門的に言うとくわしくなるのでありますが、簡単にわかりやすくするために申しますとそういうことになります。ところが、それぞれの農家が今度損害をこうむった場合に、周囲のたんぼも同様に損害をこうむれば問題ないのでありますが、村の中である部面は、たとえば旱魃の場合、旱魃にかかるところは非常にひどい旱魃だけれども、かえって旱魃のような年によくできるたんぼが同じ村の牛でもあるわけであります。そうしますと一応基準数量はきまっておりますけれども、やはり個々の農家としては、旱魃なかりせばもっととれただろうという期待の基準数量を頭に描くわけです。そうしますと損害評価の場合に、損害評価をできるだけ多くしてくれなければ困るということになります。で、損害評価は一応組合の損害評価員がたんぼを回りましてきめるのでありますが、その際に、やはり何といいますか、化学分析あるいはレントゲンで見るとか、そういうように客観的に見ないのでありますから、どうしても地元で損害評価いたしますれば、損害の額が多く出るわけであります。そうしますとそれが組合から連合会に行きまして、連合会ではこれを全県を見まして、バランスをとって、組合で出てきた損害評価を査定する、それをさらに今度再保険をもらいにくる場合には、農林省の方におきましても全国的な作況というものをもとにして評価する、そうしますと当初組合で三割以上の損害といって出したものが、いよいよ再保険金をもらう場合には、その当初組合できめたところまではこないわけです。で、これが会計検査院指摘されておりますように、当初三割以上の損害として組合が出したやつが、連合会の査定で落ちますと、一ぺん組合で書類を出して、組合の総会なりあるいは組合の寄り合いで評価しているやつが、保険金が来たときに、お前のところは査定で落ちたということができないから、当初組合できめた三割以上のたんぼにも配る、ところが、実際にはそれは三割以下に損害評価はきまったのだからやっちゃいけない。そこでしかし組合当局としては仕方がないから、当初出した、実際最後にきまった三割以下の分にも配る、こういうことが出てくるのであります。それが一つ、組合の運営としては非常にわずらわしい。  それからまた、そういった当初保険金がもらえると思ったのがもらえないということになりますと、組合の運営について非常に紛議が起る、こういうことになるのであります。そういう問題は運営上あるいは技術上これはむずかしいから、こんなめんどうなことよりも簡単に、災害があったときには政府から補助金をもらった方がいい、こういう意見が出てくるのであります。  それからさらにこれは町村の組合の中のことになってきますが、各町村に強制的に組合を作っておるのでありますが、地帯別に見ますと、ある地帯ではほとんど災害がない府県があるわけであります。そういうところは、掛金をかけるばかりでもらうのが少いから、もうこんなものは要らぬじゃないかという声が相当出てくるわけであります。たとえば北九州等のように、毎年何らかの台風とかいうようなものが出てくるというところでは、この制度はどうしてもなけりゃいかぬと言う。新潟のようなところはほとんど災害がありませんから、もうこんな制度は要らぬ、こういう声が相当強く出てくる、そういうこともあるのであります。  そこで私の方では、先ほど申し上げましたように、そういう点をにらみ合せまして改正案を考えておるのであります。いずれにしましても、日本の国に災害は避けられないのでありますが、しかしその災害に応じての損失補填ができることは考えなければならないのであります。この共済制度以外により効果的な制度があれば別でありますが、私ども今まで考えておるところでは、やはりこの制度を改善して、そして日本の農作物の損失補填をすることが一番いいのではないか、こういうふうに思います。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 いろいろ説明がありまして、それでまた両院の農林委員会で、これに対する意見書がすでに二十九年度ですか、二十九年度出されてこれに基いての改正案というようなものも考えて、いよいよ今国会に提案される、こういう段階になっておるようですが、今のあげられた理由、これはまあ大体いろいろな点で理由になると思うのですが、どうでしょう、事務ですね、事務系統の中でずいぶん問題が出て来ておるのではないか。実はある農村では共済金のことを配当金といっているそうですが、配当金、それは村のボスが行って官僚とけんかをしてひったくって来るのだ、それを幾分渡す、それが共済金というような形に考えておる。全然共済というかっこうで、考え方でなくて、従って自分たちは掛金をかけない、そして災害があったときには当然これはもらえるのだから、その恩沢に幾分でもあずかっていけばいい。こういうような考えで、全くこれに対する共済の精神というようなものが欠けている。しかしこれは農民を責めることはできないので、運営の仕方が、一つ制度の欠陥の問題と、一つは今言ったような運営の当事者が、こういう問題を、つまり一つの地方支配のかてにしておる、あるいは食い物にしておる、こういう事態が非常に起っておるんじゃないかというように考えられるのです。第一、事務費の点を見ますと、これは相当莫大なものになっておる。広島県で調査したのでありますが、国家の負担は一応三分の二となっております、三分の一はこれは単位組合の負担ということになっている。しかし実際はなかなかこんなことでは済まない。それでいろいろ今話のあったような煩瑣な調査の手続があったり、まあ人件費が結局要る。それから人も相当備えなくちゃならない。われわれの聞くところじゃ、大体一組合で全国平均してみれば、三・八八人くらいの要員が要る、こういうことになっておる。そうすると、その人件費をまかなうということは莫大なことになるので、結局国家の三分の二の事務費負担では、とてもやっていけない。従って農民から掛金として徴収している、そうして大体そういうような割合を考えてみるというと、反対に順位が変っちゃって、そして国家の負担は四割、六割が実はそういうような組合の負担という形になっておる。掛金は非常に取られるけれども、利益が非常に少い。そこに一つ大きな問題があるんじゃないか。広島県の例を見ますというと、これは県庁で調査したのでありますが、大体今度の保険料の総額は全県で約八千万円だと思います。ところが人件費が驚くなかれ一億三千万円、そうするとだれのためのこれは一体共済組合であるかということが、この数字の中にはっきり出ていると思う。農民に戻っていく金の八千万円に対しまして、中間のその事務に携わる人たちが約その五割増の人件費を食っている、これは一体だれのための共済組合かということが明白に出ているのじゃないか、こういうところに非常にやはり問題があるんじゃないか。これはまあ制度の中での問題で運営関係することでありますが、こういう点は、これは局長さんとしてはむろん認めておられることでしょうね。
  72. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 御指摘のようなところはあると思います。やはり全国的に見ますと、組合の運営費、すなわち職員俸給、事務費等と共済金の額では共済金の方がうんと多いのであります。しかし県別に見ますと、先ほど私が申し上げましたように災害の少い県では支払共済金が、これまた年によっても違いますが、非常に少い場合があります。それから今の組合運営費、すなわち人件費、事務費は、これは掛金でなくて賦課金で取るわけです。それが実は私の方で人件費の三分の二という計算基礎が出ておりますが、これまた組合によって非常に違うと思いますが、いわゆるベースアップ等の関係があって、三十二年度の予算に初めて補助職員のベースアップをみてくれましたが、今までは補助職員に対するベースアップをみておりませんから、実際の組合の中においては御指摘のようにあるいは三分の二の補助が半分とか、あるいは極端な場合は御指摘のような場合があるかもしれません。これは私が回った町村におきましてもいろいろでありまして、気のきいたところでは、町村吏員のベースアップに応じて上げているところもあるし、それからずっと据え置きのところもあります。広島の御指摘になった例については、具体的に資料で調べないと的確なことは申し上げられませんが、御指摘のような点は私どもの方でも認めております。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この面の問題が非常に運営を妨げている原因になるのですね。あまり利益のないのに相当賦課金が多い、そこに掛金も払わなければならないということになると、これはいや気がさす、こういう形になるので、こういう点では事務費については、これは運営の問題で、どういう希望か何かあるわけですか、今後経済局としては。今まで国庫負担が三分の二ということになっているが、実際はこれは五分の二にしかなっていない。そういうことで地方の負担が多くなってくる、そういうことのためにこれが一つ妨げになっていると思いますが、こういう点は、これはたとえば、そういうものを国家の要員として国家でもう少し事務費を多く捻出するという点は要求になっているわけですか。
  74. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは非常に農林省としてはむずかしい問題になっているわけであります。つまり保険——こういう何というか、自然の災害に対する損失補償を農民の団体に任せて置いていいのか、あるいは国が全部やるべきか、こういう根本の問題になってくると思います。そこで今は国家から補助をして農民の団体でやらすということになっているのでありますけれども、御指摘のように県ごとにくくっておりますから、あるいは町村ごとにくくっておりますから、どうしてもそういういびつといいますか、過不足が出てくるわけであります。先ほど私の説明では新潟県を例にあげたのでありますが、広島や岡山も比較的災害の少い県でありまして、やはりそういう問題が起ってくるのであります。しかしこれらは先ほどちょっと私が申し上げましたように、どうしても農民の団体でできないであれば、強制加入の団体でありますから、一つの行政事務的に市町村にやらせて、そうして市町村でまかなっていく、その費用は交付金なら交付金の財政需要の算定の中に入れる、そういうふうなことも考えなければいかないのであります。そういう点も今度の制度改正では十分取り入れて改善していきたい、こういうふうに考えます。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 むろんわれわれは官僚統制的な方向に政策を進められることは、非常にとれは工合が悪いと考えるわけです。しかし、そのことと何も国庫の補助をちょうだいするという問題は一緒にはならない。運営のし方で何とでもできる問題だと思うのです。とにかく今の事務費の現状においては、そういう問題があるということは、これは局長さんも認めておられる問題だと思うのですが、問題は、そういう掛金とか負担金を少々出しても、ほんとうにこれは農民の利益になると、自分のものにやはりしたいという、こういう意欲があるとすれば、問題は大した問題にならない。根本の問題は、農民があのとき話していましたが、第一に掛金が、利益に反して、それにふさわしいような形でなくて強制的に取られる。それから、三割ということではどうも工合が悪い、もう少し損害が少い場合でも何とか補償の対象にならないものか。それから、共済金の支払いが非常におくれてしまう。全くもう時期がはずれて、一年も一年半もおくれて、忘れたころにくる。しかも、それがほんとうに災害の実情に合った形でなくて、めんどうなことになる。さっきの調査のときの困難な条件が出されましたように、その村を見ましても、一様に村が全体被害を受けているわけじゃない。しかしながら、調査のときには、なるたけ被害を大きく出したい、こういう希望があるわけだから、調査員が、部落なら部落の要望でそういう過大な見積りをする、それを切られる、一方にはくるが、一方にはこない、こういうことでは運営が困るから、反当でこれを平均化してやってしまう、こういうことになるというと、災害の実際の補償というやつは行われない。そういう点で、非常に不満がある。こういう点がとの制度の中に非常に多いように見られたわけです。  そこでお伺いしたいのですが、今度のこの改正案の中で、災害の調査の面と、それからそれにふさわしいところの共済金をそこに支給する、そういう面で十分に——むずかしい問題だとは思います。これは世界各国の例を見ても非常にむずかしい問題だと思いますが、ことに日本実情はなおむずかしい問題を持っていると思うのでありますのですが、そういう点で、今度の改正された問題で、たとえば一筆建の今までの制度を、今度は反収できめるとか、それから統計調査部をまた活用するとか、こういうことを出されましたが、さらにこれと関連して、無事戻し制度のようなもの、そういうものについてはどういうふうに考えられますか。
  76. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 無事戻し制度につきましては、現在の法律の中にもあるわけでありまして、しかし現在の法律では剰余金が積み立てられてある、その剰余金の範囲内において一定年数共済金をもらえなかったものにその剰余金の範囲内で払う、こういうことになっておるのです。実際には全国ほとんどその剰余金を持っておる組合はないのでありまして、行われてないのであります。これを制度的にどうしても無事戻しをやるといたしますれば、無事戻しができる財源を得るために、掛金を増すなり、あるいは負担金を増すなり、そういうことをやらなければいけないのでありまして、今度の改正につきまして、当初私の方で出した案には、それを入れておるのでありますが、共済団体なり、あるいは専門家の意見では、この際、そうでなくても掛金が多過ぎるので、掛金の大ざっぱにいいますと約半分ぐらいが国庫負担になって国庫から補助されている状態でありますから、無事戻しをやるためにまた掛金を増すことはしばらく見送ったらどうだというのが大方の意見でありますので、この点は私の方では大方の意見に従って、次の機会に譲ったらどうか、こういうふうに考えております。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ制度としてはあるのだが、実際行われていない。行われていないのは、今までの財政の状態だと思うのですが、こういう問題とか、事務費の問題を見ますと、やはり国家がこの制度をほんとうに農民の利益に合致させるという方向では、結局そういう点で、予算面でこれは十分だというふうには考えられないと私は思うのです。結局、今言ったように、無事戻しをやるためには掛金を高くするということでは、何にもならないと思う。元来これは、国家補償の面と、それから保険と、この二つのものをかみ合せたような、実は制度としてはヌエ的な存在だと思う。これは完全に国家補償というような形になれば、もう少し国家の予算を高額に見て、完全補償の方向に持っていく、そういうようなものでなくちゃならないと思う。ところが、そうでもないし、半分は保険的なものだというようなことで、実に不完全なことになっている。そうして、実際そこにさっきの中間のいろいろな形での流用が断るとか、あるいはボスの食いものになるとか、こういう格好で、下の実際の農民層にはこの利益が及ばない、こういう問題が大きく出てくると思うので、やはりこの無事戻し制度なんというものについては、これはいろいろ反対もあるということは私も聞いているのですが、相当これは農民の要求を基礎にしてこの問題を考えないというと、この点は徹底しないのではないかと、こういうふうに考えられるわけです。こういう問題については、まあ法案が出されてからいろいろ検討したいと思うわけですけれども、これはどうなんですかな、経済局としては、この無事戻し制度はやはりやらないという建前なんですか、その点はどうなんですか。
  78. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 先ほどお答えいたしましたように、もう少し研究して、農民の負担とのからみ合いでありますから、次の機会に譲ると、こういうことになっているのであります。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、この賦課金とか掛金の予納制度とか、分割とか、そういう問題についてはどう考えられますか。
  80. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) たとえば、今すぐ私どもが実施いたしたいとこう思っているのは、食糧供出の予約の場合に概算金をもらいますから、その中から払える人は払ってもらう。あるいは、お話のような分割納入、あるいは予納、こういうことについても、これはまあ組合の管理者のしっかりしているところでは、相当やっているのであります。そういうものも、ある程度制度的に取り入れてみたいと、こういうふうに考えております。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 この制度につきまして、ここで詳しくいろいろ触れることは、私の質問の筋でもありませんから、これは法案が出てからにいたしまして、今までのお話をお聞きして大体明らかになったことは、農民の利益にほんとうに合致してない。それで、事務費一つをとってみましても、関係者に食われ、あるいはボスの食いものになっていると、こういう形が非常に多いと思うのです。この安村で指摘されたやつを見ましても、結局目的外流用というようなことになっています。これはこの前、中野委員から報告した問題なんですけれども、県の監督も非常に十分でありませんな。それであの指摘された事項から言ってみますというと、最初の百何万が五十何万で食いとめられたということになっているんですが、行ってみまして実際預金通帳を見ますと、さらに二十万ぐらいだと思います。正確な数字はないんですけれども、これは食われているんですね。それをよく見るというと、やはり一つは飲み食い費じゃないですか、飲み食い費。それから事務費にもいっていますが、そういう形で、ほとんどこれは今のところではボスの食いものという格好に運用されているのが実情じゃないかと思うのです。ここに私は次の多久島問題との関係でお聞きしたいのはここなんだが、つまり多久島問題というのはああいうふうな端的な形で現われまして、そしてまことにあれは芳ばしくない問題、こういう格好で現われたんですが、単にあれは多久島の綱紀紊乱というような、そこだけの、表面だけの問題でなくて、実は共済組合が持っているいろいろな不十分な性格、このものと非常に多久島事件というのは私は関係がある、こういうふうに見るのですけれども、この点はどういうふうに多久島事件というのを性格的に経済局長は把握されておられますか、その点をお聞きしたいと思います。
  82. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは何と言いますか、法律で定めた制度制度を運用する担当者、その関係でありまして、いかにいい制度ができましても、それを運用する担当者がますければ意味がない。この農業災害補償制度は法律的には実によくできておるのでありますが、ただいま御指摘のように安村のような場合でもボス、ボスとこうおっしゃられるのでありますが、やはり運用を農業団体でやらすということになりますれば、団体の中から選任した理事者が運営してもらわなきゃいかぬ。その理事者が職員を使ってやるのでありますから、その問題が解決できないと、何といいますか、どういう制度を作りましても問題が残ってくるんじゃないか、こういうふうに考えます。ただいまの多久島事件の問題もやはりこれは私どもの方で一言も弁解の余地がないのでありまして、役所の中の組織が上下、左右に分担になっておるのでありますが、そのそれぞれの部署の人が必ずしも百パーセント動いていなかったところに、こういうことが起ったんじゃないか、こういうふうに考えるのであります。その点は局長が先頭に立って、局員を、課長、班長、係長、係員ということを一人で全部みるわけにいかぬのでありますが、それぞれ分担に血が通うように運営しなくちゃならないと思います。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも私の質問しているところとだいぶ食い違っているんですが、私は制度そのものの中にああいう廃頽を起す原因があるんじゃないか、そういうふうにお話をしたのですが、局長さんは制度は非常に完全なものでりっぱなものだ。しかし運用の人間に要を得ないからということを言われたけれども、完全なら改正する必要はないんです。第一に、不完全でしょう。不完全だ。この不完全なところに今度の改正のメスが深く入るかどうかということは、これはわれわれが見なくちゃならない。だからこそ両院が決議を二十九年度に出したし、それから当決算委員会でも二十八年度にやはりこれに対して意見書が出ていると思う。そういうような世論の結果、結局法案を改正しなくちゃならない。ただその法案の改正が、今の多久島事件のような腐敗を起す、そういう要因を断ち切ることができるかどうかということが、これは政治的に非常に私は重大な問題だと思うのですよ。だからその点少し話がずいぶん私の質問の趣旨とは食い違っていると思うのですが、事実はあなたが認めていられることになると思うのです。こういう点で、たとえば多久島が、農林省の綱紀紊乱という問題は確かにあった。そうして目に余るような事情があったらしい。しかしかりにこれは茨城県の共済連合会の会長というそれを受ける側のものがなかったら、それは発生しなかった。ところがこれを受ける側のものは何かといったら、やはりさっき私がお話しましたように、この農業共済制度というものは食い物にされている。食い物にするような形で実は公金の横流しを、公金の不正な使途をやって、その上に立って利益を彼らがそこでやろうとしている。こういうものと結託して初めて行われたのであって、農林省の内部の問題だけでこの問題は私は解決はできないと思う。そういうような意味から制度との関連というものを明確にしなければ、これは少くとも政治的な追及にはならぬと私は考えておるわけです。そういう点でやはりもう少し局長さんは今度の改正の案の衝に当るとすれば、もっと問題の本質をはっきりつかむということが非常に私は大切じゃないか。そういうことは説明書を見ますというと——多久島事件の当委員会からの要求に基くこの不正事件の概要というこれに出ておるものを見ますというと、農林大臣の訓辞とか通達とか、それから関係者の処分とか、この処分もあまり大した処分でないと思うのです。右から左の方にちょっと地位をかえたぐらいのところですから、これは大したことではない。減給なんかでも、国民がこの問題に対して、実は国民の世論を震駭させた問題です。こういうことにこたえているかというと、こたえているということにならぬ。そういうことでお茶を濁している。その程度にしか出ていない。こういう点で追及の仕方が私は弱いと見るのです。こういう点で、この報告書にもいろいろ私たちは問題があります。  これについていろいろまた質問したいことがあるのですが、ちょうど刑事局長さんが見えておるようですから、時間をとらせるのも悪いですから、その方を先にやってしまいたいと思います。私が法務大臣を要求したというのは、実は多久島事件というのは、先ほども申しましたように、非常に国民の疑惑の的になった。なってそれで済んだか、済んでいない。これは今騒がないから——だんだん人のうわさも七十五日と、下火になったからこれでそっとしておくというような問題じゃないか。国民の意識の底には、この問題は忘れることのできない一つのこれは危惧として残っている問題なんです。ですからこの問題を徹底的にやはり解決するということが非常に重要じゃないか。この点で、実はこの石橋内閣が今度の五大政策の中で綱紀粛正の問題を出しておるわけです。そうして五カ条の御誓文じゃありませんが、五つの政策の中で大きくうたっている。ことでこれは石橋内閣で、内閣がかわったからこの責任はどうだこうだといえる問題じゃない。これはやはり自民党の治下における問題です。そうしてこれはやはり政策は継続されている。そういうような意味から言いましても、この問題は、やはり私は国民にかわってこの際、やはりこの処置について明確にしなきゃならぬ一つの問題は何かと言えば、そういう損害を与えた、現実に与えた。そうしてその損害は補償されていない。そういうような損害、実害についてどういうふうに一体今後の補償の道をはっきりとるかということが一つの問題である。それからそれにもまして大きいのは、この日本の官吏制度、農林省に表現された、いろいろな多久島事件に表現された綱紀紊乱の問題、しかもこれがみな一人の名もない一事務官によってあのような大きな公金の横領が行われておる、これは重大問題だと思うのです。そういう意味で、今これは刑事事件になっているわけでありますが、私はこの刑事事件について、法務省としては今どういう方針をとっておられるか、刑事の、今裁判の進行中でありますから、そういう微細ないろいろなことを私はお聞きしているのではなくて、ただ一つの刑事行政として、どういう方針で新しい石橋内閣の政策との関連で、どういうふうに今この問題を明らかにしようとされているか、それからこれにあまりもう時間をかけて、底なしのままにしてしまったのでは話にならないので、相当この問題はなるたけ早い機会に国民の前に明快にこの処置について明らかにする必要があると思うのです。そういうような意味から、刑事行政の立場から考えても、これはどういう方針を持っていられるか、それから今どういう経過をたどっているか、このあらましについてお伺いしたい。これは政治的な問題につきましては、むろん大臣の出席を求めて、この点は明らかにしたいと思いますから、委員長におきましては、その点を確認しておいていただきたいと思います。
  84. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) いわゆる多久島事件につきましては、昨年六月二十八日以降数回にわたりまして詐欺公文書偽造などの罪名のもとに、東京地方裁判所に公判を請求いたしまして、現在まで二十一回ほど公判を開廷して引き続き審理中でございます。起訴状によりますると、編取金額は合計して七千九百二十六万千二百二十五円でありまして、とのうち多久島が取得したものは六千七百五十六万二百二十五円という金額になっております。とれらの金につきましては、あるいは料亭でありますとか、貸席であるとか、運送業などの事業に投資するほか、女性関係あるいは自分の生活費、遊興飲食などに使ったのでありまして、騙取金額と多久島の取得いたしました金額との差額の千百七十万円は共犯である大津、加倉井、江黒、園部というような外部関係が使ったということになっております。この調べの経過におきまして、多久島の監督官といいまするか、上司の係長、班長、課長、局長というような十数名の者が問題の原議にハンコを押しておるのでありますが、ほとんどが、ほとんどというか、全部がめくら判といいますか、ハンコを押しただけで十分な監督の責めを尽していない状況でありますので、私どもといたしましては、かような補助金交付の手続につきましては、上司が十分監督してもらいたいということを関係部局に申し入れをしております。なお、私どもといたしましては、この補助金交付関係にはとかく問題がつきまといますので、先般、補助金の適正化にかかわる法律も出ましたし、まあ私どもの手だけでは全部の粛正はできませんが、行政各部の自主的な監査と相待ちまして、検察関係におきましても不正の点は大いに追及いたしまして、補助金が適正に行われるように努力するよう、すでに起きました事案につきましては、今厳重に検挙処罰するという方針で、全国的にその不正を追及する態勢をとっております。法律施行後の現状では、ただいまのところ一件だけが起訴になったのでありますけれども、引き続き取調べは各地でやっております。かような状況でありまして、補助金関係については特に厳重にやりたいということで努力いたしますと同時に、先般来私どもの方の検察長官の会談におきましても、大臣が各長官に、汚職事件につきましては十分追及するようにという訓辞をされたわけでありまして、官吏の汚職等につきましては、今後ともなお一そう努力いたしまして、粛正の実を上げていきたいというように考えております。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは今のところまだ一件ですか……起訴されていないのですか。これは追起訴になる見込みですか。
  86. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) ただいまのところは起訴されたのは一件でございます。なお各地で引き続き調べておる事件が数件あります。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいずれその全貌については発表する時期がくるわけですな。
  88. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 私が申し上げましたのは補助金の適正化法で起訴いたしましたのが一件と申し上げたので、官吏その他の使い込みでございますとか、詐欺したとかいうような刑事事件につきましては相当件数検挙もいたしますし、起訴もしております。補助金適正化法は三十年九月二十七日の施行でありまして、三十年度の予算の分から適用になっておりますので、その後の分について検討を加えてその結果起訴になったのが現在まで一件でございます。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 多久島の問題についてお聞きしたんですが、多久島の問題についてはいろいろな問題があったわけでしょう。それが全貌はつかまれているわけですか。
  90. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 相当長文の公判請求書でございますが、読み上げるのも大へんでございますから、もしあれでございましたら印刷いたしましてお配りしてもよろしいかと思います。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、そうしていただきます。  あとは、これは大臣にお聞きしなくちゃわからん問題ですから、局長さんはこれでいいと思うのです。あと局長さんの方はありませんから、この次でもぜひ法務大臣に出てもらいまして、これのところを明らかにしてもらいたいと思いますから、局長さんの分はこれでけっこうです。
  92. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  93. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を起して。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 では引き続いてあと二、三点。この報告書を見ますと、兵庫県問題のそもそもの発生になった——兵庫県に対しては今年九月、今年というのはこれは昨年ですな、三十一年十一月八日のことですか、昨年の九月に国から千二百八十万六千四百三十四円を兵庫県に交付した、こういうふうになっているわけですね。これはどういう予算のやりくりで交付されたのですか。
  95. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) その点は大蔵省に頼みまして、大蔵省の保留の金からいただいたわけであります。というのは多久島が兵庫県にやっておりますから、それを取り返しまして、それを一度国庫の雑収入に入れてそれを見返りに大蔵省の予備費の方から出していただいた。こういうことでございます。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、農林省の予算じゃないわけですな。どういう操作でこれはやったのですか。
  97. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これははっきり申し上げますが、農林省の予算の中に三十一年度に損害評価の調査をやろうという金が六千六百万円ばかりあったのであります。それが実際には法律の改正がおくれましたので、三十一年に間に合わなかったので、その中から大蔵省の了解を得て出したと、こういうことであります。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 この農業共済組合損害評価事務費補助金というのですか、ずいぶん長い名前のやつですが、これはどういうことをやる金なんですか。六千六百万円も予算に組んでおいて、それがそっくり残っておるのですな。
  99. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは実は、昨年の通常国会に改正案を出そうというので準備をしておったのであります。その法案が議会を通過いたしますれば、それに従って損害評価についてのいろいろなやり方を変えなければいけませんから、そのための費用として計上しておった。それが法律を昨年の通常国会には出さなかったものですから、本来ならば不用に立てるべき性質のものでありますが、たまたま全然新しく予備費を支出しないでも、その保留の分から出したらいいじゃないか、そういうことになったのであります。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 保留の分から流用したというような形をとったわけですが、で、これは本年度の予算を見ますと、これは三千万円に削られていますな。これは御承知でしょう、予算原案では。どうきまるかは別として、今度の予算原案では。昨年は六千六百万円。法案ができなかったから施行できなかった。それが保留の方に回った、そこから出した、流用の建前をとったわけですね。本年度はこれは削られた。そうすると、この金というのはどういうのですか。昨年度は六千六百万、しかし実施もしてみないで本年度三千万というふうに削られた。そうすると、これはあまり必要のなかった金、何か操作金みたいなものに見られるのだが……。
  101. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは昨年の——まあ済んだことでありますが、法律の改正の内容は、私昨年の多久島事件が起きて直後に経済局長に配置がえになったのでありますが、その後検討を加えて先ほど御説明申し上げた案とはだいぶ違った内容になっておるわけでありまして、従って案の内容が違いますれば違った金が要ると、こういうことになるのでありまして、私が今度の国会に提出したいというので今作成中の案をもとにしまして三十二年度の三千万円を要求しておるのであります。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ予算の新たな問題になるわけですが、どうもそうとは考えられぬですな。去年は六千万、法案ができなかったために保留になった。で、まあ多久島のようなところに流用されたと、こういう格好になったのですな。今年度はもうこれは削った。しかもこれは実施してみないで削ってしまったということになると、どうもこの点は私はちょっと納得しかねるので、こういうような点についてやっぱりもっとこの決算委員会は、これはいずれ会計検査院報告なんかもあると思うのですが、こういうところは明確にしていただきたい問題だと思います。これは会計検査院の方でタッチされておりましょうか、との問題は。いかがですか。
  103. 中川薫

    説明員中川薫君) 多久島事件のことですか。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 多久島事件にですね、兵庫県の方に千二百万何がしやったわけでしょう。その金の操作が昨年の災害調査補助費というやつから組んでおった六千六百万。ところがそれが実際は使われなかった、保留された。そこからまあ流用されているわけです。で、本年度はしかもこれは予算原案では削られてきておる。半分以下に、三千六百万も削られておるのですな。そうすると、そういう間の事情というやつは何か疑惑を持たれてもし方がないようなものが出てくるのじゃないかと思うのです。この点についてこれは検査院はどういうふうにタッチされておられますか、その点を。
  105. 中川薫

    説明員中川薫君) ただいまの点、六千何百余万円の分は三十一年度予算に計上されていたわけでして、まだ検査の進行中でございまして、実は私はこの兵庫県に不足分が交付されたということは聞いておりましたけれども、内容——どこからこういうふうに出たということは実は存じておりませんでした。今初めて伺いましたが、それの処置が正式に流用の処置が講ぜられたものかどうかという点も検討を要しますし、それから三十二年度にほとんど同一内容の費目で半減されて計上されておるというような点につきましても、なお検討しなければならぬことだと思います。今後の検査の上においてただいまの点も十分考慮いたしまして検討いたしたいと思います。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう話、ちょっとわれわれも聞いたんですけれどもね。どうも多久島事件というやつが起って実際穴埋めしなくちゃならぬと、それで結局まあ使わない金があったので、幸いによかったということになるのでしょうがね。こういう金が仮にないとすれば、これは操作上非常に困難を来たしたでしょう。おそらく大蔵省とまだそこのところが論争点になったかもしれません。で、世上に与える印象はこれはどうもそういう金で多久島事件の穴埋めをしているのだから、農林省はこういうふうに言われてもやむを得ないようなことが出てくるだろうと思うので、この問題については会計検査院の方でも十分やっぱりタッチして見てもらいたいと思います。われわれもその後の事情についてはよく注視したいと思います。  それからもう一つ、その前に今の刑事局長の話を聞きますと、刑事局長の話しでは多久島の横領した金というのは六千七百五十六万となっておりますが、それからこれの報告書によりますというと、四千六百八十七万——多久島がその後返した兵庫県分のやっと、それからまた、これはテレビを売ったのですが、その金の二十二万六千円を差し引くというと実損額これが四千六百八十七万一千円、こういうふうに報告になっているわけです。今刑事局長お話しを聞きますというと、多久島の横領した騙取した金額は、多久島事件全体では七千九百二十六万一千二百何がし、そのうち多久島の騙取したのは六千七百五十六万となって、だいぶ金額に食い違いがありますが、これはどっちがほんとうですか。
  107. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは何といいますか、多久島がいわゆる騙取したという金は、刑事局長が言った方が正確だと思います。これは裁判で調べたので。私の方ではそのうちから取り返しておるものであります。取り返しておるものを差し引いてここに計上しておるのであります。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 だって、この報告書によりますというと、一千二百万、それからテレビの二十二万、合せて約一千三百万しか取り返していないわけです。そうすると、今の刑事局長とこの報告書との食い違いは、二千万円あるのですから、その後七百万円、これは取り返しているわけですか。
  109. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは多久島が一ぺん、何といいますか、加倉井と共謀して支払ったというか、取った金は七千幾らになるのでありますが、その後四月の終りに千九百三十五万七千円というものを成規の手続で何といいますか、超過指令を出しておるということがわかりましたので、それの返還を命じてそのものはすぐ返ってきたのであります、茨城から。そういうものを差し引いて計算しておるわけであります。ですから、私の方の整理は何といいますか、国損、実質的にどれだけの国損を来たしておるかという整理になっております。刑事局長さんの方のお話しは、どれだけごまかして取ったかというところから述べられておるのであります。実質的の食い違いはないのであります。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 それについても、私がさっきあげたように、七百万ばかりちょっとわからないのですが、これは明細に数字を出してもらえばわかると思うが、騙取の総額というものは七千九百二十六万というふうにさっき言ったのですが、それは六千七百万円、そのうち多久島が返しておるのは、この調書では一千三百万円しか返していない、二千万円開きがあり、一千三百万取り返しているから七百万が明らかでない、とにかく返された金というのは総額でどのくらいですか。
  111. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 私の方の調べでは、七千九百二十六万、これは三十年度茨城県に行った金であります。今の刑事局長お話し、正確につかめておりませんでした。この点は明細をあとで差し上げた方がいいと思います。刑事局長お話しを伺いまして、それを聞き合せて差し上げます。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここのところははっきりさせていただきたいと思います。ここのところは長くなりましたので、私はさようにお願しておきますが、このような実害を取り戻せる見込みがあるのですか。これはこの前も大竹委員から質問があった問題ですが、これはどうなのですか。
  113. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 率直に申し述べさせていただきますが、その点で私どもも非常に頭を悩ましておるのであります。この前もちょっと申し上げましたように、何といいますか、投資をした会社が現在はもう存立しない、あるいは会社の名前だけ残っておって、実際の仕事は全然やっていない、こういうのが大部分でありまして、はっきりしておりますのは、だれの名義になっておろうと、とにかく不動産の格好で残っておるものが一番はっきりしておるのでありまして、それらにつきまして法務省訟務局及び弁護士等法律の専門家で法律上の裁判なりあるいは和解なり、そういうもので一番回収のできる方法を今進めておるのであります。なかなかむずかしい問題でありまして、たとえば家等も抵当に入っておりまして、競売にしたらいいのか、和解でとったらいいのか、こういう問題を今一生懸命で法務省等とも打ち合せしておるのであります。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 不動産分でどれだけ見込んでおるのかわからないが、とにかく途中で消えてしまった金がたくさんあって、その全額を取り返すということはおそらく不可能でしょうな。それは認めておられる。私はこの事件というものは性格としては大きな問題ではないかと思う。この問題はこれは国民は納得しませんよ。責任の帰趨が非常に不明確なんだ。どうも膨大な金ですわ。そういうものは、そう言っちゃ悪いけれども、官吏の係長でもない、班長でもない、もっと下の一事務官によって、その事務官というものの勤務成績というものはおそらくゼロでしょう。とにかくろくに出てこない、自動車を乗り回す、料亭を買い取る、インチキ商事会社をやる、そういうことであって、しかも他人の名義にどんどん変更してしまう。それと関係した共犯者が、ボスのようなものがそれを食いものにする。婦人関係というように出てきたのですが、こういう問題はもっと細かくやれば、これは背後関係は明確になる。こういう形で結局はつまみ食いのやり得だ。国民はそう言っているのですよ。悪いことをした方が得じゃないか。実刑何年か受けても、出てくれば隠匿した金が自分のところに戻ってくる。法的にはちゃんと抜け穴があって、そういう形になるのだ。こういうことでは国民道義も、綱紀の粛正も、何を言っても始まらないのじゃないかと私は考える。しかも農林省のこの書類を見ますと、大臣の訓辞、通達、こういうことをやっております。いろいろ責任をとらしておりますけれども、経済局長が農地局長にかわったのですか、そういうような横すべり、減俸、そういうことが少し行われる。そういうような形でこの問題は処理されている。ほんとうを言えば、これは農林大臣が辞職すべき問題だと私は思うのだ。それぐらいの性格を持った問題ですよ。これはとにかく綱紀の紊乱をやっただけの問題ではなくて、官僚制度というものに対して根本的な疑惑をやはり持たせるような問題で、これは非常に国家行政の上から見ても大きな損害を与えている問題です。そうしてしかも、国民の道義感に対しては非常にいろいろな悪影響を及ぼした。実害はこれは何百倍かわからないと思うのです。しかもそれが、当時、問題があがったときは騒ぐ。委員会でもそうです。何かあるというとわあっと寄る。この国会を見ていてもそういう感じがあるのじゃないかと思う。何か問題があると寄ってくる。しかし時間が過ぎてしまうとまたがらっと違ってしまう。多久島事件なんといったって遠い過去の記憶になってしまう。国民も新聞や何かが騒がないというと、それはもう忘れてしまう。そういうことをいいことにして、この問題というものが全く暗箱に入れられたような形でいつでもしり切れトンボに終ってしまうという形をとっておったら、そういう態度でいったら、どこに綱紀粛正が一体あるのか、この問題を処理することができるかという問題が出てくる。こういう点はやはり官吏の責任感の問題です。さらに、今言った農業共済組合の制度そのものに内在する、制度自身の持っているところの不十分さ、それを運用する現在の人的関係、それからいろいろの機構の問題、こういうところにいろいろあるのです。ことにボスが現在においてまだ農村を支配しておる。そうして、たとえばいろいろ被害の決定をするとか、あるいは共済金を配付するとき、そこで彼らは必ず利益を得る、そういうような形で食いものになっておる。こういう問題とこれは無関係であり得ないので、この点は非常に私は重大な問題だと思うのです。まあ決算委員会で私一人長時間まことに申しわけないと思っているんですが、幸いに委員長ほか皆さんのお許しを得まして、この問題をいささか——全くこれは表面しか、皮をなでるくらいのものでしかなかったわけですけれども、とにかくこういう問題でやっぱり今後決算委員会は努力をしていただいて、国民のやはり疑惑を解く、そうしてほんとうに国家の行政を正しい方向にやはり変えていくのだ、この気魄をやっぱり私は特に当委員会にも要望いたしまして質問を終りたいと思います。  ありがとうございました。
  115. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  116. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  ほかにまだ御質疑の方もあるようでございますが、もう時間も相当たちましたので、農業共済再保険特別会計に関する審査は明日続けてやることにして、今日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  以上で本日の審議を終了いたします。次回は二月八日金曜日午後一時から農業共済再保険特別会計及び国有林野特別会計を審議する予定であります。  これをもって委員会を閉じたいと思います。    午後五時二十五分散会