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説明員(
北島武雄君) 昭和三十年度の
防衛庁の決算につきまして、
会計検査院から御指摘を受けました事項につきまして、一応私より御説明申し上げたいと存ずるのであります。
今回の御指摘は、
不当事項といたしまして三十三番から四十五番までの十三件、
不正事項といたしまして四十六番から四十八番までの三件、計十六件でございまして、さらに
不当事項として指摘されました十三件につきましては、
工事の施行に当り、
処置当を得ないというものが四件、物件の購入にかかるものが九件となっておるのであります。
まず三十三番、
タンク工事の施行に当って
処置当を得ないというものがあります。
会計検査院の御指摘は、一度修理された
タンクを検収した後に油がしみ出たというのは、業者の選定がまず適切でなかったのではないか、それから作業に従事する者に不
適格者が入っているのではないか、それから
竣工検査は一つの
タンクについて行ったにすぎない。それからまた、
現場検査に当りまして、
漏洩個所の有無を発見するために使用いたしました
粉石けん液の張力、粘度等の重要な部分について明らかにされていないなど、結局
工事の監督、検収に当りまして適切を欠いたため、
工事の
施行目的を達しているとは言いがたい、というふうにされているものであります。
これらにつきましては、まず業者の選定の問題でございますが、この点につきましては、この道に経験ある業者六名を指名いたしまして、その
指名競争の結果、問題になりました
トキコ油器株式会社が落札したものでございますが、会社を指名に加えましたのは、この会社は当時、
本件工事に関連する
パイピング工事をこの地区において施行いたしておりましたので、
本件工事に必要な電力引き込みその他の
架設物をすでに持っておりましたので、これを入札に参加させた方が
防衛庁にとって有利であると一応考えたからでございます。それからまた、作業に従事する者は、当初
一級溶接工七名、中途からこれを九名に増加いたしておりますが、このほか
一級溶接工の資格を認められない者につきましては、単に
一級溶接工の
補助者としてこれを
山型鋼の取りはずしとか、
みぞ型鋼の
仮り付け等の
補助的作業に従事せしめた程度でございます。また
竣工検査に当りまして、
工事施行途上の
現場検査の際に四回ないし六回繰り返し入念に検査いたしておりますので、おもに
竣工検査に当りましては、
施行途上の検査の
記録等の実績を調査確認いたしまして、
抜き取り検査としては多少足りなかったかとも思われるのでありますが、
溶接個所の総延長一万六千三百二十メートルに及ぶ中から、約四百八メートルについて行いましたところ、その結果は良好でございましたので、他の
タンクも良好なものであると、こういうふうに考えたのでありまして、それからまた、
現場検査に当りまして使用いたしました
粉石けん液の張力とか粘度等の規格につきましては、
タンク・
メーカー等の実態を調査いたしましたところ、これらを数字的に規制したものが見当りませんので、一般の例により検査をおこなうことといたしたのであります。
以上、御指摘の諸点につきましては、
防衛庁といたしましては、一応事情やむを得ないものがあったかと思われるのでありますが、しかもなお貯油を開始するに及びまして、実際に一つの
タンクにピンで突っついた程度の小さな穴が
数個所ずつございましたために、油のしみ出る結果に至りましたことはまことに遺憾でありまして、この点非常に申しわけなく存じております。どうしてこのような結果を来たしたのであろうという原因を、私
どもあとで慎重に反省いたしたのでございますが、本件の
工事につきましては、何と申しましても、最も重要な部分は
現場検査でございまして、さきに述べましたように四回ないし六回
粉石けん液を溶接の個所に塗りまして、
漏洩個所の発見に努めたのではございますが、さらに入念に
現場検査を行なっていたならば、このようなことにはならなかったかと思われます。また
竣工検査につきましても、さらに
抜き取り検査の数を増加しておったならば、
竣工検査の際に瑕疵を発見できたのではないかと考えております。この意味におきまして、結果的に考えまして、何と申しましても
現場検査と
竣工検査の際に、さらにさらに細心の注意が必要ではなかったかと思われるのでございます。この点、今後この種の
工事につきましては、さらに一そう慎重を期しまして、このようなことを繰り返さないようにいたしたいと考えております。
次は三十四番の浜松の
航空基地の
滑走路工事の問題でございます。本件は
会計検査院の御指摘の通りでございまして、まことに遺憾と考えております。ただ当時の事情を、ちょっと弁解になりますが申し上げてみますれば、
防衛庁におきましては、当初
滑走路の延長の
工事だけでなくて、既設の
滑走路の部分の改修をも一緒に行いたいというふうに考えまして、
大蔵省と
予算実行上の協議をいたしたのでございましたが、その結果、従来からある既設の
滑走路はできるだけ現状のままで数年間使用し、とりあえずとしては
滑走路延長のみにとどめるということになりましたので、
設計者といたしましては、
滑走路の延長のみを考えました場合に、当面最も経済的にということにのみ頭が向けられておりましたので、この方針で計画し着工いたしましたところ、その後、
大蔵省との再協議の結果、これは米国におきましてF86
ジェット機の訓練を受けた者が帰朝いたしまして、実際にその
人たちの意見を聞きましたところ、やはり
既設滑走路の改修を行うのが必要であるということになりましたので、
大蔵省にさらに再協議いたしまして、結局
既設滑走路の改修まで行うことになりました。そこで結果におきまして御指摘のような次第になったのであります。もし当初から
既設滑走路の改修を考慮に入れて設計いたしますれば、確かに
会計検査院の御指摘のように全体といたしまして約四百五十万円節減になるのではございますが、このような設計をいたしました場合には、当初の
滑走路の
延長工事におきましては約一千万円高くなる計算になりますので、当初
滑走路の延長だけをいかに経済的に施工するかということにつきましてだけ考えておりました
設計者としましては、実はそこまで考慮が回らなかったということであります。この点まことに遺憾に存ずる次第でございます。
次は三十五番の
築城飛行場の
滑走路の問題でございます。本件につきましては、
会計検査院では
アスファルトの舗装に使用いたしましたこまかい
石——チップと申しますが、
チップが比較的大きいために
滑走路が平滑を欠き、
航空機タイヤの損耗がはなはだしくなっておって、結局不経済になっているという御指摘でございます。実は本件の
工事につきましては、使用いたしまする飛行機が何分にも
ジェット機でございますので、もし
滑走路面が、これは
アスファルトでございますから、もし
滑走路面が剥離でもいたしますれば、ジェットの噴射を受けた場合にきわめて危険でございますので、圧入——地面に転圧して入れることでありますが、圧入効果が少くて、かつ、夏になりますと高温によって軟化しやすいこまかい石をできるだけ避けまして、特に粒度五ミリメートルないし十ミリメートルの
チップを使用いたしまして、できるだけ路面に深く圧入しようと考えたのであります。ちょうど小さなくぎを打つよりも大きなくぎを打ち込んだ方が全体しっかり持つ、こんなふうな考え方であります。ごく平易に申し上げますと。しかしながら、飛行訓練の都合上、冬期の温度の最も低い時期におきまして、しかも夜間に
工事をしなければなりませんでしたために、
会計検査院の
実地検査の当時におきましては、遺憾ながら御指摘のあったように
舗装面が若干平滑を欠いていたのでございますので、冬の期間の
アスファルト工事といたしましては、これ以上の仕上げは実際は困難でございました。かつF—86ジェット戦闘機の使用も間近に迫っておりましたので、その手直しは
アスファルト舗装の軟化する時期を待って行うことといたしまして、とりあえずとしては、そのままの状態で訓練を実施しておったのであります。その後、業者をいたしまして手直しをいたさせました結果、使用上何ら差しつかえない状況になっておるのであります。
なお、
検査院が御指摘になっております手直し前に
航空機の
タイヤの損粍が従来に比して大きくなっているという点につきましては、当時手直し前でございますので、
滑走路が若干平滑を欠いていたということも確かに一つの原因かと考えられますが、それ以外に、この
工事は飛行訓練と並行して実施しなければならなかったために、かりの誘導路を設けることといたしまして、これにスチール・マットを使用したこと、それから
工事のために
滑走路の使用部分が短縮されましたので、急ブレーキによるところの損傷が生じたということ、それからまた、この期間におきましては訓練度の低い新人が訓練を受けていたことなどの原因が重なり合ったものと考えております。また手直し後においても、
会計検査院は
タイヤの損粍が補修前に回復していない、こうおっしゃっておりますが、なるほど手直しいたしましてから
タイヤの損粍が補修前に回復しない時期が若干ございました。これは昨年の十一月の上旬まででございまして、どうしてその期間におきましては、
滑走路の改修前の程度まで
タイヤの持ちがよく向上しておらなかったかと申しますと、当時F—86ジェット戦闘機が築城にT—33の訓練と一緒に同居いたしておりまして、十一月の上旬にこのF—86ジェット戦闘機が浜松に移動したのであります。その当時までエプロンが狭隘のためにスチール・マットによるところの仮設エプロンを使用いたしましたので、その関係の損耗かと考えております。現にF—86ジェット戦闘機が築城から浜松に移動しました十一月の上旬以後におきましては
タイヤの損耗はいちじるしく減少いたしておりまして、その後十一月、十二月今年の三月あたりまで
タイヤ一本当りの降着回数は改修前の約倍に及んでおる状況であります。
次は三十六番の大分
弾薬支処の
電力引込線工事の
需要者負担金の精算が当を得ないという問題であります。本件の
工事におきましては、三十八平方ミリメートルの硬銅線を架設するという契約で
需要者負担金の
概算払いを行なったのでございますが、九州電力におきましてはこれよりも太い六十平方ミリメートルの硬銅線を架設いたしまして、
防衛庁といたしましては、安全側の送電線と考えられましたので、年度末に際し
概算払いと同額の精算をいたしたのであります。元来契約通りの
工事になっていなければ精算すべきものではございませんが、担当者といたしましては、会計法規上の年度末には精算の手続をしなければならぬものと思い込んでおりましたので、結局
概算払いと同額の精算でございますので、実質的には追及するわけでもなく、国の損害にもならないという頭もございましたのでございましょう。かえって無用な精算をいたしたのでございます。事務整理上の手続が当を得なかったことはまことに遺憾であると考えております。
次は三十七番の
搬送電話端局装置の購入に当り在庫品の活用をはからなかったというものであります。本件のおもなる問題は、米国からの供与物品を国内調達物品の構成部分として組みかえいたしますれば節約できるのに、なぜこの在庫品の活用をはからなかったかという点にあるのであります。米国からの供与品につきましては、日米相互防衛援助協定に基く
装備品の返還に関する取りきめによりまして、防衛目的達成のため必要がなくなったものにつきましては返還を要求されることもあり、また廃品とかくずにつきましては、米国政府に通報して、その処分について協議することになっておりますので、国内調達品とは明確に分別経理する必要があるのであります。供与品を国内調達品と相亙に組みかえるということは、理論的に必ずしも不可能なことではございませんが、実際問題といたしましては、これらの物品の分別経理——はっきり分けて経理することは、こういたしますと著しく困難となりまして、この取りきめの確実な履行が困難となるおそれがありますので、供与物品を国内物品の構成部分としての組みかえ使用を行わなかったものでありますが、しかしながら、この点につきましては、
会計検査院の御指摘の趣旨はまことにごもっともでございますので、今後は事務処理上可能な限りその御趣旨を十分尊重いたしまして、これらの供与物品の活用について一そう留意いたしたいと考えます。
次は、三十八番の不急のトラック6トン・
トラクターを購入しているというものであります。本件につきましては、昭和三十年の九月に道路運送車両の保安基準が改正されたのでありますが、この際6トン・
トラクターにつきましては、構造を変更する必要がなく、20トン・セミ
トレーラーの方を若干改良することによって保安基準の要件を充足できるものと考えまして、引っ張る方の
トラクターの調達要件と歩調を合わせて引っ張られる方の
トレーラーの方の改良した仕様によりまして調達要求をしたのでございますが、最後の段階におきまして、セミ
トレーラーにつきましては、なお慎重に改良型を試作した上で調達した方がよいということになりまして、その調達を取りやめたのでございますが、そのときはすでにおそく、6トン・
トラクターの契約締結後二ヵ月余を経過いたしておりまして、その発注を取りやめることができない状況でありましたので、結果といたしまして、
検査院御指摘のような跛行購入となりましたことは、まことに遺憾であると考えております。
次に、三十九番の購入計画が当を得なかったために
航空輸送用のコンテナーを過大に購入しているというものでありますが、本件につきましては、購入数量の算定に当りまして、確かに
検査院御指摘のような計算上不備がありましたことはまことに遺憾でございます。このような品は、
会計検査院御指摘のように初めて採用したのでございまして、その適正な所要量の把握ということはなかなか困難なものではございますけれども、購入に当りましては、今後実績を勘案し、逐次追加購入するという方法によるのが適当と考えております。今後御指摘の趣旨に沿いまして、再びこのようなことのないよう十分注意いたしたいと考えております。
次は四十番の不急の通信機器等を購入しているというものであります。問題となりました通信機器は、いわゆる航空通信に使う施設でありまして、この種の施設は、申すまでもなく
航空基地の使用開始と同時に使用できるように万般の準備をいたしますことがきわめて肝要でございますので、米軍からの基地返還の申し入れ等に基きまして調達いたしたものではございますが、その後、基地の返還が延期されましたなどのために、
会計検査院の
実地検査の当時におきまして御指摘のように未使用の状況になりましたことは、まことに遺憾であります。現在はすでにこれらの物品のほとんど大部分は使用いたしておりますが、今後はこのような御指摘を受けることがないよう十分に注意いたしたいと考えております。
次は、四十一番の
航空機部品の購入に当り
処置当を得ないというものであります。本件につきましては、当初購入の計画を立てました際、在日
米軍事顧問団に資料の提供方を申し入れたのでございますが、軍事顧問団では、C—46D型
輸送機の運用と整備に最も深い経験を持っておるところの
シビル・エア・トランスポート会社の資料によることが適当であろうというふうに推薦して参りましたので、担当官を台湾に派遣いたしまして、同会社について実地調査いたしました上、同会社の提出資料に信憑性十分ありと考えまして、その資料によったものでございまして、何分にも当時
技術命令書及び補給型録が十分に整備されておらなかった当時といたしましては、やむを得なかったかと考えるのでありますが、本件の購入品目中にC—46D型
輸送機に適用されないものが若干含まれておりましたことはまことに遺憾でございます。なお、購入いたしました品目の中で三十八品目につきましては、部隊内部で改修いたします一品目のほかは、すべて米空軍の補給型録等によりまして、C—46D型
輸送機に適用される部品であると確認されております。残りの四十六品目についても、比較的早い時期に、——これは
会計検査院で御指摘があったからではございますけれども、早い時期に無償交換あるいは契約解除、あるいはまた部隊内部における改修等の措置をとることができましたので、まあ最終的には不適格品は皆無になっていると考えます。
次に、四十二番の
高周波焼入装置の購入額が高価となっているというものでありますけれども、
会計検査院の御指摘は、調達要求者である陸上幕僚監部が三会社による
指名競争を希望していたのに、一会社による
随意契約によったのは当を得ないということ、それからまたその
予定価格の積算について過大に計算されているという点にあるのでありますが、本件につきましては、結局要求者側でありますところの陸上幕僚監部を含めまして、部内でその調達の方式について慎重に検討いたしたのでありますが、その結果、結局契約の完全な履行を客観的に期待できるのは、問題になりました日本電子光学研究所であると認定いたしまして、陸上幕僚監部も合せまして、結局この日本電子光学研究所による
随意契約によることと決定いたしたのでございます。
次に
予定価格の算定につきまして、日本電子光学研室所から提出されました見積書及び財務諸表を検討いたしましたところ、本契約前一カ年間における
一般管理費の実績は、製造原価に対しまして約四二%であることが確認されたのであります。これは実は
防衛庁におきまして、通常この種器材に適用いたしておりました
一般管理費率を大幅に上回ったものでありまして、本品のように、何分にも一般の需要の少い特殊の製品のみを取り扱う会社におきましては、その製品の販売高はおのずから制限される半面におきまして、相当多額の経費を必要とするなどのやむを得ない事情に基くものであることが明らかになりました。しかしながら、この実績による
一般管理費率約四二%の中で、交際費とか広告費など一部の費目につきましてはなお節減の余地があると考えられましたので、これを三八・五%に査定いたしました。その結果八百五十九万円が適正な
予定価格と判定し、この価格に基いて再三業者とネゴシエーションを行いまして、ようやく妥結を見るに至ったのであります。しかしながら、この
予定価格調書を作成する場合におきまして、その計算の内訳をありのままに記載しない、表現形式を整えたために、製造原価中の材料部品価格の一部に高価と見られるものがある、そのために価格全体が高価であるかのような印象を与えたのでございまして、この点まことに遺憾でございます。実際にその会社と契約しなければならぬ、しかもどうしても
一般管理費率が三八・五%が適当であるならば、それをありのまま記載して、材料その他にしわ寄せしない
予定価格調書を作るのが本筋でございますが、内容を整えたという点に疑惑を招いた点があるかと考えております。今後はこのようなことのないよう十分注意いたしたいと考えております。
次は四十三番、輸入機械の購入に当り
処置当を得ないというものであります。輸入機械類の製造会社の
価格表は、ある場合には卸売価格を表示する場合もございます。またある場合には小売価格を表示していることもございます。必ずしも一定していないのであります。従って業者から提示された価格から、果して値引があるかどうかということはなかなか判断しがたいので、この種の物件の調達に当りましては、調達実施本部ですでにやっておりましたように、値引きに関する特約条項をつけるのが望ましいのでありますが、本件の場合、技術研究所におきましてこのような配慮が欠けておりましたことはまことに遺憾でございます。今後は再びこのようなことのないよう十分注意いたしたいと考えております。なお、
会計検査院の御指摘になりました高価に購入した金額約二百三十八万円のうち、半ばをこえる約百二十六万八千九百円は、業者との折衝または契約変更の結果、回収いたした次第であります。
次は、四十四番の
地上管制進入装置の購入に当り
処置当を得ないというものであります。
会計検査院の御指摘は、G・C・Aの研究が適切に行われなかった等のために、昭和三十一年六月に購入されたものが、同年十一月に至っても使用するに至っていないとされておりまして、暗にまあこの装置の品質に疑問を持たれたかのように私ども見受けられる。それからなお、在日
米軍事顧問団から、ほかにG・C・Aを供与される旨の文書の交付を受けているので、本件装置の購入の必要はなかったのではないかというふうにお考えになっているようであります。しかしながら、この装置は、米国の空軍が、ギルフランブラザース会社に発注し製造さしております最新式、かつきわめて複雑精巧な装置でございまして、従ってこれを購入するに当りましては、米空軍発行の検査合格書に基いて検収するのが最も実際的であるという見地のもとに契約を締結いたしたのであります。このため検査に当りましては、ギルフランブラザース会社から提出されました梱包明細書を点検しながら、米空軍発行の検査合格証明書と、検査成績書を慎重に審査確認の上検収を行い、本装置の組立調整契約が締結されるまで浜松基地に保管していたのであります。
会計検査院の御指摘では、検査合格証明書が発行された当時、本件装置の
構成品の中で通信関係器材が欠品しており、総会試験が行われていないというふうにされておりますが、この点につきましては互換性——互いにかえる互換性でありますが、互換性のある同種の器材によりまして、本件装置の
総合試験が行われており、またこの通信関係器材も、その後米空軍の検査に合格したものが補備されましたことは、米空軍の検査証によって明らかであります。
次に、本件装置は、組立調整契約の第一回の検査におきましては、残念ながら調整不良のため、その機能を発揮することができなかったのでありますが、これは組立調整契約の相手方が、本件装置を取り扱ったことが初めてでございますので、その取扱い不なれによるものでございます。その後予備品を補充いたしました上、組立調整を完了いたしまして、その機能を十分発揮するに至りましたので、これを受領いたしまして、目下浜松基地において使用中でございます。
なおG・C・Aについては、本来主要飛行場には一台設置することが必要でございますので、米国からの供与品のうち一機は築城基地に設置し、また他の一基は浜松通信学校の教育用に使用中でございまして、これによって本件装置の購入を不必要とするものとは考えておりません。
また、在日米軍軍事援助顧問団からさらに二基追加供与の通知を受けているではないかということにつきましては、まだ実際には供与を受けておりませんが、これは将来接収解除さるべき
航空基地において現在使用されておるものを、そのまま
日本側に供与されるやに承知いたしておるのであります。
次は四十五番の不適格な
航空ガソリンを検収したというものであります。本件は、従来大部分輸入に依存いたしておりました
航空ガソリンを大協石油株式会社が初めて国内生産を開始するに至りましたので、同社を新たに
指名競争契約に参加させまして、入札の結果、同社が落札して納入いたしたのでありますが、
航空自衛隊及び陸上自衛隊におきまして、そのガソリンの使用中品質の変化が認められましたので、契約条項に基き良品との交換を行わせたものであります。
この検収の試験に当りましては、国内生産最初の分解ガソリンであります関係上、特に注意して検査を実施し、当時においては十分手を尽したと考えていたのでありますが、その後品質の変化を来たしまして、
会計検査院の御指摘のような結果となりましたことはまことに遺憾に存じます。
本件につきまして、果して検査官の検収に手落ちがなかったかどうかという点につきまして、しさいに検討を加えたのでございますが、検査官といたしましては定められた手順によりまして厳密に立会い検査を実施しており、その検査の結果は、まあ比較的規格の限界に近いものではございましたけれども、合格の条件内に入っておりましたので、どうしても合格にせざるを得ない事情にあったということが判明いたしました。従ってこの場合検査官の検収の手落ちと認定することはできなかったのでございますが、しからばどうしてこのような結果になったのであろうという原因をしさいに探求いたしますれば、元来ガソリンのようなものにつきましては、単にでき上った製品を検査するということだけでは不十分でございまして、個々のガソリンを検収する前に、あらかじめ工場認定の制度を作りまして、工場の品質管理の面まで実は立ち入っていかなければならないのに、その制度ができていなかったということにやはり根本の原因はあるのじゃないかと考えております。この点にかんがみまして、昨年春以来検討を加えまして、昨年十一月燃料及び潤滑油類の工場認定に関する暫定措置要領を定めまして、その方法を採用するに至ったのであります。このような措置によりまして、今後この種
航空ガソリンの調達に当って再び同じようなことを繰り返さないようにいたしたいと考えております。
次は四十六番から四十八番までの職員の
不正行為により国に損害を与えたというものであります。
本件につきましては、全く
会計検査院の御指摘の通りでありまして、まことに遺憾千万に考えております。このような事故が発生いたしました原因を各部隊について調査いたしましたところ、問題を起しましたこれらの部隊におきましては、おおむね給与事務の処理について、あるいは上司が下僚にまかせ切りであったり、しかも部下の把握不十分な点などが見受けられましたので、それぞれ
不正行為を行いました職員の刑事責任を追及し、懲戒免職にしましたことはもちろんでありますが、そのほか監督者につきましてもそれぞれ厳重な処分を行ったのであります。この種の事故の発生防止につきましては、事務取扱いの改善、内部監査の励行等によりまして、その絶滅を期しているのでありますが、今後さらに一そう努力いたしたいと思います。
以上の
会計検査院の御指摘に対しましては、それぞれ厳密にその真相を探求いたしまして、責任者につきましては厳正な処分をいたした次第であります。すなわち、以上の十六件に対しまして、免職三人、停職一人、減給十五人、戒告十一人、訓戒十三人、注意四人、計四十七人を処分いたしましたほか、退職のため不問処分に付した者四人があるのであります。
以上をもちまして、
会計検査院の御指摘に対する一応の御説明を終ります。なお詳細につきましては、御質問によりましてお答え申し上げます。