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説明員(
藤崎万里君) 賠償の実施のやり方としましてはまずビルマの方に
日本政府が自分で物を調達し、役務を調達して、
日本政府の
責任で納めるというやり方と、ビルマ
政府が
日本の業者と直接
契約しまして、
日本政府としてはその
契約に基く支払いだけをする、という二つのやり方に大きく分けて考えられるわけでございます。このビルマ側に直接
日本の業者に
契約させるという点については、初めから
日本とビルマとの間に
意見が一致したのでありますが、その際にビルマの方は自分の方に年額七十二億円全部まずすぱっと渡してもらいたい。自分が勝手に
契約する、この金を使うということにしたいという主張をしたのであります。それに対しまして
日本の方としては、そんな年度当初に全額渡すようなことはできない。あなたが
契約してその
契約に基く支払いが必要になったらその期日前に必要な
金額だけを払ってあげましょうということで、だいぶん長い間論争しておったのであります。結局全然ビルマ側に金を渡さないわけでもない。しかし全額渡すのじゃないというような妥協の方式ができまして、妥協のやり方として、
日本政府とビルマ
政府の間に
一つクッションを設けて、これを賠償勘定というものを
日本の
外国為替銀行に設置させる。この賠償勘定はただいまビルマ
政府の名義のものではありますが、
日本政府は所要の支払いを賠償勘定に対して行う。この賠償勘定からの支払いは、ビルマが勝手にはできなくて、すでに
日本政府が認証しておる賠償
契約に基く支払いだけをやる、そういうことで妥協ができました。しかしそこに至るまでに相当期間を要したわけであります。
それからもう
一つはどういうような生産物、役務をビルマに供与するかという点については、やはりビルマ
政府と
日本政府の間の合意によることにいたしておりますが、具体的にはそれを各年度ごとの実施計画という形で合意するわけであります。しかしビルマ
政府の方でこの実施計画の原案を作成するのに非常に手間取りまして、まあ不慣れな仕事であったせいもありますでしょうが、この実施計画の決定がおくれたということも、賠償の実施が始るまでに日数がかかったという
一つの原因でございます。