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説明員(
塩崎潤君)
外国の
税金とわが国の
税金でございますが、
各国によって違いますことは当然でございます。
昭和二十五年以来ただいま
梶原委員の御
指摘の
通り特別
措置がございますが、それをだんだんなくする方向に進んでおります。現在のところまだ特別
措置は三十五年まで続くことになっておりますから、これを
外国の
税金と比較いたしますと、直接税で比較した方が私はよろしいと思います。その直接税の中に二つございます。第一は
所得税、第二は法人税でございます。法人税の点につきまして
外国の法人税を見て参りますと、必ずしも
日本の方が高くない。たとえば
アメリカの法人税で申しますと、大体連邦税だけで五二%まで参ります。
日本の
国税は年
所得五十万円以下は三五でございます。それをこしますと、四〇という
税率でございます。ただ
日本の方はこれに
事業税と、地方税でございますところの法人住民税がつきまして、その実効
税負担は最高五一・二五%で、
事業税が損金になります
関係で、表面
税率五七・四%が五一・二五%になるわけであります。それからまたイギリスと比較いたしましても、イギリスもノーマル・タックスは四二・五%でございまするが、そのほかに利潤税というのがございまして、配当分につきましてはなお三〇%、留保分につきましては三%、こういう
税負担になりますので、イギリスあたりの方がむしろ高い、こういう
状況でございます。従いまして英米の例をとっただけでも
日本の法人税につきましは、まあそう高くないというわけで、
外国からみましても
日本の法人税はそんなに不平がないようでございます。
問題は
所得税の方でございます。これは戦後
日本の
所得階層が非常に変化いたしまして、
相当低額なところからも税収を上げなければならぬことになりました
関係上、
相当税の累進率が急激でございまして、御
承知の
通り非常にボーナスをもらいますと半分くらいまでいかれるというような場合があったわけでございます。だんだん改正をいたしておりますけれ
ども、まだ
外国の
所得税あたりに比べてみますと、高めでございます。しかも国民
所得が低い
関係上
相当下の方にも高めになっておるような
状況でございまして、そんなような
関係から
外国人の間にはまだまだ不平があるようでございます。ただ今回の提案しておりますところの
所得税の改正案によりますと、大体
相当軽減が適当なところまでいきまして、今後の
所得税につきましては、そう不満はないのではなかろうか、かように考えております。たとえばイギリスあたりは非常に
所得税が高いようでございます。かりに
免税点を比較いたしますると、
日本では大体二十七万円くらいまでは
課税にならないわけでございまするが、イギリスでは七十万円まで
課税にならない。
アメリカでは百二十万円まで
課税にならない。西ドイツは六十万六千円まで
課税にならない、これは夫婦子供三人の場合でございます。
日本の場合は正確に申し上げますと、
給与所得者で二十六万三千円、
事業者では二十万円でございますが、
外国の例はそういった
状況でございます。
免税点はさようでございますが、累進の方で
税率がかかるようになりますと、各
所得階層で
負担が異なって参りまして、たとえば一万ドルくらいの
所得がありまして、この
方々が夫婦子供二人というのを私
どもははじいておりますが、
日本の
税金では大体二八・五%くらいまでかかることになります。米国ではこれが一三・七%、ところがイギリスではこれが三六・二%、イギリスの方が今度は高めになります。これは改正後の
状況でございます。
フランスではこれが一七%、西ドイツでは二七・七%で、
アメリカ、
フランス、西ドイツよりは高めでございますけれ
ども、イギリスに比べれば低めだとこういうふうな
状況になりますが、こういうことを考えますれば、大体今後の改正を織り込みました
所得税のところでは、適当なところをいくのでなかろうかというふうに考えております。