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1957-02-19 第26回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            鶴見 祐輔君            曾祢  益君            梶原 茂嘉君    委員            鹿島守之助君            津島 壽一君            永野  護君            野村吉三郎君            海野 三朗君            加藤シヅエ君            竹中 勝男君            吉田 法晴君            石黒 忠篤君   国務大臣    外 務 大 臣 岸  信介君   政府委員    外務政務次官  井上 清一君    外務大臣官房長 木村四郎七君    外務参事官   服部 五郎君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省条約局長 高橋 通敏君    外務省国際協力    局長      河崎 一郎君    外務省移住局長    心得      石井  喬君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空業務に関する日本国スイスと  の間の協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出) ○日本国ブラジル合衆国との間の航  空運送協定批准について承認を求  めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税  の回避及び脱税防止のための日本  国とスウェーデンとの間の条約の批  准について承認を求めるの件(内閣  送付、予備審査) ○国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   ————————————— 委員長笹森順造君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  初めに、航空業務に関する日本国スイスとの間の協定締結について承認を求めるの件、日本国ブラジル合衆国との間の航空運送協定批准について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重録税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約批准について承認を求めるの件(予備審査)、以上三件を一括して議題に供します。  まず政府から提案理由説明を聴取いたします。
  2. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいま議題となりました、航空業務に関する日本国スイスとの間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国ブラジル合衆国との間の航空運送協定批准について承応を求めるの件に関して提案理由を一括説明いたします。  昨年国会の御承認をいただいて日印、日中、日仏日豪の三航空協定締結した次第でありますが、その後引き続き各国と航空協定締結交渉を行なって参りましたところ、このたびスイス及びブラジルに関しましては幸い意見の一致をみましたので、昨年五月二十四日にスイスとの航空協定、同年十二月十四日にブラジルとの航空協定にそれてれ署名をいたしました。  これらの協定は、さきに国会の御承認を得て締結いたしました日米日英日加日仏等航空協定と同一の目的及び意義を有しておりまして、その内容にも大差ございません。これらの協定締結されますと、わが国航空企業相手国と双務的かつ平等の条件でこれらの国に乗り入れる権利を有することとなるわけであります。  よってこれらの協定を慎重御審議の上、何とぞすみやかに御承認あらんことをお願いいたす次第であります。  次に所得に対する租税に関する二重課保税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  御承知のように、わが国は去る昭和三十年四月にアメリカとの間に最初の二重課税防止条約締結し、引き続きイギリス、スウェーデンとも同種の条約締結すべく交渉を重ねて参りましたところ、まずスウェーデンとの間に交渉が妥結いたしまして、昨年十二月十二日に本条約に署名調印した次第であります。もちろん、わが国スウェーデンとの間の経済的人的交流日米間のそれほど緊密であるとは申せませんが、今後ますます緊密化すると考えられる両国間の経済関係に対して、現在の両国国内税法法をそのまま適用いたしますと、両国間に二重課税事態を生じて円滑な経済的、通商的の協力関係に対して大きな支障を生することと思われますので、これらの事態の発生を避けるため、ここに本条約締結し、これにより両国間の二重課税及び税等の問題を有効適切に処理し、両国国民が安心して経済上、文化上の活動に従事できるようにし、両国間の経済関係緊密化をはかりたいと考えている次第であります。  よって、ここに本条約批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件について質疑は次回に譲りたいと思います。   ————————————— 委員長笹森順造君) これより前回に引き続き、国際情勢等に関する調査議題といたします。外務大臣がお見えになっておりますから、質疑の方は順次御発言をお求め願います。
  4. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 外務大臣にお伺いいたしますが、新聞紙上の報ずるところによりますと、インドネシア賠償の問題に対しまして、最近また動きが非常に活発になってきたというような報道があるのでございますが、ただいま外務当局といたしましては、今この問題を解決するのが非常にいい時期だとお考えになっていらっしゃるか、またもしそうでございましたらどういうよりな方針でお進みになっていらっしゃいますか、お差しつかえのない範囲で知らしていただきたいと思います。
  5. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えします。一月に外務省におきまして、アジア太平洋公館長会議を開催いたしました。その際インドネシアに駐在しております公使の倭島君が、その公館長会議に出席するために参りましたので、その際インドネシア政治情勢等につきましても詳しい報告を受け、また賠償問題、これは御承知通り長い懸案になっておりましていろいろと今日まで向う側意向、また日本側意向等につきましてもそれぞれ交渉して参ったんでありますが、彼我の主張の間には相当の開きがございまして、なかなかまとまり得ない状況であったんでありますが、最近における向う側意向等につきまして倭島公使考え等につきましても詳細報告を受けまして、従来と非常に変ってきたことは、インドネシア政府におきまして従来強く主張しておった賠償条件について、相当日本側の方の意向もいれて、なるべく早い機会解決したいという空気が動いておるということは、相当にれわれとして、従来の情勢と違ってるし、それにはインドネシア不安政治情勢がどうなっていくかという見通しもつけなきゃならぬし、またそういうふうに変ってきたことについては、あるいはアリ政権自体政治的地位が動揺しているんじゃないかというふうな、まあ見方もいろいろ分析して考えました。いずれにしても私どもインドネシアとの間の賠償問題を一日も早く解決して、そうして正常なる国交を回復し、経済関係を増進していくことは、これは両国のために必要であるという考えは持っておるわけであります。とにかくもう少し向う側政治情勢推移を慎重に見守ると同時に、向う側相当譲るといいますか、譲歩する意思のあることをもう少し具体的に確かめて、そうして当方側意向もきめたらいいだろう。できるだけ早く解決したいということはわれわれの考えであるけれども、しかしまた今言ったように、非常に微妙な動きをしているときであるから、慎重な植皮で向う側意向一つ打診する必要がある。ついてはわが方の最後の腹といいますかを相当にやはりこっち側としてはきめていく必要があるという考えのもとに、関係者ともいろいろ打ち合せをしたのでありますけれども、なかなか交渉ごとで、向う側のまだ少し意向がはっきりつかめないのに、あまり早くこっちの腹を見せるというようなことが万一あると、かえってむずかしいだろうから、まあこちらの方における大蔵省その他関係省との最後結論はまだ出ない。しかし倭島君が観測しておるようなところまで向う側がはっきり折れてくるということであるならば、こちらとしてはそれに基いて最後の腹をきめるようにする。いずれにしても帰任して、政治情勢推移と、それから向う側の腹をもう少し確かめることをしろという訓令を出して帰任をさせておるのであります。そしてその後向う側情勢を数回私の方に報告いたしておりますが、まだインドネシアの政局が安定するのに、どういう形で安定するかという見通しがはっきりついておりません。それからアリ首相自体意向も、まだはっきりした向うの腹を示すに至っておりませんから、そういう情勢のもとに、私は今後もう少しインドネシア政治情勢見通しと、それからアリ内閣で安定するということであるならば、アリ首相のもう少し腹の底を確かめて、そうして当方最後の腹をきめたい、こう思っております。
  6. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまのお言葉で大へんよくわかりましたのですが、日本インドネシアとの貿易帳じり関係というようなことが、この賠償問題の金額をお取り扱いになるのに何か関係があるというふうにお考えになっていらっしゃいますか、その点はいかがでございますか。
  7. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御承知のように、今インドネシアとの貿易帳じりが約一億七千万ドルぐらい残っております。そのうち六千万ドルについてはすでに両国の間に協定ができておりまして、それ以外のものが一億一千万ドルあるわけであります。この賠償額をきめる場合にこの帳じりをどういうふうに利用するかということは、一つの問題であろうと思うのです。実際問題として考えると、帳じりになっておるものをなかなか日本に返させるということは——支払わせなければならぬわれわれの債権ですけれども、取り立てるということはなかなかインドネシア状況としては、経済状態としては容易でないと思います。しかし容易でないからといって当然棒引きにする性質のものでももちろんないのです。ここは今度の賠償額を決定する場合に、わが方としては今これを棒引きにするとかしないとかいうことをはっきり申し上げることはできませんけれども、ある程度賠償問題に利用する考えではおります。
  8. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 インドネシア賠償の問題は、今これから御交渉の始まるところと思いますから、あまり詳しい内容についてはこれ以上伺わないことにいたしたいと思います。  外務大臣は御就任なさいましてから、東南アジア外交の問題につきましては、特に大へんに力をお入れになるというような御演説もあったように伺いまして、私どもそれは非常に御同感でけっこうなことだと思っておるのでございますが、この間日本フィリピンとの間の問題につきまして申し上げるまでもなく、フィリピン日本に対して非常によくない感情を持って、これをなかなかぬぐうことができなかったのが、最近の一、二年間には非常に好転してきたというようなことを伺いまして、まあ私どもフィリピンからいろいろおいでになる方とお目にかかったりして、極力両国間の国交親善のために努力をいたして、それが好転してきたということを非常に喜んでおるものでございます。ことにフィリピンの前キリ大統領日本戦犯に対して特別な恩赦をして下さったというようなことは、これは徳義的に非常にりっぱな行為であって、非常に感銘を受けておるわけでございます。こういうわけでございますから、フィリピンに対する国民感情を害さないようにということは、私ども国民としても、あるいは政府当局としても非常にこまかく注意をして、今後進んでいきたいと考えておりますときに、新聞報道によりますと、何かフィリピン側であまり歓迎されないような前歴を持たれる方が親善使節一行の中に加わって、この間渡比なさったというような問題が報じられたのでございます。で、この問題に対しましては、国民ひとしく非常にこれは遺憾なことであったと思っているのでございますが、外務当局としては、まだこれに対して別に何という御発言も私は承わっておらなかったので、このことにつきましてこの機会外務大臣がこの委員会を通じて、この問題についての何か御発言があってしかるべきではないか、こう考えまして外務大臣の御発言を承わりたいと思います。
  9. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今加藤さんからお尋ねありましたフィリピン日本との関係につきましては、御説明にありましたように、戦後一時非常に国民感情として日本に対して悪い感情がありましたのも、最近非常にこれが変って、参りまして非常に日本に対しても好感情が持たれるようになってきておるということは、今おあげになりましたキリノ前大統領戦犯釈放の問題も、それに非常に大きなものもありましょうし、それからまた賠償問題に対する協定締結されたということもございましょうし、いろいろな点においてこれは非常なけっこうなことであり、これは増進して参らなければならぬことは言うを待たないところであります。なおフィリピン上層階級と申しますか、国会関係であるとか、あるいは政府関係であるとか、あるいは財界の有力者というふうなものの気持国民大衆気持との間には、多少のまだ食い違いがあることも私ども考えておかなければならぬ問題だと思います。そういう関係で、今回新聞に出ております、参議院議員小西英雄君が団長となって十数名の者がいわゆる親善使節親善使節と申しますけれども、これは言うまでもなく政府の別に公的な親善使節ではなしに、民間的なものでありましてこれはマニラの副市長ロセス氏の招聘に基いて、経費の全額を向うで保証するという形で招待によって渡航がなされたものでありますが、そのうちに一人元憲兵であった柳瀬氏が加わっておりましてこれが向う新聞に取り上げられ、その他のことで問題を起したわけであります。御承知のように今日の旅券の発給する場合におきまして申請書には軍歴を書くということの何がございませんので、柳瀬氏も軍歴のことは一つも書いてありませんで、従って外務省がこの旅券を出すときには、柳瀬氏がそういう元憲兵であったという事実は実は知らなかったわけなのであります。しかしこの一行向うへ参りまして、柳瀬氏が憲兵であったということが新聞に掲げられ、また一部に取り上げられまして、相当に問題が起った。もっとも柳瀬氏は今の上院議長のロドリゲス氏とは特別の関係が個人的にある人であります。いろいろこれらの人々が仲介に立って柳瀬氏を日本へ早く帰したらよかろうということで、柳瀬君は一行よりも先に帰って参りました。それから最近に小西参議院議員も帰って参りまして、当時の事情を私は小西議員からも聞いたわけでありますが、日本新聞に報ぜられたほど現地では大きく取り上げられたわけではなかったようであります。しかし戦争の当時の日本憲兵に対するフィリピン大衆国民感情というものは、まだ全然拭い去られたというわけではございませんので、このことが国民大衆の一部に当時の忌まわしい記憶を呼び起したりして、せっかく日比の間の感情がそういうふうに好転していっている際に、こういうたとえ小さいことであっても起ったということは私遺憾であると思います。  なお今後の問題といたしましては、東電アジア諸国に出掛けて行かれる場合において、渡航申請書にも車座等もやはり書いてもらうようにして、そうしてその他におけるいろいるの関係もやはり審査するようにした方がいいじゃないかと考えておりますが、いずれにいたしましても一方今のフィリピンにおける今度の小西君の一行の行かれた何は、今言ったようにマニラの副市長ロセス氏の招待であり、あそこに見本市が設けられ、その方の関係は予定通りいきまして、柳瀬君も帰っておりましたためにそのまま何も起らなかった。それから朝海大使からの報告によりましても、一時はそういうことでちょっと新聞に取上げられたり、その他のところで論議されるので大使も心配し、いろいろ何したようですが、柳瀬君が帰った後においては事態は別に重大な反響を残しているというわけではないという報告に接しております。  以上が経過であります。
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 外務大臣の常日頃申されますように、今日の外交外務当局のいわゆる専門的な外交のほかに、国民感情国民感情との融和ということに基礎を置かなきゃならないといつもおっしゃっていらっしゃる通りでございますから、たとえ今度のことが日本で言われたほど向うに大きな影響を与えなかったのなら、これはまあ大へんに仕合せだったと思いますけれども旅券申請の問題なんかも十分に御注意をいただきまして、こんなことが今後ないように御注意をいただきたいと思っております。  なおその次には日韓関係の問題でございますが、最近に金公使がまたこちらへ帰任されまして、何か今度は大いに本格的に日韓問題について外務当局とお話し合いが始まるのじゃないかということが伝えられているのでございますが、外務大臣韓国との問題につきまして今度新しく一つ話し合いをお始めになるというようなお考えでございますでしょうか。
  11. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えいたします。韓国との交渉につきましてはお説のように長い経緯を経ておりますが、今日一番切実な問題は、釜山に抑留されております八百数十名の漁夫を、一日も早く釈放さして日本に帰すという問題が、非常な切実な問題になっております。この問題は昨年の暮以来できれば年内にそれを実現すると言って、前内閣におきましても非常に努力をして、私もそういう引き継ぎを受けたのでありますが、その後の交渉によりますと、従来韓国側におきましても、その問題も日韓の間に存しておる幾多懸案事項と同時に解決すべきものであり、同時に解決しようというふうな申し出であったのであります。私は、やはりこの問題は人道問題であり、また同時にこの問題が解決しないと日本国民感情としても、この日韓の間に存しておる幾多のむずかしい問題を冷静に公正にきめていかなきゃならぬが、そういう冷静な判断を欠くおそれがある。どうしても、従ってこの問題だけは切り離して解決してもらわなきゃならぬ。それに対して韓国側としては、大村収容所に抑留されておる韓国人釈放の問題をからませてきて、この問題と両方を抱き合せてそれじゃあ解決しようという話で、なかなか大村収容所韓国人釈放することにつきましては、日本の法律の関係、また法務省の見地からいうとなかなかむずかしいところが従来あったのであります。しかし韓国側主張もいれてまあほとんど無条件に近い形で大村収容所のなにを釈放する。従って釜山に抑留されておる漁夫即時釈放してもらう。これを相互釈放して、そうして続いて日韓会談を開催して、そうして日韓の間の懸案事項を処理していこう。これを処理するについては、今財産問題をどうするとか、すべて久保田発言をどうするということをはっきり明言するわけにはいかないけれども、しかし自分は、従来の行きがかりにとらわれずに公正にかつ現実的にこの懸案の処理、解決をする意思を持っているから、そういう意味において再開しようということを話しまして、大体その筋で話を進めて参ったのでありますが、なお一点、この釈放問題に関連して日韓の間に意見の一致しない問題がございまして、その問題を金公使とは十分話をして、金公使も一応納得して本国に帰って、本国政府によく説明して、そしてこの問題をできるだけ早く解決しようという意味をもちまして、せんだって来帰国いたしておったのであります。そして昨夜金公使が帰ってきたということでありますが、まだ実は東京へ帰って参りましてから連絡がございませんので、韓国へ帰っての金公使本国政府との話し合いがどうなったか、結論がどうなったかということはまだ申し上げるなにではありませんけれども、そういういきさつを経て金公使東京へ帰って参りましたので、本国側意向もよくわかるでしょうし、何かその問題についての結論的なことが出るのじゃないか。しかし、必ず私ども主張しているように、即時釈放が希望しているように実現できるかどうかはまだはっきり申し上げることはできないという次第でございます。
  12. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 金公使が帰られましたので、きっといろいろ新しいお話し合いが始まるのだろうと思います。ことに抑留されている漁夫留守家族なんかの立場から考えますと、一日も早く、ああいうような抑留はこちら側から考えれば非常に不当な処置のように考えられますので、解決を早くしていただきたいという気持になるのでございますけれども、この日韓関係の非常にもつれていることをこれを正常化するということは、単なる外交上のいろいろの技術の問題以外に、これはもう民族民族との感情の問題からもつれをほぐしていかなければ、なかなか根が深いものがあるのではないかということをお互いに感ずるわけでございます。で、せんだってもある所で、アメリカから旅行して帰られてちょっと日本に立ち寄られました韓国国会議員四名の方に私、会いました次第です。今まで韓国方たち日本の大学を卒業して日本語をりっぱに話されるにもかかわらず、私ども日本人の顔を見たら絶対に日本語を使わないというふうで、いつも英語で話をするという態度でございましたけれども、この方たちアメリカのMRAの招聘アメリカに行かれまして、アメリカに対しても今まで誤解しておった点もだいぶ了承して帰られたというような、やわらいだ気持日本にも寄られたというようなことで、戦後初めて私は韓国国会議員日本語で話したという機会を持ったのでございます。そういうことをみましても、やはり国と国との外交折衝お互い国の面子というものもございますから、それを捨てるということもできませんけれども、また裏側からいろいろの手を打って国民外交をやる必要があるのではないか。東南アジアとかそのほかの国にしても国民外交の手が打たれているのでございますけれども、どうも韓国とは一向そういうふうなことができていない。この際に、もう少しいろいろの面で側面的に感情感情とのもつれというようなものをほぐす、ことにこういうような場合にはこちら側がむしろ積極的に出ていって向うにあたたかく接触するというような努力がもっともっと必要じゃないかということを私考えますので、外務大臣としても、あらゆるそういう機会にもう少しあたたかい日韓人の交わりというようなことにいろいろまあ御努力をしていただきたい。私はそれを切望いたします。ときどき方々の演説会などに出てみますと、まあ、軍備を奨励していらっしゃる立場の方が、この日本の再軍備の必要は、再軍備がないから竹島なんかも韓国にとられるのだというような、そういう演説をよくなさるのを私伺うのでございます。これはまあ町で演説されるときには、そのときの空気でいろいろのことを言うことがあると思いますけれども外務大臣としては、韓国に対する一つの威圧のために日本が再軍備をするのだ、そういう考え方に御賛成なさいますか、いかがでございましょうか。
  13. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今お話ありました、前段の国民感情を融和する意味において特にあらゆる面を動員して、そして日本の方からあたたかい気持を十分に韓国の側に徹底するようにしなければいかぬというお話、私全然同感であります。ただ、御承知のように韓国日本とはかつて同じ国の一部であったというような関係で、きわめて密接な関係がございます。いわば今の行きがかり兄弟の間のいさかいのようなものでありましてある意味からいうと、兄弟の間のいさかいは他人よりも解決のむずかしいところが人情としてあるので、特に関係の深いためにこれがいろいろな線といいますか、いろいろな人々がいろいろな何か動きがあることも事実なんです。なかなか複雑でございますが、私は正しい筋であり、正しい考えであり、また民族的に今みたいな感情を融和する上において役立つと思うようなことは、できるだけ取り上げてこれを実行してそして日韓の間のもつれをまあ解きたいとこう思っております。  それから、御質問の日本の防衛体制、自衛体制を強化するということは、韓国に対する意味においてわれわれが外交考えておるというような考えは私は毛頭持っておりません。もちろんわれわれが日本の祖国を防衛するということは、われわれの民族の平和と、そして大きく言えば極東における平和を何するために考えていることでございまして、決して韓国との間に何か威圧を加え、そのために自衛力を強化するなどというような考えは私は持っておりません。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 最後にネール首相をぜひ日本にお呼びしたいというようなお考えがあるというようなことを伺っておりますけれども、それは何か具体的に動きが進んでいるのでございましょうか。
  15. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ネール首相を日本招聘したいという考えは前内閣のときから実は持っておりまして、インドに駐在している日本大使を通じても、その意向が非公式の、正式の招聘じゃありませんけれども、打診の意味でなされておりますし、また最近松村議員が総理の親書を持ってネール首相にも会っております。その際にもそういう意向が伝えられておると思います。これはいろいろネール首相自体の御都合もあることであり、またお考えもあることでありましょうから、われわれの方の気持がそのまま受け入れられてすぐ実現するかということについては相当な、まだ結論的なことは申し上げられませんけれども、そういう意向向うへ伝えておるという実情でございます。
  16. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ネール首相もお忙しい方でございますから、なかなか日本を訪問するための時間をお作りになることがむずかしい事情もおありかと思いますけれども、昨年ラダクリシュナン副大統領日本においでになりましたときにも、非常にごりっぱな講演をされまして、私ども深い感銘を受けております。まあ不幸にして何か御病人ができたので急いでお帰りになってしまって残念でございますが、まあネール首相のような方が日本にこの際おいで下さるということは、日本国民のためにも、また目印関係、ひいては世界の平和のためにも大きな貢献をなさるんだろうと思いますので、外務当局としてもぜひこの御招待を続けて実現されるように御努力していただきたいということをお願いいたしまして、私の発言を終ります。   —————————————
  17. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 引き続き御質疑を願いたいのでありますが、ただいま外務大臣から御発言を求められておりますから御発言をしていただきます。
  18. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今般ビルマ政府がビルマ米二十トンを北海道の凶作に対する見舞いとして寄贈することとなり、近くわが国へ向けて発送する旨を太田駐ビルマ大使を通じて申し越しがありました。  右に対しまして、政府は直ちに、ビルマ政府に対し深甚な謝意を表明するとともに、右受領に必要な所要の手配を行いました。寄贈米は近く日本に向って送られるはずであります。先般タイ国政府から三十トンの救援米が寄贈されたのに続いて、今回ビルマ政府からこの申し出のありましたことは、東南アジア諸国がわが国民に対して抱いておるあたたかい友情の発露として私ども深く感謝するところでございます。  右御報告申し上げます。(拍手)   —————————————
  19. 曾禰益

    ○曾祢益君 先般の外務大臣に対する私の質問の続きといたしまして若干の点について、大きな問題だけについて伺っておきたいのです。  第一に対ソ関係でございますが、対ソ関係につきましては、外務大臣の施政方針演説にも、御趣旨は、幸いにして日ソ国交回復に関する共同宣言ができたので、これから日ソ間の問題は段階的に処理していく、こういうようなお考えのようであります。それで平和条約の問題については、国際情勢の動向をもにらみ合せ、わが国との平和条約は適当な時期と方法によって進める、こういう御意見のようであります。もちろん一概にこの点に反対する場ものではございません。特に平和条約は、わが国の北方の領土の問題に非常な関係がございます問題でありますので、やはり国際情勢の進展等もにらみ合せなければならないということは私も合理性があると思うのでありますが、ただこの際に石橋内閣、特に外務大臣に、はっきりと伺っておきたい点があるのであります。それはほかでもございませんが、共同宣言におきまするわが国の領土問題の処理については、当時の鳩山内閣の幹事長である岸さんも十分にその経緯は御承知通りでありまして、特に歯舞、色丹は実際上はたな上げになっておる。さらには国後、択捉、これは当時の鳩山内閣の言葉をもってすれば、これこそは日本の固有の領土である、こう言っておられる、国後、択捉の問題については、いろいろのいきさつから必ずしもわが国主張が十分に反映しておらないような条約の態様でございまして、私どもは議会の意思表示には賛成ではございませんでしたが、参議院の外務委員会においては特に強い意思表示が多数をもってなされたという経緯もございます。従いまして領土問題についての新内閣の基本的な考え方、これは新内閣が鳩山内閣の延長であるというような点も聞いておりまするけれども、事きわめて重大なわが国の独立に関する問題でありますので、あらためて領土問題に関する基本的なお考えを御表明願いたいと思うのであります。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今曾祢さんからお話がありました通りであります。領土問題はこの前の日ソ国交正常化の交渉の経緯から見ましても、きわめて重要な問題でございます。私どもはこの問題に関しては前内閣と同様に国後、択捉に関するわが領土権に対する主張は、これを堅持して交渉を続けたいと思っております。また歯舞、色丹の日本への帰属も、これはあの共同宣言で領土問題全体を解決するときでなければ解決できないのでありますが、結局国後、択捉に対するわれわれの固有領土であるという主張に立って日本への返還といいますか、日本へ帰属することをはっきりきめることによってこの領事品題は解決するという考えであります。
  21. 曾禰益

    ○曾祢益君 ついでにこの国後、択捉以外の北の領土についてはどうお考えであるかも伺っておきたいと思います。
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 国後、択捉以外の北千島その他の問題につきましては、サンフランシスコ条約によってわれわれが領土権を放棄しておりまして、帰属そのものは私は国際的の会議その他によって帰属がきめらるべきものであって、われわれは放棄したという点だけで問題を見たい、こう思っております。
  23. 曾禰益

    ○曾祢益君 この点については鳩山内閣の、少くともなくなられた重光外務大臣説明によれば、日本とソ連とがいかなる協定をしてもそれは自由である、こういうように言っておられる。要するにサンフランシスコ平和条約において放棄した事実はあるけれども、またそのことはもちろん事実として否定できないけれども、サンフランシスコ平和条約の条項に必ずしも合致しない、日ソ間の取りきめがどうできても、つまり日本に返る場合あるいは日本がソ連にくれる場合、いずれの場合においてもそれは日本の自由であって、サンフランシスコ平和条約には抵触しないという一つの解釈を表明しておられました。その点についてはどうお考えですか。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは前の重光外相がそういう解釈を国会において述べておられますけれども、私は今申し上げたように、日本としては、その他の地域については、サンフランシスコ条約によってこれを放棄したという点だけで、わが方とソ連との間に話し合いをしてソ連に帰属をきめるということは適当でない。その点については、重光外相は、おそらくそれに対して何かサンフランシスコ条約に加盟している国々が黙認をしておる、異議を唱えておらんから黙認をしておるという立場に立ってああいう解釈をされたのじゃないかと思います。私はその点について黙認の事実があるかないかという点については、やはり明確な意思によってきめることが正しいことじゃないか。こう考えますので、日本としては放棄したというサンフランシスコ条約の条項をたてに、その後の帰属というものは日本としてはきめ得ない、それはサンフランシスコ条約に加盟しておる国々においてきめてもらうという態度をとるのが適当であると、こういうふうに考えます。
  25. 曾禰益

    ○曾祢益君 はなはだしつこいようで恐縮ですが、そういたしますると、外務大臣のお考えでは日本からこれをもう一ぺん帰属の問題を主張し、日ソ間で取りきめるという、こういうことにはならない、あるいはしない、全部関係国の会議にまかしてしまう、こういうお考えですか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今申し上げましたように、直ちに今の状態で、これが黙認があるからこれでいいのだという解釈を私はとらないのでありまして、会議に付するかどうかは別としていろいろな日ソ間の交渉いかんによって、これの、われわれがこういうふうにきめたいということに関する加盟国の意見をあらためて聞く、というような処置が必要じゃないかと思っております。
  27. 曾禰益

    ○曾祢益君 この点については、私は日本主張としてはやはり日本に対する帰属問題を主張すべきではないか、かように考えております。その意味で伺っておるのですが、もしなんでしたら、これは突然の質問ですから、この次にもう一回伺ってもけっこうです。もう一度この点を質問する機会を留保いたしまして、次のことに移りたいと思います。  次にただいま日ソ間にやっておりまする漁業問題の交渉でございまするが、これもすでに現実に交渉をやっておる問題でありまして、詳しいことを伺うことも適当でないと思いまするけれども、私は今度の交渉の成り行きについてはかなり心配をしている一人であります。と申しまするのは、昨年の漁業協定を作られたその当時の事情から見まして、当時の河野全権のやってこられた経過を見ると、たとえばソ連が国内においていろいろな漁業の制限等をしている。それらの問題については、これは協定の中に入れようとしたのですけれどもそれをはずされちゃって、それからソ連のいわゆる沿岸の、何と言いますか、保護区域というような思想をある程度入れたような——それは昨年度の漁獲についてだけではあるけれども、いわゆる保護区域四十海里を認めてきた。あるいはこれはこの協定には載っておりませんけれども、やはり本年度の交渉に至大の関係があると思われるのは、まあ平年において制限区域における漁獲の日本に与えられる量が十万トン、あるいは不漁の際には八万トンというような線についてのある程度の話し合いというか約束というか、そういうものもしているのではないか。こういったようなかなりの日本にとっては不利な材料がまず基本的にある。かてて加えて交渉が、日本側がなるべくすみやかに前びろに専門家の会議をやろうとしたにかかわらず、どういう工合か知りませんけれども、ソ連の漁業代表が日本に来るのが非常におくれた。おくれればおくれるほど漁獲期、出漁期が迫ってくるという、いわゆる時間に追っかけられるという弱味が出てきた。それのみでなくてすでに一種のプレス・キャンペーンとして、ソ連側においては日本側の乱獲ということを相当強く言っている。これらの点から考えまして、外務大臣としてどうお考えかは知りませんが、伝えられる、まあまあ十五万トンぐらいは鮭鱒は確保したいという、過去の実績から言ってもそのくらいとっても決して乱獲でないという日本側主張というものがあるようですが、これがとうてい受け入れられないのではないか。もとより今やこれは両方の専門家が資料を出し合ってやる段階でありますが、過去の実績といっても必ずしも十分な科学的根拠もないでしょうし、ソ連のいわゆる沖取りでない漁獲の自重あるいは規制の事情等については、わが方に十分な資料がないという点もあるでしょう。これは大いに科学的につき合せて、ほんとうに両国のために漁業のいわゆる拡大的再生産ができるようなベースにおいて話し合いができることを期待するものでありますけれども、そういったような一連の事情等を勘案しますると、とてもわが国が期待しているような線に落ちつかないのではないかという非常な心配を持つ。もしそういうことになるならば、これはただ単に、巨大な漁業資本の問題ならばいざ知らず、御承知のように、五、六百隻の独航船とかあるいは流し網業者のような、非常に零細な業者の生活に非常な大きな圧迫を来たす問題でありますから、この漁業交渉の前途というものについては大きな心配を実は持っている一人であります。この意味におきまして、これらの事情を勘案されて、一体外務大臣としてはどういう成算を持っておられるか、この点についての大まかな方針並びに見通しをお述べ願えれば幸いだと思います。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日ソ漁業委員会交渉の前途につきまして、いろいろ困難な事情のあることは今曾祢さんのお話の通りでございまして、決して楽観を許さないものであると思います。ただ日本側といたしましては、あくまでもあらゆる資料を科学的に、集め得るだけの資料を整え、調査いたしまして科学的な根拠に立ってわが方の主張を合理付け、これに基いてわが方の主張を通すという方針のもとに、実はあらゆる準備を整えているわけでございます。今日まではまだ会議も本題に入っておりませんで、議事日程その他会議の進行の方法等についてのいろいろな具体的な問題についての話し合いをいたしているなにでありまして、今明確に見通しについてのなには、はっきりしたことは申し上げることはできませんけれども、また数字等につきましても、まだ申し上げることができませんけれども、今申し上げましたように、われわれとしては相当確かな科学的な根拠に基いての資料と、それからこれに基いての結論というものを出しまして、これをソ連側に納得せしめ、あらゆる方法を講じて会議を進めたいと、こう思っております。なおこの前の日ソ交渉最後の段階におきまして漁業問題について責任を持っておった河野前農相の意見等も、十分、私ども当時の経緯と同時に意見等も聞いておりますし、また日本側としてはその当時の事情も十分頭において、そして今申したような結論を持って会議に臨む。そして会議において十分ソ連側を納得せしめようという態勢をとっているわけであります。しかし、これは会議の進行とともに、それが容易にきわめてすらすらいくというふうに、非常に楽観的に考えておるわけじゃございませんし、会議の進行とともに、今申しました方針を実現するのに、結論を実現するのにあらゆる外交的な方法を講じていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります七
  29. 曾禰益

    ○曾祢益君 ぜひ一つ十分な科学的根拠に基いたりっぱな議論を展開されて、わが国の利益を守るようにしていただきたいと思います。  最後にもう一点だけ伺わしていただきますが、実は今度の施政方針演説の中で、アジア外交ということについて非常に力点をおいておられることは、われわれもまことに同感の至りでございます。その観点からも、同僚加藤委員の御指摘のようないろいろな賠償問題、あるいは日本フィリピンの問題もきわめて重要でございまするが、何といいましても、大臣に私が申し上げるまでもなく、日本と中国との関係というものは、これは日本の生存上絶対に、かつてもそうであったし、現にそうであると思うが、将来ともに変らない日本外交の基軸になっていると思うわけであります。その点から今度の外交方針を伺いまして非常に私どもが残念に思う点は、この大切な日本と中国との問題に関する一つの大きな線が抜けている。いろいろな事情があることはお互いによくわかっているのでありまするが、私は、少くとも鳩山内閣の成立当時においては、その後だいぶぼけてきましたけれども、成立当時においては日中の国交回復というようなことを、日ソ国交回復とあわせ並んで大きな一つの建前にされておったように思う。ところが、今度の新内閣外交方針においては、日中の問題といえば、まあいわば、簡単に言っては悪いのですけれども逃げを打ったような形になっておる。従って中国、すなわち大陸中国のことでありますが、この国交回復の問題については、外務大臣の積極的な努力一つも示されておらないのみならず、いろいろな質疑を通じてのお答えを伺っておると、たとえば国際情勢から見て今は適当でない、中共はまだ国連に加盟しておらない、あるいは各国の承認が必ずしも全世界的でない、こういうような一つの理由を設けてこの問題に触れることを故意に避けておられる、こういうきらいがありはしないか。またある質問に対しては、中華民国を正当な中国の政府として認めている。同時に中国大陸を中共政府が支配しており、また現実にそこにおいて政府として存在しておるという、この事実もこれは否認できない。ここまでは事実上の問題としては、はっきりと認識はされておるのでありまするが、やはり国交回復の問題については、先ほど申し上げましたような、きわめて形式論といいますか何といいますか、状況がこうだからという、主体的にこの問題をとらえてどうするのがいいかという基本的な方針は、僕らから言うと、はぐらかされておるように思えてならぬ。私はそれではやはり日本外交としては、一本大きな点が欠けておるのではないか。従って大陸中国との関係については、ただ単にココム、チンコムの緩和をはかって、民間貿易でやっていくということでなくて、やはり現状の認識と将来の達観の上に立ってやはり大陸中国と日本との間の国交を打ち立てていくという基本的な構想の上に立ってしからば現実にはどうこれをやっていくか、その場合に台湾の問題、アメリカの問題、いろいろな難問題があるけれどよ。それに対してはこう手を打っていく、あるいはかりに大陸中国との関係が、いきなり国交回復条約というようなことができなければ、現実にはもう一歩進んで、単なる民間協定でなくて、政府間の協定として貿易問題、外交問題を取り上げていくというお考えまではいかないものであるか。近く石橋総理が健康を回復されるでありましょうから、国会が終ったならば、石橋総理あるいは岸外務大臣アメリカに行くかもしれない。ことに岸外務大臣が自分で行かれるような場合に、どうしても日本政府の、石橋内閣の中国問題を中心とする、やはり新しい外交方針、これはアメリカにも教えてやるというくらいな気がまえを持って、この問題に対するもっと基本的なお考えをはっきりしていただく必要がありゃせぬかと思うのですが、その点に関する外務大臣の御答弁を願いたいと思います。
  30. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 中国問題に関しましては、従来から私、国会委員会、本会議等においての質問においてお答えしておりますように、現在の段階においては、まだ中共との国交を正常化して、これとの間に外交関係を開くという考えまでは達しておりません。今日の状況においては、やはり貿易関係あるいは個々の文化的な交流というようなものを深めていって、そうして国際的な諸情勢も十分にらみ合せて対処するというのが適当である。今日なるほど中共と日本というものは、非常に関係深いものであり、またそれがそういうような外交関係の開けておらないということは、いろいろな意味において支障を来たしておるという事実も、私は承知いたしておりますけれども、現在の状況において直ちに国交を回復する、また外交関係を開いていくという方針をきめて、それに向っていくという情勢にまで、私は諸種の客観的情勢がまだでき上っておらないという判断に立って答弁をいたしておりましてあるいは今おあげになっておるように、そのときの質問に応じてその問題をとらえてお答えをしておるというのが実情でございます。従って曾禰さんのおっしゃるように、日本自身が一つの方針をきめてそうしてそれに向ってすべての情勢なり、あるいは国際的な情勢を作っていくというまでの決意にはまだなっておらないというのが、私の真情でございます。
  31. 曾禰益

    ○曾祢益君 その点非常に私たちとして残念に思うのですが、現状から出発しておられる立場も全然否認するわけじゃありません。わかる点はありますけれども、これはまた情勢待ちということからいいましても、大臣が御承知のように、今の国連総会ではありませんが、次のことしの国連総会ごろには、おそらく客観情勢というものが非常に変ってくるということを当然念頭におかなければならぬ。その場合日本の市場として、これは国連の中共の代表権の問題等についても、ただ情勢待ちということではなくして、やはり一つの方向を達観して逐次手を打つというのが必ずや必要であると思うのでありますが、それは今後とも御意見を伺い、またわれわれの意見も申し上げることにいたしまして、ほかの方がお待ちでございますから、これで私の質問を終ります。
  32. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 今の曾禰委員の質問に関連して……。
  33. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次の方の要求もございますから、ごく簡単にお願いいたします。
  34. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 中国との国交回復に対して、直接今政府が積極的に手を打つという考えはない。しかしながら貿易、文化の促進、交流についてはできるだけ積み上げ、そういう言葉は使っておられないのですが、在来の考え方からいえば、積み上げていって将来の国交回復の基盤を作るという外務大臣のお考えについては、私現在の段階において、政府がそういう態度をとられることは大へん賛成なんです。つきましては、貿易については貿易の代表というような考え方をもっておられるようでありますが、相互に貿易についての代表を日本に招く、あるいは置く、こういう形式にあわして、文化についての、たとえば向うの五カ年計画などに相当、技術あるいは学術とか、あるいは一般の国民感情をやわらげる上における、理解を深める上における、芸術だとか、絵画だとか、音楽だとか、演劇だとか、そういうものに対しての交流を深めていく上について、文化的なそういう代表をお互いに交換するというような、そういう考え方については、どういうように政府はお考えになっておりますか。
  35. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答え申し上げます。今特に日本に、文化に関する代表を中国との間に交換するとか何とかということはまだ考えておりませんけれども、個々の問題として、たとえば最近お医者さんや専門技術者等がこちらに来られるという事実を予想して、日本との間に何する、あるいは芸術の交換というような問題だとか、いろいろな個々の問題として今適当な計画が起ってくれば、それを受け入れていくというふうな段階が今の段階だと思うんです。今直ちに貿易の場合において通商代表を認めるような、何かこちらに文化に対する代表部を常置せしめるというような段階ではまだないと思います。個々のそういう文化的な交流の意義を持った適当なお企てに対しては、これを相互に認めていくというのが適当である、こういうふうに考えております。
  36. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 今の民間の団体で、たとえば文化交流協会というようなものができておりますが、そういうところで向うとの交流文化をもっと密接にするために、事務の連絡をするような人を日本に駐在させたいと私ども思っております。またこちらからも向うに派遣したいと思っておりますが、そういう場合に指紋をとらないことだとか、あるいはその生命の安全を守るとか、あるいは旅券の交付だとか、そういうことについて政府考えていただけるわけですか。
  37. 岸信介

    国務大臣岸信介君) それはその具体的の事例について御相談を受けまけんと、今直ちにどうする方針だということを申し上げることはちょっとむずかしいかと思うのです。しかし個々の具体的の何をはっきりと承われば、これに対する意見をもう少し明確に申し上げられます。
  38. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間もありませんから簡単に三、四点あげてお尋ねいたしたいと思います。石橋内閣になりまして、アメリカに対しても言うべきことは言う、こういう施政方針演説がございました。ところが石橋内閣になりまして、最近私ども国民感情からいって大へん残念に思いますことが一、二起っております。  一つは、水爆でなくなりました久保山さんの未亡人がアメリカに行って、国連に原水爆の禁止について切に訴えたい、こういうことでアメリカに渡りたい、国連総会に出席したいということで旅券の交付を申請いたしましたけれども、遂に実現できなかった、今度の国連総会に間に合わなかった、こういう事態がございます。  それからもう一つは沖縄の瀬長市長日本政府にも援助を訴えたい、こういうことですが、これも実現しなかった。これらの点について、約束のように石橋内閣が、言うべきことはどこに対しても言うということであるならば、私は外務省としてその実現のために努力してこらるべきであったろうと思うのでありますが、実際にはどうであったのか、この点を伺いたいと思います。
  39. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 実は入国査証の問題は、これは各国がそれぞれいろんな点から取り扱っている問題でありまして、実は純粋の従来の扱いから申しましても、その国の国内問題として取り上げているというのが従来の大体の慣習であると思うのです。今の久保山氏、それから瀬長市長の何に対してアメリカアメリカの内政上これに査証を与えるかどうかということは、アメリカ側のきめることであって、われわれとして一応とにかく、われわれが旅券を発給しておるのは、われわれとしては、われわれの何からいって久保山さんの行くということに対していろんな各種の関係を何して旅券を出す。それに対する査証という問題になりますと、今言ったようなアメリカの国内問題として、従来われわれの方では深くタッチしないという扱いによって、ああいう事態が起っていると思うのです。しかし久保山さんの場合においては、特に私どもも査証が出なかったことは大へん遺憾だと思っております。われわれは原爆の問題に関しては、あらゆる機会にわれわれの考えを国際的に訴えるという何ですから、ことに国連へ行くという問題ですから、査証が与えられないということは遺憾でありましたけれども、扱いとしてはそういうことであって、特にアメリカだから遠慮してどうだという意味でもなかったのです。そういう扱いにしおるということを御了承願いたいと思います。
  40. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それじゃ今後について、何といいますか、気持として久保山さんがアメリカに行って国連に訴える点については、外務大臣としてもできるだけ実現するように努力したい、こういうことでしょうか。
  41. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、われわれが旅券を発給しておる意味から申しましても、初めには何か向う招聘団体について多少われわれとしても出すことがどうかと思ったのですが、その後向う招聘する団体も国連の認めている団体が招聘するということになり、そういう関係で適当だと、そういうちゃんと筋の通った何は私はやはり実現したいという気持でおります。
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど同僚加藤委員から、韓国抑留者問題について御質問ございましたが、外相の答弁は、金公使が帰ってこられたが、すぐには釈放にならないのではなかろうかと、まあこういう印象を受ける答弁がございました。ところがこれは御承知のように、昨年の暮、まあ鳩山内閣は外相あるいは外相代理その他を通じて年内に相互釈放を実現すると、こういう約束をされました。国民に約束をされました、これは。私どもも思い起しますが、予算委員会等で重光外相にこの問題について質問を申したいと思っておりましたか、年内釈放実現するから細かい質問且つやめてもらいたいという、こういうことで了承をしたのです。これは石橋総裁としての約束だった。あるいは幹事長としてですか、岸外相も当時私は約束されたと思うのです。ですから、その後の経緯はどうあろうとも、あるいは理由はまあいろいろあることは私も知っておる。知っておりますが、そのときに政府であの韓国の抑留者、これは年末を控えて、ほかは全部釈放された、八百何十名の家族というもりはこの年をまた越すかもしらぬ、病人も出ている、泣いて訴えた家族に対してあるいは国民に対して年内釈放いたしますと約束された。これははっきりと約束されております。それについて、これはまあ鳩山内閣の継続だとおっしゃる。それから個人としても、幹事長としても約束されたのですから、この責任をどうして下さるか。先ほどの御答弁ですと、その昨年の年末の約束は忘れたかのように、なかなか困難でございますという、私は、まあ話だったと思うのです。あらためて一つはっきり責任のある御答弁を願いたいと思います。
  43. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御質問の通り、昨年暮、釈放ぜひとも実現するという強い決意のもとに韓国側交渉をいたしたのでありまして、当時の状況から申しますとあるいは年内にそれが実現するであろうと考えられるような韓国側情勢もありましたので、非常に強く政府としてもそういう、ぜひともこれを実現したいということを強く申したわけであります。そうしてその後においても、実は私が外務大臣に就任をいたしまして、引き継いでその問題を実現するために、年末までも相当努力をいたしましたし、またその後引き続いてやって先ほどお答え申し上げたような経緯を経て今日に至っているわけであります。金公使がわれわれの最後案を持って朝鮮本国政府と打ち合せるために一時帰国しまして、それが昨夜帰って参ったということは私も聞いておるのでありますが、帰ってきてからはっきりした韓国本国政府意向を私の方へまだ申し出ておりませんので、結論としてまだどうだということを申し上げることはできないということを申しておるのであります。非常に悲観的な考えを今申し上げたわけでもないし、また楽観的な情勢を申し上げたわけでもございませんで、一応金公使報告を聞いて、そうしてこれに対するまた処置を考えていかなければならないというのが今日の実情であるということを申したのでありまして、今お話の通り昨年末に強くそういうことを政府が言明している事実に基いて、その後におきましても誠心誠意これに当っておるのでありまして、ただ今日まで実現しておらないということは、何といってもわれわれとしても留守家族の人たちに対して、また国民に対して相済まんと、こう思って努力をしているのが現状であります。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 昨年末の言明について責任を負われるなら金公使が帰ってこられた、まだその報告を聞いておらんからわからんと、こういうことでなしに、これははっきりいつごろまでには片付ける、あるいはいって見て困難なこともある、こういうお話ですけれども、話が長くなりますから申し上げませんけれども、私は解決し得る、これは最初は相互釈放ということで、あるいはその大村の問題が引っかかっておりました。その後久保田発言も取り消す用意もある。あるいは財産問題等についても考慮する。そうして引っかかっている点は私も知っている。詳しく述べて下さいとは申しませんが、こういたしますというくらいな、年末は実現しなかったけれどもこうして釈放実現をいたしたいというくらいな、はっきりした言明は私はあるべきだと思う。昨年の空気はここで申しませんけれど、あの家族なりそれから関係者の要望に対して感ぜられた政府の責任ある言葉ならば、あるいは言明された言葉から言うならば、その後実現しなかったけれどもしかしこれに対してはこうして、こういう工合に御期待にこたえますと、これだけの言明は私はあるべきだと思うのですが、重ねて一つ御答弁を願いたい。
  45. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 早速一つ金公使と係りの者を会見させまして、金公使本国政府意向なり、その後のなにをはっきりと聞きました上に、これに対する私の考えをはっきり申し上げることにいたしたいと思います。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 不満足ですが時間もございませんから、昨年来の責任だけを明らかにして、次のなるべく早い機会にその点について外相の責任ある答弁を期待をして、次の問題に移ります。  この次の沖縄の問題については、御承知のように国会でかつて衆議院の内閣委員が沖縄に行ったことはございます。同僚議員からも御質問があったことと思いますが、私自身前の重光外務大臣に質問をいたしました際に、沖縄問題はこれは国内問題である、日本の領土の一部でありそれから八十万県民は日本国民だ、従って沖縄の問題は日本の問題だ、こういう答弁をしてこられた。そういう観点から立ってごく最近まあ招請という形でありますが、国会議員が五名沖縄に参ります。そこで沖縄に対する政府の態度というものは、これは実は筋が違うと思う。私は、国内問題だという点からいえば外務大臣に尋ねるのは、私の質問自身が少しおかしいと思うのだけれども、しかしまあ一応所管がそうなっているのですからお尋ねいたします。あるいは臨時首相代理ということでもけっこうです。沖縄の実情が日本の一部だ、あるいは日本国民の問題だという観点からするならばいろいろ遺憾な問題が起ってくる。四万二千エーカーを新たに接収をして新たに軍用基地に取り立ててそれを永代借地をするかどうか、まあ言葉はとにかくでありますけれども一括払いというのはそういうことであります。これらに対して沖縄県民の意向がどうであるか。四原則堅持の件でやっておることも御承知通りであります。それに対して沖縄の、これはまあ実際には民政とございますけれども軍政ですが、県民が批判をし、そうしてその結果が瀬長市長の私は当選ということになったのだと思うのです。ところがそれに対して融資をとめる、あるいはその市民の選んだ瀬長市長は長続きがしないだろう、こういうような言明をしたり、いろいろしております。そうして融資をとめられたりいたしましたから、日本政府に訴えたい。あるいは日本の一部であるならば戦災復興資金も広島、長崎と同様に一つ日本政府からもらいたい。こういうことで先般沖縄のある人も参りまして、自民党や政府にもお願いをし、一部はこれはまあ性格がはっきりいたしませんけれども、見舞金も出るだろうという話もございますが、しかしこの沖縄の事態について政府が全責任を持つのかどうか、この点は明らかではございません。あるいは一戸一万円ずつ云々という点もこれははっきりわからぬ見舞金。しかしもし沖縄が日本の領土の一部であるということに間違いなし、あるいは八十万県民が日本人だということは間違いないということであるならば、あるいは沖縄県民の幸福について、あるいは戦災復興について、その他万般について日本が責任を持って、政府が責任を持ってこれに手を貸してやるというのが、これは私は当然の態度であろうと思います。外相なりあるいは臨時首相代理としてでもけっこうでありますが、基本的な政府の見解を一つ承わっておきたいと思います。
  47. 岸信介

    国務大臣岸信介君) サンフランシスコ条約で、沖縄の地位というものがきめられておることは御承知通りでありますが、われわれはあそこに潜在主権を持ち、また沖縄県民が日本国民であるということは、これは前大臣の言われた通り私もそういうふうに考えております。ただ沖縄においては、御承知通り施政権を一切アメリカ側に渡しておりますので、日本の領土であり、日本国民であるとは申しましても、これに対する一切の施政権はアメリカ側が行使するということになっておりますので、日本の内地の人々と同様に日本政府が責任を持ってすべてのものを解決するということができない体制にあることもこれも御了解いただけることと思います。非常にわれわれとしては残念でございますけれども、そういう状態にあるわけであります。  見舞金その他の問題に関しましては、第二次補正予算等において政府としても考えたいと思うのでありますが、それは言うまでもなく、占領中にいろいろな与えられた損害やその他のことに対しまして、アメリカ側にその補償の責任があるのかどうかということについて、アメリカ側との間にまだ一致した解釈に達しておりません。しかしそういう法律論や条約の解釈いかんにかかわらず、私は、日本が潜在主権を持っており、日本国民であると考えておる人々の現状の生活情勢を見ると、このまま放置はしておけないという見地からやはり適当の額の見舞金、名前は何という名目であろうとも、これを救済し、その人々の生活をとにかく助けるということは、日本政府として当然やるべきことであるという見地に立って実は次の補正予算には考えたい、こう考えておるわけであります。
  48. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 重ねてですが、それじゃ箇条的にお伺いいたしますが、戦争中のでき事、あるいは戦死、戦災、そういうものについてはこれは日本政府として責任を負わなければならぬとお考えになるかどうか。それから占領中の損害その他について。それから第三点は、これは沖縄の施政権が日本に復帰するかどうか。日本の領土であり、県民であるということがはっきりするということは、これは実際問題として択捉、国後とも関連がございます。沖縄、小笠原と択捉との関係がございますが、その沖縄問題を解決するために、これは八十万の沖縄県民だけではなくして、八千万の国民がひとしく待望するところだろうと思いますが、沖縄日本復帰のために沖縄の問題を国連に提訴すると申しますか、国連において取り上げられるように働きかけられるかどうか、外務大臣としての御意見をお述べ願いたいと思います。
  49. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 沖縄の施政権の返還の問題については国会の議決もございますし、われわれのこれは念願でありまして、これはぜひ実現するように努力をしなければならぬと思います。しかしその関係は国連にすぐ提訴をするとか何とかというよりも、アメリカとの間にもう少し打ちあけた折衝をし、交渉をしてそうしていくべき問題であろうと思っております。今直ちにすぐ実現するということについては、アメリカ側の従来の意向によりますと、極東の情勢が今の情勢である場合にはアメリカは施政権を返すわけにいかぬということを言っておりますから、直ちにこれが実現下るということを私は責任をもって申し上げることはできませんけれども、しかしその国会における意思というものを実現する。また八千万国民の念願である沖縄の復帰ということに関しては、完全に日本に復帰するようにするということについてはあらゆる面から努力していきたい、こういうふうに思っております。  それから前段の御質問であった戦争中のいろいろな損害に対する何と、占領中の問題とのお話がありましたが、戦争中の損害についてはこれは当然完全なる日本の責任に属するものと私は考えております。それから占領中の問題につきましては、今言ったように解釈上まだ意見が合わないところがあるというのが現状でございます。
  50. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最後に一点。今の最後の答弁に関連してちょっと念を押しておきたいと思うのですが、沖縄問題について国連憲章第三条との関連においてアメリカ側に折衝をする、こういうことでございますか。
  51. 岸信介

    国務大臣岸信介君) まず第一段としてはアメリカ側と折衝をするというのが私は適当であると思います。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 アメリカ側と折衝をし——国連の討議も予想せられるが、その前にアメリカと折衝をして沖縄の施政権返還については努力をしたい、こういうことですね。
  53. 岸信介

    国務大臣岸信介君) そうでございます。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それじゃほかにもございますけれども、時間の関係もございますからまた次に。
  55. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次回は二十六日午前十時から開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会    —————・—————