○曾祢益君 ぜひ
一つ十分な科学的根拠に基いたりっぱな議論を展開されて、
わが国の利益を守るようにしていただきたいと思います。
最後にもう一点だけ伺わしていただきますが、実は今度の施政方針
演説の中で、アジア
外交ということについて非常に力点をおいておられることは、われわれもまことに
同感の至りでございます。その観点からも、同僚
加藤委員の御指摘のようないろいろな
賠償問題、あるいは
日本と
フィリピンの問題もきわめて重要でございまするが、何といいましても、大臣に私が申し上げるまでもなく、
日本と中国との
関係というものは、これは
日本の生存上絶対に、かつてもそうであったし、現にそうであると思うが、将来ともに変らない
日本の
外交の基軸になっていると思うわけであります。その点から今度の
外交方針を伺いまして非常に私
どもが残念に思う点は、この大切な
日本と中国との問題に関する
一つの大きな線が抜けている。いろいろな事情があることは
お互いによくわかっているのでありまするが、私は、少くとも鳩山
内閣の成立当時においては、その後だいぶぼけてきましたけれ
ども、成立当時においては日中の
国交回復というようなことを、日ソ
国交回復とあわせ並んで大きな
一つの建前にされておったように思う。ところが、今度の新
内閣の
外交方針においては、日中の問題といえば、まあいわば、簡単に言っては悪いのですけれ
ども逃げを打ったような形になっておる。従って中国、すなわち大陸中国のことでありますが、この
国交回復の問題については、
外務大臣の積極的な
努力が
一つも示されておらないのみならず、いろいろな
質疑を通じてのお答えを伺っておると、たとえば
国際情勢から見て今は適当でない、中共はまだ国連に加盟しておらない、あるいは各国の
承認が必ずしも全世界的でない、こういうような
一つの理由を設けてこの問題に触れることを故意に避けておられる、こういうきらいがありはしないか。またある質問に対しては、中華民国を正当な中国の
政府として認めている。同時に中国大陸を中共
政府が支配しており、また現実にそこにおいて
政府として存在しておるという、この事実もこれは否認できない。ここまでは事実上の問題としては、はっきりと認識はされておるのでありまするが、やはり
国交回復の問題については、先ほど申し上げましたような、きわめて形式論といいますか何といいますか、
状況がこうだからという、主体的にこの問題をとらえてどうするのがいいかという基本的な方針は、僕らから言うと、はぐらかされておるように思えてならぬ。私はそれではやはり
日本の
外交としては、一本大きな点が欠けておるのではないか。従って大陸中国との
関係については、ただ単にココム、チンコムの緩和をはかって、民間
貿易でやっていくということでなくて、やはり現状の認識と将来の達観の上に立ってやはり大陸中国と
日本との間の
国交を打ち立てていくという基本的な構想の上に立ってしからば現実にはどうこれをやっていくか、その場合に台湾の問題、
アメリカの問題、いろいろな難問題があるけれどよ。それに対してはこう手を打っていく、あるいはかりに大陸中国との
関係が、いきなり
国交回復
条約というようなことができなければ、現実にはもう一歩進んで、単なる民間
協定でなくて、
政府間の
協定として
貿易問題、
外交問題を取り上げていくというお
考えまではいかないものであるか。近く石橋総理が健康を回復されるでありましょうから、
国会が終ったならば、石橋総理あるいは岸
外務大臣が
アメリカに行くかもしれない。ことに岸
外務大臣が自分で行かれるような場合に、どうしても
日本政府の、石橋
内閣の中国問題を中心とする、やはり新しい
外交方針、これは
アメリカにも教えてやるというくらいな気がまえを持って、この問題に対するもっと基本的なお
考えをはっきりしていただく必要がありゃせぬかと思うのですが、その点に関する
外務大臣の御答弁を願いたいと思います。