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1957-09-11 第26回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十一日(水曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員の異動 八月二十一日委員梶原茂嘉君辞任につ き、その補欠として井野碩哉君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            佐野  廣君            鶴見 祐輔君            曾祢  益君            佐藤 尚武君    委員            井野 碩哉君            鹿島守之助君            小滝  彬君            黒川 武雄君            杉原 荒太君            永野  護君            野村吉三郎君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            竹中 勝男君            羽生 三七君            吉田 法晴君            石黒 忠篤君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) それではこれから外務委員会を開きます。  速記をちょっととめておいて下さい。    〔速記中止
  3. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 速記を取って下さい。  委員長海外旅行中でございますので、私が委員長の職務を代行いたします。  最初理事補欠互選についてお諮りいたします。当委員会におきましては、去る八月二十一日以来、理事に一名欠員を生じておりますので、理事補欠互選を行いたいと思います。互選投票によることなく、便宜その指名を委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 御異議ないと認めます。それでは私から佐藤尚武君を指名いたします。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) それでは委員会を再開いたします。  本日は、国際情勢などに関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 私は議事進行最初一口発言をさしていただきますが、それは、当委員会運営の問題でありますけれども大臣の御多忙のことはよくわかりますが、しかしこの委員会がたまたま開かれて、質疑の時間がわずか一時間とか一時間半、答弁時間を含めてそういうことになりますと、大ぜいの委員発言の要求があった場合に、全く先ほどの委員長お話通り、一人当りにすれば四分何がしということで、とても質疑も意を尽せるようなものではありませんので、今後、与党各位のお骨折りもありましてこういう委員会が開会できたわけでありますが、外務大臣も近くアメリカへ行かれ、国連に出られ、またアメリカ当局とも会われ、引き続きイギリス等も訪問される等、いろいろ重要な用務を持って海外へ出られる際でありますので、国内における外務委員会については、できる限り時間を差し繰っていただいて、十分意見も交換し得るよう、御配慮をいただきたい。これは大臣にも、与党の皆さんにもお願いするわけであります。野党も一々こまかいことにあげ足をとって人の時間を妨げるということを毛頭考えておらないわけで、重要な問題について十分意を尽す時間をほしいというだけで、別段他意はないわけでありますから、この点は佐野理事等のお骨折りもありましたけれども、なお一段一つ与党の方のお骨折りをいただき、外務大臣においても院外のいろいろな御用事もおありでしょうが、外務委員会運営については格別の御配慮をいただくよう、特に質疑に入る前に希望を申し上げておきます。委員長によろしくお取り計らいを願います。
  7. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 承知いたしました。
  8. 曾禰益

    曾祢益君 外務大臣がこれから国連総会に御出席になるわけでして、これはまあ前の国連総会にも日本が途中から加わったのでありますが、非常に日本としてはまあ初舞台みたいな、きわめて重要な機会だと思うわけであります。また外務大臣も御就任早々非常な重要な会談に臨まれるわけでありまして、私ども国民としてりっぱに使命を果されんことを心から願うものでありますとともに、いろいろな御苦労のあろうことをわれわれもお察しするわけであります。しかも今度の国連総会——ただいま特別総会も開かれておりまするが——並びに通常総会等は、時局柄特にわが国民として最も重視しておりまする諸般の問題が取り上げられる、こういうきわめて重要な会議だと思うわけであります。特に半年ばかりロンドン軍縮小委員会で、軍縮並びに核兵器禁止、あるいはそれに先立っての、第一歩としての核兵器実験停止等についての話し合いが行われて参ったのでございまして、私どもその結果に非常な関心を持っておりましたが、はなはだ残念なことには、大国のそれぞれの立場からの宣伝はありましたが、互譲の精神に基く具体的な成果なしに、問題はすべて今度の国連総会に移されるという段階に至っておるのでございます。従いまして、この際、外務大臣が、この軍縮並びに核兵器の問題で、日本の明確な意思をどういうふうに表わしていただくかということは、これは国民最大関心事でございますとともに、また世界的にも日本政府態度いかんということは、非常に大きな影響を持つであろうことは、私から申し上げるまでもないところだと考えます。新聞の伝えるところによれば、このたびの国連総会に対する外務大臣及び岸内閣態度は、少くとも過般の総会における実験登録制度というような、内、国民から非常な不満を買い、外、外国に対しても日本の真意を疑われるようなあいまいな態度はやめられまして、相当積極的な、少くとも実験停止と申しまするか、これについては相当明確な態度を打ち出されるやに伺っておるのでありますが、私どもはそれだけの進歩を大いに歓迎するものでございますが、遺憾ながら、これらの点についてまだ政府から明確な方針が国民に示されておらない。私どもは、なし得るならば、こういうことは国会を通じて政府所信を明らかにし、国会の累次の決議もあることでありますから、単なる岸内閣提案でなく、その。バックには全国民意見の一致があるという形を作ることによって、きわめて困難であるけれども有意義な提案を通すような力を作っていただく必要があろうと考えるのであります。非常に前置きが長くなりまして恐縮ですが、そういう意味から、この際、軍縮並びに核兵器禁止なかんずく実験禁止といいますか、停止に関する政府所信を御披瀝願いたいと思います。その御答弁によってさらにその問題の内容について御質問をいたしたいと考えます。
  9. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま曾祢委員からの御質問でありますが、私も同様にロンドン軍縮委員会が十分な成功をおさめませんでしたことはまことに残念だと思っております。従いまして、今回お説のように、総会においてこの問題がいろいろの角度から取り上げられることに相なりました。日本立場としては、むろん大きな意味において、戦争の回避、軍備の縮小、核兵器製造生産禁止ということは、これは大きな目標として日本が達成しなければならぬ国民的要望だと思うのであります。ただ、最終的理想論だけを言っておりましても、必ずしも現実的でない場合もありますので、従ってそれぞれの段階において、その段階における処置をとっていかなければならぬ。私の見るところによりますれば、現在登録制というような問題については、今日の場合において、必ずしもこれを再び主張することは適当でないと思うのでありまして、従って、何らかの形において将来の核兵器製造生産禁止とあわせて、実験登録ないし禁止の措置をとるような案を考慮したい、こう思っております。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 全般的の考えとして、日本は、特に戦争を追放するといいますか、禁止すると、それから国際情勢緩和を来たすような外交をとる、そのため一環として軍縮——これは一般兵器を含めて、特に核兵器は重要でありまするが——これを強く主強する、それだけのモーラルな十分な立場を持っておると思うのですが、しかし、今、外務大臣の言われたように、現段階に応じてこの核兵器禁止実験禁止とをどう組み合せ、あるいはこれをどう切り離していくかということが一つの大きな山になっておるわけでございます。従って、もっと明確に、これは新聞に出ていることで、私は正確なことはわからないのですが、伝うるところによれば、核兵器実験禁止といいまするか、停止だけは、これはまあ一般軍縮から切り離して、いわばこれは即時無条件で要求する、しかし、これと続いて、もちろん実験禁止だけでいいというわけではありませんから、製造保有も、いわんや他国に対する持ち込み等もこれは一切やめるべきである、こういうような二段がまえと申しますか、そういうような明確な線をお出しになるお考えはあるのかないのか、もし、そういう核兵器実験禁止無条件即時ということを強くいたすと、あるいは政府が重要視されておるアメリカとの提携といいますか、協調という線からはずれるような感じがあるかもしれないけれども、それは日本の自主的な立場から強く実験だけは切り離して即時やめるようにというその線をお出しになるかどうかという点が問題の核心の一つだと思うのですが、その点をもう少し明確にお示し願いたいと思います。
  11. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本立場といたしまして、核兵器を使う戦争の絶滅を期しておるわけなんでございます。従って、核兵器製造が行われまして、そういうものの蓄積されることも、将来の核兵器戦争を終末に持っていくためには、ないがしろにできないわけなんです。しかし、同時に実験というものにつきましても、実験そのものによる損害も受けておりますし、また、実験によって核兵器というものが非常に進歩していくということも、核兵器の問題としては適当でないのであります。従って、核兵器実験だけを切り離して、実験さえやめれば永久に核兵器製造は認めてもいいのだという立場は私はとれないと思います。従って、何らかの形において核兵器実験製造禁止というものとは関連があると思います。日本の終局の目的からいえば、そういう立場をとっていきたい、こう思っております。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 私も核兵器実験禁止オンリーでいいという立場はとっておらないことは、今申し上げた通りでございます。ただ問題は、実験禁止をするためには、まず製造禁止の約束あるいは厳重な一般軍縮に非常に関係のありますことですが査察制度のこれこれというものができなければ、実験停止もやれない、こういう立場をとるのか、もとより相互関係がありますが、われわれは、まず実験禁止だけはこれは先にやる。もちろんそれだけでいいのじゃないのですから、それに沿って核兵器保有製造使用あるいは他国持ち込みもやめるべきである、こういうような立場を明確に出す方が具体的ではないか。これは、この前に日本において行いました第三回の世界大会においても、まさにそういう立場をとったと思います。しかし、それがゾーリンの、ソ連の主張に賛成するというのではなくして、これは最近の新聞にも伝えられておりますように、イギリス労働組合総同盟の決議でも、満場一致核兵器実験禁止だけはまずやるべきである、これはもう外務大臣が御承知のように、イギリスの労働党なり労働組合が、一般軍縮に関しては非常に厳重な査察制度を要求しております。それがそういう態度をとっておる、だからそういう点については、日本独自性自主性を出すか出さないかということのテスト・ケースになると思う。それをあいまいにして、いや核兵器実験禁止はもちろんやってもらう、製造禁止もやってもらう、だから関連させるという立場をとると、それは日本意図いかんにかかわらず、これは、存外世界から見ると、アメリカなり西欧の主張にのみくみしているという非難すらこうむる。私は、それが非常に重要な点だと思いますから、いずれ外務大臣提案の説明によって明らかになる点なんですから、その踏み切りをどうつけるかという点だけ明確にしていただきたい。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国際間の不信が非常に目立っておる、お互い相互信頼状態にありますれば、むろん核実験だけを切り離してすぐ禁止する、翌日からそういう問題について話し合いがどんどん進行していくという状態ならば、核兵器実験だけを切り離して、そうして禁止するということも考えられないことはないと思いますが、私ども判断によりますれば、まだ、翌日からすぐにそういう査察制度を切り離してやりましても、査察制度等がすぐに引き続いて妥結していくというわけには必ずしもならないのじゃないか、そこに国際間の今日のいろいろな問題があるのだと思うのであります。従って、日本立場からすれば、核兵器製造禁止、従ってこれが戦争目的に用いられることを絶対に反対している以上は、実験と同時に何らかの形でそういうものが進行していくということを私は考えなければならぬと思います。ですから、それは、考えられるような国際間に不信状態があるかないか、相互信頼があるかないかという情勢判断に私はなってくると思うのです。従って、私も先般衆議院でも申し上げましたように、そういう情勢が、私が国連に出まして、あるかないかという判断一つの大きな私としての最終的決定をするところではないかと思っております。しかし、私は、やはりそのために実験禁止がおくれてはならぬということも、むろん考えておるのであって、日本実験によって被害もこうむっているのですから、そういう意味であわせて考慮していくわけです。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 情勢判断については、これはもうお互い大体客観的にも判断ができていると思うのです。つまり大国間には遺憾ながら非常な不信感がみなぎっておる。にもかかわらず一方においては、この核兵器戦争による人類共滅だけはこれはできない、また、核兵器による実験だけでもこれは非常に学術上の論争をこえた危険が迫っている、従って、この問題は、不信があるけれどもやっぱり何とかしなければならないだろう。しかし、その裏である査察問題が非常に問題になっておることは事実です。従って、私の申し上げるのは、査察実験禁止についても、禁止し合う、停止し合うということを言ったとたん、実験停止だけの査察ということについて、やはり大国間の意思の合致ということは必要になると思う。しかし、それをさらにむずかしい製造査察制度云々に至ったら、大国間は手がつかない。だから使用しないような、不意打ちをしないような査察制度を作ろうということは、大国間の意思もやや一致しておる。だから問題をあまりむずかしくせずに、実験禁止はやる。禁止をやるということにきめれば、実験禁止についての査察問題、これは大国間話し合いがつかなければ実施できません。しかし、それをさらに製造査察制度ということに広めて日本から徴すべきじゃないか。その点からすれば、不信があれば査察の必要があるということは認めるけれども査察制度の完備ということだけをねらっていけば、これは実験禁止はできないということを、明確な立場をとって——私は、理想主義ということを言われても、日本立場を強く進めるべきじゃないかと考えるのです。だから、きょうここに詳細なる時期についてまで御発表願いたいとは思いませんが、今申し上げましたような点から、結局向うに行っていろいろ聞いてみて、情勢判断すると言われますけれども情勢判断お互いにできているはずだ。決してなまやさしいものじゃない。むしろ情勢を作っていくような、どっちの陣営にも強く言えるような、明確な日本の独自の態度を出すべきじゃないか。これは意見になって恐縮ですが、申し上げておきます。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 関連して。  今の外務大臣曾祢委員に対する御答弁は、私の方が言うならばわかるのですよ、社会党が言うならば。社会党がそれは単に実験禁止だけじゃいけない、製造使用禁止まで即時やれという議論なら、これはわかりますが、政府が今それを言われることは、むしろ実験禁止を逆に製造禁止にまで持っていくことによって、かえって私は問題の現実化を妨げる結果になるという見通しの方が多いと思う。だから、私はむしろ政府が、これは社会党の言う理想論ではなしに、政府現実論立場に立つならば、とりあえずまずもって現実的な実験禁止処置で全関係諸国の足並みをそろえて、これをステップにして次の段階にだんだん入っていくという立場をとった方が、より効果的である、具体的であると思うのですが、どうですか。
  16. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連して。  原水爆禁止協議会及び世界大会日本人の大多数の世論は、実験即時禁止ということで、これは国民世論だと思われますので、外務大臣にはそれは十分に記憶しておかれたいと思うのです。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私が査察制度と申しました中に、ちょっと誤解があったと思うのですが、ただいま曾祢委員の言われましたように、実験禁止も何らかの査察制度が伴わなければならぬ、それはすでに歩み寄りが、ある程度できつつあるのではないか。そういう意味において私も考えておるわけで、ただ、曾祢委員の言われましたように、実験禁止に伴う査察制度も、それの歩み寄りができつつあるかということに、私は、まだ最終的な確保が持てなかったということでございます。
  18. 曾禰益

    曾祢益君 まだこの問題についても各委員からの御発言もあろうと思いますが、続けさしていただきます。  特にその点についてはもう少し明確に、要するに実験禁止だけを切り離してきめて、それに伴う査察の問題を大国間で話し合えばいいじゃないか。さらに日本としては核兵器全面的禁止をこれまた強く要求する、こういう態度を明確にしておきたいというのがわれわれの意向です。これに関進しまして、特に最近の世界動きから見ますと、非常に遺憾なことには、大陸間弾道兵器競争、いわゆるボタン戦争で相手方を戦わずして圧倒しようというような動きが非常に強い。これはもちろん全般的な軍縮の問題、特に核兵器戦争と関連することでありますが、こういう競争をやること自身が、これがさっき言った……外務大臣も同様の趣旨で言われたと思うのですが、こういうような競争自身が、国際間をますます緩和どころか緊張に持っていっている最大の原因の一つでありますから、特に大陸間弾道兵器に関する競争をやめるように、これも強く一つ要求していただきたいと考えております。  次に、国連に対する総会理事会全般についての日本態度でございますが、特にこの際伺いたい一つは、安全保障理事会日本立候補する問題でございます。われわれやはり国民として日本国際連合に加盟し、さらに日本がその中でもやはり最も重要な機関である安全保障理事会に適当な時期に……日本常任理事国ではありませんが、また常任理事国というような大国主義は、われわれはむしろイデオロギー的に反対ですが、非常理事国一つとして日本が迎えられる、その栄誉といいますか、またその責務を背負う覚悟がなければならぬ。また立候補する以上は、日本当選することを、これはすべての選挙も同様で、当選を願うわけですが、しかし、私どもちょっと今回の安全保障理事会に対する立候補が、果して時宜を得ているかどうかについて、はなはだ遺憾ながら、内側からこういう議論が出るのはどうかという御意見があるかもしれませんが、率直に私はやや疑点を持つ。その第一は、その動機をこれは明確にしておいていただきたいのですが、岸さんがアメリカに行っておられるときに、アメリカ側から立候補せぬかという勧めがあった。普通の選挙でもよくあることですが、ボスの方から勧められて立候補するのと、選挙民意思に従って立候補するのと二つあります。どうもその筋がよくないというような感じがしてならない。果して日本としては今の段階において安保理事会立候補するのがいいのかどうか。それとも二年生とはいうものの実質的には総会の一年生です。総会の一年生として、むしろ安保理事会は何といっても大国中心主義であり、しかもそれが重要な場合には必ずしも機能を果さない、麻痺する。むしろ国連の今後の新しい行き方としては、三分の二で民主的に中小国意見を相当聞く総会にある意味政治的のウエートが移っている。その総会に二年生、実質的の一年生としての日本立場を強く築いていき、そのうちに時期がきたならば安保理事会に推されるというのが、この方が順序ではないか、私はそういう感じがするわけです。従って、今まず伺いたいのは、この立候補動機について、果してこれは自主的な決定かどうか、アメリカから勧められたのか、まずこの点を伺いたい。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は立候補は自主的であったと信じておるわけであります。当時外務大臣をしておりませんので、はっきりした状態は知りませんが、私は完全に自主的にきめた、こう思っております。
  20. 曾禰益

    曾祢益君 そこで、動機は別として、すでに立候補されることはさまっておるようですが、もうすでにおととい安保理事会においては、南ヴェトナムそれから南朝鮮あるいは外蒙あるいは南朝鮮と北朝鮮との同時加盟問題というような問題が審議されている。安保理事会のそういう事情をよく考えて、ほんとう政府安保理事会——総会でももちろん基本的には同じですが、安保理事会みたいな直ちに大国の冷い戦争の場になるような所に日本が出て行って、果して内外に十分なる威信が維持できるような、りっぱな外交的政策が、基本ができているのかどうか、はなはだこれは失礼ですが、国民としての点を心配するのです。外務大臣は今度立候補するので、この間外人記者会見においてはむしろアジアの声を友とするといいますか、アジア一員としての日本ということを強く選挙演説には訴えられているわけであります。どうも私はその前に、岸さんの外交の路線は別のやっぱり方向、つまりアメリカとの協調ということがもっと大きく底にあるのじゃないか。これは現状におきまして今の日本の保守党の政府が置かれる立場の困難なことはわかる。しかし、そういう点が不明確なままに投票を得るときには、あっちにもこっちにもいいことを言ったけれども、さて当選のあとに両方から不信を買うような鳥でもない獣でもないコウモリという立場に置かれることを、日本国民はおそれる。そういう点について、ほんとうに確信を持ってアメリカとの提携AAグループ立場、これは両立しない立場があるということを十分に認識して立候補されたのかどうか、これを一つ伺いたい。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国際間のメンバーになって、世界政治日本発言機会を持つ、一つのシートを持つということ自体が、私は非常に大きな問題だと思うのです、お話のように。従って、安保理事会というばかりじゃなく、総会メンバーとして出席して、日本がその中で行動するということは、これは非常に大きなことであり、また責任のあることである。従って、日本としてはこれに重大な責任国際政治の上に負わされたということであって、これはやはり日本がりっぱな態度を持って将来終始していくように、日本外交というものを今後十分国連中心にして動いていく場合に、考えていかなければならぬ、この点は、私そう考えております。  それから先般外人記者クラブ演説が私の選挙演説だというお話ですが、どうも選挙演説ではないのでありまして、私としてはかねがね、曾祢さんともいつかAAグループに一緒に行ったこともあるのですが、あれ以来大体AAグループの中に地理的にも経済的にも日本はあると、そういうことによってまた一員としての、メンバーとしての自覚を持たなきゃならぬということを私としては考えておるわけです。日本外交アメリカとの協調を主にするということは、これは私は当然のことであり、また日本の今日の外交の大きな基礎はそこにあると考えていい。またそれをできるだけ緊密な連絡をとり、緊密な協議をしながらいくということは当然だと思います。その意味において私はこういうふうに考えておるわけなんですが、たとえばインドが大英帝国の一環として行動してるということは、インドの必ずしも立場を大きく出しているわけでないので、その中においてインドの立場において行動している、従って日本アメリカと対等の立場で、しかも協力していくということからいえば、ときにアメリカのいやなことも言っても、私は立場が違う場合にいいんじゃないか、そのこと自体をはっきりさせることによってアメリカとの協調が一そうスムーズにもなり、また東南アジアの、あるいは中近東方面の人のはっきりした日本に対する信頼感を起すゆえんでもある、こういうふうに私は考えておるんです。ですからその意味において将来ともそういうような方向で私の外交政策、というと大きいかもしれませんが、まあ外交の見解をそういうふうに考えております。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 大へんけっこうなお話で、われわれの希望は岸さんの両岸外交でなく、藤山さんのAAグループに足を乗っけたかけ橋外交をやっていただきたい。その意味で大いに支持したいと思っているのですから、ぜひそういうことがほんとうの内閣の外交政策になるように御努力を願いたい。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 他のお方の発言時間がありますから、私簡単に一問だけ関連して伺います。  今の曾祢委員の御質問に対する外務大臣の御答弁よくわかりましたが、しかし最近の中東情勢を見ておりますと、各国の利害が対立して分裂傾向にある。しかもその原因を探求していってみると、アメリカの政策の影響でアラブ諸国が分裂させられておる。これは非常な大きな問題であります。しかし今もお話のように、アジア・アラブができるだけ一体であることを希望するし、また一体であることが世界平和のためにも、あるいはまたアジア・アラブ諸国の経済的理由のためにも必要であろうと思うのです。従ってこういう場合においては親米政策というものも一応限界があるということで、しかしそれは限界があるだろうことをある程度今外務大臣は認められましたが、その点は親切に言えばアメリカもわかってくれるというなまやさしいものではないと思う。現実にいよいよ国連の場において具体的に特殊なケースについての態度を明確に決定を迫られたときには、かなりきびしい私は現実であろうと思う。そういう場合にやはり政府としては、あるいは外務大臣としては日本の根本方針が親米政策であることは、とやかく言いませんが、しかしふだんに、やはり根本的にはアジア・アラブの側に立つ、必要によっては明確に、単に意見ではなしに態度としてもアメリカと異なる態度をとることもあり得るということを、私はこの際特に明確にしていただければ非常にけっこうじゃないかと思うのですが、まあ御無理なことかどうかしりませんが、お答えいただきたい。
  24. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) このアジア・アラブの国々の利害関係というものは、私は必ずしも一致した問題ばかりではないと思うのでありまして、パキスタン、インドの例をとりましても紛争点はあります。従ってそれらの問題に対する、あるいは中近東の問題に対してもわれわれは単にアメリカとの協調ということよりも、自由主義陣営の立場をとる、少くとも保守党内閣として自由主義陣営の立場をとる、ということをはっきり私は申し上げておきます。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 時間がないから、これは下手な質問をしておってもわけがわからなくなりますから、他日の機会に譲ります。
  26. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は主として経済問題についてお伺いしたいのですが第一には中国との貿易の問題でございます。前の委員会のときには岸総理が出席されて、藤山外務大臣とともにお話になったことは、たとえば中国との貿易を発展せしめる上に障害物となっております指紋の問題、あるいはその他通商代表部の問題等についてかなりきつい態度、ところが今日までの経過を見ておりますと、指紋問題等につきましてもやや緩和された態度をとっておる。また第四次協定の問題について、その三団体の代表が向うに行く際に、特に自民党の池田正之輔君に政府の方の案を持たしてやったというようなことになっておるわけです。これは若干の進歩が見られるわけでありますけれども、私は最近の中国の状態あるいはまた最近の中国の態度というものから見て、これではなかなかむずかしい問題がなお残るのではないかということを心配しておるのです。一方におきましてイギリスなりあるいは西独なり、あるいはフランスなりイタリーなりというものを見ておりますと、これは中国に対してかなり積極的な貿易を拡張するための手段をとっております。そういうふうに手段をとっておるのに対して、中国はまた日本よりもむしろそちら側にいろいろと話し合いを進めていくというような格好になっておるのです。日本はこのままではなお非常に立ちおくれをするというふうに考えられるのです。過日外務大臣が記者会見等における、あるいはその他の機会にも発表になりました、指紋問題あるいは通商代表部、これは通商代表部という名前はおきらいのようですけれども、そういうものに対するあなたの考え方はあるいは発表されたものが最終的な案なのか。たとえば第四次協定のために向うに行く三団体の諸君が、もっと幅のあるものを持って行くように、政府の方で配慮されておるのかどうか。特に池田正之輔君に対して政府並びに自民党としては、なお幅のある態度をとらし得る余地をお持たしになった、その辺をお伺いしたい。
  27. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 中共との貿易を増進させ、しかもこれを円滑に実行させるという点については、私もできるだけ努力をする考えであります。希望しておるわけです。指紋問題は御承知のように見本市の問題としては、一応見本市に関しての特例を作りましたことによって、中共問題もその中で私は解決したと思うのです。中共問題解決のためにやったわけではありませんけれども、その中で解決できたのではないかと、こう考えております。貿易をスムーズにやっていくということに対してはわれわれも十分考えております。また貿易に伴いますいろいろな弊害がないとも言えないと考えますので、そういう問題も取り除いていくということにつきましても考えております。ただしこの問題は純経済的な貿易上の問題でありまして、政治的な意味での承認、あるいは政治的な問題の解決というのとは、全く切り離して考えるのが当然だと考えております。従って貿易をスムーズにするためには、中共において貿易事務を取り扱っておられる代表者の方に来ていただいて、そうしてそれらと日本の人とが話し合いをすることが円滑にいく一番大きな道だと思いますので、そういう道はできるだけ開いていきたいとこう考えております。ただし今御指摘のように、池田正之輔議員に対しては、私は個人的に、私の考え方はこういうことであって、こういう方向に沿って解決していくのが、一番実際的に貿易をなめらかにしていく考えである、と私は確信しているのだということは申したわけでありますけれども政府として何らかの形で決定をし、池田正之輔議員にその旨を伝えたことはないのでありまして、さよう御承知願いたいと思います。
  28. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはおかしいので、たとえば今言った指紋の問題でも、第四次協定ができた後のそれの実行の問題につきましても、これは政府の関与するところがかなりあるわけです。従いまして、政府がこれは関与しないというような考え方は私はおかしいと思う。池田君は、たとえあなたの個人的な意見にしろ、外務大臣からの個人的な意見にしろ、何か持っていかれたのですが、こちらでもって外務大臣の発表されました態度になお弾力性があるのかどうか。弾力性があるものと解してよろしいのかどうか、そこのところをお伺いしたい。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この問題について弾力性があるかどうかということは、非常に、御質問の趣旨が私にはわかりかねるのでありますけれども、私としては、今言ったような解決方法で解決するのが日本のためにいいし、またむろんこれはやはり両国の折衝のことでありますから、中共側はいろいろな説を出すかもしれません。しかし今の貿易をスムーズにする限りにおいて、貿易のことを管掌している人が、ここに事務所を持つということが、貿易問題をスムーズにする意味においては最終的なことだと私は思うのです。従って、その面において何か弾力があるというふうには私は考えておらぬのでして、アメリカに対して御主張のように自主外交をやると同時に、中共に対してもわれわれは日本立場からの意見をなるべく主張していきたい、こういうふうに考えております。
  30. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ相手のあることですし、折衝の問題ですから、まさかあの態度でそれで動かないのだということもないのだろうと、これは外務大臣としてあるいは動くのだとも言えないからだろうと思うけれども、それはそれとして、次にお伺いしたいのは、インドネシアとの賠償の問題です。  これは、こんど岸総理がこの次東南アジアを回られるときにはインドネシアへ行かれる。それ前に賠償問題が解決することが私は望ましいと思う。またそれが日本の東南アジア諸国との貿易を促進する上に役に立つことであるし、インドネシアと日本との関係をさらによくする上にも役に立つと思うのですが、これもまた価額その他の点についてかなり難関にぶつかっておると思うのですが、大体外務大臣の見通しとしては、歩み寄りができてこの十一月までにはこれは成立し得る見込みに達し得るものか。その点お伺いしたい。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) インドネシアとヴェトナムの賠償問題はできるだけ早い時期に私は片づけていきますのが、東南アジア各国との友好関係を増進する上においても必要なことだと思っております。従って岸総理の東南アジアを回られる回られぬにかかわらず、私としては考えております。しかし岸総理が回られることでありますから、なるべく回られる前にそういう問題が片づいていれば、なお総理の東南アジアを回られる場合にも現地側の喜びでもあるわけです。そういう意味においてできるだけ早い機会に片づけていきたいと、こういうふうに考えております。  現在の段階においてそれではどういうふうに歩み寄りができるかということは、私から必ずしも申し上げにくいわけでありますし、また両国間の折衝のことでもありますから予見するわけにも参りません。しかし賠償問題を誠心誠意片づけて、そうして日本もやはりこの問題を一日も早く片づける。こういう立場から、単なる技術的な問題あるいは単なる数字上の問題だけに大きくこだわる、こういうことは適当でないと思うのでありまして、そういう面について十分政治的にも、この問題は単純に事務的の問題でなく、考慮していかなければならぬ。こういうふうに考えて、今事務的段階ではなかなか解決しにくい問題を、政治的な観点から一つみていこう、こういうふうに進めつつあるわけであります。
  32. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 賠償問題は同時に国内の財政問題とも関係をしてくるのであります。特にこれは大蔵省との関係という問題が大きな問題になると思いますが、従来インドネシア、ヴェトナムとの賠償問題について大蔵省との関係がなかなかむずかしかった。これはこういう経済情勢になってなおむずかしくなると思うのですが、外務大臣はこれについて十分な御努力を払われて、やはり私としては一日も早く賠償問題について適当な解決に到達されることを希望いたします。  それから次にお伺いしたいのは、今度アメリカヘおいでになる、これは国連総会へ出られたあとアメリカのダレス国務長官等とお会いになるので、当然問題に出なければならぬと思うのは、アメリカにおける日本品の排斥問題、これは相当激しくなってきております。またいろいろな商品に及んできている。日本アメリカとの貿易をみておりますと、アメリカの方から日本にくる品物が多く、バランスもずいぶん大きな開きができております。こういう場合になお日本として向うの言いなりほうだいになって、自主的解決と称して実はそのためにだんだん押えられていくというようなことも起ってきている。非常に遺憾だと思いますが、この点について外務大臣アメリカ側に対して十分日本立場主張して、そうしてこのアメリカ日本品排斥、これはいろいろ形がありますけれども、少くとも政府に対して十分厳重な態度をもって臨むべきだと思いますが、これについてアメリカ政府と交渉されるおつもりがあるか。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日米間の貿易の問題は日本アメリカから相当物を買っておりますし、日本の売っている物よりも買っている物の方が御承知の通り多いわけですし、従ってさらに一そう日本から輸入してもらうということは、これは日本としてぜひともアメリカ側に要望しなければならぬことだと思います。来年は、互恵通商法の改訂期にも当っておりますし、そういう契機にさらにアメリカの国内でもいろいろ議論が出るかと思いますので、そういう意味からいいましても、われわれとしてはアメリカ政府当局の一そうのこの問題に関する理解と関心とを持ってもらいまして、そうしてアメリカ政府自体が国内世論の指導、理解というものに当ってもらい、また具体的にいろいろな措置に対しての政策を日本に有利に展開するように、アメリカ政府と協議をしていきたいことなんであります。ただ問題は非常にアメリカの国内世論の反映もありますので、その方面にも相当訴えていかなければならぬと思います。従って政府間の問題としては、われわれはできるだけ今もお話のようなことを折衝して参りたいと思いますが、社会党も河上氏を団長にして訪米視察団を出されるので、どうかアメリカ世論に対しては、そういう日本立場をあれして御協力をしていただきたいとこう思っております。
  34. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に例の東南アジア開発基金の問題ですが、あれは岸さんがアメリカへおいでになったけれどもアメリカの方の財政上の問題その他から、アメリカの方からの金を持ってきてこれをやるということはできないことになりました。まあシャボンの泡みたいに消えてしまったわけです。しかしこれはおそらく東南アジアとの貿易ということ、あるいは経済開発ということに非常に深い関心を持っておられる藤山外務大臣は、そのまま消えてしまったというだけで済まされる問題でないと考えておらるのですか。その点について藤山外務大臣は、この東南アジア開発基金の問題を、今後どういうふうにお考えになり、どういうふうに実現されていこうとしているか伺いたい。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この問題は単に日本だけの考えでなくて、東南アジアの諸国の考え、あるいはこれに参加し得るアメリカもしくは西欧各国の考え方もありますので、現在総理が回られまして、他国に対しては総理からその構想を伝えられてあります。またアメリカに対してもそうだと思います。その他の国に対しては、外相としてはこういう日本考え方を持っておるのだということで、それぞれ各国政府意見を求めております。従ってアメリカに私が参りまして、この問題についてこれを進行させるためにアメリカの十分の理解をさらに進めていきたい、こう思っております。しかしこれは受益国あるいは協力国それぞれの立場意見もあります。従って最終的に今回行きまして、その問題が形をつけられるとは私は考えておりませんし、また非常に大きな考え方でもありますから、十分理解を得た上でこういうものができるとすれば発足することがいい。そう急いでこういうものをあわてて作り上げるという考え方も持っておりません。しかしこれを今お話のようにこの構想を棄ててしまうという考えは私は持っておらぬのでありまして、この構想の根本になっておりますアジア経済の発展向上と、それに伴うアジアの民生の向上ということが大きく言えば世界の平和になります。また日本の将来の立場にも有利に、日本の経済上も利益があることでありまして、そういう問題については今後とも棄てないでできるだけ形をつけていきたい。しかしその形があの案の通りの形になるか、いろいろ各国の希望その他も入れ、あるいは現実の資金的問題その他等も考えて、大小いろいろな形に若干の変化をしてくるということは免れないことと思います。そういう意味アメリカに対しても話をし、また必要な資金量がどの程度かりにアメリカが醵出できるだろうかというような打診はしてみたいと思っております。
  36. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この問題については東南アジアの諸国でかなり疑惑がある。で岸さんがああいうふうにアメリカから金を持ってきてやるということについては反対もある。しかもそれはいわゆる中立主義の立場に立つ国だけでなくて、SEATOに参加しておる国の中でも明白に反対だということを言っておるのです。それで私はもう一ぺんそういうお考えがあれば構想を変えなければならないと思うのですが、今の藤山外務大臣お話ですと、さらにアメリカに行って交渉されるということでは、この疑惑は打ち消されないことになって、またさらに疑惑を深めることになるというふうな気がするのですが、この点についてはもっと東南アジア諸国と話し合って、日本としてもっと自主的な立場でやるということの方がたとえ規模が小さくなっても、アジア諸国との間の関係はよくなるのじゃないか。そういう疑惑を一掃するために、むしろアメリカに頼らない方がいいという私の見解なんですが、その点について外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は今申し上げたように、アメリカばかりでなく、西欧の各国にもこういう問題について意見を求めておりますわけで、アメリカだけに頼るという考え方では今日までないわけであります。しかし御承知のように、世界的にドルの偏在状態でありますから、アメリカもしくはドイツ等が資金的には援助し得る立場にあるということから問題を考えておるわけなんです。東南アジアの反対というものは、いろいろな角度からの反対があるわけでありまして、こういうものができればバイラテラルの援助が減っちゃうのじゃないかというような考え方もあって、あるいはアメリカからバイラテラルな援助を非常に受けておる所は、そういう心配をしておる所もある。いろいろな角度からこの問題については意見が東南アジアでもあるわけです。その点はわれわれも十分考えてやっていかなければなりませんし、幸いにネール首相も見えますから、ネール首相あたりの率直な意見も私自身伺えることができれば伺ってみたい。従ってこういうものを何か功をあせって、そうして早急に不満なものを作ろうとは考えておりません。ただお話のように、日本としては東南アジアの経済建設と、最終的に民生の安定向上というものがどうしても必要だと考えておりますので、各国の賛成を得られなければ、おのずから日本のやれる範囲内で、そういう構想を若干ずつ展開していくということも考えられるわけです。そのうちに、日本はそういうことをやっておりますれば、同憂の士はそれに参加してくれるということも考えられるわけです。そういうことをひっくるめて、今この問題の処理を全体として考えておるわけです。
  38. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日ソ貿易の問題について一点お伺いしたい。それは今ソ連の方から代表が来られまして話し合いが始まろうとしておりますが、政府はこれは通商条約、広範な一般な条約を作っていくという御方針ですか。とりあえず今のところ両者の貿易の額並びに支払いの協定等々くらいにとどめておくというお考えなのか。私どもとしてはすみやかに通商条約を締結するという努力をしてもらいたいと思いますが、その点はどうお考えになっておるか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ソ連の方から代表団の方も到着されたわけであります。十二日、明日あたりから大体話し合いをしていくわけです。日本としてはまず貿易上の協定をやると、それに伴う支払い等の協定をやっていくという立場で話を進めておりますが、しかしこれをまず早急にやりますことが、貿易状態の上からいって必要だと思います。一般的な通商協定その他を広く締結しますことは相当時間もかかりますことであります。それらの研究もさらに進めて参らなければならぬわけですし、そういう問題は今すぐというまでは考えておりませんが、しかし向うの交渉の代表が来ていますから、そういう人たちと話し合っているうちにおのずから向う側の意向も判明してくると思いますので、将来はそういうふうに進み得る可能性もあると思います。
  40. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと一つ関連しまして、今の問題ですがね、通商航海条約的な内容のものを貿易協定で審議し、協議決定をするというような方針はおとりにならないのか。さらに進んでは、むしろ通商航海条約自体を審議するような方向に進められることがしかるべきじゃないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まず、日本とソ連との間の貿易を軌道に乗せていくということが必要だと思うのであります。そういうことで、貿易協定等をやることについてのソ連側の意向がはっきりしておりませんでしたので、先般廣瀬公使をソ連に出しまして、そして意見の打診をいたしました。で、貿易協定はまずできると、向う側も喜んで締結するという意向が察知されましたので、日本としても、まず貿易協定をやろうじゃないかという提案をし、向う側もそれを快諾されたわけであります。そういうような状況でありますから、それ以上の問題になりますと、なお今後そういう点からいろいろ両者の意見交換をしていかなければならぬということであります。
  42. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この通商航海条約自体に、あるいはそれの内容的なものをやることにどういう障害があるのか。それからソ連の考え方がよくわからないとおっしゃいますけれども、ソ連が今までにいろいろな機会に公表しているところでは、むしろソ連はそういうものを積極的にやりたいということを切望しておると思います。そういう希望があるにかかわらずそこまではいけないという、一体障害なり不都合が、具体的にはどういうところにあるのですか。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 貿易通商関係の仕事をまつ先に締結して、一日も早く円満な貿易関係がさらに進んでいくということが必要であるし、同時にその決済問題等についても、いろいろ考えていかなければならぬので、まずこれを取り上げたわけであります。で、今お話のようにソ連側が非常にそれを熱望しているのだと、それだけを熱望しているのだというふうには、私どもまだ必ずしも完全に理解していないのでありまして、向うとしては、全面的な条約の問題その他と同時に、そういう問題をやりたいのだという意向もあるやに聞いておるわけでありまして、そこいらの点を考えながら、われわれもやっているということで御了承願いたいと思います。
  44. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 外務大臣がこのたび国連へ御出席になるその場合において、原水爆禁止の問題について御提案があるということを新聞において承知をしておるのであります。その御提案はどういうふうな骨子でありますか、差しつかえない範囲においてお伺いをしたいと思います。これは先ほど羽生委員から御発言のありましたように、国会を通じて国民に知らせるということが必要だと思うのです。ことに本院におきましては、しばしばこれに関しまする決議をいたしておりまして、外務省もこれを取り次ぎ、また外務省の立場としても、いろいろ御画策になって、外部に呼びかけられたこともあるのであります。でありますから、国会閉会中におきましては、羽生委員の御発言のありましたように、国会外務委員会に対して、むしろ進んで御説明いただきたかったのであります。しかしそれがなかったのでありますから、新聞の伝うるところよりもはっきりと、この点だけに関しまして外務大臣の御説明を願えたならば、ごく簡単に願いたいと思います。新聞に伝うるところはある一定期間禁止をする、こういうようなことを御提案になるやに聞いておりますが、果してそうであるかどうか。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 核実験停止は、先ほど曾祢委員にも御返答申し上げましたように、核実験停止だけでは私は不十分ではないかと思う。やはり核実験に伴う、何らかの査察制度その他の問題が付随しておらぬと不十分じゃないか、ということを私は考えております。日本提案として、終局にはむろん核兵器生産禁止ということが目標であるということは間違いないのでありますが、核実験による損害も国民が受けておりまして、また今御指摘のように両院の決議もありますから、われわれとしては核実験禁止という問題もむろん提案したいと思っておりますが、それだけ切り離してするにも、やはり何らか関して措置がなければ有効適切じゃないのじゃないかというふうに考えておりまして、そういう問題をどういうふうに扱うかということを今考えております。
  46. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 多少考えが違う点があるかもしれませんが、むろん本院におきましても核兵器製造及び使用禁止ということは言っておるのでありますが、それにも連関は持っておりまするが、独立に核実験禁止ということを即刻やらなければならぬという意味で、これを製造禁止だの使用禁止などについての問題が解決をするのを待たずして、行われているところの実験の人類に及ぼす非常な大きな障害というものを、すみやかに断たなければいかぬという立場から決議をしておるのであります。そこでこれは本院におきましても、この委員会におきましても、私どもは先ほど曾祢委員の御発言にありましたように、軍縮問題というようなほかの連関はあるけれども、ほかの問題と関係なしに、核実験禁止の問題だけを独立に取り扱っていくということが、目下の急務であると私は考えております。そのことは発言しております。しかしむろん関係のあることでありますから、一緒におやりになることはよろしいが、ほかが話がきまらないために、核実験というものをどんどん重ねていくということであっては、現代の政治家が人類の将来に対して非常に大きな責任を背負わなきゃならぬ。責任を背負ったところで申しわけのならぬことになるのであります。そのことを大国政治家、国際政治の動向をきめていく人たちに、本心からその責任感じさせるようにするということが大事だから、大きく叫ばなきゃならぬということを言っておるようなわけであります。そこでこれを独立の問題としてやるということは、これは非常に緊急な問題だと思っておる。その点をどうも私は、外務大臣のただいまのお答えでは不満足に思うのでありまして、十分一つ考えをいただきたいと思います。  それから今私が伺いましたのは、大臣から直接に伺わないのでありますが、新聞の伝うるところによれば、期限を切ってまず禁止をする、期限を切って禁止をするということは、緊急性に応じるためのお考えのように思うのでありますから、ある意味においては、非常に禁止をするという必要が迫っておる、ということを認識しての臨機の御提案じゃないかと、こう思うのでありますが、それはどうなんでありますか。そういうふうにしてでもすみやかにやめさせなきゃいかぬというお考えであるように思うのでありますが、そういう解釈でよろしいのでありますかどうか。
  47. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 石黒委員の言われますように、日本核実験禁止を焦点としてこの問題を扱いますことは、お説の通り私はしていきたいと考えておる。ただしやはり終局の目的生産禁止なり保有禁止なりということになり、ただ核実験禁止ということを日本主張します際に、先ほど曾祢委員にもお答えしたように、国際社会の不信ということが今日の大きな問題である、できるだけ従ってその不信を解消する方法がそれに伴って行われれば、核実験禁止もすみやかに世界的な、国連を通じての決議に私はなり得るのじゃないかと、こう考えておるわけであります。そういう意味においては先ほどお話しのように、査察制度なり何なりというものがつけば、より実際的な禁止問題になっていくんじゃないかというようなふうに考えておるわけです。
  48. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 私は日本立場としての主張でなくして、全人類の将来の運命に関する問題として御主張あらんことを希望するのであります。また世界の学者がこれを認めて、そうして学者の職務以外においても、これをすみやかに禁止するように訴えなきゃならぬということを言っておるのであります。でありますからその意味において、唯一の被害国であった日本が全人類のためにこれを唱道するという見地で、御主張あらんことを私は希望いたすのであります。  これのためには、科学的の実証の材料になるところの研究の資料の完備ということが、一刻もすみやかにできることが必要だと思うのであります。この点に関しまして日本は特殊の研究資材を持っておると思います。それは蚕であります。ショウジョウバエだのハツカネズミだので、外国の学者が遺伝に悪い影響のあるのを、どのような実際が示すのであるかということを試験しておるのでありますが、それよりもある点においては非常にましな、実際の結果をすみやかに認め得る供試動物、蚕というものがあって、それの研究は日本が非常に進んでいる。優種を選び出すためにこれを研究している人が非常にたくさんそろっている。その目が非常に発達している。数万の生物の中から一、二の変体を見出すという、科学的知識と観察の目がそろっている。これを利用いたしまして、日本がすみやかに遺伝の上の悪影響のはっきりした実態を示して、そして政治家の人類将来に対しまする責任ということを、痛切に感じさせるようにするということが、私は最後の手段であろうと思う。こういうことにいたしまして、一つ供試動物及び試験機関のいいものを持っておるのでありますから、政府はこれを十分に督励なさって、そしてその材料を世界に提供なさるということにお進みになられることを私は希望するのであります。  そこで期間を限っての禁止を御主張になるかどうかということをお尋ね申し上げましたが、私は期間を限るということは理想的でない。絶対禁止でなくちゃいかぬと思いますが、実際の政治に合わせるために、しばらくの間禁止をしていくということも一つのいき方だと思います。ただしそれはその間においてただいま申し上げましたような材料をそろえて、これは絶対禁止に進まなければならぬということの確信を国際政治家に持たせるということのために、これを利用をいたして、そしてこれを永久に続ける、絶対のものにするという考えでお進みあらんことを願うのであります。はっきり御提案の内容を親しく伺うこともできなかったのでありますが、これはやむを得ぬことと思います。  そこで最後に伺いたいのは、先般政府登録制の問題をこれに関してお出しになって、これは実行性の多いものであるから提案した、こういう実際上の見地からの御説明があったのであります。それも実行になっておらないのであります。これは引っ込め方をどうなさるかということが御苦心のことだと私は思うのでありますが、体裁の悪くないように引っ込め願うことを希望いたして私の質問を終ります。
  49. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちょっと関連。先ほどの曾祢委員並びに石黒委員外務大臣に対する御質疑でうかがわれることは、核兵器実験禁止についていろいろと条件というか、いろいろ前提をつけて出すということになっているようでありますが、私はそれはどうも核兵器を持っている国の立場が、相手方にやることのように思われて、日本などのごときがやるべき問題じゃない。おそらく日本はそういうものを出しても、国連総会の他の国の賛成は得られないと思う。昨年の失敗をまた繰り返して醜態をさらすだけだと私は警告を申し上げたい。むしろ私は端的に核兵器実験禁止ということをお出しになるのがいいと思うのですが、それがまた国民の要望でもある。そこで私はお伺いしたい。日本がいろんなものをごちゃごちゃつけた案をお出しになって、賛成を得られないどころか、おそらくよその国から、つまり核兵器を持たない多くの国々の提案として、核兵器実験禁止一本の案が国連総会に出たときに、藤山外務大臣日本立場としてどういう態度をとるか、それをはっきりお伺いをしたい。
  50. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 何か非常に、すでにまとまった案ができているような御質問なんですが、まだ必ずしも最終的にまとまった案ができているとは私は申し上げなかったつもりです。そういう意味で、いろいろ、先ほど申したように、実際的に適合するような、禁止に伴なってそれが実際的に行われるような方法があれば、そういう問題はつけても私は適当だと思うのでありまして、しかし、そういう適当なものが考えられるか考えられないかということを検討しなければならぬというふうに考えております。そういう意味で御了承願いたいと思います。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の実験禁止を即刻にやるという問題と、何らかの条件がつくのじゃないかという問題が今懸念のことと思いますが、今、大臣お話では、実験禁止を確実におのおのが認識、了承し合うことができればそれでいいのだというような意味での査察をお考えになっておると思うので、西欧諸国が条件として出しておる査察とは非常に性質が違ったものと考えていいのかどうか。従って、もしそういうものであるならば、その実験禁止を確認することはすでに科学的に可能であるということが科学者によって証明をされているから、これは端的に技術的な問題であって、方針の問題ではないんですね。従って方針としては実験を即刻禁止するということでいいので、あとは技術的にそれをどう確認し合うか等の問題の審議に移せばいいのだから、そういう方針をやはり堅持することがしかるべきだと思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  52. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、先ほどから申し上げておりますように、実験禁止に反対しているわけではないのでありまして、実験禁止を、今回は登録制というようなものは放棄しまして、そして実験禁止というものをとり上げていきたいということは考えておる。これが一番有効な、今のお話のような技術的方面があるならば、それも合せることがより実際的じゃないか、こう考えております。
  53. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) それではこの辺で——。厚生大臣が見えておりますから。
  54. 竹中勝男

    竹中勝男君 外務大臣並びに厚生大臣にお願いをしたいんですが、一つは、日本人の中国における行方不明者の調査関係する問題、これは主として外務大臣にお尋ねをしたい。もう一つは、当面問題になっております里帰りの帰国のことに関連する問題です。  最初にお尋ねしたいのは、衆議院の引揚特別委員会では、二回にわたって、日本人の行方不明者が中国に三万五千名以上おる。その調査について中国当局と話し合うために、国会議員を派遣することを中国に申し入れております。そうしてこれは受け入れられておりません。また、今年五月十三日付で、政府は、ゼネバ駐在総領事の佐藤正二氏を通して、中国における日本人行方不明者の調査方を申し入れておりますが、それに対して七月二十五日付で、中国人民共和国ジュネーブ駐在総領事沈平氏から日本政府あてに正式回答がありました。外務大臣は、その回答の内容あるいは要点をご存じでしょうか。
  55. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 承知しております。
  56. 竹中勝男

    竹中勝男君 それでは、中国政府はこういうふうに述べております点についてお尋ねします。中国政府は繰り返し、一九四五年八月十五日以前の中国内で戦争に参加しておった日本人の行方については、これは日本政府責任をもって日本国民に説明すべき性質のものである。ところが理不尽にも、中国をしてかわって説明させようとしておるのが、この三万五千の行方不明者の調査要求である。日本政府国民に説明すべきものを、中国政府にかわってさせようとしておるのだという返事なのであります。さらにそれに加えて、日本が要求するのに対して、中国政府は一再ならず、戦時中日本に強制的に連れてこられた数万の中国人の行方不明者については、何ら説明もしていない。これは絶対に許されない。こういう回答を与えております。これはまだ一般に公表されていないようで、私は、これは人民日報から、こういう回答が来たことを知りました。そうしてさらに、先般有田八郎氏が北京当局と話し合うために北京に参りましたときに、北京政府の当局は重ねて、これら日本で死亡した中国人名簿を中国紅十字会に渡してほしいと要求しております。有田さんはこれを持っていかれたようであります。そうしてこの一部の名簿を向うで受け取ったようでありますが、それに対して中国政府は、それでは中国人の行方不明者の名簿も提出してほしいということを求めておるのでありますが、外務大臣は、この書簡並びにその後の中国の当局の要求に対してどういうふうにお考えですか。
  57. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本人の中国在留者について調べてもらいたいということは、何も中国側に責任があるのだ、行方不明だとか、どういう原因でどういうふうになったということの責任があるのだということを日本は言ってないのでありまして、ただ単純に、その人数なり生死なりが、できれば人道上の見地から調べていただけないかということを申しておるわけなのです。ですから、中共側が何かそういうような人の生死その他に対しての責任があるという意味では言っておらぬ。それは、中共側でも理解していただかなければならぬと思っております。それから、中国人の在日人の遺骨問題と申しますか、あるいは在留の問題については、現在まで民間団体において十分その点を努力してこられましたのですが、しかし、民間団体としてもある限度があるということが考えられますれば、政府としても、それに対して力を尽していくということは、これはまた人道問題として、私は当然やってしかるべきだと、こう思っております。
  58. 竹中勝男

    竹中勝男君 むろん民間では、すでに限度が来ております。そうしてこれは民間でよくできることではなく、もうこれ以上はできないと思います。むろん民間は協力はすると思いますが、しかしこれは、政府日本人の行方不明者を中国に調査を求めている以上は、これは向うから日本政府に、政府責任において中国人の行方不明者を調査することを要求するということは、私は当然のことだと思うのですが、外務大臣もそう思っておられるという今の御返事ですが、それでは私どもは、政府責任をもって中国人の戦時中捕虜として連れてこられた行方不明者についての調査及びその発掘、そうして、もしできたらその遺骨を送還するというような事業をやられるかどうか、はっきりお伺いをいたしたい。
  59. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府としては、今申し上げましたように、民間団体の能力が限界にきておりますれば、政府としてもできるだけの力をかさなければならないと思っております。主体はやはり、従来やっていただいておる民間団体を主体にして、それに政府が力をプラスしていくということの方が、民間団体を取り上げてしまって政府だけでやるよりも適当であろう、こう考えております。
  60. 竹中勝男

    竹中勝男君 その点、私は大へんはっきりしてきたと思います。政府が在来やっておる民間団体を強化し、あるいは政府がそれに対して責任を負って、中国人の未帰還者の調査については努力するということは、これは非常に中国に対して私ども誇りのある、りっぱな名目の立つ御回答であったと認めて、そのつもりで今後各団体に努力を要請するつもりでおります。
  61. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) ちょっと申し上げますが、外務大臣は非常に、国民的会合に御約束がございますので、なるべく既定の時間内に簡単にお願いしたいと思います。十二時半からお出かけのところを十分か十五分お延ばし願っておりますし、厚生大臣も非常にお忙しいところを無理に御出席願いましたので、なるべく一時前に外務大臣をお帰ししてあげたい、こう考えております。
  62. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちょっと関連して。
  63. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 簡単にどうぞ。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今、中国人の日本における行方不明者についての調査を民間団体で能力をこすようになったら政府でも協力したい、こういう今お話でしたが、従来民間でやられてきて、だんだん民間が限界がきておる点は、これも詳しく申し述べる時間はございませんが、九州の長崎の針尾の近所で、このごろ遺体が一体発見をされたのですが、このごときは、これも民間能力をこえておる一つの例であります。そういう調査をしております際に、こういう事実が明らかになりました。この行方不明者は、これは日本人であります。日本人の行方不明者の調査の問題が、これは日本政府責任の問題だという一つの例証でありますが、中国人の遺骨を調査をしておる際に、佐世保港外の針尾島で、昭和二十四年一月、当時の厚生省引揚援護局の関係者で、平井富尾氏という人が立ち合ったというのですが、七千余体のこれはもう遺体になって、ビニールに似たようなものに包んであって、ほとんど腐敗に近かったというのでありますが、比島から送還をされた七千余体のものを火葬に付した。平井氏が責任者になって火葬に付した。しかも、そのうち五千五百二十余柱は、人名あるいは郷里がわからないということで、そのまま葬られておる。無名ということで葬られ、しかも、何と申しますか、あとの処置、遺族の調査あるいは供養等も全然なされないで、そのまま放任されておる。その中の三百余体は女性であったということも明らかになっておりますが、そのまま放置されておるという事態がごく最近明らかになって参った。こういう事態を、厚生大臣御陪席でありますが、御存じかどうか。問題は、こういう行方不明者の問題は、日本政府の問題だというこれは一つの例証でありますが、そういうお考えで中国にも御折衝になるおつもりがあるかどうか。その点を外務大臣、厚生大臣にもお尋ねしておきたいと思います。
  65. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 不幸にして実情をつまびらかにいたしておりませんので、政府委員から答弁さしていただきます。
  66. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 すぐ答弁ができなければ、指摘だけいたしまして、あと答弁その他の態度は、後刻別に承わってよろしゅうございます。
  67. 竹中勝男

    竹中勝男君 厚生大臣にお尋ねいたしますが、最近中国紅十字会から、日本人戦犯の釈放があるから、引き取りに来てほしいという入電がありました。三団体は、日赤は、政府意思を受けたかどうかわかりませんけれども、これは便船で帰すようにしてほしいという電報を打ちました。ところが重ねて、これは三団体と協約があって、戦犯を釈放する際は、三団体が受け取りに来て、日本が配船をするということになっておるという電報が重ねて来ております。その配船の見通しはおつきになりましたか。
  68. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 実は、今お話しの九月五日に、中国紅十字会から三団体に対しまして、こちらの便船を利用していただけないかということに対してお返事が参りました。私としては、さきに三省、外務、厚生、運輸等におきまして、ちょうど興安丸の解除を機会に、今後の引き揚げにつきましては、便船を利用していただけないかということを照会いたしたのでありますが、その御返事は、今御指摘の通り、非常にその点については、向うのの紅十字会としてはうなずけないというふうなお話がございました。私自身も、実はこの問題につきまして、非常に事柄が普通に考えられないのです。戦犯八名を釈放するから配船をしろという問題につきまして、便船が相当あることでもあるから、帰していただけないかという電報を打ちました。その経緯から見ましてどうもこういう御返事をちょうだいいたしますと、特別に配船をしなければ帰さないといいますか、ほとんど帰さないであろうということが推測されるところの返事が参りました。実は、昨夕初めて三団体の方においでを願いまして、従来の経緯及び今回の電報等の経緯をつまびらにお打ち合せいたしました。従来の考え方について、そのままに戦犯ほかを帰すわけにいかないような状況に立ち至っておりますので、慎重に考慮いたしながら、事柄は日にちのあることでございますから、ここ両三日中にはこの問題について、関係各省の打ち合せによりまして最後の決定をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  69. 竹中勝男

    竹中勝男君 これは、すでに九月十五日から二十五日の間に配船してくれということですから、そうゆっくりもかまえられない。これは、今後の戦犯の釈放にも重要な関係を持ちますので、至急に一つ配船の手配をしていただきたいと希望いたします。その機会を利用して……。
  70. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 発言中ですが、外務大臣が大へんお急ぎのようでありますから、外務大臣に対する御質疑を願います。
  71. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がございませんから、簡単に御答弁を願いたいと思います。  一つは、日韓交渉の問題について、あなたの国連総会出発前に、藤山外相の、何と申しますか、裁断を待つ事態になっておるという新聞記事があるのですが、そこで、これについてどういうお腹づもりでありまするか、承わりたいと思います。  それからもう一つは、これは北方の海域における漁業の安全操業の問題であります。委員会は、北海道根室港外へ参りまして、実際に調査もし、それから関係者の陳情も聞いて、切望も聞いて、報告もいたしておりますので、その点は御存じのところだと思います。基本的な態度についても、ソ連に対します日本政府態度も、これは基本にあると思うのであります。その点も問題ですが、これは先ほど、通商航海条約ないし貿易協定かという点もございましたが、時間がございませんから、端的に私は、従来のような、こちらから若干の壁を作る、あるいはピョートル大帝湾問題等について、あるいは漁船の拿捕問題等について抗議をするだけでなしに、互恵主義の立場に立って話をまとめるということでなければなるまいと思うのであります。政府も、沿岸の零細漁民の問題であるとして、ぜひ片づけたいという熱意はお持ちのようであります。  それから沿岸漁業については話し合ってよろしいという態度もソ連側から示されたことも承知いたしております。ただ、範囲の問題について、それから避難港の問題、これは私ども承知いたしておりますのは、避難協定から始まって、海難に至らない避難の点についてどういう工合に相談するか、こういう問題だと思っておりますし、協定の可能性は私はあると信じております。  貝殻島灯台問題については、これは点灯についての最初政府態度が、日本の負担でソ連側で点灯しようとしている、こういうことは知っております。どういう案で、最終的にどういうことで協定を成立せしめたいと考えておられますか。あるいは自信のほど、お見通しのほどの大略を承われれば幸いだと思います。
  72. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日韓交渉につきましては、日本のすでに最終的案が出ておるわけでありまして、しかも、ごく単純な字句的な問題については、二、三の事務会談でも解決すると思うのであります。その日本態度というものは、今後とも変らぬということに御了承願いたいと思います。  それから日ソ漁業交渉の問題でありますが、これは領海の問題、公海の自由の問題等について、両国政府が見解を異にしておりますことは、御承知の通りであります。しかし、両国の実際的利益のために、また日本からいいますれば、北海、北辺の零細漁民のためにも、その問題を別にして、両国意見の不一致のままに、実際的な漁獲ができるという意味立場をとって交渉を継続していきたいと考えます。ソ連側においても、その意味においては十分、最近のソ連側の態度というものは、私は日本立場を理解しておられるように考えておりますので、なおわれわれとしては、水産業ことに漁村方面の関係のいろいろ陳情も受けております。そういう問題を参考にしながら話を進めていくつもりであります。これは適当な円満な解決が、この問題に限っては今すぐ楽観するわけには参りませんけれども、解決し得るのじゃないかと考えております。
  73. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がございませんから、要望だけ申し上げ、あと細かいことは、大臣以外の方に質問をいたしたいと思います。  日韓交渉問題特に北海道の近海漁業問題については、国民的な要望でもあり、それから参議院の本委員会でも、あれだけの結論と申しますか、調査の結果を報告しておりますから、範囲についてもだんだん広げていって、結局交渉に非常に不利な経過をたどっておることを大へんに残念に思います。その点については、むしろ国民の各方面の意見を聞くということで、参議院の外務委員会なりあるいは各党の意見等も聞いて交渉に臨んでもらいたかった、こういうことを希望として申し上げます。今後においても、まだ時間がございますからできることだと思いますので、希望いたします。特にその後あるいは四十八度線に切られた、そういう点についても、範囲を五十度に広げてもらいたいというところの要望等はございます。  それから、たとえば交渉の方法についても、魚種、場所等によって話は私はまとまると思うのであります。そういう点は、関係者はもちろんですが、本委員会なりあるいは各党の意見も聞いて交渉をしてもらいたいということを希望しておきます。  それからもう一つ、拿捕船の救済なりあるいは補償、引揚者の救済について、これは外務省の所管ではございませんが、聞いていただきたいと思いますが、全然今まで補償についても、あるいは救済の措置も講ぜられておりません。そこで、これは救済の措置を講ずる必要があると思うのでありますが、これは、厚生大臣がおられますが、外務大臣にも一応聞いていただいて、検討をしなければならぬと思うのであります。検討をされる用意がありますかどうか、その答弁だけ伺っておきます。
  74. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 答弁要らぬでしょう。では竹中君、先ほどの続きを……。
  75. 竹中勝男

    竹中勝男君 先ほどのに引き続きまして、これは必ず配船をするという、配船をしなければならない段階に至っておりますが、それは当然と私どもは思っております。すなわち三団体が中国と協約を結んでおりますから、これは当然配船しなければならない。これに関連しまして、この五月に一時帰国者、すなわち里帰りというのですが、子供を含めて一千百五十人の里帰りの人たちが、これは協約上いつ帰れるかも何もわからない。帰る手段を持っていない。里帰りの一千余名が寒さに向っておるわけでありますが、こういう里帰りにこれは一番よい機会だと思うのでありますが、これを戦犯を受け取りに行く船に乗せてお帰しになるのが一番適宜な、また将来にそういう機会がいつあるかわからないのですから、問題を解決するのに一番いい方法だと思いますが、厚生大臣はどういうようにお考えになりますか。
  76. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) いわゆる里帰り婦人のうちに、私はこの二色あると思うのです。終戦後内地において中国の人々と結婚いたしまして、向うへおいでになった方、それから純然たる終戦前まで向うにおいでになって、そして向うの方と結婚をされた方、そして一時帰国された方というふうに、私は、二つは非常に性質が違うのではなかろうかと思います。あとで申しました婦人に対しては、これはどうしても御帰国願う建前になっております。お帰しする方法に手段を尽さなければならない。ただ従来の経過を見ますと、これらの方は、日本に一時お帰りになるとき、中国への再渡航の場合には便船による、自費負担でお帰り願うということは、従来とも非常に徹底して向うに申し上げておるという状況であり、また、これらの人々自身も、十分その点は御了承の上であったということは明らかなのであります。ただ、こちらにおいでになりましてから、そういう用意があったにかかわらず、場合によれば、帰る船賃がなくなっている、あるいは便船を配船することになれば、この配船を利用して帰りたいというお考えの方もあるようであります。私も、過般これらの方々にお会いいたしまして、率直なる実情はお聞きいたしましたが、いずれにいたしましても、問題は、配船するかしないかということについて重大な決意をしなくちゃならない、その上に立って、すべての問題が円満に運びますように努力いたしたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  77. 竹中勝男

    竹中勝男君 その配船の決意と同時に、今、厚生大臣も言われました通り、里帰りの大部分は、第二種類の者が一番多いわけですから、乗れるような船を配船に考えられることが大事だと、一つの要件になると思いますが、八人だから小さい、まあそこらのボートでも迎えに行く、たらいでも迎えに行くというのでなくて、一千人近くの人が乗れるような船をやはり配船していただきたいということが私どもの希望であります。今、二種類と申されましたが、ここにあります帰還者名簿の第二類の者、いわゆる里帰りに相当する者で、これは戦争前から満州国その他におりました日本人で、大部分が女です。これは、戦争が激しくなり、終戦に近づくにつれて日本軍からも見捨てられた。それから日本政府の庇護からもはずれた。彼らは、非常にたくさんの人が殺されたり自殺をしたりする中で、やっと生き残って中国人の世話になったり、子供が中国人に養育されたり、女は結婚をしたりして、自分らの意思は帰国したかったのですけれども、帰国ができず、帰国の手段がなかった。それで、よんどころなく中国に在住してしまった気の毒な同胞なのです。それで、私ども考えに従うと、こういう人たちは、戦後十年、二十年日本を見なかった人であります。帰られなかったんです。自分の意思に反して帰らなかった。そういう帰れる条件がなかった、手段がなかった、だ  から私は、こういう人たちには、留守家族援護法か、すなわち引揚援護法によって法的な援護を受け得る人に準じた援護を与うべきだと思うのですが、その点について厚生大臣の……。
  78. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) これらの婦人が非常に気の毒な環境下にあったと  いうことは、十分私もよくわかります。さらに、今御指摘になりませんが、中国紅十字会から、これも御承知だと思いますが、ごく最近に、これらの里帰りの人が帰られないことは、人道的見地から非常に関心を持っているというふうな御書面もちょうだいいたしております。要は、私としては、率直に申して、何とか、従来の経過は経過といたしまして、両国の関係にこれらの問題が寄与するようになりたいというふうな考え方、かたがた最近の中国紅十字会の書簡を通しまして、先方の政府考え方というものがやや従来よりよくないという考え方から、何とか両国の関係をよくしていきたいというふうな観点からものを考えるべきであろう。しかし、それだからといって、従来の経過そのものについて全然無視するわけには参りませんですから、竹中さんも御承知の通り、私たびたび関係者と最近会っておりまして、何とか今申し上げましたような精神で、現実に即して解決する手はないか、苦慮いたしておりますが、いずれにいたしましても、両三日中にはこれらの問題について、政府として考えをはっきりいたさなければならない、こういうふうに考えております次第でございます。
  79. 竹中勝男

    竹中勝男君 この日本に一度ぜひ帰りたいと希望して、戦後一度も帰られなかった、この名簿にあるだけでも、中国人と結婚して、その中国人に育てられている少年少女、これだけでも三千人、これはちゃんとはっきりしている。政府の言うところによると、八千人はおるだろうという推定なんです。これは戦争の犠牲者なんです。日本に帰還したい人なんです。だから私は、これをこの引揚援護法によって舞鶴に帰ってきたときは一万円、そうしてその家までの旅費、少くともそれだけのものに相当するものはこういう人たち、初めて帰る帰国者には、一時帰国者には、一般帰国者と同一の取扱いをしていただきたいと希望いたします。で、これは今後の、まだ千四、五百名の人が帰っただけでして、これは日本国内の問題だと思います。中国がどういうあれということを抜きましても、日本国民のこれは問題です。親子兄弟たちが十数年前に別れて、自分の身内の者に一度会いたい、向うでも会いたい、これは人道問題です。国内における人道問題ですからして、今後もこの里帰り制度、一時帰国者というものは必ずあると思います。で、これはむろん経費は自己負担、便船を利用するという建前ですから、実は国交が回復していないので便船というものはそうないんです。しかも貨物船でも乗ろうと思うと四万円から五万円要求される。厚生省か日赤では、一万何千円くらいで帰れるということを言いますが、さて当ってみると、四、五万円かかるというのでは、なかなか帰れるものではない。また向うは、中国の貨幣の持ち出しを制限しておりますので、そんな金は持ってこられません。それから、自費で必ず帰るんだということは徹底さしてあるはずだと大臣は言われます。またそのはずであるのですが、実はこの五月に、一緒に里帰りと帰ってきたのですが、天津で徹底してないのです。あの三団体が十分徹底さしてないのです。日本に帰ればどうかなるだろうというまあ大体気持で、それは、親兄弟があるんだから、どうかなるんだろうと思うのは当然ですけれども、帰ってみると、その親兄弟もあまり生活は豊かでない。子供二、三人も連れて三カ月も五カ月も、いつまでおるかわからぬというような、肉親の中では、やりたくてもやれないという事情があって非常に冷たい空気も時とともに出てくるおそれがあるのですが、こういう気の毒な目に、さびしい思いにさせたくないというのが国民の思いだと思うのですが、そういう意味におきましても、この留守家族援護法に準じた、それを適用するようにすることが……すでに政府は、六千名、八千名の未帰還者があると、こう言っておるのですから、それに対する帰還のときの手当というものの予算は当然大蔵省に要求できるはずなんです。そういう前提のもとに、日本は引揚者をこちらに迎えようとしておるのですから、私は当然そういう財政的な予算措置はできるものと考えておりますから、重ねて大臣にそういうつもりでおやりになるかどうかを伺いたいと思います。
  80. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 実は、衆議院の引揚特別委員会では、私は三省間の打ち合せに従って御答弁して参りましたし、従来ともそういう方針で参りましたが、最近向うの、先方の意向をくみますと、そのままの姿ではどうも進まないというふうなことが明らかになって参りました。そういたしますと、ここでもって私としては、従来の方え方に重大な変更を及ぼさなきゃならない、そういう意味から、実は最近しばしばお目にかかっておりますが、もう少し最後の決定については御猶予を願いたい。いずれ、そう長く延ばしていいものではございませんです。ただ、従来の経過に対しまして、政府間で重大な考え方について幾分変更を要するという状態でございまして、両三日中にきめたいと、こう考えております。
  81. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 皆さんにちょっと申し上げますが、厚生大臣は非常に大事な会議を延ばしておりますので、時間もあまり……簡単にして終りたいと思います。
  82. 竹中勝男

    竹中勝男君 久し振りで、ほんとうに厚生大臣らしい厚生大臣が就任されたことは大へん喜んでおります。過去のこれまでのいきさつにとらわれずに、事務だとかいろんなものにとらわれずに、思い切った施策をやっていただきたいと要望いたします。
  83. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 速記とめて。    〔速記中止
  84. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) 速記始めて。
  85. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今、六千名とか八千名とか、いろんな数字が出ておりますが、ところが一昨日、ジュネーブの例の国連捕虜特別委員会で河崎代表が発言をしたということによると、なお三方三百十五人中国に日本人捕虜が抑留されておるという発言をしておるのです。一体こういうのは、どういうふうに政府ではお考えになっておるのですか。
  86. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) それは、私の記憶では、今おっしゃった数字はいわゆる行方不明者を含めてじゃないかというふうに考えます。
  87. 鶴見祐輔

    理事鶴見祐輔君) いかがでしょう。これで終了にしていただきます。  それでは、これで散会いたします。    午後一時十五分散会