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佐藤尚武君 ただいま
杉原委員から種々重要な問題について
総理の御
答弁を促されたわけでありますが、また、私に続きまして
社会党側からも同じように重要問題についての
質問がおありになることと存じます。私は問題を限りまして、
国連に
関係した点についてのみ
総理並びに
外務大臣にお伺いをしたいと思うのであります。端的に申しまするならば、
日本が
国際連合に
加盟いたしました今日、
国連に対して十分の力の入った支援をしなければならないという
立場にあると思うのでありまするが、さきほど
総理大臣の御
答弁の中にそのことがはっきり述べられてあるように思いますが、少し掘り下げてそういう問題について
政府の心がまえと申しまするか、力の入れ方についてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。
ただいまも引用されました先般の
日米共同声明には、「
日米両国の
関係は
主権の平等、
相互利益および
協力の確固たる
基礎に立脚するものである。」ということがうたわれておるのであります。これはすでに
サンフランシスコ平和条約において
日本の
主権の平等、
連合国と
対等の
資格において国交を回復するということがはっきりとうたわれておりまするので、この
日米共同声明においても当然こういう
主権の平等ということが繰り返されたのだと思うのであります。これは当然なことではありまするけれども、しかし一敗地にまみれました
日本といたしまして、
主権の平等、
連合国、
世界各国と
対等の地位を回復するということが何よりも大事なことであるかと思うのでありまして、それが
サンフランシスコ条約にはっきり規定された、
連合国をしてそれを認めさせたということになったわけであります。しかしそれは何と申しましてもいわば法律上の
日本の
対等の
資格でありまして、実際の
対等の
資格というものがはっきり認められたのは、何と言いましても昨年十二月十八日の
日本の
国連加盟以後のことであると信ずるのであります。つまり
日本は
対等の
資格においてあの
国連総会に列席をし、
各国代表と全く
同等の
資格、
同等の権利をもってそうして
日本を含めた
世界的な問題に
発言をするということになったのであります。このことは
日本にとりまして非常に重要な
意味を持っておるところでなければならないと思うのでありまして、その点から言いましても
日本は
国際連合なるものをどうしてもこうしても
重要視しなければならないということになると思うのであります。さらに進めまして
共同声明には「
両国は
国際連合の諸
原則に従って自由と正義に基く平和の実現のため自らをささげるものである。」と言っております。さらに進んでは「このために
両国は
国際連合を支持し自由
世界の結束を維持増進することに最善の
努力をささげるものとする。」実にこの共同宣言におきましては、
日米両国の
国連に対する態度をはっきりと打ち出しておられるのでありまして、私はこの点におきまして、
日本の態度を明確にここに掲げられたということを多とするものであります。
国連の諸
原則に従って、自由と正義に基く平和の実現のためにみずからをささげるものである。実にこれは私は
日米両国、ことに
日本の態度としてりっぱなものであると痛感するものでありますが、しかしながら、
国連を支持するという
方針はそれではっきりしたといたしましても、
国連は何と申しましても世論の力でもって動く仕組みであることは申すまでもございません。
世界の世論が
国際連合に結集いたしまして、その世論によって
世界の平和を維持していこうとこういうわけであります。現に昨年あちらに参って総会の空気を実際見まして、一そうその感を深くするのであります。私どもがあちらに参りましたときにはすでにスエズ問題は解決しておりました。そうして米英
両国も十一月の末までには完全に撤兵しておったのでありますが、その米英
両国の撤兵なるものは
国際連合の世論の力、つまり全
世界の世論の力が
国際連合に結集されまして、その世論の前に、米英と申しましたのは誤まりであります英仏で、英仏
両国が完全に撤兵をしたということになったわけでございます。この点は有史以来の非常な大きな出来事であったと思うのであります。こういう
意味合いにおきまして、
世界の平和を
国際連合によって支持していこうというためには、どうしても
世界の健全なる世論というものを起さなければならない、その世論によって
国際連合を支持するという
立場をとらなければならない。すなわち
日本におきましてもやはり
国民の世論がほうはいとしてその方に向うということが、何よりも私は大事なことであろうと思うのであります。
政府におかれましては、そういう点に十分の注意をお払いになっておることとは存じますけれども、まだまだ
日本国内における
国際連合の知識というものは不十分でありまして、
国民の一人々々が
国際連合なるものを了解し、何のために
国際連合を支持しなければならないのかということをはっきり知った上でなければ、健全なる世論が盛り上るわけはないのでありまして、そういう点において
政府といたされましては十分の力を入れて下さるということに、これはお願いをしなければならないと思うのでありますし、その点における
政府のお
考え等もお尋ねしたいと思うのであります。
従来の歴代の
政府におきまして、その点において
国際連合を支持するのだということもたびたび繰り返されておりました。あるときの
外務委員会でありましたが、しかも与党の
委員から、
政府は
国連に力を入れておるとしきりに言ってござるが、実際
日本国内においてどういう
方面に力を入れておられるかという
質問がありました。それに対しての
外務大臣のお答えは、十分できるだけのことはやっておるのである、現に
日本には
国際連合協会というものがあって非常に
国際連合のために
努力をしておる、
政府はこれに対してあらゆる援助を与えておるのであるというような御
答弁がありました。ところが実際問題といたしましては、
国際連合協会に少くともその当時の
政府がそれほど力をお入れになっていたわけではないので、この
外務大臣の
答弁は悪く申しますならばおざなりの
答弁であったと言わなければならないのであります。そういう点はおざなりのことではなくて、
政府は実際に
国内の世論を盛り上らせるために本腰を入れて、この
国際連合の運動を支持されるということが、私といたしましてはどうしても必要であろうと思うのであります。ニューヨークあたりの空気を見ましても、
日本が
加盟しまする前から
国内のこの
国連支持の運動を高く買っておりまして、そうして
日本は
国際連合の味方なんだ、
日本は
国際連合によって平和を維持していこうというかたい決心を持っておる国なんだ、というように
日本を見ておったのはこれは争うべからざる事実だと思うのでありまして、つまり
国際連合加盟以前にすでに
日本のためにいわば地ならしができておったというようなことになったのであります。このやり方は今後もできるだけ力強く推し進めていかなければならぬ問題だと思うので、そういう点につきましての
政府のお
考えもお伺いいたしたいと思うのであります。
続けてもう一点申しますが、もし
政府がそういうふうに
国連に力を注がれるということでありますならば、実際に
国際連合そのもの、つまり総会なりあるいは
委員会なりに対して
日本政府としての力を十分にお入れになる、ということが必要であろうと思うのであります。昨年の総会のことを
考えてみますと、そう申してはなんでございますけれども、しかも私自身がこの
日本代表の一員でありましたために、申し上げることははなはだ言いづらいのでありますけれども、
日本政府のやり方としましては、決して十分に本腰を入れて
国連を支持する、
国連の運動に
日本が参加をしたのだ、というようなことにはなっていなかったと申し上げるほかはないのでありまして、代表部の陣容からいいその機構からいいましても、きわめて不十分であったと言わなければなりません。それは昨年は途中から
加盟いたしたようなわけでありますから、すべて間に合せでやったというのでありまして、それにはまた
相当の言いわけも立つわけでありますけれども、本年以降はそうは参りません。本年はすでにりっぱな
加盟国としてしかも最初の総会をお迎えになる、こういうことでありまするがゆえに、
国連の総会をあやつっていくという上におきましても、
政府はほんとうに真剣にお
考えになり、かつまた本腰を入れてそれに当るのだという御決心が、私は非常に必要じゃなかろうかと思うのであります。そのためにはニューヨークにおきまするあの事務局、これは
岸総理大臣が先般あちらにおいでになりまして、
国連も訪問されましたようでありますし、また事務局等もごらんになったことと思いまするが、ああいったような仕組みではまだまだ不十分だと私は申し上げなければならないと思うのであります。以前
国際連盟時代に私ども働いておりましたその当時、たとえば外国人でありまする法律顧問などをわれわれは持って、その
人たちと私どもは常に
意見を
交換して、そうして会議に当っておったものでありまするけれども、今まではニューヨークの事務所はオブザーバー程度のものでありましたからして、そういったような顧問等も必要でなかったかもしれませんけれども、現に昨年の総会に臨んでみまして、そういう仕組みのないことを見て実は私驚いたようなわけでございます。それはほんの一例にすきませんけれども、
国連に対する力の入れ方と申しますると、今後、このたびの総会から始まりまして、非常な大きな問題に
日本も当面しなければならないのでありまするが、そういう際におきまする陣立てというものをまずもって充実されるということが当面の急務ではなかろうか、そういうふうに
考えるものでございます。これらの点につきまして
総理、もし必要がございまするならば
外務大臣においてお答えを願いまするならば仕合せだと存じます。