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1957-05-16 第26回国会 参議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員武藤常介君及び泉山三六君辞 任につき、その補欠として小滝彬君及 び植竹春彦君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君    衆議院議員            井岡 大治君            木村 俊夫君            山口丈太郎君    政府委員    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸省海辺局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○小型船海運組合法案衆議院提出) ○運輸事情等に関する調査の件  (自動車行政に関する件) ○港湾運送事業法の一部を改正する法  律案衆議院送付予備審査) ○請願に関する件   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  委員の変更を報告いたします。五月十六日武藤常介君辞任小滝彬補欠泉山三六君辞任植竹春彦補欠選任せられました。   —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 小型船海迎組合法案を議題といたします。  まず、衆議院修正点について、衆議院議員井岡大治君より説明を願います。
  4. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) 修正のまず条文を申し上げます。  一、第八条第一項中項十一号及び第十一号をそれぞれ第十二号及び第十三号とし、第十号の次に次の一号を加える。   十一 組合員委任を受けてする組合員組合員が使用する従業員との間の労働関係に関する事項の処理  二、第九条第三項を次のように改め   る。  3 前条第一項第一号から第六号までに規定する事業に関し前項の交渉申出を受けた者は、正当な理由のない限り、その交渉に応じなければならない。  その他付則の項において、中小企業団体法組織法及び環境衛生関係営業運営適正化に関する法律との均衡をはかるために、関係条文の整理をすることにいたしました。  御承知のように今回この法律は、小型船わが国海運業界に占めております役割をさらに一そう適正化をして、そうしてわが国経済の健全な発展に寄与せしめたい、こういうことからこの法案が提出されておるのであります。そこで、小型船海運業者が大企業荷主重圧から排除されることは当然でありますが、同時に、この従業員に対しても、待遇の改善あるいは生活の安定というものを十分考慮しなければ、所期目的を達成することができません。従って、第八条に海運組合に従事いたしておりまする従業員労働の問題を処理する項を挿入いたしまして一そうの成果を上げたい、これが節一の目的であります。  第二の目的は、小型船業者が今まで一番悩んでおりますることは、いわゆる回漕業者小型船業者との間における荷受け、または荷渡し等の料金の問題であります。そこで、この問題を円滑に処理をするためには、どうしても労働協約の応諾の義務を付さなければ、今日までの回漕業者海運業者との間のきずなを断つことができない。従って、十分な所期目的を達成することができない、こういう観点からこれを明確化いたした次第であります。  以上簡単でございますが、修正提案にかえたいと存じます。
  5. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 松浦清一

    松浦清一君 今度の国会では、中小企業者団体組織するという法律案環境衛生に関する法律案等が出まして、その機会に海上運送中小企業中のさらに低位な中小企業にある小型船海運組合組織するという法律案が出て参りましたことは、相関連して最も時宜に適した御提案だと思います。ところが、この法案が出されましてから、折に触れて衆議院関係のある方々との間においてもいろいろ御懇談申し上げてきたのでありますが、この法案全体を通して若干満ち足りないところのあることを痛感しておるのであります。  その第一点は、言葉の表現は悪いかもしれませんが、この組合の中に組織せしめようとするいわゆる小型船の経済的な地位、それからその浮動性、このことは、タクシー界の戦争以前のいわゆるもうろうタクシーに匹敵するような捕捉しがたい存在であるということは御承知通りであります。そこで、これをせっかくこの法律をこしらえて組合を作らせようというのでありますから、何とかして全部のものが組合員たり得るような方法を請じられぬものであろうかということを私は私なりに考えておったのでありますが、それを実現するためには、かなり強い力で組合に加盟することを勧奨する必要がある。憲法の精神また中小企業団体組織法審議過程を通して、いろいろ問題になってきました強制加入が是か非かという問題、そういうような議論を通して、この種の組合法的措置を講じて強制加入をさせるということは妥当でないという大体の結論が出てきているので、この法律の中で強制的に加入をせしめるというような内容を織り込むことは、これは適当でない、しかしながら、この業態の実態から判断をして、この法律案の中に書いてあります通りのいわゆる組合を作りたい人は組合を作りなさい、こういうことだけで果して所期目的が達成するであろうかどうかということについては、一まつの不安なきを得ないのです。従って、当委員会においても、衆議院側でお気づきになってそうして付帯決議をされているような内容を、後ほど委員各位の御同意を得て承認されるようにお願いをしたいと思っておりますけれども、それだけでなしに、行政官庁としての運輸省当局者行政指導によって、この組合所期目的通り組織せしめるという、その方法についての具体的なお考えがあれば、海運局長の御所見を伺っておきたいと思います。
  7. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいま御指摘の点は、衆議院でも付帯決議として御要望があった点でございます。私どもも当初からいろいろ検討いたしまして、強制加入の点も校訂したのでございますが、ただいまのお話のように、法文としてそういう条文を作ることはどうかというような論議も経て出された法案でございます。私ども考えといたしましても、やはり同様な大体の結論を得たわけであります。しかし、実際問題としましては、やはり何と申しましても、なるべく多数がこの組合に入りまして、アウトサイダー規制命令もございますので、このアウトサイダーの少い方が実効が上るということは間違いないことでございまして、その点については、十分の注意を払いまた行政指導もしたい、こう考えております。ただいままでの各地区業界その他の機運を見ますと、この問題が出て参りましたのも相当前からの話でございまして、実際問題といたしまして、相当やはりこの組合を作りたい、組合法の実現を希望するという機運が盛り上ってきている。従いまして、私どもも実際問題としまして、相当にこの組合法が施行されました暁には、活用されて、多数の組合ができるということを期待いたしているわけであります。なお具体的には、この設立の際にも、できるだけ広く勧奨いたしまして、直ちに設立の際に発起人となり、あるいは会員とならなくても、それに対する関心と申しますか、そういうものをできるだけ広く盛り上げさせたい、こういうふうに考えております。また各地区海運局あるいは支同等におきましても、そういう気持行政指導をするようにいたしております。また、何と申しましても、組合加入するという気持を起させることが第一でございます。それにつきましては、この法律によりましてできた組合がほんとうに健全に発達し、また実際に活動するということが何よりも大事なことじゃないかと思うのであります。経費等も当初はなるべく安くいたしまして、実際に実効の上る活動を活発にさせるということが大事なことじゃないかと思いまして、そういう点につきましては、私どもといたしましても、できるだけ組合活動を援助し、あるいは指導しながら実効の上るようにやっていって、なるほど、この組合に入れば業界としても非常に有効なんだというような気持をできるだけ持たせたい、こういうふうに考えております。また、何と申しましても、最後は各業者自覚と申しますか、そういう自主的な意識盛り上りが大卒でございまして、こういう点につきましても、特にこまかい業者でございますので、行政官庁としましては、末端が常に船員法、あるいはその他検査等関係で折衝いたしておりますこういう規定を通じまして、できるだけそういう意識を盛り上らせるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  8. 松浦清一

    松浦清一君 これも問題の一点ですが、小型船による運送事業をやっておる人たち組合でありますから、実際に自分が船を持ち、そして運送経営をするこういう人たちばかりが組合を作るということはけっこうなんですが、船を打たない回漕業者がこの法律案では組合構成員になることがきめられてあるわけです。そこで、今の海上運送実態を見てみますと、荷主回漕業者とそれから船主と、この三つの関係があって、荷主はできるだけ安い運賃回漕業者との間に運送契約がなされる、それから回漕業者船主との間に運賃等については、できるだけ安い運賃でそれを契約せしめようとする、その安い運賃を上の方からずっとピンはね、ピンはねされて、そして一番最後には、小型船に乗って働いておる船員諸君労働条件の悪化ということになる、これはもうだれが考えてもわかる筋道なんですね。しかも、今の小型船運送実態を見てみるというと、何といってもこの回漕業者経済力といいますか、その実力が船主の力よりも非常に強いわけです。ですから、幾ら幾ら運賃でなければ引き合わないというふうに船主考えても、もしもこの程度の運賃でお前が運ばぬのなら、お前はもううちの荷物は扱わせぬぞ、よその船主にやらせる、こういうような圧力が加わってきて、いつも回漕業者重圧の中に、特に自分が船を持って、自分船長をしてやっておるという諸君は困っておるわけですね。ですから、この法律の中からは回漕業者の兄弟とはいえないかもしれませんが、この業界においては非常に強い経済力を持っておる回漕業者支配力がそのまま肯定されるということではいかぬのではないか、これもこの法案が頭を出してきたころからの議論の焦点なんですが、その点については衆議院における審議過程でどういうふうに解明をされて参りましたか、これは木村さん、井岡さん、どなたでもけっこうですから、衆議院における審議の経過でどのように解明されたかということを一つお教えを願いたい。
  9. 木村俊夫

    衆議院議員木村俊夫君) 今松浦先生から御指摘のありました点は、衆議院審議を通じまして非常に大きなポイントになった点でございます。提案者といたしましても、今お話のありましたこの小型船海運業界実態から申しますと、まずこの法案そのものの制定目的なるものが、小型船海運業者の九割を占めておりますいわゆる船主船長と申しますか、零細な小型船業者の経済的な安定をはかるというのが第一の眼目になっております。その目的を達する上におきましては、一応理論的に考えますと、この際お話のありましたような、言葉は悪いかもしれませんが、むしろ荷主の対抗機関的な機能を持っている、もちろん回漕業者をこの海運組合から除外する力が手っとり早く、小型船海運業界の安定を期する上にかえってプラスするのではないか、こういう議論もございました。しかしながら、この木船海運実態を見ますと、松浦先生も御承知通り、非常に零細業者が多うございますが、その零細業者の何と申しますか、力というものが、非常に経済的に申しましても、また集荷機能の上から申しましても、非常に弱いというのが現状なんでございます。そういたしますと、どうしても回漕業者を通じて荷主と結びつくという点が多々あるのでございますが、その一例を申し上げますと、かりに昭和三十年度の機帆船輸送実績を見て参りますと、その九割一分七厘に相当する逆送貨物というものが全部回漕業者の手を通じている、特に機帆船大宗貨物であります石炭について見ますと、その九割七分というのが全部回漕業者の手を通じているというのが、遺憾ながら現在の機帆船業者界実態でございます。そこで、私どもこの法案提案いたします際に、確かに私ども法案制定目的そのものから直接出しますと、木船回漕業者を除外した方がよろしいようには思いますけれども、今申し上げたように、機帆船業界実態から申しますと、もしかりに木船回漕業者をこの海運組合に加えなければ、おそらくこの木船回漕業業界の混乱がかえって生ずるのではないか、ひいてはせっかく作りました海運組合調整規程有名無実になるおそれがある、こういう実態的な考えに基きまして、言葉は悪いかもしれませんが、一応現在の段階では木船回滑業者組合加入させまして、しかしながら、加入させたあとの海運組合運営の、運用の面につきましては、もちろん運輸省行政指導もさることながら、どうしてもこの組合員の何と申しますか、この組合を作った目的をみずから意識して、団結力を強くしていただく、またこの法律建前から申しますと、いかに経済的に力が小さい組合員といえども、必ず選挙権、あるいは議決権は平等であるという建前をとっておりますので、そういう組合法内容及容び海運局地方海運局行政指導の強化、並びに今申し上げました通り組合員のそういう団結意識と申しますか、今後自分たち自主的組織を通じて、自分たち経済的地位を安定、向上させていくんだという意識向上を待って、ただいま申されたような目的を達していきたい、こういうふうに考え提案した次第でございます。衆議院審議におきましては、ただいまのような審議をいたしました。その点については御了解を願う次第でございます。
  10. 松浦清一

    松浦清一君 海運局長は、この辺のところをどういうふうにお考えになりますか。私はこの組合回漕業者が入っているということは、回槽業者運賃その他についての支配力がさらに強化されて、そうして結局運賃規制等も、回漕業者立場から、船主はそれに追随をしていかなければならぬ、こういう建前運賃調整が行われるのではないかということを危惧するわけであります。回漕業者船主とは相助け合うという関連にあるけれども、これは利害が必ずしも一致しないのですね。回漕業者はできるだけ安く運ばせようようとする、船主はできるだけ高くとはいわないまでも、回漕業者の意のままでは経営が成り立っていかないというような立場に追い込まれるということもあるのであります。しかし、その際に、これじゃ引き合わないからいやだといえば、それじゃお前には荷物をやらぬぞといって相手にしてくれなくなる。それじゃ困るから、引き合いのとれない運賃でもやっぱり頭を下げてそして荷物をもらわなければならぬ、そのしわ寄せで働いておる者の賃金が低下する、いわゆる低賃金で、しかも、つまみ金を与えるような格好の労働条件に落される、こういう結果になるおそれがあるわけですね。ですから、私どもの心配しておる回漕業者支配力を排除しつつ、今木村さんの御説明になったような、この回漕業者の業の安定を期していくということが可能であるという方法について、運輸省当局の御所見を承わりたいと思います。
  11. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 実態をよく御認識の御指摘でございまして、私どもも非常にその点考えておるわけでございますが、ただいま提案者の方からも御説明ございましたように、本法でも相当そういう点につきましては御考慮をいろいろ払われておるように考えるのであります。たとえば議決権あるいは選挙権等代理権限についてみましても、十人以上は代理権を持てないというような規定も、やはり平等に選挙権議決権を与えて、できるだけ自分でこれを行使するということを御考慮に入れたものと考えるのであります。またその行使の方法についても、雪面をもってでもよろしいし、あるいは親族、使用人でもよろしいということで、海上で働いておりましても、自分でその権限を行使するという規定まで入れておるのであります。また組合目的に反するような行動をした場合には、除名できるというような規定も設けられております。いずれもそういう点から考慮しました規定かと考える次第でありまして、私どもそういう規定の適用といいますか、運用につきましては、十分ただいまのようなお話考慮しながら運営していきたい、あるいは指導をしていきたいと考えております。また、ただいまの問題が端的に出て参りますのは調整規程の問題になって参るかと思うのであります。調整規程におきまして、回漕業者が適当に自分たちの利益をはかるような内容を持ってきた場合には、十分検討いたしまして、運輸省としてはこの運用の適正をはかるということを考えたいと思っております。なおまた、結局最後組合員自覚、あるいはその経済的地位向上という問題とからみ合った問題でございまして、御指摘のように、やはり経済的に非常に地位が弱い、やはり荷物をもらわなければやっていけないというふうな実態が結局そういう結果をもたらすのであります。そのような組合を作りまして、自分地位向上させるということが、やはり一つ回漕業者の力を排除する段階でもあるかと考えるのであります。なおその点につきましては、早くから海運組合等におきましても、この点の御指摘がありまして、十分関心を持っておられます。私どもも、実際にその仕事に従事しておられる人々の声というものがやはり海運組合から出て参ると思うのであります。組合とも十分今後この点につきましては連絡いたし、あるいは協議をいたしまして、そういう点の是正に努めたい、こういうふうに考えております。
  12. 松浦清一

    松浦清一君 今の回漕業者支配力の問題に関連をしてですね、第三十二条の役員関係ですが、先ほど木村さんも御指摘のように、私は、この海運業者の大部分船主船長で、みずから船を持ってみずから船を運航しているのが大部分なんですね。役員理事は、定数の三分の一は組合員でない者でも役員につけるということなんですが、これは逆に言うというと、「三分の二は、組合員又は組合員たる法人役員でなければならない。」とこうありますから、三十二条の四項ですね。そうすると逆にいえば、三分の一は組合員でなくても役員になれる、こういうことですね。
  13. 木村俊夫

    衆議院議員木村俊夫君) ただいまお話のありました三十二条の規定は、確かに今御指摘通りでございます。しかしながら、これはほかの組合法一つの定型になっておりまして、ほかの組合法もこういう規定になっておりますので、提案者としてもその点を採用したわけであります。確かに理論的には今仰せになりました点はまことにもっともな点があります。しかしながら、ただ理事は、定款で定めるところにより、総会選任するということになっておりますので、今お話のありましたように、非常に何と申しますか、三分の一ぎりぎりの理事組合員外から選任するということは、おそらく私は実際問題としては起らないと思うのであります。それにこの「組合員又は組合員たる法人役員」以外の者というのは、大体普通の場合におきまして、専務理事とか常務理事とか、組合の専従的な役員を想定しておりますので「少くとも三分の二は、」と一応規定しておりますけれども、大体三分の一以下というのは、たとえば一人か二人が専務理事ないしは常務理事として選任されるというのが私は普通の場合ではなかろうかと思います。
  14. 松浦清一

    松浦清一君 三十二条の第二項ですが、理事定数を「三人以上」だと書いてありますから、これを何人にきめるかわかりませんが、たとえば九人の理事を選ぶとして、そのうちの三分の一は、三人は組合員でない理事選任されて差しつかえないということになっておりますね。そうすると、先ほど申し上げたように、たとえば組合員たる船主船長理事に選ばれるとする、そういう人たち移動常なき状態でありますから、理事会が開かれても委任をするとか、理事会出席ができないということになる。そうすると、理事会議決過半数ですから、九人の過半数は五人になる、五人の中で絶えず組合の事務所に、今あなたがおっしゃるような、専務理事とか何とか勤めている人が三人いるとする、そうすると組合員の業務に携わっている者がその組合員外理事を想定して、それが九人の三分の一の三人になって、それから回漕業者、これは陸上にいるのですから、そこから選ばれた役員はまた二人、三人ということになって、結局総会選挙をして信任をせられた役員であることは間違いないのですけれども組合員でない役員や、それから回漕業者のみによって役員会が構成されて、理事会が構成されて、成立をして、そうして議決をされていくというような結果が起ってくると奉職されるわけですが、そういう点については、何か衆議院でも問題になりませんでしたか。
  15. 木村俊夫

    衆議院議員木村俊夫君) まず御懸念のありました点は、確かに衆議院審議の場合においても問題になったことであります。しかしながら、今御懸念の点はごもっともではありますけれでも、この組合成立目的が、もともと組合組織を通じて、みずからの地位を守ろうという組合であります以上、この役員選任については、非常に重要な点でありますので、総会役員選任に当りましては、この点については、もちろんこれは運輸省行政指導もさることながら、組合員自体が非常に大きな自覚を持ってやるように指導していただきたい、こう運輸省お願いしたのであります。そういう意味におきましては、御懸念は御懸念でございますけれども、そういう審議過程を通じて、衆議院では御了承願ったところでございます。
  16. 松浦清一

    松浦清一君 まあこの法律案内容を通観して、結局行政指導行政指導といってもこういう任意組合に対して、行政官庁があまりに強く干渉し過ぎるということもいけないけれども、特にこのようなもうろうとした存在である小型船組合に対しては、非常に注意深い親切な行政指導が必要だと思うのですが、それも運賃調整をしてやるにしても、配船調整をやるにしても、この法律全体の目的とするあらゆる調整に対しての行政指導のよろしきを得なかったら、せっかくこの法律を作り、組合ができても何もならない、しかも、役所的権力をもって干渉するという意味合いの行政指導でなくて、共同するというか、親切に手をとり、足をとって、そうしてこれを指導していかなかったら、結局組合を作って、かためて回漕業者支配下に掌握されてしまうということになるおそれがあると私は思うのです。特に海運局長お願いをしておきたいことは、親切丁寧な権力によらざる行政指導によってほかの組合より以上に留意されて注意をしていただくことをお願いをしておきたいと思うのです。  こまかいことについてお尋ねをすると切りがありませんから、大局的なことだけを伺いまして、私はもうこれでいいです。
  17. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御発言もございませんようですから、御質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  19. 松浦清一

    松浦清一君 私は、この法律案に対して賛成をいたしまする。  ただし、今若干の基本的な問題について御質問申し上げました通り、このような業態にある小型船組合を作らして、そうしてその業界の安定をはかって、またそこに働いておる労働諸君の生活の安定をはかっていくと、そういうことについては、親切な行政指導に待つところがきわめて大きいと思いますので、運輸当局におかれましては、衆議院における質疑過程、また今申し上げたようないろいろの点を勘案をされて、そうして法律が制定の暁には、所期目的が完全に達成されるように御配慮をお願いを申し上げまして、賛成をいたします。
  20. 高良とみ

    高良とみ君 この小型船舶は、ちょうど海のタクシーみたいなものだろうと私は考えているのでありますが、それがただいまほかからも話があった通り荷主あるいは運送業者の下に搾取、圧迫を受けやすいし、また実際に一般国民の立場からしますと、事故が多いし、暴風雨、台風などのときには、こういう小さな小型は非常な犠牲を払っていることは、これは日本独特の姿であって、また世界に有名なことであります。驚くべき状態だと思うのでありすが、これが今回こういう衆議院提案によりまして海運組合をお作りになりますことは、趣旨において非常に賛成であります。まことにけっこうなことで、むしろおそきに過ぎた感じがあると思うのであります。ただし、この運営につきましては、るる指摘されました通り、よほど注意して指導よろしきを得ませんと、やはり同じような圧力のもとに小型が、小資本のものが苦しむということになりますので、私どもこの点を強く当局に要望いたしまして、賛成申し上げる次第でございます。  ただし、特に国民に印象の深いのは事故でありまして、この間の相模湖のことなどを見ましても、その補償がほとんどできておらないで、二十数名に対して五万円の補償というふうなことを考えますと、どうしても団結して責任をとってもらいたいという点を、一つ組織される方に対しても十二分に負わせていただきたいという希望を添えまして賛成いたします。
  21. 大倉精一

    ○大倉精一君 私もその法案に賛成いたします。  ただ、理由はもう省略いたしまするが、ただ一つ衆議院における付帯決議を十分に尊重していただく、こういう要望を付して賛成いたします。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 委員長、ちょっと速記をとめて下さい。
  23. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  24. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  小型船海運組合法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  26. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 多数でございます。よって、本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による口頭報告の内容、第七十三条による報告書の作成等の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、順次御署名願います。   多数意見音署名     江藤  智  木島 虎藏     三木與吉郎  大倉 精一     植竹 春彦  成田 一郎     平島 敏夫  相澤 重明     柴谷  要  中村 正雄     松浦 清一  高良 とみ     森田義衞   —————————————
  28. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  29. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  運輸事情に関する調査中、自動車行政に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  30. 柴谷要

    ○柴谷要君 一、二自動車問題についてお伺いをいたします。まず最初に、大分県下における新規免許申請路線についてお尋ねをいたします。大分県下を二分して日田バスと大分交通とが県下の交通網をになっておると思うのです。ところが、最近日田バスから国鉄日豊線の柳ケ瀬——森町間の申請が出されております。これと並行して大分交通もやはり申請をされておると思うのですが、県下の交通事情からいって、これらの路線を許可することは適切のように考えられるのですけれども運輸省はどのようにこの問題を扱っておられるか、この経過についてお話を願いたいと思います。
  31. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ただいま御質問の路線の件につきまして、具体的書類を持っておりませんので、詳細なことはまた調べてお答え申し上げますが、森町から柳カ瀬間の路線につきまして、日田バスと大分バスというものが双方競合の事案でございました。これにつきましては、先般運輸審議会の答申がございまして、運輸省といたしまして、この件の決定はなされておるわけでございますが、なされました概要につきましては、大体両者の意見も十分聞きまして、一部競合路線を認め、一部却下というような結論がすでに出されておるわけでございまして、両者におきましても、この件につきましては、大体満足をしておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  32. 柴谷要

    ○柴谷要君 長い時間かけませんけれども、あと一問ばかりお願いしたいと思います。  その迎春によって大体許可されたことが日田バスが満足をし、かつ沿道の住民も納得しているというようなお答えのようでありますけれども、この日田バスの乗り入れ、あるいは大分バスの乗り入れ等については、住民はこぞって両社の乗り入れを歓迎しているわけです。最近上京された地元民の要望等を聞きますと、むしろこれは三社の競合を許した方が沿道ではいいじゃないか、こういう意見が強いのですが、日田バスの許可範囲というものは森町から川底という区域に限っているようですが、それから先どういうふうに考えておるか、この点を一つおわかりになりましたから、説明願いたいと思います。
  33. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 将来の問題につきましては、申請によりまして、再度また申請があれば再度審査をする段階になるわけであると思うのでありますが、この川底から森町間の道路というものが新しく通りまして、その間業者の競合が認められたわけでございます。それから柳ケ瀬—川底間におきましては、従前大分バスの運行が認められておりまして、この間の運送量というものをいろいろの面から勘案いたしまして、現在まだ二社入れるだけの余地がないということ、あるいは日田バスにつきましては、日田バスの分の中の路線というものについての優位性を認めるとか、この件につきましては、柳ケ瀬—森町間だけの免許の事案だけではないわけでありまして、非常にたくさんの事案が入り組んで一緒に審議されたわけでございます。そういう点でこれには実はこまかい事案がたくさん入り組んで競合関係にございましたので、総合的に判断をいたしまして結論を下したわけでございます。  将来の問題につきましては、まだ問題が具体的になっておりませんので、そのときにまた経済情勢あるいは輸送情勢というものを勘案して、決定すべきことでございまして、この席でどうこうという考えの開陳は一つ御容赦願いたいと思います。
  34. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後に、それでは将来の問題として、今後の申請を待って検討をする、こういう結論として伺ってよろしゅうございますか。
  35. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 申請があればまた審査することは当然でございまして、その点は法律の命ずるところによってやることになるわけでございます。
  36. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これにて休憩いたします。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  37. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再開いたします。  請願の審査に入ります。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  38. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  次に港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者、衆議院議員山口丈太郎君より提案理由の説明を願います。
  39. 山口丈太郎

    衆議院議員山口丈太郎君) ただいま議題になりました港湾運送事業法一部改正案につきまして、その提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  港湾荷役は戦時中港湾運送事業統制令により一港一社を建前とした独占的な企業形態によって運営されてきましたが、戦後は独占企業の弊害を除去するという理由で総司令部の指令に基いて、港湾荷役会社は解散され、以後港湾運送事業は何らの規制なく自由に経営できることとなり、企業の乱立、弱体不良化を紹くところとなったのであります。このため運輸省昭和二十六年五月混乱した港湾運送の秩序を回復するため、現行の港湾運送事業法を制定して、事業の種類を四種に分類し、これらに一定の資格要件を設定して、事業者はすべて登録すべきことといたしたのであります。しかるに、同法は業者に対する規制が登録という簡易なものであるため、十分なる規制ができず、当初の目的に反し、業者の乱立、不良化を防止することができないまま今日に至っているのであります。現今の港運業の実態は、そうした現行法の不備欠陥に由来して、その経営規模の極端な不均衡性と、下請企業の零細化を助長し、公正なる自由競争が阻害される現状を醸成しつつあります。特に零細化した下請企業の多くは、簡易な登録によって一応港運業者としての資格を取得し、請負形式をとって作業をしているものの、その実態は、労働ボス的な人夫供給業を事業としておる企業が必ずしも少くないのであります。こうした業者の乱立、不良化は、勢いそこに働く労働者の上にも重大な影響をもたらし、労働条件の劣悪化、雇用の不安定はすでに港湾労働にとって常識化された事柄となっております。こうした状態をそのまま放置するならば、当該事業の混乱は、更に悪質化、複雑化して、その健全な発展はとうてい達成されないのみならず、関係労務者の生活権も脅かされ、その社会経済に及ぼす影響はきわめて重大と言わなければなりません。よってこの際すみやかにかかる禍根、弊害を除去し、港湾運送事業における秩序を維持回復し、その安定をはかり、もって事業本来の経済的、社会的機能を発揮せしめるため、港湾運送事業法の一部を改正して当該事業活動の監督を強化し、かつ当該事業者の資格要件を厳正にして不良事業者の規制をはからんとするものであります。  以下内容の概要について述べます。まず第一に、本改正案は現行の登録制を免許制に改め免許基準を明確化したのであります。  前述のごとく現行の簡単な要件充足主義による登録制実施の結果は、適正なる規模を持たない不適格業者を乱立せしめ、複雑なる下請関係を醸成するとともに、不当競争、労働条件の悪化をもたらす原因となっておるのであります。すでに海運、通運、道路、航空等の運送事業においては免許制が実施されており、ひとり港湾運送事業の場合のみが登録制をとっているにすぎないのであります。その理由は他の運送事業に比べて、公共性が少いということでありますが、そうした解釈自体に重大な誤まりがあり、私たちは公共性が他の事業に比べて、それほど劣るとは考えていないのであります。実際問題として、現行の登録制実施の結果が、もろもろの弊害を生ぜしめていることが明らかな現在、すみやかに免許制に切りかえて港運業者としての適格条件を明確化し、港運事業の適正なる調整をはかることが望ましいと考えるのであります。  第二に、本改正案は荷主、船舶運行事業者、及び港湾逆送事業者間における運賃、料金を規制することといたしたのであります。港湾荷役の波動性の結果は、独占的な船会社、貿易商社及びその代行機関としての倉庫業者に従属する元請—下請—再下請の系列化を助長し、そこに事業者間の不当競争、運賃料金の不公正な値引き及び割り戻し、さらには自己の運送能力を越えて元請し、これを大部分下請せしめて不当な中間利潤を得る等、公示料金を守らぬ事業者を輩出し、その結果は港湾労働者の賃金の上にも相当な影響を与えるところとなっているのであります。そこでそうした公示料金の不遵守を取り締るために、港運業者問における荷役相互融通を行う場合には、公示料金を下回る運賃、料金で運送させ、または割り戻しを受けることを禁止し、荷主及び船舶連行事業者にも公示料金遵守の義務を課し、それに違反した場合は罰則を課すことといたしたのであります。  第三に、現行法において一般港湾運送事業は一貫作業を行うべきといたしておりますが、実際には、法文の不明確さから、一貫作業がほとんど行われていないというのが現状であります。そこで、改正案ではこ点を明確化するため、一項目を設け、一般港湾運送事業者は必ず一貫作業を行わなければならぬことといたしたのであります。  第四に、本改正案は運輸大臣の諮問機関として、第三者構成の港湾運送審議会を中央、地方に新設し、各港湾における適正な供給逓送力の策定、運送の需要と供給との調整に関すること、その他港湾連運事業に関する調査、監督をこれにつかさどらせ、港湾運送事業の秩序維持と、その健全なる発展をはかることといたしたのであります。この港湾運送審議会の新設によって、現行法において運輸審議会の諮問事項であった事柄については、これを全部港湾運送審議会の諮問事項といたしたのであります。  以上のほか、港湾運送事業監督官の新設、その他こまかい点について改正を試みておりますが、本改正案の主要な改正点は大体以上の通りであります。  なお、改正案は、その円滑なる運用をはかるため、一カ年の実施猶予期間を設け、その施行に万遺憾なきを期した次第であります。  何とぞ、慎重審議の上、本改正案に御賛同賜わらんことをのぞみます。
  40. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 質疑は、前例によりまして次回にいたします。   —————————————
  41. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより再び請願の審査に入ります。  速記をとめて。    午後二時十九分速記中止    —————・—————    午後三時三十九分速記開始
  42. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十分散会