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1957-05-14 第26回国会 参議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員中野文門君辞任につき、その 補欠として成田一郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            成田 一郎君            平島 敏夫君            堀木 鎌三君            武藤 常介君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   政府委員    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (国鉄春季闘争に対する処分に関  する件) ○モーターボート競走法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○請願に関する件   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。五月十四日中野文門君が辞任され、成田一郎君が補欠選任せられました。   —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 運輸事情等に関する調査中、国鉄春季闘争に対する処分に関する件を議題といたします。  御質問のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄総裁が御出席ですから、この際、春闘問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、昨日、私ども参議院の本会議においては、仲裁裁定予算化の問題が可決を見たわけでありますが、この仲裁裁定実施について、総裁はこれが完全に実施されておるものと思っておるのかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  5. 十河信二

    説明員十河信二君) 完全という意味によりましょうけれども、私は大体政府の言う通り仲裁裁定が尊重せられ、実施せられておると、こう考えております。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 総裁お話ですと、裁定はいわゆる尊重せられ、そうして実施はされたということだと思うのであります。しかし、労使慣行樹立をするという建前から行けば、当然、団体交渉によってあなたが今まで労使の間できめられたことについては、これを実施に移すということが当然なことだと思うのでありますが、そのことは履行されておるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  7. 十河信二

    説明員十河信二君) これは、これから団体交渉を開いて実施するつもりでおります。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、なお裁定の分についても団交によって決定することがある、従って、団体交渉で決定されたことについては、必ずそれを履行する、こういうことでよろしゅうございますね。
  9. 十河信二

    説明員十河信二君) 私の権限制限せられておりますから、あの予算範囲内でなければ実施はできない、あの予算範囲内で団体交渉をやって実施するつもりでおります。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄総裁には権限がいわゆる制限をせられておる、特に予算の問題については、予算ワク内でなければ仕事ができない、こういう今の御発言としてはきわめて重要な問題であろうと思う。従って、あなたは、それでは国鉄公共企業体という問題について、どういうふうにお考えに現在なっておるのか、その点をお答えを願いたいと思うのです。
  11. 十河信二

    説明員十河信二君) 私といたしましては、できるだけ国鉄総裁は広い自主性を与えられたい、こう考えております。しかしながら、国会等予算法律その他によって相当制限せられております。その制限範囲内において自主的に行動するという以外に道がないと思います。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、公共企業体そのものについては、できるだけ範囲を広く、できるだけいわゆる自主性を持てるようにあなたとしては考えておるけれども、現状においてはどうにも仕方がない。総裁権限というものは制約せられておるから、どうもその範囲内である仕事しかできない、こういう御回答だと思います。そこで、それではお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、仲裁裁定については、十分に完全に履行されておらない、あるいはまた今までの団体交渉できめられたことも、ワク範囲内ということで、これが完全に履行せられておらない、今後希望を持たれるのは、団体交渉によりきめられたことは、できるだけこれを実施に移していきたい、こういうことだと思うのです。そこで、あなたがいわゆる労働組合実力行使の問題でいろいろ意見がかわされたことも、私どもは逐次この委員会でいろいろとお伺いをしたのでありますが、特に三・五波の闘争の際に、あの抜き打ちストと一般に言われたときに、あれは政府間におけるところの打ち合せの不十分の点、あるいは政府当局組合との間における支払いについての手続上の連絡の不十分の点等によって、あの事態が引き起されたということは、当時私ども説明を受けたのでありますが、その際における国鉄当局は、あの三・五波の事件によって処分者は出さないということを言われておったのでありますが、それは見解の相違と言われればそれまででありますが、そういうものはどういうふうにお考え——処分を行うときに考えておったのか、その点を一つ説明を願いたいと思うのです。
  13. 十河信二

    説明員十河信二君) せんだっての処分春季闘争全体を考えて決定いたしたのであります。三月二十三日のあの事態に対しましては、あの事態だけを取り上げて特別に処分を行うということはいたさないということを当時も言っておりましたし、また事実そういうふうにいたしたつもりであります。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、新聞発表を見ますというと、だいぶ多くの処分が行われておるのでありますが、きょうは参議院運輸委員会でありますから、何人、どういう処分が行われたかということを一つ発表を願いたいと思うのです。
  15. 十河信二

    説明員十河信二君) それは吾孫子理事をしてお答えいたさせます。
  16. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) それでは、今回の処分をされました者の人数内容を申し上げますが、免職処分になりました者が二十三名でございます。それから日鉄法によりまして、停職、減給、戒告いたしました者並びに部内処分として訓告をいたした者、そういう者を全部合せますと約七百名になっております。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 首を切ったのが二十三人で、停職等を含んで約七百名というのですが、これは非常にばく然としておるわけですね。従って、これについては、あと一つ資料を提出願いたいと思います。それと一体この首切り、それから日鉄法による処分という理由はどういうことであるのか。あと資料でもけっこうですし、また今御答弁願えれば御答弁願いたいと思います。
  18. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 処分の全部にわたるこまかい理由書のようなものは、もし必要でございますれば、後ほど差し上げることにしたいと思いますが、今回の春季闘争を通じまして、公共企業体等労働関係法で禁止されておりますような行為を行なった者、また日鉄法で禁止されておりますような部内の規律を乱る行為を行なった者、そういうような職員相当数に上りましたので、それらの諸君に対する責任を、それぞれ公労法並びに日鉄法によって、その責任を問うた、こういうことでございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 今の公労法並びに日鉄法による処分を行なったということでありますが、どうもまだはっきりいたしません。そこで、先ほどの処分者人数、それから今の理由、そういうものを資料として御提出願いたいと思います。  それから、この際総裁お尋ねをしておきたいのですが、あなたが解雇処分通告をする際に、団体交渉というか、いわゆる通告の際に、あなたは御出席されておったのか、おらなかったのか、その点お尋ねしておきたいと思います。
  20. 十河信二

    説明員十河信二君) 実は連日夜おそくまでいろいろ協議をし、あるいは新聞記者会見をやるというふうなことで非常に疲れまして、血圧の高進が起ったために、医者から厳重にとめられたのであります。はなはだ申しわけないと思いましたが、列席することができませんでした。昨日初めて組合方々にお会いして、その点をお断わりを申し上げた次第であります。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、総裁は、この前、処分を通知をするというときには、お疲れで出席ができなかった、従って、昨日組合側を呼んで、その際のこともお話をした、処分通告もした、こう理解をしてよろしいのですか。
  22. 十河信二

    説明員十河信二君) 通告は、その以前に、私にかわって副総裁からいたしました。私は、昨日は、その通告をする際に出席することができなかったことについて、組合方々にお断わりを申し上げたのであります。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 まあこれは、その人の問題でもあろうから、とかくは申し上げませんが、少くとも自分が使っておった従業員に対して、一身上のいわゆる免職等通告する場合には、当然その職員立場においても、その通告に対するところ理由が述べられるはずだと思う。また使っておったあなたの立場としても、その人たちの言い分を聞く義務があろうと私は思うのです。そういう点について、あなたはどういう心境であられたのか、その点をお尋ねをしておきたいと思うのです。
  24. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は、まことにそれは申しわけないと、こう考えておりますが、病気のことで、やむを得なかったのです。この点は御了承を下すっておることと私は推測いたしておる次第であります。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど冒頭にあなたからお答えをいただいたように、仲裁裁定については、完全に実施をされておらない。仲裁機関というものは尊重しなければならぬ。裁定も尊重しなければならぬ。しかし、裁定実施はされたけれども、いわゆる今までの団体交渉やあるいはまた裁定内容からくると、まだ完全に実施をされておるとは当然考えられない。これは昨日の参議院の本会議においても、苫米地予算委員長から本会議報告をされる際に、予算委員会の際に藤林委員長を呼んで、この裁定の取扱いについての内容をいろいろ御説明を願った際に、完全に実施をされておるとは言っておらなかった、という報告が昨日の本会議で出されておるにもかかわらず、国鉄総裁が、裁定は、これは実施をされておるというのは、不完全な実施をされておると思うのか、あるいは完全に実施をされたと思うのか、その点を明らかにされたいと思うのです。あなたの言うのは、あくまでも実施をされた、こういう答弁に終っておるわけです。ですから、今までの労使慣行樹立をするには、少くとも労使のお互いが納得をして、そうして仕事に協力をしていくことでなければ、この問題の本質は私は解決つかないのじゃないかと思う、ただ、自分たちの方はこれだけの権限しかない、これだけの能力しかないからお前たちはこれでがまんしろ、しかし、その半面において、お前たちのやったことは違法であるから、首切りは思う存分やるぞといったようなことで、一体どうして労使慣行樹立について、あなたはどういう考えを持っておるのか、そういう点についてお答えを願いたいと思う。
  26. 十河信二

    説明員十河信二君) 仲裁裁定の問題は、先刻も申し上げた通りであります。私は法律に規定せられておる通り尊重せられておると思う。しかし、それと処分の問題とは、もちろん密接な関係はありますが、別の問題であります。私は一面においては、国民に対して運輸という重要な業務をお預かりしておる責任があります。法を守り、秩序を維持していかなければならぬ責任があります。でき得る限り処分というような問題の起らないように、かねてから私は懸命の努力をいたして参ったのであります。しかしながら、不幸にして私の力足らずああいうふうな事態を引き起したことにつきましては、私は深く遺憾に存じております。今後はさらに決意を新たにして、こういう事態の起らないように努力をいたしたいと、こう考えております。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 総裁は今の予算の問題、いわゆる裁定の取扱い方の問題と処分の問題とはおのずから別であるという答弁をされておりますが、そういう考えですか。これははっきりしてもらわなきゃならぬと思うんですが。
  28. 十河信二

    説明員十河信二君) 今も申し上げました通り、非常に密接な関係がありますが、団体交渉のまだ行われない前といえども、これは法を守り、秩序を維持するという点においては、私は責任を果さなければならない、こう考えまして、涙をのんでああいう処分に出たような次第であります。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 これは総裁が今最後に言われたことがほんとうのことだと思う。あなたが涙をのんでおるというのがほんとうのことであって、前段に言われておることはやはり違うと思う。ということはどういうことかといえば、労働組合がいわゆる生活権を守るために団体交渉をする、労働条件を改善するために団体交渉をする、団体交渉でまとまったものは実施をしてもらいたい、当然のことじゃないですか。しかし、それを当局能力限界であるとか、あるいは政府がそれを実施してくれないということでいけば、約束をしたことを守ってもらえない、実施をしてもらえない、公労法上のことについても法を守ってくれない、こういうことになったら、一体、使われる者はどうしたらいいんですか。あなたの言うように、裁定のいわゆる予算化の問題と裁定を尊重することについては、十分われわれはそのことをやりたいが、同時に処分をすることはこれは別の話であるというようなことでは、一体働く人はどういうふうにやったらいいんですか。団体交渉できまっても、それは実行してくれない、公労法上もそれだけの能力がないといって、これは私の限界外であるといって葬られてしまう。一体、だれにそれをあなたに使われておる人たち要求することができ、あるいは実現をさしていただけるんですか。どうなんです、この点は。
  30. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は、約束をいたしましたことは誠意をもってこれを実行する意思を持っております。また、その通り私は今日までやってきておると考えます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 あなたが今まで団体交渉約束をされたことは守る、そしてまた実行に移すと、こういう誠意をもって当られておられたならば、今回の仲裁裁定内容はどうなんですか。この仲裁裁定の問題に関連をして、組合側とあなたの方で団体交渉し、話し合っておっても、いまだ見解の統一のできない問題もあるでしょう、あるいは見解の一致をしたところもあるでしょう、そういう問題についていわゆる組合側としては、あなたの方に、ぜひ一つ政府に対してこの団体交渉できまったものについては予算をとってもらいたい、その上に、仲裁裁定のいわゆる出されたものについて当然プラスされるものである、こういう解釈をとっておるというのは、すなおな考えじゃないですか。それに対して、あなたが今言われるところに対して、現実のここに出されておる問題は違うというように理解をされますが、その点いかがですか。
  32. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は別に違いがないと思っております。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 そういう白々しいことを言うから、あなたがいわゆる能力限界だとか、あるいは私のもう権限外だとかいうようなことで逃げざるを得ないんですよ。あなたが団体交渉できめたことは誠意をもって守るということを言ってるじゃないですか。団体交渉で今まできめたことは、当然これは実施すべきことで、今まで実施できなかったことは、当局の、政府のいわゆる手続上の問題じゃないですか。労働組合がこれをどうするこうするということはできないでしょう、労働組合は違うんですから。これを労使団体交渉によって決定したことを実施をするのは、当局責任であり、政府責任じゃないですか。その点はいかがなんですか、それは。
  34. 十河信二

    説明員十河信二君) それはお話通りでありまして、その通りに私は実行して参っておると思います。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、今あなたのおっしゃる通りの御答弁ならば、昨年度の体団交渉できまったことについては、当然これは実施——本来ならば昨年のうちに実施さるべきであったが、手続上の問題、あるいは当局政府の間の手続上の問題で、これは不十分であったと思うのです。その上に仲裁裁定が、いわゆる組合員一人二千円の要求に基いて今回の一千二百円という裁定が出されてきているのです。従って、団体交渉の上に積み重ねているのは当然の結果であって、それからすると、あなたの言われることと今出されていることと違うじゃないですか。あなたが同じだという解釈をとるのは明らかに間違いだと、こういうことがはっきりすると思うのです。その上に立って、さらにあなたがそういうふうな見解のもとにこの春の闘争処分を行う、処分を行う際に、先ほどの二十三名の馘首と約七百人という大量の処分者を出した、それも二十三日の抜き打ちストという問題でなくして、春闘全般について、というお答えであったのでありますが、これについては……、総裁聞いておりますか。あなたはこの春闘処分について政府からどういういわゆるお話し合いを受けたのか、その点をお尋ねしたいと思うのです。政府からどういうように、運輸大臣から、国鉄についての処分についてはどうするか、あるいはどういうふうな範囲でやるか、こういうようなことについてお話し合いを受けたのか、その点をお尋ねしたいと思うのです。
  36. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は春闘処分という問題は、国鉄にとっても、また社会問題としても相当重要な問題と考えております。処分をする権限国鉄総裁にありますが、監督官庁たる運輸大臣連絡をし、いろいろ御相談をいたしました。しかしながら、その内容については申し上げかねることを御了承願いたいと思います。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 処分を行うに際して、多くの従業員は真に国鉄を愛しつつ長い間国鉄に奉職をしておりながら、その理由もあまりわからずに首にされる、処分をされる、こういうことについては、ほんとう国鉄を愛する監督者立場では私はないと思うのです。もし国鉄を真に愛し、国鉄のために国鉄としてのあり方を示される、そうして国鉄従業員にも、いわゆる国民のために奉仕する国鉄職員としての立場をとってもらうということになるためには、やはり十分にあなたの考えというものが職員に知らされなければならぬと思う。そういう立場からいくと、今のあなたの自主性を持った、いわゆる人事の権限については、国鉄総裁権限を持っておるけれども首切りについては、運輸大臣と緊密な連絡をとった、しかし、内容については言えないということは、一体どういうことなのか、それはどういうことなのか、こういう点について、私ども多くの疑問を持たざるを得ない。何かそこに政治的に国鉄に対するところ指示があったのか、それともあなたが自分ではどうしてもやりたくないと思ったのだけれども、これはしようがない、とにかく監督官庁からこうやれ、あるいは政府の閣議の中で、どうしても言うことを聞かないからこうしろというような、こういうようないろいろな案が出され、あるいはそういう指示があったのでやむを得ずこういうことに落ちついた、こういうのだけれども、そういう内容については、実際に何としても言えない、こういう考えなのか、一つあなたの立場をはっきりしてもらいたいと思うのです。
  38. 十河信二

    説明員十河信二君) 私の申し上げたことは、私が自主的に処分の問題について、監督官庁連絡をしたということを申し上げたのであります。政府監督官庁から私に命令をするとか圧力をかけるとか、そういうことは何もなかった。そのことは誤解のないようにお願いしたいと存じます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、あなたは現在でも、これだけの多くの自分の部下である職員処分をして、そしてこれは当然なことであって、もっとまあ自分ではやりたかったのだ、しかし、これを遠慮したのだと、こういう気持でおるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  40. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻から繰り返して申します通り、私は涙をのんでこの処分をいたしたのであります。再三再四ちゅうちょいたしたのでありますけれども、しかしながら、法を守り、秩序を維持する自分責任上やむを得ずこうしなければならぬということで、ああいうふうな処分をすることに相なったのであります。これは真に私は遺憾だと思います。こういう事態の起らないようにすべきだと思う。しかるに、私の不徳微力でこういうふうになったということにつきましては、私は心から遺憾であったと思います。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、総裁がそういうふうに誠意をもって、とにかくできるだけそういう事態の起らぬように、これからもそういうふうなことをしたくない、処分者も出したくない、こういう気持であるということを、私どもは今あなたの言葉の中で感ずるわけでありますが、今後もそういう誠意をもって努力をされる考えでおるのかどうか、この点をお尋ねをしておきたいと思います。
  42. 十河信二

    説明員十河信二君) 今後も誠意をもって努力する覚悟でおります。しかしながら、私の不徳微力、その通り行くかどうかということは、これは今後のことで何とも申し上げかねます。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 国鉄総裁の先ほどの相澤君に対する御答弁によりますというと、今度の仲裁裁定の処置は、労働組合側との要求とそんなに食い違いがない、そういうような意味のことを御答弁なされたと思いますが、そうでございますか。
  44. 十河信二

    説明員十河信二君) 仲裁裁定が十分尊重せられ、実施せられるようになったと思っております。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 国鉄要求が、これで労働組合側要求が満足されたというふうにお考えになっておりますか。
  46. 十河信二

    説明員十河信二君) 組合がどう言うかということは、今後団体交渉等でいろいろ組合意見も聞きますが、過去において、組合不満足ながら調停をのむということを言っております。大体調停案というものと仲裁裁定とは同じような結論でありますから、私は労働組合不満ながら満足してくれるのじゃないかと想像いたしております。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 大へんこれは認識の不足だと思います。非常に労働組合不満である。仲裁裁定さえ完全に実施されたなんということはこれは言えないし、事実そうだと思う。感情の問題ではない。まず大臣にお聞きしたいのですが、既得権はこれははっきりお認めになりますか。つまり過去七回における団体交渉によって六百円、五百二十円、つまり千百二十円というのはこれは既得権だと私たち考える。団体交渉でいやしくも国鉄総裁組合最高責任者の間ではっきり取り結ばれたところのこの労働協約というものは非常に重要なものなんです。これは動かすことができない。この既得権については、あくまでも尊重すべきだと、こうお考えになると思うのですが、当然だと思うのですが、いかがですか。
  48. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は既得権はもちろん尊重する意思でおります。今回の仲裁裁定実施いたしました結果、既得権は侵害せられていない、こういうふうに考えております。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 組合要求は、何も既得権に関して千二百円の調停案、さらに仲裁裁定の線を了承するということではなかったと私は思うのですね。既得権の上にはっきり千二百円を積み重ねるというのが、これは組合員要求であったということははっきりしておったと思いますが、この点、今まで団体交渉を重ねてこられたのですか、何べんもお聞きになって御存じだと思いますが、組合要求はどういうものでありますか、その点はっきりしていただきたいと思います。
  50. 十河信二

    説明員十河信二君) 過去の団体交渉においてきまったところは、超過勤務手当とかあるいは業績手当というものに対して、これこれを出すということがきまっただけでありまして、これこれをいわゆるベース・アップをするということがきまったわけではない、こういうふうに了解いたしております。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、そこのところは名目はこれはどうでもいいのだと思うのです。実際はなかなか食えないという状態が起ったからこそ、このたびの春闘問題が起ったのでありますが、業績手当であろうが超過勤務手当であろうがかまわないのであります。それでは、それは今度のベース・アップ分とは無関係か、既得権としてこれははっきり今まで通り認めるということを前提にするならば、今のお話はそれでいいかもしれませんけれども、その既得権の分を今度千二百円新しくベース・アップをして、名目を変えたという形でその中に吸収してしまうというやり方で組合は満足すると思いますか。組合要求とぴったりするとこの点お考えになりますか、いかがでございますか、その点は。名目ではありません。業績手当であろうか、勤務手当であろかということではありません。労働者は今現実にどれだけの現金収入があるかということが基準になるのであって、名目的にそれが今度はベース・アップに変ったということ、そういうことを私は要求していたのではないのだろうと思います。それもむろん要求はあります。しかしながら、今言ったような格好で既得権を逆にそれを今度の中に入れてしまうというごまかしのやり方を望んでいたのではない。それは少くともそれが要求であったというふうにはっきり私は考えますけれども総裁はいかがお考えになりますか。
  52. 十河信二

    説明員十河信二君) 名目が私は相当大切な問題だと思います。ベース・アップならば将来もずっときまってもらえます。超過勤務手当とか業績手当というものは事業に応じて支給せられるものでありますから、これは動いていくものであります。ベース・アップとはその点は非常に違うと思います。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 むろん、私たちも名目を変えてこれを本俸にはっきり確立するということは何も望ましくないということを言っているのではありません。しかし、既得権さえその中に入れられるという形で、そういういわばごまかし手段でもってこの問題を解決したのだということで、果して労働組合要求とこのたびの措置というものとの間に食い違いがないかどうか。今までの団体交渉で労働者のいろいろな要求をあなたはお受けになっていらっしゃるはずですから、少くとも今度の仲裁裁定実施との間に食い違いがあるかどうかということをお聞きしているのです。この点はどうなんでございますか。先ほどのお話のように、労働者の要求はこれで満足されるべきものだと、今でもそういうふうにはっきりお考えになりますかどうですか。
  54. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は労働者が満足してくれるとは思っていないのです。不満ながら了承してくれることを私は期待しておるのですと、こういうふうに申し上げた次第です。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 不満ながらというのは二通りあります。それは調停案が出る前の状態、つまり二千円の要求を出したが、一応調停案は千二百円と出た、いろいろな情勢から判断して不満ながらこれは調停案をのむ、こういう格好で組合側は御承知のようにのんだ、ところが、政府はこれに対して何だかんだと言いがかりをつけて結局のまなかった。結局仲裁裁定にこれは待つということになったんでしょう。そうして仲裁裁定の結果も、ほとんどこれは調停案と同じような形で出された。そうするというと、今問題になりますのは、不満ながらという問題は、仲裁裁定が完全に百パーセント実施されるかどうかというところにかかってくるわけなんです。そうでございましょう。問題をこんがらかせないでやっていただきたい。そうすると、その仲裁裁定の線で労働者の考えました一体要求というものが百パーセント満たされたとお考えになりますかどうですか、ここのところをやっぱりはっきりお答えを願いたい。
  56. 十河信二

    説明員十河信二君) それは今後労働組合団体交渉をやっててみなければ、労働組合がどの程度に了承してくれるか、どの程度の不満を持っておられるかということははっきりわかりません。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 それは逃げ答弁になっておると思うのです。これははっきり労働組合不満だと言っておるんです。単に今度の問題は、たとえば十一、十二の問題というのは、これは処分撤回の問題もありますけれども、労働者の要求の問題もこれはやっぱり加わってやられておるんです。このたびの職場大会のようなものを、少くとも今までの交渉の中でこれを満足させて、労使の対立問題を解決することができたか、こういう点が少くともこの衝に当っている総裁の私は責任問題だと思う。一応やってみたが、今度団体交渉によらなければ不満だかどうだかわからないというようなことを言っておられるのでは、非常にやはり私は事態の認識が不十分じゃないかと思います。御病気だと言いますから、まあその点お聞きにならなかったといえばそれまでであるけれども、これは非常に私は不十分だと思う。非常に不満です。そうでしょう。これは国会においても、先ほど相澤委員からもお話があったと思いますけれども、これは仲裁委員長藤林委員長でさえ、これはやはり百パーセント実現されたとは思っていない、こういうことをはっきり言っておるわけです、参議院予算委員会におけるところの証言の中でですね。そのことは昨日の予算委員長の本会議における報告の中で明白にされておる、藤林委員長はそう言ったと。ことに五百二十円の三分の一を今度の千二百円の中にぶち込むという問題については、これは全面的に了承していないわけです、組合は少くともその線においては。そういうことをはっきりご存じでしょうな。これはご存じないとすれば、私は重大なる問題だと思うのですが、御存じでございますか。
  58. 十河信二

    説明員十河信二君) 藤林委員長は、主文第一項は完全に実施せられておる、こう証言せられたと承知いたしております。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 まあそれは昨日の本会議の速記録をごらんになっていただきたいと思います。ちゃんと、自民党から出ました委員長、苫米地委員長が明白にこれは委員長報告として、何もこれは個人的な問題じゃありません、委員長報告として、藤林仲裁裁定委員長の証言によれば、これは百パーセント実現されたと言えないということを言っておるのです。そういう形で、労働者側ではこの点については非常に満足していない、こういう事態がはっきりあるということは、これは事実なんであります。われわれの感情とか何とかで言っているのじゃない。そうして労働者ははっきりその点を指摘しております。それから今度の措置の中では、はっきりその点が尾を引いておる、ここに今度の紛争の問題も出てくる。つまり春闘を中心にしまして、春闘の中で出されました労働者の要求が全面的にはかちとられなかったが、しかし、その中で、とにかく不満足ながら仲裁裁定の線で了承する、ところが、その仲裁裁定の線が完全に実施されなかった、不完全実施だ、そういう形でこれは残っておるのだということを私どもははっきりこれを認めなくちゃならないと思う。こういう点の認識を、やはり非常にごまかしておられるのじゃないかと私は考えるのです。決して満足していないわけです、今度のやり方では。こういうことをやっておいて、一方的にさて処分という形になっては、果してこれで一体公正な労働行政ということができるかどうかということは私は非常に問題に思うのであります。この点いかがですか。この点について、国鉄当局並びに政府のこの春闘問題に対する責任は完全に果された、従って、今後労働者がこのたびの問題に対する要求に対しての問題についていろいろなことを言うことは、これは不当だ、こういうふうにお考えになっておりますか、この点お聞きしたい。
  60. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は万人が完全に意見が一致するということは非常に困難なことだと思います。だから意見の相違のあることは、これはまあやむを得ない、ただその意見の相違を平和裏に話し合いによって解決するようにいたしてもらいたい、実力によって決定するということにしないで、平和裏に話し合いによって解決するようにしていただきたいということが私の念願であります。
  61. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  62. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を続けて下さい。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 ただいま総裁の御答弁で、万人の意見が一致しないということを言われておりますが、これは組合が全体の意向をまとめた形でもって不満の意を表明されておることは御存じだと思うので、個々の意見を取上げながら、公式な機関がそういうような正式な会議によって決定した多数の意見をまとめたもので不満だということを表明されておることは、これははっきりお認めにならなければいけないと思うのです。それは労働組合の構成なり、運営なりということを十分御認識いただきたいと思うのです、そうでないと妙なことになりますから。第二の問題、平和裏に話し合いを進めたいというようなことを言っておられますが、それならなぜ首切った、これは当局実力行使じゃないですか。人の首を切っておいて、それでは平和的な話し合いもないじゃありませんか。だからこそ、われわれはこの不当処分をやめるべきだ、こういう処分をしないで、徹底的に裁定話し合い、そうして今後の道を開くべきだということを当委員会においてもしばしばわれわれは話し合って参ったと思う。ところが、今の話を聞いておりますと、平和裏に話し合いをしていきたいと、これは首切りが行われる、処分が行われる前でしたら私どもは了承することができます。しかるに、これはそのような世論の一つの動向というものを排除して、また組合要求というようなものを——切実な要求というものを排除して、一方的に強引に、しかも大量な処分をやっておいて、それから平和的に話し合うというようなことでは、私はこの事態はおさまらないんじゃないかというふうに考えますけれども、これはそうすれば処分を撤回されますか。処分を撤回してもとの状態に還えして、それから平和的に話し合いをするということが、私は当然これは労使慣行だと思いますけれども、その点はいかがですか。そうでなければ話が合いませんよ。
  64. 十河信二

    説明員十河信二君) 私はただいま処分を撤回する意思を持っておりません。私は法を守ると、秩序を維持するためには法を守るということは、これはやむを得ずやったことでありまして、そういうこともやりたくないけれども、平和裏に話し合いができなかったためにそういうことをせざるを得なくなった、これはやむを得ないことと御了承を願いたいと思います。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 それは非常に一方的なお話になると思います。少くとも国鉄側の、当局側の責任というものは何ら明白にされていないのですよ。労働組合側のこれは責任だけは今言ったような過酷な形で押しつけられているのだ。われわれはこういうような片手落ちなやり方について、これは中正な正しい法の運用を企図する国会の議員としては了承することができないことです、こういうやり方は。といいますのは、一体このたびの処分の問題の大きな原因は、相澤議員からもしばしば指摘されましたように、これは当局側に大部分あるのだ。第一、国鉄当局はどうなんです。既得権をはっきり尊重し、労働者の要求ほんとうに実現するために政府を説得して、そうしてもしもそれができないで政府の圧力に屈するという事態が起れば、これは労使の問題は依然として解決しない、そうして今後の運行上も工合の悪いことが起る、現に起るような事態がこれはできたのです。しかし、そこにあるのです、一つは。しかも、この処分の問題につきましては、処分はしない、先ほど話の二十三日の問題についても処分をしない、ところが、二十三日の問題で処分しないとすれば、一体何をもとにして処分するということになるのですか。一番問題にしたのは、これは抜き打ちストというような形で、新聞やラジオが非常に世論を一方的に伝え、そうしていかにもこれに対して国民全体が総すかぬを食わしているような印象を与えた、こういうことを基礎にして、それで処分の根拠を作っていった。第三波、第四波と言われます十二日、十三日の問題につきましては、当委員会におきましても運輸大臣に対しまして、われわれはそういうような処分などということはこれはすべきじゃない、警官の不当弾圧もいかぬ、調停案を完全に実施しなさい、これだけが労使の問題を完全に解決し、事態を明朗な方向に前進させる問題である、こういうことについては、当時運輸大臣も相当了承されておったと思うのであります。また、国鉄当局からは副総裁が出られまして、副総裁もこの線は了承されておったと思う。しかもまた、この十六日の団交におきましては、これは春闘の問題では処置しない、こういうこともすでに国鉄側の言明としてなされていることを聞いている。そうすると、国鉄処分をしないというような立場で貫いて私はいかれておったのだと思う。ところが、これが不当な形で、しかも、総裁責任だという形で、これは押しつけられたのかどうかわかりませんけれども、こういう形で実際は処分され、その席上には総裁は病気までされてとうとう出席されなかったのであります。これは心境的なものかどうかわかりませんけれども、とにかく非常にこれは不明朗な形であります。こういう形で処分を行わなければならないとろこにこれは追い込まれていった。そうすると、これに対して当局並びに政府責任というものは、これは見のがすことのできない重大な問題だと私は考える。政府責任は今日口をぬぐってすましておることができる問題じゃ私はないと思う。労働者を大量に処分しておいて、政府側の責任は全然ないというようなこと、あるいは当局側の責任を全然これは等閑に付せられるという事態が起ったら、これは重大問題だと私は考えざるを得ない。しかも、政府立場考えるというと、調停案については、労働者が不満足ながらのむというのに対してのまなかった。一方的にこれはのまなかった。のまない理由を聞いてみますというと、各公社には特殊な事情があるから、同じ千二百円では工合が悪い、そういうことを言ったんです。そんなら仲裁裁定にまかせると言ったけれども仲裁裁定が出た場合にも、政府は当然この仲裁裁定を今度はうのみにできなかったはずじゃないか、政府の主張からいえば。そうでなければ筋が一貫しないはずだ。なぜそれなら調停案を受諾し、そうして労使の紛争を一ヵ月ばかり前に事前に解決するという努力をしなかったか。それを避けておいて、仲裁裁定にすべて逃げ、しかも、調停案と同じような内容のものが出されて、しかもこれをのんで、それは不完全なごまかしの実施をされておるという形であります。そうするというと、この問題を長引かせ、ある場合には労働者をそこに追いやり、そうして懲罰したその原因——こういうようなやり方をさせる政府には意向さえあったと推測されても、これに対して反駁する余地は私はあり得ないと思う。こういう形でやられたところ政府の労働行政並びにこの政府のやり方に対して屈したのか、あるいはこれを了承したのかしりませんけれども、この実に無責任なやり方に対しまして同調されて、大量処分を断行されたところ当局責任というものは、私は絶対に等閑に付することのできない問題だと思う。従って、一体国鉄総裁としましては、当然、このたびの問題を片手落ちに扱わないとすると、一方で処分しておいて、自分は口をぬぐって知らぬふりはできないものと思いますが、この責任をどのようにお考えになり、どのようにおとりになるお考えであるか、明瞭にされんことを私は切望します。
  66. 十河信二

    説明員十河信二君) 組合の行なった実力行使は、法に違反して行われたのであります。私のやった処分は、法に従って処分をしたのであります。(「ちょっと精神がおかしいな、精神鑑定の必要がある」と呼ぶ者あり)私は法に従う義務があると、こう考えまして、これは自分としてはやりたくないと思いましたけれども、法に従う義務があるのでやむを得ずやったのであります。その点は、組合の行なった実力行使と私のやった処分とは違うと御了承を願いたいと思います。
  67. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 国鉄側も、当局側もこれは仲裁裁定のなにが不完全実施されて、これは守られていないのです。こういう点は、これはぬけぬけとたなに上げておいて、そうして労働者側だけの責任を追及する、しかも、このいろいろそこに追い込んだ一番根源というものが問題なんです。それからまた法、法と言いますけれども、もしもそういうような不明瞭な形でしか行われないものが公労法だとすれば、そうすれば、公労法そのものというものは非常にこれはおかしい法だということを事実立証していることにもなるのですよ。まず第一に法を守らないのは当局側であり、政府側である。そういう点ははっきりある。そういう点の責任というものは、これは少しも自分でまだ反省していられない、そういう点については、これは私たちは了承することはできません。この問題は片手落ちであって、今のような御答弁でこれは終始されるとすれば重大問題だと思いますが、これは時間の関係からまたあとで申し上げたいと思いますので、私は一応切っておきます。
  70. 柴谷要

    ○柴谷要君 二、三総裁お尋ねをしたいと存じます。処分をする、その処分に対して闘争をいどむ、また処分をする、また闘争が繰り返される、こういうことを繰り返していることは、やはり国鉄としては正常な業務が年間を通じて行われるとは思わない。そこで、いずれかが闘争をやめるか処分をやめるか、こういうことにならないことには、私は問題は解決しないと思う。そこで、今回の仲裁裁定をめぐっての国会論争等見ておりましても、私は、やはりどうも他に依存をしているのじゃないか。労使間の問題解決というものは、やはり労働者側とこれは国鉄当局側、この二つがじっくり取っ組んで問題を解決すれば——いわゆる今回の政府の処置は、一応補正予算を組んできたのですから——これはまあわれわれから言わせれば、裁定の精神にのっとって完全に実施したとは考えられない。しかし、補正を組まれて、非常に過去における仲裁の取扱いとは違った、多少なりとも前進した補正を組まれているのですから、ここで国鉄当局が腹をきめて、この仲裁裁定解釈をそこまで一つ労働者側と話し合って妥結をするということは、相互の過去における仲裁裁定の問題とは違って、今回は非常に楽な状態にあると思っておった。ところが、どうも団体交渉等のなにを聞いておると、なかなか解決はしないと思う。こういうことでは、これは将来に向って、国鉄当局労働組合との間においては、終世平行線をたどっても決して一致点を見出すことはできないと思う。もっともっとほんとう国鉄当局が腹を入れて労働組合話し合いをし、問題を解決するという一番の時期じゃないかと思う。その努力が今日私は少し足りないというように考えているのだが、この点に対して総裁はどのように考えておられるのか、これを一つお尋ねをしたいと思う。
  71. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻申し上げましたように、できるだけ広い範囲の自由を持って組合側話し合いをしたいということは私の念願であります。しかしながら、国会でおきめになった予算というものもあり、また法律というものもありまして、いろいろな制約があるから、私にはその制約の範囲内の自由しか与えられていないのであります。私はこの限られたる自由の範囲内において、組合側にでき得るだけ満足を与えるように団体交渉を妥結していきたいと、こう考えて、今後も大いに努力するつもりであります。
  72. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ、与えられた範囲内において努力をされるということですから、努力の結果を十分私どもは待ちたいと思う。そこで、再度お尋ねしたいことは、私は新聞を見てあぜんとしたことが一つある。というのは、国鉄労使間に団体交渉で成立をし、しかもお互いがそれを守り合ってきたものが、今回の仲裁裁定をめぐって予算の検討をされた結果、やみ給与があると——。これはまあ労働大臣が、最後には、やみでないということがわかったのか何かしりませんが、国会ではこれを否定をしてきておりますから、あえてやみと言うことでもないわけですが、その前に、私は、国会で追及をされたから労働大臣がやみでないということを言ったわけで、それまでの間相当期間があった。ところが、この点について国鉄当局は、そういうやみであると新聞に伝わっておるものは、やみといわれておるがそれは間違いだと、こういったような訂正を一ぺんもしたことがあるかどうか。見るというと、新聞には出ておらない。国鉄は守勢に立って、あたかもやみをやった、しかも、それは合法的なものだというような、小さな声で陰でもさもさしているような感じに受け取れた。私は、こういうときに初めて国鉄自主性というものが外面に向って強く出てくると思った。それを期待しておった。ところが、それが出てこない。ひいては、それが災いをして今日のような裁定をめぐっての問題になっておるというふうに私は考える。でありまするから、総裁は与えられたる権限内において、十分国鉄労働組合と話し合って問題を処理するとはいうものの、私はやはり国鉄に対するいろいろな干渉がきびしいことが出てくると思う。それは直接監督官庁から出るのではなくて、雑音なんです。今、周囲の雑音というものが国鉄を相当圧迫をし、国鉄に対するいろいろな制肘を加えてくると思う。こういう雑音に対して、完全に払いのけて強固なる意思のもとに、総裁国鉄に与えられた権限内において自主的にやるというほんとうの腹をお持ちであるかどうか、これを一つ本席上で明らかにしてもらいたい
  73. 十河信二

    説明員十河信二君) 私も今お話のあったやみ給与という言葉については非常に不満に思いました。それで私は政府に向って、私自身やみ給与をやった覚えはないということを数回、何といいますか、抗議と申しますか、言葉は悪いのですけれども、そういうことを私は釈明いたしておるのであります。また、新聞記者に対しても、自分はいまだかつてやみ給与をやった覚えはないということを再三意見を申しましたけれども、不幸にして私の意見新聞にあんまり取り上げられないで、国鉄を非難する方の記事ばかり出るので、私としても実は閉口いたしておるのであります。私は、でき得る限りそういう機をとらえて自分のやったことを、正当なことはあくまで正当だということを主張したいと思っております。今後もそういうふうに努力するつもりでございます。
  74. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後の質問をしたいと思うのですが、実は、私もいろいろ給与の問題については検討してみたのでありますが、どうも国鉄の給与というものは、戦前と比較をして戦後の給与状態というのは非常に悪い。これは実は、内閣官房長官も国鉄の給与の低いということは明らかに認めておる。その認めておる国鉄の給与に対して、あまりにも政府は同情的でない。いわば仲裁裁定が千二百円出た、その千二百円をめぐって、国鉄の給与が低いと認ておるならば、他の仲裁裁定の取扱い方と違って、国鉄にはもっとあたたかみを持って仲裁裁定の処理に当っていいんじゃないか、こう考えておる。ところが、それが他となべして同じにやられておるということは、これはやはり今日、政府から国鉄側があまりにも、私の言葉が悪いかしれませんけれども、なめられておる、ここに問題があると思う。私は国鉄ひとりだけ給与がよくて他が悪くていいとは申しません。しかし、戦前の国鉄の置かれた状態というのは、これはもういろいろな資料によって出ているんですから、私は国鉄の給与というものは、もっと大きな声を張り上げて、言うべきことは主張をして、そうして取っていくという形でないというと私は今日の状態があくまで続くのじゃないか、かように憂える。特に、私ども団体交渉ではないけれども、国会の中で話し合ったときに、確かに国鉄の給与は低いのだ、何とかしなければならぬと言いながら、その言葉の裏では、ほんとうにこの国鉄の給与に対して一言もそのような結果が出てきておらない。これは私どもは今後大いに追及をして改めさせていきたいと考えておる。それには今言ったように、国鉄労働組合当局から処分をされる、処分なんかおそれない、こういうことになっていったのでは、ますます私は、労使間というのは隔たりがきてしまって取り返しのつかない段階に追い込まれるのじゃないか。でありますから、いずれは闘争をやめるか、処分などという過酷なことをやらないか、いずれかの方法を選ばざるを得ない。ところが、私が端的に申しますならば、当局が不当と思われるような処置、いわゆる一度は後退してもいいから、当局側に処分などということは一ぺんやめて、ほんとうに話し合って問題を解決するという熱意を持ってもらいたいと思います。それ以外には私は労使間の紛争を解決する道はないと思う。こういう考え方に立って、総裁はどうお考えになっておるのか。国鉄給与の低いということと、今後労働問題に対処していくのには、第三者にまかせるというのではなしに、第三者の圧力に屈することなく、ほんとう労使間の間で問題を解決するという熱意をお持ち合わせになっておられるか、この二点について御回答願って、私の質問を打ち切りたいと思います。
  75. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄職員の給与が比較的によくないということは、私も機会あるごとにしばしばこれは天下に訴えておる。しかしながら、御承知の通り新聞、雑誌等に幾らそういうことを訴えましても、どういうものか国鉄というものは国民の信用が薄いというか、そういう声が取り上げられない、これはもちろん私の不徳微力ということも原因していると思います。私は非常に残念だと考えております。これは柴谷委員の今のお話と私も大体感を同じうするものであります。今後の労使間の問題を円滑に処理するということにつきましても、私は大体お考え通りでありますが、ただ、ここに今申し上げるように、われわれが正しいと思うことを天下に訴えても、天下がこれに耳を傾けてくれないという状態にある間は、幾ら正しいことを主張しても通らない。そこのところは、労働組合でもしばらく隠忍自重して、まず国民の信用を回復することに一段の努力をしていただきたい。私は労働組合に対しても絶えずそういうことを要望しておるのであります。私みずからも自分の非を改むる上においては、決して私はやぶさかでないのであります。私の至らないところ、私のや方の間違っておるところは何時でも御注意をいただいて、直ちに改めたいと存じます。そういう次第でありますから、今後とも私は、今お話のように、労使関係を正常化するため、寛容と忍耐をもって努力を続けていきたいと、こういう考えを持っております。
  76. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は根本的な問題について一つ総裁のお考えなり、抱負なりをお伺いしたいと思うのでありますが、国鉄労働組合が休憩時間外の大会をやるというと汽車がとまってしまう。これは何を意味するかといえば、この国鉄を動かしておるものはだれかといえば労働者であります。そういう観点に立って、この労働問題の取扱い方、処理ということについては、これは国鉄というものにとっては非常に大きな問題だと思うのです。そこで、これは、だれが悪い、あれが悪いということもいろいろあるでしょうか、今度の原因を考えてみますというと、これは確かに仲裁裁定か完全に実施されていない、あるいは団体協約でもって協定されたものが完全実施されない、あるいはきわめて不明瞭な形でもって不安を与えるというか、こうなりますというと、一体国鉄の労働問題に対する扱いについて、総裁という立場、地位というものは一体どうなのか、これが問題じゃないかと思う。この国鉄労働組合の争議というものが、本来ならばあの公労法によって、闘争なんというものはやらなくてもちゃんと守られていくということになっておるはずなんです。にもかかわらず、こういうことになってくるということは、これは国鉄労働組合がだれを相手に団体交渉をやっていいのか、ここに非常に不明確な問題があるのです。あなたが、たとえば二十三日の業績手当の問題につきましても、実施はされました。二十三日の午後五時かしりませんが、実施はされました。されましたが、その日のうちにやったからいいじゃないかというものではないのです。双方の協定、約束というものは、二十三日に払うということになれば、大体二十三日の通常払うべき時間に払うというのがこれは慣行です。それを何かその財源をどこに求めるかということをきめないから、一たん封筒に入れたものを抜いて、そうして何といいますか、非常におくれた時間でもってやっとぎりぎり一ぱいに払ったということを言われておるのですが、こうなりますというと、今あなたが誠意をもって団体交渉に応ずるのだ、誠意をもって実施するのだと言われても、柴谷君等が今言われたように、政府からそれはいけないと言われたらどうにもならぬ、こうなるのですね。そうすると、あなたは団体交渉をおやりになるというのですが、自分考えでもって、信念をもっておやりになることはできない、自分はこれが正しいと思っても、政府の方がいけないということになったらどうにもならぬということになる。そういう問題については、労働組合の方では何ら関知するところではないのです。総裁約束すればそれは実施されると思うのです。それがそういう措置でもって実施されないということになれば、労働組合一体だれを相手に団体交渉をやったらいいのか。総理大臣を相手にやっていいのか、あるいは運輸大臣を相手にやっていいのか、今度の処分の問題で松浦労働大臣が出っぱっくると、それを相手に団体交渉というものをやったらいいのか、その間のつながりというものが明らかでない。ここに毎年々々繰り広げられる国鉄の労働争議というものの根本の原因があるのではないかと思うのです。従って、私のお伺いしたいことは、一体国鉄の労働問題の取扱い方はこれでいいのか、労働問題の処理に対する総裁の地位というものはこれでいいのか、権限というものはこれでいいのか、こういう根本的な問題について、総裁は何かお考えになっておることはないだろうか、これを一つあなたにお伺いしたい。
  77. 十河信二

    説明員十河信二君) たびたび申し上げまするように、私の権限はきわめて制約せられております。従って、今お話のような非常に窮屈な範囲団体交渉をせざるを得ないのであります。私はこの自由の範囲をもう少し拡大してもらいたいということを、機会あるごとに政府当局にもお願いをいたしておるような次第であります。しかしながら、こういうふうな騒動が起りますと、この騒動の起ったつど、だんだん狭められていく危険がある。で、私はそれゆえに、組合に対してもどうかしばらくがまんして、しんぼうしてくれということを常に頼んでおるのであります。日本の労働問題は、まだ労使双方経験が浅いと私は言わなければならぬじゃないかと思うのであります。それでありますから、いろいろ双方に手違いがあり、不自由な間違いも起るかもしれないが、しばらく一つ国鉄の信用を回復することのできるようにがまんしてやってもらいたいと、そうしないというと、私の権限を広げてもらう、自由の範囲を広げてもらうということも、私が幾らお願いしてもこれはできない、非常に困難である、ますます困難になってくるのじゃないかと、こう思いますから、私はできるだけ国鉄国民から信頼せられ、愛されるようにしてもらいたいと、そうすれば私の権限もだんだん拡大してくるのじゃないかと、今度のこの春季闘争につきましても、私のところ国民の多数の人からいろいろな意見を言ってくれております。その中で、相当組合に対しても、あるいは政府に対しても、いろんなことを言ってきております。おりますが、要するに国民の信頼を得なければ、私の希望は実現しないと思います。それでそういう信頼を得られるように労組もどうか協力をしてもらいたいということを私はただ切望するのほかないのであります。この点を御了承願いたいと思いすす。
  78. 大倉精一

    ○大倉精一君 そのお考えは非常に消極的だと思うのです。労働運動に対しまして、こういうことが起るというと、必ず聞く言葉は、日本の労働組合はまだ未熟だという言葉を聞きます。しかし、日本の労働組合もすでに十年たっております。しかも、この十年間に、外国にはない特殊の事情のもとに労働者は団結をして、自分たちの権利と生活を守る戦いをやってきております。むろんその中には失敗もあり、あるいは行き過ぎもあり、後退もありましたが、十年間の労働組合の体験というものは相当貴重な体験であって、私は未熟とは考えていない。ただ未熟なのは何かというと、昔の教育を受けた国民大衆なんです。労働組合の体験がない、経験がない、労働組合のそういう洗礼を受けていない、あるいは民主主義の洗礼を受けていない、そういう国民大衆こそ私は未熟だと思うのです。大衆を相手に私は抗議をしようと思っておりませんが、労働組合が未熟というのじゃなくて、昔の教育を受けた国民が民主主義に対して、労働運動に対して私は未熟だと思うのです。その中で労働組合はいろんな戦いをしなければならぬ、従って、今の日本の一般国民の認識状態では、ストライキをやれば、やった方が悪くなる、無条件に悪くなる、ここに私は問題があると思うのです。そこで、総裁はもっと国鉄の信用を回復するように協力をしてくれと言う。これは裏を返すというと、労働組合は今しばらく何もやらぬでがまんせい、これは幹部はがまんするかもしれないが、しかしながら、組合というものは、幹部がファシズム的な自分一人の考えで押し通すというわけにはいきません。日本の労働者大衆というものは、自分の生活を守るための戦いというものを経験しております。体験をしております。でありますから、労働者が自分たちの生活に不安を感じ、あるいは権利を侵害される、こういう認識ができれば必ず団結して戦います。戦うなと言って理屈を言って訓示をしてみても、そういう体験のできた労働者というものは、それでは無理です。でありますから、こういう十年間成長してきた労働者に対して、この労働運動を解決していこうということになれば、やはり今総裁がおっしゃったような、もう少しがまんしてくれ、——これでは私は騒動が起るたびにだんだん権限が狭められる、そういう危険があると思う。これをどうやったら打開できるか。おそらく労働者がこれを聞いたならば、よし、それならおれたちの力でもって総裁権限を拡大するように一つやろうじゃないか、こう言うに違いないと思うのです。ですから私は、総裁は今の御答弁で、確かにもっと権限を持たしてもらわなければ国鉄の労働問題に対しては非常に困る、こういうお考えがあると思うのです。であるとするならば、労働者を首切るばかりが芸じゃなくて、むしろお互いに協力し合うといいますか、お互いに一つ、この労働問題に関する限りは、国鉄総裁がもっと自由な裁量、自由な裁定を下す、団体交渉も、自由な団体交渉権限を持つ、こういう権限を与えてもらう、そういう方向に向ってもっと積極的に動くべきじゃないかと思うのです。ですから、たとえばやみ給与の問題にしましても、これはやみ給与、やみ給与といいますけれども、今、相澤君も言いましたけれども、これもりっぱに団体交渉によって双方が調印しておるわけなんです。ですから、労働者はこれはもらう権利がある、あなたの方は払う義務があるのだ、これを今度は仲裁裁定云々といって、いわゆる仲裁裁定でもって、レベルを同じにしなさいということを言っておるのですが、レベルを同じにしろということは、これは削れということじゃない、国鉄労働者がこれだけよけい給与もらっておるとするならば、ほかの組合の給与をそこまで上げるように努力すべきなんです。これは国鉄労働組合がそれだけの調印をするについては、血のにじむような努力をもって調印したのですから、それを労働者に相談なく削ってしまって、そうしてゼロにしてしまう、それでは一体その調印をだれがしたんだ、一体どういう経過によってその調停を調印されたのか、これは労働者は納得できませんよ。これもひとえにあなたの労働問題に対する地位というものが非常に薄弱であるということになるのです。これをだんだんせんじ詰めてくるというと、労働組合は、もう国鉄総裁に対して団体交渉をやってもこれはむだだということになる、そうすれば政府を相手に交渉する、政府を相手に戦う、こうなってくれば事態がますます重大化して参ります。でありますから、私の申し上げたいことは、首を切って責める、そういうことをやるということよりも、逆にあなたの労働問題の取扱いに対するところ権限というものを拡大する、この方向に労働者と一緒にそういう努力をすべきじゃないかと思うんです。特に労働者はあなたが直接監督され、使用されておるという言葉はこれはいかぬかもしれませんが、あなたの直轄下である、でありますから、少くとも労働問題に対しては、あなたの権限を拡大して、そうして正常なる団体交渉が実質的にできる、こういう体制を作らなければ、おそらく国鉄の労働争議というものは毎年繰り返されていく、特に今度の場合には、もう国鉄総裁というものは、ほんとうに何といいますか、一つの取次ぎ役みたいなもので、すべては政府の労働政策、その戦略、戦術から出ておることが原因なんです。ですから、そういうことを根本的になくする、こういう努力をあなた方はもう少し積極的にやるべきじゃないか。国鉄の信用を回復することに努力を願いたいということは、私はきわめて消極的であって、ますますこれは事態が混乱してくると思います。そういう点について、もう一ぺんお伺いしておきたい。
  79. 十河信二

    説明員十河信二君) 重ねての御質問でありますが、私は組合不満を持つことにも無理からぬ点も多々あることを承知しております。また私のやり方に幾多間違ったこともあったと私は恐縮いたしております。しかしながら、いかなる場合においても法を無視し、法を破って、国民に迷惑をかけてもいいということは、私は断じて考えません。そういうことをやられるから、国民からいろいろと指弾をせられるのだ、だからそういうことをしないで、そういう点をしばらくがまんしてもらいたいということを私は組合に切望いたしております。私といたしましては、でき得る限り自分の自由の範囲を広げてもらいたいと思って努力はいたしておりますが、今のような状態ではなかなかこのことが困難だと思うのであります。それで、私は繰り返して組合にそういうことを要望いたしたいと考えておる次第であります。はなはだ消極的なようでありますが、それをやらなければ目的を達することができないと私は信じておるものであります。
  80. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はもう多くは申しませんが、非常に重大な御答弁だと思うのです。法に引っかかるから処分をする、それをやらなければ秩序が維持できないというお話がありました。それならば、団体交渉でもって協定をして調印をした、これを守らない、これはどうなんです。これは法律首切りの対象にはならないかもしれない、そういう規定はありませんから……。そういう工合で、一方的に労働者が若干法律に違反するとすぐ首を切る、確かにまたあなたは首を切る権限はあります。ありますが、団体交渉によって調印をした、それを実施をしない、実施ができないという条件はいろいろあるでしょう。あるでしょうが、労働者はそれを関知しませんよ。反抗しても必ずこれはもらう、しかも、やる義務がある、それを履行しない、これはどうなんです。ここなんだ、問題は。ここですよ。これが大事だと思う。あるいは仲裁裁定をやっても実施しない、ここに問題がある。今度は百パーセント実施したと言っておりますけれども、速記録を調べてみますと、運輸大臣は明らかに百パーセントを確認しておりません。ここなんだ。確かに日本の労働協約というものは、あるいは日本の労働法というものは、法律で相当保護されております。あるいは労働協約も日本では法律で保護があります。英国では保護がありません。ありませんが、法律で保護されておるところの日本の労働協約は守られていない、片っ端しから現場に行くというとこわされておる。ところが、法律の保護がない英国の労働協約は、一たん結んだならば、労使とも必ずこれを実施する、そこに大きな違いがあると思う。あなたは法律論でもって、法律を破ったから、これは当然厳罰にするのだ、こうおっしゃる。これはやむを得ぬかもしれません。しれませんが、それならば労働者がそういうことをやらなければならぬような原因ですね、労働協約あるいは協定を無視をされた、こういう問題はどうなんですか。協定をしたものをやらない、これはどうなんですか。たとえばやみ給与の問題はどうなんですか。協定をしておいて、それがだんだん実施されなくなってしまって、一方的に零になってなくなってしまう。協約は守られない。二十三日だってそうです。ちゃんと判こを押しておるにもかかわらず、それをいや、どこの財源から出すのだ、それがまだきまらないからといって、ごちゃごちゃして、非常に不明確な状態でもって二十三日は過ぎておる、こういう責任一体どうなんです。
  81. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は約束をしたことは守って実施してきたと信じております。二十三日のごときは、なるほど朝早く渡せばよかったかもしれぬが、それは渡せなかったが、さっき大倉委員お話の中にもあったように、夕方に渡せたのであります。多少時間のおくれたというようなことはありましたが、お約束をしたことは大体実施をしておる、こう思っております。
  82. 大倉精一

    ○大倉精一君 これも一つこの際申し上げたいと思うのですが、確かに五時にもらいました。夕方にもらった。だからあなたは約束を百パーセント果したとおっしゃるのですが、私はこれは非常な重大な問題だと思う。少くとも二十三日に払うということが調印された。調印されたから労働者は安心しておる。二十三日にもらえるというので安心をして、ちゃんと家庭では奥さんがその金の使い方をそろばんをはじいておる。少くとも二十三日の朝から五時ごろまでの間、労働者に非常に大きな不安を与えておる、これはどうなんですか。果してもらえるかもらえぬかわからぬ。二十三日の五時になってはもらったのです。そういう大きな不安を与えるような事態で、どうして約束を完全に果したと言われますか。労働者はこじきじゃない。金さえやればいいのだという、そんなものじゃありません。ちゃんと約束した正常な状態において払って、労働者が安心して、何の不安もなしに金を受け取る。ところが、二十三日は少くとも大きな不安を与えたことがああいう事態になった、そうお考えになりませんか、いかがでしょう。
  83. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻も申し上げましたように、朝払うことができなかったということは非常に遺憾であります。私はこれはまことに相済まなかったと、自分でそう思っております。しかしながら、きょうじゅうに必ず払うから、どうかかんべんしてくれというふうに私は職員にあやまって、了解を求めるように努力いたして参ったものであります。
  84. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に要望をしておきますが、こういう論議はいつまで繰り返しても切りがありません。ありませんが、どうも私は今の公労法というものが公共企業体の労働者を守るという法律じゃなくて、今実際の問題は取締り法になっておる、そういうような格好にしておいて、労使の円満なる運営とかあるいは正常な慣行という、これは非常に私は矛盾をしておるものじゃないかと思う。そうして労働運動ですから、少しやり行き過ぎもあろう、あるいは後退もあろう、ちょっとそういうことがあったからといって、それにはそれの必ず原因がある、そういうものを考えることなしに、ただ、法律がこうだからといって、きわめて冷酷なむちをもってこれに報いる、こういうことだけでは、私は決してこの労使間の正常化ということはやれないと思います。しかも、今度の首切りの場合は、多分にこれは政府当局の人気取りの面もある。ただいま、いや国民の感情もあるからという答弁もありました。そういう非常に不明確な国民の感情によって首を切られていくということは、これは大へんな問題です。でありますから、私が要望したいことは、やはり労働運動という生き物を取り扱うのでありますから、いわゆる法を振りかざして、そうして冷酷なむちをもってこれに報いて、そうしてびしびしやって何千人の首を切っていく、そうすれば、労働者はしまいにびっくりしてしまって何もやらぬようになるだろう、そういうような考えであったのでは、これは大へんであります。でありますから、約束したものは必ず守る、あなたの方も法律は守る、この処分という問題については、さらに慎重に再検討をして、何らかの方法によって解決する、そういうふうに持っていっていただきたいと思う。これを私は最後に要望しておきます。
  85. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  86. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  これにて休憩といたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後一時三十九分開会
  87. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、国鉄春季闘争に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、午前中から運輸大臣の御出席をお待ちしておったわけでありますが、他の委員会との競合でできなかったので残念でございます。実は午前中に国鉄総裁の御出席を求めて、今次春闘の中における仲裁裁定予算化の問題と、それから処分の問題について、一応お話を、経過を聞いたわけです。そこで私どもが、昨日大臣が、御承知のように参議院の本会議において予算化の件は可決をされたのでありますが、この中で、先ほどの国鉄総裁お話を聞きますというと、国鉄総裁は、公共企業体法に基いての労使の紛争を解決する場合においても限度がある、能力限界があるので、自分としてはどうしてもやりたいと思ってもできない、こういう御発言があったわけでありますが、公共企業体について監督の運輸大臣としては、一体どういうふうにお考えになっておるのか。今までのところでは、どうもやはり公共企業体というものがこういう形でいいのか、あるいはもっと直して、そうして労使の紛争というものをなくする、平和的に解決のできるように、労使慣行樹立のためにどういうふうにやったらいいのか、こういう点について、あなたのお考え一つこの際お尋ねをいたしたいと思うのです。
  89. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私の考えと申しましても、ただ私の考えておることを申し上げても何にもならないので、やはり政治的に実現性のある、実行性のある点を申し上げなければ意味はないと思います。その意味におきまして、国鉄公共企業体としてのあり方は、世間にいろいろな議論はありますけれども、あれだけのものができ上っておるのですから、あれにさらに自主性を与えて、そうしてやはり世間の期待に沿うような運営のできるようにしていきたいと思うのであります。その点から、ただいまお話の、総裁自分たちの力ではできないという意味のうちには、政府から勧告もしくは制約をせられてできないという部分と、その他国鉄自体の企業能力においてできないという部分と、おそらく二つあるだろうと思いますが、政府の勧告もしくはその他で縛ってでかさないという部分は、今日においても全然ないとは申さないのでありますが、それらの点はやはり公共企業体としての国鉄のこれからの成長とともに見合って、一つそういう点は自主的に動けるようにしでやらなきゃならぬ、かように考えております。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の今の御答弁の、公共企業体にさらに自主性を与えるようにしたい、そうして国民大衆からも愛される国鉄として期待に沿うようにしていきたい、そういうお考えは非常にけっこうなことだと思うのですが、現実の問題として、今労使団体交渉を行なっておる。しかし、その団体交渉できまったことは、督監官庁としても当然それを尊重せられるべきであると私ども考えるのでありますが、その点について、大臣はいかような見解を持たれておるか、その点をお尋ねをしておきたいと思います。
  91. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 国鉄当局が労組と団交をする場合には、むろん自分に与えられた権限と、それから国鉄自体の能力とによって団交をすることに違いないと思います。今日まで実際の問題としては、国鉄当局の団交をした結果が、やはりあとから政府が順次認めていくというような形で引きずられてきておって、その間にいろいろなトラブルが起ったことは御承知の通りでありますが、しかしながら、結局においては、まあ最終的に先般の業績手当の問題を見ても、その他の問題を見ても、認めておるわけであります。ただその間に時間的のズレやいろいろあってトラブルが起きておりますが、認めておるわけであります。従って、その団交は、何をしても全部認めるというわけにもこれはいかないだろうと思う。また何をするわけはないのであります。そういう点はおのずからその国鉄当局者の判断を政府は尊重していくという態度は今日もとっており、今後といえどもむろんとらなければならぬと、かように考えております。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 大臣、そこが非常に重要な問題なんですね。何をしてもいいということは、もちろん私ども言っておるわけじゃない。少くとも国鉄労使といえども、これは十分に今までの運動の過程において、あるいは企業経営の中においてやはりこれだけの考え方を持ち、経験を持って今日当っておるわけであります。従って、労使がいかにして完全な、国民の各位の期待にこたえることのできるような国鉄の運営をしていくかということに努力をされておるわけです。そういう中で、国民のために、期待にこたえるための国鉄を作ろうとすれば、従って、いわゆる国鉄総裁としては、従業員に対する問題はこれは無視するわけにいかない。従業員としては、やはり生活条件とか、労働条件というものは当然これは誠意をもって、やはり総裁話し合いの中で、団体交渉の中で結論を出してこれを履行していく、こういうのがやはり実際問題としての現実の処理に当っておると私は思うのです。だからあなたの冒頭に言われた、何をしてもいいなんというようなことは、もちろん国鉄労使双方が良識を持っておる現在の中においては考えておらない、そういうことはあなたも御承知だと思うのです。そこで、良識を持って、お互いにこういうことならばでき得る、このことはお互いにやるべきことである、こういうふうに考え団体交渉で決定せられたことは、あなたの後段に言われた、尊重するという建前が私は確認をされなければならない、こう思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  93. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私は、気持としてはそれを尊重していかなければならぬと、かように考えております。
  94. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、尊重するということは、あなたはもういつの委員会でもおっしゃいますが、本日でもお答えになったわけでありますから、そうなるというと、今までこの労使の中で、仲裁裁定か出されてから、あるいは今次の処分発表の際にもいろいろと論議がかわされておるように、いまだ労使の中で、政府の行うことに対して十分納得のできない場面がある、つまり団体交渉が結論が出ておらないという問題がある、あなたは前々回の委員会で、私の質問に対してお答えになったことは、今次の仲裁裁定についても八〇%しか実は実施がされない。しかし、国民の前には百パーセント実施した。それはなぜかといえば、今までの歴代の内閣が仲裁裁定というものを実施しておらなかった、そういう面からいけば、岸内閣は今までの内閣とは違って、積極的に仲裁裁定実施していくのだ、こういうあなたの御答弁があったはずです。これは会議録にはっきり残っておるわけです。そういたしますというと、まだ解決のついておらない問題について、これは当然団交によって解決をさせるという方向に私どもはいくべきである、こう考えておるわけですが、その点については、あなたはいかにお考えになりますか。
  95. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私があのとき、あなたにお答えしたのは、私どもとしてはこれは百パーセント実施しておると思う。しかし、あなた方からごらんになっても、これだけ政府実施しておれば少くとも八〇%は実施しておるとお思いになるでしょうと、こういうわけでお話し申し上げたので、私は、まあ内輪の話を申し上げますと、補正予算を組みますときに、いろいろな経過をもって最終的な決定に至ったときに、私はこれだけのことをすれば、仲裁裁定の本旨にも、ほんとうに精神に沿っておる、言葉の末のいろいろな疑問は別として、ほんとうにこれは精神にかなっておるし、政府としても今日までこれだけの実施をやった例はないようだから、これだけのことをやれば、私が十五日の——十六日の前日のときに国鉄総裁に向って、参考として私の意見を述べた、仲裁裁定が出たならば実施するということに、食い違いがない、こう考えて、私はあれでよろしい、こう思ったわけであります。
  96. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、今あなたの答弁の中にもこれは率直に現われておるように、私たちも、岸内閣が少くとも仲裁裁定を尊重するという方針をとったということは非常にいいことだと言っているのですよ。しかし、少くとも仲裁裁定を尊重をし、予算化をしていくという場合には、やはり労働組合人たちが汗みどろになって日常働いておることを、団体交渉によってきめたことは、やはり尊重せられなければいけない、そうでなければ、政府の方では国会を持ち、あるいは政府権力を持っておるから、自分の思ったことはどんどん言えるけれども、一人々々の働いておる者は、そういう団体交渉によってきめられたことを守ってもらわないことには、これは自分の言うことをどこでやってもらえるかということになるわけです。その点については、あなたの言われるように、仲裁裁定を尊重する、そうして裁定実施する、裁定実施するということは、裁定か完全実施してもらう、こういうことを労働組合が期待をし、またその通りあなた方にお願いするのは当然のことがと私は思うのです。だから、そういう点から見ると、大臣の言われた、ほんとうの話だ、あるいはまあ内幕のことをいえば、こういうお話であるが、実際には私は八〇%しか実施ができなかった。こういう大臣の苦衷というものはよくわかるわけです。わかるけれども、それだけに、私はそういう立場にあればなおさら、労働組合にやはり理解を求め、協力を求めることが大事なことじゃないか、監督官庁責任者として、国鉄総裁に対してこういう事情であるから、十分納得せしめ、理解をせしめるという努力を私はあなたが払っておったかどうか、こういう点について、団体交渉がまだ残されておるのに、そういう点が努力されておらないと思うのだが、その点はあなたはいかがですか。
  97. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私の努力が問題になると別ですが、私は一生懸命努力したつもりでありますが、しかし、今度の仲裁裁定を五百二十円というものを実施したとすれば全部になるわけでありますけれども、しかし、それは実際問題として、あのときに、これは新聞紙上に現われたなんですが、労組側でさえ、四百五十円ならそれでいいという公式のような声明を発表しておる。それが五百二十円にならなければ完全実施にならないというようなことは私は考えられないことで、今度の政府の措置を、完全に実施したものでない、どこまでも八〇%だというわけに私はいかないのじゃないかと、こう思っておる。私は心持からそう思っております。
  98. 相澤重明

    相澤重明君 しかし、大臣もたまにはやはり労働組合とよくお話し合いをしてみたらいいと思うのですよ。あなたが国会だけの答弁で、その場だけ答弁してしまえばあとはいいということでなくて、実際にやはり国民に愛される鉄道を作るためには、あなたはそういう立場で謙虚な気持で私は当ってもらいたいと思うのです。そういう理解がやはり国鉄総裁なり、あなたの方にないと、これは労働組合では団体交渉をやってまとまったことが、実際に完全に実施できない、あるいはまだ裁定についても団体交渉で残されておる、こういうときに、政府はもう千二百円の予算化でもって、今までのことは御破算にしてしまって、これでいいのだという形では、これは労働組合は納得できない。そういう点について、あなたは団体交渉の相手でないから、そういうことも直接には言えないけれども、むしろ私は積極的にそういう面についてあなたが努力されることを期待したいわけです。そこで大臣、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。仲裁裁定はあなたの方ではそういうふうなことで大みえを切ってしまうんだけれども、私の方としては、今申し上げたように、不十分である、いま少し努力をされたかった、そうすれば労組のこういうような、いわゆる実力行使というような問題も起きなかったと、こう思うのですが、そこで、あなたの方で春闘実力行使をやったから処分をして首切りをする、首切りをしたから労働組合はこれに対するところの抗議をする、こういうようなことが現実の問題として——労働者は首を切られればこれは怒るのは当りまえだと思うのです。あなただって大臣として無理に首を切られたら、これはやはり理屈を言うだろうと思う。そこで、そういう点について、今の国鉄労働組合立場なり、あるいは労働者のそういう問題について、今後どうしたら正常化した労使慣行樹立することができるか、こういう点についてどういうお考えを持っておるか、御回答を一ついただきたいと思うのです。
  99. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいまのような、政府処分すれば抗議実力行使をやる、またそれに処分をする、また実力行使をやるということが続いていったら大へんなことになる。それはお説の通りと思います。しかし、私は、国鉄当局者と労組との間には、この国鉄の今日持っておる重要な役目から考えて、そのようなことには立ち至らないで、お互いに良識を持ってこの問題は解決されると信じております。
  100. 柴谷要

    ○柴谷要君 相澤委員の質問に対して、関連で少しお伺いしたいと思うのです。午前中、総裁にいろいろお尋ねをしたのでありますが、総裁は、今回とられた政府の処置に対しては、不満という御発言ではなかったけれども、ある程度、国鉄運営に当って今日までとってきたことよりも窮屈になったということを再三にわたって言われておるようであります。私どもも確かに国鉄の今後の運営については非常に窮屈になってきた、こういうふうに思うわけであります。その窮屈にした理由を、政府は過激な労働運動をやるからという名目のもとに、国鉄の経理等について金縛りをかけてきたと思うのですが、これは私は、政府の態度として誤まりじゃないか。労働問題はやはり労働問題として解決をつけるべきであって、国鉄運営の妙味を今日まで与えてやっておったものに金縛りをかけてくるなんというのは、的をはずれたところの、政府のいやがらせの処置だと私は思う。これはいろいろの角度から見ると、いろいろの意見かあろうと思うけれども、これは労働問題にこじつけて、国鉄の経理というものを金縛りにしてきた、こういうふうに思う。でありますから、これは労働問題にうまく引っかけてきたなと、こういうふうにしか私ども考えられませんが、運輸大臣は果してそのような見解のもとに、そういうようなことをおやりになられたか、この点を一つ明らかにしていただきたい。
  101. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) これは、私がこんなことを言うのは、はなはだ失礼ですが、物事はやはり両方の立場から見ていかなければならぬと思うのでありまして、その意味からいいますと、やはり国鉄当局者と労組の団交その他今日まで給与の問題も、それはやはり一面から見れば少し行き過ぎたところがあるのじゃないかというところもあるので、また政府の側としましても、その標準を示すためには、予算総額のうちでもって基準外と基準内というようなものでも設けたならば、そういうことが是正されるということになりはしないかという気持も、なるほどあったかもしれないと思うのであります。しかし、お話しの通り、それをもって労使の問題に一つワクをはめるということはよくないと思います。私はこれらの問題を初め、その他、たとえば三十二年度において相当に予算ワクにおいて、一応国鉄が窮屈になったという点もありますけれども、これは一応そういうところには来ましたが、これは漸次その道をゆるめて国鉄の自主的な自由な働きができるように、これからもまた解いていかなければならぬのじゃないか、そういう気持に今あるわけでありまして、これは私が在任する期間と、私の力とによって変ってきますが、私はそういう気持でやはりこれは漸次その点は是正してやらなければならない、こういうふうに考えております。
  102. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣の御決意を承わって、その点はある程度了解したいと思うのですが、後段の、大臣が今言われましたように、一応やってきたもののこれでは国鉄の運営が将来うまくない、こうお考えになってこれを緩和する、また元に戻すという努力をやはりあなたの任期中にやりませんと、あなたが在任中に国鉄に残されたものは何かといえば、経理上金縛りにかけて、それであなたはおやめになったということで、悪名こそ国鉄の中に残っても、決してあなたの業績は残らないと思いますので、これはあなたの在任中に元に還元するという努力一つ願いたいと思います。それにつけ加えて、いろいろ政府は今日国会を通じて、あるいは国鉄当局を通じて組合に伝えられておりますように、組合が違法行為を行なったから処分をしたということになっております。そこで、私どもは、このようなイタチごっこをいつまでもやるべきではなくして、運輸大臣一つここでを腹きめて、処分というものをやらなかったら組合はどういう態度で出てくるか、一ぺん腹をきめてみるようなお考えを持っておられるか。いつまでたっても処分する、闘争する、処分をする、こういうことをやっていたのでは、私はやはり正常な運営というものはできないと思う。いずれは、いずれかが譲歩することによって問題は解決すると思う。それにはやはり権力を握って、この権力を振り回しておる方から一つ後退をして、処分などはしない、こういう態度を打ち出してくれば、やはり組合の方もそのような態度に漸次変ってくると思うのだが、そういう考えがあるかどうか、大臣見解一つお尋ねいたします。
  103. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 今日の場合、そういう御質問をいただいて、私が御期待に沿うような返答ができるかどうか、これは一つ国鉄当局者もあり他の公社もあり、また私が監督者としての立場もあり、これらの事柄は、一つすべて今後の成り行きを見ていただくことをお願いするよりないと思います。
  104. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣、そのようなお考えでは問題は解決しないと思うのです。国鉄労使間に今このような対立感情、深い対立感情ができているのだから、この第三者である監督の立場にあります大臣は、中に割って入ってこれの問題を処理するといういわば立場にある人なんだ、あなたがほんとうに腹を据えて、たとえば今問題になっているようなことを、よし、おれが大臣責任においてある程度やる、しかし、この程度はがまんをせいというところまであなたが腹を据えてやられるならば、あなた以外に私はないと思う。いかに岸さんが直接出られたって、岸さんのことじゃ問題にならぬと思う。やはり適任者は運輸大臣以外にないと思うのだが、その決意がおありになるかどうか、あなたの決意によって問題は好転していくし、あなたがそのような逃げ口上でおったのでは、これはますます労使間の対立というものは激しくなっていき、将来取り返しのつかないことになると思う。今、国鉄の実態は、処分ぐらいされたってこわくないという感情に全員がなったときに、私は恐るべき問題が発生すると思うので、この緊急の事態に、大臣が腹を据えて中に割って入るだけの見解をお持ちになっていただきたいと思う。再度重ねてこの点を一つお尋ねいたします。
  105. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 私はもうはなはだなんで、ほかに取り柄も何もありませんけれども、逃げ口上を言ったり、逃げたりだけはいたさないつもりで、問題の中に幾らでも取っ組んでいくつもりでおりますので、その点は一つ御了承願います。
  106. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 委員長、ちょっと速記をとめて下さい。
  107. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  108. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記つけて。  モーターボート競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  109. 柴谷要

    ○柴谷要君 局長にちょっと一件だけお尋ねしておきたいと思う。この競艇制度の改善に関する要望というものが強く施行者側から出ておるのですが、開催日時等の短縮をお考えになっておられるかどうか。特にこの点はつけ加えて申し上げておきますが、開催日時の短縮ということには、施行者側が非常に反対しているようです。それで大体月八日間、あるいは八日、九日、十日、十一日、十二日というような開催日時によって、収益等に非常なアンバランスが出るというようなことで、施行者側が強く要望しておるようですが、この点についてどのようなお考えをお持ちになっておるか、それをお聞かせ願いたい。
  110. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) ただいま御質問がありました開催日時の問題でございますが、現在のところ一つの競走場に一つの施行毒が開催をいたします場合には、月十二日までを認めております。と申しますのは、実は競輪等に比較いたしまして若干日数が多いわけでございまするが、何しろこのモーターボートの収益というものが、比較的競輪等に比しまして低い、低いために施行者側に対する財政的な寄与の面が少いということで、まあ十二日という程度をとっておるわけでございまするが、将来とも著しく改善されないというような状態か続く限り、十二日という日は私どもは通していきたいと思っております。しかし、それに伴いましていろいろ弊害等もかりに起きました場合には、また考えなければならぬと思いますが、とりあえずのところは十二日を変える意思は持っておりません。
  111. 松浦清一

    ○松浦清一君 あまりモーターボート競走そのものの内容が詳しくわかりませんので、質問も当を得ないかもしれませんが、競走が実施されるときに車券を売ったりなんか、臨時に雇われていく人がだいぶ多いようなんですが、そういう人たちはどういうところが雇用して、どういうような状況になっておりますか、お知らせ願いたい。
  112. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 車券等を発売いたしましたり、競走場のいろいろの保安関係仕事をやります人は、その競走場を所有しております施行者がそういう人の準備をいたしております。御承知のように、このモーターボート競走は、年間または月間を通じて行うわけにはいきませんので、ただいま申しましたように、最大一つの競走場で十二日というような条件でございます。従いまして、これらの従業員を常時雇っておくというわけにはいきませんので、地方の施行者が臨時雇というような名義で、競走が行われますたびにそれを雇うというような形をとっております。この臨時雇の数でございまするが、競走場によりましていろいろございます。少い所で二百前後、多い所で五百をこえているというような状況でございます。しかも、これらの雇用につきましては、一つの県で二つまたは三つ等の競走場のありますときには、それらの人をなるべく相互に融通をして使うというようにいたしまして、雇用の日数が極力増大するように施行者同士で話し合いをいたしておるようでございます。
  113. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうしますと、大体一ヵ月に日当のもらえる日は十二日ぐらいですか。
  114. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 一つの競走場で開催が十二日ございますから、一つの競走場については十二日は確保されておるわけであります。それ以外に、先ほど申しましたように、他の競走場に応援に行く、まあ応援に行くと申しまするか、雇われていくというような人もあると思いまするから、中にはそれ以上の稼働の日数になる方もあると思います。
  115. 松浦清一

    ○松浦清一君 大体平均にして月十五日くらいだという話なんですが、そのくらいになりますか。
  116. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) そのくらいにはなると思います。
  117. 松浦清一

    ○松浦清一君 日当はどれくらいですか。
  118. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 最近の実情をよく存じておりませんが、日当は二百円か二百円を少し上回る程度だと思います。おもに女子がこれに従事いたしております。もちろん競走場等が、競走が大いに売り上げがあったというようなときに、特別にボーナス的な意味の大入袋等を出しております。もちろんそれらは毎月の収入という公けの記録にはなっておりません。
  119. 松浦清一

    ○松浦清一君 私も聞いたばかりなんですが、関西の方では日雇労働保険に入って、休んでおるときには日雇失業保険ですか、それをもらっておる。関東の日雇にはそれがない。こういうことですが、そういうことになっておりますか。
  120. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 関西地方の実情につきましては、まことに申しわけない話でございまするが、実は詳しい実情を存じ上げておりません。このほかに従事員といたしまして、たとえばモーターボートの整備等をいたす人もあるわけでございます。それらの人につきましては、男で約二万円から、それ以上の月給になっておるようでございます。また女の方で特殊の技能を持っておる方は、月に約八千円見当の収入になっておるようでございます。先ほど申し上げましたように、臨時に雇われて船券の売り上げ等に従事する人の毎月の手取りは、月十五日稼働といたしまして三千四、五百円から多い人で四千円くらいになるのではないか、こういうふうに存じております。
  121. 松浦清一

    ○松浦清一君 そういう月に三千円、三千五百円という低賃金というか、それで働いておる女の人というのは、このモーターボート関係だけで全国何人くらいおりますか。
  122. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 臨時雇といたしまして、全国で約八千人余りでございます。
  123. 松浦清一

    ○松浦清一君 八千人という数は相当大量の人員ですが、こういう人たちが月に三千円や三千五百円で働いておるということは非常に低賃金、十五日働くがあとは何をしておるか知りませんが、そういう状態にありまするから、これらの人たちの給与の問題、それから全体的な福利厚生等の問題について、あなた方の方から行政指導的な立場から施行者に対して警告をするとか、注意をするとか、指導をするとか、そういうようなことはできますね。
  124. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 今回の法の改正におきまして、競走会の経理等も十分調査をいたしたいと思っております。従いまして、現在においても、競走会で相当剰余金がありました場合は、施行者でやります。仕事の一部を競走会が分担するというようなことをいたしまして、実質的に施行者側の経費を軽減するような措置をやっております。従いまして、今後私どもの方といたしましては、できる限り競走会におきますむだな経費を省きまして、施行者の実質的な手取りを多くしたい。それに伴いまして、先ほどお話がございましたような、この競走に従事する人の待遇の問題も改善をするように行政指導をいたしていきたい、こう考えております。
  125. 松浦清一

    ○松浦清一君 関西競走組合連合会、兵庫競走労働組合、大阪住の江競艇労働組合、この三つの団体から、モーターボート競走法の審議されるこの機会に、競艇に従事する従事員の身分について検討し、その雇用、給与、福利、厚生等の待遇に関し改善の方途を講ずること、こういうようなことを話し合いをしてくれと、こういう請願が来ておるのです。こういう趣旨に対しては肯定をなさいますか。もっともだと肯定なさいますか。
  126. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) お話組合要求につきまして、私ども、さらに今後詳細に全国の同じ種類の従事員の実際の収入または労働条件等を調べまして、できる限り不公平のないように、また改善になるように努力いたしたい、こう考えております。
  127. 市川房枝

    ○市川房枝君 前の委員会ですでにお話が出たかもしれませんけれども、このモーターボート競走法の一部を改正する法律案の提案理由説明を拝見いたしますると、このモーターボート競走は類似競技の競馬、競輪と同様に、射幸業務として社会的に悪影響を及ぼすおそれがありますので、こう出ておりますが、そのおそれがあるというのと悪影響があるというのとはちょっと違うように思うのですが、政府当局はその点をどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  128. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 御承知のように、モーターボート競走は、海上におきましてモーターボートの非常に爽快なレースを行うわけでございます。従いまして、人によりましてはこのモーターボートを見ることによって非常に何といいますか、気分がよろしいという方もあるのです。しかし、中にはモーターボートに非常にこり固まりまして、いろいろの家財をそれにつぎ込むというようなことになりますと、これは非常に悪い影響があると思うわけでございます。従いまして、私どもの方はなるべくそういうようなモーターボートの悪い面にふけることが少いように、なるべくモーターボート競走自体を一つの公平なスポーツ化しよう、また見る人がモーターボートの弊害をだんだん少くするような雰囲気を作っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。従いまして場合によりましてはそういうようなおそれがあり、弊害を生ずるおそれもある場合もあると、こう考えております。
  129. 市川房枝

    ○市川房枝君 今のお説ですと、悪影響を及ぼしていることをお認めになっているように聞えたのですが、私どもは、婦人側といいますか、ああいう競走に行っておる人たちの家庭の側から見ますると、まあ競輪、競馬あるいはこのモーターボートといいますか、こういうことのために、ずいぶん家庭争議といいますか、家庭で困っている、いわゆる民間の身の上相談所、あるいは東京あたりでも区でこしらえております身の上相談所、あるいは家庭裁判所なんかにそういう事件が相当持ち込まれておるのでございます。これは私の友だちがやっておりまする渋谷区のに相談所でもその類似の件が相当ありまして、毎日主人がこって仕事をしない、家族の者、子供たちもそのために非常に困っておる、奥さんが内職をやってかろうじてやっておりますが、その内職の品物まで持ち出してしまつて、こっておる、それで離婚の問題が起っておるというようなケースが相当あるのでありますが、そういう弊害というもの、これは私どもはオートレースあるいは競輪、競馬と多少違うようですけれども、どれが一番その弊害が多いのかということがわからないのですけれども当局の方としてはどうですか。その弊害は一体どのくらい弊害があるということをお調べになったことがございましょうか。
  130. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 御承知のように射幸業務といたしましては、競馬、競輪、モーターボートそれからオートレースとあるわけでございます。競馬はずいぶん以前から行われておりまして、私ども子供のころには、やはり競馬で財産をすったということもたびたび聞いたこともございます。戦後モーターボート、競輪やオートレース等が開催されまして、戦後の混乱の時代には、いわゆる一獲千金を夢みるというような人が相当ございまして、競輪等に大金をつぎ込んで、一攫千金どころか、自分の身も滅ぼすというようなケースが非常に多かったように思います。その当時におきまして、モーターボート等にも若干こういうような例も聞いてはおりますけれども、競輪ほどその弊害がはなはだしくないと、自分たち仕事でございまするから、ある程度は自負をいたしておるわけでございますが、とにかくそういうような一時は非常に悪い弊害もございましたが、最近におきまして、経済状態もある程度安定をいたしております。また一般の方々気持というものも戦後のああいうすさんだ気持とはだいぶかけ離れております。従いまして、こういうような射幸競技等の車券を買い、また船券を買われた人の気持というものも、以前とはだいぶなごやかな気持になりつつあるようでございます。従いまして、私どもは今後とも、先ほど申しましたように、このモーターボートの競走は競輪と違いまして、やはり一つの機械のよしあし、船のよしあしを楽しむという、競輪には見られない一つの特殊性があるわけでございます。競輪でございますと、自転車に人が乗りまして一生懸念走らせるというわけでございますが、モーターボートとおきましては、ボートがいろいろの水の状態におきまして波を切って進む、風浪の高いときにはそれがひっくり返るというような問題もございます。またエンジンの調子等におきましても、なれて参りますると、あのエンジンの調子は非常にいい悪いというような判定等もございまして、買う人々にも相当モーターボート競走自体にも興味が出てくるわけでございます。そういうようなわけで、若干競輪とは趣きが違いまして、なるべく私どもはそういうような射幸性を少くして、モーターボートを健全な一つのスポーツ、もちろん船券等を発売いたしまするから、スポーツとはあえて申しませんけれども、なるべくスポーツのようなものに近づけていきたい、またそういうことによりまして、国民が船に、また海に対する関心が高まる、また技術に対する関心が深まるのではなかろうか、実際どのくらいの弊害が起きましたか、詳しい資料は持っておりませんが、私どもといたしまして、そういうようになるべく弊害の少いようにいたしたいと考えております。
  131. 市川房枝

    ○市川房枝君 今申し上げました提案の理由に、悪影響をさらに縮減するため競走の内容も健全化していく、その縮減ということをうたっておるのでありますが、今度の改正法は幾らか前よりは射幸性を少くするということがねらいの一つで、その点はいいとは思うのですけれども、私ども立場からはやはりこういう射幸性はどうも賛成できにくいといいますか、そのために、さっき申しましたような弊害を与えておるということ、そういうマイナスに対してこの法律が、モーターボート競走をすることによって社会的にどれだけのプラスがあるか、そのプラスとマイナスを比較した場合に、私ども、どうもマイナスの方が大きいというふうな考え方といいますかをするわけなんでありますが、少くとも政府当局としては、私はこういう競走法を国として許していくとする場合に、弊害がどの程度あるか、はっきりしないというお話でしたけれども、やはりどの程度の弊害があるのか、あるいは私どもは一番心配しておる家庭に及ぼす影響がどの程度かということを、何らかの方法によって、絶えず私は調査していただき、はっきりした数字的な結果を得るということはむずかしいかもしれませんけれども、しかし、それによってこの法律の将来の問題といいますかも、これは運輸大臣も、衆議院のときの速記録を拝見しますると、少し様子を見ると、望ましくないけれども、様子を見るのだというようなお言葉が出ておるようでありますけれども、この機会に運輸当局に対して、私はそういう数字を一つ出していただいて、あと適当なときに一つ見せていただくようにお願いしたいと思っております。
  132. 松浦清一

    ○松浦清一君 もう質疑、討論を省略して、直ちに採決に入られんことの動議を提出します。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  133. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。モーターボート競走法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議によおける口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     江藤  智  木島 虎藏     三木與吉郎  石原幹市郎     武藤 常介  成田 一郎     平島 敏夫  堀木 鎌三     高良 とみ  森田 義衞
  137. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  138. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  これより請願の審査に入ります。  速記をとめて下さい。    午後二時四十七分速記中止    —————・—————    午後三時三十四分速記開始
  139. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは速記を始めて下さい。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十五分散会