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政府委員(
粟澤一男君) 最初の御質問の技術的な問題につきましては、たまたま担当の検査官がおりませんので、私ちょっと技術的に御納得いくような御
説明ができないかと思いますが、実はこの問題は非常に技術的にむずかしい問題でございまして、単純に、船が何人の人を乗せて、あるいは貨物を乗せて沈むか沈まないかというふうな問題ではないのでございまして、大体許容容積と申しますか、たとえば船室におきましては一人が〇・三平方メートルといったような面積も
考えます。あるいは
旅客としては通路の問題もございます。それから船の積載し得る救命設備の問題もございます。それから船がかしいだ場合に、どの
程度まで復元性を持ち得るか、元へ戻り得るかという船の強さの問題もございます。構造の点から
考え、あるいは船の大きさの点から
考え、あるいは船の重量の点から
考え、あらゆる面から検討いたしまして、大体この船としてはどの
程度までの許容量かという点から定めるわけでございます。先ほ
ども申しましたように、いろいろな場合を想定してきめますので、たとえば湖のような所で、非常に静かな風も何もない場合に乗せ得る人間の数、それから海上の波のある場合、あるいは潮流のある場合、あるいは相当そこに風が吹いた場合、いろいろな場合を
考えますと、そこにおのずから
定員の差ができることは常識でもわかるわけでございます。従いまして、どの
程度をもって当該船の
定員とするかということは、非常に困難なむずかしい問題でございます。しかし、その場合に、運輸省といたしましては、できるだけの安全度を
考えまして、これならば当該の船が、たとえば三時間以上も航行してもその間に予想し得る事態には対処できるだろうというふうなところまで
考えまして、算定して
数字を出すわけでございます。従いまして、そういう予想したような天候その他の
状況が起らない場合には、相当の数
定員を超過した人間を乗せましても、実際問題としては安全に目的地へ到達するということはあり得るわけでございます。またふだんには、確かにこれは安全に行き得るわけであります。そこで問題は、
事業者としては、一年のうちにあるかないかわからないような天候その他のことを
考えた
乗客で一年中を縛られているという点については、非常に苦痛を感ずるであろうことは、私
どもも予想できるのであります。従いまして、季節によりまして、そういう心配のない季節には、ある
程度まで許容数を出すということも
考えられます。あるいはまた
航路によりまして、そういう考慮のできるということも
考えられるわけでございます。しかしながら、今度の場合におきますように、
定員の三倍も乗せるということは、どう
考えましても、安全度をはるかにこえておるのではないかと、私
どもも
考えるわけでありまして、技術的に算定いたしまして、どの
程度になるかちょっと申し上げかねますが、おそらくそういうことを
考えましても、二倍というふうな
数字は出てこないのではないかというような気がいたします。それから最後の御質問の船におきまして、
国鉄では
数字を出しておりますが、どの
程度一体
定員超過というものが
数字的に出ておるかという点につきましては、申しわけございませんが、私
どもただいまその
数字を持っておりません。簡単でございますが……。