運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-29 第26回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)    午前十時四十二開会   —————————————   委員の異動 本日委員田中啓一君辞任につき、その 補欠として平島敏夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智者            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            後藤 義隆君            成田 一郎君            平島 敏夫君            横川 信夫君            最上 英子君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            加賀山之雄君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    行政管理政務次    官       楠美 省吾君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     藤井松太郎君    日本国有鉄道常    務理事     並木  裕君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道経    理局長     久保 亀夫君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○港湾法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  3. 中村正雄

    中村正雄君 総裁一つお尋ねしたいのですが、国鉄要員の確保につきまして、例年、国鉄として本社採用するものと各地方監理局採用するものと分けてやっておりますが、来年度採用について、特に大学卒業者については、地方局採用をやめて本社一本で採用するように方針が変ったと聞いているのですが、この点はどうです。
  4. 十河信二

    説明員十河信二君) 私、就任以来、学閥打破ということをやりたい、学閥打破をするのには一体どういうことをしたらいいかということをいろいろ検討いたしております。ただいまお話のように、新しい大学卒業生採用するに際して、本社採用局採用というものがあって、それはどうも長くいつまでもその差別がこびりついて容易にとれない、これでは、職員をして希望を持って愉快に働かせることができないだろうと考えまして、そういうふうな二本建の採用をやめて一本建にしたらどうだろうか、そういうふうに一つやってみたい、こう思っておる次第です。なお、学閥打破につきましては、職員のうちで、甲の学校を出ておる者を乙の学校研究生に入れる、あるいは学歴のない者で相当職歴を持って鉄道経験を積んだ者を新しく大学研究室へ入れてもらう、あるいは民間研究機関に特に頼んで研究生として手伝わしてもらうというふうなことをして、できるだけあちこちに交錯研究をさせるような機会を作って、学閥というようなものを頭から払拭させるようにいたしたい、そういう方面にも努力をしておる次第でございます。
  5. 中村正雄

    中村正雄君 総裁考え方としての学閥打破ということは、これは、私たちも多年考えていることで、大賛成ですが、地方局採用をやめて本社採用一本にするということで、学閥打破ができるというふうには考えられないのですが、本社採用一本にすれば、そういうことがなぜ可能なのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  6. 十河信二

    説明員十河信二君) 本社におきまして採用試験をいたします際に、各大学の、いろいろな違った学校経験を持っておられる有識者に試験官になってもらいまして、そこで試験をいたしておるのであります。今までずっとそういうふうにやっておりますが、地方採用本社採用と、二つありますと、本社採用で、まあたまたま採用にならなかった人たちが、また局の方へ行って地方試験を受ける、そこで、どうも一段格が落ちるということを、採用する方でも考え採用された方でも考える、これが何か一つ差別待遇観念に結びつきまして、それがおもしろくない、そういう観念も、これは学閥ではないかもしれませんが、一つの何か平等観念の障害になるように思いまして、そういうことを取り除こう、一切の差別観念、一切の閥観念を払拭したいというのが私の趣旨であります。
  7. 中村正雄

    中村正雄君 総裁のお考えを聞きますと、一応もっともな点もあるわけですが、実際国鉄内部の人事に立ち至って検討しました場合に、問題になっておりまする学閥等の問題は、本社採用地方採用対立ということではなくして、私は、官学と私学の対立であり、官学の中の特定の大学とその他の大学対立、こんなことが学閥の根本になっておると思うのです。地方採用をやめることによって、本社一本の採用にすれば、やはり応募する人、そういう人もおのずから限定される。従って、かえって東京の大学中心採用になる懸念が私はなしとしないと思うのです。それと、もう一つは、各地方々々の大学においてはそれぞれの特殊性を持っておる。そういう関係で、やはり総裁のお考えになっておる学閥打破考えとは、今度の採用方式は変っているんじゃないか。私は、学閥打破のためには、もっと違う面において力を入れるべき点があるのであって、新規採用の面については、やはり地方地方実情に応じて地方大学卒業生も入れるということの方がいいじゃないかと思うのですが、これにつきまして、本年度は済んでいるわけでありますが、来年度以降、今の方針を堅持される意志なのか、やはり実情によっては、従前通り大学卒業生地方局採用を認めるというふうに考え直す意思があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  8. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は、決して固定した考えをもって臨む考えはありません。初めに申し上げましたように、こういうふうなこともやってみたならば、幾分か閥の解消になりはしないかと、そう考えて試みにそういう制度をやってみたいということで始めたんです。各学校に対しましては、それぞれいろいろな機会に、どうか自分の方はこういう方針でやっておるのだから、試験官も各方面から、官学、私学いろいろの方面から試験官をお願いして試験をしてもらう、どうかできるだけ優秀な卒業生を多量によこしてもらいたいということを、あらゆる機会にお願いいたしております。このやり方が悪ければ私は改めるに決してやぶさかでない、決して私は固定した思想をもって、どうしてもこれをやらなけりゃならぬという考えでやっておるのではないのでありますから、これはお説の通り、そういう何かあればまた考えたいと存じております。
  9. 中村正雄

    中村正雄君 各地方の話を聞いてみましても、総裁のお考え方とは違って、相当各地方々々で不満が出ておると思いますので、そういう点も十分御勘案になって、来年度からは一つ改めていただきたいということを要望しまして、この問題は打ち切って、次の問題に入りたいと思います。  この前の総括質問のときにお尋ねしまして、どうも副総裁常務理事との間で、私が受けました答弁感じでは、食い違いがあったような感じがしますので、総裁にお尋ねしたいわけですが、五カ年計画によりますると、相当車両新造をやるわけですが、これがほとんどが民間車両会社に注文なさっておる。ところが、国鉄には御承知のように直営工場がたくさんあります。この国鉄車両の今後の方針として、修繕方式より新造方式、こういうふうに重点を移しました関係上、現在の鉄道工場の中では、設備なり人がだんだん余ってくる、こういう傾向が見受けられると思うのです。本年度は、貨車の面につきましては、国鉄直営工場である程度やっておる、私の聞いておるところによりますと、それも相当成績を上げておる、こういうふうに聞いておるわけです。従って、現在の国鉄自体工場設備人員、この範囲内におきまして、修繕だけでは設備人員が余るならば、そこに対しまして新たな、貨車だけではなくして、客車新造もやらすようにもっていかれたらどうか、こう思うのですが、これに対しまして総裁の御見解を承わりたいと思います。
  10. 十河信二

    説明員十河信二君) これは大体、国鉄工場修繕を主とする工場であります。修繕を主とするところに新造車を入れますと、新造車の方が、どうも新しいものを作る方がおもしろいと見えて、どうもそちらの方に傾いて、修繕がとかくおろそかになりがちであります。そこで、昔から国鉄でいろいろとやって参りましたが、結局、国鉄工場は、修繕をする工場であるというふうに持っていくことが一番いいということになっております。最近は、今お話通り輸送力が非常に逼迫いたしまして、急速に貨車を作らなければならぬというふうな事情に迫られて、やむを得ず新造車修繕工場で作らせることにいたしまして、それはお話しの通り相当成績を上げておりますが、大体において、建前としてはどうしてもそういくことが修繕の完璧を期するゆえんではないか、こう考えております。そういうふうにしたいと思っております。
  11. 中村正雄

    中村正雄君 私も、国鉄工場の基本の使命は車両及び動力車修繕という点は十分わかるわけです。しかし、修繕をやることが重点ではありますけれども、現在の設備ではやはり新造もできる設備を持っておるわけなんです。人も持っておるわけですが、修繕だけで現在の設備人員手一ぱいであれば、これに対して、民間に発注しておる新造を直接ここでやれとは申しませんが、現在の国鉄貨車なり、客車方針が、だんだん修繕方式から新造方式に変っていっておる、そうなりますと、現在の工場設備人員では、修繕だけでは設備も余れば人も余る、こういう面が出てくるのじゃないかと思うのです。そういう面があれば、やっぱり遊休設備を活用するという面で、修繕をして余る設備なり人員は、新造の方に活用したらどうか、これがやはり国鉄経営の面からもプラスになるのじゃないか、この方針をお伺いしておるわけなんです。
  12. 十河信二

    説明員十河信二君) 施設人員等でいろいろ繁閑がありますから、ひまな所は忙しい方へ転換する、またそういうふうなことで、やはり方針といたしましては、修繕工場方針をずっと貫いていきたい、そこで余った機械は他に転用するとか、あるいは人も検事係の方へ回すとかいうふうなことをやっていきたい、急激にそうすることはできないかと思いまして、それで一部新造をやったり何かして、漸次そういうふうにしていきたいと、こう考えておる次第であります。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますとですね、設備人員が余った場合は、これはほかの方に転用して、工場は縮小する、こういうふうにお考えなんですか。
  14. 十河信二

    説明員十河信二君) 大体余る所は縮小をいたしますが、今、動力の変更をやりますので、蒸気機関車修繕が、大体電気機関車あるいはディーゼル機関車になるといったような関係があります。そこのところは工場をいろいろ設備をかえるとか、あるいは人も入れかえるとかいうふうないろんなことがありますから、今のところは、どれだけ縮小できるか、それはわかりませんですが、漸次そういうふうな動力車の転換に応じてそれに適当するように配置をしたい、また工場仕事が、いろんな仕事、種々雑多な仕事をしておるといたしますると、設備においても、人間の面においても、いろんな不合理、不経済な点が出て参りまするから、工場をできるだけ電気機関車修繕工場電気機関車修繕工場ディーゼルカー修繕工場ディーゼルカー修繕工場というふうに、だんだん仕事を専門的に分けていく、そういうことを今漸次やっていこうと思って計画をいたしております。そういう方向に進めていきたいと思っております。
  15. 中村正雄

    中村正雄君 鉄道工場修理中心にやる、そうしてまあそれで余裕があった場合は、本年度のように貨車の生産もやり、新造もやる、こういうのであればいいわけですが、今、総裁お話のように、修繕一本で、新造はやらない、そのために設備なり人が余れば、これは縮小する、こういうお考えであれば、基本問題についてやはりお尋ねせざるを得なくなるわけなんですが、そうしますと、民間車両会社にやらすことが、鉄道直営工事でやるよりも採算上有利だという点があるわけですか。
  16. 十河信二

    説明員十河信二君) いろんな面を計算いたしますと、その方が結局国鉄としても、国としても、有利になるという考えでおります。
  17. 中村正雄

    中村正雄君 そうすると、本年度貨車新造をやったわけなんですね、それの成績本社でおわかりと思いますが、国鉄でやった貨車新造成績民間成績と比較して、民間の方がいいと、こういう結果が出ておりますか。
  18. 並木裕

    説明員並木裕君) ただいまの、部外と部内の経済的な比較でございますが、これはこの前やはり中村先生に対しましてお答え申しました通り、今、国鉄におきますところの工場経理につきましては、何と申しますか、やはり会社的にすべてのものを換算してやっておりません関係もございますので、今直接に外部が安いか、こちらが安いかということは、はっきり申し上げられないと思います。
  19. 中村正雄

    中村正雄君 有利か不利かという判定をするためには、経済的に価格が高いか安いかも一つ判定であるし、またそれ以外の理由もあろうと思うわけなんですが、まあ常識的に考えますと、やはり鉄道直営工場でやるとすれば、すべての企画は、鉄道内部でやる場合は持ってるわけですから、一貫して企画から製造までできると、こう考えると、そういう価格の面を離れても内部工場でやる方が一貫性があると思うんですね。そういう面は外部民間会社に注文するよりも私は有利だと思う。従って、価格の面において多少の差はあっても、その面は非常に有利だ、反対に、もし価格の面において、利潤を追求する民間会社利潤を追求しない直営工場と比べて、直営工場の方がもっと格安であれば、なお国鉄工場遊休設備を利用するということが、経営全体から見て私は有利だと考えるのですが、総裁はどういうふうな判断直営工場修繕一本の方がいいんだ、新造は全部民間会社に発注するんだという方針をお立てになっておるのか、その判断根拠をお示し願いたいと思うのです。
  20. 十河信二

    説明員十河信二君) 初めに申し上げましたように、大体修繕工場新造工場と、これを修繕工事新造工事とちゃんぽんにやるよりか、修繕修繕工事を一本にまとめ、その修繕工事も同じ電気機関車なら電気機関車修繕を受け持ってやっていくという方が能率が上る、成績がよくなるという見地から、そういうふうにまとめていきたい、時として人が臨時に余っておる、あるいは非常に忙しくて貨車を急に作らなければならないというような、そういう臨時の場合は別でありますが、大体の方針としては、そういうふうにすることが有利だと認めてそういうふうにやりたい、こう思っておる次第であります。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 総裁のお考え、抽象的な方針の問題ですが、これが三十人や五十人の町工場であれば、これは新造もやり修繕もやると困るかもしれませんが、たとえば一般の民間工場でも、やっぱり新造修理をやっておる所もあれば、国鉄のように二千人、三千人を擁している一つ工場で一人の人が両方やるわけではありませんし、やはり新造部面修繕部面とあるわけですから、一つ工場で両方やることが不利だということはちょっと納得できかねるわけですが、先ほど申し上げましたように、やはり国鉄直営工場でやれば一貫した作業ができるという、私は有利があると思うし、やはり利益を追求しないだけに、価格の面においても、同じ能率を上げ得るとすれば、安くできるという私は利益があると思う。それを今までやらしてみて、こういう面で直営工場でやれば不便だ、民間でなければいかぬという数字基礎にした理由根拠があれば、これは検討する余地はあると思いますが、私は今の国鉄総裁方針については、納得できかねるので、今言うわけには参りませんが、後ほどでも数字基礎にして、やはり国鉄全体から見て、民間に発注する方が有利だということをお示し願いたいということを希望して、一応私の質問を打ち切ります。
  22. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記とめて。    〔速記中止
  23. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記つけて。
  24. 柴谷要

    柴谷要君 国鉄当局に対して、災害防止の問題について一つお尋ねをいたしたいと思います。先に国鉄本社においては安全監査員各地に派遣をして、安全監査を履行しておるようでありますが、特に安全度状態についての報告がなされていると思いますが、糸魚川管内防災状況について、詳しく一つ説明をいただきたいと思います。北陸線の糸魚川管内
  25. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 防災関係については、万全の処置を講じましていろいろ警戒もし、手当をしておるのでございますが、今回の五カ年計画防災関係というようなものが主要な骨子に相なっておる次第でありまして、糸魚川地帯は御承知のような浪害もあり、かつ大糸線のごときは、山くずれの被害もあるというようなこともございまして、対策上最も苦心もし、事故防止に努めておるのであります。従いまして、御注文の趣旨は、何付近にどんなものがあるかということでございますれば、一つ、直ちには資料はございませんが、しっかりした資料がございますので、お示し申し上げたいと思います。
  26. 柴谷要

    柴谷要君 最近新聞でも伝えられておりますように、新潟地区では地盤の陥落、地すべり等がひんぴんと起っておるという新聞報道もあるわけです。特に国鉄線路状態はどうかといいますと、かつては大事故発生をしたというようなこともあり、最近とみにこの糸魚川中心にします地域というものが、非常に危険な状態にさらされている、こういう実情にありまして、特に国鉄はもとより、地元の住民自体も非常に危険視をしておりますために、あげて糸魚川市会のごときは、非常に危険な状態にあるので、早急に防災工事が取り行われぬとするならば、十分なる警備態勢だけでもしいてもらわなければ困るという要請国鉄本社になされておると思うのです。これに対する国鉄本社としての態度はどういうふうに今進んでおられるか、御説明を願いたいと思います。
  27. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘の糸魚川地帯は、申し上げるまでもなく農を中心にいたしまして、非常に地質の脆弱と申しますか、悪い所でございまして、最近とみにという見方もございますが、過去、昔から非常なそういった事故の多い所でもございますので、この地帯には十分な警戒をいたしておりますし、ひとり糸魚川地帯に限りませず、たとえば豪雨のあとであるとか、あるいは雪解けの直後であるとか、暴風のときであるとか、そういったときには警戒要員配置するという態勢をとって警戒に当っておる次第であります。
  28. 柴谷要

    柴谷要君 警戒に当っているというお話でありますけれども、その警戒要員は、大体どの程度配置されておるか、その員数を一つお知らせ願います。
  29. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御承知のように、その警戒の要因を含めまして、その保線要員というものをはじいておるのでございまして、幾らというような具体的な数字は、取り調べましてお答え申し上げます。
  30. 柴谷要

    柴谷要君 現地の保線区なり、あるいは駅その他から十分これらの土地の状況報告されて、警備要員等も、当面工事にかかるまで警備要員配置しないで危険な状態にあると、こういう要請が再三なされておるのですけれども、適切な手が打たれておらない、こういう現地からの報道もあって、非常にこの地域を通過いたしまする列車乗務員並びに乗客は、戦々きょうきょうとしておると思う。そこで、まあ国鉄としてはとにかく複線化をはかるということで、計画は十分樹立されておるということは、われわれは五カ年計画の中で知ることができたけれども、しかし、当面の列車運行について、十分安全を保ち得るのだと、こういったような報告はなされておらないわけです。そこで、私どもの要求したいことは、当面工事にかかるまで、安全に輸送のできる状態が認められるまで、これらの危険な状態がいつ誘発するかもわからない、こういう事情の中では、どうしても警備要員配置して万全を期さなければならぬ、かようにわれわれは考えるわけでありますが、今の答弁では、なかなか現地から状況を聞いているものと、あなたのおっしゃることでは、非常に違いがあるように感じますけれども、今度これらの警備要員を十分配置する考え方があるかどうか、これを一つ再度御質問いたします。
  31. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) この点に関しましては、根本的に地すべりの起りそうな所は、起り得る可能性のある所は、起ってもそれを押えるような施設をやるということが第一でございますが、しからば、どういう施設をやれば絶対に起らぬかと申しますと、相手が自然でございますので、絶対に起らぬとは申せませんが、起らぬという断言はできないのでございますが、できるだけ、われわれとしては安心感のいくような施設を早急にやりたいということでございまして、これが五カ年計画骨子になっておるということは、先ほど申し上げた通りでございまして、それに至るまでの方法といたしましては、警備要員配置する、あるいは警報装置をつけるといったような、できるだけの手段を講ずる次第でありまして、御高説の趣旨に対しましては、全く同感でございます。
  32. 柴谷要

    柴谷要君 私の趣旨同感だというからには、これからいろいろ現地との話し合いをして、要員要求その他をしたいと思いますが、これにこたえられるだけの用意があるかどうか、重ねて御質問いたします。
  33. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 先ほど申し上げましたように、むしろ要員配置警戒をしなくても、安全な路線を作るということが第一で、ございまして、それに至る間、安全に関し必要であるという所は、あらゆる手段を講じたい、かように考えます。
  34. 柴谷要

    柴谷要君 以上で質問を終りたいと思いまするが、最後に、要望として、国鉄事故発生した直後に、まあ大きな工事等が行われて完全なものになる、こういうことではやはり手おくれになると思うので、万々の準備を必ずしておくという、十分手を尽した上で、どうも不可抗力の発生ということになれば、国民も、不詳事態が起きてもそう国鉄というものを今日のような目で見ないと思う。そこで、われわれとして一番懸念するのは、五カ年計画の中で糸魚川中心とするところの、重点的に考えられるということも再三聞いておりまするが、その間の態勢としては、どうしても警備要員配置等現地から要望されておりますので、この点は特に国鉄当局においても配慮されるよう希望申し上げて、質問を終ります。
  35. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をちょっととめて下さい。    〔速記中止
  36. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  暫時休憩いたします。    午前十一時十八分休憩    ——————————    午後二時十三分開会
  37. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再会いたします。  午前に引き続き国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は御質疑を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  38. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。  なお、委員の変更について御報告いたします。三月二十九日田中啓一君辞任、平島敏夫君補欠選任せられました。   —————————————
  39. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸大臣にお尋ねしますが、もうあまり時間もありませんし、最後の段階になりましたので、私も簡潔に御質問申し上げますので、端的に明快な御答弁をもってお願いしたいと思います。  まず第一番にお伺いするのは、国鉄に対するところの国民一般の感情というものに対して、いわゆる汚職、疑獄あるいは、不当なるいろんな事件に対しまして、疑惑を持っておるのですが、特に歴代内閣において、こういう問題に対しましては綱紀粛正ということはうたわれておるのですが、これに関連しまして、先般の造船疑獄のときに非常にいろんな問題を起しましたところの前官房長の壷井氏が起訴になった、その起訴中に依願免官になって、何か関係のある日本タンカーでございますか、そこへ就職された、こういう点につきまして、決算委員会あるいは予算委員会におきまして、いろいろ質問があったのですが、それに対しまして、運輸大臣は、いわゆる気の毒であったから、あるいは退職金や恩給を辞退したから、こうしましたというような御答弁があったようでございまするが、これは非常に重要な問題であると思いますので、この委員会におきましても、その所信を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  40. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) お話通り国鉄に対する国民の非常な関心を持って今度の運賃値上げを初め、このたびの実力行使等に問題が集中しておるわけであります。この中におきまして、決算委員会において指摘せられたような事柄を初め、ガード下の問題その他が出て参りましたことについては、まことに私ども残念にたえません。ただいまお話の官紀、綱紀の振粛ということを取り上げております現内閣としては、非常にこの点に注意していかねばならないと思っております。ただいまお話の壷井元官房長の件も、当時実情を聞きまして、長い間、三分の二の給与でとてもその生計が立たない、ことに判決は非常に時間がかかるというので、まあ退職手当その他すべてのものを辞退して、御本人の希望で、一つこの際自由のからだにしてもらいたい、こういうお話だというので、私もその話だけを聞きまして、まことに気の毒だからというので処置をいたしたわけでございます。その後、だんだん皆さんからの御指摘を聞き、その他をなにしまして、さらに一そうこれは慎重に扱わなければならなかったのだ、こう思うのでありますけれども、人事院その他の意向も聞きまして、まあ順次善処をしていきたい、かように考えておるわけであります。
  41. 大倉精一

    ○大倉精一君 私のお聞きしているのは、この壷井前官房長のその後の扱いについて聞いているのじゃなくて、閣僚の一人として、こういう事件に対しまして、気の毒だからこうしてやったのだ、あるいはこれは身分のいかんにかかわらず、今後もそういう気の毒な者については、個々に調べてこういう工合にするのだという意味の発言をされているように思うのですが、あなたの御意向が問題になると思うのです。綱紀粛正ということは、こういう問題をやはり厳格に取り扱っていかなければ実はならないと思うのです。しかも、公務員の休職あるいは退職、刑事事件にかかったらどうするのだというようなことは、公務員法によってちゃんと規定されていると思います。でありますから、私のお伺いしておるのは、あなたがこの取扱いについて決算委員会において御答弁なすったあのことと今も変りがないか、こういうことをお尋ねするわけなんです。
  42. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) この扱いは、身分の高下によって変えるというようなことはむろんそれはないわけであります。どういう身分の方でも、実情を聞いてやる、その人の生活ということも、また将来のことも考えなきゃなりません。その点においては、身分の高下によって扱いを変えるというようなことはむろんあり得ないのであります。ただ、私も実は早々のことでありまして、もう今になれば、もう少しこれは慎重に考えたらよかったと思うのでありますけれども、そういう話を、実情を聞きまして、なるほど気の毒だと思いまして、ほかにどういうケースがあるかということもそんなに調べないで、この一つだけであろうというような気持で、何というか、サインをしたわけでありまして、この点一つ御了承を願いたいと思います。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは知らないでは済まぬと思うのですが、少くともあなたは閣僚の一人としてサインをなさる、それで個人の生活をいろいろ考えてやらなきゃならぬという、そういう心境はわかると思うのですが、しかし、この取扱いについては、厳然として法律で規定されておるわけですから、そういう個々の生活状態に応じて、そういうものは考えてやらなきゃならぬ、またそうするのだということは、公務員法のどこに、何条に書いてあるか、お聞かせ願いたいと思います。
  44. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 公務員法に違反してまでやるというわけにはむろんいかないわけであります。その法の許す範囲内においての扱いを申し上げたわけでございます。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますというと、あなたがサインなすったということは、これは法の範囲内だと思うのですが、法のどの条項によって、範囲内ということになるのでありますか、それを伺っておきたいと思います。
  46. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 法のどの条項ということは、私も実は率直に申し上げて承知しないのですが、むろん公務員法に違反するようなことではない、こういう話を聞きまして、それをやったことであります。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 公務員法の第七十九条によりますというと、「職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる。一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合、二 刑事事件に関し起訴された場合、こうなっておるのであります。従って、刑事一件に起訴された場合は、これは休職ということになる。さらに第百三条の第二項には「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」、こういう条項があるんでありますが、そうしますというと、あなたがサインをなすったということは、私どもしろうとから考えるというと、この法律に違反するのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その点について。
  48. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) つまり、前職に関係のあるところに行ってはならないと、こういう意味ですね、今のお話の違反するという意味は。実は、そういうところに行くということを知らなかったものですから、ただ自分が自由の身になって一つ将来のなにを立てたいというお話でありましたが、あとになりましてから、実はそういうところに行くということを聞きまして、それは運輸省の直接密接な関係のあるところでないかと言ったところが、それに対しても、まだ密接な関係のある業者であるかないかの判定もつかないということを聞いておったのでありますが、それが最近になって、やはりその業者は関係のあるものだということの解釈の方が強いというようなことを聞きまして、これは非常に弱ったことだと、こう考えておる次第であります。
  49. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、あなたはこの日本タンカーに入るということを知らなかった。知らないものは仕方がないのですが、しかしながら、起訴中は休職にするのだという点について、これはあなた、サインなさるときには気がつかなかったのでありますか。
  50. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) その点は一つ——規則のことは政府委員の方からお答えいたします。——今、官房長を呼んでおりますから、この問題、もう少しあとにして、ほかの質問をしていただきたい。
  51. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、これは官房長がおいでになってからお伺いすることにいたしまして、ほかの問題に移りたいと思います。  これは先般私が保留をしておった問題でありますが、赤字地方線の問題であります。これは国鉄総裁とそれから運輸大臣——運輸省との見解が一致していないように思うものですから、この際明らかにしてもらいたいと思うのですが、国鉄総裁は、エコノミストの会談におきまして、現在の国鉄経営の健全化の一番大きな目標は赤字線をどうやって黒字線にするのだ、これが大きな目標であるという工合に言っておられるわけです。ところが、権田局長お話は、地方線の赤字、黒字というものは、線の個々の問題について検討するものではなくて、全体について検討するものである、個々の線についての赤字、黒字ということは、大きな方針として、あるいは経営方針としてはとらないのだ、あるいはあなたも、赤字線があってこそ初めて黒字線があるのだ、赤字があってこそ初めて黒字がある、こういうお話があった。これは国鉄経営の基本方針、根本方針について見解が相違しておると思うのですが、いわゆるあなたの、赤字線があって黒字線があるのだというようなことと、権田局長がいわゆる線の個々のものについての赤字、黒字というものは論ずるあれがないのだ、こういうようなことについて、一つ説明を願いたいと思います。
  52. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) その点は、つまり赤字線は赤字線自体が、その地方の産業開発のために敷いたのでありますから、地方の産業が相当に開発をせられて、黒字線になる時期は相当の年月がかかりましょうが、その間はつまり赤字線として国鉄の負担になるわけでございます。しかし、やはりそれでもその赤字線だけの経営について、もっと節約とか合理的な方法で赤字を解消することに努力しなければならぬことは、これはむろんであります。しかしながら、その赤字線が、そういう努力とそれから開発の速度がおそくて、どうしても赤字を続けておるという間は、それは国鉄の黒字の方から補ってもらうという、国鉄の負担になってくることは言うまでもないのであります。この点は、ですから国鉄経営者としては、それを黒字にすべくあらゆる努力をしておる。私の申し上げたのは一般論として、赤字線だからもうこれはやめてしまえというような——整理をしろとかいうような御議論もあるのですけれども、しかし、それはやはり赤字線もまた日本全体の産業の上には大きな役割を果しているし、また黒字の方も、これはまあなにからいえば、それがだんだん集まってきて赤字の方も黒字になる。この点はちょうどお見えになった内村さんかからえらく笑われるのでありますけれども、(笑声)どうも私はやはり黒字の方があるのも、赤字から移ってきてそれがなるのではないかという考えは、そう考えておるわけであります。
  53. 大倉精一

    ○大倉精一君 何かちょっとつかめなかったのですが、なお、初めに申し上げたように、御答弁一つ簡潔にお願いしたいと思うのですが——総裁にお伺いするのですが、四月の何週号ですかのエコノミストに載っておったが、あなたは、さっき申しましたよりに、現在の国鉄経営健全化の大目標は、赤字線をいかにして黒字にするか、これが第一目標である、一にかかってこれにある、というような意味のお話があったのでありますが、今の大臣の言葉とどうもしっくり来ない、こういうところに国民一般は不安を持っておると思うのですが、その点について御説明願いたいと思います。
  54. 十河信二

    説明員十河信二君) 運輸大臣からお答えになったことと私は同様に考えております。その赤字線を、今運輸大臣が言われたように、できるなら黒字にしたい、黒字にならぬまでも、赤字を少くしたい、さらに、黒字線もますます黒字をふやしていきたい、これが国鉄経営の最大の眼目であるということは、今もなお私は確信を持って信じております。
  55. 大倉精一

    ○大倉精一君 総裁のおっしゃることは、これはもう企業体である限りは、黒字になった方がいいにこしたことはありません。黒字はますます黒字にする、当りまえですが、しかし、公共企業体ですから、どうやっても赤字になる所があるのです、これは。あの赤字線が全部黒字になったら、国鉄はもうかり過ぎてしょうがない。運賃が今の三分の一くらいでいいことになるのです。ですから、国鉄全体の経営方針として、そういう赤字線を黒字に転換する、全部をやるのだ、全部といえば少し強いかもしれませんが、それを大眼目して、今の目標を置いておられるのか、あるいは国鉄全体の線というものの公共性というものに重点を置いてやっておられるのか、そういう点が不明確ですが、もう一回だけ大臣と両方からお伺いします。
  56. 十河信二

    説明員十河信二君) 個々の線についても、公共性を重んずることはもちろんであります。また、企業性も重んじなければならない。全体についても同様でありまして、公共性と企業性とをうまく調和するというところが国鉄経営の眼目でありまして、ここがまた非常に困難なところであります。できるだけ赤字線を黒字線にする、あるいは赤字を減らす、黒字線はますます黒字になるようにして、そうしてさらに、もうからないが公共的に必要であるという所へもっと力を注ぐということ、これが私の念願であります。もしそうでなければ、運賃を安くする、どっちかに進んでいくのが、われわれ公共企業体としての日本国有鉄道の使命であると信じております。
  57. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をちょっとやめて。    〔速記中止
  58. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  59. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 先ほど申し上げましたことについて、今国鉄総裁がお答をした、それが私の答えと違っておらないと思うのですが、どの点が違っておりますか。もう一ぺん御指摘願います。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 もうこれで打ち切ろうと思ったのですが、もう一ぺん言えということですからお伺いいたしますが、国鉄というのは非常に膨大な企業体でありますので、この経営方針いかんによっては非常に大きなそごを来たしてくるわけなんです。そこで、私が一番重大な問題と思っておることは、総裁は、赤字線を黒字にする、これが当面の大眼目であるという工合に言っておられる。これから来るニュアンスというものは、いわゆる企業性というものを非常に重く見ておられる。ところが、大臣の発言から来るニュアンスというのは、いわゆる赤字線があって黒字線があるのだ、こういうことで、これはやっぱり国鉄の企業体というものの公共性というものを重く見ておられると思う。ですから、側々の赤字線を個々に検討するのではなくて、これを有機的にどういう工合に扱かってどうするのだということを重点に置いておられるので、ここが非常な違いだと思いますから、お伺いしておるわけです。
  61. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) それは同じ考えを持っても、ものの言い方は立場によって違うという点で、国鉄総裁としては、国鉄の独立企業体として、どこまでも赤字線を黒字線にして、黒字線をさらに黒字を多くして企業の収支を償って、それからそれで余ってくるなら運賃の値下げもしたい、これは経営者として当然のことです。また、私どもの立場としても、国鉄経営者が赤字線を黒字にする、この努力をせられるというのは、むろんそれはけっこうなことで、それに反対するものでないことは申し上げるまでもありませんが、しかし、国鉄の公共性にかんがみて、赤字のあるものがあっても、やっぱり国鉄においてそれをある程度負担してもらってやっていく、これがどうしても負担のできないときになれば、国家がこれにある程度の手を染めなければならぬということは、これは当然でありますが、しかし、自分の力でやっておられる間はやってもらっていきたい、そうして、赤字線が国家的に必要なものだから、それをまま子扱いにしないようにしていってもらいたい、こういう気持から申し上げております。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 これ以上はやってもむだだと思いますが、依然として、あなたの今の発言から来るというと、やはり疑問が残る。国鉄国鉄の立場、運輸省は運輸省の立場ということをおっしゃいますと、やはりあんたの方と国鉄の方と少し違うような気がする。何か今の発言では、国鉄国鉄の立場で金がもうかるように考えさえすればいい、おれはおれの方で赤字が出れば何とかするようにそこで考えればいいのだ、国鉄国鉄だからもうかることさえ考えればいいのだ、こうおっしゃる。ところが、今の総裁考えから言うと、企業性があり、公共性もある。公共性も考えなければならぬ。これは非常にむずかしいところだとおっしゃる。この点はあとで少し御質問したいと思いますが、端的に言うならば、国鉄は今企業性の方が重いのか、公共性の方が重いのか、こういうことを見ますと、私の感じから言うと、公共性の方はこの次で、おそらく企業性の方が強いのではないか。これはあとで時間があればいろいろ申し上げたいと思いますが、次に、これは大蔵大臣がおいでになってからでないとちょっと申し上げられないのですが。
  63. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 大蔵大臣見えました。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは続いてお伺いいたしますが、今般の運賃値上げに関連いたしまして、国鉄経営の合理化をこうこういう工合に合理化したというパンフレットや何かもありましたし、そういうことも聞きましたが、して合理化されたかどうか、あるいはそういう努力が払われておるかどうかということに対しましては、私は非常に疑問を持つのです。なるほど、形の上ではいろいろな機関を設けたり、何何委員会を設けたり、何々したりということはある。あるいは機構改革をやったりすることはあります。ありまするが、国鉄のこの財政、資産の内容について、果して合理化ができたかどうか、まずこれをやるべきじゃないかと思うのです。たくさんの問題があるのですが、これを一々言っておると非常に手間がかかりますから、まあ、その一つの例を申しますというと、たとえば、これはお尋ねから入りたいと思うのですが、今国鉄の借金というものはどのくらいあるのですか。そうしていわゆる起債市場から得ておるところの資金、あるいはその他の借金ですね、その金利はどのくらいになっておるか、ちょっとお答え願いたいと思うのです。借金の総額、その内容、金利。
  65. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 現在国鉄の借金と申しますか、借り入れは、三十一年三月三十一日現在で一般会計から五百三十四億、運輸省から五十一億、資金運用部資金から八百五十一億、締めて政府関係として千四百三十六億、鉄道債券が五百四十億、総合計で千九百七十六億、これが三月三十一日現在でございます。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 国鉄も企業体であるとするならば、この借金の金額についても、いろいろ問題があるのではないかと思うのです。今たしか国鉄の資本金は、昭和二十五年何月でしたかに、四十億ふやしてたしか八十九億でございますか。二兆一千億のような膨大な資産を持つ、こういう大きなものが八十九億という資本金に対しまして、借入金として千九百億ある。こういう問題に対しても何らかの措置をすべきじゃないか。しかも、これらがだんだん金利の高い金がふえてきておる。こういう点に対しまして政府は一つもめんどうを見ていない。ほかの鉄鋼とか、あるいは石炭、海運等におきましては、御承知のようにいろいろ利子補給その他のめんどうを見ておるのですが、こういう点につきましても、政府として利子補給その他のめんどうを見てやるか、あるいは追加投資をするか、何らかの方法を講じなければならないと思うのですが、この点に関しまして大蔵大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  67. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国鉄の資本金はお話通り八十九億円、しこうして資産は二兆円もあるという、まことに他に例を見ないようなことでございます。しかも、それだけの資産を持ちながら配当の義務はない。非常に会計としては、まれに見るところでございます。従いまして、私は他の会社あるいは政府関係のあれといたしましても、事業をやっております電源開発会社、こういうふうなものは——多分、電源開発会社は四百億足らずの資本金で八百億近い借金をしております。それには相当の利子を支払わなければならぬ。四百億足らずの資本に対して八百億の借金をし、利子を支払う。国鉄は二兆冊の資産と八十九億の払い込みがあって、これには利子が要らない、というのは、要るのはその資産の一割に相当する借入金だけで、会計としては非常に楽な会計だと私は考えております。従いまして、電源開発の方と国鉄を比べますと、必要性はみな同じでございますが、この際政府としては、電源の方には出資をしたという状況なのでございます。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 国鉄は配当をしなくてもいいというお話ですが、配当したら大へんなことになると思うのです。そのかわりに、これは一般営利事業と違って、赤線も自分で敷設をしなければならぬ。もうからない所も自分でやらなければならぬ。私鉄のようにもうかる所だけ選んで、そうして営業収入だけ上る所でもって営業しているのと違うのであります。従って、これがいわゆる公共企業体であるゆえんでありまして、配当はない。配当はないけれども、こういうような企業犠牲というものがたくさんあるわけです。これに対しまして、政府としてはいわゆる補給をしなくてもいい、あるいはめんどうを見なくてもいい、こういうお考えですか。
  69. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国鉄並びに公社等に、過去において非常に政府から出資その他の援助をいたしておりますので、この場合は独立採算制でいっていただくのが至当じゃないかと思います。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 その他、たくさんこういうような問題に対しまして合理化をしなければならぬ問題があると思うのです。たとえば、その他二、三をあげてみますと、こまかいことになるかもしれませんが、それはほかの委員から質問がありますので、内容は省きますけれども、国鉄にはいわゆる支払準備金というものがあって、そうして日銀に預託をする、四十億まで利子はつかないというものがあるのですが、公共企業体になった国鉄に支払準備金が要るかどうか、それは再検討する必要があると思います。あるいはまた地下鉄に投資をする、これも一つの義務なんです。これは鉄道省時代の当時の遺物であって、これが公共企業体になった今日になって、あるいは独算制をとるところの今日において、地下鉄に投資する必要があるかどうか、これもやはり再検討しなければならぬと思う。あるいはまた現在の貨物等級表、これも明治時代に、私鉄がいわゆる無軌道な特割をやった、この調整に困って貨物等級表というものを作ったのですが、等級のあることはいい。あることはいいが、この等級表というものは、いわゆる六級以下のものは全部赤字だ、そういう貨物に対しましても、いわゆる大企業の貨物に対しては大幅のいろいろ割引制度なんかをやっておる。これはいわゆる大企業、大資本に対するところの過剰奉仕——奉仕することはやむを得ないとしても、過剰奉仕、こういう非常な矛盾が貨物等級表においてもある。あるいはまた新線建設のごときも、これはまあ極端な言い方をしますれば、国鉄が黒字になっているのは旅客線の二割だ、二割の線に乗る旅客が新線建設の負担をする、こういう結果になっていると私は思う。しかも、この二割の乗客というものは、いわゆるすし詰め乗客でありまして、しかも、そのうちは三等乗客、これが新線建設の負担をするという、そういう結果になっておる。これもやはり国家において負担をするなり、あるいは補助をするなり、何らかの方途を講じなければならぬと思います。あるいはまた現在一、二等の乗客に対しましては、通行税というものを取っておる。これが一般会計に入れられるのですが、これは国鉄は企業体であり、独算制をとっている限りにおきましては、これの使い道を規定してもかまわぬのですが、これは企業体に還元すべきものじゃないか、こういうことも考えられる。あるいはまた固定資産税あるいは納付金というものがあるのですが、これも見方によれば、汽車に乗る人が地方財政の赤字を負担するということになる、これも非常な矛盾を感ずる点があると思いますが、そういうような点をいろいろ検討をしてきて合理化をしなければならぬと思うのですが、こういうことについては、何ら検討されていない。あるいはまた割引もそうです。学生に対する割引、その他に対する割引、これは社会政策的な割引であろうと、あるいは貨物の割引、いわゆる産業政策上の割引であろうと、そういうものは当然国家において何らかのめんどうを見る。全額めんどうを見なくても半額でもめんどうを見なければならぬ。少くともこの是非について、国鉄当局あるいは政府当局において検討されなければならぬ、こういうふうな面の合理化をしなければならぬと思うのですが、こういう面について検討され、あるいはこれを合理化しようという、こういう努力をされたことがあるかどうか、これは国鉄あるいは運輸大臣に伺いたいのであります。
  71. 十河信二

    説明員十河信二君) 今御質問の点は、十分一般的総合的の諸般の情勢を検討いたしました上で、ただいまのところ、こういうふうにするがよかろうということできまったのであります。検討は十分いたしたつもりであります。
  72. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今だんだん御指摘になりました点、これは当然私どもといたしましては十分検討を加えておるわけでございます。たとえば貨物の等級制度等につきましては、これはもう前回も御説明申し上げましたけれども、ああいったような状況になっておりまして、大体七級前後が原価を見合うでございましょうが、それ以上のものは、おおむね高級品あるいは重工業品でありまして、むしろ原価を割っておりますのは、国民生活必需物質でございます。これは貨物の運賃制度というものは、等級と賃率と運ばれるキロというものがかみ合わさって参っておりますが、全体としてこれを制度として考えておるわけでありまして、現在では旅客、貨物とも原価を割っておりまするが、今回の運賃改正で原価に見合うようになると思うのであります。それからまた、たとえば割引のごときも、特に通勤、通学の定期の問題は、これも過日原価を申し上げましたが、原価を割っておることは事実でありますが、そういうこともいろいろな沿革並びに日本の産業、あるいは国民生活のあり方から見て、こういたしておるのでありまして、この国有鉄道運賃法にも定めますように、運賃というものは原価を償うものであることはもちんでありますが、それ以外にも公正妥当であり、産業の発達に資し、また賃金及び物価の安定に寄与すること、こういう四原則で定めておりまするので、これらと見合いつつ考えておるわけでございまして、固定資産税にかわる納付金等につきましても、過日御説明申し上げたように、今日の段階ではこれは経費として原価のうちに織り込んで考うべきものであると、こういう結論を得ているのでございまして、まあいろいろございます。また赤字線等につきましては、これもすでに申し上げましたが、これは線別の運賃ということは、運賃制度上ではあり得ないので、やはり公共企業体たる日本国有鉄道一つの運賃制度、賃率を持ちまするために総合原価に見合うようにこういたしているわけであります。もちろん経営合理化という点につきましては、格段の努力を国鉄もいたしておりまするし、また私どもとしても、これを強く希望しておるのでありまして、なるたけ、あるいはディーゼルカーを動かすとか、あるいはその運営形態を適切なものにするとかによって赤を少くする努力を線区々々にいたしてもらいまするけれども、これから全体として、全線をあげて考えました総合原価として見合うものということで諸般の点を検討した結果、今日の段階においては、今まで私どもが御説明いたしました点が最も適切妥当であろう、こういう判断をいたしておるわけでございます。
  73. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  74. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁は、これは作文だと思うのです。それで運賃は公共性を——公正妥当である何とかということがあるのですが、これが何がどういうことが公正なのか、何が妥当なのか、これが問題なんです。それをだれがどこできめるのだ、こういうことは非常に問題だと思うのです。たとえば今の運賃等級表におきましても、いわゆる二十八年の改正のときにいろいろ改正がありました。等級表の改正もありましたが、そのときに、いわゆる半年の期限つきでもって特別割引をした金鉱あるいは石灰石その他、これは半年の期限つき割引だったものがいまだに存続されておるわけなんです。あるいはまたこの二十八年の等級改正、あるいは運賃改正の内容を見ましても、いわゆる公正妥当なる、あるいは産業経済に寄与するということもありましょうが、中にはいわゆるトラックと競争する、電車と競争する、そういうための運賃の改正もあるように見受けられる。でありまするから、あなたが公正妥当と言われるその公正妥当の内容がきわめて不明である。もう一つは、各方面から検討したから一応、こういうことでやることにいたしました、で、各方面から検討したというのは、何を検討したか、その理由はどうだ、これもさっぱりお答えがないわけです。国民にはその答弁ではわかりません。でありますから、ここで一つ大蔵大臣にお伺いするのですが、国鉄に政府が合理化せい、経費を節約せい、赤字を黒字にせいと言ってみても、国鉄としては限度があると思います。国鉄としては限度があります。でありまするから、やはり公共企業体であり、企業性があるというふうになれば、国鉄に要求するということはもちろんですが、政府としてもやはりそれに見合うところのめんどうなり、方策なり、あるいは内容の合理化について、政府自身がめんどうを見なけならぬと私は思う。でありまするから、運賃値上げをする前に、こういうような点につきましては、十分に国民の前に明らかにして、そしてこういう内容面におけるところの合理化ということをやらなければならぬと思うのですが、これが一つも手がついてない、この点について、大蔵大臣は、政府もこういう点について一つめんどうを見るべきではないかと思うのです。やはり国鉄に対する要求にも限度がありますから、政府として、国鉄の内容の合理化についてもっと積極的に検討をし、めんどうを見るべきではないかというのですが、この点の見解を承わりたいと思う。
  76. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国鉄の合理化につきましては、財務当局といたしましても、常に要請をいたしておるのであります。今回運賃の値上げに際しましても、従来のその方針に変りはございません。いな、むしろもっと強力に合理化をはかるように要請いたしておるのであります。今回は人員にいたしましても、あまりふやさない、そうしてまた資材につきましても、できるだけ合理的な買い入れ方法をいたします。また請負にいたしましても、もっと切り詰められるところがあるのじゃないかというのでいろいろ検討いたしまして、従来の予算よりもかなりシビァに、きつくいっておると確信いたしておるのであります。なお、そういう直接運営の面でなくて、国鉄の資産その他につきまして、処分し得べきものがあれば早急に処分していただきたい、こういうふうに運賃値上げの際には、特にそういう点を強く強調して参っておるのであります。で、ほかの委員会でも、合理化が完全にできていない、かるがゆえに運賃を引き上げることは賛成できないという意見を聞くのでございまするが、これは運賃を上げる上げないにかかわらず、この合理化は当然やるべきことで、それをやってもなおかつ、十分でないというときに、これはやむを得ず利用者に負担していただくのが筋だと私は考えておるのであります。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあこの点はあまり詳細に聞きませんが、私の申し上げておるのは、国鉄に対して合理化を要求することはけっこうだと思うのですが、もっと国鉄の資産内容あるいは借入金その他の、さっき私があげましたところのそういうような問題について、政府はもっと積極的に検討されて、そうして政府として、合理化という面についてめんどうを見るべきではないか、これをやらずに、国鉄だけに合理化を要求しても限度があろう、こういうことを感じておるのですが、この点につきましては、将来ともに十分検討されて合理化していただきたいと思うわけであります。このことを要望しておきます。  次に、お伺いしたいのですが、これは専門的のことで、私よくわかりませんから、お伺いするのですが、今度の工事計画について、いろいろ資料が出ておりまするが、大体この線路の、平常の状態において線路の補修をするに要するレールですね、これは何トンくらい要るものですか。たとえば平常の状態と申しますというと、よく国鉄が引き合いに出されるところの昭和十一年ごろですね、約二方キロだと思うのですが、これに要する補修用レールのトン数というのは、大体どのくらいのものですか。
  78. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 線路の消耗は、申し上げるまでもなく、列車の回数であるとか、あるいは通る列車の重さ並びに速度といったようなものによりまして個々に違いますが、国鉄全体としてみますると、大体一年間の消耗量は六万トンぐらい、かように思います。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは間違っておるかもしれませんが、大体昭和十一年ごろの総キロ数が二方キロ、現在は二万二千キロ、約一割の増、そこで昭和十一年ごろにレールの補修用として大体三万トンないし三万三千トンが購入されておった、これが大体当時における平常のノーマルの状態である、大体事故も起らないノーマルな状態であったということを聞いております。現在はレールの幅も違っておりませんが、六万トンというと大へん多いようなんですが、昭和十一年ごろと違っておる理由ですね、私の数字が間違っていればこれは別なんです。
  80. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま御指示のようにレールのレールと申しますか、線路の延長はそう大してふえておりませんが、その輸送量は、旅客貨物ともに三倍以上になっておる、従いまして、その列車の回数と申しますか、そのレールの上を通過する重量はその三倍ぐらいになっておる、従って、非常にその点から消粍量がある、かように考えます。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、大体現在は九万トンあるいは六万トン、こういう程度のものを購入されておると思うのですが、そうしますると、大体三万三千トンに比較して六割、七割、あるいは場合によっては倍近いものになるということになるのです。これは貨物の通過量も多いかもしれませんが、やはり戦時中の荒廃ですね、戦時中の荒廃から私はこういうたくさんの量を購入しなければならぬ、こういうのが非常に大きな原因じゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  82. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 単にレールだけについて申しますると、戦時中の疲労したレールが全部残っておるということじゃございませんで、戦時中の荒廃が然らしめたということは、今現在においては直ちに言いがたい、かように考えますが、この消粍量が非常に多くなったということは、通過量が——通過量と申しますか、通過する重量が三倍ぐらいになり、かつ列車速度が上ってきたということに主として起因いたしておる、かように考えます。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあこれは私のしろうと考えと専門家の考えと違って、しろうとの考えは間違いかもしれませんが、私は大体これは戦時中の荒廃というものが非常に大きな影響をして、今日のようなたくさんなレールをつぎ込まなければならぬのじゃないかと思っております。戦時中ですね、特に昭和二十年ごろの購入量はどのくらいですか。
  84. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 戦時中と申しましても、昭和十六年を例に申しますと、レールの補修用といたしまして、ただいまの御質疑のあれに該当するものと思いますが、二万五百トン、それから工事用、これは線路をふやすとか何とかいうことに起因するのでございますが、これが二万五千五十五トン、合せまして四万五千五百五十五トン、こういった数字であります。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは全体の数字だと思いますが、それは十六年ですか。
  86. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 十六年でございます。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 線路の荒廃は、それ以降大東亜戦争になってからずっと荒廃してきていると思いますが、大体昭和三十年には約七千トンくらいより購入されておらぬということを聞いておるわけなんです。そうしますというと、この戦時中の荒廃というものが大きな原因になって、そうして現在はその当時の六割ないし七割も購入しなければならない、こういう工合に私は考えるわけです。そういうふうな考えからすると、現在の荒廃、これはノーマルな荒廃ではない、普遍の荒廃ではない。よく大臣も言われるのですが、そういうものは全部需要者が負担すべきだということを言っていらっしゃるが、これはいわゆる平時の場合と違いまして、荒廃の原因というものは、明らかに戦争のために荒廃したものであるということを言っておりますが、従って、この荒廃を直すのに、国民の負担の増加によって直す、これはある程度しょうがないかもしれませんが、これは原則として、やはり国家活動による戦争というものによって荒廃した限りにおきましては、やはり国家において相当大幅なめんどうを見なければならぬ、こう私は思うのであります。で、これは国家だけでめんどうを見ている、そんなわけじゃない、これは国民がみな運賃を払って乗っているのだから、それ相当応分の負担をしている、この負担は現在の状態におきましては、この状態が限度じゃないかとわれわれは考えているのであります。運賃値上げはみないけないか、そうとは言わない。言わないのだが、現在高い、現在の経済の情勢、物価の情勢、あるいは生活の実態、そういうものからいって今は運賃値上げをすべきじゃない、そうしてこれは国家において、この荒廃の原因からしても、国家が負担すべきものである、しかも、さっき申しました合理化ということが進めば、相当の財源が捻出されるのであるから、そういう観点から、われわれは反対いたしているのであります。この現在の荒廃の大部分は国家がめんどうを見なければならぬと私は考えておりますが、この点についての大蔵大臣の答弁を求めます。
  88. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国家も国民も、国鉄を利用する人は私は一体と考えておるのであります。しこうして、先ほど来申し上げておりますように、国鉄には相当の資産を持って、そうしてやっていける、しかも、運賃が一般のそれに比べて非常に高過ぎるかと申しますると、必ずしもそうではない、私は国家が見るというお言葉でございまするが、国家が見るにいたしましても、これは国民の汗水による税金で見るわけでございます。この点はやはり一応は需要者が第一次的に負担していくというのが本筋だと考えます。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは一般の場合でありまして、むろん国鉄の維持あるいは拡張は、一般の場合におきましては、当然国民が負担する、だからちゃんと払って乗っているわけだ、これを全部国家がやるのだったら運賃を払わなくてもいいが、私は運賃を払う限度、負担の限度は、今日においては限度にきていると思う。同時に、今レールの例を申し上げましたが、戦争による荒廃、これが非常に大きな原因になっていると考えれば、その荒廃に対するところの復旧、そういうものに対しては、少くとも国家の責任である、国家がめんどうを見るべきだ、かように考えておりますので、これは大蔵大臣と少し違うかもしれません。私はそういうふうに考えるものですから、この点につきましては、これは何度お聞きいたしましても、同じだと思いますから、この辺でやめますが、今の国鉄の運賃の高いか安いかというお話がありましたが、これは一つだけ、参考のために伺っておきたいと思いますが、現在の運賃を昭和十一年ごろの運賃によく比較されるのですが、昭和十一年ごろの運賃というものは、果して他の物価と比べて国鉄運賃は安かったか、これはこの前大島藤太郎さんも公述をしておられましたが、昭和十一年当時は、第一次大戦からまだ物価の値上りというものは大してなかった、運賃だけが相当高かった、しかも、この当時は旅客の方が大体五割ももうかっている時代である、こういうふうな公述をされておりましたが、運賃というものは、必ずしも何年と比較してどうこうということは言えないと思うのですが、そういう点について、運輸大臣はどういう工合にお考えになりますか、総裁一つ考えをお聞かせ願いたいと思います。
  90. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 昭和十一年—九年、十年、十一年が大体の戦前の物価とされておりますが、それと比較いたしますと、御承知通り他の物価との比較が、運賃は非常に安い、こういうことになっておる。これは大倉さん御承知通りでありますから……。従って、今大蔵大臣の言われました通り、つまり利用者がどの程度負担するか、税金をどの程度負担するか、こういう問題について、そういう私は度合い、見方の問題であろうと思いますので、その点では私ども今日の日本経済——私がしばしば申し上げる全体の段階から申しますと、やはりこれだけの力を持ってまかない得る国鉄には一つやってもらう。しかしながら、将来非常な何か事が起って、国家の力をこれに加えなければならぬというときには、これを加えないというわけではないのでありますから、そういう点が、つまり今日の日本経済の行き方から、今日の力のまああるといえば——ないという見方もありますが、しかし、戦争から来た犠牲に対しては、なかなか国家ももっとしなければならぬこともたくさんあるだろうと思いますが、そこへも及ばないところもあるわけでありまして、しかし、国鉄のことは、そういう意味ではなく、日本経済の上における輸送力という問題から考えてみますと、その輸送を負担してもらうために、先ほども大蔵大臣の言われましたごとく、相当な国家の資産……。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 簡単に……。
  92. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) そういう意味であります。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 国鉄総裁の今の問題に対する御意見……。
  94. 十河信二

    説明員十河信二君) 運賃の高いとか安いとかいうことも、いろいろな比較の仕方があると思いますが、大体物で、たとえば米一升でどうだとか、酒一升でどこまでいけるというふうななんで比較してみまして、私は国鉄の運賃は大体安いのだというふうに考えます。それで今回はまあ一割三分運賃の値上げをお願いしたような次第でございます。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 この点はまた長くなりますから、時間が惜しいからやめます。ただ私はこれだけ言っておきたいと思います。昭和十一年の運賃と比べて、現在の云々ということは、運賃に対する限り、高い安いの比較になりません。その当時のいろいろな客観的な情勢を考えなければ、高い安いの比較にはならぬし、さらに物価は上ったり下ったりするが、運賃は下ったということを聞いたことがない。しょっちゅう上りっぱなしで、これは高い安いの比較にならないと思います。  次に、簡単に一つお伺いをしたいのですが、外郭団体のことについて、いろいろ問題がありますが、これはもう同僚諸君からいろいろ質問がありましたから内容は省きますが、ただ私は外郭団体について、国鉄職員諸君が何十年働いて、そしてお金をもらう、それによっては食っていけない、そこで、何かほかの仕事を見つけたい、そういうことで外郭団体というものが必要になって、いわゆる国鉄一家が国鉄の外へはみ出すということになるのですが、これはやはり国鉄自体考えると同時に、政府においても、いわゆる社会保障の面から、こういう面を解決しないというと、外郭団体の問題はこれは根本的な解決にならぬじゃないかと思います。外郭団体の整理、あるいはそういうことをやってもらわなければなりませんが、やはりそういうことは政府においても根本問題を剔扶をして、こいつをつかんで、こいつをやはり解決をする、これは国鉄ばかりではないのですが、そういう問題まで掘り下げていかないと、外郭団体はなかなか国会でやっても解決はつかないと思いますが、これは運輸大臣から伺いたいと思います。
  96. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) この外郭団体の問題は、度を過ごしたことは何事もいけないと思います。国鉄一家という考え方もいい面と、悪い面とあります。上の人だけがその国鉄一家を利用して、度の過ぎたことをやることは慎しまなければならぬ、私たちも監督の立場から、もっと合理的に考えなければいかぬと思います。しかしながら、また一面下の方の人も、国鉄の人はやはり国鉄で、外郭団体によって、非常に下の方の老齢の人たちで、生活に困る人もやはり見てやっておりますので、その面ではやはり日本の今日の経済でいえば、どこかで養わなければならぬのですから、やはりその意味で国鉄一家という考え方もいい面と悪い面とあるので、悪い面は是正して、そしていい面はやはり認めていかなければならぬ、こう考えております。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 あまり時間がないようですが、そこで、時間が余ればまたお伺いするとして、あと官房長がおいでになっておるので、さっきの問題それから今行管長官おいでにならないですから、質問はあと保留いたします。
  98. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  99. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの大倉君の質問に関連してお伺いするのですが、昭和十一年の運賃が安いか、どうかという問題の中に、これは旅客なんかは五割も黒字を上げておって、そして、その黒字はほとんど国庫に納めておったんじゃないか、つまりこれは臨軍費に、当時の軍隊の戦争の費用として出しておったじゃないか、その額はどのくらいになりますか。昭和十一年あたりで、国庫に納付した金について、大体の額を……。
  101. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 戦争中の軍事費あるいは一般会計の方ヘの繰り入れの数字を申し上げます。昭和十二年からでございます。十二年が三十万、十三年が三千万、十四年が三千万、十五年が三千万、これが一般会計への繰り入れでございます。それからそのほかに項目を分けまして、臨軍費への繰り入れが、十三年に四千万、十四年に同じく四千万、十五年に五千万、こういうことに相なっております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは時間の関係から、このトータルは出しませんけれども、膨大な金じゃないかと思います。これを三百六十倍ぐらいの物価のつまり変化によって計算してみますと、これは約一千億近くの膨大な金だと思うんです。従って、当時、とにかくこういう形で運賃は高かった、そしてそれが大きな黒字を上げた、それによってあの大東亜戦争をまかなった、少くともこれは、国鉄の収入というものはこの中で、臨軍費としては相当大きなウエートを占めたと思うんです。ところが、この十一年あたりとよく運賃を比較するんですが、これは非常に私は片手落ちじゃないか。当然これは旅客運賃なんかは五割も高いのでありますから、その率を切り下げて、つまり軍に負担した、あるいは国家に納付した金を、このウエートを計算して考えますというと、少くとも今の——当時の三分の二ぐらいで間に合ったということになります。そうすると、当時とにかく比較的運賃は高かった、ことに公共性を持ってる国鉄としては、当然その立場をとらなくちゃならなかったと思うのでありますが、これは軍費をまかなうために、このような不当な運賃が課せられたということは言える、そういう点から考えますと、今の運賃が十一年と比較して非常に安いというふうな計算は、私は非常に不当だということがはっきり指摘されると思うんです。この問題が一つ。  それと関連して、これは池田大蔵大臣にお聞きしたいのでありますけれども、このように戦時中は、国鉄の費用によりまして国庫は相当まかなわれてきたわけであります。そして先ほど大倉君の質問にもありましたけれども、戦時中の荒廃が今日なお尾を引いておる、こういう態勢の中で、当然私は国庫が国鉄の復旧に対しまして相当分のものを見なくちゃならないと、こういうふうに考えるのでありますが、この点いかがですか。先ほどあなたの御答弁では、どうもそういうところは全然ほおかぶりになってるだろうと思う。これはなかなか国民が納得できないころだろうと私は思うのでありますが、今までの、戦時中、それから戦後のこういう一貫した考えの中からはっきりあなたのお考えを聞いておきたいと思う。
  103. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はいろいろな点を考慮いたしまして、今の財政状況からいって、一般会計からこれを補助することは適当でないと考えます。で、先ほど来申し上げましたように、それは臨軍費あるいは一般会計への繰り入れもございましたのでしょう。しかし、国鉄の今の資産が二兆円に達しておって、しかも借入金が二千億円しかないという状況から考えまするならば、やはり公共企業体として適正な運賃のもとに独立採算制でいっていただくことが至当だと考えておるのであります。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ財産が非常に多いから、これに対して国家の投資は必要がないということにつきましては、今までこれはずいぶん論議されたところですから、私はここであまり繰り返そうとは思わないんです。しかしながら、今年度の投資を見ましても、電源に対しましては、電源開発に対しては膨大なものが投資されている。それに対して、国鉄に対するところの投資というものは、ほとんどこれはなされていない、こういうところに私ははっきり企業の持ってる性格が出てるんじゃないか。御承知のように電源開発電力は、これは大口の需用者が大体七〇%から八〇%占めているからだろう。従って、大口の需用者にこれらの電源開発によるところのコストの上昇、従って、電力料金の値上げというものを負担させるということは、なかなか容易じゃない。しかし、国鉄の場合を見ますというと、これは後払い制度で見るとわかるのでありますが、大体大口貨物の運賃から計算してみますと、全体の収入の四割です。そして六割というのは、これは大衆負担になっている汽車賃を、上げれば乗らないというわけにいかない。若しい、つらい、しかしながら、苦しい中からも乗らざるを得ない、こういう格好でいやおうなしに吸収されていっているというのが今の形だと思います。従って、大衆転嫁を非常に簡単にできる、容易にできる、ここにこそ、国鉄に対しては国家投資をしなくても、自力でまかなわせるんだ、そうしてその足らない部分を大きく大衆に負担させるんだと、こういう性格がはっきり出ておると思う。私はこの電力の問題と、それから国鉄の場合に、企業体の持っているところのこの性格が非常にはっきりそこに出ていると、こういうふうに思うんですが、この点、いかがですか。
  105. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは先ほど申し上げましたように、電源開発におきましては、先ほど数字的に申し上げましたように、政府がこれを出していかなければまかなえない状況に相なっておるのであります。しこうして、国鉄の方は五カ年計画であります場合において、借入金はやりますけれども、今までの投下資本のあれによりまして相当利益も上ってきます。まだ足りないところを独立採算制で運賃を上げていこう。一般会計その他の関係を言っておられましたが、これは臨軍費に入れた場合も、一般会計に入れた場合もございましょうが、御承知通り、昭和二十三年は多分一般会計から三百五十億ぐらい国鉄に支給いたしたと思います。私の記憶では多分二十三年度が三百五十億円ぐらいでございましょう。その当時取引高税がございまして、取引高税の収入が三百五十億円、そうして一般会計から国鉄に繰り入れが三百五十億円、私は取引高税をやめて運賃を上げた方が合理的だというのでやった記憶がございますから、多分一般会計から相当の金額が戦後出ておったと思うのでございます。しかし、いろいろ歴史はございましょう、歴史はございましょうが、今国鉄の運賃を上げるか、あるいは税金を徴収してこれを埋めるか、こういう問題になりますと、私は自分の所信としては、ちょうど取引高税をやめて運賃を上げたと同じような考え方——運賃を上げていって税金はあまり徴収しないのが本筋だという考え方でございます。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ聞いているとそういうふうに考えられそうに思うでしょう。しかし、そういうわけにはいかぬと思うんです。たとえば二千億円の自然増の問題でありますけれども、それは、まあ一千億は減税の方に回した、しかし、一千億施策という形でいろいろ見ますると、これはやはり道路とか電力とか、そういう方向に大きく流れているんですけれども、その性格が問題なんです。そのことをわれわれは問題にしたい。それと公共性を維持しなければならないというようないろいろな犠牲にさらされているこの国鉄の場合と、やはりそこに一つのわれわれ性格を考えざるを得ないし、これは議論をしても果てのないことなんで、大体その点で私は終ります。
  107. 相澤重明

    ○相澤重明君 池田大蔵大臣に、昨日に続くところのお尋ねをしたいと思うんです。昨日あなたは非常に予算委員会でお忙しくて途中でしり切れトンボになってしまったんですが、昨日私があなたにお尋ねしたのは、国鉄運賃の値上げに伴って物価が上らないか、こういう点については、一三%の、この程度の運賃では引き上げに伴っては一般の物価は上らない、こういうお話でした。そのときに、私がきのうの新聞を取り上げて、たとえば四月一日からすでに電気料金は上るのではないか、こう言ったときに、あなたのお話では、政府はそういうことをきめておらないというあなたの御答弁があったわけですが、私は少くとも、いわゆる国鉄の六千億にもなんなんとする膨大な工事予算が今組まれ、そうして輸送力の増強のために使われようとする際に、やはり国民の一番大きな関心であるこの国鉄の予算、あるいは資金というものは、どのように使われるか、こういうこともやはりあなたに率直にお考えを願っておかなければならぬと思うのです。ですから、工事予算が千六十億からになる、一千億からのいわゆる工事費というものを、どういうふうにあなたは資材の配分を行なって、国鉄輸送力増強に資していこうとするのか。それだけの膨大な予算を単に年内に使うとするならば、物価のつり上げというものは必至である。しかも、あなたが物価は上らないということを言われておったけれども、現実には物価はどんどん上っておる。こういう点について、責任あるあなたの御答弁を求めたいと思うのです。
  108. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第二の方からお答えいたしましょう。国鉄運賃の引き上げは、昭和二十六年の十一月に貨物三割、旅客二割五分上げました。そうしてまた二十八年の二月に貨客とも一割上げております。そのときの物価の動きをここで申し上げましょう。昭和二十六年の五月におきましては、週賃改訂の月、すなわち昭和二十六年の十一月を一〇〇といたしますると、二十六年の八月は九七、九月は九八、十月は一〇〇、十一月が一〇〇でございます。そうして十二月は九九、そうして二十七年の一月は九九、二月は九九、三月が九八、四月が九七と、こうなっておる。これは二十六年の十一月の三割と二割五分上げた場合。それから二十八年の二月に運賃をまた一割上げました。そのときには、二十八年の一月が九九で、改訂いたしました二月が一〇〇、三月、四月、五月、六月、七月とも一〇〇で、上っておりません。これが今までの実績でございます。しこうして、今後どうなるかという問題につきましては、各方面で議論されておりましたが、一割三分上げることによって、どういう品物にどれだけ影響するかということになりますると、最も運賃の比率の多い硫化鉄鉱で二%、セメントで一%、石炭で〇・七%ぐらいが非常に大きいのです。その他はこれ以下である。それから家計に及ぼします影響も、これは東京といなかとでは違いまするが、通信並びに交通での経費は家計のうちで、いなかで一・八%かあるいは東京で二%余りでございます。これは通信費を入れまして、それの一割三分ということになりますると、家計費からいえば〇・一、二%ということになるのであります。それならば、それだけでも影響するではないかということになりまするが、御承知通り、エンゲル係数から申し上げますると、昭和二十六年あるいは七年、八年と比べまして三十年、三十一年と非常にこのエンゲル係数が下って参りまして、私は輸送力の増強によりまして、品物を安全に、早く送るというふうにした方が国家経済のためにいい、こう考えておるのであります。  それから第一の問題の五点数十億円の鉄道工事費勘定が千六十億円にもなったら、それは資材の急速な需要を喚起して、そうして原材料の価格高騰を来たさないか、こういう御質問でございまするが、これは御承知通り国鉄あるいは一般会計の公共事業費等をずっと調べまして、重要資材について検討いたしました。鉄におきましては、民間あるいは政府を通じまして大体三割五分ぐらいの需要がふえて参りましょう。しかし、この問題につきましては、国内の鉄鋼の増産もありましょうし、あるいは輸出が国内にある程度向けられると同時に、輸入によりましてこれをカバーするつもりでございます。それから木材あるいは銅あるいはセメント、ガラス、こういうものにつきましては、国内に非常ないわゆる生産能力がございますので、私は、物資によりまする問題は鉄鋼だけでございます。増産というものでカバーできると考えておるのであります。
  109. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらに大蔵大臣にお尋ねをしておきたいと思うのですが、今のお話では、結局物価は上るものでも二%あるいはそれ以下になる、こういう見通しを考えられておると思うのです。しかし、もうすでに現実に鉄鋼、セメント等のいわゆる重要資材については、値上りを業者は予想しておる、これはすでに上っておる、こういうことが言えると思うのです。そこで、実は根本的な問題として、あなたにお聞きしておかなければならないのは、今までいわゆる政策運賃として国鉄運賃というものをきめておった。しかも、政府は低物価政策をとっておった。国民生活に影響を与えないように、国民生活の安定をはかるために、原価には合わないけれども、いわゆる運賃の値上げをできるだけ押えておる、運賃の値上げを行わない、こういう低物価政策をとっておったのに、今度は原価主義をあなたはとられた。独立採算制の名目によって原価に伴う、原価を補うための運賃の値上げをはかる、この考え方というものはどこから出てきたか、この点を明らかにしてもらいたい。
  110. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 誤解があるようでございますが、低物価政策は常に堅持しております。これは物価がなるべく上らないようにするのが、一つの財政経済政策の根本でございます。しかし、それにとらわれて輸送の隘路をこのまま拡大していくということはできません。昭和二十六年に三割上げ、二十八年に一割上げたゆえんのものも、私は常にディス・インフレで物価の上らぬことを念願いたして行なっているのでございますが、二十六年あるいは二十八年に三割上げ、あるいは一割上げたというのも低物価政策に反したわけではない、こういうようにした方が国の経済の発展に裨益すると、こういう考え方で行ったから、今日のような好況を来たしたわけでございます。私は今回の他上げに賛成するゆえんのものは、今後輸送のふえるのにマッチして、より早く、より円滑に輸送していくためには、この際その程度の料金の値上げはがまんしてもらう、そうして他の面で経済を発展さしていく、こういう考え方からでございます。
  111. 大倉精一

    ○大倉精一君 官房長が来られましたので、先ほどの……。
  112. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  113. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  114. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらに大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、先ほども申の上げましたように、五カ年間に約六千億もの膨大な工事予算というものを考えておる。しかも、一年度において千六十億になるところの工事予算を完全に遂行するためには、相当の私は要目貝というものを考えておかなければ、これは単なるテーブル・プランに終ってしまう、国民自体から考えれば、運賃は値上げされたから、それでは、実際の自分たちがあの殺人的な混雑というものから緩和されることができるのか、あるいは産業の発達に裨益するところの輸送力の増強ができるのか、滞貨の山がはけるのか、こういうことに実は期待を持つと思う。ところが、実際にわずか四十四万の国鉄職員でこれだけの膨大な予算額をもって、そうして完全なるところの工事というものが行われるのかどうか、あなたが国鉄の当局から、あるいは運輸大臣から折衝された際の大蔵省の考え方が、ただ単にいわゆる財政規模を縮めてできるだけサービス本位の考えでいくという形で実は要員というものを押えていこうという腹があったのではないか、こういう点について、大蔵省の端的な考え方というものを私はお尋ねをしておきたい。
  115. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 能率を上げます場合の一つの要件としては、やはり人員をふやさないということでございます。しかし、無理をしてふやさないとかえって非能率になりまするから、それはやはりもちはもち屡で、国鉄専門家の意見を聞きまして、これならまかなえる、しかし、そのかわり機械その他技術面での改良の費用は出しております。連結機とかいろんな点で機械化すべきものは機械化すべく予算を盛って参りまして、そしてただいまの陣容でできるとおっしゃるのでございますから、もっとおふやしなさった方がいいとは大蔵省では言わないのでございます。おまかせいたしておるのであります。  しこうして、この程度で五カ年間で完成できるかという御質問に対しましては、私の見るところでは、国鉄と同じように完成し得られます。しこうして、その五カ年間にいろいろの事情が起りましても、私はこの五カ年計画は、少くとも計画年度内に完成できるように財務当局としても、犬馬の労をとるつもりでございます。
  116. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵大臣はできるだけ財布のひもを締めて、がまぐちから出る金を押えようというのがあなたのお考えだと思う。だから、そういうことで運輸大臣なり、あるいは国鉄当局から申請のあった場合に、予算の編成の打ち合せをされた場合には、押えていこうと思えば、やはり当然関係省としては無理を言えなくなる、こういうことは出てくると思う。しかし、実際に国民のいわゆる期待にこたえるという立場に立てば、これが着実に実行できるという方針をとらなければ、いかにうまいことをいっても、それは絵にかいたもちになってしまう。つまり、いかに国鉄職員能率を上げるといっても、それだけの生活条件を与え、それだけの労働条件というものが伴わなければ、これは実際に行われない。現にあなたがいろいろな血を強調されておりますけれども、現にこれが会計検査院から指摘をされておる。私どもが決算委員会で討論をいたした中にも、国鉄工事関係については、どのくらいのいわゆる不当な支出、あるいはまた当然これが監督行政が充実しておれば、あるいはまた丁半の実際の測量というものが十分に行われれば、もっと予算が少くて済む、金が少くて済む、こういうことまで指摘されておるではないですか。それをさらに現存の人員で、そして倍以上にもなるところのこの工事を行わせるということについては、とうていテーブル・プランというもので、実際の計画というものは実行できないのじゃないか。それから全国どこへ行っても実際に一番いわれることは、ぜひ輸送力増強のために大きなそうした計画というものをやってもらいたい、しかし、それをやるためには、人が足りないということはどこへ行っても一致しておると思う。この点について、あなたが自信を持って、国鉄当局が、実は運輸大臣がやれるというのだから、特に大蔵省がふやさないでもいいのか、ふやせということは言えないと言うけれども、それならば運輸大臣に再度お伺いしておきたい。あなたはほんとうにこのことについて、大蔵省と折衝される場合に、大蔵大臣の言うように、これだけの膨大な資金というものを投入して五カ年計画を、修正五カ年計画というものを作るのに、一人も人をふやさなくていいのか、あるいはあなた自身は、幾人でもふやすことを大蔵省に申請したのか、また、ふやした計画というものを持っておるのか、この点をお尋ねいたしたい。
  117. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) これは真剣に相談しまして、これでやっていけると、こういうことで私ども、国鉄当局としての言い分を十分聞き、そしてこれはつまり合理化の線に沿う建前でこれをすべてきめたんであります。
  118. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  119. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  大蔵大臣は衆議院の大蔵委員会からも先ほどから要求があるのですが、私も一点お伺いしますが、この輸送力の問題が生産の隘路であるという決定版が出されてきておりまして、輸送力の増強というものが重点的に取り上げられたときに、国鉄当局が、輸送力の増強のために苦心せられた点というものは涙ぐましいものがあると思うのであります。第一に取り上げたのが、この合理化の問題だと思います。それと同時に、輸送力の増強のためには、政府の資金的な援助を仰がなければならないということで、政府当局と内面的折衝をしたのも私は事実であると思います。それが大蔵省によって、少くとも大蔵大臣によって押えつけられたのではないかという節が多分にあるのでございますが、その点に関連しまして、池田大蔵大臣は昨日の御答弁においても、運賃値上げは、一種のデフレを招くという説もあるというようなことを援用されて言われておりましたが、それは大衆の所得を運賃の形で吸収することができることを意味するのか、大衆が貯蓄を投資すると同じような形において、運賃面において吸収されることを意味するのか、運賃値上げは一種の間接税であります。池田大蔵大臣の財政政策の基本的な方向というものが、税体系を直接税より間接税の方向へ移行させようという傾向が非常に顕著になってきているのでありますが、そういう基本線からして、国鉄は二兆一千億の財産を持っている、借入金はわずか二千億にすぎない、だから国家財政の援助を必要としない、そういう見解の上に基本的に立って、今日におけるところの国鉄への国家財政の投融資、投資というようなものを組まれているのか、その点を詳細に明らかにしていただきたいと思います。
  120. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私、昨日申し上げたときにお断わりしておきましたが、衆議院の予算委員会におきまして、いろいろな予算審議をする材料として公聴会が開かれました。公聴会である方がこういう説をなしたということを言っておったので、私がそれに賛成したという意味じゃございません。これは衆議院の予算委員会におきましての参考人の意見として述べたのでございます。学説としては、そのコスト・インフレということよりも、民間資金の吸収ということになってデフレという意見も一、こういう考え方もあるということを言われたのは確かであります。私は必ずしもこれには賛成しておりません。しかし、一般には間接税を上げると物価高になるというのが一般の説でございます。  第二の、私が間接税中心主義にいって、直接税を軽視するという考え方は持っておりません。財政の進んだ議論としては、間接税よりも直接税が至当だということは、これは租税論としては昔からの説でございます。しかし、情勢によっては、間接税に力を入れろという考え方もございましょう。先般内閣におきまして、臨時税制調査会の方の大勢といたしましては、面接税をこの際うんと減らして、原糸課税その他物品の引き上げをやって間接税をふやすべきだという議論が出たようでございます。しかし私は直接税の方は減らしましたが、間接税の増収にはくみしなかったのでございます。こういう点から見まして、池田が間接税中心主義の租税論者と断定していただくことは迷惑でございまして、本会議で申し上げましたように、ただいまのところは、直接税と間接税に流通税を含みましてのいわゆる直接税以外の税は五〇%、五〇%になって、この程度が適当と考えていると申したのでございます。租税理論としての定説は、面接税中心主義が定説だと思います。しかし、経済事情の変化によりまして、ある程度間接税の方へ重みが行くのも実際面にはあるのでございます。私はどちらかといえば、租税体系は直接税を主にすべきものだと考えておるのであります。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一点だけお伺いしておきたいのですが、それはこの委員会でしばしば、国鉄輸送力の隘路を総合的に輸送政策の中では自動車の方に転移させる、こういうような政策が経済企画庁あたりでもとられて、これはまあずっと五カ年計画を通じまして、そういう形になっておる。ところが、一方で国鉄の運賃の値上げがされ、同時に、これと並行してガソリン税の値上げがされていると思うのです。ガソリン税の値上げがやはり自動車の運賃コストを引き上げる、こういう格好で、これは経営が非常に困難になってくる面が出てくると思うのですね。そうしますというと、現在の国鉄の隘路を自動車の方に吸収させるという面では、政策面から考えるとそこに矛盾が出てくるのじゃないか、ガソリン税の五千二百万円でしたかの引き上げの問題と関連して、今の総合政策の中で経済企画庁の立てている政策と、その点は矛盾を感ずるのですが、この点はどうでしょうか。
  122. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は、今の鉄道運賃と船賃とトラック運賃のこの関係につきましては、いろいろ微妙な点があろうと思うのであります。海上輸送は、外航船のみならず沿岸船の方も相当上ってきております。国鉄とアンバランスになっております。で、国鉄が今後、上りましたために、海上運賃との差額がどのくらいになるか、少くとも縮まっていくことは確かでございます。しこうして、国鉄運賃が上った場合に、ガソリン税が上らなかった場合には、これはまたトラックの方に参りまするが、その間の比率関係につきましては、まだ検討いたしておりませんが、大体つり合う程度じゃございますまいか。ガソリンの引き上げによりましてのトラックの採算もある程度悪くなると思いまするが、その点は十分検討しておりません。しかし、大体つり合いがつくのじゃないかと思います。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはまあまだその点が計算されていない、私のところにも今手元に資料がないんですが、運輸省はどうですか、そういう点について検討されておりますか。
  124. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 私どもがただいま検討しておりますのは、過日も申し上げましたように、まあいろいろな情勢を織り込みまして、運賃の情勢ももちろんありますが、その他道路の状況、船腹の状況、これと見合う大体この年率の増加率として、鉄道関係分担率が四分五便、自動車関係、トラックが一割、内航海辺が五分八厘、私鉄が二分七厘、平均五分五厘くらいの見通しを立てて、その結果、三十年度の配分に対して、三十五年度の配分ができてくる、こういうふうに考えております。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、私の聞いているのは、大臣にお答えいただきたいのですが、運輸大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  126. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいま政府委員からお答えした通りであります。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 経済企画庁長官にあとで聞きますから、これでいいです。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 官房長、おいでになりましたので、先ほど運輸大臣に申しましたが、端的に申しますから、端的にお答え願いたいと思いますが、前官房長の壷井氏のいわゆる越訴中に依願免職をされ、それから退職をして運輸省に関連する日本タンカーに入ったという、こういうようなことは公務員法違反じゃないか、違反であるかないかだけ、お答え願いたいと思います。
  129. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) お答えいたします。刑事事件に係属中の者を依願免職にしてもいいかどうか、その法的根拠いかん、こういう御質問と解せられますのでお答え申し上げますが、現行の法律並びに公務員制度におきましては、そういう者をやめさせてはいけないという規定は見当らないのであります。むしろ、そういった場合を予定いたしまして法律がございますのですが、それは国家公務員等退職手当暫定措置法、こういう法律がございます。これの第十二条によりますというと「起訴中に退職した場合の退職手当の取扱」という所でございます。「職員が刑事事件に関して起訴された場合において、その判決の確定前に退職したときは、一般の退職手当及び第九条の規定による退職手当は、支給しない。但し、禁こ以上の刑に処せられなかったときは、この限りでない。」刑に処せられるときにはこういうことでございます。また人事院の行政事例というものも、ございまして、各省からこういった場合は一体どう措置すべきかということを照会するものに対しての回答というのが、人事院行政事例というのがございますのですが、これによりますというと、起訴中の者も辞職を承認してよろしいという回答がございますので、それによったわけであります。  第二点の民間企業との関係でありますが、この問題は、国家公務員法第百三条の二項の問題だろうと存ずるのであります。それは「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事員規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」、こういう条文の関連においての御腰間であると解しますので、その点につきましては、一体、本人が在職いたしておりました国家機関と密接な関係があるがどうかという点につきましては、人事院が有権解釈権を持っておりますので、われわれは本人の申請がありますならば、所要の手続を人事院にとるつもりであります。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 人事院規則が何か知らぬが、これはこの公務員法の第七十九条によると、これは日本語をそのまま解釈するというと、刑難事件に関し起訴された場合は、休職にする、こうなっている、これとの関連はどうなんですか。
  131. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 第七十九条の問題でありますが、こういう場合には、本人の意思に反して休職をさせることができるという規定であります。従いまして、ただいまの具体的な事件につきましては、すでにこの処分をとっているわけであります。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ法律解釈はその辺にいたしましょう。私は公務員法違反だと思います。少くともその精神に反していると思います。そこで、問題になるのは、決算委員会におきまして運輸大臣はこういう発言をされております。「あの身分のままでは本人も生活保障ができないというような慕情でありますので、依願免官を許しましたが、しかし免官の結果、退職手当とがそういうものを全部辞退するようにしまして、本人の身分を、あまり気の毒だから解放した。」、こういう工合になっている。さらに、相澤君の質問に対して大臣はこういうことを言っておられます。「実はこういう処置に対してもそれほど特に壷井官房長を寛大に扱ってほかのをという意味はむろんありませんが、まあ事件の経過を聞きまして、こうこうこういう事情でどうも食っていけない、非常に気の毒だ、裁判はいつきまるかわからないというような事情を聞きまして、しかし、それを懲戒免官にすることはできないし、懲戒免官にならないということであるならば、恩給その他もらえるが、これはやらないように、まあ当時私は辞退を申し出たということを聞いたのですが、今聞くと、法的にやらないでいいのだという話もあるのですが、よく知りませんが、少くともそれは辞退をするということなんで、そういう実情ならということでやったわけであります。なお、ただいまの、ほかの問題につきましては、こういう同じようなケースがありますれば、この身分のいかんにかかわらず、これは考えてみていくことはわれわれその立場として当然のことではないかと、こう考えます。」、こういう発言をしておる。これは私は閣僚の一人として、いわゆる起訴をされた、あるいはそれに類する事件について、綱紀粛正運動を唱える政府として、こういう方針で臨まれるということであれば、これは非常に重大な問題であると思うのです。この方針がちゃんと公務員法にも書いてある。起訴中の者は「休職することができる。」、確かに「できる」、しなくてもいいと解釈すれば、それでもいいかもしれませんが、しかし、それでは免れて恥を知らず、こういうことになるのです。で、ここで問題になるのは政府の方針なんです。こういうような、御答弁のようなやはり方針をとっておられるのかどうか、重ねて念のためお伺いしておきます。
  133. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 方針といいますか、つまり個々の場合についてこれは考えなきゃなりませんけれども、まあただいまのようなケースは、もうすでに官庁の処置としても、社会的にもそれ相当な制裁というか、そういうものがとられたような形になっておりますから、その以後、個人の立場について非常な気の毒な個々の場合にはこれは考えてやらなきゃいけない、こう考えておる次第であります。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 先ほども言ったように、私情における人情、これは否定しません。否定しませんが、しかし、私情をもって公けをほしいままにするということはこれは許されぬと思う。少くとも信賞必罰、場合によっては泣いて馬謖を切る、こういうことがなければ、いわゆる綱紀粛正ということはないと思う。ここで私は、ただ運輸大臣、あるいは運輸省の問題ではなくて、政府の問題として、非常に重大な問題でありますから、一応この問題に対しまして、岸総理大臣の御所見を伺いたいと思いますので、岸総理大臣の御出席を要求します。
  135. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    午後四時三分速記中止    ——————————    午後五時四十二分速記開始
  136. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは速記をつけて下さい。  先ほど大倉委員から、岸総理大臣の出席要請がありましたので、正式文書をもってこの交渉を行い、与党の理事もまた政府側に向って交渉を行なったのでありますが、チリーの大使からの招待の席に総理大臣が出席しておられるので、この席にどうしても参れないという御返事がありましたので、この問題に関連しまして運輸大臣から発言がありますので、それによって御了解を得たいと思います。
  137. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 総理大臣が出席して直接お答え申し上げることのできなかったのは残念でありますが、決算委員会におきまして、総理は、今久保さんの御指摘になりましたことは、私はきわめて妥当でないと、こう考えます、これに対する各省の扱い等につきましては、十分一つ検討をいたしまして、今申しましたように、依願免官等の方法によって、起訴中の者がそれをやめて、あとで懲戒の余地がないようなことがだんだん行われるということは、これは望ましくないことと思いますから、これらについては、一つ最近の事情を十分に検討して、適当な処置を考えてみたいと思います。こう述べられております。これは現内閣のこの綱紀粛正についての主張から当然のことでありまして、私ももとより閣僚としてこの総理のお考え通り、また当然この綱紀の粛正ついては、厳正な態度をもって臨まなければならぬと思うわけであります。なお、今回のこの処置につきましては、十分に注意の足らなかったところもありまして、まことに行き届かない点は申しわけないのでありますが、私といたしましては、公私を混淆するような誤解を皆さんに与えましたことははなはだ遺憾でありまして、今後の扱いについても、十分に注意いたしますとともに、この本委員会における皆さんの御質問の御趣旨を体しまして、総理の申された通り、厳正に扱っていきたいと思います。どうぞよろしく……。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただいまの大臣の弁明によりまして、私はなお十分満足することはできませんが、内容とするところは、今回の処置は遺憾のところもあった、それから今後こういうことのないよう、信賞必罰にこれは変りはない、厳正にやっていく、こういうことでございますので、以後そのように一つやっていただきたい。少くとも国民の疑惑を招くようなことのないようにおやりになる、こういうことを私は信じまして、この際ただいまの大臣の発言で了承いたします。
  139. 戸叶武

    委員長戸叶武君) この際、農林水産委員長からの当委員長への申し入れがありますので、農林物資への影響について国鉄当局にお尋ねいたしますが、農林物資には生活必需品を含んでおり、これが値上げは一般国民生活に影響するところが大であります。従来この種物資については、国鉄割引を行なっているが、今回の値上げで、従来通りの割引を行うにしても、実質運賃は上り、従来割引していた意義を失い、国民生活を圧迫することを懸念するのでありますが、この点はどうなっておるのでありましょうか。
  140. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) お答え申し上げます。農林水産関係物資につきましては、今御指摘のございましたような点をも十分考慮いたしまして、特に今回の運賃改正の遠距離逓減制の改訂が、いろいろと各品目別に与えます影響がございますので、各品目別にこれを詳細に検討いたしまして、関係の御方面とも十分打ち合せをいたしました結果、そういう影響を最小限度に押えるように、従来の割引以外に特殊の割引の強化等を行いまして、十分調整をとって、御趣旨に沿うように国鉄で調整をさしてございます。
  141. 戸叶武

    委員長戸叶武君) その品目別の点が重要なのですが、そこのところを詳細に承わりたいと思います。
  142. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) それではただいまの政府委員の御説明を補足いたしまして、私から今回の割引措置についての内容を申し上げます。  現在割引いたしております農林水産関係物資は、この前の昭和二十八年の運賃値上げの際に、当参議院の運輸委員会の付帯決議でもってきめられたものでございます。七十数品目ございます。それらにつきまして、今回、先ほどの御説明通り、遠路離逓減の修正による影響が多少ございますので、次の通りこれらを強化することといたしました。六百一キロ以上一%増徴を最低といたしまして、最高二千三百一キロ以上六%、すなわち一%ないし六%の割引強化を各キロ別に行うという方法をもって、現在までの物資の割引の強化を行います。  さらに現在内地と北海道だけにおいて適用いたしております割引品目がございますが、これらにつきましても、内地相互間の割引を行うようにいたしましたものは、スルメ、焼きちくわ、畳表、農機具、下級塩干魚、ソバ、トウモロコシ、その他の豆、馬、バレイショ澱粉、以上の品目が現在内地・北海道間にのみ割引いたしておりましたものを内地相互間の割引に範囲を拡大いたしました。  さらに現在割引いたしておりません物資のうち、特に今回範囲を拡張いたしました物資を申し上げますと、福神漬、しょうゆ、ソース、菜種、カンショ澱粉、牛、ブタ、子牛、合単板、漁網、カンショ、切りぼしカンショ、農業、果汁——これはミカンのみでございます。養蜂設営具等につきましては——現在の割引。鵡川以外の品目でございますが、これらにつきましても、先ほど申しました率の割引を適用することといたします。以上でございます。
  143. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 関連してちょっと。そちらに委員長からの質問がありますか、あればあとからでもけっこうですが……。
  144. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  145. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  146. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 今の営業局長の御説明ですが、農林物資とありましたが、材木、原木、製材、坑木材とか、薪炭、またバルブ、坑木等についての御説等も承わりたいと思います。
  147. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 木材、薪炭、坑木等につきましては、現在の七十一品日中にこれらが含まれておりますので、現在の割引率に加えまして、先ほど申しました一%ないし六%のプラスの割引をいたすということでございます。
  148. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 八百ないし千キロの点も御説明の中になかったのですが、それをちょっと速記録にとどめておきたいと思います。
  149. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 六百一キロ以上が一%、八百一キロ以上が二%、千一キロ以上が三%、千二百五十一キロ以上が四%、千六百五十一キロ以上が五%、二千三百一キロ以上が六%、以上でございます。
  150. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 国鉄では鉄道、船舶、自動車、各部門ごとに独立採算をとっておるようでありますが、昭和三十二年度予算、収入三千二百九十四億円は各部門収入の合計となっておりますが、この中において、いずれがひどい赤字になっているか、特に自動車のごときは赤字がはなはだしいということも言われておりますが、一割三分の運賃値上げによって、そういう赤字の穴埋めに使われるんじゃないかというような印象も世間に与えておりますが、この関係の御説明を願います。
  151. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 独立採算制と申しましても、これは国鉄全体の収入の中で各部門ごとに原価計算をやっておりますが、特に自動車につきましては、その経営上の合理化をはかるために、内部的には独立採算制を行なっております。これにつきましては、年間約十億程度のまあ赤字という格好にはなっております。しかしながら、最近非常に輸送量も伸びました。かつまた、経営の合理化も徹底いたしましたのとあわせまして、来年度におきましては、これをほとんど半減する程度の努力が見込まれるのでございまして、今回の値上げの結果がそちらに回るというようなことにいたさないようにいたしております。
  152. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 政府は将来の自動車運送、主としてトラック運送と国鉄の貨物運送、この関係をどう見ておられるか、特にこの小口貨物運送との調整をどう考えているか、この点を承わりたいのでありますが、トラックによる荷物運送は上昇の傾向をたどっております。特に小型トラックの利用がふえております。八〇%は自家用トラックであるとまでいわれております。それに対して、今回鉄道は小口貨物の取扱いについて、集荷、配達つき賃率を新たに設けたり、現行トン扱い貨物の運賃を小口扱い運賃の一割引として計算するような訂正をしたり、普通運賃と五割増賃率との間に新たに二割増賃率を設けたりしているが、これは国鉄がトラックの運送に対抗的意識をもってやっていられるようにも見受けられるのでありますが、こういうような対抗意識でトラック対策をやっても、自動車運送の成長は自然の勢いでありまして、もはやそういう小手先な対策では役立たないような段階になっているのだと思うのでありますが、このことは、政府の根本的な交通政策とも関連がありますので、国鉄として、どういうこれに対する基本対策を持っているかを承わりたいと思います。
  153. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) この国鉄の貨物とトラックの貨物との輸送調整につきましては意を用いているところでございまして、まあ全体的にも、先ほど申し上げましたごとく、国鉄の年率増加率は四分五厘と見ておりますが、トラックの増加率は、いろいろ道路の発達あるいは荷物の姿、その他自動車の進歩によりまして、一割と見ております。特に御指摘の小口関係につきましては、この鉄道によるべきものと自動車によるべきものとの調整を考えておりまして、大体今お話しになりました普通の小口のものにつきましては、近距離のものはこれはトラックで参る。で、今集荷、配達のつきます小口、いわゆる宅扱いでございますが、これは実は輸送距離が相当長うございまして、四、五百キロにも及ぶものでありまして、これはまあトラックの輸送分野から申しますると、まあ比較的影響の薄い方でありまして、一般の短距離の小口については、今回の改正でも賃率等はトラック転移も考えて構成してございます。一般に見まして、何と申しますか、重複した輸送力の競争ということは考えておりませんのでございます。むしろ調和のとれた分野、分野における正当な姿に持っていきたい、特に今後はまた共同輸送というような問題も現在進行しておりまするので、この点において、今回の運賃改正におきましても、この点には十分配意が加えてあるつもりでございます。
  154. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 鉄道郵便車料金はどうなっておられるか、鉄道郵便車の国鉄収入は十八億円だというふうな大蔵省の説明でありますが、二十六年、二十八年の運賃値上げの際にも、郵便料金の値上げが問題になっておりますが、それと関連がありますので、その御答弁を願います。
  155. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今御指摘に相なりました郵便単の料金、これは法律的に申しますと、郵便物運送委託法という別個の法律がございまして、これによりまして運輸大臣が郵政大臣と協議して定めることに相なっております。で、現在の郵便関係国鉄に入ります料金は、大体年額十六億でございます。この点につきましては、直接今回の御審議を願っております国鉄運賃法とは関係がございませんが、今後においては、この郵便車の運送料を幾らにいたすか、現在一車一キロ七十一円でございますが、これについては、両者の間で今後において相互に打ち合せをいたしたい、かように考えております。
  156. 大倉精一

    ○大倉精一君 せっかく行管長官おいでになっておりますから、時間が超過しておると思うのですが、せっかくですから一言だけお伺いして、私の質問を打ち切りたいと思います。  今、国鉄が非常に危機に瀕しておる、これを直さなければならぬというので、運賃値上げが出てきたわけでありまするが、国鉄のこの荒廃、あるいは輸送の逼迫ということは、単に国鉄ばかりでなくて、日本の輸送全体の問題だと私は思うわけなんです。そこで、私としては、国鉄が今日のように逼迫してきた、危機に瀕したということは、これは日本の交通政策自体に問題があるのじゃないかと私は考えるのであります。すなわち鉄道、軌道あるいは道路、船舶、航空、こういうものが昔と違った形でもって発達をしてきまして、当然交通政策もこれに順応してやらなければならぬと思っておるのであります。ところが、現在運輸行政を総合的に一元化する、こう申しましても、各省ばらばらな形でもってこの行政が行われておる。たとえば自動車にしましても、道路関係は建設省でやる、あるいは自動車を買うのは通産省、あるいは免許は運輸省、取締りは警察であるというような、ばらばらな格好で行政が行われておる。あるいはまた現に地下鉄の免許は一体どっちでやるのか、運輸省でやるのか建設省でやるのか、これも解決されていない。道路の下を通る地下鉄は、これは道路とみなして建設省がやり、道路をはずれた地下道は、これは道路じゃないから運輸省がやるのだというようなことでもって、ばらばらな状態になっておる。従って、日本の交通というものが、将来の日本の産業経済の消長を左右する重大な問題であると私は思うのですが、この際、日本の交通政策というものを根本的に再検討する、立て直す、具体的に計画し、科学的な検討をもって再建をしていくという総合的な計画でなければならないと思いますが、これについては、やはり窓口を一本にする、そういう窓口を一本にするような機構、組織を作ることがぜひとも必要じゃないか。たとえば交通省を作るとか、そういう工合に交通関係の機構というものを再検討しなければならぬと私は思います。これに対しまして、長官はそういう問題に対しまして検討をされたことがあるか、あるいはどういうようなお考えを持っておられるか、あるいはさらに将来どのようにしようという抱負を持っておられるか、この際、承っておきたいと思います。
  157. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) ただいまお尋ねのございました交通行政を一本にして、交通省のようなものを作ったらどうかということでございますが、実は、目下、鳩山内閣の末期において作りました機構改革案が衆議院に提案になって継続審議中であります。これについては、いろいろの議論が存在いたしておりまして、なお今政府と党との調整をしておるのであります。そのときに提案した中に、内政省の設置という問題がありました。これは建設省と自治庁の合併を主眼とした案であります。これを作るときに、委員諸公の間に、やはり交通政策を一本としたらどうかという意見が起ったそうであります。ちょうどあなたの言われる交通省設置という問題だと思います。そこで、これをどういう工合に扱ったかと聞いてみましたところが、まず第一番に、内政省の設置を急ごう、その次に、あとの第二の問題として、交通問題を取り上げようということになって、そのままになって回されて交通省の問題に触れなかった、これがこの前の機構改革の審議のときの実況であります。  そこで、私はどう考えるかと申しますのでありますが、こういう経過から考えて、一つの案とは思います。統制をする、調整をするということは一つの案と思います。しかしながら、今日この通路行政その他の交通の問題は、これはなかなか、歴史を持っておる、長い歴史を持っておる。たとえば例をあげてみますると、道路問題にしましても、御承知通りこれは内務省の道路局が主管しておる、内務省から建設省へ移って、建設省ではこれを今主要な事務としておるのであります。今直ちに道路だけとって建設省に持っていくということは、これなかなか運輸省としてもすぐ放しますまい。たとえばこの問題になっております自動車道路の問題、これを見ましても、運輸省と建設省がなかなか争って、これは争ったことがいいか悪いか別問題として、とにかく長く争っておって、ようやくこの議会にまとまったというような次第で、これはなかなか問題が複雑になって参ると思うのであります。ただいまの心境としては、これは慎重に研究して解決すべき問題であると存じまして、今日の実際の状況として、まだ結論が、この場において申し上げる程度に達しておりません。これが偽わらざるほんとうの話であります。
  158. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも最後の質問としてはわからぬような格好ですが、長官さようなことが必要であるとお認めになっておりますかどうか、その点だけをお伺いしておきたいと思います。
  159. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 必要であるといえば、これはもう賛成という議論になってしまいます。まだその域まで達しないのです。そういううわさなり、話が機構改革の際に起ったのは事実であります。まだ結論に達しません。残念ながら結論に達しません。
  160. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  162. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  163. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、今回の国鉄運賃値上げについては、日本社会党の立場から、根本的に反対であることを明らかにいたしまして、次の諸点について反駁をいたしていきたいと思うのであります。  今回の国鉄運賃値上げに対する政府の提案によりますというと、第一は、資産の健全化輸送の安全化を確保するため、老朽施設車両を更新し、信号保安設備を強化する。第二としましては、神武天皇以来の好景気のために、急激に伸長する輸送需要に応ずるよう輸送力の増強をはかる。第三といたしましては、経費の節減を行い、サービスの改善、設備の近代化を推進すると言われておるのであります。  以上のために、当初、昭和三十年十二月に政府の樹立いたしました経済五カ年計画を修正をいたし、総額五千九百七十億、すなわち六千億にもなんなんとする莫大なる投資を行うのでありますが、この投資によって、殺人的なる混雑が緩和され、しかも、廃業の発展に伴うところの滞貨の処理が可能であるかどうか、今日まで質疑の中で明らかにされたごとくに、わずか二%ないし三%の緩和しか行われないのであります。しかも政府は今回の一三%の値上げでは、この程度の運賃の値上げでは、物価に対しては影響がない、物価は上らない、また家計の負担にもならないと強弁しておるのでありますが、政府がいかに答弁によってわれわれをごまかそうといたしましても、現実に物価が上昇しており、また上昇への傾向をとっておることは間違いがないのであります。すでに、鉄鋼においてはトン当り二・二%、約四百円、石炭においては二%、九十円から百円、セメントにおいては二%、二百円、重電機機械等二%ないし四%の値上りを見込まれ、あるいはまた電気料金もすでに四月一日から約二割の値上げが起きておるのであります。また今次予算の中で、政府の提出しておるガソリン税あるいは軽油引取税等の値上げが行われるならば、物価のインフレ的傾向は否定すべくもないのでありますが、国民大衆には、一千億の減税という名目で宣伝これ努めておるのでありますけれども、国民生活の圧迫がますます増大することを考えなければなりません。今回の国鉄運賃価上げは、最も取りやすい国民勤労階層よりの大衆収奪をねらっておるのでありまして、国民階層九八の働く勤労階級の資金によって、わずか二%の独占企業、大資本に対するところの奉仕以外になく、岸内閣の性格である反動政策を露骨に表わした代表的なものと断定せざるを得ないのであります。  第二といたしましては、政府の総合交通政策の一貫性が欠けておるということであります。国鉄の運賃値上げを行い、若干の輸送力の増強をはかっても、運輸機関相互間の輸送調整、海陸空の輸送の適正分野等の十分なる施策がこれに伴わなければ、輸送力の隘路の打開は断じて行われず、国民の期待に反するのであります。  第三といたしましては、国鉄の公共企業体としての性格が薄れて参ったことであります。戦前天皇制、軍閥のもとに酷使されたところの施設車両また戦後の米軍占領下におけるところの国鉄の被害は、今やその極に達しておるのであります。こうした戦前、戦後を通じての酷使が国鉄輸送力を減退したのであります。辛うじてこれを維持し、今日までこの苦難な道を維持して参ったのは、国鉄労働者の愛国的な努力のたまものであると思うのであります。そのために、国鉄労働者の労働強化はその極に達しており、かてて加えて低賃金の生活は全く目をおおうものがあると思うのであります。国鉄労働者の現状は、全く辛うじて精神力によって維持されておるからこそ、世間から批判されておったいろいろな突発事故の起きるのも当然であると思うのであります。まことに国民諸君から信頼をされ、あるいは愛される国鉄を作るためには、国鉄労働者の労働条件、給与条件の改善こそ第一であると断ぜざるを得ないのであります。しこうして、真に国鉄の公共性を考えるならば、お前たちは働けばよい、命の縮まるまで酷使してやるぞと、その働き出した資金によって新線建設なり、あるいは老朽施設の改善を行うというような方針をやめて、国家の総合交通政策の見地より、国鉄に対するところの出資及び融資、すなわち国の責任においての財政投融資を行う、その上に立って不足する場合においてのみ値上げを行うならば、国民諸君も決して不満を言うものではなく、了解するものと思うのであります。従って、政府は固定資産税及び新線建設に対する資金の投入、公債に対する利子補給等を行うとともに、支払準備金の預託金に対しては、当然利子をつける必要があると思うのであります。  第四は、この年間一千億以上にも及ぶ莫大なる工事経費をもって飛躍的なる業務量の増大に対応するにもかかわらず、要員措置の考えられていないのは、単なるテーブル・プランに終るおそれのあることはもちろん、国鉄労働者の労働強化を策しておるとともに、この莫大なる工事経費を特定の指名を行い、民間に発注せんとすることは、ますます独占事業を利するとともに、国民よりの疑惑をますます深めるゆえんであると思うのであります。すなわち決算委員会において指摘せられたるごとくに、目の届かざるところの不当なる支出、不正の行われる根源がここにあると思うのであります。綱紀粛正をいわゆる表看板といたしました岸内閣ではありますけれども、こうした莫大なる予算に疑獄、汚職の根源の発するゆえんがあると私どもは思わざるを得ないのであります。  以上のごとく、今回の運賃値上げは輸送力の増強の美名に隠れ、また一千億減税の羊頭狗肉の策でもって、弱い勤労大衆を多数の力、権力をもって、独占資本に奉仕させるための策略であるとともに、ますます合理化を促進し、国鉄労働者の低賃金、労働強化をはかるとともに、国民生活の圧迫が行われるのでありますから、断じて許すわけには参りません。  以上をもって、私ども日本社会党といたしましては、今回の国鉄運賃値上げには心から反対をいたす次第であります。以上であります。
  164. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 私は、自由民主党を代表して、本法案に対し賛成の討論を行わんとするものであります。  賛成の第一の理由は、次のごとくでございます。国有鉄道は御承知のように戦争中の酷使と戦災による荒廃から十分に立ち直らないまま、戦災によって大都会から地方の中都市に至るまで、都市から近郊に追い出された勤労大衆の通勤客、これのかつて見ない大群、それから経済復興に伴う旅客貨物の激増を低運賃のまま処理せざるを得なかったのでありますから、そのために老朽施設の取りかえがおくておったのであります。また輸送方式にいたしましても、動力にいたしましても、これの近代化は大へんおくれておりまして、動力の主力をなすものは、熱効率がわずか一〇%以下の蒸気機関車が主力であります。これの電化、ディーゼル化はサービスの改善、経営改善の見地から急を要するものであります。また最近わが国の経済の拡大過程におきまして、御承知のように、三大隘路の一つとなったこの輸送難を切り開いて、鉄道輸送力の拡大強化をすることこそ、国家として急を要するものであります。今回これらの諸点を改善せんとする意図のもとに五カ年計画が策定されまして、これの実行を企てておるのであります。これの一日も早い完成は、わが国経済にとって必要喫緊のものであります。そしてこの五カ年計画を遂行する所要資金の一部として、政府出資あるいは借入金のみにたよらず、すなわち、これは納税者の負担あるいは将来の利用者、これだけにたよらずして、現在の利用者の負担として運賃値上げが提案されたのでありますが、私は、これに対しまして、この程度の運賃値上げは適切妥当な措置として賛成をするものであります。すなわち五カ年計画を遂行する見地から、適切妥当な措置として賛成するのであります。   次に私が申し述べたいと思いますのは、現在の国鉄経営状態は非常に健全性を欠いておるのではないかと思うのであります。それは、いわゆるこの運賃は輸送の対価でありまして、原料高の製品安、こういう関係になっておるのではないかと思うのであります。その一例をあげてみますと、昭和十一年に比べますと、国鉄が必要とする資材、これの価格の指数を見ますと、どうしても今国鉄が必要とする資材である石炭につきましては、昭和十一年を一〇〇とすれば、約五〇〇、五〇〇以上の指数になっておるのでありまして、同様に鉄鋼、まくら木、セメント等は、いずれも三五〇から四〇〇をこえておるのであります。一方、国鉄運賃はどうかと言いますと、改正しない現在では、旅客において一二〇、貨物で一六七であります。本案の値上げが実施せられても、旅客が一三五、貨物が一八九となっておるのでありまして、これを見ましても、先ほど申しました原料高の製品安、こういう現象になっておるのであります。でありますから、この際これでしからば妥当かと、この見地から十分かと申しますと、十分ではないが、いろいろの関係がございますので、せめてこの程度の運賃値上げは必要ではないかと考えるものであります。  第三に、交通政策上の見地から私は本案に賛成をしたいと思うのであります。と申しますのは、国民経済における輸送におきましては、自動車、鉄道、船舶、航空、この四つの輸送機関がございますが、この間に適切な調和がとれておらないといけないのであります。ところが、これも戦前に比べてみますと、運賃の関係で、戦前は鉄道運賃と内航の船運賃とを比較しますと、鉄道運賃は船運賃の約二倍、現在ではそれが逆に船運賃が鉄道運賃よりは五割ないし十割高くなっておるのであります。トラックにおきましても、戦前に比べて——戦前というのは昭和十一年でありますが、これに比べて、やっぱり三倍近くの差ができておるのであります。こういうような状態でありますから、本来なれば、船なりあるいはトラックなりで輸送さるべきものが鉄道に集中いたして参りまして、そうして現在の輸送難を来たしておるのであります。こういう意味合いにおいて、今回の措置におきまして、完全とは言いませんが、この輸送調整の見地から私は賛成すべきものと考えるのであります。  以上の諸点によりまして、私は本案に賛成をしたいと思うのでありますが、なおつけ加えて、この運賃を上げるとインフレになるという説が、今回の審議の過程にございましたが、私はいささか見解を異にするのでありまして、現在のように滞貨が二百五十万トンもあるような状態では、むしろこのままでいく方がインフレになるんじゃないかと思うのであります。と申しますのは、輸送の困難によりまして、ある場所にある種類の物資が欠乏いたしまして、かえって値上りを生ずる、ところが、今回の五カ年計画の遂行によりまして、輸送が緩和されますと、かえって物資の供給を円滑にいたしまして、そうして値段が上らないで済むというようなことになるのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、今回の措置は適切なものと考えられるのであります。  最後に、私は政府並びに国鉄に要望したいと考えますことは、国鉄経営合理化の問題でございますが、国鉄は従来経営の合理化を熱心におやりになっておりまして、相当の成果を上げていると思いますが、なお観点を変えて、この経営の合理化を一そう強化されまして、そうしてそれによって今の五カ年計画、これを年次を過ぐるに従って拡大、拡張して実施され、そうして今隘路となっている輸送の打開に努められんことを要望いたしまして、私の賛成討論にしたいと思います。以上であります。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に反対するものであります。  政府と国鉄当局は、今回の運賃値上げの理由として、当面する輸送の隘路を打開するため、いわゆる修正五カ年計画を作成し、これを行うための自己資金を捻出するため、やむを得ず一割三分の運賃引上げを行うものであると説明しております。しかしながら、今国会の審議を通じて明らかなように、この国鉄五カ年計画は、第一に、国民大衆の大きな負担と犠牲、国鉄労働者の労働強化というものに依存するところの全くの官僚プランであるということであります。すなわち、一三%の運賃引き上げによって行われるところの五カ年計画の最終年度において、旅客が三九%、貨物は三四%の輸送量を増加し、サービスも大いに向上するということを宣伝しているのでありますが、実際はどうでありましょうか。たとえば、私は、これを今次五カ年計画の目標の一つでありますところの通勤輸送の緩和にとってみますと、この中で東京周辺、大阪周辺の通勤輸送の緩和について、政府は宣伝をいたしているのでありますが、これに使われておりますところの資金は、約六千億の膨大な資金のわずかに七%にすぎません。そうして現在二千五百両動いておりますところの、たとえば東京周辺の場合をとってみますと、初年度車両の増強がわずかに百七十八両という数字でございます。五カ年の経過を見ましても、これによって緩和される量は、わずかに二〇%から三〇%にすぎない。一方、現在山手線あるいは中央線の混雑率を見ますと、三一四%、あるいは二八〇%というような、まことにわれわれが経験する殺人的な混雑率を示しておるのであります。このような中におきまして、通勤輸送がわずかに二割から三割の緩和をされるにすぎない。しかも運賃は引き上げられる。国民の乗客の中には、運賃に引き上げも、ある意味ではやむを得ないかもしれないが、もし現在の混雑が緩和されるならば、それでもまかなうところがある、こういうふうに考える向きもあるかもしれませんけれども、初年度から、今申しましたような貧弱なプランによりましては、全く焼け石に水にしかすぎないのであります。これでは現在のラッシュアワーはほとんど緩和されないといった実情であります。このような形で、しかも、最も収益を上げている線区におきましても、乗客の九九%を占める三等旅客に対しまして、しかも、定期券は割引率を下げた結果、一三%どころではなくて、二〇%から四〇%というような高率な運賃を引き上げられる所も出てくるのであります。これが政府並びに国鉄当局の言う運賃値上げに伴うサービス向上の実態であります。また一方では、貨物運賃は巨大な利潤を上げている。大口独占貨物である上石炭や鉄鋼などの鉱工業生産物に対しましては、数々の特典を設けて、優先的に輸送と運賃の割引を行いながら、しかも、低い引き上げ率となっております。他方では、米、まき、木炭、鮮、などのように、運賃が物価に与える影響の比較的大きい農漁民や中小企業の生産物や、国民の生活必需品に対しましては、不当に高い運賃引き上げを行なっているのであります。このように三等旅客、中小生産者、農漁民の犠牲によって輸送力増強をはかりながら、政府と国鉄当局が打開するという隘路は、独占物資の輸送のための隘路であって、通勤輸送や生活必需品輸送の隘路でないことが明らかであろうと思うのであります。しかも、資金計画によりますと、政府は政投融資計画で、電力、海運、道路、航空等の独占企業に対しましては、明三十二年度予算におきましても、総額九百五十六億という膨大な、投資を行いながら、国鉄に対しては、輸送隘路の打開ということを予算編成の重点にあげておきながら、わずかに八十億と、前年と全く同額の融資を行なっているにすぎないのであります。輸送力の増強は、これをあげて運賃によってまかなわなければならないという態勢になっておるのであります。先ほども池田大蔵大臣が出て、これに対する説明があったのでありますけれども、戦争中、臨軍費あるいは一般会計から国鉄に繰り入れられたところの金は、現在の貨幣に換算しますと、当局の資料によりますというと、約二千六百五十億という莫大なものであります。しかるに、戦後昭和二十三、四年ごろに、政府はわずかに三百億程度の融資をしたにすぎないのでありまして、多年このような形で、国鉄に対しましては大衆転嫁、大衆負担を建前として経営されてきたのであります。このように、輸送力増強を一切国民負担にまかせている理由は、一つは、電力、鉄鋼、石炭その他の独占資本にとって、他の隘路部門のための莫大な資金を集中すること、そして国民大衆からしぼり取りやすい部分には政府の金を出さないという一連の政策の結果であります。それだから国鉄には政府の金は出されず、どうしても国鉄を利用する大衆からその収奪をやむなくせざるを得ないということは、さきに申し述べた通りであります。  次に、私の指摘したいことは、この五カ年計画によって、国鉄職員の労働条件は非常に悪化するということであります。政府、国鉄当局は、輸送の増強に伴う経費は設備の近代化、合理化によって生じた人員配置転換することによって充足できるものとして、五カ年計画には一名の要員増加も見込んでおりません。国鉄は昭和二十六年以来、一名の増員もなく、労働強化の上にたよって今日の輸送力増強を行なって参りました。さらに今回の五カ年計画におきましては、旅客三九%、貨物三四%という大幅な輸送力増強を計画しながら、一名の増員もこれを予定していないのであります。これではそのしわが一切どこに寄せられるかということは、あまりにも明らかであろうと思うのであります。しかも、この五カ年計画の中では、一銭のベース・アップも考慮されていないのであります。十河総裁さえ、日本の国鉄職員は人間の能力の限界以上に働いて、世界に誇るべき能率を上げていると言っておるのであります。しかし、これはこの委員会でも明らかになりましたように、これは誇るべきことであると同時に悲しむべきことだという、総裁の言明の中にもはっきりしておると思うのであります。  また現状の輸送状況を見ますというと、たとえば北陸線に現われましたように、現在、昨年十二月改正されましたダイヤさえ、これは正常に運転できない。つまり単線区間におきましては、一日八十回という列車回数という限度を割って中には百をこえるというようなものすごい状態さえこれは出ておるのでありまして、こういう事態の中にも人員の増がないということは、  一体何を意味するか、国鉄五カ年計画輸送力増強の要素としましては、線路の状況車両の増強、これと並んで三本足の一つであるところの労働者、労働力の増強ということが、当然これは明らかにされなければならない問題であると思うのでありますが、このたびの計画によりましては、三本足の中の一つ、しかも、最も重要な一つでありますところの労働力の増強がなされていないところにおきまして、この欠点を最も暴露しておるということを私は申し上げなければならないのであります。  また保安対策を見ましても、これはこの委員会でも明らかになりましたように、幾分の、わずか一%そこそこの経費を捻出いたしますけれども、その結果は依然として労働者の注意力によってまかなわなければならない、むしろ労働強化を来たすような形で示されておるのであります。しかも、乗客に対しましては、運賃引き上げを行えば、あすからでもサービスがよくなるような宣伝をしておるのであります。これでは国民大衆の国鉄に対する不安は、一そう国鉄職員の方にのみ向けられることになるでありましょう。こういうようなやり方に対しましては、国鉄労働者が不満を抱き、要求を出して立ち上らざるを得ないのは当然であります。これに対して政府、独占資本は一斉にマスコミを展開し、運賃引き上げに対する国民の不満を国鉄労働者を国鉄労働者に転嫁し、ますます労働条件を悪化し、低賃金で押えつける口実にしようとたくらんでおるのであります。このような要員を増員しないというやり方は、五カ年計画工事施行の面にもはっきりと示されておるところであります。当局は年間一千億以上に及ぶ国鉄始まって以来の大工事を起工しようとしながら、しかも、高度な技術と訓練を要する非常に困難なこの仕事に対しまして、要員は一名も増員しない方針をとり、外注によってこの問題を解決しようとしておるのでありますが、何よりも輸送の安全を第一としなければならない国鉄におきまして、みずからその工事起工の責任を負おうとせず、業者に工事の一部をゆだねるというやり方は、絶対に許されないと思うものであります。これでは輸送の安全は度外視されていると言っても過言ではないと思うのであります。  以上申し述べましたように、国鉄五カ年計画は非常に不安定な、科学性のない机上のプランであると私は申し上げなければならないと思うのであります。計画のずさんなことは、たとえば例を引きますけれども、原案の一八%の値上げによりましては、国鉄の収入は五年間に一兆五千三百五十七億というふうに最初は計算されながら、それが二五%に下ると、反対に収入は一兆五千七百五十二億にはれ上り、さらにこれが一三%になりますというと、これが一兆六千百六億というふうに逆比例をとっておるのであります。これでは一〇%に下げ、五%に下げればもっと国鉄の収益は上るのであり、運賃値上げをしない方がむしろ大きなもうけになる、こんな国鉄数学がここに出ることになるのでありまして、こういうやり方は、まことに逆算の方式によりましてつじつまを合せるところのプランとこれはいわなければならぬと思うのであります。  第二には、このプランは、非常に動揺性の大きいものである。昨年の八月の計画によりますというと、電化、ディーゼル化を進めるというような方向をとられたのでありますが、これに対して、またその後修正を行われ、線路増強、車輛の増強というような方向を幾分とっております。さらにまた一方におきましては、東海道の高速度化——三時間半にするところの高速度化、このためのまた資金計画その他のいろいろな計画考えますというと、当然ここには今後の計画に対しまして大きな大修正を加えなければならない事態が発生するということは、今からでも明らまであると思うのであります。なお一方、高速度道路開通に伴うところの自動車との競争の問題、あるいは航空輸送との競争の問題、絶えずこのような影響を受け、その影響下においてこのような計画が動揺せざるを得ないと思うのであります。しかも、このたび示されました計画は、まことに片々たる冊子にすぎないのでありまして、これに対する具体的な計画というものは非常に乏しいのであります。鉄鋼、あるいはセメントあるいは木材における資材をどうするかという資材入手の計画、あるいはまた線路増大に伴うところの膨大な用地の問題、この用地の問題を解決するためにも、これは大へんだと思うのであります。  さらに、私はこの点について、時間の関係から実は質問をこまかにすることができなかったのでありますけれども、京浜線と山手線とを分離することに要する用地は、国鉄に保有されたところの、もともと国鉄所有の用地であり、しかもこれが、そのような国鉄が必要とするときには、直ちに返還するという条件をつけておりながら、これを解決するためには三年間も日子を費した、この一事の例をもってみますときに、膨大な面積を必要とするところの用地の問題は、一体今後どうなるのでありましようか。電源開発用地、比較的補償の高い、しかも、山間部におきましてさえ、この用地の問題の解決は困難をきわめております。しかるに、国鉄用地の場合は、これは重大な問題をはらんでおると私は言わざるを得ないのであります。この点に対する計画については、何ら具体的に承わることはできないのであります。  また資金の関係、労働力の関係、こういうものにつきましては、大略先ほど申し上げましたので、省くのでありますけれども、総合的に考えますときに、この五カ年計画の前途には非常に幾多の困難、幾多の不明瞭、幾多の非科学的なものが存在すると私たち考えざるを得ないのであります。さらに、この輸送に伴うところの電力、鉄鋼、石炭との関連、こういう問題もばらばらに考えられているのであります。総合的な交通政策が全く確立されていないと言っても過言ではない。三十二年度予算におきまして、また政府の経済計画についてみましても、このことは何ら、いまだ立案が明瞭な形で示されていないのでありまして、総合的な五カ年計画の一環として、明確な計画の形でもって打ち出されていないのであります。このことが今日の輸送の隘路と言われるものの大きな原因となり、また今後幾多の要素によって困難をきめるのであろうと思うのであります。  以上のように、修正五カ年計画は、全く独占資本本位のものであって、国民大衆に奉仕するものではなく、日本の産業経済の正常で均衡した発展に寄与するものではありません。従って、このような計画は、労働者階級はもちろん、国民の支持と協力を受けることができないばかりか、現実性、科学性を非常に欠いたものと言わなければならないのであります。われわれは、このような修正五カ年計画を行うために、一方において大衆負担、労働強化によって行われるこの運賃値上げの法案には反対せざるを得ないのであります。真に日本経済の平和的発展と、国民生活に役立つ輸送力を増強するためには、まず第一に、政府がアメリカにますます軍事的に従属して、独占資本の利益を増すような、このように国民と無関係な政策をやめることであります。そうしてこのような大事業を実現するためには、労働者はもちろん、広範な国民大衆の支持や協力のもとに、産業経済の平和的、均衡ある発展の方向で総合的な交通政策を確立することが何よりも必要であると思うのでありまして、われわれはこのような国民のための国鉄を建設するために、今後努力いたしたいと考えるものであります。
  166. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私は、緑風会多数の意見に基きまして、今回の国有鉄道運賃の改正に賛成の意を表し、討論を行わんとするものであります。  それの理由の第一は、運賃は物価の一種であるということであります。で、物価である以上、これはできるだけコストを償うものに近いものでなければならない。同時に他の物価、あるいは他の交通機関によって行われる運賃等と均衡のとれたものであることが非常に必要になって参る、かように私は信ずるのであります。で、運賃は低いほどいい。低く押えて、足りなければ、政府の資金をもってこれをまかなったらいいという説もあるわけでございましょうが、私はそういう点からできるだけ運賃というものを、経済的分野においてこれを見る、そうしてできるだけ、いわゆる財政的見地の扱いから遠ざけるというのが、合理的な措置ではないかと考えるのでございまして、政府資金をもってこれをまかなうという説に、どうしてもくみすることができないのであります。この点は、特に先ほどから反対の討論にございましたように、国鉄は、戦争中多額の臨時軍事費というものに繰り入れた、これはその当時の日本全体としてはやむを得なかったことかもしれませんが、いわゆる国営の鉄道であった当時は、ともすればこういったせっかく特別会計として設けられた美点、長所を無視して、財政の分野において国鉄を非常にゆがめたことは、これは争い得ないことでございまして、これは最も私は避けなければならない、できるだけ避くべきである、特にこれを政治の面から政治的に動かすことの不当であることは、申すまでもないことである、私はかく信ずるのであります。  理由の第二は、ただいま申しましたように、国鉄のこの輸送、日本の国内の輸送状態を見てみまするに、単に旅客を運び、貨物を運ぶものは、国鉄のみではないので、先ほどから議論がございましたように、非常に他の交通機関が発達して参っておる、そのときに、いわゆる自由経済のもとで正常な産業活動が行われますならば、どうしたって輸送手段は安いものに流れるということは当然で、これを統制する何らの保証もないわけであります。従いまして、この輸送というものが、分野が確立して円滑に行われるためには、この交通機関の運賃なるものが均衡のとれたものでなければならぬ、かように存ずるのでございまして、そういう点から見ても、運賃は最も原価に近い適正なるものをもって定めなければならない、かように存ずるのであります。  第三の理由といたしましては、特に今回の運賃改正に当っては、五カ年計画という大きな命題が取り上げられておる。これは戦争中あるいは戦後、特に国鉄が国家の非常の時期に当りまして、語弊がございますが、酷使を受けた。なお、その後インフレに悩みまして、その後の運賃値上げは、時のインフレのスピードに追いつけない、かような状態がずっと続いて参って、今回の運賃改訂も、今日突如として持ち出されたものではなくて、すでにしばしばこれを計画、あるいは調査が進められて、何とかして国鉄の運賃を適正化したい、そうしてこの運賃によって早く国鉄の戦争中、あるいは戦後のこの疲弊から脱して、日本の経済の発展にマッチするものにしたいという熱願があったと思うのでありますが、今回この改正の案を出された非常に大きな内容として、五カ年計画というものが盛られておる。この五カ年計画の内容そのものは、先ほどから御議論がございましたように、まだいわばペーパー・プランであって、ここに何らの保証というものもない。で、今後実施の計画は、まず自主的に国鉄で鋭意真剣にこの問題と取っ組んでいかれなければならない問題であると同時に、私が質疑の過程において申し上げたように、政府が一体となってこの五カ年計画の完全な達成というものに最大の協力、援助を惜しまないことが必要であると私は信ずるのであります。この五カ年計画というものは、絶対にこれは日本の経済の発展に欠くべからざるものであって、しかも、まだこの計画の内容は、日本の経済の発展にこれで沿い得るかどうか、旅客輸送の面を見ましても、貨物輸送の面を見ましても、私はまだ非常にもの足りないような感じがいたすのであります。いわば最小限度に、これは資金がこれだけよりないから、これだけの計画しかできなかったというならいたし方ありませんが、先ほどお話の出た通勤輸送一つ取り上げてみても、貨物輸送の今後の趨勢を見てみても、いずれもこの五カ年計画では心配であります。しかし、この計画すら達成できないということでは、大へんでございますので、この点につきましては、政府並びに国鉄に特段の御精進を望みたいのであります。  私は、これほどの理由があり、これほどの強い要請があったにもかかわらず、しかもなお、この運賃改正に熾烈な反対意見があることをよく心得えておるのであります。それは何によってきたるかと考えますのに、第一は、何といっても、国鉄に対する国民の反感情であると思うのであります。この牢固として抜けない国民の国鉄に対する悪感情をいかにしてこれをぬぐい去るか、これは私は国鉄に課せられた最も重大な課題であろうと、かように存ずるのでありまして、由来、国鉄は古い歴史を誇って、かつて列車をとめたというようなことはない、いかなることありといえども、列車を動かすというのが国鉄当局並びに職員の信条であったにもかかわらず、今日はたまたま非常に遺憾な事態を表わしておりまして、この点は何としても今後において国鉄の最も心を注がれなければならない点でなかろうかと、私は感ずるのであります。  次は、合理化の問題について、国鉄は合理化さえすればまだ幾らでも資金が出てくるので、運賃なんか値上げするのは早い、とんでもない話であるというのが、私はやはり第二の反対理由であろうと思う。この点について、改善に努力された経過は、私ども委員会においてこれを伺い、またいろいろ読んだり、聞いたりいたしたのでございますが、これが第一は、なお合理化に余地があると私は信ずるのでありまして、この点はなお御精進を続けられるとともに、ここまでは合理化した、なおこれだけの合理化の余地があるということを国民の前に、しかも、わかりやすくこれの周知徹底の方途を講ぜられることは、私はきわめて大切な点であろうと考えるのであります。  第三の反対理由は、何としても、これはインフレになりはしないかという懸念であろうと思う。この点については、先ほども大蔵大臣との質疑がかわされたわけでございますが、この問題については、いわゆる生計費指数の中に占める交通費、あるいは物価の構成要素としての運賃がきわめてパーセンテージの低いことはよくわかりますが、何としても一番こわいのは、心理的な影響であり、なおかつ運賃値上げに便乗して、そしていわゆる消費物価を上げようとするようなことのないように慎しまなければならぬ点であろうと思います。政府はこの点に格段の注意を払われる私は必要があると、かように信ずるのであります。  重ねて要望を申し上げますが、特にこの運賃を改訂するに当っては、合理化につきましては、さらに獅子奮迅の努力と精進を続けられ、そして合理化を達成され、そしてそれを国民の前にはっきりと示される。これを第一に国鉄当局に要望し、運輸大臣に対しましては、これを国鉄が達成されるように御鞭撻をわずらわしたいと思うのであります。  次は、先ほども申しました五カ年計画、これは旅客輸送の面においても、貨物輸送の面においても、特にこの点は十分に実施計画を練られて、その手順に、あるいはこの達成に遺憾のないことを期せられたい。これを要望いたす次第であります。  さらに第三といたしまして、先ほど申しましたように、労働関係の正常な運営、労働関係の確立ということは、きわめて大切な命題であるのでありまして、これは当局、組合ともに、この国鉄経営の性格あるいは機構がいかにあるかということにも関連して参りましょうが、国鉄と労働組合の当事者とされましては、いかにしたら、こういった摩擦あるいはもやもやした気持が毎日のように繰り返されるのであるかということをよく熟考されまして、そしてあく衣でもこの関係の正常な樹立をはかられないと、これは他の条件がいかによくなって参りましても、九カ年計画の達成もむずかしいし、国民感情を国鉄に向いてくるようにすることも、私はむずかしかろう、かように存ずるのでありまして、以上の要望を付しまして、私は本案に賛成の討論を終る次第であります。
  167. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者異名     木島 虎藏  江藤  智     三木與吉郎  最上 英子     植竹 春彦  後藤 義隆     成田 一郎  平島 敏夫     横川 信夫  加賀山之雄     森田 義衞
  171. 柴谷要

    柴谷要君 私は国鉄要員確保に関する決議を動議として提案をいたしたいと思いますので、お諮りをいただきたいと存じます。
  172. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの柴谷君提出の要員確保に関する決議案を議題とすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは柴谷要君。
  174. 柴谷要

    柴谷要君 本動議提出に当り、お取り上げをいただきましてまことにありがとうございました。  国鉄運賃法一部改正の法案審議に当り、五カ年計画案を検討いたしましたところ、国鉄当局は、かつてない大工事を完遂しなければならない実情にあることは御承知通りであります。ところが、現在国鉄要員事情を見る場合に、当局の要員でははなはだ危惧の念を抱かざるを得ないと考えます。よって本委員会は右動議を決定せられ、政府をしてこれが実現をはかられるよう要望いたしたいと存じますので、よろしく御審議の上、御賛同をいただきたいと存じます。  よって右決議案を朗読をいたします。    要員確保に関する決議案   国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の審議に当り、政府及国鉄が提示した五カ年計画は国民の要望するところであつて、吾が国産業経済の発展の為め必須の要件である。よつて、その完遂を図るため、政府及国鉄は万全の策を講ずべきであるが、特に之に対する要員の充実について、適切なる処置をとるよう計られたい。  右決議す。
  175. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 本決議案を本委員会の決議とし、政府に申し入れを行うことに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 全会一致と認めます。よって柴谷君提出の決議案は、全会一致をもって本委員会の決議をすることに決定いたしました。
  177. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) この際、一言ごあいさつをさせていただきたいと思います。  ただいま当委員会におきまして国有鉄道運賃法の一部改正の法案を可決せられましたことは、まことに感謝にたえません。本法案は本国会における最も重要なる案件の一つでありまして、これにつきましては、与野党並びに各派の方々が連日熱心なる御討議をいただきまして、ついにここに至りましたことについては、皆様の御審議に対して深く敬意を表する次第であります。本法案は五カ年計画をも含めまして、きわめて東大なるものでありまして、これが実施が国民生活並びに日本経済に及ぼす影響はきわめて重視しなければなりませんので、当委員会の御審議の経過における御意見を十分に尊重いたしまして、これが実施には万全を期したいと思うのであります。老朽施設の取りかえによって、輸送の安全並びに正確を期し、また国鉄の近代化及びサービスの向上によりまして、国民の期待に沿いたいと思うのであります。  さらにまた、ただいまの御決議がございましたが、この点につきましては、政府といたしましても、十分その御趣旨を尊重するとともに、国鉄当局者をいたしまして、この御決議に沿うよう努力いたさせたいと思うのであります。  一言感謝のごあいさつを申し上げます。
  178. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄運賃法の一部改正案を御決定いただきましたことに対しまして、私は国鉄を代表して、深甚なる謝意を表するものであります。  なお、長い間皆さんが非常に御熱心に御検討いただきまして、その過程において数々の有益なる御意見並びに御注意をいただきましたことにつきましても、心から厚くお礼を申し上げます。  ただいまの決議につきましても、運輸大臣からお話のありました通り、われわれは皆さんの御意見、御注意、また決議の趣旨を十分に尊重いたしまして、皆さん並びに国民の期待に沿うように、今後とも最善の努力をいたす覚悟でございます。  一言ごあいさつを申し上げ、感謝の意を表します。
  179. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  180. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて下さい。  次に、港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は御質疑を願います。
  181. 松浦清一

    ○松浦清一君 運輸省が立てられております港湾の細部計画について御質問申し上げるのでありますが、計画そのものには積極的に賛成をしておるわけですが、法案と手続上の関係ですね、常識的に判断をすれば、法律を作って、そして申請がある場合には、それを受理して予算を組み立てていく、こういうことが順序のように思うのですね、ところが、法案が提出されると同時に、整備計画がすでにできておるというこの関係はどういうことですか。これは無理のないことなんですかね。
  182. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お答えいたします。実は船型が大きくなりまして、ことに石油のタンカーがどんどん大きなのが出て参りまして、これを公共事業として整備をしたいということは、私ども政府の当局者も考えておったでございますが、ことに民間の方からも非常に強い要請がありまして、そうしてぜひそれをやりたいということで、かねがね希望が出ておりました。その希望によりまして、工事を進めるということでございますが、この重要港湾におきまする外郭施設、基本施設の整備をいたしますためには、国の負担とそれから管理者の負担というのが、法律によって確定率できまっておりますが……。
  183. 松浦清一

    ○松浦清一君 発言中ですが、皆大へん腹も減っているし、おそいから、その内容はわかっておるのです。そういう手続上の矛盾はないかというのです。
  184. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この確定率を直していきたいということで、法律を直して国の確定率を改めて要求を満たそう、こういうことでございまして、この点は矛盾なしに進んできておったのでございます。
  185. 松浦清一

    ○松浦清一君 それでもうその申請は全部受理しておるのですか。
  186. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お話通り、この点は申し出が出ておるのでございます。
  187. 松浦清一

    ○松浦清一君 この改正法律案が通って、これが成立をしてから正武にこれを受理する、こういうことですね。
  188. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) その通りでございます。話は出ておるのでございますが、これがないと受理できませんので、それから受理をするということでございます。
  189. 松浦清一

    ○松浦清一君 わかりました。それから工手の種類ですがれ、ほとんど清水港の東防波堤の撤去、北防波堤の新設を除くほか全部浚渫になっておるがね、この浚渫以外に、新たに防波堤を作るとか、係留施設を作るとかという申請は出ておりませんか。
  190. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この係留施設の場合は、希望はあるようでございますが、この係留施設の場合は、専用になりますので、一般公衆の、という点からはずれますので、この点は受理できないということで、公共的なものであって、一般公衆が便利を受け、しかも、特定の会社も便利を受けるというものだけを受けることにいたしますので、浚渫が大部分ということになるわけであります。
  191. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから、この浚渫の十二メートル、十五メートルと書いてありますが、十二メートルの深さに掘るということですか、十二メートル浚渫するということですか。
  192. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) これは干潮面で十二メートルの深さに掘るという意味でございます。
  193. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから適用欄の所に、受益準業者が、たとえば川崎港で見ると、日石、昭石、出光、ゼネラル、たくさんあるのですが、それで受益者の負担する額が一億五千万円、その受益者の負担の割合というものは、これに運輸省は干渉せずに、受益者の方で合計これだけ負担するということの申請がなされるのですか。
  194. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お話通りでございまして、この点は申し出る者がお互いに相談して、これだけのものを負担するというような申し出になるわけでございます。
  195. 松浦清一

    ○松浦清一君 企業合理化促進法によって、おそらく三十二年度でなしに、三十三年度相当の申請が出てくるものと予想されるわけですが、申請が出てくれば必ずそれを受理して、そうして国費の負担を予算化していくという方針でございますか。
  196. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) これは申請があれば、また公衆の便利にもなり、企業促進にもなるというようなものは、できるだけこの方針に乗せたいというふうに考えております。
  197. 中村正雄

    中村正雄君 ちょっと速記をとめてもらいたいのですが。
  198. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  199. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。
  200. 大倉精一

    ○大倉精一君 この際、運輸省としてのお考えを聞いておきたいのですが、きょうの朝日新聞によりますというと、従来呉の旧海軍工廠の施設を借りて造船をやっておったアメリカの海運会社のナショナル・バルク・キャリアーズというのが、今度その付近の三ツ子島という所に、工業用の塩、あるいは鉄鉱石、そういうものの基地を設けるために、三ツ子島積替埠頭株式会社の株の三分の二を持つというようなことで、たまたまこの第十三次造船計画におきましても、鉄鉱石運搬用の船を作る、こういうことも見込まれている折から、この計画について簡単に御説明願って、運輸省としてのお考えがあれば、この際お聞きしたいと思う。
  201. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 私の方といたしましては、この三ツ子島にそういう施設をするということを正式には何も聞いてないのでございますが、かねがねうわさにそういう話を聞いておりまして、たまたまあの場所は水深が十四メートルばかりあるものですから、非常に便利だということで、ナショナル・バルク・キャリアーズがそういうような計画を持っておるという話は聞いておりました。私は正式に聞いておりませんので、経過等はつまびらかではございません。
  202. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ちょっとお尋ねしますが、受益者負担をおやりになるわけですが、それで負担をした受益者と負担をしなかった受益者との間に、そこの改良した所を使用する場合に、何か差等がつくというようなことになるのですか。
  203. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) これは非常にむずかしい問題でありますが、その受益をするものが、十二メートルの深さで受益をするというものが二つ、三つあれば、お互いに話し合わせて、全部から負担をさせるようにしたいというふうに考えております。
  204. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。
  206. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は、本案に対して賛成をいたします。  近年の世界の海運の趨勢を見まするのに、船型がだんだん大型となり、タンカーのごときは、スーパー・タンカーという五万トン、六万トンのタンカーが相次いで建造されております。大型優秀化の競争はますます激甚となりつつありまして、すでに八万トンのスーパー・タンカーが実現をしておる現状であります。また貨物船も同様であって、その船型、性能は、日ごと大型、優秀化しつつあるのが現状であります。このときに当りまして、わが国の貿易、港湾並びに施設の整備拡充は焦眉の急を要すると考えるのであります。しかるにもかかわらず、本法案による事業費の総額は、横浜を初めとする十二港について、浚渫費を中心として合計十四億円、国費の負担分は六億円であります。現行港湾法に基く港湾整備の現況と合せましても、世界海運の趨勢に追随できない状態であります。従って、私は本案に賛成するに当って、政府に対してわが国の港湾を施設が世界海運の大勢に順応して拡充強化する施策を講ぜられることを要望いたしまして、積極的に賛成の意思を表明いたします。
  207. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。港湾法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報舌の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  それから報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名願います。   多数意見者署名     江藤  智  木島 虎藏     三木與吉郎  大倉 精一     最上 英子  植竹 春彦     後藤 義隆  成田 一郎     平島 敏夫  横川 信夫     相澤 重明  柴谷  要     中村 正雄  松浦 清一     加賀山之雄  森田 義衞     市川 房枝  岩間 正男
  211. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 署名漏れはございませんか。——ないと認めます。  それでは本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十七分散会