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1957-03-28 第26回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十八日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員の異動 三月二十七日委員平島敏夫辞任につ き、その補欠として田中啓一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            後藤 義隆君            田中 啓一君            成田 一郎君            最上 英子君            横川 信夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            加賀山之雄君            高良 とみ君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    経済企画庁計画    部長      大來佐武郎君    大蔵省主訓局次    長       宮川新一郎君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     藤井松太郎君    日本国有鉄道常    務理事     並木  裕君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道経    理局長     久保 亀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。三月二十七日、中島敏夫君が辞任田中啓一君が補欠選任せられました。   —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御質疑願います。
  4. 市川房枝

    市川房枝君 運輸大臣にお伺いいたしますが、国鉄運輸大臣監督のもとにあるわけでございますか。その運輸省としての国鉄に対する監督の内容といいますか、そんなことを一応伺わせていただきたいです。
  5. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 運輸大臣としての国鉄に対する監督は、人事の件とか財産処分に対する件等でありまして、昨年度におきまして、その点も少し監督を強化するようになりまして、つまり要点は、役員の任免権監査委員会を通じての監督財産処分許可及び若干のこの認可許可事項等監督するようになっております。また、予算の調整、決算の承認、予算実行上の認可事項、それから財務的な監督、また交通政策的の意味からも行われる認可許可のこと、それから公共福祉を増進するため特に必要と認めるときの監督、こういうようなことになっております、
  6. 市川房枝

    市川房枝君 きのうのどなたかの質問のときに、運輸省当局からの御答弁の中に、私鉄に対してはずいぶん、法的に監督権が非常に強いと、まあ実際は、その監督権がどの程度発動されているかどうかということは、これは問題でありましょうけれども、その際に、国鉄とは違って、私鉄にはずいぶん運輸省監督権が強いというようなふうに私は受け取れたのであります、それから国鉄の、今お話がありました運輸大臣監督権を直接所管なさるのは鉄道監督局でございますか、その監督局の陣容も非常にまあ小さいといいますか、そういうようなお話も聞いておるのですが、私どももあまりこまかいことはわかりません。外の者から見ますと、何だか国鉄に関する限り、運輸省の影が非常に簿いという感じを実は持つのでございます。どっちが主だか何だかわからぬみたいなふうな印象を外側の者としては持つのですが、その点はいかがでしょうか。
  7. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 私企業は、御承知通り、たとえばその責任者経営者も別に運輸省任命するわけじゃないわけですから、私企業としてあるから、これはやはり監督相当にこまかく強化しなければ、この交通という公共的な仕事を達するのに工合悪いわけです。国鉄は、もう国家財産であり、そうしてその総裁その他は政府任命するのでありますから、これは任命した人を信頼してやらせるから、監督範囲は狭くてもいいわけなんだと、こう思うわけであります。
  8. 市川房枝

    市川房枝君 今お話のような御意見も出てくると思うのでありますけれども国民の側から言いますと、やはり国民税金でもって作られた国の鉄道、それの経営日本の国の産業経済あるいは国民福祉の増進のために使われておるかどうかということに対して、今の国鉄に対する私は信用が、これは先ほども申し上げましたけれども信用が薄れていると申しましょうか、不安なんです。安心をしていないと思うのです、そういうときに、やはり国民としては、監督立場おいでになる運輸省に対して、運輸大臣に対して期待すると、こういうことになるのではないかと思うのですが、そういう点で、もう少し国民安心のできるような監督の具体的な何かがあったら一つ伺いたいと思います。
  9. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 大体、運輸省が非常にこまかく監督をしたからといって、必ずしもうまくいくわけじゃないので、一番まあ何というか、要点は、やっぱり国鉄当局者公共的な使命を持って、そうして自分の力に従って、またその良心に従って、はっきりこの公共的な機関を動かしていくというところが一番肝心なところで、公共企業体として認めたところもそこにあるわけです。運輸省という官庁からこまかい、やかましい指図をいろいろしたからといって、それがうまくいくものでないというようなことの建前でこれができておるわけでありますしですから、今日の場合、国民税金をもって作ったものであろうと、あるいは国民税金でない私企業であろうとも、こういう公共的な立場にあるものは、やはり公共的に経営者がみんな扱っていくということでなければ、ほんとう民主主義のこの社会並びに国家というものは成り立っていかないじゃないかと思うのです。そういう意味において国鉄を切り離して、これが私どもは、切り離したこの公共企業体がつまりうまく運営されて発達していくことを希望するのでありますが、ただ、今あなたのおっしゃったような批判もあるので、これを一つ元鉄道院に戻したらどうだなんという意見も世間に出てくるわけですが、それが戻して果してうまくいくかどうかということは、これは問題であると思うのであります。今の形においては、どこまでも国鉄総裁その他の経営陣に全幅の信頼を置いて、従って、政府もこれを信頼すれば、国民もこれを信頼するというようにならなければいけないと思うのであります。その建前をとっておるわけであります。
  10. 市川房枝

    市川房枝君 今の国鉄を元のように国で経営するとか、あるいはこれを民有にするとかいうようような問題、いろいろありますが、私は現在としては、少くとも今の組織でこれが国民信頼するものであってほしい、こういうふうに考えておるんですが、運輸大臣から監査委員——国鉄監督委員会というものを設けて、運輸大臣任命しておいでになるんですね。これがどの程度、どういうふうなことをしておいでになるか、今日までに監査委員会としてお取り上げになったこと、何かありましたら伺いたいんですが。
  11. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは国鉄からお答え申し上げます。
  12. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 監査委員会運輸大臣の直接御任命になった五人の監査委員から構成されています。この委員会委員の中で委員長を互選しておきめになって、ただいまは元三井物産から交易営団総裁をやられました石田礼助さんが会長でございます。監査委員会はわれわれ執行部門と独立いたしまして、それ自体でいろいろ国鉄経営について御調査になっておりまするが、ただいままで私どもの方でいろいろいただきました御注意は、ちょっとはっきり全部覚えておりませんが、運転事故の防止に関する問題、あるいは先ほど来、国会で御討議になりました部外財産貸付の問題、あるいは外郭団体の公正な取扱いをする問題、いろいろ私ども勧告をいただいておりまして、この御勧告は、同時に運輸大臣に御報告になっております、それに対して、私どもしかるべき措置をいたしますれば御報告申し上げておりまして、私ども回答も、同時に運輸当局に提出いたしております。毎週一回は定例の会がございますが、常勤的においでになっておる方々もおられまして、非常に詳しい御精査をなさっております。特に芝浦製作所の西野嘉一郎さんも監査委員になっておられまして、財務監査の面で非常な日本の権威でございますが、毎月の決算額をごらんになって、いろいろ財務の取扱い方、あるいはそういう決算表に基いた財務関係の処理の仕方、考え方等について、適切な御指示もいただいております。私どもといたしましては、監査委員の御努力に深い敬意を表しますとともに、その御趣旨に沿うように努力をいたしておる次第でございます。
  13. 市川房枝

    市川房枝君 その監査委員会運輸大臣任命で、結局国民にかわってといいますか、国鉄運営の仕方について監査し、勧告をしていただいていると思うわけですが、そういう委員会のようなものは行政機関の、いわゆる地方自治体なんかにも監査委員というのがあるわけでありまして、結局は監査すると言いながら、実際は同じ穴のムジナみたいな結果になってしまって、ほんとう監査をやっていてもらってはいないという、一般国民からいうと信頼を持てないというのが一つあるわけでありますが、鉄道の方の監査委員会も、国民立場に立って形式的でなく、まあ今の石井常務理事お話ですと、いろいろ毎週一回会合してやっていただいているというのはけっこうなことですが、その結果の、どんなふうな勧告があり、どんなふうに運営されているかということが国民にもわかるような方法を何か講じていただいておりましょうか。国鉄石井さんからでけっこうです。
  14. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私は、いわゆる監査委員会から私、監督——監督と申しましてはどうかと思いますが、受けておる執行機関の人間でございますので、従って、これは監査委員会の御意思を代表してお答えするわけにはいきませんが、私の拝察するところでは、おそらく毎年一回は監査レポートをお出しになって、これは運輸大臣に対する正式報告であり、同時に、それを国民PR的に御発表になるようなことをお考えになっているんじゃないかと、かように考えております。
  15. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 私、監査委員会報告並びにそのいろいろな調査した結果のうち、必要な部分を国民にも発表してということは、なるほど必要なことと思いますけれども、今日までのしきたりでやっておったかどうか知りませんが、なるほど、こういう機会からそういうことにも一つ考慮していこうと思っております。
  16. 市川房枝

    市川房枝君 これは国鉄の方ですが、諮問委員会というものがもう一つあるんですね、それの構成なり、それはどんなふうに運営しているか、ちょっと御報告願いたいんです。
  17. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 国鉄諮問委員会は、これは総裁諮問機関という形で現在三十名の学識経験者、各方面代表方々をお願いいたしまして、その諮問委員会において、国鉄に関する重要事項についていろいろ御意見を伺う、こういう建前で、現在のところ、その委員になっておいでになる方の皆さん相当お忙しい方であるというような関係もございまして、ただいまのところでは、月に一問程度でございますが、御開催願いまして、そのつど、重要な問題を御審議願う、こういうような次第でございます。その中には、いわゆる世論を代表すると認められるような方々ももちろんおいでになりまするが、労働組合代表される方、また婦人団体等、御婦人の方も入っておられます。
  18. 市川房枝

    市川房枝君 あとでよろしいけれども、その諮問委員会監査委員会の方のお名前のものを一ぺんいただきたいと思います。今の諮問委員会は、総裁諮問機関としていろいろな方面の方がおありのことでけっこうですけれども、これもどうも外から見ますと、何だか一種の形式的なことになりやすくて、ほんとう国民の側の意見がそこに出て、御参考になっておるかどうかという点が多少疑問な気がしますが、これはまあ国鉄運営の上でおできになることでありまするから、私はもっと一般乗客といいますか、個々のそういう人たちからの国鉄に対するいろいろな注文、意見というようなものをもっと広くお取りになる、まあある意味では、たとえば投書箱のようなものでお取りになったもの、あるいは監理局範囲程度でいいと思いますが、地方的にその地方の乗客意見、各方面意見をまとめるというようなふうに、きのうから申し上げました国民国鉄に対するいろいろなそういう意見をもっと直接に反映できるような組織といいますか、方法というものをお作りいただく、これはきのう、PRでいろいろな印刷物をもっとわかりやすいものを作っていただいて出したらどうかという意見同僚委員からありましたが、そういう方法ももちろんやっていただきたいと思いますが、今のような点はいかがでしょうか。
  19. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいま乗客方々代表される皆さん各層意見を反映するように努めたらどうか、まことにごもっともな御趣旨でございます。ただ諮問委員というようなお集まりが主として国鉄経営根本方策というようなものを御審議願いまして、相当の御経験なり、御学識のある方をお願いしておるわけであります。一面、乗客方々各層にわたっての御意見は、いろいろ多岐にわたり、かつ、主として旅客輸送営業面というようなものについての御意見が貴重な御意見になると思うのであります。その点につきまして、実は昨年十月からモニター制度を設けました。これは本省にも設けますと同時に、各監理局に設けまして、非常に旅行の機会の多い方、あるいは通勤代表であると申しては何ですが、通勤者方々、そういう方々の中からなお御委嘱申し上げまして——大体本省は二十人、各局で大体十五、六人から二十人内外の方々を御委嘱申し上げまして、これは先ほど申し上げましたように、旅客輸送を中心にお願いしておりますが、なお国鉄におきましては、さらに各地区ごとに、モニター制度のかわりと申しまして、これは二、三年前からやっておるのでありますが、輸送懇話会というのがありまして、地区ごとに、非常に利害関係の深い鉄道旅客利用に関する貴重な御意見を拝聴しております。私ども、手前みそを申して恐縮でございますが、その点は日本国民性でございますか、投書をいただくということも、いろいろ奨励と申しては何でございますが、総裁御就任以来、投書には必ず回答して、よく御了解を得るようにという御趣旨を体してやっておりますが、やはり投書ということよりも、こういうふうに積極的に御意見の開陳を願う機会をお作り申し上げることの方が、適切な御意見を非常に数多くいただけるのでありまして、発足以来まだ日も浅いのでございますが、私どもとしては非常に効果があるように考えております。これによりまして、われわれの気がつかなかったところ、またわれわれ何と申しますか、監督者が現場に出ていてはちょっと目に触れないような盲点的なところをいろいろ教えていただきまして、逐次改善をして、非常に卑近な例でございますが、たとえばホームの時計の掲示の場所が悪いというようなことまで御注意いただきまして、なるほど、おっしゃっていただきますと見にくい所に置いてあるというようなこともございまして、それはささいなことでございますが、そういう点まで御注意いただいてやっておる次第でございます。
  20. 市川房枝

    市川房枝君 そういうモニター制度といいますか、そこでいろいろ意見が出るといいますか、そういうことも国鉄の何か機関紙ですか、何らかの機関で、こういうモニター制度でなく、こういうふうな点が出て、こういう点はこうしたというようなことを、もう少しPRしていただくような方法はとっておいでになっておるかどうか、私がよく新聞で見る程度以外には知らないということがあるかもしれませんけれども
  21. 石井昭正

    説明員石井昭正君) モニターからいただきました御意見につきましては、私ども本社側でやっておりますものは、すべてこれは一地区ごとにまとめまして、各監理局に全部流しております。こういう御意見があって、こういう御回答を申し上げた、こういう点は注意しろということをやっております。まだ実は発足して半年くらいでございますから、もう少し活動が熟しましたら、これを取りまとめまして、やはりまとめて適当に編さんをいたしまして、部内の教育の資料にも資し、あわせて部外の御参考に供したいと、かように考えます。
  22. 市川房枝

    市川房枝君 鉄道内部でそういう意見によっていろいろ改善なされ、通達なさる、もちろんこれは当然のことでございますけれども、しかし、そういう意見がいわゆる使用者といいますか、国民代表する何人かの人が出しておるのだ、出して、そうしてそのうちこういう点を採用されたのだということを、私はもっと国民の側に向っても言っていただくことも、これは重要な点ではないか、内部におっしゃっていただくと同じようなくらいに重要さがあるのではないかと思いますから、そういうことをやっていただければ、やはり国民国鉄に対する考え方が徐々に変ってくるのではないか、国鉄に対する信頼感が出てくる、そういう意味PRといいますか、という点が私ども少し足りないのじゃないかというふうな気がするわけです。これは国鉄に、何といいますか、国鉄一家という言葉があって、これはみなよく知っておるのですが、国鉄が、組合並びに国鉄従業員方々が協力して、そうして安全なる輸送といいますか、あるいは日本の国の経済に寄与する運輸の事業をやって下さることは、これはありがたいのですが、外から見ると、何だか国鉄一家といわれて、ほかの国民はちょっと部外者のような感じ国鉄一家でよろしくやっておるのだという感じも、私はむしろあるのではないか。何かそういう点、国民に対する始終いろいろなことを考えていただきたいということをこの際特にお願い申し上げておきます。  それから最後に、運輸大臣にもう一つお伺いをしたいのですが、国鉄の現在の経営状態といいますか、私どももよくわかりませんけれども、しかし、昨日いわゆる無線と赤線といいますか、のような問題、あるいは新線建設についての問題等を伺ったわけですけれども国鉄としては、これはもうマイナスになるということがわかっていながら、日本の国の経済産業の発達のためにといいますか、あるいは住民の福祉のためといいますか、あるいはきのうも申し上げましたのですが、それは単なる政治的な理由によって、そういう必要のないのに建設されるという部面も間々ある、こういうような印象国民が持っておるのですけれども、それだのに、そういう線を新設し経営していく、当然赤字になるわけであります。そういうことから来た赤字をやはり国民負担にしたといいますか、いわゆる赤字運賃でこれを埋めるということは、どうも納得がいかないし当然それは国の方で埋めるべきではないか。いわゆる運輸省国鉄の借入金といいますか、あるいは財政投融資といいましょうか、あるいは国の出資としてある程度めんどうをみるといいますか、これは私当然のことではないかと思うのです。今度の三十二年度の予算においては、そういう金額は三十一年度とほとんど同じであって、ふえていない。赤字はもっぱら旅客運賃値上げによってこれをまかなうという建前になっておるようですけれども、その点についての運輸大臣のお考えはいかがですか。
  23. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) ごもっともな点でありまして、しかし、これは赤字の線は今お話の必要でないようなものをやることは、これは各方面から見てやむを得ない、そうして日本商業開発の上にどうしても必要だ、それからまた運輸交通の上からいっても幹線——幹線が御承知通り日本のは北から南に流れて、その間をちょっとつなげば非常に都合よくなりますという点を利用者のために順次選んでおるわけであります。それを鉄道利用者負担においてするか、国が補助する、ということは、税金によってやるか、つまり度合いの問題であろう、税金を納める人から見ても、やっぱり一部の鉄道利用者だけの赤線のために、われわれの税金を使うことがいいというのか、その税金からもう少し中に入った鉄道利用者だけにある程度分担させるのがいいというのか、これは非常に程度の問題である、そこでただいまのところ、この新線建設による赤字と、新線でない今までの鉄道の持っておる線路の大きな八〇%からの赤字になっておる、その計算でいくと、その二つあるわけであります。少くとも新線によるものは国鉄自体の力で、借金をして、借り入れをしてやっていくとしても、利子の補給ぐらいはしなければならないのじゃないかということは大体常識的な議論になっております。ただ、その新線に使う金はわずかに五十億とか六十億とかいうようなわずかなもので、今年は七十億——六分にしても四億円、その程度のもので、国鉄の膨大な資力からいけば、その収入支出の会計からいけば、大きなことじゃないから負担をしてもらおうという程度のことで、こういう点は改めていかなければならないと思っております。もう一つは、全体の日本経済の伸びていく点は、力のあるところはその力を一応使ってもらって、力の弱いところへ税金の金を注いで力を培養していく、そうしてしまいには税金によらないでそれぞれ経営が成り立っていく、産業の均斉がとれていくというところに経済を持っていかなければならないと、こう思うのであります。その意味において、国鉄ども国鉄経営者からいえば、どうもおれのところばかりけしからぬとおっしゃるかもしれませんが、何しろ最初に今の金でいえば二兆億からの資産を投じて、それから政府というものは一文の反対給付を得ない、ただ、もうけさせてやると、こういう点でありますから、従って、ある程度の力のものはよかろう、運賃値上げの問題もやはり鉄道利用者負担するのか、ある意味からいえば、鉄道というものは一切無賃、政府で全部やれという議論も成り立たないことはないかもしれません。税金で全部やれば利用者は全部得をして、利用しない人は全部税金を背負うことになりますから、やはり利用者に出してもらうという今日の企業建前というものは適当で、昔からそのために官営でやっているころからとっておるのでありますから、税金でなく利用者負担させるという合理性は十分あるわけであります。その負担程度——税金でまかなわせる程度利用者負担させる程度が問題になってくるわけであります。その意味におきまして、今回の値上げども、これを全く税金によらないで利用者方面から負担をさしていってもいいじゃないかという、国鉄企業体という立場からそれを考えてやったわけでありますので、これらは理論というよりも程度の問題で、どちらにどうして行った方がおだやかであるかというような行き方、ただいまのうち、これから私ども新線はもっと広くやらなければいけない、こう考えております、もっと広く、しかし、それには非常に金がかかります。それまで全部赤字になっていることを、今の国鉄経営負担させることは今度は相当無理がある、政府新線になれば今度は出資をするとか、利息を政府負担するとかいうことは、これはもうどうしてもやっていかなければならぬ時期に来ておる、こう思うのであります。
  24. 市川房枝

    市川房枝君 国からの出資税金でまかなうんだから同じことだという御意見、これは一応ごもっともと思うのですが、しかし、国民全部が利用していない、たとえば日本航空なんかに対しては、国が毎年出資をしておるわけです。あるいは今まで船に対して利子補給を相当税金でもって支出をしておる、そういうことを考えますと、やはり国鉄の場合も国が出してもいいんじゃないかという気が実はするわけでありまして、この点は現在の日本経済からいって、今の日本経済の隘路の一つとして輸送が、まあ電力と鉄鋼と輸送でございますか、その一つの大きな隘路になっておるわけなんですから、この輸送に関してもっと予算面でも政府としては力を入れてやるのが当然じゃないかという気がするわけですが、これは今年の予算はすでに成立しかけておりますから、今年にはすぐ間に合わないかもしれません、次の問題として一つ御考慮を願いたいと思うのであります。
  25. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 本日は、審議が最終段階に来ておりますから、私の質問は記憶にとどめるための質問が多いので、当局の御説明や経過は要りませんから、結論だけをお答え願いたいと思うのであります、まず第一の質問は、今回の運賃値上げの目的とその効果についてでありますが、まず、今回の運賃値上げの方針は、物価体系における運賃の占める割合に重点をお置きになったか、それとも施設改善にか、どちらの方に重点をお置きになったか、お伺いしたいのでございますが、その点はどなたでもけっこうです、
  26. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今回の運賃改訂の目的は、運賃法の四原則に従いまして、運賃の決定に当りましていろいろ均斉のとれた考え方で結論を出しておりますが、財務的に申しまするならば、一つの適正な原価を償わせて、これで他の四原則と合して考えました結果、これがその結果として自己資金及びいろいろな財政投融資の観点から判断いたしました、財政投融資の外部資金と見合いまして、そうしてそれによって老朽資産の取りかえ、輸送安全度の向上、輸送力の増強あるいは電気、ディーゼル・カーの近代化ということが行い得る。従いまして、そのときに判断を加えましいのが、物価との関係においては若干の影響はございまするけれども、しかし、これは大体現在の産業経済の度合い、進展に応じて、これは吸収し得て、大体穏当なものである、こういうことでございます。
  27. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうすると、物価体系におけるバランスと施設改善と両方が含まれておることを承知いたしましたが、そうすると施設改善にもまた重点を第一に置いておかれるとすると、政府出資の規定もあることでありますから、赤字でも公益性から見まして、政策運賃の実施をやっていかなくちゃならない国鉄の性格から見まして、政府出資を活用していくのは当然であると思いますが、これを活用なさらないで、運賃改正の方に、運賃値上げの方に方針を持っていらしたその理由をごく簡単でけっこうですから。
  28. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) ただいま御指摘の点は新線建設費だと思いますが、新線建設費は、三十三年度予算では七十億でございまして、この点については、将来において新線建設の規模あるいは財政状態等を考えまして、いろいろ建設審議会の御答申の線もございまするし、また国会でもいろいろ御意見がございまするので、それを尊重して将来においては大いに研究努力をいたしたいと思っておりますので、三十二年度予算においては、その規模なり、その影響なり、財政状態から見て、これは借入金によることに決定をいたしたわけでございます。
  29. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 次に賃金へどのくらい今度の運賃値上げをお回しになるかという質問でありまするが、当初の国会外での御説明では、賃金とは、ウエージとは無関係のように承知いたしましたが、昨今新聞紙上の伝うるところ、やみ賃金、アベック賃金等の記事等がございまして、賃金にも活用するかのごとき印象を与えておりますので、この点一応御説明おき願いたいと思います。
  30. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 人件費のことだと思いまするが、三十二年度の給与総額においては、基本単価に定期昇給を含んで、それに予算人員を掛けました基本給と、それにいろいろの諸手当、これは業務量増に見合うものが入っておりまして、その結果の給与総額ということに相なっておりますので、三十二年度予算はさようになっております。また今後の問題については、多分ただいま問題になっております三十二年度以降の問題については、仲裁裁定の結果によりまして、これを尊重して参る、こういうふうに考えております。
  31. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この目的、効果の問題の際の質問でありますが、五カ年計画を編み出していらっしゃるわけですが、この五カ年計画によって輸送力の増強、施設の拡張をうたっておられます。これは線路とか車両とか電化等の問題が取り上げられておることを承知いたしておりますけれども、結局は、こうやって施設を拡充し、輸送力を増強するというのも、目的はその輸送力増強にある、具体的のサービスにあるわけであると考えられますので、たとえば長距離に対して、三等の寝台をどうするとか、夜行の直行急行列車のない線路にこれを設定していく考えがあるかないか、また二等車の連結のない線には半車なりとも二等車を連結するかしないか、たとえば東北線の場合ですね——もっとも急行、準急にはついておりますが。それから寒い時朝早く余熱をしてない、またサービスがあまりいいことはないといったような点の、結局乗客に対するサービスの点がまだ不十分である、これに対する当局のお考えを承わりたいと同時に、都市交通についてはお話も伺っており、御熱意も示されておるのでありますけれども国鉄の一番の任務——任務と申しますか、国鉄の使命である長距離輸送、ロング・ランの方面についてはどうもサービスが……、サービスに御熱意をお示し下さることを希望しておるのですが、これに対する御方針、将来に対する御方針を一つ伺いたい。
  32. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) お手元に配布してございます修正国鉄五カ年計画の十一ページ以下にその効果が出ておりますが、簡単に申し上げますと、三十一年度の年度計画に対して、旅客で約三割九分、貨物で三割四分に増強をせられると思いますが、これによりまして、主要幹線では急行、準急というものが増発できますし、ローカル列車が電車化しまして、輸送力は三割ないし五割ふえ、支線ではディーゼル化を入れまして、五割ないし倍の列車回数が増加できまして、混雑緩和度としては、電車区間では二割ないし三割程度緩和され、それから特に御指摘の遠距離列車と申しますか、こういうものについては、また大体座席がおおむね確保できる、貨物輸送については大体貨車の配給割合が、現在の六割から八割ないし九割に上りますので、大体荷主の御要求に即応できる。そのほか貨物到達時間が短縮されるとか、生鮮食料品、腐敗貨物のサービスがよくなってくるとか、いろいろの点が出て参ります。また各線区々々の実際上の五カ年間によくなって参ります度合いの、特に二等車の連結問題とか、あるいは暖房の問題等は、これはそのつど具体的に国鉄で計画して、これも大体ある程度よくなると思っておりますが、また線路の増設なり、電化、ディーゼル化というものは、今申し上げました資料の付表で大体、その示しておる通りにこれは確実にできると思っております。
  33. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 第二には、関係交通機関と今回の運賃値上げとの関連問題でありますが、私鉄に対する御方針は、委員会においてすでに承知いたしましたが、バスの値上げも、やがて国鉄運賃値上げに伴いまして全国のバス業界から要望もあり、国鉄自身のバス運賃の問題もさっそくについてくることと思いますが、これに対する御方針をお話ししていただきたい。
  34. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) バスの関係につきましては、私の承知いたしておりまするところでは、今回の国鉄運賃値上げということに関連して起っている問題ではないと存じておりまして、これはかねがね現在の賃率について、これを合理化することについてのいろいろの検討が加えられ、すでにこの国鉄運賃値上げ問題が決定する以前から、地区別々々々にいろいろ作業を続けておりまして、それがやむを得ざるもの、しかるべきものについては、すでに行われた地区もあり、また、あるいは今なお今後申請によって行う点もあり、いずれも何と申しますか、ケース・バイ・ケースに査定をし、処理をして参っておりますので、いわゆる今回の国鉄運賃値上げによるところの直接的な影響で、これをそれに引きずって一斉に上げるという筋合いのものではないように承知いたしておるのであります。
  35. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 次に、旅客運賃の引き上げについてお尋ねいたします。問題は学割定期運賃の問題でありまして、学生に負担をかけないということは、これは大賛成で、当然そうあるべきだと思います。しかし、それは学費全体について、総合的に政府として、社会として考えるべきであって、この運賃の体系に学割を組み入れる場合には、筋の通った学割、または学生定期運賃を充実していかなければならないと思うのです。教育振興ならば、学費については交通費のみがこの総合性から離れて独自に決定されるべきじゃないんじゃないか。すなわち、学生に対する月謝の額とか、施設、学生の住宅の問題、食料の問題、被服とか、あるいは義務教育ないしは高等教育を受ける学生生徒に対する援助の問題をどういうふうにやっていくかといったように、総合的に教育施策のうちに織り込んで学生の交通費も考えていくべきであろうと思いますが、しかし、現在の政治情勢、現在の経済情勢からは、わが党としても、政府としても、今回の学割据置、今回の定期据置の線を認めたわけでありますが、将来は適当な時期にそういったような問題を総合的に考えていかなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。  そこで、私の質問は、割引と申しますと、五分とか一割とか、ないし二割程度は、これは割引であるけれども、五割、さらに九割の割引に至っては、もう割引の観念をもって律すべきではないんじゃなかろうか。このような強い割引率の政策運賃を決定するからには、国鉄としては、この方面においては赤字と計算していくのが当然であろうと思いますが、それに対する財政援助はどうあるべきかということが質問の一つの点。  また、他の点は、バスの運賃値上げについては、国鉄の今回の運賃値上げとは直接に関連がないと言われましたが、私鉄におきましては、この学割なり、定期運賃の異常なる割引率の影響が、民間企業財務面への圧迫の要因の一つともなっておると考えますので、むろん、私鉄公共性がある企業ではありますけれども、民間の企業で、あるという観点に立ちまして、この学制ないし定期乗車賃率に対する私鉄に対しての当局のお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  36. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 御指摘の点は、まことに同感でございまするが、特に学生関係については、学割の問題と、それから通学定期の問題とございます。まあ通学期の問題は、御指摘のように、非常に高額の割引をいたしておりまして、今四の改正案でも九割〇分八厘、最高割引をいたしますんですが、これはいろいろ沿革な事情もございまして、いわゆる純粋な経済的な原価主義に近寄らせるためには、この割引率を相当変えなければなりませんが、かくいたしますることは、その影響がきわめて著しく学生の生活環境に現われますので、やはり、ここにおいては一割三分程度値上げはやむを得ないと思いまするけれども、それ以上に、この際一挙に割引率の改正と同時になることはいかがかと存じて、今回はこういうふうにしてございます。一般に、特に定期旅客の原価と運賃とを見ますると、ただいま申し上げましたように、戦前が大体営業係数で一応一三七ぐらいのものが、昨今では二二〇—二三〇になっておりますので、原価の半分も見合っておりませんけれども、これはいろいろな事情から、私どもはまあやむを得ないものだと考えておる次第でございます。で、学割につきましては、戦前は二割と思いましたが、ただいまでは五割普通運賃が引かれて、私鉄ではこれは二割引きになっております。それから通学定期の問題については、私鉄はそれぞれ賃率は国鉄と違いまして、その社その社で独特の賃率をとっておりまして、ケース・バイ・ケースに費率は違いまするけれども、割引率は、御指摘のように、やはりこれは国、私鉄を通じて通う者もございまするので、これも著しく高額になっておりまして、国鉄並みの割引率に近寄っております。この点も今申し上げましたように、まあいろいろな経過、その他影響がございまするので、私どもはやはり特例の判断をして特に考えておる次第でありまして、この点は運賃制度から申しますると、これは再々申し上げておりまするように、個々の原価主義ということをとることは不可能でございますので、やはり総合原価から見合ったものを出して参る、従って、ある特別なものについては、こういうものが出て参るのもやむを得ない、かように考えております。まあ、特にこういうものについての政策的な考慮で、諸外国にもいろいろ例がございまするけれども、わが国においては、今次の改正においてもこの程度が適当であろう、こう考えておる次第でございます。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 学割の問題ですが、これは一般通勤の割引から比べて安いわけですね。それによって大体年間どれくらいのマイナスになるのですか、この計算できておりましょうか。定期の場合ですね。
  38. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 昭和三十年度の実績でいたしますと、学生の定期旅客運賃と、これを普通運賃に引き直したときの差は百九十九億円でございます。しかしながら、これはいわゆる普通運賃並みに考えるということは妥当を欠く点もあろうかと考えまして、運賃法に定めております一カ月の場合は五割引き、一カ月以上六割引きというところまで下げて、そこの線で押えてみますると、通学定期は百十九億というものが割引したという格好に相なるかと思います。普通定期と率をそろえた場合の割引率につきましては、計算したものはございませんが、その場合は、ただいま申し上げました百億程度の額よりは少いであろうかと思います。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然これは普通通勤の場合と比較しなくちゃまずいと思うのですね。普通の場合は八割三分ですか、やっているんですがね。これから比べれば、学生はそれからちょっとですわ、一割足らず、七分ぐらいの割引をされているだけの話になるわけです。それで、普通の通勤に対する特典と学生の場合と比較してみることが必要じゃないか、もう一つは、これはむしろ普通にとるべきだというような御意見もあるようですけれども、これではやっぱり非常に問題じゃないかとわれわれ考えるわけです。ことに、今の学生は、八割近くがアルバイトをやらなければとても生活ができないというような事情になっておるわけです。これに対して、国家の保護は非常に薄いわけですね。年々そういう文部予算というものが削られまして、そのために、学生の受ける、当然国家としてなさなければならない、次の時代の子弟の教育のために払うところの負担が実は払われていない、そういうところからこういう問題が出てきているので、その問題を幾分カバーするというような意味で学割というのは、学生定期割引は今行われておると思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。フランスあたりみたいに、学生割引の分だけは国庫から支出するというような建前もあると思うのですが、そうなればもっと保護の政策は明確だと思うのですが、こういうものと考えるのでありまして、どういうふうにその点お考えになっているでしょうか。
  40. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 先ほども申し上げましたけれども、この定期の割引ということは、これはずっとまあいきさつ、歴史があるわけでありまして、従いまして、公共企業体国鉄運賃としてこの程度の割引でしのばせることが妥当という判断において考えておる制度をわれわれ日本はとってきたわけでありまして、従いまして、今回の改正でも御説明しておるわけでございます。御指摘のようなこの全体の問題これは岩間先生も植竹先生も御指摘になりましたけれども、これらの点は、ごもっともでございますが、いわゆる運賃としてどの程度にするかということの判断が、この程度になっておるわけであります。
  41. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その財政援助という点についての十分なお答えはいただいてないのでありますが、時間の都合上次の質問に移ります。  次は、貨物に関する質問であります。今回の値上げが一三%であるので物価への影響はまずないというふうな、非常に少いといったような御説明でありますが、では一五%の場合はどうか、一八%の場合ではどうか、そういうふうにだんだんにかつての当局の原案に戻って考えてみますと、今回は長距離逓減の問題におきまして、八百キロメートルからこれを五百キロに切り上げておられます。この点を質問するわけでありますが、五百という数字を出されましたのはどういう数理的の根拠によったのであるかという点が質問の一点。次は、長距離逓減の問題をこういうふうに切り上げられたのは、海運との調整に関係があるのであるかどうかという点と、次の質問点は、あるいは適正運賃を得るためにこういうふうになさったものであるかどうか。そこで私たち考えておりますのは、ある発着駅を例にとりますと、この一割三分どころではない、二割——二十数%になる点も出てくる、種目によりましては、そういったようなものも出てくるという点から考えますと、やはり物価にも相当影響があるのではなかろうか。必需品につきましても、農産物、林産物等につきましては相当な、一割三分以上のものがその終着駅、発着駅の状況によりましてはたくさんに出てくる、これについては、当局の御説明によれば、あるいは材木のごとき、一割七分基準程度で考慮するといったようなお話も承わっておるのでありますが、それは一割三分きっちりには、この運賃決定の技術的立場から見て困難であろうと思いますが、今のような一割三分以上にわたるものについては、今後とも特別の考慮を払われるかどうかという三点について御質問いたします。
  42. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) この遠距離逓減制の問題でございますが、これも運賃制度にいろいろあるということはすでに申し上げましたが、わが国はいろいろ地形なり、あるいは産業の分布なり、経済状態、国民生活の度合い等からいいまして、遠距離逓減制をとることは、最も適切な運賃制度だと思うのであります。さて、今回の場合、どこでしからば遠距離逓減制を打ち切るか、これは八百キロが今現行でございますが、かつては三百キロの時代もあったわけであります。いろいろな発着コストあるいは輸送コスト等のいわゆる合理的な原価主義、さらに、それからいろいろな負担力も考えました点から見合いまして、これをどこに置くか少くとも今の遠距離逓減制が八百キロまで行っていることは、海陸輸送分野の見地からいっても、これが適切でないということは出ておるのであります。これがために、内航海運と陸上貨物との非常に不自然の格好の姿も生じておりますので、今回、それをどこまで戻すべきであるか、これを三百キロ程度にいたしますことは、影響の度合いが非常に極端でありますし、また、いろいろ自動車との関係あるいは船との関係、それらの平均の輸送距離等々から勘案すれば、一応五百キロが妥当じゃないかということから、御指摘のように海陸の調整をも考えまして、今回修正したわけであります。この結果、また今度は物資別にいろいろな影響が現われているわけでありまして、お手元に参考に配ってございますいろいろな実際の運送区間の値上り、これは例示でございまして、大体貨物の運賃は、等級と距離と賃率とによって出て参るので、同じ等級のものもあれば、同じ距離あるいはそういう賃率でいけば、こういう度合いになるのでありますが、これらについてもいろいろな点がございます。特に今回、青函キロ程あるいは関門キロ程の営業キロ程を縮小いたしまして、さらにいろいろ若干荷主の御利便になる制度改正をいたしますので、これらとからみ合いまして複雑な結果で現実に答えが出て参りますが、これらはそれぞれでき得る限りの検討を加えたつもりでございまして、特に国民生活に著しい影響を与えるもの、しかも、その物の価格がそう吸収力のないものについては、公共的な特殊割引の制度によってこれを救済するということで手当ができております。それからまた物によっては相当の上りもありまするが、これは大体高級品でございまして、たとえば乗用車とか何とかというものは、これは相当値上げになりますが、これらはその価格と今回の上って参ります運賃額というものとの負担の度合いを見ますると、その間に他のいろいろなコストによってこれを吸収し得るという判断を加えておるのでございまして、大体特別なものについては、特段の考慮を加えて調整してあるのでございます。
  43. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 私の最後の質問は、ただいまお話のありました営業キロ程の問題とポケットの数との件でありますが、現在ポケットが非常に少いものですから、実際もらってくる運賃は最短距離の安い運賃しか収入がない、しかも、実際の輸送に石炭をたくさん使って、迂回をして物を運んでいる矛盾がある、これが非常に大きい。そこでまず国鉄ではポケットをたくさんお作りになって、営業キロ程の改正をやって、運賃と実際の輸送キロ等を調整していくことが必要だと思いますが、そのポケットに関する改善、増設等についてのもし具体的な数字がお答えできればなおけっこうですが、具体的に今お答えできなければ、抽象的でもけっこうですから、お答え願いたいと思います。
  44. 權田良彦

    政府委日興(權田良彦君) 今御指摘のこの貨物の運賃の計算の営業キロ程でございますが、これは経路がいろいろあります場合に、その最短距離で計算するという制度は、御指摘のようにとっております。ところが、実際はその線路の輸送力の関係等でこれは遠回りして運ぶ場合が起って参ります。この場合には短かい力の距離で運賃をいただく、この制度については実際の運送距離でいただくべきではないかという御意見は、まことにごもっともでありまして、従来は、これは諸外国の、特にドイツあたりでも、これが今非常に運賃で問題になっておりまして、これは運賃制度のあり方として、貨物について、実輸送距離でとるべきか、それとも輸送上の都合で迂回させるのであるからして、これは荷主に対しては最短距離でとるべきかということについて、相当議論が起っております。わが国においても、最近この問題の検討に入っておるのでありまして、将来においては、これは運賃制度の全体の問題としての、一つの研究の大きな問題となると思いますが、今回の運賃改訂では、やはりこれも急激な変化を来たす場合がございまして、現在通り運賃計算にいたしたというわけでございます。  なお、操車場の問題につきましては、そういったことが、操車場あるいは線路輸送力の関係から起って参りますので、今回の五カ年計画でも操車場には重点を置いておりまして、具体的な問題としては、大体主として現在のヤードの強化でございます。しかし、一部線区において、新設しなければならぬようなものについては、その点が考慮してございます。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。先ほど五カ年計画による輸送の増強について、植竹委員から質問がありまして、これに御答弁があったのであります。五カ年計画が遂行された場合、たとえば単線区間はずっと依然として残ると思うのですが、こういう所で列車の運転本数といいますか、これはどういうふうに専門的に言うかわかりませんが、つまり今何本か動いているのですね、現行は何本で、それが五カ年計画後にはどれくらいふえる見込みなんですか。
  46. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 大体旅客列車につきましては、五五%列車キロがふえる。従いまして、五五%は平均でございますから、非常に密度の現在少い所においては倍近くになる所もある、また三割程度というような所もあるかと思います。これは車両キロの増加が三九%くらい見ておりますから、車両キロに比較して列車キロのふえ方が多く、つまりフリーケンシイが高くなるということを目途として計画をしておる次第であります。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 客車と貨物を含めまして、たとえば北陸線あたりでは、現在何本くらい運転しておりますか。
  48. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 北陸線と申しましても、区間によりますが、大体大ざっぱに申し上げますと、七十回から八十回くらい、ひどい所は九十回近い所もございます。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これがどのくらいふえる見通しですか。北陸線の場合なんかと、全体の平均、大体の目分量みたいなものがわかりませんか。
  50. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 北陸線は御承知通り複線計画を立てております。複線が完成いたしますれば、輸送力はこれは一本が二本になったよりもっとふえるわけであります。従って、線路容量は相当たくさんできますので、北陸線につきましては、必要な程度の列車が動かせる、従いまして、それが何本になるかということは、今後の当該線区にかかる輸送量の要請に応じて決定して参りたいと思います。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 科学的に見て、大体単線区間なら限度は何本ということになるのでしょうか。これはどのくらいですか。
  52. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 一般的に申しまして、単線につきましては、線路が何本入るかということは、駅の間の距離が幾らになるか、あるいは停車場がどうなっているかということによりますが、一般的に申しまして、単線においては片道四十回ぐらいが適当な線であろう、往復で八十回。それから複線につきましては、これも先ほど申しましたように、駅間の距離とか、そういうものによりますけれども、大体片道百二十回ぐらいで大体の限度である、かように考えます。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 昨年の十二月にダイヤが改正されましたね、これは現在このダイヤ通り正確に動いておりますか。
  54. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 昨年十一月改正当時、非常に気候の激変で、いつもより早く雪が降ったのであります。非常に降雪が多かったためにダイヤが混乱いたしまして、それでいろいろ御迷惑をかけたことがあったように思うのであります。最近は気候も回復いたしまして、また人員もふえておりますので、ほぼ順調に動いている次第でございます。ただまれに事故その他がございますれば、それによって若干遅延を来たすということはやむを得ないことだろうと存じております。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこれは雪だけですか。雪の原因というのは、これは天然現象なんていうのは便利なものですが、何でもそれでやられるが、われわれはどうもそうでないように聞いている。現状においては、単線区間では今のお話の八十本の限度をずいぶんこえているのじゃないか、そのように聞いておりますが、津幡—富山間が百十七本になっている、それから米原—敦賀間が九十本とか、秋田—追分間が百十本なんていうのを聞いているわけであります。これはマキシマムになっている、そうじゃないですか、どうなんです。
  56. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 先ほど申し上げたのは、大体の標準能力でございまして、これは駅間の距離とか駅の配線などによりますので、先ほど御指摘の北の方の線については、駅間が長くて線路容量が、たしか正確な記憶はございませんが、百本ぐらい、単線でもって両方で百本ぐらいになっていると思います。従いまして、北陸線全体的には線路容量の標準よりも若干超過したところがある。従いまして、そういうところから優先的に複線化するとか、あるいは瞬間が長いということであれば、それを途中で信号所を作るとか、そういう手を打っていきたい、かように考えます。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 ダイヤを新しいダイヤ通りなかなか運転できないほど、非常に過重な計画になっているところがあるのじゃないですか、そういう点で何かやはりダイヤをもう変えなくちゃならない、そういう時期に来ているというようなことを実は聞いているのです。これはそうでなければいいわけですが、それで、何か昨年十二月のダイヤ改正は、相当運賃値上げ関係があるようなことをわれわれ聞いているのですが、そういう事実はどうでしょう。今のダイヤを確実に履行することができるのか。
  58. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ダイヤ通り動かすことが、私ども鉄道の仕事に携わっている者の使命でございます。北陸線が線路容量のマキシマム云々ということにつきましては、これは私どもも北陸線は相当もう余裕のないところへ来ているということは事実として申し上げられると思います。従って、複線計画によってこれを救済する、あるいは電化によってこれを救済して参りたいと考えておるわけであります。現在のダイヤが負担過重で無理だ、時間通り動かないということにつきましては、こういう点については、慎重に検討いたしまして、時刻改正後におきましても、若干問題の成り立つところはいろいろその後協議をいたしまして手直しをしたところもございます。従って、現在では時間通り動く、もちろん時間通り動くと申しましても、事故その他がございますれば、それによる影響は免れないと思います。条件が整いますれば、時間通り動くということは申し上げられると思います。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間通りこれは運転されないというのが非常に問題だと思うのですが、その大きな原因は、単にこれは雪だけじゃないと思うのです。これは人間、労働力の問題が非常に私は影響を持っておると思うのですが、こういう点でこれはどうなんですか、人員が非常に不足して、そうしてもうとても、つまりさっきの説明によっても、国鉄の大体一つの科学的な基準を突破したような形で過重なもう運転をしておる。百十七本というような、とてもこれは人力で考えられないような逆転が実際に行われており、それによって当然労働強化が起るし、それによる輸送量に対する労働者の数というものは絶対的に少いと思うのです。こういう問題については、これはどうですか、検討されておるのですか、この辺が非常に重要だと思いますが。
  60. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 乗務員の労働時間につきましては、労働協約できまっております、そのきまっております時間内で乗務ダイヤを組んでおるわけでございます。で、列車の本数が多いということは、線路容量との問題でございます。この点につきましては、一応最高に近い能力ではございますが、現実にそれだけの列車が入っているということは、その区間にとにかくそれだけの列車を入れる可能性があるということでございまして、それ以上ふやすということはなかなか問題でございます。ただいま申し上げましたように、線路容量の増設という方向へ持っていって解決いたしたいと思っております。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 単に乗務員だけの問題ではなくて、操車場の人員とか、こういうところに非常に過重な負担がかけられるし、過重な負担だけでもまかない切れないような、そういうアンバランスが出てくるというふうに考えられるのですが、こういう点から考えて、新ダイヤはなかなか思うようにいかぬじゃないか。私のお聞きしたいのは、そういう基礎の上に五カ年計画がなされて、その五カ年で旅客においては三九%、それから貨物においては三四%の輸送量の増強が考えられておる。そういうことになってくると、現在の危ない基礎の上に、果して五カ年でこういうような輸送量の増強というものは、計画通り遂行されるかどうかということは、これは十分に科学的に検討しなければならない段階が来ていると思うのですが、この点いかがですか。
  62. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 十分に科学的に研究して参りたいと思います。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう計画はないわけですな。参りたいと思いますとおっしゃるが、ないわけですな、あれば示してもらいたい。言葉じりをとるわけじゃないが、どうなんです。
  64. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 五カ年計画と申しましても、これは一つの大体の方向をきめて参るプランでございます。五カ年後におきまして、北陸線のダイヤでどういうふうに列車が入って、何本何時に入る、その人間がどれだけ各駅でやるという計画までは持っておりません。また、その必要もない。ただ、全体的に見まして、そういう傾向に対する大きなワクといたしまして、趨勢を見てこれでやっていけるという考え方で計画を立てておるわけでございます。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 大分はっきりしました、今の説明で。大体の傾向でそうして、そういう計画についてはまだないのだと、また必要もないというお話ですが、これは言葉として言い過ぎじゃないか、はっきりできた計画があって、そうしてその区分を年度によって遂行していこうというなら、少くとも科学的なものがなくちゃならない。必要がないなんていうのは、はなはだ暴言じゃないですか。ほんとうをいえば、われわれを愚弄しない限りは、こういう計画書にちゃんと具体的な案をつけてよこすのがほんとうですよ。五カ年計画六千億の膨大な計画に対して、この刷子一冊でもって国会の資料をまかなえといわれたって、どうしてわれわれ審議することができるのです。必要がないに至っては暴言だと思う。どうです。
  66. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 今の問題に関連して。当委員会の北陸線の隘路に対する視察においても詳細なる報告は出ているはずです。要員に無理があるということは、それにも報告されているはずですから、当局はそういうことも考慮して——委員会における報告書というものを読んでないような傾きが今明らかにされておりますけれども、そういうことでは、具体的な事例をあげての問題に対する答弁として不誠意と思いますから、もう少し誠意をもって答弁して下さい。
  67. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私の言葉が足りないために大へん申しわけないことをいたしました。ただ、私の申し上げましたのは、ほんとうの具体的の実施計画、これは各年度々々で行われなければならないと思います。五カ年間を通じましての、何といいますか、北陸線の増強計画、そういうものは詳細に検討されて持っておるわけでございます。
  68. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 簡単に願います。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも運輸大臣、私もいろいろお聞きしているのですが、それじゃ、やっぱり計画としてはどうもはっきりした数字もないし、いろいろな点から考えてお聞きしておるのですが、非常にばく然としたものです。今北隆線については、あるという話なんですが、これもどうもさっきはないような話で、今あるような話で、あなたたちだけ知っていたのでは、私は審議にはならないと思います。少くともそういう具体内容は当委員会に示して、そうしてわれわれの審議の材料にしてくれるという、そういう誠意のある態度をとってもらいたい、こういうふうに思うのです。これはなかなか全貌を出すのは困難という面もあるかもしれません。時間も迫っているから、それについて私は全貌といっても無理だと思いますが、ちゃんと持っているくらいのことははっきり出すべきだと思う。私の聞いているのは、北陸線は例に引いたのであって、北陸線だけの問題じゃない。全日本の、全国鉄の計画についてわれわれは審議しているので、何も北陸線だけじゃありません。その点間違えないように一つ頭に入れてもらいたいと思う。そういう答弁では私は不満足、運輸大臣、それに対して所見を承わっておきます。
  70. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) どうも私もそこになると一向わかりませんけれども、大体のお話は、やっぱり実施計画をやっていく上に、国鉄も専門家ですから、今のお話の一人当りの勤労に対する時間をきめて、それを合していけばそんなに無理がなくいくのじゃないかという点は、当局者信頼していただくというふうに一つお願いをいたしたい。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つだけ。私は今運輸大臣、これで終ろうと思ったが、一言だけ申し上げますが、国鉄は専門家だからとおっしゃいますけれども、専門家のやることが実にどうも当てにならない。第一回五カ年計画というのは、昭和二十三年から二十七年に一回やったのでありましょう。芦田内閣のときに。これはほとんど半分遂行されましたか、遂行されないでしょう。第二回が昭和二十八年から三十二年の計画が、五カ年計画が計画されている。これはどうなりましたか、この行方は。第三回が、今度は三十年から三十五年、これは三十年の十一月に計画された。こういうふうに三回にわたって、今度は四回目なんです。従って、われわれはそういうような沿革等から前者はくつがえっているのだから、これに対してわれわれはそういう事態をもとにしてこれは審議しているのでありまして、この点は専門家だからまかしておけばもう安心きわまったというような、こういうような御答弁では、これは大へんなことになるのじゃないか。そういう点から私たちは科学的にこの問題をやはり進めなければ政策にならぬ、こういう点から御質問申し上げているのです。どうもこれはしろうとであまり何もわからないのだからうまく煙に巻いておけばいいというようなことでは——そういう気持だとは思いませんが、そういう印象を受けるような御答弁で、そうしてここのところをお茶を濁されては困ると思うのです。もう少しはっきりした態度で、やはりお互いにそこは誠意を披露し合って審議すべきだと思います。この点要望しておきます。
  72. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のこの運輸大臣並びに当局の答弁を聞いておりますと、非常に私は不可解だと思います。まず第一番に、北陸線のそういう個々の問題については、やる必要がない、総体的にやればいいのだと言っておいて、あとからそういう年次計画もありますと言う、これは非常に私は重大なことだと思います。こういう答弁の仕方は。それから運輸大臣は、こういうむずかしい問題になると常にあなたの答弁は、国鉄信頼しておりますから、やるだろうと思う、この答弁を始終されておるのですが、やはり、もうあと時間もあまりありませんから、今後はもう少し具体的にわれわれしろうとにわかるように答弁をしてもらうように要望します。
  73. 柴谷要

    ○柴谷要君 休憩になる前に一つお願いしたいと思うのですが、それはかつて運輸委員会は、ガソリン税値上げ反対の決議をいたしました。ところが、ガソリン税をめぐって、衆議院が近くあがる即参議院に送付されてくるけれども、参議院は何か非常に審議を急がれて、何かろくろく審議もせずにあげようというような空気がある、こういうことを聞いておるわけです。このことは参議院の審議権を侵すものではないかと思うので、運輸委員会、大蔵委員会の連合審査を開くように申し入れをする、その日取り等については正午に行われます理事会に十分一つ検討していただく、こういう提案をいたしたいと思います。これを一つ御採択を願いたいと思います。
  74. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  75. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記つけて。ただいまの要望に対しては、理事会でそれを協議することにします。  ただいまより休憩いたします。    午後零時二十二分休憩    —————・—————    午後一時四十九分開会
  76. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再開いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基き、揮発油税法案について、大蔵委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認め、さように決定いたします、  ただいまの決議に基き、委員長は大蔵委員会に申し入れることといたします。   —————————————
  78. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 午前に引き続き、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御質疑願います。
  79. 森田義衞

    ○森田義衞君 私は主として五カ年計画に対しまする貨物の輸送の目標につきましての質問をいたしたいと思いますが、いただきました修正国鉄五カ年計画のまえがきによりますると、昭和三十年十二月、政府の樹立した経済五カ年計画に即応するように、昭和三十二年度から五カ年にわたり総額五千二十億円云々、こういったような説明がございまするが、当然私は昭和三十年十二月に政府経済自立五カ年計画ができましたときに、そのときに国鉄としての五カ年計画が確立されておったと思うのであります。その間、昨年も国鉄から運賃値上げ、あるいは資金計画についての御希望があったようでありますが、思うにまかせず、その間何といいますか、国鉄の五カ年計画が思うように遂行できなかった、半面におきまして、政府考えておりました経済自立五カ年計画が思わくよりも非常に好転したと申しますか、非常な進度でもって進んでいった、その間輸送力の不足が表面化してその隘路が顕著になってきたといったことが今日の状態になっておると思うのでありますが、その間、私はまず最初に、本年度に現われました輸送の滞貨について、いわゆる修正されない前の五カ年計画の初年度として、どんな施策をお立てになって今日まで進んでこられたか、その面からまずお伺いしたいと思うのであります。
  80. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまお話のございましたように、経済企画庁の五カ年計画の初年度であります三十一年度におきまして、これは私どもの方の昭和三十一年度予算案は、今日の、ただいま皆様に御提出申し上げておりますような五カ年計画のスケールにはなっておりません。従って、輸送力増強等につきましては、非常に資金的に配分がむずかしい、重点的に施行することがむずかしいわけでございます。しかし、私どもといたしましては、大体三十年度から始まりました企画庁の五カ年計画のアップ・カーブの線は、これは貨物輸送につきまして、毎年二・五%程度輸送量の伸びを想定いたしたのであります、これは生産物資のいかんによりまして、生産指数とどういう関係に立つかという点については、いろいろの問題もございまするが、しかし、私どもといたしましては、一応過去の実績その他企画庁等の御意見も参酌いたしまして、輸送力といたしましては、その程度の伸びを計算いたした、ところが、実際におきましては、この企画庁の御策定のアップ・カーブよりもはるかにすばらしい生産の実績がございまして、ある物資などは、すでに初年度でもって最終年度まで到達している、あるいはその線を突破しているというような数字も出て参りまして、勢い、輸送の方にも非常に大きな影響がかかって参ったわけであります。そのギャップが御指摘の滞貨の激増、いわゆるネックとして問題になったのでございます。御承知のように私ども輸送力といたしましては、一本の細い線ではっきり限定されたものではなくて、ある程度の弾力性がございます。従って、こういう状態に対処しまして、私どもは弾力性をできるだけ極度に利用するということによって対処して参りたい、かように考えましたわけであります。ことに、本年度、三十一年度の当所から非常にこの貨物の激増が見通されましたので、運輸省にもお願いいたしまして、いわゆる輸送機関の総動員をやっていただきたいということで、海運に転移する、あるいはトラックその他の道路運送機関にもできるだけやる、それから季節的な波を埋めまして、できるだけ余裕のある期間に、先送りできるものは先送りしていただくというようなことについて、関係各庁並びに荷主の方にもいろいろ御要望申し上げて、さらにこれに対して相当の御協力をいただいたのでございます。その結果として、昨年の前半期は、今までにない輸送の量を見たわけでございます。それでわれわれといたしましては、これに対応いたしますために、できるだけ列車の増発をいたしまして、車両の許す限りの増発をいたしまして、何としても列車キロによって当面の輸送難を解決するのが一番の早道であるということで、できるだけ列車を増発いたしました。ただ遺憾ながら、線区によりましては、すでに容量的に限界に近い所もございまして、線区によっては思うような輸送ができなかった所もございます。それからさらに年度を進んで参りますと、相当の増収分が見込まれましたので、これによります財政的な余裕等の判断から、車両の繰り上げ発注、特に貨車の繰り上げ発注、あるいは隘路線区によりますと、きわめて簡単な設備で、工事でもって線路容量を打開できる、いわゆる有効長の延伸、あるいは待避線の増設、あるいはヤードにおいて配線を変更して、それによってヤード能力を増すというような、根本的対策にはなりませんが、いわばこうやくばり的なものでございますが、しかし、これはあまり時日を要しないでやれるというような工事でございまして、これにも予算的にやりくりをいたしまして、こういう方面に重点を注いで一応やって参ったのでございますが、しかしながら、昨下半期に至りましては、何と申しましても、能力一ぱいに働きまして、約一カ月千五百万トンという輸送をやっておりましたが、天候その他の障害も出て参りまして、そのために輸送の御要請に満足に応じ切れなかったという状態が残っておりますことは、大へん遺憾に存じている次第でございます。
  81. 森田義衞

    ○森田義衞君 私は、修正五カ年計画によります大きなテーマといたしまして、大臣に、現在の輸送力の不足を解消するとともに、急激に伸長ずる輸送量に応ずる輸送力の増強、まことにけっこうでございまして、問題は、この現在の輸送力を改善すると同時に、今後の輸送の伸びがどのくらいかといった想定が、これまでのようなずさんと申しますか、いわゆる経済企画庁その他のなんでは国鉄も非常にお困りになるのではないか、そういったことで、今後の輸送の見通しにつきましては、十分経済企画庁あるいは農林、あるいはその他の各省と十分御協議になって輸送量の想定をされたと私は思うのであります。もちろん五カ年先でございますから見込みでございまして、ここに私ども承知しております資料によりますれば、三十一年度を初年度として、貨物輸送においては五カ年後に一三四%にする、また何といいまするか、その結果が貨車の配給が大体八〇%程度に緩和されるだろうという、結論的な緩和の表現も出ておるようでありますが、この目標でございまするが、大体今後は四・五%、率のいわゆる累増でいくといったような見通しについて、私は主として経済企画庁あたりにもお聞きしてみたいと思うのでありますが、果してこういったような方向、ラインがうまくいくのであろうか。これに対応して国鉄はおやりになるという格好でございますが、その間、関係各省との御協議の程度と申しまするか、これまでと違って慎重に御協議になったと思いますが、その点、お見込みを立てました内容につきましてお話を願いたいと思います。
  82. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 当初、この五カ年計画を立てます際に、輸送量その他五カ年計画の基礎といたしましたのは、御承知の現在ございます経済企画庁で立案いたしました自立五カ年計画、これによりますと、三十年度を起点といたしまして、三%の年率で伸びていく、こういう計画が現在一応あるわけであります。これをもとにいたしまして、当初の五カ年計画を組んだわけであります。ところが、昨年の夏以来、全体の経済の発展の程度、特に国鉄輸送に現われました姿、こういうものを見まして、特に国鉄の場合には、この輸送量の伸び方というものは、直接に五カ年計画そのものにも影響しますし、また収入の計算等、そういった面から資金の問題に非常に大きく影響するということがありまして、経済企画庁の専務当局と密接な連絡をとりまして、私どもの方としては将来の見通しといたしましては、何と申しましても、全体の国民所得とか、そういったものの一応の想定がなければ、私どもとしては計算ができないわけであります。そこで、経済企画庁事務当局でも電力、輸送、鉄鋼、ことに輸送の問題については、当面事務的にもそういった資料、試算が必要であるということで積極的に取り上げていただきまして、もちろん全般の計画の変更は、これは容易なことではございませんから、輸送の問題だけを、ごく国民生産等一応の仮定のもとに計算していただいて、その点については、国鉄からいろいろ資料も提供し、国鉄あるいはバス、海運等のふり合い、そういったものももちろん運輸省も一緒になって検討していただきまして、いわば試案ということで、事務当局の中では経済企画庁で決定していただいたというのは四・五%の年率、その前提には、国民生産について七%とか七・五%と想定はされておるようでございます。それは別といたしまして、結論として、年率四・五%という事務当局の試案を——試案と申しましてもかなり権威のある試案を作っていただきました、それをもとにして、私ども輸送量の想定、さらに収入の算定等に使って参ったわけであります。
  83. 森田義衞

    ○森田義衞君 私は、そうしますと、当面三十二年度の問題についてお聞きしたいのでありますが、今後四・五%でいくといったことでありますが、来年度の、三十二年度の輸送量の推定を私、国鉄の計画書を見ますと、一億八千万程度——少しこえておるようでありますが、八千万程度を御想定になっておる。そうしますと、この今年の輸送は非常に努力されてりっぱな成績を困難な中にもお上げになったと思いますが、大体において、まあ何といいますか、一億七千三百五十万程度いくのじゃないかと、非常に努力されておると思います。そうなりますと、その差は大体六百五十万程度が毎年増送になる、翌来年度、三十二年度は四%の増送になるんだといったような御計画のように拝承しておりまするが、半面、輸送要請におきましては、経済企画庁あるいは関係各庁と御相談になったものが約一億八千七百万トン程度ではないかというふうな話を聞いております。そうなりますと、輸送のできまする量が約六百五十万トン、ところが、それのできない量、いわゆる輸送要請に対して供給の合わないものが七百万程度、約半分——半分ができて半分ができないといったような格好になります。そういたしますと、輸送調整を、陸の分におきましては自動車、海運の関係において依然として調整していかなければならぬのではないか。これまでもこの問題につきましては、先ほどもお話がございましたように、関係各庁の輸送対策連絡会議でございますか、そういったような機関もお持ちになりまして、個々に具体的にお諮りになっておるように伺うのでありますが、それでもやはり大体船あるいは自動車に月五、六十万トンのものが行っておる、さらに加えてこういったものを転移していったことについて、万全の手配なり見通しがあって、そうして生産力の増強に今後支障が——国鉄はここまでやるんだが、ほかの機関においてうまく対応してやれるお見通しがあるかどうか、この点、国鉄当局なり運輸大臣の方からもお伺いしたいと思います。
  84. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) ただいま森田先生の御指摘のごとくでありまして、今私どもがその点について考えておりますことを若干数字的に御説明いたしたいと思います。大体輸送トン数としては、国鉄の三十二年度分の一億八千万トンくらい考えております。それに対して輸送要請としては一億八千七百万トンちょっと切れますが、一億八千六百八十万トンくらい、まあ七百万トンくらいがオーバーいたします。これに見合いましてその他の機関の想定を加えておりますが、大体自動車が三十二年度は六億七千万トンくらいじゃないか、それから内航汽船が三千二百万トンくらいじゃないか、それから機帆船が四千三百万トンくらいじゃないか、それから私鉄で四千百万トンくらい、合せて九億七千九百万トンくらいに相なるのではないか、こう三十二年度については配分を想定しております。このはみ出します七百万トンを、これは主として自動車、それから内航汽船、機帆船というもので調和をとって参らなければならぬ、これの今までの実績をちょっと翻ってみますると、先ほど国鉄からお答えいたしましたような緊急対策で海運転移をいたしましたもの、それからトラック転移をいたしましたものが、大体三十一年の十月から本年の二月までの実績がわかっておりますが、これで大体二百七、八十万トンという数字が出ております。これをまあ月にいたしますと五十五、六万という数年に相なりますが、これを年にいたしますと約七百万トンくらいに相なります。従って、今のそれは、こういったような昭和三十二年の輸送配分の姿で他に吸収せしめて、これはまあ全体の数字でございますから、これが各現実にその日その日で物資別にどうなるかということは、これは現実の運用でございますが、大数的に見ますると、三十二年度としては、今御指摘の点はさような点によって総合的に輸送調整ができる、こういう数字的の見通しで今おります。
  85. 森田義衞

    ○森田義衞君 私、全体の調整としてそういった方向に行かれることはわかりますが、実際問題として海運転移、トラック転移ということは非常に困難な点で、半面、鉄道に申し込みながら、どうしても鉄道でうまくいかない場合にやむを得ず船で行く、あるいはトラックで行くというような格好になってゆくものが相当多いんではないか。これに対しまして特に海運関係、北海道物資なんかを、取り上げてみましても、相当問題が多いんではないか、今年私は輸送力も青函ではふえてゆくであろう、たとえば十八運航あるいは十九運航といったような輸送力の想定もできます。六百以上のものが鉄道の青函構想でできる。なかなか東北線はそれを受け切れないのじゃないかといったような感じを、私は東北線の線路容量の状態から感ぜられるのであります。そういう場合に、もっと強力な海運への転移方策は、これはなかなか荷主が細分化され、小口荷主が多いということでむずかしいと思いますが、もっと積極的な転換方策を講じてもらわないと、安いところ、あるいは便利なところへ行くのじゃないか、こういった点について、運輸大臣から、もっと積極的な御方策があるかどうか、お伺いしてみたいと思います。
  86. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お話通りでございまして、内航の関係が今までなかなか行き届いておりません。この内航の関係につきましては、今日の国鉄輸送力増強にも見合って、いろいろ手を打たなければならぬ。こう考えておりまして、ことにその北海道の問題は、その大きな線の一つになっておりますから、昨年もこれには少し計画をしたのですが、できないでそのままになっておりますので、これに関しては、一つ新年度において、実際に即応してどこまでいけるか、その手を打ってみたい、こう考えております。
  87. 森田義衞

    ○森田義衞君 海陸調整はそのくらいにいたしまして、私は来年度七百万トンはそういったものに転移する、そういった構想をとられるということはけっこうでありますが、それ以外に、隘路線区という問題が、当面の急の問題であり、今年度から来年度にかけて急速に解決すべき問題が多い。先の百より今の五十をくれといったことが相当多いのじゃないか。その点先ほども北陸線の問題が出ましたが、国鉄は十分努力をするが、線路容量を持たないとか、いろんな面でお困りになっておるが、現実に北陸地帯は、工場その他がふえておって、それの原料がなかなか来ない、あるいは製品が行かないという窮状があるわけです。これに対しまして、やはり特別なる対策が必要ではないか。もちろん急速に新工場を作るとか、いろんな問題がありましょうが、何としても、これは自動車に転移できない、船にも転移できない問題がある。そういった問題に対して、特に北陸線を取り上げたのでありますが、そういった対策がどれほどおやりになれるか、むしろ来年度を含めた現在の困難な状態をどの程度緩和できるか、見通しを一つ伺ってみたいと思います。
  88. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御承知通り来年の五カ年計画を来年度におきまして、北陸線につきましては、敦賀—米原の深坂隧道を通ります新線ができます。これは交流電化することにいたしております。それと同時に、私どもはディーゼル・ロコモティヴー機関車を発注いたしまして、これを本年の初頭繁忙期に間に合うように北陸線に入れます。そういたしますと、七百五十トン転移ができますので、今までよりも、列車回数におきましても、一個列車当りの輸送につきましても、相当の能率が上げられる、当面の問題としてはそういうふりに考えております。ただ将来の問題としては、それでは足りませんので、先ほど御説明申し上げましたように、同時に線路増設工事にできるだけ移りたい、かように考えておる次第であります。
  89. 森田義衞

    ○森田義衞君 ちょうど経済企画庁長官がおいでになりましたので、先ほど国鉄当局にはお聞きしたわけでございますが、運輸省の総計につきまして、将来五カ年後の想定に対しましての年年の増加、その他をよく御協議の上でおきめになったということでございますが、これまでのいわゆる経済自立五カ年計画では、全然お見込みが、何といいますか、はずれた。いい意味ではずれた。そのために国鉄が参ってしまった、その不足対策を急速に私は、国鉄がやらなければならぬのではないかといったことになっておる現状ではないか。今後こういった意味で私は輸送が足りませんと、たとえば通産省のものは商工関係の物資だけをたのむ、あるいは農林省関係でたのむ、国鉄は両方受けて、たとえばリンゴを送れば木材が送れない。木材を送ればリンゴが送れない。ただ個々の攻め合いを国鉄がやられていたのではたまったものじゃない。輸送力の幅を延ばして量を上げていかなければならぬと思いますが、これに対して国鉄輸送力の増強計画に、全面的に御協力を願って、同時に、あなたの方ではこの程度やっておれば大体自信のある経済自立五カ年計画ができて、前から雇用されております国民の全雇用といったような大目標の達成がなされるかどうか。その点の確信のあるところをお聞かせをお願いいたしたいと思います。
  90. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 経済企画庁の五カ年計画の目標とするところは、国民経済規模の拡大が国民経済に非常な悪影響を与えないように、そして国民経済そのものが、これに耐え得るワクの範囲内において経済規模の拡大をはかっていきたい、そういう規模をもって拡大計画を立てる、こういうわけであります。それがために、雇用量の増大の点につきましては、たとえば十年以内で雇用量を、所定の労働力人口を吸収しようと思いました場合には、一割二分以上の経済の拡大規模を求めなければならぬという数字を持っております。しかし、それは非常な無理が国民生活に起りますから、そういう意味でわれわれはただいまのところ約七%——国民総生産所得におきまして七%ないし八%の間において、国民の伸び率を求めていって、それに必要な経済規模の中において、国鉄輸送量の増加率はどうあらねばならぬか、そういう計算を持っております。それがためには、年率約四・五%の伸びを必要とする、そうして現在遂行中でありますところの経済自立五カ年計画におきましては、年率の伸びを国鉄輸送量に関しては二分六厘を要求いたしておったわけであります。二・六%の要求を今回四分五厘に引き上げてもらいたいということでありまして、その点につきましては、七%モデル作業という、新しい五カ年計画のモデル作業を経済企画庁でやっておりまして、それの数字は、四月から積極的に新五カ年計画のためにされることになっておりますが、特に昨年来の隘路の電力、鉄鋼及び輸送に関しましては、緊急を要する問題でありましたので、特別にこれを取り上げまして運輸省と事務当局におきまして、七%モデル作業の試算の中において、輸送行政については、三十年度から三十五年度の間の増加率を一二四・六ということを貨物に見、また旅客の面におきましては、同等の率を求めて参りまして、そうしてそれの年率を四・五—四八分五厘としようということになったわけでありまして、その間運輸当局と、また国鉄当局とも技術的な事務的な連絡を尽して参りました。そうしてそれに必要な資料は膨大なるものがありますけれども、いずれ御要求のありました場合には、それぞれの専門のものから申し上げるなり、また必要な資料を差し上げるようにいたしたい、こう考えております。いずれにいたしましても十分緊密な連絡をとって参ったわけでありまして、このままで参りましたならば、国民経済の伸びを雇用量を十年ないし十二年の先に希望量を達成するという目的には合い得る計画である、合わせ得るものである、こういうように見ております。
  91. 森田義衞

    ○森田義衞君 私はぜひ国鉄五カ年計画の遂行をやっていただきたいと思いますが、私は非常にむずかしい面もあるような感じもいたすのでありますが、たとえば工事を実施いたしますにつきまして、工事費として約一割程度の節減をはかりながらやっていくといったような問題、大蔵省当局からもこれはむしろ強制的にやられたと思いまするが、実際問題としては、一例をとってみまするが、貨車を八千二百両程度、増備で五千二百両、取りかえで三千両お作りになるという計画がございますが、こういったものは当然輸送力増強に対応してやらなければならない、当然おやりになると思いますが、こういったものが工事費の一割削減、あるいは実際問題として単価が五%ぐらい上るのじゃないかという話も聞くのでありますが、この予算のワク内で、果して八千二百両を完全に三十二年度までお作りになる自信がおありかどうか、これは数字が将来示すからはっきりわかると思いますが、その点の御苦心はあると思いますが、この経費内でおやりになれる自信がおありかどうか。これはもちろん貨車ばかり聞いたわけではございません。ほかの問題もございますが、一応貨車に限定して私はお聞きいたしたいと思います。
  92. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) ただいま森田委員のおっしゃるように、今回の予算あるいは五カ年計画におきまして、ことに外注工事については徹底的に節減しようということ、これは必ずしも強制されたということでもございませんで、私ども自体としても、運賃を上げてまでお願いしようということで徹底的に単価の切り下げには努力して参りたいという強い考え方を表わしたわけでございます。さしあたりの問題といたしまして、三十二年度の問題でございますが同様の問題がさっそく目の前にぶら下っているわけでございます。これにつきましては、私どもといたしましては、単価の切り下げにつきまして、車両を含めまして、特に全体といたしましては、請負工事の単価等にもしわが寄るかもしれませんが、こういった面で極力努力をして、何とか国家予算に盛りました数量、つまり内容を実現したい、これは相当困難の伴うことは覚悟しておりますが、何とか実現したい、かように考えておる次第であります。
  93. 森田義衞

    ○森田義衞君 何とかというのは、大体においてこの予算のワク内でもってでき得る見込みがあるということでございますか。
  94. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) さようでございます。
  95. 森田義衞

    ○森田義衞君 それから私、皆さんからお聞きになったようですが、来年度これだけ輸送をふやして参りますには、当然列車輸送力がふえなければいかぬ。ために、列車キロがふえるということになりますると、これに対しまする要員関係につきましてかなりの、正直に申しまして危惧を持つわけでございますが、その点来一年度の貨物なり、旅客なりの増発計画に対しまする要員関係が十分果し得るお見込みがあるかどうか。これが輸送力決定のかぎになりはせぬかと心配いたすわけであります。たとえば現在でも機関区の要員が下から上げて参りまして、庫内手は機関助士にする、機関助士は機関士にする、だんだん上げて参りました結果、庫内手は相当の欠員が出る。これは単にかま掃除といっただけではなく、将来の機関士にする養成定員的な性格を持っておりますし、五カ年間相当輸送力が伸びていけば、こういうものの養成も大事ではないか。これが足りませぬ分は臨時人夫で補っているというような格好で、経費なり、あるいは人件費の面から充足が十分でないような感じがいたしまするが、来年の増発計画に対しましては、どの程度の計画でこの増発に対しましては、うまく乗務員の手配ができるかどうか、心配でありますから、ちょっとお聞きいたしておきます。
  96. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 来年度の輸送力を確保するためには、ぜひとも増発しなければならない、それには乗務員の手配をしなければならぬということも御説の通りでございます。私どもは来年度の列車キロの増加という計画もしておりますが、同時にその裏づけになる要員、計画も練っておるわけであります。ただ御承知通り予算的には増員がございません。これは業務の合理化等によって重点的にこの方面へ人間を、定員を回して参りたい、かように考えております。そういうことはなかなか言うべくして行われないのではないかというお話にもなるかと思うのでありますが、ただ、本年度におきまして、年末に相当の退職人員が出ます。約五千人近いものが出るかと思います。これはもちろんどうしても直接補充しなければなりませんが、かりに駅長がやめたという場合には、かわりの駅長を作らなければならない。しかし、その助役が駅長に上る、その助役をその下の者から補充するという段階をやって参りますと、ある段階におきまして、現在若干の余裕があるような段階で、そこは食いとめられる。そういたしますと、退職いたしました五千人に対する補充というものにつきましては、これを重点的な職種の方に向ける。もちろんその職種につきましては、やはり階級がございまして、下から順々に上げていかなければならないわけでございます。その一番末端のところへ新規採用の要員をつぎ込むことができまして、しのいで参れる、こういう考えでございます。具体的にどこへ何人というような実施計画につきましては、列車キロの増加の計画と、それから実際にただいま行われました新陳代謝数量、数字、それからまたいろいろ御説明申し上げております業務の合理化によって生み出す分の配置転換的な要員操作というようなものをかみ合せて策定しておりますが、現在のところ、大体の見通しとしては、どうやらこなし得る見通しもついておると申し上げて差しつかえないのではないかと思っております。
  97. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄当局に対して少しくお尋ねをいたしたいと思いますが、今森田委員からお話もありましたように、国鉄の臨時雇用員の問題について少し詳しくお尋ねをいたしたい。今臨時雇用員の種類は大体四つに分けて国鉄は採用していると思います。工事臨時雇用員並びに職員代用臨時雇用員、それから除雪臨時雇用員、雑用臨時雇用員、この四つに分けて臨時にお使いになっておられると思うのですが、現在全国でこの四種に分けてどのくらいの臨時雇用員を使っておられるか、この数字を御説明願いたい。
  98. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) ただいま柴谷先生のおっしゃったような種類の臨時雇用員がありますことは事実でございます。数字につきましては、除雪関係等については、これは時期によって非常に変動いたしますから問題のほかといたしまして、それから季節的な変動のあるものは別といたしまして、もう一つは、工事経費の作業をいたします場合に、一般の線路工夫がそちらへ参りますと、あとはその代用員、これも時によって変動がございますが、おそらく、お話しになっている点は、ある程度業務に従っているというものだと思いますが、この点の数字は今正確に覚えておりませんが、昨年度十月、時刻改正に際しまして相当大量に、ことに機関区の庫内手でやっておりました者を職員に切りかえまして、一時相当ございましたのが現在は相当数は減っておるはずでございますが、ただいまちょっとその数字は正確な資料を持ち合しておりません。
  99. 柴谷要

    ○柴谷要君 全国的な数字は資料を持ち合していないからというお答えでございますけれども、私どもの知る範囲では、四千五百ないし五千の臨時人夫を使っておると思う。そこで、私どもが地方を少しく回ってみて非常に奇異な感じを持ちましたのは、臨時人夫の運用に関する協定というのを当局と組合の問では締結をしているはずです。この協定に違反をして、職員の代用としてこの臨時人夫を使っておるという事例があるのですが、この点は当局としてはお認めになっておられますかどうか、お尋ねします。
  100. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 臨時人夫を使います範囲につきましては、これは地方によって協定をしておるかどうかということについて、私担当でございませんからはっきりいたしませんが、そういうことは別といたしまして、おのずから限度はあるべきものと思っております。当然、重要な保安関係、運低関係に属するようなものに使うわけには参りかねると思っております。それで、そういうような事例は、私、万ないと思いまするが、もしあるとすれば、採用手続の事務的な関係でギャップが出て、そうして正式に採用する手続がおくれまして、ごくわずか、短期間そういうことが先に行われておるというようなこともあるかとも思いまするが、方針、原則としてそういうことはないものと信じていいのでございます。
  101. 柴谷要

    ○柴谷要君 方針、原則としては当然あってはならない問題でありますけれども、現実にこういう事例がたくさんある。これは、私が立場上申し上げるのではなくて、実は運輸委員会が各地に委員の派遣を行いましたそのときに、私どもと同時に行かれました、本日見えませんが、成田先生と私同行いたしましたが、事実その事例があった。しかも、これは現地の局長が認めておる。こういうことで、国鉄の要員はここまで逼迫しておるから何とかしなくちゃならぬということで、実は報告書の中にもそれが盛られているわけなんです。こういう事例は確かにあるはずです。どうしてこれはそういうことになっているかといえば、のっぴきならぬ、人がいないために臨時代用を使って、しかも、重要なポイントすらこれらの臨時にやらしておる、こういう事例がある。これは何を物語るものであるかといえば、国鉄の要員というものがとにかく極度に逼迫しておって、こういう者を使わなければならぬ実情にある。ところが、先ほどの御答弁の中では、五カ年計画の中で十分対処し縛るような情勢になっておると、こうおっしゃいまするが、この点は事実に反すると私は思う。この点は、しかと承知をしていないとすれば、十分御検討を願いたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますが、臨時雇用員の職員代川としておもな職名があるはずです。今この職名例にどのようにお使いになっておるか、職名別に一つ代用の状態を御説明を願いたいと思う。
  102. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 先ほど申し上げました通りに、トータルの数字の資料をただいま持っておりませんので、従って、職名別のここで数字を申し上げる材料は持っておりません。すぐ取り調べましてお答えいたします。
  103. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは私が職名を申し上げますから、この職名は代用を使っているということを認めていただけますか。駅手、電話掛、汽罐掛、雑務手、庫内手、整備掛、線路工手、炭水手、連結手、転轍手、荷扱手、列車手、電力工手、この労務職、これは代用をもって使っておられるということを認めますか。
  104. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまお読み上げになりました職名のうち、一、二あるいは該当してないものもあるかとも存じますが、大体におきましてそういう労務職に使っておると考えます。
  105. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは認めていただきましたら少し詳しく聞いてみたいと思うのですが、臨時雇用員の種別平均賃金について、少しお尋ねしたいと思うのですが、工事関係及び職員代用、除雪、雑用、こういった雇用員の大体日給といいますか、日給は大体どのくらい国鉄としてはお支払いになっておりますか、御説明を願いたいと思います。
  106. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 除雪の場合その他で非常に違う場合があると思いますが、実は予算の単価で見ておりますのは、一人一日三百二十円ということで見ておりますが、具体的な地方の事情——除雪人夫の場合はまた違いますし、いろいろその予算単価を中心にして幅があると思います。
  107. 柴谷要

    ○柴谷要君 経理局長さんは、非常に国鉄でも頭のいい、計数的にも右に出る人がないといわれるくらいりっぱな人ですから、もう少し詳しく説明を願いたいと思います。私どもの調べでは、工事関係の臨時人夫は、大体平均して三百五十円、それから職員代用の場合には二百八十円ないし二百八十五円という平均単価で使っているわけです。この単価で臨時の人を使って危険な作業をやらしているんです。まあ一日に何人かずつ国鉄の職場では非常に危険な作業をしておりますから、とにかく殉職がある、この臨時人夫がもし国鉄の職場で殉職をした場合、どんな扱いをしてるか、この点ちょっとお聞かせ願いたい。
  108. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労働基準法で措置しておるように思います。
  109. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  110. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。
  111. 相澤重明

    ○相澤重明君 宇田国務大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、あなたは今回の国鉄運賃値上げの問題について、本会議の答弁の中で、今回の運賃値上げの率は輸送力の増強のためには最小必要限度の措置であって、貨物運賃の物価に及ぼす影響は、値上げはしても物価水準の引き上げにはならないし、国民生活の面においても家計負担にもならないとあなたは御答弁をなされておる。今日もそういうお考えで物価の影響にはならぬ、こういうふうにお考えになっておるかどうかお尋ねをいたしたい。
  112. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 物価に影響がないというわけではございません。物価に対する影響はあります。ただ、影響は非常に大きなものではない、こういうふうに申し上げたのであります。
  113. 相澤重明

    ○相澤重明君 経済企画庁としては、国家の総合交通政策として運輸機関相互間の輸送調整あるいは海陸輸送の適正分野についてお考えになっておると思うのであります。どういうふうに今回のこの運賃値上げを行う場合にこれらの調整が行われるか、その点について御答弁を願いたい。
  114. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 国鉄運賃値上げによって及ぼす影響は、卸売の価格水準による影響は、十三%の引き上げによりまして、結局論におきまして、〇・二ないし〇・三%と思っております。そうしてこれのCPIに及ぼす影響は〇・一%ないし〇・三%と、こういう計算になっております。
  115. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の経済企画庁長官の御答弁ではきわめて微細な影響しかない、こういう答弁になると思うのです。そこで経済企画庁では、先ほどもちょっと答弁がありましたし、あなたが本会議でも答弁をされておる中に、これらの問題については十カ年計画を考慮しておるという答弁がなされておるのでありますが、今回の第一次計画の中で、国内のいわゆる需給状況あるいはまた国内輸送の伸び、こういうものについてどういうふうにあなたはお考えになっておるか。
  116. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 先ほども申し上げましたけれども国鉄の五カ年計画につきまして、われわれは雇用の関係からどうしても年の増加率を四分五厘に持っていってもらいたい、こういう希望を持っております。その希望の基本になりますことは雇用でありますが、雇用は十年ないし十二カ年でもってわれわれの現在必要な雇用量を吸収するようにいたしたい。十年ないし十二年の間に雇用の吸収をはかるためには、国民経済の伸びを七%ないし八%のところに持っていかなければならない。国民総所得であります。その国民の所得の率を七ないし八に持っていくために必要な経済拡大の規模は輸送行政の面、運輸省関係する面におきましては、ただいま申し上げましたように四・五の伸びを要請したい。それを基礎にいたしまして国鉄の修正の五カ年計画を作ってもらったということになっております。
  117. 相澤重明

    ○相澤重明君 企画庁長官のお考えでは四・五%まで引き上げられるならば、いわゆる三十二年度の国民輸送力増強に対する期待にこたえられる、こういうお考えでありますか。
  118. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 三十二年度は、ただいま運輸省の発表いたしております修正五カ年計画による輸送量によってわれわれは自分たちの目的を達成してもらう、こういうふうに考えております。
  119. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたが御答弁になっておる中で、日本経済拡大の方向は神武以来の好景気であって、とんとん上昇していくということをまあ言われておるわけです。まあ一名あなたのことはとんとん大臣とまで言われ、非常に内外広く知れわたったわけです。(笑声)それほどの好景気であるのに、今の四・五%で一応輸送が需給できるのかどうか、この点あなたのお考えをお聞かせ願いたい。
  120. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 国鉄負担する面は四分五厘の伸びであります。そのほかに貨物の輸送の面におきましては自動車一〇%内航海運関係で五・八%、私鉄関係には二・七%、こういうふうな輸送全般の行政の面での要請した関係がありますから、そういうものとあわせまして国鉄は四分五厘でまかない得るこういうふうに見ております、
  121. 相澤重明

    ○相澤重明君 国内におけるところの輸送力に対する一応企画庁としての考え方を承わったのでありますが、この際あなたにお尋ねしておきたいのは、国内の問題ばかりで今の国民の要望にこたえる輸送というものは完遂できるか。ということは、国際貿易についてあなたがどのように経済企画庁としてお考えになっているか。現在までとっているところのいわゆる対米貿易あるいはまた中国貿易あるいはソ連貿易、こういうようなアジア諸国の貿易と、また従来とっておった対米貿易との今年、三十二年度における経済企画庁の見通しはどうか、この点をお答え願いたい。
  122. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 国際関係では輸出において二十八億ドルの線を確保したい、こういう目安であります。従って、それに見合う貿易の各国別の量の中で、何といいましてもアメリカが一番比率が高いわけでて貿易全量を一〇〇とした場合に、アメリカの持っているウエートは二二と思っております。二割二分が一本の輸出の中に占めるアメリカの比率、こう思っております。そのほかに東南アジアあるいは隣接の朝鮮、台湾あるいは大洋州、アフリカの一部、こういうものは中近東を含めまして日本の貿易市場としては非常にこれは関係の深い所でありまして、これの持つ貿易の日本に対する関係は約五四%と、こう思っております。それが日本の輸出貿易の過半数を占めるものでありまして、国は幾つもに分れておりますけれども、そのいずれにも共通した点は、大体において農業国であるというのが多いのであります。従って、五四%に上る日本の貿易の相手は農業の豊作、不作によって貿易が非常に影響を受ける傾向にある、従って、われわれといたしましては、日本の輸出の見通しを立てる場合に、農業国の本年度の作柄がどうであるかということが影響が多いということを考慮に入れなければならない、言葉を変えて申しますと、たとえば肥料、農機具等の生産等につきましては、日本の国内の製造に対する配慮をどういうふうにするかということが、当然はね返って考えなければならないものと、こういうふうに考えておりますしまたヨーロッパに対する日本の依存度というものは一割そこそこでありまして、ヨーロッパ全体の日本経済に対する影響はむしろこれは日本の輸出面では少い、影響度は少い。しかし、東南アジアに対するヨーロッパの競争力というものは非常にこれは最大の脅威をわれわれに与えるものでありますから、たとえばヨーロッパとの共同市場の今後の推移、あるいはこのスエズを中心とする中近東方面の緊張度の緩和、あるいは共同化ということは、われわれの輸出競争力の相手国の関係に非常に影響を与えるものでありますから、そういう点につきましては、十分な警戒をしなければならないと思っておるわけでございます。そういうわけで、全体を見ました場合に、ヨーロッパはイギリスあるいは西ドイツのように公定歩合を引き下げておる、思い切って。そうして輸出によるところの国内生産の増加傾向を刺激せんといたしておりますから、その点につきましては、スエズの再開等に伴いまして、輸出は当初の計画を非常に狂わすことはないだろうと思っております。アメリカに関する限りは、自動車とか住宅関係では金融の引き締めの影響があって、特に月賦販売とか信用販売の面が規制されるので、昨年ほどの伸び率は見られないかもしれませんが、御承知のように連邦政府から出すところの新しい予算を見てみましても、約三十億ドルばかりの支出増になっております。また各州の予算総計を見てみましても、これも三十億ドルばかりのこれまた支出増になっております。従って、政府の、アイゼンハワーの年頭教書にも掲げてありますように、政府の財政支出が前年度よりも六十億ドルばかり上回ってくる。それから推して参りますと、アメリカのこの高原景気と普通いわれている傾向というものは下降傾向をとらないであろう、横ばいを続けるであろう、物価も漸増の傾向にありますが、しかしインフレを抑えたいという金融引き締めの傾向はなおゆるめないであろう、こういうふうにも思われます。従って、そういうふうなインフレとデフレとの境の谷合いを進んでおるような彼の財政計画、あるいは産業助長計画等から見まして、われわれはアメリカに対する貿易量は昨年よりも下回らない、むしろ伸びが、少しでありますけれども、必ずあるという結論を持っております。また東南アジア等につきましては、ただいま申し上げましたような環境の中におきまして、特に最近アフリカの、特にリビアのごときものは非常な伸びの貿易量を示しておりますから、そういう傾向はただいまの出先機関報告、あるいは商社の報告を聞きましても下らない、従って、非常に困難な数字ではありますけれども、年間二十八億ドルの輸出はわれわれは可能である、従って、収支はとんとんの見合いであると、(笑声)こういうことでございます。
  123. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあとんとん大臣、全く……答弁はその通りでいいと思うのですが、まずあなたにお尋ねをしておきたいのは、対米貿易については、少くとも三十一年度を下回らない、むしろ若干ではあるけれどもやはり伸びはある、こういう見込みである、同時にまた、東南アジア貿易なり欧州貿易というものを考えた場合に、やはり若干伸びていく可能性はある。従って、国際的に見て貿易というものはやはり漸進をするのだ、こういう企画庁の見解だと思う。その点は間違いございませんか。
  124. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 間違いないと思います。
  125. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこでですね、今の後段の問題になるわけでありますが、特に対米貿易は昨年よりも下らないけれども、東南アジア貿易、なかんずくソ連貿易、中国貿易等について、一体経済企画庁はどのような見解をとっておるのか、この点をお尋ねをしておきたい。
  126. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 東南アジアと申しましても、そのほかにただいま御指摘になりました中共との貿易あるいはソビエトとの貿易をどういうふうに考えられるかという御質問と思います。中国との貿易関係は、御承知のように五月三日でただいまの貿易協定の期限が満了になりますから、新しい貿易交渉を四月から開く準備に入ることになっております。それでそれには御承知のように国際的にはココムないしチンコムの制限がありますから、これの緩和を求めるということが一つ。国内的には輸出入の窓口を一本化するための組合、特に中小企業の対中共貿易をいかに助長するかということに対する組織化の問題が、まだ不十分なところがあって、これの問題点を解決しなければならない。それから中国に対してわれわれの要求すべき点は、商品の分類がABCとなっておりますが、それに対するバーター見合いがまたわが国に対してもABCと、こういう商品の分類の組み合せを要求されております。それが甲類、乙類、丙類という階級差をつけておることの内容が貿易の実態に必ずしも合わない面があります。たとえば大豆は非常に重要なものであるから、これは機械とか船舶とか、そういうふうな日本が輸出禁止をされている商品と見合わなければならぬというふうな組み合せになっておりまして、大豆を輸入しようとすると、その見返りの商品がなかなかわれわれとしては許可がもらいにくいというようなことがありまして、そういうふうな特別な戦略物資の輸出についての解除を求めて、あるいは戦略物資を輸出する場合に、相手方の組み合せ商品を中国側から甲類、乙類に回してもらうというふうな交渉が重点となると思います。そういう面につきましては、このチンコムないしココムとの関係、あるいは中共側との関係等はこの前の協定よりも今回の協定の方がより歩み寄りが可能な面が出てきております。従って、そういう面から見まして、少くとも八千万ドルもが最低級であって、昭和三十二年度の貿易は一億ドルをこし得るものである。従来の伸び率から申しましたならば、おそらく四千万ドルの伸びがあるのではないか。そういたしますと、一億二千万ドルというふうな数字が出ます。しかし、そいうふうな飛び離れた数字を押えてわれわれは計画を組むというのは危険かもしれませんから、五月三日の期限満了の善後措置として中国が打ち出してくるところの協定の内容、それから中国がただいま編成中の第二次五カ年計画の貿易計画、そういうものを見きわめることによって、数字の修正はあると思いますけれども下に回るということはない。八千万ドルを上に回るということはほとんど決定的な見通しのように思っております。ソビエト関係につきましては非常にむずかしい。内容は、要するに向うからどういうものをどれくらいの分量もらえるかということについての見通しがただいまのところ十分つきません。従って、これに対して期待をかけるという考え方、またこれに対する数量を一千万ドルとか、それ以上に持っていくということはただいまのところ無理ではないかと思って、これはまだ大きく貿易に対して影響するところまでの話し合いになってはおらない、こういうことでございます。
  127. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の宇田国務大臣の御答弁ですと、中国貿易についてはチンコム、ココムの緩和をはかって、そうしてできるだけ両国の中で貿易を促進をしていきたい、こういうお考えを述べられたのであります。そこで、今回のその措置はいわゆる民間の中国貿易促進委員会なり、この三団体の要請に基いて政府がそういう施策をとるのか、あるいは岸内閣のいわゆる今回のこの貿易促進についての立場でアメリカと積極的にこれらの問題について話し合って、そうしてチンコム、ココムの緩和をはかっていき、しかも、できるだけ民間団体にも協力をしてもらうのか、そのいずれであるかということをお尋ねしたい。
  128. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 外務省を通じまして、岸内閣は中国との貿易に対して、現在よりも緩和し縛るような基本線を要求をいたしております。そうしてそれにつきましては、なお今後とも努力を続けるはずであります。また中国との貿易は、従来の経過にかんがみまして、われわれは民間ベースによって貿易の交渉をはかるのがよろしい、こういうふうに考えまして、ただいまのところ、御承知のように貿易促進協会があります。そうして促進協会のほかに輸出入組合法に基いてできました日中輸出入組合がありますから、その三つを軸にいたしまして推進をはかる。なおほかに社会党と超党派的に議員連盟がありまして、議員連盟がこれに従来から参加をして参りましたから、その議員がどういうふうにこれに参加をするかということの方法につきましては、両党においてただいま話し合い中でありますから、いずれか話し合いがまとまりましたときには、緑風会を含めてそういうことに具体的な話し合いをもって、それで民間三団体という表現でありますけれども、そういうふうなベースでただいまの五月三日期限の来る貿易協定の改訂に臨んで、新しい貿易計画を樹立するようにと、こういうのが基本線でございます。
  129. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  131. 柴谷要

    ○柴谷要君 前に臨時人夫の問題をお尋ねいたしましたが、私どもの方が臨時人夫のことについては詳しいようですから、これは一応やめたいと思います。  そこで次の問題をお尋ねいたしたいと思いますが、公安官制度の問題について少しくお尋ねをいたします。経営調査会の答申の中にも、戦後の状況と今日の情勢では——漸次公安官を廃止していくべきだ、減少さしていくべきだ、こういう勧告をなされたことは承知をいたしておりますが、現在全国で三千人ほどの公安官がおりますけれども、非常に輸送の第一線が逼迫しております今日、これを全面的に輸送の第一線に振り向ける用意があるかどうか、この点をお尋ねをいたしたいと思います。
  132. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 公安官の数につきましては、これは経営調査会からの御指摘もございましたし、逐次漸減する方針でその計画を実行しつつあるわけでございます。
  133. 柴谷要

    ○柴谷要君 漸次これを少くしていこうという計画らしいんですが、これもやはり五カ年計画で全部おやめになるというお考えでございますか、その点を重ねてお尋ねいたします。
  134. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 五カ年計画でその間に全部やめるというようなことまでは、最近のやはり国鉄の部内の事故の発生状況その他からいたしまして、そこまでは無理であると思いまするが、五カ年計画の間に他の業務量増加に伴う増員の必要ということもございますし、逐次減らしていくということは考えておりますが、五カ年間にこれを全部やめるというようなところまでは考えておりません。
  135. 柴谷要

    ○柴谷要君 私が先ほどお尋ねしました臨時人夫等の問題を考えあわせ、非常にまあ国鉄自体としてあまり誇りでない職名の職員を使っておるということ自体が、私はやはり問題があろうかと思うので、やはりこれらも五カ年計画等でやられた方がいいのではないか、と同時に、当局としても経営調査会の答申の線に沿ってその方向を打ち出されることはけっこうだと思うのですが、初年度が百名減、こういう程度のことしかやっておりません。百名程度でやりますというと、三千名ですから、どうも三十年かかるというようなことで、なるべくこれは短縮して、その経営調査会の答申並びに国鉄の実情等から考えあわせて、一つこういうような職名は早くなくして第一線に回わす方が国鉄としては急務じゃないかと考えますので、特段とこの点を一つ促進をしていただくように要望しておきます。  次は、国鉄では膨大な四十四万七千七百余人というような職員をかかえておりますので、休職者も相当おると思うのでありますが、これらの休職者の取扱い等の状況について、少しくお聞かせいただきたいと思うのです。
  136. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 休職者の数は相当ございますのですが、現在は休職者に対する給与等につきましては、予算の面でも別に見ておりまして、大体二年ないし三年間は逐次減額はいたしますけれども、給与を支給する、そういう制度になっております。
  137. 柴谷要

    ○柴谷要君 私がこの休職者の問題をお尋ねいたしましたのは、この内容を十分運輸委員皆さんにも知っていただくと同時に、国鉄としても大いにこの面を検討してもらいたいという点があるために御質問申し上げたことです。特にこの休職者と申しますのは、国鉄の職場が非常に過重な労働であり、厚生面が完備しておりませんために、年々結核患者が非常に出ておる、他の職種と比較してその率が多い。しかし、最近は非常にこの点に力を入れて順次減少しつつありますけれども、労働の質と量、それから環境等によって非常にこの患者が多い、こういう事実が国鉄職員にはあるわけです。そういう点からいって、この休職者の取扱いについては十分な医療対策等も必要であるし、相当の資金をとってその改善をしていただかなければならないはずでありますけれども、ややもするというと、どうもこういう機関がおろそかにされて年々予算が減少される傾向にある、それがために十分なる医療施設あるいは療養等を与えることができない、こういうことで他の機関におけるよりも高率は休職者がいる、こういう事実だけな十分一つ考えあわせになって、しかるべく予算の拡大等はかって、徹底的にこういう方々を早く救っていくと、元の職員に健康を回復させるという面にも十分力を注いでもらいたい、こういう意味をもって御質問申し上げたわけでありますが、本年度のこれらに対する対策として、前年度と比較して予算の状態はどうなっておるか、この点を御説明願いたいと思う。
  138. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 結核による長期欠勤者の数というのは現在おおむね八千数百人おるのでございますが、そのために休職になっておる者に対しては、先ほどもちょっと申し上げましたが、最初の一年間は百分の百の給料を支給いたし、あのと二年間は八割限度給料を支給するというふうにいたしております。そしてまたこれらの結核職員の療養のための医療費といたしましては、概数で恐縮でございますが、十一億ほどの医療費を国鉄としては支出いたしておる状況でございます。
  139. 柴谷要

    ○柴谷要君 それに対する国鉄としての考え方は、非常に優秀な結核の専門医も雇い、相当進展はいたしておりますけれども、これらの優秀な先生を迎えてはおるものの、施設なりあるいはすべての医療の問題について、十分に予算がとれていないということで宝の持ちぐされというような傾向にあるような気がするのです。特に四十四万からの職員をかかえて、国鉄輸送を完遂していくという上における労働というものは非常に激しいものがあるので、こういったようないわゆる結核に冒されるものも数多い、ところが、第一に、輸送に重点を置かれておるために、この方面の医療機関等にある職員は冷遇はされてはおりませんが、職員並みの取扱いは受けておりますが、なかなか他の方面から見ますると、国鉄の医療機関におる職員は多少不遇の状態にあると思うのです。これも陰の力としてやむを得ない現象になっておりますけれども、こういうこと自体がもっと国鉄の医療機関等を充実し、しかも、これに働いておる有能な士にはそれ相応のことをしてやらなければならぬ、こういうふうに常々私ども考えておりますけれども、これがなかなか予算がとれないということで他よりも劣った状態にある、ことに国鉄が今回果すべき役割というものは非常に大きくなって、政府自体も関心を持ってこられたと思うのでありますが、これを機会にこういう面においても国鉄当局は十分に意を注いで改善をし、かつ、それらの面に対する今日までの状態を回復してやる、こういうような考え方のお持ち合せがあるかどうかお尋ねいたします。
  140. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 現在でも医療関係の職員に対する給与につきましては、他の国内全体の医療関係方々との関係も考慮いたしまして、ある程度特別の考慮を払いまして、それによって国鉄が必要といたします医療職員を確保いたしておるのでございますが、実際問題といたしまして、率直に申し上げますれば、たとえば北海道等の僻陬地に勤務する医療職員等については、なかなか補充が困難であるというような事情もございます。これらの点を私どもも十分考えまして、今後も医療関係職員の給与、待遇の改善ということについては努力いたして参りたい、かように考えております。
  141. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次は、質問の要旨を少し変えてお尋ねしたいと思うのでありますが、国鉄五カ年計画で大体私ども考えられます数字は、車両の増備、車両の増備の中で電気機関車は六百三十五両ほど作られる、ディーゼル機関車は五百三十両作られる、電車は八百五十両作られる、客車も八百五十両、貨車は一万六千両作るという、こういう数字が私どもの調べでは出ておるのですが、この数字に大した間違いはないかどうか、お尋ねいたします。
  142. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) ただいま申された数字は多分五カ年計画の修正前のではなかろうかと思いますが、修正五カ年計画によりますと、電気機関車が七百九十五両、ディーゼル機関車が六百二十両、客車が八百五十両、ディーゼル動車が二千三百四十両、電車が二千三百六十両、貨車は二万四千両、これは増備でございまして、そのほかに取りかえがございますから、新製する車両にいたしますと、それよりさらにたとえば貨車で申しますと、一万三千両ふえます。ですから五カ年間に貨車を新造いたしますのは三万七千両、こういう数字になるわけでございます。
  143. 柴谷要

    ○柴谷要君 今の数字で明らかになりましたが、その中で電車の状態についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、東京付近、特に中央線、総武線等に対して、五カ年計画では大体どのくらい電車を増価する見通しになっておられるか、お聞かせ願います。
  144. 久保亀夫

    説明員(久保亀夫君) 今申された線を含めまして、東京の電車区間で五カ年間に九百五十両という計画に相なっております。
  145. 柴谷要

    ○柴谷要君 かつて国鉄の白書が発表いたしましたように、大体今三倍の乗客が乗っておる、これを二・五倍に引き下げるには大体どのくらいの車両が要るかということで出ておりましたが、その際にすら三倍の乗客を二・五倍に引き下げるのに、電車の数で九百両増備しなければ、三倍の乗客を二・五倍にするわけにはいかぬ、こういう工合に国鉄の白書は発表しておられますが、今の数字からいいますと、三倍の混雑を二・五倍に引き下げるだけしか車両ができないという状態でございますが、そのように見て差しつかえありませんか。
  146. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 輸送力は車両数だけじゃなしに、ことに今お話の問題は、ラッシュ地帯の、ラッシュ時間帯の問題だと思うのです。従いまして、このラッシュ時間帯にどれだけ車両キロがふえるかということが、輸送力増強、いわゆる混雑緩和の問題になってくるのでございますが、この車両キロをふやすためには、車両数の増備もとより必要でございますが、それ以外に線路を増設する、あるいは性能のよい電車を作りましてスピード・アップするというようなことが当然考えられるわけです。従いまして、車両数の比例だけでもって輸送力が緩和するというわけには参りかねるかと思います。私どもはそれ以上に能率が上るように努力いたしたいと考えております。
  147. 柴谷要

    ○柴谷要君 本日まで連日審議をしてきましたが、非常に対象になりましたのが、もうかる線は山手線だ、その山手線が非常に混雑している、ピークの場合には大体三・一倍あるいは二・五倍、こういったような混雑状態にあるが、これはどうか、こういう質問が多かったと思うのです。で、私どもは多少専門の立場にありますから、この五カ年計画が遂行されれば、かなりお客さんが喜んで国鉄に乗車される、こういうふうに見ているわけです。ところが、一般方々のはやり不安な点は、これだけの金をかけてもなかなか混雑が緩和しない、それでしかも、運賃値上げは十円区間が二十円になる、こういうことではなかなか納得がいかないじゃないかという意見が多く出てきたわけです。そこで、私ども心配したのは、このラッシュ時間でも、運賃値上げされたならば、今日のような車内に入っても手を上にあげることもできない、ズボンのポケットの財布を取られてそれがみすみすわかっていながら、これを抑えることができない、こういった混雑状態でなくするために、運行の上においても十分注意されれば、この計画が完全に実施される場合には、かなり乗客方々が納得のいく線が出てくるように思うわけです。それで今車両の数字ばかりでなしに、一日のいわゆる増発というようなことも考えられてくるわけでありますが、どうしても列車の回数をふやし、運転時間を短縮するというようなことになると、これはやはり何といっても働く者たちにしわ寄せがされてくるわけです。これらの面も、今回この五カ年計画の中に十分要員状況も織り込んだところの対策をどうしても揚げてもらわなければ、私どもは納得がいかない、こういうふうに思うわけです。この点については、今さらここで新しい計画を出せと言っても困難であろうと思うのですが、五カ年間の計画で、初年度こそ事業完遂の上において一番大事な年であろうと思いますので、この点どうか国鉄当局としてもしっかり考えて対処してもらいたい、こういうふうに考える。そこで、話は変りますが、電化の問題についてお尋ねをしたいと思いますけれども、東北線の電化は大宮—盛岡間ということになっておる。この五百五キロ、大体五カ年間にわたって工事をされると思うのでありますが、これを五年でなしに、大宮—盛岡間は東北線でもあり必要な線で、先ほども意見が出たように、単線区間でもあるし、どうしてもこれは輸送を増さなければならない、こういうような観点から、これを四年ぐらいで電化を促進するというような考え方国鉄当局におありになるでしょうか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  148. 並木裕

    説明員(並木裕君) 例の三千三百キロの電化計画、千八百二十一億で十年間、こういうことになっておりますので、年間百八十二億ぐらいのことは考えられるのでありますが、まあそれは非常に最盛期のことを考えましたのでございますが、まず第一次としまして、来年度、幹線としましては百十億ぐらいだと思っておりますので、現状としましては、五年間で青森までをこしらえ上げるということは実は困難ではないかと思います。特に、東北本線ばかりではなくて、山陽線あるいは北陸線方面にもまたがっておりますので、東北本線のみに全部の予算を使うということは困難でございます。
  149. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは北陸線についてお尋ねをいたしますが、米原—富山間、これが二百四十三キロですか、二百四十三キロあるのですが、この中で、今国鉄では、敦賀—今庄間、木ノ本—今庄間の線路の問題を御討議になっておられると思うのですが、これは、どっちの線をお考えになって実施をしようとしておられるのですか。この点を一つお伺いをしたいと思います。
  150. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 米原—今庄間につきましては、これは数案——五、六案あるのでございまして、これを遂行いたしますためには、大体百億ないし百三十億ぐらいの金がかかるというような大きな計画でございますので、その個々の案につきましていろいろの角度から検討いたしておりまして、できるだけ早く結論を出そうということでございますが、まだ結論的にここをやるのだという段階には至っておりません。
  151. 柴谷要

    ○柴谷要君 木ノ本—今庄間の線と、敦賀—今庄間ということになると、二つあろうと思うのですが、敦賀という地形的な大都市を抜いて今庄に結ぶという考え方は、これは少し冒険じゃないかというふうに考えられますが、この点は、私別に政治的に考えろというわけじゃなしに、あそこの交通の状態から考えます場合に、敦賀—今庄間の複線化ということが適当ではないかと考えておりますけれども、このウエートをどちらにお考えになっておられますか。総裁がいらっしゃいませんならば、副総裁一つはっきりしたところをお答え願います。
  152. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) お答えいたします。北陸線につきましては、最近非常に出荷が旺盛でございましたので、非常に輸送も困難を一生じて参りまして、早急に何らか手を打たなければならぬ、それは、単に敦賀—今庄、あるいは敦賀—米原間のみでなく、青森—米原を通じて輸送力の増強をはかりたいと、かように考えております。そうして、ただいまの今庄—敦賀間、あるいは今庄—木ノ本間の隧道につきましても、これは輸送力の増強の一端として考えていかなければならないのでございまするが、しかし、そのいずれをとるかと申しますることは輸送の面あるいは交通の面、いろいろのところから一長一短がございまして、これにつきましては、まだ十分調査比較をいたしまして決定しなければならぬ重大問題だと考えておる次第であります。
  153. 柴谷要

    ○柴谷要君 慎重に検討されることはけっこうなことでありますが、大体見通しとしては、どの期間ぐらいの間に御決定をしようとしておられるか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
  154. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま企画線二つと申しましたが、実は、御承知かと思いますが、他にも現在線にはりつけるというような案もございますので、御承知のように、北陸線は非常に行き詰って、その打開策が急がれておりますので、ここ一月かそのくらいの間に案を決定したい、かように考えております。
  155. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次に電車化の問題についてお尋ねをいたします。電化の進展に伴って、新旧旅客列車を漸次電車化する、こういう計画になっておるわけで、特にその中で高崎線、東北線、北陸線、常磐線、東海道、山陽、鹿児島、この線区を電車化するということになっておりますが、高崎線の電車化について、実は電車区の問題が出ておるわけです。この電車区の問題については、私は、少しく国鉄は欲がなさ過ぎるじゃないかと思う。電車区を作ってもらうならば土地を提供してもよろしいと、こういうある県の申し出を容易に決定をしておらぬ。こういうようなことを聞くのでありますけれども、とにかく沿線に膨大な用地を獲得しようとする場合には、大体用地獲得で国鉄は困難をしておるわけです。ところが、幸いにも、電車区を作ってくれるならば用地を提供しよう、県があげて交通委員会を作って、まさに国鉄が決定すればすぐ地所を提供しよう、こういう所があるにかかわらず、なかなか決定をしかねておるようでありますけれども、これは電車化の促進のために非常に遺憾な点だと思う。これをどういうように国鉄考えられておるか。特に要請者は前橋と高崎である、こういうように言われておるが、この点をいつ決定するか、お尋ねいたしたい。
  156. 並木裕

    説明員(並木裕君) ただいまの高崎線の電車化に伴いますところの区の問題でございますが、これは、ただいまのところ、まだ決定はしておりませんでありますが、東北本線の宇都宮までの電車化ということと、高崎線の現在の電車化というものに伴いまして、蕨付近に一つの電車区を作りまして、将来高崎線が二百両、あるいは東北方面の宇都宮が二百両くらいに達しましたときに、高崎線専用の倉を作りたいという構想になっておりますが、まだ具体的の問題は決定いたしておりません。
  157. 柴谷要

    ○柴谷要君 蕨に東北線並びに高崎線をげたをはかした電車区を作ろうというお考えのようでありますけれども、蕨の地理的条件、あるいは線路の状態等を考えた場合に、決して私どもは得策ではないと思います。そこで、用地を提供しようという群馬県の要望にこたえて——私はまあ県の代表ではありませんけれども国鉄の利益のためにだ、利益のために特に強調したいと思う。こういう点はあまり無欲であってはいけません。大いに欲を働かせられて、国鉄の用地買収のために膨大な金を使わずに、県の協力を仰ぐことが国鉄のためになると思うので、一つすみやかにその線を決定をしていただくように御努力願いたいと思う。この点に対して副総裁、いかようにお考えでございますか。
  158. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 十分調査研究いたすことにいたします。
  159. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは時間が来まして、一人でしゃべっているのもまずいですから、次に譲りたいと思います。
  160. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今回の運賃改正に対する世論、あるいは一般考え方というものを見ておりますと、どうしてもまず第一に、国鉄にもっと経営の合理化をする余地が多分にありやしないかということが、一番大きな問題になっているように思う。これは過日来各委員からの御質疑もあるし、それから私も昨日この問題にちょっと触れましたが、何といってもこの問題を、国鉄努力されている、そしてここまでは合理化した、この範囲までは合理化される、たとえば改善の経過にありますが、たとえば工事予定単価の積算基準、価格の積算基準、これについて委員会を設けられて、今後この方式でいけば予定単価は平均二%程度引き下げが可能であるという見込みが出ている、こういうようなことで、この程度まではいけるんだということで、今までの実績、あるいは今後の見込みといったものをはっきりされることがぜひとも必要じゃないか。国鉄の今まで払っておられた御努力には私ども敬意を表するわけでありますが、なおその点についてよくこれを——これは国民一般の資産でありますから、これがこういうふうに運用されてるんだということを十分にわからせる啓蒙の方法PR方法を講ぜられることを希望するわけですが、その点については特にあとで国鉄に一、二お伺いすることにします。  私はその次の問題は、まあ合理化がその程度できたと、そこで今度の運賃はどういう目的に使われるか、これは今朝植竹委員からも御質疑があったところなんです。で、五カ年計画というものがここに出されて、数字が出ておる。この計画に出ておる数字だけ拝見すると、きわめて簡明でございます。今後の伸びが四%半、これにも問題はありましょうけれども、非常に簡明にできておる。しかし、考えてみますと、現在すでに輸送需要と輸送力のズレが非常に大きい。その上に今後伸びていくことが予想されるわけでありますから、この五カ年計画はぜがひでも達成されなきゃならぬ最小限度と考えるわけですが、その点について、運輸大臣並びに国鉄当局はどういうふうに考えておられるか、その点をまずお伺いしたい。
  161. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 先ほど企画庁長官からも御答弁申し上げましたような線で、まあこの線でいけば今後の経済の拡大に伴って国鉄負担する使命を果し得ると、これが大体、最低とか最高とかいうんでなくて、中ごろのどころでいこう……。
  162. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 国鉄当局も同じように考えておられますか。
  163. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま大臣の御答弁の通りでございまするが、なおそれにつけ加えますると、国力の伸長が今後非常に期待されまするので、これだけの輸送力の増強はどうしても必要であるとして、国鉄といたしましては、これの完遂は絶対に期していかなければならぬものと、かように考えます。
  164. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 そういたしますと、運賃が上るか上らぬかにかかわらず、この五カ年計画というものは絶対にこれを達成すべき目標だということになるわけですが、そうした場合に、先ほどから話が出ておりますが、これはあくまでも計画であって、実施計画なるものはすでに着手しておられるかもしれませんが、今後鋭意国鉄において細目にわたる工事を初め、その運転計画等を立てていかなければならぬ、そういった場合に、先ほどから問題が出ております要員の問題であるとか、あるいはこれは今から考えるのは早いんですが、年々労組がベース・アップを持ち出してああいう事態が生じる。なお工事単価についても、見積りですから、これは今後の資材の価格等によってはどうなるかわからぬといったところに計画上のそごを生ずる、また収入面においても輸送量が案外伸びない、送れなかった、そうすればその面だけ収入が少くなる、そういった事態が起った場合に、この約六千億に達する計画にそごを来たしてはこれは大変だと思うんです。これは先ほどのお話によって中ぐらいと大臣言われたが、やはり達成すべき私は目標として確保されなければならぬと思いますが、そこで一番問題になることは、そういった経費あるいは収入の変化によって、この計画にそごを来たす。特に輸送というものは、まず輸送機関が完成されて、それからこの輸送ができるのであって、必ず資材の輸送量がふえる前に輸送力というものがふえなければならぬのですが、計画は一年々々になっておりますから、この通り行ったとしても、輸送力の増加と輸送量の増加との間にズレが出てきやしないか、そういうような懸念もあるわけで、そういったときに、資金的にそごを来たした場合に、政府としてどういう立場をとられるか、というようなことを申し上げるのは、鉄道建設について従来審議会があって、経済的速度でこれを完成しなければならぬという決議までついておりますが、時の政府あるいは大臣の量見一つ——一つと言っては大へん語弊があるかもしれませんが、予算が削られたり足りなくなったりして、そのため非常な不経済を起すのみならず、地方民に非常な不信を生ずる、約束しておりながらいつまでたってもやらない、それで工事を中止するからその補償をしなければならぬ、不経済を生ずるのみならず、これは資金が非常に眠ることになわるけです。非常な事態を起すわけですが、この五カ年計画遂行に当っては、そういった点から行くと、政府が、どんな内閣ができようと絶対これは五カ年計画として確保するんだという固い決意と国鉄に対するそういった支持がないと、私は国鉄だけ幾らふんばってもできないと思うんですが、その点について大臣、いかにお考えになるか。
  165. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) むろん将来の見通しでありますから、この数字の通り、大体において日本経済の今日から見た伸び方に順応していけば、この計画は遂行できると、こういうふうにむろん考えておるのでありまするけれども、しかし、そこにやはり幾らかの緩急の度もありますし、いろいろの変化があろうと思いますが、それはまあ年度々々においてこれを調整していくということによって、大体この線でいけるし、またこれは国民経済全体から見れば、時の内閣によって左右もされることのできないところに、これは置かれておる問題じゃないかと、こう考えております。
  166. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 もちろん経済五カ年計画だって改訂があるわけですから、その基本に変化が起れば、これは輸送計画、輸送力増強計画にも変化が起きることは、これは当然でございます。しかしながら、先ほども申し上げたように、輸送力というものは現在逼迫しているわけでありますから、これはよほどの覚悟をもって臨まないと、ただ思う通りいかぬ、自己資本が大体七割くらいと説明しておりますが、その自己資本に狂いがきた場合は、これは何としても、政府がやっぱり政府資金を醵出するという方法をとってもらわなければ、国鉄としてはやりようがないわけです。そういったことを私は伺っているわけで、そういったつまり継続性ある政府の政策として、これをはっきり打ち立てて、そのおつもりになっていただけるかどうか。その点を閣議等でどういうお話になっておるか、その点を一つ大臣から承わっておきたい。
  167. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この点は、別にこれに変化が起ったときには、一つこういう手を打つというところまでは、実際問題として閣議で了解をしておるということはありませんです。しかしながら、政府国鉄の計画を承認して、そしてこれを進めていくからには、今お話のような事態が生ずれば、当然政府の責任においてこれは考慮しなければならぬ問題だと考えております。
  168. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今の大臣のお話で、そういった政府がお考えであるならば大へんこれはけっこうだと思うのでございますが、次に私は、先ほど貨物輸送の問題について、森田同僚委員から御質疑申し上げたわけでありますが、その際に、權田政府委員から、いろいろ輸送要請を、これは海陸分けて、いろいろの交通機関を分けての御説明があったわけです。私は、かねがね輸送要請というものを運輸省でアレンジをして、そうして交通機関の分野というものを——交通機関の使命あるいはその分野、輸送の分野というものを考えつつ、日常の行政に当っておられることは、私はよく知っておるのでありますけれども、問題は、私はこの日本交通政策と申しますか、国鉄が一体どの程度終局において、あるいは現在の段階から、今後五カ年あるいは十年においてどういう使命を持ち、どれくらいのものを分担すべきだ、あるいは海運あるいは陸運、トラックといった、こういった分野をしっかりきめて、それに伴って道路や港湾や鉄道や、それらの計画が総合的に交通政策として立てられなければならない。それを立てるところは、私はいわゆる経済企画庁あるいは運輸省の仕事ではなかろうかと考えておるわけなんです。で、由来、運輸大臣に、私はいろいろそういうお話を申し上げて、お願いしておるわけでありますが、いつも経済企画あるいは大都市の交通で申しますと、首都圏のいろいろな計画について、交通という面が全く私は何というか、少しすみっこの方に追いやられて、まあこれだから交通があとからこれだけになるのだ、五カ年計画の策定についても、これはまあ軽んぜられているというのは言い過ぎかもしれませんが、非常に重点的に取り上げられていないのじゃないかという、これは私だけの気持かもしれませんが、気がするのであります。そこで私は、たとえば、これは具体的な問題になりますが、たとえば工場ができる。これなんか交通機関関係なくぼっと工場ができる。そこへ膨大な原料資材が流れ込む、あるいはその通勤輸送がどっとふえるということであるし、住宅が作られる。これは鉄道輸送の状況を考えておられるのかもしれませんが、非常にわざわざ遠方に持っていって公営住宅が作られる、こういうようなことでおりますと、なかなか国鉄がいかに頭を使っておりましても、それに追っつくということはできないので、そういうような点を一つ交通政策としてはっきりと運輸省が中心になって立てていただきたいと思うのですが、大臣はいかにこういうような問題をお考えになっているか、御所見を承わりたいと思う。
  169. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今日まで運輸の問題、ことに国鉄の問題がかような扱いを受けておったということは、なるほどあったかもしれませんが、このたびはつまり電力、鉄鋼とともに日本産業輸送が隘路である。従って、政府におきまして重要施策の一つとして取り上げる、これは政府において取り上げたばかりではなく、やはり世論がここに来ているのであります。従って、このたびの運賃値上げに伴うこういう施策も、まあ政府もこれを行い、それから世間もこれはよく理解をしてくれて進んでいることと思うのであります。なお、国鉄が陸上輸送の上で大体の数字は国鉄に五五%を持たせるとか、自動車は幾ら持たせるとかいう計画は、御承知通り立てて、それによって大体総合的に陸上輸送日本経済における国鉄の役目を果させよう、こういうふうに進んでいるのでありまして、ただいま御質問の御趣旨も、これは一つ重要な私どもとしては御意見として十分これは拝聴して、取り入れなければならぬと思うのですけれども、大体においてそういう方向でこれは取り扱っていき得る。ことに国鉄輸送の問題が重点的に取り扱うのは、やはりこれはやらなければおられない立場に追い込まれていると、こう思うのであります。
  170. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ただいまのお言葉でよくわかりましたけれども、なおこの交通なんというものは、あとからついてこい、これでは私は経済発展に沿い得るわけはないと思う。また交通従事員の側から申しましても、そういった使命感というものに徹しなければ、つい電車をとめて平気——平気というのは少し語弊がありますが、そういう観念になりがちになる。これは大臣も御承知通り、もとはいかなることがあっても列車は正確に運転するのだと、こういう、国鉄従事員のこれがもう最大の使命であり、誇りであったろうと思うのですが、最近はそういう誇りがだんだん失われて、また外からはいわゆる国鉄一家の名のもとに非常な非難を浴びている、昨日も私はラジオ東京かの運賃値上げに関する街頭録音を聞いたのでありますが、全く、もちろん国民運賃値上げに対する批判なり、不満はよくわかりますけれども、中に言われていることは、決して全部が国鉄にとって正当な非難ではなくて、むしろ新聞等に出たことをさらにこれを誇張されて言われている。私は自分が国鉄出身者の一人であるせいでもありましょうが、そういうことを聞いていると、全くもう切歯扼腕というか、もうたまらないような気がするわけであります。これにはよほど国鉄経営の機構なり、あるいは労働関係、先ほど国鉄の合理化について、昨日申し上げたように、国鉄内部をすっきりしたガラス張りの中に入れるということは、これはもちろんでありますが、そのほかに根本問題として機構なり、労働関係の正常化という問題があろうと思う。その場合に、これは昨日大臣からも二部御答弁を伺ったんでありますが、つまり国鉄経営の形としては、これは純国営化、つまり、政府が直営するか。あるいは現在のようないわゆる公共企業体形式でいくか、あるいは純然たる民営にするか、そのニュアンスの違いもあるかもしれませぬが、根本的には三つになろうと思うのですが、この三つについてこれは大臣に伺えば十分慎重に検討しておると言われると思います。しかし、大臣として今卒然としてお答えになるとすれば、一体大臣はどういうような気持がしておられるか、現在の公共企業体というのは、これは絶対いかぬもんかどうか、そういう点ついて御所見を承わりたい。
  171. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) ただいまの加賀山さんのお話は、加賀山さんの長い間の鉄道における仕事の御体験から出てきた感じを率直に御表明になったことと思いますが、私どものように、直接これに関係しておらず、ごく最近この立場になりました者でも、今のお話のようなことをしみじみと感ずるのであります。  なお、私は昨日市川さんの御質問を伺っておって、われわれがやはり非常にこの運賃値上げについて、国民の理解を得るのに手落ちがあったということを私は感じたのであります。それは市川さんのお話に、有力な日本婦人団体の四団体がみんなそろってこれに反対しておるじゃないかというお話がありました。私はやはりこういう大きな問題を取り扱うときに、政府なり国鉄当局が今日ですからこれらの婦人団体にもあらかじめ理解を得るような準備をしなかったということは非常に間違っておった。実はそれについて私が自分の郷里に帰りましたところが、郷里で婦人団体が運賃値上げの反対の軒並みに判を取って歩いている。判を押して署名さして歩いている。そこで私はその婦人団体のおもな人と会って、それで鉄道運賃値上げのやむを得ざる理由をわずか二、三十分話しましたら、上諏訪の婦人団体はやめてしまった。もっともだと、そういうふうに理解してくれた、これは私の選挙区における関係もありましょうけれども、しかし、その尽すべき手を尽しておらなかった。市川さんのお話の、やはり有力な婦人団体にも尽すところを尽せば、相当私は理解してもらえるのだと、こう思って、その準備が非常に足りなかったと、そこにやはり政府としても、今日はこの民主主義の時代に、民意に従って政治をやるのですから、こういうことには相当に手を尽さなければいかぬということを深く感じたのでありますけれども、ただいまのお話を伺いましても、私ども今日の立場で感ずるのでありますが、やはり私どもこれは一般、何というか、ただこの感じというもので動いている今のあなたの街頭録音で聞いたような大衆の話と、それから物事について少し深く考えていてくれる階級は、このたびの運賃値上げということについても、これはやむを得ないだろうというように漸次私は理解してくれておると、そういう響きが私どもに聞えてくると、こう思っておるのでありますが、今のようなお話は、私の感じとしては全く加賀山さんが身をもってお感じになったことには私どもも全く同感するのであります。
  172. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの大臣の御答弁の中に、今重要問題の審議の過程でありますが、これに賛成しない者はあたかも理解を欠く不当な者のように受け取れるような(「その通り」と呼ぶ者あり)少し言動がありましたけれども、この点はあとで速記録を調べた上においてやはり一つ……。
  173. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) そういう感じがありましたらこれは取り消します。
  174. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 大臣は取り消されましたから。
  175. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 それで今卒然として大臣にどの形態が一番よかろうかというふうに申し上げてもそれは無理だろうと思うのであります。で、ただ問題は、公共企業体になってすでにもうかなりの日数を経ておりますが、われわれはこれをもう最初に、御承知のように、アメリカのマッカーサーの手紙から、これは労働関係からこういうものを作れといってわれわれは戸惑いをしたわけであります。その当時のことを申し上げますれば、あんなことをいってきたから抵抗しながら……、まあ抵抗もできないということで、国鉄として現状を大きく動かさないような方式で一つやろうじゃないかということで、当初はそういうような気持で公共企業体ができたのでありますが、その後まあいわゆる公共性と、それから能率を上げるというようなことを調和しながら、だんだんと公共企業体というものになれてきたような感じがするわけであります。そこで公共企体業の一番大事な点は自主制というものを持つということに根本が、大切な点がある。大臣は先ほどからのまあ御答弁でも、国鉄を非常に——国鉄には専門家がいるんだからこれを信頼するんだというお言葉があって、私どもとしてはこれはもうほんとうにありがたいお言葉だと思うのでありますが、それだからといって、この今のままでいいかというと、私は非常にたくさんのまだ問題を蔵しているんだ、特にまあ労働関係においては、公共企業体労働関係法のいわゆる十六条とか三十五条というような規定は、これはせっかく設けた制度、あるいは国鉄労働組合、労働関係に関する自主性、それから労働関係に関する法制的なこのせっかくの取りきめをほとんど無にしてしまう、まあ極端に申しますと、国鉄当局がこの労働関係に関する当事者能力がないというような面さえ見える。と申しますことは、すべて予算なり支出なりが縛られて、政府の、政府というか、大蔵大臣の強い権限のもとに置かれておる、せっかく仲裁が出ても、この仲裁に政府は拘束されない、尊重はもちろんするということであります。そういう点にこの労働関係を何というかすっきりしないものにして、いわばまあ隔靴掻痒というか、そういう点で国鉄の労働関係がいかに不明朗になっているかわからない、これは民間の労働関係を見れば一番わかる、炭労の争議にしろ、私鉄の問題にしろ、これは争議はいたしましたけれども、当事者間の良識によってぴたりとおさまって大きな事態にならなかった、しかし、国鉄がいつもああいうことを毎年のようにやりますということは、そこらに一つの問題がありはしないか、これは国鉄経営形態というものとあわせて考えるべき最重点のように私は思うのですが、大臣はその点についてどういうふうにお考えになりますか。これは労働大臣の問題にもなりますが、運輸大臣として一つ御答弁願いたい。
  176. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) なるほど過去の歴史から見ましても、仲裁裁定が出たけれどもこれを完全に実施しなかった、予算もしくはその他の面に制約されてしなかったということがたびたびあったのだそうであります。しかしそれはそのときの政府のあり方にもよるわけでありまして、世間ではこの間も、実は二十三日のああいう突発した事柄も、世間が大蔵省の動きというものを何であんなに大きく見て動かなきゃならぬかということを、私は不思議に感じたのであります。これは政府部内のことであって、その話し合いが、私どもはあのときに話し合いがつかないということは夢想だも考えていなかった、ところがそれが世間には響いて、まあ労組の人たちが疑いを差しはさんだのも、そういうところの情報の片りんを聞いてこれはどうもできないのじゃないかというふうに疑われたと思うのです。この扱い方が私は非常に不思議に実は思っておるのであります。このたびは岸内閣として仲裁裁定が出れば誠意をもってこれを尊重するという総理大臣のはっきりした政府の方針を示しておる。またこれをこまかくもう少し具体的な話にいたしますと、世間にも相当明らかになっておりますが、考え方は少くともあの調停を越えない範囲内で仲裁裁定が下るならば、私はこれを実施するという気持をはっきり持っておるのだという心境も、まあこれは国鉄総裁に心境としてお伝えしたのですが、これはだんだん世間にもわかっておりますし、そういう態度をもってはっきり進んでおり、また私自体としてもそれだけのことを言うからには閣内の事情、諸般の情勢からこれは実行し得るという確信をもっておるから言うのでありまして、簡単にその場のがれのことなどは言わないつもりです。そういう段階に来ておるのですから、今度は一つそこに信頼をおいていただきたい、こう私は考えております。
  177. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 最後に国鉄当局に一、二経営合理化の問題についてお伺いしたいのですが、この資材、これは特に新しいものができて、こういうものを国鉄に買おうか買うまいかというようなことを考えられる場合に、何か委員会があったように思うのですが、企画調整委員会というような名前だったと私思っておりますが、そのごくあらましのやり方につきまして承わりたいと思います。
  178. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。国鉄が扱っております資材は、種類にいたしまして非常に多いのでございまして、正確な数字は記憶しておりませんが、十何万種と、こういうふうにございますので、取扱いの方面から申しますとできるだけこれをもう少し種類をしぼりたい、かたがた技術が進歩しておりますので、新しいものがだんだん生まれて参りますので、これを国鉄に入れたらどうかという問題が漸次起って参りますので、それを各方面の専門家でもって企画調整委員会というものを作りまして、それであらゆる角度から論議して、これは現在の限界で使用すべきものであるというものは仰せのようにいたしますし、これはもう少し使ってみないとわからぬ、しかし大体アイデアはよさそうだというようなものは試験的に一年ぐらい使ってみようということにいたし、かつ議論いたしまして、これは現在のものより劣っておるというようなものは遺憾ながらお断わりする、こういうようなことにいたしまして、これも正確な数字を記憶いたしませんで申しわけございませんが、大体年間二、三百件ぐらいの数で審議をいたしておる次第であります。
  179. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この資材購入について、まあ前から購入しているところは、これはよく性質もわかっているし、資力、信用並びにその器材の性能ということもよくわかっておりますから、これにとらわれがちなことは私はよくわかるのですが、しかし技術の進歩はいわゆる日進月歩と言われておるわけです。どんどん新しいいいものができて、国鉄としては非常にふやしたくない、ふやしたくないと言っても、いいものはやはり買って能率を上げなければならぬことは事実ですから、この委員会がそれにふさわしい権威と活動をしておられればいいと思うのですが、まあその点について今御説明になったこと、よくわかりました。  次に工事請負の面でいわゆる指名をするという問題です。この資格審査をするという問題がありますが、これに委員会があるというように承わっておりますが、この委員会の構成はいかようなものになっておるのでございましょうか。
  180. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お手元に配布してございまする経営改善の経過、これのたしか六十七ページに詳しく書いてございますが、委員長にはパシフィック・コンサルタント株式会社取締役社長平山復二郎氏、委員に東京大学の法学部教授の川島教授、あるいは建設省、運輸省、こういったような請負工事の権威者を網羅いたしまして、請負業者の資格並びに指名基準という御審議を経まして、大体一年かかったのでございますが、昨年の十二月に結論をお出し願いまして、大体それに従いまして実施しておる次第であります。この委員はこの改善の経過の六十七ページに書いてございます。
  181. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  182. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  183. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ただいまのお話しのあったのは中央審議会の事柄だろうと思うのでございます。問題はしかし年年どういうものを入れ、どういうものをオミットするかというようなことを年々おやりになっているのじゃないかと思うのですが、そういう審査委員会はないわけでございますか。
  184. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 説明が簡単に過ぎまして申しわけございませんが、大体中央でやっておりますのは三千万円以上の大きな工事を、私どもはかりにこれをA業者と呼んでおりますが、これにいかなる者を入札参加させるべきであるかということを委員会に付しまして、その三千万円以下のB、Cというような業者がございますが、これは地方の支社長のところでもってやはりその地方の学識経験者並びに御関係の権威者をお願いいたしまして地方審議会というものを開きまして、ここでそのB、Cの業者はこういう資格の者が妥当であるという御論議を経ておる次第でございまして、これは毎年開くことになっております、
  185. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 その次の、やはり学識験経者をもって組織された請負工事予定価格積算基準委員会、これは非常に重要な委員会だと思いますが、ここで九カ月の審議の結果でき上ったというこの答申の結果、平均二%程度の起債が可能となる見込みである。現在においても国鉄の請負単価というものは、かなり厳密にやっているというように伺っておるんですが、現在やっているのに対して、予定単価がさらに二%程度引き下げが可能となる見込みであるということでありますが、これは近く変えよう、というか、されるおつもりがあるのかどうか。ことに今後五カ年計画の執行に当られて、この方式で臨まれるのかどうか、そういう点についてお伺いいたします。
  186. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 工事単価の高い、安いという問題は実は非常に、申し上げるまでもないことでございますが、むずかしい問題でございまして、その工事は一体どんな式のものを企業者側の方が要求しているのか、その工事はいかなる時期に、いかなるところで行うのかということによりまして、外見は同種工事のごとき観を呈しておりましても、この工事単価というものは非常に変ってくる。その国鉄の工事単価は高いというようなおしかりもときどき受けるのでありますが、これは主として電源開発だとかその他同種のものと比較して国鉄の方が高いというような御意見であろうと思いますが、これとても、たとえばトンネルを掘るということでも、トンネルを掘りますと、あと支保工というものを設けて山がくずれないようにいたしますが、そういうものを含んでおる単価であるかどうか、あるいは使う機械を業者が持ってくるのか、企業者が貸すのかといったようなことで大きく開きますので、私ども考えによれば、これは国鉄の工事は、この冊子にも書いてありますように、大体十万件ぐらいでありまして、金額にいたしますと大体三百億ぐらいある。五カ年計画を遂行するということにいたしますと、これは二十万件になって六百億ぐらいの年間の工事であるというようなことでございまして、その数多い中に遺憾なおしかりを受けることは絶無じゃないことは、はなはだ申しわけないと存じますが、そういったようなわけでございまして、にわかに安い、高いという比較ははなはだ困難であるということをまず申し上げまして、御質問の、積算委員会というものを開きまして、単価が高いというような御批判があるものですから、果してどうであろうという御審議を約一年にわたってやっていただいたのですが、工事単価というものを、多少専門的になりまして恐縮なんでございますけれども、分析いたしますと、純工事費と申しまして、これは工事は材料と労力ということで、材料と労力というものが純工事費である、しかるに現地で仕事をいたしますためには、請負側がこれを企画し、指導し、仕事の方法を進める技術費、労務者を雇いますための労務対策費がある、労務者がけがした場合の厚生費がある、こういったものが純工事費に加わりまして、これが一応工事原価と私ども申しておるのでありますが、さらにこの請負単価には本社がございまして、そのほかに資産の減価償却であるとか、あるいは役員の給与費であるとか、こういうようなものが加算されて工事原価、工事単価というものが構成される。この純工事費は個々の工事で違いますので、現場では純工事費をやらすための請負人の現場の費用がどのくらいが妥当であろうかという論議をしていただきまして、またさらに本社といたしまして減価償却であるとか、こういうものに幾らを見ることが妥当であろうかということを御論議してもらいました結果、この純工事費に加算する割合が、つまりほかの企業とかいろいろなものを考えまして二%ぐらい下げてもいいのじゃないかというような御議論を願いまして、それがこれに表現されておるということでございます、それで午前中にもお話がありましたように、五カ年計画を遂行いたしますためには、できるだけ工事単価を下げていかなければなりませぬので、これは五%とか一割か二割かは別といたしまして、主要業者の首脳を招きまして、いかにすれば工事単価が多少でも下り得るか、国鉄の五カ年計画を強力にする意味で下げたいということで、寄り寄り下げるためにはこういう方法をとるべきであるといったような議論をしておる段階でございまして、膨大な五カ年計画を遂行するためには私どもはぜがひでも単価を下げまして遺憾なく遂行いたしたい、かように考える次第であります、
  187. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 これは問題が違うわけでありますが、車両修繕について国鉄が工場をたくさん持っておられるわけですが、車両修繕についてもこういったような基準になるような、いわゆる修繕の基準単価というようなものはあるのじゃないかというように私は考えておるのですが、この点についてはいかがですか。
  188. 並木裕

    説明員(並木裕君) 御質問の工場の方面におきましても、御承知通り工場勘定というものによってやっておりますが、ただいまのところ今後の動力の近代化並びに五カ年計画の全般の車両から見まして、やはり現在の工場というものをもっと合理的な姿にすることがいいのじゃないかということを中心にしまして、総裁から諮問をいたしまして、今工場調査委員会というものをやっております。これによりまして今後の動力車その他車両の計画を見まして、能率よいところの単能工場とか総合工場とかいうふうにしまして、できるだけ二重投資を少くしまして、将来の近代動力車の保守に入ったらどうかということを今目下検討中でございます。
  189. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 最後にもう一つ伺いたいのですが、国鉄でやはり従来非常に必要であったということで、たとえば被服とか、あるいは木材防腐とか、これは大きいものとしては戦後志免の炭鉱が問題になっておるようでありますけれども、そういったものはあるいは民間にまかしておいてもいい、こういうふうに日本産業が復活して参れば、いいというような面もあるものがありはしないかというように思うわけですが、そういうものについては、これはいろいろ職員あるいは労働組合等の意見等ももちろんあると思いますが、国鉄の当局の経営経済面からいって、むしろ民間にまかしていった方が能率も上り、むしろ価格も安く買えるのじゃないか——調達できるのじゃないか、かようなものがありはしないかと思うのですが、ただ先ほど申し上げた例について御意見を承わらしていただきたいと思います。
  190. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 国鉄が本来の輸送及びこれに付随する事業以外の事業を営んでおりますのは御指摘の通りに二、三ございます。それにつきまして経営調査会、あるいは行政管理庁の御調査あるいは御答申がありまして、国鉄の合理化としてはできるだけこういうものは他に移譲するなりあるいは縮小するなり、あるいは合理化を徹底的にはかっていったらよかろう、こういうふうな御意見でありました、ただ実際問題にぶつかりますると、いろいろな点を考慮してやらなければならないので、そういう点もにらみ合せまして、目下慎重に研究しておる次第であります。
  191. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 最後と申したのですが、追加してもう一つ実は伺いたいことがあるわけですが、それは今回一般予算につきましては一つの特別会計を設けまして、いわゆる政府の国有財産、これの処理をする特別会計を作って、この中で別建てにして、たとえば、政府の土地を売って、これをためておくといいますか、別建てにしておいて、それで営繕あるいは新規の建物を作っていく、こういう経費に充てる、こういうふうな方法をとっておりますが、国鉄が管財の面で最近非常に御努力になるようでありますが、膨大な国鉄のいわゆる固定資産でありますから、その中にはいろんなものがあり得る。これらは将来の必要のためにぜひとも保有さるべきものもあるし、一時的にこれを留用しといた方が有利であるというものもあろうし、さらにまた、これを半永久的に貸し付ける、あるいはこれを売却する、いろんな段階があろう。と思いますが、こういうものを一つにまとめて、一般会計予算に対して今度特別会計が設けられたような趣旨で、そういった管財方面の特別経理をする会計と申しますか、そういうものを設定される必要なり、あるいは必要のあるなし、あるいは御意思があるかないか、そういうことについてお伺いしたい。
  192. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま御指摘の国有鉄道財産につきましては、これはいろいろな点で研究すべきものが多々あると思います。本国会におきましても、ガード下の問題、あるいは民衆駅の問題、いろいろの問題で御批判を受けたことが多々あるのでございまするが、やはり国鉄としましては、この膨大な資産のうち、事業財産でない財産につきましては、できるだけこれを他に譲渡するとか、あるいは貸し付けるとかということで、やはり経済的な面を見会っていかなければならぬと、かように考えております。そういう意図のもとに今般管財部面の組織を強化いたし、また民衆駅等委員会という部外方々委員会も設置してございます。しかしただ、今お話になりましたような、これをもって一つの特別会計に、するというところまでの意図は現在持っておりませんですが、十分にこの点はさらに研究いたしてみたいと、かように考えます。
  193. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 意見を申し上げて大へん恐縮ですが、せっかくそういった組織機構も設けられるとすれば、会計処理として、そういったものが一つの帳簿ではっきりし、さらにこれがどう処分されたか、どれだけの金額がそこで減っておるか、これを雑収入の中につっ込んでそれがどう使われておるかということが明確でない予算よりは、私は非常にガラス張りになる、またその処理を有利にしようという意欲も見えるし、外から見てなるほどこういうふうに処理されておるという監査も楽であるし、私は非常に有効適切な方策のように考えるので、これは私の所見ではありますけれども、まあ慎重に検討したいという刑総裁のお言葉ですから、これ以上を申し上げないで、ただ所見だけ最後に申し上げて私の質疑は終ります。
  194. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連質問。ただいま大先輩である加賀山先生の方から志免鉱業所、被服工場、防腐工場等の問題を御質問になりまして、慎重に検討すると、こういうお話国鉄当局からおありになったようでありますが、志免鉱業所の問題については、さきに運輸大臣が、明確に、志免鉱業所の問題については考えておらない、国鉄総裁もまた、大臣がそのようにお考えですから私の方もそのように取り計らいますという答弁があったと思う。それと、今の加賀山先生の御質問に対する国鉄当局の回答が多少違っているように思うのですが、この点が前回の答弁通りで間違いないかどうか、確認をしておきたいと思います。
  195. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 前に御答弁申し上げた通りでございまするが、ただ、こういう問題は、行政管理庁あるいは経営調査会の答申もございますので、やはりこれは捨てておくこともできませんので、将来は慎重に研究するが、ただいまのところは触れておらない、こういうことに御解釈願いたいと思います。
  196. 柴谷要

    ○柴谷要君 私どもの態度というものは明白に決定しておるので、明らかにいたしたいと思うのですが、国鉄が従来とって参りましたこれらの輸送の第一線に直接つながるものでありませんけれども、とにかく国鉄にかなり貢献をしている事業でもあり、職場でもあり、われわれとしては、これを切り売りするというような考え方は持っておらない。そこで、国鉄当局に多く望みたいことは、かつて、電車の清掃事業等が、これは請負会社といいますか、国鉄外郭団体として生まれて、清掃をやっておるわけです。池袋ほか三電車区の電車の総数は六万四千七百九十五両ですか、これの清掃をやらしておる。しかも電車清掃作業は四千三百一万九千六百八十六円という高い単価で契約しておる、これはまあ三百何十万円か、少し高過ぎるじゃないか、こういうような会計検査院の指摘があるように思います。私どもとしては、清掃作業は即乗客サービスになる面でもあり、これはまあ非常に不潔な作業でもありますけれども、とにかく国鉄自体がやるべき仕事である、これを外部にまかせることはよくないということで反対したにもかかわらず、これが実現をされておる。その初期の目的は、国鉄が直営するよりも外部にまかせることの方がはるかに安く上るのだ、こういう説明で最後的には了承したのです。ところが、国鉄が実際に直営でやった方が実績も上り、かつ経費の点においても節減ができる。最近は、その会社にまかせたために、会計検査院の指摘を受けたような状態にある。これは一つの例でありますけれども、私ども今日考えてみますのに、もはや国鉄と切り離していいような仕事はないと思う。たとえば、志免鉱業所の問題にしても、国鉄の使用炭の一割にもなろうとしておる石炭を出しておる、これは国鉄の購入炭の上にはいい影響をもたらしておる。しかも志免鉱業所は、最近その経営の合理化が徹底をして、まさに三十一年度は一億からの黒字を出そうとしておる。職員の努力、また当局の努力もあわせてあろうとしておるときに、これを他に譲ろうなんという不心得な考え方は、これは国鉄に対する忠実な考え方ではない。ましてや、被服工場等においては、国鉄職員に支給しております制服というものが、非常に最近は能率も上り、単価が引き下げられてきておる。これを民間にゆだねる場合には、必ず国鉄は高いものをつかまされることは明らかです。こういう観点から、絶対反対の立場をとるのはもちろんですけれども国鉄はもう少しこういう面についても慎重に考えられて、放すことのみにきゅうきゅうとすることなく、この施設をどう活用していくか、こういう点に最も重点を入れて考えてもらわなければならぬ、こういうふうに考える。ましてや、清掃作業等は、将来用員が認められる場合には、これは再び国鉄の手に戻す、このくらいの意気込みでいくのでなければ、完全に国鉄輸送の責任を果していくというような大きなことを言っても始まらぬと思うのだが、国鉄当局にそのような線で今後十分努力をしてもらいたい、こういうことを申し上げて、この点に対する副総裁の確固たる一つ回答を願いたいと思う。
  197. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 御意見の点は十分尊重いたしまして至急対処して参りたい、こう思います。
  198. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連質問。副総裁にお尋ねをしておきたいのですが、今国鉄が使っておる石炭の炭価はどのくらいで購入をしておるか。それから志免の石炭のカロリーと、一般にいわゆる国内で掘っておるカロリーと、どのくらいの差があるのか、この点をお尋ねいたしたい。
  199. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 現在山元で購入しております炭価は大体地方によって異なっておりますが、六千五百カロリー平均といたしまして、山元購入炭価は大体四千七百円、高いのは四千八百円をこえるものがございます。安いのはまた四千三百円程度、大体四千七百円程度と存じます。志免の購入炭価は、大体一般の購入炭価とカロリーはもちろん換算をいたしまして平均にしておるはずでございます。ただこれからいわゆる本社費的なものを引きまして志免炭鉱所の収入に立てておるわけでございますしこの間にほかの炭鉱から買います石炭と現実的には相違がない値段でございます。
  200. 相澤重明

    ○相澤重明君 志免炭鉱のいわゆる掘っておるところのカロリーが、国鉄が使っておる他の山元から買っておるカロリーと違いないか、志免炭鉱のは決してよくもなければ悪くもない、こういうことですか。
  201. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私の申しましたのは、カロリーでなくして、カロリー当りの炭価がほかの炭鉱と同じ値段で買うことに建前にいたしておるということでございます。
  202. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはもう非常に一般人たちが関心を持っておる問題ですが、国鉄の使用炭というのは国内の中でも非常に大きなウエートを持っておるしそこでもし国鉄のいわゆる炭価決定に際して高くなるということは、これはもう国内の経済にも重要な役割を演じてくるわけです。そこでまずお尋ねをしておきたいのは、国鉄は他の一般産業のいわゆる使用炭価と見合ってどういうふうに現状が今までになっておったか、こういう点をお尋ねしたいと思うのです。よく言われるのは、国鉄はトン二百円も高く買っておるのじゃないか、あるいは百五十円高く買っておるのじゃないか、だから一般のいわゆる会社が非常に経営的に苦しくなるのだ。あるいはまた国鉄が志免炭鉱を放そうというのは、そういう炭鉱の独占企業に匹敵するようなものに対して、いわゆるさらにもうけを厚くするものだ、こういうことも言われるわけだ。だから一体それは国鉄自体として最も多く使うところの使用炭に対して、そうして手放しで、いやもう幾ら自分のうちでなくとも、いわゆる炭価の経営の中における影響というものは大したことはないのだ、こういう考え方でおるのかどうか。その点をお尋ねしておきたい。
  203. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 国鉄の支出の中に占めます石炭代というのは、これは非常に大きなウエートを占めております。従いまして石炭の購入についてあらゆる努力を払って、安くしかも良質の石炭を買い入れるために努力をいたしておるのでございます。これは昨年度あたりにおきましては、各主要産業との購入炭価の比較はただいま持ち合せがございませんが、他の産業との比較はちょっとございませんが、一般の日銀指数と比較いたしますと、石炭は日銀指数は昭和三十年十月を一〇〇といたしました場合におきまして、常磐が一〇四、九州が一一四となっております。国鉄は一〇二。常磐、九州に対して一〇二というような割合で買っております。ただ実はこの点につきまして御了解を得ておかなければならないのは、炭価は炭況、いわゆる需要、供給の関係で非常に変るわけでございます。石炭の不況時代におきましては大手の炭鉱……比較的にもちろんそういうようなところは安定した需要先を持っておりまして、その点では割合に原価を割るというか、ダンピングと申しますか、そういうような売り方はしないのでございますが、しかしながら中小の方になりますと、やはり炭況の不況なときには換金を急ぐために出血のような値段でも売る場合があるのでございまして、そういう、しかし炭の掘る全体の生産量から見るとごくわずかでございます。そういうものをたまたま安くお手入れになったところと比較いたしまして、国鉄の買っておるのは高過ぎる、こういうような御批判をいただくような場合も、これは炭況の不況時にはあったわけでございます、しかし私どもは一年間五百万トン以上も買うのでございますから、そういう中小のまあ投げ売りに似たようなものは、そういう数量がそろうはずはなし、また安定した良質の炭を得るためには、やはり信用あるところから納めていただかなければならないのであります。そういう意味におきまして、不況時におきましては一、二そういう御批判も受けたこともありますが、炭況が活況になって参りますと、逆にそういうところが非常に高い値段を呼んで参りまして、私どもの方は大手筋を中心に、もちろん中小とも取引をいたしておりますが、比較的安定した値段で合理的な、しかもなるべく他の産業よりも安い、昨年度はおそらく主要産業に比較して一番安い価格であるということは、資料をもって御説明できると思いますが、そういう値段で取引しておりますので、決して、いやしくも漫然と買っておるようなことはしません。むしろこの石炭の購入炭価の節約にはもうあらゆる努力を払ってやっておる次第でございます。
  204. 相澤重明

    ○相澤重明君 私の要求した経済企画庁長官や大蔵大臣がなかなか見えないので、私の質問も中途半端になって困っておるのですが、今少しですから、これは関連質問だけは終っておきたいと思うのですが、一つ委員長の方で大臣の出席を促進していただきたい。もし本日できなければ、五時で打ち切って、また明日再開するということで、一応大臣の出席方を一つお願いしておきます。  そこで今の質問を続けていきたいと思うのですが、いわゆる国鉄が使うところの多数の石炭が、いわゆる国鉄が今持っておる志免炭鉱をこれを手放すということになった場合と、それからやはりある程度の自給炭というものを持つということとは、私は非常に経営の上に違ってくると思うので、いわゆる大手筋のどうしても国鉄にこれだけ使う必要量というものは、これは大手筋が引き受けるのだということになれば、これは炭価が上ろうと上るまいと、やはり引き受けなければならぬだろうと思う。ですから、もっと端的に言えば、たとえば今の国鉄予算の中で、昨年度とそう大して変りのない、あるいは昨年度よりは安く炭価を見積っておるかもしれませぬけれども、そういう場合に炭価が上らないと一体あなた方がお考えできるかどうか、いわゆるすでに今度の運賃値上げに伴って物価の値上りはないという政府考え方であるけれども、物価の値上りというものは必然的に私どもは起ると思う。石炭が、他の物価は上っても石炭までは上らないという保証はあなた方ありますか。私はこういう点について国鉄当局の考え方というものをただしておきたい。
  205. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 一般物価が向上する場合において、炭価が上らぬという保証があるかというお話でございますが、これは私どもの能力の範囲外でなかなかそういうわけにはいかぬかと思いまするが、石炭の購入につきましては、私どもの方も石炭業者の方々に対しまして御協力をお願いしておりますし、また石炭の生産自体は石炭の輸送につながることが非常に多いわけでありますし私どもは石炭の輸送力を増強することについては、これは国家の基幹産業の基礎資材を維持する上におきまして、最も重大な影響を持ちますので、この点に大きな努力を払いまして、私どもの方も石炭業界に御協力を申し上げると同時に、石炭業界の方もわれわれに御協力いただいて、良質の石炭をできるだけ使い炭価で国鉄に納めていただくように御協力を願いたいと思う。すでに先般も業界の主要な方々総裁以下の幹部と会合されて、この点も十分協力をお願いをしておるわけでございまして、炭価が上らないという保証はできませんが、私どもの方としてはできるだけ安く、しかも良質のものを大いにできるように万全の努力を払いたいと、かように考えておる次第でございます。
  206. 相澤重明

    ○相澤重明君 もちろん国鉄の常務理事としての立場では、日本経済の中で重要な部門を占める石炭炭価を上げるとか上げないということは保証できない点、もちろん私どもその点について了解できますが、いわゆる国鉄が使う量というものは、日本経済の中で最も大きなウエートを持っておるから、それだけに予算を編成する場合には、十分な用意と周到な計画というものを持たなければできない。そこで先ほどの志免炭鉱の問題に入るわけでありますけれども、私は少くとも加賀山さんが言われたのは、将来こういうような傍系的なものについてはいわゆるこれをなくする方針である、こういうことについての私は質問だと思う。ところが副総裁のお答えになったのは、いわゆる前の大臣やあるいはまた十河総裁がお答えになったことと変りはいたしませんけれども、こういう問題については慎重に一つ将来やはり検討していきたいのだ。その言葉を聞いておると、何か質問をされ、あるいはここの委員会で言われるところは、今売りたくないのだけれども、実際には売りたいのだ、こういうニュアンスが私どもはあるように思える、その点を少くとも国鉄の副総裁国鉄自体のこれだけの大きないわゆる事業を持っており、しかも炭価の見通しとしても決して昨年度と同じような形ではなくして、むしろ炭価というものは値上りをしなければならぬだろう、こういう見通しさえ考えられる中に、みずから一割にもなんなんとする大きな、しかも黒字を生んでおる志免炭鉱を放していくということは、何かといえば、結論的に言えば独占企業をもうけさせる以外の何ものでもない。国鉄経営というものはますます苦しくなるよりほかにない。こういうふうにわれわれは理解をするわけです、こういう点について副総裁があくまでも検討をする、つまり払い下げを前提とした検討をする考え方でおるのか、この点についてて明らかにしてもらいたい。
  207. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 前にお答え申し上げました通りに、ただいまそういうことは考えておりませんですが、ただ行政管理庁、それから経営調査会というところの答申もかたがたにございまするし、しかし実際問題としてああいう大きな資産を動かすというようなことは、これは国鉄としても非常に大問題でありますし、また国鉄だけでできる問題でもございません。そういう点を考えますと、おしかりではございますが、どうしても軽々には判断がつかないので、やはり慎重に考慮いたさなければならないので、そこに何のニュアンスも持たしておらない次第でございます。
  208. 相澤重明

    ○相澤重明君 副総裁は行政管理庁やあるいはまた経営調査会の答申に基いてこれは十分考慮していきたい、こういうことであるが、私があなたにお尋ねをしたいのは、国有鉄道という、まあ昔の国有、国営当時とは違った今日の公共企業体ではあるけれども国鉄の自主性というものは一体どこにあるのか。国鉄ほんとうの健全な運営というものをはかるには、あなた方が他の官庁から言われたからそれではそれを直さなければならぬという考え方があるのか、この点を一つ明らかにしてもらいたい。
  209. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) やはり行政管理庁、あるいはいつもおしかりをこうむっております検査院、(笑声)その他各方面国家機関、そういうところの御意見はこれは十分尊重して反省もし、研究もしなければならないのでありまして、それがそういうことをいたすから自主性がなくなるのだとは考えておりません。
  210. 相澤重明

    ○相澤重明君 のらくら問答をしておってもこれは仕方がない。(笑声)ただ私どもの言いたいことは、運輸大臣もよく国鉄のことについては理解されて、そうして健全な運営にまあ努力されていくということをたびたび言われるのでありますが、そのようにやはり国民の大きな足を持ち、しかも経済的に最も重要な国鉄というものがほんとうに自主性を持って、そうして国民の期待にこたえられるように私はやはり計画の立案等も行なってもらいたい、こういう点はここではっきりと私は申し上げて一つ皆さんのそれだけの腹がまえを作ってもらいたい、こう思うのです。  そこで大蔵省に、大臣の出席を要求したのでありますが、大臣はちょっとお見えになりませんか。
  211. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    午後四時四十八分速記中止    —————・—————    午後五時二十二分速記開始
  212. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  213. 相澤重明

    ○相澤重明君 参議院運輸委員会としては、今次国鉄運賃値上げの問題を非常に重要視して、今日まで精力的に審議をして参ったわけです。特に国鉄運賃値上げについては、中心になって努力をされたと思う池田大蔵大臣が御出席願えましたので、池田大蔵大臣にこれからお尋ねをしたいと思うのです。  そこで、今回の運賃値上げについて、政府が、国鉄のいわゆる輸送力増強、あるいは施設の老朽化の取りかえ等の問題に関して、どうしてもこの程度運賃値上げをしなければならぬ、こういう考え方で今次提案をされておると思うのでありまするが、今まではいわゆる国鉄運賃については、政策運賃として、国民の生活を最も重要にお考えになって、政府としはて国鉄運賃というものをおきめになっておったと思うのであります、ところが、今回のいわゆる提案の中に持つところの施設の取りかえであるとか、あるいは輸送力の増強であるとかいうことの中に、やはり採算のとれる方法というものを考えて、いわゆる原価主義というものを特にお考えになっておるようでありますが、この原価主義をおとりになったことが、どういうふうにしてお考えになったか、この点について、池田大蔵大臣から御答弁を願いたいと思うのであります。
  214. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がぴったり私に入りませんで、答えがピントはずれになったら、またやりかえますから、御了承願います。  公共企業体は、やはり原則として独立採算制ということをわれわれは考えておるのでございます。従いまして、今回の運賃値上げも、そういう趣旨が多分に加わっておるのであります。特に昭和二十六年あるいは二十八年の運賃の引き上げのときとは違いますのは、輸送の増強五カ年計画で、相当思い切ったスタートをしようという点も加味されておるのであります。
  215. 相澤重明

    ○相澤重明君 運賃値上げの提案の中で、特にあなたが本会議で御答弁をされておることは、公定価格制度の時代ではなくて、自由主義経済の現在においては、運賃値上げは合理化その他によって吸収されると、こういう御答弁で、すなわち、物価にはこの一三%の運賃値上げによって影響は来たさないと、こういう御答弁であったと思うのですが、今もそのお考えであるかどうか、お尋ねをいたしたい。
  216. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 物価統制、価格統制の時代におきますると、理論的にははね返りというものが考えられるのでございます、しかし、自由主義経済のもと、しかも産業がどんどん伸びていきます場合におきましては、その運賃値上げ産業界の合理化によって吸収される場合が相当多いのでございます。過去の歴史を見まして、昭和二十六年に貨客おのおの三割引き上げ、また二十八年の一割引き上げのときを考えてみましても、生産がどんどん伸びていく場合におきまして、一般物価にそう影響していないことは、過去の歴史の示すところでございます。私は今回の一割三分におきましては、経済全体から見ましたら物価に対して影響はないという確信を持っております。
  217. 相澤重明

    ○相澤重明君 この点は非常に大事な点であると思うのでありまするが、経済全般について影響がない、経済全般の中で最も重要な部門であるところの鉄鋼、あるいは造船、あるいはまた化学等の重要資材について政府考えておるのは、値上りを来たさないと、こういう考え方であるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  218. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 鉄鋼に対しまして、たとえば石炭の運賃が上れば理論的には影響するものでございまするが、長い目で見まするというと、合理化によりまして吸収されるところが自由主義経済の妙味でございます。私は今回におきましても、相当部分吸収せられていって、大して物価に影響は及ぼさぬと考えます。
  219. 相澤重明

    ○相澤重明君 池田大蔵大臣の今の御答弁では、まあ長い目で見た場合に、物価の値上りというものはそれほど経済全般については影響を与えない。しかし、すでに国鉄運賃値上げという問題が出され、国会で審議をされておる現状において、あなたは物価が値上りをしつつあるということを認められるかどうか、この点についてお答えを願いたいと思う。
  220. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 物価の動きは、鉄道運賃ばかりではございませずに、たとえば原材料の輸入によりまする船賃の問題とか、いろいろな点があると思うのでありますが、これがやはり経済全体としてアジャストしていかれると思っておるのであります。
  221. 相澤重明

    ○相澤重明君 物価の値上りについて、非常に大蔵大臣は楽観的な考え方を持っておるのではないかと、こういうように私は考えるわけです。さらにあなたにお尋ねをしたいと思いますのは、今朝の新聞にも出ておりまするが、電気料はすでに来月から値上げをするというようなことが新聞にこのように出ておるわけです。国鉄運賃は一割三分程度上っても、国民生活、家計の負担にはならぬということを言われて、他の物価もそう上る見通しはないと、こういうような楽観的な考え方でおりましたところが、すでに本日のこの朝刊には、電気料の値上げ、来月から値上げをする、しかも、家計の二割前後の値上げが行われるであろう、こういうことが言われておるのでありますが、一体大蔵大臣は、この電気料の値上げが家庭の生計費、家計の負担にならないとあなたはお考えになっておるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  222. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 鉄道運賃からの問題でございまするが、鉄道運賃が物価全体に影響することにつきましては、ただいま申し上げましたように、全体として大したことはございません。ただ家計費から見ますと、理論的にはこれはある程度ある。  続いて電力料の問題でございまするが、これはまだ政府できめたわけではございません。御承知通り、昭和二十九年に、電力料の調整の問題のときに、各料金と夏料金との調整をいたしまして、三割以上上るところは、三割で頭打ち、それ以上げないというので、押えてきておるわけでございます。しこうして、今月の末にその期限等も来ておりますので、どうするかという問題が起って参りました。そのときには、結論は出ない、どちらかといったら、もっと研究すべきじゃないかという意見が強かった。しかし、それは閣議でも何でも聞いたわけではございませんが、きょうの新聞を見ますと、十アンペアで、二十五燈以上を一ぺんにつけるような家庭においては、上げた方がいいのではないかという議論がわが党内にもあったと聞いておるので、あります。かりにそうだといたしますれば、十アンペアで、二十五燈以上一ぺんにつけるようなところということになりますと、東京、大阪のような、住宅の大きなところがありましても、ごくそれは小部分だと、私は新聞、あるいはきょう耳に入っておるのであります。しかし、この問題につきましては、少数の家庭と、そうして集会所等におきまして影響があることで、のめるか、のめないかということは、今後十分研究いたしたいと思っております。
  223. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のお尋ねしたい趣旨は、あなたが国会に提案をされ、あるいはまた御説明をされる場合に、国鉄運賃一三%程度、この程度のいわゆる運賃値上げによっては、インフレを助長しない、こういうことがあなたの基本理念だと思うのです。だから経済全般に見ては、いわゆる物価も上らない、こういう楽観的な見方によって、インフレは伴わないのだという考え方で提案をされ、あるいはまた、話もされておると思う。そこで、私はやはり国鉄運賃というものは、一般のいわゆる国民経済に、最も大きなウエートを持つから、国鉄運賃が上れば、必ず関連した物価が上ってくるだろう、こういう点を、私どもは実はおそれているわけです。その点を私はあなたにお聞きしたがったわけであります。そういう考え方でいくと、もしあなたの御答弁であるならば、電気料もそう上る必要もないだろうし、また当然政府も、電気料のようなこういう大きな問題は、皆さん方が十分御討議されるはずでありますし、いずれ経済企画庁長官にも、あとでお尋ねしたいと思っておりましたが、基幹産業なり、あるいはこうした直接家計に影響を及ぼすものが上ってくるということは、やはり物価を上昇させる原動力になりはしないか、この点については大臣はどのようにお考えになりますか。
  224. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 鉄道運賃を上げることによって、物価が上昇するかということは、昔は非常に議論をされておったのですが、今識者の間には、私の説に大体賛成する方が多いのじゃないかと思います。先般も、衆議院の予算委員会におきましての参考人の供述によりますると、鉄道運賃は、インフレ原因よりもデフレ原因と考え得る場合もあるのだ、こういうことを言っている人がおりましたが、そういうことに、私は直ちには賛成いたしませんが、運賃が上るからすぐインフレになるのだというような議論は、デフレ要因になるかもわからぬという議論と同じような意見じゃないかと思います。慎重に考慮しなければなりませんが、過去の実績から見まして、先ほど来お答えしたような気持を持っておるのであります。
  225. 相澤重明

    ○相澤重明君 このインフレ理論というのは、あなたのおっしゃる通り、長い目で、なるほど池田さんのおっしゃるようになったか、あるいはまあ私どもが心配しておるようになったかということは、あとの問題にそれはなろうと思うのです。がしかし、あなたは非常にお話が上手なもんですから、いろいろされると、やはり他の諸君も、なるほど、池田さんが言うのだから、ということになってしまう。ところが、現実には、物価が上ってくるということになると、国民感情はなかなかこれは割り切れないものがある。池田さんがおっしゃったから間違いないかな、と思った、ところが、町に出てみるというと、物価は上って、自分のふところから出るお金は多くなってくる、こういうことでは、私はやはり政府の施策としては、決して楽観すべきものではなかろう、こう思うのであります、その点については、しかし、議論になりますから、私は次に国鉄の問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、大蔵省が、国鉄予算編成に当って、常に運輸大臣なり、あるいは国鉄当局を呼んで、いろいろと御相談をなさると思うのです。そこで、今回の運賃値上げに伴って、いわゆる老朽施設の取りかえを行う、そうしてまた輸送力の増強を行わなければならぬ、こういう考え方に立って運賃値上げというものは行なっていると思うのです。そこでこの一三%の運賃値上げで、今の——いわゆる戦前から戦後における今日までの、国鉄が老朽化を取りかえることのできないような、破壊された国鉄の施設というものを取りかえて、そうして国民の要望にこたえるようになれるかどうか、つまり当局側のお話によりますというと、四・五%程度のいわゆる輸送力の増強が予想される、こういうことでありますが、国民の需要というものがそういう程度でおさまるか、あるいは国鉄の今の老朽化というものが、あなたのお考えになっているようにできるものであるかどうか、こういう点について、どういうふうにお考えになっておるか、この点お答えを願いたいと思います。
  226. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 前の御質問について補足するようでございまするが、私は、決して日本経済が絶対にインフレにならないのだと手放しの楽観をしておるわけじゃございません。過去七、八年の歴史を考えてみまして、日本人の努力と良識にうったえて、ともにインフレを起さないように努力していきたいという気持でおるわけであります。手放しの楽観をしておるわけじゃございません。どうぞその点を御了承願いたいと思います。  なお、鉄道運賃の一割三分の値上げによりまして、輸送力がどういうふうになるかということにつきましては、いろいろ私もしろうとなりに考えて参りました。一割八分から一割五分になり、一割三分になったのでございまするが、われわれの方では八分程度上げたらどうだ、一割上げたらどうだ、こういうふうな検討もしてみたのでございます、しかし、何分にも日本経済の伸び方というものは相当でございまして、しかもまた、老朽施設の改善と輸送力の増強は、急務中の急務でありますので、一割三分案を検討いたしまして、ただいまのところで考えても相当進んで参りましょうし、貨物も相当ふえますので、ただいまのところ、この五カ年計画は実際にも沿い、また資金上にもやっていける、こういう確信を持ちましたので、一応五カ年計画をもとにいたしまして、一割三分ということに賛成をいたしたのでございます。しかし、御承知通り日本におきましての五カ年計画、六カ年計画というものは、いい意味において非常にこわれるのでございます。それはいい意味においてでございまして、私はこの六カ年計画でやって十分であって、今後絶対に変えることはないというふうには言われませんが、いい意味で変わることにつきましては、これはまたそのときには考えなければなりません。しかし、ただいまのところ、これならば、必要にして十分とは申しませんが、まあまあというところだと考えておるのであります。
  227. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をちょっととめて下さい。    〔速記中止〕
  228. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。
  229. 大倉精一

    ○大倉精一君 大蔵大臣にお伺いしたいことがたくさんあるのですが、特に私は本会議で質問申し上げ、今相澤君の言いました運賃と物価の関係国民生活の関係について、もう少し掘り下げて私は聞いてみたいこと、それから大蔵省が一割値上げ案を持っていらっしゃったのですが、そういうものの経緯についてもちょっとお聞きしたいと思うのです。私の質問は保留しますから、後刻その機会委員長一つお願いしたいと思います。
  230. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  231. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは速記をつけて下さい。
  232. 相澤重明

    ○相澤重明君 宇田経済企画庁長官に、先ほどのことから続いてお尋ねをいたしたいと思うのです。それは、先ほどは、国内の経済が上昇すると同時に、国際的にも上昇の機運にあるという一応の見通しだったと思うのであります。そこで、特にいわゆる東南アジア貿易あるいは中国、ソ連との貿易等について、チンコム、ココム等については、特に岸内閣としては緩和をするように努力していきたい、こういう点が表明をされたのでありますが、私は、その中における民間の二団体並びに議員連盟の、私先ほど三団体と申し上げたわけですが、いわゆるこの三団体が賛助促進について非常に努力をされておる。従って、三団体と政府は十分に話し合って、そうしてアジア貿易あるいは中国、ソ連貿易について今後とも努力をされる考え方であるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたい。
  233. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 努力するつもりであります。
  234. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますというと、経済企画庁の考えでは、いわゆるチンコム、ココムが緩和をされ、しかも、日本の業界の諸君が期待をしておるように貿易が促進をされることになると、どの程度いわゆる貿易というものは実際にふえていくのか。あなたのさっきのお話では、国際収支の中で二十八億ドルは一応見通しをつけておる、特にその中で中国との貿易については、八千万ドルですか、一億ドルにはならないだろう、しかし、規模としては、もしこれが進めば一億二千万ドルぐらいにはなるだろう、こういうお話があったと思う。そこで私は、やはり日本ほんとうに貿易に力を入れるということになれば、今の期待はあまり甘く持ってはいけないというけれども、実は逆であって、もっと進むのではないか。中国なりあるいはソ連の国としては、もっと日本に貿易を積極的にやってもらいたいとか、こういう考え方があって、決して甘いのじゃなくて、むしろ積極的にやってほしいと、こういうふうに考えておると思うのですが、あなたはどうでしょう。
  235. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 東南アジア、特に中国等の経済規模は、経済の質的内容が鉱工業生産にかかわるものが少いのでありまして、従って、バーター貿易をやる場合に、向うから受けるものは大体農産物を中心としたものが多いのでありまして、従って、飛躍的に貿易規模の増大ということは考えられない要素を持っておると思います。従って、われわれは、この東南アジアとの経済交流の場合には、非常な飛躍のここに比率を求めるということはこれは危険であると、こういうように思っております。従って、じみであるが伸びはある、その伸びの率は経済企画庁の考えておる二十八億ドル前後で抑えるのが適当である、輸出のワクはそういうふうにしたのが適当であると、こういうように考えております。
  236. 相澤重明

    ○相澤重明君 特に、今の長官のお話ではありますけれども、私は、やはり東南アジア諸国、いわゆる後進国といわれる国々では、むしろ日本の製品というものを非常に欲しておるのだろうと思うし。しかし、なかなか対米関係の是正ができない、あるいはまたこれの話し合いがうまくつかないために、実は日本で輸出したいけれどもなかなか輸出ができない、こういうふうにわれわれは見られるのでありますが、あなたのおっしゃることは、農業関係として一応東南アジア関係は見ておるから、実際に経済企画庁としてはそれだけの伸びというものはなかなか見られない、こういう点でありますが、その点はいかがでしょう。私は、むしろ対米関係を是正することによって、そして日本の業界なり、あるいはアジア諸国の欲しておるものがもっと伸びるんじゃないだろうかと、こういう点でありますが、是正をできない場合はそれは今のあなたのお話が出るわけですが、是正ができた場合はどうなんですか。
  237. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 是正ができた場合にわれわれの一番心配いたしますることは、ちょうどインドネシアに、あるいは南朝鮮に起っておるように焦げつき貿易になるのじゃないか、輸出超過によってこっちに受け取る物資が農業国独得の性格がありますから、こっちに対するバーターの基本条件が限界点に近づくおそれがあります。従って、貿易の向うからこっちに受ける品物の性格から見まして、非常に大きな輸出を期待するということは困難ではないかと思っております。従って、戦略物資が解除されました場合でも、向うが建国のために期待するものが非常に大きいものがあると思っております。しかし、日本の貿易のバランスの上からいいますと、輸入に期待をかける量はそう大きくなり得ないと、こういうふうに思っておりますから、その意味で大きくなり切れないものがあるだろう。その基本をなすものの一つには、先ほども申しましたように、商品の分類法が甲乙丙がありまして、バーターをすることが非常にやりにくい問題も横たわっておりますから、そういう意味で非常な飛躍は考えられない、こういうふうに思っております。
  238. 相澤重明

    ○相澤重明君 もちろん戦略物資の緩和ということがなければ——あなたのおっしゃることもよくわかるわけですけれども、少くとも岸内閣の政策からして、やはり国民生活というものを向上させるには、何といっても日本の、いわゆる経済をよくするというには貿易を促進しなくてはならぬ、この点はあなたもおわかりだと思う。そこで、そういうことを考えて参りますというと、いわゆる国内における重要産業のこの生産コストというものは、私はやはり世界的な好景気というものがどこまで続くか、こういう一つの見通しに立ってお考えにならなければ、きめられぬと思うのでありますが、先ほどの、まだ景気は続く、いわゆるあなたのさっきお話になったとんとん続くと、こういう見通しでおるのか、あるいはまた、ことしの下期にはまあ横ばい状態なり下降線をとるのか、こういう点についてあなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  239. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 私は、景気は相当続くものと、こういうふうに思います。それはどういうところかといいますと、ソ連、中共はもちろんでありますが、それぞれ年次計画をもって国民の生活水準を上げること、雇用量の増大、雇用内容の質的向上をはかるということがほとんど一致した政治動向と思います。また、東南アジアにいたしましても、インドにいたしましても、インドネシアにいたしましても、それぞれ企画性ある国策を樹立して民族的に一つの自立体制を確立しようといたしております。ヨーロッパにおいても、共同市場を計画いたしておりまして、ヨーロッパ全部が一つの企画性のある生活水準の増大と雇用量の増大あるいは雇用能率の引き上げをはかっております。従って、そういうものは各国の長期年次計画のもとに経済運営をはかるという最近の世界的風潮から見ますると、景気というものは非常にアンバランスにならないで進んでいくだろう、こういうふうに思われます。従って、各国の輸入貿易については、特にそういうふうな設備規模の拡大化に伴う賃金の質的充実をはかるということが当然起ると思われますから、それに見合うわが国の貿易が相手国別に調べてみましても、非常に急角度に下降景気にはならない、従って、この景気は伸びる率は少いかもしれないが、ある一定の伸び率をもって上昇傾向をたどるだろう、こういうふうに思っております。
  240. 相澤重明

    ○相澤重明君 いわゆる国際的な経済規模においても、まだ経済は拡大をする、上昇をする方向にある。従って、国内における経済もますますそうした方向をたどるということは一貫したお考えだと思うのです。そういたしますというと、一割三分の国鉄運賃値上げをして、そして現在までのいわゆる国鉄の破壊されておる老朽施設の取りかえや、あるいは電化の促進や、また固定資産税等を払って、一割三分の現状の資金の調達で、実は今あなたのおっしゃった上昇線をたどっておる経済に即応できるかどうか、こういう点をお尋ねしたいと思います。
  241. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 国鉄当局と数字の——あるいは運輸省と交渉をいたしまして、そしてわれわれがそろえました数字のワクの範囲内では、この程度の規模で持って参りました場合に、国民経済の七ないし八%の伸びにはふさわしいものである。従って、十年をもっと短縮いたしまして、雇用量の増大を急ピッチに上げていくということに、もしこの計画を持ちたいという場合、国民の分配所得の伸びを一割二分以上に上げるというようなことをいたしました場合には、急激に雇用は、吸収力は増しますけれども、それはおそらく新しい隘路が生まれてくるんだろう、少くとも輸送面においては非常な隘路が起るおそれがありますから、そういうことをいたさなくて、そして国民に無理な負担をかけないで、現在の国際環境の伸びの中から見ると、まず四・五%の輸送を期待する、それには経済の伸びは七ないし八であって、現在のわが国の経済の成長率から見て、それがまずふさわしい線であるから、その線に合わして五カ年計画を国鉄当局を中心として運輸省に作成してもらったと、こういう計画でありまして、これは適当であると考えております。
  242. 相澤重明

    ○相澤重明君 今あなたのおっしゃった政府考えておるのは、大体経済の伸びというものは七%ないし八%、まあ八%といわれておりますね。そこでいわゆる国鉄運賃値上げをして、雇用の増大等もはかっていくということでありますが、その四・五%というものは、あなたのおっしゃるように四・五%程度の伸びに即応でき得ると、こうお考えになっておるようでありますが、国鉄のいわゆる現在の運賃値上げをして、そして計画を実施に移した場合にそのような伸びが認められるかどうか、こういう点について、二〇%ないし三〇%の実際に輸送力の増強にはならぬのではないか、こういう点が考えられるのでありますが、あなたの、国鉄当局と経済企画庁との企画をした考え方について、お尋ねをしておきたい。
  243. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) もちろん運賃値上げの一割三分ということが国鉄輸送力を増す基本の唯一の線とは考えておりません。そのほかに財政投融資その他の、あるいは外部負債等によって、国鉄それ自身の新しい五カ年建設計画に必要な所要資金の捻出方法は単純ではないのでありまして、その五カ年計画の裏づけになるものの一条件といたしまして運賃値上げ一割三分が適当であると、それを一つの要素とし、他の建設資金計画をも合せまして四分五厘の輸送の増を期待することができると、こういうふうに思っておるわけであります。
  244. 相澤重明

    ○相澤重明君 今度の運賃値上げの中に占めるいわゆる工事予算ですね、工事予算というものは非常に莫大になっておるわけです。従って、この工事予算に使うところの材料というものは、これは鉄にしろ、あるいはまくら木にしろ、レールにしろ、石炭にせよ、とにかくこの輸送力増強のための材料というものは、私は非常に大きなウエートを持っておるのではないか。そこで経済企画庁として、一体この国鉄予算単価の中で、今言った工事計画というものを遂行していく、こういうことは政府はもちろん政府の答弁としてはお考えになっておると思うのでありますが、それは政府が今まで計画した中での物価の値上りというものを見ておらない、これから鋼材が上ってくるとか、あるいは石炭が上ってくるとか、こういうことを考えない場合には、私はそのことは言えると思う。しかし、もしこれが、物価が、そうした基礎産業における基礎資材というものが上ってくるということになれば、この工事経費というものは修正をされなければならぬ、こう思いますが、あなたはこうした物価について上ることは、先ほども大した影響はないと、こういうふうにおっしゃっておったのでありますが、そういう考え方は今でも変りませんか。
  245. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 先ほど申し上げましたことは、一割三分の運賃値上げに伴う物価動向、あるいはCPIの内容はどうかということでありまして、その点はウエート計算がありますから、御承知通りのウエート計算がありますから、その計算を掛け合せてみますると、CPIの内部における影響というものは、そう大きくないということを申し上げたわけでございます。で、ただいまの御質問は、この五カ年計画を遂行する上において物動計画に伴う商品価格、資材価格の変動は考慮をどう払っておるかということじゃないかと思います。それにつきましては、もちろんこの五カ年間に物価の上りがないということは考えておりません。上る傾向につきましては、私の方も経済の伸びに応じて上るものを計算に入れてあります。また御承知のように繊維製品その他の、物価ないしCPIの内容において非常に重要なウエートを占める主食ないし衣服関係につきましては、もちろんこれはただいまは下降傾向をとっておりますから、CPIの全部、あるいは原材料の下降の中におけるところのコストのウエートというものは、必ずしも非常な上昇を心配をしなくてもよろしい、少くもわれわれのただいま持っております材料によりますと、繊維関係その他一部分の商品は下落傾向があって、むしろそれを食いとめる対策を考えなければならぬ。鉄鋼等につきましても、最近外国からの輸入が非常に円滑になりましたから、御承知通り下落傾向を示して参っております。また銅とか鉛とかの非鉄金属は、最近連続してこれが下落をいたしております。従って、全体の建設計画の中において商品別に当ってみましたところ、非常な大きな錯誤をいたすような建設資材のコスト上りということは考えないでもよろしいと、こう思っております。ただ、これを計画いたします場合には、十分そういうことは織り込んで、コスト計算から割り出して建設資金計画は適当であると、こういうふうに見ております。
  246. 相澤重明

    ○相澤重明君 むしろ今の宇田国務大臣の御答弁では、かなり資材の値下りも予想される。ですから一部の資材の値上りを見ても総合的には調整のとれたものである、この計画は実施ができるものである、こういうお考えだと思うんです。そこで、先ほどもちょっと池田大蔵大臣にもお尋ねをいたしましたが、経済企画庁としては、日本全般の経済の動向について十分企画をされて、しかも今次第一次の国鉄の修正五カ年計画というものを作った、あなたの言う経済企画庁で持っておる十カ年計画というものも、あるいは十二年といいますか、そういうものも相当慎重に討議をされておると思うんですが、その中でたとえば先ほども私が新聞の例をとったんですが、国鉄の電力需給というものは非常に大きなウエートを持っておる。あなたは、国鉄の電力というものは自家電力によってまかなえるものか、それともやはり九電力から供給を受けなければならぬものであるか、こういう点についてお尋ねいたしたい。
  247. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 電力の需給関係につきましては、それぞれ所管がありますから、私から申し上げることはどうかと思いますが、私の違った材料から申し上げますと、自家用の電源のみからこれを受けるということではなくて、やはり民間のそれぞれの電力を受ける必要があるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  248. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは今政府が決定したことではないと、こういうことで、先ほども池田大蔵大臣が、電気料の来月からの値上げという問題についても御答弁がなされておったのですが、少くとも、少くとも経済企画庁においては、電力の値上げにしろ、あるいは国鉄運賃値上げにしろ、また造船関係についても、これはもう経済全般の問題としてお考えになっておったと、そこで、なるほど頭打ちの問題がここで一つ解決をするというのが、今回九電力の中で一部考えておることだ、こういうふうに言われておりますが、電力の値上げというのは、私は、われわれの家庭の生活の中からももちろん大事であるけれども、また同時に工場あるいはこうした輸送力を持っておるところでは、電気料の値上げというものは非常な私はウエートを持つと思う。こういうことについて、あなたはお考えになっておったかどうか、あるいはそういうことは全然お考えになっておらなかったかどうか、この点についてお伺いをしたい。
  249. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 電力及びエネルギーに関する問題は非常に重要な基本の問題でありまして、これもただいま隘路の一つになっております。従って、企画庁といたしましては、エネルギー全般に対する国の政策をどういうふうに策定するかということは、重要な課題として今取り組んでおるようなわけでございます。ただ大口電力の一部分を上げるということによる影響、それは金額としては非常な莫大なものではないので、その料金は非常に複雑でありますが、ただいま話題になっておる十アンペア以上、あるいは二十五灯以上というものをとらえまして、そうして東京都内におけるCPIの影響はどうかということになりますと、御承知通り光熱費というものは家庭の生活費の中で五%に足らぬ四%そこそこのウエートしかこれはないものであります。ウエート四%しかないものであって、そしてそれが大衆に全然影響がない料金政策をとろうといたしておりますから、光熱費がCPIのウエート中のにどういうふうになっていくかということにつきましては、私はほとんど影響は微弱であるというふうに思われます。ただ、これは大口電力に影響していって、たとえば硫安のように特殊電力を必要とするもの、カーバイド工業のようなもの、あるいは電気炉のような工業、そういうものに対して料金をどうするかということになりますと、これは原価コストに影響はかなりくると思います。しかし、全体のエネルギー供給の計画をどう立てるかという建前から申しますると、ただいま話題に上っておる頭打ち三割の問題、それに対する一部の修正——全体修正でない一部修正を加えようとすることの生活に及ぼす影響というものは非常に微弱なものである、こういうふうに考えております。
  250. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、今あなたの御答弁で、電気料がたとえば上っても全部を上げるわけじゃない、いわゆる新聞に出ておる十アンペアとか、あるいはまた三割頭打ちの改訂であって、そう影響はないと言うけれども、これはもう電気料の上るということは、やはり物価、コストに大きな影響を与えてくる、こういうふうに見ざるを得ないと思うのです、私は。ただ、いかにもあなたのおっしゃることは、楽観的に、それは一般の家庭の二灯、三灯の電気料金には影響はないのだと、こういうようなお考えだと思うのですが、たとえば国鉄運賃をとっても、いわゆる現物を製品としてあるいはこれを消費者に渡すまでには、少くとも一つの品物が四回国鉄利用するとまで言われているわけですね。いわゆる電力の場合においても、そうした基礎産業の一番重要な電力というものは、どのくらい他の物価に対して影響してくるかということは、私はそう簡単に、あなたのおっしゃるようには参らぬと思う。そこで、そういたしますというと、今経済企画庁が当初考えておった物価が上らないという考え方、あるいは国鉄運賃一割三分程度では物価に影響がない、あるいは国民生活に影響を及ぼさないということはくずれてきたのではないか、その考え方が根底から私はくずれてきたのではないか、こういうふうに思うのですが、あなたはそういう点については、全然影響がないと判断をされるのか、この点のお尋ねをいたします。
  251. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 全然影響がないものとは考えません。ただ、それがこのCPIの中におけるウエートが非常に低い条件のものであるから、それの物価ないしこの消費生活に及ぼすところの影響は少い。ただいま私の手元へ参っております数字、月報を見てみましても、ほとんど横ばいであって、物価全体に対する影響はむしろ少い。CPIの中に、御承知のように衣料費等が非常にウエートが高いのでありますが、衣料費の指数を見ましても、価下りがあったために、むしろCPIに対する影響は、光熱費の値上りによる影響よりも、衣料関係の値下りによる影響の方が、好影響が強いので、横ばいないし、今月の傾向を見ておりますと、CPIはむしろ下る傾向にあるという数字がありまして、理屈は別といたしまして、そういうふうな統計報告が参ってきておりますから、私どもの手前といたしましては、数字の上から見ておりますと、全体の経済の動向から見ると、そういうふうに上昇条件もあるが、下降条件もある、しかも、生活の非常に重要な部分の食料品ないし衣料関係にそれが現われてき始めておりますから、その点から見ると、非常に注意はいたしていかなければなりません、もちろん努力はいたさなければなりませんけれども、それの生活上の影響ということは、なお十分もっと考えてみたいと、こう思います。
  252. 相澤重明

    ○相澤重明君 他の委員の方からもまだ御質問もあるようですから、私は簡単に終りたいと思うのですが、今のお話のCPIの統計の上から、あなたがその影響はあまり与えないというようなお話でありますが、これは町に出てあなたがいろいろ物価等もごらんになったり、あるいはまた実際に主婦の声を聞いたならば、わかってくると思うのでありますが、今あなたが主張されることについては、統計の作り方もやはりこれは問題になるわけなんであります、実際は。ですから必ずしも、まあ机上プランというと大へん失礼ですが、単にあなたの方でお調べになった統計だけによって、国民生活というものは安定をしていると、あるいは物価の値上りは来たさないのだと、こういう考え方はやはり私は、間違いであろう、先ほどもあなたがおっしゃったように、十分注意をされて、そうして国民の生活に影響を与えないような企画をしてゆくのが、私は企画庁の立場ではなかろうか、こう思うのであります。そういう点については、大臣も十分御理解を願ったと思うのでありますが、結論的に申し上げて、どうも政府が今提案をしているところの一割三分の運賃値上げというものは、他の物価にもやはり影響をしてきて、どうしても五カ年計画というものを持ったけれども、修正をしなければならない場合が出るのじゃないか、その場合において、先はどのお話のように、他の物価面において上り下りがあるから、どうにかやっていかれるだろうというけれども、私は先行きというものは、むしろ困難ではなかろうか、その場合に今までの、今日の状態において、政府は利子補給の問題にしろ、あるいは国鉄に対する出資金の問題にしろ、あるいはまた国鉄の要員の需要にしろ、実際は今の段階だからできないと、こう言っている、今の段階だから、運賃値上げするのだから、一面において、自己資金において十分こういう点をカバーしてゆくのだ、こういううことを言っておりますが、この計画がくずれる場合には、当然私は政府の責任においてそれを行わなければならぬだろう、こう思うのですが、もし政府の責任において、できないという場合には、再び運賃値上げを行おうと思うのかどうか、こういう点について、政府の責任でそういうことを行うか、あるいはまた国鉄運賃値上げを再び行う考えがあるか、こういう点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  253. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 経済計画といたしましては、運賃値上げによるところの増収となお十分勘案いたしたいと思いますが、政府財政投融資計画というものも例にありまして、それをあわせて五カ年建設計画の遂行に当るわけでありますから、運賃値上げによって得るものは、十分われわれは今まで当局と話し合いました結果、これには確信が持てると、こういう結論でありますから、ただいまのところ、もしこれがくずれたということは、これはとても経済計画でそんなことを言うたら大へんなことになりますが、それは絶対にないと思います。
  254. 柴谷要

    ○柴谷要君 企画庁長官は、新聞で私は見たので、この真偽を確めたいと思うのですが、鉄道輸送力の不足が伸びていく日本の国力を阻害している現状である、よって国鉄の問題については関心を持ち、しかも、日本経済のためにも輸送力の増大をはからなければならぬ、こういう御発言をなさったことを私新聞で承知したのであります。そこで大臣にお伺いいたしたいのは、先ほどもお聞きをいたしましたが、三十二年度の輸送増強というものは、四・五%見ておる、こういうことを言われましたが、昭和三十一年度の国鉄輸送実績というものは六八%ということが示されておる。これに四・五%プラスいたしましても七二・五%というものしか輸送ができない、こういう状態では、あなたのおっしゃるような国鉄輸送力が不足をしておるから国力を阻害をしておる、こういうことにお考えを打っておられるあなたとしては、四・五%ぐらいの上昇ではこの御趣旨に沿わないと、こう思うのですが、これらの問題をただいまどういうお考えでおられるか、心境のほどを伺いたい。
  255. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 新聞で発表をどういうふうにいたしましたか、それは私は十分な根拠は存じませんが、いずれにいたしましても、経済企画庁の発行いたしておりまする月報その他責任のある報告、閣議に月々報告してそして一般に公表をいたしております経済報告の中に、隘路は輸送面にある、毎月の滞貨はこれだけのものであるという報告は、国鉄当局からももらって参りまして、私の方でそいつを整理いたしまして、そしてその全部の輸送についての生産とアンバランスな面があるということは、月々経済報告を総理府の責任で発表いたしてあります。従って、それは新聞でなくても、私の方の経済月報にそういうことは指摘をいたしてあるわけでございます。また昭和三十二年の予算編成方針の裏づけになる経済計画大綱の中にも、隘路部門に輸送面がある、従って、これを新しい三十二年度予算編成方針を確定する場合には、当然その面は考慮に入れて予算編成方針にこれを織り込むべきである、そういうことを経済企画庁から総理府を通じて内閣に申し入れ、報告を提出してありますから、ただいま申されることは、この報告形成はどうでありましても、そういうことはこの内閣にとって十分理解をされておる面でございますしただ四・五%の伸びの数字につきましては、複利の計算方式をとっておりますから、ただいま御指摘になった点の数字の内容につきましては、政府委員からいずれ資料を差し上げるなり、また説明を申し上げてもよろしゅうございます。
  256. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣は内閣においても重要な任務を持っておられるし、特にあなたのお仕事を完全にやろうとするためには、運輸省並びに国鉄とは密接な関係があろうかと思うのであります。そこで重ねてお伺いいたしたいと思うことは、現在の輸送の状態は、一つのこれは例を申し上げますと、一日荷主から大体四万二千両からの貨車の要求がある、ところがこれを二万九千両くらいしか出せない、ところが四・五%増ということになりますというと、大体千七百両近くの配車が予定されなければしならぬ、こういうことになってもまだ国民の要望に、荷主の要望にこたえることはできない、こういうものをあなたもお考えになって、国鉄の五カ年計画を十分検討されたと思うのですが、あなたの御趣旨を生かそうとするには、もっと国鉄を充実するように努力をされなければならぬ立場にあると思う、ところが、新聞の伝えるところを見ますと、これはあなたの努力されたことはどうも少しも出ておらない。運輸大臣一人ががんばったことしか出ておらない。この点はあなたの職責を遂行する上においても、特に努力されなければならなかったと思いますが、果して努力されたかどうか、その点も伺っておきたい。
  257. 宇田耕一

    国務大臣(宇田耕一君) 私は、自分の努力したことを申し上げるというのははなはだこれは私も申し上げにくいことでございますけれども、いずれにしても経済企画庁全部の組織をあげて、いろいろの経済全分野の影響を背景として、そしてこの案を作るためには国鉄と協力をして参ったわけでありまして、そういう面におきましては、ほとんどそれぞれの専門の審議官、調査官全員がこれに当っておりますから、決して知らぬ顔でおったというわけではございませんが、その点は私の方の所管のことを吹聴することになりますから、それはまたあらためてどうゆうふうに協力したかということの本質的なことについて、また御説明する機会は別にあるかと思います。
  258. 柴谷要

    ○柴谷要君 それではまあ企画庁長官の質問はこれで打ち切りたいと思います。  そこで、約束の時間はあと三十分しかありませんので、いよいよ運輸大臣に最後の問題を提起をして、ある程度明確なお答えをいただいておきたいと、こう思いまして、質問の趣旨を変えさせてもらいたいと思います。  二十五日の参議院の予算委員会におきまして、岸総理大臣が答弁の中でかようなことを言っておられる。それは二十三日に国鉄に起きました問題に関連をいたしまして、抜き打ちストは遺憾であった、業績手当支給については組合国鉄当局両者間、あるいは政府の間で当日の話し合いできまる段階にあった、ところが、突如として実力行使を行なったことの事実を調査し、責任の所在を明らかにした上で適当な処置を講じたい、こういうふうに総理大臣が予算委員会で明確に答えられております。私は、この内容は少しく様子が違うと思うのですが、運輸大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
  259. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 大体総理のお答えしたのがそんなに事実に違っておる点はないよう思にいますが、どういう点でしょうか。私は大体総理のお答えしたような筋だと思っております。
  260. 柴谷要

    ○柴谷要君 運輸大臣、その違いというのは、今私が読み上げましたように、業績手当支給については組合国鉄当局両者間あるいは政府の間で当日話し合いがきまる段階にあった、きまる段階にあったところが、突如として実力行使を行なった、こういう表現なのですよ。これはもう少しくつけ加えますと、これはさきの臨時第四波といいまするか、十五日の深夜に至って、国鉄当局と国鉄労組との間にすべてが妥結をしたわけです。そのときのうちに、二十三日に支払いますという約束がかわされている。これは協定ができておる。でありまするから、当然二十三日は問題を起さずに——二十三日は土曜日でありますから、当然この二十三日に支払うべきものである。国鉄当局の責任において支払わなければならぬ。ところが、二十三日に支払わないということになったので、問題は発生したと、こう思うのです。ところが、この総理の談話でいきますと、国鉄当局と組合あるいは政府との間に話し合いがつけられる情勢にあった、きまる段階にあった、二十三日にきまるという段階にあったと、こう言っておられるのですが、すでにそのことは十五日にきまっておるのですよ、二十三日のことは。そこが違いがある。
  261. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) それはこういうことだと思う。きまる段階という言葉が、その言葉がまあ適当に使われておらないわけです。きまる段階ということは、もう出すということを、運輸大臣から出してよろしいという最後的な話をちゃんとすることになっておる、こういう意味だと思うのであります。きまる段階というのは、それは言葉の使い方でございますね。そういうふうに、総理は、きまる段階というのはそういうことで、今お話通り、十五日のときから話はそういうふうに伝えてあるのであります。ただ、伝えてあることは、十五日において、私もそう思い、国鉄当局者ももうそれで業績手当は出す、しかしながら、これは政府部内の手続が、出すのには要るのであって、その手続をしておるのに時間がおくれてきたと、こういうことです。出すことに間違いはない。ことに私が予算委員会でも申し述べました通り組合その他では、大蔵省が反対をして出さないのじゃないかという疑いを持って、あれが起ったように思うのですけれども、それは二十三日の期において、大蔵大臣と私と会ったときに、もう基本的には出せるようになっておったのであります。その計数を合せるために時間がかかった。私は、こういうことの計数を合せるのには、まあちょっと私ども思えば、一時間か二時間で済むことと思うのですけれども、いろいろまたその通りにいかなかったらいけないと思って、私は夕方の五時までにちゃんと出せるようにするから、それでよく国鉄組合の方へ、五時になればはっきり出るようになる、約束通り。そのことを国鉄当局者から伝えて、一つよく了解をしてもらうようにと、こう言っておったのであります。ですから、その間において、私は初めから少しも違いはないと、こう思っております。
  262. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ大臣がずっととられてきたことについては、明らかにただいま大臣が言われたようなことなんですね。問題が発生したのは、十五日に約束を両当事者間に行われて、二十三日には、これはもう完全に支払いをしますという約束なんだ。ところが、それが二十三日は支払いませんという、国鉄当局から組合に理由をつけて回答があったわけです。なぜ払わないのだという問題になってきた。いいですか、大臣、そこが大事なところですから。なぜ払わないのだ、こういうことになったらば、二十六日のストを中止をしなければ払いませんと、こう出てきた。そこで、二十六日の問題はわれわれが十分中に入って考慮させましょう、こういうことで支払いを願いますと言ったところが、いっぱし、二十六日の問題だけと思って動いたところが、まだそのときには大蔵省と運輸省との予算折衝が可能でなかった、成立をしてなかった、そういう理由が発生してきたわけです。それは何も組合は知らない。全然知らない。何も大蔵省が反対しているなんということも知らない。ただ、国鉄当局が支払わぬというところに今回の問題が起きたのであって、これが一番大臣、大事なところで、そういうこまかいところは総理大臣ですからおわかりにならないと思うけれども、そこが大事なところですから、大臣、十分考えてもらいたいと思います。そこで、問題が発生したのですから、ですからこれを抜き打ちストとか、あるいはどうのこうのということは、少し筋が違うように思う。やった行為を今さら申し上げるわけではありません。いいですか、この事実は事実としてやはりお考えをいただきませんと、今後に問題が起きると思いますので、この点は大臣がとられた態度というものは私どもは是認します。大臣のやったことは、明らかに御努力なさったことはわかっている。ところが、ここに組合国鉄当局との間に問題があったということ、これだけは事実としてお認め願いませんと、これはいけないと思うので、本席であらためてまた大臣に申し上げて、この認識だけは深めてもらいたい。
  263. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 私の国鉄当局から聞いておりますことは、十五日にきめた大体ことからいえば、これで実力行使はやらない、こういうことになった。ところが、二十六日には最低賃金という別の問題で実力行使をすることになったわけですから、しかし、おそらく国鉄当局は、これはあとで国鉄当局から聞いていただけばわかりますが、二十六日のことをやめなければ出さないと言ったのでは私はなかろうと思います。私の聞いているところでは、とにかくわれわれはすべて約束通りこれをやるが、また二十六日に再びそういうことをするのは困るじゃないかということは言ったのだろうと思うが、それがために、きょうは出さないのだということをいうはずは私はないと思う。それは私が朝、きょうはこれを出す、また国鉄当局者も、これはどうしてもきょう出さなければいけない、こういう話で、出しましょう、こういうことになっているのですから、その間において、二十六日に最低賃金の問題でそういうことを再びすることは困るということは言ったに違いありませんけれども、そのために、これは条件として出さないのだ、やめなければ、ということは言ったはずはないと私は了解しております。
  264. 柴谷要

    ○柴谷要君 時間もありませんので、これ以上お尋ねすることはやめたいと思いますが、大臣の立場は十分にわかりましたので、それでは国鉄当局に話して、組合に、二十六日の問題を中止をするならば——ある程度の約束をしない限りは二十三日に支払いをしない、こう伝えたと私は聞いているのですが、この点、副総裁のお考えをお尋ねいたします。
  265. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 少し詳しくなりますが、経過を申し上げますと、その前に、十六日に妥結をいたしました。それで、その妥結の基本となる労組からの申入書は、仲裁にあげたもの以外に、多分七項目かあったかと思います。そのうちの一つに、最低賃金法の制定に努力せられたい、こういうのが出ております。それで、私の方では、これは鉄道限りでできるものではないので、これは問題外である、こう答えてあります。しかし、それでいろいろ折衝を重ねましたあげくに、十六日に至りまして、意見の一致を見て、妥結いたしましたが、そのときの妥結は、全部を含めて——仲裁にあげたもの以外にもわたりまして、全部を含めて妥結いたしたのであります。そのときには、これで春闘は打ち切ります、こういうことで妥結したのであります。そうしましたら、一両日かたちまして、すぐに、二十六日には最低賃金法制定について、総評傘下が一体となって争議類似行為——争議をする、こういうふうなことで、国鉄労組の中闘も指令を出しております。それで私は呼んで、これは話が違うじゃないかと、少くとも国鉄と労組との間に、春闘は打ち切りである、こう言ったにもかかわらず、またこれをやるということは違約じゃないか、そうしますと、労組の方では、それはお前の方に向って争議をするのではない、ほかの方へ向って争議をするのだ、こういうようなことでありましたから、それでは私の方は承知はできぬと、これは協定に違背するということで、いろいろやりとりしております間には、これでは私の方も協定をそのまま遂行することはできぬ、業績手当だってどうなるかわからぬ、こういうようなことは、もちろんそのときのいろいろなやりとりで申したことはございます。で、しかしながら、このこと、給与ということは非常に重要でございますので、多分二十二日でしたか、総裁が幹部を呼ばれまして、これはとにかく今大臣が非常に骨を折っていただいておるので、必ず出るのだから、国民に対して迷惑をかけぬようにということを再三、再四申されたのは前日でありました。それで次の日に、二十三日になりまして、それで私は多分十一時ごろだったと思います。一部にまあ争議、列車がとまりかけているという報も聞きましたので、呼ぶひまもございませんで、私がわざわざ——わざわさと申しますと何ですが、私が国労の本部へ行きまして、大臣が九時に大蔵大臣と会っておられるし、それから引き続いて午後も会われるので、この大臣が非常なお骨折りをされておるので、必ず出るから、国民皆さんに迷惑をかけぬようにと、私が、まあ少しえらぶったように聞えましたら恐縮でございまするが、こういうことで副総裁が単身国労本部に行ったことは、まず私は聞いておりませんが——そこで一時間近く私がいろいろ説得したのでありまするが、どうしても聞き入れない、二時までにはっきり支払うということを言わなければちっとも待てない、で、私は、本日少くとも給料は払っておるのだから、それは業績手当として多少時間的に延びるということについては了解してくれてもいいじゃないか、それで、そういうことでわずかな早いおそいについて、国民の皆様に御迷惑をかけるのは労組としてもとらないし、またわれわれとしてもつらいのだから、必ず払うのだから、そういう争議をやめなさい、こう言ったのでありますが、結局にそれは聞き入れられず、私の説得力の不足でまことに相済まないことでありまするが、聞き入れられなかった。それで帰ってきますと、一時に、大臣が国鉄部長かを通じて私に電話がありまして、五時までには払うという指令が出るから労組を説得しろ、こういうことがはっきり参りまして、それで私は労組にさっそく電話をかけまして、五時までには払う、ただし、私も万一多少の狂いがあるといけないと思いましたので、五時までには、払うと、払えることになるというお話が大臣からあったということ、しかし、もし万一間違いがあっても七時か八時までには、八時か九時ごろまでには必ず払うという指令が出るのだから、軽率なことはしないようにと、あくまで五時までには大丈夫だと、こう申したのであります。それで、しかし、それについて何にも返事がございませんで、大体二時から過ぎに方々で非常な電車の、列車の運行が乱れて参ったのであります。ところが、三時になりまして、はっきり大臣から支払ってよい——三時四十分に、はっきり支払ってよろしいと、こういうふうな認可するという御通知がありましたので、それですぐ私は中闘に電話をかけて、すぐ即座に支払いを開始するから争議類似行為はすぐストップするように、そうして電話をかけて、それから私の方の支払いの方に命令しまして、すぐに支払いをしろ、こう命令して、これはもう全国に電話で申しまして、即座に支払いを開始したのでありますが、そうしますと中闘の方では、それではこれから団交に行くということで私のところへ団交に参りまして、そこで争議の打ち切りと、こういうことになった次第であります。でありますから、最初おっしゃったその支払いを停止すると、こう言ったじゃないかと、こう申しますのは、私は今でも協定違反と考えております。向うは、労組の方は協定違反とは思っておらないようでありまするが——それで、その団交の途上に、そういう言葉が出たことは間違いはありませんが、しかし、それはもう前日になって給与は払うと、こういうことをはっきり通知してあるので、その辺は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  266. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ副総裁の今のお話はその通りです。私もよく承知をしておるのです。ところが、なぜ、大臣が努力をされておる経緯は私もよく承知をしておるのです。それから副総裁のとられた、国鉄当局のとられたこともその通りです。こういう事情の中でなぜああいう事件が起ったか、こういうところに問題があるのです。そこで、私はまあ時間が過ぎたことで、これはあとのことから判断をしてみるのですが、支払いを、二十三日に支払いをするという約束、しかも、その最賃の問題にからめて国鉄が闘争をやるということについては、けしからぬというお気持を御当局が持たれるのは当然だと思うのです。この点は僕もその通りと思う。ところが、二十三日に支払いをしないと組合に意識させたところにこの問題が起きたと思う。そして組合員が決行してから、ああいうことになってから支払いをします、こういうことではおそいのです。そこで、この間の努力は、大臣を初め関係者の努力はなみなみならぬ努力があったと思う。その努力が生きずにしまったというところに、この国鉄労使間のみぞの深さがあると思うのです。これをわずか時間的に考えて、三時間早ければああいう不祥事態は起きなかった。それはなぜかといえば、それはあとの祭りかもしれませんけれども、副総裁国鉄労組に乗り込んだのは、私の記憶で申しますると、大体二時過ぎてから行かれたわけです。二時前には行っておりません。これから国鉄労組へ行きますという電話があった。しかも、国鉄労組に副総裁が行かれるから、労組はよく真意を聞かなければいかぬぞと私が電話をしたぐらいですから、これはちゃんと時間的に僕は記憶している。それで私は非常に残念なことは、しかも、二十三日に約束した金が五時までの間に支払われた、その金が支払われたにもかかわらず、こういうことが起きたということは、午前中に支払いをしない、支払いをしないということでずっと来たために、十二時に闘争委員会を開いて、この指令を二時からということにしてしまった。だから、私は二時間も早くそういう態度が決定できれば、こういうような国民に迷惑をかけずに済んだ、これはこの行為の是非を言っておるわけではありません。ここに私はその国鉄労使間の問題をもう少し慎重に考えて今後の問題に対処してもらいたい。御存じの通りあなた方が指摘したように、二十六日は無事平穏に終っているじゃありませんか。そういう問題を一つ考え願って、今後もあり得ることかもしれませんけれども、お互いにこういうことは慎しみ合わなければなりませんけれども、今後こういうささいなことから問題の発生をしないように、一つ国鉄当局に再考願うと同時に、われわれの方でも組合に対する十分な検討をさして、自己を反省させることにやぶさかでないと思います。そこで初めて国鉄労使間の問題というものも円滑に行くと思う。どうか、大臣の方で努力されている事実を国鉄当局は朝のうちに組合側に知らしめて、本日は給料を払うから、土曜日のことでもあるし、とにかくきょうはちょっと支払いが困難な状態になっても、月曜には払うということを言って、しかも、その上で組合がそういう違法行為をしたならば、これはあなた方の考えておられるような方法でいいと思うけれども、今回の問題は、深く掘り下げて申しますというと、どうも国鉄に手落ちがある、組合の方はその国鉄側の落度に対して少し強くやり過ぎた、こう私ども見ておるのです。どうか、この点だけは大臣の努力一つ水泡に帰させないように、今後国鉄も十分お考えになって、もう少し両者が真剣に考えられれば こういう問題は起きなかったということを私は特に強く強調して、今後国鉄当局のいろいろな問題に対する態度として十分お考えをいただきたいと思うのです。これはもう二十三日に払うというのですから、朝から明けの連中は待って、もらっていこうというのです。二十四時間勤務した者は、朝帰りがけにもらっていこうというときに、金が出ないというのですから、問題になるのは当然です、しかし、そういう問題の中にも非常な苦心をされた大臣の行動もあられますから、この際私どもは大臣を追及するのではなくて、今後の問題として国鉄当局に反省を願いたい、こういうふうに申し上げるわけです。大臣の言われたことも、副総裁の言われたことも、その通りでございますけれども、なぜ、その通りなのに、支払いが完全に行われているのに問題が起きたかという点だけはお認め願って、岸総理大臣が表現されたことに対しては、了解というわけには参りませんけれども、とにかくもう少し総理大臣にも運輸大臣からその真意だけは十分伝えておいていただきたい、重ねて要望して、大体時間が参りましたので、質問を打ち切りたいと思います。
  267. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の柴谷委員の言うように、私は現場に行ってみたんです。ところが、現場では給料袋に金が入っておって、机の上に積んであった、積んであったのを、業績手当は支給しないのだ、今言ったように、みんなが待っておるのに、明け番で待っているのに、午後みんながおるにもかかわらず、やらぬ、そういうようなことは、これは目の前の魚ではないが、出しておいてそしてしまってしまう、やらないということは、これは大臣の努力をしていることは何も伝わっておらぬ、私はもうさっきも言ったように、柴谷さんの言ったように、実際に院内の話、大臣との話、あるいは国鉄当局と大臣との話、組合との話、そういうことも聞いておって解決をしたというふうに見ておった。それは十二時半です。十二時半に大体努力が、これはいい、それで十三時半ごろに現場へ行ってみたところが、現場では机の上に封筒へ金が入っておる、それを金庫へしまっていこうというのだ、中にはかぎをかってしまおう、これでは幾ら何ぼ何でもやっぱり怒りますわ。目の前にぶら下げておいてお前たち魚を見ておけというようなことでは怒るのは当然だ。そういう点はやはり連絡が不十分であったということは、この問題を紛糾さした私は大きな原因だと思う。そういう点については、私も別にこの問題を長くしゃべるつもりはありませんが、柴谷委員の言ったように、やはり今後の問題として、労働問題というのは、少くともお互いが信用しなければならないのですよ。信用をされるようなことをやられないから、これは幾ら何といってもけんかになってしまう。大臣の、さっきから言うように、やはりそういう点は十分配属しなければならぬと私は思うのです、そういう点どうですか。
  268. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私は、必ずきょう払うことになるから、列車に障害を与えるようなことはぜひ差し控えなさいと言ったことは、指令の出る前、二時の前で、タイミングとしてはおそいとは思わなかったのであります。今でもそう思っております。  それからもう一つの、袋に入れたということは、これは私どもが払うというつもりで、ちょうど土曜日でありましたので、払うということを前々から申さなければ、あれだけの支払いはできませんから、払うという意思のもとに業績手当と給料とを入れたわけなんです。ただし、あの日は土曜日でありましたから、まだ手続ができない前には私の方でも払えませんし、それを駅に置いておくことは、これは許されませんで、これは銀行のある間、銀行の時間内に間に合うように、一応銀行に保管をしただけでありまして、これが業績手当が作ってあったということは、かえってこれは支払いをするという意思でなければそういうことはいたさない、こういうふうに御了解願いたいのであります。
  269. 相澤重明

    ○相澤重明君 もう時間がないから終りにしますが、私は今のような、少くとも誠意をもって大臣が一生懸命に朝早くから努力をしておる、そうして国鉄当局の方々努力をしたと思う。思うのだけれども、残念ながらそういうことが一つも通じない。しかも、土曜日であれば役所関係は午後は終り、銀行も窓口を締める、そういうような中に、もう約束はしたけれども、お前たちにはやらぬのだという態度を出されれば怒るのは当りまえだ、従って、そういう点については、きのうも市川さんだったですか、また高良先生からもお話があったと思うのですが、そういう問題の本質の解決は、本質というものを、ポイントをはずしたらもう何にもならぬ。私はそういうことの今後ないように、今のお話を聞いて、今後そういうふうにしていただくことで私の質問を終ります。
  270. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの問題、この間から真剣な論議がかわされましたが、一般の批判というものは、現象面だけを見て感情的に批判をしておるのですが、やはり真相究明というものがただいまによってなされたと思いますが、これは公平な立場から見ると相互に誤解があり、相互不信の問題がこういう事態を引き起していると思思のでありまして、なおこれは慎重にこの問題の論議は今後にも残されるとういますが、きょうはこの程度でいかがでしょう。速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  271. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記起して。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会