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1957-03-26 第26回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十六日(火曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            後藤 義隆君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            加賀山之雄君            高良 とみ君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     藤井松太郎君    日本国有鉄道常    務理事     小林 重国君    日本国有鉄道常    務理事     並木  裕君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道厚    生局長     長尾 頼隆君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改生する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 きのう質問を総括的に始めたのでございましたが、大臣総裁もいろいろの所用がおありのようでありまして、御出席いただけなかったので十分に御質問することができなかったのでございます。きょう特に総裁出席をお願いしまして、実はお伺いしたいのは、最近の国鉄状態でございます。「国鉄線」という雑誌を私はいただいているのでございますが、この「国鉄線」の新年号を見ますというと、十河総裁のお言葉として「現在の国鉄は非常に物的設備が不完全であるにもかかわらず、世界驚異といわれる輸送をやっております。旅客について見れば、イギリス、フランス、ドイツ三国のを合せただけの輸送量を、その三国の七分の一の設備でこなしています。また貨物ではイギリス日本の三倍の線路と一〇倍の貨車を使って、ちょうど日本と同じ量の貨物輸送をやっています。日本貨車運用効率が三〇%ぐらいになっているということは、そんなことが可能なのかと驚異の目を見張られるほどで、人間の能力の限界までの能率をあげているといっても過言ではないと思います。」、こういうような感想を述べておられるわけでありますけれども、こういう点につきまして、今問題になっておりします輸送力増強、その輸送増強の基本的な問題として、当然これは線路容量車両を増設する、こういうところにはっきりあると思うのでありますけれども、それは戦後久しい問題路容量並びに車両増強が怠られてきたという事実を具体的に物語っておるのではないかと思うのです。こういう点から、今度の計画も出てきておると思うのでありますが、今までのこの輸送力増強で歴年とられてきた戦後のあり方ですね、これについて、どういうような問題につきまして、どういうふうなお考えをお持ちになっておられますか、この点総裁から承わりたいと思います。
  4. 十河信二

    説明員十河信二君) お話通り、戦中、戦後、施設の補充、車両の取りかえ等が不足いたしまして、それがだんだん積り積って今日の現状を来たしたものと私は考えております。それゆえに、それを修正をしなければならぬのです。何さま財政状態が赤字になっておりまして、償却費を十分計上することができなかった、そうして政府資金も得られないというような、国家財政国鉄財政の両方から、やむを得ずそういう結果になったことを承知いたしております。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 この新年の所感という形で述べられたですね、総裁のお言葉は、一面非常に驚異的な日本国鉄運営状態について、これは誇りを持っておっしゃっていられるような面があると思うのですが、同時に、これは非常に誇れない面があるように思う。非常にむしろ悲しむべき面が国鉄破壊として出ているのではないかと考えますが、この点いかがですか。
  6. 十河信二

    説明員十河信二君) お話通りであります。一面は誇りといってよかろうかと思いますが、一面は非常に恥辱であると思います。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 そういう事態に立ち至った今までの国鉄経営が、やはりここで今運賃値上げの問題が非常に世論の中にさらされておる中で、私たちはやはり見当してみる必要があるというふうに考える。そういう中で、ずっと戦後の国鉄投資状況を見て参りますると、最近特に目立って参っておるのは、電化設備というような方向に非常に多くの資金を投入しておるのではないか、こういう点が見えるのでありますが、たとえば昭和二十八年の工事費内容ですが、これは資料をお持ちでしたらちょっとお聞かせ願いたいのでありますが、路線増強費と比べて、電化設備費はどんなふうな数字になっておりますか、この点ちょっと資料的に知らしていただきたいと思います。
  8. 小林重国

    説明員小林重国君) 二十八年の実績について申し上げますが、新線建設か六十七億、それから幹線建設が五十八億、通勤輸送対策が二十六億、幹線輸送力増強が十五億、諸改良、取りかえといたしまして三百匹十八億、それに総係費を加えまして合計が五百五十二億であります。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 私がお伺いしているのは、電化設備費と、並びに線路増強費を対比して、そういう資料はないのでございますか。まあこれは計数をお出しになっておられないと思いますが、私の方で大体計算してみたのですが、当っているかどうか、多分正確だと思いますが、昭和二十八年度の例をとってみますというと、工事費の中の電化設備費は、全体の六三・七%、これを昭和九年から十一年の戦前状態に比べますというと、これは戦前は二一%ですから、大体、三倍にふえていると思う。ところが、線路増強費の力は反対に、戦前は二六・四%、これに対しまして、昭和二十八年は二・六%と低下している。つまり二分の一、逆になっているわけです。ですから、電化設備費の方は戦前の三倍になっているけれども、線路増強費の方は、これは二分の一に低下している。ここに最近の国鉄経営傾向が出ているように思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  10. 十河信二

    説明員十河信二君) 輸送力を急速に増強するためには、電化が比較的手っとり早く輸送力を増すことができる、牽引力を増し、それからスピードアップをし、そういう点において比較的早く輸送力を増すことのできるものが電化であります。それで電化相当力を入れてやったものと承知しております。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 むろんこれは予算の問題になると思うのでありますが、予算にそういうような余裕があって、そうして電化の方に力を入れていくということは、これは望ましいことだと思うのです。しかし、肝心の、最も基礎になる線路並びに車両輸送力の一番根幹であるところのそういう方面が、逆に二分の一弱という形で行われていたところの、いわば頭でっかちで、足が非常に弱っておって、頭だけでっかくやっていく、そうして輸送力——速度を増すというようなことでサービスをやる。それから、後にもう少しお伺いしたいと思うのでありますが、この電化方針をずっと集中していかなくちゃならなかった理由も、いろいろ総合的な、他の政策との関連があったのじゃないか、これは輸送政策との関連において、そういうような点を強化しなければならない理由があったのじゃないかと思われますのですが、その点について、これは先ほど総裁もおっしゃったような、非常に不十分であったという点はお認めになっていらっしゃると思う。そこで私はこの際、やはりここで大体占領も終り、一応独立だということで、それから公社の独立採算制なんかということが大きくうたい出されている中におきまして、なぜこのような状態が起ったか、つまり根本的な輸送力の問題を解決する点に十分に力が払われないで、そうしてまあ比較的第二次的な方向に主力が多く使われていったというところに、今日の国鉄輸送力貧困原因があると思うのでありますが、この原因をもっとこれは科学的にメスを入れてみて、はっきりこの正体をわれわれはここで摘発してみて、そうしてそれに対して最も正しいこの対策を立てるということでなければ、これは一つ政策として今後の輸送政策を推進することはできないと思う。こういう観点からお聞きしているのでありますが、このような状態を出現させたところの原因について、いろいろあると思うのでありますが、この点は総裁としてどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  12. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻申しましたように、私はそれは主として国鉄財政状態でやむを得ずそういうことになったのだと思うのであります。そこで先刻申し上げましたように、少い金で一番手っとり早く輸送力を増し、日本経済の実情に適するように、できるだけ国民に満足を与えるようにするにはどうしたらいいかということを考えまして電化ということを進めて参ったのだと思います。それはひとり日本だけでなく、世界大勢を見ますと、どこの国でも、今日不経済蒸気機関車で運転をするというような方針を続けておる国は文明国にはほとんどないのじゃないかと思います。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 私がお聞きしているのは、つまり線路車両の今日のような非常に不十分な、ある意味では破壊的とも言っていいような原因についてお伺いしたのでありますけれども、ただいまの総裁の御答弁によりますと、電化はやはりこれは第一義に推進しなければならないと、こうお考えになっているように聞えるような御答弁だと思うのです。しかし、これはどうでございましょう、今度のこのやはり修正五カ年計画を見ましても、線路車両増強には、相当資金量ウェートからいっても、パーセンテージも変ってきていると思う。私お伺いしたいのですが、ここに今度の計画で幾分変更があるのです、今までの方向に。これはお認めになりますか。つまり電化もやるが、しかし、電化だけを——電化ディーゼル化というものを大わらわになって進めておる、それだけでなくして、線路増強車両増強ということをこの修正五カ年計画でうたっているわけです。そうしますと、これは今御答弁になった点とは少し食い違う点が出てくるのですが、その点はこの計画の中でのはっきりした変更の面として、これは確認なさるわけでございましょうか。
  14. 十河信二

    説明員十河信二君) 従来といえどももちろん線路容量増強ということを計画して参ったのであります。ただ、幾分その電化の方に力を入れて、少い金でできるだけ多くの効果を上げようという方にウエートを遭いたということを申し上げたわけであります。今度は工事資金が少しふえましたから、今御発言の中にもありましたように、線路容量増強という根本的の方向心少しウェートを今度は多く置くという方向に進んで参ろうということにいたした次第であります。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、いつごろ、そういうような方針が少し変ってきたのですが、これはいつごろから変って参ったわけですか。まず第一義に掲げているのは、先ほど私が数字でもあげましたように、戦前の三倍も電化ディーゼル化の方に力を注いでおった。資金投資の現況は何よりよく物語っている。それに対して、線路の方ははなはだ、戦前の半分以下というふうな形で投資計画がなされておるわけです。それが今度は幾分変ってきたのですが、どうしてもこの基本的な線路並びに車両増強ということをやらない限りは、輸送力は隘路ということは打解できない、こういうことからこれは始まったのではないかと思うのですが、これは今度の修正五カ年計画で、そういう画が今までと少し変った形で出てきた、こう解釈していいと思うのでございますが、ところが、どうでございましょうか、昨年の三十一年の八月にたしか修正の前に、原案みたいな五カ年計画が発表されたと思うのですが、そのときの投資状況を見ますと、これはどういう形になっておりますか、そのときの原案について、ちょっとお伺いしたいのですが、私のお伺いしたいのは、全貌についてではございません。電化ディーゼル化に対しての資金配分、それから線路増強車両、こういうような点だけについてでけっこうでありますがこれは全体の資金配分傾向について、資料的に示していただきたい。
  16. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御説明申し上げます。前の五カ年計画原案と、修正五カ年計画との投資内容の相違でございますが、これは前の計画を減らした分はございません。原計画にプラスいたした分だけでございます。このプラスいたしました分が、全体で九百五十億でございます。その内容は、線路増設その他に四百十億、電化が六十億、電車化に四十三億、ディーゼル機関車化に四十三億、車両増強に百七十九億、ディーゼル動車化——ディーゼル化でございますが、これに八十四億、通勤輸送対策に五十二億、その他これは信号保安設備操車場通信設備等、いろいろ各種のものでございます、それが七十九億、合せて九百五十億、こういう配分になっております。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 それは大体私たちもいただいた資料の中でわかるのですが、私のお聞きしているのは、やはりここは政策論議でありますから、この資金配分性格というような点で、これをやはり明らかにしていかなければ、私は政策面が出てこないと思うのです。ですから、実はそういう点から作業をされていないのかもしれませんけれども、私たち作業をしてみたのです。原案によりますというと、電化ディーゼル化に対しまして大体資金が三一%、それが修正案では二四%というふうに変っております。線路増強費に至りましては、これは原案の一三%がこの倍の二六%というふうになっております。車両は八%が一〇%、こういうことに変っていますので、つまりそこにパーセンテージからながめてみますというと、今度の修正五カ年計画の中で基本的な車両線路容量増強ということが、少くともこれは大きくずっと出てきているのであります。電車ディーゼル化よりも線路車両増強費の方が絶対額でもふえている。パーセンテージにおきましてはこれはものすごい飛躍です、二倍ですから。そうしますと、ここにこれは今後の運営の仕方の性格変更されてきている。この点を私は政策的に論議していくのでありまして、今のように、ただ資料をすらすらと並べられただけでは、われわれは政策論議の役に立たないのです。ですから、こういうことを作業されていないとすれば仕方ないですけれども、少くともやはり質問に間に合うような答弁をお願いしたいと思うのです。、どうも先ほどからながめていると、羅列的に、そうして持ってこられた資料を出されただけでは政策論議にはならぬわけなんです。そういう点で私はこの電車ディーゼル化だけでは間に合わない。こればこの前、劈頭に江藤委員木島委員あたりからも質問のあった点と関連するわけなんでありますけれども、この点私、非常に重要だと思うわけでありますが、そこで、先ほどの問題に戻りたいのでありますが、なぜ国鉄が、今日のような輸送力貧困に見舞われざるを得なかったという原因について、これは総裁はまだ十分にこの点はっきりされていないのですが、これは運輸大臣とされても、これはどうお考えになりますでしょうか。今までの日本運輸行政をずっとごらんになって、その中で今言いましたような基本的な輸送力根幹をなすところの問題が解決されなかったこの原因ですね、こういうものについて、私はやはりはっきりこれを科学的にこの辺でライトを当てて明確にしておく必要がある。そうでないと、今後の方針が正しいものに私はならぬのじゃないかと、こう考えるのです。そういう点からこれは大臣としての大まかな御意見でもけっこうでございますが、この点をどういうふうにお考えになるか。
  18. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御承知の通り戦争以来国鉄というものが非常に酷使された。そうして資材も工事も、その酷使したのに伴って補強することも改善することもできない、固定資産償却もできなかったというようなことから、終戦後のこの日本経済あり方そのままでなってきた。そこで、今日経済が大体立ち直ってきましたから、それに順応して工事の面もただいまお話電化その他の近代化の、而も、あるいは車両もしくは線路補強という量的な面も順次改善していく、現在のところではそういうふうに向っているのじゃないかと思います。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 やはり大臣の御答弁の中に、私たち考えておる戦争時代の酷使の問題、それからさらに戦後におきましては、第一占領軍のやはり貨車あるいは客車の独占、この量につきましては、まあ現在は非常に微々たるものだというのは、これはこめ前決算委員会だったと思いますが、御説明を受けました。しかし、占領中は相当なウエートになってくるんじゃないか、それから数量の問題もありますが、数量の問題よりも、性格が非常に問題じゃなかったかと考えられます。つまり優先的にやらなくちゃならない。つまりそれに集中して、もうほかの民間の、国民の要求は切ってもこれに奉仕しなきゃならない、こういう形で運営されたと思うのです。専用客車が通る、貨車が通る、タンク車が通る、冷蔵庫車なんというものも、これは非常に乏しい費用の中でどんどん向うのむしろ横紙破り的なやり方によって独占的に奉仕させられた、こういう形で、そのためにそのような、たとえばいろいろなサービス車なんかを作らなくちゃならないために、一般の客車貨車を新造することができなかった。また老朽車を廃止したり、新たに改造することもできなかった、こういう状態があると思うのであります。この占領政策のやはり圧力というものが、国鉄経営に対しては非常に今日のような破壊を及ぼした一つ原因になっておるというのは争えない事実だと私どもは考えるのでありますけれども、この点については、これはそうお考えになりませんか。
  20. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 戦争も、それから戦後の占領政策も、むろんやはりこの国鉄に対してはいろいろ大きな負担になっておったことと思います。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 その点は総裁も御同感でございましょうか。
  22. 十河信二

    説明員十河信二君) 同様に考えます。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、私たち輸送の上から見ましても、これは目にあまる点が実はあったんじゃないかと思うのであります。今日の国鉄破壊を招く一つ原因には、確かにこの占領政策が横暴きわまるものであったという点を、今日やはりわれわれははっきり指摘していいのじゃないかと思う。こういう態勢の中で、たとえば元二・一スト時代共闘委員長をやっておりました伊井弥四郎君なんかは、白いはち巻の列車が通る、そうして一方では、もう鈴なりになって命の危険を冒してまで電車にぶら下っておるときに、その目の前を五、六人の兵隊が乗った白はち巻の列車が堂々と通る、こういうような演説をしたときに、すぐに占領政策違反だというので引っぱられた。そうして軍の法廷に回されて何カ年かの懲役を課された。そうして獄中に服役しなければならなかった。こういう時代もあったのでありまして、あの占領時代やり方というものは、まことに今日の一つ破壊原因にははっきりなっておるということを私たちは見のがすことができない。こういう点について、何か国鉄の各部局の方々が、占領時代米軍輸送やり方政策、こういうものが日本国鉄運営に与えた影響について、今日各部局において一応調査をされておるということをわれわれは仄聞しておるのでありますが、こういう事実はございましょうか。
  24. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 別に占領軍ということではございませんが、日本歴史にあまり芳ばしくない歴史でございますが、一つ歴史的な時代でございましたので、鉄道の当時とっておりました過去を記録にとどめておきたいということで、終戦後の輸送管理その他についての記録はまとめておくように提案しておりまするが、決して占領政策そのもの影響を直接に探究するというようなことではないと存じます。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 この作業はやはり日本独立とも関連して必要なことと思いますので、これは相当努力されていい点ではないかと考えるのであります。もう一つ破壊をもたらした原因として、こういうことは言えないですか。つまり独立採算制をとられたために、与えられた資金を全般的な、ことに基礎的なものに向けることができない、それからいきなりもうかる部分に大部分投資しなければならない、そうしてそのために一方で問題になって参りましたところの自動車との競争をやらなければならない、こういうようなことで高級貨物自動車と奪い合わなければならない、競争しなければならない、そのために一方では高級貨物賃率を引き上げるというようないろいろな万般の措置がなされた、同時に、電化ディーゼル化を推進しなければならなかった、こういうような面が私はあるんじゃないか。政策的に独立採算制そのものを持たされて、しかも、資金の面において十分な保障なしに独立採算制に落されていったところから起って、そういうような結果が出てきた。それが電化ディーゼル化というような形で施行されていった跡がうかがわれるように思うのでありますが、これはいかがでございますか。この点について総裁からお伺いしたい。
  26. 十河信二

    説明員十河信二君) 私の承知しておる限りにおいては、ただいまのお話は少し事実に相違するかに考えられます。実は国鉄世界大勢に応じて、世界各国でやっておるように電化ディーゼイ化をやりたかった、進めようとしておった、ところが、占領中にそれを幾分押えられた、そこで、電化ディーゼル化というものはしばらく停頓といいますか、電化のスピードが落ちてきた。それを私の時代になって、一昨年でしたが、朝野の権威者にお集まりを願って、こういうふうな方向で進んでいったらどうであろうかということを御検討を願った結果、電化ディーゼル化を進めることが日本国鉄としては絶対必要だということで、この近代化計画を進めるようになったわけであります。実は国鉄方針は、前からもっと電化を促進したかったというふうに私は承知しております。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、そこのところがさっきからのの論争になっておると思うのでありますが、輸送力増強ということが非常に問題になっているときに、何が一体基礎的なものか、少くともそういうところにはっきり目を向けて、その問題を解決する方向国鉄のこの政策というものは行われなければならぬということになるわけでありまして、つまり車両増強あるいは線路容量増強ということが、基本的に輸送力を解決するところのこれは一番解決策としましてはかぎになっている。ところがこの問題は資金投入の面から見ても非常に不十分であります。そういう形で行われる電化ディーゼル化をどうしても第一義に前進しなければならない、それを、それだけをお考えになってというと語弊がありましょうが、そこを重点的にお考えになっていったということになりますると、何のために、今度のこれは修正案というものがこういう形で、先ほど申し上げましたように、変らざるを得なかったかというその理由がはっきりしない、貫いていられないということになる。方針では、修正五カ年計画では少くともこれは相当大きな転換がここに行われていくと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  28. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御承知のように、大体昭和二十四年ごろまでは、国鉄資金はほとんど戦災復旧に投ぜられたのでございまして、輸送力拡充ももちろん必要でございまするが、その前に、戦災復旧が最も急務でございます。戦災復旧に使われて参った。それから電化ディーゼル化というようなものは、先ほど総裁が御答弁申し上げましたように、占領政策中は一たん私どもは電化ディーゼル化計画いたしましたが、むしろこれを逆にとめられておったという状況でございまして、従いまして、私どもの輸送力拡充という点についても、当初からそういう意向を持ち、またその方に資金電化ディーゼル化とあわせてつぎ込んで参ったのであります。ただ、修正五カ年計画でその方面が非常にプラスされましたのは、昨年末以来の経済界の発展が、当初経済企画庁等で御算定になりましたスケールよりもはるかに伸びが急激に参った、こればまことに日本国家のために慶賀すべきことではございますが、しかしながら、私どもの計画は、その前の企画庁の御計画の線に沿っておりましたので、その点を勘案いたしまして、さらに一段と線路容量車両等の増備に重点を注ぐべきだと考え修正計画を立てたわけでございまして、何らその点計画変更方針変更というような意味合いはございませんのでございます。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 説明ではそういうことになると思うのでありますが、私たちはやはりこの数字の分析とか、そういう基礎の上に立って論を進めているわけなんでありまして、私の申し上げたいのは、ここに同じ資金がある、それを大部分この電化ディーゼル化の方に使う、二つ極力並行してやりたいのだけれども、しかし、一方は結局置き去りにされて、一方は大きく推進されていく、そこにやはり重点がどこに置かれているかという点を私たちはその数字の上から見なければならないと思うので、そういう点は単に私たちが申し上げているだけではなく、現に行政管理庁におきまして、その他でも指摘されておるのでございますが、これはいかがでございますか。総裁、御存じでございますか。はっきり指摘されている。行政管理庁の資料によりましても、非常に線路容量車両増強、基本的な輸送力増強面が怠られているという点を指摘されておるのです。総裁にお尋ねいたします、これはいかがですか。
  30. 十河信二

    説明員十河信二君) これは先刻来申し上げまするように、金がないものですから、自然そういうものは非常におくれておりますが、その乏しい金で日本のような山国で輸送力を急速に増加して要望に応えるためには、やはり電化ディーゼル化というようなことが比較的いい手段だと、こう考えましてそういうふうに進めておる次第でございます。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 この点はいつまでやっても平行線になるかもしれませんが、ただわれわれが二者どちらを選ぶかというときに、基本的な問題に力を注ぐ、あるいは一つサービス面の、非常にきれいに見えるきれいごとの方に力を注ぐ、ここが政策の非常に重要な面だと思うのです。なるほど電化ディーゼル化の問題は、見た目には非常によく見えます。しかし今日の輸送力の低下といいますか、これが現出してきた一番基礎的な問題は何かといったら、車両並びに線路増強が非常に多年にわたって怠られていた、こういうところにあるのでありますから、この点ははっきりさせなければならぬ。それでは電化ディーゼル化の目的というものは一体どういうところにあるのか、電化ディーゼル化の目的そのものはどういうところにあるかという点をもっとお聞きすれば、この問題はもう一歩進むのではないかと思いますが、その点をお伺いいたします。
  32. 十河信二

    説明員十河信二君) 一例をとって申しますとわかるかと思うのでありますが、日本は先刻も申し上げましたように山国で、勾配線が非常に多いのであります。たとえば福島—米沢間は、電化する前には、旅客列車の速力は、時速——一時間に二十五キロでおります。それが四十二キロに上っております。それから三百二十トン引っぱっておったものが、六百トン引っぱれるようになった。それから貨物で申しますと、貨物電化前には二十キロの速力で走っておったのでありますが、それが電化後は三十六キロの速力に上って参りました。それからトン数で申しますと、三百二十トン引っぱっておった貨物列車が、六百五十トン引っぱれるようになったのであります。かくのごとく電化輸送力増強に非常に手っ、とり早く役立つのであります。根本的には、お話通り線路容量を増すということが必要でありますが、限られた資金で持って急速に輸送力増強をすすにはこれがいい。その上に電化ディーゼル化をやりませんと御承知の通りトンネル区間は、従業員は非常に苦しいのであります。窒息をしたといような例もあります。いつまでも蒸気機関車で従業員をいじめることは私たちは忍びない。できるだけ早く従業員にも仕事が楽にできるようにしてやりたいということもあります。お客に対するサービスはもちろんのことであります。そういういろいろな点を考えまして、電化ディーゼル化という方針を促進したい、こう決定した次第でございます。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 私の言い方悪くて、電化ディーゼル化に反対するというふうなことに聞えたらこれはまずいわけでありますが、そういうことではございません。むろんそういう意味の電化ディーゼル化の有利点というのは考えているわけです。ただ、問題になりますのは、やはり総裁がさきにあげられましたように、非常に人間のわざとは思えない、神わざのような形で国鉄経営されて、線路車両も非常に不十分で、ことに、まあイギリスあたりと比べますと、貨車なんか十分の一ですね、線路は二分の一、こういう形でやられておる実情をそのままにして、その上に電化ディーゼル化方向をやっていくと、奉仕を非常に大切にして、そうしてからだの体力をほんとうに回復する方が怠られてきておるというような——本来どららに一体ウェートを置くべきかという問題をはっきり解決しなければならぬじゃないかという点から、私は申し上げておるわけなんです。この点誤解のないように願いたいと思うのですが、なるほど、まあ有利な面はあります。輸送力の速度が非常に増強する、それから卒引力が非常にふえる、まあ先ほどおあげになりませんでしたが、燃料の節約というような面も、これは電化ではずいぶんある、それからサービスの向上、こういう面もあると思いますが、何といっても基本的な体力をほんとうに改善するという面が非常に重要じゃないか、従って、総裁が新年号の巻頭言で、先ほど悲しむべき現状だというお話がありましたけれども、結局、このように非常に不如意な形で、体力がないのにやせ馬にむちを打つような格好で今日まで国鉄経営されてきた、この中にはやはり国鉄の労働者四十四万七千ですか、五十万の国鉄労働者の大きなやはり犠牲があったのじゃないか、こういうふうに考えられます。そこに労働強化の問題も出てきておる。それから国鉄はけが人が非常に多い。しかも、そのけがが、けがの性格からいって、やはりけがをするというと、ほかの官庁なんかの統計とも私比較してみたのでありますけれども、やはり死亡率が非常に多い。つまり重傷を負っておるのですね。そういう形にはっきり現われておると思うのですが、この点は総裁としては、これはお認めになりましょうか、これはいかがでございますか。
  34. 十河信二

    説明員十河信二君) もちろんそういう点につきましては、私は最も心を痛め、苦労をいたしておるものであります。  それから念のためについでに申し上げておきますが、その「国鉄線」といいますのは、国鉄の従業員の間で読まれておる雑誌でありまして、私は年頭の辞として従業員に感謝したい、あまりに世間が国鉄に対して非難をされる、国鉄の従業員は幾ら働いてもほめられるということはないのであります。そこで、私はせめて親心を出して、この際従業員をねぎらってやろう、激励してやろうという意味もありまして、そういうふうに書いたのであります。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 その点はまあ大へんけっこうなことと思うのであります。しかし、どうもちょっとこれはねぎらいでもありますが、悲しみの言葉でもあるように思いますね。こういうものをやはり具体的に解決される努力をやはり国鉄の労働者諸君は期待しておるのじゃないか、つまり人員を増強する、労働強化をやはりやめる方向に行く、待遇をほんとうに改善する、その他、とにかく愉快な労働力を提供してどんどん国鉄発展のためにやりたいと国鉄労働者の諸君は考えていられると思う。ですから、まあこういうなぐさめの言葉はありがたいわけでありますけれども、しかし、これだけじゃやはり絵にかいたぼたもちみたいになると思うのですが、この点いかがでございましょうか。今度の金額を見ましても、輸送力は五カ年間に三十何%進むのだが、しかし、人員は一向ふやそうとお考えになっていられない。輸送力はふえる、機械化で一部分吸収されるとおっしゃっておりますけれども、これは労働強化は今後激しくなるのじゃないか、そういうことの現状を——そういう実情があるのに対して、こういう点の励ましをされますというと、逆にこれでもって精神的にもっとしっかりやれ、あるいはこれは誇るべきものだというので、総裁の意図はどうかわかりませんけれども、実際においては、こういうような激励の言葉というのは、反対にこれは一つの何といいますか、戦争中の言葉では悪いのですけれども、何か精神主義の方に切りかえていくというふうな、そういう点にとられるとしたら非常にまずいと思うのです。だから、あくまでもこれは、これに対して具体的裏づけ、労働条件の改善、こういう点に基本的な対策をお持ちになるということが基本的だと考えますが、その点いかがでございますか。
  36. 十河信二

    説明員十河信二君) もちろん、そういう点においても極力努力いたしております。また電化は、先刻も申し上げましたように、従業員の勤務状態を幾らか楽にする、そうして少い人で比較的多くの輸送をできます、人員にもそこに若干のゆとりが出てくる、こういういろいろな点を考慮いたしまして電化を促進するという方針をとっておる次第であります。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 まあ国鉄労働者の待遇についてはお触れにならなかったのですが、一昨日の問題もありましたが、これはほんとうに総裁の親心というものが、目の届く、かゆいところに手の届くところにこれは使っていただきたいというふうにわれわれは考えるわけです。ほんとうにこれは最近の労働条件、こういうものを私はいささか伺っておりますがね、そういう問題をほんとうに安心してやれる、そのためにははっきりした反対給付をやるという点にこれを大いに切りかえることが重点になっているのじゃないかと思います。で、まあ少し進めますけれども、大体電化によって、あるいはディーゼル化によりまして燃料の節約が相当されると思うのでありますが、これはどういうことになっておりますか、石炭と比べまして、その点お伺いしたい。
  38. 並木裕

    説明員(並木裕君) 国鉄におきまして、先ほど総裁から御説明ありました三千三百キロの電化区間を、今後の計画としまして十カ年計画を立てておりますが、十カ年計画におきまして、石炭は昭和四十年度のときにおきまして、年間二百六十万トンの石炭が節約されることになります。並びに経費の節減は年間九十五億くらいでありまして、問題は、国鉄で費消いたしますところの石炭は非常にカロリーの高いものでありまして、わが国の年産約四千六百万トンのうちで五〇%くらいに当るところの、いいカロリーの石炭を二百六十万トンばかり節約されることになりますので、燃料面から見まするならば非常に効果的であると思います。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 あれであればどうなんですか、キロ当りとか、そういうコストの計算では出ておりますか。
  40. 並木裕

    説明員(並木裕君) 一キロどのくらいということは、実は計算してございませんが、この三千三百キロのその電化の消費量を二百六十万トンで割れば出てくるわけであります。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 大体燃料費、大ざつぱにいって何割くらいの節約になるのですか。そういう計算はわかりますか。
  42. 並木裕

    説明員(並木裕君) この三千三百キロの電化におきまして、もし電化をいたしませんで考えました場合に、昭和二十九年度は四百八十五万トン国鉄では使っております。それから本計画を行わないとき、つまり電化をやりません場合に、将来の輸送量考えまして、昭和四十年度におきましては六百三十万トンになることになります。これをこの電化によりまして、先ほど申しました二百六十四万トン節約いたしますので、電化後の消費量というものは、四十年度におきましては、三百六十六万トンという姿になって参ります。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 それから重油ですね、日本のエネルギー源を石炭から重油の方に、二十八年度あたりから全般的に日本の燃料対策を切りかえていっている面が出ていると思うのです。こういうものとこのディーゼル・カーとの関係はないのですか。こういうものとの関連はどうなんですか。
  44. 小林重国

    説明員小林重国君) 国鉄の燃料使用量は、もちろんディーゼル・カーの運転、それからディーゼル・ロコモティヴ——ディーゼル機関車でございますが、これの運転によりまして増加して参るわけでございますが、主として軽油の面で増加をして参ると思います。現在重油も相当消費いたしておりますが、これは御承知だと存じますが、石炭と重油とを混焼いたしまして、それによりまして多少でも輸送力増強したいということで重油の混焼を行なっておるわけでございます。そういった区間は将来漸次電化していきますと重油の消費は減っていくものと考えております。今、電化の進みません前提におきましては、重油混焼等も用いまして輸送力増強をはかっておるような次第でございます。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 これは動力源について、大体資料はございましょうか。つまり石炭、電力、それから重油、こういうものはどういう割合になっておりますか。
  46. 小林重国

    説明員小林重国君) 昭和三十年度の実績によりますと、電力の消費量は十六億九千万キロワット・アワーになっております。これに対しまして軽油の消費量は四万二千キロ・リットルでございます。それから五か年計画の最後の年でございます三十六年度にどういうふうになるかと申し上げますと、電力消費量の方が三十一億二千キロワット・アワー、軽油の消費量は二十四万キロ、こういうような数字になる見込みであります。なお、電力の消費量も、国内総生産量に対しまして、現在の三十年度におきましては三・一%の割合になっておりますが、昭和三十六年におきましては四・二%という割合になる見込みでございます。軽油につきましては昭和三十年におきまして、全国消費量の五・四%でございますが、三十六年におきましては一・九%程度の割合になる見込みでございます。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 五カ年計画によってずいぶん動力源の内容が変ってくると思うのです。これはやはり何ですか、重油転換あるいは重油火力発電というのはアメリカとの提携で最近ずっと行われておると思うのです。ことに、アメリカ系の電気機械会社、ゼネラル・エレクトリック、それから世界銀行なんかの提携によって、御承知のようにすでに電力会社が重油発電の方向に大きく体制を整備しつつあると思う。こういうものと国鉄電化ディーゼル化というようなものは関係があるように考えるわけでありますけれども、これは全然無関係ではございませんな、こういう点のなにはどうなっておりましょうか。これはどうでしょうか。まあ大臣からお聞きしなくちゃならない問題だと思いますが、まあ後に宇田長官の出席を求めて、この点明確にしたいと思っておりますが、しかし、大臣も担当の大臣として、この点非常に、どういう政策をおとりになるか、つまりエネルギー源の問題で、現在火力発電は御承知のようにゼネラル・エレクトリックと、世界銀行の提携で重油発電という方向に大きく体制を切りかえているので、こういう関係と国鉄電化ディーゼル化とは無関係であり得ない。少くとも総合的にこれの計画は進められなくちゃならないと私は思う。この点、国策としても運輸大臣はどうお考えになっておりますか。
  48. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) ごもっともな御質問と思うのでありますが、しかし、動力源として、今の石炭から電力に移り、電力が水力、火力から原子力というものに移っていく今日のこの科学的な世界的な革命に順応していかなくちゃならぬことはもちろんでありますが、今日におきましては、やはり原子力の動力の問題は、まあ五カ年を目標に、一応の形はできていきますが、これを実際化していく上には、もう少しやはり日本の原子力関係の施設の発展を、実際に即してもう少し考えていかなくちゃならない。ただ夢のようなことになってもいけないわけでありますから、そういう点で私どもはこれに、しかし、大きな期待をかけ、今、世間でも非常に慎重に、とされておりますけれども、慎重はけっこうですが、もう少しテンポを早くしていかなくちゃならぬ、こういう個人的な意見を持っておりますけれども、しかし、国鉄という大きな設備の上における動力の問題というのは、むしろ原子力、その他を総合的に考えなくちゃなりませんけれども、やはりもう少し模様を見て、順次施策をしていかなくちゃならぬのではないか、これだけのことを考えております。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 本会議で私は宇田経済企画庁長官に、日本の総合エネルギー対策を、どうするかという点を質問したのであります。このとき、今検討中で、これから研究するんだというようなことで、あまり具体的なあれをいただけなかったわけです。しかし、これは国鉄輸送計画が進んでおり、一方では日本の火力発電の問題なんかが騒がれているのです。そうしますと、もうすでにおそきに失しているというふうに考えるわけでありまして、従って、担当大臣とされても、これはやはり重要な輸送対策の中の根本的な一つの問題になるのでありますから、具体的にこういう問題はやはり一つの大綱だけでもお立てになる時にもう来ているんじゃないかと思いますが、これはあとに譲ります。  その次に、今度の電化ディーゼル化の問題は、やはり自動車道路計画、これとは不可分なように思うのでありますが、先ほどのお話では、そういう貨物の取り合いというようなことではないというようなお話があったのですが、しかし、この点で私お聞きしたいのでありますけれども、東海道線のスピード化、すでに五カ年計画とは別に、そのような案を国鉄当局では目下立案されつつある。さらにまた十河総裁は、その案でも今はもうあきたらない、飛行機でも競争できるような、もっと時間を短縮するような案を立てるべきだと、すでにこのような立案を見せていただいているということを私も仄聞している。仄聞というけれども、これはもう公然としたもので、これは関係者の間では論議されている問題だと思います。この計画というものはどういうことでございますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  50. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は交通機関の進歩は大体スピードというものが中心になるのじゃないか、こう考えておりまして、絶えず安全に、迅速に輸送するのには一体どうしたらいいかということをのべつ検討いたしております。ただいまはまだ、新しき変った御満足のいくような新規計画はまだ出ておりません。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 当時のなんでは、十河総裁は、何か時速二百五十キロ、大阪—東京間ですか、これを二時間でいく——これは飛行機よりも早くなるかもしれんですね。空中滞在時間はなるほど短かいけれども、伊丹へ行って引っ返してくるということになるより、はるかに汽車の方が早い、こういうことになりますが、そういう立案をおやりになったということを聞いておりますが、いかがでしょうか。
  52. 十河信二

    説明員十河信二君) かつて戦時中、昭和十六年に東海道線の複々線計画を樹立いたしまして、実行に着手しておるのであります。その当時の案によりますと、広軌でやる計画になっております。広軌で大阪まで新しい複々線を作るといたしますと、大体、技術的には二時間半か三時間くらいでいけるという話でございます。しかしながら、まあ最も安全に見て、三時間半か四時間ぐらいならば行けるだろうというふうな見当で、今いろいろな案を検討中でございます。まだ結論が出ていないのであります。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 五カ年計画と並行して今進められておる高速度輸送計画というものは、大体の骨子だけでもこの委員会で示していただけませんか、今ちょっと大体の計画をここで知らしていただきたいと思います。
  54. 十河信二

    説明員十河信二君) それは目下検討中なんでありまして、今委員会のお歴々の皆さんのところへお見せするようなところまでは、まだ進んでおりませんので、あしからず御了承願います。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると何でございますか、この修正五カ年計画とこれは並行して、今年からというわけにもいきませんですが、いずれ五カ年ですから、五カ年もそういうものを待っておるわけにいかないといって、東海道の大阪—名古屋間の高速自動車道路はどんどん進んでいる。今年度だけでも名古屋—大阪間の道路を開通する、こういうことで三百億の予算が計上されておるのでありますが、そういうことになりますと、これはやはりこれと競争するといいますか、何と申しましても、そうなれば国鉄は不利になってくるので、どうしてもこれは競争するような立場から、この計画を並行的に進めなければならないという事態が起ってくると思うのですが、いかがでございますか。これは運輸大臣……。
  56. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この自動車による輸送国鉄の汽車によるこの輸送とを、総合的に日本の今後のこの輸送の上に組み立てていかなければならぬことは申すまでもございません。しかしながら、国土開発の中央自動車道路というような、国土開発、産業開発という点をも含む道路、また東海道を複々線にして、今日の輸送をさらに強化していく面と、これをただいたずらに競争するのではなくして、それぞれの使命に応じて、総合的にその効果を発揮していくというような建前でこれは考えていくべきものであろうと思うのでありまして、それらは順次それぞれの立場において、この総合的にむだのないように、そうして効果の多いように進めていくべきものであり、現在そういう道をたどっておると思うのであります。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 この自動車道路計画については、運輸大臣はすでに御承知だと思いますけれども、昨年建設省の招聘によりまして、ワトキンス調査団というものが日本に参って、そうして神戸—名古屋間の道路の立案をしたのは、これはもう事実だと思うのですが、このワトキンスの案というのはいただけますでしょうか。道路計画建設省のあれかもしれませんが、運輸省としては御存じだと思います。いかがでございましょう。
  58. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) ワトキンス調査団の調査報告書の詳細なものは、運輸省にも建設省からいただいておりますけれども、建設省の方に御要求願えば提出すると思います。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 だれか建設省の関係の方いないのですか、ちょっと出てもらえないでしょうか、今でなくても……。あとでこれはやはり総合的な問題として検討してみたいと思います。これは資料をやはりほしいと思うのです。(「まあいいや」と呼ぶ者あり)いいやという話もありますけれども、まあそう言わないでお互いのことですから……。そうしますと、道路計画とこの国鉄計画というのは無関係じゃだめだし、総合的に論じられなければならないと私は思うのでありますが、しろうとでもそう考えるのですから、専門家の方は私どもより何倍かそう感じておられると思う。ただ心配なのは、ここに修正五カ年計画が出されている、ところが、最初は三十一年八月には電車ディーゼル化に重点を置いて計画された、六カ月後の今日になると、これを若干の貨車車両増強、これは予算から見ますというと、計画の二倍ぐらいになったのですが、これで修正された、そうしておって、しかもまた、今度はそういうふうに修正五カ年計画がまだ着手されない、今年から着手されようとしている、そういう半面に、これと並行してやはり東海道の複々線化、それから高速度化ということが計画されて、実行しなければならないというような羽目にだんだん陥ってきているのじゃないかと、こういうふうに考えます。そうしますと、この修正五カ年計画ではまあ六千億、東海道線の複々線化、高速度化をやれば、この予算は、これもお聞きしたいと思うのでありますが、大体のところから見ても三千億とか、そういうような経費が要るのであります。総計一兆近くの資金量を要するものであります。そうすると、この五カ年計画さえ、これはほんとうに消化することが実際可能かどうか、これもやはり今後論議しなくちゃならぬ問題になってきているのであります。そういうところへ、一方では、こういうようなところへ追い込まれているところに、次々と計画変更し、修正し、そうして絶えず基礎のない形でもって計画というものは動揺せざるを得ない、この点、非常に私は重要だから、先ほどからいろいろな点をお聞きしているのであります。ワトキンスの調査団の報告書をいただきたい点も、実はそのことからでありまして、国鉄の問題を、国鉄内部、だけの問題として論議しておったのでは、私はほんとうにこれは当委員会の任務を果すことはできないと思うのであります。少くとも国策として、これを総合的に見ていくということが重要であり、しかも、運輸大臣の最も当面された重夫時期にあり、政治責任の問題だと思うのでありますが、そういう点からお伺いするのでありますが、どうでございましょうか、この点に対してはっきりしたお見通しをお持ちになるか、大臣、この修正五カ年計画、これしか私たちはいただいていないのですが、これ一冊で修正五カ年計画をやるのでありますか何かほかに材料があるのですか。
  60. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この五カ年計画は一応当面の問題でありまして、私どもの希望としては、この五カ年計画も一年か、もやってみたらば、もっとテンポを早くする、また資金の面があったら、さらに第二次の修正も加えていくというようなことになっていけば非常にけっこうだと思います。そういう順次これを伸ばしていく際に、今あなたのお話のようなことも、ただ議論だけでなく、実際に取り入れていくことは何人も考えていることと思うのでありまするから、そういうように進めていきたいと思います。
  61. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  62. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、この五カ年計画に戻りますが、これは、これだけいただいたのでありますが、ほかに何か資料ないですか。これで五カ年計画をやろうというのは、少し六千億の大工事をやるのにはどうもわれわれにはたよりないのですよ。これはどうなんですか。これだけじゃ、これは何回も読んでみましたが、どうもこれは大へんなことになるのではないかと思いますが、どうでございましょうか。私はもっと詳細なこれは計画をやはりお立てにならなければ、当委員会の審議はできないのじゃないか、こういうふうに思うのです。第一に、工事実施計画というのは、こういうのはこれはどういうふうになるのでございますか。これだけでも大へんだと思う。まあ資材ですね、資材はこれはどういうふうにして、どれだけ要るのでありますか。鉄鋼の量、セメント、それからまあその他の木材、こういういろいろな資材があると思いますがこういう量はどういうふうになりますか。こういうものの計画はすでにできているのですか。それからこれをどういうふうにして入手しょうとしているか。ことに、まあ鉄鋼のごときは、御承知のように造船関係あたりではすでに三か年分くらいの鉄鋼の受注をやっている、そういう態勢の中で、果してほんとうに楽々と鉄鋼が入手できるかどうか、これは一番大きな問題になると思うのですが、この資材入手の問題としては、この計画を、一応これはあれば聞かしていただきたいと思うのです。これには出ていない。
  64. 小林重国

    説明員小林重国君) 五カ年間の所要資材、所要数量につきまして、一応の計画を持っております。ただ、工事の具体的設計がきまりませんと、確実な数量というものはつかめないのでございますが、今立てております方針内容に従いまして、ごく概算的につかんでみますと、鉄材といたしましては、五カ年間の所要量が百八十八万トンになります。それから銅でございますが、銅が五万七千トン、セメントが百八万トンでございます。それからまくら木が、工事計画に所要のものといたしましては五百二十四万丁、これ以外にもちろん損益勘定の保守用のものについては別にございますが、工事に必要なものといたしましては五百二十四万丁、それから木材が九百四十四万石ということになります。鉄材につきましては、御承知の通り最近鋼材の需給は非常に詰まって参っておりますことは申すまでもございませんが、しかし、鉄鋼メーカーにおきましてもいろいろな設備増強計画を立てておりますので、五カ年間の間には相当生産も増強されると思いますので、この調達にそう困難を来たすようなことはないと思います。ただ来年度といたしましては、鉄鋼の増産もまだ緒についたばかりでございますので、多少調達に困難を感ずるかと思っておりますが、この点につきましては、鉄鋼メーカーとも十分懇談を遂げておりますし、また鉄鋼の生産に必要でございますスクラップにつきましても、国鉄内部のスクラップをできるだけ供出いたしまして、それとリンクいたしまして、鋼材の所要量を確保いたすように話を進めて参っております。鉄鋼メーカーにおきましても、輸送力の不足が鋼材の生産に相当影響を及ぼしておることも十分承知いたしておりまして、鉄道の所要のその鋼材につきましては、優先確保するような態度でおります。まくら木、木材等につきましても、相当需給の逼迫いたしておる資材でございますが、これらにつきましても、国内需要かもし不足いたしますような場合には、南方材の輸入等も考えて参りたい。また木材にかわりますコンクリートまくら木の使用といったようなものも考えて参りたいと考えております。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、なかなかこの資材の面で今お話しありましたが、数字にあげてみればさもないことのようですが、これはほんとうに具体的に工事を円滑に進展させるための入手ということは、これは非常に大へんだ、ことに、一番この中で隘路になってくるのは、鉄材の問題じゃないかと思うのですが、これについて、一方では鉄鋼需給安定法というようなものが考えられていて、なかなか総合的な今後の需給の問題か出ておりますが、運輸大臣は、こういう点についての打開策は、これは国鉄総裁なんかもお考えになって、すでにこれは閣議なんかでも問題にされておられるわけでありましょうが、この五カ年計画を遂行するというのは、単に運賃値上げのこれは一つの宣伝だけじゃまずいので、ほんとうにこれはやるのだとすれば並み大ていでない努力で、今からすでに計画をしなければやっていけないだろう、そうでなければ、これは運賃は値上げた、これは五カ年計画の三分の一やればいいのだ、鉄鋼が入らなくて、どうも最初立てた計画がうまくいかぬ、こういうふうじゃ国民はこれは絶対に満足しない。そうするとよほどの決意でもって、すでにそういう点を先見の明をもって打開されなきゃならぬというふうに考えるのでございますが、この点いかがでございましょうか。
  66. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この総合的な見地からこの問題を政府において取り扱っていくことはもちろんでありまするが、しかし、この五カ年計画がこれだけ具体的なものとしてなった以上、今後国鉄当局者の私は努力によってこれはりっぱに完成していかれる、国鉄当局に信頼しておかれて、この計画が遂行せられると考えております。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと担当のこれは大国としては、やはり政治的責任を持っていただきたいと思うのです。何も私は国鉄の肩を持つわけじゃありませんが、これは部局だけで解決できない問題が必ず出てくる。すでに先ほど申しましたように、もう造船なんか、三カ年分も先の発注をやっているのですよ、鋼材を。これは宇田長官が出たらもっと詳しく、総合的に聞きたいと思うのですかね。そういうところにやはり一応意をお用いになって、今から手を打っていくということをされなきゃ、とても大へんだ、鉄鋼不足は御承知のように非常に深刻なんです。こういうふうな中で、果してこの国鉄五カ年計画を完成するために必要な鋼材の入手ができるかどうか、国鉄だけにまかせておくと、おとといのようなことにたりませんか。あるいはそういうことになった一番最近の著しい例だと思うのです。国鉄当局だけにまかしておいて——やはり政治的にこれは大臣がこの大所高所から、こういう問題をこれはやられなきゃならないと思いますが、これはしかし、並み大ていな御努力じゃないと思うのです。というのは、この計画は決して——とにかく膨大なものですからね。私たちはこの資材の入手の面から考えても、五カ年計画というやつはずいぶん危ない基礎の上に立っているのじゃないかという気がする。  その次に、工事計画でありますが、工事要員の問題でありますが、これは昨日も関連質問でいろいろただされた。で、どうなんですか、これは外注を主にしてやられる、こういう形でこれは中村君からも昨日、一昨日ですか、ただされた問題であります。こういう点で、たとえばトンネルとか橋梁というようなものですね、こういうものを外注に出されるのですか、これはどうなりますか。
  68. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) この問題に関しましては、昨日お答え申し上げた通りでございますが、過日も申し上げましたように、国鉄の大部分の工事は、当方国鉄計画いたしまして、それを実際に施工するのは業者であるとか、メーカーであるとかということになっておりまして、これらの技術面も相当上ってきましたので、ただいま御指摘のように、施工は坑道といわず隧道といわず、業者がいたすのでございますが、大した問題のないものは、その中心の計画だけを示せば、業者の設計においてもある程度はなし得る、かように存じております。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 今のこれはどうですか、このトンネルとか鉄橋ですね、こういうものはどうなるのですか。
  70. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) これは当方で設計をいたしまして、業者が施工いたしております。しかも、これを当方で監督いたしておる、こういうことであります。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 これはどの程度までなんですかね。相当高度な専門的技術でなくちゃいけないでしょう。それは国鉄のそういう蓄積があるわけだ。今までの経験で、これをフルに私は動員して、今後の計画の中で大きな指導力をふるわなくちゃならない面だと思うのです。ただ計画だけはやる、しかしこれは外注だと、こういうことになりますと、これは責任が持てますかな、これは。どうも国鉄関係の技術をさしていらっしゃる方から見ても、私はどうも不安な面がつきまとってくるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  72. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) その点に関しましては、外注に出すのにいたしましても、中心の計画並びに指導はいたすのでございまして、外注いたしても差しつかえないと申しますと言い過ぎでございますが、軽易なものを外注いたすということでございまして、十分に責任を持つつもりでございます。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 どうも外注問題はしばしば決算委員会なんかでも論議されてきたし、昨日も論議されたから、くどいことを申しませんけれども、どうも、とにかく、工事量の不足とか、それから実際不当工事というのが指摘されているわけなんですね。それはやはりほんとうに専門的な技術を擁するそういうものが、しかも、ほんとうにフルに活用し、それを増強して運転するという方策をとらないで、外注の方向ウエートをずっと変えていくというところに、やはり五カ年計画の中で非常に私は危ない問題があるというふうに考えるのです。で、外注にすれば安くなるというようなお話が昨日あったように思うのですね、これはそうなんですか。
  74. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 昨日申し上げましたのは、こういった設計であるとか、施工計画といったような、団体も漸次発展して参りましたので、これらのものはひとり国鉄と申さず、建設省であるとか、道路公団であるとか、こういったものの仕事を漸次転じていくということでやりますれば、国鉄でやりますよりも高くは相なりません。かように存じておりまして、お答え申し上げたのであります。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 この問題はやはり決算委員会で問題になったのですが、これは外注の場合ですけれども、直接その業者にまかせれば安くなるのに、中間の人がまた入ったりなんかして、そのために非常に、ちょっとした二、三千万の工事でもすでに二百万とか三百万とか高かった例があるのです。それから設計料一つ見ましても、たとえば三千万の工事をやる、これは設計料は大体工事費の五%は取るのじゃないかと思う。百五十万くらいになる。ところが、内部で設計すればどのくらいですか。大体三十万とか四十万でこれは工事局で設計すればできるというように聞いておるのでありますが、そうすると、その設計料一つをもってみましても、これは大へんな損害になるのじゃないんですか。これは人員を、その分だけ熟練した人員をもって充てる、さらにそこのところを補充していくというやり方の方がずっとやはり国鉄の機動力を発揮するように思うのでありますが、どうでございましょうか。これは一例にすぎません。この設計料の問題は、そういう実態はございませんですか。
  76. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 私の申し上げましたのは、外注と申しましても軽易なものを、差しつかえないものをそういった団体の力を借りようということでございまして、あくまでも中心になるものは現在の人員をもって十二分にやる、かようなことを申し上げた次第でございます。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 そういう度数のあれはあっても、従来もそういう方法じゃなかったのですか。今度は、工事量が二倍になるでしょう。ところが、重要なことだけは依然として工事局でやっていくということになりますと、晩年の人員でまかなえますか。
  78. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 従来やっておったよりもそういった面を強化いたしていくということでございまして、百八十度方向を変えるということではございません。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、工事局内部の機構というものは今までと同じですか。そうして重点的なところはこちらで抑えていく、しかし、工事量は大体昨年の二倍、こういうことがはっきりしているのですね。そうすると、これは経営が大へんなことになりはしませんか。今の人気でこれをまかない切ることができますか。たとえば設計のごときは、これは簡単なものなら外へ出せるかもしれませんが、重点的なものは全部内部でやるんですか。そうなんですか。
  80. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 昨日も申し上げましたように、工事と申しましても、非常に多様でございまして、たとえば車両のごときものは、一つの設計をすれば何十両も作れるといったような性格もあり、あるいは機械のごときものも、その機能を示しましてメーカーにこれを設計さすというようなものもあり、かくのごときものは、従来もそういった方法をとっておったんでありますが、ひとり土木建築であるとか、電化といったような土地に張りついたものは、一々物が違いますので、こういったものはそれらの数だけの設計が要るということでございますが、そのうち、その方法だけを示して、先ほど申しましたように、業者の技術力も高まってきましたので、これをまかせまして、でき上ったものをチェックして、こちらの注文通りできたかいなかということによって施工する方法もあり、こういった方法を、もちろん国鉄は従来そういう方法よりも、こちらの手でやるというような方法を強くやっておったんでありますが、これを若干緩和いたしましても、現実には差しつかえなかろう、かように考える次第であります。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 大体なかろうというようなところなんですかね。これはやはり私たちはこの点については懸念を持っておるわけです。大体外注して、まあ大ていなところは外で設計なんかもさしてもいいだろう。しかし、やはり専門的な蓄積があって、その観点から見ると、外へ出してみたが使いものにならない、やり直しというようなことになったら、これは非常に不経済なことになるわけなんで、それよりは蓄積力のある国鉄の態勢を強化して、そこのところが中核になって進むのがどうも本筋のように考えるのでありますけれども、それにしては非常に人員が少い。少くとも一方で工事を二倍にふやすというような態勢の中で、私は本会議でも申し上げたんでありますが、将来、今年度は千三百人、来年度はこれは六千三百人、それから先に行って一万人くらいの増員はどうしても必要だ、こういうふうに考えられるんでありますが、そういう点は差しつかえないと、こういうふうにこれは見て進まれるのですかね。現在もなんじゃないんですか、仕事はマキシマムになっておるんじゃないんですか。ちょっとちらっと耳にしたのですが、東京工事局の場合だけ聞いても、昨年度、三十一年度は二十七億の工事量が二億も余っておる。ところが、三十二年度になると四十二億になる。三十三年度ではおそらく九十億のこれに工事量になるだろう。最終年度になれば二百億になるかもしらぬ、こういうような工事量をこれは外注にやる。そうしていろいろな協力を得るとは言いながら、どうしても専門的な保安度からいっても、どうしてもこれは国鉄のそういうような専門的な蓄積を土台にしなければ、保安度は期しかたいという工事が非常に多いのではないか、こういう態勢の中で人員の増強をしない。そうしますと、全部がやはりこれは関係者の労働強化というような形で、そこにどんどん過大なものを押しつけられるという結果が来ると思うのであります。この点を打開することなしに、やはり今度の問題を私は解決するのは非常に困難だと思う。この点は十分にやはり考慮してほしいと考えます。  その次には、五カ年計画を遂行する面で、これは資金の面ですけれども、東海道線なんかとの関連で、これも資金調達はもう十分できると、こういうふうにお考えになっておるのですか、総裁にこれはちょっとお伺いしたい。
  82. 十河信二

    説明員十河信二君) 十分できると思っております。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 池田蔵相は、私が本会議で質問したときに、資金調達について、輸送経済、産業の動脈であることにかんがみまして、輸送計画ができれば、財政あるいは民間の資金を動員してその計画遂行に努力するつもりでありますと、こう答弁しているのです。これは議会答弁ですから、どうもあまり当てにならない。これと全く反しているようなことをやっていると思うのですが、今度の予算を見ますと、国鉄当局は最初の要求で政府出資に六十五億要求されたと思う。これはゼロになった。それだけじゃなくて、今までの政府借入金も三十億返還を命ぜられて、そこへもってきて年末の輸送増強対策のために八億も金を出された、そうすると百三億も見込み違いができた、こういうふうな予算面の問題があると思うのです。これは総裁もすでに御存じだと思います。こういう形でぐんぐん締めてきておる。こういう中で、しかも一方では、民間の資金というようなことになると思うのですが、民間の資金は御承知のように、最近の状況では非常に逼迫している。こういう中で来してこの五カ年計画を遂行する資金面の計画というものは、今後円滑にいく見通しをお持ちになることができるかどうか。それから政府に対して、これは当初にも中村君からずいぶんこの点は追求されたわけでありますけれども、こういう問題についての確固たる見通し、この点は、先ほどの資材の需給計画と並んで運輸大臣並びに国鉄総裁からこの点に対する決意を承わって、私の質問を終りたいと思います。
  84. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この資金計画につきましては、しばしばもう少し借入金を多くして値上げをしないでやったらどうかというようないろいろな御意見も承わりましたが、やはり資金計画は全体としてお話通り窮屈でもありますので、国鉄の大きな屋台をもってして、そして三百十億、新線を入れまして、三百七、八十億の資金の調達ということは困難を感じない、この程度にしておく——これを膨大なものにしていけば別ですが、この程度ですと資金の調達は心配ない、こういう見通しをもってやっております。
  85. 十河信二

    説明員十河信二君) 私も同様の見通しを持っております。
  86. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これをもって休憩いたします。    午後零時四分休憩    —————・—————    午後一時三十二分開会
  87. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再会いたします。  午前に引き続き国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  88. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄施設について、少しく御質問いたしたいと思います。先に国鉄は白書なるものを出しまして、その白書の中で、国鉄の施設は極度に疲労を加え、戦後二、三年は戦災復旧と厚生施設に重点を置いたが、昭和二十四年ごろから保守の復元と一部改良に手をつけているけれども、いまだ戦前状態に復しておらない。輸送上に重大な支障がいつ起きるかわからぬという多少すごみがかった白書が出たことは御存じの通りであります。この点に関連をいたしまして、少しく御質問をいたしたいと思いますが、国鉄輸送の中で隧道の延長が大体八百十八キロということをわれわれは承知をいたしておりますが、この隧道の現在の状態はどうなっておるか、いわゆる耐用年数は四十年と聞いておるけれども、耐用年数をはるかに過ぎておるものかどのくらいあるか、あるいは構築材料別にどういう隧道がどういう形であるか。これが修繕をされておるか、改築というような面で考慮されておるか、これらの問題について、特に老朽度の高いものから詳しく御説明をいただきたいと思います。
  89. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。ただいま御指摘の通り、隧道の延長は全部で八百十八キロでありますが、大体その中で四十四キロ、これは約二十分の一に該当しますが、こういったものが相当老朽度が高くなっておる。しかも、初期にやられたものにおきましては、レンガで巻いておりまして、このレンガの継ぎ目がだんだん弱くなっているもの、中期のものは、半分はレンガのブロックでやっておるといったようなものもございまして、早晩取りかえなくちゃならぬものが先ほど申しました四十四キロである。しかし、これは単に耐用年数とか何とかというものでは律し切れないのでございまして、御承知のように、その隧道を設置いたしました山がどんな山であるかというようなことに関連いたしますから、そういった現在の状態をにらみまして、最も急を要するものからせっかく改築にかかっておるという状態でございまして、そういったレンガ巻きが今何%あってどこにあるかといったような資料かありますが、これは御要求があれば後ほど提出いたしたい、かように考えております。
  90. 柴谷要

    ○柴谷要君 今のお話だというと、老朽度の高いものが四十四キロある。これに要する経費というものは大体どのくらいか。しかも、五カ年計画の中でこれらの問題をどう織り込んで計画を立てられておるか、その点を御説明いただきたいと思います。
  91. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) この四十四キロを改築するということになりますと、大体金にいたしまして六十二、三億程度であろう、かように思います。五カ年計画におきましては、千五十九億といったような保安対策というものを計上いたしておりますが、この大きな部分を占めるものは、こういったひとり隧道にとどまりませんが、これの取りかえでございまして、今後急を要するものから取りかえて、少くとも二年くらいのうちにその大半を完了いたし、三年くらいで全部取りかえるというつもりでおります。
  92. 柴谷要

    ○柴谷要君 非常に計画が緻密であり、しかも、早急にこれが行われるという御答弁でありますのでけっこうなことでありますけれども、二年なり三年という期町中に不祥な事態の発生する憂いがあるかないか、この点当局の意向を聞かしてもらいたい。
  93. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 不祥の事態が起りましては申しわけないことは当然でございますので、老朽をいたしているものも極力警戒を厳にするとか、そういった方法を講じまして、ここ一、二年のうちにそういった事態を起さぬ確信は持っておりますが、とにかくこの老朽度とか何とかいうことが根本的の原因でございますので、できるだけ早く取りかえたい、かように存じております。
  94. 柴谷要

    ○柴谷要君 不祥の事態を起したくないということで努力をされるということでありますけれども、かつて国鉄白書が示しておりますように、非常な危険状態にあるということが白書で出た以上、国民としては非常に国鉄輸送に対して心配を持っていると思う。そこで、これに必要な対策として十分予算的措置並びに人為的配慮一切が完全に行われなければ、確信のある回答が行われないと思われるので、それらの面については十分に対処し得る状態にあるかどうか、再度お尋ねをいたします。
  95. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) この予算処置につきましては、五カ年計画の六千二百億のうち千五十九億を計上いたして、その過半はこういった線路車両、橋梁、隧道といったようなものになっております。従いまして、先ほど来この国鉄工事予算が円滑に行われるか、どうかという心配をいただいたのでございますが、そのうちで、かくのごときものが最も重要なものでございますので、私どもといたしましては、第一次的に力をこういう方面に集中してやっていくつもりでございます。
  96. 柴谷要

    ○柴谷要君 線路一切を含めて五十九億の予算で、しかも隧道だけ手を入れていこうとするのは六十三億というのですが、あまりにも必要な経費に対して盛り込んだ数字が五十九億という少い経費において、先ほど自信のある言葉を言われたけれども、それで十分やっていけるかどうか重ねて質問します。
  97. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 私の申し上げましたのは、五カ年計画で千五十九億あるうち、隧道の復旧を要するもの六十数億である、こういうふうに言いました。
  98. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次の質問をいたしたいと思います。橋台、橋脚、これらの問題について、緊急取りかえを必要とするものがどのくらいあるか御説明願います。
  99. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 国鉄の橋梁の延長は大体七百三十九キロでございまして、そのうち橋台であるとか、矯脚であるとかいったものの緊急に取りかえなければいかぬものが、大体三千二百カ所見当の取りかえになっておる。これも先ほどの隧道と同じく千五十九億の五カ年計画のうち、少くとも二年くらいで大半をやりたい、かように思っております。
  100. 柴谷要

    ○柴谷要君 三千二百カ所二年でやるということになると、少くとも一年に千六百カ所やるということになるのですが、現在の国鉄の陣容なり、予算の実態でできるかどうか。
  101. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 三千三百カ所と申しますのは橋台であるとか、橋脚の一本々々の数でございますので、その数にしてはむやみに大きい数字とは私ども考えておりません。従いまして、この五カ年計画の遂行をする行事には異常な努力を要することばもちろんでございますけれども、十分行える、かように考えております。
  102. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次に停車場、構作物—跨線橋であるとかあるいは転車台、乗降場、こういうものに対して、総数あるいは緊急を要する手入れすべきもの、それから乗降場のような所は木造をいまだ相当数持っておると思います。こういうような問題について、五カ年計画の初年度にどういう計画でこれらの問題を予算の中に織り込んでやっていこうとしておるか、それをお聞かせ願います。
  103. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいまの御質問にお答え申し上げますが、跨線橋は総数で九百十五カ所ございます。うち急いで取りかえを要するというものが百二十一カ所、こういうことに相なり、転車台は総数で四百七十三カ所ございますが、そのうち不良なものが七十一カ所ある。乗降場は千四百九十三キロメートルございます。うちその一〇%、すなわち百四十九キロは木造であるということでございまして、これらの取りかえは、もちろん五カ年計画の取りかえの先ほどの千五十九億の予算の中に含んでいるのでございますが、このうち危険であるといったようなものを優先的に取り上げまして、これも大体二年くらい、二年少し出ましても三年くらいの間に片づけるつもりでおります。
  104. 柴谷要

    ○柴谷要君 跨線橋はかつて日暮里に大きな事故を起した例があるわけですけれども、再びそういうような事故の起るような情勢にある所はないかどうか、それから緊急を要して修理をしなきゃならない所が百三十一カ所もあり、しかも、これは聞けば二年、三年という数字ばかり出されておるようですが、果して二カ年で完全にすべて終らせるものかどうか、重ねて質問いたします。
  105. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) かつての事故のようなものを起しましては、まことに申しわけないことは申し上げるまでもないので、極力警戒を厳にし、なおかつ、危険なものは優先的に措置を講ずるというようなことをいたしておりますので、そういう懸念はないと、かように信じております。二カ年と申し上げたのでございますが、この五カ年計画遂行の場合にでも、かくのごとき老朽の取りかえ、つまり保安対策というようなものは優先的に取り上げるものでございますので、大体その金の量にいたしましても、大した金額を占めないので二カ年、おそくとも二年半くらいで取りかえるつもりでございます。
  106. 柴谷要

    ○柴谷要君 ただいままでに質問いたしました隧道なり、橋台、橋脚、停車場の構作物等は、今回運賃値上げを施さなくても当然今までの年間の予算の中で当然行われてこなきゃならなかったと思う。ところが、それが行われずして今回急激にこういうものを二カ年間くらいにやろうという考えになり、しかも、それを実現しようとするには運賃値上げによる増収をこういう万両に使うという考え方に立って、しかも、これらの問題によりよく重点的に力を入れていこうと考えられたのか、それとも、ほかの工事と並行して当然やるべきことであるから、これはまあサービスの点にもなることであるから、やろうと考えて二カ年というような計画でこの工事につかれておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思う。
  107. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) かくのごとき老朽対策をとりたいということは、国鉄の二、三年来の議論でございましたが、一方御承知のように普通の方もございますので、これにも一部こたえなくちゃならぬということでございまして、過去におきましても、十分とは申されませんが、各般の努力を重ねて参りましたが、遺憾ながら予期するように片づかなかった。従って、今回これに重点的にやって片づけよう、こういうふうに考えております。
  108. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄始まって以来と言ってもいい、神武以来と言ってもいいほど三十二年度は工事費が莫大にふえた、その工事費の中で国鉄がなさんとすることはたくさんあろうと思うけれども、主として電化であり、しかも、複線化であり、輸送滞貨の一掃ということに重点を置いての工事であろうと思う。ところが、平常において当然行わるべき仕事が、この五カ年計画の中に織り込まれてきたということは、いわゆる工事費が膨大に取れたという点にかかっているかと思う。その工事費を十分消化していく上においては、必要なものが備わっていかなければならぬ。ところが、これらの工事も究極に終結されるということになると、現在の施設の持っておる要員なり、その他の事情が、果してこの工事をまかない得るだけの要員状態になっておるかどうか、その点を一つ明らかにしていた、たきたいと思う。
  109. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 五カ年計画の六千億を遂行するということに相なりますれば、一カ年の工事費が一千億をこすということでございまして、うち車両が大体四割弱、電気関係が三割弱、施設が四割弱というようなことに相なりまして、初年度につきましては、この施設関係はおよそ五、六〇%増しの計画であるということでございます。従いまして、従来と同じような方法を繰り返す限り、はなはだ至難であるということも一応考えられますが、施設を作るというようなことは、従来国鉄がとっておったような方法がこれは決して私どもは悪いとは申しませんが、唯一の方法ではございませんので、業界の技術の向上その他を考えまして、もう少し国鉄でやることを外部に請け負われることができるのではないか、かような方法を講ずることによりまして、もちろんその本質をどうこうということではございませんが、強化し得る、しなければならぬと、かように考えて、おります。
  110. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこで、こまかいことを少しお尋ねしたいと思うのですが、五カ年計画の一カ年の目標を達成するためには、いろいろと国鉄当局においても至難な問題があろうかと思う。特にそのような情勢の中で膨大な工事を監督し、しかも設計をし、これを万遺漏なき態勢にしてやらせようとするには、どうしても人の面からいっても相当な人数が必要になってくると思う。ところが、平常において定められた定員、これすら足らない、そういう事実が明らかになっております。というのは、これは一例でありますけれども、工事事務所の定員を児まするというと、事務係の定員でも百四十一名定員があるところへ、現在は八十二名で五十九名の欠員、技術係においては六百七十三名の定員があるにかかわらず、四百六十七人、いわゆる二百六人という欠員なんだ、この技術係というのは、御承知の通り設計をしたり、監督をしたり、重要なな仕事である。しかも、工事係は百四十三人のところ八十三人で六十人の欠員だ、こういうような事情で平常の業務すらこれらの定員が十分充足されていて手一ぱいというところへ、こんな膨大な欠員を生じておいて、しかも、大きな予算を振り向けられた国鉄として、果して今藤井理事が言われたような実績を上げられるかどうか、非常に要員面で私は心配するものです。この点をどういうふうに考えられておるかどうか、定員を即時充足する気があるのかどうか、これを一つお尋ねしたいと思う。
  111. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘の面は、従来通りやっておるのではとうていこなせないから、方法を変えようということでございまして、定員の面に関しましても、そういった方法をとって工事を遂行するということで、しかしやれるやれぬの議論にあらずして、それが無理であるというようなことになりますれば、国鉄全体として考えるべきものでおりますので、全体の観点において解決したい、かように思います。
  112. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄全体の問題として処理をしていこうとしてもですね、この工事費、事務所関係の技術係とか工事費、こういう職種は簡単に他の職種から配置転換をすれば足りるというものではないと思う。そこで、全般的にながめてやることは、経営上必要なことであるけれども、果してこういうような重要な職種の者に対する対策が今日までとられておったかということ、おそらくとられておらなかった、こう思う。そこで、具体的な例として一つ私どもの方からお知恵を貸して上げたいと思うことがあるのです。といのは、いわゆる過去において降職者が千九百十六人もいるのです。これは有能な士が、しかも、りっぱな技術をたくわえ、知識を持ちながら、これが労務職に下げられて、過去においてはりっぱな職責を果しておったのだが、定員の関係から下へおろされた人があるわけです、千九百人。その中で調べてみるというと、教習所の専修部以上を出た人、あるいはしかるべき学校を出た十分設計もでき、監督もできるような技能を持った人が現在労務職におる、こういうものを上げてその労務を充足すればできるのです。これをやる気があるかないか、この点一つお尋ねをしたいと思います。
  113. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘のような方法をとりますが、それを引き上げたあとをどうするかという意味合いにおきまして、全体的な運用において解決したい、かように思います。
  114. 柴谷要

    ○柴谷要君 それを引き上げるという御意思が十分にあられるかどうか、重ねて質問します。
  115. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま申し上げましたように、あとの問題が解決し得ますれば、さような技能を有する者は当然取り上げて使うべきものである、かように思います。
  116. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、あとの補充をしてもらえれば、そのような処置をとって十分に技能者を遍在適所に使いたい、こういうお考えでございますか、あとが補充がつく見込みがたてば。
  117. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 技術者を適在適所に使うということが、ひとり要員が足りる足らずの議論にあらずして、当然の処置であろうと思います。全体のワクにおきまして、そういった処置をとったその穴をどうするかといったようなものが解決すれば、そういう足る足らぬの議論の外に所を得さしむと申しますか、そういう意味合いで引き上げたい。かように存じます。
  118. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますというと、現在国鉄は大きな工事国民の要望にこたえて完成をしなければならぬ、こういうことに相なりますれば、理想であるところの設計なり、あるいは工事の監督、こういうものに対する必要な人員はどうしても充足しなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。そのためには今申し上げたように、十分その職責を果せる人が今日労務職で働いておる、これを内部の運営によって引き上げ、しかも、そこに穴があけばそこを充足してもらうという建前が立つならばより一そう工事の進捗状態なり、あるいはすべての問題が円滑にいくと、こういうふうに考えられるが、そのような方向を打ち出されたならば適切な手を打つ、こういう態度であるかどうか、副総裁からお答え願いたいと思います。
  119. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 先般工事事務所長の全部を集めまして、工事の施工につき打ち合せ並びに指示をいたしましたが、そのときに要員の点につきましてもいろいろディスカッションをいたしましたが、国鉄は今回運賃値上げをお願いしておりますので、一方、極力合理化をはかり経費を節約すると、こういう意味合いからでき得る限り増員はいたさないでいきたい、こう考えておりまするが、毎年々々自然退職もございますので、そういう場合の補充は重点的にいたしていくということを考えております。また、このいろいろの点で、たとえば工事関係につきましても、線路が重軌条になり、まくら木がコンクリートまくら木にするというふうな設備の強化をいたしますれば、やはり保線関係の手がすく、あるいは車両も更新せられれば修繕関係も楽になるというふうないろいろの点がございますので、直ちにある職種から他の職種に移すというふうなことはできませんけれども、いろいろな総合的な運用によりまして、この非常に手不足な所を比較的楽な所から回すというふうな総合的な運営をやって参りたい、かように思っております。
  120. 柴谷要

    ○柴谷要君 どうも国会の答弁ですから本音を吐いていただけないような気がするんですが、非常にごもっともですが、国鉄は自体、非常に要員問題については真剣になってもらわなければならぬと思う。というのは、数字が示しておりますように、きのうもちょっとと申し上げましたが、昭和二十九年の国鉄、専売、あるいは電電、郵政、こういうものと比較すると、三十二年度の要員は、二十九年度は四十四万七千七百二十五人いたんだけれども、国鉄輸送が上り、線路の増設がなされ、しかも莫大な新規工事を引き受けた、そういう事実の中において四十四万七千七百八人と、マイナス十七人という形か出ておるわけです。ところが、電電なり郵政なり、少くとも一万五千ないし一万二千人の人間がふえておるわけです。それのみか、政府が非常に合理化とか何か押しつけて——国鉄には非常に極端に押しつけているけれども、国家公務員の関係すら二千九百四十六人、暫定要員で六百二十人と、いわゆる三千五百人も人間がふえておるわけです。こういう状況と比較して、国鉄があまりにも膨大な数字、いわるる四十四万という大きな世帯でありますから、まあその中で運用がつくだろうというしろうと的な考え方から国鉄要というものをながめ、しかも、決定をされて動きのとれないような状態にしておくということは、これは国家的な損失じゃないかと思う。そこで、私どもとしては、事実国鉄が必要な人員であるならば、とにかく国会の名においても、国鉄の要員事情というものを少しくめんどうを見させるという方向に持っていかなければならぬ問題だと、こう考える。そこで、運輸大臣お疲れのようでございますが、この問題について、政府の中で十分一つやる意思があるかどうか、この点運輸大臣質問いたします。
  121. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) しばしばお答えしておりますように、国鉄近代化に伴う設備の改良その他によって、要員をそれから捻出していくということで、大体のところはやっていける、こういう見通しであります。
  122. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣は非常に物わかりのいい人なんですが、今の御答弁ではどうも私ぴんと来ません。というのは、今数字を申し上げて、非常に工事事務所等が悲鳴をあげておる実態を申し上げたんですが、それらの実態に即してぜひお考えをいただきたいと思う。で、まあ要員問題は幾ら申し上げても尽きない話でありますので、以上で打ち切りたいと思いますけれども、国鉄の現実は、人があればもっと貨車も動く、こういふうに私見ておる。というのは、少くとも私どもが地方を視察をし、調査をして参りました結果、貨車の効率等上げることも、乗務員、機関車乗務員がい、しかも、これを担当する操車場あたりの要員をもう少し増してもらえば貨車の効率は上る、そういうことを私ども見てきておる。ところが、国鉄は要員がいないために、現在の人間でオーバー・ロードさして働かしても、あのような六八%しか要求にこたえられないという実態であると思う。貨車の不足あるいは客車の不足というようなことはありますけれども、少くとももう少し要員の事情を見て勘案していただくならば、国民の滞貨というものに対する、多少の上回った輸送ができると思う。この点は真剣に政府としても一つ考えを願うとともに、五カ年間の事業遂行の上においては、金ばかりいただいても、これに必要な態勢をやはり備えていかなければならぬということで、一そう大臣政府内におきます御努力をお願いいたしたいと思います。  次は、国鉄宿舎の問題について、少しくお尋ねをいたしたいと思います。今国鉄の宿舎は、現有数が六万一千七百五十二戸あるということがいわれておりますけれども、その中で最も危険な状態にあるものが六千五百戸に上っておる。これは容易ならない問題だと思う。国鉄の宿舎は、まあ一種、二種三種というような宿舎があるわけです。御存じの通り国鉄輸送の第一線をになっておりますから、義務的にこういう官舎に多くいるわけです。まあ不祥の事態が起きたときに、官舎にいる連中は夜の夜中でも引っぱり出されて使われる、こういうためにそれを与えておるわけです。六万一千七百五十二戸もある官舎の中で、その一割以上がすでに危険な状態にある、こういう状態。それから荒廃しておるのが二千五、六百もある。普通健全といえば、これがまあ二万戸程度のものだ、こういうことになると、宿舎というものは話ばかりであって、まことにこれに居住しております職員のとにかく一口の労働を終って帰るいこいの場所である宿舎が危険な状態にある、こういりようなことで果して国鉄の第一線を完全に守れという総裁なり、あるいは運輸大臣の訓辞だけでは私はいかないと思う。で、この宿舎の問題を、どう五カ年計画の中で織り込んで考えられておるか、これは重大な問題でありますから、特にその責任ある人の明確な一つ御回答を願いたいと思う。
  123. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 仰せの通り、宿舎につきましては今まで手の回りかねている点がございます。また私どもが考えまするのに、国鉄輸送力というものは単に車両だとか、線路だとか、そういうものの強化ということばかりでなく、最も重大なことは働いておる職員の努力、勤勉さにあると考えるのでございます。そういう点から申しまして、宿舎等につきましては、疲労が回復する、あるいは十分休養がととれるいうことを念願いたさなければならないのでございます。で、従来そちらの方に手が回りませんでしたが、とにかく今回は耐用年数の越えた老朽資産の取りかえということで、減価償却費も見込んでございまするので、そういう資金を利用いたしまして、従来取りかえるべくして取りかえられなかった宿舎等に十分力を入れて更新して参りたい、かような方針でおります。
  124. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは重ねて御質問いたしたいと思うのですが、実は私が北海道を少し回りましたときに、雪の中で目撃したことなんですが、おもやと便所が別々にある。それで実は夜の夜中子供が小用を足したくなったといって、あの雪の深い中をおもやから出て便所通いをしますと、もう一時、二時子供のために便所へ連れていく、帰ってくるというと朝まで足が暖まらずにしまってしまう、十分な熟睡もできない、こういう官舎が北海道にはたくさんあるわけです。で、こういう実態の中で、しかも、そのおもやたるや、何十年前に作られたのか知らぬが、国鉄は八十五年の歴史を持っておりますから、八十五年前に作ったような家が北海道には並んでおるわけです。しかも、戸数は六万何千戸あるから、国鉄は一番宿舎もたくさんあるし、どうのこうの世間は批判をしておりますが、実態はそのようなものではない。しかも、その職員の勤務というものは、これによって義務づけられておりますので、普通の民家に住まっておるようなわけにはいかぬ、家へ帰っても勤務のような気分が抜け切れない状態で宿舎におるわけです。しかも、その密舎が今申し上げたように、おもやと便所が別々だ、しかも、おもやを調べてみると一間しかない、これでも国鉄職員であるから宿舎に入れてもらっているのだ、こういうことで世間からうらやまれておる。ところが、そういう所に住まいたくはないという者が大半おるわけなんですが、こういうような施設を早急に改善をして、少くともおもやに便所を取りつけて、深夜起きたけれども、あとは足が暖まらずに夜明けまで眠れなかった、こういうような宿舎を与えておかないように十分に対処する考え方があるかどうか、これを重ねて質問いたします。
  125. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私も雪国に育ちましたので、夜便所がおもやと離れておる家にも住んだことがございまして、そういう人たちの難渋はよくわかるつもりでございますが、それで北海道には御指摘の通りに便所がおもやについていない、非常に不便を感じておるということもございまするし、また水が非常に悪い、こういう公舎があることも承知しておりまして、そういう所へはぜひ重点的に住居の改善、更新に力を入れて参りたい、こういうふうに考えております。
  126. 柴谷要

    ○柴谷要君 今国鉄方針は、この宿舎はいわゆる通常経費を使って建てるということにしておらないで、いわゆる鉄筋コンクリート作りは、しかも共済組合の、職員が積み立てたような金の中から鉄筋コンクリートを作っておるわけです。ところが、そういう戸数では老朽のものと比較をしてまあ近代的な、多少文化的な生活ができるということで鉄筋コンクリートなどを建てられておりますけれども、これは国鉄のお金を使っておるわけじゃございませんね。でありますから、かねては国鉄がみずからの金を使って宿舎を作る、そうしてまあ運営をしてきたのでありますけれども、最近はそういうことはやめられた。やめられた以上は、従来そこで使ってきたような金はおもに修繕であるとか、あるいは改築等に向けられておったと思うのですけれども、今後もやはりその方針で進めていかれるつもりであるか、それとも第一種のような義務的なものは、どんどん建てて充実し得るようにしていくのか、この点一つ重ねてお尋ねいたします。
  127. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 宿舎につきましては、鉄道経費と合せまして共済組合の資金で建てて参りたい。共済組合の資金で建てましたものは、年賦で国鉄が買い上げるという両方の方式で参りたいと、かように考えております。鉄道の経費でただいま三十二年度に計画いたしておりまするものは増設で百戸、取りかえで六百戸、更新で三百九十戸、合せまして一千九十戸でございまして、これの予算は概略八億を予定いたしております。また共済組合の資金によりまして新設あるいは取りかえをいたしますのは、大体一千二百戸ばかりでございまして、約十五億ぐらいを予定いたしております。
  128. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ宿舎ばかりに金をかけるわけにもいかないとは思います。けれども、危険という六千五百戸の戸数に対して、今の計画では非常になまぬるいような考え方がわくわけですけれども、この危険というものだけは、早く取り除くように国鉄としては十分に一つ考えてもらいたい。特に宿舎に入ったが危険だと、こういうようなことをかりにも職員に与えるようなことになりますというと、これはもう疲労の回復どころではなしに、かえって家庭に帰ったならばよけいに疲労するというようなことで、重要な運転に携わるような者には危険この上もないと思う。どうかその点は十分に一つ考え願いたい。それのみか、これは宿舎の問題を離れてやはり同じような系統でありますけれども、    〔委員長退席、理事大倉精一君着席〕 機関士なり、あるいは車掌が勤務をして乗り出す、しかし、夜間目的地に達して次の、ダイヤに乗って引き返す、こういった場合に、仮泊所があるわけです。この仮泊所等を調べてみますというと、おそらく一人訂畳は当らないのじゃないかと思うほど狭い所に、機関士、機関助士あるいは車掌等が雑居して、次のダイヤを待って乗ってくる。たとえば、仙台から上野へ着いた。次の列車へ乗りかえるのに、上野の仮泊所へ泊るところが、仮眠する場所が一人一畳にも当らないような施設で、果して、これで疲労が回復するか。完全な運転を望むのが私は無理だと思う。こういう点にも、一つ十分調査をされて、不備な点があるならば早急に直す、こういうことで調査を一つ至急に願いたいと同時に、これらの面には重点的に一つ予算を割いて改善をするように、特に強く要望しておきたいと思う。まあ、借り上げ官舎とか、あるいは指定官舎がありますけれども、そのような状態が今どういうふうに改善されつつあるか。これは厚生局長さんの方に数字があろうと思いますので、一つお聞かせ願いたい。
  129. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) 今の御質問に対しまして御答弁申し上げますが、先ほど副総裁が言っておられましたように、三十二年度といたしましては、大体三十一年度の倍程度の予算を使いまして、こういう悪い宿舎の取りかえ、あるいはまた更新、また、第一種宿舎の不足分の充足ということに努めておるわけでありまして、宿舎の点につきましては、共済組合資金と両々待ちまして、三十二年度におきましては約二千二、三百戸のものが新たに増設されていくような姿になっておるわけであります。それから先ほどお話のありました乗務員の、宿泊所のことでありますが、これも、前年の倍程度の金をかけましてその整備に取りかかるような本社の計画もございますし、なお、こまかい、休憩室とか、あるいはまた慰安浴場というような設備につきましては、これはそれぞれ各鉄道監理局で、主管費目によりまして、その監理局の事情に応じまして、監理局長が、御承知のことかと思いますが、小工事費で適切に今進めていただいておるわけであります。それも、三十一年度に比べますと、三十二年度の予算が相当大きくなる、おかげをもちまして、これも約倍程度の整備が行えることに今のところなっておりまして、私の方でも極力これを推進して参りたいと、こう考えておる次第でございます。
  130. 柴谷要

    ○柴谷要君 本社の計画では、大体昨年度の二倍ぐらいの予算を使ってやろう、こういうことらしいのですが、二倍の予算をとって、どの程度の要求といいますか、本社でながめたところの乗務員の宿舎その他が改善されていくか、その内容をちょっとお知らせ願いたいと思う。
  131. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) 内容のこまかい点につきましては、特に、今おっしゃっておられるような乗務員の仮泊所とか、あるいはまた、仮眠をとる宿泊所のような所につきましては、私どもの方では、予算の大きな計画だけは示しまして、具体的な問題につきましては、それぞれの監理局長が地方の職員の要望に適切にこたえていただくと、こういう姿で参っておりまして、特にここ一両年、その点につきましても、相当整備の域には達しておるわけなんですが、三十二年度におきましては、一そうその点が今よりもずっと改善されていくと私どもは考えておるような次第でございます。
  132. 柴谷要

    ○柴谷要君 今のお話ですというと、ある程度本社で計画をされ、予算を支社に渡せば、支社の方で監理局ごとにその計画遂行のためにはいろいろな事情を調べてやると、こういう状態でございますね。
  133. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) そうでございます。
  134. 柴谷要

    ○柴谷要君 非常に柔軟性があっていい考え方だと思うのですが、より一そうこれらの問題は——かつて総裁か参宮線の事故等においても、犯した罪に対してはまことに申しわけないけれども、乗務員その他のいわゆる疲労度を少くするためにこういったような面にも重点的に力を入れてやりたい、こういう御発言があったことで非常に好感を持たれているわけです。特に私は要望したいことは、今申し上げたように、住居が危険だなんといううちに住ませる、それから一畳に満たない所に仮眠をさして、そうして十分休養させられた、疲労度がなおった、こういうふうにはどうしても言えないと思う。この面は厚生の面として十分に一つ国鉄として力を入れて、ぜひ早急に十分な施設のできるように努力をしていただきたい、かように考えます。要望を付してこの問題を打ち切りたいと思います。  次はどうも問題が起きそうな気がしてならないことが一つあるので、これをお尋ねしたいと思うのですが、それは、東京のどまん中に東京鉄道監理局庁舎というのがある。これは、御存じの通り、バラックで五棟建っておりますけれども、二階建のバラックです。これはもうすでに耐用年数といいますかね、とにかく地震でもありますというと、二階にはおれない。重要な書類をたくさん積み重ねると、二階がしなう、こういう状態になっておるわけです。私どもはもう数年前から、膨大な用地を監理局は持っておるけれども、用地を整理をしてそうして近代的な建物にして東鉄監理局をりっぱなものにしたらどうか、こういうことを提案したのでありますけれども、それが依然としてこそくな修繕程度で、膨大な敷地を持ち、しかも、バラック建の五棟を置くわけです。これは非常に合理化を叫ばれておる国鉄としては、まことにどうもその逆を行っておるような状態にあると思う。この点については、とにかくあそこは五千坪と聞いておる。五千坪という膨大な敷地を持っていてああいうような危険な庁舎にたくさんの職員を置くということは、万が一事故が起きてからでは取り返しがつかぬと思うので、東鉄監理局の庁舎をどういうふうに本社として考えられておるか、この点一つ担当の方から御説明をいただきたいと思う。
  135. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 御指摘の通り、現在の東京鉄道監理局の建物は、戦災直後かりに作りましたために、非常に脆弱でございまして、恥を申し上げるようですが、たびたび消防庁からも指摘を受けております。それから二階に大ぜい固まっては上れないというような程度でございまして、はなはだ恥かしき限りだと思っております。これは早急に何とかいたさなければならぬと考えておりまするが、何はさて、目抜きの所でございまするからして、それはきわめて慎重にいたさなければ、用地を分割して他に委譲するとか、そういうふうな措置をいたしますについては十分慎重に慎重を尽さねばならぬ、こう考えておりまして、来年度におきましてはできるだけすみやかに何とか処置をつけたいと考えておる次第でございます。
  136. 柴谷要

    ○柴谷要君 今まであの庁舎の問題については、他の地所との交換とか、あるいは払い下げてくれというような申請がだいぶあったように聞いておるのですがその中で、あの用地を払い下げることによって膨大な金が入る。それによって監理局を近代的な建物に仕上げると、こういったような構想がだいぶできて、当時、今の局長さんではありませんが、何代か前の局長さんは非常に熱心にやられたのですが、本社としてまあ決定しかねるというようなことで、今日まできておると思うのですが、その中には専門家が多数入っているのですけれども、不祥な事態が起きたときには、国鉄のどうも専門家も当てにならぬというようなレッテルを張られてしまうと思うのです。私は過日、小さな地震でありましたけれども、二階におったのですが、とてもじゃないが、いたたまれないくらいひどい、これは運輸委員会の皆さんに御視察願おうと思うような場所です。とにかく国鉄としては早急に、東京鉄道監理局の庁舎新築の問題は、来年度あたりというお話でありますけれども、できれば年内にも企画をされて、そう簡単にできるものではありませんから、着工されるように、ぜひこの問題を処理されることを希望しておきます。  それから次は、東京駅の小荷物扱い所の隣接の所に用地があるわけですが、これまた国鉄用地であって垂ぜんの的だと思うのです。現在千代田区の土木出張所が使用中でありますけれども、あそこは非常に国鉄将来の問題として、いろいろな設備国鉄としてしなければならない場所であると思うのだが、国鉄としては将来に向ってあの用地をどういうふうにお考えになっているか。あれから先は組合の労働会館がえんえんとそびえているので、あそこの利用方法によっては、相当に国鉄としては大きな仕事ができる場所だと思うのですが、どのようにお考えになっておりますか、この見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  137. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 東京付近の改良計画と申しますか、計画に関しましては都市交通その他関連をいたし、鉄道といたしましても、中央線並びに房総線の処理といったような問題もありますので、鋭意研究はいたしておりますが、かくのごとき案で進むのだという段階までは行っておらぬのであります。
  138. 柴谷要

    ○柴谷要君 まだ大きな川地を持っていても将来どう使うというようなことは考慮しておらぬ、こういうお話でありますが、実はあそこを貸してくれという出願者がたくさんおるということも聞いておるわけです。名だたるものを申し上げますと、日本科学技術連盟会館を作りたいとか、産業交通会館を作りたい、あるいは、東京都観光会館を作りたいというようなことで、たくさん国鉄関連を持たせた何々交通会則、あるいは何々観光会館、まあ、あたかも国鉄に密接な関係を持った名前をくっつけて、そうして国鉄用地を何とか手に入れようという動きがあるように聞いております。ところが、あそこは御存じの通り鉄道会館ができた上に大丸が乗っかった。しかし、日本の表玄関の、民衆駅とは言いながら、下が駅とつながり二階にデパートがある、こういう形はあまりりっぱなものではないと思うのです。まあ非常に交通政策としてまずいのじゃないかと思うのです。建物ができた以上は、中身にけちをつけるということも好ましくないから申し上げませんですけれども、あの小荷物の扱い所の方からずっと鍛冶橋の方にかけては、これは国鉄として十分に考えて利用されればりっぱなものができる。しかし、これを外部に渡すことによって、あそこの東京駅というものがおかしなものになってくるので、日本の表玄関ですから、少くとも空地の利用ということについては十分一つ国民の注視している所でありますから、十分一つ考え願ってこの処置に誤まりないようにぜひ一つ当局においても考慮の上やっていただきたい。これも希望を申し上げてこの問題を打り切りたいと思います。  次に、これはお母さん方の要望で、私どもの方にたくさん陳情が来ておりますが、踏切りの問題について、少しくお尋ねしたいと思います。最近踏切りの事故が非常に多くなってきまして、学校にお子さんを送る、あるいは買物に出かけるというようなことで、国鉄沿線の人々たちは非常にこの踏切りについて心配されているわけでありますが、現在第一種、第三種、第四種といったような、国鉄では踏切りを三つに分けているようでありますけれども、どうも第四種という踏切りは全然警報機もなければ、警手もいない、この踏切りが非常に事故が多い、こういうことがいわれているわけです。そこで、第一種は踏切り警手のいる所で職員がちゃんとついてこれはやっておりますから大した問題はないと思うのですが、三種、四種について、大体国鉄の方で十分調べられたと思うのですが、三十年度ないし三十一年度に、どのくらいの事故件数が起きているか、またこれが国鉄の責任において起きた事件はどのくらいか、あるいはこれらの踏切りで起きた事故に対して、国鉄はどういう補償をしているか、これらについて、多少こまかい質問でありますけれども、数字をあげてお知らせを願いたいと思います。
  139. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 大へん申しわけございませんが、ただいま御質問になりました数字にぴったり合う数字を持っておらないのでありますが、自動車その他車馬の踏切り事故の件数が最近非常にふえております。昭和二十五年が一千八十五件でございましたのが、三十年は千九百四十六件になっております。それで一般の歩行者の方々、こういう方の事故は、これは昭和二十五年が三百四件、三十年が三百九十八件、こういうような状態でございまして、結局自動車交通の急激な発達によりまして、この踏切り事故が最近非常に目立ってふえております。これにつきましては、私どもも非常に憂慮いたしておりまして、この本社の中に踏切り事故対策委員会というものを設置いたしまして、特に踏切りに関する限りにおきましては、この点について特段の対策を研究いたすことにいたしております。  なお、一昨年以来踏切りに関する、これはいろいろな諸工事、改良のための費用といたしましても、相当の小工事費を踏切り対策として各局に通達いたしております。御承知のように踏切りの問題につきましては、全国に非常に数が多うございますので、本社で一々具体的ないわゆるローカリティと申しますか、地形上の諸条件等具体的な条件はなかなかつかみにくいし、また、なかなかそういう莫大な仕事もできませんので、監理局長の判断が一番正しいと思います。いわゆる金額でもって監理局に分けまして、逐次改善をはかっていただいているのでございます。なお、本年になりまして、政府におかれましても、この問題は非常に重大な問題であるということでお取り上げになりまして、内閣におきまして、交通事故防止委員会の中に特に踏切りに関する部会を設けまして、この問題についての審議を重ねておりまして、すでに審議が進んで、ある程度の結論に到達するような時期に参っております。私どもといたしましても、この踏切り対策に対しまして、われわれだけの手を打てる範囲内におきましては格段の努力をして、財政上の措置もいろいろやりくりして参りたいと思っております。何分根本的な問題には道路との関係でありますので、関係の建設省なり、あるいは地方自治団体というような方ともいろいろ打ち合せて実施いたさなければならない点もございますので、これらの点については政府にお願いいたしまして、ますます推進をはかって参りたいと、かように考えている次第でございます。
  140. 柴谷要

    ○柴谷要君 私の調べた範囲では、第一種の、いわゆる踏切り、警手を配置している第一種の踏切りで昭和三十年度に七十二件の事故が発生している。その中で大体二十件ないし二十二件ぐらいが国鉄の責任の事故である、こういうふうなデータが出ているわけですけれども、警手が配置されているという所で七十二件も発生して、その中で二十件ないし二十二件は国鉄の責任だ、こういうふうになっておりますけれども、これはまあ踏み切り警手の責任が問われて、二十二件ということが出ているのだと思うのですが、第一種ですらこういう状態です。それから第四種においては千六百件から千七百件に及ぶところの事故が起きておる、こういうことでありますが、これに対して国鉄の責任ではないと言い切ってほおっておくわけにはいかないと思うので、これらの事故の問題については、国鉄としては相当補償というか、見舞というか、支出をしていると思う。それは大体三十年度、三十一年度は、どのくらい国鉄として経費を使っておられるか、そういう数字がわかりましたら一つお知らせいただきたいと思います。
  141. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまお話のございましたように、警手をつけております踏切りにおいて事故が起った場合には、これはちゃんと遮断器が下りておるのにもかかわらず、それを突破したとかというようなのは、これは通行者あるいは車馬の方の責任でございますので、私の方としては補償をしておらないと思いますが、まことに申しわけないことでありますが、警手の遮断器を上げる時期が間違ったというようなことで事故を起した場合には、これは損害額を補償しておる、賠償を申し上げておるわけでございますが、ただいまそれがどのくらいになるかという数字はちょっと持っておりませんので、後刻お調べいたしましてお知らせいたしたいと思います。
  142. 大倉精一

    理事(大倉精一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  143. 大倉精一

    理事(大倉精一君) 速記をつけて。
  144. 柴谷要

    ○柴谷要君 国鉄で一番どうも経理に明るい、業務に明るい石井さんから御答弁が得られないので非常に残念でありますが、私の調べた範囲では、二千七百三十五万三千円という支払いをしているわけです。二千七百万円からの支払いを三十年度においてしているわけです。だけれども、これは見舞としても出ているところもあると思う。そこで、私は第四種の踏切り、全然警手もいない、道路はあるけれども、棚もない、こういうような所でまあ千五百件、千六百件の事故が起きている。そういうような第四種の踏切りが三万六千二百余力所もある、国鉄はこう発表している。三万六千のうちで千六百件も起きているのだけれども、どこの踏切りでも必ずしも一件ずつ起きたわけではない。そうではなくて、事故の非常に多い所があるけれども、二件起きた、三件起きた、こういう所があろうと思う。こういう所には少くとも警報機の一つもつけて注意を与えるか、それとも警手をつけるか、こういうようなことについて御検討を願ったことがありますか。それとも調査してみようという気持になられますか、この点一つお尋ねしてみたいと思います。
  145. 石井昭正

    説明員石井昭正君) まことにおっしゃる通り、第四種踏切りにおける事故が一番多いのであります。これは防禦設備がないために起っておるということも確かでございまするが、私ども実は毎日運転士の報告を聞いておりますと、率直に申しますと、カラスの鳴かない日はあっても踏切り事故のない日はないという工合に痛感いたしております。その内容を検討いたしますと、第四種におきます踏切り事故の大部分は、これは自動車の運転手の方が一たん停止をなさったならば相当、八〇%ぐらいは防げるというような事故が非常に多いわけであります。従って、ほんとうにそこに何らかの警報的なものがあれば非常に効果が上るということを痛感いたしております。さしあたり、私どもは第四種につきましては、今までの警報と申しますが、ここに踏切りがあるというしるしをもっと明確なものにし、あるいは予告標をつけて、相当百メートルぐらい前からでもわかるようにし、あるいは夜間でもわかるように夜光塗料を使うというようなこともいたさせております。ただ、これを機械化いたしましたり、あるいは踏切り警手をつけるということになりますと、相当の経費あるいは要員を要しますので、この点は私どもといたしまして、全部各踏切りの実態調査をやって交通量との関係、それからその他の諸条件に基く安全度というものを、これも非常に最近の統計数学の発達がございますので、各方面のたんのうな方にお願いして、検討して、ただいま取りまとめております。これらの結果によりまして、私どものやっております踏切り対策委員会の活動を活発にして、国鉄のここが急所だというような所には適切な手を打って参りたいと、かように考えております。
  146. 柴谷要

    ○柴谷要君 踏切りの問題については以上で終りたいと思います。  重ねて、他の問題に移りますが、次は、どうも問題が問題だけに、一つ端的にお尋ねいたしますが、実は衆議院の決算委員会で問題になりましたガード下の問題、これに対する国鉄としての態度として管財区を設けてこの問題を整理していこう、こういう気持で管財区の設置をしたようでありますが、私はこの機構に対して質問いたしたいと思うのです。まあ東鉄監理局のように管財部を設け、しかも、管財部の中に事業課と管理課が設けられまして、そこでもう十分に仕事をやっておったわけです。ところが、たまたま一、二の不心得者が出たために、国会の問題になって追及されると管財区を設けて処理をさせるということになったようでありますが、私はこの考え方がどこにあるのかさっぱりわからぬ。でガード下だけの問題を処理するのに、下の機構を作って、そこでやらせるという考え方が果して妥当な考え方であるかどうか、私どもはむしろそういうものを作ろうという考え方自体がいかぬのじゃないかと思う。区などに問題を処理させるのじゃなくて、むしろ監理局の中に、これらの問題の処理に当る委員会でも作るというのなら別です。私は担当者が事務的な扱いだけで、かりにまあ管理課の人にしましても、まあ管財部の人にしても、これは単に職員は事務的な仕事をするだけだ、しかも、その大綱の決定その他については、少くとも監理局長を中心にしたところの部長さんぐらいの間で、施設あるいは管財部、あるいは営業部、こういう関係の部長といったような人たちによって委員会を作って、最終的にはそこがすべてをきめる、こういうふうに下のものをふやすのじゃなくて、上にしっかりした権限を持たしていくと、こういう形が私はガード下等の問題を処理するに当って一番いい考え方じゃないかと思う。最近、これは卑近な例でありますけれども、むしろ、何といいまするか、業者等とのつながりが、業者の方が利口になって、最高幹部のところへ行くよりも、何というか、中堅の事務を扱っている人間をおとりにした方が問題がやりいいというようなことで、一係長、一課長をろうらくするように方針を変えてきた。そこにどうも誘惑に乗りがちなものが多くなってきたんじゃないか、こう思うのです。それをまた管財区などというものを作って、それに事務的な仕事をやらせるようにいたしますと、そういうものにいわゆる飛びつきやすいようなものを作ってやること自体が、これでは国鉄考えている機構改正の考え方と全く逆な考え方が出てきている。私は将来を憂えるのですが、こういう管財区設置については、どういう確信をもって作られたか、どういう陣容でやられるか、これをまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  147. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 御承知の通り、近年、ガード下の問題がいろいろ御批判を受けまして、これは国鉄といたしましても急速に何とかいたさなければ申しわけがないということに相なったのでございます。ところが、ガード下は、戦後いろいろ世の中が混乱しておりましたときに、いろいろな、多少貸し方につきまして疎漏もございましたし、名義人がまた貸し、また貸しをいたしまして、はっきりした姿になっておらなかったのでございます。それで、それについては従来保線区あるいは建築区というのが、本来の保守業務のほかにガード下の監督をしておりましたので、どうしても仕事が片手間になりまして、思うような監督もできないし、また帳簿と実際が非常に狂ってくるというような姿になったのであります。それでどうしてもガード下をはっきりさせるには、現状の調査を十分いたしますのと、今後のまた貸しそのほかを厳重に取り締るということで、厳格にいたしますためには、どうしても従来の建築を保線区にまかしておいたのではいかぬ、また専門のところで台帳の整備をしっかりしなければならぬという建前で、管財区を作りました。従いまして、管財区は全く現場機関でございまして、ここで判断をするという業務は、だれに貸すとか、あるいはどうするかという方針的なもの、あるいは契約関係は扱わせないつもりでございます。    〔理事大倉精一君退席、理事木島虎藏君着席〕 で、管財区の前に作りましたのが管財部でございまして、これは従来東鉄が営業部の中の事業課でやっておりましたので、やはり営業部長というのは運用に専念するのが、やはり片手間にこの重大なガード下の管理をするということはとうていできないという意味で管財部を設置いたしまして、管財部長は監理局長のすぐ下でございまして、管財部においてそのガード下の企画をする、あるいは契約をする、重要なものについては、監理局長が監督をする、こういう建前にいたしまして、従いまして、上から申しますれば、鉄道監理局長がガード下に対する権限を持ち、その下の営業部が責任を持って契約事項をいたし、その下の管財区は全く現場の作業をいたしまして、保安、監督等をいたすというのと同時に、現在の帳簿の整理その他をいたす全く現場機関のつもりでこしらえた次第であります。
  148. 柴谷要

    ○柴谷要君 その考え方が私は非常に危険だと思うのです。かってはこういう御答弁を当局がしておるわけだ、非常にガード下の問題については、方針を立てて処理に当っているけれども、非常に暴力事件等が起きて、危険な状態が起きて、しかも、入っている人間が何といいますか、悪い言葉でいうならば、非常にもうけ仕事をやっている連中が多い、やまかん仕事が多い、こういうことでこの問題を扱うについては慎重を要するし、思うように行っておらぬという国会答弁を幹部の方々がされている。そこで私どもが危惧することは、国鉄が厳然たる方針を打ち出して、その方針でやるとするならば、むしろ複雑な機構を持つことよりも、今国鉄の責任のある監理局長を中心とした幹部の方々が全責任を負って既定方針を遂行するというかまえをしないことには、私は単なる管財区を設けられたから十分な監督ができ、そうして今のような不祥事件が再び起きないかというと、そうでなくてむしろそういう事件を誘発するもとになりはせんか、こういうふうに考える。とにかくこれは国鉄に向って一、二の汚職が出たからといって、国鉄全体をガード下で汚名をきせようということは、これは筋の通らぬ話ですよ、実際のことを申し上げて。それじゃどなたか権威のある方が行って、ガード下の問題がすぐ解決がつくかといっても、おそらくつかないと思う。それだけに皆さん方の苦慮、いろいろやっておられると思うのですが、私はむしろ管財区などを設けて、国鉄の人員の足らない方へ余裕を振り向けるということでなしに、むしろ監理局長を中心にスタッフをそろえて方針を下す場所を設けて、現在管財部があるのですから、管財部に十分な仕事をやらせる、こういうことの方が私は国鉄としては筋の通った行き方だと思う。たまたま、私はひがみではないけれども、国会の決算委員会で追及されたので、苦しまぎれに管財区でも設けて、というようなことが出てきたのじゃないか。そうとすれば私はあまりに軽率な措置であると、こう思う。ところが、新聞で、国会で問題になっているのに管財区を設けたところが、某氏がどうのこうのと新聞に出ましたが、私はこの真相というものを調べてみた。ところが、秋葉原—御徒町間においてこのガードの売買があったわけです、あの事件中に、国会で問題になっているうちにあった。一コマ二百四十万で買ったわけだが、その管財局の嘱託になった男に実は二万円を贈ったわけです。これも本人に手渡したわけでなしに、為替か何かでこの二万円を家庭へ送った。これは本人が非常に注意を与えたらしいのです。今国会でこういう事件が起っているさなかに売買することはいかがと注意をした。そうしたところが、為替で二万円という金額を家庭へ送ってきた、こういうことを実は聞いたわけです。私はそういう点で、これはあとでお尋ねしたいと思うのですけれども、今度管財区を設けた、しからば、今日のような問題がほとんど起きないかというと、大いにそういうわけにはいかぬと思う。でありますから、少くともこの問題を扱うについては、かつて四、五年前に、東鉄は非常な決意をして業者に一切新設ガード下は貸さぬという方針を立てられたのですが、それがいつの間にか方針が変ってきた、そこに問題があると思うのですが、国鉄がしっかりした線を打ち出していけば、これは必ずこれらの問題は排除していくことができるのじゃないか。ですから、国会の決算委員会で追及をせられたからといって、答弁に合致させるために管財区を設けて、国鉄が真剣にやっているというような仕事を見せるということだけでは問題は解決しない。でありますから、十分事後に問題が発生しないように御注意申し上げると同時に、そういった国会の追及をある程度——これは必要なことを聞かれた場合にはお答え願うことにしてもいいのですが、必要以外のことを、管財区を設けてすぐ処理しますなどということは、これは本旨でもないことを言われたなと私は思ったのです。だから、そういう気持で国会対策で管財区を作ったように私は思っておらぬのだから、ほんとうにあの管財区が、あなた方が考えられる実績を上げられるかどうか、これは副総裁質問するのはちょっと酷かもしれませんが、そういう機構改正は私は好ましいとは思っておりませんので、一つ時期があれば管財区については再検討をする心がまえがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  149. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私の申し上げ方が悪かったのかと思いますが、実際の機構は先生のおっしゃる通りでございまして、監理局長が全責任を持つ、そのスタッフとして管財部長があるのでございまして、実際のガード下のすべての事項は、ここにしぼられて決定されるのでございます。ただ、管財区と申しますのは、現場の機関で手足になりまして現地を調査し、台帳も作り、あるいは実情を調査する、こういう機関でございまして、これは単なる手足にすぎないのでございます。  それから実は仰せの通り決算委員会で大へん問題になりましたが、これは重々私どもの方が悪かったので、この点につきまして、高架下をどういうふうにしたら問題にならぬような措置がとられるかということを研究いたしまして、やはり従来の保線区、建築区の片手間に見回るだけではとうていできない、こういう考えのもとに管財区を作ったのでございます。
  150. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは話を次に移したいと思いますが、管財区を作ったところが、またそこに人選をされて行った人間が不祥事態を起したというのでその責任を問われて、東京鉄道監理局長と総務部長が戒告処分を受けた、こういうことが新聞に載っております。私は、これは世間に対するいわゆる国鉄当局が行なったこれはまあ新聞辞令かと思うのですが、局長なり総務部長が、管財区の助役なり区長なりあるいは係員を選考する場合に、果してこの人間が適任である、おれの目で見てこれは管財区の区長だ、助役だ、係員だ、こういうふうに品定めが局長なり総務部長にできるかというと、私はできないと思う、そのおぜん立てをしたのはだれか、こういうことになる。そうすると、少くとも管財区を設置して、そこの人選を少くとも推薦をし、決定をしたのは、僕は監理局長なり総務部長ではないと思う。しかも、いわば人事課長が人事の問題については全責任があろうかと思うのですが、そうではなくして、これらの人選に当った人は不問に付されていると思うのですがね。私はこういう、表面の責任を問われたから、問題が発生したから、局長をすぐ戒告だ、訓告だ、総務部長が担当だから戒告だ、訓告だ、これで世間をごまかそうとしても私はだめだと思う。少くともこれを真実に推薦をさせ、人選を決定したところの人たちにこの誤まりがあったのじゃないか、私はそう思う。少くとも事前に、彼が保線区にいてどういう仕事をやっていたか、彼の日ごろの行動はどうであったかということを十分見ていた人間が管財区の助役なり区長に推薦をした責任者でありますから、これらの連中こそ大いに責任を痛感しなければならぬ。形式的な戒告なり訓告などというものは、監理局長、総務部長を、簡単にやり得るからといってやることが、私は実際に今後に問題を処理するいい方法ではないと思う。これはあえて監理局長や総務部長に僕は同情するわけではありませんけれども、形式的な処分では私はだめだと思う。少くとも、新しい機構を設けてそこで人選するからには、多数の人の御意見を徴して決定はされると思いますけれども、おぜん立てをし、しかも、それを最終的にいわば局長なり総務部長というのはめくら判を押したのじゃないかと思う。そういう人に責任をとらして、あの実質的にこれを推薦した人間には何ら問題がなかったと、こういうことでは将来やはり問題を残すのじゃないかと思う。だから形式的な処分はおやめになって、実質的に、こういうものをおぜん立てをした当面のほんとうの責任者はしかるべく処置をすべきじゃないか、そういう人間こそ、まあ私はひどいことをしろとは言いませんけれども、戒告、訓告ぐらいは当然あってしかるべきだ、こういうふうに思うのですが、その点いかでございますか。
  151. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この今回の管財区は、ガード下を粛正するという意味のもとにできたのでございまするから、単なるその異動は、厳選に厳選を重ねるべきものだと、実はこう考えたのでございますが、それでしかし、いかに厳選をいたしましても、この人があるいは司直の容疑を受けるか受けないかというふうなことは、これはなかなか判断できるものではございません。そういう点につきましては、事情を酌量すべき点はあると思いまするが、何はさて今回の管財区を作りますには、その目的が目的でございまするからして、やはり原則としてはあまり長くそういう職務に携わっておったような人は、まあ理屈は問わず一応避けて、清新な陣容でやるというのがいいのではないか、そういうような場合に、まあこれは結果論でございまするが、結局結果として容疑者を出したということにつきましては、やはりそこに慎重さをいささか欠いたのではないか、しかも、人事と申しまするのは、これは局といたしまして最も重要な事項でございまするので、やはりそれを決裁した局長なり総務部長なりが責任を持つということも、これは当然ではないか、かように考えた次第であります。
  152. 柴谷要

    ○柴谷要君 確かに責任体制を確立するということについては、私も副総裁の御答弁通りだと思うのでありますけれども、実質的にこれは、こう申し上げると局長を何かかばうようにとれるかもしれませんけれども、この間北海道から来たばかりですね、それで人の品定めということができる立場じゃない、ただ監理局長なるがゆえに処分をされた、こういうことなんですね。そうなると、私ども一に言わしめるならば、これは形式的な処分だと、こういうことになる。ですから、この事件を起した横構なら横構という人間をよく知っておって、これを管財区の助役に推薦することが最も適任だというふうに思っておって推薦した人間があろうと思う。こういう人間こそ監理局長、総務部長にかわって多少の処分をさるべき性格のものじゃないか、こう思うわけです。私の言うことは無理じゃないと思いますが、いかがでございますか。
  153. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) そういうお考え方もあると思います。ただ、あるというと失礼でございますが、そういうことも十分思考されるのでございまするが、局長が長くおりましても、下の人の人物、性格なりは全部が全部わかってるとは考えられませんが、やはりそういう点がございましても、人事というものは、最高責任者がその当人は知らなくともやはり責任を持つべきものだ、こういうふうに考える次第であります。
  154. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ、私の考えと当局の考えとは少し違いますから、これ以上追及するのはやめにしますが、実は私は少しおかしなことを局内で聞いたわけです。というのは、事業課の木藤係長は事件が発生しない前に、これは係長として不適任だから他に移そうと、こういうことで当時局長、次長あるいは関係の部課長が相談をして異動しよう、こういう考え方で話を進めていた。ところが、たまたま本社の人ですけれども、東鉄に行かれて、木藤はもう少しあそこでめんどう見てやってくれぬか、こういう話を局に言った。ところが、局の局長さんなり次長さんなりあるいは総務部長が、先輩だか何だか知らぬが、何を言うのだ、お前らは局の人事にまで介入しちゃいかぬといっておどかされた人がいるという。こういうことでは何か事件を発生した人間を擁護している人間が本社におるということになってしまうので、これは容易ならない私は問題だと思うのですよ。私が特に副総裁に申し上げたいことは、こういう問題を軽々しく扱っておる本社にそういう重要な人がかりにおるとすれば、これはもう内部の人事という面からも十分検討してもらわなければならぬ、こう思う。幸いにこれがうわさにすぎればけっこうですけれども、これはうわさじゃない、事実らしい。こういうことになると、私は特段に名前を申し上げる気持にもなれませんし、役職も申し上げようとは思っておりませんけれども、これは皆さんよりも後輩であり、何といいますか、労働問題等については最も無理解な人間ですから、私はこういうことを申し上げるわけです。こういうことは容易ならぬ問題だと思うので、今後とも部下の中にはそういう不心得なものもいるかと思いますので、特段と御注意を願いたい。こう思うわけです。  以上でもってガード下の問題は終りたいと思いますが、私も皆さん方とともに国鉄には二十五年もおりましたので、国鉄ほどかわいいものはございません。そのためには国会の中においても戦いたいと思っておりますけれども、少くともこういう問題は、国民全般が興味を持って新聞を見ますので、こういうものが発生した場合には、事実は事実として伝えますけれども、国鉄としてのきぜんたる態度を新聞に発表してもらうということも必要ではなかろうか、かように考えますので、今後十分に一つ御注意をなされまして、ガード問題等の問題をすみやかに解決をして、国民に明るい希望を与えていただくようにお願いいたしたいと思います。  一人で長時間取りましたので、次に相澤さんに譲りたいと思いますが、輸送の問題についての質問はいずれ日をあらためて伺うことにして、以上をもって私の質問を終ります。
  155. 相澤重明

    ○相澤重明君 副総裁一つお尋ねしたいと思うのですが、これは総合的には運輸大臣並びに企画庁長官にお伺いしなければならぬ問題ですが、考え方として一つお尋ねをしておきたいのですが、今回の国鉄運賃の値上げを行うということは、この修正五カ年計画理由を見れば、ここに書いてあるのはきわめて簡単に出ておるわけですが、何といっても輸送力増強のために運賃の値上げをしなければ資金調達はできない、こういうようにまあいわれておるわけです。そこで今までのいわゆる政府なり国鉄当局が三十年十二月のこの経済五カ年計画を樹立した当時の考え方でくると、いわゆる最近の日本経済の伸張が、よく話に出るところの神武天皇以来の好嫌気だ、今後も神武天皇以来の好景気を持続するのだという、こういうことで運賃値上げというものが考えられたと思うのでありますが、その以前における国鉄当局の経営自体というものを考えてみると、これは経営が赤字で悩んでおったと、つまり国鉄自体は、輸送力増強ということを今はいわれておりますけれども、今まではつまり国鉄自体の赤字があるから、その赤字を何とか合理化政策なり、あるいはまた減価償却を行うためにいわゆる運賃の値上げというものをはかっていきたい、こういうふうに考えておったのじゃないかと思うのですが、その神武天皇以来の好景気のために、この輸送力増強というものを今かぶせてきたけれども、ほんとうの腹は国鉄自体の赤字をなくすると、そのための運賃値上げではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  156. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 今度の運賃値上げをお願いしましたのは、運輸省にもございます通り、老朽資産の更新と、それから輸送力増強、こういうことでございます。で、老朽資産の取りかえというのは、これは原則的に減価償却費でまかなわなければならないのが、従来それだけの余裕がなかった。減価償却費は普通損費にしたものでありますが、それがまかなえなかったということは赤字であったということでございます。  それからまた輸送力増強につきましても、これはある程度の借金しかできない現状でございますから、それの不足を補うというためには、やはり自己資本を増強いたしたい、こういう考えに立ってお願いしたものであります。
  157. 相澤重明

    ○相澤重明君 国民大衆から、今度のこの国鉄運賃を値上げする、こういう感情、いわゆる国民大衆の感情論からいけば、    〔理事木島虎藏君退席、理事大倉精一君着席〕  運賃の値上げをすれば、自分たちの今まで殺人的な混雑であったり、あるいは今まで不便を来たしたものが解消するのだ、こういう考え方に立っていると思うのですよ。ところが国鉄自体は今副総裁の言われたように老朽施設をかえるとか、あるいはまた国鉄自体の赤字をなくするために実は何とか運賃値上げをやりたいのだ、しかしただ運賃値上げだけを目標に出せば国民大衆から反撃を食う、そこでこの輸送力増強という、いわゆる最も国民大衆が飛びつくような名目を私は持ってきたのじゃないかと思う。いわば国鉄当局にいわゆる政府——これは先ほど申し上げたように政府のお考えを根本的に聞かなければならぬと思うのですが、政府国鉄当局に命じて、苦肉の策として国鉄運賃値上げをいわゆる輸送力増強という名目にかえて行わしめたのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、この点は事務当局の責任者としてはどういうふうに、政府からあなた方に指示をされたか、あるいはまた国鉄自体としてはどういうふうにそういう問題を考えているか、この点をお尋ねしたい。
  158. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) これはこういうことになると思うのでありますが、同じ実体を財務的な面から御説明申し上げるか、あるいは資金的な面から申し上げるかという、一つのことを二つの違った色で照らして御説明申し上げているのでございまして、すなわち財務的な面から申し上げますると、国鉄経理、国鉄財政の再建ということはどういうことであるかと申しますると、まず第一に運賃というものはそのあり方として、少くとも運賃の四原則に従いつつ原価を償うものでなければならない。その原価というものは具体的には経常費、利子、債務取扱諸費、租税公課、減価償却費、予備費、さらに若干の設備資金繰入額及び必要最小限度の債務償還額、これが原価であろうと思うのであります。この点については経営調査会をわずらわしまして、長期間にわたって検討していただきました結果も同様であろうと思うのであります。で、これに対してさらに、従って、こういう原価をまかなう運賃というあるべき姿に置きますると、今度資金的にこれをひっくり返して見るとどうなるかというと、この減価償却費を計上するということによって老朽資産の取りかえができる、さらに若干の設備資金繰入額によってこれは事故防止であるとか、    〔理事大倉精一君退席、委員長着席〕  安全な設備増強であるとか、採算に乗らないようないろいろな改良的な諸設備が生まれて参る、これにさらに外部資金というものが加わって参りまして、電化電車化ディーゼル化貨車の増加というような将来収益の増加が見込まれるものは、これは普通の事業でいうならば借入金というようなことで、社債なり外部資金ということになるのでありまして、で、この外部資金というものはそういったような見合いからと、並びに国家の財政投融資の計画から市中金融を合せて出て参るわけでありまして、この両方の見通しが重なりますと、ここに資金的には自己資金として生まれて参るものと——この自己資金として生まれて参るものには経営合理化によって既存分から捻出できるものと、今回の運賃値上げに相当する額、これが自己資金、さらに今申した外部資金を合せてこれが工事資金となってくる。この工事資金を使いますると、この五カ年計画内容の見通しがついておりますような、資産の健全化、老朽施設の取りかえ、輸送力増強、あるいは動力設備近代化ということができる。こういうことになって参りまするので、財務的にはそういう自己資金と外部資金とのバランスを考え、さらに財政経理として、全体の経費を償うものというところから一割三分の値上げが出て参りまするし、資金的には、この自己資産と外部資金を合せてこういったような効果が現われてくる。要するに、同じことを財務的に説明いたしますか、資金的に説明いたしますかの面の違いでありまして、御指摘の点は同一であろうと思うのでありまするからして、こういうものをきめておいて、あとから何と申しますか、たとえば羊頭狗肉的に言いわけをつけたものというものでは断じてない、こういうふうに私どもは了解しております。
  159. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の權田君の答弁だと、国鉄はいわゆる公共企業体である、独立採算制である、こういう建前をまず第一にとる。第二には、いわゆる政府機関なり、あるいは社債というものを募集をして、資金の調達をはかるというふうになろうと思うのであります。ところがもしあなたの言う、いわゆる独立採算制あるいは公共性というものからくるならば、今の国鉄の線区、いわゆる昭和三十年度における全営業キロの一七%に当る十四線区が黒字であって、あとの八三%、二百十三線区は赤字を出しておる、こういう場合には一体どうあなたはお考えになりますか。
  160. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) その点は再々御説明したと存ずるのでありまするが、各線区別に決算原価で、平均原価的な営業係数を、これは財務的にまた学問的に正確に言うならば、標準原価ではないのでありまするけれども、そういう意味においての一応の原価によっての営業係数というものは、御指摘のように現われて参ります。しかし、公共T企業体として、また鉄道というものから見まして、そういう事業の本質、本体から見て、各線区々々の黒字、赤字ということを問題にすべきではないのでありまして、やはり全体と、してこれがどうなるかということを財務的にも見通しをつけるべきでありまして、現在までの段階では、いわゆる原価を償うという観点から、在来の運貸率では全体として赤字である。今回は、先ほど申し上げましたような、いろいろなことを織り込みまするからして、今度は全体としては原価を償い、さらに自己資金としての若干のものを生み出し得ると、こういう態勢になるのでありまして、これは今おっしゃいましたように、線別々々で黒字、赤字を国有鉄道全体として論ずべきでは私はないと思うのであります。
  161. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の説明は、すなわちそれはもう反論を出して、おるわけであって、いわゆるこの二百十三線区も、線区だけを特別にどうこうというわけではないけれども、二百十三線区も赤字であって、そうしていわゆる黒字になるのはわずか十七線区だと、こういうことを考えてみれば、国鉄全体から見れば、やはり赤字が大きくなっていくということは、これは私は理論的に出てくると思う。ただ、きのうも湯山委員から質問されたように、たとえば最も収入の大きいところはどういうところかといえば、東京の山手線であるとか、あるいは中央線であるとか、京浜であるとか、大阪であるとかいうふうに、都心地における殺人的な混雑を無視して、詰め込み主義で今輸送をしておる、この多くの通勤者の苦労も顧みず、とにかくそういうところが一応黒字であって、その他については赤字でおるということは、これは全般的には私はやはり赤字だと、こういうふうに見るのが当然な考え方ではないか。そこで若干の賃率の改正という問題も、今度国鉄当局なり運輸省が出しておるのが、キロ程をいわゆる縮めるとか、あるいは品目を若干改訂をするとか、こういうことで収入増を見込んでおるというのがあなた方の今の立場ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  162. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) この黒字の線区の数が幾つあって、赤字の線区の数が幾つあるという線数というものは、財務的に見たときには、必ずしもその割合でもって響いてこないのでありまして、いわゆるそこから出まするところの収入総額と決算原価、平均原価で見ましたときの総合的原価の比例が問題でありまして、在来の運賃率は、先ほど申し上げた意味における運賃の原価を償っておりませんからして、全体が赤字になったんでおって、赤字線区の数によって赤字になったんではない。従って今回の見方がいろいろ国有鉄道運賃法の四原則に従いつつ先ほどこ説明した見方をしておりまするので、三十二年度以降においては、これは赤字にならない。これは字線区の数の大小によって決定されるものではないと思うのであります。  それから今のたとえば山手線等の問題は昨日御説明いたしたいと思うのでありますが、なるほど山手線の営業係数が七〇なり何なりの係数を現在示しております。従って、これはその混雑度が非常に高いことが一原因をなしておるということは否定できません。しかし、この運賃制度というものは総合原価で総地域においてきめまするものでありまして、どの地域の運賃は幾ら、どの線の運賃ば幾らという運賃制度はあり得ないのでありまするからして、特にこういう国有鉄道のような場合は、その公共性から見てもあり得ないのでありますから、まあ全体でこれ償う。この点につきましても、特に今回の資金の使途にいたしましても、この通勤緩和ということに相当の投資をする計画になっておりまして、この投資は日も御説明いたしましたように、将来に向っては非採算性のものであるということは経済上言い得ると思うのであります。従いまして、これが投資額が重なっていきますれば、この営業係数は悪化するに違いないと私は見通しております。また事実この通りに相なると思いますが、従って、これはやはり国有鉄道の持っております全体の輸送任務、また東京地方におきます輸送任務をできるだけ国民の皆さまのご期待に沿うようにやらせるというのが、また今度の資金の使い方でありまして、この点定期の利用人員並びにその収入の割合あるいは最も高率の運賃割引をしておる定期旅客というような点の負担からみても、諸般の点からこういう点は妥当、適切であると私どもは考えておるのであります。
  163. 相澤重明

    ○相澤重明君 事務当局の考えておる問題でいけば、今回の運賃のいわゆる賃率の改訂なり、あるいは実際の値上げというものが妥当であるかどうかというのであれば、またその全体から見て正しいかどうかということは、それはまあそれぞれ自分の好きな言いたいこともあるだろうと思うのです。まあたれが考えても近距離のものは一キロが二円十銭で、遠距離になれば五十銭ではしれるというのは同じ石炭を使い、同じ車を使い、同じ人間が運転をするのに、遠くは五十銭だけれども、近いのは二円十銭だというのは理屈じゃないんですね、これは私は政策です。ですからいわゆる国鉄の運賃というものは国家的ないわゆる交通政策に基いて運輸省なり政府がこの運賃というものの基礎を私は考えておるのだ、こういうふうに考えているのですが、その点運輸大臣いかがですか。
  164. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 逓減制をそれだからやめるというわけにはいきませんですけれども、しかしそういう点は政策的に考えておるということはございかます。
  165. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますというと、いわゆる国家の交通政策として、いわゆる総合的な施策の上に立ったのが、今回のこの国鉄経営あるいは採算、こういう面から考えたのが運賃値上げの問題であるということになると、先ほど權田局長のいうように、いわゆる財務的にあるいは資金的にこれらの投資金額というものを考えていかなければならぬ、こう思うわけですね。従ってもし国家的なこういういわゆる交通政策の面から考えてくるならば、先ほどもお話があったように新線の建設をすれば、当然これは採算が合わない。しばらく赤字になる。こういうことは私はあると思うのですが、その点は大臣はいかがお考えになっていますか。
  166. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) それはもう新線を設けますと、やはりその線が赤字ですから、赤字はふえていくことは事実であります。
  167. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵省の主計局次長が御出席だと思うのでありますが、ちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、国鉄の公共性という建前からすれば、今いった国鉄の利用者である乗客だけにすべての負担をまかせることはできない、こういうのが、今大臣がいわれたところの政府のいわゆる政策的な運賃をきめたことになる。そこでそういうことになるというと、乗客だけに、あるいは荷主、国鉄を利用する人だけにいわゆる運賃をまかせるという、資金を作らせるということでなくて、政府も当然援助をすべき立場にある。政府国鉄に対しては、総合的な判断の中から、政府予算の中から出資を行う、こういう考え方が立つと思うのでありますが、大蔵省のあなたの立場ではどういうふうにお考えになっていますか。
  168. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 相澤委員の御指摘の点でございますが、国鉄の事業を拡充いたしまして、もろもろの建設を行うに当りまして、利用者である乗客だけにその負担をまかせないで、政府としても何らかめんどうをみるべきじゃないかという点につきましては、御承知のように特別会計でやっておりました時代、並びに公社になってからの時代を通じまして、名目的な政府の資本金はわずかでございますが、すでに国鉄自体の資産再評価積立金は一兆億をこすような状況でございまして、時価に換算いたしますと、二兆をこすのではないかと思います。それにつきましては、その全額を出資しておる政府としては、何らの対価の要求をしていないのでございまして、現在一つ独立した公共企業体としてありまする以上、これの経営につきましては、一つの企業体としては独自の自立性をもってやっていくべきじゃないか。それに対しまして国から国民の税金をもちまして、それの経営のために助成をするということは適当ではない、かように考えまして、政府としては出資等の形はとらないということにいたしておるわけであります。ただ必要な資金につきましては、低利の資金を出すために、全体の財政融資のワクの中におきまして、総合判断をいたしまして、所要額を融資する。かような考え方で臨んでおるわけであります。
  169. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは私どもまあ考えるのに、社会党の考えと与党である自民党の諸君の考えとはやはり若干違うところだと思うのですが、これはやはり基本的には少くとも国の基幹産業であり、重要交通政策である場合には、単に乗客とか荷主だけの利用者だけに負担をさせるべきことは、公共性ということは言えないと思うのですよ。そうすると理論的には先ほども駁論したように、当然政府が出資を行うべきである、こういうことは私は国のいわゆる政策の進め方の中で言えるのではないか。ただ大蔵省としては、国鉄の膨大な資産を評価をした場合、国鉄の公共企業体という名目にとらわれて私はその独立採算制が可能であるという考え方を持っていると思う。これは明らかに先ほども柴谷委員岩間委員も午前中にいろいろ質疑を行なった中に言われておるように、国有鉄道、いわゆる国有国営の当時の考え方がほんとうに公共企業体というものの精神に立脚したように直っておるかというと、そうはなっておらない。責任は国鉄公共企業体というものにかぶせておるけれども、実際には戦前から引き継いだそうしたもろもろの要素というものがなくされておらぬ。こういうところに私は国鉄が実は公共企業体になっておってもびっこである。こういうふうに思っているわけなんです。ですからそういうことをもし直すとすれば、当然資産の再評価の問題にしても、あるいはまたそうした総合的な資金調達の面については政府が援助をすべきではないか。なぜそういうことを申し上げるかというと、これはまあ大臣にもお伺いしておかなきゃならぬのですが、国家の総合的な交通政策ということからすれば、運輸機関の相互問題の輸送調整とか、あるいは海陸輸送の適正分野というものについては当然これは運輸省自体が考え政府もその政策考えていかなきゃならぬと思うのですが、あなたはこの問題についてどうお考えになっているのですか。
  170. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今のたびたびお話があります、国鉄の公共性のあり方から利用者だけの運賃値上げという負担にまかせないで、国家もその一部を負担したらいいじゃないか、こういう御議論は御議論としては私はもちろん賛成であります。反対はいたしません。しかし日本経済全体から見て、今日の段階において国鉄というものが非常な大きな国家の資産をまかされておる、そうして独立企業体としてやっていく。そこでこの日本経済全体を見ましても、政府の力も限りがあるし、政府の力というものは金の面からいえば税金であります。国民全体から税金でまかなうか、利用者の立場だけでまかなわしていくかということは、これはそのときの経済の段階できめることである。ですから国鉄企業体でおるから、政府は一切これには将来とも何らの資金のまかないもしてやらぬという意味じゃありません。今日の段階においては、そういうふうにして国の総合的な力を発揮させて日本経済を発展させていく、この段階においては政府としてはその持っている資金をもっと足の弱い方面に、それはその企業体の方へは金を投じていいが私企業の方へは援助するのはおかしいというような意向のお話もありますが、私企業でも今日はやはり国家の一つ国民経済を持っていく重要な役目を果しておる。その一つの部面が足弱であればそれへ持っていって、やはり国民の税金で、ある程度は助成をしていく、こういう形をとって総合的に考えていく、ですから決してそのあなた方のお考え方をわれわれは反対するものでもなし、建前が違うのでもない。今日の段階において国鉄に無理に金を投じなくてもいいんじゃないか、それでも今日の運賃がほかの諸物資、もしくは生活の上に非常に高くなっておって、これではもうこれ以上、運賃にまかなわすことはいけないのだ、しかし国鉄はこうしなきゃいけないのだというような段階になってくれば、国家としてもこれは考えなくちゃならない。そういう点を私は無理のないようにこの日本経済というものを持っていかなきゃならない、そういう観点からであります。また今の運輸の問題を総合的にいろいろ配慮していく、これはもう当然やらなければならない。そのときにまた重点をどこに置いていくか、足の弱いところ、力の足りないところへ順次重点を置いて国家の施策をしていく、こういけば私は今日の段階ににおいて常識的いうか、常識な考えで、どうも三百六十億に余る運賃の値上げをやめておいて、その金だけを国家から出していけということは、今日の経済全体の調整がこれでとれていくとは思わないのであって、こういう点を一つすなおに御了解を願いたいと思います。
  171. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは運輸大臣に再度お尋ねしておきたいのですが、あなたのやはり監督をする、運輸大臣が監督をするところの造船ですね。この造船の問題については、二十九年にあれだけ国民全般から批判を受けた造船疑獄が起きたのです。それは莫大なる利子補給を行なった中に実はあの汚職というものが生れてきたわけです。その後二十九年度の決算、あるいは三十年度の決算、これを見ても私どもは決算委員会の中でもこの点は指摘をしたのでありますけれども、実は今造船界はいわゆる神武以来の好景気ということで、もう三年も四年もの仕事を持っておる。そうして日本世界にもう一番になるか二番になるかというところまで実は好景気であるし、また船もどんどん作っておる。こういっておるにもかかわらず、利子補給は今行なっておるわけですね。いわゆるあの当時の四社が問題を起したのがいまだ決算委員会の中でも完全に処理がされておらない、こういうことがあるわけだが、この点について同じ基幹産業として、しかも当時の不景気のときならば、これはまああなたもおっしゃるような問題が私はあろうと思うのです。総合調整の上からこれは陸上で輸送がしきれないから海上の輸送もやらなければいかぬ、あるいは貿易もしなければならぬという意味においてのこの総合政策の中から私は出てくると思うのです。しかし今日のような段階でもなおかつそういう利子補給の道が全部断たれておるわけではない、こういうふうな形にもしなるとするならば、国鉄の問題については何も一割三分必ずしも上げなくても私はやはりそういう点が出てくるのじゃないか、これは一割になるのか、あるいはまた八分になるのか、あるいは一割八分になるのかという議論はありますね。今政府の出したのは一割八分、一割五分から一割三分という線に落ちついてきたけれども、そういう基準はあるかもしれんけれども、同じ基幹産業についてもそういうことが言い得ると思うのです。そういう点について、これは大蔵省の考えもあろうと思うのですが、運輸大臣の同じ監督の立場における造船の問題についてあなたはどう考えるか。それから大蔵省の主計局次長の方では、同じそういう決算委員会の中でも問題になっておるような利子補給について、あなた方大蔵省としてはどういうふうに考えておるのか、この点をお尋ねをしておきたい。
  172. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お話通りでありまして、造船については、三十二年度から利子補給をやめたわけです。全部やめてしまいました。しかしながらそれと、あなたの考えとわれわれと同じように、しかし新線をやっていけば赤字になっていく、赤字が多くなる。ですから今日までは新線もあまりやらなかったのです。実際いいますと、五十億円や七十億円の今日の金では新線をやるもやらんもない。私どももやはり今日の日本経済からいえば少くとも百五十億とか二百億というものを新線の方へ入れていいと思うのです。しかしそうなれば国鉄に対する赤字は多くなるから、そういうように大きな金額を入れようというときには、国鉄に対する新線建設の利子くらいは補給していかなければいけないだろう、こういうふうに考えております。そういう考えを持っておるわけであります。すでに一方において、造船の利子補給はやめてしまう、この国鉄に対しては将来大きな計画を持つならば、利子くらいは補給して、国家の何でいかなければならない。また国鉄の会計全体が利子の補給だけでは足らないのだ、しかし新線はどうしてもやらなければというときになったら、あるいは今の新線を公債だけでやらしておるものを、借入金でやらしておるものを、一部国庫負担にするという時代もくるかもしれません。しかし、それはやはり日本経済としては私はうまくいかないときである。しかし、一時的にそういうときを経れば経済が伸びるということなら、それはそういうことも考えなければならない、こういうふうに考えております。
  173. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 利子補給、あるいは出資につきまして財政的の援助がまちまちであるという御指摘でありますが、確かにその通りでございますすが、造船利子補給につきましては、御承知のように日本戦前海運界におきまして——戦後非常に外航船舶が減って参りました。それがために物資の輸送につきましても外貨を要する外国船に頼らなければならなかった。外貨の節約、外貨の獲得の面につきましても、外航船の拡充をはかることが必要であったわけであります。しかも金利についても、国際金利に比して国内金利が高いというようなことで、利子補給をなしたわけであります。ところが、御指摘になりましたように、海連が非常に好況になって参りました。最近の経営状況は良好になって参りました。このような段階におきまして、なお利子補給を継続することは適当でないと考えましたので、今回予算ではこれを計上しないことにいたしたのであります。  また別の例を引きますと、たとえば日本航空株式会社でございます。これも同じく航空機を利用する旅宿を獲得いたしまして、外貨の獲得なり、あるいは日本人が渡航する場合にも外貨を節約するということで、これはやはり国際的に日本航空株式会社が競争に伍していくためには、経費のお金なり、出資等を行いまして、経営の基礎を固める必要がある、こういうようなことから新種機購入等のために出資をいたしたわけであります。これにつきましても、補助金につきましては今年度は計上いたさないことにいたしたわけでございます。  いろいろこのほか利子補給その他ございますが、われわれといたしましては、利子補給というような制度は、原則的にあまり好ましくない制度だと考えております。たとえば天災を受けました農民が営農資金を借ります場合に、いかにも気の毒であるから利子補給をするというのならわかるのでありますが、全般的に利子補給の制度を拡張するということは適当でないと考えております。  国鉄の問題に関しましては、初めお答え申し上げましたが、膨大な資産を持っておる、それが政府の出資から成り立っているものであって、政府はこれに対して何らの利潤の追求を行なっていない。五十億、七十億の新線建設を行おうといっても、国鉄の大きな事業計画から見れば非常にわずかなものであります。新線建設につきまして多少の赤字はふえましまうが、現在国鉄自身が営業線と申しますか、黒字の分はおそらく運輸省あるいは国鉄から御答弁がさきにあったかと思いますが、私の承知しておるところでは、二〇%程度であって、あとは赤字というふうに聞いております。さような状況にありまして、国鉄経営の合理化と申しますか、そういうところにも努力をいたしまするならば、大きな予算を動かす国鉄でございますので、そういう新線によって出てくる赤字分も、その他の赤字経営の分と同じよりに総合いたしまして、これを回復していく道もあるのではないか、かように考えられますので、特に新線に限って政府が出資をするとか、あるいは新線分の借入金について利子を補給するというようなことは、ただいまそういうことは適当ではない、かように考えておる次第でございます。
  174. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、先ほど運輸大臣の言うことは非常に無理と思うのですが、しかし、今大蔵省の立場で言われることについては若干違うと、思うのです。ということは、国鉄のいわゆる公共性なる名目によって、しかも莫大なる資産を持っておるから、少しくらいの新線建設を、五十億や七十億の新線建設をしても、別に出資も必要はないし、利子補給も必要はない、こういうあなたの今のお話だと思うのです。ところが合理化を進めるということでいつでも問題になってくるのは、いわゆる国鉄職員の首切り問題、これが合理化の名称なんですよ。合理化といえば首切り、そうして低賃金政策、こういうのが今までの私は大蔵省が予算編成の途中でいつでもなたをふるう私は武器と思う。あなたのところは企業をもっと整備しなさい、合理化しなさい、節約しなさい、こう言っておりますけれども、実際には国民の要望にこたえる仕事はしていかなきゃならぬのですね。国民の要望の作業は進めていかなきゃならぬ。けれども、その作業を進めるには、それにふさわしい資金の調達なり、あるいはまた要員のいわゆる適正化というものを考えていかなきゃならぬとこう思うのです。ところが、大蔵省の立場では、そういう面には、やはり若干のそうした今あなたのおっしゃったような考え方というものがあるからこそ、実は国鉄自体が、さっき申し上げたように、いわゆる公共企業体というように名前が変っただけで、実際には政府機関ともう同じような立場にありながら、びっこな運営をしておる。自主性のない、いわゆる政府のそうしたちょっとした考え方によっても国鉄はどうにもならぬいわゆる金縛りにあってしまう。こういうところに、国民の要望にこたえられないところがあるのではないか、こう思うんですが、あなたのお考えはどうですか。
  175. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘のように、いろいろ問題はございます。しかし、私ども考えまするのに、一兆何千億というような政府の出資からなる資産を有しておる。そして、大きな予算を使って相当な事業をいたす、その中に、いろいろむだもあるんではないか、人の運用の面においてもむだがあるんではないか、これは私ども主計局の立場といたしましては、やはりそういう面につきまして、経費の節約等、あるいは収入の増加等によりまして、十分国鉄当局が努力していただきまして、そうして、いよいよそれでもいけないという場合につきましては、これは御指摘のありましたように、一つの公共企業体と申しましても、国家的使命を持っておる機関でございます。そのときには、なお考えねばならぬ点も出て参りましょう。財政上の面についても考えねばならぬ点も出て参りましょうが、相澤先生よく御承知のように、決算委員会でもいろいろ指摘されておる問題でございまして、国鉄内部の努力の跡につきましては、なおやるべきところが残されております。私どもも、本年予算の編成に当りましては、人の節減はいたしておりません。ただ、運輸の増強に伴いまして必要な人員につきましては、工場勘定あるいはその他の勘定から移しかえいたしまして、当面必要な運輸の増強に資するような配慮をいたしております。また、経費の面につきましては、資材の調達の単価を努力によって下げていただくようにいたしますとか、あるいはその他のもろもろの事案につきまして、できるだけ経費の節減を行うように努力していただく。しかも、なお現在の要請であります事業を行いまするためには毎年どうしても三百六十億から四百何十億という資金が足らない。これは、この際一三%程度の値上げをしていただくことによって当面の輸送量の隘路を打開していただく、こういうことが適当であろう、かような観点に立って予算編成に臨んだ次第でございます。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、やはり大蔵省と国鉄、あるいは運輸省とのその省のあり方とか、まあ経過的なものもあるでしょう。そういう問題でやはり意見の若干の違いは私はあろうと思うんですが、やはり政府機関としては総合的に判断を下して、運賃値上げというものを行う、あるいは交通政策自体の資金調達はどうするか、こういうことを行うことになろうと思うんです。そういう面では、今あなたのおっしゃる会計検査院のような立場の、国鉄自体がまだ節約もできるところがあるかもしれぬ、あるいはむだな人員を持っているところもあるかもしれぬ、こういうことは、これは一つ私ども委員へ会で国鉄当局を追求していってみたいと思う。これは今私は、あなたの大蔵省の立場で、一体出資金とか利子とかいうものについてはどうか、こういう点で実はお伺いしたわけなんでありますが、関連をして、たとえば電力の問題について、特に画期的な現在の産業の発達について融資を行う、こういうような場合に、相当の資金というものは今回のいわゆる政府の構想の中にも私は現われておると思う。そういう面について、やはりウエートの持ち方、あるいは今年度政府がやろうとする超重点主義ですね、超重点主義というものによって大蔵省は考えておられると思う。そういう点をちょっと宮川さんからお尋ねをしておきたい。電力の問題等について国鉄とどうしてそういうふうに違うのか、その違いを一つ説明願いたい。
  177. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 財政投融資につきましては、電源開発、国鉄、電電その他いろいろな事業に対しまして、それぞれの会社あるいは公社の等の資金計画を見まして、それで電源開発につきましては財政投融資を、ちょっと今計数を持ち合せておりませんが、相当いたしております。これは、やはり電力は足らないからいたしたわけであります。それからなお電力につきましては、今日の段階におきまして値上げをすることは適当でない、かような観点に立ちまして、所要の資金を出しておるわけであります。国鉄自身につきましても、預金部から八十億を融資するようにいたしております。その八十億がいいのか、九十億がいいのか、七十億がいいのか、これもいろいろ議論はございましょうが、一応その程度の融資を行うのが適当ではないか、かように考えておる次第でございまして、投融資の対象になりまする会社、公社の現状、資金計画等を勘案しまして割り振りいたしておるわけでございます。特に区別して扱っておるというようなものではございません。私どもといたしましては、ただいま電力、国鉄等の増強に意を用いておりまして、まあこれもいろいろ御議論がございますが、道路につきましては一部ガソリン税の引き上げをもって充てる、国鉄につきましては一部値上げをもって充てる、その他必要な財政投融資をする、こういうふうに臨んでおるわけであります。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の電源開発等の比較のお話については、これはまあいろいろ議論もあるところだし、また、現実に政府から出された資金運用の面についてもわれわれは承知しております。そこで、さきほど運輸大臣が言われたように、現在の段階では利子補給等については考えないで運賃値上げだけでまかなっていこう、こういうことだと思うのですが、昨日もお話が出ました、たとえば權田局長の言うように二十カ年計画なら二十カ年計画という最も画期的な希望を盛った交通政案というものを、あるいはまた日本の産業構造についての構想を持たれておるということになると、当然そうした場合には今の運賃値上げをして、第一次五カ年計画——修正第一次五カ年計画ですね、もしこの第一次五カ年計画を一応遂行したとしても、第二次の面にかかった場合には運賃値上げ考えておるのか、その場合に大蔵省は今からそういうふうな考え方を持っておるのか、こういう点について運輸大臣と宮川主計局次長にお尋ねをしておきたい。
  179. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 明年度の予算編成並びに現在の資金計画その他については、それは政府で決定して予算を出したいのですから、政府の各部門、大蔵省、運輸省、それぞれみんな事情を詳細に申し上げ得るわけであります。しかし、明年の予算、明後年からの予算編成もしくはその他の方針については、政府として一つ考えをまとめて行かなきゃならぬわけであります。それを運輸省の意見、大蔵省の意見というようなものはないという建前で行かなきゃならぬと、こう思うのであります。ですから、第一次の五カ年計画というものが済んでそれから後はどうするかということは政府においてあらためて態度を一定して申し上げなければならぬ、こういうふうに一つ考えを願いたい。
  180. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 相澤委員が御指摘になりましたように、財政当局であります大蔵省の考え方は、運輸当局の考え方とはニュアンスの差があることは御指摘の通りでございます。今後の問題につきましては、運輸大臣が御答弁された通りだろうと思います。ただこの階段において私が申し上げたいことは、先ほど申し上げましたように、およそ利子補給というような制度は、変則的な制度であって、できるだけこれは拡張したくない、かような考え方をとっております。今の段階におきましては、財政五カ年計画——五年先のことでございまして、これが済んだあとどうするかということはちょっと見当もつきかねます。五年の計画を進める場合におきまして、一応御協賛を経まするならば、この一三%の値上げを行いますることによって、私は相当鉄道増強になると思います。その段階におきまして出資をするというようなことはただいま考えてはおらない、かように私お答え申すよりいたし方ないと思います。
  181. 相澤重明

    ○相澤重明君 それではなおお尋ねしたいと思うのですが、つまり第二次五カ年計画というものについては、もちろんまだ構想がまとまっておるわけではない、第一次修正五カ年計画のために運賃一三%の値上げを行う、こういうことだと思うのですね。そうすると、今回の値上げを行う一三%によって、これから五カ年計画というものは確実に遂行されるものである、こう考えてよろしいわけですね。大臣、よろしいですか。
  182. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) そうです。
  183. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますとお尋ねをしておきたいのですが、いわゆる政府の提案の中には、物価の値上りはない、こういうことで、この程度の運賃値上げならば、大した国民生活にも影響はない、物価の値上げもない、こういうようなお考えで提案をせられておると思うのです。そこでこれは大蔵省の主計局次長にもお尋ねをしておかなければならぬのですが、現在すでに物価が私は、鉄にしろ、あるいは石炭にしろ、重要資材というものは上りつつあると思う。これは一般的な経済界においては、すでに二%以上の値上りを見ておると、こういうようなことを言われておるのでありますけれども、今年度、第一次着手にしても、すでにそういうふうに重要資材が値上りをする見通しがあるのかないのか。またその場合、たとえば、実際に着手した場合に、資材が値上りしてしまった、予算を超過してしまった、そういう場合に、大蔵省はどうするのか、この点を運輸大臣と大蔵省にお尋ねをしておきたい。
  184. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この五カ年計画が、物価の値上りというものが今後ある程度あるとして、それはないということは言えない、それで遂行できるかどうか、こういう問題に、まあこれは重要な点であると思います、今の御質問。これに対して私どもは今日のこの五カ年計画で得た収入というものと、その収入のうちに、国鉄のたとえば電化その他の近代化によりまして、一つは、先ほども申し上げました通り、このままでいけば石炭六百万トン要る、ところがそれが四百何万トンで足りると、そうすると、二百何十万トンの石炭が節約ができる、それが電力と石炭との間に幾らの差が出てくるか、また電化によるこの経費の面においても、百億円からの支出減というものが出てくる。その他これからまたさらに皆さんからは、人員がちっとも同じでやれるかという、いろいろな御質問もありますけれども、この人員の面もそれだけじゃいかぬと思いますが、能率化によりまして、先ほども柴谷さんから、国鉄職員にばかり負担をかけて、そうして酷使しておるというような面もありますけれども、これも合理化で——もう少し考えていくと、先ほど機関士の問題もありましたけれども、これらも、同じ機関車を運転していく上においても、もう少し合理的にやれば——非常に負担の重いところと軽いところがあるのであります。そういうような点を考えまして、たとえば一つの例ですが、京都から急行で明石まで行って一往復したきりで一日七時間という作業にも当っているところもある。これらは常識的に見て、だれが考えても、三時間か幾らしか働かないで一日の働きになるなら、こういう点はもっと合理化しなければならない。そうかと思うと、夜出て向うへ着くなり引っ返さなければならぬ非常な激務のところもあるわけです。こういう点を調整していきますと、私は人員の点においても、もっと能率的に行かにゃならぬ、それから国鉄自体の人員のなにも法規の上に縛られていろいろ不便なところもある、こういうことは、その職員を酷使しないでもっと楽に仕事ができて、合理的に節約していく面も起ってくると思う。こういうような点から物価の値上りというものがある程度あっても、他の方面を合理化することによって、相当な金額が生まれてくる。また日本経済が、輸送力は大体においてこの計画でいくと、輸送力は三割ないし四割の増強になる。しかも収入の面は三割も四割も見積っておりません。これはその輸送力一ぱいに働くような今の現状が続くとも考えられない。しかしこれがまた能率化し、そうして日本経済が拡大して、今われわれが予想しているよりも大きな動きというものができてくれば、この収入というものもこれはそろばんにはのっておりません、そういう計画はできませんけれども、これはまた自然増収というものが、うんとふえないとも一限らない。そういうものは物価が高くなってもまかなっていく面もある。こういうところで、五年先のことですから、これは現在の物価と、現在の経営において一応の目安を立てて、それから進んでいく、いかなきゃならぬ。そういう点になりますと、それじゃやれなくなったら、お前三年目になってまた値上げをするのか、そんなことは私やらないでいけるという見通しのもとにやっておるわけであります。
  185. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま運輸大臣からお答えになったと全く同感でございます。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ政府が今提案をして、参議院で予算を審議中ですから、まさか二年たってまた修正をしなきゃなりません、値上げをしなきゃならぬ、これは当然責任者としては言えぬと思う。しかし少くとも五カ年計画というものを立てる場合には、やはり五カ年間はこれでいく、しかし今の私は見通しとしては、政府当局なりあるいは事務当局としては非常に甘い考え方を持っておるんじゃないか。ということは、今の国民は少しくらいの運賃を値上げをされても、やはり国鉄を利用せざるを得ない立場にあるわけですよ。これはあなた方が運賃を値上げをしたら国民が文句を言う、文句を言えば乗らなきゃいいじゃないかと言えばそれまでですけれども、そういう立場にはない。今の国民の立場は、国民はどうしたって国鉄を利用せざるを得ない立場にあるわけですね。ですからこれはやはり大臣の言う、自然増収ということよりは、どうしたって国鉄を利用しなきゃならぬのだから、これはやはり収入というものは増大していく。こういうことが言えると思うのですが、これはそういうことだけを私は甘く見ては国民に対するほんとうのサービスにもならぬし、親切でもないと思う。従ってこういう運賃の値上げについては、そうした今の五カ年計画をやる、これだけのいわゆる輸送力増強ができる、これだけのサービスができる、こういう点を先ほど大臣の言われたように、たとえば二〇%なり三〇%なりの増強ができるのだ、こういうお話だと思う。しかしこれは非常に私どもとしては国民の生活に及ぼす影響というものは、今の当局が考えておるようなものではなかろう。これはもうすでに物価は上らないといって本会議でも言ったし、委員会でも言われているけれども、現実には物価は上りつつある。先ほど大臣が言われたように、物価が上らないとは保証ができないと言う。すでに上っている。そういう面から言うと、私は五カ年計画のうちの第一年度として今年度の中でそういう重要資材の値上りというものを見込んでおるか、こういう点を実は大蔵省に聞きたかったのですが、いかがですか。
  187. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま御指摘の点は非常に重要問題でございまして、もし物価が上りまするならば予算の円滑な消化にも事を欠いてくるわけでございます。ただいまの段階におきまして、予算を御審議願っておる段階において物価が上ったから予算が消化ができないということば申し上げることはできません。私どもとしましては物価が上らないように政府としては努力をして全体の予算の執行ができるようにしよう、こういう考え方に立っておるわけでございます。  国鉄の資材の調達につきましてもそれぞれの所要の資材につきまして現在の価格をにらみ合せまして適正に算定いたしておりまするので、かりに若干の値上げがありましたからといって現在考えておりまする事業計画が予定通りできないというようなことがないように、たとえば、資材の調達方法の改善に工夫を加えまするとか、そういうようなことを加味することによりまして、現在の事業計画計画通りできまするように体して参りたい、かように考えております。
  188. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵省の主計局次長が今物価の値上りをできるだけ食いとめていきたい、あるいは少し他の値上りがたとえばあったとしても、操作で何とか計画を実行に移していきたい、こういうお考えだと思うのです。ところが、物価の値上りを食いとめるなり、あるいはまたそういう物価の値上りというものをなくするためには政府の立場で低物価政策というものをとる方針なのかどうか、いわゆる具体的にどういうことをやってそれでは物価の値上りというものを食いとめていくのか、こういう点について御回答願いたいと思う。
  189. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) これは財政の運用、あるいは金融の運用両方相待ってやる問題でございまして、そのほか外貨予算の活用等によりましても物価の上昇に対応いたしまして適時に必要な措置を講じていくわけでございます。具体的にこの手、この手というふうにただいまから予定するほど私緊急状態にあるとは考えておりません。物によりまして上って参りましてその資材が足らなくなった場合に、たとえば外貨予算をつけまして輸入をいたしますとか、あるいは特に片寄った発注が政府部内に行われるような段階にあります場合には、その辺を支出の面におきまして調整いたしますとかいうようないろいろな方策を講じていくべきじゃないか、かように考えております。
  190. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して。どうも答弁が非常に抽象的で、われわれしろうとにはわからないのですが、今あなたが物価の値上げを食いとめるためにいろいろな手を打っていくと言われたのですが、その打っていく内容がわからないわけです、それで今私が直感した矛盾というのは、今まで政府がとってきた物価政策というものは低く物価を押えていこう、この低く物価を押えていくための重要な手段として運賃問題を実施されたと思うのですよ。つまり物価の主要なる要素といいますか、運賃というものが物価に非常に大きな影響がある、こういう前提のもとにいわゆる政策運賃をとられておる。いわゆる国鉄の独算制の採算を無視した、それに関係なく、政府のいわゆる低物価政策という、こういう政策の要請から運賃の問題を取り上げてこられたと思うのですが、今この物価を低く押えるために措置をとられるというのですが、今この運賃を、そういう方針を変えられていわゆる採算を償う運賃にするのだ、こういうようなことをやる、それも物価は上らぬのだ、こういうことを言われたのですが、こうも従来とってこられた政策と何か矛盾があるような気がするのですが、その点をもう少し親切に御説明を願いたいと思います。
  191. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 非常にむずかしい問題でございまして、いろいろおしかりを受けて恐縮でございますが、なるほど低物価のために運賃を上げるのは矛盾ではないかということは御指摘の通りでございます。しかし今回の値上げは一三%でございまして、たとえば家計費についてみますならば家計費の中で交通費が占めている割合は一%程度でございます。それに対する一三%程度であれば、これはまだ大したことはないであろう。  それから貨物の物資の点につきましても、物価の中で占めております運賃割合の一番大きいのは硫化鉱でございます。これが全体の中の二〇%八くらいでございます。それに対して二二%の影響でございますので、二、三%程度影響がある。こういうことから考えまして、比較的軽微の影響である。先に二十六年と二十八年に運賃の引き上げを行いましたけれども、その際も一向卸売物価に影響をいたしませんで、むしろ低下したというような現象も起っておりまして、さように考えまして、今回輸送増強のためにどうしてもこれだけのことをしなければならないということにかんがみまして、この程度の物価引き上げならば利用者の方にもがまんしていただけるのではないか、こういうように考えた次第であります。
  192. 大倉精一

    ○大倉精一君 何かこの運賃が生活費に響いてくるのは、あるいは家計費に響いてくるのは一%だとおっしゃるのだけれども、それによって算術計算をされて、いわゆる運賃が物価の中に計算できるのですか。鉄道運賃というものは重大な問題で、非常に連鎖反応がありまして、特に心理的な作用というものが非常にあると思う。そういうものを一体的確に物価の中に何%運賃が占めるかという、こういう計算基礎があるのですか、政府の方には。
  193. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 家計調査によりましてこの中で交通費が幾らかかっているか、こういうことでもって算出いたしております。
  194. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは直接汽車賃を払えば出てくるかもしれませぬが、ところがこれによって、連鎖反応があって、いろいろ物を買う、石炭を買う、木炭を買う、まきを買う、お米を買う、麦を買う、みんな上ってくる、その原因は運賃だとするならば、家計費に及ぼす影響というのはどうやって出すのですか。その汽車賃を払う金だけをもって、算術計舞をもってこれはこうだと、こういうようにやっていくのですか。
  195. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 確かに算術計算だけでもって軽微なものだからということは誤まりかもしれませぬが、一応私どもといたしまして、あるめどをつけます場合に、たとえば交通費は幾らかかっていると、家計費を調べましてそれでパーセンテージを出しまして、それに対して今度の運賃引上率をかけまして、どの程度の影響があるかということをもって一応のめどとした次第であります。
  196. 大倉精一

    ○大倉精一君 その議論はまた他日に譲るといたしまして、私は関連質問ですからこの質問だけしておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、低物価政策のために運賃を安く押えたと、これは事実だと思うのですよ。これを否定されるならば別だけれども、そういう政策を進められようとしているが、これは差しつかえないとおっしゃる、これによっていろいろ物価が上るかもしれない、しかしそれは押えるとおっしゃる。それではそういう物価の値上げに対してどういう手を打たれようとしているのですか。
  197. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 運賃を引き上げますることは引き上げないよりも低物価政策をとる上において悪影響と申しますか、物価を引き上げる方向にあることば事実です。しかしながら御承知のように現在滞貨が各方面に起っておりまして、輸送が不円滑な状態です。それがために経済活動も麻痺するというような状態になってくるものでございまして、むしろこういう状態を打開する方が、コストを引き下げまして物価高の誘因をなくすゆえんになるのではないか、かように考える次第でございます。
  198. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは今まで低物価政策をとられた、それは政策の要請から低運賃政策をとられてきたと、こうだと思うのですが、今の説明だよると、従来政府が低運賃政策をとってきた、いわゆる政策運賃をとってきた、その根拠というのはどういうところにあるか。そういう一割とか一割三分を上げて大した影響がないなら今までもそういう政策をとられていいんじゃないか。しかもこの国鉄の施設の老朽なり、あるいは荒廃なり、あるいは国民経済の膨張によるところの輸送需要増なり、これは当然もうその当時から、従来から既成事実として進行しておったわけでしょう。そういう事実は今始まったわけじゃないですから前からやらなければならぬわけでしょう。運賃値上げによってそういうものをやる、しかも物価には影響がない、こういうことだったらなぜ従来そういう政策をとってこられたか、その根拠を一つ明らかにしてもらいたい。
  199. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 先にも二十六年、二十八年に引き上げておるのでありますが、当初の計画よりも低目に押えております。その後さらに経済活動が活発になりまして物の行き来、人の行き来が多くなって現在のような隘路になっておるわけであります。これを打開いたします必要がどうしてもあるわけであります。それがためにその後の経済の好況によってある程度のカバーできる面もあるということも勘案いたしまして今回値上げをすることが適当である、かような結論になったわけであります。
  200. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの相澤君の質問に対する主計局次長の答えから関連質問がいろいろ伸びておるのですが、何かそのポイントは、相澤君の質問は物価が上った場合にはという想定の上に質問を発しているのですが、政府側の答弁は非常に主観的であって、上らないという前提に立って、上るというような形においては自分の方では答えることができないというような形で客観的に物を見て答弁していない傾きがあるのですが、そこのところに非常に食い違いがあるのです。政府の意思のいかんにかかわらず現実において物価の上るということは運賃値上げによって可能性があるので、そういう場合にはどうかというのが相澤君の質問だと思います。その焦点をはずさないように一つ答弁願いたい。
  201. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題を出すと、必ず二十六年に上げたが物価が云々と、二十八年に上げたが物価が云々というあれがあるのですけれども、しかし二十六年当時の客観的な経済情勢は今と同じかということを考えなければならない。あるいは大蔵大臣が本会議においてマル公物価をとったときには運賃値上げをすると物価は上るのだ、ところが自由経済の自由取引の今日においては、一割三分の値上げによっては物価は上らないのだと言われた。私はきょうは関連質問ですから深く入りませんが、これはいずれゆっくり論議をしていきたい。そうして運賃が上っても物価は上らんのだ、こういうことを国会を通じて国民がはっきりすれば安心してこの運賃値上げに賛成するかもしれない。そういう点を私は掘り下げて別の機会にやりたいのですが、二十六年に上げても上らんから今度も上げても上らんのだ、こういうことは、大蔵大臣答弁とだいぶ違うのだと思うのですけれども、その点をいずれやるとしまして、もう一点だけ御答弁を願っておきたいと思います。
  202. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 私が二十六年、二十八年のことを申し上げましたのは御参考までに申し上げたのであります。この点は私も当日本会議に入っておりましたが、大蔵大臣もさようなことを申しておったと思います。まあいろいろ全然物価が上らぬかということはなかなかむずかしい問題だと思います。これは影響があるのが私当然じゃないかと思うのです。しかし当面これによって多少の物価がその後、たとえば硫化鉱は先ほど引例いたしましたが、これが多少上りましてもそれによって連鎖反応的に非常に反映いたしまして卸売物価全体が非常に上るような事態にはならないのではないか、かように考えております。
  203. 岩間正男

    岩間正男君 そうですが、物価はあなたは低く抑えていると言うけれども、昨年の三月あたりは石炭はどうなんです、鉄鋼はどうですか。ちょっと、値上り率をあなたはつかんでおられると思うので。
  204. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 計数を持っておりませんが上っております。
  205. 岩間正男

    岩間正男君 昨日も論議したのですが、石炭は大体一〇%。です、九州炭は一〇%。その他五%くらい上っておる。鉄鋼に至っては三四・六%という値上り率を示しておる。これはどうなんですか。これを上げておいて、大口の独占物価は上げておいてちゃんと準備はできておる。そうして運賃を上げても吸収して余りあるのですから、とても一三%の物価値上げなんというのは鉄鋼の場合には三四・六%、それから石炭の場合でも四—五%くらいの炭価で、あるいは鉄鋼の値段の中で運賃の占める率は、これは完全に吸収できる、独占物価に対してはそういう措置をとっておる、すでに準備はできておる。そうしておいて一般の生活中心の問題についてはなかなかこれは吸収できない態勢にある。だから私は物価が上る上らないの議論をやっておりますけれども、ことに独占物価の場合と、それから生活必需物品の場合は非常に格差があると思う。ここが政府の物価政策じゃないですか、どうなんですかお聞きします。これは主計局次長にやはり、大蔵省が答えなければ、責任だから……。これはどうなんです。
  206. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 物価が上ります原因はいろいろあろうと思います。運賃の引き上げがなかった時代におきましてすでに御指摘のように石炭、鉄鋼も上っているわけでございます。今回値上げをいたさなくても、あるいは経済情勢の変更によりましては物価も上りましょう。また下る場合もある。そう考えますと運賃だけを取り上げまして物価に響くじゃないかというふうに考えるのは、今回の措置の御批判を願う場合に御勘考願いたいと思う点でございまして、今回値上げいたそうといたしますのは、非常に滞貨がふえて輸送が円滑にいかない、それがために物のコストが上ってくる。そういうことはかえって物価高の要因になるのではないかというようなことも合せ考えていたしたものでございます。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 どうも私関連ですから長くはやりませんけれども、あなたは物価を低く抑える、そのために今後操作するといっておるのですけれども、今言ったように一方においては昨年の三月からそういうことは事実として現われておるのです。こういう点はこれは大蔵省認めておるんでしょうな。そうしておいて物価を抑える政策でございますといっても、なかなかこれは筋は通らないのではないかと思います。そういう問題と関連して投資の問題も当然出てくるんでして、たとえば電源に投資しておる問題とか、国鉄の場合の投資が非常にない問題、しかし電力の場合は、大口の需要というものが大部分でしょう。パーセンテージからいって七〇%から八〇%は大口じゃないですか。ところが国鉄の場合は大衆なんです。御承知のように旅客運賃は大体五五%くらいは国鉄収入の率を占めておると思う。取りやすい大衆に転嫁しやすい。だから国家の投資はやらなくても、財政投融資はやらなくても、この部分を大衆に負担させればさっき相澤君の質問にありましたように、運賃が上っても国鉄に乗らざるを得ないのであって、ぎゅうぎゅうこれはしぼられる格好になってくる。しかしやはり電力の場合はだんなさんは大口なんです。なかなかここからは、大口の工場の電力料金を上げるということは非常に困難な面が出てくる。私はこの性格がはっきり出ておるのではないか。国鉄の場合は大衆が相手だ、それば大口のなにもありますけれども、ウエートからみると大衆なんです。これはやはり取りやすいのです。上げれば泣きながらも出すというような実情です。しかし一方は、大口のほんとうに今の大資本でしょう、こういうところが大需要者です。ここのところはなかなか上げることはできない、この方面についてはやはり仕方がない、従って電力のコストを上げることは困難だから、従って電力開発に対しても大幅の投融資をする、こういう格好が出ているのではないですか、この性格をあなたたち認められるかどうか、これは非常に重要な今度の国鉄運賃の値上げの中に含まれておる一つ性格なんです。これはいかがでございますか。
  208. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 岩間委員の御指摘の点もっともでございますが、電力も家庭で消費する電力があるわけであります。それから国鉄の点につきましても、もちろんわれわれ大衆がこれを利用いたすわけでありまして、その影響するところは軽くございません。しかしこれは御指摘のように大きな貨物を扱う大きな会社に影響するところもあるわけでございまして、今回国鉄につきまして値上げを行う一方、電力につきまして値上げを行わないのは何かそこに政策的に区別してやっておるのじゃないかという御指摘でございますが、さような考えは毛頭持っておりません。
  209. 岩間正男

    岩間正男君 なかなか持っているとはお答えにならないと思うのです。そう答えたらこれは大へんなことになる。しかし事実こういうものが現われたでしょう。われわれはものの客観的な資料をあげているのですよ。そうして数字をあげてこれは言っているのですが、これは主観的なあなたの判断をわれわれはすることはできない。  もう一つだけ言わしていただきますと、もう一つ問題があると思うのですね。先ほどなぜやはり国鉄に対して投融資をしないか、必要以上の財産をやっているのだからその中で適当に運営したらいいだろう、大へんな財産じゃないか、こういうことを言っておりますがね。これは私この言葉もこれは中村さんにも答えたのですけれども、検討する必要があるのです。国鉄の財産といっておりますが、二兆といっていますが、政府は今そう言っておりますが、戦争前どうですか、国鉄は黒字じゃなかったか、そのときかせいだものの蓄積もあるわけです。そうでしょう。それから黒字が出るというと戦争前は一般会計にこれは繰り入れたじゃないですか。取り上げたじゃないですか。政府はそういうときはそうやっているのだ。お前の方はもうかっているからこっちによこせといって取り上げているはずです。これは軍事費の財源になったはずです。われわれはちゃんと見ているのです。そうでしょう。そういうことをやるときには平気でやっているのに、今度はそれは大へんだ、とにかくこれは一つの要請もあって大口輸送をやらなければならない、このだんなさんの要請が一番大きかったと思うのです。輸送力増強の問題、そういう過誤を犯しておきながら、この輸送力増強をやる場合には国鉄の投融資はできないのだと、そうしてしかも私はこれも午前中に質問したのでありますけれども、たとえば六十五億の投資に対してはこれは全部切ってしまう、それだけじゃない、三十億のこれは借入金をもう払えというので、こういう中で今年度の予算編成のときには、当初の予算の場合ですと国鉄の要求を逆に六十五億をゼロにしただけではなくて、さらに三十億も今度は取り上げているわけです。こういうむしろ締めているのです。そういうことをやっている。そうすると、私はどうも一連の今のお話を聞いておりまして、そうしていかにも大きな財産を国鉄にやっているのだから、それでまかなえというのは、今までの関係からいうと、戦争前までのこれは縁故を考えてみるというと、少しどうも筋が通らないように思うのです。そういうものの背景には、今の電力の場合にあれだけの大幅の投融資をやっておいて、国鉄の方はほとんどこれは今言ったような形で締めてきているというところに現われているのじゃないか、相手が大衆でこれはしぼりやすい、しぼるという言葉がわれわれの用語だったらまずいですからこれはやめますが、そうじゃないですか。ここに国家のやはり財政政策がはっきりあるのだということをあなたはお認めにならなくちゃならないのですが、どうですか。これは客観的な例をあげていっているので、この点はっきりして下さい。この点ではどうですか。
  210. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 戦時中国鉄投資をいたしました場合に、これを今中されましたようにとった例が確かにあるように記憶いたします。私冒頭相澤委員の御質問にお答えいたしましたのは、全部が全部政府が出しておるという趣旨で申し上げたのではございませんで、大部分が政府の出資に基いてできてきた資産ではある、しかも融資の方においても全然めんどうを見ないわけではないので、見ておりまして、そういうことを申し上げたのでありまして、御指摘になりました三十億の借入金の返済の問題につきまして、これも過去二、三年にわたりまして返還を免除して、猶予して参りましたが、借りたものはやはり一つの企業体としてはっきり片をつけるのが真理だと思います。それを一ぺんに返さすのはこれは酷であるから五カ年に分けて六分ずつ返していただきましょう、それがために必要な金はまた別途につけましょう、こういう筋でやっておるのでございますことを御了承願いたいと思います。
  211. 岩間正男

    岩間正男君 どうもやはりそうおっしゃっても、今度のやり方は電力と比べてみると性格ははっきりしていると私は思う。大臣は少くとも私のような、今貧弱なことを申し上げたのですが、こういう理論を根拠にして投資をされるように努力されましたか、どうですか。向うの大蔵省が、切ってそのままになっている大臣だとは思いませんか、今のような点で私は国鉄を擁護するわけではないのだが、主張としては通るのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  212. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この問題は、岩岡さんに昨日からお答えした通りの根本的な考え方でありまして、昨日申し上げた通りに私の考え方、またあなたの御議論も御議論で経過してきている通りであります。
  213. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の私の質問からの関連質問でだいぶ時間がたってしまったのですが、これで、やはり宮川さんにはっきり認識をしてもらいたい。というのは、国民生活というものはペーパー・プランで考えて、二一天作の五というわけにはいかんのです。現に国鉄運賃の一三%の値上げという中に、いわゆる運輸当局からも説明をされた、この資料の中にある値上げのいわゆる品目でですね、こういうものについても、一三%のものもあれば一一%のものもあるし、その中に生活必需品のように一七%のものもあるわけです。ところがこの一七%のものを、それでは業者がそれを全部負担をするかというと、そうじゃないのです、これは。これはやはり物価にはね返ってくるわけです。物価にはね返ってくれば、それは今度は消費者にはね返ってくる。ここに国民生活と鉄道運賃のいわゆる最も大きな問題があるわけです。生活費から離れているものじゃないということを私どもは指摘しておるわけです。そこで私はきょう、おそらくあなたに物価論議の問題を、低物価政策をとるか、あるいは押えるにはどうするかということを議論をしても、今までのお答えの通りの域を出ないと思うのです。いずれこれは大蔵大臣を呼んで、本委員会でやはり究明をしていかなければならぬし、また政府の所信もたださなければならぬと思うのです。私少くともこういう面で政府が、いわゆる業界の人たちに対する特別なそうした鉄道運賃の値上げなりに見合うところの資金というものを出すなり、あるいはそれだけの手当をするということであれば、これは議論が成り立つと思うのです。そうでなければ、もうすでに私は運賃の値上げということでやはり物価の値上りを来たしておる。また来たす。こういうやはり現実の問題を私はあまり認識をしてないで議論をしてもこれは仕方がない、こういうふうに思うのです。ですからこの点については、きょうはそういう意味で、先ほど他の委員の方からもいろいろ言われた通り、いずれ物価の値上げの問題については一つ大蔵大臣等の御意見をお互いに聞きたいと、こう考えております。  そこでさらに大蔵省の主計局次長に一つお尋ねをしておきたいのですが、国鉄は御承知のように支払準備金というものを持っておるわけですね。この預託金に対して四十億からの資金というものをいわゆる準備をしておるわけですが、これらについて利子をどの程度お考えになっておるのか、あるいはこういうものを考えないのか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  214. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 国鉄につきましては四十億、電電公社につきましてはたしか三十億まではいける、国庫で無利子でやりますが、それをこします金額につきましては日歩八厘の金利をつけております。当初つけました予算が不足いたしまして、先般第二次補正予算に所要の予算措置を講じたことも御記憶の通りでございます。
  215. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の、四十億をこすものについては日歩八厘の利子を支払う、こういうお答えですね。しかし、この国鉄のいわゆる資金というものは、先ほども申し上げたように、そのほとんがいわゆる大衆からあげたところの収入である。政府出資というものは、先ほどもお話があったように、国鉄に出資するかと言ったら出費はしない。借り入れについて、わずか新線建設について七十億、そして公債について八十億、こういうような考え方を大蔵当局としては持っておる。にもかかわらず、この四十億までなぜ無利子でなければならぬのか。その根拠というものは、大衆から見た場合、自分たちがそれだけの、もしそれに対する利子というものが幾分でも還元をされるということになったら、これはやはり運賃の値上げにも私はかなり影響してくる。たとえば運賃の値上げに影響しなくても、他の施設の問題に私はこれは振り向けられるのじゃないか、こういう点を思うのだが、一体それはどういう意味なのか、こういう点を御説明願いたい。
  216. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) はなはだ恐縮でございますが、この点私の所管外のことでございますが、大体国鉄あるいは電電から預かりまする金は非常に短期の金でございまして、短期の金を国鉄自身が持っておりまする場合に、これを国庫に預託してもらいまして、国庫からまた必要な金を無利子で貸すと、こういう制度をとっておりまする関係上、ある限度まで無利子にしておる。かように考えておりますが、詳細な点は私所管外でございますので、後日の回答にお許しを願いたいと思います。
  217. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、所管外であれば、詳細のことについてはお答えできないと思いますから、後日大蔵省の関係の方に、一つあなたを通じて出していただきたい。  それから大臣にこの点はちょっとお伺いしておきたいのですが、今言われる通り国鉄の支払準備金については、政府が預かって、そうして他に必要な場合にこれは無利子で出すと、こういうことなんです。ところが国鉄については、先ほどもお話のあったように、公債の場合においても別に利子を負けてくれる、銀行が利子を負けてくれるということはないわけですね。この点どうですか、負けてくれますか、ちょっと大臣にお尋ねしておきたいのですが。
  218. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) それは、預金部の金はそれだけ安くなっていますが、民間資金は普通になっております。別に負けてもらっておりません。
  219. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはですね、運輸大臣一つこれからの運輸行政の中でこれは考えていただかなければならぬものであって、当然国鉄が一番の収入として持っておる金であるから、やはりこれは成規の手続に従うべきである。これはリア・ケースとして、政府の苦肉の策としてこれは作られておるものだ、こう思うのです。ですから、これは当然支払準備金については正規な利子を支払うことを今後私どもは運輸大臣として、いわゆる当の運輸交通の最高の責任者としてこれからの私は政策の中に織り込んでもらいたいと思うのですが、運輸大臣はそういう点についてはいかにお考えになりますか。
  220. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは今事務当局に聞きますと、私実は知らなかったのです、こういうことは——検討しておるそうでありますが、おそらくは、私もよく知らないのですが、これはこの間から問題になっています各国鉄の駅の収入を一時国庫に入れた金だろうと思うのであります。あるいはそうすると、それはある期間は動いておって、それが四十億以上になれば八分の利子をつけるというのは、四十億くらい全国でたまってくると、これは国庫においてほかへ使うこともできるかもしれないですが、この大きな収入の中で三十億か四十億に使うだけの範囲になるのじゃないかと思うのですが、私よく知りませんから、今研究中だそうですから、またあとで……。
  221. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは運輸省の權田監督局長の方がいいと思うのです、事務的に。そこで、一つ運輸大臣としては、あまりこまかいことまで気を使うといけませんが、しかしこれは、運輸大臣によく考えてもらいたいことは、国鉄予算が膨大であるから、四十億というものはささいだという考え方は間違いでありますから、この点はぜひあなたも一つ考え直しいただきたい。そこで權田局長にこの問題についてお答えを願いたい。
  222. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 今御指摘の、相澤先生御指摘の問題は日国法の四十二条二項でございまして、四十二条で「日本国有鉄道は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。」、いわゆる国庫預託がしかれております。例外の場合に「業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、」言々というすでにお答えした問題があるわけで、その二項で「政府は、前項の規定により国庫に預託された預託金については、大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附するものとする。」、こうなっております。これはすでに御存じの通りに支払準備金というような形でいっておりまして、国有鉄道の収入額に見合いましてまたいろいろ支出がございまして、これは当初二十一億まで無利子であった、それがその後、現在では四十億まで無利子になっておりまして、現在その四十億をこえる分については日歩八厘という利子がついておるわけでございます。これは当初のいきさつから支払準備金でありまして、いつ支払いに充てる金かわからない非常に短期の金であるということによって、一時預託するがすぐ支払うという建前で、その限度においては無利子である、しかし、それをこえるものについては、その性質を越えるから普通の預託金のように利子を付すべきであるというので、この四十億の額がきまったのであります。これをしからば現在の段階でこの四十億がいいか悪いかという問題については、これは大いに議論の存するところであります。われわれといたしましても、これは大蔵の財務当局とはこの額についてどう考えるか、あるいは全額日歩をつけべきじゃないか、あるいはこの額を支払準備金の性格で幾らに査定すべきかということは、折衝しておりまするが、今段階では今御説明した通りにやっております。また国鉄部内でもいろいろ資金操作の関係等から、これらについては相当の利子を付すべきであるという意見も私の方に連絡がきております。これはただいまのところではそうなっておりますので、今年度の予算でも、実は補正予算を組んでもらって、日歩八厘の全額支払いをできるように今予算措置をとっていただいておりますが、今後の問題としては、御指摘の点は十分双方に言い分のあるところでございますから、私ども事務当局として鋭意検討したい、かように考えておる次第でございます。
  223. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは運輸大臣もぜひ、重要な閣僚の中の大臣として、一つ運輸省の立場、あるいは国鉄を監督する立場において主張していただきたいと思うのですが、御承知のように銀行法については、非常にいわゆる政府自体としても援助をなしておるわけです、銀行については。ところが国鉄が、今言った大衆から収入をした金でも四十億までは銀行にただで預けておく。銀行はこの金をいわゆる他に使うことができる。これは実際に政府の必要な資金として出す場合にはもちろん無利子で出す場合もあるかもしれませぬけれども、実際にはこれを取り扱った銀行というものは非常に有利な態勢にある。だから何のことはない、人のふんどしで相撲をとってもうけているというのが、これが今のあり方なんです。こういう点をやはり考えていただかないと、今もうすでに日銀を初めいわゆる金融というものは、もう利子を下げてもいい、こういう段階まできておる現在、無理にダブっている所へよけいに金をつぎ込んでいくというような形になってくるわけなんです。これはまあ、その議論といえば大蔵省の中でいろいろあろうと思うのですが、やっぱり十円、二十円、あるいは百円というような運賃を支払って乗った大衆の尊い金というものを、四十億まで無利子でおくというようなことは、やるべきじゃなかろう。そのくらいなら、運賃を値下げするなり、あるいはその金によって他にそれだけの施設をし、あるいはそれだけのサービスが行えるように、国民のために使うべきであろう、こういうふうに私は思う。これはもう、銀行だけがもうかる。政府がもうかるかもしれませぬけれども、政府というより、実際は銀行がもうけておる。こういうことで、私はこの点については、今權田局長が言うように検討をして、少くともそういうふうに扱うべきであろう、こういうふうに思うわけです。そこで、その点については、大体事務当局も運輸大臣も御納得がいただけたことと思うのでありますから、あとは大蔵省の方で、先ほどの点をよくお考えになって、今後の政策の中で一つ明らかにしていただきたいと思うのです。  そこで、次にお尋ねいたしたいのは、実はこないだの公聴会で、こういう意見が出されておったわけです。それは、国鉄職員が今まで非常に安い給料の中で、しかも、いろいろ午前中に議論のありましたように、一日に何人という職員が死亡し、あるいはまた負傷をしていくというような、こういう劣悪な労働条件の中で、最も危険業務の中で仕事をしていきながら、給料というものは、大蔵省がやはりなかなか、国鉄当局と組合側で団体交渉をしても、それは認めないと、こういうことがよく出てくるわけです。そこで、そういういわゆる生活面あるいは給与面について、一番大きな関心を持たれておった国鉄職員のパス等の問題があったと思う。ところが、今回の運賃の値上げを機といたしまして、いわゆる国鉄職長のパスを取り上げるとか、家族の者は制限をするとか取り上げるとかいうことを言っておるわけです。そこで、公聴会では、それでは国会議員のパスは一体どうしたらいいんだ、国会議員のパスをむしろこの際なくしたらいいんではないか、こういうような意見まであった。これはまあ、国会議員というのは、やはりそれだけの重要な仕事をするというのであるから、(笑声)少くともそれだけ国鉄が本来ならば当然収入としてあげるべきものが、いわゆるただであると、こういうことについて、こないだの公聴会では、やはりそれだけのものを議会が予算化すべきじゃなかろうか、こういう点があったと思うのですが、こういう点について、大臣はどのようにお考えになりますか。
  224. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 国鉄がまあ世論といいますか、から追い詰められて、そうして家族パスを取る、それから物資の八割の割引もやめてしまうというようなことで、それから出る金が幾らかといえば、合計五億円というようなことで、まあそこまで窮屈にやらなくても、まだほかに締めるところはありそうなものだとは思いますが、これはまあこういうふうになってきましたが、しかし、これを議員のパスと同じように法律でもってきめるということになると、そこまでいかないでも、国鉄国鉄内部でまた考える時期もあるかと、こういうふうに考えております。
  225. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のお尋ねしておるのは、運輸大臣、こういうことなんです。自分の自動車を動かしたり、自分で汽車を動かす者が、一々運賃を払って乗るというようなことは、これはおよそ考えられないことなんです。これは、今運輸大臣の言う通りに、もう当然、自分の車については自分が乗るということは、これは当りまえのことなんです。けれども、私どもが言っているのはそうじゃなくて、国鉄がそれまでいわゆる世論というものにおもんばかったか、あるいは苦労されたか知らぬが、自分の子供は頭をたたいてみたり、あるいはつねってみたりして、これまで自分の子供は仕置きをしておりますよ。どうか一つ皆さんも運賃値上げをかんべんをして下さい、こう言っておる反面に、国会議員のが、何か計算をしてみたところが、一億円くらいあるそうですよ。そのくらい必要だろうというのですね、この間の公聴会では。そういうような点について、運輸大臣は、国会議員のパスを取り上げて一億の交通費を出すのか、あるいはまた、パスをやるならばそういう資金考えていくのか、また、大蔵省は、そういう点について国鉄に非常にこれでは気の毒だ、こういう気持を持つのか、そういう点をちょっとお尋ねしておきたいと思う。運輸大臣先に一つ
  226. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 国会議員の法律をやめてパスを取り上げるなんということは、これは私だけでなんのわけにもいきませんが、その他の点については大してあなたと考え方は変らないようです。(笑声)
  227. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵省は、この予算の問題で、どうですか、一億ばかり出せますか……。続いて一緒に、主計局次長、あなたにお尋ねをしておきたいのですが、いつも国鉄の場合に問題になるのは、警察官の無賃乗車あるいは消防官の無賃乗車、こういうものが非常に一般の人からも見られるわけです。しかし、それぞれの職務があってこれは必要欠くべからざる場合もあると思うのです。国家的な任務もあるし、あるいは地方の任務というものもあろうと思う。そういう点については、やはり正しい方向に行くということは私は必要だと思う。そういう意味で、必ずしも全部が無賃ということでは、これはまあなかなか問題は解決されないと思うのですが、少くとも今の国鉄が一般国民大衆に運賃の値上げを要請をしなきゃならぬ、こういうような事態が来たときに、いわゆる国家機関の中での消防官あるいは警察官等に対するそういう予算的な問題についてもどういうふうにお考えになっておるか、こういう点は国鉄の経理局長もおるから、あわせて大蔵省の主計局次長と二人で御答弁を願っておきたい。
  228. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 相澤委員の御質問の点につきましては、国民利用者の運賃を上げていなきゃならぬというような時代になりました場合には、やはり一般の官のこれを利用する者につきましても漸次適正な運賃を支払っていくという方向考えるべきだと思います。消防官、警察官は、いろいろ業務上の都合で今までこれを無賃にするというようなことになっておったと思うのでありますが、やるにいたしましても最小限そういう制度の適用される範囲をしぼりまして十分これは検討をしなきゃならぬような問題じゃないかと思います。  先ほどお尋ねになりました国会議員のパスの問題につきましては、これは法律で規定されておることでありますし、国会議員の御職責の重要性から考えてまして、今これを廃止するというようなことは考えておりません。
  229. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 国会議員の無賃乗車につきましては、法律で定めておられるところでありまして、私どもといたしましては、法律の規定に従って無賃乗車証を差し上げておるわけであります。それから警察官と消防官につきましては、警察官につきましては、一部公務執行中の者につきましては、その担当区域内の公務執行中の者については便宜無賃乗車を認めるという通達を出しております。これは、いろいろ問題がございまして、警察方面ともいろいろ折衝の結果処理したのでございます。そのほかのいわゆる一般の場合につきましては、私どもとしてこれを無賃乗車の取扱いはいたしておらないのでございます。ただ現実にそういうような慣習と申しますかが行われておるということは、まことに遺憾でございます。これはいつも国警あるいは消防本部、そちらの方と折衝して自粛していただくように申し入れをいたしております。私どももその点は今後是正して参りたいと思っておる次第でございます。
  230. 相澤重明

    ○相澤重明君 石井務理事にお尋ねをしておきたいのですが、先ほどのお話では、公務執行中の者については国鉄としてもいわゆる話し合いの中でこれをただで認めると、こういうような意味のお話であったと思うのですが、警察官なり消防官なりが無賃で乗車をしておるということについて、あなた方は統計的にこれを計算したことがあるか、あるいはまたそういう問題について大蔵省と折衝したことがあるのか、大蔵省のこれは主計局次長に聞かなければならないのでありますが、国鉄からそういう話があったのかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  231. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまの御指摘のような点につきましては、非常にケースが何と申しますか、たくさんの乗客の中でごくまれに行われるもので非常に実態をつかみにくいということでありまして、まだ正確に計算いたしたことはございません。従ってそれに基いて大蔵省共の他の方面に御折衝申し上げたこともございません。
  232. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 常務理事よりお答えした通りでございます。
  233. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連してお伺いしておきたいのですが、今度の運賃値上げに伴って国鉄では家族のパスを取り上げたわけですが、これは自発的にやられたものか、あるいは大蔵省あたりの意向でやられたものかということをお尋ねしたいと思うのですが、私の心配することは家族パスを取り上げたということによって、いわゆる顔パスがかわりにきいてくるんじゃないか、これは顔パスを防ぐために家族パスを出しておったように聞いておるのですが、これは表面家族パスを取り上げていかにもいい工合になったようになっているのですが、今度逆に顔パスがきいて、これも一緒に乗せてくれ、これも一緒に来たんだから頼むというようにかえって無賃乗車が多くなるんじゃないかということを心配するのですが、そういう点についてはどうですか。
  234. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 職員パスを取り上げたということではございませんので、ただ家族に対する乗車証の支給を停止した、従いまして御心配のようなことは万ないと存じております。なお一そうそういう点について厳重に自粛させたいと、かように考えております。
  235. 岩間正男

    岩間正男君 主計局次長さんは取るものは取るんだ、出すものは出すのだというはっきりした建前で言ったわけですが、それをやったらいいんじゃないですか。国会議員なんか遠慮する必要はないのです。取るものは取る、出すものは出す。国鉄の場合、やはり家族パスを取り上げるなら反対給付をやるべきだ、これは既得権ですから。そうなればもっと明瞭になると思うのです。警官でも出せばいいんです。われわれ国会議員も辞するものではない。そういうふうにするのが一番明瞭だと思うのですが、実に前近代的な会計、すなわち経理の非民主性が、そういうことを根拠にして行われたので、その与えている影響は非常に大きいと思うから、どうでしょうか、こういう点についてもっと経理を明瞭にしたらどうですか、近代的にしていいころじゃないですか。
  236. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 国会議員に対するパスの支給は法律で古くから定められている制度でございまして、岩間委員の御指摘のように、取るものは取る、与えるものは与えるではっきりさしたらいいじゃないかということも一つのお考えであると思いますが、長い伝統でやってきている制度でございますので、これを改めまして国会議員にそれだけの交通費を出すということになりますと、またそれだけ一般会計の財政負担がふえるというような格好にもなる問題でございます。この点については十分研究いたしたいと思います。
  237. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間がだいぶ過ぎたので、あとはきょう全部質問することはできないわけです。明日に回したいと思うのですが、最後に締めくくりの問題として大臣にぜひお考え願っておきたいということは、私の先ほど申し上げたのは国民大衆の感情ですね、やはり国民の感情というものは自分たちだけ、弱い者だけが常にいじめられるのだという感情だけはなくするようにこれはしていくのが民主主義の世の中だと思うのです。ですから警官であれ、消防官であれ公務にかこつけると言うと大へん語弊があるけれども、もしそういうことでただ乗っているの、だということになると国民感情というものはあまりよくない。そこで、だからといってそれじゃそういう低額所得者に——大して給料もくれておらない警察官や消防官だと思うのです、そういうものに今度は交通費を払えといってもこれはなかなかできない。そこでそういうものには当然国が必要な業務を行わせる、あるいはそういう任務を与えているわけですから、やはり予算的な措置をして、国鉄には先ほど私が申し上げたように同じような扱いをすべきではなかろうかというふうに思うのですが、その点大臣はいかにお考えになりますか。
  238. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御趣旨はもうごもっともなことであります。国民感情からいうわけでありまして、たとえば警察官の問題にしても業務上乗っておればだれもこれは当然のことのように思いますが、ただ通勤だけに黙って乗って歩くと、やはりほかのお客は気持よくないということもあろうと思います。そういうことはやはりお話のようにこれに対して国庫から一つそれに見合うものを国鉄に出すものかどうかというところまで検討をしなければならぬ問題だと思いますが、国会議員の問題は、私もその一部ですが、国民感情は自分たちの選出したものにそのくらいの特権はあってもよかろうと思っていると思います。
  239. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは一つ国鉄当局にお願いしておきたいと思うのですが、具体的に各線区についてそうしたトラブルというものがなるべく起らぬようにしていくために、将来のそうした予算的措置をとるためにもやはり調査はしておかなければいかぬ、そういうものを一つ調査をして、できるならばそういうものが一体予算に換算すればどの程度になるかというようなことも一つわかったならばこの運輸委員会に提出していただきたい。  本日はまだ私たくさん質問があるのですが、時間もありませんので、委員長きょうあと続けるなら私やりますがいかがです。
  240. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  241. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時散会