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1957-03-25 第26回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十五日(月曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            後藤 義隆君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            加賀山之雄君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     藤井松太郎君    日本国有鉄道常    務理事     並木  裕君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道経    理局長     久保 龜夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまより運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 大倉精一

    大倉精一君 前回の委員会で、中村君の質問に関連して、笹島操車増員について回答を保留しておいたのですが、その後、あの問題について御調査になった結果、具体的にどうするか、ということについて御回答を願いたいと思います。
  4. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 笹島の問題につきましては、小口混載制度の強化に伴う人員配置転換が考えられるということになりまして、組合側の方で、この制度の実施に関連いたしまして、いろいろ反対の意見もあったようであります。同時に、あわせて笹島の駅におきます平素の定員ストップ増員ストップというような趣旨の申し入れがございまして、これと両方合わさって、いろいろ組合側管理者側と話し合っておったようでありますが、当局の力においても、若干の増員ということでいろいろ相談をいたしまして、私の聞いた範囲では、大体円滑に話し合いが進んでいる、解決を見るように聞いておる次第であります。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 私のお尋ねしているのは、組合との話し合いがどうなっておるか、これはまあ私はあまり関係なく質問しておるのですが、あそこの操車要員が十七名要る。これは私は現地を実際見てきたのです。見てきますというと、実際十七人要るのです。これはいろいろこまかい技術的な説明もありましたし、あるいは作業現場も見ましたが、これは交渉という問題ではなくて、あそこの作業をやっていくには、あるいは規則通り作業をやっていくのには、十七名要る。一操三連を四連にしなければいけない、こういう実態があるのですが、こういう実態を把握なさって、この増員をどうするか、こういうことをお尋ねしているわけです。でありますから、いわゆる五カ年計画に一人も人員をふやさない。ほとんど配置転換あるいは近代化合理化等によって、こういうものは解決するのだとおっしゃっても、現在ただいまの状況がそうであるということになってくると、これはそういう紋切り型の答弁では納得できないわけです。そういう具体的な問題について、ただいまの問題についてどうするか、こういうことをお尋ねしているわけで、そういう観点に立って一つお答えを願いたいと思う。
  6. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 現場のこういう具体的な個所におきまして何人の定員が必要かという点につきましては、これはまあ各職場の具体的な諸条件によっていろいろ異なっております。また業務量増加減少等によっても異なって参ります。従いまして、私どもとしては、これを全部監理局長権限にまかせて、監理局長において決定をいたすということにしておりますので、お話がございました笹島の駅において、何人が定員として必要であるかということについては、これは現地責任者が決定すべきものと考えております。ただ、その際に、もちろん職員側といろいろ相談し、納得を得てやるという態勢かと思います。ただ、全般的な要員需給五カ年計画につきましては、これは再三御説明申し上げておりますように、将来の業務量増加に対応いたしますものは、あくまで設備の近代化機械化等によりまする要員の捻出をもってこれに充てるし、また一部たとえば新陳代謝のある機会をとらえまして、必要な職種間の配置をいたす。たとえば年度末において相当大量の退職人員が出るわけであります。その補充は最も輸送力拡充の必要な方面に優先的に充足することによりまして、いわゆる具体的な、人を右から左へ動かすという配置転換でなしに、新陳代謝の形による配置転換をスムーズに行なって参りたい、こういう考え方でございます。
  7. 大倉精一

    大倉精一君 今の御答弁によるというと、笹島駅の今、問題になっておる定員につきましては、これは局長権限でやるという工合お話ですが、現地ではいわゆる当局の方で六人を増加をするという案があるそうですが、それ以上になるというと、局長権限ではどうにもならぬというようなことで、非常に問題がこじれておるというふうに聞いておるのですが、増員に関しては、これは局長権限で全部やれる、こういう工合に解釈してもいいのですか。
  8. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 監理局長ももちろん経営責任者でございまするが、しかしながら、増員につきましては、これはいわゆる経営の基本である人件費の将来の見通しの問題もございますので、本社といたしましては、各局ごとに総ワクはきめております。従いまして、おそらくただいまのお話は、笹島の駅につきましては、六人までは局としていろいろ工夫をすれば、局の持っております権限内でできる、しかしながら、それをこす場合には、どうしても本社の方に増員——いわゆる個々の駅の増員という意味でなくして、監理局長の持っております権限内の人員を増してもらわなければできないのだ、そう申しておるかどうか知りませんが、かりにお話のようであるといたしますれば、そういう趣旨のことではないかと思うのであります。この点につきましては、本社といたしましては、局との相談に応じて、いろいろ苦心をいたして、必ずしも川の言い分を全面的に承認するわけにも参りません。諸般の事情等あわせて考えて、本社といたしましても、総体の人員ワクの中で、局の言うことがもっともであれば、これに応ずるということになるわけでございます。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 どうも答弁が非常に抽象的なんですが、私は具体的にお伺いしておるわけなんです。それで、あの現場を見てみるというと、いわゆる服務規定、あるいはいろいろな内規があるそうでありまするが、そういう競走通りの仕手をやるということができぬ、こういう状態にあるわけなんです。規定通りの仕事をやろうとすると、十七名最小限度要る、こういう実態にあるのですが、もし実態がそうだとするならば、十七名というのは増員されるのですか、あるいは配置転換等によって埋め合せるというような方針なんですか。
  10. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私の申し上げましたことにつきまして、多少言葉が足りないで御理解がいただけなかったかと思うのでありますが、ただいまの笹島の個別的な問題につきましては、果して十七人というものが絶対に必要であるか、どうかということについては、これは局の方でいろいろ勘案して、俗に申せば、査定をいたしておるわけでございます。従って、私どもとしては、局の方でどうしても十七名要るのだということになれば別でございまするが、まあ六名で足りる、あるいは九名で足りるという話になれば、私どもとしては、現地責任者の数をもって必要な人員と考えることに相なるわけでございます。
  11. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  12. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 国鉄運賃値上げ法案につきまして、いろいろ大臣にただしたいことがあるんでありまするが、時間の関係から、その主要な問題に限って、時間の許す範囲内で御質問申し上げたいと思うのであります。  第一に私のお聞きしたいことは、今度の運賃値上げはあまり物価には関係がない、あまり響かないと、こういうことを今まで政府はあらゆる機会答弁されてきたと思うのであります。ただその際、物価といいましても非常に内容が迷うだろうと思う。たとえば大口貨物の場合、いわゆる独占資本家石炭であるとか鉄鋼であるとか、そういうような場合ですね。それからまた生活必需品大衆生活にどうしてもこれはなくてはならない米を初めとしまして、そのような必需品の場合は、これは非常に私は性格が違っているのじゃないかというふうに考えられるわけです。そこで、現在見ますというと、独占物価では、なるほど今度の運賃値上げはね返りは少い、また、少々の値上げがありましても、それ吸収することができるような態度になっておる、こういうふうに考えられるわけです。この点について政府答弁では、おしなべて同じように、あまり今度の運賃値上げによっては物価影響がないと、こういうふうに答弁されておるわけでありまするが、私は、物によりましては、非常にその間の違いがあるというように考えまするので、大臣の御意見をまず伺いたいと思うのであります。
  14. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 重要物資につきましては、そのものには直接運賃値上げははっきり響くと思うのであります。ただ、それが原料、資材であるがために、それから後の加工その他の部門にいく間にこれが吸収されるかという問題が残っております、率直に申しまして。それを私どもは、今日の一般物資需給関係並びに生産の状態等から、この程度運賃値上げ基礎資材においては直接影響がありませんので、それが結局末端までいく間に吸収されるだろうと、こういうように考えており、また吸収されることを希望しておるわけであります。それからまた、一般消費物資につきましては、物によりますけれども、米についてはむろん八、九%から一五、六%の値上げがありますけれども、これは小売価格というものには影響のないようになっております。その他の物資については、魚類、野菜、くだもの、その他薪炭等についてはむしろ物価の値下りの方の影響があると、これは輸送が増強しますれば、今日のような滞貨を生じてなければそういう関係にあるのじゃないかと、こういうように見ております。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 私は、大体、今度の運賃値上げによりまする各物価に対する影響、こういう点でわれわれなりにこれは分析をしてみたのでありますが、とにかく生活必需品に対する影響は、これは非常に響いてくると思うのです。ところが、石炭とか鉄鋼のようないわゆる独占物資の場合は、これはこれらの影響をすぐに吸収することができる、そういう態度をすでに政府価格政策の中にとられておるんじゃないか。この点が非常に重要な問題だと思うのです。まあ、大体考えてみますというと、もう昨年あたりから石炭は、九州炭の例をとってみましても、もう一〇%上っておる。その他のものも大体平均してみましても五%上っておる。鉄鋼に至りましては、これは鉄鋼下足影響しておりますけれども、三四・六%、このような膨大な価格がすでに上げられておる。従いまして、ここで運賃値上げをやったとしましても、すでにそのような価格政策の中で幾ばくかの運賃値上げをやったとしても、これを吸収することは非常にたやすいような形になっておるというふうに考えられるわけです。で、こういう点が生活必需品の場合とまるで様子が違うのじゃないか。こういう点は、大臣はお認めになりますでしょうか、いかがでございましょうか。
  16. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) ただいまお話の点は、大体私どもも、どの段階においてかは別として、この重要物資につきましては、吸収をされていく、生活必需品については、ただいま私が申し上げた面と、そうでなく、直接やっぱり値段に響いていくもののあることはむろんでありますので、ただそれが平均いたしまして、この生活費の上に大きな影響はなかろうと、こういうように考えておるだけであります。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 今度の値上げの結果を見ますというと、たとえば独占物資に対して運賃の占める割合、そういうものが出されておるわけですが、この資料によりましても、たとえば石炭運賃単価中に占める割合は今度の値上げを含めても六・一%、こういうような格好になっておる。それから鉄鋼銑鉄の場合ですと三・五%、普通鋼材が一・九%、原木が七・八%、人絹、パルプが〇・八%、こういうような形になっておるようでありますが、これは昭和十一年あたりの基準をとってみますというと、非常に少い。たとえば昭和十一年の石炭単価中に占めるところの運賃割合は九・八%、銑鉄が今度の三・五%に対して六・六%、こういうふうな形になっておると思うのです。それなのに、この生活必需品の場合を見ますというと、これは昭和十一年あたり数字に非常に接近してきています。米の場合をとってみますというと、今度の米価中に占める運賃割合が〇・九%、これは昭和十一年の一・一%に非常に接近しております。バレイショの場合は八・三%、これが昭和十一年は九・四%、小麦粉の場合は一・一%、これは昭和十一年の場合も一・一%でありますから全く同じであります。酒の場合をとってみますというと一%、これが戦前は一・四%、で、今あげましたように独占物資の場合は、その値段の中に占めるところの運賃部分というのは、戦前の場合の半分あるいはそれ以下になっておる。ところが、生活必需品の場合は、これはほとんど戦前ともう同じようなところまで上げられているわけなんです。こういうような点から考えまして、この前岸総理は、大口貨物運貨値上げというものは、これは独占資本を非常に利益するためのやり方じゃないか、こういうことを私が本会議岸総理に質問したのでありますが、岸総理はこれに対してこういうふうな答弁をされております。とにかく原材料を上げれば、それが全部これは大衆生活にはね返ってくるのだから、従って、そういうような運賃については手心を加えなければならぬのだ、こういうように言われておりますけれども、私は生活必需品の場合と、それからこれらの大口貨物といわれておりますところの鉄鋼とか石炭とか、それから原木とかパルプとか、そういうようなものも非常に今度のやり方の中で違ったものが出ていると、こういうふうに考えるんでありますけれども、この点いかがでございましょうか。
  18. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。おもな貨物価格に占める運賃割合は、今岩間先生が御指摘通りでございますが、これは昭和十一年当時の平均輸送キロと、それから現在の最近の平均輸送キロとは違っております。かりに昭和十一年の平均輸送キロによりますれば、改訂案によりましても今のような割合になりますが、輸送距離が伸びておりますので、実際のトン当り価格に対して、トン当り運賃の占める割合は、今御指摘数字より若干上回ることになると思いますが、現実には。で、その点は実はこれは多分御説明等級でいたしたかと思いますが、この貨物運賃は、賃率輸送キロ等級によって実際支払い額が出て参りますが、昭和二十八年の貨物等級制度を根本的に改正いたしました際に、従来は負担率と申しますか、価格というような経済価値に非常な重きを置いて等級を定めておりましたのに、運送原価を加味いたしまして、原価主義に若干近づけた。しかし、これをあくまでも合理化いたしますることは、これは大きな影響経済界に与えますので、これは特別のいろいろな社会政策的な点、その他を加味しておりまするけれども、その際に、御指摘のようなものが価格主義から原価主義が加味されたために等級が多少上っておりまして、その関係が響いておるのでありまして、今回の一割三分程度運賃値上げの結果、そういうふうになるのではないのでございます。で、この問題については、この運賃を、貨物の場合に、今申した等級について、どの程度この輸送コスト主義を加味すべきものであるか、この点とその貨物負担力——負担力のあるものについて高く、負担力のないものについて低く、この程度の折り合いの問題に相なるかと思いまするけれども、現在の等級制度では、そういったようなことで二十八年にきめておりまするので、この点については、なお将来においてはいろいろな経済情勢の変化、進展につれまして、再び根本的に検討する議会が来るかとも思いまするけれども、今回の運賃改訂では、とりあえず根本的な改正にはまだ触れておりません。その影響が現われておるんでありまして、しかし、いずれもこのトン当り価格トン当り運賃、またトン当り価格上り工合とこの運賃上り工合とを今度の改正案についてお比べいただきますれば、その物価なり価格に響いて参ります影響の度合いというものは、大臣がおっしゃられましたふうになると私どもも考えておるのであります。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 御承知のようにここ一、二年の傾向を見ましても、これは鉄鋼を初めとして、いわゆる神武以来の大景気ということがいわれていると思うのです。そうしてそういう中で、先ほど申し上げましたように、石炭鉄鋼その他のこれらのいわゆる独占物資ですね、これはほとんど統制的に上げられてきていると思う。すでにもう値段が上っている。そういうところに運賃値上げをされたとしても、これは非常に吸収することが容易な状態になっていると思う。ところが、生活必需品に対しましては、これはなかなかそういうわけにはいかないと思う。米を初めとしまして、これはそういう形でですね、運賃が上ったからというので、物価をつり上げるというような格好にはいかない。従って、当然この運賃値上げはね返り率というものは非常に大きく強く出てくると思う。三等の、これは旅客の場合ですと、なお直接ふところに響いてくると思う。一方におきまして、約一千億の減税ということがいわれておりますが、これはしかし、大体年間二十四、五万以下の収入の人には減税はほとんど影響を持たない、そういうような特典にあずからないところには、直接運賃値上げが響いてきて、これを吸収することができない。この家計の中では全然吸収することができない。ところが、一方の場合には、すでに物価を上げて、そうして昨年度の利潤を見ましても、大体四五%というような膨大な利潤を上げている。もう、もうかってもうかって笑いがとまらないというような形さえ出ているということがいわれているのですから、こいういうようなところに、すでに今言ったような形で、全体の運賃部分は、価格に対して非常に戦前よりも下回っている、こういうような形になっております。これについていろいろ総裁説明がありましたけれども、そういう傾向が出ていると思うのです。で、そういうような中で、私は生活必需品に対してはもっとやはり考えなくちゃならぬ、あるいはこの旅客に対しては考えなくちゃならない、こういうふうに考えられるわけです。  このもらいました資料の中でわれわれ見ますというと、もっと具体的に申し上げますというと、たとえばこの材木でも、福知山—笹島間の電柱用材というものを見ますというと、値上げ率は九・八%、こういうふうになっておりますけれども、新宮や能代から東京に、まあ一般建築用の木材、こういうものを運ぶということになりますと、一六%から一七%値上げをやっている。同じ燃料でも、筑前中山—若松間の石炭を見ますと、これは四・四%の値上げにすぎない。ところが一方では、薪炭め場合でありますが、大衆生活に切実な関係を持つところの薪炭の場合で、石見益田あるいは鹿折から東京間では、値上げ率は一六%から一七%、こういうふうになっている。それからまた室蘭—浜川崎間の普通鋼々材、この運賃値上り率を見ますというと一〇・五%、ところが一方では、釧路—東京間の下級鮮魚は、一三・二%、秋田の米のごときは一六%、弘前—東京間のリンゴは一六・八%というふうに、生活必需品値上り率は非常に大きくかぶせられていると思う。これに、対して今の大口輸送、いわゆる独占的な物資については非常に手心が加えられている。そうしてまた、そこにいろいろな特典やり方が、これはこの前資料でももらいましたよう、十幾つの特典やり方が作用するから、こういうような結果が出るのじゃないかと思うのです。こういう点について、私はやはり先ほど申しましたように、この前岸総理の問題にした点が問題になると思うのですが、とにかく大資本の場合は運賃値上げというやつはもう吸収することができる。第一に物価値上げをやっておる。そしてそれによって膨大な利潤を得ておる。その中からこれを吸収することができる。それにもかかわらず、いろいろの特典がそこに加味されておる。ところが、大衆生活の場合はなかなかそういうわけにいはかないので、これは直接にはね返ってくる。私はこの前水戸に行く途中に常磐線に乗りました。常磐線に乗って、これはあそこのかつぎ屋さんたちが雨の中をぬれて帰るところです。この人たちと一緒に三等車に乗っていきました。あそこで話をしたのです。こういう人たちは何と言っておるか。定期は今度上るそうだ、そうするとそれが直接にはね返ってくる、それでおそらく一割五分とか何とかいうような仕上りになって、かつぎ屋はいろいろ米その他の野菜なんかをかついでくるわけですけれども、なかなか大衆を相手の店売ですから、いきなりこれを高く売るというような形にはいかない。そうするというと、やむを得ずしてこのようなやり方物資輸送しているこういう貧困層に対して、直接運賃生活の中にはね返ってくる。彼らの生活に大きくこれは影響を与えるというような形が出てくるわけです。こういう事態が起っているので、私は全部ひとしなみに、今度の運賃値上げ大衆生活にはほとんど影響がない、こういうふうにこれは大臣を初め、政府の、国鉄のまた皆さんがあらゆる機会説明されておりますけれども、なるほど独占物資に対してはそういうことは言える。しかし、生活必需物資の場合、あるいは大衆旅客運賃の場合というものは、そういうことはこれは言えないのじゃないか。決してこれは吸収する方法が大衆の場合にはない。あっても非常にこれは微々たるものです。ところが、独占資本大口貨物に至りましては、今先ほど申しましたような形でこれは楽々とやってのける。とにかく四五%というような大きな利潤を上げている中でありますから、むしろこのようなところに私は正当な運賃が要求されても、これをそれらの利潤の中から吐き出して、そして国鉄の運営に対して今まで大きな赤字を提供する原因になっておったそれらの人たちが、ここで自分の独占利潤の中からいろいろなものを吐き出すというような方向が、そのように政策を大きく変えるという点が重要な問題になるのじゃないかと、こういうふうに考えるのでございますけれども、これはいかがでございましょうか。
  20. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) こまかい数字の点は政府委員からお答えいたさせますが、今のお話の根本的な考え方は、やはり今日の日本経済の建前として、今あなたのような御議論をもとにこの運賃の問題をきめるというわけには私はいかないのじゃないか、こう思うのであります。これは今日のたとえば、なるほど生計費の上にこの物資の今日の値上げ影響しないとは申しませんけれども影響する程度と、それから日本経済が年々増大していくがために、生活の方に与えてくる生活の向上の率とも考慮していかなきゃならぬ問題であって、その程度のことは国民もみなこれは負担していかなければ経済というものは成り立っていかない。従って、そういう点において、私はある程度影響はあっても、この日本経済の拡大していく、その拡大の一番大きな要素になる輸送というものの問題を解決していけば生活は向上していく。その向上していく割合——物資生計費との間がどうなるかといえば、大した影響がない。のみならず、私は数年後においては運賃は今日の生計費に占める部分よりもずっと安くなる、こういうふうに考えて大体の見通しをつけておるわけであります。ただいまのいわゆるあなたのおっしゃる基礎的な資材、あなたのおっしゃる独占物費というものの取り前の人から、これらの値上げを今日それをみなに負担させていけというようなことは、今日の日本経済の建前からいって、また利潤が上っても、基礎物資の産業というものは、基礎的なものが拡大していくことが日本経済発展の前提でありますから、そういうわけにはこれはいかないのじゃないかと、こう思うわけです。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 大体これは六級から十二級までのそういう大口貨物、いわゆる赤字貨物といわれておると思いますが、これは年間の赤字はどういうことになりますか、大体この点伺いたい。
  22. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 貨物等級お話だと存じますが、この車扱いに関しまする賃率は、貨物等級別に設けられておりまして、各等級間には等級間の賃率指数というものがございまして、これは一級から十二級までが普通等級、それから二十一級から二十三級までが特別等級、この賃率指数は原価指数ではございませんで、等級間の賃率指数でございますが、この品目を見て参りますると、大体七級前後が原価に見合うものであります。従って、一、二、三、四、五、六というようなものは負担力もあるので、原価を若干上回ってつけておる。それから八級以下については、多少原価を下回っておる。これで全体がいろいろ計算に合うようになっておりますが、大体一級から六級くらいまでには、たとえば紙幣だとか、有価証券だとか、時計だとか、冷蔵庫とか、銅、工作機械、自転車、砂糖、硫黄、銑鉄、木材というようなものがございまして、それから七級で大きなものは、御承知の石炭でございますが、それ以下のものは大体生活必需品でございます。特に米、みそ、しょうゆ、まき、木炭というようなものは特別等級の二十一級になっております。これがそれぞれ個々原価は、前にも御説明いたしましたが、個個品目別の原価は計算はいたしておりませんので、決算原価の平均原価をやっておりまするから、大体こういうものの割合で全体が見合うように考えております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 個々の品目のこれは計算はやっていないというのでありますが、大体等級別のあれはわかりますが、赤字の要素ですな、損益の計算というやつは、これは原価に対してできているのでしょう。
  24. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 原価計算、これは先ほど權田局長からも御説明申し上げましたように、決算主義でやっております。従って、私どもといたしましては、貨物一トンキロ当り幾らの実費がかかったかという全国平均的なものは、これは個々がわかるわけでありまして、従って、実際の運送距離も違い、同じ等級でも距離が違います。距離によって非常に単位当りの賃率が違います。賃率の低いものでも近距離の場合には割合に一キロ当りの収入が多いわけであります。また、かりに等級の高いものでございましても、遠距離になりますと一キロ当りの賃率は低いわけでございます。従って、ただいま御質問のございましたように、等級別にどうなっておるかというようなことは、簡単にお答えできにくい関係になっております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 全体の貨物の赤字ということが問題になっておると思うのです。この原因については、それでは国鉄は具体的に突き詰めるところの努力をされていないのですか。そういうような統計をお持ちにならないということになるのですか。
  26. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 原価計算というのは、私ども経営上のいろいろの参考資料としてとっているわけでございますが、一面、もちろん運賃算定上の参考資料にもなりまするが、これに相応して、個々の運送ごとに、個々の原価ごとに個々の収入がなければならないというようなことは、鉄道事業の本質にも反しますし、どこの国の鉄道でもそういうようなことはやっておらないわけでございます。私どもが見ておりまするのは、全体として平均的にどういう傾向になっておるか、これは何も、旅客貨物別、あるいは旅客の中の等級別、貨物等級別ばかりではなくて、線区別にもまたそういういろいろの問題もあるわけでございます。従って、非常に収益性の悪い線区におきましては、いかに収益性のいい種類の運送といえども、やはり個々平均原価と比較いたしますれば、赤となるわけでございます。従って、どこでもうかってどこで損しておるかというようなことは、これは平均的に大量的な観察をして経営上の施策をきめておるのでございまして、一つ一つ分析することは、大した意味もないことと存じております。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 どうも今の答弁では、私は満足できないのです。全体的に出しているけれども、しかし赤字が出ている。その赤字をこれは克服するのが非常に大きな課題になって、これが大衆負担になっておる。そういうようなときに、赤字の原因をどこまでも追及するという態度でなければ、これは私は料金を改めることはできないだろうと思うのです。ところが実際現に、全貨物をひっくるめて赤字が出ておる、そうすると、その中でどういう部分がほんとうの赤字の根源になっておるか、その点が私は明確にこれは把握されていないということは、重大問題だと思うのですよ。おしなべて全体の量の中で、そうしてこれはやっておるので、あんまり意味もないというようなことでありますけれども、これはむろんこまいところまで一つ一つということは無理でしょう。しかし、大綱だけは、この赤字の原因はどこにあるかという大綱だけはつかんで、それに対する対策を立てなければ、これはどうして一体こういう問題を解決することができるのです。
  28. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまのお話は、貨物の全体の収入と原価との間において赤字となっておる、これは先ほど申し上げましたように、決算原価主義でやっておりますもので、この赤字ということも一つの参考資料ではございまするが、それは正確な赤字とは申されない。つまり、これは標準原価主義によってやれば、昨年度あたりにおきましても、相当まだ赤字が出なければならないというふうに考えておりますので、それは、貨物運賃制度の建前が、現在のような建前の上において、全体として赤になるか黒になるかの問題、従って、これを解決するのは、一つの考え方といたしましては、運賃のレベルが低い、総体としての運賃のレベルが低いという考え方が一つ、それからいま一つの等級制度自体に欠陥があるという考え方、この二つで、おそらく御議論は後者の方であろうと思うのでありますが、しかしながら、そういうことになりますと、はっきり申しまして、等級指数の低いものにおいて赤字が多い。しからば、そういうものはどういうものであるかというと、結局生活必需品で、二十三級の米麦、なまカンショ、野草類、肥料類、あるいは二十二級のまき、木炭あるいは消石灰、鮮魚というような品物、そういうものが一番賃率が低いのでございまして、こういう生活必需品に対する等級の低いということが、等級制度といたしましては、問題になるということに相なるかと思うのでございます。
  29. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  30. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 いろいろな運賃改訂をやり、また等級なんかも、これはいろいろ審議会なんかもあって、これについて改訂といっているのだろうと思います。そういうところの基礎資料というのはどういうものなんですか。大体品目別に、そういういろいろな基礎資料なしに何を一体目標にして、そういうような改訂をやるのですか、そういうような資料が、私がお聞きしたいのはほとんどないのですが、私はこまかなことを言うているのではなくて、大まかな点で言っているわけなんです。そのような資料がほとんどないのです。
  32. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 等級改正は、昭和二十八年に大改正を行いました。このときには、いわゆる普通等級十二紋まではこれは全部価格主義によって、貨物価格で、一トン当りの価格でレインジをきめまして、範囲をきめまして、その等級を当てはめておりまして、さらにその上に生活必需物資その他につきましては、特別等級という割引等級を設けて、これが二十一級から二十三級までやっております。従って、その基本となります十三級の等級につきましては、これははっきりした計算に基きまして格づけをやっておるのであります。その資料は十分ございますので、いつでもお目にかけることもできると思います。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 その資料の大綱でいいんですが、そういうものをほしいと思うのです。  それからこの問題に関連して大臣に伺うはずですが、大臣が見えられませんので、大臣が見えてから今の問題を伺うことにして次の方に進みたいと思います。  次に伺いたいのは、この今度の五カ年計画でありますが、五カ年計画の中にいろいろな目的をうたっていると思う。何のために五カ年計画をやるか、この輸送力増強に伴っていろいろな目標を掲げていると思うのです。そのうちの主要な目標はどういうところにありますか、その点でまず伺いたい。
  34. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) これはすでに申し上げたかと思いますが、一つは、資産の健全化と輸送の安全を確保するため、老朽施設、車両を更新して、かつ信号保安設備を強化する、三つは、現在の輸送力不足を解消するとともに、急激に伸びて参ります輸送需要に応ずるように、輸送力を増強いたしたい。三には、サービスの改善と経費節減のために、輸送方式、動力及び設備の近代化を推進するこれが三大目標でございます。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 そのほかに、特に通勤輸送の対策という問題も、これは出ていると思うのです。通勤輸送について、まず伺いたいのでありますが、大体これは東京、大阪付近の通勤が非常に最近混雑している。もう文字通り殺人的なものになっている。これを緩和をやるのだ、これが運賃値上げとからまって大きく宣伝されている一つの面だと思う。これについて、どういう具体的な計画をお持ちになっているのか、具体的な計画について伺いたい。
  36. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 大都市の通勤輸送は、御指摘通り、これまた重要な改善しなければならない問題でありまして、これは運輸省といたしましても御承知のように、今東京並びに大阪について、逐次都市交通審議会等の強力な御答申を得て、着々実現に移しておりますが、東京については大体のめども立ちまして、相当強力な実現に入っております。大阪についても、目下もうすでに数回審議会が行われまして、実質的ないろいろな対策に入って近く御答申をいただくと思いますが、まず東京関係でございますがこれは御案内のように、この国有鉄道というものと、それから地方鉄道施設でございますね、それと地下鉄あるいはバス、都電というようなものを総合的に考えなければならない。そのうち、東京地方においては、これは特に国鉄の分担しておりまする輸送関係というものが相当大きな部分を占めておりまして、国鉄については、大体東京付近においては中央線、総武線の線路を増設いたしまして、電車を九百五十両ぐらい増備しますとともに、東京、池袋など終端及び連絡駅の混雑緩和をはかりたい。これにあわせて地下鉄につきましても、大体数路線を早急に建設する必要がありますので、とりあえず三十二年度からは品川・五反田方面から押上方面に至る路線、祐天寺・恵比寿方面から北千住方面に至る路線の建設に着手せしめたい、また補助交通機関としてバス、都電等も増強をはかりたい、こういうことでやっておるわけであります。それから大阪付近におきましては、これは国鉄につきまして、大体御案内の環状線という問題がございまして、これはめども立ちましたのでこれをやる。さらに電車も二百三十両ばかり増備したい。それから大阪市の地下鉄路線網につきましては、どれから着手すべきであるかということは今審議をしていただいておりまして、近く答えが出ると思いますが、大体かようなことで国、私鉄あるいは都電、バス、地下鉄を合せて強力な計画の着手に、もう着々と実現のめどがついて入っておるわけでございます。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 この五カ年計画の中にあります通勤輸送対策、これは車両建造費だけなんですか、つまり五カ年間で四百二十三億というやつは。この備考を見ますと、電車あるいは施設のものでありますが、車両建造費はその中の百九十八億と、こういうことになるのですか。今の施設というのは、この線路の増強、そういうような問題なんですか。
  38. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) さようでございます。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 車両建造についてお伺いしますが、初年度はどのくらいの計画ですか。
  40. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それは都市の分だけでございますか。
  41. 岩間正男

    岩間正男君  三十二年度ですな、三十二年度はどれくらいの計画を持っていますか。
  42. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 電車で初年度は六百十四両でございます。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると何ですか、五カ年間で千百八十両ですね、大阪、東京……そのうちの半分を初年度でやってしまうということですか、大阪、東京でしょう。
  44. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) これは東京も大阪も、それからいわゆる電車というものはすべて含んでおります。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 その中の東京、大阪分わかりませんか。東京付近、大阪付近は……。
  46. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その中で東京付近だけ申し上げますと、大体五カ年計画で六百九十両ばかり、それで三十二年度には百四十両ばかり、になっております。それから大阪付近では、これは通勤以外の電車化の問題も入っておりますが、五カ年計画で百七十両ぐらい、三十二年度は三十六両ぐらいであります。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 現在はどれくらいの車両が動いているのでしょうか、大阪付近、東京付近で。
  48. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 現在は大体東京が二千五百両ぐらい、大阪が三百五十両ぐらいだと私記憶いたしております。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 混雑率ですね、これは定員に対して非常に多く乗せていると思うですが、この数字は大体つかめておるのでしょうか、東京付近、大阪付近について。
  50. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お尋ねは一日の平均ということでございましょうか。それともラッシュの最高時ということでございましょうか。おそらく問題とされるのはラッシュの最高時だと思いますが、それらについては詳細に調べてございます。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 ではちょっと知らせて下さい。
  52. 石井昭正

    説明員石井昭正君) これはお手元に差し上げました鉄道輸送の現状という資料にございます。一番ひどいのは京浜東北、これが大井町——品川間が三一四%、すなわち定員の三倍、これはもっとも山手、京浜の分離前の数字でございます。今日では相当緩和されていると思っております。中央の一番お客さんの多い中央急行、これが大体最高三十分間二八八%となっております。これは車両の連結数を増す以外に目下のところ輸送力増強の方法がございませんので、この数字はおそらく現状も続いておることではないかと思っております。大阪方面は、阪和線が一番ひどいのでありますが、それ以外の線は大体三五〇%から二二〇%程度でございます。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると大体三倍から二倍半というような形で、これはものすごい混雑になっているわけですね、これを緩和するというので、通勤輸送対策というのが五カ年間に四百三十三億、こういうような資本投入でなされようとしている。しかし、現行を見ますというと、今車両のお話がありましたが、車両の数だけからいってみましても、東京付近は二千五百両、大阪付近は三百五十両、合せて約三千両近くありますね。それに対して千百八十両ですか、これをかりに完全に作ってみたにしましても、これは増加率というのは、三〇%程度しかならないのでありますが、この混雑緩和率というのはどれくらいになりますか。
  54. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) この五カ年計画では、やはり仕上がりましても混雑緩和率は二割ないし三判でございます。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると何ですか、今度の運賃値上りを大衆の立場から考えると、あのような朝の殺人的な通勤は緩和されるべきだ、とにかく一割三分も上る、ことに、山手線、それから中央線、これは東京付近あたりを見ますというと、これは十円区間が二十円区間になる、そこへもってきて通勤の割引を見ますというと、今までのこれは八割三分三厘ですか、この割引率が八割になる、こういうことになりますと、中には四〇%くらい値上げする、こういう格好のところも起ってくるだろうと思います。そういうふうになりますというと、私は大衆の立場に立って考えるのでありますが、運賃はまあ相当上った、しかし、わずかに二〇%から三〇%程度の緩和にしかならない、大体三倍から二倍半くらいの殺人的な状況というものは、ほとんどこれは緩和されない、こういうように考えるのですが、そう考えてもいいのですか。
  56. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 御案内のように、大都市を中心として起りますラッシュ現象というもの、これは実に交通機関にとっては、処理のむずかしいものでありまして、これはわが国だけでなく世界各国ともこれに苦心しておるのでありますが、特にこの東京を中心とするラッシュ現象というものは、きわめて近時著しいものがございます。これはまあ人口分布をごらん願いましても、都心人口分布と周辺人口分布がちょうど戦前と戦後で逆転しておりますので、これがすべてラッシュ現象に現われてくる、一日の単位時間当りの通過量で見ますると、低い所の一時間当り通過量の十倍以上の通過量が、ある瞬間に現われて参ります。しかも、ラッシュは御案内のように、片道でございまして、片方はがらがらである、しかも、今度それは日中時間においては遊んでしまう、従って、この最高単位時間の十倍にも及ぶ通過量を、これを完全に消化するということは、交通機関の輸送力設定としても不可能に近いことでありまして、これはあくまでもやはり緩和はしなければなりませんけれども、昼間のごとくにすわって御通勤願えるということはなかなか困難です。どうしても、各国に起っていますラッシュ現象でもそうでありますが、ある程度の混雑で満足していただかなければならない。この場合に今度の五カ年計画の二割ないし三割程度では、私どももこれは輸送力としてもまだ不十分である、さらに今後継続してこの点には輸送力拡充を行わなければならないと思いますが、さしあたって、いろいろの点を勘案いたしました場合に、この程度まずやるということで一つごしんぼうを願いたい。  それから定期の問題でございますが、定期につきましては、先ほど通勤定期並びに普通定期、普通は行商人の方が御利用になるのが多いのですが、値上り率のことをちょっとお話しになりましたが、一般的にこれは一割三分程度値上げでございますが、遠距離になりますると、若干値上げ率の高いものが出て参ります。しかし、この点については、これは実際の実額にいたしますると、この値上げ額の負担増もまあごしんほう願える程度のものではないか、さらに実運賃と比べますと、六日分なり七日分なり八日分でございまして、この程度は御負担願っても、いろいろな家計費あるいは賃金に対する通勤定期の占める割合等から勘案しても妥当なものではないか、こう考えて今回の改正案をいたしておるわけでありまして、以上のような点はいろいろ勘案した結果、私どもはこの程度が妥当でないかと、ただいまのところはそう思っております。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 私の質問しているのとちょっとはずれておりますね。私は大衆的な立場から、運賃は上るわ、さて混雑の緩和は二〇%から三〇%程度、これはまあちょっとあまり目立たないかもしれないのですが、実際あんなふうに、私もしばしば経験するのですが、ことに、私たちは自動車を持たないものですから、ときどきラッシュにぶつかってぎゅうぎゅうすし詰めになるのですが、まあ二〇%緩和してどういうことになるかと考えますと、大衆の立場に立ちますと、これはなかなかそういうことにこれはがまんいただきますわと言っても、がまんできないという気持がなかなか強くなるのじゃないか、現状でもそうでしょう。そこへもってきて通貨がこれは上るのです。そういう点から考えて、私は政策としてこれは問題にしておるのです。今度の五カ年計画の資金の内容を見ると、大体五カ年六千億でしょう。六千億に対して、通勤輸送対策が四百二十三億ということになります。そうしますというと、通勤輸送の緩和をするのだということは、少くともこの五カ年計画の中で一つの目標になって、三大目標には入らないかもしれないが、その次ぐらいに、第四番目ぐらいに出ている、こういう重要な政策です。ところが、実際の答申を見ますというと、これはわずかに七%ですよ。そうすると通勤輸送の緩和ということはうたっていますけれども、実際に行われるのは七%程度でありますから、十五分の一の資金を導入してこの問題を、この隘路をほんとうに解決するという熱意はどうもあまりありそうに見えない。これが大衆的にどう影響するかという点が私は重要な問題だと、こういう点でお伺いしておるのです。ですから、まあいろいろあなたの方のお気持もあることでしょうが、それはあなたの気持でなく、私の質問に対してお答え願いたいと思うのです。そういう点では大衆としてはなかなか理解ができないのじゃないか、こういうような結論が出るのじゃないかと思うのです。  そういう点でもう一つお聞きしたいのですが、大体山手線のごときは、日本の数ある線のうちで、まあ黒字線が十四線あると聞いておりますが、その中で営業成績は一番いい、営業係数は、今年度山手線はトップになっていて六八%、大体原価に対して五〇%もうかっていると思うのです。そうしますと、大体年間のもうけは、これは計算できているでしょうね、さっきのように一般的にこういうどんぶり勘定だからわからないといえば、これは話にならないと思うのですが、どんぶり勘定は食管会計でもうたくさんですから、(笑声)国鉄はやめてもらいたいと思うのだが、そこで、今の山手線について、山手線の大体年間のもうけは幾らか、この点についてちょっとはっきり出してもらいたい。
  58. 久保龜夫

    説明員(久保龜夫君) ただいまの御質問に、今手元に営業係数の資料のみしかございませんが、絶対数はもちろんわかっておりますから、すぐ持ってきてそれで申し上げたいと思います。
  59. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今の岩間君のご質問に対して私関連して、ほんとは大臣おられればお伺いしたいのですが、大衆感情として岩間君の言われること、よくわかるので、運賃値上げすれば、それにふさわしいサービス、つまり一番それは輸送力の緩和ということになりましょうが——するならそれはがまんもしよう、これは国民感情だと思います。ところで、一割三分上げて、それじゃはっきりとそれ以上のサービスが、あるいは緩和ができるか。今通勤輸送についてみると、二倍も三倍にもなっておるが、しかし、これはまあ二割あるいは三割の緩和率としても、やはり混むことは同じことなのです。特にピークに至っては、おそらく緩和されないじゃないかとすら思われるのですが、これは非常にむずかしいところで、これは端的にいえば、それじゃ運賃を二倍、三倍にして輸送力がすぐ急に国鉄で二倍、三倍にできるか、つまり今二倍なり三倍の輸送量があるものを急にもううまくピークにおいて輸送できるかといえば、そういうことは国鉄だけでできないと私は思うのですが、その点で東京都の交通審議会や、あるいは運輸省なんかでも都市交通についての審議会を作って、都市交通全般の問題として御審議になっているように私は聞くのです。これはまあロンドンなり、どこの都市でも非常に困っている問題で、あるいはロンドン等は、ロンドン郊外に八つばかりの衛星都市を作って——これは交通網が非常に大きな原因になっていると思うのですが、衛星都市を作ることを始めて今工事のまつ最中です。わが国の、特に東京の交通を見ると、私鉄と国鉄と新しくできる地下鉄、バスというものが全く一体の作用をなしていないので、たとえば、まあ私鉄が国鉄へ流れ込んでくる、私鉄がそのまま東京のまん中へ入ればいいのですが、みな国鉄へ流れ込んで、ちょうど支流が本流に流れ込むような格好になっている、こういう状態では、国鉄がここへ幾ら運賃を上げても、それでけではこの都市交通の問題は解決しないと私は思うのです。それは根本的な首都建設と伴って対策が必要ではないか。あるいはこれは住宅政策もこれに入ってくると思うのですが、そういう点について、權田さんはこの問題の専門家のように伺っているのですが、これはいずれ大臣にも私は伺いたいと思っているのですが。
  60. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。これはただいま加賀山先年の御指摘のごとくでございまして、大都市の通勤輸送問題を、輸送の面のみによって、需要増に対して供給の面からだけこれを解決することは不可能であるという結論はすでに出ております。すなわち、どうしてもこの大都市の、特にラッシュ現象の問題については、根本的に交通需要を減少せしめるか、あるいはこれを分散せしめなければならない。これは諸外国ともこの方策を強力にやっておりまするが、わが国におきましても、まず第一に、住宅の適正配置ということを考えなければならない。これには二つございまして、一つは、都心部に高層住宅の建設を促進しなければならない。これによって、できるだけ交通機関を使わないで勤務地に行けるという体制を取るということと、同時にもう一つは、ただ、いたずらにいわゆるベッド・タウンの分散ということは避けなければならない。ただ泊りに帰るための住宅というものは、これは交通機関のオーバー・ロードになりまするので、こういう意味のベット・タウンの郊外分散ということは防止しなければならないというのが最近の傾向でございます。その次に、在来の周辺都市を核といたしまして、地方産業の振興をはかりまして、工場、事業場というような、要するに付着人口のある衛星都市を作って、ここに人口を吸収させて大都市集中を防止する、そういう意味の衛星都市の建設、これに当らなければならない。次には、通勤、通学個所の立地改善をいたしまして、たとえば学校であるとか会社の調査部であるとか、研究所などを郊外に分散する一方、適当な副都心というものを発達させ助長させて、交通需要の方向の拡散、交通需要が一定方向に集中しないで広がって散っていくようにしなければならない。私ども今考えておりますのは、これらの前提となる施策を強力に講じていただいて、その結果、なおかつ、かかる措置を講じても起って参るところの輸送需要に対してどう対処していくか、それについて、必要にして十分な計画というものを、先ほど申し上げましたように、約二十年間の目標で試算をいたしまして、いわゆる国、私鉄、地下鉄その他都電、バス等について考えておるのでありまして、この場合に分担すべき国鉄分野がどうであるか、その分担度合いに応じた第一次五カ年計画と申しますものをここに見合して、この四百二十三億計画というもので合してあるのでありまして、その他これに対する地下鉄、私鉄、都電、バスの計画等々と相待って、今申し上げたような施策を講じた結果においてこれを受け切る、これをわれわれとしては、二十年計画、それぞれ第一次五年、第二次五年に区切って、その第一次五年の着手に入りたい、こういう計画を先ほど申し上げたわけでございます。
  61. 岩間正男

    岩間正男君 そのような膨大な総合対策をお考えのようですけれども、これとあわせて、今の五カ年通勤対策が出ているというのですが、実は、その原案みたいなやつをこれはいただきたいわけですが、そういうものとわれわれはあわせて考えてみて、果して妥当かどうか——これは委員長には、その資料をやっぱりいただきたいと思います。これは大体のあれでいい、しかし、とにかく非常に膨大なものです、あなたの理想案でしょうが。そうしてまあこれは総合都市対策、あるいは総合交通政策輸送政策ということになるだろうと思うのですが、まあ住宅まで含めた、学校の散在なんかそういうものまで考えた大へんなものです。これはその一環として五カ年計画をやられておるとすれば、これは非常に幸いな、これ以上のことはないわけです。ところで、問題は現実なんです。(笑声)現実に戻るわけですけれども、どうなんでしょうか。つまり、もうけの問題についてはまだ大体わからないのですか。出すというようなお話ですが、大体の見当がついているのじゃないかと思うのですね。一番黒字線のナンバー・ワンですよ、ナンバー・ワンの所でどれくらいもうかっているか、年間どのようにもうかっているか、これは大体見当がつきませんか、キロともうけの率を掛ければわかると思う。
  62. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 実額につきましては、今資料を取りに参っておりますので、私大体の指数を持っておりますので、指数でお答えさせていただきたいと思いますが、山手線の、線別営業係数の一応の試算では、昭和二十九年度が七三、それから三十年度が六八となっております。従いまして、この山手線の営業係数がいいということは、その混雑度が異常に高いということが一つの原因をなしていることは、御指摘通りでございます。また一方、御案内のように、定期の利用人員は全体の六二%を占めておりますが、その収入は全体の一八%にすぎない、こういう指数もございます。で、一方において、まあ混雑緩和のために、今申し上げるように今後投資をいたして参りたい、先ほど申し上げましたように、都市交通の今後の投資というものの特質は、これはまあどこでもそうでございますが、先ほど申し上げたような状態によりまして、非常に新規投資はペイしないという結果が出てくるのでございまして、いわゆる新たな投資をして、それによって誘発する量よりは、現在の混雑を緩和する方向にそれが吸収せられまして、しかも、異常に地価も高く、工事も困難をきわめまするので、今後国、私鉄、地下鉄を通じて、この投資については、すればするほどこの営業係数が下って参ることは申し上げられる。もうすでに御案内のように、地下鉄というようなものは、東京の都心地区では建設費においてキロ当り十六億をこすのでありますが、これはキロ当り年間一億の収入をあげるということはちょっと考えられない。そうなりますと、減価償却だけでも一ぱいになって、利子もまかなえない。ランニング・コストもまかなえない。従って、今後国鉄の問題についても、たとえば山手線は一応複々線、京浜線と分離いたしましたので、これは車両を増備して逆行回数を増すより方法がない。それから中央線については、急行線と緩行線とありまして、緩行線がお茶の水でとまっておりまするから、これを都心に持ってこなければならない。これを都心に持って参りまするには、地下で来るか、あるいは現在線で高架で来るか、これも非常な建設コストがかかります。それから総武線については、これを両国方面からやはり都心に持って参らなければならない。これらが先ほど御説明したことで起ってくるわけでありまして、これらの投資に見合う営業係数というものは、私どもの予想ではこれは非常に悪くなってくる。従って、この在来の営業係数というものは、先ほど少し遠大なことを申し上げたのでありますが、五カ年計画、五カ年計画で押していきまして、将来の暁には、非常に悪くなって参ると思います。なお、これは皆さん御承知でございますが、運賃制度につきまして、高率の運賃割引をいたしておりますのは定期旅客でありまして、これについては、非常にわが国独得の大きな割引をしているということを申し添えておきます。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 初年度の計画をさっきお聞きしたのですが、大体百四十両くらい車両をふやすということなんですが、一番間問題なのは、大衆の感覚からいいますと、運賃が上ったというその瞬間に、一体サービスが改善されるのか。ところが、これが五年くれると、大体二〇%から三〇%緩和されます、一年度は百四十台の車両をふやすわけでございます、それから何十年計画ではこういうふうになるわけでございます、と言ったって、大衆は納得しないと思うのです。この点、やはり私は頭に入れていただきたいと思うのです。こういう問題と関連して、先ほど私申しましたが、全資金量の七%しか投入しないということは、これは非常にやはり問題じゃないかと思います。しかも、ここはナンバー・ワンの黒字線です。こういう所が七%の資金投入によってやられていく。しかし、看板だけは堂々と第四番目に位するようなところで通勤輸送の緩和とうたわれているのだから、どうも羊頭狗肉にならなければいいがと、実は私は心配しているわけなんです。国鉄さんの立場を私は考えて心配しているわけですが、こういう点をもう少し私は考える必要があるんじゃないかと思うのです。私ちょっとこの「国鉄線」というのを見ておりましたら、三十年三月号に、国鉄本社営業局の旅客課長さんが、こういうことを言っているのです。「通勤輸送緩和など純粋サービスのための新車両を投入するのは、混雑緩和に役立つだけで、一銭のもうけにもならないから、できればあと回しにしたい。」、これは本音じゃないでしょうね。これはどうなんです。これはしかも本社の「国鉄線」に出ているというのですが、これは本人がいらっしゃるかどうか、名前をあげてもいいのですが、これはどうなんですか。
  64. 石井昭正

    説明員石井昭正君) よく調査しないとお答えできませんが、前後の関係で、いろいろ反語と申しますか、そういうようなことを使うような場合もあろうかと思いますので、いろいろ調査した上でお答え申し上げたいと思います。私ども経営者としては、さようなことば全然考えておりません。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 どうも考えていないと言われても、数字がものをいうので、数字そのものは生きたものだから、そういう格好政策面の中で私たちは具体的な例をあげて申し上げているので、こういうことにならなきゃいいと思うのです。  それから同じようなことですが、本議会の大臣の提案理由を見ますと、こういうことを言っておる。学生定期については、割引率は据え置きとしたい。私たちは、学生定期は一文も上らないのだろうと思って、そういう幻覚を持つのです。それで、この前のあなたの説明を聞いていると、なに、元値段が上って十円区間が二十円区間になっておるのだから、従って、一一%から一二%上るという数字がちゃんと出ておる。学生諸君は、本会議のあれだけを聞いていると、何だ定期は上らないのかという錯覚を起しておる。この点もはっきり訂正されておかないと、やはり羊頭狗肉になるのではないかと思うが、どうですか。
  66. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 学生定期の実額を上げないというのではございませんので、こう申し上げております。定期旅客運賃につきましては、現在その割引率が戦前に比べまして相当高率になっておりますので、最高割引率につきまして若干の修正をいたすことにしたのでありますが、学生の定期につきましては、現在の学生の生活環境を考慮いたしまして、現行の割引率をそのまま据え置くことにいたしたのであります。すなわち、現行の割引率が最高のもので九割八厘、それを国鉄の申請が九割でとめたいということでありましたが、こういうことで九割八厘に据え置いた。従いまして、基本の二円十銭の賃率は上りまするので、その点は実額は上りますが、その上ります土台が、大体一二%五分なり一一%四分なりということでありまして、値上げ額が、月額にいたしまして二十円から六十円くらい、こういうことを申し上げております。  それからちょっとさっきので補足さしていただきますが、この五カ年計画で通勤輸送対策と申しますのは、先ほど申し上げたことの項目で整理いたしましたので、他の項目において通勤輸送対策に役立たないというわけではないのでございます。たとえばここにございますように、幹線の輸送対策でありますが、東海道線の複々線化が入っておりますが、これは東京—大船間が複々線になりますと、これは湘南と横須賀線の分離がきくのでありまして、この間において非常に横須賀線の輸送力増強ができる。それから大阪におきましても、茨木、高槻等の複々線化ができますと、これまたはね返りで大きな通勤輸送の対策が生まれてくるのでありまして、この本線対策費と通勤対策費は常に見合っておるのでありまして、町方から大きな効果が出て参るのであります。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 やはり時間の関係から、実は質問した点について、ずばっと、そのものずばりでお答え願いたいと思うのですが、私は学生の定期の割引率が据え置きにされておるというふうに本会議で言っておりますが、しかし、実額が上るという点は先ほど私も指摘したわけなんです。ただ、いかにも学生さんに、あれだけ聞いておりますというと、据え置きのような感じを与えるのですね。そういう感じでこれは受け取られる面がある。ところが、実際は一一%から一二%上るのですから平均率から見て、わずか一%の違いしかない。この一%が国鉄さんの親心ということになっておるので、これは少し羊頭狗肉になりゃしないかということを指摘したのです。そこで、この山手線の通勤対策につきましては、大体どうも具体的にその効果がいきなり見えるのでない。五年くれても二〇%から三〇%という程度で、しかも、問題なのは、大体混雑率というやつはどんどん年々伸びておるのではないですか。これは吸収して計算しておるのですか。混雑率が増大するでしょう。これを吸収して——自然増みたいなやつを吸収した上に立って今言ったような二〇%、三〇%緩和率ということになるのですか、これはどうでしょう。
  68. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は、全部織り込みまして、その上で現在の率の二割ないし三割の緩和で、増加率は見込んでおります。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 次にお伺いしますが、この計画によりますと、保安対策、これはまあ修正五カ年計画で一番先にうたっているやつなんですね。予算を見ますと、一千五十九億ということになっています。先にもらったやつ、これは直したわけですか、修正だから。これに資産の維持ということを書いているわけなんですが、この保安対策の具体的内容というのはどういうことになるんですか、ちょっと聞かしていただきたい。これも簡単に一つ聞かして下さい。
  70. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 簡単に申しますれば、老朽施設を取りかえて、新しいものに取りかえて保安度を増すことでございます。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 ここに資金として一千五十九億があげられているんですが、これはどういうことになるんですか。大体内容的に線路の増強とか、施設、車両の奥新とかあげられていますが、1の説明を見ますというと、四ページの説明ですが「資産の健全化と、輸送の安全を確保するため老朽施設車両を更新し、信号保安設備を強化する。」、これが第一の保安対策の内容、こういうふうに考えられるのですが、それでいいわけですか。
  72. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お手元に差し上げてございます五カ年計画の八ページに計画の内容というのがございます。「保安対策(資産の維持)」そこに「緊急取材を必要とする資産を更新して保安度を向上し、今後の輸送増加に対処する。その主なる内容は次の通りである。1車両蒸気機関車については、現在車令が五十年に達するものまで使用しており、台枠にきずが入ったものや、鋼板がうすくなった老朽車を電気及びディーゼル機関車に取替える。また戦時製作で材質粗悪なため、ボイラーが危険な状態になっているものは、緊急にこれを更新する。電気機関車については、電化の初期に輸入したものは車令が四十年に達しており、性能低下が著しいので取替える。」云々と書いてございますが、これが大体主たる内容でございまするので、お読み願って御了解を願いたいと思います。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 そのうち、いろいろ参宮線の事故なんか起りまして、信号の問題が非常に問題になったと思うのです。そこで信号については、これはどれぐらいの資金を……。
  74. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点、はここの一千五十九億は車両と施設の取りかえでありまして、さらに保安対策にはその他の中に信号保安設備があげてございまして、特に信号関係の事故防止を目的として、事内信号装置あるいは車内警報装置を設ける等のために、七十億円は「その他」に計上してございます。この千五十何億のほかに、さらに七十億は信号保安にあるわけであります。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 これは何ですか、保安度の向上というやつで、保安対策だと思うのですが、その中で、七十億で電車には車内警報装置を設ける等のため、それから主要なる列車には車内信号装置を——この施設費が七十億というんですね。そうでございますね。
  76. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) さようでございまして、それは項目の整理はどうかと思いますが、「その他」の方でその七十億は整理してございます。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 この一千五十九億のうち大部分は老朽車の取りかえ、それから車両の増強ですか、そういうことに使われるわけですね。これは保安といえば保安ですけれども、どうなんですか、われわれは保安対策というと、参宮線の事故なんかから考えて、この前の警報器の問題が非常に問題になっているんで、これをもっと機械化する。まあ自動化する。そして非常に高度の安全設備を推進するように印象としては受けるんです。私たちは絶えず申し上げておりますが、われわれは大衆的な頭で質問を申し上げておるので、専門家ではございませんし、あなたたちの専門用語では、なかなか煙にまかれることも出てくる。大衆的な立場から聞いておるのです。設備の保安対策というふうにうたって、この点は非常に、生命は絶対安全だというふうに考えるわけです。それならば一割ちょっと程度値上げもこれは意味があるかというふうに考えているわけです。ところが、実際投入された資金は、今の警報設備、これは非常に事故ごとに問題になってきたわけです。これに対してはわずか一%強しかこれは出されないのですね。それで実際は保安設備の名において、これを線路とか車両の増強ですね、それから老朽施設の取りかえ、資産の維持、こういう格好で、国鉄さんの安全を保持するには、なるほどそういうことになっておりますけれども大衆の保安を維持するための費用というやつは非常に少いように感じている。この点どうでしょうか。
  78. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) これはお言葉でございまするが、この車両施設の取りかえは、輸送の安全を確保することに相なりますし、また、そういう信号保安という信号設備についてまたやることも、これもまあ安全になるのでありますが、ただ整理上入れましたので、金はこれだけ見合って入っておりますれば、いろいろな実際の計画から見て妥当である。直ちに信号保安が七十億、だから少いということは、やはり資産の実体に応じまして、この方はまたこれで十分なことができる、こういう見通しでございます。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそういうふうに言われますと、一般論に戻されて、それじゃ何でも人命の保安をやるために必要だということになりますよ。停車場を増設するのもみなそういうことになる。しかも、資産の維持ということをうたわれて、保安度を要求する力に資金の大部分は使われて、そうしてやはり大衆の安全を維持するための警報装置には一%、しかも、どうです、今度の改革では、やはり機械化されたのでなくて、依然としてこれは国鉄労働者の負担によってなされるのじゃないのですか。つまり、信号を認めて、それで危険かどうかという判断をするのは、依然として機関士の任務になるのじゃないのですか、今度の設備では。それも機械化されて自動的になりますか。
  80. 並木裕

    説明員(並木裕君) この車内警報の問題につきましては、これは信号を注視するのはもちろんでございますけれども、信号をもしも見誤まったような場合におきましては、これが自動的に車内警報が乱打いたしまして、そうして乗務員によりいいところの注意を喚起するようにできておる次第でございます。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 それで、それによって労働者の乗務員の負担というやつはずいぶん緩和されるのですか、どの程度緩和されるのですか。
  82. 並木裕

    説明員(並木裕君) どの程度に緩和されるということは、私としてはここで何%緩和されるということは、これは申し上げられないのでありまして、ただ、今までよりはなお安全に、その警報が乱打しまして、まず乗務員が危険な信号だということをすぐ喚起されるということで、非常に安全なわけでございます。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 この前も参議院の公聴会がありまして、大高公述人が述べておられるわけです、専門的な立場から。そこで保安設備というものを増強することをうたっておるわけですけれども、しかし、依然としてこれはやはり国鉄労働者の注意力によってまかなわれなければならぬ程度のものだ、こういうことになっては、負担は緩和されない。むしろ増強されるようなところが出てくる。というのは、輸送力を増強してくれば当然今後、ことに人員をそのままにしておくのでありますから、大へんなことになってくる。そういう点に対する安全度というやつは、ちゃんとこれは計算済みですかね。どうもこの計画を見てみますというと、これは第一に書いてあるのですね、保安……。そういう中でもって、最も肝心なのは、警報器の問題だと思うのです。参宮線の事故、その他の事故から見まして、この点が一つ世論の注目の点になっている。これに対して、とにかく長年、五年間に七億程度ですから、初年度なんか微々たるものだと思うのですが、こういう形で行われていると、これもどうも具体的内容に乏しいのではないか、こういうふうに考えられる。その点についてなお詳細に——実はやはり国鉄労働者の保安の問題、さらに国民の生命の問題でありますから、この点をもっと明確に、明らかにされることが必要だと思います。  その次に、私はお聞きしたいのですが、きょうは十河総裁おいでにならぬのですか。
  84. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  85. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  86. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の岩間委員の御質問に関連をして、信号保安の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、信号保安設備について多額の費用を投資する、そうすると、労働者の危険防止もより高度化する、まあ事故というものは少くなる。こういう御説明があったと思うのですが、また交通が高度化すれば高度化するほど、乗務員のいわゆる注意力というものは非常に大きなウエートを持ってくるし、またそれだけ精神的な疲労というものを持つと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておるか、御説明を願いたいと思います。
  87. 並木裕

    説明員(並木裕君) この車内警報というのは、相澤委員御存じかと思いますが、これは地上設備と、車上設備との電気的の結合によりまして、もしも前方に赤というような状態がありました場合に、たまたまその赤の信号を、何かの問題で無視したような場合におきまして、必ずいずれの場合におきましても、車内の警報が鳴るのでございまして、その機械に対するところの乗務員のこまかい注意は、ただそこにあるところの警報が鳴ったということ、それを注意すれば差しつかえない。ただ問題は、車内警報があって、ベルが鳴るからといって、信号はどうでもいいというような見方では困るのでありまして、あくまでも、乗務員には何ら苦痛を与えないで、より安全なサイドのものと考えております。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 並木理事に、専門家だから御答弁のことを少しく考えてもらいたいと思うのですが、人間の神経を使うということは、精神的な疲労というものは、どういうふうな労働の中でウエートを持つかということをあなたはどの程度にお考えになっておるか御説明願いたいと思います。
  89. 並木裕

    説明員(並木裕君) 私も残念ながら心理学の研究君ではないために、相澤委員に御納得のいくような御説明はできないのでありますが、私は非常に安全な側の設備であろうと思っております。
  90. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは非常に重要な問題で、国鉄がいわゆる輸送力を確保し、あるいは従業員に対するところの労働条件というものを考える一番大きなファクターがそこにあるのですよ。心理学の問題ではないんです。乗務員のいわゆる一口の労働というものは、どのくらいの時間というものが適するかという問題に対して、やはりはっきりした経営者の立場がなくてはならぬと私は思うのです。そういう意味でまず機械化され、あるいは合理化されていけばだんだんその従事する人たちの精神力というものは敏感に、こまかく動かなければならぬということになってくるわけです。ただ機械ができて音がすればそれによってもう自然に事故というものが幾分でも減るのだ、だから人間はもう労働は決して過重にはならぬぞという解釈だけではこの問題を私は律することはできない。その点をあなたはどういうふうにお考えになっておるかということを私は聞いているんですよ。どうなんですか、この点は。
  91. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 乗務員が非常に神経を使うということは、私もその通りだと思います。ことにスピードが上って参りますればますます神経を使うということも考えております。それでぜひ乗務員の疲労度の検査ということをいたしてみたいと、こう考えております。  それからまた乗務の中間の休憩所でございまするが、今まで手の及ばなかった点が多々ございますので、そういう方面にも十分調査の上、休養施設の完備ということをぜひやつて参りたいと思っております。
  92. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいまの副総裁答弁で、大へん進歩しておると思うのですが、それでは具体的に乗務員のそうした疲労度の調査とか、あるいは今言った、厚生施設関係のある休養施設とか、そういうようなものはどの程度までこの五カ年計画の中であなた方はやろうとする意思があるのか。計画はどういうふうに持っておるのか。そういう点をお知らせ願いたいと思います。
  93. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 疲労度の測定につきましては、いろいろ専門家もございましょうと思いまするので、至急そういう実務家あるいは学者の方にお願いして調査を進めたいと、こういうことでございまして、これは至急にやりたいとは思っておりますが、現在まではっきり申し上げるところまでは進んでおりません。  それからまた休養施設につきましては、これは各局でできる工事でございまして、各局長が総括的な予算の配分を受けて、その中でいたすことになりますので、目下予算がもし成立いたしますれば、それの配分によって各局でいたすことになりまして、これはぜひ私どもの方で指令もいたしますし、またその計画を当方へ取り寄せて十分にチェックしていきたいと、こう考えます。
  94. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はおそらく今副総裁の言うように、乗務員の疲労度というものを調査し、あるいは検討を進める場合には、この保安施設が高度化するとともに、ますます精神的な疲労度というものも高度化すると思うんです。つまり疲労度ばどんどん多くなると思うんです。そういうような場合に今の乗務員の乗務時間というものを短縮する考え方があるかないか、こういう点についてお尋ねをしたいと思います。
  95. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいまのところはいろいろ総体の要員につきまして、急に今以上の乗務員について要員を拡充するというふうなことはきわめて困難でございまして、しかしハンドル時間を延ばそうとは思っておりませんですが、この疲労度の測定ということをいたしまして、その結果につきましては十分対処していきたいと、こう考えております。
  96. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは非常に、国鉄というのは国民から信頼をされる国鉄でなくてはならぬ。信頼をするのは何かといえば、やはり事故がないということが一番大きな問題だと思うんです。ですから先ほどもお話のあったように、参宮線の事故にしろ、あるいは洞爺丸事件の問題にしろ、いろいろ大きな事故が起きた場合には、何といっても事故対策——国鉄は今度は事故を起してくれないだろうと、こういう事故対策というものを必ず講じてくれるということが一般国民の大きな期待だと思うんです。その場合にいわゆる五カ年計画の中で、施設はある程度拡充することもできる、整備することもできる、けれども列車回数はふえてくる、列車回数はふえてくるけれども人間はふえない、今副総裁お話では人間はふやすようにはなっておらぬ、要員増員するようにはなっておらぬと、こういうお考えであるのか、あるいはまた現状ではどうしてもそれができないというのか、その点についてはっきりしたお答えを一つ願いたいと思う。
  97. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 全体の要員といたしまして現在増員は困難でございまするが、列車の走る走行キロがふえますれば、あるいは列車本数がふえますれば、それに必要なやはり動力車乗務員はふやしていかなければならないと、こうは考えております。もしそうでなければ、列車の増発しただけ、現在の人員でまかなうとすればハンドル時間を延ばさなければならぬということになりますが、そうは考えておりませんで、列車が増発すればそれに見合う動力車乗務員はどうしても充足しなければならぬと思っております。しかしながらそれは現在定員の中でいろいろ企業の合理化もいたすことでございまするので、そういう方面から適当な人を教育いたしまして乗務員の方に回したい、こういうふうに考えております。
  98. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をちょっととめて下さい。    〔速記中止
  99. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  100. 相澤重明

    ○相澤重明君 副総裁にさらにお尋ねしておきたいと思うんですが、今あなたのおっしゃるのは、要員問題については現在員の中でいわゆる操作をすると、こういうお話だと思うんです。そうしますというと、御承知のように運転業務というものはそう簡単にできるものじゃないわけなんです。これには相当の期間のやはり教育と並びにその修練、熟練というものが必要になるわけです。そういうことについて、たとえば養成所とか、あるいは教習所とか、まあいろいろな教育というものがあると思うんですが、そういうものをどの程度まで今お考えになっておるのか、こういう点をお聞きしておきたいと思うんです。
  101. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 仰せの通りに列車乗務員は非常にむずかしい業務でございまするし、それがきわめて短日月に養成できるとも考えておりませんですが、現在機関士のほかに副機関士もございまするし、助士もございまするし、副助士もございまするし、そういう人はいろいろな関係で乗務に非常に近い仕事をしておりまするので、素質は十分ございますと思います。そういう人たちをできるだけ短期に完全な乗務員にいたしまして上げていく、しかし上げていきますればそのあとがからに、からにといいますか不足いたしますから、ほかの方から補充して順々にそうして充足していきたいと、こう考えております。
  102. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると乗務員の場合ですが、今の機関士あるいは副機関士というものが、列車の増発あるいは複々線化によって本数が多くなる、こういう場合には、それを今の二人乗務、三人乗務というのを減らしてそうして間に合せるというお考えなんですか。つまりあなたのお話では副機関士あるいは剛助士というものがおるから、この人たちは同じような仕事をしておるからいつでも使える、従って五カ年計画の中で、たとえば今度運賃値上げが通ってそれを実行するという国鉄の立場では、本数が直ちにふえていくということが予想されますね、そういう場合にはそこに充当をしていく、従ってそのあとでは今直ちに使わない場合には他から融通をして、いわゆる現在員の中で養成をしていくのだ、だから若干のブランクはできるのだけれども、できないように養成をしていくのだ、こういうお話だと思うのです。ですから、二人乗務、三人乗務というものをそれを直していく、少くしていくのだと、こういうお考えですか。
  103. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 現在二人乗務をやっておりますのは、いわゆる機関助士を入れて三人乗務になりますが、これをやっておりますのは石炭の焚火の量によってきめております。それが焚火量が変らないのに減らそうというつもりは毛頭ない。結局電化によりまして区間が電気機関車で参りますれば一人減らすことができる。三人乗務をやっておりますところは三人乗務でできる。あるいは御承知のように機関助士のように階梯職的に下からどんどん上っていきますから補充しなければならないのは一番最下端の庫内手ということになるわけです。従ってその間の教育課程がスムーズに行われておりますれば、乗務員が必要な場合に下の職種からだんだんに上げていって、補充しなければならないのが一番下の職種、これはその必要な程度に応じて優先的に採用して参りたい、こういうつもりでおります。
  104. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほど冒頭にあげられた信号、保安設備というのが一番関連するのは、この乗務員の今の中止の問題になってくるわけです。ですから今まで運転に二人なり三人乗務しておる。これを一人はずすということは、これは非常に今度は該当の列車の乗務員に非常に大きな労働を負担させることであって、こういうことはよほどのいわゆる労働の短時間の問題や、あるいは施設がそれに伴わなければ、これはでき得べきものではないと私は思うのです。そういうことをする、つまり輸送力緩和という名目によって国民に運賃値上げをするという約束によって、むしろ国鉄の労働者というものがどんどん労働強化されていくのだと、こういうことでは決して私は事故の防止にもならぬし、またほんとうに国民のサービスのためにも私はならないと思う。そういうことを私はお考えになっておるとは思わないのですが、その点はどうなのですか。
  105. 石井昭正

    説明員石井昭正君) おっしゃるとおりでございます。
  106. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますというと、これはもう今の御回答ですというと、乗務員の数というものは当然ふやさなければならぬ、こういうふうに私どもは理解をするのです。その点は対策を持っておいでなのですか。
  107. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 列車キロの増発に対応いたします要員の充足については、十分対策を練っております。
  108. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、一応列車本数に対する乗務員の数というものは確保できる、こういうお話ですから、先ほどのいわゆる施設が充実をしてくるというと、それだけの事故というものは少くなる、こういうことはお話があったわけですが、私どもとしてはそれだけの乗務員に対する疲労度というものが非常に多い、従って当然その疲労度が多ければ労働時間というものは短縮をすべきであるという理解をしておるわけです。この点については今のところ短縮ができない、こういうお話ですが、人間の労働力に対する国鉄自体としての研究というものが十分に行われておらないからそういう発言があるのじゃないかと思うのですが、その点はどういうふうに今やっておるか、これ答を願いたいと思うのです。
  109. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 厚生局の中に労働科学研究室というものを設けまして、心胆の学科をおさめた人あるいは学者を委嘱いたしまして、いろいろな実験によって精査をいたしております。
  110. 相澤重明

    ○相澤重明君 乗務員の項については大体済みましたが、次に今度は線路関係等の保安の問題に入っていきたいと思うのですが、いわゆる停車場における投資額というものが約七億、こう見ておりますが、一体先ほどの御説明では、東海道あるいは大阪付近、あるいは山手、中央線、こういうふうな大きなところについては一応線路増とかあるいはそれに伴う保安施設というものは考えられるのでありますが、その間における中間が、やはりきせるではないけれども、中間がやはりそれに伴うところの設備というものが改良されなければ、都市地における問題だけではこの輸送力の緩和ということは私は十分に行われないと思う。そういう点についてはどのようにお考えになっておるか、御説明を願いたいと思う。
  111. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。先ほど来安全度の問題が非常に御論議を願ったのでありますが、安全度の信号、保安関係にはなるほど七億お金はございますが、これは当年度確保された安全度を、乗務員の疲労度を考え、さらに程度を上げようという金でございまして、私どもの考えですと、安全度の根幹をなすものは車両、施設が一体健全な状態にあるかどうかということでございまして、現在のところは全部が健全な状態にないということは御存じの通りの実情でございますので、それを取りかえて安心のいくものにしようという金が先ほど御説明申し上げました千五十九億、つまり疲労した施設を新しい施設にしてこれを安全に輸送できるような金、これが安全対策の基礎をなすものであると、かように考えます。それからただいまの御質問の都心の強化をやっても中間の強化をやらぬとどうにもならぬ、まことにお説の通りでございまして、五カ年計画にも書いてありますように、主要な単線は、現在の輸送の混乱を緩和すると同時に、将来伸びていく輸送量をさばき切れるように、線路の足らぬところは線路増設をやり、また線路増設に至らぬところは信号所を作るなり、側線をふやすということを考えております。
  112. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますというと、現在まで行われておりますところの、たとえば停車場における信号に、いわゆる集中てこといいますか、キャビンの中におけるそういう施設について、今まであるリバー式で扱っておったようなものについて、そういうものを機械化して、より合理的に設備を改良する意思があるのかどうか、この点もお尋ねしておきたいと思います。
  113. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お尋ねの点は十分その意思はございますので、五カ年計画においては、全部とは申しませんが、漸次大改造を行いまして現在ある程度よりも高度な安全性を備えるよう尽していきたいと、かように考えております。
  114. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらにお尋ねしますが、それでは東海道線並びに関西線において、その近郊におけるそういう設備費というものはどのくらいになっておりますか。
  115. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お手元に配付いたしましたこの線路増設費、停車場改良費といったようなものに包含さして計上いたしておりまして、それだけ取り出して今すぐにお答えできませんが、後刻調べましてお答えいたしたいと思います。
  116. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらにこの輸送の、いわゆる輸送力を増強するということについては、当然これに伴うところのヤードの新設、あるいはそれの設備の改良ということがなければならぬと思うのでありますが、そういう点についてもこの五カ年計画の中には含まれておるのですか。
  117. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 含まれております。
  118. 相澤重明

    ○相澤重明君 東京付近あるいは関西付近の中心になるところはどういうところがどういうふうな計画が持たれておるか。
  119. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 五カ年計画といたしましては、新設の飛躍的な増強じゃございませんが、そういったもの、あるいは常磐線の付近に作るといったようなこと、あるいは中央線の立川付近にもそういう構造の操車場の計画を立てるといったようなこと、あるいは裏縦貫に参りましては、秋田、富山その他も操車場を漸次完備していく、かように考えております。
  120. 相澤重明

    ○相澤重明君 この施設の改良並びに増設に伴っての人員については、どのようにお考えになっておりますか。
  121. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御承知のように、これはもう先刻皆様よく御承知だと思うのでありますが、国鉄の工事予算というのは例年五百億前後でございましたが、この五カ年計画ということが実行いたされることになりますれば千億をこすということになりますが、年間千億という額で六千億ということになりまして、その内訳を申しますと、大体そのうちの四割弱は先ほど来御説明申しましたように車両の関係であり、三割弱ぐらいが電気関係であって三割強くらいが施設の関係であるということに相なりまして、この車両関係の工事能力と申しますと、これは同じような事を数たくさん発注するという向きもありまして、直ちにそれだけ国鉄要員がふえるという計算には比較的ならぬと思いますが、電気並びに施設といったようなものは個々の工事が一件ごとに違いますので、現在と同じようなやり方をいたしますれば確かに要員の増強をしなくちゃいかぬという結論も一応出ると思うのであります。しかしながら、御承知のように、しからば土建工事であるとか、電気関係の工事をいかなることで工事を進めるのかと申しますと、国鉄側においてこれの設計をやり、これを天部分のものは請負に出しまして、その後の請負の監督なり指導で工事を完成するということになっておりますので、従来の国鉄やり方は設計、監督といった面に非常にほかの同種の業態に見られぬほど懇切丁寧と申しますか、そういったいき方をして、大多数はいい工事をやっておったということでございますので、この方法もまた業界などが相当過去よりも技術が進んで参りましたので、指導、監督といったようなものは業界の責任にまかせるという面もありましょうし、またものによっては設計をも業界にまかせる、あるいは最近におきましてはコンサルタント・エンジニアといった制度ができまして、こういったものの設計、指導、監督といったようなものを引き受ける機関もできましたので、直ちにこれを取り入れてどうこうという議論はなお早いと思いますが、従来行なったところの方法を変えまして、国鉄要員需要も、全体的には非常に著しいのでございますから、何とかいい工事を方法を変えることによって遂行いたしたい。少くとも今年度のごときはその土建工事のごときは五、六割の増でございますので、その方法を変えることによって何とか遂行できるんじゃないか、かように考えております。
  122. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたにちょっとお尋ねをしておきたいのですが、ここに昭和三十年度の決算検査報告という会計検査院の冊子があるのでございますが、これは私ども参議院の決算委員会においても二十九年度の決算の際に問題になった、いわゆる国鉄の工事の請負の問題もあるわけなんです。この三十年度のこの決算報告書の中にも、これは二百九十二ページの「(工事について)」という(ア)項があるわけでございますが、こういうような会計検査院の検査の報告を見ましても、今あなたの言ういわゆる施設の増強対策、あるいはまた工事がたくさんこの五カ年計画の中で行われるにもかかわらず人員をふやさない、工事監督もふやさない、こういうようなことで果たしてこの工事としうものが完遂できるのかどうか、この点についてはあなたはどういうふうにお考えになっておるか、その点をお尋ねをしておきたい。
  123. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま御指摘のように、会計検査院などから御批難を受けておるのでございまして、これは非常に遺憾に存ずるのでありますが、その内容をよく見ますると、必ずしも国鉄人員が少くて手を抜いたから遺憾であるということにあらずして、その扱い方が違法じゃないか、その中にはわれわれとしても相当弁解の余地があるものもございますが、その扱い方が違法であるというようなことを指摘されておるわけであります。従いまして、私は先ほど方法を変えるとは申しましたが、決して違法をあえてしょうという意味ではございません。先生の御懸念になっておるようにその違法を、ふやさずに、人間をうんと少い人間でやっていくということは、その方法を変えるなり、すべての面において非常な努力が要ることは覚悟いたしております。
  124. 岩間正男

    岩間正男君 どうなんでしょうか、議事進行の問題について……。どうもお預けみたいなことで、十河総裁も見えられないし……。
  125. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  126. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  127. 柴谷要

    ○柴谷要君 少しく関連した質問をいたしたいのですが、先ほど工事費が五割もふえた、しかも今日までの仕事の重要性を見るというと、国鉄は設計から監督一切せられて工事やらしてきた、ところが急激な工事費の増額によってこれを外注をしなければならぬ、設計も外部にやらせなければならぬ。こういうような御発言があるのですが、その場合に、しからば国鉄が設計をした場合の単価と、それから外注した場合の設計の単価とをどのくらいに見ておられるのか、それを御質問いたします。
  128. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 先ほど来申し上げたことは、この工事をこの程度外注するといったようなまだ具体案は考えておりませんので、きわめて概略的に申し上げたことでございまして、こういった業者の技術力——設計能力であるとか、コンサルタント・エンジニアの技術力というようなものが相当発煙いたして参りますれば、相当根本的なことも外注し得るのじゃないかと思いますが、現在の段階におきましてはそういう段階に至っておりませんので、コンサルタント・エンジニアに設計であるとか、大体アウト・ラインをこちらできめまして、その他の計算であるとか、そういった測量のごときものをお願いをいたすということでございますが、しからば国鉄でやったのとどちらが金で見てどうなんだという御質問でございますが、御承知のようにこういう制度は建設省であるとか、あるいは道路公団であるとか、電電公社といったようなものも対象にいたしておりますので、相当この制度によって連続的にそういう機関が仕事をし得るということになりますので、金の面から申しますと、これば当方で直ちにやるというよりも聞くはならぬ、かように考えますが、しからば質的に見てどうかということになりますと、この質を落さぬように、そういう機関を厳重に根幹的なことは監督しなければならぬと、かように考えております。
  129. 柴谷要

    ○柴谷要君 その方針は国鉄にとっては重大な変更になると思うのです。従来とってきた形とはまるっきり違った形が出てきておるのです。そういうものをいつおきめになったか。  それからもう一つ、国鉄の生命としておるところは、国鉄は特殊な仕事であって、どうしても国鉄の専門家が立ち会い、監督をし、しかも設計をしたものでなければ、従来国鉄というものは慎重の上にも慎重を重ねてきて、これを踏襲してきたと思うのです。この踏襲してきたものを急に変えようとするものですから、それは理事会でおきめになってその方針を決定しようとしておいでになるのか、その点を一つつまびらかにしていただきたい。
  130. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 国鉄の工事遂行の革命的な変化であって、そういう重大な決意をいつしたかという御質問であったと思いまするが、実は土木工事、建物工事といったようなものは、土木工事のごときはそういう方法は過去においてはとらなかった。しかし建築のごときは、相当しっかりした建築事務所のごときものが発達しておりますので、これを使った例もある。それから車両であるとか、機械類のごときは、国鉄が、かくかくの機能と申しますか、機能の出るものをメーカーが設計をして作りなさいというような注文をやっているものが多い。こういうことでございまして、ひとり完全に業者と申しますか、メーカーに全然設計を手をつけさせなかったということは土木関係だけであろうと思いますので、しかくそう重大な変化とも革命とも存じておりません。
  131. 柴谷要

    ○柴谷要君 今、はしなくも語るに落ちるということが出てきたと思います。ということは、土木関係にはそういうことは行われておらぬけれども、建築関係にそういう方針をとってきた。ところが、その建築関係に、国鉄の建築関係を調べてみると、新築工事を行なって一年足らずで、すでに雨漏りがして再修練をしなければならぬという事例がたくさん出てきておる。私ども建築関係で現実にそういう事実を知っておる。そういう所が出てきたということは語るに落ちるで、いわゆる土木関係にそういうことはやらなかったけれども、建築関係でそういうことをやった。そうなってくると、今日までの国鉄の建築行政にいたしましても、長い間育て上げたりっぱな建築士に設計をさせ、仕事をやらせた、こういうところには無理がなかった。ところが、手を抜いてやるために一年足らずで雨漏りがして、再修繕で莫大な金を使っているという事例がある。そういう所がどこにあるかといえば、所から場所から何から何まで私どもの所で全部貸料を持っておりますからお話してもよろしいのですが、そういう事例がある。そういうことを予期して、しかも国鉄五カ年計画を、皆さんが念入りに五カ年計画を立てたことは私ども承知をしておる。ところが、仏作って魂入れずで、いわゆる五カ年計画というりっぱなものはできたけれども、これに対応するりっぱなものは備わっておらないということなんです。ところが、運賃一割三分なり一割五分を上げるためには、この方向にばかり顔を向けて重大なことを忘れた。ところが、国鉄従来の使命であるところの、国鉄は何をやらなければならないかということを真剣にその道を考えてくれれば、それは当然専門家を養成しているのですから人を増すべきだ。これを使うべきだ。また足りないところはこれを補うべきです。この要員事情も解決がつかないで運賃値上げに目をとられ、五カ年計画に理想をとられて議論しておったのでは、国鉄は将来えらいことになってしまうと思う。それと最近の国鉄は、とにかく新規採用をしませんから、何年かたつと優秀な技術者が全部いなくなってしまってほんとうに困る時期が来ると思う。要員計画的にやっておりませんから、そういうことで将来国鉄は、皆さんがいるうち、中年層がいるうちはいいが、あと十年して、この人たちがいなくなったらどうなります。こういう問題も考えて、本年あたりは十分一つ技術者の養成のために人を入れるべきだと思う。一例を申し上げますと、昭和二十九年度に国鉄は四十四万七千七百二十五人いた。ところが三十二年度の予算単価を見ましても、四十四万七千七百八人、マイナス十七という数字が出ておる。ところが皆さん、電電公社を見ますと、二十九年度は十六万六千二百三十四人、三十二年度はどうなっているかというと、十八万一千九百五十四人、どれだけふえておるか。一万五千七百三十人もふえておる。これはどういう事情でふえたかというと、電話局が開設されたというので要員を採っておる。明らかに新設された電話局だから要員が採れる。ところが国鉄はどうか。とにかく国鉄は戦後は三十何線か着工して十六線が完成しておる。ところが、これに対して一人でも要員がふえておるかというとふえておらぬ。こういう事情では今日国鉄労働者が過重労働にあえいでおるということが数字の上で明らかに現われておる。しかもいわんや五カ年計画も立て、予算ももらった。しかしその予算を遂行する上においてほんとうに大半な必要人員が補充されない、こういうことであってはならない。そのときに当局者がストライキをやるような決意をしなくては採れるものか。(笑声)それをやらなかったら、今の運輸省のような状態では採れっこない。副総裁はみずからの責任を十分果されて——われわれはごりっぱな副総裁であると認めておるのに、だからやめていきますなんていうようなことを新聞でいっているじゃないか、そんなことでどうして国鉄が採れますか。もっとしかりした要員対策を立てて、一千億円の工事を十分に国民に示してやるべき時期がきていると思う。国鉄の威力を発揮する時期が到来していると思う。そういうときに皆さんがやらなければ、ますます国鉄が国民の批判をこうむることになってしまうと思う。そういう意味において皆さん方がどうしても要員事情が苦しくて困るというのであれば、運輸委員会の皆さんは理解ある人ばかりですからさっそく決議して、国鉄人員をふやすような決議もしようと思いますから、ここで十分披瀝してもらいたいと思う。特に施設関係にはたくさん質問したいのですが、きょうは時間がないから、運輸大臣が来ますれば質問をしたいのですが、副総裁にお尋ねをしたい点があります。というのは、二十三日の事件なんです。二十三日といいますと、御承知の通り業績手当が十五日の晩に組合と運輸当局の間に協定ができて、協定というものは国でいえば憲法のようなものですね。この憲法を二十三日の日に履行しないという形が出てきた。そこで組合が、憲法を守らぬなら一つ何とかやろうじゃないかということになったところが、その際に当局がいわれたことは、二十六日のストを回避をしてくれなければ支払いはしない。こういう当局から組合に通達があった。そこで私どもは少くとも二十六日にかこつけて二十三日に支払いをしないというならばけしからぬじゃないか。二十六日はまだ二日間もあることで、これからいろいろ組合にも考えてもらうし、われわれもまた二十六日というものが問題で、二十三日の約束を果すことにするなら、われわれは二十六日の問題に責任を持とうじゃないかということで、当局にも話し、政府にも話した。ところがなかなかどうも支払いしそうもない。そういう情勢の中で二十六日の問題にどうしてそんなにこだわっているかと思ったら、二十六日の問題じゃなかった。この問題が、これはまあ議事録に残ることは好ましくないから申し上げませんが、そのような事情にあるのに、二十三日に支払いをするという先に約束しておったこの約束をほごにするために勝手な理屈をつけたとしか私は考えられない。こう今私はとっているわけです。この問題は実際にどこに責任があるのか、運輸省にあるのか、政府にあるのか、それとも国鉄にあるのか、これを一そ副総裁の口から明らかにしていただきたいと思う。そうでないならば二十三日の問題は、痛くも、労働組合も国民から批判をかった。足を奪われましたから批判をかった。そうなってくると、ひとり国鉄労働組合だけがばかをみる形になるのですが、この憲法を守り得なかったという事情についての責任が、いわゆる国鉄にあるか、運輸省にあるか、これを明らかに一つきょうのこの席上でお願いをいたしたいと思う。
  132. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 二十三日の問題につきましては、いろいろ複雑な事情がございましたが、私ども考えましたことは、こういうことでございます。その前に労組としては、労組の理屈なり、言い分がございましょうが、私どもはとにかく十五日、十六日に妥結いたしました際に、国鉄労組の方の団体交渉の目的事項の中に最低賃金法の制定を努力してほしい、こういう申し入れがございまして、これにつきまして国鉄で扱うべき問題とは思われないということを回答しております。で、従いまして私の方では、あの妥結が単に仲裁裁定に持っていくとかいうことばかりでなく、十項目の全部にわたりまして妥結をしたと考えております。で、それに対しまして、でありますから、私どもは春闘ということについてはもう打ち切った、また労組の方でそういう条件で妥結したと、こう考えておったのでございます。その際に、二十六日に最低賃金法の制定ということで再びストを指令するということにつきましては、私の方は協定の違反ではないかと、こう申したのでございます。これにつきましては、労組の方と意見が一致いたしませんでした。まあこの点につきましては、新聞で見ましたところによりますると、政府の方からも、約束の違反ではないかというふうな意見があったように承知いたしたのでございまするが、私の方では、はっきり団交の申し入れの中に一項目として入っておりましたので、それも含めて春闘の打ち切りと、こう解釈したのであります。従いましてそれが再び旬日ならずして、二十六日に闘争を指令したということで、実は非常にがく然としたわけであります。それでいろいろそれでは約束が違うと申し入れましたが、そこで意見の合致を見なかったのであります。そうしますれば、あの妥結条項はそのまま遂行することもできないというふうに考えたのでございまするが、しかし、こちらとしては手当の問題でありまするから、それにあまりこだわるということもなにかと存じまして、関係方面にもお願いして、二十三日には支払う、しかしながら二十六日の指令が出て、そのためにいろいろ協定違反であるとかないとか、いろいろ言っておりましたために相当の、一両日の空白期日ができましたために、せっかく支払おうと思いましても、その間に多少のズレが出たわけであります。それで二十三日には再三労組と折衝いたしまして、特に私は国労の本部のところまで出かけまして、これは今政府の方で考えておられるのだから、必ず三十三日には出ることを私は確信する。で、午後二時という瞬間を切らずに、夕刻まで待ってほしい。さらにどんなにおそくなっても、八時か九時までには結論が出るのだから、そうすればはっきり支給することを指令する。しかしながら私、国有鉄道限りではこれは指令ができない問題であって、決して支払わないという意味じゃなく、必ず支払うということになるのだから、一つ指令を延ばしてほしいということを、実は誠心誠意申したのでありまするが、不幸にして私の説得力がなくて、不敏非才でございましたので、そこで労組を納得せしむることができなかったのであります。二十三日には実はもう午前中から相当列車が乱れておりまして、二時過ぎ、三時以降はああいうふうな混乱状態を呈したのでございまして、これを突き詰めてどうのとおっしゃいましても、私としては、私限りはなはだ不敏であったということは申し上げられますが、その他のことについてはごかんべん願いたいと思います。
  133. 柴谷要

    ○柴谷要君 ただい副総裁がいろいろと言われたようですけれども、それでは二十三日には支払ってもよろしいということで支払いをしたのは、ただいまるる述べられました条項が全部解決をしたので支払い命令が出た、こういうふうに考えてよろしいですか。
  134. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 四時ごろに、はっきり何分という瞬間は覚えておりませんが、多分四時少し前でありましたか、運輸大臣から支払ってよろしいという正規の御通知を受けましたので、直ちに組合に申し入れまして、組合は、それならこれから団交をするということで、本社に中闘のほとんど全員が参りまして、そこで団交をいたしまして、五時少し前だったかと存じまするが、五時前後に妥結を見た次第であります。しかし私の方では、大臣の命令が、通知がございまして、即座に、各地に支払いをするように、こういう通達は落してございます。
  135. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますと、今副総裁が言われましたように、二十六日の最賃の問題をめぐっての組合態度が変ったから、国鉄としては、運輸大臣に支払いの請求をして許可を得て支払ったというのでなくて、運輸大臣から支払ってよろしいと言ってきたので、組合の動向は、二十六日はどうあろうとも、運輸大臣の命令だから支払いをした、こういうふうに御答弁があったと思うのですが、そう確認してよろしゅうございますか。
  136. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 二十六日の問題、明日の問題につきましては、けさほどから再三私も、それから総裁も、労組の幹部と会いまして、三十六日のストを回避するようにということを再三申しております。ただ、ただいまの御質問につきましては、私はやはり二十六日に指令を出し職場大会をするといったようなことは、私といたしましては、やはり十六日に妥結しましたことの協定にたがうのではないか、こう考えておりまするが、しかし、それに先ほど申しましたのは、それを解消したという意味ではなくて、ただ、事、給与に関することでありますから、私どもの方で協定違反、協定違反ということで差しとめるのは、これはどうかと思って、結局二十六日のこととは無関係に出したわけでありまして、重ねて言うことでございまするが、私としては、春闘をこれで打ち切るといった十六日の約束に対して、また二十六日にどういう事情か、やはり職場大会その他をするということについては、やはり遺憾と考えております。
  137. 柴谷要

    ○柴谷要君 これ以上は、まあ運輸大臣が来られてから運輸大臣に質問したいと思うのですが、もう一つだけ、念のために申し上げておきたいのでありますが、あくまで副総裁、二十六日の問題が解決をしなければ支払えないという態度国鉄としてきめて、組合にそのようなことを通告をした、しかしながら運輸大臣が支払えというので、命令ですから支払った、こういうふうに承わっていてよろしいのですね。
  138. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 少し事実が違うと存じます。と申しまするのは、私は協定違反じゃないか、協定違反ではこちらの妥結条件も遂行できない、こういったことは確かでございます。しかしその後とにかくそういうことにこだわっていろいろ紛議をするということは事給与の問題であるから差し控えたい、こう考えましてぜひ支給はしたいと、こう考えまして、それで、しかし国鉄だけで支給できるものではないので、大臣にお願いして、大臣もまた関係のどなたかとよくお打ち合せになって、四時に私に支払ってもいいということがありましたので支払ったと、こういうことでございまして、もう少し具体的に申しますと、一時私は支払いは妥結条件の違反だから支払われないと、それはそう申しました、いろいろ団交の途中でございますから。しかし二十三日当日は私は朝から労組に対して、極力きょう中に支払うというつもりだから騒がないようにと、こう申したのでございます。
  139. 柴谷要

    ○柴谷要君 それではまあもっと質問すれば幾らもあるのですけれども、これで運輸大臣と一応交代願って、運輸大臣からしかるべく答弁を願います。以上で打ち切ります。
  140. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  141. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは速記をつけて下さい。
  142. 柴谷要

    ○柴谷要君 今小倉さんにお尋ねした件について運輸大臣にただしておきたい点が二点ばかりある。それは二十三日の、国鉄の業績手当の支給が二十三日ということにきまっておった。と申しますのは、第四波の闘争を仕組んだ十六日の前に解決したわけです。そのときの協約の中に、二十三日に業績手当を出すということにきまって、二十三日に支給ということは、大臣妥結の内容を御存じだったかどうか、これをまず最初にお伺いしたいと思う。
  143. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 十六日のいわゆる臨時第四波、あの妥結をしますときに、業績手当は一つ払うということに、むろん裁定案を尊重するという建前からいって、特に業績手当は払うということに国鉄当局から話をしたということは承知しております。それから後二十日か二十一日になって、二十三日に払うという約束をしてあるということも私は聞いております。
  144. 柴谷要

    ○柴谷要君 その二十三日に支給をするということが、国鉄組合との間にできておるのを承知して、しかも二十三日に支払いをしないでごたごたしたというその理由はどこにあるのですか、それをお尋ねしたい。
  145. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 二十三日に一体何で払うのかと言いましたところが、これは給料日だから一緒に払うのだということを聞いたのであります。それで私ども内部としてはその業績手当を払う金額の、私どもの腹はもうきまっておりましたけれども、これは運輸大臣、大蔵大臣協議の上でなければ最終的にはきめられない。そこで事務当局をして大蔵省と折衝をさして、当然そこへいき得るものと思っておりました。ところが、なかなかはかどらない。そこで二十二日の夜になりまして、これがきまらないであしたに約束しておって困るじゃないかと、私言いましたところが、それならあしたの朝きめよう、ということで大蔵大臣と私と朝会見しまして大体の了解を得ました。それであとは数字だけを次官をして整わせよう、どのくらいかかるかと言いましたら半日かかります、数字を整えるのに……。そこで私は国鉄当局に朝、半日と言うが、役所の仕事だからおくれると思いまして、(笑声)午後正時までに必ず払わせるから午後五時までちゃんと待つように、二十三日には相違ないから午後五時まで待つようにしておきなさいということを国鉄当局者に言っておきました。ただし実際問題として三時四十分に払う指令をいたしました。ただいま予算の方でも第一、土曜日でもって袋に入れるのにも五時ごろ言ったのじゃその日に入れられないじゃないか、そういうこともわからぬかと言いますから、銀行も十二時で土曜日はしまいます。その日に渡せないかということはよくわかっておりました。しかし給料が二十三日に払ったのですから、つまり業績手当は三十一日までおくれたが、二十三日と約束したのですから、そこで予定の金額を払うということを通達すれば、実際の現金の支払いは月曜日になったって差しつかえない、これは普通あることですから、私はそういう考えから午後五時まで待ちなさい、五時ならその日のうちですから、それで払うということに間違いない、こういうふうに私は考えておったのです。
  146. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣の御答弁で真相が明らかになりました。非常に私もさっぱりいたしたわけですが、実は大臣の方から指令で二十三日に支払っちゃいかぬという指令が国鉄に出されたものと思っておった。ところがそれは出ておらない。そこで、今大臣の御答弁にありましたように、二十三日は大蔵省との予算折衝で、まあ前日から引き続き折衝しておったために、国鉄としては支払いができなかった。ところが、二十二日に、協定で約束をいたした支払いの日でありますから国鉄当局は何とかして支払うということで努力をされたというふうに思います。ところが、その政府が応じないから支払いができない。こういうことを言ったのではなかなか組合が応じないというので、知惠を働かして、二十六日にストをやるようではこれは支払いができないという、こ居直ったように私は解釈するわけです。ここに私はやはり働く労働者と政府との間に感覚のズレが生まれてきていると思う。そこに今混乱の状態が生まれてくると思う。でありますから、三十三日に約束はしたけれども、いろいろな事情があって、支払いは三十三日にできないが、組合は二十五日まで待ってくれと、こう真実を私は話されるならば、今日の労働組合は決して二十三日にあのような混乱を起すような組合ではないと私は思う。そこで、もはや死んだ子の年を数えるようなことはしたくございませんけれども、今日被害を受けたのは、国鉄労働組合国鉄当局、運輸大臣であって、これに被害を加えたのはだれかといえば、大蔵省だと思う。運輸大臣も前日から努力をされたことは、私どもまのあたり聞いております。この御努力に対しましては感謝を申し上げておりますが、被害者は運輸大臣であり、国鉄当局であり、国鉄労働組合、こういうことになってくると、やはり少しく今後の問題を処理される場合には、十分に一つ運輸大臣は被害者の立場で御考慮をいただきたいと思う。私どもは実はこういうことで動いた。第三者でありますから、組合の介入はしたくありませんけれども、二十六日にいわゆる最初のストをやるから支払いをしない、二十三日はとめた、こういうお話ですから、しからば二十六日の問題を解決するならば二十三日には完全に支払いができるものとして、組合国鉄当局との間にあっせんの労をとった。ところが、二十六日の問題は組合としては十分考慮すると言ったのが、やはり支払いができなかった。こういうことになってくると、事実はそれとは違った方向にあったということなんです。ですから、そこにやはり組合側としても、この事実を事実として知らないと、そこに誤解も生まれてくるし、行動にもあやまちが行われますので、どうか一つ運輸大臣、大へん御努力いただいておることは私ども感謝いたしますが、今後どうか事実は事実のままにお伝え願って、多少時日を待てというようなことがあるならば、真実を話されて待たしてもらいたい、かように私は考えます。そういうようなことが、大臣の職責として直接そういうようなことがしにくいとか、あるいは運輸大臣としてやりにくいということがありましたら、われわれ端役がおりますから、そういう役は十分果していきたいと思う。そこにやはり国会なりわれわれの義務があると思いますので、そういう点は十分大臣としてお願い申し上げたいと思う。と同時に、二十三日の問題は、国鉄当局との問にとにかく処分者は出さないというような御決定もあったようでありますから、どうか一つ大臣として温情ある態度をとられることを最後にお願い申し上げて、真相が明らかになったことを心からお礼申し上げて私の質問を終りたいと思います。
  147. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  148. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 今の柴谷委員の質問に関連して一、二点お伺いしたいのですが、大蔵省なり大蔵大臣がこの問題を延引したところの理由、これはどういう理由で間に合わないように延ばしていったのですか。
  150. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは、大蔵大臣が延引したのではなかったのですね。これは事務的なことですから、大蔵省と運輸省の事務当局話し合いをした結果、二十二日の夕方になって、どうも大臣大臣と話をしてくれなければわからぬというところが一点できてきたのです。そこで大蔵大臣に電話をもって話しましたところが、いやそれは私も一向わからない、申しわけないけれども、あしたの朝次官その他から話を聞いてからあなたに会って話をしたいと言いますから、それならば八時半に会いましょうと、こういうので、ここに来まして、九時に会いました。ところが、なるほどそれはうそじゃない。大蔵大臣は次官から主計局長から主計官全部集めて、そうして私の来る前から一生懸命その話を聞いておった。こういうわけですから、大蔵大臣としても、その日の朝になって初めて話を聞いた。それから、私と大蔵大臣とこの院内で話し合いました結果、大体の腹は合いました。あとは計数だけだから、計数を次官同士で話をして、それできめていきましょうと、計数を次官同士で話をしまして、その結果があすこにまとまったわけでありまして、これはいかにも大蔵省がどう政府部内がどうというのですけれども、それほどのいきさつではなくて、非常に多忙なときですから、私どももこの問題は、私が相談に乗らなくても、もう次官できまることと私は思っておったのです。それで私も、聞かないできまるだろうと、そんなことは当然のことだと思っておった。ところが、二十二日の晩になって、もう一ぺん両大臣で話をしなければ困ると、こういうことを言いますから、それで仕方がない会ましょうと、こういういきさつでありまして、実際問題として両大臣協議の上で決定するということは当然でありますから、平生なら大臣など入らないで、次官同士で、局長同士で話がつくことですけれども、それが延びてきて、最終の一点において、計算の基礎において、三十三日話し合いをして、大体の了解がついたから、あとは事務的の計数を合せる——その計数を合せるのが、両方忙しいものですから午後の二時から三時までかかっちゃった。次官からその報告を受けて、そういうことでよろしいと、こういうことできまったわけです。
  151. 岩間正男

    岩間正男君 どうも、柴谷委員からもいろいろ出ましたので、私はくどく申しませんけれども、とにかくこの見通しはなかったのでしょうかな。とにかく二十三日出すのならば、この問題を解決するには、どういう手続をやって、どれだけの折衝を進めなければならぬか、こういう点について私は非常に問題を軽々しく見ておったのではないか。私が言いたいのは、とにかくあれだけの紛争をやったあと、そうして問題を解決する解決条件としてはっきり出ておる問題を、これを慎重に扱うということは、当然私はここまで含めなければ、やはり紛争の解決は完了したというふうにいかないと思うのですよ。この点で、労働者のあれに対する実力行使まであえてしなければならなかったと、こういうものに対する認識は非常に欠けておると思うのですが、この点について今度とにかく国民のいろいろな非難も出ました。これはまあ新聞やラジオだけでは、その非難のところだけどんどん、どんどん出してきて、特別な例なんか出して、いかにも労働者のストライキをやったのが悪いというように世論的に追い込むような形をとっておりますけれども、しかし根本の原因は、大元の原因は、これは大蔵省なり運輸当局は口をぬぐってすましておるということはできないと思うのです。この点を明確にしない限り、国民はますますこの問題に対して世論的に何か変な方向に持っていこうという空気を一掃することは私はできないと思うのですが、これについてはっきりしたやはり責任の所在を明確にしていただきたい。
  152. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これを払わないとか、金額を減らすとかいう問題があるならばこれはあなたの言う通り重大な考慮を加えなければならない。当然約束通り払うというので、それがその日にちにも払う、こういうのですから、そこでただ朝払うか、夕方それを払うかということが一日おくれたということはありますが、何らそれは重大な考慮……当然のことで、払うべきものは払う。それを途中で払わない、こういうことが起るなら、金額を減らすということが起るなら、あなたのおっしゃる通りこれは重大に考えなければならない、そういうことはないのですから……。
  153. 岩間正男

    岩間正男君 やはりまあ労働組合の運動、具体的な運営というものにあまり御経験のない大臣としてはそうお答えになるのは当りまえだと思う。しかし局に当っている組合の幹部とか役員というものは、そういう形にいかない。国鉄は御承知のように五十万近くの労働者を持っているでしょう。そこでもらえるものだと、はっきり解決の条件としては流されているのです。待っているのです。単に労働者が待っているばかりではない、家族も待ちかねておる。そうでしょう。その次の日は日曜日なんです。そういうことを考えますと、やはり出されないということは非常にやはり不安を与えるのです。そして組合の立場からしましても、組合大衆を納得させるのは非常に困難なそういう機構になっていると思うのです。そういうことはあまり御存じないかもしれないから今のような御発言になると思うのでありますけれども、私はやはりそういう点を十分理解していただきたいと思うのです。ですから労働者の立場はあそこまでこれは心ならずもいかざるを得なかった、しかしこれの根本的な原因というものが明らかにされなければ、国民はあとで起った事態に対してだけ非難の声を向けておる。これはどうも私は非難の中心が的はずれになっておるんじゃないかと思うのでありまして、やはりこの点は政府及び国鉄当局ははっきり責任を痛感さるべきだと思います。もっとも副総裁はこれで辞意を表明されたということはあるのでありますが、しかし今後の運営についてもこの点ははっきり考えてもらいたいと、大体そうでしょう、組合の組織というものは……。この点いかがですか。
  154. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  155. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  156. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 私は先ほど申し上げた通りであります。また今お話がありました小倉副総裁がやめるなんという問題は少しも聞いておりません。そういうことは私は承知しておりません。
  157. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十三分散会