運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-22 第26回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)    午前十一時三十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員井野碩哉君辞任につき、その 補欠として加賀山之雄君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     小林 重國君    日本国有鉄道常    務理事     並木  裕君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会開会いたします。  委員の変更について報告いたします。三月二十二日井野碩哉君辞任加賀山之雄君補欠選任せられました。   —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 江藤智

    江藤智君 この前お願いしました運賃改正の結果、五カ年計画がどういうふうになるかということを、まあこれまでもいろいろ案があったようでございますが、そういう案を一表にまとめての資料をお願いしたのができておるようでございますから、当局の方からこの表についての説明を承わりたいと思います。
  5. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それでは、ただいまお配りいたしました五カ年計画におきます国鉄の申請の一八%の場合、これを運輸審議会当時に一五%に査定しました場合と、今回の十三%の場合を比較した表で御説明申し上げます。  五カ年間のまず収入見通しでございますが、一八%当時は、五カ年間で一兆五千三百五十七億、これをその後のいろいろな状況の推移によりまして一五%の場合には一兆五千九百五十三億、今回査定いたしましたのが一兆六千百六億、この数字は、予算のときにも御説明いたしまして、前回も御説明いたしました通り、年々の増加率を修正いたしました新しい輸送量改訂計画によって見積っております。従いまして、収入において、比較欄におきますごとくに、C案におきましては、A案に比べまして七百四十九億、B案に比べまして百五十三億増額して見通しをつけてございます。一方、これに見合いまするところの五カ年間の支出でございますが、支出として当然あげ得べき経常費利子その他、借入金等返還固定資産税、これを小計いたしまして一八%の場合には一兆四千二百六十五億、一五%の場合には一兆四千七百三十七億、今回の一二%の査定が一兆三千九百五十八億、従いまして、C案においては、A案に比べて三百七億、B案に比べて七百七十九億減らして査定してございます。  その内訳は経常費におきましては、A案に比べて三百四十七億、B案に比べて四百九十一億減となっております。利子その他の支払いにつきましては、A案に比べては十二億増、B案に比べては百九十二億減、借入金などを返します金につきましては、A案に比べて三十億増、B案に比べては七十七億減、固定資産税につきましては、A案に比べて二億、B案に比べて十九億の減と査定いたしております。こういたしますと、差引設備資金に充当できまする額は、この収入から支出を引いたものでございまするからして、A案では千九十二億、B案では千二百十六億、C案では二千百四十八億、差引C案では、A案に比べて千五十六億、B案に比べては九百三十二億の増になっております。  一方、必要な設備資金でございますが、これはすでに御承知のごとく当初は五千二十億案を立てたわけであります。大約五千億、それを一五%のうちから情勢の変化その他を勘案いたしまして修正五カ年計画と申しますか、前回お手元に配りました資料内容増加額を五カ年計画で五千九百七十億、こういうふうに改訂したわけであります。この五千二十億、五千九百七十億には、この右の備考欄に書いてございますように、新線建設費は含まず計算をいたしておったのでありますが、一三%の場合の査定では、実際の予算その他の見合いがございまするので、新線建設年額約七十億ばかり入れまして五千九百八十六億、この工事内容は五千九百七十億時代の改良計画に、今申し上げた新線建設を足したものでございます。こういたしますと次に借入金計画でございますが、借入金は、A案の場合には千三百五十億、それから一五%の場合も二千四百四十億、これに新線建設費、こういう状態でありましたのを、今回の改訂案と申しますか、今審議願っております案では、新線建設費を入れまして千八百八十億、こういたしますると、自己資金によります必要設備資金が、A案では三千六百七十億、B案では三千五百二十億、C案では四千百六億、こうなります。このカッコで六億と書きましたのは、実は自己資金の中でその後資産充当と申しまして、不要品を払い下げたり、いろいろいたします収入で、工事費に見合う資金をこまかく計算いたしましたので、一三%の場合にはこれが六億別ワクで作ってございます。こういたしますと、この自己資金によります額と、先ほど御説明いたしました差引設備資金に充当できる額との差が今回の自己資金不足額になるわけでございまして、この不足額が、A案では二千五百七十八億、B案では二千三百十四億、それから一三%の場合は千九百五十二億、こういたしますると、これが運賃値上げ対象額になるわけでありまして、この運賃値上げ対象額見合います五カ年間の収入額は、A案では一兆四千三百三十六億、B案では一兆四千八百七十四億、C案では一兆五千十五億、これは今回の運賃値上げ対象になります鉄道、船舶その他そういう運賃収入に見合う総額でございまするので、これに見合いましてそれぞれ値上げ割合が、A案で一八%、一五%の場合には一五・五でございます。この〇・五は企業努力に待つことにして、二五と査定したわけでございますが、それが今回の二二%では千九百五十三億と一兆五千十五億との見合いでございまして、一三%となる、こういうことでございます。これが今までのいきさつを数字でもって明らかにいたしました経過でございます。
  6. 江藤智

    江藤智君 ただいまの御説明数字的にははっきりしたのでございますが、ここで国民一般がどうもはっきり納得しかねるという根本的な気持があると思うのであります。それは何かと申しますと、A案にしろ、B案にしろ、一応これは国鉄A案運輸省の方に正式に運輸改正の基礎として御提出になったものでありますし、B案運輸省の方で運輸審議会の方でやっぱりおかけになっていろいろと検討なすった結果であります。C案はこれはその後いろいろと検討されて、最後の案になったわけなんでございますが、これはもちろん国鉄あるいは運輸省だけではなくて、いろいろ検討した結果。案になったわけでございます。しかし、この結果を見て納得しかねるということは、あるいはある程度不安を感ずるということは、B案あるいはC案におきまして、五カ年計画をもっと推進しなければいかぬということで工事経費をふやしております。それにつきまして、その財源を五カ年間の収入を増すということでおもにまかなっておるわけでございますが、このように収入はふえる。ところが、常識的に考えますというと、収入をあげますためには、それに見合った経費というものがそれに比例してふえなければおかしいわけです。ところが、この結果を見ますというと、当初国鉄提出されたものに比べまして、結局収入増経費節減とを加えますというと、一千億程度のそこに差ができておるのであります。そうしますというと、当初国鉄運輸省に申請なすったときの見込みというものが非常に甘かった。また、逆に考えますというと、今度の案というものが極端にこれは無理な案じゃないかというような気持を持っておるわけなんでございますが、しかし、こういう結論が出ておる以上はです、これはできるというお見込みでお出しになっておることは確かなんでございます。そこで今言ったような疑問の節につきまして、もう少し明確に私は、こういうことで埋め合せをするのだということを一つ説明していただきたいと思います。
  7. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) まず、収入でございまするが、収入につきましては、この三十二年度予算のときに申し上げましたように、最終的には、三十年度実績に対しまして客貨ともに毎年四分五厘ずつ複利で増加するものといたしまして、これで三十六年度輸送量を出しまして、これと三十一年度のすでに実績が大体出ておりますので、それから三十二年度予算説明しましたあの増加割合を掛けた三十二年度輸送量と結んで各年度輸送量が出て参るわけであります。これに三十年度運賃率によりまして、その輸送量から収入へ直しまして、これに今回の一三%の運賃改正増収というものを加えて積み上げて参りまして、特にこのC案査定のときには、これを鉄道、自動車、雑収入その他各項目別にこまかく積算をいたしてございます。従いまして、収入の違いは、今申し上げました最後的な数字の確定が、このA案当時、B案当時と事情が違っておりますので、これは諸般事情を勘案して、これくらいの数字は五カ年間において出るということで査定をいたしたわけであります。  次に、経費でございますが、まず、簡単な方から申し上げますと、固定資産税の方は、これは資産増の大体見合います年々の増額が、工事費その他の割合からまた出て参りますので、これを積み上げまして、例の固定資産税対象額を半額にして、あの税率を掛けますと出て参りますので、これは現実額としてこういう四百六億になったわけであります。それから借入金返還につきましては、まあ借入金の中にいろいろなものがございます。しかし、その関係のもののうち、民間から仰いでおります外部資金その他、これは鉄道公債、これは時期の来たものは一部返さなければいけませんし、それからまた借りかえのきくものもございますし、その割合、それから資金運用部資金から借りておりますものは、これはその年限々々で償還計画が立っておりますので、その割合を見て、これはそういうことで積み上げましてこの数字にしたわけであります。  それから利子その他は、これはC案でもってこういうふうに設備資金の配分がきまって参りますると、今までの借りております金と、今回から増額で見合っていくものの利子が出て参りますので、この積み上げになっております。従って、この利子借入金返還固定資産税は、そういうふうにすれば出て参ります。  一番大きな問題は経常費でございます。経常費につきましては、いずれも先ほど収入のところで申し上げましたように、輸送量が異なっておりますので、この輸送量に見合った増加経費というものは見なければならない。これはそれぞれ対象輸送量に充てて増加経費を見ておる。で、まず物件費につきましてでございますが、物件費について、そういう業務量増加による増加額を加算いたしますと同時に、今度は節約額の見方なんでございますが、この節約額のうちで、まあ電化ディーゼル化等、動力の近代化による節減というものが、これは大体この五カ年計画工事計画がふえて参っておりまするから、その内容が、一八%のときは違っておりまするので、それぞれこまかく計算をいたしまして、電化による節減ディーゼル化による節減と、節減額をこまかく出しまして、これはそれだけ減額になっております。それからそれ以外に、今度は経費節約分でございますが、これはいろいろ各項目ごとに見て参りまして、大体五カ年間の終結においては、一割一分くらいの節約額に達するように、各年度節約率積み上げて参りまして、それではじいております。その結果、物件費が減って参りましたのと、次に人件費でございますが、八件費につきましては、三十二年度予算、すでに御説明して内容をよく御存じだと思いますが、その予算に対しまして、昇給と、それから退職手当と、いろいろ共済組合関係、こういうものを見て参りまして、この積み上げによってこの人件費を出しまして、今の物件費と足しました合計がこの経費でございます。それから、次に借入金でございますが、借入金は先ほど御説明いたしました通りに、一八%の場合には、ここでごらんになるように、年額にいたしますと、年二百七十億程度の規模で考えております。これを一五%にしたときには、いろいろ財政状況、市中の金融状況等から見まして、ここでごらんになりますように、約四百九十九億、約五百億ベースくらいまで上げております。しかし、これが三十二度予算の編成のときに、いろいろ財政当局とも打ち合せまして、先ほど申しましたように、A、Bに建設費が入っておりませんので、この建設費は、御案内のように、今度は三十二年度は七十億でございますので、これを大体七十億ベースで、三百五十億くらい、何と申しますか、別に建設費として考えなければなりませんので、これによって改良費工事を減らすということもできませんから、これは輸送量増に見合う工事量は、そのままこれらを織り込んで、財政資金として千八百八十億から約三百五十億くらいを引いたもの、すなわち千五百三十億程度、年間約三百億ベースくらいに相なるかと思いますが、これは資金運用部資金鉄道債というもので考えたわけでありまして、従って、借入金は、やはり諸般財政状態等がからみますので、最終判断としてここに落ちつけたわけでございます。こういったことは、今申し上げました数字の違いの内容でございまして、それぞれ積算の上に成り立っておりますが、この一三%の査定の場合には、そういうことを考慮して査定いたしましたのでこういう数字になったわけでございます。
  8. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  9. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。  これをもって休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩    ——————————    午後二時二十七分開会
  10. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 中村正雄

    中村正雄君 運賃法議題に関しまして、特に五カ年計画と、来年度予算の面から、運輸大臣なり、国鉄総裁に質問したいと思います。  運輸大臣にお尋ねしたい第一点ですが、これは今までの国鉄運賃を見て参りますと、経営が行き詰まると運賃値上げという声が出まして、そういう面から運賃改正がなされておりますが、ただ、国鉄運賃がどういうふうにあるべきかという根本的な問題について、今の政府はどういうふうにお考えになっているか、その点についてお伺いしたいと思います。
  12. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お答えいたします。過去において、まあ二十六年、二十八年に運賃を引き上げました。この点は御承知通り、あまりに経営が困難であり、また通貨あり方、いりいりの点から考えられて引き上げましたが、この二町年米また運賃値上げの問題が世間にいろいろと、またこの国会におきましても、いろいろ話に上った点は御承知通りであります。しかるに、やはり運賃値上げはなるべくしないで経営合理化していかなくちゃならぬという議論に抑えられて、なかなかそれが運ばなかったわけでありますが、昨年以来、産業経済拡大が非常な急テンポで開けていきまして、現実に、昨年においても相当国鉄関係において努力したのでありまして、その輸送実績相当に上っておった。上っておったにもかかわらず、二百万トン内外の滞貨を生ずる、乗客においても依然として混雑をきわめておるというようなことからいたしまして、国鉄当局におきまして、運賃の一割八分を上げて五千億円という五カ年間の計画、これは従来の工事費の約倍に当るものであります。そうして老朽施設を初め国鉄近代化をやって、この輸送力増強する案を立てておったのであります。また、産業経済実情を見ますと、その伸び方企画庁あたりの調べにより、また世間の常識から見ましても非常に拡大をしている。国鉄が現在のようなあり方で行くならば、一両年を出でずして日本経済輸送力の面から首をくくるのではないかというような状況に立ち至ってきそうである、こういうことから国鉄老朽施設並びに固定資産の償却並びに近代化輸送力増強という一連の施策をいたしますについて、その費用をどこに求めるか、世間から非常にいろいろ批判を受けておる国鉄経営合理化という面からも捻出すべきはこれは当然のことであります。それから従来通り借入金相当程度を依存しなければこれはやっていけない。なお、その上に運賃もある程度値上げをして、そしてこれに即応していくという計画を立てたわけであります。私が就任いたしましてその実情を聞きまして、それからちょうど審議会答申も御承知通り一割五分に出まして、これを決定して本議会において御決定を願わなければならぬという段階に参りました。経済伸びは、昨年までは一二%も伸びたというのですが、今後企画庁見通しは七、八%が伸びていくだろう、その線に沿いまして輸送力増強考えてみますと、伸びていくときはやはり予想したよりも速度が早まるのじゃないか、こう考えましたので、再びこういう事態を引き起さない——少くとも三、五年は引き起さないという考え方からいたしまして、さらに二割をつけ加えまして五カ年間に六千億の一つ資金を捻出しょう、しかしながら、国鉄運賃値上げということは物価の上にも、国民生活の上にも相当影響をもたらすものでありますので、これもいろいろ検討をいたし、国鉄経営の面をさらにしぼるというような点からいたしまして、一割三分の値上げによって六千億円の資金自己資金借入金によって捻出する、こういう計画を立てまして、このたびの運賃値上げ国会の御承認、御決議を得るように立てたわけであります。この運賃値上げについては、衆議院におきましても、またこちらにおきましても、いろいろな御議論がありまして、国鉄公共性から見てもっと国家資金でまかなうべきものがあるじゃないか、それを怠っておって運賃値上げだけに依存するのはどういうわけかというような御議論も盛んに伺ったのでありまするが、まあ今日の日本財政あり方相当の余裕もできてきましたけれども、国鉄自体の力もまた増加をして参りましたので、今年の段階においては一つこのような程度においてまかなって、さらに明年からのことも考えていきたい、こういう考えで、まあ私どもの立場とすれば、妥当の線と考えましてこれを提案した次第であります。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 私のお尋ねしているのは、国鉄運賃決定が、いつの場合でも国家予算の面から値上げするということがきまっておる。私の質問しているのは、国鉄運賃はいかにあるべきかという点についてどういうふうにお考えになっておるか、こういう質問なんです。運賃法によりますと、一応四原則はきめておられますが、今度の運賃値上げはこの四原則のうちのどの原則基準にして一割三分という線を御決定になったか、それをお聞きしているわけであります。
  14. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは四原則を総合的に考えまして、そのうちのやはり基本的な線は、何といっても国鉄運賃は原価な償う、こういう線も太く出ておりますので、それらも相当に勘案いたしまして四原則を総合的に考え決定いたした次第であります。
  15. 中村正雄

    中村正雄君 もう一つその点についてお伺いしたいのは、国鉄運賃決定私鉄運賃決定とにおいてどういう点が違っておるか、その要素について、運輸大臣見解を承わりたいと思います。
  16. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 国鉄運賃は、この運賃原則を建前として今日まできめてきております。私鉄もやはり私企業ではありますけれども、公共性を持っておりますので、新しい国鉄運賃基準から見まして私鉄経営状態、その地方における実情を勘案しまして、それぞれ適当と考慮するように決定してきている次第であります。
  17. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、運賃をきめる場合の基本原則は、私鉄運賃国鉄運賃も同じ観点からやると、こういうように理解していいのですか。
  18. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 公共性という点は同じでありますけれども、やはり私企業私企業立場考えてやらなければなりませんので、私鉄経営状態をも勘案いたしまして、それは別にやはりその方は個々の場合を見て決定しておる次第であります。
  19. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄運賃決定についても国鉄経営という面は考慮なさっているわけでしょう。従って、企業経営、運営という面については、私企業国鉄も同じように経営面からもやはり一つ基準を求めるとすれば、その点は同じではないですか。
  20. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 大体さように考えます。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 今回の通貨値上げ経過を見て参りますと、これは国民的な感じなんですが、最初国有鉄道としては、五カ年計画を立って、それを達成するためには、一割八分の運賃値上げを必要だと、こういうことで盛んに宣伝なさったわけでありますが、その後、運賃答申が一割五分になり、政府決定は一割三分となって国会に提案されたわけですが、そういう経過を見まして、国民感じております点は、一割八分値上げしてもらわないと国鉄の再建はできないのだ、輸送力増強できないのだと、そう言っているのが、いつの間にか一割三分になっても同じ五カ年計画数字、言いかえれば、もっと大幅な数字が発表になっている。そうなりますと、一割八分から一割三分、差額の五分というものは相当の金額になるわけですが、これは経営合理化なりあるいは節約、こういうことで数字の上では言いわけされているわけでありますが、国民として受ける感じは、国鉄はこれはやはり節約すれば幾らでもできるのだ。一割八分の線でのんでおれば節約せぬでもやっていける、一割三分にぎりぎり追い込まれるとあれだけ節約し得る内容を持っているのだ、こういう感じを受けるわけです。そうすれば、たとえば一割三分を一割にすると、こうなっても足らない三分は、また何とか企業合理化なりあるいは節約でやってゆくだろう、そうすると結局値上げしなくてもやっていけるじゃないか、こういう印象を現在の国鉄の不人気の点から受けるわけです。その点から見て今度やはり運賃値上げ決定に至るまでの政府なり国鉄なり、そういうものが国民に与えた感じというものは、国鉄は何をやっているかわかわない、倹約すればどんなことでもできるのに、大きなことをふっかけて運賃値上げを言っているのだ、こういう感じを受けるわけなんです。こういう国民的な感じに対して、数字の上ではいろいろ言いわけはしておりますが、大臣としてどういうふうにお考えになっておるか、また、国鉄総裁として、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておるか見解を承わりたいと思います。
  22. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) まあ一応お説のような感じもありましょうが、これも程度の問題でありまして、一割八分が一割三分になったが、そんなら値上げしないでもいけるかということも、一応の言い方としてはそれは成り立つわけでありましょうけれども、実際の問題としては、やはりその程度の問題で国鉄もある程度運賃値上げをしなければ、他の諸物価と比べても、またすべての点から考えても、今日のままではやっていけないという感じは私は国民の多くの人々も持っているのじゃないかと、私どもはこう考えておる次第であります。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 特に午前中の五カ年計画の修正について、国鉄から経過の案が出ておりますが、これによりますと、一割八分の案を決定したときと、一割三分の現在とにおきましては、運輸収入において七百四十九億、経営において三百四十七億のこれは上下があるのですよ。合計一千億という金が五カ年間に捻出できるような数字になっておる。机の上ではこれは可能かもしれませんが、これがほんとうに可能なのであれば、国鉄運賃値上げをするといっているが、今よりも、わずかな数字でなくて五カ年間に一千億の金なんですよ、一割八分の決定のときよりも一割三分の決定のときの方が七百四十九億も増収できるという見込みが立っているわけなのです。節約の面においては三百四十七億も節約できると、こういっているのです。こうなると一体どれを信用していいのかわからなくなるのです。わずかな差ではなく五カ年間に一千億の金が、一割八分から一割三分になったときにわずか三、四カ月の間にこれだけの数字の開きを来たしているわけなのです。この点はどういう感じがしますか。
  24. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) その点はお説の通りですが、また運賃値上げからくる収入も、五カ年間を合せますと約二千億近くなるのでありますから、それを無視するというわけにもいかないわけでありまして、ただいまのようなお話も、この国鉄が申請をし、これを審議会にかけ、また私どもが査定をする過程においてはいろいろないきさつはありましたけれども、大観してみて、まあこの程度のことは程度という問題で、まあ無理のないようにおさまっていく、そこでつじつまを合せる、国鉄合理化の問題も、これはやはり今後相当国鉄において努力をしなければ出てこないわけであります。その努力を目標に置いてここへ縮めていこうというようなわけでやっているわけであります。
  25. 中村正雄

    中村正雄君 わずかの差とおっしゃいますが、一割三分の運賃値上げによって、五カ年間に一兆六千百六億ですか、これだけの収入を見込んでいるわけなんですね、一割三分によりますと反対に増収と節約額と二千億、こうなっておりますと、一割三分の値上りによって、おそらく五カ年間では今おっしゃったように二千億までの増収ですね、そうすると一割三分上げても二千億まで、それでわずか三、四カ月間のそろばんのはじき工合によって一千億の金が捻出ができるというのであれば、僕は程度の差では済まないような感じを受けるわけなんですが、どうです。
  26. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) まあそれは決して申請の方がずさんであって査定の方が正確なんだというわけでもありませんけれども、まあ大体国鉄の希望としては、初めそういうそろばんをはじいておったのでありますが、まあだんだんそれを押し詰めて、切り詰めていきまして、そうしてまあ国鉄も努力をし、計画も変更をし、できるだけ一つ今後の努力によってこれを捻出しよう、こういうことできめたわけであります。
  27. 中村正雄

    中村正雄君 この点について幾ら御質問しても満足な答弁を得られませんので、また別な機会に譲りますが、もう一つ運賃について運輸審議会答申一割五分が出ておりますが、その答申の中に、貨物等級表の再検討をせよということを述べておりますが、大体この点について、いつごろ国鉄としては検討の時期に入るのか、この点について国鉄の方がいらっしゃれば御答弁を願いたい。
  28. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 運輸審議会からはただいまお話のような御趣旨のあれがあったかと存じております。私どもは、単にまあ等級ばかりなく、運賃体系そのものにつきましてもまあいろいろと検討しなければならない。たとえば運輸審議会においてもお話がありましたように、旅客運賃では等級をもう少し単純化する——これは旅客ですが、そういうようなサゼスチョン——御示唆もあるようであります。そうしたもの全般を通じまして、私どもとしましては、新年度になりましたら早々その検討に着手し、これは単にわれわれ内部からだけではなくて、広く学界その他有識者の方々の御協力を得ましてやって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 中村正雄

    中村正雄君 運輸大臣にお尋ねしたいわけですが、御承知のように政府政府としての五カ年計画を一応持っておられるわけなんですが、特にまあ現在一番隘路といわれております鉄鋼、石炭、電力、輸送、この四つの基幹産業の増強をはからなければ政府の五カ年計画の遂行もできないわけですが、私、一つ不思議に思っております点は、政府が五カ年計画を樹立したときに、国鉄輸送力増強という点についてどの程度までお考えになっておったか、政府の方針を承わりたいと思う。
  30. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 政府としては、ただいまお話のこの電力、鉄鋼その他と見合いまして、大体今後の経済伸びが七、八%という点から、国鉄輸送力増強に対しては、現在の段階において年に四、五%ずつふやしていけばそれで間に合うというような考え方であります。
  31. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄の五カ年計画政府の五カ年計画の一環としておやりになっておるのか、あるいは政府が五カ年計画見通しをつけたから、それに対応して国鉄輸送力増強の五カ年計画をお立てになったのか、その関連性についてお尋ねしたいと思う。
  32. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 両方、つまり国鉄自体としてもこのままでおけない。それと政府計画と両方合せて考えてやった結果であります。
  33. 中村正雄

    中村正雄君 政府がこれだけの国鉄の五カ年計画も国全体の計画に合してやっておるんであれば、なぜ政府として国鉄輸送力増強について財政措置をお考えにならなかったか、この点は運輸大臣の御見解を承わりたいと思う。
  34. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは政府は御承知通り電力それから海運その他一般の基幹産業に相当資金を投じております。で、国鉄に対しましては、ただ借入金に対して道を開いてもらっておるという程度で、これはまあ昨年から続いておることでありますが、今日、なるほど財政の上で自然増収も出てきまして、減収もしくはその他に振り向けておりますけれども、国鉄自体が御承知のようにこの大きな国家資産を受け継いで、そうしてこの独立採算の企業をやっておるわけでありますが、従って、今日の段階においては、まあ国鉄自体の力によってできるだけのことはやってもらうという点から見合って、先ほどもちょっと申し上げました通り、この段階では国家財政との関係もこの程度にしておくというような考え方で今回の計画を定めたわけであります。
  35. 中村正雄

    中村正雄君 その考え方が私は了解しにくいのですが、たとえば今参議院で審議いたしておりまする来年度予算を見てみましてもです、政府財政投融資は三千二百八十億ありますが、そのうちで、国鉄に対しては、今御説明のありましたように、わずか八十億しか借入金で認められていないわけなんです。反対に、電源開発を例にとってみますると、四百四十六億の投資になっております。そうすると、電源開発だって、これは何も、独立採算制で当然やっていくべき企業だろうと思うわけなんですが、一般の民間企業に対して、政府はこれだけ大幅に財政投融資をやって、国家機関である国鉄が金に困っておるというときに、わずか八十億しか融資をしないという点が、私は了解に苦しむわけなんです。一体政府としてはどういう御見解か、国鉄はできるだけいじめたらいい、民間の企業はできるだけかわいがってやったらいいというお考えであれば別ですが、常識的に考えて、政府機関の方はできるだけ困らせておいて、困ったら運賃を上げて国民からしぼれ、電力会社の方は、これは国民からしぼるのはかわいそうだから政府がめんどう見てやろう、これは理屈が通らないと思うのですが、一つ理解のできるように御説明を願いたいと思います。
  36. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これはいろいろまあ理屈はあるかとも思いますけれども、たとえば電力についてみましても、電力は建設でありまして、新しい建設に投ずる資金が約三千四、五百億、そのうち直接の財政資金が二百五十億、その他いろいろなものを合せまして、まあただいま御話の通り。それから海運につきましては、海運でことし建造しますものが約、総資金一千億を少しこえると思います。そのうち二百億というものを投ずる、これはいずれも私企業に対する融通をしたわけであります。元が私企業で融通をした、国鉄に対しましては、二兆数千億に達する資産を国家が預けております。そうして独立企業の採算でいくが、今度の計画も、年間約一千百億ばかりをこえる数字でありますが、借入金でない自己の収入もあり、それからほとんど三百十幾億円の借入金をのけては、まあ運賃値上げと自分の収入とでまかなうわけであります。それに対して、ただいま申しました八十億足らずの資金を回す、これは必ずしも固定したものではなくて、その年その年の状況によって融通のつくようにやっていけば、政府資金ですから、いいことと思いますので、まあ大体この程度のことで、自力でやっていける範囲のところは自力でやっていく、いけないところは、急速に国家資金の融通の道を講ずるというような、全体の行き方でやっていっておるわけであります。
  37. 中村正雄

    中村正雄君 私は、自力でいけるところはやって、いけないところはめんどうを見てやるとおっしゃっておりますが、自力でいけるのでなしに、いかしておるというのが現在の国鉄状態だろうと思うのです。特に電源開発と比較して一例だけ言ったわけですが、国鉄の八十億という本年度借入金の額ですが、御承知のように、ことしぐらい予算面、財政面で一番豊かな年は終戦後ないと思うのです。少くともことしほど予算を組むについて政府が楽に組めた年は私はないと思うのです。そのときに八十億であって、今後国鉄が困るからといって、これ以上大幅にふやすということは、ちょっと常識では僕は想像できないのです。これは議論になりまして、大臣見解と私の見解と違いますので、これは意見を申し上げてもむだだと思いますが、もう一つ私、ふに落ちない点は、今電源開発を引例いたしましたが、国鉄の借りまする八十億の借り入れと、電源開発に融資いたしまする四百億何がしかのこの融資と比較いたしまして、利子が何か違うとか聞いておるのですが、国鉄の払います利子も、電源開発が借りた金に払います利子も、同じ利子ですか、どうですか、その点をお伺いしたいと思います。
  38. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今お話の点は、違っておるかどうか。多分違っておるといっておりますのですが、それは違わないように今交渉しておるのだそうであります。
  39. 中村正雄

    中村正雄君 私の聞いておるのは、電源開発関係は、いろいろ種類もあると思いますが、低い利子は四分一厘だと思います。国鉄の方は六分五厘なんです。いわゆる二分四厘高い利子国鉄は負担しておる。この点私、納得できないんですが、この点について、同じように国家約な企業に対して政府が融資するのに、電源開発は低利であって、国鉄は独算制だから高い利子でかまわないということは、私、納得できないので、この点を再考をわずらわしたいと思います。
  40. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 六分五厘は海運も皆同じでありますけれども、今の電源開発の四分というのは、特別な事情だと思います。調べましてお答え申し上げます。
  41. 中村正雄

    中村正雄君 これに関連して、もう一つ、私の今の内閣の施策についてふに落ちない点は、公債の関係です。本年度予算を見ますると、公募公債二百十五億、利用公債二十億、合計二百三十五億という公債を認められておるわけなんですが、これは政府が本年度考えておりまする公債の、いわゆる二割以上に当ると思うわけです。借入金の額はできるだけ押えて、公債の方は大幅に認めてもらっておるという点につきましても、利子負担があり、あるいはこれの資金調達という面におきまして、非常に国鉄は不利になっておると思うんです。少くともこの利子が反対であれば、一応納得できると思いますが、反対に、公債が二百三十五億で、借入金は八十億、こういう点は、今おっしゃった大臣の方針とこれが合っておるのかどうか、大臣はどういうふうにお考えになっておるか、御答弁願いたいと思います。
  42. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 国鉄自体が独立の企業体として、今の一千百億のうち、三百億くらいの借入金に対する負担はでき得る、自分ででき得る点は自分でやってもらっていく、こういうような考え方であります。
  43. 中村正雄

    中村正雄君 自分ででき得るからやってもらうといっても、国鉄政府も、同じ国家の機関であって、国鉄ができるから、政府ができないからというふうな問題じゃないと思うんですがね。公債であれば、国鉄ができるから二百三十五億認めた。でも八十億はどうにも調達ができないから政府が出してやるんだということは、ちょっと理屈として通りにくいんじゃないかと思いますが、その点も幾らお聞きしても無理だと思うんです。もう一つ、この点についてお尋ねしたいのは、今年政府は、大体各機関なり各企業政府は出資いたしておりますが、大体大蔵大臣説明によると、全部で約四百億以上政府出資があるわけなんですが、ところが、本年度国鉄予算を見ると、政府出資は一文もないわけです。ところが、さっき大臣がおっしゃったように、国家の財産を二兆何億国鉄に預けておる。その国鉄が今後五カ年計画の線に沿って輸送力増強し、設備更新もしなくちゃならぬし、幹線あるいはまた新線の建設をやる、こういうときは、やはりある程度、民間であれば、増資ということによって資本金をふやすわけでありますが、政府としては、ある程度国鉄への支出ということは必要じゃないかと思うわけなんで、特に国鉄の副総裁にお尋ねしたいのは、来年度予算編成に際して、これだけの資金調達を迫られておる国鉄が、政府に対しまして出資要求をしたかどうか、この点をお尋ねしたい。
  44. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この五カ年計画の遂行につきましては、巨額の財源を必要といたしますので、それにはやはり取りかえその他の部門につきましては、自己資本でいたさなければなりませんし、さらに輸送力増強につきましては、借入金、公債でやっていきたい、こういうふうな方針を考えまして、借入金につきましてもお願いを申し上げたのであります。
  45. 中村正雄

    中村正雄君 政府出資については、何ら要求はされなかったわけですか。
  46. 小林重國

    説明員(小林重國君) 今お話のございました政府出資の点でございますが、新線建設につきましては、国鉄といたしましても国民的視野に立ってやらなければならぬものではありますが、これはむしろ借入金より政府出資でお願いしたいということで、昨年度もたしかそうでございましたと思いますが、政府出資をお願いいたしておるわけでございます。また政府出資がどうしてもできないならば、何とか借入金につきましては、利子補給等を考えていただきたいということをお願いいたしたような次第でございます。
  47. 中村正雄

    中村正雄君 この国鉄政府出資の要求に対して、来年度予算には載っておらないわけですが、政府の方針としては、何で、政府出資については、ほかの企業に対しては四百億以上の政府出資をやっておりながら、国鉄政府出資を認めなかったか、監督官庁の大臣としての御見解を承わりたいと思います。
  48. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 新線建設は御承知通り年度五十五億、本年度約七十億を投じておりますが、日本のこの国民経済の発展の現状からすれば、この新設は私はどうも少いのじゃないか、もっと大きくやらなければいけないのじゃないか、こう考えておりますが、今年度は、従来の行きがかりからこういう程度にとどまったわけなんです。従って、ただいまお話の新線に関する分だけは、政府投資ということは、これは何人が考えてもそうした方がいい、こう考えるところでありますが、今日この程度も除きましたという点は、やはり国民経済も、なるほどお話の通り、今日までの日本財政としては、終戦以後こんな恵まれた年はないというわけでありますけれども、これが第一年で、明後年、その次からやはりこの勢いは推し進めていかなければならない。そこで、国鉄としても新線建設の問題も、今後の輸送力増強も、さらに状況によっては伸ばしていかなければならない、そういう段階においては考えなければならない。しかも、まあ利子の補給だけはどうしてもこれはしなければ無理だ、皆さんの御意見もありますが、考えておりますが、ことしはその運びに至りませんでした。これはどうしても、私ども監督の立場にある運輸省としても、来年度においては実現をしてもらわなければ筋が通らないのじゃないかというように考えております。
  49. 中村正雄

    中村正雄君 最小限度の利子の補給ですが、いつの委員会でも、私の経験で申し上げるわけですが、どの運輸大臣も、これだけはなくてはいかぬといつも明言なさるわけですが、五年も七年も同じ人が大臣でおるわけがないのです。おやめになればそのままになるわけですが、少くとも現在の大臣の御答弁は、自分が一生運輸大臣をしておらなくてもこれだけはおやりになる決意だと了解してこの問題は打ち切ります。  もう一つ、今の出資に関連して来年度予算を見まして私、ちょっと不思議に思った点は、政府から一文の出資もつけておらない国鉄が、来年度予算で三億地下鉄に出資するような予算が提示されているわけなんです。なぜ地下鉄に日本国有鉄道が現在の段階において出資しなければならないか、この点についての理由を御説明願いたいと思います。
  50. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御承知通り、東京都の交通というものは非常に行き詰まりを来たしておりまして、ことに、今後における三年、五年、十年というものは、このままでは大へんなことになる、そこで都市交通審議会におきまして非常な昨年来真剣な態度をもって十年計画を立ててもらいまして、これは大体もう適切な案だと思います。それが国鉄中心の輸送計画を立てております。国鉄の今の省線電車というものをうんと増強し、それにつけ加えて地下鉄も東京都の中をあっちこっち、いわゆる地下鉄路線というものを完成させ、それをもって都市の交通を一つ緩和していく、こういうので出発をいたしました。従って、この地下鉄は大体国鉄輸送力増強の一環としてこれは作っております。そういう意味からして国鉄が都市交通の重点的な職責を果す、また責任も持つという点からして、この営団に対する出資というものを国鉄にしてもらう、こういうことであるわけであります。
  51. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄のいわゆる培養線的な問題という点から見れば、地下鉄も、あるいは都電もバスも、あるいは都市に入っております私鉄もあまり変らないと思うのです。それに、国鉄が地下鉄だけに私は出資するというのは、これは法律的な基礎があると思いますけれども、どうも納得できない。これはやはり都市交通全体の面から見れば、国鉄自体が負担するのじゃなく、政府なら政府が負担するというのはこれは筋が通りますけれども、金に困っている国鉄が地下鉄に三億出資するというのは、どうしても私は納得できないのですが、これは政府が、当然今のような御議論であれば、負担すべきものだと私は考えるのですが、運輸大臣、どうお考えになりますか。
  52. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 都市交通の問題は国鉄と、それから今の私バス、私鉄、東京都の都電の問題がありますが、東京都とそれから政府国鉄においてこれをやっていく、こういう意味から営団に対する出資は国鉄と東京都と両方から半分ずつ出す、こういうようないきさつでやっておりますので、これは究極するところ、直接政府が出すが、国鉄といえども今独立企業体ですが、これは何といっても資本の全体は政府のもので、政府の機関であるに相違ありませんから、これはまあ何十億という金を国鉄において非常な負托を持たせるという段階になればまたこれは考慮すべきものかもしれませんが、また、今の営団に対する三億とか五億とかいう程度は、国鉄もこれだけ大きな仕事をして、東京都と協力してやっておる、その責任を果しておるという点から出資していいのじゃないかと、こう考えております。
  53. 中村正雄

    中村正雄君 そういう理由からいきますと、今後大阪にしましても、今都市交通審議会で大阪市の交通の調整をやっております。また神戸におきましても、名古屋におきましても、地下鉄の計画があるわけなんです。そういうときに東京の地下鉄に対しまして、交通営団だからというとで国鉄がそれだけ負担しておれば、今後名古屋、大阪、神戸等にこういう問題が起きたときに、やはり国鉄は出資するような一つの前例を作ることになる。また地下鉄でなくて、一般の私企業なり、あるいはその他のものが、国鉄輸送力の緩和、都市交通全体の見地からそういう企業をやる場合に、国鉄が投資するという事例が起きると思うのですが、そういう今後起き得る問題につきましては、この問題をどうお考えになっているか。一つの前例になると思うわけです。
  54. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) まあ、大阪もしくはその他におきましては、今のところ、国鉄輸送力増強の、むろん大阪においても大きな役割を果しておりますけれども、現在のところは大阪市というものが中心でやっております。営団というようなものを作らないで、地下鉄も市がやっております。そういうような形で東京都とはおのずから形が違うと思います。それから日本の全体から見ましても、人口の約一割を東京に集め、今日はほとんどすべての産業、経済の中心が東京に集まっておるということから、東京の国家的な役割と地方とは幾らかの相違がある。ことに交通の行き詰まりは、大阪は相当でありますけれども、東京におきましてはほとんど非常な行き詰まりの状態にあり、しかも、現在の東京の輸送というものは国鉄中心でやっているというような点から、国鉄が大きな役割を果してもらうということに都市交通審議会でもなってきたわけであります。それから出てきた話であります。これがこのまま他に及ぼすということは今のところ考えておらないのであります。
  55. 中村正雄

    中村正雄君 私はこの点が一つの前例になるということを心配するのと、しかし、今おっしゃったような議論からいって、国鉄自体が地下鉄に出資しなければならないという根拠についてはどうも納得できないものがあるわけですが、この点も見解の相違で片づけられればそれまでの問題でありますので、次にまあ移りたいと思うわけですが、けさ出されました国鉄の五カ年計画修正と、またそれにいろいろな資料をもらっているわけなんですが、そのうち特に私、けさ江藤さんからもちょっと質問があったようにも思うわけですが、まあ部分的にはそれぞれの数字は合っていると思いますけれども、まあ常識で考えてみまして、国鉄が出しました計画書によりますと、この五カ年計画完成後においては、旅客が約三九%、貨物が三四%増強すると、こういうように発表になっております。その輸送力増強国鉄運賃収入の上り工合及び経費の使い工合、これを見ましてどうも常識的に納得できない点があるわけなんです。一応ちょっと自分でまあ数字をこしらえてみたわけなんですが、大体三十一年から三十六年までをずっと見ましても、三十六年度国鉄の運輸収入の総額が、三十一年に比べましてまあ大体三四%程度の増収になっておると見ているのです。で、このうちには一三%という運賃値上げがあるわけなんで、実際の増収は二割程度にしかなっていないと思うんです。そうしますと、結局輸送力は三九、三四伸びて、実際の運賃収入増加は二割程度ということになりますと、何か常識的に合わない点があると思うんです。ただまあ旅客につきましては、満員の者がすわっていけると、こういうふうになってはサービスだけになりますが、貨物につきましては、三四%輸送力増強するのであるならば、大体これに見合う収入が上ってくるものと考えられるわけなんですが、輸送力増強の工合と運賃収入の増収の工合の関連はどうなっておりますか。
  56. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 国鉄当局からお答えいたします。
  57. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この輸送力増強とそれから収入の点につきましてはいろいろ問題がございまするが、かつての統計をとってみますと、大体におきまして輸送量運賃収入がまあ並行的に行っておるということは大体のめどとして言えると思います。で、ただし、この五カ年計画輸送力は、実は季節的の波動を組み込んでございまして、ただいまの三十一年度のごときは非常に貨物を旅客も輻湊いたしましたので、いつもほとんどぎりぎりの輸送力を一ぱい使っておりました。従いまして、季節的——非常に出荷が旺盛な時期にはやはり送り不足というものが出てきまして、それが現在の滞貨の原因になっていまするが、将来まあ輸送ということはピークを考えていかなければならぬと、こういうことが一つの使命でございますので、五カ年計画におきましては、三十一年度のようにいつもぎりぎりで、従って、出荷が非常に旺盛のときには送り不足をするというふうなことをなるべく避けていきたい、交通機関として持つべきだけの余裕を持っていきたいと、こういうように考えましたが、しかし、それもまだ私どもが考えるほど十分にはとれませんでしたが、三十一年度から比較いたしますと、この五カ年計画の目標にもございますように、たとえば三ページをおあけ下さいますと、五カ年計画輸送力と書きまして五百四十三億トンキロとございますが、これに対して何がしかの余裕を持ちたいということで、輸送力としては上の五百八十二億トンキロを考えております。で、こういうふうなわけでございまして、こういうふうに輸送力の多少の余裕を持つということでございますると、必ずしも輸送力増強と、それから運賃収入とは現在通りにいかず、そこに多少の開きが出てくると、かように考えております。
  58. 中村正雄

    中村正雄君 今言いました面から見ますると、いわゆる運輸収入を何か低目に見積っておるという感じを受けるわけなんですが、もし、この反対に今度経営の方を見て参りますると、これだけ輸送力増強し運輸収入も上ると、対して、反対に経常費はそうふえておらないと、これは修正が出ておりますが、まあ年度ごとのやつをもらっている数字で見ますと、三十一年度予算は、御承知のように二千二百八十八億が経常費になっておりますが、本年度は決算しておらないから、僕もはっきりとした数字はわかりませんが、大体まあ五十億程度経常費がふえているだろうと思うのです。従って、私、まあ五十億をプラスした二千三百三十八億というものが今年度経常費だと、こう見まして、今国鉄の予想いたしておる三十六年度完成時の経常費を見ますると、わずか経常費は九%ぐらいしかふえないわけなんですね。輸送力が平均三七、八%ふえ、運輸収入が、運賃値上げは別にして、二割以上ふえて、経常費はわずか九%ぐらいしかふえないと、この関連はどうなっております。節約するという言葉に尽きるかもしれませんが、果してそれでいけるかどうか、非常に疑問を持っているわけです。
  59. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この運賃収入につきましては、まあ私ども運賃値上げをお願いするからには、極力努力して、運賃収入を上げたいということで努力いたしたいと考えておりますが、経常費の方におきましても、これは極力努力の結果経常費を圧縮してやりたいと、これが私どものまあ責任だと考えておるわけでございます。で、まあこの予算はいろいろな面におきまして、収入も努力いたさなければならぬし、経費も努力いたさなければなりませんのですが、まあいかなる予算といたしましても、決して甘い予算はこれは期待できませんでして、できるだけ努力の結果達成していきたいと、こういう数字でございまするが、経常費につきましては、仰せの通り、来年度を例にとりますと、大体九十億円くらいの経常費増加になっておりまするが、その中に固定資産税が含まれておりますので、ネットとして経常費としては五、六十億の程度かと考えております。で、このできるだけ経費を圧縮いたしまして、それで何とか自信があるかとおっしゃられるかもしれませんが、今度の五カ年計画は、いろいろ近代化をしていきたいという点が一つの大きなねらいでございまして、たとえて申しますれば、電化ディーゼル化をいたしますれば、燃料費の節約にもなって参りまするし、それからいろいろな機械設備の充実ということによって作業費も減らしていきたい、それからいろいろな現在老朽施設がたくさんございまするが、これが更新いたされますと、従って、修繕費が非常に減ってくる、こういうふうないろいろなねらいを考えまして、それぞれ積算して五カ年計画経費を算定し、さらにまた三十二年度経常費を策定いたしましたので、非常に窮屈ではありまするけれども、私どもはこれに向って努力して結果をあげていきたい、かように考えております。
  60. 中村正雄

    中村正雄君 経常費の五カ年計画の各年度数字のうち具体的なことはあとからまた質問するとして、総括的にお伺いしたい点は、人件費増加をどの程度見られておるか、その率をお聞かせ願いたいと思います。
  61. 小林重國

    説明員(小林重國君) 人件費につきましては、大体三十二年度を基礎にいたしまして四%ずつの昇給を見ていくという考え方でございます。
  62. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、四%程度の人員の増ということは、これは輸送力増強するとしないにかかわらず、平年並みの増加しか見ておらないという結論になると思うのです。そうしますと、四〇%ぐらいの輸送力増強をやって、それで輸送力増強に関する人件費の増というものは全然見ておらない、こういう結果になるわけですが、それに対してはどういうふうに処置するお考えか、基本方針だけ副総裁からお聞かせ願いたいと思います。
  63. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 人員につきましても、もちろんいろいろむずかしい点はございますけれども、とにかく今回国鉄を再検討いたしましていろいろな近代化をはかって参りたい、あるいは先ほど申しましたように、機械化をはかっていきたい、かようなことによりまして、ある面におきましては人員の過剰も出て参ります。たとえば、先ほど申しました修繕につきましても、修繕の人間が浮いてくるというようなことも考えられますので、そういう浮いてくる人間を緊急必要な部面に配置転換もいたしますし、また再教育もいたしまして、できるだけ現在の人間の中でやりくりをいたしていきたいと思いますが、しかし、それによって労務過酷とか、労働条件の低下ということがないようにははからうつもりでおります。
  64. 中村正雄

    中村正雄君 言葉の上の答弁としては、一応どんなことでも言えると思うのですが、私は常識的に不審を感じますのは、輸送力が四割近くふえて人は一人、もふやさない、いわゆる各部門においてはふえる人もできるが、現在の四十四万によって何とか内部操作でやっていきたい、こういう全体の構想のように聞くわけなんです。一般の民間の生産企業であれば、これは機械の新設によって三割も四割も人を全然ふやさなくても生産は上る場合もあると思います。ところが、国鉄のようなところで、幾ら機械化を採用しましても、いわゆるそれによって浮く人の数というものは、僕は局限されたものだと思うのです。たとえば四割近い輸送力増強をやるのであるとすれば、やはり輸送力増強の根本は、列車の増発だと思うのです。列車をふやすのであれば、動力車の乗務員と列車の乗務員は必ず要るわけなんですが、四割やはりふやすとすれば、そればかり見ても要ると思うのです。特に私が考えますのは、本年度から五カ年計画で、いわゆる工事関係でも二千何百億という金を五カ年間に使うわけです。こういう金は、これは一般の民間が請け負ってやるのかもしれませんが、立案し、企画するだけでも相当な人も要ると思うのです。国鉄自体もやはり内部において実施する仕事もあると思うのですね。こういう関係にも相当人が要ると思うのです。輸送力増強に伴います人の面が、機械化その他によって浮きまする人によってまかなうことは、私は常識じゃ考えられないと思うのです。従って、私は初めから感じております点は、この国鉄のお出しになっております五カ年計画は、私は人の面からくずれていくと、この計画には人の面については全然考えておらない、金の面と仕事の面、これは相当徹底的に詳しい資料に基いてお考えになっておりますが、裏づけする人の面については、端的にいえば全然考えておらない、現在の人を酷使することによって五カ年計画を達成しようとしか考えておらないと、こういうふうにしかとれないわけなんです。これはここで幾ら議論しても仕方ありませんが、具体的な問題については後刻また御質問するとして、この五カ年計画については、もう一度人の面から再検討されたいという点だけを要望しておきたいと思うのです。  もう一つ、今の予算に関連して、来年便予算ですが、非常に心配いたしておりますのは、今度の五カ年計画の修正によりますと、特に出されておりまする政府資料の冒頭に、工事費の一割を節約して九百五十億の修正部門の一部に充てたい、こういうことを書いているわけなんですが、果して工事費の一割、計算によりますと約三百億以上の金になると思いますが、これが節約できるのかどうか。これはまあ言葉の上、数字の上では節約できると思うのですが、実際上、これ節約ができるのであれば、なぜ今まで節約しなかったか。これから節約できるのであれば、言いかえれば今まではむだな金を使っておった、こういうそしりを免かれないと思うのですが、その実現の自信については、副総裁、どういうふうにお考えになっておりますか。
  65. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この問題につきましては、一割が今後可能ならばかつては甘かったんじゃないかというおしかりをこうむりますと、はなはだ恐縮なんでございまするが、ただ今回は工事費がふえましたので、いろいろの点につきまして従来よりも有利な点がございます。たとえばものを買いますにつきましても、多量買えるとか、あるいは工事をいたしますにつきましても、いろいろバランスをとり、あるいは工程を請負業者のやりやすいように組んでやるとか、いろいろな点で考えられるわけであります。最近に聞きましたもので、たとえば北海道あたりで電化の電柱を立てますにも、この春から夏にかけての仕事のしやすいときと、それから冬のときの仕事のしにくいときとでは、工事費で三、四割ないし五割くらい違う場合がある、こういうようなことを最近聞きました。そういう点もございますので、今回は工事費相当多額にちょうだいできるとしますれば、そういう点をやりくりを極力いたしまして、できるだけ現場で仕事のやりいいようにしていく。また請負業者あるいは資材のメーカー、その他にもできるだけ注文を上手にやりまして、そうしてやはり請負業者あるいはメーカー等の企業意欲を十分に利用いたしまして、そうしてそういうことによりまして工事費をできるだけ安くして参りたい、かように考えております。
  66. 中村正雄

    中村正雄君 それができれば非常にけっこうなことであって、まあそういうふうにぜひともやっていただきたい、こう思うわけなんですが、それと歳出予算の面で特に私、受けます感じでは、今まで終戦後国鉄予算を見ておって、ことしほど私は弾力性のない予算はないような気がするのです。端的にいえば、運賃値上げ政府に認めさすということのために、あらゆる点に譲歩して悪い予算を、押しつけられた、こういう印象を受けるわけですが、これについては、今後国鉄当局で十分自信を持っておやりなさることだろうと思うので言及いたしませんが、具体的な点について二、三お伺いしたいのは、動力費のうちで予算が上っておりますが、このうち石炭の購入価格、単価はどのくらいに今見積られておるか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  67. 小林重國

    説明員(小林重國君) ただいま数字を持って参りませんので、はっきりしたことは申し上げかねると思いますが、山元購入で五千円前後だったと思いますが、今資料を持って参りまして……。
  68. 中村正雄

    中村正雄君 カロリー当りどのくらいなんですか。
  69. 小林重國

    説明員(小林重國君) カロリー当り八十銭見当であります。
  70. 中村正雄

    中村正雄君 おそらく七十五、六銭か八十銭くらいの単価じゃないかと想像するわけなんですが、現在の石炭の需給状況等から見て、その程度予算で来年度所要の石炭の購入ができる見通し国鉄当局にありますか。
  71. 小林重國

    説明員(小林重國君) 石炭は御承知のように非常に強調を示して参っておりまして、来年度単価の値上りが予想されるわけでございますが、われわれといたしましては、できるだけこれを安く入手できるように現在折衝はいたしております。それにいたしましても、心年度に比較いたしまして多小値上りになるのじゃないかという観測をいたしております。御承知通り、石炭業界におきましても、輸送の隘路のために石炭が満足に輸送できないということで非常に不満を持っておるわけであります。国鉄といたしましては、来年度相当の石炭輸送関係の増進をいたします。そういう点も石炭業者に十分考えていただいて、何とか安く調達したいという考え方で仕事を進めておる考えであります。
  72. 中村正雄

    中村正雄君 そういうふうに進めるのはけっこうなんですが、本年度予算単価で所要の数量が確保できるという見通しがあるかないか、その点をお聞きしているわけなんです。巷間伝えられるところによりますと、これはやみの価格ですが、カロリー一円二、三十銭前後になっている現在なんですが、わずか八十銭足らずの予算で所要数量は買えますかどうか、そのお見通しを僕はお聞かせ願いたいと思うのです。
  73. 小林重國

    説明員(小林重國君) 石炭の確保につきましては、これはわれわれといたしましても相当心配いたしておりまして、先日も総裁のところに各石炭業界の御連中にお集まり願いまして、国鉄といたしましても、石炭の輸送の打開のためにこれだけの設備を投資するのだし、また皆さん方に対しても相当協力をするのであるから、国鉄に対しても同様に御協力を願いたいということを申し出たような次第でございます。石炭業界におきましても、国鉄の石炭が確保されなければ、ひいては石炭の輸送自体に相当の影響を受けるわけでございますので、この点につきましては、石炭業界も相当の覚悟を持って輸送用の石炭の確保に協力してくれる状態になっております。
  74. 中村正雄

    中村正雄君 石炭の確保に関連して、国鉄が今直営の炭鉱であります志免鉱業所の問題でありますが、これがいわゆる民間に払い下げられるといううわさが飛んで相当さわいでいるわけですが、運輸大臣と副総裁に念のためにもう一度御答弁願いたいと思うのですが、今こういう問題が起きているために、やはり志免鉱業所の従業員の間に相当動揺が起きておる。従って、こういうことは今考えておらないということを、この機会に運輸大臣と副総裁から御答弁願えれば幸いなんですが、いかがですか。
  75. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) その問題は、志免炭鉱の従業員の方、それからまたあそこの地元の町村の方などが見えまして陳情がありましたが、ただいまの段階ではそういうことを考えておらないことをはっきり申し上げております。
  76. 中村正雄

    中村正雄君 監督者としての運輸大臣としては、今そういう意思はないということを当委員会で明言されたわけですが、国鉄経営者の代表としての副総裁はいかがです。
  77. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) これは財産の処分につきましては、国鉄限りでできるものでもございませんし、非常に大きな問題でございますので、慎重に考慮しておるわけでございます。ただいま大臣の言われた通りのことで考えて参りたい、こういうふうに思います。
  78. 中村正雄

    中村正雄君 もう一つ、歳出予算の面で、来年度から五カ年計画を遂行するために相当な貨車、客車、機関車等の車両の増備をやるわけなんですが、現在国鉄自体にたくさんの工場を持っておって、その工場でこういう客車なり貨車の新造ができる能力があるわけなんです。特に貨車につきましては、昨年度一応実施いたしまして相当好成績を上げておるように聞いておるわけなんですが、来年度以降について、この国鉄自体の持っておる工場で、五カ年計画に即応する貨車、客車の新造ということをおやりになる意思があるか、当然おやりになると思うわけなんですが、その計画もお聞かせ願いたいと思うわけなんです。
  79. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 国鉄の工場は本来修繕を主にいたしておる工場でございますので、また、新車につきましては、現在相当数の民間のメーカーもございます。で、方針といたしましては、やはりその建前をとりまして、地方の工場では修繕をし、新車は民間に注文して参りたいと存じます。ただ、いろいろむずかしい試作等がございますので、試作につきましては、地方の工場を利用して参りたい、かように考えております。
  80. 中村正雄

    中村正雄君 五カ年計画に関連しての車両の多数の新造について、何か国鉄自体の方針は、修繕方式から新造方式に変えるような方針を工作関係できめておったというようなことを聞いておるわけなんですが、その関係で現在の国鉄の工場の修繕の量が減ってくる、そうすると相当設備その他について遊休なものができてくる、しかも、現在でも貨車につきましては、三十一年度やりまして相当優秀な成績をおさめておるわけですが、客車につきましても新造の能力があるわけなんです。外注のみに依存しないで、なぜ国鉄自体の工場で新造をやらないのか、私、その点不審に思うわけなんですが、やはり修繕をだんだん減らしていって新造方式に方針を変えたとするならば、なおさら今の工場の設備は相当遊んでくると思うのです。そういう関係で設備なり人を遊ばしておいて、今後の新造は全部民間の会社に注文するということは、どうにも私は金が足らない足らないといっておる国鉄の方針として納得できないわけです。従って、来年度客車、貨車の新造について、自分の工場でどの程度のものをおやりになるのか、すでにもう一月もたたないで来年度に入るわけです。もう計画も立っておると思うのですが、その計画も具体的なものができていなくても、全貌だけでも一つ御答弁願いたいと思います。
  81. 並木裕

    説明員(並木裕君) ただいま副総裁から御説明のありました通りに、国鉄の工場につきましては、修繕を主としておりますので、新造につきましては、来年度におきましても考えておりません。それで今後動力の近代化によりまして、五年乃至十年の先を見ますと、現在の蒸気機関車というものが電気機関車あるいはディーゼル動車、ディーゼル・カーというような一三大部門の動力化に重点が移る、今、目下国鉄におきましては、工場調査委員会を開いておりまして、今後十年先におきまして工場というものがどういうあり方が一番合理的かということを考えております。それでまた新造になりますれば、もちろんそれに対するところの修繕が少くなることはありますが、しかし、国鉄のこれだけ大きな世帯におきましては、やはり車両修繕ということが大事な問題だと思いますので、今御質問のような問題にはならぬかと思います。
  82. 中村正雄

    中村正雄君 本年度は貨車の新造をやっているはずですが、国鉄の工場で貨車の新造をやった成績と、民間において注文した貨車の製造成績とにおいて、国鉄の直営工場でやった場合には民間に比べて経費の面で劣っているとか、まさっているとか、何らかの数字も出ておると思いますが、私は面接資料をもらっておりませんから、正確な質問はできませんけれども、聞くととろによりますと、民間に外注するよりも自分のところの工場でやった方が経費の面からいっても非常に助かる、こういうことも聞いているわけなんです。でありますから、ただいま設備を遊ばせておいて外注するよりも、設備のある限りにおいては自分の工場でものを作るというのが常識的な考え方じゃないか、こう思うわけなんです。従って、本年度は貨車だけについても国鉄の工場でやったわけだが、来年度は貨車も客車も国鉄の工場でおやりになる計画があるか。もう全然ないとすれば、現在の修繕だけで現在の客車あるいは人員を十分収容するだけの仕事量があって、それ以上は手が回らないからやらないのだ、こういう意味であれば話がわかるのですが、いずれですか。
  83. 並木裕

    説明員(並木裕君) ただいまの御質問によりまして、本年度におきまして車両新造をやりましたものは、貨車のみにつきまして実施したのでありますが、これも当時は、昨年度の七月上旬ころにおきまして計画の変更をいたしましたものですから、なかなかそこに鋼材等の割当がございまして、やはりそのしわ寄せが年度末の方に参っておりますので、ただいまでは、自分のところで作った車両費というものと外注というものがどれくらいの比率であるということにつきましての資料がございません。ただ問題は、御承知通り国鉄の工場経理勘定というものが非常にデリケートでありまして、間接費がほとんどありませんので、そこで間接費のいろいろなものが入りますというと、なかなか全体のものがどのくらいで上ってくるかというような点は、ちょっとそこの点見当がついておりません。まあいずれこまかい資料がございましたら……、ただいまのところではそういう……。来年度におきましては、今のところ修繕費で一ぱいでございまして、新しい車両を修繕のほかにやるというほどの現在余裕は実はないわけでございます。
  84. 中村正雄

    中村正雄君 重ねてお聞きするわけですが、来年度国鉄の工場においては、人及び設備の面において修繕だけで手一ぱいであって、貨車、客車の新造が能力が全然ないからやらないのだ、こういうふうな国鉄当局の方針だと了解していいでしょうか。
  85. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 車両修繕につきましては、先ほども申し上げましたように、大体の方針といたしまして新車は外注、修繕はうちでしたい、こう思っております。しかしながら、これが近代的、新しい車両がふえますと、修繕が比較的手が浮いてくるということはございまするし、今回のいろいろな合理化ということによりまして、車両修繕費も節約いたしていきたいと考えております。そういうふうな関係上、あるいは特定の工場で業務能力だけの用がないものもできてくるかもしれませんが、そういう場合には、一部業務の縮小もやむを得ない、かように考えております。
  86. 中村正雄

    中村正雄君 並木理事と副総裁には幾分答弁に食い違いがあると思いますが、そういたしますと、いわゆる今副総裁のおっしゃった修繕は国鉄でやる、新車は外注するという基本方針、これがなぜそういう基本方針を樹立しなければならなかったかということについて、私はまだ疑問を抱いているわけです。国鉄でやれば高くつくとか、あるいは外部でやるが安いとか、あるいは外部の方が能力がいいとか、設備がいいとか、そういう理由があれば、やはり外注の方がすべての面においていいということは言えると思うのですが、そういうことでは全然なくて、国鉄は修繕だけやって、それで新しいものは民間会社がやらなくちゃいかぬという方針の樹立自体が私は納得できないものがあるのです。なぜそういう方針を決定したかという根拠について、それじゃ御説明願いたい。
  87. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 国鉄の修繕は、これは各方面で車が動いておりますので、各地で修繕をいたさなければ非常にむだができます。かような意味合いから、昔から発生的に国鉄は修繕を指定した工場を考えて参ったのであります。戦後はことさらに車両の悪化がありましたのと、それからあれは海軍でございましたか、工場が比較的手に入りましたものですから、そういう意味で少し急場の間に合せのために車両工場を国鉄で買い上げたことは御承知通りでございます。それでやりましても、やはり現在におきましても、極力やはり修繕といたしましては地方工場でやるのが便利でございまするが、一方、車両のメーカーにつきましても、ある程度の車両を流しませんと、これは成り立って参りませんし、従来はおそらく民間工場の五割くらいしか稼働しておりませんでしたが、今回この五カ年計画といたしましても、おそらく能力の八割ぐらいかそこららが稼働する、八割か九割かくらいでございまして、この車両工場の育成ということも、やはり最近の車両の輸出といったようなことを考えますれば、これもまた設備能力をなるべく有効に使わせてやらなければならぬ、かような点もございまするので、従来、昔から国鉄は自分の工場で修理しておりましたし、注文はメーカーということでずっと参りましたので、そういう点を根本条件で踏襲して参りたい、こういうふうに考えております。
  88. 中村正雄

    中村正雄君 修繕を国鉄の工場でやることについては、これは異存ありません。これは確かにその方が有利であり、便利であるのがわかっているわけなんですが、ところが、外部の車両会社の育成ということも一つ国家的事業であるということはわかります。しかし、国鉄自体の工場を縮小してまで外部の車両工場を育成しなくちゃならないということを公共企業体としての国有鉄道経営者として考えなければならぬかどうかという点について、私は疑問を持っております。言いかえれば、修繕だけやって手一ぱいである、従って、新造は外部にまかすというなら、これはいわゆる町方いいわけですが、国鉄は今後修繕はだんだん少くなる、そうすると現在持っている工場の設備があく、余ってくる、それはやはり縮小しておって、外部の車両会社を育成するということは、どう考えても私は納得できないわけです。従って、国鉄の設備なり、人が余っておれば、そこで余った分だけは、今までやった経験もあり、例もあるわけなんですから、新造をやらせて、なおかつそれ以上のものは外部の車両会社にやらすという方針が、私は国鉄としてはとるべき方針じゃないかと思うのです。しかも、今おっしゃいましたように、現在は大体外部の車両会社の五割ぐらいしか設備の注文をしていないという、これはそうでしょう。今度の五カ年計画で新たにふえるわけですから、今までの五割を減らして国鉄にやれというのであれば、これは今まで国鉄が育成した民間の車両会社を危機に陥れる、こういうふうになるかもわかりませんが、五カ年計画によって急激に車両の新造はふえるわけですから、ふえたものの一部を国鉄がやるといったって、まだ民間はそれ以上の恩典をこうむるわけですから、副総裁の方針にも僕は反しないと思うのです。少くとも結論を申し上げますと、国鉄の設備を縮小し、人を減らしてまでも民間の車両会社を育成するという方針はお改めを願いということを特に僕はお願いしておきたいと思います。(「第一理由がはっきりしない」と呼ぶ者あり)  最後に、時間もありませんので、一点だけお尋ねしたい点があるのですが、これは国鉄の現在の人の問題ですが、大体四十四万人あまりおるわけですが、各五カ年間に年々退職なされるわけですが、退職する一カ年間の平均人員は大体どのくらいになっておりますか。
  89. 小林重國

    説明員(小林重國君) 数年前には、大体総人員の四%ぐらいが減耗するという状態でありましたが、健康管理等も進んで参りまして、そういう面から自然に退職すると申しますか、任意に退職するものは非常に減少して参っております。去年、一昨年あたりからそういう減少が漸次発生いたしております。また給与面でも、まあ非常に安定してきたと申しますか、昔に比べますと安定いたしまして、従業員も落ちついて国鉄の仕事をやっていこうというような気持も強く現われた結果、そういう自然減耗が減ってきたのじゃないかと思います。大体年間にいたしまして四千人前後の数字になっております。本年度年度末に五千人くらい新陳代謝の意味で退職もございますので、五千名をこえまして六千名ぐらいの減少という姿になるのではないかと思っております。
  90. 中村正雄

    中村正雄君 私の質問する趣旨はですね、かりに国鉄の職員の平均勤続年限を三十年と仮定しましても、大体一カ年に四%程度の新陳代謝がないと円満な人事の交流はできないわけですね。そうしますと、大体一カ年間に一万五、五千人のやめる人と新しく入る人と必要なわけなんです。ところが、今お聞きしますと、一カ年四千人くらいしかやめる人はないということになりますと、ここにやはり国鉄の運営の面で、人事の面で私は行き詰まりが来るのではないか。それは結局国鉄だけの責任でなくて、現在のですね、生活の不安ということがやはりそういう希望退職の少い大きな原因になっておるし、またやめた後の就職という点が非常に問題になっておると思うのです。従って、こういう本人が仕事さえあればやめたい、こういう高齢者も相当あると思う。そういう人のいわゆる就職、鉄道離職後の生活の安定、こういうものがあれば、国鉄のいわゆる人事の新陳代謝はスムーズにいくと思う。そういう面について、国鉄の副総裁としてどういう策をお持ちになっておるか、この機会にお聞きをいたしたいと思います。
  91. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この退職の問題につきましては、いろいろ考え方がございまして、定年制をしくのがいいか、しかない方がいいか——とすれば、現在の上五十五才程度のものでいいのか、あるいはもっと働ける人には長く働いてもらうのがいいかというふうな、いろいろむずかしい問題がありまして、それぞれ一長一短ございますけれども、各方面から検討さしております。ただ、ただいま先生がおっしゃいましたように、ただいまの時勢では退職金をもらい、恩給をつけていただいても、なかなか老後の生活が保障されません。ことに、教育をしていかなければならないという人は、教育費が非常に高くなっておりますので、その点で非常に生活上お困りの人が出てくる。昔は退職金で大体家も買えましたし、恩給で日常生活もできましたのですが、ただいまではなかなかそういうことにも行きますまいと思います。しかしながらまた一方、やめた人の次の就職ということになりますと、これまた昔よりももっと困難な時代に際会いたしておりまするので、まあ私どもそれが一番頭痛の種でございますが、また地方にはそれぞれいろいろな関係もございまして、できるだけ各方面にお願いして、退職後の仕事の採用をお願いし、また地方の機関、鉄道管理局その他を動かしまして、無理からぬ範囲で極力退職後の就職というふうなことも考えている次第であります。
  92. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと関連してお伺いしておきたいのですが、五カ年計画と人員の面について、今副総裁は配置転換その他の方法によって解決していきたい、こういうような御答弁だったのですが、五カ年計画ではなくて、現在国鉄には、いろいろ服務規定等があると思うのですが、国鉄の職場において、この服務規定通りに服務するに足る人員が配置されているかどうか、こういう状態についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  93. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま労働基準法という法律がございまして、私どもは各機関に対して、労働基準法以上に労務の過重にならないようにと注意を与えておりまするので、それをこえているものはない、こういうふうに考えております。
  94. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は交通関係については、それに配置される人間の問題を非常に重視をしているのですが、国鉄にはいろんな職場があって人目につく所、つかない所がたくさんあるわけですが、そういう所でもって労働基準法なり、あるいは国鉄の内規と申しますか、そういうものに合わないような人員配置、人員が足りないといった方面につきましては、国鉄としては、やはりそれは人員を増加したり、そういうような方針でおられるのですか、今。
  95. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 労働基準法以上の過酷な労務があるとすれば、これは緩和するにやぶさかではございません。
  96. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連質問ですが、私はせんだって名古屋へ行きましたら、あすこのヤードの職員ですね、これを十七名ふやしてくれという要求でもって労働組合が当局に問題を起しておりました。私もヤードへ行って見ますと、作業をしておりました。ところが、大へんな仕事をやっていることを私は発見したのであります。ああいうところは、人目につかないのです。まあ専門的な言葉でいえば、一操三連と申しまして、旗振り一人について三人いる。これが四人いなければ仕事ができないということを訴えておりました。私も現場を見てみますというと、非常に貨物が取り混んでくると、三人じゃとても手が足りない。たとえば信号手が信号をする、それから車に乗って行く、向うへ着く、車を一箱ずつ切り離す、そういうことをやるのですが、それができない。適当な距離でスピードを落して、大体このくらいなら向うに着くだろうというところではっと飛びおりて、向うへ走り抜けて、次の貨車に乗らなければ間に合わないという作業をやっておる。そういうような仕事を規則通りにやれば、ヤードは混雑してとてもやり切れないということでありますが、たとえば一人乗っていくのに十軸という規定があるのですが、小型車両なら五両、それは五両だけ乗っていくのではとてもやり切れないから六両、七両でもって乗っていく、こういうような現状を私は見てきた。これは笹島の駅で構内が立て込んでくると規則通りにやっていたのではとてもだめだ、規則通りにやってもなおかつ混み合ってくるとだめなんです。これを現場へ専門の監督者が視察に来た。その目の前ではちゃんと規則通りにやらなければならぬからというのでやったのですね、やるというと、どうにもこうにも手がつけられないということになって、その専門監督者は行き詰まったということがありますが、これに十七名ふやしてくれということを、これがどうして聞かれないのですか。当局では五名でいいだろうということを言っておられるそうですが、その後六名にされたそうです。ところが、現場の実際にやっておるところでは十七名は最低限要ると思う。これは個々の問題だと思うのですが、口では配置転換でやるとか言っておりますけれども、現在現にこういうことがある。しかも、それが人目につかない、そういう所ではなぜ当局はそういう危険な仕事をやらしておるのか、これは今労働基準法とおっしゃいますけれども、これは列車のダイヤに合わした仕事をやれば基準法に合わないのですね、こういう関係はどういう工合になさるのですか。
  97. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ヤード操車の関係は、労務も非常に強うございますし、危険も伴っているということでいつも注意いたしております。で、仰せの通りに一操車係三連結手、四連結手、これを一操三連とか一操四連とか言っておりますけれども、そういうのは各所においていろいろ問題になっておりまするが、それぞれの所におきまして、種々具体的に列車回数その他を勘案いたしまして定めております。操車ヤードなども普通の人力といたしますと、十七、八才ないし二十才くらいの連結手が収量を一日に七里も八里もかけ足で上ったり下ったりしているということを私も承知しております。この坂阜の仕事などは今後できるだけカー・リターダーを設置いたしまして、危険な非常につらい仕事を極力機械的設備で救済して参りたい、かように考えております。なお、大体の原則といたしまして、できるだけ今後機械化あるいは合理化によって、労務の過激な点を十分に救済して参りたいと存じております。また、貨物駅のてこなども集中てこなどでもって労務を相当緩和できるということなどを聞いておりまするが、そういうふうな合理化の面におきまして、労務につきましては極力緩和して参りたいと考えております。
  98. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連質問はあと二、三ありますが、ベルが鳴りましたので保留いたしますが、ただ、私は国鉄の内部のかような事情についてはあまりよくわかりませんが、名古屋でたまたま——そういうような職場などは非常に代表的なものだと思うのですが、事情をよくお調べになって、そういう場合にはこうするのだという具体的なものをお聞かせ願いたいと思う。機械化するということは将来のことですから、今言ったのは現存、ただいまのことですから、そういうことについて、よくお調べになって具体的に解決案についてお知らせ願いたいと思います。あと保留いたします。
  99. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほどの御質問でございました資金運用部資金の利率を取り調べましたので申し上げます。日本国有鉄道も六分五厘、電源開発株式会社も六分五厘でございます。電源開発株式会社は資金運用部からの借り入れと出資がございますので、これで社債の発行をとりやめ、これによって資金コストが四分一厘三毛となる見込みと、こういう数字でございます。  それから石炭費でございますが、三十二年度予算における石炭のカロリーは六千四百五十カロリー、予算単価は五千五百六十二円でございます。
  100. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会寺三月二十日本委員会に左の案件を付託された。  一、国有鉄道運賃法の一部を改正す   る法律案(予備審査のための付託   は三月六日)