運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-09-28 第26回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月二十八日(土曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君    委員            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度運輸省関係重要施  策に関する件)   —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  運輸事情等に関する調査のうち、昭和三十三年度運輸省関係重要施策に関する件を議題といたします。  昨日朝田官房長から詳細説明を受けたわけでありますが、そのうち特に政府として重点的に取り上げる問題につきまして、中村運輸大臣から説明を願います。
  3. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 昨日は関西旅行をいたしておりましたために欠席をいたしまして、不都合の段あしからず御了承を願いたいと存じます。  昨日政務次官官房長より、三十三年度における運輸省重要施策について御説明を申し上げたと承わっております。欲をいえば、この要綱を全部実行するということはわれわれの責任であると思いまするけれども、物事は順序と計画とが必要でございますが、いずれにいたしましても、この要綱に示しましたものの裏づけのために、三十三年度運輸省予算要求をいたしておるのでございます。この予算の、まあ率直に申しまして獲得につきましては、われわれ一生懸命努力し、また先般主計局査定を、さらに閣議において査定をして、国務大臣責任をもって予算編成実行に当るという建前をとっておるのでございますが、しかし、この実行に当りましても、どうか運輸委員皆様方の御援助をたまわりたいのでありまして、まずとの点をお願い申し上げておきます。  現在の国内輸送力増強する、これが第一であると思います。それがためにはいろいろの施策をしなければなりませず、また国鉄予算は今編成中でございまして、おそらく近くでき上ると思います。それをわれわれの方へ持ってこられますから、大蔵大臣と協議して調整をするという方向になると思います。運賃の値上げについては、むざむざこれを使ってしまうということは、これは絶対戒むべきでありまして、これを輸送力増強に振り向けていくということが私は根本でなければならないと思います。  さらに現在の電化の計画、あるいはまた幹線輸送力増強ということにつきましても努力をいたしたいと思います。目下国鉄幹線調査会が開かれておりまして、ことに東海道輸送力が限界に達しておりまする現状にかんがみて、この東海道輸送力増強について成案を得次第実行に移して参りたいと思うのであります。ここで皆さんの御教示もわずらわしたいのでありまするが、現在の東海道の線のほかに狭軌を通すか、あるいは思い切って広軌にするか、これらは根本の問題として取り扱われなければならないと私は考えているのであります。  政府総合政策といたしまして、いわゆる投融資をある程度削減するということがございます。これに対して国鉄はどういう態度であるか、目下まだ大蔵省話し合いをいたしておりまするけれども、これも他の振り合い等もございまするから、われわれは適当の調整をいたしたく存じますけれども、この削減のために国鉄五カ年計画根本が動揺するがごときことは、私どもは譲ることはできないのでありまして、この点は大蔵省に対しましてわれわれは正当な要求をいたしたいと考えておるのでございます。  海運界並び造船界は今日運賃値下りによりまして種々なる困難なる問題を生じておるようであります。しかしながら、これらは当該会社努力によりまして、あるいは企業の合理化をはかっていく、またわれわれといたしましても船価の低減を行う、これは予算において計上されておる分もございます。これを要求をいたしておるのであります。さらにやはり船をある程度建造していくということをせなければ、自国船をもって貿易に従事して運賃をかせぐということもできないのでございまするから、われわれは五十万トン程度を三十三年、三十四年にわたりまして建造をするという方針を立てておる次第でございます。今日の造船界外船注文によりまして、いわゆる輸出船舶は相当旺盛な注文を受け、その事業も盛んなようでございます。しかしながら、現在の世界的海運界の情勢を見ますと、ある程度、来年あたりには相当困難なる事態が生ずるのではないかと考えられる向きもございます。この点はわれわれといたしまして船台があいてしまって、整理をせなければならぬというようなことがないように、ことに国内船建造等につきましても考えを及ぼしていきたいと存ずるのであります。  次に、海運造船にいたしましても、問題はやはり融資の問題であります。開銀の融資の比率をどうするかというがごときことは、これは重点でございまして、この船舶金融、また海運界におけるところの金融、私は利子補給は復活するという考えは持っておりませんけれども、そういう意味におきまして金融方面の便法を講ずるということに私ども努力をいたしたいと存じます。  さらにまた税制の方面におきましても、あるいは償却の幅をもっと狭めていくというようなことにつきましても、努力をいたして参りたいと思っております。  次は観光施策でございます。この重点は私は外国人観光客日本にできるだけ多く来てもらうという施策を立てなければならぬと思います。現在外国人日本観光に来る人たちの人数は十一万程度と聞いておりまするが、本年は上半期におきまして六万、この調子をもっていたしまするならば、十三万人程度外国の旅客が日本観光に来るという見込みであります。現在観光収入は五千万ドル程度でございまするが、さらにこれを増加をするということが必要でございまして、これらに関する施策、たとえばホテルを増設する、道路を改善していく、あるいはある程度外車を輸入していくというようなことも考えておるのみならず、最近世界的に流行、と申しますと語弊がございまするが、世界的に行われておりますユース・ホステル、こういうようなことも考えたいと思います。さらに日本産業施設を紹介するために、できるだけ外人観光客日本の各種の工場に案内して、日本産業がどういうふうに進歩しておるか、その事柄を知ってもらって、そしてこれがやがては海外に伝えられ、貿易の伸張にもなるというふうに考えておる次第であります。今日航空機の発達によりまして、太平洋、大西洋とも航空機を利用する人たちは多いのでございまするけれども観光を目的とする人たちは、船に乗ること自身が一つ観光考えられておるようでございまするがゆえに、日本におきましても、大型客船をこしらえたいと思います。現在氷川丸一隻しかない日本客船を、さらに二万トン程度客船建造し、さらに政府援助をしていくといったようなこの観光政策によるところの外貨の獲得、やがてこれが国際収支改善になるように努力をいたして参りたいと思います。  次は国内航空政策につきましては、民間航空発展をはかる。この間もこの協会に参りましてこれらの人々と協力して、われわれは民間航空発展をはかるということを申して参ったのでありますが、さしずめ、今日この予算等において目標といたしておりまするところは、羽田空港を完備していく、さらに十一月より返還されますところの伊丹空港を純然たる国際空港に、平和的の国際空港にいたして参りまして、東西のこの二つの大なる玄関に国際空港として遺憾のない施設をいたしたいと考えているのでありまして、特に伊丹の空港などは、四十億円の経費をもって一万フィートの滑走路を設け、そしてジェット機などがここに発着できるようにいたしたいのでありまして、その予算が三十三年に頭としてたしか十三億円程度計上されておるのであります。  それから問題は、港湾整備でございます。私どもこのごろ大阪等を視察し、あるいは今後神戸等を見たいと思うのでございますが、貿易拡大発展と、大型船舶建造発展によりまして、現在日本貿易港として知られているところのものは、非常に狭く、浅くなっている。ことにマンモス・タンカーが日本にも来、こちらからそういうものを作って油の運びをやっておる今日の状態におきましては、どうしても現在の日本貿易港の規模を拡大していくということに努力をいたしたいのでございます。さらに地方港湾等につきましても、逐次整備をいたして参りたいと思うのであります。これらの港湾に対して公共事業費として三百億円程度を投入するというふうに考えておるのであります。ただこの港湾におきまして、まず第一に考えなければならぬことは、高潮を防ぐということであります。また大阪等におきましては、地盤沈下をする向きもあるということであります。こういうものに対しましても捨てておくことができないのであります。技術的に地盤沈下を防止するということが運輸技術研究所においてできておりまするから、この技術的な研究、これを実地に応用するというふうなことも実行いたしまして、地盤沈下等を防いで参りたいと思います。  重工業、造船所その他は大港湾の河口、あるいはその中で行わられております。従って、そこに石炭であるとか、鉄鉱石であるとか、あるいは石油の貯蔵場もそこにございますから、そういう船が着く岩壁整備するというようなことも、私は行わなければならない問題であると思います。日本工場を拡張するといたしましても、それが農地を壊滅せしめるというようなことは、できるだけ避けていかなければなりません。これは食糧政策上当然でございますから、できるだけ臨海の埋立をやっていく、こういうこともわれわれは努力をいたさなければならないと思っておるのであります。それに関する施策もここに打ち出していくべきものであると考えておる次第でございます。  そのほか、私はこの間、中小造船業者と会見いたしまして、これらの人たちは今賠償の船を作っておる。あるいは南方方面の川を航行する船を作っておるものもございます。ところが、これらはドイツ及びスエーデンでございますか、ノルウエー、あの方面からは非常に進出しておる。イギリスの作った船は古いが、そういう西独あたりが非常に進出しておる。これに対して日本中小造船業の設備を改善して、こういう東南アジア方面に進出いたしたいということを私どもも痛切に感じ、これに関しましては、まずそれらの市場を調査をしていくということが必要であるのでございまして、これらに関する経費も昨年あたりから計上されておりますから、今後もこういう方面にわれわれは予算的措置をとって参りたいと思っておる次第でございます。  さらに、ここに私どもといたしましてはいろいろの問題がございまするが、まあ私の記憶をたどって申し上げるのでありますが、そのほか、言い落しましたが、青函トンネルもこれをやりたいと思っております。あるいは本土—四国のあの鳴門、それから淡路、須磨、あれに橋でもかけて、ともかく中国において武漢三鎮に鉄橋ができておるという時代に、日本もせめてこれぐらいの大きなことをしなければ、岸内閣ふろ代がどうだとか私鉄がどうだとか言っておるよりも、一つこういうような大きな計画を立てて日本技術日本の交通の発展をはかりたいというようなことを、これはある程度夢かもしれませんけれども、現に来年度におきましては青函トンネル、それから本土—四国の架橋につきましても、おのおの五億円ずつの調査費を計上して大蔵省要求するというようなことも私ども考えておるのであります。  さらに、前後をするようでございまするが、原子力商船というのは今研究時代から実施時代になっておる。これも予算に計上をしてもう少しその技術をよくしていくという点も考えておるのであります。もとよりこの原子力商船につきましては、民間造船所その他におきましてもう研究しておられる、非常に進んだ研究なしておられる、むしろ運輸省があとからごとごとついておるような状態なんです。しかしながら、これもこの民間造船所と協力して、この原子力商船たどにつきましても私たち一つ実施方向に進んでいくというふうに考えておるのであります。  まあ、そのほか、この要綱官房長説明をいたしまして半日かかったそうでございまするが、そうあまり皆様に対しまして講義めいたことを申し上げますことは、はなはだ失礼でございまするが、ただ、私の考えておりますことは、根本的には日本産業経済成長発展輸送力増強運輸行政推進力いかんにありと、もうこういったような私も理想を持って進んでいきたいのが私の考えでございます。いずれにいたしましても、以上のようなことにつきまして、まあ重点ではございませんが、あまりきのうは長過ぎてたからそれを一つ集約せよというお話でございまするゆえに、集約いたしまして、ある程度重点を拾って参りますると、そういう事柄であります。従いまして、われわれは国際収支改善という立場からもいろいろな施策をやって参りたい、こういうわけでございます。どうか重ねてこの予算につきまして皆様の御協力をわずらわしたく存ずる次第でございます。  私の頭にあります、私の感じておりますところを率直に多少前後いたしましたけれども申し上げまして、皆様の御了解と御後援をわずらわしたくお願いする次第でございます。
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまから質疑をお願いするわけでございますが、政府並びに国鉄側出席方々大臣木村政務次官朝田官房長国有鉄道部長細田君、民営鉄道部長岡本君、自動車局長山内君、港湾局長天埜君海運調整部長辻君国鉄側から小倉総裁、小野本旅設局長等でございます。従って、昨日のお話し合い通り、主として鉄道及び自動車関係に主力を置いていただきまして、なお昨日来高良君からの申し入れのありました定期船運賃等の問題については、先に申し上げたように、海運調整部長が参っておりますので、これらの点につきましても御質疑を願いたいと思います。  なおつけ加えますが、御承知通り、今日は職員の一年一度のレクリエーションの関係もありまして、すみやかに終らせたい、午後一時までに終らせたいというお話し合いもありますので、一つ簡潔に御質疑を願いたいと存じます。  それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 江藤智

    江藤智君 昨日は三十三年度運輸省関係重要施策要綱につきまして、木村政務次官から非常に懇切な御説明がございまして、それが終りましてわれわれ昼食いたしましたときに、与野党を問わず、まことにけっこうなことでありまして、これを実行していただくならばもう何も言うことはないと、忙しいときにこれからは委員会に出る必要もないじゃないかと、心ひそかに私らも喜んでおったのでありますが、ただいままた運輸行政最高責任者である大臣から同様に非常に気宇壮大な、景気のいいお話を聞きまして非常に意を強うしたわけでございますが、この三十三年度要綱に入ります前に、現実の問題につきまして、ただいまのお話とは全く正反対の実は地味なことでございますけれども、一応国鉄経営根本方針につきまして、まず運輸大臣の気持を聞きたいと思うのでありす。と申しますことは、御承知のように本年度からが運賃改正後の第一年度に当っておるわけでございます。その第一年度におきまして、すでに国鉄の最も重要な保守の関係につきましての経費というものが、われわれといたしましては非常識と考えられるくらいの大削減を見ているわけでございます。  まず私は大臣にお尋ねいたしたいことは、国鉄事業というように非常に大きな固定資本を持っている、国鉄におきましてはおよそ二兆と言われておりますが、これだけの施設、車両というものを持って経営をしておるのでございますが、これらをできるだけ良好な状態にできるだけ保守いたしまして輸送の安全を確保する、また経営の面からいきましてもそういうものの損傷をできるだけ少くする、少しでもそういう大事な施設を長持ちさせていくということが、国鉄経営根本であろうというふうに私は考えるわけでございますが、監督責任者として運輸大臣はどういうふうにお考えでございますか。まずその点をお伺いしたいと思います。
  6. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国鉄補修費、別言いたしますと、修繕費でございますが、これは私も国鉄予算等をべついたしまして、三十年度、それからまた三十二年度相当減っておるようでございます。これは予算と、それから実行予算との間の配賦等考えますると、やむを得ないものもござりまするが、ことに列車輸送に直接に響かないような家屋などについて、相当修繕がおくれておるということは私は認めるのであります。こういうようなことは、今後、三十三年度予算編成に当りましては、できるだけ補充をしていきたいというふうに考えております。
  7. 江藤智

    江藤智君 運輸大臣にあまりこまかいことをお尋ねするつもりはないのでございますが、補修費の重要なことにつきましては、大臣も認めておられるようであります。ここに資料もいただいておりますが、昭和三十年、三十一年、三十二年、国会予算におきましても、実施計画におきましても、三十年、三十一年はそれほどでもございませんが、三十二年度におきまして国会予算が、運賃改正をしておりながら、また列車密度その他も非常に増加をしておりながら、国会予算におきましてすらすでに減額されておる。これにつきましては、今年の二月十九日の当委員会におきまして、權田監督局長予算説明で明らかにこういうことを言っておるわけであります。修繕費は対前年度予算との比較を見ていただきますと、五十六億の減に相なっております。これは非常な大きな減になっておりますが、従来はその中で退職者手当等に流用しておる、しかし、今度はそういうような流用費目をそれぞれの費目に入れておるのだからして、ぎりぎりのところを査定して減ったのだから、その点は御了解願いたい、こういうことをはっきり言っておるのです。で、われわれとしては不十分でありますけれども運賃改正をして、国民の方々も非常な犠牲を払う以上は、経営合理化その他の面において、まあある程度ぎりぎりであっても、これはやむを得ぬだろうというわけで、了承しておったのでありますが、その後私が現地を回りました結果は、非常なそれとはかけ隔てたような結果が出ておるわけであります。そこでここに資料をいただいた。そうしますというと、五百一億というものが実施計画におきましてはすでに五十億近く減っておる。しかも、このカッコ内は実際に配賦されておる金であると思われます。実際に配賦した金は、今年の少くなったものよりもさらに百億近くも減っておる、これは非常な削減であります。これはどうしてこういうふうになったのか、またこの席上におきまして、これがぎりぎり結着であると言いながら、このようなことになったことにつきまして、運輸当局、いわゆる監督立場にある運輸省として十分御承知であるかどうかということをまず承わりたい。
  8. 細田吉藏

    説明員細田吉藏君) お答え申し上げます。国鉄からお手元へ資料が出ておりますが、これによりますと、実施計画では約四百六十億ということでございまして、国会予算に対しまして四十億余の減額になっておるのでございますが、これは実は七月の資料でございまして、その後私どもの方で調査いたしました結果は、最終的には四百七十四億という程度になる予定になっております。それにいたしましても三十億弱というものが減額になるわけであります。それでもともとが本年度国鉄予算は、修繕費に限りませず、修繕費を含みましたいわゆる損益勘定経費というものを極度に圧縮するという考え方で非常に窮屈なものにいたしております。これは国会開会中にも他の局長からも御説明申し上げたのであります。非常に窮屈になっておりますが、それがその後執行をいたして参ります過程におきまして、動力費が当初考えましたよりもさらに石炭値上りをいたしております。それから退職手当も実は考えておりましたよりもはるかに増加をいたしたわけでありまして、これは昨年の年度末、三月の末に相当思い切った永年勤続している者の退職をいたして、人員の構成を少しでも正常化したいということの結果でございます。そういうことになりましたので、結局そういうものの不足財源なり、業務費値上りその他の事情でふえているのであります。そういうために修繕費から約三十億程度のものを流用せざるを得ないという実情であります。この点は承知しておるかということでございますが、私どもとしましては承知いたしております。ただ、この修繕費の使い方は、先ほど大臣からも御説明をいたしましたように、列車の安全を脅かすというような点につきましては、この中でもちろん重点的に使用していただくということで考えております。ただ、私どもといたしましては、今年度国会予算そのものにつきましても、いろいろ反省し、検討しなければならぬという問題があると思います。特にその後、その窮屈な予算をさらに流用するというようなことにつきましては、来年度もう一ぺんやるというようなことでは、これは絶対にいかぬというように考えておるのであります。来年度につきましては、今年度のある程度穴があいておりますものも、埋め合せなければいかぬというふうに考えておるのでございますが、本年度予算執行につきましては、遺憾ながら、どうしてもほかから持ってくるということはできないという実情でございますので、使用方について十分一つ検討いたしたい、かように考えている次第であります。なお、既配賦額が幾らといったような問題につきましては、これは実は国有鉄道の方でやっていることでございまして、私どもではちょっとわかりませんから御了承願いたいと思います。
  9. 江藤智

    江藤智君 私が知っておるかということは、実はただいまのようなお返事を聞くつもりではなかった。もともと非常に経費が減っていることもわかっております。しかし、その場合、予算審議に当りまして、運輸大臣国鉄総裁も非常な努力をして、とにかくそれでやるのだ、やるということはとにかく健全な経営をやるということでありまして、こういうようなドラスティックな修繕費を組んでやるなら、私はだれでもできる。また今の御説明にしましても、なるほど人件費がふえた、また業務費もふえる、あれもふえた、これもふえたといって、その方にみな取っていって、そうして今すぐは目に見えないかもしれないけれども国鉄経営百年のためにも、最も重要な分から持ってくるのだったらば、これはまことにたやすい問題であります。列車運転その他についても、そういう危険はないと言われますが、私は後ほど具体的な問題について、国鉄当局にも御質問をするつもりでありますが、いずれにしてもこのようなただいま配賦されている予算というものは、国会予算よりも百億も滅っている。昨年の決算額に比べましても、百二十億も減っている。しかも、これらの中の、修繕費の中のまた割り振りによっては、ある場所におきましては、半分近くになっておるというような、とにかく極端な補修費配賦になっているということにつきましては、大臣もよく御認識を願いたいと思うのであります。で、その結果といたしましてどうなっておるかと言いますと、これは副総裁から実は個人的にいただいた資料でありますけれども国鉄の運転に最も重要な軌道の保守費が昭和二十八年を一〇〇といたしまして本年度配賦予算は六一%——六割、線路工作物——鉄橋であるとか橋梁であるとかいいますのが、昭和二十八年を一〇〇といたしまして——あのまだ戦災復旧が直るか直らぬかという苦しい時代における予算に比べまして、運賃改正を行なった第一年目の三十二年の予算は五五%、建物修繕費に至りましては二七%、機械修繕費におきましては四六%、大体これを平均いたしまして六%足らず、こういうような結果になっておるのでありまして、私が今年になりましてから全国の現場を拝見いたしました結果、非常な問題が起っておる。九州におきましては、せんだっても申しましたけれども、肝心のまくら木をかえますのが百丁に一丁であります。砂利は普通の場合の十分の一しか入らない。東北の方に参りまして、青森の操車場では、あの寒い所で各車洗滌をするパイプがかえられぬという。機械においては十分なる補修は半分もできないから、今年はどうかしらぬが、来年になったならばまずみなガタになるかもしれませんと言って現場の人は憂えております。大阪付近の電車線はどうです。建築におきましても、これは列車運転には直接関係はないと言われるかもしれませんが、こんな二十何パーセントというような——これは二十八年度に対しましてですが——ものでは、雨漏りを直すようなことが精一ぱいであります。昨日もこの重要施策の中で、国鉄の労働対策という中に福利厚生施設を拡充整備するというような非常にけっこうなことが載っておりますけれども、現状はほとんど畳一枚かえられないというような状態になっておるのであります。これでは幾らこういう景気のいい施策運輸大臣がお打ち出しになりましても、現在目の前がこういう状態にあったら国鉄の現場、第一線で働いておる人々はどういう気持がするだろうかということにつきまして十分一つ考えていただきたい。最近でありますが、大阪付近である区間におきまして軌道が動いた。もちろんこういう種類のものにつきましてはいろいろな原因はありますけれども、このような砂利もまくら木も非常に不足しておる、こういう修繕費配賦しておきながら、万一ここで事故が起った場合、この事故の責任は一体だれが負うか。私はこういう修繕費を押しつけられて働いておる人々の責任ではない。むしろ国鉄経営に当る最高責任者責任なんじゃないかというような気持がするのでありますが、その点につきましては、一つ国鉄総裁、どういうお気持かということを伺いたい。
  10. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答えいたします。先ほど運輸省からお答えがあった通りに、三十二年度経営費は非常にきびしいものでありまして、あるいはきびしい以上のものであったと思います。私は幾たびかため息をついた次第でありまするが、しかし、ただいま江藤先生からのお話にもありました通りに、運賃値上げをお願いした半面、できるだけ経費を節約しなければならぬということと、またそうしろという重点的な予算査定を受けましたので、それを何とか遂行いたしたいとしてお引き受けした次第であります。もしこの修繕費でできないということでありますれば、今御指摘を受けましたように、お引き受けした私ども責任と存じまするが、しかし、まだ本年度半分の経過でございまするからして、後半におきましては極力努力をして大過ないようにいたしていきたいと思います。しかしながら、私この際、私の考えを言わしていただきますれば、修繕というものは節約をしたからいいというものではなく、かえって修繕が不足でありますと、後年度にもっと大きな修繕をかけなければならぬということで、結局は不経済のものであります。それともう一つ経営費の中で修繕費は弾力性があるということでいつでもしわよせが修繕費に来るのであります。ただいまのお話にありましたように、退職金の不足、あるいは予期以上の物価騰貴、災害費、いろいろなことで経営費中の不足がともすると修繕費にしわよせになってくる。それでただいま御指摘のように、三十年度の決算に対して軒並みに六割程度修繕関係におきましては情ないことに三割以下というようなことに相なったのでございます。で、先生が現場において不平の声があるというお話でございましたが、それも重々承知いたしておりまして、現場の意見としては異口同音に、この修繕費では鉄道施設の維持ということが非常にむずかしい。しかし、きまった以上は今年はこれでしのぐが、続けてかような修繕費であると鉄道のためにならぬということが私どもの耳にも入っておりまするので、来年の予算につきましては、監督官庁にもよくお願いし、あるいは大蔵省にも説明いたしまして経営費、修繕費、あるいは広く言って経営費ということについて特段の御配慮を願いたいと、かように考えております。ただ修繕費につきましては、その数字ばかりではいけませんで、いろいろな合理化、あるいは予算の使い方ということによりまして、数字だけでは判断いたしにくいのでありまして、たとえば三十年度の決算と比較いたします場合にも、従来の業務費関係のものを修繕費に入れていたのをそれを落すとか、従来修繕費でやっておりましたのを工事費の方へ回すとか、いろいろそこで合理的であって、かつ修繕費を、修繕費としての支出をふやすということもあるのでございまして、数字だけの比較では参らぬかと思いますが、いずれにいたしましても、非常に窮屈、あるいは窮屈以上の修繕費であるということは私率直に、誇張もなく、あるいは遠慮もなく率直に申し上げますと、現在の修繕費は過酷であると、こう考えますので、来年度以降につきましては、ぜひ大方の御配慮を願いたいし、また当委員会の御支援もお願いいたしたいと、こう考えております。
  11. 江藤智

    江藤智君 ただいま副総裁の懇切な御答弁でありました。この修繕費のこのような不当ともいえるような削減は、これは国鉄経営自体のみならず、一つの社会問題を起しておることを一つ大臣お話ししておきたい。ただいまこれは与野党を問わず、中小企業の育成という問題につきましては非常に熱心にいろいろと研究されておるのでありますが、との修繕費関係をしておるところの、たとえば大工をやっておる人、あるいは土工をやっておる人というような非常に小さい企業、まあほんとうに名もなき企業者というものは、これは国鉄修繕だけに、親子にわたってずっとそれで生計をつないでおるというような人々が全国にいるわけなんです。これらの人々は、極端な場合は、ことしはもう何にも仕事がありません。で、どうするのだと言ったら、もうどうにもなりませんと言ってうすら笑いをしておるというような状態。それをまとめて声としてあげることもできない弱い人がたくさんおるのであります。おそらく車両メーカーにいたしましても、あるいは大建設業者にいたしましても、こういうようなととがあった場合には、おそらく声をあげて一つの問題にするであろうと思われるような事柄につきましても、泣き寝入りをしておる人がたくさんある。こういう問題はただいまの中小企業に対する政府の対策といたしましても、これは十分に考えていただく必要があるのじゃないかというふうに考えるのであります。そこで問題は、ただいま副総裁も言われましたように、このような修繕費ではどうにもならぬ、問題は修繕費と——いわゆる修繕費も含めて経営費と工事経費との間のこれは関連になってくる。一方におきましては、輸送力の拡充であるとか、あるいは鉄道の近代化であるというための五カ年計画を国民に約束しておるわけであります。一千六十九億というものはとにかく今年度仕事をやるんだ。ところが、その中で八百二十何億というものは、国鉄のとにかく収益をそれにつぎ込んでおるのであります。財政投融資の金は幾ら入っておるかと言いますと、わずか八十億、これは国鉄としてはまことに迷惑なしょい込みとも考えられます。建設費の新線建設の費用に当る分だけが財政投融資が入っておるのでありまして、残りの二百三十五億というものはこれは公債だ。問題はここにあるのでありまして、そのように苦しくなった場合には、なぜもっと政治的に、八百二十何億というものをもう少し減らして、そのかわり財政資金であるとか何とかというようなものをもっと増してくれ、こういうふうにこれは当然言うべきじゃないかと私は思うのでありますけれども、そういう面について、国鉄当局あるいは運輸省として御努力をなさったのか。御承知のように、今年度におきましても昨年度の税金が三百億ばかり余りまして、それを特別会計に入れてまだ百五十億という金も余っておるはずなのです。このような国の大事な事業に対して非常な危機にもなるというような場合、また、たれが見てもこれは過酷な経費だ。電電公社と比べましても明からにこれは過酷な経費を押しつけられておるのでありますからして、まあ給与改定その他で、予算改定でも当然やらにゃいかぬでしょうから、そういう場合に少し政府の、国の金でもこれに入れて、このような苦しい状態を救うというようなことについてどの程度の一体御努力をなさったのか。またもしそんな状態だったかと、大臣も新しくなられたのでありますから、そういうことなら一つ努力をしてみようというようなお気持でもあるならば、その点を一つ大臣のお気持を一つ聞かしていただきたいと思います。
  12. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今の修繕費の問題等は、これは一見じみな問題ですけれども、やはり鉄道輸送の効率を上げるという上からいって非常なある意味における重要問題で、今後注意をいたして参りたいと思います。また今の御指摘の点もなかなか、今投融資の問題から考えまして相当窮屈な点もあるのでございますが、その窮屈な点をもう少し円滑にいくように、三十三年度予算編成などには御指摘の点を注意してやっていきたいと思います。何分まだ私も国鉄から詳細な予算の計数も承わっておりません。その場合には御指摘の点は注意をいたしまして、これは皆あなたの御希望よりも、国鉄そのもののほんとうにやらなければならぬことでありますから、そういうふうに努力と注意を払っていきたいと思っております。
  13. 江藤智

    江藤智君 この修繕費というようなじみな問題について、これは大臣がこれまであまりお聞きになっておらないであろうということもよくわかります。実は青函隧道や四国連絡の方がよほどまあみんな聞いておもしろいといいますか、景気がいいことでありますから、そういう声はすぐ耳に入ると思います。しかし、じみではあるけれども国鉄の現在ある施設を生かして運営するということが一番大事なことである。そういうことについては、ただいま大臣も十分一つ認識をされたようであります。ついては、来年度、この三十三年度のすぐ予算になるのでありますが、われわれ党の方に対する連絡と申しますか、交通部会におきましても、御承知のように、来年度は建設費を除いて千二百億程度予算が必要だ、そうしないというと五カ年計画を完全に遂行することができないというような話も聞いておるのでありまして、一方におきましては経営費もふやさなければならない、一方におきましては五カ年計画も遂行せなければいかぬ、こういうことになりますと、その点におきまして大臣の、いわゆる財政通でおられる大臣の御手腕に期待するところが非常に大なるものがあると考えまして、本日は質問したわけでありまして、今後この点に十分一つ御配慮を下さいまして、今年のこのようなアンバランスな無理な予算、ことに修繕費予算につきまして、ぜひ来年度はこれを埋め合せるというふうに御努力を願いたいと要望いたしまして、本日の質問を打ち切りたいと思います。
  14. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ちょっと関連して大臣に希望しておきたいのですが、私ども最近の国鉄の運営を見ておりますと、鉄道会館の問題以来、何だかしらぬが萎靡しておるような感じがするのです。それで当然経営上財政当局に要求すべきことも何だか遠慮をして言っておるようだ、全然関係がないのに。そういうふうな空気になっておるように見えますから、大臣今度おかわりになりまして、新しい気分で国家百年の大計を立てるために、交通の基礎を固めるという意味で、国鉄当局その他運輸省関係当局を勉励して、言うべきことはしっかり立案あるいは発表するようにどうぞ御指導願いたいと思います。  なお、今修繕費の話が出ましたが、その他の問題でも私は申し上げませんけれども、いろいろ問題があると思います。どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  15. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も別に景気のいいことばかり言うんじゃございませんで、やはりそういう今まで見落されたところに、私も見落しのないようにしていきたいと思います。たとえば陸運事務所などの、これもいろいろ聞いてみますと、私はまあ率直に申し上げますると、陸運事務所というのは大した問題なくいっているのだと思いますと、その運営そのものに根本があるようでございます。それからまた非常に人員が少くて、全く超人的なことをやっている。これは不可能なことをやらしている点もどうもあるようでございまして、こういう点もまあ一つ私も十分見落しなく細心をもってやって参りたいと思います。
  16. 柴谷要

    ○柴谷要君 昨日運輸省から重要施策要綱説明されて、特にきょうはその中の重点的な問題に対する質問ということで始まっていると思うのですが、私は特にその中で輸送力増強、なかんずく国鉄五カ年計画について御質問いたしたいと思います。五カ年計画国鉄運賃値上げ問題とうらはらの関係で、われわれ委員会は十分にとれを検討したつもりでおります。そのときにわれわれが一番危惧いたしましたのは、果して五カ年の間に国鉄がこの大きな計画を消化していけるかどうか、この点に重点を置いてわれわれは議論したつもりなんです。その際に、五カ年間で必ずこの約束を果しますという明快な御答弁がなされておる。しかるに、今日の国鉄の実態はどうであるかというと、すでにこれは一職員の見解ではなくて、国鉄の重要なとの工事を推進するととろの機関が発表しております内容を簡単に申し上げて、果してこの五カ年計画が前委員会において答弁されたような内容になっておるかどうか、これを一つ明らかにしていただきたい。というのは、今日の国鉄事情ではどうしても五カ年計画は遂行できないという結論が出ておる。これを遂行しようとするには、年数にして十二年七カ月は要しますという結論が出ている。こういうむちゃくちゃな工事の状態国鉄に押しつけておいて、ほんとうに国民を欺いているというように私には考えられる。そこで、実際にこの五カ年計画を遂行する用意があるのか、またこれに対する国鉄が万般の準備をしているかどうか、これに対して明快なる御答弁を願いたいと思う。本日はその担当の衝であるところの藤井常務理事の出席を特に要望しておりましたが、見えないようでありますけれども、どういう理由で見えないか、これもつけ加えて御答弁を願いたい。
  17. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 五カ年計画は立てられておるのでございますから、これを極力推進するという私は考えでおります。今十二カ年とおっしゃったのはどういうことか存じませんが、これはあまりかけ離れておりますから、そういうようなことはわれわれは絶対にやるべきものではないと思っております。ただ、今投融資の問題が多少ございますことは、これは率直に申し上げます。これがさき申しましたごとく、あんまり切られてしまって五カ年計画の大動脈にひびが入らないようにということを私は今十分努力し、警戒もいたしておるのでございまして、十二年とは私ども考えないのでございますが、もとよりどこの国でも計画というものは多少の誤差のあることは、これは私は誤差を考えておりませんけれども、これはソ連に行ったって、中国へ行ったって、計画との間に相当ミスがあるのでございまして、ことにそれが雇用問題とも関連しているという事実でありますから、われわれは五カ年計画に対しまして極力努力いたします。しかし、今おっしゃったような私はなはだしいズレはないと思っておるのでございます。
  18. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいま五カ年計画についての御質問でございましたが、藤井常務が設備関係の担当理事でございまして、五カ年計画には施設関係以外に車両もございますし、事務の近代化もございますし、非常に広範囲にわたったものでございまして、その遂行の責任者といいますれば、総裁及び私になりますので、私が御答弁に出たような次第でございまして、藤井常務はちょっと事故がございまして出られませんが、施設関係につきましての御質問がありますれば、施設局長が出ておりまするのでごかんべん願いたいと存じます。  五カ年計画が遂行できるやいなやということでございまするが、私どもお引き受けした以上は、何とかしてこれを達成しなければ相済まないということで、三十二年度にはいろいろ新規の手を打ったつもりでございます。たとえば設計陣を強化いたし、あるいは工事推進班を作り、あるいは工事のできるだけあんばい方を考えましたり、もっとそれを率直に申しますると、たとえば用地買収のようなものは非常にひまがかかるので、車両関係重点を置くとか、そういうふうなことで初年度の工事費の消化に努めました。で、当初は、国鉄が年大体五百億の工事費が一千億になって、一千億ベースになって消化できるのかどうかという危惧の念を持たれ、当委員会におきましても、そういうふうな御質問があったやに記憶いたしまするが、私どもは極力工事費の消化、しかしながら、漫然たる消化でなく、合理的に工事費を使いつつ、完全な消化をいたしていきたいということに努めて参りまして、おかげさまで、ただいまのところは工事費が余るどころではなく不足するぐらいの成績をおさめております。たとえて申しますれば、北陸線の交流電化もこの十月一日に完成いたしますし、裏縦貫の施設増強もそれに間に合っております。そのほかの線区につきましても、車両、機関車、貨車あるいは客車、電車を増設いたしまして、十月一日には予定通りの時刻改正をいたして輸送力増強を実現できる段階に至っておりまするので御了承願いたいと存じます。ただ、ただいま御指摘を受けましたように、五カ年計画でできないのではないかというお話でございまするが、ただいまは初年度でございまして、来年初めて二年度にかかる。で、二年度になりますれば初年度の経験を生かして工事の促進をはかるという非常な利益がございまするので、五カ年で達成すること必ずしも無理ではないと私は考えております。ただ、この場合に、やはり五カ年計画をいたしますにはそれだけの資金の裏打ちがなければ、私どもいかに奮闘いたしましても、工事費がなければこれは遂行できないのでありまして、国力その他から見ましてそれだけの資金の裏づけがもしできないような場合になりますれば、これまたいたし方ございませんが、そうでなく、工事費の裏打ちができますれば、五カ年間にぜひ達成いたしていきたいと、このように考えております。
  19. 柴谷要

    ○柴谷要君 五カ年計画は資金の裏づけがあればできる、このような簡単な御答弁がありましたが、実際に一つの例を申し上げてみたい。これは東京工事局の問題ですけれども、これは工事局の要員なり、組織の拡大をはかってやはり五カ年計画の態勢に即するような状態を作り上げないで、工事を計画しておるところに無理がある。そこで、現在の東京工事局が年間どのくらい工事を受けられるかというと、三十億せいぜい、用地買収が五億なんだ、三十五億の年間消費しかできない。そこへもってきて、五カ年間の総工事は幾らかというと、五百十五億円あてがわれる。しかも、その中から用地に百三十二億、これを差っ引いた金額を、年間三十億しか消化できないというなら、年間三十億で割ってごらんなさい、数字は明確に出てくる、十二年七カ月という。私は、数字がちゃんとものを言っておる。決してうそじゃない。それに対して五カ年計画であるから二・五倍の工事遅延の問題を何とか五カ年で仕上げようということでいろいろと要求しておる。その要求の内容はすでに国鉄当局は御存じだと思います。当面最も必要とするところは、調査計画の推進が当面の緊急な問題であるので、これに全力をあげておる。ところが、調査計画の推進というものに対して、陣容が整っておらないから、そのような状態に行っておらぬ。  続いて要員なり組織その他の問題は十分整備してもらいたいという要求をすれば、要員はちっともふやさない、設備はそのままだ、こうなってくるというと、現行の工事局の工事担当量というものは三十億なら三十億にきまってしまい、年間を通じて用地を引いた金額を割れば十二年七カ月が出るのだから、これは口先だけでごまかしても、五年後にその結果が出るのですから、そのような態勢を作り上げていかなければこれはできない。これを正直に国鉄は、もっと運輸省なりあるいは政府にこの実情を訴えて、そうして早く態勢をしいていかなければ、これはどうにも私はならぬと思います。これは最後にいってですよ、副総裁総裁が五カ年ででき上りませんでした。責任を感じてなんということで事足れりと思ったら大間違いである。そこに問題がある。こういう問題を真剣に考えておられる皆さん方ばかりでなしに、職員全体もこういうことを考えておる。しかも、最近の新しい事例でありますけれども、五カ年計画を遂行するためには全力をあげて協力します。工事局職員が打って一丸となって協力いたしたいと当局に申し入れをしたではありませんか。しかしながら、現在の陣容ではこの計画に乗っての仕事はできません。最小限度の要員を確保してもらいたいということを当局に陳情したところが、当局は何と言っておる。現在の陣容で工事がおくれるならばやむを得ませんと責任ある局長が答えておるではありませんか。七年、八年もかかってやむを得ませんと、ばかげた発言が常々と流れておるということは、これは明らかになっておる。ちゃんと私のところに全部資料が来ておる。名前を申し上げませんけれども、辞任ある立場の人が、少くともそういう言葉を述べておるということについて、五カ年計画をいかように考えておられるか、その真意を聞きたいと思う。それが今のような答弁であるとするならば、少くともこういう問題については、労使一体となって真剣に考えて遂行しなければ私はならぬと思います。ところが、今日果して労働者に対するあなた方の態度というものはどういう態度でありますか。真に国鉄の五カ年計画を遂行するためには力をたくわえておる、ために職員が全力をあげてあなた方に協力するという言葉を述べておる。それにもかかわらず、現在どうにもなりません。それで工事が遅延するならやむを得ませんということを責任ある人が言っておる。そんなことで五カ年計画を国民に公約をし、しかも、政府の政策として五カ年計画を遂行すると国民に公約しておきながら、こういうことが一体現在の国鉄の幹部の中にありとするならば、これは大いに糾弾しなければならぬと思う。しかし、この人の言葉もたまたま話のついでにそういう言葉になったかもしまれせんけれども、これが陰に潜んでおるところのあなた方の悩みであると思う。その悩みを十分ぶちまけて、これは運輸省なり、政府なりにやらせなければならぬと思います。このことを私は言いたいために、きょうは発言の機会をいただいておる。どうかそういう意味で、五カ年計画は、私が申し上げたのは、これは組合で作った資料ならいざ知らず、れっきとしたあなた方の機関が作られた資料ですよ、これは。こういう材料を私の方によこして、こうしてわれわれにも検討してくれという熱意のある幹部があなた方の中にはたくさんおられる。しかし、その熱意のある人が国会を通じてわれわれにやられるけれども、果して運輸当局なり、政府なりにこういう強い態度で臨んでおられるか、私は臨んでおらないと思う。それはなぜかといえば、ややもすると労使間の問題が政府にたたかれ、あるいは外郭団体の問題がたたかれ、内部から汚職が発生し、そういう中においてあなた方が苦しい経営に携わっていることもよくわかる。であるからこそ、五カ年計画遂行に当っては強い決意を持って、政府なり当局に当るべきだと私は思う。この決意ありやいなや、一つ明らかに見解を聞きたいと思う。これに対して、また運輸大臣はあまりのんきなことばかり言っておるのが能じゃありません。国鉄の実態をもっと詳細に調べられて、こういう事実の上に立って私は議論をしておりますから、陸運事務所の実態はきのうも私はとうとうと申し上げ、大村政務次官は、真剣に取り上げてやりますということを約束されたから、私はあえて申し上げませんけれども、陸運事務所の実態は、数字をもって私は昨日申し上げた。きょうになってみれば、大臣も陸運事務所の実態は大いに調べなければならぬ、どうもまことにひどい仕事をしておる、そんなことじゃいけませんね。あなたが、少くとも大臣に就任せられてから、何カ月か期間があるわけです。その間において運輸省の実態はどうなっておるか、国鉄の五カ年計画はどうなっておるか、そのくらいのことはあなたが十分お調べを願って、そうして打つべき手は打ってもらいませんことには、今言ったように、政府として国民に公約した五カ年計画である以上は、れっきとしてあなたは責任のある立場にあるのですから、明確にこれを遂行するだけの準備と、国鉄に用意をさせなければならぬと思う。そういう意味において、特段の運輸大臣努力を要望しておきたいと思う。これに対する御意見がありましたら、一つ述べていただきたい。
  20. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答えいたします。五カ年計画は、もちろん私ども天下に御公約申し上げたので、これに対しましては是が非でも達成していくという決心を持っております。で、おそらくこれは全職員すべての決心であり、悲願であろうと存じます。ただいま、だれかが五カ年計画は達成し得ないと言っているじゃないかというお話もございましたが、いろいろ責任の地位におりますものは、何とかして予算もとりたい、人も採りたいというふうな折衝の段階におきましては、こんなことじゃおれの方の仕事はできぬと、五カ年ではできないということは、ちょいちょいこれは普通の場合言うことでございまして、私どもも、大蔵省へ参りましたときには、予算をいただきたいあまりに、それに類したことも言って、何とか予算をいただくための取引にすることもございますので、そういう意味ではないかと思いますので、御了承願いたいと思います。  それで、五カ年計画につきまして、たとえば設計調査がおくれているではないかという御指摘もございましたが、先ほど御答弁申し上げたように、私どももそういう点がウィーク・ポイントになりやしないかということで、設計陣もあとう限り強化いたしたつもりでございます。ただ、何と申しましても初年度のことでございまして、いろいろな思うにまかせない点はございましたが、この初年度の経験を生かして、まだ四カ年ございまするので、そういう点につきましては万遺憾なきを期して参りたいと思います。で、要員の点でございまするが、五カ年計画全体につきましては、要員は合理化をもって充足して参るような建前になっておりまするが、合理化は何と申しましても後年度に実効が上って参りまするのに対し、輸送要請は先にもうすでにどんどん増加しておりまするので、それに対する人間が必要である。仰せの通りに、列車を動かしますについては人が要る。輸送増強するには、もちろん輸送関係の人間の充実ということが必要でございまするので、合理化によって生み出る人間を待つ余裕がございませんので、つまりタイミングの狂いがございますので、私といたしましては、今後必要な人間は、御了解を得て監督官庁あるいは大蔵省の方に詳しく御説明して、できるだけ御了承を願い、予算もいただくようにいたして参りたい、こう考えております。
  21. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国鉄経営内容、その将来の方針、私も最近順次承わっております。しかし、今御激励、御叱正の点は、私もつつしんで承わっておきます。今後は一つ国鉄を、私はあるいは協力し、あるいは激励し、そして相ともに携えて五カ年計画の円滑なる遂行に支障のないように努力いたす考えであります。
  22. 柴谷要

    ○柴谷要君 副総裁並びに大臣から大へんいい御答弁がありましたが、そのことは私はかように解釈していきたいと思います。当面五カ年計画を遂行するに当って、最も必要な緊急対策として、どうしてもこの要員なり組織、この拡大ははかっていかなければならぬ、これはやらなければだめなんですよ。われわれは何も一部の人たち考え方ではなしに、国鉄全体の考え方がそこにあると思う。だからその点において、いわゆる定員とそれから定数の増強、要員の確保だけはどうしてもやってもらわなければならない。その次は組織の強化です。これは組織の強化ということはいろいろあると思いますけれども、特にこの工事を遂行するに当っての中心機関であるところが要請してきたものについては、真剣に一つ考えてもらいたい。組織の強化、それからあとは小さな問題がいろいろありますが、責任を持たせるものの権限を拡大してやらなければならぬ。これは中央で握ってしまって、実際に仕事をやらせる現場の工事長に実権を握らせ権限を拡大させて、そして仕事をやらせるようにしてもらわなければ、これはどうにもならぬ。この三点は、私は少くともその要望にこたえて、大臣なり副総裁が言われたところの中には、これらの問題は十分満たしますという回答に私は受け取っていきたいと思うのですが、それでよろしいか。副総裁、最後に一言。
  23. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 全くお話通りでございまして、権限の拡張その他につきましては、お話通りでございます。それにつきましてはわれわれ御期待に沿って参りたいと、かように考えます。
  24. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは運輸大臣もお聞きになっておったからおわかりだと思うのですが、国鉄の修正五カ年計画というものが、第一年度において実施計画というものがスムーズにできるのかできないのか、こういう点の一番大きな問題は、前の本委員会で私から御質問申し上げた。岸内閣として財政投融資の一割五分に及ぶスロー・ダウンを行うということをきめた、しかも、国鉄に対しては百億のいわゆるスロー・ダウンを要請をする、こういうことを前の池田大蔵大臣が言われた。それに対して、運輸大臣が新任をされたときに、まだそのことについては折衝をしておりますと、こういうお話があったけれども、一体、その後の経過はどうなっているのか、具体的にその後の経過によって、一体国鉄は修正五カ年計画というものをどのように実施をしていくのか、そういう案があるならばそれを一つお示しを願いたい。私はむしろこの際、そういう資料を提出をしてもらいたい、こう思うわけです。大臣に、この前のあなたの新任のごあいさつの際に、私が御質問申し上げたいわゆる対大蔵省との交渉で、一体スロー・ダウンというものは幾らになったのか、こういう点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  25. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) ただいまの百億円のスロー・ダウンということは、お示しのごとく国鉄にとっては重大問題であります。そこで、今大蔵省話し合いをしておりますが、近く割り切っていくような決意を国鉄はしておるようであります。どういうふうになりますか、私はまだその後の経過を聞きませんが、国鉄国鉄としてのはかのことと調整をして、さっきも私が申し上げましたごとく、五カ年計画の大動脈にひびが入らないようにいたしていくということでございますから、私もこれに協力をして参りたいと思います。
  26. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣の今の御答弁では、結局財政投融資の繰り延べについてはいまだ結論を見ておらない。しかし、大蔵省考え方については、とにかく官公庁の財政投融資については、一・五を中心にスロー・ダウンを行う、こういう要請を行なっておるはずであります。従って、それについて国鉄の副総裁にお尋ねをしたいのであるが、政府はそういう形で国鉄に要請をしておったけれども国鉄は一体それをどういうふうに受け取っておるのか。あるいはまだその決定的な財政投融資の額がきまらないということを言われておるけれども、すでに四月一日から運賃値上げをして半年以上に、いわゆるまあ六カ月になんなんとしているこの期間内を、それではこの財政投融資の額がきまらないから、いわゆる国鉄の当初の計画というものが遂行できないというのかどうか、あるいはまたそういうことは一切おかまいなしに、大蔵省のそういう要請があったけれども、そういうことはおかまいなしに国鉄の当初の計画を進めているのかどうか、この点について副総裁の御答弁をいただきたい。
  27. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答えいたします。実はその百億投融資の繰り延べは私も聞きまして、現在の予算上非常に手痛い繰り延べだと考えております。しかしながら、神武景気と申しまするか、あのときの情勢とその後の数カ月たった情勢とで、日本の国力の査定、見通しというものが、もし事情が変更いたしたとすれば、国鉄も国家の一つの企業であるし、非常に大きなボリュームの工事費も持っておりまするので、これはやはり国力に応じた考え方をいたさなければならぬということも半面考えておる次第でございます。ただし、その額につきましては、ただいまお話のありましたように、大蔵省と目下折衝中でございまして確定に至っておりませんですが、しからば、それをどうするか、こうおっしゃいますると、鉄道予算執行は上半期、下期半ございまして、何もかも工事を全部上半期で出し切ってしまうというものでもございませんので、そういう点も勘案し、また九月の中間決算も近々出ることになりますので、そういうふうな予算の今までの消化というようなものをにらみ合せまして、また下半期に工夫する余地もございまするので、そういう点につきましては、ただいまのところ折衝中でございます。ただ、私ども立場といたしましては、少しでも少いことを希望いたしておる次第でございまするが、これにつきましてもまだ折衝中で、額その他については申し上げる段階には至っておりません。
  28. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の副総裁の答弁でいきますというと、結局、国鉄の修正五カ年計画というものはいまだ実現の緒についておらない。いわゆる上半期、下半期ということがあるから、実際には上半期だけで仕事を進めるものではない。従って、下半期においても十分できる。まだ大蔵省との財政投融資の繰り延べの問題についてはきまっておらないから、今具体的なことを言うわけにはいかない、こういうことだと思うのです。そうするというと、あなたのお答えをすなおに聞くというと、今までの普通の事業については進めてきたけれども、この国鉄修正五カ年計画という、国民に対するところの大きな問題として出された事業については手がついておらない、こういうふうに理解してよろしいかどうか、この点について再度お答えをいただきたい。
  29. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) そういうふうに御理解願うと非常に困るのでございまするが、そうではございませんで、五カ年計画の初年度といたしまして、今着々計画も立て、実行にも移っております。ただ、私が申し上げましたのは、財政投融資繰り延べ百億ということは聞いておりまするが、私どもとしましては、なかなか百億は出しにくいので、その点御了承願えるか願えないかということで交渉をいたしておるのでございまするが、しかし、上半期にいたすべきこと、たとえば工事にいたしましても、あるいは設計の面、調査の面というものは先行いたしますし、あるいは機械、ある工事にしましても、まず機械を先に買って、それが入りましてから工事をするというものもございまするので、年度全体に予算がかかっております。そういう点から申しますれば、決して計画はおろそかにはいたしておりませんが、工事費を全部上半期で使い切るというものではございませんので、そこにまだ弾力がある。それで投融資繰り延べの額がきまりましたらば、その線に合せて参らなければならぬ。ただ、何と申しましても工事費はきちきちに組んでおります。決して予算が、余り予算というのはあるべきものではありませんから、きちきちに組んでおりまするので、もしそういうふうな繰り延べがございましたらば、ぜひそれを後年度で回復していただいて、それによって五カ年計画を達成いたしたいと、こういうふうに考えております。
  30. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の答弁を聞いていると、やはりあくまでものらくら答弁であって、実際の核心に触れておらない。百億のいわゆるスロー・ダウンを行うという大蔵省の要請について、額はとにかくきまっておらない、国鉄としては折衝しているけれども、まだきまっておらない。そうするというと、五カ年計画の第一年度の着手というものについて、この上半期、下半期に行う計画性というものはなくてはならぬはずである。その計画性が実際には手についておらない。これは上半期の調査の問題は若干はついておるかもしらぬけれども、実際の工事には手がつけられない。幾らにきまってくるかわからないから、今のところ具体的なことを述べることができないというのがあなたの御答弁である。これは国民の立場からすれば、非常に大きな問題なんです。とにかく四月一日から運賃はもう具体的に値上げをされておるのだ。運賃は値上げされておって、その運賃が高くなったからといったところで、それだけの高くなったところの運賃を払わなければ国民は汽車に乗れない。これはこの前の私鉄の運賃の値上げの際にも、運輸大臣に私どもがいろいろ御質疑をした通りなんです。幾ら運賃の値上げをしたら困るといったところで、事実運賃の値上げされた額を払わなければ、国民は汽車に乗れない。ところが一方においては、そういうふうにどんどん国民から値上げをしたところの運賃を取っているけれども、そうした五カ年計画というものは実際は仕事が進んでおらない。こういうところに私は国鉄の実態というものがあるのじゃないか。むしろ私に率直に言わしむるならば、なぜ国鉄大蔵省がそういうふうな形をとり、あるいは政府が最終的な態度というものを早くきめて、国鉄の五カ年計画というものを遂行されるということを天下に公表すべきだ。国民にそういうふうな態度というものを知らして協力を求める、こういう形がなくてはならないと思う。だから私はさっき柴谷委員が言うように、一局長か何か知らぬが、五カ年計画ができなくてもやむを得ないというような問題が出てくる。これはもし先ほどのそういうような言葉があり、あるいは副総裁が先ほど、大蔵省との折衝の中でそういう言葉をいうこともあるというようなことをもしあなたが害われたら、これは重大な食言だ。われわれ国会において運輸大臣なり国鉄総裁は、この国家予算については私どもは誠意を持って実行いたします、必ず間違いございませんと言った。もしそのことをあなた方が、たといどんな形においても、指導者の立場において、あるいはこれを監督する最高の責任者として、それをもしそういう言葉を出すとすれば、これは重大な国会に対する食言だ。この責任はどうするか。私は率直にその案についてあなた方の態度というものを聞きたい。だからたとい一人の局長であろうと、あるいはあなたが大蔵省に対する予算の折衝の過程であろうと、国会に自分たちの誠意というものをここにはっきりと示した以上は、その国会に示された言葉というものを実行に移す責任がある。それを変えるということは、国会に対する食言だ。こういう点についての運輸大臣並びに国鉄総裁の答弁を聞きたい。
  31. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今の問題は別に引き延ばして交渉をそのままにしておるのじゃございません。いずれは結論を私は国鉄はつける、またつけてもらわなければならぬと思います。それについては私も監督立場から、五カ年計画の運行が円滑になるように努力するということは、これは当然のことであると思います。ただ、そういうふうに今のところ交渉中のようでございまするから、少しくお待ちを願って、はっきりさして、その運行の将来を見届けるというようにいたしたいと思います。
  32. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) いろいろ私が言い過ぎ、あるいは舌足らずの点がございまして申しわけないのでございまするが、いろいろ物事を取引したり、あるいは折衝したり、あるいは新聞記者その他と話をするような場合に、ついいろいろなやりとりがあると申し上げたのでございます。しかし、そういうことは超越いたしまして、先ほど申し上げましたように、国鉄全職員は何とかしてこの五カ年計画を達成して、国民各位の御負託にこたえたいという意気込みでいっておりますからというつもりだったのでございますが、もし不穏当な点がございましたら、この際、取り消しをさせていただきます。
  33. 相澤重明

    ○相澤重明君 それではさらに副総裁にお尋ねをしておきたいのですが、先ほども柴谷委員が言われたように、たとえばあなたがそういう気持で国会に対する責任をとるというように、国民に対するところの五カ年計画については、りっぱに国鉄はやっていく、国民の負託にこたえる、こういう立場でいこうとしておるにもかかわらず、あなたのいわゆる指導するところの幹部の中に、いわゆる五カ年計画ができなくても仕方がないのだというような人があったら、あなたはどうしますか、その態度を明らかにして下さい。
  34. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) その具体的なことは私承知しておりませんので、後刻調べまして、次の機会にお答えいたします。
  35. 相澤重明

    ○相澤重明君 簡潔に申し上げますが、いま一つは、国鉄の汚職の問題がこの間新聞紙上に出ておった。それはいわゆる洗剤を買い入れる問題についてのことが載っておったようでありますが、私はそのことの内容というものは十分につかんでおらない。けれども、少くとも国鉄の副総裁はそういうことについて十分御承知のはずである。従って、そういう点がどういうふうになっておったのか、あるいは今後そういう問題が発生した場合には、一体国鉄立場としてどういうふうにこれを処理していこうとするのか、こういうことについてあなたの五カ年計画を遂行するために、国民から少くとも多くの、いわゆるあれだけの反対のあったところの、運賃値上げの反対の声にもかかわらず、とにかく刻下の輸送力隘路を打開するという大前提に立って、皆さんがこれを決定した以上、そういう国鉄の内部で予算がうんとある、金がどんどんとれるのだ、従って、こういう汚職も生れてくるのだと、こういうことになったら、ますます国民の国鉄に対する期待というものは裏切られていく、国民は国鉄を信頼しなくなってくる、こういう問題についてあなた方は一体どうしようとするのか。これは必ず運輸大臣にも関係するのであるが、運輸大臣国鉄のああいう汚職の問題が出されたときに、一体あなたはどういう措置を国鉄当局に命じておったか、こういう点について私はお答えをいただきたいと思う。そういうことが少くともできない以上——国鉄のこの三十三年度のりっぱなプランというものはでき、きのうも木村政務次官から説明を受け、きょうも大臣から重点的な施策のことは述べられましたけれども、少くとも国鉄労働対策の面を見ても、やはりそういう点が私ははっきりしてくると思う。従って、ああいうような問題をどういうふうに処置をし、国民に疑惑の目を持たれないようにしていくのか、こういうことについて、副総裁並びに運輸大臣から御答弁いただきたい。
  36. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 国鉄の洗剤の購入につきまして汚職——まだ決定はいたしておりませんが、刑事事件を引き起しましたことにつきましては、深くこれをおわび申し上げる次第でございます。事情は、その洗剤の購入につきましては、数社が洗剤の購入に契約に参加いたします場合のテストがございまして、そのテストはメーカーの名前がわからないようにして、試験官が十二人とか聞いておりますが、それが一々テストした結果を総合して注文するシステムになっておると承知いたしておりまするので、特にある業者に対して特段のひいきなするということはちょっと考えられないのでございまするが、しかし、刑事事件になりました以上、何らかそこに誤まりがあったのではないかということで、厳重に調査いたし、かつ、もし購入の方法において悪い点があり、あるいは人員の配置においてまずい点があるというような具体的なことがわかりましたらば、さっそく粛正をいたしたいと、かように考えております。
  37. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国鉄のただいまの事件は、副総裁から今釈明を申したようでありますが、要は、まずそういうことのないように私ども監督することが大事だと、で、そういう事件が起きました場合は、国鉄当局は厳重な処置をすべきものである、こういうように私は思っております。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 私もその五カ年計画に関する二、三の問題を関連して質問したいと思います。といいますのは、この前の運賃値上げのときに、非常にこれは重大な問題になったわけです。果してこれが完全に遂行されるかどうかという点につきましては、非常に当時疑問があったわけであります。しかも、それを押し切りまして、そうして御承知のようにこれは運賃値上げをやったのだ。従って、五カ年計画というものは、運賃値上げとうらはらの切っても切れないところの国民に対する公約であることは、先ほどから柴谷委員や相澤委員がこれはとくと申しておるところです。私はそういう立場からまずとりあえずお伺いしたいのは、第一年の一体計画というやつは、その後おそらくつまびらかに立てられただろうと思う。この前われわれは片々たる小冊子を修正五カ年計画としてもらった。しかし、あのときはやむを得ない点もあったと思うが、少くともその後詳細なものは作られつつあると思う。まず第一に、そのような資料を出してもらいたい。それから先はどの副総裁の御答弁によりますと、上半期の決算は近くできる、こういうことであります。従いまして、この実施計画が一体どういうふうになり、そうしてその計画がどれだけ実行されておるのか、こういうものにつきまして、中間報告でけっこうでございますが、今年度のこの実施の経過を当委員会に報告してもらう義務があると思うのですが、このような一体資料を出していただけますかどうですか、この点まず最初にお伺いしたい。
  39. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) かしこまりました。提出いたします。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは詳細はこの資料をいただいてからわれわれは再質問をいたしたいと思うのでありますが、その中でわれわれがまあ風聞的に聞きましたところによると、なるほど電化、ディーゼル化と、こういうような非常に目先のきれいな、そうして当面する収入のある、こういうものについては、ずいぶんこれは計画通り近くこれは実施されておるということを聞いておる。しかし、あのときの論議の中で非常に問題になったのは、何といっても国鉄輸送力増強の基本的な問題は、線路容量の増強、この点が非常に重大な基本的な問題であるということが論議されたことは御記憶だろうと思う。またそのような方向に当初の案も、五カ年計画は修正されたこともわれわれは具体的に数字の上において見ておるわけです。ところが、果してそういうふうになっておるのかどうか。それから先ほどから問題になりました、江藤委員によって問題にされました修繕費の問題、あるいはまた従業員に対するいろいろな諸施設、こういうものも非常に手が届かない、こういうような総合的な計画の面において、どの部分が遊んで、どの面はまだ十分にできないというようなことになっておるのじゃないかと思うのでありますが、とりあえず私がお聞きいたしたいのは、一体、その点で総合的にそれらの施策が進んでおるのか、片ちんばになっていやしないか、この点はどうでございましょうか。
  41. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 当五カ年計画は本年が初年度でございまして、しかも、その初年度の上半期の実績の、まだ上半期も全部経過しておるわけではございませんので、今において成績を云々いたすことは少し尚早ではないかと考えるのでございますが、ごく大体の——詳しいことは資料においてお答えいたすとしまして、大体の見当を申し上げますると、年初の経済企画庁の五カ年間の長期計画は、多分国力の成長率を七%として見ております。それでそれに対して輸送力増強は四・五%と見たはずでございます。ところが、初年度が、三十一年度が異常に高かったものでございまするからして、私ども計画では、五カ年後の輸送力をそのままに据え置いて当初のベースを上げました結果、毎年対前年度輸送力増強は三・二%ずつ上げる、こういう計画になっておったと思います。ところが、現在上半期の輸送力を見ますと、大体旅客では、これもはっきりした資料で申し上げるべきでありまするが、記憶で申し上げますると、おそらく六、七%程度は上っておるのではないか、貨物につきましても三%前後の輸送増加を見ております。貨物列車キロにしましても、大体その程度は、三%くらいは実績として上っております。でありまするからして、輸送力増強の面から申しますれば、大体現在のところ、初期の五カ年計画の当初の成績は出しておると、こう考えております。ただ、ただいま先生がおっしゃいましたが、目先の仕事ばかりで、基本的なものはおくれているというようなお話がございましたが、まあ私ども運賃値上げをしていただきましたので、できるだけ目先と申してはおかしいのでありまするが、できるだけ早く効果の上るものに成長していった方がいいのではないか、そういう結果、まず、たとえば超大隧道を作るとかいうことは、これはもう五年も先のことでございまするから、そういうものについては、初年度少しつかえましても、車両を作りますれば、ある程度までは現実に輸送力がふえるということで、そういうふうなあんばいをいたしたことは事実でありまするが、それは輸送力を急速に上げようという意図のもとにいたしたので、目先の消化しやすいものから食いついたという考え方ではございませんことを申し上げておきます。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ一応国鉄というても商売ですから、そういう点で運賃値上げをやって、具体的にまあ乗客の目に見えるそういうところから着手する、その気持はわかるのです。しかしながら、それと総合的に施策が行われないと、どこかでこの問題がアンバランスになって、それで破綻を来たすということが考えられますので、どんどん客車は作ったけれども、今度は一方ではそれを入れる所がない、雨ざらしになっていると、こういうような事態が起ったんでは非常にまずいと思う。こういう点で、やはりもっと基本的な点をあくまで遂行するということが重要じゃないかというように考えられるわけです。  その次にお伺いしたいのは、先ほどの百億のスロー・ダウンの問題でありますが、これは私たちずっと公平に見まして、たとえば電力とか造船とか、こういうものとは事情が非常に違っているのじゃないか。といいますのは、先ほどの国鉄運賃の値上げによる国民の声、こういう点から、これは運輸大臣としてもまた国鉄の当局としても、これは折衝の過程の中でこのようなスロー・ダウンについては十分に政府の考慮を促すことができる、そういう根拠を持っておるというふうに考える。というのは、国民に対する公約、この面を果してあなた方は強力に押しておられるのかどうか、この点運輸大臣並びに副総裁にお尋ねしておきたい。
  43. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 御承知通りでございますから、それを今がんばっておるのです。それで多少の時日がかかっておるので、これを無条件降伏したら、たとえばもっと早くやられておったかもしれません。そこを今国鉄ががんばっておるのです。この点一つ御了承願いたい。
  44. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 財政投融資の繰り延べにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、まあ私どもはそれにつきまして折衝中でございまするので、まだ明確な具体的な事実を申し上げる段階には達しておりませんが、そういう点につきましても、五カ年全体を見まして決して計画に狂いがないように最善の努力を尽して参りたいと、こう思っております。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ遠慮して言っておられるのだと思うのでありますが、私ははっきりした根拠はあるであろうと、つまり、電力や造船や、そういうようなものとこれは一種並みに一五%のスロー・ダウンというような形ではいかぬ、国民に対する公約が行えない。それから資金面というものは、ずいぶん運賃値上げに依存しておるのですから、こういう点を明確に、私は理論的に明確にして政府方の考慮を促すことは必要なんじゃないかと思います。これは私の意見です。  第三にお尋ねしたいのは、これは中村運輸大臣にお伺いしたいのは、一方で東海道線の高速度化というようなことを、膨大な計画を立てている。それから淡路島、四国に渡るにじのかけ橋の話を先ほど伺ったわけです。青函トンネルというようなお話も伺った。大へんこれは膨大なけっこうな計画になるのでありますが、これと五カ年計画関係はどうなる。当委員会でもずいぶんわれわれは論議した問題なんです。一体、五カ年計画輸送力の基本的な問題として、そうして今の隘路を打開するためには、これを基本的に重点的に進めなければならぬ、そういう中で、一方では非常にこれは宣伝にはなるでありましょうが、東海道線の高速度化、あるいは三時間半大阪—東京間の高速度化などということは、膨大な資金が私は要るものだと思うのであります。こういう問題を、五カ年計画がどうも一方でこれは見ますというと、まだ確定な線に乗っていない、先ほどからの答弁ではっきりします。もう基礎が磐石の態勢になってこれは推進しているというようなことにはとってもなっていません。下手をするというと運賃値上げの口実として五カ年計画が使われた、そういう結果に終らないとも言えない危険を持っております。そういう態勢の中で今のにじのかけ橋を一体あげるということはどういうことになるんですか。ここに計画性の問題でありますが、政府運輸行政に対するところのこれは考え方をはっきりお聞きしたいと思います。どういうふうにお考えになっておりますか。
  46. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 青函隧道、まあ岩間委員の言われる夢のかけ橋、これは相当な計画を持ってやることは当然でありますし、先ほど私の申し上げましたのは、来年度においてさしずあ両方に五億円の予算——これは五カ年計画と別でございます——をとって、調査の発端をやりたい、こういうのでございますから、これは御了解を願えるものだと思うのでございます。  それから東海道輸送力が限界に達しているということは、これはもう御承知だと思います。限界に達しているのをそのままに置いておってはまたおしかりを受けますから、そこで、幹線調査会において今調査を六カ月の間に完了していただいて決定する、もとよりこれにつきましては、国鉄の推算によりますと、完全にやれば千五百億円ということになるわけであります。これはまた別途考えるべきことだと思いまして、この点は今からどうする、こうするということだけは今申し上げることはできないのでありますが、その意図は持っておるということを一つ御了承願いたいのであります。
  47. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 簡潔にお願いいたします。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 昭和三十二年度運輸省重要施策要綱というのを先ほどもだいぶ長時間にわたって拝聴したわけです。先ほども重要施策の中の重要施策として東海道線の話が出たんですが、これは国民に与える影響、それからわれわれの受ける印象では、これが非常に間近に迫って、すぐに実現できるような印象を与えておる。ところが、試験計画の面から見ましても、私はこれは容易な問題じゃないというふうに考えるのですね。従って、これは一応こういう計画をお出しになって、一つ大きなふろしきを広げる、これはいいんですけれども、こういう点についてもっと具体的な緻密な案として示されることが必要なんであります。われわれは五カ年計画がまだ緒にもつかないこういった中で、一方では膨大なこういういわばずっと先の問題がまるで現実の問題のように、そういうような印象を与えるような形で出されるということは非常に危険なものがあるのじゃないかというふうに考えるのですが、こういう点についていかがですか。むろん、調査中というのですから、精密なプランはまだお持ちにならないでしょう。しかし、少くとも大きな、大綱だけはこれはもうお考えになっていらっしゃると思うのですが、この点お伺いいたします。
  49. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 青函トンネル、そのいわゆる夢のかけ橋は技術的にもできるという国鉄の確信を私どもは知っておるのでございますから、こういう政策を私どもはここにスタートをするということを声明をいたしております。従って、この施策につきましては、おっしゃる通りふろしきを広げ過ぎて、すほめるのに困るじゃないかというようなことでございますが、この点は私たちは別にふろしきを大きく広げるという考えはございません。ただこういう意図をもって交通行政の体系を立てていく、これはスタートとしてこういうことができるということをこの三十三年度重要施策に盛っておるのでございまして、この点はとくと御了承をわずらわしたいと思います。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点はわかりましたが、とにかく新聞なんかに大きく出て国民に与える印象というものは、そういう年度化され、しかも、ほんとうに明確な、具体的な形で出ていないものですから、その点非常に混乱を与えやすいのですから、その点についてやはり慎重を期する必要があるのじゃないか。とにかく可能性はあるだろう、しかし、可能性を具体化するための財政の裏づけが問題です。その裏づけの問題で五カ年計画にさえ相当な問題がある中で、ここを打開するのに大へんだと思うのです。この点について総合的にもっと明確にすることが必要じゃないか。  その次に、もう一点だけお伺いしたいのですが、それは要綱を読んで参りますと、大きなナンバーの第七です。ここに労働関係改善ということがある。その中で国鉄の労働対策の確立というのがありますが、これはこの膨大な、十八ページに及ぶ計画の中にわずか二行しか書いてない。残念ながら二行です。われわれはこれでははなはだ均衡を失するのじゃないかというふうに考えるのですが、そういう中で実はお聞きしたいのですが、これは大臣の率直な御意見を伺いたいのですが、昨日石田労働大臣から、政府の公労法に対する解釈というものが公表された。これについて一体大臣も、これはまだ閣議決定ではないと思うのでありますが、どういうふうにお考えになるか、大体これについての御意見を承わりたい。
  51. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 実は私は旅行のため昨日の閣議は欠席いたしております。これは私は明白に申し上げます。しかし、これは大体労働省の解釈として一つの統一されたものであると思うのです。これに対する御批評は別でございますが、統一されたものだと思います。従って、国鉄もこれについて今後この線に沿っていくものであろうと思っております。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 もうちょっとお伺いしたいのでありますが、そうすると、国鉄の運営そのものは全部法律に従って行われておるのでありますが、それとも慣行に従ってこれは一体運営が行われておるのでありますか、その点をお伺いしたい。
  53. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それは国鉄側からの答弁ですか。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、運輸大臣に伺いたい。
  55. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) もとより労働政策は、やはり労働法規に従って労使の関係が行われなければならぬということは申すまでもありません。ただ、それについて統一した解釈を行うという意味できのう労働省の方で発表されたものであると思います。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 統一した解釈というようなことを言っておるのでありますけれども、これは最終的には最高裁判所が解釈を決定するものだと私は思うのであります。しかし、どうなんですか、たとえば法律を守って、たとえば国鉄法の通りにやる。それは法律を守っておる。ところが、その順法も違法だ、こういうようなことで幾多の問題が——この解釈の中では法律を守ることが違法であるという解釈がされるのでありますが、これは正しいとお考えになりますか。これは朝日新聞ですが、なかなか要領よくまとめてある。順法も違法だ、法律を守ることが違法だと、これは一体どういうことになるのですか。運輸省は一体どういうふうにお考えですか。私もわからないからお聞きしておるのです。法律を守るととが違法だというふうに解釈されてしまうと、これはどういうふうになるのですか。
  57. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は順法の名においていろいろの行為が行われるということを言っておるのだと考えるのです。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは勝手な解釈でありまして、まさに国鉄法のたとえば二十六条の問題なんか出ておりますけれども、定員以上乗せればとにかく職員は罰せられる、三十円以下の罰金に処せられる、こういうようなことになっておるんであります。これは全然現実には合わないわけですね。そうすると現実の国鉄の運営の幾部分か、全部とは申しません、しかし、その中では相当な重要な面においてもこれは法が守られない、つまりこれがそのまま行われておるということは慣行によって行われておると思うのです。一つの常識と慣行によって行われておる。そのことについてはあなたたちはこれは正しい、こういうふうに言われる。ところが、一方におきましては労働者に対する場合には、全部法律でびしびしとこれをやってゆく。従来のたとえば慣行があります、労働慣行、この中でも正しい労働慣行を——国鉄労使間の諸問題を解決して、そういうものを打ち立てたいというようなことがあります。労使間の正常な労働慣行の確立というようなことを言っておるのでありますけれども、そうするとどうなんですか、従来の当然国鉄当局とそれから労働者側の間に相互に認め合って、そうしてこれは実際ここ数年間行われてきたいろいろな問題があります。その中ではまあ職場大会の問題もあるでしょうし、それから賜暇戦術とか、いろいろそういうような形で行われました問題がある。これはむしろこの公労法が非常に不備である。これは合衆国の占領下時代にできたものです。当然これは現実に合わない。ほとんど多くの労働法学者は、これに対してストライキ権を与えるべきである、公共企業体の労働者にはストライキ権を与えるべきである、ところが、現実はそうなっていない、非常に法が不備である。現実をはみ出して、従って、慣行によって運営されておる。一方の国鉄運営につきましては、都合のいい慣行だけはどんどん押しつけてゆきまして、そうしておいて労働者側に対しましてはこれらの慣行というものは一切これを圧迫する、そうしてこれをやめさせる、こういうことになったならば、一体公正なる運営というふうにお考えになることができましょうか。われわれはこういうやり方を三才の童子といえども了承することができない問題じゃないか、こういうふうにはっきり考えるわけですが、運輸大臣は良識のある立場から、そういう立場から決して政治的な責任でお答えにならなくてもけっこうでありますが、国民の一人としてお考えになってどうでありますか。われわれどう考えてみたってそういうことは片手落ちだと思うんです。
  59. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は運輸大臣としてお答えいたします。やはり正常なる労働関係は、これは認めなければならぬと思う。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 これ以上いろいろやっても時間ありませんから申し上げません。正常なるという名で、何でもこれは自分に都合悪いことは不正常と、これじゃ話にならぬ。それならやはり法に従って、われわれは国鉄の運営を正常にしたらどうかと思う。今までの仲裁裁定の実施の問題なんかも、数回にわたって、これは国鉄当局と労働組合との間に取り結ばれておる。当然政府責任を持つならば、正常なる運営によっては、仲裁裁定の結論、こういうものについては無条件にこれを了承して、これの実現をはかるということが当然政府の任務でなければならぬ。ところが、ほとんどこれに横やりを入れて国鉄の運営に対して絶えず政治的圧力が加えられてきた。そういうものを一体正常なる運営ということは断じて言うことができないのであります。そういうことはたなに上げて、自分に都合の悪いことをたなに上げて、そうして労働者に対しては、使用者としての立場から都合の悪いことだけはどんどんこれは正常でないというような解釈を下してきたならば、これは断じてこのようなことは、こんな片手落ちなやり方に対して了承するものでない、こういうふうに考えるのですが、国鉄総裁もついでにこの点について、一言あなたの所見を述べておいて下さい。
  61. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 石田労働大臣の談として発表になりましたが、私もけさ拝見いたしたので詳しいことはまだ全部承知しておりませんですが、しかし、まあ公共企業体といたしますれば、やはり政府方針に従うべきことは当然でございまして、そういう点につきましては、さらに国鉄のいかなる部分にいかなることが当てはまるのか、いろいろ調査研究をいたして趣旨に沿って参りたいと考えておりますが、ただ、ただいまも順法闘争という名のもとに、多少輸送の遅延が出ております。たとえて申しますれば、東京駅にだいぶ手小荷物がたまっている状態をけさ承知いたして参ったのでございますが、まあいろいろ順法闘争についての意見や批判や、法律上のむずかしいこともございましょうが、私が考えまするには、やはり何と申しましても、国鉄としては輸送の確保が第一で、これが国民から負託されている国鉄の最大重要使命だと、こう考えております。それで法規を厳守すべきは当然でございまするが、そこに輸送の障害をもたらせるような意図のもとに従来の慣行以上の取扱いをして、そして荷物やお客様に御迷惑をかけるのは、私としてもそれは順法という名のもとにおいて輸送の正常化を阻害する行為ではないかと、そういう点から申しまして、やはり輸送の確保ということを全職員が考えて、その使命達成をすべきものではなかろうかと、かように考えております。
  62. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 岩間君にちょっと御注意申し上げますが、まあ約束が一時ということになって、ほかの通告もありますので、どうせこれは継続してやらなければならない大きい問題ですから……。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 すぐやめます。今のお話の中で、政府方針については従わなければならないと、こういうようなことでございますが、私はこの問題は、やはり労使は対等の立場にこれは立っているのですね。ところが、労働者の要求とか、そういう問題について何の御発言もないのです、小倉総裁の今のお話では。労使は一体対等の立場に立っている労働問題として御発言にならないように思うのですが、そういう点少し思い違いじゃないのでしょうか。政府側の言うことだけは聞くのだと、しかし、労働者のその表現の裏にあるもの、要求、それは何であるかということは、何よりもあなたはよく知っていると思うのですよ。そういう点について今のような御発言だけでは非常に一方的のように聞える。私はそういうことのないようにこの問題についてはもっと十分に検討する必要があるのじゃないか、こういう意見を述べまして私の質問を終ります。
  64. 高良とみ

    高良とみ君 大臣お忙しいでしょから、私短時間にお伺いしておきたいのは、国民は運輸省国鉄その他飛行機もあれば自動車、あらゆるものの輸送に対しておまかせしておるけれども、もういろいろ、国内の労使の対立もそろそろ解決していくべき時期であろうと思うが、運輸省の頭の中にも、この国際観光とか、国際旅客船とかいろいろ考えておられる、そういう時代なんだと思うのです。そういう国際的な立場から日本国内輸送状態や、またこの戦災から立ち上ったいろいろ未完成のところなんかありますけれども、ときどき私どもは、まあ婦人の立場からことに考えるのですが、最近も国鉄の本年度の御要求も、あるいは運輸省の御計画も伺っておりますが、たとえばスピード・アップなんですが、東海道線に復々線なり、非常な速い列車を作って神戸まで短時間でやるということの御計画もありましょうが、最近の新聞等によりますと、一時間百三十キロ、百三十三キロの列車運転ができたというようなことを狭軌の上でなさることを見ておりますと、いかにもこれは技術的には可能かもしれませんけれども、私どもには非常に危険に思える。まあ広軌ならもっと考えることもできましょう。一体何が目的でそんなにあせるのか。つまり一種の軽わざとさえも思える。それは生きた人間を運ぶということを考えているのか、あるいは男の人の一種のスリルをエンジョイすることにあるのじゃないかと思うのです。そして事故がないのならとにかく、事故もだいぶお話も出かかっておるのですが、最近もスピードをもとにして、しかも、日本の台風その他の荒天下において上讃線しかり、中央線しかり、あるいはその他もう毎日々々鉄道なり、船なりの事故が、洞爺丸やその他のことは申すまでもなく、年中起っているのに、なぜそんなにスピード・アップするのか。そして私鉄はまたこれにみならって規則にそむいて、一時間六十キロぐらいを平気で走っておりますために、あらゆる踏切りでもって事故をこしらえておりますが、一例をとりますと、東海道線にいたしましても、踏切りやら、あるいはこの間の静岡県の吉原の事故なんか見ましても、人間のすることには間違いがある、それだのにスピード・アップして事故を越している。自動車の事故を見ましても、最近のアメリカの統計などを見ますと、アメリカなんか非常に少い。一車両あてから見ますと少くなっているのに対して、フランスの三倍半も日本は事故を起している。それから国際的なお客さんが来ますときに、日本は交通の面でおそろしい国だという印象を持って帰る。これでいかに外客を御誘致になろうと思っても無理ではないか。どこの国の警察署の前に、毎日負傷五十人、八十人だの死亡者十人だのということを書いて大きく出している国があるでしょうか。そういう点から考えまして、この夏も国際ペンとか、国際地理学会とか、あるいは原水爆大会等の外客を少しく御案内し、世話した関係から言いまして、私はこの日本輸送がどっか調子が狂っていると思うのです。その点一つ大臣をおわずらわせして、特に落ちついた基礎工作の方からやっていただきたいように思うのであります。そして人命を尊重し、人間がこの国に生きるのに値するようにしてものを輸送してもらいたい。若い人ならそれはばかなスピードを出してやっておりますけれども、これもやはりおとならしく監督していく必要があるのじゃないかというふうに考えるのであります。まあそれについて、スピード・アップ、交通安全をここにうたっておいでになりまするけれども、ほんとうにやる気なのか。あるいは踏切法というものは一昨年以来うたっておりますが、いまだ立法化されておらない。このような点から考えまして、このおそろしい日本の交通状態、それから自動車局でどんどん御許可になる、あるいは自動車もこれは一つ産業ですから、許可して奨励するよりしようがないとおっしゃるのかもしれませんけれども、その上に外車まで、先ほどの観光事業とともに外車も輸入してなんてお話があったのですが、私は聞き耳を立てておったわけです。外車というと国民はぞっとしております。あの大きな外車がこの狭い道を泥を立てて、また掘り返しの各都市を回って歩くということを考えますと、そこですべての輸送機関は、安全度というものについて、本気の科学的な御調査や、あるいはただ風水害の波がこれだけあった、風がこれだけあったときにどれだけすればいいということじゃなく、ふだん走っているスピードやその管理について、本年度一つ安全な輸送ということを考えていただけるかどうか、一つ大臣をわずらわして恐縮ですが、伺いたいと思います。
  65. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 安全な輸送、その通りであります。スピード・アップというものは、これは技術的に、科学的にそういう結論を得られれば、私どもは必ずしも防止すべきものじゃないと思います。ただ、おっしゃるような、スリルを味わうためにスピードばかりに気をとられるということは、これは考えなければならぬと思います。また踏切り等の事故防止につきましては、今度予算をとりまして、現在の平面を、これを立体にするとか、これはもう内閣にも事故防止本部というのがございまして、御指摘のように、事故につきましては極力防止をする方法を講じております。また、今申します全国の踏切りを、これを改善をいたしまして、事故が起らないようにいたしたいと、こう考えておるのでございます。全体といたしまして、外車のことも、これはまあ観光用に使うということを目的といたしまして、ことに外人の観光用に使うというものを目的といたしまして、ある程度購入するということを、まあ計画を立てておるのであります。それがいなか道を走ってこわすとか、また外国人などはそういう所へはあまり行かぬと思いますが、たとえば東京から箱根に行くとか、そういうような安全な所に、あちらの人もそういういなか道を行くということはあまりないように聞いておりますが、そういう意味で、私はこれを外貨予算のうちにでもある程度認めてもらう、それが結局外貨の収入になるという見地から許しておるんであります。むやみやたらに外車を購入するという考えは持っておりません。ただ、六人乗り程度日本にあまり普通車のいいのがないものですから、外国人はやはり自国の外車に乗りたいということも、これも一つ観光政策のゆとりとしてやむを得ないことでございまして、むやみに外車を輸入するというと、これは国際収支関係もございますから、しない考えでおります。  スピードにつきましては、私より当局に、自動車の関係、あるいは最近いろいろ新聞に東京—大阪間何とかと出ております。私も見ました。これは国鉄の方がよく知っておられることと思いますから、また国鉄から答弁をいたしてもらったらいいと思います。しかし、この間私が運輸技術研究所へ行きまして、そのスピードのことを研究している人に会いました。その人の話によりますると、やはり研究してみると、技術的にこれだけ出てくるというのです。決してそれが人命に不安を及ぼさない、安全だという自信をもって研究の結果が出てきたと、こう言っている点もあるのでございますから、まあ科学の進歩と申しますか、技術の進歩でそういうこともできるものだろうと、まあ私も判断をいたしておるのでございます。
  66. 高良とみ

    高良とみ君 そのスピードの点ですが、御承知のように、私ども心理学会の中にも、交通安全に関する心理学会としての調査委員会がございまして、いつか国鉄の急行列車の運転台にだいぶ乗ってみたのです。それによりますと、非常に運転する人の神経を使います。これでは、もう今のように交代が少くては、とてもそれは神経衰弱になる。そうでなくてもノイローゼになる。ところが、踏切りが多いですから、どこで間違って子供が飛び出すかもわからないし、牛馬がそろそろ歩いているかもしれない。日本の交通と道路を確保してない実情をお考えになりますと、私は技術的にいって、スピード化が可能であるというのは、それは何も障害物のない高架鉄道か何かでもって、何でもない所を行くなら可能でしょうし、オートメイションでもやるなら、それは男の子が汽車でも動かすなら別ですが、その技術者というものに人間的な要素がある、心理的な要素があるということ、この人間は、やはり日本のいろいろのろいスピードになれているものでありますから、何を好んでスピード化をする必要があるか。東京から神戸まで、急ぐ人は飛行機に乗ればいい。そういうルートがあるし、そういう点からいうと、せっかく大臣御親切に、スピード化は可能であるという御説明を下さいましたけれども、失礼ながら私どもは、心理学的に、精神衛生的に申しまして、非常にこれは危険率が高いということ、そしてその犠牲は、大体において弱い者にかかってくる。子供であるとか、あるいは動物であるとか、農民であるとかというものにかかると思いますので、この点は、たとえばフランスの道路安全などを見ますと、私もフランスの鉄道を見たんですが、どんなに自動車が、何十台待っていても、自分たち鉄道が通るときには、これは御承知通り、フランスは、鉄道はほとんど国営が多いのでありますが、絶対にどの踏切りもみんな遮断であって、日本のように、ちょっと降りるんじゃない。両側をちゃんとブリッジで締めてしまうわけであります。そういうふうにして、鉄道が自分の走る軌道を確保しておりまするから、相当スピードが出るだろうと思います。ああいう平たい大陸の国は、ヨーロッパにおいてもそれができるのであります。けれども日本のような狭い所、山間、河川、橋梁をこえて、そうして都市から都市へと流れていくような東海道線なり、あるいは山陽線のような所でも、そこはほとんど農村地帯であり、また都市であり、工場地帯である。そうすると、決して安全度は高くないと思うんです。どうぞそういう点をお考えになりまして、これは私は大へん失礼ですけれども、多く男の方ばかり経営しておられる日本輸送に対して、婦人の神経から申しますと、気違いじみていると思います。これはアメリカでさえも、自動車事故の多いあの大陸を走らしておって、自動車事故なり——まあ自動車も多いんですが、多い国でさえも、相当人間優先でありますが、そこにいっておらない。それから輸送の基盤がまだ近代化していないのに、スピードだけ、あるいは機械とか、そういうものだけが先に行くということはアンバランスであるというふうに考える。一つ十分御協力を願って御研究願いたいと思うんです。この上危険を出していくと、その方からいっても、政府御管掌の輸送というものは、スピードによるものでなく、もっと違うところに問題があるように考えるわけです。  一つあとで国鉄の方に伺いますが、もう一つ国際観光立場から、外人が外車に乗ることを好むようにお考えになっておる。これは観光局はもっと調査しなければならぬと思います。とんでもない話であります。むしろ日本の自動車も、もっと東南アジアなりへ、もっといいものを作って輸出しなければならない。それをああいう大きなものを持ってきても、日本の道路はそういうふうに近代化していないのでありますから、もし御予算の中に外車購入のものがありましたならば、それは再三再四御検討になりまして、これは大臣でさえも国産車をお使いになっているだろうと思いますが、大臣を特にそういうものに乗せる必要は絶対にないと思います。もっと誇りをもって日本も自動車を作っている。フォルクス・ワーゲンなり、フランスその他の国のものばかりではありません。これは賛成申し上げかねるわけなんです。  それから踏切り上下道の予算をお取りになっているそうですが、どうか調査のみでなくて、一つこの法律をお出し願いたいということも申し上げておきます。大へん時間がないので、もう一つ恐縮でありますが、たとえば外客は東京なり、イン・ランドあるいは瀬戸内海とか、その他の近海旅行をいたします。たとえば三宅島なり、大島の火山なんかを見る。ところが、そういう方面は保護航路でありますけれども、実態はひどいものであります。一つ大臣も一ぺん実際に走っている汽船なんかお乗り下さるといいと思うのですが、外人でそういう経験をしてきた人に聞きますと、やはり貨客同船であって、二百トンないし五百トンくらいの船が、牛や鶏や豚と一緒に旅行をいたして、船が海が荒れると、牛の排泄物も、鶏のにおいも、とにかくお客さんと一緒である。しかも、これが保護航路であり、命令航路でありまするために、まあ定期でありますことはもちろんでありまするが、何ら施設をせずして、一畳に二人半くらいの割合に詰め込んで、その上はしけは別に取る、あるいは手荷物は一個ずつ取る、はしけも取り、またこのような賃金がかかりますので、それはただ東京都、東京湾内のみでございませんで、近海遊覧の航路というものについては一応御監督願いまして、これはまあ地方自治体に関係いたしておりましょうけれども、まあ保護の方——補助金だけはもらう、しかし、荒天のときは寄らない、あるいは寄っても非常に不親切な世話しかしないというような実態がございますので、これは外客誘致どころではないのでありまして、日本の運輸の実態はこれはもうそれこそ前近代的実情にあるように思いますので、どこかもう少し違うところへ力を入れていただけば、平均して、日本の人道的な運輸交通状態になるのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  67. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 運輸の交通にはスピードと安全とを上手にかね備えてやることが理想ではないかと思います。この点を私も当局にそう伝えて、そういう方針でやらしているのであります。決してスピードをもって万能とするようなことは、まだまだそういう規則も、防止する規則もあるのでございますから、交通整理はそういう点においては安全を期していると思います。日本で自動車その他の事故の多いということはまことに——むしろ文明国の恥でございますから、これらは極力防正をする。ことに踏切りは、私鉄の踏切りなどは非常に悪い点が多いのでございます。これは東京をちょっと見ましても、踏切りは悪いようであります。これは今注意をして直してもらうようにやっていることが今度の予算に入っているわけでございます。  それから外車の御注意も、これもまことにごもっともでございますが、日本では今輸出されているものは小型が多いようでございます。それですから日本の小型を輸出するということを今私どもも奨励をしているわけであります。しかし、実際を聞いてみますると、アメリカ人などはルノーなどには乗らぬそうですね。またあれには乗れないのじゃないですか。からだが大きいものでございますから、だからやはり自国で乗っておる外車に三人乗りで幅広く乗って観光したいという、こういう希望もあるものでございますから、ある程度、今日外貨予算は窮屈でありまして、むしろこれを削減して、ある程度収支の改善をはからなきゃならぬときに、むやみやたらに外車を輸入することはいたしませんから、この問題はきのういろいろ無為替のこともあったようでございますから、極力今注意をいたしておる次第でございます。  それから内国の定期船でございます。これは非常に悪いことは私も一、二存じておりますし、先般もこういう人たちをお招きいたしまして、二十社の方がおいでになって、彼らの人自身が不備であるということを言っておりますが、それにはやはり金がないというので、新しく作ることを何か考えてもらいたいということの今は申し入れがございまして、私もおいおい具体的にやりたいと思っておりますが、この内国定期航路のものは、おっしゃる通り設備が悪く、ことに定員以上乗せ過ぎて、そしてだいぶ北川丸のような事件を起しておるようなことは、将来はもう絶対起してはならない。また遊覧船なぞもむやみやたらに人を乗せておる。これは非常に県あたりに大いに励行してもらわんならぬかと思います。御指摘の国内定期船の航路につきまして、またその船の設備につきましては、改善をするというふうに業者も言っておりますし、それには政府援助を受けなければならぬということもこの間申しております。こういう点は御指摘の通りにいたして参りたいと思います。
  68. 高良とみ

    高良とみ君 すぐおしまいにしますから……。いろいろの御苦心のあるところはわかりますが、だいぶこの際切りかえていかなければならないことがありまして、ことに観光を中心に大臣の国際的なお話があったから、私もあえてそういうこまかいことは当局にあとで伺いますけれども予算の御都合もありましょうし、申し上げるわけなんです。で、その一つとして、外客が非常に嘆きますることは、日本はまだ外国人を入れる状態でないというので、その一つの理由としては、衛生と排泄の設備のないこと、これは一つ厚生省なり、あるいは地方自治体の監督官庁とよくお打ち合せ願いまして、せっかく自動車で国内を回らしたり、あるいは近海を船で景色を見せても、東京湾の汚物のきたないことはもちろん、熱海から湯河原から、静岡県一体の汚物は、絶対によそへ持っていかたいのです。まあそれは、この海水浴場の汚染状態というものは、ことしの夏なんかひどかったわけなんです。そういうところへ持っていって、お客さんにいかに景色を見せても、それはもう問題にならない。その点から言うと、日本の多くの都市はまだ下水というものを持っていません。ほんとうの浄化装置というものを持っておりません。まあこの点だけから考えましても、とてもこれはよその人には見せるようなことになれないのでありまするから、どうぞ一つ厚生省ともよくお打ち合せいたしまして、よくこの近代国家はすべてまず排泄から先にして、そして完全な浄化とともに、この近海を汚染しないようにして、それからさらにはもちろん道路を泥んこにしておいて外人を寄せましても、それはもう鼻つまみのことが多いわけであります。一つ、その御苦心の点もわかりますけれども、あまり、さっきにじのかけ橋みたいなお話ばかり伺ったものでありますから、それだけでは世界の交通のレベルに達しないことはよく御存じだと存じます。国民もこの非常に多くの数の人口を持ちながら苦心惨たんいたしておりまするが、私どもまたほかの省ともよく御協力申し上げたいと思いますけれども、交通の面からいいましても、今のようでは私どもも恥しくてとてもそういうふうには日本がなっていないと思います。どうかこの次の今度の国会には上下踏切道法案を初めとして、その他の交通安全に対する、またスピードの違反に対して何らの——法律はありましても、規則はありましても、それが守られていないのでありますから、そういうことについてしかと御立法になりまするように、また御監督になりまするように、監視をさせていただきたい。国民の命を守る点から申し上げるわけでありますから、御了解願って、これで私の質問を終ります。
  69. 市川房枝

    ○市川房枝君 時間ももうありませんので、私ただお願いだけしたいのですが、それは三十三年度運輸省重要施策の中で、今高良さんがちょっとお触れになりました交通安全と災害の防止の問題でございますが、これは国民の立場からすれば、直接生命に関する問題でありますから、非常に重要な問題だと思うのです。で、政府としては災害が減るように——だんだん毎年ふえているのでは困るので、減るような具体的な施策——まあここにあがっておりまするけれども、もう少し具体的にこれを私伺いたい。ことにいただきました資料の中で、高良さんもちょっと御引用なさいましたけれども自動車関係の事故の数字が出ているんですが、これを見て多いということは思っておりましたけれども、こんなにひどいとは思わなかった、こういう数字を運輸省当局が平気でといいましょうか、私どもに御配付になる——いや平気じゃ、ないかもしれませんが、それじゃ一体どういうような対策を平生今までやっておいでになったか、これを減らすためにどれだけの努力が行われているか、それからさらに今後どうなさろうかというようなことを一つ詳しく伺いたいのであります。この次の委員会でその問題、交通安全の問題を一つお取り上げ下さるようにお願いを申し上げておきます。
  70. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは市川委員のおっしゃったことは、当局側でも次の委員会までに御用意を願うようにお願いします。
  71. 柴谷要

    ○柴谷要君 時間がありませんから、ごく簡単にお尋ねしたいと思うのですが、これは国鉄運輸省両方にお尋ねをいたします。国鉄は十月一日からダイヤ改正を行う、このことの準備はもうすでに終っていることと思います。ただ、このダイヤ改正に伴いまして、盛岡—東京間十一ブロックに分けて貨物輸送をやる、これが運輸省に申請され、過日公聴会が開かれた。その結論が、けさの新聞を見ますると、出たというようなことをちょっと新聞で見ましたが、すでに十月一日からダイヤ改正がそのような線で国鉄は組まれていると思うのだが、大臣はこの申請に対してとのような扱いをされますか、大臣の見解を一つ一言お聞きいたしたい。
  72. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 東北で、いわゆる集約輸送と言っておりますが、これは別に民業を圧迫するというわけじゃありません。大きな駅へとまってそこで貨物で輸送していくという一種の能率を上げるものと私は判断いたします。これを一つのテスト・ケースとして行わんとするものでございまして、これを全国に今すぐやるというようなことの手配になっておりません。従いまして、交通のこの集約輸送につきましては、私は承認を与えるつもりでおります。
  73. 柴谷要

    ○柴谷要君 大へんけっこうな大臣の御答弁をいただいてまことにありがとうございました。ただ、一つ申し上げておきたいことがある。「鉄道と自動車との協同輸送実施」という項目の中で、輸送力増強の中で、官房長はこう説明されておる。国鉄と民営との共同態勢を確立していきたい、こういうことを説明された。そうなると今のようなモテル・ケースで盛岡—東京間を国鉄がやります。これがよければ全国的なケースとしてほかにもやられると思うのだが、この説明と少し筋が違うので、そういうことになるというと、これを少しく字句はそのままでよろしいが、内容をかえてもらわぬことには困る。次回に十分質問しますから、一つそのように準備していただく。  それからこれは運輸大臣に要望しておくのですが、実は私は関心を持っておりましたので公聴会に行った。公聴会は運審がやっておられるようですが、私はほんとうに業者の皆さん、あるいは国鉄の皆さんが十分に意見を述べ合って、運輸審議会委員に聞いていただくという場じゃなかったと思うので、というのは、一対象者の攻撃に終始していたように私聞いてきた。これはあの場へ行って聞いてみなければわかりませんが、私はちゃんと行っておった。とにかくあの公聴会を持たれるならば、実際に業者の意見も聞く、また国鉄の意見も聞く、あるいはまたその他のいろいろな人から意見を聞かれると思うんだが、もっと静粛に個人攻撃することのないように運営をされるように、一つ大臣は審議会の方にやはり、何といいますか、御注意なさった方が私はいいんじゃないか、こういうふうに痛感をして参りましたので、この点は一つ大臣に要望を申し上げまして質問を終ります。ありがとうございました。
  74. 朝田靜夫

    説明員朝田靜夫君) 私昨日の御説明をいたしました際に、国鉄と民営自動車と共同して行わせるようにしたい、こういうふうに申し上げたかもしれませんが、私の記憶では、国鉄自動車と民営自動車と共同して行わしたい、こういうふうに申し上げたつもりであります。もし速記録が直っておりませんで、あるいは私の答弁に間違いが速記録においてはっきりいたしますれば、そういう趣旨でございますから御了承を願いたいと思います。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣に……。
  76. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 簡潔に願います。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 この際希望を申し上げておきたいんですが、昨日の港湾局長の答弁で、長い間の懸案事項でありました京浜港運の問題について、運輸省は一カ月の業務停止を行なったということが昨日報告をされた。九月二十何日から一カ月間の業務停止を行なった。ところが、昨日横浜でお話を聞きますというと、業務停止を行なっているところの会社が人入れをして作業を行なっているということを実は聞いているわけなんであります。これは運輸省が果しそういうことを、業務停止を行なっているにかかわらず、作業が行われているということを見のがしているのかどうか、おそらくそういうことは私はないと思うのでありますが、関東海運局長等にも十分その点運輸大臣の方から監督を厳重にされて、違反業者についてやはり厳正な立場で処理するそうしてやはり正しい、法に基いた登録の事務を行わせるように私は指導していただきたい。きょうは港湾局長が衆議院の方へ行っておりますから、大臣にこのことは、昨日の答弁の結果について、さらに私の方はそういう疑問が出ておりますから、この点を適正に指導されるように希望しておきたいと思うんです。このことがもしできないとすると、やはり幾ら法を守れと、あるいは業界の混乱をやめさせるように運輸省努力しているといっても、現実にやはり業界はさらに混乱を引き起して参ります。近いうちに、十月に大阪でこれらの業界の方々も全国大会あるいは集会を持たれますが、十分この点についてもいろいろな意見も出されると思いますが、その前に私は運輸省でそういう事態のないように手配をしていただきたい、行政措置もとっていただきたい。明らかに業務停止をしているものが作業を行なっているというようなことについては、私はまことに遺憾だと存じます。これは聞いた話でありますから、そういうことのないことを私は希望し、またその措置をとられることを要望して質問を終ります。
  78. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 三十三年度重要施策につきましては、何しろいいことずくめでありまして、まあ質問をする必要もないくらいでありますけれども、さて、可能か不可能かということになれば、まだまだきょうの審議だけでは終らないと思います。そこで、各委員から御要求がありました資料を提出願って、次回にまたこの問題を継続いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会