○説明員(朝田靜夫君) それでは、私から、お手元に配付してございます「昭和三十三年度
運輸省重要施策要綱」というものにつきまして、総括的な御説明をこれから申し上げます。
ただいま政務次官から御説明がございましたように、第一ページに掲げてございます八項目の柱を立てまして、それぞれの項目に対応いたしまする具体策をここに盛り上げたのでございます。一応運輸省といたしましてこういった考え方で立案をいたしたのでございますけれども、この要綱それ自体、また、その要綱の実施につきましても、先生方の御高見を拝聴いたしまして実施に移して参りたいと、こう考えておるのでございます。まず第一の項目といたしまして
国際収支の改善、第二番目が輸送力の増強、第三番目が交通安全と
災害防止、四は
原子力商船の
建造促進、第五番目といたしまして
科学技術の振興、第六
中小企業の振興、第七
雇用労働関係の改善、最後に
海上治安体制の強化、こういうことに重要な項目を掲げまして、以下
国際収支の改善より具体的に総括的な御説明を申し上げたいと存ずるのであります。
まず第一に、
国際収支の改善の問題といたしましては、
外航海運、
国際航空、
観光事業、こういった三ついわゆる
貿易外収入の増大をはかりまして
国際収支の改善に寄与して参りたい、こういうことでありまして、数字の4にありまする船舶及び
鉄道車両の
輸出振興、こういうものにつきましては、以上申し上げました
インヴィジブルに対応いたします
商品貿易の関係の
輸出振興の問題でありまして、通産省とは別に運輸省の所管になっておりますので、この点につきましても
国際収支の改善の項に取り上げておるのでございます。
最後に以上と少し趣きを変えまと、第五番目の
技術輸出の促進、こういう問題を取り上げておるのでございます。
まず第一の
外航海運の
整備拡充でございますが、御承知のように、
戦前貿易外収入の大宗であります
海運収入でもって
商品貿易の赤字をカバーしておる、そして大きく
国際収支全体に寄与して参りましたことは御承知の通りでございますが、最近三十一年度の実績をながめてみますというと、海運の
国際収支は
為替バランスでなしに
実質バランスで、いわゆる日本の運賃、外貨建の運賃の受け取りにいたしまして、外船に対しまする支払いに充てまして、いわゆる
国際収支の
実質バランスという点からながめてみますと、二十一年度におきましては二億五千万ドルの赤字を示しておるのであります。すなわち外国から
海運サービスを輸入しておるという状態になっております。しかも日本船の積取比率から考えてみますというと、日本船が積み取りました比率は輸出で四九・七%、輸入で四七%、こういうことで、まだ日本船の積取比率は五〇%以下にあるという状態からみまして、貿易に対応して海運の伸び方がいまだ不十分であるということも一つの原因でありまして、こういった外航船に対する支払超過ということによって、現在の
国際収支の悪化の大きな原因になっておるというようにわれわれは考えておるのでございます。従いまして、こういった
国際収支の改善に寄与するどころか
海運自体においてすでに赤字を示しておりますので、継続して長期にわたる見通しのもとに
計画造船を進めて参る。また自己資金によりまする自己建造につきましても、これが促進策を講じて参りたい、こういうのが第一点の
外航船腹拡充長期計画の推進でございます。
次の
海運企業の
国際競争力の強化でございますが、何といいましても
海運企業は、なま身で外国からの競争に立ち向かっておるのであります。従いまして税制その他において、あるいは
長期低利の
造船融資を確保いたしませんと、こういった先ほど申し上げました船舶の長期的な見通しのもとに
計画造船その他の
船舶拡充を進めて参ることはできませんので、企業の内部蓄積を増大する、あるいは
長期低利の
造船融資を確保するという目的をもちまして、税制上の措置あるいはその他の所要の措置を講ずる、こういうことを言っておるのであります。西独の経済再建の一方法といたしまして、住宅と造船のためにとられましたいわゆるこういった方面に無利子で金を出しましたものにつきましては税金を負けてやる、こういったことによって西独の経済建設が進められました例にかんがみまして、いわゆる西独の所得税法の七D条という制度をただいま検討をいたしておるような次第でございます。またそこにございますように、「
造船用鋼材の価格を国際水準に近づけるため、材質、寸法等に対する
特殊規格料の引下げに必要な特別の措置を講ずる等新
造船船価の
合理的低減をはかる。」、何と申しましても
国際競争力の強化には、その船価の低減ということが非常に大きなアイテムでございますが、日本の
造船業界といたしましては、設備の近代化によります工数低減を今日まで鋭意はかって参りましたために、今日のような隆盛を誇るところの
輸出産業として立ち直ったのでございますが、ただいま、もうそういった
造船部門におきまする企業の
合理化努力をもっていたしましても、
建造船価のコストの低下というものをなかなか期待できないほど十分努力をして参りました。ところが一歩この
建造コストの大きな部分を占めておりまするいわゆる
鋼材価格の問題でありますが、これは国際的に見ましても、いわゆる
ベース価格が非常に高い。日本の鋼材の価格が高いということのほかに、造船用といたしまして割増料をそのほかに取られている。英国と比べますと、すでにべ
ース価格におきまして一万九千二百円方高いのであります。なおその上に、今申し上げましたように、造船用といたしまして割増料を取られているのであります。しかもその材質、寸法によってそれぞれ規格料というものを取られまして、これが船型によっても違いますけれども、平均いたしましてトン当り八千四百円ばかりの割高になっておりまするということは非常に不合理でもありまするし、
国際競争力を阻害する一つの原因にもなっております。従いましてわれわれといたしましては、
鋼材価格のべ
ース価格を引き下げることはもちろんでございますけれども、こういった造船用の
特殊割増料という不合理な制度をなくしていく、これはまあ製鋼技術の問題にもかかって参りまするので、これに対して、国際的に、割増料、規格料、こういったものはごくわずかでありまするが、そういったもので今申し上げました
平均トン当り八千四百円の割高になっている、その差額がちょうど八千四百円程度になるものでありまするので、これに対しまする助成をして参りたい、補助金というものを一つ考えてみたい、こういうふうに考えているのでございます。
ニの公正な競争の確保でございますが、「運賃の安定をはかり、
日本海運の健全な発展を期するため、航路の調整その他公正な競争の確保に必要な措置を講ずる。」、これは最近におきまする海運市況がだんだん悪くなって参りまして、
不定期船運賃も非常に下落して参った、従いまして比較的安定をいたしておりまする定期航路の中にだんだん割り込んで参るというようなことがまま見られますのでありまして、かつ対外的な
国際海運におきまする協調といった面にも影響もございまするし、日本の
海運業者自体の過当競争といったようなものを引き起さないように必要な行政指導を続けて参りたいこう嫌いうことが二の項目でございます。
ホの移民船及び
外航客船の
建造促進でございますが、移住政策といたしまして、南米その他の地域にどうしても移住の振興をはからなければならないといったことで、年々移住の送り出しという量がふえて参っておるのでありまするが、現在
日本海運が持っておりまする移民船といたしましては四隻があるので、それに十三次
計画造船におきまして一隻建造をいたしておりますので、合計五隻でありますから、三十三年度におきましては、日本船の
移民輸送能力といいまするのは、年間七千四百五十人くらいになっておるのであります。そこへ、外船の場合、ロイアルインター・オーションという会社がやっておりまするが、これが二千七百人くらいであります。従いましてまあ三十三年度の輸送力といたしましては一万百五十人になるわけであります。来年度の移民の送出計画というものはよくまだ決定をいたしておりませんが、われわれの
外務省当局とのいろいろな話し合いからいたしまして、約一万三千人くらいの見通しではないか、こういうことを言われてただいま検討をいたしておるのでごいますけれども、年々こういった状態でふえて参りまする移民の送出につきまして、輸送力がそれに即応して増強されればいいのでありますけれども、従来は貨物と移民と並行して、それによって
運航採算というものをとって参っておるのであります。しかしながら私企業にとしても限度がありまするし、どんどんふえて参りまする移民に対して、どんどん船を作っていくということもなかなか困難な状態であります。従いましてそういった建造並びに
運航採算上どうしても損失をこうむるようなものに対しまして、この際特別の
助成措置を考えていきたい、それから又客船問題でありますが太平洋の
観光客船の増大に伴いまして、航空機の輸送力も見合いましてどうしても太平洋における
旅客海上輸送の航権を確立する、あるいは観光客の吸収によりまして、
国際収支の改善に対する寄与をして参りたい、こういったことで客船に対しまする
建造促進としても、やはり移民船同様特別の
助成措置を講じて参らなければならない、こういうふうに考えておるのであります。
第二番目に
国際航空の
整備強化でございますが、
航空路線の
拡充強化ということを第一番目にあげております。現在やっておりまする
国際路線で有望な新路線を伸ばしていきたい、あるいは新しく
セイリングをふやして参りましたりいたしまして、
国際路線を拡充して参らなきゃならないのでありますが、
日本航空株式会社の新型機の購入計画に即応して、従来
政府出資を毎年十億円ずつ続けてきておるのでございますけれども、すでに発注済みでありまするDC七あるいはDC八といったような新型の機種を購入いたしますためにも、あるいは先ほども申し上げました新路線の拡充のためにも膨大な資金が必要になって参りまするので、これを
政府出資の継続を来年度においても続けて参らなきゃならぬ、こういうことでございます。口の
航空従事者の養成強化でありますが、このような既存路線のみでなしに、どんどん
国際路線がふえて参りまするので、それに対応いたしまするところの要員がすでに行き詰まって参ったような状態でありまするので、どうしてもこの要員の確保をはからなきゃならない。現在におきましては、
外人パイロットの給与は日本人の
パイロットの五倍以上にも上る状態でもありまするし、一日も早く日本側の手で自主態勢を確立いたしまして、こういった
国際航空の整備をはかって参らなきゃならないのであります。従いましてこれに対応いたしまして航空大学校の施設を整備拡大する必要がある、現在本科生を十人ばかり養成しておるのでございますけれども、これを来年度におきましては五十人程度に増員をいたしたいという計画を持っておるのでございます。なお
民間航空事業者におきましても一人前の
パイロットに仕立てあげますためにどうしても
航空会社自体においても養成をしていかなければならないというようなことに対しまする政府側の補助あるいは
航空従事者の養成をそういった方法によりまして強化して参りたいということが口でございます。その次の
国際空港の整備でございますが最近御承知のように、航空機の発達改善というものは非常に目ざましいものがあるのでございますが、ジェット機が出現いたして参りますというと、現在の
国際空港、羽田空港におきましては、どうしても長さとか、あるいは強度といったような点で滑走路が非常に不十分でございますので、昨年も予算に計上いたしまし昭和三十六年度に完成を目標にいたしまして一万フィートの新しい滑走路を現在の滑走路に平行いたしまして新設をいたすということにして鋭意工事を進めておるのでございます。ただ新しく起って参ります問題といたしまして、
伊丹飛行場の返還が十一月一日から米軍が撤退いたしまして実現をいたしますので、これにつきましても
関西経済界と密接な関係にあります
東南アジアあるいは中共方面のそれに対する
国際空港として整備をするために現在六千フィートの滑走路でございますけれども、これもまたこれと平行いたしまして一万フィートの滑走路を作っていきたいというふうに方針を立てた次第でございます。
その次の
観光事業の振興でございますが、
海外観光宣伝の
浸透強化、こういう問題であります。まずこういった
対外宣伝の
浸透強化の方向といたしまして、四つばかり問題を考えられるのでございますが、まず第一には
宣伝資料の充実ということ、第二番目には
海外宣伝事務所を拡充していかなければならない、第三番目には
海外博覧会等が開催されますので、それに積極的に参加していかなければならない、第四番目には
国際観光機関と連携を緊密にいたしまして、相互に助け合ってお互いの
観光宣伝の実をあげていくということであろうかと思うのであります。従いまして、従来
アメリカ人がおもな観光客でございましたので、北米を主として強化をするという方針で参りました。来年は、欧州、
東南アジアと書いてございますが、そういった方面におきましても
海外宣伝事務所を設けたい。欧州においては、われわれの方といたしましてはパリを考えておるのでありまして、
東南アジアにおきましてはバンコック、こういうことを今予定して来年度の予算にも要求をいたす方針でございます。こういったために
国際光協会に対しましてそういう
在外事務所の宣伝のために毎年補助をいたしておりますが、本年度は補助金が一億四千五百万円であったのでございます。民間の醵出が六千万円ほどございましたので、約二億円の予算でもってこの事業を行なっておるわけでございます。さらにこれを拡大いたして強化をはかって参りたい。「近隣諸邦との
協力態勢を促進する」ということをここに書いてございますが、
宣伝資料の相互交換をやるとか、あるいは
国際観光機関と提携をいたしまして
協力態勢をそこではかっていきたいということでございます。口の観光諸施設の
整備拡充でございます。「
主要観光地域における外客向
宿泊施設、ユース・ホステルその他の
観光施設の
整備拡充を図るため、資金の確保に努めるとともに法的措置その他所要の
助成措置を講ずる。」こう書いてございます。観光客の
宿泊施設というものに対しまする既成の法律といたしまして、御承知のように
国際観光ホテル整備法というものがございますが、これを改正いたしまして
宿泊施設の新築、増築に対しまして税の減免をはかっていくというような
助成措置をここで考えておるのであります。ユース・ホステルその他の
観光施設の
整備拡充ということにつきましては、海外の
低額所得者、あるいは青少年というものの誘致に努めるためにこういったユース・ホステルを
地方公共団体に作らせましてそれに対する助成を補助金といったようなものをここで考えておるようなわけであります。
次に、ハでございますが、新
観光資源の開発、紹介。「外客の滞在期間の延長を目途とし、未開発の観光地、
観光資源の開発、紹介を推進するとともに、わが国の固有産業、
代表的近代産業の諸施設を広く
観光外客に開放し、その
製作工程等を視察せしめる等の
便宜供与体制を整備し、
産業観光(
テクニカル・ツーリズム)の促進を図る。」これは
テクニカル・ツーリズムというのは
欧州諸国において非常に成功をおさめておるのであります。産業と観光とを直結させるような新しい試みでございますが、たとえば、わが国におきましては真珠といったようなもののその製造工程を見せるとともに、そういった
観光地帯の紹介ということとあわせまして
便宜供与体制をそこで作っていくということが非常に効果的な方法であろうというので、こういった方面の推進もはかって参りたいというふうに考えるのであります。
ニの外客接遇の充実改善でございますが、これは従来ともにわれわれが主張して参っておるのでありますが、
外客出入国手続の簡易化、あるいは
通貨管理の合理化というようなものをもっと進めて参りませんとどうしても外客誘致に支障を与えておるような現状でありますので、特に
出入国手続の簡易化につきましては、現在は欧州各国を初めといたしまして十三カ国の間には相互主義に基きまして査証の免除をしておるのであります。ヴィザの免除をしておるのでございますけれども、観光客の大部分を占めておりますところの米国人、あるいはカナダ人いったようなものに対しましてはなかなかそう簡単に参りませんけれども、
欧州諸国ではすでに一方的にこれを免除しておるのでございます。従いましてわが国といたしましてもいろいろ外交上の問題がございましょうとは思いますけれども、西欧諸国と同じように一方的にこれを免除して誘致に努めたらどうか、あるいは
通貨管理の合理化、外客が入国して参りまして再び日本の国を出て参りますときに外貨の再交換額に制限があるわけでございます。これは現在百ドルでございますが、こういったものの撤廃、あるいは緩和をしていく、あるいは
旅行あっせん案内の充実とかいうこと、ガイドの育成、指導とか、あるいは
旅行あっせん業者を監督強化する、
もぐり業者なんかを根絶するというようなこと、あるいは
観光教育の普及徹底をはかるいうようなことで諸般の助成指導を推進するということであります。
その次の第四番目は、先ほど申上げましたように、以上申し述べましたいわゆる
インヴィジブルに対応いたしまする
商品貿易の
運輸省所管の船舶、
鉄道車両の
輸出振興であります
まず第一に、海外市場の確保と企業の
海外進出の促進であります。従来の市場の確保と、これに対する輸出量の増大をはかるとともに、新市場の開拓と企業の
海外進出を促進るため、在外公館の活動を強化するあるいは民間の
海外調査宣伝活動を強化していく、あるいはアフター・
サービス等に対する助成をはかっていくということを言っておるのでございますけれども、船舶につきましては、御承知のように、非常に
輸出船舶について目ざましい実績を上げておるのであります。三十一年度の実績は、私どもの方で調べましたところが船舶の輸出は三億一千一百万ドルの実績を上げております。車両については二千六百十九万ドルということでございまして、三十二年度の見通しといたしましては、本年度の見通しは、
船舶輸出が三億八千万ドル、
鉄道車両が三千五百万ドル、こういう見通しを現在立てているのでざいますけれども、船舶の建造熱は世界的に、鬼ほど申し上げましたように、市況がだんだん漸落いたして参りましたに伴いまして需要熱が少し冷却をして参っておる。しかもまた非常に超大型化という、船舶が非常に大型化して参り、いわゆるジャイアンツ・タソカーとか、マンモス・タンカーというようなものが出現をして参りましたので、こういったものに対します市場調査ということをやって参らなければなりませんし、あるいは
東南アジアにおいて需要がありまするところの河川用の船舶を調査研究をするというようなことを新しく調査していかなければならない。
鉄道車両で
東南アジア、あるいは
中近東方面へ調査団を派遣をするとか、あるいは中近東から
造船使節団を呼ぶとかいうようないろいろなことをやりまして、ことにわが国の
鉄道車両技術の優秀性をそういった輸出国の代表者に見ていただいてよく認識をしていただくというようなことに対します助成をここで考えておるのでございます。ことに、ソ連、中共等の共産圏向け輸出につきましては、輸出制限の緩和、適切な決済方法の確立等に努めるということで、こういうものが隘路になっておりまするので、できるだけわれわれといたしましても輸出制限の緩和をはかっていきましたり、決済方法についても特に便宜的な方法を考えていかなければならないというふうに考えておるのでございます。口の輸出金融の強化でありますが、「輸出入銀行の融資比率の引上げ、担保の軽減、貸付期限の延長等融資条件の緩和を図る。また長期延払条件の緩稲を図ることにより、新市場からの受注の増大に努める。」と書いてございますが、御承知のように船舶の輸出につきましては、当初は輸出銀行の融資比率は市中との協調融資でございますので、最初は八対二であったおけであります。輸出銀行が八、市中銀行が二割と、こういう状態でありましたが、七割、三割に下げられ本年に至りまして非常に
船舶輸出は強くなったのだから、この辺は条件を少し強くしてもいいじゃないかというような、そういった考えから現在は輸出銀行が六割、市中の銀行が四割、こういった融資比率が下げられております。こう少しいいからといって、こういうような手段をとられては伸びるものも伸びなくなるというのが正直なところわれわれの考え方でありまして、当初の八割と二割の比率に引き上げてもらいたいというようなことをここで言っておるわけであります。そこで担保の軽減、これは非常に輸出量が増大して参りますので、担保が枯渇して参りますし、あるいは貸付期限の延長、これは法律上十年は可能ではあまするけれども、実際はそれよりも短かい期限でもって運用されておりますので、こういった緩和をはかる必要がある。あるいは延べ払いというようなことでだんだんと、盛んでありました
船舶輸出につきましても非常に楽観を許さないような状態になっておりますので、こういうような条件を緩和していかなければならぬというふうに考えるのであります。
その次のハの輸出所得の特別控除制度の拡大及び期限の延長でありますが、船舶にしましても、
鉄道車両にいたしまても、輸出所得について所得の特別控除制度というのがございますので、その点現在水揚げの五%というのが控除率になっております。これは
輸出振興のためにもっとその控除率を引き上げるべきである、この時限法でありまするこの制度をもっと延長すべきであるというようなことをここで言っておるのであります。
それからその次の設備等輸出為替損失補償の限度額の引き玉げ。特に
東南アジア方面向けの、ポンド地域と書いてありますが、
東南アジアでありますが、こういう方面への輸出の増大を促進いたしますために、設備等輸出為替損失補償制度というもがございます。これは現在実際のところは二百億円くらいの限度であります。こういう金目のはります
船舶輸出といったようなものにつきましては、そういった限度を引き上げる必要があります。また補償料率の引き下げもはかる必要がある。こういうことであります。
その次の設備の近代化。「船台、船桑や工作機械等の生産設備を近代化で輸出需要の質的変化に即応するとともに、コストの低減による輸出競争力の強化を図るものとし、これがため必要な資金の確保、特別償却制度の拡大等措置を講ずる。」こういう先ほども申し上げましたような引き合いのありました輸出船が非常に大型化して参っておりまする趨勢で、船台を伸ばさなければならなかったり、あるいは工作機械あるいはドックというような設備拡充をある程度やって近代化していかなければならないのであります。これは新しい商品に対応する設備を整えていくという問題でもありますので、こういったものに対します資金の確保、あるいは特別償却制度の拡大をはかって参らなければならぬということであります。
その次の原材料価格の低減でありますが、「船舶及び
鉄道車両用鋼材その他の原材料の価格の低減方策を講じて、輸出競争力の強化をはかる。」先ほど申し上げましたように、非常にこういった建造並びに製造コストの大きな部分を占めておりまする
鋼材価格の低減という問題をここで取り上げておるのであります。ここにおきましては
ベース価格の引き下げももとよりやらなければならないということを言っておるのでありして、先ほども申し上げました造船用だけに特別に課せられておる割増料の問題につきましては、先ほど
国際競争力の強化の点で述べましたので、この点はむしろ
ベース価格の引き下げをここで意図しておるわけであります。
第五番目には、
技術輸出の促進でありますが、
東南アジア及び中南米における鉄道、港湾の建設、造船技術指導等のための技術者の派遣等
技術輸出を促進するための態勢を整備し、これに対する強力な
助成措置を講ずる。」最近インドの国鉄の交流電化の問題がございましたり、あるいはごく最近パラグァイへ運輸省の造船課長とほか一名を派遣いたしまして、造船技術の指導をやったりいたしておりまするが、こういう経済協力の先行条件であります交通というものにつきましては特に
技術輸出というものをやりますことによって
貿易外収入の増大をはかるとともに、それにあとに続いて参ります車両の輸出というものがつながって起って参りますので、これをなおざりにするわけには参りませんし、大いに海外技術の進出をここですべきだということで、国有鉄道の技術の協力に当っては国有鉄道以外の方面にはほとんど期待出来ないのでありますが、国鉄には国鉄のプロパーの与えられた使命がある。海外まで技術進出をやっていいかどうかという問題もございますし、そこでこういったわれわれの考えといたしましては、強力な一つの団体を作りて、そこに助成をして、その派遣費用のある程度の助成をするといったようなことで参りたいと思うのでございますが、さしあたりは海外技術協会に対する補助を来年度はこれによって要求をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
第二番目の大きな柱に移りまして、輸送力の増強でございますが、国内輸送体系の確立。「国内輸送に関する基本的統計調査の充実強化を図り、各輸送機関の輸送量及び運賃料金の調整合理的な投資計画の策定等を通じて、国内輸送体系の確立を促進する。」ということでございまして、これが私どもといたしましては運輸省の最も大事な仕事であり、国内輸送体系をほんとの姿にもっていくためには、環状をながめてみますとまことに恥かしい話でありまして、基本的な統計調査というものはなかなかでき上っていない。また、どうしても必要な将来の交通政策と直結いたしまするこういった調査統計というものにつきまして、非常に正直な告白を申し上げますと弱いのであります。これは何とかしてこうやつた基本的調査の基盤を作り上げたいと考えておるのでございますけれども、さしあたりこういった設備投資とその投資効率といった方面から輸送分野の適正な確立をはかっていく、海、陸空、空というのはプロポーションとしては少いのでございますけれども、各輸送機関別の適正な輸送分野というものを、政策的にも確立をいたしまするためには、どうしても基本的統計調査というものの充実をはかっていかなければならぬということになるわけでございます。もちろん各港湾あるいは高速自動車国道、こういったものにつきましては、経済調査というものを要求し、一部昨年度も予算がついたのでございますが、総合的な、各輸送機関別の総合的なものにつきましては、まことに力がまだ不足いたしておりまするので、この方面にも力を注がねばならぬということでございます。第二番目の鉄道輸送力の増強でありますが、まず第一に主要幹線輸送力の増強、国鉄五カ年計画の推進、これは過般の運賃改訂に伴いまして三十二年度におきましては一千七十億という工事費をもって国鉄輸送力の増強に努めで参っておるのでありますが、引き続きこの五カ年計画を貫徹していかなければならぬということで、主要幹線の増強及び近代化、山陽線、東北線等主線区の電化、非電化区間のディーゼル化、こういうものを順を追って進めて参りたい。大都市通勤輸送の緩和、貨物輸送の円滑化等、こういった重要な計画が盛り込まれておりまする五カ年計画を適確に推進をして輸送力の増強をはかっていきたい。そしてこれがために必要な資金の確保をはかるということでございますが、三十三年度におきましては、これは国鉄の予算になるわけでございますけれども、千二百億円ばかりの工事費予算をもって進めて参りたいというふうに考えておるのでございます。
次の東海道新幹線の建設促進でありますが、「東海道本線輸送力の逼迫の現状を打開するため、国鉄五カ年計画による既設線の輸送力増強を実施するほか、あらたに東京大阪間の高速列車用の新幹線の建設を促進して、輸送力の飛躍的増強をはかることとし、これがための態勢を整備する。」と書いてございますが、高速自動車道ができ上りましても、それに転移される輸送量というものを差し引きましても、三十八年から四十年程度におきましては、現有の東海道本線の輸送力では行き詰まりがぐるということが非常に明らかになっておりまするので、過般の閣議、決定をもちまして東海道幹線調査会いうものを運輸省に設置いたしたのであります。従いましてここにおいて、必要な計画を樹立をするという態勢をここでととのえたわけでごいます。
その次の津軽海峡隧道及び本土四国海峡鉄道の建設促進でございますが、これももちろん国鉄予算に属することでございますけれども、青函間輸送力の増強と安全輸送の確保のために、津軽海峡隧道の建設を促進して、北海道開発に寄与する、また本土四国間輸送の一本化のために本土四国海峡鉄道の建設を促進して、四国、淡路島総合開発に寄与する。今後の経済長期見通しにおきましても、増線の対象は北海道に重点を指向されておるので、こういう北海道開発に寄与するいうことと、それから本土四国をつなぎまする輸送力の強化をはかっていくということの推進をしていくということでございます。
その次の新線の建設でございますが、「国土開発、産業振興、輸送の効率化等の総合的見地から必要な鉄道新線の建設を重点的に実施する。」本年は御承知の通りに七十億の予算がついたのでありますが、来年度はこれで百三十億の要求をいたしておるのでございます。すでに着工を決定いたしましたものは十三線、継続してやっておりますものが十五線でございます。
その次の大都市交通輸送力の増強でございますが、大私鉄五カ年計画の推進、これで車両の増備、線路の増設、設備の近代化、こういったような輸送力を増強いたしまする手段につきまして、個々の具体計画を十四社で約千二百億円程度の計画を持っておりまするので、この計画を大いに推進をしていこう、それでもって大都市周辺の輸送力の増強をはかって参りたいというふうに考えておるのでございます。
その次の地下高速鉄道の増強でございますが、「帝都高速度交通営団等による地下高速鉄道の建設を促進するとともに、これと郊外私鉄との直通運転を実施して、通勤通学輸送力の増強をはかるものとし、これがため必要な資金を確保する。」三十一年度が四十五億円、三十二年度は六十六億円でありますが、三十三年度におきましては、新宿線が開通をいたすことになっております。
その次の鉄道の近代化の促進。「鉄道の電化、ディーゼル化及び車両の軽量化を促進し、これに即応する設備の近代化をはかり、スピードアップの要請にこたえるとともに輸送力の増強と燃料資源の節約に資する。」鉄道の近代化をこういったことによって推進をしていこう。
その次の鉄道と自動車の共同輸送の実施でございますが、国有鉄道の輸送力が非常に逼迫を告げておりますので、一部線区、たとえば山手線のようなものにつきましてもトラックで輸送をする、あるいは東北線におきまして、貨物線を急行で運行いたしまして、停車しない駅の貨物を停車駅までトラックで運ばせる、こういうことによりまして貨車を生み出して輸送力を増強していこうということで、鉄道と自動車の共同輸送体制をそこで開いていこうということでございます。この自動車の共同輸送体制は国鉄自動車民間自動車とで共同で行わしたいというふうに考えておるのでございます。
その次の自動車輸送力の増強でございますがバス及びトラック路線の整備。「運輸協定の締結等の自主的方法により、事業者相互間の協調のもとにバネ及びトラック路線の整備を促進する。」お互いに運輸協定を自主的に締結をいたしまして相互乗り入れといったような方法で輸送力の増強整備をはかっていけるのでありまするから、この方面の行政指導も力を入れていく必要がある。
それから大都市における自動車輸送力の増強でありますが、バス輸送力の増強。「大都市及びその近郊におきまするラッシュ・アワー、通勤時間帯の輸送難を打開するため、バス輸送力の増強整備施策を策定する。」これは具体的に何を言っておるのかということになりますと、車両の装備あるいは共通乗車券の発売をさせるとかいったようなことを行政指導でやっていこうという考えでございます。
その次の貨物輸送態勢の確立。「大郡市を中心とする路線トラック網の進展に伴い、集配機構を広く一般の需要に即応し得る態勢に拡充し、あわせて貨物輸送の能率化をはかるため、貨物集配網の再編成及び集配施設の協同化を推進し、合理的な貨物輸送態勢を確立する。」これはばらばらにやっておりまする営業所というものを適当なところに配置がえをする、あるいは行き先別に営業所を集約するというようなことで整理いたしましたり、あるいは一個所にまとめましたり、あるいは足りないところに適当な営業所を配置して、集貨あるいは集配施設の共同体制をここでしいていこうということを考えておるのでございます。
その次に移りまして、ターミナル施設の整備促進でございますが、非常に混雑いたしておりまする都市交通の要衝でありますターミナルを、早急に設置する必要があることは申すまでもないのでありますが、都市交通審議会の答申、あるいは首都圏整備委員会の整備計画の予定をも考えまして、配置規模及び構造設備について適切な管理を行うため自動車ターミナル法を制定をいたしますとともに、大都市におきまするバスターミナルの建設整備を推進するため、バスターミナル助成法を制定をいたします。関係公共団体に対して、これはまあ助成をしようということであります。
そのつぎの駐車場法による駐車場施策の推進。前国会におきまして、駐車場法の通過がありましたので、この駐車場整備地区の指定とか、あるいは路上駐車場設置計画、路外駐車場の配置規模の決定というようなものを、建設省、運輸省、警察庁共管になっておりますので、よく緊密な連携を保ってこれの決定をしていこうということであります。
その次の高速自動車国道の整備促進でありますが、国土開発縦貫自動車道建設法及び高速自動車国道法の制定に伴う名古屋神戸間の高速自動車国道の建設を促進し、その供用開始に備えて通行車両の合理的な速度及び徴収料金等について調査研究を進めるとともに、東京名古屋間及び博多門司間等の高速自動車国道の整備に関して調査研究を行う、こういった調査は、自動車国道が巨頭の資金を要しまするし、かつ国民経済上から見ましても、あるいは国内幹線輸送量から見ましても重大な影響がありますので、特に他のまた交通機関に及ぼす影響等も考えて、経済効果あるいは開発効果といたようなものに、重点をそういう点におきまして調査をするようにいたしたいというふうに考えるのでございます。
その次の荷役及び集配施設の整備でございますが、鉄道輸送力の増強に対応しまして、主要駅におきまする荷役集配施設の合理化、近代化を推進するということでございますが、これは荷物集配等におきまする機械化ということに尽きるのでございます。荷役機械あるいはコンテイナーの取り入れといったようなことで近代化を進めていきたいという考えであります。
第四番目の海上輸送力の増強でありますが、内航貨物船の船質改善。「老朽船または低性能戦漂船がその大半を占める内航貨物船の改装、代替による船質改善を促進するため、
長期低利資金の確保をはかるとともに、所要の税制上の措置を講ずる。」、これは御承知のように、内航貨物船は、老朽船、あるいは戦時中急造されました戦時標準型船舶が大半を占めておりますので、こういった内航貨物船のうちで、まだ石炭だきのものがあります。そういうものを油だきに主機を換装していく、主機換装といっておりますが、こういったものを約五十隻、五万トンばかりこれをやっていこう、開発銀行の資金に依存するわけでありますが、約四億円程度と見込れるのであります。
それからその次の国鉄輸送貨物の海送転移の促進でありますが、「国鉄貨物輸送の現状にかんがみ、海送転移を促進するため所要の措置を講ずる。」と非常に抽象的に書いておるのでございますが、ただいま検討いたしておりまするのは、特に北海道の問題でありまして、国鉄輸送力をもってしては運び切れないとい滞貨として残るであろうと思われるのが約百三十万トン、北海道から内地に持ってくるものにつきまして百三十万トン程度あると見込まれるのであります。これに対しまして国鉄と海送におきまする運賃諸掛りとの差額を補助してはどうか。これは定期航路業者に対して補助して海送転移を促進したらどうかということにつきまして目下検討を進めて、予算要求等につきましても、一応こういう線で要求を出しておるのでございます。その次の港湾荷役の近代化であります。港湾荷役の機械化、上屋、倉庫の整備、こういったものによりまして、接岸荷役をどんどん促進いたしませんと、ポート・チャージが非常に高くなりますので、海送転移も従ってできないというようなことで、こういった港湾諸作業の近代化をはかっていく、あるいは施設を整備していく、あるいは港湾荷役力の増強とポート・チャージの適正軽減化をはかっていかなければならないというふうに考えておるのであります。
その次の港湾及び航路の整備であります。産業関連港湾施設の整備のまず第一点は、石油輸入港及び国内配分基地の整備。先ほども申し上げましたように、特にタンカーにつきましては、大型になりまして、スーパー・タンカーあるいはジャイアンツ・タンカー、マンモス・タンカーというようなのが出て参りますので、原油の輸入基地の航路の水深が浅いので入れません。そこで、こういった航路、泊地の水深を増加していくための施設をしていくということでありまするし、また国内流通量もそれに従いまして非常にふえて参りましたので、国内を配分基地の整備をする。四日市とか徳山、下松、こういったような、そのほかの港につきましても、こういう産業関連港湾施設の整備を特に石油について重点を置いてやっていきたい。石炭の積出港及び陸揚港の施設整備でありますが、石炭生産量が増加して参りましたし、その積出港の施設がどうしても足りない、あるいは非能率だ、こういうようなところの場所におきましては、石炭専用の石炭埠頭を建設していこうということで、唐津、室蘭だとか、その他の港につきまして、こういう公共事業としてこれを推進していくということでございます。鉄鋼関係の港湾施設の整備でございますが、これも同様にオアーキャリヤーを将来どうしても考えなければならないということで、大型の鉄鉱石専用船に対しまする施設で、製鉄工場の港湾施設を国の事業として計画してやっていくという考えでおるのでございます。工業港の整備。「産業の拡大に伴う工場の増新設に対して、土地の造成、公共埠頭の整備等工業港施設の整備を促進する。」これは従来もやって参っておるのであります。
その次の主要輸出港の整備、こういったものにつきましても同様でございますがセメントとか肥料あるいは重機械、雑貨、こういったものの大量貨物の輸出を扱います港におきまして、輸出コストの低減をはかりますために港の設備を整備をしていくということでございます。
その次の主要国土開発地域の港湾整備。国土総合開発計画に歩調を合せまして、未開発地域の東北とか北海道とかいったもの、あるいは離島振興法の建前からいたしまして、離島の港湾整備をはかる、あるいは地方の開発促進のために必要なもの、あるいは海送転移を促進するに必要な施設、こういったものの整備をこの項において考えておるわけであります。
それから次の関門海峡及び瀬戸内海航路の国際航路としての整備でありますが、中共等の貿易の将来増加が当然見込まれるのでありますために、関門あるいは瀬戸内海航路の航行船腹を増加していくということで、関門海峡と瀬戸内海、特に備讃瀬戸でありますが、そういったところの航路につきましては、大型船が通らないというので、国際航路として復活をこの際考えて、今から手を打っていかなければならぬということをここで考えておるのでございます。
その次の直轄港湾工事態勢の
整備強化でありますが、「港湾工事量の激増に伴い、作業船の整備増強のために作業船特例会計設置等の措置を講ずるとともに、工法の近代化をはかり、港湾工事力の画期的増強をはかる。」これはドレジャーを作るにいたしましても、あるいは公共事業の予算にいたしましても、産業関連港湾施設を急速に整備しなければならぬというにもかかわらず、公共事業費がそんなに急速に大幅に増額はむずかしいということで、ドレジャー、あるいは必要な産業関連施設で、急速に整備を要するものにつきましては、特例会計いうことを考えていって、そうして資金運用部資金あたりから受け入れまして、将来それを返還していくというような、一般会計と区別した体制をとって、ここ二、三年の間に整備をはかって、産業基盤の強化をはかっていく、こういうことをここで言っておるわけであります。
その次の、最後の輸送力増強の項の国内航空路網の
整備拡充でございますが、「著増する航空需要に対応しまして、現行の国内路線を
整備強化するために必要な地方空港の整備、
航空従事者の養成を推進するとともに、航空運送事業を経営する会社に対する育成措置を強力に推進する。」ということでございますが、これは地方空港の整備は、十の空港を整備いたしております。来年は新規の調査で四つばかりのローカル空港を考えておるのでございますが、こういった国内の空港につきましても整備を進めまして、これをつなぎまする定期航路の運航を開始する必要があるというふうに考えられるわけでございます。
第三番目の交通安全と
災害防止でありますが、海上航行の安全確保、これは一番最後の大きな柱の八という
海上治安体制の強化ということと海上保安庁の仕事自体が関連をいたしますもので、一緒に御説明を申し上げたいと思うのでございます。
海上の航行安全とか人命財産の救助といったようなことはもちろん海上保安庁の職務でありまするし、また一番最後にありまする
海上治安体制の強化という問題につきましても、海上保安庁の仕事として有機的に同時にやっておるわけでございます。従いまして取締りとあるいは救難救助といったようなものが一体となって業務が運行されておりますために、それに要しまする施設、船舶でありますとか、航空機でありますとか、通信施設でありますとか、あるいは基地施設、こういったものは全部一体有機的に動かされておりますので、従来からのこういった施設は非常に老朽化して参りまして、こういう方面の増強をどうしてもやっていがなければならぬ。現在の巡視船の三分の一は旧海軍から引き継ぎました老朽船でございます。もう修理もできないというようなことで繋船をしなければならぬというような巡視船も出て参っておりますので、こういったものの代替建造、通信施設の老朽化したものを解消する、あるいは新設するということで、どうしても新造大型巡視船、あるいは航空機も新造して参らなければならぬ。新造は従来認められておりませんので、毎年代替建造しか認められておりませんが、この際どうしても新造して参りませんと、船舶の需要その他から考えまして、どうしても無理だというような結論に達しておるのでございます。
その次の航路標識の整備と管理体制の再編成でございますが、「ロラン局の完成その他航路標識網の整備及び航路標識機器の自動化等の改良改修を促進するとともに、航路標識の合理的維持管理のための集約管理体制を確立する。」これはロラン局は御承知のように、根室と大釜崎と銚子と、この三つのステーションで、北太平洋におきますロング・レンジ・ナビゲーションに対する補助施設であります。これが来年度中には何とかして完成したい。そして、航路標識、灯台その他の航路標識の整備をはかって参るのでありますが、国勢調査で当委員会におきましても御報告がございましたように、非常にその僻地におきまする灯台職員等の生活、勤務の問題もございますので、また業務の運営上も能率的にやって参りますために集約管理をやっていかなければならぬ。現在全国二千九十一基の航路標識があるのでございますが、それを二百五十六カ所で集約、この集約管理はちょっと違うのでありますが、二百五十六カ所の航路標識事務所におきまして管理運営しておるのでありますが、依然として非常に集約体制というものが不十分である。非常に生活、勤務の環境その他につきましてもどうしても考えなければならぬということで、業務に適した便宜の地に移しまして、大体行動半径が一日で行けるところのようなものを一カ所で集約管理するということで、そういったためにジープが要るとか、あるいは船艇が要るというようなことで見回らなければなりませんから、あるいは交代で見回って完全な管理を続けていかなければならぬということで、機動力を必要とするわけでございます。従いまして、船艇とか、車両とかいったようなものもどうしても予算要求を通してこういう理想を実現して参りたいということでございます。
水路測量の促進でありますが、年々非常に多額の港湾施設に対して工事費が投下されている。それが港湾の工事が完了いたしましても、それを測量をいたしまして海図に書かなければならぬわけでありますが、それもなかなか十分に参りません。そこで年々でき上っていきまする工事のあとで測量をして海図を補正して、十分航海者に利用させるということで、水路業務の充実強化をはかるということをいっておるのであります。
港内の安全確保、これは主として港内における船舶の安全ということで港内信号施設の増強、特定港の増加等の措置を講ずるとともに、防波堤、避難港、航路等を整備して、港内の安全を確保する。
旅客定期航路用船舶の代替建造の促進でありますが、先般問題になりました第五北川丸事件以来、老朽の旅客定期航路船舶を計画的に、まあ五カ年計画でもってこの定期航路に用いております船舶を代替建造していこう、こういうことでございます。まあ標準船型を設計いたしましたり、あるいは税制措置で必要な処置を講じ、あるいは
長期低利資金の確保ということもあわせて行いませんと、どうしてもこの五カ年計画で代替するといっても無理でございますので、そういう方面に力をいたしていきたい。それからまた事業者の船客傷害保険への加入を強力に推進する。海上運送法には加入しろということを
運輸大臣が命令することができることになっておりますので、こういうことも強力に進めていきたいということであります。
への港湾、海岸の保全でありますが、港湾災害のすみやかな復旧をはかるとともに、防災工事を推進し、特に海岸保全施設については海岸法が先般施行されまして、港湾管理者がその港湾区域におきまする海岸の保全に対して責任を負うということになっておりますので、その整備に特段の努力を払う。
海難防止に関する啓蒙指導の強化。「海事法令の励行をはかりますとともに、海難防止思想の普及徹底を期するための啓蒙指導を強化し、所要の体制の整備をはかる。」これは航行安全審議会の答申にもございまして、啓蒙宣伝のために、あるいは指導のために新しい団体の結成を、ここで設立して、こういう実をあげていきたいというふうに考えておるのであります。
その次の陸上交通の安全確保でありますが、鉄道の安全確保、踏切施設の整備。「踏切道及び立体交差施設の整備をはかり、交通事故の防止と輸送能率の増進のため、踏切整備に必要な財政措置を講ずる。」踏切事故は年々激増しておりますので、これに対して鉄道と道路との交差に関する法律案というものと、踏切道整備促進法案という二つの法案を今事務当局では準備しておりまして、その基準費用の分担を明らかにして踏切道の整備をはかって参りたいということであります。
その次の大都市鉄道の高架化、地下化の促進。大都市交通の混雑緩和、事故防止、交通網の整備、高速運転の確保のため、大都市鉄道の高架化または地下化を促進する。
輸送施設等の安全向上。鉄道、軌道に対する保安監督を強化し、老朽の施設、車両の取りかえと車両不燃化を推進するほか、動力車運転者の運転免許制度の
整備拡充及び鉄道従事員の養成強化をはかる。
私鉄の災害復旧の促進でありますが、これは災害が起りますと、そのつど単独立法でその助成を考えているというような従来の行き方でなしに、地方鉄道、軌道の災害復旧を促進して、恒久的な災害復旧に対する助成制度をここで考えていきたいということでございます。
その次の自動車交通の安全確保でありますが、高速自動車対策の確立。高速自動車道ができますというと、その上を走ります車両の具備すべき要件、速力にいたしましても、山岳地帯が八十キロとか、あるいは平坦地が百二十キロというようなことで走らなければなりませんが、現在国内で生産されておりますような車両ではこれに対応できない。そういうことからして、その要件につきまして調査研究を行い、安全かつ適正な使用のための基準を設定する等、高速自動車道が出て参りますに伴いまして、そういった態勢を確立していこうということであります。
それから自動車の安全対策の強化でありますが、非常にまあ自動車の数が激増をして参りまして、これに対応して先ほどもお話がありましたように、検査施設と検査要員が足りない。そこで昭和三十一年度末におきましては自動車の台数は百七十七万五千百二十両に達しておりますが、毎年その後どんどんふえて参ります年間三十万両もふえて参ります。それに対しまして自動車事故も当然多くなって参ります。そういうために自動車の国家検査あるいは登録をやるということは非常に有効適切な措置であるということは国内でももちろんでありますが、国連の討議においてもこれは明らかであります。従いましてこういった施設、あるいは要員の確保にどうしても力を注いで参りませんと、交通安全の万全を期し得られない。最近十カ年間に四倍以上自動車の数がふえているにもかかわらず、人員はわずか三割しか増加していないというような状況であります。
その次の自動車損害賠償保障制度の運営機構の合理化でありますが、一方こういった自動車事故に対します犠牲者に対しての救済策といたしましてこの制度があるわけでございますが、自動車損害賠償保障制度につきましても、この運営につきましても、現在保険会社だけでやっておりますような委員会、保険金の査定をいたします委員会も広く学識経験者を交えまして公的な委員会の設置をはかっていきたいということで、また地方の陸運局にこれに必要な人員とか予算というものは全然配付しておりませんので、これに関してまあいろいろその事務量もふえて参っておりますので、この面に対して手当もしていかなければならないということであります。
その次の自動車事故の総合的究明、まあ事故の原因につきましてはいろいろございますが、直接原因として車両の構造とか、あるいは装置、道路交通の状況、運転従事員の操作というような、そういう直接要因と、間接要因でありまする労務管理の適否、整備施設の状態、業務運営の方法といったようなものを多角面から原因を探求していこうということがどうしても必要だということで、これに対する調査とその監督指導を強化するということであります。
その次の航空安全の確保でありますが、航空交通管制の自主的運営と、ここで在日米軍が撤退をして参りまするに伴いまして、米軍側において運営されておりまする施設の中で、航空路を構成いたしまする十二カ所の施設と、それから米軍側の財政責任負担で日本側で運営をしているというようなものが六カ所ありますが、そういうものを全面的に今後撤退に伴って日本側で運営して参らなければなりません。そういうことでこれに対しまする交通管制要員が急速に、三カ年以内に一つ必要要員だけは養成していかなければならない。そこで現在そういったものが米軍側から移管されますと、どうしても必要な交通管制要員というものが七百四十三人要るのでございます。それに対して三十二年度まで毎年予算をつけて養成をしました者が三十二年度末までに三百六十四人になる。そこで残りの三百七十九人を急速に、ここ二、三年の間に養成を完了しなければならぬ。三年間でやりますと毎年百二十六人ずつ養成していかなければならぬということになっておるのでございま出す。
その次の航空機の安全検査の強化であります。「航空機の安全航行を確保するため、航空機の運航及び整備基地における施設、業務等に対する検査を強化するとともに、路線監査を強力に推進する。」ということで、安全検査をこういう施設業務等、それから路線監査も強力にやっていこうということをいっておるのであります。
それからその次のジェット機のための航空保安対策の確立でありますが、ジェット機時代になって参りますと、どうしてもその安全確保、乗員の特殊訓練、施設を整備しなければならぬ、あるいは航空路組織の改革と、それからまた羽田付近におきまする小学校の騒音防止対策も起ります。そういった方面に対する研究を進めていくということであります。
それからその次の航空機救難体制の確立でございますが、航空機の発着が非常に多くなって参り、また航空路が陸上とよく似た状態で混雑して参る、そういうことで事故が起ってくる可能性が多いわけでありますが、それに対しまして、救難についてどうしても日本政府が責任を持たなければならぬ。これはまあ国際民間航空条約に基いて義務づけられておるわけであります。これは今までは日本といたしましては在日米軍にたよっておったわけであります。今後これを自主的にそういった救難体制を整備していく、こういうことであります。
その次の気象業務の強化でありますが、予報精度の向上。「数値予報方式の採用による解析中枢の整備と無線模写放送の実施を促進し、予報精度の向上をはかる。」そこで電子計算器を購入いたしまして、数値予報方式によって予報の精度の向上をはかっていく。あるいは昨年も予算がとれまして無線模写放送というものを作ったわけであります。これで中央に一カ所、地方に九カ所作っておるわけでありますが、こういう予報施設をさらに拡大をいたしまして、予報精度の向上をはかる。そこで基礎的気象業務の整備。「レーダー観測、海洋気象観測、地震火山観測、気象通信、気象統計の整備、気象技術者の研修等基礎的気象業務を
整備強化するとともに、僻地気象官署の事務能率向上のための措置を講ずる。」元ほども申し上げましたが気象調査で当委員会の報告もありまして、こういう僻地に勤務する気象観測の職員のための環境あるいは待遇の問題等につきましても万全の努力をはかっていく方針であります。
防災気象業務の整備。水害の防止軽減、河水統制、航海航空の保安、農業災害の防止等のための気象業務の整備ということであります。それからまあ、水防法等、あるいはダム等の関係におきましてこういった降雨量の測定といったようなものの業務を強化していこうということであります
それからその次の
原子力商船の
建造促進でありますが、われわれは昨年以来いろいろ
原子力商船の建造につきまして主張をいたして参りましたもの、が最近におきましてやっと原子力委員会そのほかにおきましても共鳴を得まして、三十二年度予算の際においてもいささかそういう気分が出たのでございますけれども、なお慎重を期してその後一年の経過をながめておったわけであります。世界におきます
原子力商船建造の機運が非常に急速に高揚して参りました。近き将来に世界の海運界における日本の地位というようなものをも慎重に考慮しなければならぬというような状態でありますので、原子力委員会と
科学技術庁とも相談をいたしまして、特に船舶用の原子炉の実験動力炉を原子力研究所に購入するという予算の編成方針を
科学技術庁、原子力委員会で立ててもらったのでありますそこでこれは陸上と海上の舶用とを両万併用して研究ができるいうような実験動力炉の購入をここで予算がとれれば実現するわけでありますが、そういうような意味におきまして一歩を進めることができるような情勢に立ち至って参っておるような次第でございます。
その次の研究体制の整備でありますが、
原子力商船に関する総合的な調査審議を行う機関を設置するとともに、原子力研究所との緊密な連係のもとに、運輸技術研究所における研究体制の
整備強化、これはまあ運輸技術研究所におきましては
原子力商船の動揺がどうであるとか、あるいは放射能に対する遮蔽がどうであるとか、あるいはリモート・コントロールで非常に離れたところで運転操作ができるというようなものを研究いたしまして、原子力研究所と共同してこういうものの研究体制を整備していこうということであります。
それから
原子力商船の基礎的調査研究の促進。
原子力商船海外調査団及び留学生の派遣、海外技術者の招聘あるいは
原子力商船の仕様概要及び基本設計の委託作成を行う。来年の原子力に関する海外調査団あるいは留学生の派遣につきましては、核燃料物質とこの船舶ということに重点を置かれるように私どもは伺っておるのであります。そういう基礎的研究をさらに推し進めていける段階に入ったということであります。
その次の大きな項目といたしまして、
科学技術の振興であります。交通安全確保と
災害防止のための試験研究の促進。角型船舶性能試験水槽あるいは航空機性能試験風洞というものを設置しまして、船舶及び航空機の安全性の試験研究をやるということで、これはまあ角型のプールをこしらえまして、そこで波を起させて船舶の操縦、旋回というようなものの研究をするわけであります。あるいは、そしてそういうものに対して設計上の条件を与えるわけであります。
航空機性能試験風洞につきましては、ニカ年計画で秒速八十メートルの八百馬力しいうような風洞を作りまして耐空証明を出すためにもこういう施設を必要とするわけであります。
それから台風防災試験施設を設置して、港湾の災害のための試験研究を推進する。高潮と風浪の合成作用の理論研究ということをここでやるわけであります。
超大型船建造に関する技術的隘路打開の促進でありますが、これは日本の造船技術の国際的信用の上から言いまして、こういう非常に大きな、八万五千トン、あるいは十万トンというような超大型船の建造につきまして種々技術上の問題がありますので、最近におきましても造船技術審議会が答申をいたしております。そういうものに対しまして研究の基本方針、あるいは研究体制につきましてここで積極的にこ
の答申に基いて研究を推進していこうということであります。
それからその次の新技術の開発であります。オートメーションの導入、あるいは
科学技術の急速な近代化に即応して専門技術者の養成を促進するとともに、エレクトロニクスの船舶、航空機、鉄道への利用、ラジオアイソトープの港湾工事、造船等への利用の促進等、こういったものの促進をはかっていくわけでありますが、これも、ラジオアイソトープにつきましては、港湾工事、あるいは船舶の溶接といったようなものにつきましてもすでに研究を始めておって、成果も上っているのでありまして、エレクトロニクスの問題では、まあこれは電子工業振興臨時措置法がこの前の国会で通りましたので、これに基きまして、交通部門ヘもこういった口ランとか、デッカーとか、レーダー、そういったものの利用をここではかっていくということであります。
直轄研究機関の整備と民間研究の助成。これは本年度は、直轄研究機関
といたしまして、運輸省の研究機関といたしましては運輸技術研究所、気象研究所の二つがありますが、そういうものに重点を置きまして、民間研究の助成というものを少し弱めて、直轄研究所に重点を置いたような予算の形になっておりますこれはどうしてもやはり両者併用して参らないと研究の実があがりませんので、どうしても民間研究の助成とあわせて確保をはかっていきたいということであります
その次の共同研究体制の整備でありますが、これはいろいろ大きな研究になりますと、費用が非常にかさむ、あるいは研究調査の重複があるということがございますので、またその研究の成果を共同して利用しないというような弊害もありますので、こういったものにつきまして共同研究体制を整備するということが非常に効果的であるのであります。まあ現在では造船技術協会などがそういうことをやるのに適したものであろうかと考えております。
その次の地球観測及び海洋調査の推進でございますが、本年の七月一日から発足いたしました地球観測年におきます気象、水象、地象、海象等の観測、まあ商極観測も含まっているわけでありますが、こういうものの観測をやっていくということと、新海洋資源の開発のための大陸棚の調査、これは海底資源につきまして海上保安庁の水路部の方で委託調査をやっておりますが、こういうものをもっと拡大していく、そうして海底資源をうんと開発をしていこうとか、あるいは漁場の調査をやるとかというようなことで、そういった産業開発にも資しまするとともに、非常におくれておりました水路業務のプロパーの精密な沿岸図も同時に作成し得るというような利点もありますので、こういった委託調査を大いに推進をして必要がある。また放射能等によりまする大気及び海水の汚染、これは気象庁と海上保安庁でありますが、そういったものの汚染調査を、各官庁の分担区域がきまっておりまして、そういうことを実施する。皆既日食観測もあわせて実施するための必要な態勢をとるということでございます。
その次の第六番目の、
中小企業の振興でございますが、事業者の組織化、集中化の促進ということで、
中小企業等協同組合法の積極的な活用と、それからこの間の前国会におきまして通過をいたしました小型船海運組合法、こういうもの、あるいは機械工業振興臨時措置法、こういう特別の機械、特殊な機械、
中小企業に属しますポンプとか、バルブだとか、そういったような特別の指定をされましたものにつきまして、そういうふうな法律等を適正に運用いたしまして、対象事業者の組織化、専門化、集中化、共同行為の締結等というものを促進して参りたいということであります。
その次に、企業秩序の確立でございますが、バス、ハイヤー、タクシー、ドライブ・クラブ、トラック輸送、木船運送、港湾運送事業こういったものの事業法令の完全な実施といふことをまず第一にやって、企業秩序を確立していかなきゃならない。これをもって
もぐり業者を根絶するとか、そういった監督を強化いたしまして、あるいは確定料金を順守させるとかというようなことで、運賃料金等の適正化を通じ、あるいは公正な競争の確保といったようなことで秩序を乱されずにやって参りたいということであります。
その次の金額の円滑化と税負担の軽減でありますが、これは「
中小企業の近代化、合理化を促進するため、必要な資金の確保を図るとともに、固定資産税、自動車関係諸税その他の税負担を軽減してその健全な発達を確保する。」ということで、内航船舶の固定資産税、あるいはその他のものの固定資産税、あるいは自動車関係の
中小企業におきまする——これは御承知のように複雑多岐にわたりまする諸税公課をもっと簡素化して、またその負担も軽減していくというようなことによりまして、健全な発達を確保して参る。
それから企業診断の励行でありますが、「
中小企業の企業診断を励行して、工程管理原価管理の確立、経理制度の改善その他経営の改善合理化を推進する。」ということで、中小造船所の
輸出振興につきましても、こういう方法でもって予算の要求も考えておるのでございます。
一番最後の説明になりますが、
雇用労働関係の改善でありまして、船員問題と国鉄労働対策の問題と二つあげておるのでありますが、運輸省は、御承知のように海上労働に関しましては労働省でありまするのでこういった意味におきまして、船員の需給の円滑化と、福祉の向上と、それから船員の最低賃金制度の促進という問題の二つをここに非常に——いろいろ他にも問題があるのでございますけれども、この二つを問題として取り上げたのでございます。まあ
計画造船その他で非常に船腹が増強されますけれども、職種によりましては、船員の需給状態が必ずしも均衡を得ていないということで、船員教育機関を整備して参らきゃならぬ。そこで運輸省の関係につきましては、海技専門学院と海員学校と二つあるわけでございますが、こういうものに対しまする学生数の増加、あるいは施設の整備ということをやって参りますとともに、「職業安定業務の強化により船賃需給の円滑適正化をはかる。」それから海上労働の特殊性等というところから、どうしても厚生施設の充実整備をはからなければならぬ、三国送を推進するということを口で言いましても、外国におきます船員のいこいの場というものも手当をしていないじゃないかというような問題もございまするので、予算要求にもその点を考慮して要求をしておるのでございます。
船員の最低賃金制度の促進でありますが、これは大型船舶につきましては、職能別に最低賃金が労働協約によってきまっておるわけでございますが、機帆船とか、あるいは漁船とか、そういったような小型のものにつきましてはそういう労働協約はないのでございます。従いましてわが国の経済の現状に立脚したこういう最低賃金制度を確立してということは、船員中央労働委員会から遠からず答申があると思われるのでありますが、それに従いましてそれを運用いたしまする審議会なり、あるいはそれが適正に行われるかどうかという監督の費用とか、そういったものも今後の問題になってくるわけでございます。
国鉄労働対策の確立ということでありますが、これは、「国鉄労使間の諸問題を解決して国鉄本来の輸送業務の円滑なる運営を確保し、公共企業体の健全なる発達に資するため、労使間の正常な労働慣行の確立、要員需給の安定、賃金体系の整備、福利厚生施設の拡充等労務管理の適正化に努める。」一ということでありますが、特に要員需給の安定につきましては、御承知のように今まで全然増加していない、むしろ減耗しておるものにつきまして、減一になっておるというようなこともありまして、まあ来年度は極力配置転換はやるけれども、どうしても必要なものだけは要員を確保しなければならぬという予算上の問題にもなりますが、そういうことも考慮しておるわけでございます。まあ賃金体系の整備、福利厚生施設の拡充、これに労働の質と量に応じて適正な是正をお願いしたいと考えております。
以上非常に時間の関係も考慮いたしまして概括的な説明を終ったのでございますが、こういう点があるのじゃないか、これはおかしいじゃないかという御批判、御高説もあるかと存じますが、その点につきましては特に拝聴させていただきまして、要綱そのもの、あるいは先ほど申し上げました実施の問題につきましても特に御教示を賜おりたい、こういうふうに考えるのでございます。