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1957-09-27 第26回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月二十七日(金曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸政務次官  木村 俊夫君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省自動車局    業務部長    國友 弘康君    運輸省自動車局    整備部長    岩崎  清君   —————————————   本日の会議に付した案件運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度運輸省関係重要施  策に関する件)  (港湾荷役に関する件)  (外車登録に関する件)   —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  まず、議題に入ります前に過日本委員会におきまして政府の答弁中、訂正をいたしたい旨の申し出がありましたので、この際これを許します。
  3. 國友弘康

    説明員國友弘康君) さき委員会で、相澤先生の御質問に対しまして私から答弁申し上げました内容につきまして、事実と相違しておるところがございますので、訂正をお願いしたいと存じます。  さき運輸委員会議事録の十ページの四段目の八行目ほどからでございますが、答弁申し上げました内容につきましては、「両三年ほど、ことに登録と検査の要員につきまして、陸運事務所増員要求いたしておりました。三年ほど増員がありましたのでございますが、昨年は既存経費の中でまかなえということで増員にはなりませんでした。本年は百二十三名の、全国におきまして増員をいたしております。極力増員をし、予算につきましては一億二百万円ほどの予算要求を、増員施設整備及び拡充ということで要求いたしております。来年度におきましてできるだけ要求を通したい。こういうふうに考えておる次第であります。」、こう答弁申し上げたのでございますが、このうちの、「三年ほど増員がありましたのでございますが、」と申しますのは、実際に増員がございましたのは二年で、昨年は既定経費の中で人員をまかないましたので、これは「二年」と御訂正を願いたいと存じます。それから、「本年は百二十三名の、全国におきまして増員をいたしております。」と速記録にございますのでありますが、これは本年の増員要求が百二十三名でございまして、これは、「増員」と書いてございますのを「増員要求」というふうに訂正をお願い申し上げたいと存じます。
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまの訂正に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、運輸事情等に関する調査のうち、昭和三十三年度運輸省関係重要施策に関する件を議題とたします。  まず、政府より説明を求めます
  6. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) お手元に配付してございます印刷物の「昭和三十三年度運輸省重要施策要綱」というのがございます。第一ページに、大体これを八項目に分けまして、国際収支改善輸送力増強、交通安全と災害防止原子力商船建造促進科学技術振興中小企業振興雇用労働関係改善海上治安体制強化、大体八項目に大きく分けまして御説明を申し上げたいと存じます。  実は、委員長よりお断わり申し上げました通り運輸大臣が余儀ない用務のために本日出席しておりません。本日は、私どもからこの案の内容につきしてまず御説明申し上げまして、明日お開きになります当委員会におきましてあらためて運輸大臣からこの中で符に最重要と認められます案件につきまして皆様に運輸省としての考え方詳細お話を申し上げて特に御支援を仰ぎたい、こういう考えでございます。ただいまから官房長からこの内容につきまして詳細御説明を申し上げます。
  7. 朝田靜夫

    説明員朝田靜夫君) それでは、私から、お手元に配付してございます「昭和三十三年度運輸省重要施策要綱」というものにつきまして、総括的な御説明をこれから申し上げます。  ただいま政務次官から御説明がございましたように、第一ページに掲げてございます八項目の柱を立てまして、それぞれの項目に対応いたしまする具体策をここに盛り上げたのでございます。一応運輸省といたしましてこういった考え方で立案をいたしたのでございますけれども、この要綱それ自体、また、その要綱の実施につきましても、先生方の御高見を拝聴いたしまして実施に移して参りたいと、こう考えておるのでございます。まず第一の項目といたしまして国際収支改善、第二番目が輸送力の増強、第三番目が交通安全と災害防止、四は原子力商船建造促進、第五番目といたしまして科学技術の振興、第六中小企業の振興、第七雇用労働関係改善、最後に海上治安体制の強化、こういうことに重要な項目を掲げまして、以下国際収支改善より具体的に総括的な御説明を申し上げたいと存ずるのであります。  まず第一に、国際収支改善の問題といたしましては、外航海運国際航空観光事業、こういった三ついわゆる貿易外収入の増大をはかりまして国際収支改善に寄与して参りたい、こういうことでありまして、数字の4にありまする船舶及び鉄道車両輸出振興、こういうものにつきましては、以上申し上げましたインヴィジブルに対応いたします商品貿易の関係の輸出振興の問題でありまして、通産省とは別に運輸省の所管になっておりますので、この点につきましても国際収支改善の項に取り上げておるのでございます。  最後に以上と少し趣きを変えまと、第五番目の技術輸出の促進、こういう問題を取り上げておるのでございます。  まず第一の外航海運整備拡充でございますが、御承知のように、戦前貿易外収入の大宗であります海運収入でもって商品貿易の赤字をカバーしておる、そして大きく国際収支全体に寄与して参りましたことは御承知の通りでございますが、最近三十一年度の実績をながめてみますというと、海運の国際収支為替バランスでなしに実質バランスで、いわゆる日本の運賃、外貨建の運賃の受け取りにいたしまして、外船に対しまする支払いに充てまして、いわゆる国際収支実質バランスという点からながめてみますと、二十一年度におきましては二億五千万ドルの赤字を示しておるのであります。すなわち外国から海運サービスを輸入しておるという状態になっております。しかも日本船の積取比率から考えてみますというと、日本船が積み取りました比率は輸出で四九・七%、輸入で四七%、こういうことで、まだ日本船の積取比率は五〇%以下にあるという状態からみまして、貿易に対応して海運の伸び方がいまだ不十分であるということも一つの原因でありまして、こういった外航船に対する支払超過ということによって、現在の国際収支の悪化の大きな原因になっておるというようにわれわれは考えておるのでございます。従いまして、こういった国際収支改善に寄与するどころか海運自体においてすでに赤字を示しておりますので、継続して長期にわたる見通しのもとに計画造船を進めて参る。また自己資金によりまする自己建造につきましても、これが促進策を講じて参りたい、こういうのが第一点の外航船腹拡充長期計画の推進でございます。  次の海運企業国際競争力の強化でございますが、何といいましても海運企業は、なま身で外国からの競争に立ち向かっておるのであります。従いまして税制その他において、あるいは長期低利造船融資を確保いたしませんと、こういった先ほど申し上げました船舶の長期的な見通しのもとに計画造船その他の船舶拡充を進めて参ることはできませんので、企業の内部蓄積を増大する、あるいは長期低利造船融資を確保するという目的をもちまして、税制上の措置あるいはその他の所要の措置を講ずる、こういうことを言っておるのであります。西独の経済再建の一方法といたしまして、住宅と造船のためにとられましたいわゆるこういった方面に無利子で金を出しましたものにつきましては税金を負けてやる、こういったことによって西独の経済建設が進められました例にかんがみまして、いわゆる西独の所得税法の七D条という制度をただいま検討をいたしておるような次第でございます。またそこにございますように、「造船用鋼材の価格を国際水準に近づけるため、材質、寸法等に対する特殊規格料の引下げに必要な特別の措置を講ずる等新造船船価合理的低減をはかる。」、何と申しましても国際競争力の強化には、その船価の低減ということが非常に大きなアイテムでございますが、日本の造船業界といたしましては、設備の近代化によります工数低減を今日まで鋭意はかって参りましたために、今日のような隆盛を誇るところの輸出産業として立ち直ったのでございますが、ただいま、もうそういった造船部門におきまする企業の合理化努力をもっていたしましても、建造船価コストの低下というものをなかなか期待できないほど十分努力をして参りました。ところが一歩この建造コストの大きな部分を占めておりまするいわゆる鋼材価格の問題でありますが、これは国際的に見ましても、いわゆるベース価格が非常に高い。日本の鋼材の価格が高いということのほかに、造船用といたしまして割増料をそのほかに取られている。英国と比べますと、すでにべース価格におきまして一万九千二百円方高いのであります。なおその上に、今申し上げましたように、造船用といたしまして割増料を取られているのであります。しかもその材質、寸法によってそれぞれ規格料というものを取られまして、これが船型によっても違いますけれども、平均いたしましてトン当り八千四百円ばかりの割高になっておりまするということは非常に不合理でもありまするし、国際競争力を阻害する一つの原因にもなっております。従いましてわれわれといたしましては、鋼材価格のべース価格を引き下げることはもちろんでございますけれども、こういった造船用特殊割増料という不合理な制度をなくしていく、これはまあ製鋼技術の問題にもかかって参りまするので、これに対して、国際的に、割増料規格料、こういったものはごくわずかでありまするが、そういったもので今申し上げました平均トン当り八千四百円の割高になっている、その差額がちょうど八千四百円程度になるものでありまするので、これに対しまする助成をして参りたい、補助金というものを一つ考えてみたい、こういうふうに考えているのでございます。  ニの公正な競争の確保でございますが、「運賃の安定をはかり、日本海運の健全な発展を期するため、航路の調整その他公正な競争の確保に必要な措置を講ずる。」、これは最近におきまする海運市況がだんだん悪くなって参りまして、不定期船運賃も非常に下落して参った、従いまして比較的安定をいたしておりまする定期航路の中にだんだん割り込んで参るというようなことがまま見られますのでありまして、かつ対外的な国際海運におきまする協調といった面にも影響もございまするし、日本の海運業者自体過当競争といったようなものを引き起さないように必要な行政指導を続けて参りたいこう嫌いうことが二の項目でございます。  ホの移民船及び外航客船建造促進でございますが、移住政策といたしまして、南米その他の地域にどうしても移住の振興をはからなければならないといったことで、年々移住の送り出しという量がふえて参っておるのでありまするが、現在日本海運が持っておりまする移民船といたしましては四隻があるので、それに十三次計画造船におきまして一隻建造をいたしておりますので、合計五隻でありますから、三十三年度におきましては、日本船移民輸送能力といいまするのは、年間七千四百五十人くらいになっておるのであります。そこへ、外船の場合、ロイアルインター・オーションという会社がやっておりまするが、これが二千七百人くらいであります。従いましてまあ三十三年度の輸送力といたしましては一万百五十人になるわけであります。来年度の移民の送出計画というものはよくまだ決定をいたしておりませんが、われわれの外務省当局とのいろいろな話し合いからいたしまして、約一万三千人くらいの見通しではないか、こういうことを言われてただいま検討をいたしておるのでごいますけれども、年々こういった状態でふえて参りまする移民の送出につきまして、輸送力がそれに即応して増強されればいいのでありますけれども、従来は貨物と移民と並行して、それによって運航採算というものをとって参っておるのであります。しかしながら私企業にとしても限度がありまするし、どんどんふえて参りまする移民に対して、どんどん船を作っていくということもなかなか困難な状態であります。従いましてそういった建造並びに運航採算上どうしても損失をこうむるようなものに対しまして、この際特別の助成措置を考えていきたい、それから又客船問題でありますが太平洋観光客船の増大に伴いまして、航空機輸送力も見合いましてどうしても太平洋における旅客海上輸送の航権を確立する、あるいは観光客の吸収によりまして、国際収支改善に対する寄与をして参りたい、こういったことで客船に対しまする建造促進としても、やはり移民船同様特別の助成措置を講じて参らなければならない、こういうふうに考えておるのであります。  第二番目に国際航空整備強化でございますが、航空路線拡充強化ということを第一番目にあげております。現在やっておりまする国際路線で有望な新路線を伸ばしていきたい、あるいは新しくセイリングをふやして参りましたりいたしまして、国際路線を拡充して参らなきゃならないのでありますが、日本航空株式会社新型機購入計画に即応して、従来政府出資を毎年十億円ずつ続けてきておるのでございますけれども、すでに発注済みでありまするDC七あるいはDC八といったような新型の機種を購入いたしますためにも、あるいは先ほども申し上げました新路線の拡充のためにも膨大な資金が必要になって参りまするので、これを政府出資の継続を来年度においても続けて参らなきゃならぬ、こういうことでございます。口の航空従事者養成強化でありますが、このような既存路線のみでなしに、どんどん国際路線がふえて参りまするので、それに対応いたしまするところの要員がすでに行き詰まって参ったような状態でありまするので、どうしてもこの要員の確保をはからなきゃならない。現在におきましては、外人パイロットの給与は日本人のパイロットの五倍以上にも上る状態でもありまするし、一日も早く日本側の手で自主態勢を確立いたしまして、こういった国際航空の整備をはかって参らなきゃならないのであります。従いましてこれに対応いたしまして航空大学校の施設を整備拡大する必要がある、現在本科生を十人ばかり養成しておるのでございますけれども、これを来年度におきましては五十人程度に増員をいたしたいという計画を持っておるのでございます。なお民間航空事業者におきましても一人前のパイロットに仕立てあげますためにどうしても航空会社自体においても養成をしていかなければならないというようなことに対しまする政府側の補助あるいは航空従事者の養成をそういった方法によりまして強化して参りたいということが口でございます。その次の国際空港の整備でございますが最近御承知のように、航空機発達改善というものは非常に目ざましいものがあるのでございますが、ジェット機が出現いたして参りますというと、現在の国際空港、羽田空港におきましては、どうしても長さとか、あるいは強度といったような点で滑走路が非常に不十分でございますので、昨年も予算に計上いたしまし昭和三十六年度に完成を目標にいたしまして一万フィートの新しい滑走路を現在の滑走路に平行いたしまして新設をいたすということにして鋭意工事を進めておるのでございます。ただ新しく起って参ります問題といたしまして、伊丹飛行場の返還が十一月一日から米軍が撤退いたしまして実現をいたしますので、これにつきましても関西経済界と密接な関係にあります東南アジアあるいは中共方面のそれに対する国際空港として整備をするために現在六千フィートの滑走路でございますけれども、これもまたこれと平行いたしまして一万フィートの滑走路を作っていきたいというふうに方針を立てた次第でございます。  その次の観光事業の振興でございますが、海外観光宣伝浸透強化、こういう問題であります。まずこういった対外宣伝浸透強化の方向といたしまして、四つばかり問題を考えられるのでございますが、まず第一には宣伝資料の充実ということ、第二番目には海外宣伝事務所を拡充していかなければならない、第三番目には海外博覧会等が開催されますので、それに積極的に参加していかなければならない、第四番目には国際観光機関と連携を緊密にいたしまして、相互に助け合ってお互いの観光宣伝の実をあげていくということであろうかと思うのであります。従いまして、従来アメリカ人がおもな観光客でございましたので、北米を主として強化をするという方針で参りました。来年は、欧州、東南アジアと書いてございますが、そういった方面におきましても海外宣伝事務所を設けたい。欧州においては、われわれの方といたしましてはパリを考えておるのでありまして、東南アジアにおきましてはバンコック、こういうことを今予定して来年度の予算にも要求をいたす方針でございます。こういったために国際光協会に対しましてそういう在外事務所の宣伝のために毎年補助をいたしておりますが、本年度は補助金が一億四千五百万円であったのでございます。民間の醵出が六千万円ほどございましたので、約二億円の予算でもってこの事業を行なっておるわけでございます。さらにこれを拡大いたして強化をはかって参りたい。「近隣諸邦との協力態勢を促進する」ということをここに書いてございますが、宣伝資料相互交換をやるとか、あるいは国際観光機関と提携をいたしまして協力態勢をそこではかっていきたいということでございます。口の観光諸施設の整備拡充でございます。「主要観光地域における外客向宿泊施設ユースホステルその他の観光施設整備拡充を図るため、資金の確保に努めるとともに法的措置その他所要の助成措置を講ずる。」こう書いてございます。観光客宿泊施設というものに対しまする既成の法律といたしまして、御承知のように国際観光ホテル整備法というものがございますが、これを改正いたしまして宿泊施設の新築、増築に対しまして税の減免をはかっていくというような助成措置をここで考えておるのであります。ユースホステルその他の観光施設整備拡充ということにつきましては、海外の低額所得者、あるいは青少年というものの誘致に努めるためにこういったユースホステル地方公共団体に作らせましてそれに対する助成を補助金といったようなものをここで考えておるようなわけであります。  次に、ハでございますが、新観光資源の開発、紹介。「外客の滞在期間の延長を目途とし、未開発の観光地観光資源の開発、紹介を推進するとともに、わが国固有産業代表的近代産業の諸施設を広く観光外客に開放し、その製作工程等を視察せしめる等の便宜供与体制を整備し、産業観光テクニカル・ツーリズム)の促進を図る。」これはテクニカル・ツーリズムというのは欧州諸国において非常に成功をおさめておるのであります。産業と観光とを直結させるような新しい試みでございますが、たとえば、わが国におきましては真珠といったようなもののその製造工程を見せるとともに、そういった観光地帯の紹介ということとあわせまして便宜供与体制をそこで作っていくということが非常に効果的な方法であろうというので、こういった方面の推進もはかって参りたいというふうに考えるのであります。  ニの外客接遇充実改善でございますが、これは従来ともにわれわれが主張して参っておるのでありますが、外客出入国手続簡易化、あるいは通貨管理合理化というようなものをもっと進めて参りませんとどうしても外客誘致に支障を与えておるような現状でありますので、特に出入国手続簡易化につきましては、現在は欧州各国を初めといたしまして十三カ国の間には相互主義に基きまして査証の免除をしておるのであります。ヴィザの免除をしておるのでございますけれども、観光客の大部分を占めておりますところの米国人、あるいはカナダ人いったようなものに対しましてはなかなかそう簡単に参りませんけれども、欧州諸国ではすでに一方的にこれを免除しておるのでございます。従いましてわが国といたしましてもいろいろ外交上の問題がございましょうとは思いますけれども、西欧諸国と同じように一方的にこれを免除して誘致に努めたらどうか、あるいは通貨管理合理化、外客が入国して参りまして再び日本の国を出て参りますときに外貨の再交換額に制限があるわけでございます。これは現在百ドルでございますが、こういったものの撤廃、あるいは緩和をしていく、あるいは旅行あっせん案内の充実とかいうこと、ガイドの育成、指導とか、あるいは旅行あっせん業者を監督強化する、もぐり業者なんかを根絶するというようなこと、あるいは観光教育普及徹底をはかるいうようなことで諸般の助成指導を推進するということであります。  その次の第四番目は、先ほど申上げましたように、以上申し述べましたいわゆるインヴィジブルに対応いたしまする商品貿易運輸省所管船舶鉄道車両輸出振興であります  まず第一に、海外市場の確保と企業の海外進出の促進であります。従来の市場の確保と、これに対する輸出量の増大をはかるとともに、新市場の開拓と企業の海外進出を促進るため、在外公館の活動を強化するあるいは民間の海外調査宣伝活動を強化していく、あるいはアフター・サービス等に対する助成をはかっていくということを言っておるのでございますけれども、船舶につきましては、御承知のように、非常に輸出船舶について目ざましい実績を上げておるのであります。三十一年度の実績は、私どもの方で調べましたところが船舶の輸出は三億一千一百万ドルの実績を上げております。車両については二千六百十九万ドルということでございまして、三十二年度の見通しといたしましては、本年度の見通しは、船舶輸出が三億八千万ドル、鉄道車両が三千五百万ドル、こういう見通しを現在立てているのでざいますけれども、船舶建造熱は世界的に、鬼ほど申し上げましたように、市況がだんだん漸落いたして参りましたに伴いまして需要熱が少し冷却をして参っておる。しかもまた非常に超大型化という、船舶が非常に大型化して参り、いわゆるジャイアンツ・タソカーとか、マンモス・タンカーというようなものが出現をして参りましたので、こういったものに対します市場調査ということをやって参らなければなりませんし、あるいは東南アジアにおいて需要がありまするところの河川用船舶調査研究をするというようなことを新しく調査していかなければならない。鉄道車両東南アジア、あるいは中近東方面調査団を派遣をするとか、あるいは中近東から造船使節団を呼ぶとかいうようないろいろなことをやりまして、ことにわが国鉄道車両技術優秀性をそういった輸出国代表者に見ていただいてよく認識をしていただくというようなことに対します助成をここで考えておるのでございます。ことに、ソ連、中共等の共産圏向け輸出につきましては、輸出制限の緩和、適切な決済方法の確立等に努めるということで、こういうものが隘路になっておりまするので、できるだけわれわれといたしましても輸出制限の緩和をはかっていきましたり、決済方法についても特に便宜的な方法を考えていかなければならないというふうに考えておるのでございます。口の輸出金融の強化でありますが、「輸出入銀行の融資比率の引上げ、担保の軽減、貸付期限の延長等融資条件の緩和を図る。また長期延払条件の緩稲を図ることにより、新市場からの受注の増大に努める。」と書いてございますが、御承知のように船舶の輸出につきましては、当初は輸出銀行の融資比率は市中との協調融資でございますので、最初は八対二であったおけであります。輸出銀行が八、市中銀行が二割と、こういう状態でありましたが、七割、三割に下げられ本年に至りまして非常に船舶輸出は強くなったのだから、この辺は条件を少し強くしてもいいじゃないかというような、そういった考えから現在は輸出銀行が六割、市中の銀行が四割、こういった融資比率が下げられております。こう少しいいからといって、こういうような手段をとられては伸びるものも伸びなくなるというのが正直なところわれわれの考え方でありまして、当初の八割と二割の比率に引き上げてもらいたいというようなことをここで言っておるわけであります。そこで担保の軽減、これは非常に輸出量が増大して参りますので、担保が枯渇して参りますし、あるいは貸付期限の延長、これは法律上十年は可能ではあまするけれども、実際はそれよりも短かい期限でもって運用されておりますので、こういった緩和をはかる必要がある。あるいは延べ払いというようなことでだんだんと、盛んでありました船舶輸出につきましても非常に楽観を許さないような状態になっておりますので、こういうような条件を緩和していかなければならぬというふうに考えるのであります。  その次のハの輸出所得の特別控除制度の拡大及び期限の延長でありますが、船舶にしましても、鉄道車両にいたしまても、輸出所得について所得の特別控除制度というのがございますので、その点現在水揚げの五%というのが控除率になっております。これは輸出振興のためにもっとその控除率を引き上げるべきである、この時限法でありまするこの制度をもっと延長すべきであるというようなことをここで言っておるのであります。  それからその次の設備等輸出為替損失補償の限度額の引き玉げ。特に東南アジア方面向けの、ポンド地域と書いてありますが、東南アジアでありますが、こういう方面への輸出の増大を促進いたしますために、設備等輸出為替損失補償制度というもがございます。これは現在実際のところは二百億円くらいの限度であります。こういう金目のはります船舶輸出といったようなものにつきましては、そういった限度を引き上げる必要があります。また補償料率の引き下げもはかる必要がある。こういうことであります。  その次の設備の近代化。「船台、船桑や工作機械等の生産設備を近代化で輸出需要の質的変化に即応するとともに、コストの低減による輸出競争力の強化を図るものとし、これがため必要な資金の確保、特別償却制度の拡大等措置を講ずる。」こういう先ほども申し上げましたような引き合いのありました輸出船が非常に大型化して参っておりまする趨勢で、船台を伸ばさなければならなかったり、あるいは工作機械あるいはドックというような設備拡充をある程度やって近代化していかなければならないのであります。これは新しい商品に対応する設備を整えていくという問題でもありますので、こういったものに対します資金の確保、あるいは特別償却制度の拡大をはかって参らなければならぬということであります。  その次の原材料価格の低減でありますが、「船舶及び鉄道車両用鋼材その他の原材料の価格の低減方策を講じて、輸出競争力の強化をはかる。」先ほど申し上げましたように、非常にこういった建造並びに製造コストの大きな部分を占めておりまする鋼材価格の低減という問題をここで取り上げておるのであります。ここにおきましてはベース価格の引き下げももとよりやらなければならないということを言っておるのでありして、先ほども申し上げました造船用だけに特別に課せられておる割増料の問題につきましては、先ほど国際競争力の強化の点で述べましたので、この点はむしろベース価格の引き下げをここで意図しておるわけであります。  第五番目には、技術輸出の促進でありますが、東南アジア及び中南米における鉄道、港湾の建設、造船技術指導等のための技術者の派遣等技術輸出を促進するための態勢を整備し、これに対する強力な助成措置を講ずる。」最近インドの国鉄の交流電化の問題がございましたり、あるいはごく最近パラグァイへ運輸省の造船課長とほか一名を派遣いたしまして、造船技術の指導をやったりいたしておりまするが、こういう経済協力の先行条件であります交通というものにつきましては特に技術輸出というものをやりますことによって貿易外収入の増大をはかるとともに、それにあとに続いて参ります車両の輸出というものがつながって起って参りますので、これをなおざりにするわけには参りませんし、大いに海外技術の進出をここですべきだということで、国有鉄道の技術の協力に当っては国有鉄道以外の方面にはほとんど期待出来ないのでありますが、国鉄には国鉄のプロパーの与えられた使命がある。海外まで技術進出をやっていいかどうかという問題もございますし、そこでこういったわれわれの考えといたしましては、強力な一つの団体を作りて、そこに助成をして、その派遣費用のある程度の助成をするといったようなことで参りたいと思うのでございますが、さしあたりは海外技術協会に対する補助を来年度はこれによって要求をいたしたいというふうに考えておるのでございます。  第二番目の大きな柱に移りまして、輸送力の増強でございますが、国内輸送体系の確立。「国内輸送に関する基本的統計調査の充実強化を図り、各輸送機関の輸送量及び運賃料金の調整合理的な投資計画の策定等を通じて、国内輸送体系の確立を促進する。」ということでございまして、これが私どもといたしましては運輸省の最も大事な仕事であり、国内輸送体系をほんとの姿にもっていくためには、環状をながめてみますとまことに恥かしい話でありまして、基本的な統計調査というものはなかなかでき上っていない。また、どうしても必要な将来の交通政策と直結いたしまするこういった調査統計というものにつきまして、非常に正直な告白を申し上げますと弱いのであります。これは何とかしてこうやつた基本的調査の基盤を作り上げたいと考えておるのでございますけれども、さしあたりこういった設備投資とその投資効率といった方面から輸送分野の適正な確立をはかっていく、海、陸空、空というのはプロポーションとしては少いのでございますけれども、各輸送機関別の適正な輸送分野というものを、政策的にも確立をいたしまするためには、どうしても基本的統計調査というものの充実をはかっていかなければならぬということになるわけでございます。もちろん各港湾あるいは高速自動車国道、こういったものにつきましては、経済調査というものを要求し、一部昨年度も予算がついたのでございますが、総合的な、各輸送機関別の総合的なものにつきましては、まことに力がまだ不足いたしておりまするので、この方面にも力を注がねばならぬということでございます。第二番目の鉄道輸送力の増強でありますが、まず第一に主要幹線輸送力の増強、国鉄五カ年計画の推進、これは過般の運賃改訂に伴いまして三十二年度におきましては一千七十億という工事費をもって国鉄輸送力の増強に努めで参っておるのでありますが、引き続きこの五カ年計画を貫徹していかなければならぬということで、主要幹線の増強及び近代化、山陽線、東北線等主線区の電化、非電化区間のディーゼル化、こういうものを順を追って進めて参りたい。大都市通勤輸送の緩和、貨物輸送の円滑化等、こういった重要な計画が盛り込まれておりまする五カ年計画を適確に推進をして輸送力の増強をはかっていきたい。そしてこれがために必要な資金の確保をはかるということでございますが、三十三年度におきましては、これは国鉄の予算になるわけでございますけれども、千二百億円ばかりの工事費予算をもって進めて参りたいというふうに考えておるのでございます。  次の東海道新幹線の建設促進でありますが、「東海道本線輸送力の逼迫の現状を打開するため、国鉄五カ年計画による既設線の輸送力増強を実施するほか、あらたに東京大阪間の高速列車用の新幹線の建設を促進して、輸送力の飛躍的増強をはかることとし、これがための態勢を整備する。」と書いてございますが、高速自動車道ができ上りましても、それに転移される輸送量というものを差し引きましても、三十八年から四十年程度におきましては、現有の東海道本線の輸送力では行き詰まりがぐるということが非常に明らかになっておりまするので、過般の閣議、決定をもちまして東海道幹線調査会いうものを運輸省に設置いたしたのであります。従いましてここにおいて、必要な計画を樹立をするという態勢をここでととのえたわけでごいます。  その次の津軽海峡隧道及び本土四国海峡鉄道の建設促進でございますが、これももちろん国鉄予算に属することでございますけれども、青函間輸送力の増強と安全輸送の確保のために、津軽海峡隧道の建設を促進して、北海道開発に寄与する、また本土四国間輸送の一本化のために本土四国海峡鉄道の建設を促進して、四国、淡路島総合開発に寄与する。今後の経済長期見通しにおきましても、増線の対象は北海道に重点を指向されておるので、こういう北海道開発に寄与するいうことと、それから本土四国をつなぎまする輸送力の強化をはかっていくということの推進をしていくということでございます。  その次の新線の建設でございますが、「国土開発、産業振興、輸送の効率化等の総合的見地から必要な鉄道新線の建設を重点的に実施する。」本年は御承知の通りに七十億の予算がついたのでありますが、来年度はこれで百三十億の要求をいたしておるのでございます。すでに着工を決定いたしましたものは十三線、継続してやっておりますものが十五線でございます。  その次の大都市交通輸送力の増強でございますが、大私鉄五カ年計画の推進、これで車両の増備、線路の増設、設備の近代化、こういったような輸送力を増強いたしまする手段につきまして、個々の具体計画を十四社で約千二百億円程度の計画を持っておりまするので、この計画を大いに推進をしていこう、それでもって大都市周辺の輸送力の増強をはかって参りたいというふうに考えておるのでございます。  その次の地下高速鉄道の増強でございますが、「帝都高速度交通営団等による地下高速鉄道の建設を促進するとともに、これと郊外私鉄との直通運転を実施して、通勤通学輸送力の増強をはかるものとし、これがため必要な資金を確保する。」三十一年度が四十五億円、三十二年度は六十六億円でありますが、三十三年度におきましては、新宿線が開通をいたすことになっております。  その次の鉄道の近代化の促進。「鉄道の電化、ディーゼル化及び車両の軽量化を促進し、これに即応する設備の近代化をはかり、スピードアップの要請にこたえるとともに輸送力の増強と燃料資源の節約に資する。」鉄道の近代化をこういったことによって推進をしていこう。  その次の鉄道と自動車の共同輸送の実施でございますが、国有鉄道の輸送力が非常に逼迫を告げておりますので、一部線区、たとえば山手線のようなものにつきましてもトラックで輸送をする、あるいは東北線におきまして、貨物線を急行で運行いたしまして、停車しない駅の貨物を停車駅までトラックで運ばせる、こういうことによりまして貨車を生み出して輸送力を増強していこうということで、鉄道と自動車の共同輸送体制をそこで開いていこうということでございます。この自動車の共同輸送体制は国鉄自動車民間自動車とで共同で行わしたいというふうに考えておるのでございます。  その次の自動車輸送力の増強でございますがバス及びトラック路線の整備。「運輸協定の締結等の自主的方法により、事業者相互間の協調のもとにバネ及びトラック路線の整備を促進する。」お互いに運輸協定を自主的に締結をいたしまして相互乗り入れといったような方法で輸送力の増強整備をはかっていけるのでありまするから、この方面の行政指導も力を入れていく必要がある。  それから大都市における自動車輸送力の増強でありますが、バス輸送力の増強。「大都市及びその近郊におきまするラッシュ・アワー、通勤時間帯の輸送難を打開するため、バス輸送力の増強整備施策を策定する。」これは具体的に何を言っておるのかということになりますと、車両の装備あるいは共通乗車券の発売をさせるとかいったようなことを行政指導でやっていこうという考えでございます。  その次の貨物輸送態勢の確立。「大郡市を中心とする路線トラック網の進展に伴い、集配機構を広く一般の需要に即応し得る態勢に拡充し、あわせて貨物輸送の能率化をはかるため、貨物集配網の再編成及び集配施設の協同化を推進し、合理的な貨物輸送態勢を確立する。」これはばらばらにやっておりまする営業所というものを適当なところに配置がえをする、あるいは行き先別に営業所を集約するというようなことで整理いたしましたり、あるいは一個所にまとめましたり、あるいは足りないところに適当な営業所を配置して、集貨あるいは集配施設の共同体制をここでしいていこうということを考えておるのでございます。  その次に移りまして、ターミナル施設の整備促進でございますが、非常に混雑いたしておりまする都市交通の要衝でありますターミナルを、早急に設置する必要があることは申すまでもないのでありますが、都市交通審議会の答申、あるいは首都圏整備委員会の整備計画の予定をも考えまして、配置規模及び構造設備について適切な管理を行うため自動車ターミナル法を制定をいたしますとともに、大都市におきまするバスターミナルの建設整備を推進するため、バスターミナル助成法を制定をいたします。関係公共団体に対して、これはまあ助成をしようということであります。  そのつぎの駐車場法による駐車場施策の推進。前国会におきまして、駐車場法の通過がありましたので、この駐車場整備地区の指定とか、あるいは路上駐車場設置計画、路外駐車場の配置規模の決定というようなものを、建設省、運輸省、警察庁共管になっておりますので、よく緊密な連携を保ってこれの決定をしていこうということであります。  その次の高速自動車国道の整備促進でありますが、国土開発縦貫自動車道建設法及び高速自動車国道法の制定に伴う名古屋神戸間の高速自動車国道の建設を促進し、その供用開始に備えて通行車両の合理的な速度及び徴収料金等について調査研究を進めるとともに、東京名古屋間及び博多門司間等の高速自動車国道の整備に関して調査研究を行う、こういった調査は、自動車国道が巨頭の資金を要しまするし、かつ国民経済上から見ましても、あるいは国内幹線輸送量から見ましても重大な影響がありますので、特に他のまた交通機関に及ぼす影響等も考えて、経済効果あるいは開発効果といたようなものに、重点をそういう点におきまして調査をするようにいたしたいというふうに考えるのでございます。  その次の荷役及び集配施設の整備でございますが、鉄道輸送力の増強に対応しまして、主要駅におきまする荷役集配施設の合理化近代化を推進するということでございますが、これは荷物集配等におきまする機械化ということに尽きるのでございます。荷役機械あるいはコンテイナーの取り入れといったようなことで近代化を進めていきたいという考えであります。  第四番目の海上輸送力の増強でありますが、内航貨物船の船質改善。「老朽船または低性能戦漂船がその大半を占める内航貨物船の改装、代替による船質改善を促進するため、長期低利資金の確保をはかるとともに、所要の税制上の措置を講ずる。」、これは御承知のように、内航貨物船は、老朽船、あるいは戦時中急造されました戦時標準型船舶が大半を占めておりますので、こういった内航貨物船のうちで、まだ石炭だきのものがあります。そういうものを油だきに主機を換装していく、主機換装といっておりますが、こういったものを約五十隻、五万トンばかりこれをやっていこう、開発銀行の資金に依存するわけでありますが、約四億円程度と見込れるのであります。  それからその次の国鉄輸送貨物の海送転移の促進でありますが、「国鉄貨物輸送の現状にかんがみ、海送転移を促進するため所要の措置を講ずる。」と非常に抽象的に書いておるのでございますが、ただいま検討いたしておりまするのは、特に北海道の問題でありまして、国鉄輸送力をもってしては運び切れないとい滞貨として残るであろうと思われるのが約百三十万トン、北海道から内地に持ってくるものにつきまして百三十万トン程度あると見込まれるのであります。これに対しまして国鉄と海送におきまする運賃諸掛りとの差額を補助してはどうか。これは定期航路業者に対して補助して海送転移を促進したらどうかということにつきまして目下検討を進めて、予算要求等につきましても、一応こういう線で要求を出しておるのでございます。その次の港湾荷役近代化であります。港湾荷役の機械化、上屋、倉庫の整備、こういったものによりまして、接岸荷役をどんどん促進いたしませんと、ポート・チャージが非常に高くなりますので、海送転移も従ってできないというようなことで、こういった港湾諸作業の近代化をはかっていく、あるいは施設を整備していく、あるいは港湾荷役力の増強とポート・チャージの適正軽減化をはかっていかなければならないというふうに考えておるのであります。  その次の港湾及び航路の整備であります。産業関連港湾施設の整備のまず第一点は、石油輸入港及び国内配分基地の整備。先ほども申し上げましたように、特にタンカーにつきましては、大型になりまして、スーパー・タンカーあるいはジャイアンツ・タンカー、マンモス・タンカーというようなのが出て参りますので、原油の輸入基地の航路の水深が浅いので入れません。そこで、こういった航路、泊地の水深を増加していくための施設をしていくということでありまするし、また国内流通量もそれに従いまして非常にふえて参りましたので、国内を配分基地の整備をする。四日市とか徳山、下松、こういったような、そのほかの港につきましても、こういう産業関連港湾施設の整備を特に石油について重点を置いてやっていきたい。石炭の積出港及び陸揚港の施設整備でありますが、石炭生産量が増加して参りましたし、その積出港の施設がどうしても足りない、あるいは非能率だ、こういうようなところの場所におきましては、石炭専用の石炭埠頭を建設していこうということで、唐津、室蘭だとか、その他の港につきまして、こういう公共事業としてこれを推進していくということでございます。鉄鋼関係の港湾施設の整備でございますが、これも同様にオアーキャリヤーを将来どうしても考えなければならないということで、大型の鉄鉱石専用船に対しまする施設で、製鉄工場の港湾施設を国の事業として計画してやっていくという考えでおるのでございます。工業港の整備。「産業の拡大に伴う工場の増新設に対して、土地の造成、公共埠頭の整備等工業港施設の整備を促進する。」これは従来もやって参っておるのであります。  その次の主要輸出港の整備、こういったものにつきましても同様でございますがセメントとか肥料あるいは重機械、雑貨、こういったものの大量貨物の輸出を扱います港におきまして、輸出コストの低減をはかりますために港の設備を整備をしていくということでございます。  その次の主要国土開発地域の港湾整備。国土総合開発計画に歩調を合せまして、未開発地域の東北とか北海道とかいったもの、あるいは離島振興法の建前からいたしまして、離島の港湾整備をはかる、あるいは地方の開発促進のために必要なもの、あるいは海送転移を促進するに必要な施設、こういったものの整備をこの項において考えておるわけであります。  それから次の関門海峡及び瀬戸内海航路の国際航路としての整備でありますが、中共等の貿易の将来増加が当然見込まれるのでありますために、関門あるいは瀬戸内海航路の航行船腹を増加していくということで、関門海峡と瀬戸内海、特に備讃瀬戸でありますが、そういったところの航路につきましては、大型船が通らないというので、国際航路として復活をこの際考えて、今から手を打っていかなければならぬということをここで考えておるのでございます。  その次の直轄港湾工事態勢の整備強化でありますが、「港湾工事量の激増に伴い、作業船の整備増強のために作業船特例会計設置等の措置を講ずるとともに、工法の近代化をはかり、港湾工事力の画期的増強をはかる。」これはドレジャーを作るにいたしましても、あるいは公共事業の予算にいたしましても、産業関連港湾施設を急速に整備しなければならぬというにもかかわらず、公共事業費がそんなに急速に大幅に増額はむずかしいということで、ドレジャー、あるいは必要な産業関連施設で、急速に整備を要するものにつきましては、特例会計いうことを考えていって、そうして資金運用部資金あたりから受け入れまして、将来それを返還していくというような、一般会計と区別した体制をとって、ここ二、三年の間に整備をはかって、産業基盤の強化をはかっていく、こういうことをここで言っておるわけであります。  その次の、最後の輸送力増強の項の国内航空路網の整備拡充でございますが、「著増する航空需要に対応しまして、現行の国内路線を整備強化するために必要な地方空港の整備、航空従事者の養成を推進するとともに、航空運送事業を経営する会社に対する育成措置を強力に推進する。」ということでございますが、これは地方空港の整備は、十の空港を整備いたしております。来年は新規の調査で四つばかりのローカル空港を考えておるのでございますが、こういった国内の空港につきましても整備を進めまして、これをつなぎまする定期航路の運航を開始する必要があるというふうに考えられるわけでございます。  第三番目の交通安全と災害防止でありますが、海上航行の安全確保、これは一番最後の大きな柱の八という海上治安体制の強化ということと海上保安庁の仕事自体が関連をいたしますもので、一緒に御説明を申し上げたいと思うのでございます。  海上の航行安全とか人命財産の救助といったようなことはもちろん海上保安庁の職務でありまするし、また一番最後にありまする海上治安体制の強化という問題につきましても、海上保安庁の仕事として有機的に同時にやっておるわけでございます。従いまして取締りとあるいは救難救助といったようなものが一体となって業務が運行されておりますために、それに要しまする施設、船舶でありますとか、航空機でありますとか、通信施設でありますとか、あるいは基地施設、こういったものは全部一体有機的に動かされておりますので、従来からのこういった施設は非常に老朽化して参りまして、こういう方面の増強をどうしてもやっていがなければならぬ。現在の巡視船の三分の一は旧海軍から引き継ぎました老朽船でございます。もう修理もできないというようなことで繋船をしなければならぬというような巡視船も出て参っておりますので、こういったものの代替建造、通信施設の老朽化したものを解消する、あるいは新設するということで、どうしても新造大型巡視船、あるいは航空機も新造して参らなければならぬ。新造は従来認められておりませんので、毎年代替建造しか認められておりませんが、この際どうしても新造して参りませんと、船舶の需要その他から考えまして、どうしても無理だというような結論に達しておるのでございます。  その次の航路標識の整備と管理体制の再編成でございますが、「ロラン局の完成その他航路標識網の整備及び航路標識機器の自動化等の改良改修を促進するとともに、航路標識の合理的維持管理のための集約管理体制を確立する。」これはロラン局は御承知のように、根室と大釜崎と銚子と、この三つのステーションで、北太平洋におきますロング・レンジ・ナビゲーションに対する補助施設であります。これが来年度中には何とかして完成したい。そして、航路標識、灯台その他の航路標識の整備をはかって参るのでありますが、国勢調査で当委員会におきましても御報告がございましたように、非常にその僻地におきまする灯台職員等の生活、勤務の問題もございますので、また業務の運営上も能率的にやって参りますために集約管理をやっていかなければならぬ。現在全国二千九十一基の航路標識があるのでございますが、それを二百五十六カ所で集約、この集約管理はちょっと違うのでありますが、二百五十六カ所の航路標識事務所におきまして管理運営しておるのでありますが、依然として非常に集約体制というものが不十分である。非常に生活、勤務の環境その他につきましてもどうしても考えなければならぬということで、業務に適した便宜の地に移しまして、大体行動半径が一日で行けるところのようなものを一カ所で集約管理するということで、そういったためにジープが要るとか、あるいは船艇が要るというようなことで見回らなければなりませんから、あるいは交代で見回って完全な管理を続けていかなければならぬということで、機動力を必要とするわけでございます。従いまして、船艇とか、車両とかいったようなものもどうしても予算要求を通してこういう理想を実現して参りたいということでございます。  水路測量の促進でありますが、年々非常に多額の港湾施設に対して工事費が投下されている。それが港湾の工事が完了いたしましても、それを測量をいたしまして海図に書かなければならぬわけでありますが、それもなかなか十分に参りません。そこで年々でき上っていきまする工事のあとで測量をして海図を補正して、十分航海者に利用させるということで、水路業務の充実強化をはかるということをいっておるのであります。  港内の安全確保、これは主として港内における船舶の安全ということで港内信号施設の増強、特定港の増加等の措置を講ずるとともに、防波堤、避難港、航路等を整備して、港内の安全を確保する。  旅客定期航路船舶の代替建造の促進でありますが、先般問題になりました第五北川丸事件以来、老朽の旅客定期航路船舶を計画的に、まあ五カ年計画でもってこの定期航路に用いております船舶を代替建造していこう、こういうことでございます。まあ標準船型を設計いたしましたり、あるいは税制措置で必要な処置を講じ、あるいは長期低利資金の確保ということもあわせて行いませんと、どうしてもこの五カ年計画で代替するといっても無理でございますので、そういう方面に力をいたしていきたい。それからまた事業者の船客傷害保険への加入を強力に推進する。海上運送法には加入しろということを運輸大臣が命令することができることになっておりますので、こういうことも強力に進めていきたいということであります。  への港湾、海岸の保全でありますが、港湾災害のすみやかな復旧をはかるとともに、防災工事を推進し、特に海岸保全施設については海岸法が先般施行されまして、港湾管理者がその港湾区域におきまする海岸の保全に対して責任を負うということになっておりますので、その整備に特段の努力を払う。  海難防止に関する啓蒙指導の強化。「海事法令の励行をはかりますとともに、海難防止思想の普及徹底を期するための啓蒙指導を強化し、所要の体制の整備をはかる。」これは航行安全審議会の答申にもございまして、啓蒙宣伝のために、あるいは指導のために新しい団体の結成を、ここで設立して、こういう実をあげていきたいというふうに考えておるのであります。  その次の陸上交通の安全確保でありますが、鉄道の安全確保、踏切施設の整備。「踏切道及び立体交差施設の整備をはかり、交通事故の防止と輸送能率の増進のため、踏切整備に必要な財政措置を講ずる。」踏切事故は年々激増しておりますので、これに対して鉄道と道路との交差に関する法律案というものと、踏切道整備促進法案という二つの法案を今事務当局では準備しておりまして、その基準費用の分担を明らかにして踏切道の整備をはかって参りたいということであります。  その次の大都市鉄道の高架化、地下化の促進。大都市交通の混雑緩和、事故防止、交通網の整備、高速運転の確保のため、大都市鉄道の高架化または地下化を促進する。  輸送施設等の安全向上。鉄道、軌道に対する保安監督を強化し、老朽の施設、車両の取りかえと車両不燃化を推進するほか、動力車運転者の運転免許制度の整備拡充及び鉄道従事員の養成強化をはかる。  私鉄の災害復旧の促進でありますが、これは災害が起りますと、そのつど単独立法でその助成を考えているというような従来の行き方でなしに、地方鉄道、軌道の災害復旧を促進して、恒久的な災害復旧に対する助成制度をここで考えていきたいということでございます。  その次の自動車交通の安全確保でありますが、高速自動車対策の確立。高速自動車道ができますというと、その上を走ります車両の具備すべき要件、速力にいたしましても、山岳地帯が八十キロとか、あるいは平坦地が百二十キロというようなことで走らなければなりませんが、現在国内で生産されておりますような車両ではこれに対応できない。そういうことからして、その要件につきまして調査研究を行い、安全かつ適正な使用のための基準を設定する等、高速自動車道が出て参りますに伴いまして、そういった態勢を確立していこうということであります。  それから自動車の安全対策の強化でありますが、非常にまあ自動車の数が激増をして参りまして、これに対応して先ほどもお話がありましたように、検査施設と検査要員が足りない。そこで昭和三十一年度末におきましては自動車の台数は百七十七万五千百二十両に達しておりますが、毎年その後どんどんふえて参ります年間三十万両もふえて参ります。それに対しまして自動車事故も当然多くなって参ります。そういうために自動車の国家検査あるいは登録をやるということは非常に有効適切な措置であるということは国内でももちろんでありますが、国連の討議においてもこれは明らかであります。従いましてこういった施設、あるいは要員の確保にどうしても力を注いで参りませんと、交通安全の万全を期し得られない。最近十カ年間に四倍以上自動車の数がふえているにもかかわらず、人員はわずか三割しか増加していないというような状況であります。  その次の自動車損害賠償保障制度の運営機構の合理化でありますが、一方こういった自動車事故に対します犠牲者に対しての救済策といたしましてこの制度があるわけでございますが、自動車損害賠償保障制度につきましても、この運営につきましても、現在保険会社だけでやっておりますような委員会、保険金の査定をいたします委員会も広く学識経験者を交えまして公的な委員会の設置をはかっていきたいということで、また地方の陸運局にこれに必要な人員とか予算というものは全然配付しておりませんので、これに関してまあいろいろその事務量もふえて参っておりますので、この面に対して手当もしていかなければならないということであります。  その次の自動車事故の総合的究明、まあ事故の原因につきましてはいろいろございますが、直接原因として車両の構造とか、あるいは装置、道路交通の状況、運転従事員の操作というような、そういう直接要因と、間接要因でありまする労務管理の適否、整備施設の状態、業務運営の方法といったようなものを多角面から原因を探求していこうということがどうしても必要だということで、これに対する調査とその監督指導を強化するということであります。  その次の航空安全の確保でありますが、航空交通管制の自主的運営と、ここで在日米軍が撤退をして参りまするに伴いまして、米軍側において運営されておりまする施設の中で、航空路を構成いたしまする十二カ所の施設と、それから米軍側の財政責任負担で日本側で運営をしているというようなものが六カ所ありますが、そういうものを全面的に今後撤退に伴って日本側で運営して参らなければなりません。そういうことでこれに対しまする交通管制要員が急速に、三カ年以内に一つ必要要員だけは養成していかなければならない。そこで現在そういったものが米軍側から移管されますと、どうしても必要な交通管制要員というものが七百四十三人要るのでございます。それに対して三十二年度まで毎年予算をつけて養成をしました者が三十二年度末までに三百六十四人になる。そこで残りの三百七十九人を急速に、ここ二、三年の間に養成を完了しなければならぬ。三年間でやりますと毎年百二十六人ずつ養成していかなければならぬということになっておるのでございま出す。  その次の航空機の安全検査の強化であります。「航空機の安全航行を確保するため、航空機の運航及び整備基地における施設、業務等に対する検査を強化するとともに、路線監査を強力に推進する。」ということで、安全検査をこういう施設業務等、それから路線監査も強力にやっていこうということをいっておるのであります。  それからその次のジェット機のための航空保安対策の確立でありますが、ジェット機時代になって参りますと、どうしてもその安全確保、乗員の特殊訓練、施設を整備しなければならぬ、あるいは航空路組織の改革と、それからまた羽田付近におきまする小学校の騒音防止対策も起ります。そういった方面に対する研究を進めていくということであります。  それからその次の航空機救難体制の確立でございますが、航空機の発着が非常に多くなって参り、また航空路が陸上とよく似た状態で混雑して参る、そういうことで事故が起ってくる可能性が多いわけでありますが、それに対しまして、救難についてどうしても日本政府が責任を持たなければならぬ。これはまあ国際民間航空条約に基いて義務づけられておるわけであります。これは今までは日本といたしましては在日米軍にたよっておったわけであります。今後これを自主的にそういった救難体制を整備していく、こういうことであります。  その次の気象業務の強化でありますが、予報精度の向上。「数値予報方式の採用による解析中枢の整備と無線模写放送の実施を促進し、予報精度の向上をはかる。」そこで電子計算器を購入いたしまして、数値予報方式によって予報の精度の向上をはかっていく。あるいは昨年も予算がとれまして無線模写放送というものを作ったわけであります。これで中央に一カ所、地方に九カ所作っておるわけでありますが、こういう予報施設をさらに拡大をいたしまして、予報精度の向上をはかる。そこで基礎的気象業務の整備。「レーダー観測、海洋気象観測、地震火山観測、気象通信、気象統計の整備、気象技術者の研修等基礎的気象業務を整備強化するとともに、僻地気象官署の事務能率向上のための措置を講ずる。」元ほども申し上げましたが気象調査で当委員会の報告もありまして、こういう僻地に勤務する気象観測の職員のための環境あるいは待遇の問題等につきましても万全の努力をはかっていく方針であります。  防災気象業務の整備。水害の防止軽減、河水統制、航海航空の保安、農業災害の防止等のための気象業務の整備ということであります。それからまあ、水防法等、あるいはダム等の関係におきましてこういった降雨量の測定といったようなものの業務を強化していこうということであります  それからその次の原子力商船建造促進でありますが、われわれは昨年以来いろいろ原子力商船の建造につきまして主張をいたして参りましたもの、が最近におきましてやっと原子力委員会そのほかにおきましても共鳴を得まして、三十二年度予算の際においてもいささかそういう気分が出たのでございますけれども、なお慎重を期してその後一年の経過をながめておったわけであります。世界におきます原子力商船建造の機運が非常に急速に高揚して参りました。近き将来に世界の海運界における日本の地位というようなものをも慎重に考慮しなければならぬというような状態でありますので、原子力委員会科学技術庁とも相談をいたしまして、特に船舶用の原子炉の実験動力炉を原子力研究所に購入するという予算の編成方針を科学技術庁、原子力委員会で立ててもらったのでありますそこでこれは陸上と海上の舶用とを両万併用して研究ができるいうような実験動力炉の購入をここで予算がとれれば実現するわけでありますが、そういうような意味におきまして一歩を進めることができるような情勢に立ち至って参っておるような次第でございます。  その次の研究体制の整備でありますが、原子力商船に関する総合的な調査審議を行う機関を設置するとともに、原子力研究所との緊密な連係のもとに、運輸技術研究所における研究体制の整備強化、これはまあ運輸技術研究所におきましては原子力商船の動揺がどうであるとか、あるいは放射能に対する遮蔽がどうであるとか、あるいはリモート・コントロールで非常に離れたところで運転操作ができるというようなものを研究いたしまして、原子力研究所と共同してこういうものの研究体制を整備していこうということであります。  それから原子力商船の基礎的調査研究の促進。原子力商船海外調査団及び留学生の派遣、海外技術者の招聘あるいは原子力商船の仕様概要及び基本設計の委託作成を行う。来年の原子力に関する海外調査団あるいは留学生の派遣につきましては、核燃料物質とこの船舶ということに重点を置かれるように私どもは伺っておるのであります。そういう基礎的研究をさらに推し進めていける段階に入ったということであります。  その次の大きな項目といたしまして、科学技術の振興であります。交通安全確保と災害防止のための試験研究の促進。角型船舶性能試験水槽あるいは航空機性能試験風洞というものを設置しまして、船舶及び航空機の安全性の試験研究をやるということで、これはまあ角型のプールをこしらえまして、そこで波を起させて船舶の操縦、旋回というようなものの研究をするわけであります。あるいは、そしてそういうものに対して設計上の条件を与えるわけであります。  航空機性能試験風洞につきましては、ニカ年計画で秒速八十メートルの八百馬力しいうような風洞を作りまして耐空証明を出すためにもこういう施設を必要とするわけであります。  それから台風防災試験施設を設置して、港湾の災害のための試験研究を推進する。高潮と風浪の合成作用の理論研究ということをここでやるわけであります。  超大型船建造に関する技術的隘路打開の促進でありますが、これは日本の造船技術の国際的信用の上から言いまして、こういう非常に大きな、八万五千トン、あるいは十万トンというような超大型船の建造につきまして種々技術上の問題がありますので、最近におきましても造船技術審議会が答申をいたしております。そういうものに対しまして研究の基本方針、あるいは研究体制につきましてここで積極的にこ  の答申に基いて研究を推進していこうということであります。  それからその次の新技術の開発であります。オートメーションの導入、あるいは科学技術の急速な近代化に即応して専門技術者の養成を促進するとともに、エレクトロニクスの船舶航空機、鉄道への利用、ラジオアイソトープの港湾工事、造船等への利用の促進等、こういったものの促進をはかっていくわけでありますが、これも、ラジオアイソトープにつきましては、港湾工事、あるいは船舶の溶接といったようなものにつきましてもすでに研究を始めておって、成果も上っているのでありまして、エレクトロニクスの問題では、まあこれは電子工業振興臨時措置法がこの前の国会で通りましたので、これに基きまして、交通部門ヘもこういった口ランとか、デッカーとか、レーダー、そういったものの利用をここではかっていくということであります。  直轄研究機関の整備と民間研究の助成。これは本年度は、直轄研究機関  といたしまして、運輸省の研究機関といたしましては運輸技術研究所、気象研究所の二つがありますが、そういうものに重点を置きまして、民間研究の助成というものを少し弱めて、直轄研究所に重点を置いたような予算の形になっておりますこれはどうしてもやはり両者併用して参らないと研究の実があがりませんので、どうしても民間研究の助成とあわせて確保をはかっていきたいということであります  その次の共同研究体制の整備でありますが、これはいろいろ大きな研究になりますと、費用が非常にかさむ、あるいは研究調査の重複があるということがございますので、またその研究の成果を共同して利用しないというような弊害もありますので、こういったものにつきまして共同研究体制を整備するということが非常に効果的であるのであります。まあ現在では造船技術協会などがそういうことをやるのに適したものであろうかと考えております。  その次の地球観測及び海洋調査の推進でございますが、本年の七月一日から発足いたしました地球観測年におきます気象、水象、地象、海象等の観測、まあ商極観測も含まっているわけでありますが、こういうものの観測をやっていくということと、新海洋資源の開発のための大陸棚の調査、これは海底資源につきまして海上保安庁の水路部の方で委託調査をやっておりますが、こういうものをもっと拡大していく、そうして海底資源をうんと開発をしていこうとか、あるいは漁場の調査をやるとかというようなことで、そういった産業開発にも資しまするとともに、非常におくれておりました水路業務のプロパーの精密な沿岸図も同時に作成し得るというような利点もありますので、こういった委託調査を大いに推進をして必要がある。また放射能等によりまする大気及び海水の汚染、これは気象庁と海上保安庁でありますが、そういったものの汚染調査を、各官庁の分担区域がきまっておりまして、そういうことを実施する。皆既日食観測もあわせて実施するための必要な態勢をとるということでございます。  その次の第六番目の、中小企業の振興でございますが、事業者の組織化、集中化の促進ということで、中小企業等協同組合法の積極的な活用と、それからこの間の前国会におきまして通過をいたしました小型船海運組合法、こういうもの、あるいは機械工業振興臨時措置法、こういう特別の機械、特殊な機械、中小企業に属しますポンプとか、バルブだとか、そういったような特別の指定をされましたものにつきまして、そういうふうな法律等を適正に運用いたしまして、対象事業者の組織化、専門化、集中化、共同行為の締結等というものを促進して参りたいということであります。  その次に、企業秩序の確立でございますが、バス、ハイヤー、タクシー、ドライブ・クラブ、トラック輸送、木船運送、港湾運送事業こういったものの事業法令の完全な実施といふことをまず第一にやって、企業秩序を確立していかなきゃならない。これをもってもぐり業者を根絶するとか、そういった監督を強化いたしまして、あるいは確定料金を順守させるとかというようなことで、運賃料金等の適正化を通じ、あるいは公正な競争の確保といったようなことで秩序を乱されずにやって参りたいということであります。  その次の金額の円滑化と税負担の軽減でありますが、これは「中小企業近代化合理化を促進するため、必要な資金の確保を図るとともに、固定資産税、自動車関係諸税その他の税負担を軽減してその健全な発達を確保する。」ということで、内航船舶の固定資産税、あるいはその他のものの固定資産税、あるいは自動車関係の中小企業におきまする——これは御承知のように複雑多岐にわたりまする諸税公課をもっと簡素化して、またその負担も軽減していくというようなことによりまして、健全な発達を確保して参る。  それから企業診断の励行でありますが、「中小企業の企業診断を励行して、工程管理原価管理の確立、経理制度の改善その他経営の改善合理化を推進する。」ということで、中小造船所の輸出振興につきましても、こういう方法でもって予算の要求も考えておるのでございます。  一番最後の説明になりますが、雇用労働関係改善でありまして、船員問題と国鉄労働対策の問題と二つあげておるのでありますが、運輸省は、御承知のように海上労働に関しましては労働省でありまするのでこういった意味におきまして、船員の需給の円滑化と、福祉の向上と、それから船員の最低賃金制度の促進という問題の二つをここに非常に——いろいろ他にも問題があるのでございますけれども、この二つを問題として取り上げたのでございます。まあ計画造船その他で非常に船腹が増強されますけれども、職種によりましては、船員の需給状態が必ずしも均衡を得ていないということで、船員教育機関を整備して参らきゃならぬ。そこで運輸省の関係につきましては、海技専門学院と海員学校と二つあるわけでございますが、こういうものに対しまする学生数の増加、あるいは施設の整備ということをやって参りますとともに、「職業安定業務の強化により船賃需給の円滑適正化をはかる。」それから海上労働の特殊性等というところから、どうしても厚生施設の充実整備をはからなければならぬ、三国送を推進するということを口で言いましても、外国におきます船員のいこいの場というものも手当をしていないじゃないかというような問題もございまするので、予算要求にもその点を考慮して要求をしておるのでございます。  船員の最低賃金制度の促進でありますが、これは大型船舶につきましては、職能別に最低賃金が労働協約によってきまっておるわけでございますが、機帆船とか、あるいは漁船とか、そういったような小型のものにつきましてはそういう労働協約はないのでございます。従いましてわが国の経済の現状に立脚したこういう最低賃金制度を確立してということは、船員中央労働委員会から遠からず答申があると思われるのでありますが、それに従いましてそれを運用いたしまする審議会なり、あるいはそれが適正に行われるかどうかという監督の費用とか、そういったものも今後の問題になってくるわけでございます。  国鉄労働対策の確立ということでありますが、これは、「国鉄労使間の諸問題を解決して国鉄本来の輸送業務の円滑なる運営を確保し、公共企業体の健全なる発達に資するため、労使間の正常な労働慣行の確立、要員需給の安定、賃金体系の整備、福利厚生施設の拡充等労務管理の適正化に努める。」一ということでありますが、特に要員需給の安定につきましては、御承知のように今まで全然増加していない、むしろ減耗しておるものにつきまして、減一になっておるというようなこともありまして、まあ来年度は極力配置転換はやるけれども、どうしても必要なものだけは要員を確保しなければならぬという予算上の問題にもなりますが、そういうことも考慮しておるわけでございます。まあ賃金体系の整備、福利厚生施設の拡充、これに労働の質と量に応じて適正な是正をお願いしたいと考えております。  以上非常に時間の関係も考慮いたしまして概括的な説明を終ったのでございますが、こういう点があるのじゃないか、これはおかしいじゃないかという御批判、御高説もあるかと存じますが、その点につきましては特に拝聴させていただきまして、要綱そのもの、あるいは先ほど申し上げました実施の問題につきましても特に御教示を賜おりたい、こういうふうに考えるのでございます。
  8. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上で政府説明が終りましたが、ただいまの説明だと、関連する中小企業者まで日の当らざるはないというような大へん広範な説明でありますけれども、やはりおのずから傾斜があろうと思います。その重要中の重要という問題につきましては、先に申し上げましたように、明日大臣が参りましてさらに説明があると思います。  そこでこれから午後の質疑でありますが、それは主としてやはり大まかな重点政策というものでない問題について区分けをして質疑していただきたいと思っております。それは港湾関係であるとか鉄道関係とか、そういう形で質疑をしていただきたいと思います。そういう計らいでよろしゅうございますね。……それではさように計らいます。  それでは午前の会議はここで休憩いたします。  午後は一時三十分に再開いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時五十八分開会
  9. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 休憩前に引続き委員会を開会いたします。  午前に引続き昭和三十三年度運輸省関係重要施策に関する件を議題といたします。  ただいまより質疑に入りますが、まず海運及び港湾関係政府当局が出席しておりますので、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、政府側の出席は木村政務次官海運海運調整部長辻章男君、船舶局長山下正雄君、船員局長森厳夫君、それに運輸技術研究所の所長中田君も見えております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 前国会からの懸案事項になっておりますところの横浜港における米軍貨物の取扱いについて、当局がその後にとった処置について御報告を先に願いたいと思います。
  11. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 今の御質問のありました横浜港における米軍貨物の問題でございますが、昨年米軍貨物の港湾運送契約をめぐりまして、横浜港においてストライキが勃発いたしました。そのために衆参両院の運輸委員会には非常にいろいろ御心配をおかけいたしました。幸いにいたしまて、ストライキは昨年末中止いたしまして、その後出て参りました問題は、当面の京浜港運株式会社に対する行政処分の問題でございます。この行政処分のいきさつにつきまして、順を追って御報告申し上げたいと思います。  御承知通り京浜港運株式会社の港湾運送事業法違反の問題で、関東海運局長からその処分について申し入れがありましたので、運輸省といたしましては、直ちに運輸大臣から運輸審議会に諮問いたしました。諮問いたしましたのは昭和三十一年の十二月十八日でございます。その後、運輸審議会におきましては公聴会を開催する等、慎重審議をしておられたようでございますが、昭和三十二年——今年の九月十二日になりまして、運輸審議会から運輸大臣に対する答申がございました。答申の内容は、一般港湾運送事業、船内荷役事業につき、一カ月程度事業停止処分が妥当である、こういう答申がございました。この答申に基きまして、運輸省といたしましては、同じく九月十八日付をもって処分をいたしました。その処分の内容といたしますのは、運輸審議会の答申に基きまして、一般港湾運送事業、船内荷役事業につき、昭和三十二年九月二十六日から三十日間事業停止をする、こういう内容でございます。この処分に基きまして、当該会社に対してはすでに通牒を出しております。その後、この処分に先だちまして、御承知通り在日米軍軍貨の港湾運送につきまして、日米合同委員会に付議することに相なっておりますが、日米合同委員会はその後数次の会合を重ねました結果、同委員会にこの問題に関する特別委員会が設置されたことは御承知通りであります。特別委員会の結論が出ました結果、先のような趣旨によって、結論が十月三日付をもって日米合同委員会の議決になるようでございます。十月三日でございますので、まだ未発表でございますが、この際御報告申し上げる次第でございます。この内容につきましては後刻印刷物等によってお手元に差し上げげたい思います。  今朗読いたしますと、  一、在日米軍は港湾輸送を行うために、日本の現行法律によって登録されている事業者とのみ、港湾運送に関する契約を行うとする。無登録業者が軍貨の港湾運送を行うために、登録を申請してきた場合、この登録を受理するか、拒否するかは、港湾運送事業法の規定により審査決定する。  二、港湾運送に関する調達行為は現行の契約の満了の少くとも九十日前に開始される。  在日米軍は、運輸省に対し港湾運送に関する勧誘書の写しを作業開始の少くとも七十五日前までに送付するものとする。但し、緊急を要する調達の場合は除くものとし、この場合においては、勧誘書の写しを可及的すみやかに送付するものとする  三、運輸省は契約価格を決定するのに、在日米軍を援助するため当該地域に関する労務者の貸金、特別賞与、諸手当を含めた資料を提出することができる。  四、在日米軍は、落札者が予定の運賃及び料金の実施の日の少くとも三十日前までに運輸大臣に届出できるように、契約条件について入札業者との交渉を完了するよう努力する。  五、何時でも、在日米軍又は運輸省は、これ等の事についてお互いに協力を求めることができる。更に両者は事前の協議と相互の合意がなければ、契約業者によって運輸大臣に提出された運賃及び料金の停止の命令は、行われないであろうことを了解する。という五番目は協力要項でございます。こういう日米合同委員会の決定を来たる十月三日にいたすことに相成っております。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 今の木村政務次官の日米合同委員会の発表する案文については、今お読みを願ったわけですが、これはいずれ資料で提出をいただけますね。  そこで、お尋ねをしておきたいと思うのですが、前国会で、三月七日にいわゆる政府の答弁がありまして、特に天埜港湾局長から、当時のいわゆる米軍から人夫を調達をしてもらいたいいうことに対する関係当局の相談、あるいはその人をいつ何人くらい入れるかというようなことについて御相談があったわけですが、そういう問題について、いわゆる根本的な解決策というものを御相談になるといわれて、その後、国会が国鉄の運賃値上げ等の問題で非常に重要な問題にぶつかってしまって、この問題が実は討議をされなかったでありますが、実際に米軍と相談をされた内容というものは、その後どうなっておったのか、京浜港運については、実際事業法違反の疑いがあるということで、関東海運局長からも本省に申請があったはずであるし、そういう疑いがあるにもかかわらず、いわゆるこの事業の取扱いについてはなかなか措置をしておらなかったように思われる。そうして今回いわゆる運輸審議会の答申に基いて、三十二年九月十二日のこの審議会の答申に基いて今日措置をとって、しかも、それが一般船内荷役の問題について一カ月の業務停止、こういうようなことが今木村政務次官から述べられたのでありますが、こういうのは、実質的に半年以上にわたって何らその間に当局としては措置をとっておらなかった、こういうことが指摘されると思うのでございますが、その間において港湾局としてどういう措置をとり、あるいは相談をされたか、こういう点について御答弁をいただきたいと思います。
  13. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) ただいまの米軍が軍貨を直用で取り扱う、こういう点につきましては、この前の国会で非「常に御心配を顧っておったのでありますが、その後数次にわたってアメリカ軍その他と懇談的に話をして、最初の予定よりも少くしてきたこともこの前報告した通りでございますが、なおその間において、アメリカ軍で直用をしなくても、日本の業者を使ってくれれば決してアメリカ軍に迷惑をかけるようなことはさせないから、何とかアメリカ軍の直用ということは差し控えるようにということをしばしば話しておったのでございますが、アメリカ軍としては、直用の機構を一応きめましたので、これで当分維持していきたいということでございました。最近に至りまして、アメリカ軍側でも、なかなかこの直用で荷役をするということについては賞用がかかるということも考えて、組織の上では向うの内部機構でございますが、組織をかえて、何か非常に小さいセクションに持っていったようではございますし、この形態は依然続けていきたい、しかし、そんなに迷惑をかけるようには大きくはしないのだから、このままこの形は残していきたいということで終始しておる状況でございます。従って、その後のこの要求というようなことはあまり起って参りませんので、現在のところ、二十六日現在で労務者三百十六名、事務の方で二十七名、これだけを使用しておる状態でございます。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 この前の天埜港湾局長の御説明では、日米合同委員会、いわゆる特別委員会にこの根本的な問題を討議をしてもらうために、日本側としては、議案という関係でこれを提案をしたのであるけれども、アメリカ側としては、どうしてもこの問題については、今の御説明のようにごく限られた部分、小部分ということで直用をまかなっていくという関係で、日米合同委員会の議案にはできないのだというようなことをアメリカ側から言われた。いわゆる権限外の問題であるということで言われて、当時非常に運輸省としては困惑をした問題であるけれども、丸できるだけ現地の、いわゆる神奈川の内山知事等にもあっせんを頼み、あるいは関係官庁の者が全部集まって、とにかく根本的な問題を討議をしよう、こういうふうなことを御答弁をされてこの議事録にあるわけですが、一体、そういう根本的な日米行政協定についてどういうふうにこの問題を処理をされていったのか、あるいはその答えというものはどう出ておるのか、こういう点を一つ説明をいただきたいと思うのです
  15. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) ただいまの雇用の問題ということについては、私の方、その後関係官庁が集まって根本的な検討をするという機会は持てませんでした。で、その直用をやるということについては、こちら側の態度としては、あれは一つ横浜の日米感情の問題から、最小限度にとどめるなり、できればやめてもらいたいということを要請をしたにとどまって、われわれの方で安全保障条約を検討するというところまでは参っておりませんでした
  16. 相澤重明

    相澤重明君 これは、今の港湾局長の御答弁によりますと、日米安全保障条約の問題については、当時そういうことまでいかなかったというのでありますが、少くとも日米行政協定によるところの要員、あるいはその必要な事項については、日本は協力をするという建前で運輸省はこの前の直用人夫の問題については答弁をされておったのでありますが、本委員会においては、少くとも日本のいわゆる法律について、国内法を適用することについては、たとえ米軍の荷物を扱うものについても、これは順守をしてもらわなければならぬという本委員会考え方として、当時運輸省はそれを率直に受けて米軍にも話をするということになっておったわけだ。ところが、今のお話ですというと、そういう問題については、日米合同委員会の中においては討議をされなかったということになるのですか、その点一つ再度お答えをいただきたいと思うのです。
  17. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 申し上げます。日米合同委員会においては、今の直接雇うという問題については討議はされないのでありまして、港湾運送事業法を順守いたすということについては、完全に了解をしたわけであります。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、今の港湾局長の答弁の港湾運送事業法を順守する、いわゆる日本の国内法というものを米軍もこれは尊重をするという建前になると、前の国会で少くとも議論をされたこの国内法に違反をしておる京浜港運の取扱い方については、明らかに答えが出るはずである。にもかかわらず、そういう問題に答えが出ないし、しかも、今の日米合同委員会の中において、根本的なこの港湾運送事業法についての考え、あるいは日米行政協定のその解釈というものが理解をされないというと、この問題というものは実は解決することができないことになってしまうわけです。だから、一体港湾局長の言うところの、日米合同委員会の中で、ほんとうにこの行政協定というものの解釈というものがされたのかされないのか、国内法を尊重するという建前になれば、違反の行われているものについては、直ちにこれが撤回をされる、あるいはそれが修正をされるということでなくては私はならぬと思う。その根本的な問題が何かこうベールをかぶったような形で弁をされると、私はやはりこの問題が、少くとも前二回の国会で討論されました問題がやはり今日もなお解決の曙光を見出すことができない、こういうふうになってしまう。先ほどせっかく木村政務次官が十月三日に日米合同委員会に付議をして一応何とかまあ善処をしていこう、直していこうというような精神というものも実はこれは単に空文になってしまうおそれがある。従って、港湾局長に再度私は答弁を求めたいのは、そういう根本的な問題について、ほんとうにいわゆる国内法とうものを守り、また違反のあるようなそういう業者についてはこれを撤回をさせるような考え方があったのかなかったのか、その点を再度お答えをいただきたいと思うのです。
  19. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) この日米合同委員会に基く特別委員会では、港湾運送について国内法を順守するということを確認しております。従って、九月十八日に処分を発令いたしまして停止処分にいたしましたところ、先方も国内法に従ってそのものについては仕事をさせないということを確認されております。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますというと、少くともいわゆる日米合同委員会においても、国内法を尊重するということは確認をされ、そうして現実に横浜港におけるところの軍貨の取扱いについて、あれだけの大きな混乱を起したいわゆる港湾運送事業法についても疑義のあり、あるいはまた違反の疑いがあった京浜港運については、当然措置をしなければならぬ、こういうことはおわかりになつたことだと思うのであります。ところが、その間に、少くとも半年以上これが放置されておつたというのは一体どういう理由なのか。半年以上、今日までこの処分というものが延ばされておったというのは一体どういう理由なのか。あるいはまたその処分が一カ月ぐらいの処分でよろしい、業務停止一カ月をいわゆる審議会の答申に基いて行なったということであるが、それが一カ月ぐらいで済むのか、あるいは他の業者がそういうようなことを行なった場合に、まあ十五日か一カ月ぐらいならばおれの方でもやってもいいのだ、こういうようなことで港湾運送が混乱するということになつたら一体どうするのか、こういう点について当局としてどういう与え方を持っておったか、その点をお答えいただきたいと思います。
  21. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 私からお答え申し上げますが、京浜港運の行政処分の量刑の問題でございますが運輸審議会から、先ほど御説明申し上げました通り一カ月程度の業務停止を適当とする、こういう答申が出ております。その理由といたしますのは、御承知通り、現在の港湾運送事業法の施行の段階におきまして、いまだこれについて行政処分をやった先例はございませんけれども、今回の違反は非常にはっきりした違反でございますので、思い切つてこれに対する行政処分を決定したのでございます。しかしながら、何にせよ、京浜港運株式会社といたしましては、港湾運送事業法の違反はいわば初犯でございまして、そういう点と、それから御承知通り、これは米軍貨物の取扱いという非常に国際的にも特殊な事情のもとにおけるととろの違反であるという点、それから利害関係人をして所要施設充実と正常な事業運営ができるようにやはりかすかに時日をもってするのが適当であろう、こういう三点をあわせ考えまして、この際登録取り消しをいたしまして、死刑の処分に処するのはあまりに酷ではないか、しかしながら、三カ月という大幅の事業停止期間もあまり酷に過ぎるのではないか、いろいろ意見を総合いたしました結果、運輸審議会の答申にありました通りに、一カ月程度事業停止処分に決定いたしたのでございます。この処分をいたしますまでの間、非常に時間がかかっておりますが、これは御承知通り、港湾運送のいろいろな特殊形態がございまして、それに対する行政官庁としての処分をいかにすべきかといろ行政上の問題、運輸審議会の公聴会その他が非常に慎重審議を経ましたので、日時が経過いたしたのでございます。それに、ただいま申し上げました通り、これは米軍軍貨の問題といたしまして、先ほど御説明いたしました日米合同委員会が別個に並行して進行しておりましたので、諸般の事情を考慮いたしまして、慎重審議のために、実はこれだけの時間が経過いたしたのでございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 今のは、慎重審議の結果、半年有余にわたってこの問題の結論が出せなかった、こういうことになると思う。しかし、現実の問題としては、あれだけのいわゆる横浜港を初めとする全国のこの軍貨を扱っておる港湾において、大きなストライキまでも起きたという現実の中に、やはり処理を早くしなければならぬし、また同時にいわゆる独立をした日本国家におけるところの運送事業法というものを、相手がどこの国であろうとも、とにかくこれは一応尊重してもらう、対等の立場でいく、そういう中に問題の解決策というものを出さなければならぬのに、実際には既定の事実として、この間に、もう昨年の少くとも米軍予算が下りたときに。こういうかいらいのいわゆる事業会柱というものを作って、そこに予算というものを実際下ろしていってしまう、荷役を行わしてしまつて、本年に入って、やはり今度は新たに米軍予算が下りた場合に、またそういうところもでき得るという既定の事実というものを作り上げてしまった、こういうことが私どもは非常に問題だと思う。いわゆる昨年やったんだから今年もまた同じように、いわゆる法律に基いたすベての手続がとられ、適法な業者であるかないかということについての判定を非常に困難ならしめる基礎を作ってしまった。ことしそんなことをいろいろ理屈を言ったところで、去年やらしたじゃないか、こういうようなことが私は実際に言われるんじゃないかと思う。私ども運輸委員が横浜港の現地を、今委員長席の江藤君等も一緒に見に行つたけれども、実際に非常に混乱を起したその根本というものは、ここに実はあったわけです。もうすでにそれが既定の事実として一カ年間仕事をしてしまった。だから、運輸省が何と言おうと、やはりことしも当然この業者としては、適法な当然仕事を受ける権利がある会社である、こういうようなことを言われはしないか。だから率直にもっと私突き進めて申し上げるならば、運輸省としては、適法な業者でないものについて、一体こういう若干のいわゆる業務停止というような問題を出したけれども、今後こういうことが起きないのかどうか。今までやらしたんだからそういうこともやっぱり仕方がないのだ、こういうことになっていくのか、あるいはまたそういうことは全然今後はやらせない。これが一つのケースとしてもう今後そういうことをやらせないのだという強い確信のもとにそういうふうなことを今日考えておるのかどうか、こういう点が私は非常に問題になると思うのです。これは、すぐ米軍予算が新たに下りてくれば、当然その軍貨の取扱いについて、関係会社というものが申請をして競争が起きることは事実なんです。そういう中に違法な、そういう一部でも違法と思われるような業者についても、もう既定の事実なんだ、昨年もやったんだからことしも仕方がない、一応予算を下ろしておいて、そしてその後にもし間違いがあればこれは直すんだと、こういうような考え方であるのかどうか、こういう点も運輸省でどういうように考えておるのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  23. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 今回の京浜港運株式会社の処分問題につきましては、非常に処理がおくれましたことは遺憾でございます。しかしながら、今回のこの望ましくない前例ではございましたが、今回のケースによりまして、在日米軍軍貨の港湾運送について、先ほど御報告申し上げましたような日米合同委員会の決定も十月三日には行われることになっております。そういう環境におきまして、再びこういう京浜港運株式会社のような事犯が発生いたしましたならば、運輸省といたしましては、次回からは断固たる処置に出る確信でございます。かつ当該京浜港運株式会社よりも、今回の違反につきましてきわめて遺憾の意を表して参りました。再びこういう再犯を犯しましたならば、いかなる処分にも甘んじ、かつ今後作業の実施については自粛をいたしますという誓約書を運輸省あて出しております。この点は御了承願います。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、九月の二十六日から三十日間の処分を行う通達をした、こういうことになりますと、その間に一般荷役にしろ、あるいは船内荷役の問題にいたしましても、法違反の問題については、その間に適法にするように当局側に申請をする、あるいはそういう手続をとる、こういうことが言われておるのか、あるいはそういうことは今日でも京浜港運からは別に何ら申請がしてきておらないのかどうか、つまり当局としては、一応業務上のいわゆる処分というものはしたけれども、該当の会社については適法ないわゆる手続というものがとられておるのかないのか、こういろ点についてどうなっておるかお答えいただきたいと思います。
  25. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) この点は、ただいまの業務停止の期間は大いに反省をして、そうして適法にすべく努力すべき期間というふうに考えておりますので、その間に最大の指導と監督をして合致させるべく努力していきたいということになっておりまして、京浜港運自体海運局に出まして、御指示を仰いでこのために精進いたしたいと、こういうふうに申しております。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、まだ実際には適法な処置というものは申請はされておらない、しかし、少くとも運輸省港湾局としては、この業務停止期間にそういう適法な会社になるように行政指導もしたい、こういうことですね。そうしますと、おそらく当局がそういう考え方に立って行政指導をされれば、おそらくなるとは思うのでありますが、少くとも先ほど木村政務次官からも御発表があったように、米軍のいわゆる日本におけるところの軍貨の取扱い方についても、九十日前にそういう点についてはいわゆるこれを明かにする、内容について配付をしていく、こういうような形をとるのか、それともいわゆる米軍予算というものは下りてきたときでなければ実際には何らわからぬ、当局にしてもわからぬ、こういうことになるのか。先ほどの九十日前に配付をするということはどういう意味を含んでおるのか、その点を政務次官から一つ説明をいただきたいと思う。
  27. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 先ほど朗読いたしました第二項に「港湾運送に関する調達行為は現行の契約の満了の少くとも九十日前に——三カ月前に——開始される。」、こういう規定がございます。次に「在日米軍は、運輸省に対し港湾運送に関する勧誘書の写しを作業開始の少くとも七十五日前までに送付するものとする。」、この勧誘書というのはおそらく米軍の作業の予告書のようなものだと思います。少くとも七十五日前には、米軍から作業の大体の内容につきまして運輸省に対して通知があるはずでございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、少くともすでに米軍予算というものもきめられておると私は思うのでありますが、運輸省にそういうような内容が知らされておるのかどうか、あるいはまだそういう点が来ておらないのかどうか、こういう点についていかがですか。
  29. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) アメリカの方は九十日前にそういろ準備をするということを言っておりますので、運輸省の方へ、つまり海運局へどの料率で扱うかということが出て参りますのは一カ月前までのことでございます。一カ月前までに今まではなかなか出てくるような態勢にいたしませんでしたので、それで、作業は始まる、料率はまだきまってないというようなことで無理々々作業に突入するというようなことがございましたので、そういうことがないように、今回の取りきめで一カ月前には届出のできるように米軍は努力することになっております。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 慣例といたしまして、今日までいわゆる毎年契約が行われたのでありますが、そういたしますというと、これは十月ですか、それとも十一月ですか、今までの慣習ですと、十月のように思われたんですが、その点いかがですか。
  31. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 十二月から新しく契約をいたしますので、十一月に——十月末でございます。十一月の初めごろに届出をしてくるということになるわけであります。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、十月末ないし十一月上旬ということになると思うのですが、少くとも先ほどの京浜港運の問題については、一カ月間の業務停止ですと、十月の二十五日ですかにまあ一応の業務停止期間という処分の期間は終るわけでありますが、その間にもし適法な措置というものがとられない場合には、当然これらの問題については除外をされる、こういうことになると私は思うのでありますが、そういうふうな形になるのか、それとも、まあたとえばそういう期間に行政指導をしてもなかなか手続上の問題でできなかったと、そこで、昨年は一応の請負を契約をした会社であるから、今年も十月の下旬なり十一月の上旬なりに手続をとれば、そのまま認めていくという考えに立つのか、この点についての見解を一つお聞かせいただきたいと思うのです。
  33. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) もし京浜港運株式会社がこの行政指導の期間と申しますか、処分の期間におきまして、この違法の結果になりました点を充実しない、港湾運送事業法の要件と合致しないままにこの処分期間を終りましたならば、当然港湾運送事業法によりまして、今、相澤先生からお話がありましたような、作業の請負ができないという解釈であります。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 最後に、私から意見として申し上げておきたいと思うのでありますが、日本も国際的な競争を行う場合に、先ほど午前中も国際収支の問題等について、あるいは港湾の施設の問題についても非常に苦心をされた提案がされておるわけであります。最も対外的に大きな問題になるのは、やはりこの港湾の問題だと思うのです。また同時に、外国船舶、あるいは日本船舶を使っての荷物の取扱いの問題だと思うのです。そういうときに、日本の業界においてもかなりいろんな意見を政府にも陳情も出しておると思うのでありますが、無理にこの混乱を起すような問題を提起をさせないような私は行政指導というものを運輸省に行なっていただきたいと思うのです。これはやはり運輸省のそうした根本的な立場に立った考え方というものが業者に理解をされないと、予期しないところの混乱というものが起きてくる。特に港湾内労働に従事しておる労働者に対する貸金、あるいは労働条件、こういうような問題もやはり運輸省が監督官庁としての立場で十分ないわゆる指導というものを行わない限り、やはり違法な会社ができるだけダンピングを行なって安い賃金でいわゆる労働者を雇用しよう、あるいはまた安い料金によってこの荷物のいわゆる運送事業法というものを無視したいわゆる契約というものを行なって混乱をさせる、こういうことになっていくと思う。少くとも雇用安定の問題なり、あるいは日本の対外的にもやはり十分問題をつかんで処置をしないというと、非常に信用も落すことに私はなってくると、こう思うのであります。従って、業界の方にも運輸省としては十分法の性格というものを周知徹底するとともに、そこに使われておる労働者の生活問題についても、私は十分な指示というものをさせて、今後との一カ年以上にもわたるところの大きな問題を投げた違反行為の行われないような措置を希望してやまない次第です。ぜひ今後の米軍のこの荷役の問題について、こうしたことのないような措置のとられることを希望して私の質問を終わります。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。相澤君の質問でいろいろ詳しいところは明らかになったと思うのでありますが、二、三の点だけ関連してお伺いしておきます。  第一に、まあ日米合同特別委員会で結論が出た、その内容については、先ほどどうも早く読まれたので、実際われわれ検討をするには困るのですな。実はきょう少くとも資料として提供をしていただけばよかったのでありますけれども、これは早急に出していただきたい。とにかく今のを筆記しようとしたけれども、間に合わなかった。そういう点から私は心配をするのは、この結論で、われわれが昨年から問題にし、非常に大きな問題になった問題を一体解決するに足るのかどうか、これは十分にやはり検討してみなければならぬのじゃないかと考えます。一応そういうような結論は出たんだけれども、それについては、われわれ国会の立場から十分に審議をしてみなくちゃ、一体いろいろな複雑な問題を起した問題を全部解決することができるのか。先ほどの説明だけではどうもそこのところは具体的にわれわれ検討することはできない。  その次に、これと関連してお伺いしたいのは、一体特別委員会の結論というのは、日米合同委員会の本会議で議決される。十月三日ですか、これははっきり確証があるんですか、大丈夫ですか。
  36. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 中間的にお答え申し上げますが、先ほど少し早く朗読いたしましたので御理解ができにくかったかと思います。実はこれはまだ未発表のものでございますので、印刷がおくれました。明日には印刷でお手元にお届けいたします。  それから第二のお尋ねでございますが、今回の日米合同委員会の決定は、十月三日に議決することに相なっております。あるいは日米合同委員会の手続その他で多少の変動はあるかもしれません。  それからもう一点でございますが、この議決決定によりまして、今後在日米軍軍貨の問題について根本的な解決策になるかどうかというお尋ねでございますが、私はいかんながら必ずしもこれをもって全部処理済みとは考えられません。いろいろ複雑な作業形態でございますので、あるいは予期しない事態が今後出るかもしれません。幸い、こういうはっきりした文書による決定ができましたのと、また運輸省当局といたしましても、こういうケースを処理したことによっていろいろ経験を得、また確信もできたものですから、今後はそういうフリクションのないように行政指導強化して参りたいと思います。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 一応そういうような結論で、しかも、まあいろいろな問題を根本的に解決するにはやはり完全だとはお考えになっていられないようでありますが、これを、私たち条文いただいてまあ検討してなお質問したいというふうに考えているのでありますが、それと関連しまして、現在とにかくまあ直用の人が働いているわけですね。三百十六人ですか、最初の向うの要求よりは問題が問題化したので幾分減った、この点はまあ認めるわけですけれども、しかし、その後何回かにわたってこれが要求されて、現在労務者は三百十六人、事務の方では二十七人だけ直用で働いている。そうするとこの問題はどういうふうにこれは処理されるのですか。つまり、この問題がはっきりやめになって、そうして基本的に国内法を尊重する立場からすべてが解決するということでなければ、私は少くともこの問題はほんとうに解決されたことにならないと思うのですが、今後どういう形でこの問題は処理されるのですか。現在とにかく違反がやられている。それが残っている。その痕跡をずっと残していって、また別の方向で何とか糊塗するというお考えにしか聞えないわけです。これはどうです。
  38. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 在日米軍が港湾運送を行うのに、御承知通り二つの形態があります。一つは、日本の港湾運送事業者と契約いたしまして、それに請負をさせてやらせる、もう一つは、在日米軍がみずから直用人夫を使いまして港湾運送に相当する行為をみずからやる、この二つがあります。先ほどまで問題になりました京浜港運の問題はこの第一の形態に出たフリクションであります。今岩間先生から御指摘になりましたのは、米軍が直接労務者を使ってやる場合であります。この場合には、在日米軍がいわば港湾運送事業法における港湾運送事業者となる場合であります。これは現在の日米協定におきましては、在日米軍にまかされた形になっておりますので、わが方といたしましては、これに対して法的にこれを違法とみなす権限はございません。従いまして、この直用の形態は、在日米軍に対しまして日本の方から好意的配慮を要求するのみでございます。今後は調達庁を通しまして、運輸省といたしましては直接の関係ではございませんけれども、極力直用労働者を少くするように申し入れをするつもりでございます。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この問題の解釈がやはり不統一ですね。当委員会でずいぶん論議されて論点になっておった。合同委員会日本側の出席の千葉欧米局長も出てきてここでだいぶ論議して、どうも確信ある答弁がなされなかったわけなんです。国内法にとにかく抵触しないようにやっていく、しかし、そうでなく直用のできる部分もあるのだという解釈も政府側ではされたわけです。しかし、われわれ日米合同委員会の条文を読んでみて、われわれはそういうことにはならぬじゃないかということで論議したどころですが、これはそういう解釈で進んでいくのですか。
  40. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 私は在日米軍の問題として申し上げましたが、御承知通り港湾運送事業法上におきましても、たとえば日本の業者といたしましても、荷主がみずから労務者を雇い入れまして、みずからの貨物を扱う場合にはこれは営業としての行為ではございませんので、港湾運送事業法の適用を受けません。従いまして、在日米軍がみずからの貨物を請負うという関係におきましては、これは港湾運送事業法の適用外でありますから、これについては、日本からなるべく直用労務者を雇わないようにという好意的な配慮を申し入れをするのみであります。何ら違法的な処分はできないと存じます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと関連してそこは申し上げておきたいと思うのですが、コマーシャルの場合、民需と軍貨とがともに扱われるという場合には、これは昨年も議論をしたように、軍貨だけを扱って民需をおっぼらかしておくということはできないから、結局、そういうものについては、日本の業者がおる場合に業者にこれを扱わせる、これは今木村政務次官の言うように、全部アメリカの軍貨の問題だという場合には、なるほど陸上のものにしろ海上のものにしろ、これはそういう扱いができると思うのです。そうでない場合の取扱い方というものが、先ほど申し上げた港湾運送事業法に基くいわゆる日本側の立場というものを明らかにしないと、実は米軍ではもう自分の方のものについては、自分たちがどうにでも自由にできるんだと、あくまでも占領下における慣習というものを今日独立した日本においても自分たちが強行できるんだという考え方を直してゆく、ここがこの港湾運送事業のむずかしい点である、また同時に私どもがこの委員会で議論した問題なんです。それだけに、私が先ほど申し上げましたように、対等な立場に立ってこの問題を解決するという考えがなければ、やはり占領下におけるときの慣習というものを押してゆかれた場合には、今の形式的な私は木村政務次官の言うような答弁になってしまう。実際の横浜港や名古屋港等で扱っておる軍貨の取扱いというものは、そういう形式的な問題ではない、実質的な問題を私は議論をしないと、あるいはまたそういろ考え方に立ってこの問題を処理しないと誤まりが起きてしまう、いわゆる業界に思わざる混乱を起してしまう、こういうことになってゆくと私は思う。従って、今の答弁については、岩間委員の御質問に対してはっきりした御答弁をいただかないと、確かに大村政務次官の言うように形式的な問題はわかるのですが、実質的な問題の解決はできない。で、当委員会で長い開議論された、岩間委員の言われた軍貨の問題についても、いわゆるコマーシャルの問題についてどうするのか、こういう点について、政府の正しい態度というものを私どもは望んでおったわけです。こういう点について誤解のないように私は運輸省の立場をとっていただきたい、こう思うんです。
  42. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 重ねてお答えいたしますが、今相澤先生は形式的とおっしゃいましたけれども、実は私どもの方では国内法に違反するという言葉がありましたので、これは法律違反ではないという説明をしたわけです。それから第二の問題、実質的な問題につきましては、先ほどから重ねて申し上げましたように、在日米軍の軍貨の取扱いもできるだけ日本の業者を使ってもらいたいということについては、行政指導その他について万遺憾なきを期したいと思います。それについてただいま調達庁を通じまして、ただいまの直用労務者、何と申しますか、直用労務者をなるべく少くしてもらうについては、再度申し入れをしたいと思います。
  43. 江藤智

    ○理事(江藤智君) 速記をとめて。    午後二時四十八分速記中止    —————・—————    午後三時十七分速記開始
  44. 江藤智

    ○理事(江藤智君) では速記をつけて下さい。  次に、外車登録に関する件を議題といたします。御質疑おありの方は、順次御発言を願います。
  45. 天田勝正

    天田勝正君 元来、これから質問をいたします問題は、大臣、政務次官はもちろん、他の者、すなわち、通産省及び外為委員会等の出席を求めて質問をいたしたいと思っておったわけであります。しかし、それらのことは、やがて機会を得ていたすことにいたしまして、きょうは主として外車の登録について伺いたいと思います。  先般来、新聞をにぎわしておりました外車輸入にからむ汚職の問題でありますが、これは外国為替管理の不備もありましょうし、通産省の輸入の不備と、また不備でなくても、手心を加えるという問題もありましょうし、さらに運輸省関係の陸運局等にも自然関係をする、この三つの関門をくぐらなければあの汚職は成り立たない、こういう性質を持っております。外車を輸入いたしまして、本来一定の年限これを他に転売等ができないことになっているのに、新聞で見るところによれば、わずか十日にしてこれを直ちに名義がえを行う。これはどういう考え方か知らぬが、とにかく係官あるいはそれより上部に及ぶかどうか知りませんけれども、とにかくその窓口において、制限のあるのを無視して、勝手に名義がえを行うというところに、ここに転売が起きて、そうして不当なる利得を得る、こういう順序であります。でありますから、私はきょうこの一々について質問をするつもりはないのであって、こういう事態が起っている事実は運輸当局も知っているわけでありますから、自発的に当委員会においてそれらの経緯を明らかにしてもらいたい、こう思うわけであります。
  46. 岩崎清

    説明員(岩崎清君) ただいまの御質問で、どういうふうなわけで登録をされるのかということの御質問についてお答えいたしたいと思います。この無為替輸入で入ってくる経路については、いろいろあるわけでございまするが、それを日本国に登録をいたします場合の手続は、まず駐留軍の軍人軍属、それから一時入国者、それから引っ越し、つまり引っ越し荷物として持ってきた。で、そういう三者の場合については新規登録を——この輸入した外車を新規に登録いたします場合には、一般の登録と同じでありまして、いわゆる道路運送車両法にきめられた手続によりまして、まず新規登録の申請書を提出いたします。それからその検査証を必要とする。これは登録する前に、事前に現車を検査して運行の用に供しても安全である、こういうことを確認いたすために一応検査を受けるわけであります。それから現車を呈示いたします。それと保険証書——損害賠償責任保障法による保険証書、これを呈示をする。ここまでは一般の日本人が国産車を登録いたしますのと同様なんでございますが、輸入外車の場合には、これは車両法にきめられておりまして、輸入の事実を証する書面が要るわけであります。それで軍人軍属が新規に登録をいたします場合には、その新規登録申請書に、米軍の憲兵隊がこれに対しまして承認のスタンプを押すということ、それからやはりこれは米軍の担当将校の、FEC三百八十号と言っている、様式がきまっているのでございますが、この許可証を発行いたすわけであります。要するにFEC三百八十号という輸入許可証があるのでありますが、この輸入許可証が輸入の事実を証する書面と相なるわけでございまして、これによって正規に輸入されたものであるということで、わが方におきましては登録をいたすわけでございます。  それから一時入国者と引っ越し者が新規に登録をいたします場合には、輸入の事実を証する書面として、自動車の通関証明書を提出してもらうことになっております。で、この通関証明書を添付いたしますれば、私の方といたしましては、これによって登録いたしておるということでございます。で、そこまでは問題はないと存じます。  それから軍人軍属、一時入国者、引越者、そういう人たちが一たん登録したものを今度は日本人がそれを譲り受けて、その日本人の名前で登録をする、日本人が登録をする場合でございますが、これも車両法のきめるところによりまして、登録申請書、印鑑証明書、それから譲渡証明書、検査証それから現車の呈示、保障法による保険証書、保険証明書、これを呈示するのでございますが、軍人軍属から譲り受けた場合には、この譲渡証明書に米軍の憲兵隊が譲渡許可のスタンプを押すわけなのであります。さらに関税法等臨時特例法の付則第三項の規定に従いまして、自動車の通関証明書を提出することが必要なのでございます。で、この米軍の憲兵隊において譲渡許可のスタンプを押さないものに対しましては、通関証明書を発行しないことになっておりまするので、以前駐留軍人からの譲渡でずいぶんいろいろ問題があったわけでございますが、最近におきましては、非合法な譲渡は、こういう手続を軍の方できちっとやるようになりましたのでいわゆるこの問題は最近はなくなったようでございます。  それから先ほど言い落しましたが、外交官から譲り受ける例があるわけでございますが、外交官に対しては、外交官としての特権を与えておりまするので、外交官の使用する車に対しましては、車両法の適用はいたしておりません。それで外交官から譲り受けます場合には、新しく車両法の適用を初めて受けるわけです。その場合には輸入の事実を証明する書面といたしましては、通関証明、これが必要なわけでございます。  先ほどの御質問の、問題になりました軍人軍属あるいは外交官以外の在日外人から、輸入外車を一たび日本政府登録したものを譲り受けます場合には、すでに日本政府登録済みの自動車でございまするので、これに対しましては自動車の通関証明書というような輸入の事実を証する書面は、これは要求いたしまする法律的根拠もございませんので、こういうものがなくても登録ができる、こういうことになっておると思います。  以上、手続につきまして簡単に御説明申し上げました。
  47. 天田勝正

    天田勝正君 手続は大よそ説明された通りだと存じますが、問題は、今新聞紙に伝えられております外車の不正輸入の問題、従って、不当利得の問題、ここに問題があるのであって、この不当利得をするには、先にも簡単に申しましたように、輸入をして、ただそれが利用者がみずから使用するというだけではここに不当利得は生じないのであって、そこで一定の所有年限がきめられておるのを、それを無視するか——この無視する場合には、当然陸運局等の承認を得なければならないわけですが、とにかく無視をいたしましてそれを他に転売する、こういう手段がとられなければ、そこに不当利得は得られない。ですから、御説明の軍人軍属であろうと、外交官の引っ越しの形による輸入でありましょうと、また在留外人でありましょうとも、これが輸入を受けたら最後、まあこれは新聞が若干誇大にいったかしれませんが、一週間ぐらいで登録がえが行われる。これらは常識としても直ちに不思議と思わなければならない筋のものです。こういうことが行われるから、無理をしても、法をくぐっても輸入をして、そうして外貨を使ったり、あるいは無為替でありましても輸入の税金等を免れる、こういうような形で結局において国に大きな損害を与える、こういう結果になる。説明は私はきょうは実はしたくないというのを前提としておりますから、そこでお聞きするのは、しからば近ごろはよくなったという当弁でありますが、しかし、一体全然さような私が指摘したような不正の事実は、輸入省の役人に関してはないと言い切れますかどうか、これはどうです。
  48. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) お話しよくわかるわけでございますが、私の方の登録を御理解願いますためには、登録という法律行為がどういう性格になっておるかということを御説明申し上げなければならないと思うわけでありますが、御承知のように、これは許可とか、免許とかいう性格ではないわけでございまして、登録といいますものは、権利の得喪がそれによって起るというわけではございません。車両法によりますと、道路運送車両法の第五条に「登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。」とありまして、一般の登記と同じように、所有権の得喪行為というものがありまして、その第三者の対抗要件としてこの登録というものが行われておるわけでございます。それで登録をいたしますものといたしましては、所有権の譲渡、得喪というものが正当に行われたかどうかということについては、ただいま整備部長から言われましたように、それぞれの書類をもって検討いたすわけでございます。それらに不備があれば、登録を拒否をすることができるわけでございます。ところが、そういう車両法に基きまして要求いたしております書面が、全部整っておるということになりますと、法律上登録を拒否することができなくなるわけでございます。それでわれわれの方もまあいろいろ事故が多いので、何らかそういうものに対して登録の面からも規制をする方法はないであろうかということも検討いたしておるわけでございますが、それには、たとえば今整備部長から御説明をいたしましたように、無為替輸入の場合、あるいは免税されて入ってきたというような場合の権利の得喪がいろいろ規制がついておりまして、誓約がありましたり、あるいはただいま御指摘になりましたように、一時入国者の場合には一年以内に再輸出するのだというような誓約書をつけておりますし、そのほか承認が停止となりました在日外国人の場合には、輸入後二年間転売してはいけないというような誓約書その他の規制がついているわけでございます。その場合には、それではそういう誓約に違背したもの、あるいは大蔵大臣の免税関係の、何と申しますか、免税で輸入したものを、ただいま御指摘のように、売ったというような場合にどういう工合に権利の関係がなるかと申しますと、それぞれの場合によりましては、権利の得喪そのものを否定はしていないわけでありまして、あるいはそり場合には、免税にかわる税金を払うというふうになっております。われわれの方の立身からいえば、そういうような不当転売について登録を行わないようにするためには、そういった流通関係におきまして法的にしっかり押える、今の場合でありますと、通産大臣あるいは大蔵大臣の許可がないとその権利の得喪は行われないのだという規定になりますと、それを受けまして、われわれの方の登録面におきましても、それを拒否することはできるということで、関係庁にはその点につきましていろいろ現在打ち合わせている次第でございます。
  49. 天田勝正

    天田勝正君 この登録の手続については、おっしゃる通りだろうと思うし、その登録がみずからの所有権を法的に確認する、こういう性質だろうと思うけれども、しかし、法律的にそこに手続に不備がなかったから免れて恥じない、という言葉は強いですが、そういうことになったんではいついつまでも汚職というものはこれはなくならない。問題は一週間後に、とにかく軍人軍属であろうと外交官であろうと、在留外人であろうと、どういうところで輸入しようと、それが一週間後に登録がえになるということは非常に不思議だ、これは法律で責めるという問題でなく、法律以前に不思議だと思わざるを得ない。そうすれば法律的にここに刑事事件に発展すると私は直ちに断定するのではないが、同じ政府の役所の中であるから、運輸省関係でこれを取り締ったり、規制できないとすれば、ここにこういう不思議な登録をやっているがというので、通産省関係でも直ちに警告をしたりするところにそうした汚職が防げるのであって、ところが、自分のセクションのところだけは法律的に欠陥がないからというのでは、私は行政措置としてはかんばしい措置ではない、こう思っているので説明を求めているのであって、ですから一体、じゃ私聞きますが、かつてあったかのごときことは、整備部長の今日ないという言葉から認めておられる。そうだとするならば、そういう不当な登録というものに対して、さらに他の通産省あるいは大蔵省等に警告したり、通知をしたりすることは一体あるのですか、ないのですか。
  50. 岩崎清

    説明員(岩崎清君) 御質問の趣旨に十分お答えできるかどうかわかりませんが、実はこの無為替輸入の問題につきましては、この第一線の登録官におきましてもいろいろと実は頭を悩ましていたような事態があったわけでありまして、しばしば従来も、最近問題になりまする以前から、通産省、大蔵省の関係当局とはしばしば打ち合せが行われておりたわけなんでございます。で、その際にも御指摘のように、通産あるいは大蔵関係の方からはこれを登録する面で取り締ってもらえぬだろうかというような相談はしばしば受けたことがあるのでありますが、しかし、先ほど局長から御説明申し上げましたように、登録の本質からいいまして、それを登録面で拒否するということは、どうもいろいろ研究いたしましてできませんので、われわれの方としては、そういうもし誓約書なりあるいは貿易管理令等に違反する譲渡については、これは譲渡が無効である、そういう所有権の移転はこれは認めないのだということをきめてもらうよりほか方法がないというようなことで私どもは主張しております。それで、しかし、これは通産省あたりでも十分研究したようでありますが、どうも現行法の建前からいって、それもいろいろむずかしい点があるようでございます。で、とりあえずの措置として、まあいろいろ私の方からも要求いたしまして、一番従来問題でありました駐留軍人軍属の件につきましては、これは米軍当局も非常に厳重にその後取り締るようになりまして、これは二型式年以上古いものでなければ、あるいは過去三年間において転売した、日本人に譲渡したという事実がないものに限って、この日本人への譲渡を認めるというような線をきちっと守って、また国内的の法規もそれと合せましたので、まあそういうものが最近は影をひそめておるような事情でございます。それからその次に多く入っておりました在日外人が二年に一台の範囲で無為替で輸入できるというような、これは通産大臣の承認のあるものについてはこういう措置がとられまして、この点から相当の不正の輸入があったわけでありますが、これは本年の二月以降この承認を一切停止を現在やっておりまするので、この点からはこういう無為替輸入のルートはふさがれたような格好になっておりまして、ただいまは一時入国者の無為替輸入、それも実際にその本国において六カ月以上使用したもの、そうして出国の際に一週間以内に船積みをしたもの、なお一カ年以内に再輸出をする、そういうような誓約を入れて入ってくるものが若干ある、それから引っ越し荷物として持ってくるもの、外交官が無為替輸入をするというようになりまして、現在のところ、この無為替輸入によってそれが日本人に転売されるというケースはずっとないといっていいくらい、あってもきわめてレア・ケースではないかというような状態になっておるような実情でございます。
  51. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 私そのお答えするポイントは二つあるかと思います。第一は、今整備部長から御説明いたしました通り、今まで無為替輸入で、不正輸入の、制度上の穴がいろいろあったわけであります。それで今部長から説明いたしました通り一つ一つだんだんふさいでいくという措置がとられております。最近新聞紙上をにぎわしたものでいろいろ伝えられております不正輸入は、まだまだその行政制度上の穴がふさがれない当時に不正輸入した案件が多いだろうと思うのです。しからば、そういう案件が今ごろどうして出てきたかと申しますと、私は一つここにまた制度上の穴があります。と申しますのは、自動車の臨時運行という点、簡単にその登録をとらないで、御承知の仮ナンバー、あれをかけて走ります。ですから通関証明書も何もなしに、あるいは半年も、ひどいときには一年も仮ナンバーで走っている車がないとは言えない、こういう穴がありますために、あのような事態が出てくるわけてあります。それで根本的な解決方法といたしましては、先ほど局長から御説明いたしました通り登録の機会に何とかこれを防止する方法はないかということ、これは第一には、税関当局と陸運事務所あるいは陸運当局とがよほど連絡を密にするという方法一つ。ところが、なかなか不正の場合をこれでキャッチすることが、窓口担当者としてできにくい実情が、先ほど御説明いたしましたように、書類が備わりておりますと、一応形式上受理しないといけないという点がございます。それからいろいろ不正の事実を発見するのに、窓口当事者同士の連絡がなかなかうまくいかないという遺憾な点はもちろんございます。それでそれを根本的に直すためには、免れて恥じないということがないように、その所有権移転そのものを何とか法律的に、立法措置でもって制限するという方法が一番手取り早い。そうしますと、たとえば不正輸入した連中が、あとで税関に関税を取られてそれでよいとか、あるいはある程度罰則の適用がありましても、それをあえてして不正輸入するという連中が多いのでありますけれども、その所有権の移転自体が無効になれば、これはもともとできない相談でございます。そういうような立法措置を大蔵省ないし通産省に運輸省の方から申し入れをいたしたいと考えております。なかなかこの点につきましては、法律上も困難があるようでございますが、今大蔵省と通産省で研究をしております。  それから第二の防止の方法といたしましては、先ほどちょっと触れました通り、臨時運行の制度について、もう少し改める必要があるのではないか、私は昨日事務当局からお話を聞きまして、非常にこの点にまだ欠陥があるのではないかという感を深くしたのであります。きわめて簡単に許可官庁といたしましては、陸運事務所とか、あるいは市とか、東京都内の区とか、あるいはひどい場合には辺鄙な土地の町村長自体がこういう許可ができるという権限を与えておりますので、たとえば東京の陸運事務所でこういう仮ナンバーをとった連中が転々といたしまして、辺鄙な土地へ行って町村長にこの許可を申請すると、なかなか辺鄙な町村長では事情がよくわかりませんので、大ていそれを許可する、こういう欠陥がありますために、そういう連中が臨時運行の形で、あちらこちら走り回って不正の機会をねらっておる、こういう点がありますので、この点につきましては、運輸省といたしましては、よくその行政許可をする場合に、審査の上疑わしい場合には許可をしないように関係官庁を指導監督する必要がございます。現在、臨時運行許可業務監査指導という名前のもとに計画を立てまして、来年度予算に経費七十三万円程度要求しております。そのほか通産関係官庁におきましても、最近厳重な関税逋脱自動車の監査が行われておりまして、不正輸入車の差し押えに特別な努力が払われております。いろいろ従来は制度上に欠陥がございましたので、無為替輸入についての制度上の穴をだんだんふさいで参りますとともに、末端行政官庁における今申し上げましたよらな指導、監督を厳重にするという措置をとりまして、だんだんこういう事態はなくなると考えております。
  52. 天田勝正

    天田勝正君 事柄は政務次官のお話でよほどわかってきた。この免税輸入にいたしましても、それが転売される場合には経過年数に従ってまあ逓減されるけれども、しかし、税金がかかるということになっておるのですね。ところが、これをまた不正に減免の道も彼らみずから講じておる。それはどういうことかというならば、この外見的にいたんだといろふろに見せようとして、これに機械自体には何らその関係がないようにハンマーで一撃を加えたりなどしたり、あるいはまたエンジンにこれを内部には影響のないように傷をつけてみたり、こういうことでこれが年式よりもはるかにその自動車自体がいたんでおるんだ、こういうような擬装をすることによってそのときの税金を減免される、それはあれですよ、輸入の云々という問題でなしに、そこを認めるのは陸運局の係官ですからね。いいですか、それが自動車行政をあずかるお役人がそれを認めなければ、その税関の方の減免はできない、私はそういう手順であるということを業者から聞いております。ただこういう場合に、その情報を流す業者がどこのだれといえば事が明らかになるのですが、いずれもその場合に明らかになし得ないというところにこれは問題があるんですが、とにかく、そういうことがもう今日常識化しているというのは私は驚くべきことだと思うのですね。で、なお先ほど来お話がありましたように、大蔵省でもここに穴があるというのを認め、通産省でもここに穴があるというのを認めたがゆえに、運輸省の方へ相談があったということなんです。そうだとすればですね、まあ法律改正をどの部分でするかは知らぬけれども、それがあるまではまあ今問題になっておるように、外国為替の関係で刑事事件にかからない限りは、やはり今後も続くと、こういろ不正は続くと見なければならないんですが、その点はいかがですか。
  53. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) ただいまのお話の中で税関の、何と申しますか、関税を少くするために自動車そのものを差しつかえない範囲で損壊するというお話があるわけでありますが、私の方には通関証明書の方が出ましてから私どもへ持って参ることになっておりまして、これは税関の検査の段階の問題ではないかというふうに考えるわけでございますが、私の方はそういう点でまあわれわれの方の検査と関税の額とは直接にどうこうという関係は持っていないわけでございます。
  54. 天田勝正

    天田勝正君 あとの方の答弁はどうですか。
  55. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 先ほど御説明いたしました通り、従来の制度上の穴をふさいでいくという方法がとられていますので、よほどそういう無為替輸入の不正行為をやる機会は少くなるということは事実であります。  次に、犯罪行為をあえてしてまでも不正輸入をするという場合でございますが、それを防止する機会といたしましては、先ほど御説明いたしました通り登録の際に税関当局と密接な連絡をやるということが第一の方法であると思います。第二の方法といたしましては、先ほど委員長の御質問にありました通りに、登録の際に係官が非常に凝惑を持つ必要があるわけであります。その点につきましては、今申し上げました通り、税関当局との連絡がうまくいけばその不正を発見できるわけであります。ただいま申し上げました税関当局との密接な連絡をもってそういう不正の場合をチェックすることが将来できるだろうと思います。  第二の場合といたしましては、先ほど申し上げました通り、どうしても所有権自体の移転を無効とするような立法措置が根本的に必要だというので、先ほど御説明いたしました通り、大蔵省及び通産省で御研究を願っておりますが、これがもし法律的に解決されまして可能となりましたならば、いかなる不正輸入も結局目的を達しないということになりますので、よほどこういう不正輸入が少くなるだろうと思います。  第三の場合といたしましては、さて、この不正輸入をした自動車をある程度動かしまして、不正輸入をする機会をうかがうというこの方法といたしまして、先ほど申し上げました臨時運行の制度がございます。この臨時運行の制度をもう少し監督を厳にいたしまして、たとえば有効期間が五日間なんですが、この五日間を更新する場合に再び申請をしなければならぬ、これがあるいは数回、あるいは十回も重なりましたならば、何かそこに臨時運行の目的自体に不純な点がありはしないかということを疑うのは、末端官庁といたしましては私は当然の行政措置ではないかと思います。それを半年もあるいは一年もそのままにいたしておりますところに私は欠陥があると思います。その臨時運行の制度を厳に取り締ることによりましてこの不正輸入を企図する連中がよほど不正輸入上の困難を伴うものと思っております。そういう点もあわせて、間接的な措置でございますが、あわせて措置をして参りたいと思っております。
  56. 天田勝正

    天田勝正君 ではもうあと一問で終りますが、さっき私が第一に指摘した故意に損壊するということは、駐留軍の軍人等の車を、ここで故障を起したというようなことから現場に要するに連れていく、係官を連れていくという問題なのであって、それは税関の出張検査というのが誤まり伝えられたのだと思うから、この点は通産省関係で聞きます。そこで、一番初めに聞きました、しからば不正不当の——まあ不法と言わざるまでも不正不当の行政措置が部下のうちになかったかということについては、これは答えがないわけですけれども、今新聞に伝えられておる外車の不正輸入についてそうした不当なものが一体あったのかないりか。皆さんは言いにくいだろうけれども、われわれはより以上に、公務員の立場を守るけれども、しかし、国家国民に迷惑をかけるものまで守るつもりはさらさらないのであります。まじめにやる人たちの立場、あるいは待遇というものは一生懸命守っていかなければならぬ、こういう立場でありますから、あったらあったで私はむしろはっきりしてもらった方がいいと思う。
  57. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) まあそういう点につきましては、従来遺憾でございましたが、そういう犯罪事実が起ったことはございます。それでまあわれわれの方といたしましては、そういう登録面の事故はほかの事故に比べまして割合に多いわけでございます、自動車関係につきましては。それでまあこの面におきまする監督機構をどうしようかということは、常に頭を悩ましておるわけでございますが、数年来からとっておりますのは、チェック・システムと申しますか、一人の人で全部の手続ができない、流れ作業で多くの人が見るというような点につきまして特に気をつけておりますし、また制度面におきましても、ただいま政務次官がお話しになりましたように、税関当局と非常に相互にチェックをするというシステムをとっておりまして、まあ簡単に御説明申し上げますと、自動車の通関証明書を甲乙丙丁の四片制にしております。それでこの登録の申請人は税関に申請をいたしまして甲片を受領する、税関に乙、丙、丁というものが、あるわけでございますが、そのうち丁片は税関の控えとしておりまして、税関は乙片及び丙片を陸運事務所に送ってくるようにしてあります。それで陸運事務所登録をいたしましたあとで、丙片に登録の年月日あるいは登録番号という所要の記載をいたしましてもう一ぺん税関にそれを送り返す、そうしましてそのあとの申請人の甲片及び乙片を陸運事務所に保管をしておるという手続をとっております。税関に丙片を送り返し、丙片と控えの丁片を照合してみまして、それで登録に呈示された自動車の通関証明書がほんとうであったかうそであったかということを判断するというふうに、税関の方の仕事の一助にしておるわけでございます。また陸運事務所といたしましても、自動車の通関証明書に記載してあります所有者と新規登録の申請者というのが違った場合に、また税関に連絡をいたしておりまして、それで免税の特権のある者以外に転売が行われたことが明らかになった場合には、税関で税金を取るというような連絡を今いたしておるわけでございます。そのほか、ただいま政務次官からも言及されました臨時使用の面につきましては、特に最近厳重にその監督をいたしておるわけでございますが、この臨時許可といいますのは、やむを得ない——先ほど法律をあげまして御説明いたしましたように、自動車というものは本来登録したものでなければ運行してはならないという規定であります。ほんとうの例外的なものでございますが、ただ登録しないときでも動かす必要がある、それは法律的に限定いたしております。それは試運転の場合でございますとか、あるいは新規に登録をする、あるいは新規に検査するために回送するという場合、そのほか特に必要であるという場合というふうにしておりまして、有効期限が五日という非常に短かい期間を限っておるわけでございますが、それが実際問題といたしまして悪用されるもとになるので、この監督を厳重にしなければいかぬということを言っておるわけでございますが、それは陸運事務所だけでなくて、非常に多くの市町村がそれをやっております。総数で千二百というようなところがそういろ事務を取り扱っております関係上、市町村は本来そういう陸運行政を本格的に取り扱われない方がたくさんあるわけでございますから、その面で法規解釈あるいは運用面で十分でない点があるのでございまして、その点は先ほどお話がありましたように、来年度は特に予算をもらってそういう人たちの訓練というものを十分やっていかなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、御指摘のようにそういう面の不正事項が、遺憾でございますが、従来もあったわけでございまして、今後ともそういう面につきまして制度上からもなるべく、なるべくというか絶対に起らないという制度を常に研究して参りたいと思っております
  58. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問。今当局からは手続上の問題が多く説明をされておると思うのです。私はやはり外車の不正輸入という問題と、それから発足していわゆる不当な利益をむざぼっておる人たちが非常に多く出た、いわゆる汚職が出た、こういう問題の根本的な問題を一つお尋ねをしておきたいと思うのです。それは私が前二十六国会でガソリン税値上げの際に、一体日本のいわゆる国会の自動車というものはどのぐらいあるのか、政府はまた今後外車の輸入というものはどういうふうに考えておるのか、こういう点について質問をしたわけです。ここに速記録もありますが、そういす中で前の宮澤運輸大臣は——私は国内生産で、かなり自動車というものは国産車で間に合うと、従って自動車の台数についても、これからの生産についても、わなりガソリン税値上げをそうしなくても済むのだと、こういう問題を出したのですか、宮澤運輸大臣はそのときに、外人は足が長いからどうしても日本の国産車では乗れない。従って、外人のために、足長をいわゆるゆるやかに乗ってもらうためには外車が必要なんだ、こういうような話があったわけなんです。そこで、根本的な問題は、一体外車の輸入の窓口というものはどういうふうになっておるのか、これがやはり重要な問題だと私は思うのです。日本のいわゆる通産省なりあるいはまた大蔵省なり、自動車を監督しておるところの運輸省所管の問題として、一体年間外車というものはどういうふうに輸入をするのだ、当然外貨の割当がなければ一般の外車の輸入というものはできないはずなんです。従って、日本政府自体として、一体外車の輸入というものはどうするか、それから日本政府が規制をすることのできないいわゆる外国の軍人軍属の場合の取扱いはどうするのか、こういう点を明らかにしなければ、これは幾ら技術的な問題を論議したって、先ほどの答弁をぐるぐる回っているうちに外車を輸入されて、一週間くらいでどんどん入ってきては作られて、その間に一台で二百万も三百万ももうけが出てくる。幾ら議論しておっても議論する間にそういうことが行われる。しかし、そういう根本の一体政府として外車の輸入というものはどう取り扱っておるのか。一般のそういうものと、そうして軍人軍属の場合の制限というものはどうするのか、こういろ問題を答弁をされて、そのあとにいわゆる技術的な問題をされなければ、幾らこれはとめようと思ってもこの不正というものはとまらない。  いま一つは、先ほど天田さんからお話がありましたけれども登録事務についても、これはもう何といっても今の陸運事務所なりあるいは陸運局のそういう関係者が非常に人が少い。幾ら行政命令を、いわゆる文書を出しておったところで、仕事をする人がたくさんの仕事を持っておるからなかなかそういうことができない。こういうところにやはり根本の問題があると思う。そういうところをなくするようにしなければ、一人の人のいわゆる業務能力というものはきまっておるから、幾ら仕事をさせようと思ったって、たくさん仕事がたまっておるので、発見するまでには二月も三月もかかってしまう、こういうところにやはりそういう問題も私は出てくると思うのです。政府の問題といま一つ行政上の指導の問題と、二つの問題に対して答弁をしてもらいたい。またそういうことがなければ、この不正ということは発見はできない、こういうふうに思うのです。御答弁をいただきたいと思う。
  59. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 初めに外車の輸入の問題につきまして御説明申し上げます。外車の輸入につきましては、御指摘のようにドルの問題と国内車の生産の問題ということで、年度別に非常に差ができております。統計的に申し上げますと、一番外車の輸入が多く行われましたのは二十七年でございました。それには六千五百四十五台の外車が輸入されております。その後いわゆるドルの制限が非常に強くなりまして、一番少かったのは二十九年の三百六十八台という数字でございます。それでこの年からその二十八年までは外車の割当というものは通産省がドルの割当をデイラーにやっておったわけでございますが、そのころから非常に制限がきびしくなりましたので、輸入される外車の使用目的というものを限定いたしまして、観光用の外車とそれから新聞報道用の外車というふうに目的をはっきりいたしまして、その観光用の外車につきましては、その割当は運輸省の責任になっておるわけでございます。それからもう一つ、その後やはり観光客が非常に多くなりまして、特に団体客が多いということで、最近またそういう要請が強いわけでございますが、三十年には五百四十五台、三十一年には七百二十八台という割当数量を持っております。それではそれだけの数量で需要が全部まかなえるかと申しますと、需要はもちろん非常に多いわけでございまして、私どもの方といたしまして割当をいたします場合には、観光客を輸送した実績というものを十分見て割り当てておるのが実情もございます。しかし、一方また日本の車も相当性能がよくなって参りましたので、その辺は十分、日本の国内の自動車と、また、外車の需要というものをにらみ合せて外貨の割当をしなければならない、かように考えでおります。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 私は、今政府の一貫した考え方というものが出ておれば、こういう不正事項等も非常に減少していく、なくなっていくんだ、こういうふうに思うのです。それは、やはり国産車の奨励ということをやれば、いわゆる外車がいいとか悪いとか、その効率の問題でなくて、これはもう技術的——先ほどの運輸省全般の問題でも出ておるように、技術の提携があれば、これはもう国産でも十分間に合うことなんです。ところが、ともするとそういうことがなおざりになって、外車ならばいいんだ、外車ならばとにかく日本の車よりいいんだ、こういう観念がいわゆるこういう不正な輸入を行わせる、あるいはそういう汚職が出るところの根源になっておると思うのです。だから、そういう点を、政府が一貫した政策として立てることによって、私は、外車のそうした、何といいますか、盲目的な外車にたよるというようなことがなくなってくる、汚職というものもそういう根源が断たれる、こういうふうに私は思うのです。  そこで、先ほど、前の宮澤運輸大臣の足長の問題を私は出したんだけれども、何も外人が乗れる車を日本で作れないはずはないんです。ところが、ともするとそういうことは一枚看板になってしまって、岸総理大臣も国産車を使ったけれども、遠い所に行くには外車に乗りかえて行ったというようなことが出るから、結局は、外車というものはいいんだ、外車でなければ遠道は走れないんだということになって、一般の日本人も、少し金を持つと外車に乗りたくなってくる。こういうところをやはり私としては、まず直すことが政治的な問題でもあるし、日本の政策の問題でもあると思う。そういうところをまず第一に直していくということ。  それから、今の通産省と大蔵省との輸入の窓口ですね、あるいは、それを監督するところのいわゆる運輸省の監督行政の問題が一貫をしないと、これはもうとにかく、大蔵省が輸入さしてもいい問題と、通産省が割当でむつて輸入する問題とばらばらになっておったのでは、これは私はいけないと思う。この前の新聞を見ると、やはりそういうことが指摘をされておるわけですね。これは、事実はそうでないにしでも、一般国民にとっては、政府の今の行政というものはばらばらである、大蔵省ほ大蔵省、通産省は通産省、それで、自動車一般の監督ほ運輸省だけれども運輸省は何も知らないんだ、こういう形になってしまう。だから、少くとも政府の一貫した政策として、外車というものは年間幾ら輸入をして、それでこれの取扱い手続というものはどうするんだということを下部まで示達すれば、そすいう点が私はなくなってくるのじゃないかと、こう思うのです。そういう点が、今の政府として三十三年度の施策の中にそういう点というものは取り入れるのかどうか、こういうことを私は政府にお尋ねをしたいと思うのです。  それから、今までの点については、とにかく不正があったものについては、これはもう信賞必罰の建前で徹底的にやっぱりやって、たとえば、運輸省の中で、そういうことはないと思うけれども、もし関係者があるとするならば、当然こういう問題についても明らかにしてもらいたい、私はそう思うのです。だから、そういう点についてあるのかないのか、こういう点についても御答弁をいただきたいと思う。
  61. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 御質問の第一の点でございます。国産車奨励は、運輸省のみならず、政府全体としても政策的に採用しているところでございます。ただ、遺憾ながら、国産車の性能がまだ外車に匹敵するまでに至らない点、それから御承知の、これも遺憾でございますが、日本の道路がなかなかうまくいっておらない、こういう二点から、まだまだ観光用の自動車を外貨割当でもって輸入する措置はとらざるを得ないと思います。ただ今後の問題といたしましては、国産車の性能をよくすることと、道路の問題をよくする、この二つの点によりまして、できるだけ政府の国産車奨励の裏づけをいたしていきたいと思います。  第二点といたしまして、しからば、現在の無為替輸入の、不正輸入の道をどうして防ぐかという問題につきましては、すでに御答弁申し上げました通りでございます。小さな穴までも漸次ふさいでいくということ以外にはございません。今後の行政の指導監督を厳重にいたして参りたいと思っております。
  62. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、少しじみな御質問をいたしたいと思う。最近自動車の激増に伴いまして、自動車の検査並びに登録事務が非常に渋滞をして、これを業界あげて非常に困ったものだということで強く運輸省に要望していると思うのです。その点からごく二、三、時間がございませんから御質問申し上げたいと思うのですが、つい最近でございますけれども車両検査手数料の値上げをした。このときも、その値上げに応ぜられた業者の皆さん方は、登録事務あるいは車両の検査等がスムーズに行くならばこの値上げに応じようということで努力されたことは、私ども承知をいたしておる。ところが、その後、このような負担は重なってきたけれども、依然として車両の激増のために、非常に事務が渋滞しておる。これで大へん不満な状態に最近なっていると思う。見通して見ますというと、手数料の収入が支出より上回って、はるかに余剰が出るようになっておる。この余剰金を車検登録の事務処理費の方に繰り入れるつもりがあるかどうか、との点から一つお尋ねをしてみたいと思う。
  63. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 御指摘の点は、われわれの非常に悩んでおる点でございまして、ただ、われわれも、財政当局に対しましては、登録あるいは車検で得るところの対価について見合うだけの予算をそれぞれに入れてもらいたいということで、前々折衝いたしております。しかし、国家財政の建前といたしまして、予算とそれからそういう収入というものが別建てでございますので、なかなか所期の効果が上らないわけでございますが、御指摘のように、車両数が年々非常に増大をいたしております。それに対して定員が大体過去五年くらいで一割弱くらいしかふえておりませんので、その間、業務の合理化あるいは集約というものも行なっておる状態でございます。一例をあげますと、車検場はいわゆる出張車検場というようなものをたくさん持っておるわけでございますが、その面におきまして集約をせざるを得ない。集約をしなければ車検ができないという状態で集約をいたしておりまして、国民に御迷惑をかけておる点は、まことに申しわけないと思っておるわけでございますが、その要員の面でサービスが低下せざるを得なくなってきたという実情でございまして、この点、来年度予算に対しましてはぜひ努力してこの要員面の解決を図りたいと、かように考えております。
  64. 柴谷要

    ○柴谷要君 大へん苦しい実情を述べられたようですが、ここで一つの例を申し上げておきますると、事検対象車両要員の問題をちょっと例を申し上げますが、昭和二十七年は五十三万両、端数は切り捨てますが、五十三万両、要員は六百十一人、一人当りの受け持ち両数は八百七十両、これが昭和二十七年の実績だった。ところが、昭和三十二年になりますというと、がぜん車は百二十三万両にはね上って、要員は六百五十七人、しかも、一人当りの両数というのは千八百七十両で、二・一五倍、二倍以上にはね上っておる。こういう事情ですから、車検自体に対しても二倍以上の負担がかかってきておる。それから登録事務にしますると、二十七年は五十万で、二百六十人の要員で、一人当り千九百三十七両。ところが、三十二年になると、百十七万両で二百七十二人、一人当りが四千三百二十両、こういうことで、これが二・二六倍とはね上っておる。こういう事情で運輸省に車検の状態をスムーズにやれ、あるいは登録事務を完全にやれといったって、これは超人的な仕事だと思う。こういう登録事務の状態に置かしておいて、そうして片や外車輸入の不正があるから窓口で押えろというのも、これはちょっと過酷な話じゃないかと私は思うのです。こういうような状態において、しかも、業者の自動車一台持っている人は、ガソリン税は値上げ、保険料はかける、道路税はかける、何だかんだと税金は一ぱい取り上げる。しかし、サービスする運輸省の実態はどうかというと、こういう状態です。これではいかに善良な国民でも税金を納める気になってこないですよ。どうです、政務次官、こういう実情になっていて、しかも、担当者は全く超人的な仕事をしておる、こういう実情ではいけないと思います。特に例をあげますけれども昭和二十九年に、これは運輸省が極秘のうちに業界から人を、実は応援を頼んだ、その人員が百八名いたわけです。これを何とか——業界から運輸省が人を頼んで、向うに給金を払わして働いてもらうなんていう形は好ましくない。そこで、この人間を解消しようじゃないかというので、三十年に三十六人採用した。三十一年に三十六人採用して七十二人採用した。ところが、そのまま来て三十二年に三十六人すぽっと入れれば百八人の穴が埋まる。ところが、三十二年度の穴埋めをしないために、そのままになっておるから、業界から依然として来て働いてもらっておる。こんな役所がありますか。業界を指導監督するなんてなまいきなことをいっておったところが、業界から人を頼んで自分の仕事をやらしておくなんて、こんなことでうまい運輸行政ができるわけがない。今年は日の目を見ない陸運事務所等については、人員ば十分やるということで予算をとって割り当てるように運輸省としても最善の努力をしてもらいたい。これが運輸委員会の皆さん方の御意思でもあろうかと私は思います。きょうは実は運輸大臣がいらっしゃいませんから、多くのことを申し上げませんけれども、これらの要員の問題につきましても、適切に人を配置してもらうことによって処理していける、こういうふうに考えるために、要員だけふやせとは申し上げません。今日いろいろな問題がありますから、関係者の創意工夫によって、より一そう業務能率を上げてもらうということもあわせて一つ私の方では要望しておきたい。こういう意味において、果して自動車局長は業界から応援をされているような要員問題をすみやかに解消し、必要なところに必要な人員を配置できるような考え方を持っておられるかどうか、これに対して政務次官は責任を持って閣内でこれを処理するだけの決意があるかどうか、この二点についての御答弁を願いたいと思います。
  65. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 御指摘の通りでございまして、一言もないわけであります。実はただいま御指摘のように、登録あるいは車検事務で業界の応援を得ておるということは、私現職になる前に知ったわけでありまして、それは非常に工合が悪い、できるだけやめさせなければならないということで、相当多かった数でございますが、相当無理をいたしまして切りました。今ほとんど残っておりませんし、あるいは残っているといたしましても、行政事務にタッチをしておる面には残っていないし、どの部門に残っておってもよくないわけでございますが、全部やめろという命令は出しておりますが、やめてしまうと行政事務がストップするというようなところもありわけでございまして、やむを得ないところで行政事務でない面での援助を得ておるところも少数残っておりますが、こういう状態はいいものとは思っておりません。で、この面につきましては、従来私ほかの地位で予算の折衝をいたしました際にも、十分財政当局にもその面を説明いたしまして、解消に向いましたのは、その理由で解消に向つたわけでございます。ただ三十六名、非常に少いような数でございますが、実際上は常勤の人夫賃でもらっておりますので、相当程度これは融通といいますか、運用によりまして数は使っておるわけでございます。といいましても、ようやく従来の人員の穴を埋めるという程度でございまして、御指摘のように月々二万数千台の自動車がふえますし、われわれの方の仕事は机の上の事務とは言いながら、現場の事務に似ておりますので、合理化を盛んにやっておりますが、人手の合理化というものにも限度があるというふうに考えでおります。それで私といたしましては、一面、そういう要員充実をはかりますとともに、特に車両検査におきましては、機械化して人手を減らすという面で、この機械の購入費というものは、昨年以来ある程度ふやしてもらっております。御承知通り、古い車検場になりますと、十分な機械が入っておりませんので、そういう面においては、その面からの入手を極力減らすという合理化もやって参りたい、かように考えておりまして、御指摘につきましては、われわれも常に悩んでいる問題でございまして、来年度何とか、私どもも、曲りなりにも仕事ができるという程度状態にはしたいというように考えております。
  66. 木村俊夫

    説明員木村俊夫君) 御指摘の点は、まことに運輸省としても面目のない次第で、来年度におきましては、予算の獲得方につきまして、大臣を補佐いたしまして、最善の努力をいたす覚悟であります。
  67. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後の一問、これは次官もよく承知していただきたいと思うのですが、私の調べたところでは、陸運事務所関係には、小使さんとか守衛という人は一人もおらない。それから特に最近交通事故がひんぱんになって参りまして、ナンバーの問い合せがひんぱんにくる。東京陸運事務所あたりには、一日にナンバー問い合せの電話だけでも七十通から百通かかる。そうすると一人前の人が電話応待しても精一ぱいです。ナンバーを調べてお知らせするわけです。たとえばひき逃げした、そのナンバーは何番だという問い合せがある、こういう件数が東京陸運事務所で多いときには七十件から百件ある。大阪あたりでは下りますけれども四十件から五十件毎日ある。こういうことに係員はつききりにいられない。そこで、大阪陸運事務所では、ここに働いておる陸運局の人たちが金を出し合って人を雇ってこの仕事をやらしておる。こうでもしないと仕事ができない。これはどうぞお調べになっていただきたい。これは自動車局長も知らないと思うがお調べになっていただきたい。小使さん一人、守衛一人いないというのがこの陸運行政の機関におけるところの状態なんです。われわれ決してむちゃを申し上げておるわけじゃない。今言ったようにナンバーの調べだけでもそういうような事情になっておりまして、ほんとうにこれこそ涙ぐましい努力をしておるわけです。どうかこの実態に即したものを作っていただくように毎度お願いして私の質問を終ります。
  68. 江藤智

    ○理事(江藤智君) ちょっと速記やめて。    〔速記中止〕
  69. 江藤智

    ○理事(江藤智君) 速記をつけて。  それではこれで散会いたします。    午後四時二十八分散会