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政府委員(
天埜良吉君)
お話の点は今ございまして、その
経過を申し上げます。
アメリカの軍から
調達庁に対しまして、六百三十二名の
港湾作業労働者を募集したいので協力を求めて参りました。これは
神奈川県の
労働部を通じて
申し入れて参りました。そこで
昭和三十二年の一月一十三日に
調達庁庁舎におきまして、
調達庁の
労務部、
労働省の
職業安定局、
外務省の
欧米局、
運輸省の
港湾局、それから
関東海運局、
神奈川県の
渉外部というのが集まりまして、いかに対処するかということについて
協議をいたしたのでございます。
アメリカ側のそれを要求する
理由といたしましては、
入札契約について、各
方面からじゃまをされて迷惑をこうむった、昨年の秋から冬にかけて
ストライキがあって、
荷役は兵隊を集めてかろうじて突破してきた、こういうようなわけで、以上の経験からすると、
アメリカとしてはみずから
作業に当る方が万事好
都合で、
不測の
事態に対して安心できるんだと、こういうふうな
理由からでございました。ただ、
契約者との
契約を取り消すことはどうも悪いと思うから、とりあえず
契約破棄を申し込んできた一社、これは宇徳運輸でございますが、これだけの分について、みずから
作業がしたいんだと、こういうことを言っております。
この
会議におきまして、
運輸省としては次のような
意見に従って
交渉しているのでございますが、まず
横浜港の
港湾秩序について、一社分が
契約がはずれて、その分を軍がやるということになりますと、それだけ
契約量が減るので、特に
下請業者にとっては、
作業の削減となるからこの点は困るのだ、その結果、
労働者の解雇を行わざるを得ないというような
事態になるかもしれないし、たとえ解雇された
労働者が
米軍に雇用されるとしても、将来の見通しがつかないので不安である、いつまた解雇されるかわからない、こういうりように
考えられますので、
事業者、
労働者の不安を醸成して、
米軍と対抗するための
不測の
事態が起きないと保障することさえ困難になるのだということを述べております。なお、
直用の
作業は、技術的に見ても困難である、と申しますのは、
商貨と
混載の場合は、
商貨は取り扱えないのでありますが、
混載の場合は、同一のハッチに混然と入っておりますので、その
商貨を取り扱わずに
軍貨だけを処理するということは困難なことだ、だから実際問題として、できないのじゃないか、それは
アメリカ軍にとっては不
経済になるであろう、
事業者にまかせるならば、
現実に
作業を行なった分について支払えばよいのに、
直用の場合には、遊んでいるときでも賃金を支払わなければならぬ、こういうこともあります。なお、六百三十二名というような大量を募集することは、われわれの方としても、
日本側としても非常に困難であるというようなことを強調して、できるだけそういうことにはしてもらいたくないということを述べております。
アメリカ軍との
交渉は、これは直接
調達庁がするのでございますが、
調達庁は
米軍と数回にわたってその撤回をはかるように
交渉を続けて参っておりましたが、
アメリカ側が最終的な回答として要求しているのは、次のようなことでありまして、
アメリカとしては、
日本側の
意見は十分聞いて
検討をしたんだが、その結果のものであると、こういうことでございます。われわれの方としては、
合同委員会でも今との問題をかけておるのでありますが、だからよく話し合ってからきめた方がいいのではないかということで提案をしたのでありますが、その点は
向うは断わってきております。そして第一次として、一月二十五日までに二十名を
調達してくれ、第二次として、三月八日までに百二名を
調達してくれ、第三次として、三月二十三日までに百二十四名を
調達してくれ、それから第四次に、四月八日までに百四十名を
調達してくれ、合計三百八十六名を
調達してくれ、こういうような
向うからの
要請になっております。
調達庁労務部、
外務省欧米局、
労働省職業安定局、
運輸省港湾局、
神奈川県の
労働部等が集まっていろいろ
協議をしたのでございますが、
アメリカとしても、これがぎりぎりの線だということで言ってきておるのでありますが、従ってこれ以上緩和をしてもらうことはなかなかむずかしいのではないかというふうに
考えておりますが、事実上は労務者を募集するということについても、これはなかなかむずかしいので、との点は事実上うまくいかないのではないかというふうに
考えておるわけでございますが、
運輸省としましては、
荷役の秩序不安ということを主張いたしまして、再度
米軍に再考を促すように
申し入れをいたしております。