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1957-08-31 第26回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月三十一日(土曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            木島 虎藏君            三木與吉郎君    委員            植竹 春彦君            後藤 義隆君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   説明員    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  岡本  悟君    運輸省自動車局    業務部長    国友 弘康君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (民営鉄道運賃に関する件)  (自動車行政に関する件)   —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査のうち民営鉄道運賃に関する件を議題といたします。  昨日に引き続き質疑を続行いたします。順次御発言を願います。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 昨日の質疑応答を聞いていて実際感じたのですが、監督局長説明を聞いていますと何か私鉄経営赤字だ、赤字経営の方にいろいろなこの資料をあげてきて説明されているわけでありますが、どうもこういう点でやはり私たちの率直な感じからいいますというと、この問題についてはあくまでも客観的な事実をやはり追求し、その上に立ってこの問題を大衆的な世論の中でやはり決定するという方法が望ましいのではないかと思います。従いまして、昨日からの大臣の御説明は非常にわれわれも了とするところでありますが、運輸省においてはそういう意味で今後この方針を貫いていただきたい、こういうふうに思います。と申しますのは、何といいましても第一にこの私鉄経営の問題であります。これにつきましてはなかなか赤字経営だというようなことを説明されても、これはなかなか国民世論は納得しない面があるのじゃないか。現状をよく見ているわけです。とにかく一割五分あるいは一割二分の配当をやっておって、そうして赤字経営だ、だから運賃値上げをしなければならないということでは国民世論を納得させることは私は非常に不可能じゃないかというふうに考えるわけです。従ってあくまでこの点について私は質問を申し上げたいと思うのでありますが、その前に私はしろうと立場からお聞きしたいのでありますけれども、第一に、これは商売原則資本主義原則だと思うのです。第一にサービスをはっきり確立して、それから設備をちゃんと整えて、それから客が来て、その客に適当なこれは料金を払わせるというのが、大体最も素朴な形でいった資本主義経常の姿でなければならないと思う。ところが、今度の場合は、とにかく五カ年計画を立てる、そうしてその資金は大部分運賃値上げによってまかなう、つまり五カ年後にはこのようなサービス改善をやるのだ、設備増強をやるのだ。従って運賃値上げをしなければならない。つまり先取りによってこの一つ設備改善ということを一つのこれは目標にして、ある場合にはこれをえさにして、そうして運賃値上げをやるというやり方が果してこれが正しいのかどうか、基本的にいってこういう経営の姿というものは、これは正しいのかどうか、むろんこの点については残念ながら国鉄が実は見本を示しているわけであります。この前の五カ年計画による、六千億の資本による設備増強輸送力増強ということを看板にしまして、実は一割三分の運賃値上げをやってしまった。そういうことがそのまま私鉄に当てはめられて右へならえしていいのか、きのう来この問題はだいぶ討議されました。国鉄公共性あるいは国家企業的な形態、それと私鉄の場合というものは性格的にも非常に違っている。従って国鉄のいい面は果して私鉄がまねておるかどうかわからないけれども、悪い面だけをまねるという格好で右へならえで運賃値上げをやるという形では、絶対に国民世論というものは納得しないだろう。こういうようにわれわれは考えるわけであります。従ってこの私鉄の今度の運賃値上げによる輸送力増強というようなやり方は、資本主義の一般の経済法則に一体かなうのかどうかという点について運輸大臣はどういうようにお考えになりますか。
  4. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私鉄にしても国鉄にしてもこれはサービスであります。サービスを提供する。それによって国民大衆の便宜をはかっていく。そこで私鉄国鉄もこの点は変りない。私鉄の今日の経営状態は、鉄道事業そのものについては決してもうかっておらぬのです。その点はきのうも申し上げました通り興業費が相当かかる。固定する。従ってこういう鉄道事業——少しく強い言葉かもしれませんが、宿命なんです。この点は私ども認めるのです。現在は傍系事業等におきまして相当の収益を上げてきている。こういう状態であります。従って私はこのサービスのために全力をあげてもらいたい。それには増強対策を講じてもらいたい。しかし、それは自己資本でやってもらう、自己会社の信用によってやってもらうということが建前であります。われわれは、運賃値上げによって全部カバーしてもらうということは認めません。これは当然の話であります。しかし、運賃収入というものがこういう会社のおもなる収入でございます。この運賃収入いかんということが会社の経理に重大なる支配力をもっておるということも事実であります。しかし、私は今おっしゃったように、全部を大衆負担であるところの運賃値上げによるべきものであるとは考えません。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 そういう御説明でありますが、今の御説明をもっと徹底させてわれわれ考えれば、第一はサービスをちゃんと改善し、それから輸送力をはっきり増強してからそれにふさわしいような運賃値上げをやるというようなのが、これは一般的に考えれば正しいやり方じゃないかというふうに考えるのですが、そうすると、今急速に国鉄運賃値上げに右へならえして、ここで上げなければならないというのは、これはどうも明確に筋が通らないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点いかがでございましょう。
  6. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は国鉄がやったから右へならえ、というふうには考えるべきものではないと思います。従って私はこの問題については、会社がその公共的使命を自覚して、まず輸送力増強、いわゆるラッシュアワーの緩和をやってもらいたいということを私は申し出ておるのです。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 まあ国鉄に右へならえをするのじゃないということは、昨日来権田局長が盛んに説明しているのですが、これはなかなか納得できないと私は思うのです。一つは、「十三私鉄旅客運賃改訂について」という、いただきました資料によりましても、ちゃんとそのことをにおわしているのです。こういうことが書いてある。「次に掲げる十三私鉄現行旅客運賃は、昭和二十八年一月、国鉄と同時に改訂され、今日まで約四年半にわたって据置かれている。」こういうことを書いているのです。これは、だから上げると言っていませんけれども、ちゃんとにおわしている。これが誘いの水になっている。これは、昨日の権田局長説明は、ちょっとそういう点ではすでにこういうような申請書の精神からいってもおかしいと思ったのでありますけれども、それならばただいまの大臣の御説明というものを貫かれるならば、まず設備改善して、はっきりそのような条件監督局で確認した上で、それにふさわしいところの運賃改訂なり、何なりを考えるというような原則をこの辺で打ち立てられた方がいいと思うのでありますが、この点いかがでございましょう。
  8. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は大体そういう方向に進んでやっておるのです。と申しますことは、繰り返して申しますように、私鉄がただわれわれに対してあなたのおっしゃるように右へならおうというのではわからないというのです。私鉄も現在のみならず以前からもこれは自分商売としてサービスをよくし、それから施設改善されておるというのは、会社としてこれは当然の話なんです。そうしなければお客は乗りません。お客はいい会社へみな行くのでありますから、サービスのいい所に行くのは、これはサービス業として当然ですから、当然な努力を現在も過去においてもしておる。また将来も五カ年計画でやろうと言っておるのでありますから、これを私は重視しておるのです。これをやってもらいたいと言っておるのです。そうしてこれは自己資金でやってもらうということを私は主張しておる。しかし、国鉄公共企業体として国家の財政からこれを援助し、また一定の予算においてやっておるのであります。で、私鉄もこの点において計画を立ててやっておると思いますが、そういう輸送力増強について、自己の力に限界が来た。その場合は国家においても政府においても考えてもらいたいという場合は、私は考えておるのです。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 私鉄サービス改善設備改善に絶えず努めておる、こういうお話でありますが、そういうふうに見える節もあります。表面は遊覧列車とか観光列車、こういうものに重点を非常に注いでおる。そのための宣伝設備、こういうものに大わらわになっておる。これは目に余るほどかもしれません。しかし、このことは、それなら近距離の、たとえば通勤者のような者に対して一体どういう負担になっておるかということを私はよく見ておるわけです。私は私鉄にしょっちゅう世話になっておるものでありますから、小田急の例をあげますと、とにかく近距離の、わずかに二十二、三分の近距離の所で通勤輸送をやっておる。そうすると帰るまでに、自分の乗るまでに一回、二回、はなはだしいときは三回も見送らなければならぬ。そうしてその間に遠くの小田原、箱根、こういう所を目ざしたところの観光電車が目の前を通過する、こういう格好でほとんど通勤輸送旅客というものが虞待されておるのが現状だと思う。  また踏み切り改善の問題でありますが、小田急における問題は当委員会においてたしか三、四年前に取り上げられたのであります。非常に事故が多い。それで踏み切りを見ますと、これはもう問題にならない。とにかく踏み切り設備というものははなはだ劣悪です。そのために年々十数人の犠牲者を出しております。現に私の近くなんかでもそういうような犠牲者がたくさん、身近かな者犠牲になった者もおります。そういう場合の一体会社側やり方を見ると、その死体の収容にもろくろく立ち会わない。さらに葬式のときわずかに千円のお悔みを持って来た、こういうことです。弔慰金の問題は一応別としておくとしましても、とにかくやり方が非常に冷淡です。住民たちがこれに非常に憤りまして、当委員会でもこれは相当長い期間に問題になったと思うんです。しかし、その後そんならこの踏み切り問題は改善されているかというと、改善されていない。すでに昭和二十八年に運賃値上げをやったんでありますが、運賃値上げをやってそういうところが改善されるということがおそらく条件であったと思うんでありますが、それは依然としてほとんど改善の業績なしに放置されておるというのが現状なんです。ここに私は私鉄独占資本一つの横暴な姿を見るんです。こういう点で果してこれほいいのか。従ってこのたびの問題も、先に設備改善をやるんだ、こういう条件を整えるんだ、そのために運賃値上げをやるんだ、なるほどのど元が熱いうちはこういうことを問題にするかしれません。のど元過ぎればこれは熱さを忘れるというのが大体企業家の実態じゃないか、残念ながら。そういう形でやっていったとすれば、これは全く設備改善などということは運賃値上げの口実に使われるという結果になるのでありまして、そういう点からいえば、こういう事態を今やわれわれは許すことはできないんじゃないかというようなことを、私一人が感じてるんじゃなくて、これは何万の沿線乗客が感じているんだ。こういう点で、定期の方に非常に最近は移動しているんで、定期の方はあまりもうからないんだ、むしろ犠牲になってるんだということになってるんです。果して遠距離のあの定期輸送というものが、これは一体赤字になってるのかどうか、こういう点についても実際データがあるのでありますか。こういうものの調査が厳密にできているのかどうか。それから公共性立場から言いましても、こういう問題が今のような形で近距離乗客犠牲によりまして、会社営業方針というものが非常に利潤追求立場に立っていく、そういう原則を認めるというようなことになると、これは私鉄公共性などというものは単に言葉だけの問題になるんじゃないか、こういうふうに思いますので、私はこの点なかなか今の御説明の形だけではまずいんじゃないか、むしろ問題を反対にし、はっきりその証拠を見せてから、これに対するふさわしいところのやはり料金を設定するという立場こそが、監督官庁の当然とるべき立場だと思うんでありますが、この点についていかがでございますか。
  10. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 小田急の例でございますから、これは部長からお答えさしますが、今おっしゃったような独占資本のやっておるその私鉄でも、われわれ運輸行政立場社会的使命の達成という立場からいたしまして、私どもはこの私鉄を監督していくつもりでございます。これは、要は今おっしゃったように国民大衆の利便をはかる、そして運輸の本然の役割を果してもらいたい、こういう私は行政指導に努めるはずで、また努めておるのでございます。これが私が今回私鉄に対して輸送力増強ということをまっこうから振りかざして申し入れておるゆえんであります。
  11. 岡本悟

    説明員岡本悟君) 今小田急の例をあげられまして、いわゆる近距離通勤輸送遠距離観光目的輸送のために犠牲に供せられておる。こういう公共事業としてまことにふさわしくないサービスをしておるが、この点はどうか。それからもう一つは、踏み切り施設が少しも改善されておらない。こういう状態に徴してみるというと、私鉄がかり運賃値上げをしても、果して公約通り輸送力増強をするかどうか非常に疑わしいじゃないか。こういうふうな御趣旨の御質問であったように思います。  第一の点につきましては、やはり問題は私は根本にさかのぼって考えてみなくちゃならないんじゃないかと思います。と申しますのは、きのうも私ども局長が御説明申し上げたと思いますけれども私鉄というものは御承知のように建設当初は非常に大きなイニシアル・コストがかかるわけです。それでは明治末期以来政府方針としましては、これに対しまして建設補助を出して参った。建設補助を約十年間出しまして、その間において早く一人前になってくれ、収支のバランスのとれる一人前の企業体になってくれ、こういうわけで十年間はめんどうを見ましょう、こういう政策をとって参ったわけであります。そこで私鉄といたしましてはどういう方策をとって参りますかと申しますと、沿線——きわめて常識的な例でございますけれども不動産のいろいろの事業をやる、あるいは遊園地を作る、あるいは住宅を経営する、そういうことをやりまして輸送量を極力早く増加するような方策を進めて参ったのであります。早く一本立ちになって政府の御厄介にならぬようにする、こういうようなやり方をとって参ったわけであります。これがいわば伝統的な私鉄経営やり方になって参っております。今日の状態はどうかと申しますと、御存じのように、大部分施設に対する投資というものは、やはり通勤客の増加に対応するものになっていると私は考えております。そこで必然的にこの膨大な通勤輸送用の車両その他の施設というものが昼間は、ラッシュアワーでないときはこれは遊んでくるわけです。そうすると、膨大な施設に対しては大きな投資をしておりますが、それに対する償却なり、あるいは利払いがございます、そうしますと何とかして昼間の遊んでいる施設というものを活用して、そうしてできるだけ施設を一日中フルに活用して収益を上げてそういう償却なり利払いをしていかなければならない、こういうふうな問題があるわけでございまして、ここらあたりに私鉄がある程度兼業に積極的に乗り出していく理由があると思います。従いましてわれわれとしましては必ずしもこれを全面的に否定するわけにはいかないのでございます。やはり兼業をいたしておりまして、それが運輸収入に振り込んできているわけであります。そういうことで必ずしも私鉄——あに小田急のみならず私鉄全般につきまして私鉄兼業にいろいろ方策を講じておる、あるいは旅客誘致にいろいろ方策を講じておるということは、私は否定できないように考えております。そこで具体的な事例に当てはめてみますと、われわれも非常に遺憾に思っておるのでございますが、通勤輸送というものが遠距離輸送、特に観光目的のための、たとえば急行列車、こういうものによって犠牲に供せられておるという事例はしばしばございます。この点は遺憾ながら認めざるを得ないわけでございまして、急速にこれをやはり改善させなければいけない、こういうことは考えております。しかしながら、今申し上げましたようにやはり根本的にはこの収益性というものをいかにして維持するかということにあるものでございますから、収益性というものをある程度維持してやるようなことを政府においても考えてやる必要があるというふうに思っております。  それからただいまの踏み切り施設の問題でございますが、これはきのうも私のところの局長が御説明申し上げましたように確かにこの私鉄のみならず国有鉄道でもそうでございますが、鉄道踏み切りの問題は非常に大きな問題であることは間違いございません。何とかして運輸省におきましてもこの事態改善いたそうと思いまして、すでに御承知かと思いますが、内閣におきましても交通事故防止対策協議会の中に踏み切り関係対策協議会が別個に設けられておりまして、関係各省、あるいは関係学識経験者などがお集まりになりましていろいろ対策を講じておられます。運輸省といたしましては積極的に活動しまして、目下踏切保安法とも言うべき法律を準備いたしておりまして、(岩間正男君「簡単に要領だけ」と述ぶ)積極的にやっていきたいと思っております。これは私鉄だけの問題、責任に帰せられない面も相当あるわけでございます。そういう点から国家的に解決していこうという考え方でおります。
  12. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 簡単に御質問願います。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 私の与えられた時間は……ほかの質問者もあるわけでありますから要点についてやはり御説明いただきたいと思うんです。  今どうもお答えがありました点は大体昨日も伺ったことですから、そういう点は一つ避けていただいてけっこうです。ちょうど昨日私は出席しておりました。実は私がお聞きしたのは、近距離輸送によってこれは生産原価を割っているのかどうか、この点は償っているのかどうかということをお聞きしたがったのでありますが、この点もあとであわせて機会がありましたら御説明いただきたいと思うのです。  そこで私は大体私鉄経営赤字だ、こういうふうに言われておるのですが、これをカバーするのは兼業のいろいろな仕事によってまかなっておる、カバーしておるのだ、こういう話なのですが、大体この赤字だという調査根拠ですね、こういう点について私は少しお聞きしなければならないと思うのです。どうもわれわれしろうと考えで見ましても、たとえば今の土地の売買をやっておる、そういうところでは、たとえば無料パスを出す、しかしそういう無料パスというものはどういう計算になっておるのか、これは全部会社の、つまり当然土地会社負担であるべきものが、これがこの鉄道会社の方の負担にされておるのではないか、こういうものはちゃんと計算がついておるのかどうか。あるいはまた新線が敷設された、そのために土地の値上りが非常に起った、そういうふうな場合のこれはもうけというものは全部土地会社の方に計算されておって、そういうものからくる鉄道の方の営業についてはどういうふうにそこは計算されておるのか。つまり、きのうの権田局長説明を聞いておりますというと、大体支出の非常に出る部面は全部私鉄の方に、鉄道営業の方にかけておる。そうして収入の面の方はこれは、今言ったような面についてはどうも明確になっていない、こういうものをほんとうに一体計算して果して私鉄が成り立たないか、赤字になっておるというような計算が出ておるのかどうか、こういう点はなはだ疑問です。それと関連しまして、とにかく鉄道を通すことによって非常に全体としての収益を上げておるわけです。そういうことになりますと、当然そこから私鉄経営赤字がカバーされるというのは、私は当然のことだというふうに考えられるわけでありますから、このたびの私鉄運賃値上げ根拠になっております赤字経営というものの積算の根拠ですね、この根拠というものが単に機械的な形では非常にまずいのではないか。全面的に全体の兼業も含めた経営の中ではっきり考えていかなければ、私はほんとうの姿は出てこないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  14. 岡本悟

    説明員岡本悟君) これは確かに仰せの通りでございまして、われわれの方といたしましては原価査定基準につきましてそういう点も極力取り入れるように心がけて参ったつもりでございます。ただ、ただいま御指摘のような例になりますというと、不動産につきましていろいろ不動産に関連した事業をやるということになりますというと、それがまた運輸収入にはね返って参ることも明らかでございまして、そういう点の差引をどういうふうにするかということになりますと、まことにこまかい計算になるわけでございますが、そこまで立ち至っていくべきでは当然あろうと思います。とりあえずわれわれが原則として立てておりますのは、きのう局長が申し上げた通りでございまして、関連事業にいろいろ投資しておりますが、その投下資本利子負担鉄道に持たせない、こういう支出面においては大きな原則を立てております。それから収入面におきましては、たとえば鉄道資産としてデパートを持っておる、その貸付料金というものが上って参りますが、そういうものは鉄道本来の事業でないけれども鉄道資産から上るところの利益であるからして、それは収入に上げるというふうなやり方をやっておりまして、収入においてはシビアな見方をし、支出においてもそういうふうな厳格な査定をするというふうにやっております。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 これはきのうの説明だけでは実はわかりませんので、そういう点こそこれは実は資料をいただきたいと思うわけでありますが、もっとやはり突っ込んでいけば、果してこの鉄道経営が表面言っているように赤字になっているのかどうか、これは非常に疑問なきを得ないところでありまして、国民はこの点はもう全般的に私鉄というものはもうかるものだ。これは今言った不動産経営とか、その他の兼業を含めて頭に映っているわけでしょうが、そういうことが非常に常識的なようであって、案外正体をつかんでいるのではないかと思うのです。従ってこの国民世論に立ってこの問題を検討する限りは、やはり私はこの点十分に明確にすることが必要だと思いますので、まあ簡単でもいいですが、それらの資料についてもう少し詳細に私たちにも示してもらいたいと思うのです。  それからここで、まあきのうも権田局長が防戦に努められたが、きょう局長が出席しておられないのはわれわれ非常に残念に思うのですが、いろいろ検討してみなければならない問題がある。この申請書の中に定期を上げなければならぬ案として五、六カ条出しているわけです。第一に出しているのは、定期外から定期利用への移行が非常に最近多い。従って高割引をやるべきところの定期によってはもうからない、そういうことを言っているのでありますが、これはどうでしょうか、統計的に見て。われわれもその統計の一部を……、これはあなたたちの出している運輸省の統計を見てすればそういう事実はないと思う。たとえば京浜ですが、これはあなたの資料によってなんですが、二十八年度の上期、これは定期が六六%、三十一年度の上期には六八%、西武の場合は二十八年度が六四%、三十一年度は六五%、東武の場合ですと、二十八年度の六一%に対して三十一年度の六三%、京帝の場合ですと六三%、六三%、同じであります。東急しかり、六三%、六三%、小田急しかり、五九%、五九%、京成は二十八年度の五六%に対して五八%、ほとんど変りがないと思いますが、麗々しく第一にあげている。これは定期を上げなければならぬ原因として、こういう根拠は統計的に見るとほとんどない、こういうことになるのでありますが、これは権田局長は昨日この点強調して説明しておられたが、これは事実に反するのじゃないか、これはどうでしょうか、この点まず第一に直截に答えて下さい。要点だけでいいのです、衣は要りません、骨だけ。
  16. 岡本悟

    説明員岡本悟君) きのう局長が申し上げましたのは、きわめて概略的な数字であったと思います。つまり定期お客が六割ないし七割にふえておる、そうして逆に収入定期から上るものは三割しかない、そうして定期外のいわゆる普通客から七割上っておる、こういうふうな説明を申し上げたと思います。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 それでは築三の支出面においての理由があげられているのですが、「輸送数量の増加に対処するために車両の増備、線路の補強、その他諸施設の拡充、運転保安の確保並びにサービスの向上を期するために要する諸経費の増加が見られ」、こういうふうに出しておるのでありますが、これはどうでしょうか。このような線路の増強、客車数の増加によって、昨日の木島委員の九州方面の国政調査の報告によりますと、九州の国鉄諸線においては客車数が非常に少い、そのために利用度数も少い、従ってこれは収益が非常に上っていない。むしろこれが非常に増強されれば、これは反対にその線を突破してもうかるのじゃないかということになりますから、こういうことは運賃値上げの理由になりますか。サービスの向上などということが運賃値上げの理由になりますか、根本的に。この点どう思われますか、ひょっとしろうと目にはそう考えるのでありますが、どうなんでありますか。かりにサービスを向上すれば、先ほどおっしゃったように利用度が多くなって、むしろ収益をもたらすのが原則じゃないですか。そうしますと、ここに麗々しく書いて運賃値上げの理由にあげてくるということは、これはしろうとをたばかることに私はなると思う、この点どうですか。
  18. 岡本悟

    説明員岡本悟君) この点も昨日局長が御説明申し上げたと思いますが、われわれの運賃原価査定方法といたしましては、将来投下すべき資本原価は算入いたさないつもりであります。ただすでに発注しました車両につきましては、その減価償却なり利息は見ることにいたしておりますが、原則としまして将来のものは見ない。で、現在の原価の構成のゆがみを是正すると、こういうことでございます。
  19. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 岩間君、簡潔に願います。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 将来のものを見ないというのは何だかわからないのですが、当然増強によってこれは収益が上るという、そういう方針は、これは一つの何があると思うのですがね、経済的な原則という、これは認めておられるのですか。それはどうですか。
  21. 岡本悟

    説明員岡本悟君) それは査定の場合に収入面におきまして、その収入が増加するであろうということは当然見込んでおります。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 あとの方よくわからないのですが、これがどう増すかということ……。
  23. 岡本悟

    説明員岡本悟君) つまりどういうふうに伸びるかということはいろいろ見方があると思いますが、われわれのとりました方針は過去五年間の平均の伸びを、将来の伸びと想定したわけでございます。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 過去五年間ということになりますと、一千二百七十七億ですかの設備投資によりまして、そうして五カ年計画をやるのですから、過去五年間の自然発生的にまかした増強と同じような、そういう取り上げてこれを検討するというのは、これはやっぱり私たち納得できないと思います。何のために一千二百七十七億の新しい投資をして設備増強したのか、当然これに伴ってそれだけの増収ということは考えられるわけですから、五カ年間の過去の自然発生的なものの平均値を、これにつけるというようなやり方では、全くこれは積算のそういう根拠というのは非常に事実と反するんじゃないかというように思います。  第三には、数次にわたる給与の改訂ということをあげてるんですが、この点についてもこれは統計をお持ちだと思うのですが、これは全体の収益に対する、一体人件費、労働者の諸給与の問題ですが、これは最近どうですか。たとえば昭和二十五年というようなものに比べてみて、あるいは二十八年というものに比べてみて、最近の給与体系は高いですか、低いですか。
  25. 岡本悟

    説明員岡本悟君) 給与の水準はもちろん上っております。従いまして営業費全般に対する割合も上っておるわけであります。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 そうですが。われわれの手にした資料によりますと、これは違うと思います。ただいまの御説明。東急の例をあげますと、全体の運賃収入に対する人件費の割合であります。二十五年では三九%、それが二十八年では三七・九%、三十一年では三五・七%というふうに漸落の傾向を示しております。小田急の場合は二十五年三五・一%、二十八年が三四・六%、それから三十一年が三二・六%、これも漸落の傾向を示しておる。まあこういうふうにずっとあげていきますというと、ほとんどこれは下っておるのですね、全体の給与が。そうすると、なるほどこれは物価の値上りによりまして給与の額は上っておりましょう。しかし、そのことが全体の経常面におけるパーセンテージが上っているということにはならない、むしろ下っておる。そういうふうになりますというと、このことをうたって、数次にわたる一体給与の改訂によって、当然これは出資面がふえておるのだから、従ってこれは運賃値上げをしなきゃならぬということは、非常に私は荒唐無稽な、これは事実に反した、少くとも統計に反したところの説明になっておる。これも全くしろうとだましのごまかしといった資料じゃないか。こういうものを一体運輸省は受けられるわけですか。これは事実に反するはずだと思うのです。これはあなたたちにいただいた統計の中からはっきりわれわれが探ってきたのですが、どうでしょう、その点。
  27. 岡本悟

    説明員岡本悟君) そこに差し上げました資料にのっかっておるのは、会社側の申請理由だと思います。われわれといたしましては、単に人件費のみならず、あらゆる点につきまして精密な原価計算をいたすわけでございます。もちろん御指摘のような数字につきましては、どういうところから入手なさったのか私存じませんが、多少食い違いがあるようにも思いますけれども、そういうものは厳重に査定をいたしておるわけでございます。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 どうもこれは同じ運輸省から出した資料についてわれわれ言っているのに、これがどうも反するんじゃないかと言われるような御説明では納得できないのですな。そういうことじゃ、これはそういう資料をもらっている。ここにわれわれが写してきてるわけなんですけれどもね、ほとんど全部下ってます。これは運賃収入に対する人件費の割合です。その点を見たのです。が一つの指標は動かないのですから、原価計算はいろいろの面でやれる——この前の国鉄計算のときに、国鉄の数字があるということをわれわれはこの委員会でもやった。一八%上げるときよりも一三%上げる方が、これは何百万というふうに大きくもうかる。一文も上げない方がむしろ大もうけになるのじゃないか。これは国鉄的数字だ、こう言っているのでありますが、これはむしろ私鉄の場合はもっとできる。国鉄の場合だったらまだ国会の眼も光っておるし、政府の眼も光っておる。しかし私鉄の場合はいろいろのことがやれる。そのほかに減価償却の面でも、それから含み資産だろうが社内留保の面でも手かげんは幾らでもできる。私は私鉄の重役をやったことがないからわからないが、実際できることは周知の事実ですよ。そういうものは、運輸省の方ではそろばんでやった数学の面だけ何とかつじつまを合わせて、私鉄独占資本と調子を合わせるような考え方はないだろうと思うが、昨日からの権田局長説明では何かそういう印象を払拭することはできない。われわれは暑い中でがまんして聞いたがとても聞くにたえない。そこで実は頭を冷静にして今日あなたに質問を展開している。こういう点で、どうもそのほかあげますと、四つか五つの理由をあげていますが、ほとんど理由のない理由だと思います。これを認められる理由はないと思います。運輸大臣いかがですか。これは今言ったようにサービス改善収入がふえるからということを根拠にして運賃値上げなどということは話にならぬ、それから人件費はむしろ低下しておる、低下しておるけれども物が上ったからといって数次の給与改訂をやっているから上げなければならぬということを言っておる。あるいは定期の方に大きく移動しているそのために運賃収入が減っているということを言っていますけれども、これはなかなか納得できない。そのほか電気料金の問題がありますが、電気料金の問題についても、これはいろいろ消費税の免税の問題、あるいはまた大量に契約した場合に非常に単価は安くなっている。こういうことになりますと、電気料金等の値上げということ、こういった一つ一つ根拠についてわれわれはあなたたちからいただいた決して私たちがでっち上げたものではありません。あなたたちからいただいた資料によってやっている。それで、しかもなおかっこういうことがあるのだから、これはもっと公平な資料だったらもっとひどくなるかもしれない。しかし、運輸省を信用してやっているから、その立論の上においてやっているのですから、こういう申請書はインチキだ、いたずらに世人を惑わす私鉄運賃値上げ根拠にならぬ、こういうことでますます大臣がこの問題を徹底的に調べて、そうしてこれを、むしろ二年なり三年なりそういうサービスをはっきり確立した土において、それにふさわしいところの料金を設定するという基本的な態度をこの辺で中村運輸行政としてはっきりされることが私は賢明な策じゃないかと思いますが、ますますやはりわれわれとしましては運輸大臣考えていられる線をもっと進めていただきたい。こういうふうに考えるわけであります。その点について御質疑をいたします。
  29. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) いろいろ御見解もあると思いますが、私は鉄道監督局の調べました数字、また私鉄の方面から出しましたる数字、これを検討して皆様のお手元に参考資料として出しておるかと思います。ことに私は公平に考えております。そう、宮沢前大臣のときに申請になって、八月にしてくれ、九月にしてくれと、そう私どもは急がれては、われわれ行政の立場に、特に国務大臣として私はそんなことは考えておりません。しかし私鉄には、経営を私も就任以来調べてみますると、私鉄には相当特殊性というのがあるのですね。これは国鉄とだいぶ違う。そういう点、並びにしばしば繰り返しますごとく、こういう軌道事業というものは非常に興業費が要る。最初からなかなかそういう収益の点についてもよほどの努力をしなきゃならぬという点を私は勘案をして見ておるのであります。この点は一つ御了承を願いたい。私鉄というものの経営の特殊性はあると私は思う。ほかの事業と違いまして、ことにこれは工業生産ではないのでございますから、自己資本の点、他人資本の点、そういういろいろの点から見まして、私は私鉄の特殊性はどうぞ一つ御考慮を願っておきたい。同時にそれがために私鉄が勝手なふるまいをしてもらうということは私は許しません。さっき申しましたごとく公共的立場一つ守ってもらう。その意味において輸送の大任を果していただくということが私の私鉄に対する大きな要求でございます。この大きな要求の見地に立ちまして、私は私鉄の申請について今検討し、慎重なる態度をとっておる、こういうわけでございます。
  30. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 岩間君、簡潔に一つ願います。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 ただいま大胆の御所信を承わったのでありますが、私たちもそういう点を貫いていただきたいと思うのでありますが、とにかく私鉄の特殊性ということのお話がありましたけれども、これはプラス、マイナスの両面があると思うのです。やはり国鉄のいい点をどんどん私鉄が取り入れて、悪い面はまねないようにしてもらえばいいのでありますけれども、これが逆なことになったのでは非常に工合が悪い。ところが実際は逆な、どうも悪い方をまねて、いい方をまねない実情が出ておるという面があるのじゃないかと、この点について御検討いただきたいのが一つと、もう一つ私鉄は何というか、最近たくましくずっと伸びてきています。これは渋谷駅頭なんかをごらんになれば、私的独占資本というものがどういつた現在の経済の中で位置を占めているかまのあたりに示していると思う。最近は非常にそういうところからなかなか国民を圧迫しておるところが出てきている。そういう非常に独断的な面があるし、ある場合はお前たち乗せてやるぞと、先ほど他にかわりの交通機関があるからほかへ行くというお話がありましたけれども、東京の放射線の場合には、たとえば小田急がだめだから京王に乗っていくというわけにはいかない。そこで泣き寝入りして乗る。国鉄の場合よりもっとひどい状態になっている。そういうことを考えるというと、私的独占資本の横暴時代に入っているのじゃないかという感じがするのでありまして、これはだれでもが持っている、おそらく多くの国民が持っている。特に通勤輸送車の、朝ぎゅうぎゅう詰めの中で息もつけないような態勢の中で苦しめられている勤労者諸君なんかは常に身をもってそれを感じている。従ってこういうものに対してあくまでも民主化の線を貫くという立場からはっきり私鉄の行政をこの辺で打ち立てられることが私は重要なことだと思いますので、まあ大臣のただいまの御所信を伺いましたが、これをもっともっと突き進めて、そういう点に立ってあくまでも国民のための私鉄の方向に努力していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  32. 中村正雄

    中村正雄君 今、私鉄運賃値上げが問題になって、関連しまして私鉄経営運輸省の監督の問題について大臣のお考えを承わりたいと思います。  その一つは、国鉄輸送力の不足ということが、これはまあ日本の産業の発展の隘路になっている。どうしても輸送力増強しなくちゃいけないということで五カ年計画を立てたわけですが、それに要する財源問題について国でめんどうを見るわけにもいかないし、また国鉄自体も能力がないということで、御承知の一割三分の値上げをやって、それで五カ年計画を立ったわけですが、この国鉄の場合の、運賃値上げ輸送力増強するためにやるというのであれば、いい悪いは別で筋は一応通っておると思うのです。ところが、同じように私鉄輸送力が不足しておる、サービスが低下しておる。従って輸送力増強するために私鉄運賃値上げしなければならぬ、こういうことが今度の運賃値上げ一つの理由になっておると思うのですが、私はこの点について運輸大臣はどうお考えになっておるかということをただしたいと思うのでありますが、国鉄の場合ですと、やはり国の事業であって、輸送力増強するために政府がめんどうをみるか、あるいは国民運賃負担においてめんどうをみるか、いずれにいたしましても、国鉄自体は国のものでありますから、政府が出資しょうと国民負担しようと、大きな目から見れば、国民全体の財産がふえ、国民全体の設備がふえるわけですから、いい悪いは別として一応筋が通っておる。ところが私鉄の場合には、輸送力増強するためにその金の一部に充てるためにいわゆる利用者から運賃値上げしてそれを取ってしまう。こういうような方向が果していいか悪いかという根本問題について私はお伺いしたいと思う。従ってやはり私鉄のようなものであれば、現在の経営赤字である、現在の運賃では水準が保てないということで運賃値上げをするというならば、私は筋が通ると思うけれども、別に企業を発展させるための一つ資金の獲得源を運賃値上げに求めるということは妥当性を欠くのではないか。そういう場合には、たとえば造船なり鉄鋼に対して政府がみておる、開発銀行なり、そういう特殊銀行がそういうものについてはめんどうをみておると同じように、やはり輸送力増強するために必要な資金の獲得源としては政府としては特殊な銀行を設けるというような線でやはりめんどうをみるべきものであって、旅客、荷主の負担においてそういう財源を捻出するということは、これは妥当でないと思うのでありますが、そういう点についてはどうお考えになりますか。
  33. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私鉄はやはわ私は公益事業であると思います。その資本形態が株主からできておるといたしましても、その事業そのものは公益事業であると私は考えます。従って政治的には私は国鉄私鉄も同じような取扱いをしていきたいと思います。そこで私鉄の方は貨物はあまりやっておらぬようですね、主として旅客と申しますか、乗客です。特に大都市の発展に伴う人口が近郊で生活する。そこの輸送をはかるということでございますから、私はここに重点を置いております。そこで、しからば値上げをして一般民衆に負担をせしめるのはどうかということでございますが、これは私は国鉄は別といたしまして、私鉄はやはり自分経営において極力やってもらわなければいけません。それを直ちに旅客に転嫁するということは私は好みません。しかしながら輸送力増強する、こういう計画を立てられ、これによって自分の役割を果したいというが、それについてここまで努力しておる、しかしあとなかなか困難であるというような申し出の場合には、これは今申されたように、特殊の金融をするということも必要であると思います。ただし、別の金融機関を立てるということは、私は金融機関の乱設になりまして好みませんが、そういうことも一つのお考えであります。しかし、ぎりぎりのところでこの値上げの正当性であるか不正当性であるか、これは私は公平に検討していきたいのでありまして、まず運送力増強をやってもらいたい。いわゆるラッシュの緩和をやってもらいたい。これが私の私鉄に対する要求であります。
  34. 中村正雄

    中村正雄君 大臣のお考え、聞いておりますと、国鉄私鉄も同じように扱いたい、公共事業だ、従って輸送力増強をしなければいかぬ。確かに事業の形態なり国民生活において占めております地位を考えますると、これは同じだと思います。しかし、国鉄の場合にはやはり国鉄の財産なり、あるいは国鉄の金の使い方なり、あるいは国鉄経営の仕方なり、これはすべて私鉄と違ったところに、国会なり、国民なり、政府の監視があるわけです。私鉄の方の場合は監督権がありますが、ほとんど経営者が一人で自由にふるまえるような株式組織になっておる。従って国鉄と同じように私鉄輸送力増強しなければいけない、政府も同じように国鉄並みに扱うというのであればそれの輸送力増強に要する原資についてはやはり政府が幾分めんどうを見るべきであって政府が何らめんどうを見ない、旅客の負担に帰するというのであれば大臣が今おっしゃった国鉄私鉄を同じように扱うのだと言っておきながら私鉄については仕事は公共的施設であるけれどもめんどうについては私の方では見られないから旅客に負担してもらうということに結論はなると思うのです。政府が特殊な銀行を設けるということはできないでも、そういう国家的な仕事に対しては政府がめんどうを見ているケースがたくさんあるわけですね。そういう面でやはり私鉄輸送力増強に要する原資についても政府がみずから金融の面、財源の面についてめんどうを見るのが政府の責任ではないかと思うのですが、どうですか。
  35. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 理想としましては私はそういう方向はいいと思います。しかし、今なかなか直ちに私がそれをやるということはちょっと無責任に申し上げられませんし、あなたの理想には私も敬意を表します。しかし、今日の状態においては私鉄私鉄として自己の責任において経常してもらいたいという私の要求です。
  36. 中村正雄

    中村正雄君 私は現実の私鉄値上げ問題について直ちにそういうことをやれるかどうかということはわかっておりますが、そういうお考えが今後の私鉄輸送力増強なり、施設改善についての金の面がいつも旅客、荷主の負担でやっていくというあり方が正しいかどうかという理念をお伺いしたわけです。  第二の点はそれに関連するわけですが、今度の運賃値上げのいろいろな理由はありますけれども、私はやっぱり根本は設備改善輸送力増強にあると思うのです。そういたしますと、一応運賃値上げの申請のときにはいろいろ事業計画としていろいろの計画運輸省に出ていると思うのです。従って今後運賃値上げが決定した場合、仮定の問題でありますが、どういうふうに決定するか知りませんが、もし不幸にして運賃値上げが決定した場合に今後の運輸大臣としての監督の問題についてお聞きしたいわけです。いわゆる値上げ申請のときに出されました事業計画を今後五カ年計画あるいは七カ年計画に延びるかわかりませんが、現実に達成できるように運賃値上げ申請の場合の事業計画を基礎にして今後その計画に対しては徹底的に強行させるというような意思をお持ちかどうか。またそういう監督権というものは発動できるのかどうか。この点についてお伺いしたいと思うのです。
  37. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 法制的には行政指導でいくより仕方がないと思います。そこで私どもの要求、すなわち輸送力増強ラッシュアワーの解消改善、緩和と言った方がよろしいでしょう、解消ということは一挙にできませんから、緩和ということで申し上げます。ラッシュアワー改善と緩和、この程度はやってもらいたい、理想は解消でございますけれども、そういう程度でやってもらいたいということを申し入れております以上は私鉄に対して監督は十分いたします。そうでなければ私どもは無責任、またあまりに今までも私鉄に対して運輸省は弱かったのではないか。いや、一般運輸界におけるところの業者に対して、私は率直に申しますが、運輸省は弱いのです。この点を私ははなはだ遺憾に思っております。十分に公平なる監督をいたします。そうでなければ運輸行政というものがばらばらになるばかりか秩序が立たない。従って私はきのうも申しましたごとくこの問題はいずれ運輸審議会が審議なさって、私のところに等申せられるでありましょう。これに対しては私は圧力も加えておりませんが、ただし、今後この問題のみならず運輸審議会というものが業者に動かされるようなことがありましては私は黙認いたしません。これは私はここではっきり申し上げておきたい。これだけの私の真情ははっきり申し上げておきます。
  38. 中村正雄

    中村正雄君 次に、またそれに関連するわけなんですが、今度の運賃値上げがもし決定になった場合、今言ったような監督の面については十分おやりになるということに関連してもう一つ。  現在私鉄赤字か黒字かという点については見方により、計算の仕方によって異なっていくと思いますが、しかし付帯事業を含めてその会社全体として見ればこれは黒字になっていると思うのです。その証拠には大手十四社を見ましてもやはり株主に配当いたしておる。幾ら資本金に対しては正当な報酬を与えなければいけないと言ったって赤字で、あれは配当できないはずです。そして一割か一割五分の配当をしておるわけですが、ちょうど造船界が不況なときに、これは問題になった問題でありますが、利子補給の法律が通って補助をしたことがあります。そのときに、いわゆる利子補給を受けた会社については配当制限があったわけなんです。それと同じように、今度の私鉄について一応輸送力増強のために旅客の負担において原資を確保する。こういうふに旅客から負担おをとっておいて、そうして会社がそのもうけに甘して、幾らでも株主に配当する、あるいはまた別の面に使うということがあっては、これは今の大臣のお考えにももとると思うのです。従って一割がいいか一割五分がいいかおかりませんが、造船の利子補給に対して配当制限をしたあの場合と同じように、やはりこういう運賃値上げを認めるのであれば、それに対してやはり会社にその金を自由に使わせないで、輸送力増強なり、旅客のサービス改善に向けるべきで、株主の優待にこれを向けるべきでないということの配当制限等を大臣はお考えになる意思があるかどうか。
  39. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 造船の場合の利子補給は、これは法律があるようでございますね。それによってやっております。私はそういうものを私鉄に作るという考えは持っておりません。しかし私鉄に対して私は従来よりももっと監督を厳重にしていくことはやるべきであると思います。それがためには機構的に毛民営鉄道部というものがあり、部長がおるのでございますから、そういう機構等の人間をもっとフルに動かして私鉄の運営に対して適を期するということは私は当然なことだと思います。この点については一生懸命やってみたいと、こう思うておるのでございます。
  40. 中村正雄

    中村正雄君 私は配当制限の法律を設けよ、ということを言ってはおりませんよ。私は行政指導の面でやはり会社の財産が一方においてはふえるわけですね。その会社の財産をふやす一つの方法として旅客に負担をかけて運賃値上げをする、こういう措置を講ずるのであれば、そのふえた財産なり収入を株主に無制限に配当するというようなことはこれはもってのほかだと思うのです。従って行政指導の面で現在の株の配当が、これは正しいかどうか議論があると思いますけれども、特に造船関係と比較してみて、私は私鉄関係は優待券も相当出ている。そういう面で優待券だけでも一般の会社の配当の利率に達していると思うのです。それでは、じゃ、私鉄の株主の配当を全然なくしたからといって、私鉄の株が暴落するとも考えられません。従ってそういう面で、一割や一割五分の配当をしていって、そのほかに旅客運賃値上げをしてもらいたいというのは納得できない。しかし、一割がいいか、一割五分がいいか議論があると思いますけれども、株主の配当の面についても行政指導の面でやっぱり大臣もお考え願いたいということを希望しておくのです。  最後に申し上げたいのは、会社経営の面について、いわゆる鉄道部門だけは赤字になっておるが、付帯事業によってどうにかやっておるということを言われておるのです。確かにその通りだと私は思います。これは私信用するといたしまして、会社全体としては、ほかの付帯事業の面でどうにか黒字を出しておる。その付帯事業にはいろいろありますが、特に各会社全体が経低している付帯事業で一番もうかっているといいますか、大きな収入源になっておるのがバス経営だと思うのです。これは私は詳しい数字は調べておりませんから、あるいは間違いがあるかもしれませんが、少くとも私鉄が経常いたしておりますバスはほとんど黒字になっておると思います。もうかっていると思います。それが私鉄運賃値上げ申請と同時にバス運賃値上げも同時に申請しているということを聞いているのですが、この私鉄運賃値上げとバス運賃値上げとは切り離して考えなければいかぬ。これについては、事務当局からでなくて、大臣としてやはり私鉄運賃値上げとバスの運賃値上げは、採算面等から十分お考え願って、慎重な態度でやってもらいたいということを希望して質問を打ち切ります。
  41. 柴谷要

    ○柴谷要君 予定の時間がだいぶ経過したので、ごく簡単に二、三質問したいと思う。昨日監督局長からの説切によりますと、十三社の申請を見るというと、全部赤字経営だから運賃値上げの要請をしてきた、こういう説明がなされた。その理由のもとに資料運輸省が作成をし運審に出したとするならば、私は運輸審議会は結論として値上げしかるべきという結論を出してくると思う。運審は大臣の諮問機関であるから、この運審の決定はこれは尊重しなければならないと思うのだが、この連審の結論が値上げと出た場合、それから特にこの十三社の中には、東急、西武という二大会社がある。御存じの通り、今私鉄関係はこの二大企業がおそらく何といいますか、日本を分断をして実権を握っておると思う。これに並行して政治力も非常に強大な、この政治力の樹にはさまれ、煙審は運賃値上げという結論を出した。これに対する大臣の見解を一つお尋ねをしておきたい。
  42. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私はどういう方が現在の運輸業界を支配をしておるか存じません。しかし、かりにそういう人があったとしましても、私は政党政治案として、それらの人の圧力に屈することはいたしません。しかし、公正なる要求、また必要なる申請に対しましては、私ども考えてこれに裁断を下すということは当然なことであると思います。
  43. 柴谷要

    ○柴谷要君 昨日来大臣の見解を聞いておりますというと、非常に決意のあるような御答弁と、何か情勢が変ってくると急にどうも変更するような御意思があるようにも聞ける。われわれとしては、どうもきのうからきょうの話を聞いておるというと、たよりなさが出てきた。きのうは大臣の所見としては非常にりっぱな御所見が述べられたので、われわれは実は意を強うして、きょうは質問なしでこの問題を過そうと思ったけれども、先ほど来岩間委員並びに中村委員の話を聞いて、お答えを聞いておりますというと、情勢の変化があればこれは運賃値上を認めるというような御決意もあるようにうかがえるのでありますが、ほんとうに今日の情勢の中で私鉄赤字であるかどうか、これを十分大臣として御検討なさっておられますかどうか、この点を一つ伺いたい。
  44. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は昨日来ときょうとそう私の答弁は違っておらぬと思う。ただその表現で多少、きのうときょうでございますから違っておるところがあるかもしれませんが、私の腹は違っておるはずはござりません。この赤字の問題は私も一応調べたんです、聞いてみたんですがね、やはり多少はあるようでございますね。と申しますことは、先申しますように、なかなかこういう鉄道事業というものは興業費によってみな固定してしまう。そこへ持ってきて、非常に競争がひどいようです。そういうこともありますし、従って鉄道軌道事業そのものとしては、私は非常にもうかっておるとは思いません。多少の赤字の出ておることは、これは私は経理上でございますね、経理上認めざるを得ないのじゃないかと思う。ただ、しばしば質疑応答の中に出ましたように、また運輸当局から答弁いたしましたように、その兼業という面と申しますか、傍系事業の、これも大体昨日お答え申しましたように、彼らはもう渋谷の一角に立てば偉大なる会社なんです。私はそういうふうに感じておる。コンツェルンですから。それがあとでつうつうになっておるということは認めます。従ってこれから生じたこの不当な要求あるいは運輸省に対して圧力を加えるような業者の態度がありといたしますならば、私はこれは黙っておることはできぬと思っておるのです。
  45. 柴谷要

    ○柴谷要君 昨日からいろいろ議論された中に、ことに私鉄に附帯事業として土地会社を持っているとか、あるいはデパートを経常しているとか、あるいは観光地にホテルを持ち、ときによっては映画館を作っている、こういういわゆる付帯事業が多い、この私鉄の本来の事業というものは、私鉄企業を経営をして国民にいわゆるサービスをすることであり、公共性をもって進まなければならぬ。ところが主たる事業を忘れて、付帯事業の方にややもすると重点がいってしまって、そのことが正常な専業活動を圧迫する結果が出てきている。こういう付帯事業が果して私鉄に今後あらゆる面で認可され、許可されていくものであるか。私は本来の使命から考えるならば、多くの付帯事業はやるべきでない、こういうふうに考えているけれども大臣の見解をお伺いしておきたい。
  46. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 理想としては私は鉄道軌道事業は独立的に採算がとれて、そしてサービスもよくなるということを希望いたします。ところがアメリカあたりの例を見ると、どうもそういう郊外の私鉄がターミナルに百貨店を設けてお客を吸収するというアメリカ式経営の上から見れば、現在私鉄がやっておられることをそう私はむげにも否認もできなかろう、また厳重な監督もできなかろうと思いますが、理想といたしましては、仰せの通り軌道の事業でもって完全に経営をしてサービスをよくしてもらいたい、こういうふうに私は念願をいたしているのです。
  47. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは最後の質問になるわけですが、質問と要望を兼ねておきたいと思います。  先ほど大臣が言われましたように、二大鉄財閥と称せられる東急、西武というものが位している。この二つの会社がややもすると運輸行政を誤まっているという、これは誤解であるかもしれませんけれども、世間の風評というものは強く出ております。これは誤解であるならば一掃しなければならぬし、これが事実であるとするならば運輸行政上ゆゆしき問題だと思うので、何回も大臣が決意を述べられているようでありますけれども、どうか一つこの二大私鉄の横暴のありとするならば、厳に戒めて、そうして運輸行政をまっすぐに推進してもらうように、大臣一そうの決意を願いたいと思うのです。特にわれわれとしてはこの点大臣の今後なさろうという仕事に対して、十分正しい線についてはできるだけの協力をしますし、また大臣が監督が足りないというならば大いに鞭撻もいたしますけれども一つ決意を持ってこれらの問題に対処してもらいたい、これを特に要望して質問を終ります。
  48. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言がございませんければ、それぞれの委員質問の最後に要望がございましたので、その点当局において十分今後考慮されるよう希望いたしておきます。この問題はこの程度で打ち切りたいと存じます。   —————————————
  49. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に自動車行政に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は順次発言を願います。
  50. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は前回の委員会で当局に、前運輸大臣がおやめになります二方戸前に免許をされました問題について資料の提出を願っておきました。さっそく資料を提示していただきましたので、検討いたし、二、三の点について御質問をいたしたいと思います。  まず最初に盛運汽船株式会社申請によりますところの宇和島——宿毛間のバス路線免許に関する件について御質問をいたします。  盛運汽船が宇和島——宿毛間に跡線申請をした。ところがこの線はすでに宇和島自動車というものが路線認可を受けて営業をいたしております。しかもその営業状態が非常に順調に進んでおり、かつ乗車効率等を調べてみましても、他の業者を許可するというほど需給の面において逼迫したものではない。特に乗車効率等について申しますというと、昭和三十一年六月から三十年五月、この間平均三八%の成績しか出ておらない。三八%といえば半分も乗っておらんという状態である。ところが、それより一年前の実績を調べてみまするというと、四一・八%という一年間の実績が出ておる。これでもまだ五〇%に満たないということですから、需給の面では新規路線の免許をするような内郷ではないと思う。ところが、これに免許が大臣がおやめになるときに急遽下げられたという情勢にあるのですが、これが運輸行政上果して妥当なものであるかどうか。これは担当部長から御説明願い、この許可が正しいものであるかどうか大臣の見解を承わっておきたいと思います。
  51. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 各位に申し上げておきますが、自動車局長は海外出張中でございますので、御承知でもありましょうが、国友業務部長が出席されております。国友業務部長はただいま局長代理になっております。局長の資格で答弁されるわけでありますので、十分御質疑願いたいと思います。
  52. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 御指摘になりましたる点は、私も表を見ました、そしていろいろ事情も聞きました。私の見るところによりますと、成規の手続きを踏んで、また審議会とか、聴聞会等が行われておりまして、またその許可の数も特に多く殺到したようにやられたとは——もっとざっくばらんに申しますならば、やめぎわにどどっとやってしまったとは私は見ないのです、今の数字を見ますと。でういうふうな感想を持っております。
  53. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 御質問のございました盛運汽船株式会社の免許申請事案につきまして概要を申し上げます。盛運汽船株式会社が自動車運送事業の免許申請につきまして、主として宇和島——宿毛線について申請したわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいました乗車効率の点でございますが、われわれといたしましては、区間連送と、宇和島——宿毛間としての連行系統と、それら全部について検針を加えたわけでございまして、宇和島——宿毛間の系統につきましては、四四・四%という数字が出ております。これは全体的な平均といたしましては、区間運送がございますのでもっと下りますが、宇和島——宿毛間については、四四・四%の乗車効率を示しておりまして、これは全国平均から申しますと、昭和三十年度には三七%、昭和三十一年度には三五%ほどが全国平均でございまして、この全国平均と、四四・四%の数字とを比較検討いたしてみますと、現状におきまして、と申しますのは免許以前でございますが、免許以前の現状におきまして、宇和島——宿毛間においては三往復程度の連行回数を増加してしかるべきであるという需給状態からの推算が出たわけでございます。そこで、これを宇和畠自動車株式会社の運行回数の増加で参りますか、あるいは盛運汽船の新しい免許で参りますか、という問題があるわけでごいざますが、宇和島自動車といたしましては、運行回数増加の申請をいたしておりません。盛運汽船株式会社の方が宇和島——宿毛間につきまして六往復の新規申請をいたしておりまして、運輸省といたしましては、これを三往復程度に切りまして、運行系統を宇和島——宿毛間に限ましてり免許をする、こういう手続をとったものでございます。
  54. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣の見解はさておきまして、今の部長の御説明によりますと、全国平均が三七%、それを上回っているから免許をした、こういうふうに言っておられます。ところがこの問題については、同じ路線に土佐電気鉄道が過去において申請をしている。昭和二十五年二月二十日に申請して、二十六年十一月十二日に却下している。ところが土佐電気鉄道が却下訴願をしたのが二十七年四月、行政訴訟を起したのが二十七年十月六日、これによって実地検証を二十九年十一月にやっております。ところが情勢の変化か何か知りませんが、土佐電気の方で訴訟却下をしたのが三十一年、こういうことで昭和三十一年に土佐電気申請による問題は解決をした。ところがこの却下と同時に盛運汽船が申請をして、そうして一年足らずにして本路線に免許が下った、こういう事実があるわけです。それのみか、実は盛運汽船は前に宇和島——三浦間という路線申請をして認可をもらった。同時に盛運汽船は、陸上輸送に当っては他の業者と今後トラブルを起さない、こういうことで何か誓約書を入れている。しかもその誓約書の一通というものは運輸省に保管されている。盛運汽船の社長がもちろん判を押し、しかも四名にわたる立会人が署名をしている、こういう話。しかもその署名立会人の中には、佐藤榮作、益谷秀次、あるいは關谷勝利、こういったお歴々が判を押している。そうして今後不当な競合はしない、こういう約束を一本入れており、これを運輸省が保管しているというが、本免許申請にからんで、これらの問題も十分検討されたかどうか、この点一つ御答弁願いたい。
  55. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 土佐電気鉄道株式会社の訴訟につきましては、取り下げをいたしまして解決をいたしましたことは先生のおっしゃる通りでございます。その後盛運汽船の申請が出たわけでございますが、盛運汽船の以前の三浦半島におきます免許の際に誓約書が出ましたことは事実でございます。先生のおっしゃる通り出ておりまして、これにつきましては、盛運汽船側といたしましては、宇和島自動車が以前の盛運汽船株式会社の免許につきまして訴願をいたしまして、その訴願をいたしましたについて宇和島自動車としてはあの事実を認めないのであるから、われわれの方としてはあの誓約書はないものと認めてくれ、こういうような申し入れもございましたが、その誓約書につきましても、もちろん今度の申請におきましても考慮いたしました。ただその誓約書が法律的に拘束力があるかどうかということにつきましては、われわれ検討した結果、法律的拘束力はないのではないだろうか。しからばわれわれといたしましては海陸交通の一体的運営というような見地から、盛運汽船株式会社は現在海運を沿岸航路について施行しておる。その海運につきまして、道路ができるについて日々に衰退をしていく。これらについても何らか考慮さるべきであるという主張もございました。この定期航路事業につきましても、定期航路事業輸送需要というようなものにつきましても考慮をいたしまして、その結果海陸交通の一体的運営及び需給の状態の推算からいたしまして、免許を妥当であるという結論に到達したのであります。
  56. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは第三間を聞きたいと思うのですが、盛運汽船株式会社は、最近事業経営の実態を——営業報告ですか、この報告書等を見ますると、昭和三十一年度あたりは非常に欠損金もたくさん出ておるし、外部負債というものがたくさんある。そうして会社は、まさに、何といいますか、気息えんえんどころか、あすにもとうも飛びそうな会社なんで、聞くところによるというと、従業員の給料等は遅配、欠配、こういう会社です。しかも資本金は百八十万と言いながら、今回新規路線を免許されたとなると、必要資金なんかは三千万円からの金が必要になってくる。こういうようなことになると、果してその路線免許を受けて、完全に常業のできる形態であるかどうか。  それからもう一つ、盛運汽船は宇和翻に身売りすべく、長い問いろいろと交渉されておったけれども、不調に終った。そのために宇和島路線に政治的免許を強要して受けたかのごとき印象を、沿道の諸君あるいは関係者に与えておるようだが、これらの問題は、果してそのような事実の上に立っておるのかどうか、説明を承わりたい。
  57. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 簡潔に願います。
  58. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 貸借対照表は、昭和三十一年の五月三十一日現在の貸借対照表は、三百二十六万円の損失を出しております。これは船舶及び自動車全部含めましての計算でございますが、現在盛運汽船株式会社は五両ほどの自動車を持って運営をしております。盛運汽船株式会社が宇和島——宿毛間につきまして申請をいたしました場合には六往復で自動車十一両使用する申請でございましたが、これを三往復程度に——三往復に制限いたしました結果、自動車といたしましては五両ほど所要するということでございますので、バス十一両でございますと三千四百万円ほど必要でございますが、これが半分ほどで済むことになりまして、現在三浦半昂において自動車運送事業を実施いたしておりますので、私どもといたしましては現在の運営に加えまして、五両程度の増車は可能である、こういうふうに考えまして免許いたした次第でございます。
  59. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次の質問に移って端折っていきたいと思うのですが、昭和三十一年十月当時は、吉野運輸大臣の時代でありましたけれども、当時の次官はやはり今日の荒木次官で、荒木次官は盛運汽船の山本社長に対して、どうもこの免許は困る。こういう態度を明らかにしておったということを聞いておる。ところが、三十一年十月ですからまだ一年たたない、にわかに大臣がおやめになるときに、どうも免許をしたというのがこの三十一年十月の荒木次官の言明と違うという点から、大臣が何かどうも政治的に免許をしたようなにおいがするけれども、当時の次官はきょうおいでになりませんが、そのような運輸省の情勢あるいは運審がどういう結論を出しておったか、この点について知る範囲の説明を願いたい。
  60. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 荒木事務次官が御意見を述べられたというお話でございますが、これについては私は存じておりません。及びそういう御意見はなかったのではないかと考えております。  それから運輸審議会につきましては、結論は、たとえば盛運汽船を却下すべしというような結論は出ておりませんでして、昭和三十二年の七月四日に盛運気船について免許適当であるという答申が出たわけでございます。
  61. 柴谷要

    ○柴谷要君 それは本年の七月に適当であるということは出た。しかし昨年の審議の過程においては、これは妥当のものではないという結論にまとまりつつあった。こういうことを聞いておるのだが、そういう事実はなかったか。
  62. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) そこまでまとまってはおらないと考えております。
  63. 柴谷要

    ○柴谷要君 宇和島自動車が公聴会に出席されていろいろ公述をされておると思うのだが、盛運汽船が宇和島自動車に身売りをするために長い間交渉を続けておった、こういうような話も伝わってきておるけれども、その内容について運輸省は関知しておるか、承知をしておるか。知っておったらば、知る範囲で一つ説明を願いたい。
  64. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 何らかそういう形の交渉があるやに闘いたことはございますが、われわれの方としてはその問題には関知いたしておりませんので、内容的には実は存じないのでございます。
  65. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ問題はこればかりじゃなしに、次の問題は、自動車行政の面でいろいろあるのですけれども、特に一つだけよく聞いておきたいと思うことは、自動車は効率三七%上回れば、いかなる路線でも今後運輸省としては需給調整の面から免許をするという考え方に僕らは承知してよろしいかどうか。
  66. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは、この具体的な個々の事案につきまして審査をいたしました結果、盛運汽船株式会社の申請につきましてはこのような結論を出したわけでございますが、と当時に、宇和島自動車からこれも申請が出ておりませんでしたので、こういう免許という結論が出ましたが、必ずこの三七%なり三五%なりをこえますれば、必ず免許するという方針ではございません。
  67. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは最後に、この問題について要望を一つつけ加えておきたいと思うのですけれども、とにかく、たとえば、一社でまあ経営をさしておる。こういうことになるというと、独占企業にまかしてはいかぬと、こういうまことしやかな理由のもとに、需給調整の面もかなり低いにもかかわらず、利手方に免許を与えて、むしろ営業上混乱を起させるというような結果になる。ひいては両社とも経営が成り立たぬから、運賃値上げに求めるのだと、こういうことになって、帰すれば大衆にしわ寄せさせるということが往々にしてある。特にバス業界においてはなおさらそういうような傾向が最近顕著になってきたと思うのだが、運輸省は今後申請をする場合に、あるいは大臣が今度任期を終ってやめられる場合に、このように抜き打ち的な免許をしようと思っておられるか、今日までの決意を聞けば果してそういうことはないと思うが、あまり好ましいものではない。こういう点から一つ要望と、大臣の見解を承わっておいて、この問題については終ります。
  68. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も運輸大臣として五年も十年も勤められるとは思いません。私去った後は、去ることがありましても、立つ鳥はあとを濁さず、私はその考えでおります。
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 この際一つ運輸大臣に三点ほどお尋ねをしておきたいと思います。  一つは、陸運局及び陸運事務所の機構並びに運営、特に予算及び定員の問題です。第二は、都市交通における自動車行政の問題。第三は、駐留軍要員の離職者対策、特に自動車の企業組合及びハイヤー、タクシー業免許等の問題であります。以上三点について業務部長にもそれぞれの立場でお答えを願いたいと思うのでありますが、第はの陸運事務所の機構並びに運営の問題で、定員不足及び予算削減については、これは私ども現地調査に行った際にどこの地域でもこれは出ておったことであります。非常に現在の自動車が多くなっておるのにもかかわらず、定員は非常に不足をしておる、過酷な労働をさしておるし、予算も非常に足りない。こういう問題で、私どもとしては、何としてもこれを早急に措置をしてもらわなければならぬ問題だと思うのです。これは一と合せて一つ御回答をいただきたいと思う。特に予算面の削減のはなはだしいのは、たとえば大臣、横浜の例を一つ申し上げますと、横浜の陸運事務所の場合は電話が架設されておるわけです。二個も三個もある。ところが予算の関係があるために使えない。一カ月使えない。幾ら電話で仕事の緊急な連絡をしようとも、あるいはいろんな作業をしようと思っても、運輸省の予算が下りておらぬということで電話が使えない。こういうようなことで、一体運輸省の予算というものは何をやっておるのか見当がつかないようなことがある。こういう点について特に定員と予算の問題について、どんなふうな見解を持っておるか。第一にまずお尋ねをしておきたい。
  70. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も一、二、陸運事務所というものを視察したことがございます。そこは割りにいっとるようでございましたが、お話のようなところもあるように聞いております。今度予算である程度要求をいたしまして、通過するように、大蔵省の査定をして国会を通過するように努力をしたいと思います。詳しい数字は部長からち、よっと申し上げて御了承を得たいと思います。
  71. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) ただいま陸連事務所の要求人員、数字等については、特に資料を持って参りませんでしたのでありますが、両三年ほど、ことに登録と検査の要員につきまして、陸運事務所の増員を要求いたしておりました。三年ほど増員がありましたのでございますが、昨年は既存経費の中でまかなえということで増員にはなりませんでした。本年は百二十三名の、全国におきまして増員をいたしております。極力増員をし、予算につきましては一億二百万円ほどの予算要求を、増員、施設の整備及び拡充ということで要求いたしております。来年度におきましてできるだけ要求を通したい。こういうふうに考えておる次第であります。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 第二の都市交通における自動車行政の問題ですが、特にこの六大都市周辺のバスの競争というものは非常に激しい。これは先ほど大臣がお話しになったことと、中村委員私鉄とバスをやはり切り離して考えなければいかぬという問題もある通り、われわれは非常に多くの問題を投げておるわけです。特に六大都市の地方公営企業におけるバス、あるいは市電等は私鉄のバス等の競合のために赤字が非常に多い。こういうことが私はいえると思うのです。ただ地方自治体の育成ということをえていく場合に、自動車行政立場から、やはり、そういうような圧迫を受けることをそのまま放任しておいていいかどうか。こういう点について、私はやはり運輸省自体として総合的な交通政策の中で一つこれは出すべきではないか。これが一点です。  それから二つ目には、たとえばそういう地方公営企業が赤字になる、あるいは大蔵省の融資を受けても、現在では、起債は七カ年ですか、短期返還ということになっておる。しかも利子は非常に高い。こういうことから考えてくると、やはり地方公営企業というものを優先をして、そしてやるべきが私は当然だと考えるのでありますが、そういう場合にどうしても民間との競合の場合に、やむを得ざる場合においては、政府においてそういう運輸省が特に大蔵省との折衝、あるいはあっせんにおいて地方公営企業に対する起債の延期、あるいは利子の引き下げ、こういうものを考えられないものかどうか。この点もお尋ねをしておきたいと思うのです。
  73. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 御指摘の問題は私は市営——京都市とか大阪市の市営を優先したいと思います。これは私は当然じゃないかと思います。この市営を慶先して、しかも市にも力には限界もございましょうから、やはりこれがほかの私鉄ども、地下鉄ででもはいりたい、こういったようなことがあれば、これは総合的に考えていわゆる大部市の交通を完全にしていく、こういったような考えを私は持っておるのです、そういう市営のものに運輸省が便宜をはかり、また努力するということは、これは私ども今後心がけてやって参りたいと思いますが、私の考えは市営を優先をして参りたい、こういうふうに考えております。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣のお話で大体私も了承しますが、特にこの一番通勤通学の多い六大都市ですね、そういうところの市営のバスあるいは電車、こういうものについて私でなく公営の事業については、今のようなお話でぜひやっていただきたいと思います。その中でどうしてもいけない場合は、これは何といっても今の隘路は起債が非常に短期間償還になっておる、しかも利子が一般のものより高いということが都市のそういう経営を困難ならしめておる原因なんです。ですから大臣にぜひその点は積極的に研究をされて、私は進めていただきたい、こう思うのです。  第三点の問題については、これはもう日本の持つ現在の情勢として米軍が、多く駐留軍が帰るわけであります。よそへ転出するわけです。そこで駐留軍に働いておる労働者が多く解雇されておることは御承知通りなんです。従ってこの七万にも十万にも及ぶ駐留軍の要員を、いかなる方法によって離職者を失業から守っていくかということが、これは日本の政治として大きな問題でなくちゃならん。特に岸内閣としてもこの問題については対策を立てておると思う。その中の一つとして自動車行政の中で、企業組合を認めていこう、あるいはこれは認められるかどうか、こういう問題が一つあります。いま一つは、これらの人が特にドライバーの人たち、今まで駐留軍に働いておった自動車の経験のある運転の免許を持っておる人たちが、ハイヤー、タクシー業をやる、こういうような場合にこの扱い方をどうするか、これは一つ誤まるというと、一般の民間企業も圧迫をするし、といってこれをやらなければこれらの人を生かす方法もない、こういう点があると思う。これは非常に大きな問題だと思う。こういう点について運輸省政府の中においてどういうふうな意見を閣議に反映しておるか、また運輸省自体として、今後これらの点をどう対処していくのか、こういう点について御回答をいただきたいと思うのです。
  75. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) ただいまの問題はこれは閣議でも取り上げられましてそういう人たちに対しては方法を講ずるということに根本原則はなっております。そこで運輸省といたしましてはタクシー等もやりたい、駐留軍で運転手であった人は相当多いようでございますね、そういう人たちがやりたいというような申し出もございます。これらはできるだけほかの業者を圧迫せない、またその土地の交通秩序をはなはだしく乱さないという点において免許をしていく方針を立てたいと思うております。企業組合におきましてもそういうふうに考えております。
  76. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 関連してちょっとお尋ねしますけれども、今相津委員質問の中にありました陸運事務所はですね、陸運事務所と県知事との関係は今どうなっておりますか。
  77. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 陸運事務所は地方公務員といたしまして国家公務員の身分を持っておりまして、予算、定員等につきましては運輸省が要求をいたしておりますが、所属は県知事でございます。所属が県知事ということで、その所属という範囲内で監督権は知事にあるわけでございます。
  78. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 昨日大臣からお話がございました運輸省の日の当らぬ方面に力を注ごう、その日の当らぬ部分に陸運事務所も入っておるのじゃないかというさっきお話がございましたが、車が非常な勢いでふえて、車検をしなければならぬ、ところが定員はない、予算はない、結局その迷惑をこうむるのは大衆と、こういう筋書きになっておるようです。  それから県知事との関係でございますが、これはどういういきさつでなったか、あのころの地方分権とかいう思想でなったように思いますが、行政の実態面から見ると、あれはむしろ陸運局の下部機構にして、それから場所によっては県単位に置かないでも、ある程度の地域で少しまとめられて、たとえばちょうど鉄道で管理局があるように、あのような程度で交通上の観点からもう一ぺん再編成をなされ、それから身分の点もはっきりと運輸省の下部機構、そうしてこの自動車地獄——地獄といいますか、非常なラッシュしておる、これに対処して安全の確保をしていただきたい、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  79. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今御指摘のような陸運事務所のこともあると思います。それは今後大いに考えて実行したいと思います。  それから検車場、これは何か手数料をもらえるので、相当収入があるのですね、大蔵省に貢献しておるのですから……。これはもっと増加をしてやらなければ、不完全な検車をして、やがてはそれが人命に影響するとか、故障が起きたら大へんなことでございます。これは予算で要求をいたしまして、せっかくこういう点は私も如才なくやっておるつもりなのでございますが、どうぞ皆様におかれましても御指摘下さいますならば実行いたしたいと思います。
  80. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは角度を変えて御質問したいと思うのですが、これは大阪陸運局管内に発生をいたしました観光バス免許をめぐっての問題であります。聞くところによるというと、前宮澤大臣と同郷、同職の井上某という人に観光バス十五台を許可を与えた、これは誤まりかどうか知りませんけれども、この井上某という人は、かつて防衛庁に靴を納めて相当世間をにぎわした人と聞いておるが、同一人であるかどうか、それから近鉄が申請をしたのは何台で、許可したのは何台か、帝産オートが申請をして許可したのは何台であるか、これらについて一つ説明を願いたい。
  81. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 井上信貴男という方は防衛庁の事件と同一の方でございます。  それから奈良観光につきましては、これは奈良観光株式会社という会社で新規出願をいたしました。これは十五両の申請に十五両免許をいたしました。近畿日本鉄道は十両の申請に五両、帝産オートは十両の申請に五両、奈良交通は申請がなく、総計二十五両の免許をいたしました。
  82. 柴谷要

    ○柴谷要君 そういたしますと、本業は靴屋さんということがはっきりしておる。靴屋さんということになると、宮澤前運輸大臣も靴屋さんです。そうすると靴屋さんと靴屋さんとの間で話し合いができたように思われるのだが、(笑声)そういうことはなかったかどうか、それから近鉄に五台、帝産オートに五台、合せて二十五台の増車を急遽いたしましたために、大阪陸運局管内では実際には三十五台のバスがあったけれども、これが六十台に一挙にふえた、そこで不当な、いわゆる過当競争が行われたかどうか、この競争というものは非常に悲惨なものになりほせぬかというわれわれは見解を持つのであるけれども運輸省ほこれらの問題についてはどう考えられておるか、御答弁願いたい。
  83. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 井上氏は靴の方の関係をやっておられますが、この奈良観光の申請者の中にはタクシー業者も入っておりまして、奈良県の地元の資本を集めて作ったということになっておりまして、これについて免許をいたしました。  それから既存業者は従来奈良交通に四十三両、奈良電気鉄道に五両、計四十八両ございまして、この六月一日に三者に二十五両の免許があったわけでございますが、これにつましては、従来奈良県におきましては奈良交通株式会社がほとんど一本でやっておりましたような形で、奈良電気が五両持っておりましたのでありますが、奈良県は京都、滋賀等と同じように観光県でございまして、従来奈良県はもう少し多くてもいいのじゃないだろうかという考え方はあったわけでございまして、これにつきましていろいろ検討いたしました結果、奈良交通につきましては昨年三月以降増車の申請がありませんで、また経営内容につきましても、相当奈良交通といたしまして、これは既存業者でございますが、好転をして参りましたので、この程度の増車は適当であるという推算をいたしまして免許をいたしたわけでございます。
  84. 柴谷要

    ○柴谷要君 適当であるかどうかわれわれはちょっと疑問を持っておるのだけれども、さて、運輸省が適当であると認めたということで、一応それは了解してもいいと思うのだが、実は奈良陸運事務所は、非常にこの自動車関係については、運輸省自体としてもあまり監督が十分行き届いているとは二、三年前までは考えておらなかったわけです。その陸運行政を十分やらせるために、非常に手腕家を奈良陸運事務所に配置し、二カ年間にわたって益田所長は運輸行政の公正を期するために真剣に努力されて、二カ年の間にかなりの業績を上げたと聞いておる、ややもすれば批判さるべき運輸行政が、所長の努力によってかなり回復し、世間からも認められてきた。ところが今回大量の、しかも一カ所に対して十五台も許可をしたというような問題から、運輸行政の行き詰まりを感じたかどうか知らぬが、世間のうわさでは感じて、そうして陸運事務所長をやめて他に転職をされたわけです。こういうことで、御年四十一才で(笑声)将来を嘱望された御仁だと聞いておる。こういう手腕家を運輸行政の面から他に転職をさせるということばまことに惜しいと思う。これらのうわさが事実無根のものであるかどうか、四十一才といって、運輸省に奉職をして陸運事務所長になった人だから、そういう業績を残した人は将来大いに嘱望されておる、今にして他に転職をされるというようなことは考えておらぬと思うのだが、何というか、自分の業績に水をさされるようなことでは勤めかねるということでやめられたといううわさも聞いておるのだが、これも事実とすれば重大な問題だと思うので、知る範囲において一つ御答弁を願いたい。
  85. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 奈良の所長の益田君は私どもは本人の希望によって退職したと聞いております。別にそういうことはなかったと考えております。
  86. 柴谷要

    ○柴谷要君 あっさりした答弁でどうも気が抜けてしまうのですが、どうも大阪陸運局ですか、局長以下非常に真剣にやっておるけれども、今回の免許については実質上多大な不満を持っておるということは私ども聞いておる。特に井上さんという方は郡山自動車株式会社というのをお持ちになって、ハイヤー、タクシーを経営しておる。そこで私はつぶさにこの実情を聞いてみたのだけれども、実は運輸省は監督権を持っておるその会社に行って多少帳簿でも見たいと思ってもなかなかその帳簿を見せてくれない、何だか威圧がかかってとてもじゃないが、運輸省の監督なんというのはこの郡山自動車に及ばないということを直接私は職員から聞いておる。こういう会社経営者に対して十五台も観光バスを許可するということは、どうも正しい運輸行政とは思われない。これはうがつた考え方になって申しわけないが、宮澤さんと同業者の井上さんが十五台、こういうことになると世間が運輸行政を信用しないと思う。こういう面からこれは誤解であってくれれば幸いでありますが、どうも誤解にしてはあまりにも数字が通ったような免許の仕方になっておると思う。これらの問題もこれは現大臣は非常な決意を持っておられますから順次改善をしていただけると思うが、宮灘さんが当時おやめになるときに許可をされておるという事実を考えますときに、これはやはり運輸行政に非常なマイナスになっておると私は思う。これらの点は一つ——まあ大へん私の質問が初歩的なやさしいものですから、どうも部長は簡単に言っておられるようで、真実を言わなければいけない。さらに大阪陸運事務所の職員に会っていろいろ聞いておる、そうして運輸行政が地方のボスによって妨げられておるということを職員がわれわれに訴えておる心情をこれはやはり運輸省としては重大に考えられて対処してもらいたいと思う。そういう意味において運輸大臣の先ほどの決意もあられるようでありますから、どうか一つ正しい運輸行政を心強く前進してもらうようにこれも一つ強く要望して、本問題の処理は大臣の手腕にまかせて、将来を見守っていきたいと思う。ぜひ大臣としても決意を持ってやってもらいたい。ただし、この十五台のバスの運行の開始はいつごろか、許可はいつから実施されるのか、ちょっとそれをお尋ねしておきたい。
  87. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) お答え申し上げます。免許は六月の一日に免許したのでございますが、事業開始はまだいたしておりませんと思いますので、いつから開始するかということは私はっきりここで存じておりませんが、四カ月以内には開始するということであろうと思います。
  88. 柴谷要

    ○柴谷要君 それではまだその営業開始の届はないわけですね。ところがこの井上さんのところで五台自動車を入れられて、最近甲子園の野球大会に五台のバスを動かしておる、従来運行区間が大体二万円ないし二万二、三千円取らなければならな、料金のところを一台七千円で甲子園に旅客を送り込んでおる、こういう事実がある、これは私のところに直接そのような通知をいただいておりますので、すでに五台もバスを動かして、しかも二万円もするようなところを七千円で運行しておる。こういう事実をつかんでおる。こういう運行が果して正しいものかどうか。一つこれは運輸省の方で取り調べられて正式に営業開始をし、そうしてあのダンピングを行なって過当競争をさせないように厳重に一つ処置していただきたい。今の問題について調べてもらいたいと思う。
  89. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは十分に調査いたしまして、これは不当なところ、不法なところがあれば十分善処いたしたいと思います。
  90. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後に、私はどうも今回の免許をめぐって、特に大臣、聞いてもらいたい。今回の免許をめぐっていわゆる立法府の者が行政府の者に圧力を加えて、そうしてその免許を下さしているような形勢がある。このことは何人を問わず、私は立法府に携わっておる者が行政府に圧力を加えるなんということはけしからぬと思う。こういう問題がしばしば今日あったと思う。現に私どもは慎しまなければならぬ。みずから慎しまなければならぬけれども、こういうような顕著な事実に対しましては、運輸大臣としても真にその腹を据えて、そういうことが今後起らないように十分一つ対処してもらいたい、この要望をつけ加えて私の質問を終ります。
  91. 中村正雄

    中村正雄君 最後に大臣一つお尋ねしたいのですが、現在自動車行政を中心にして相当事務が渋滞していると思います。今どういう理由で渋滞しているのか、それはいろいろ理由があると思いますが、現在の運輸審議会の機構並びに運輸省の方の自動車局の人の不足のために事務が渋滞いたしているという面も相当あるのじゃないかと思いますので、大体私の推算では、おそらく運輸審議会にかけられている件数でも数百件あるだろうと思います。またこれも許可、不許可の答申もいたしておらない、また運輸省の自動車局自体にまあ地方の陸運局を通じて出願されておりまする案件についていまだ結論が出ていないのもおそらく数百件以上あるだろうと思います。そういうことはいろいろ事業内容自体について困難な問題があって決定できない面もあると思いますが、それ以上にやはり人手不足、予算不足というものがいわゆる事務の渋滞の大きな原因になっていると思う。そういう点について先ほども、日の当らない場所については十分考える、こういうお考えでありますが、就任以来、そういう情勢もおそらくお聞きだろうと思いますので、こういう人手不足、予算不足の面について、それは事務が渋滞すれば出願者も非常に迷惑する、また既存業者も迷惑する点が相当あるだろうと思う。こういう点について今後の改善にどう考えているかお聞きしたい。
  92. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も就任後この問題にはずっと頭を悩ましているのです。実際はいろいろ聞いてみますと、何人といえどもすべてちょっと目論見書を紙にプリントしていけばこれは受け付けざるを得ないということなんです。だから皆が殺到する、ある人が出願するというと競争になって、あれがやったのならおれもやらにやならぬと、実は私は無秩序に非常にある意味では驚いております。その結果、自動車局におきましても、そのほかにおきましても運輸行政の根本政策とか根本事務かというようなことはずいぶんおろそかになって、ただ申請されたこの会社をどうするか、ああするかというようなことばかりに頭を悩ましているようです。ですから、事務官はそういう届出にスポイルされているのじゃないか、今後スポイルされぬようにということを希望してこの間も省議をいたしております。これは私もいろいろ学者その他に研究してもらって一つの方法を立てていただきたいと、外国の例もあるそうでございますから、立ててみたいと考えております、それから人員の不足ということもあるかもしれませんがね、これは予算には今度はあまり人員について要求してございませんが、ある程度——百二十三名ほどあるそうです。しかもこれでも人手不足ということになるでしょうが、要するにああいうふうに何でもかんでも書類が殺到するということ、もっともこれを受け付けぬわけにはいきますまい、これらの点を一つ考える。そして受け付ける場合にはすみやかに、イエス、ノーの回答をする、こういうことは必要だと思います。現にこのごろ私のところに来ております書類でも二年前のやつが来ております。その二年間の間に経済の情勢が変っちまっている、そうすると私自身も判断のしょうがない、これを事務的に持って来られたところで、おそらく運輸審議会もそういうのがあるだろうと思いますから、これは一つ時勢に合うようにやっていきたいと思いますが、実は私も考えております。どうぞ皆さんにおかれましても何かいい方法ございましたら、一つどもにお示しを願いたいと思う。私、実際これには頭を悩ましております。従って私はこれにつきましては努力いたします。
  93. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 関連。今の大臣のお話しを伺いましてもっともだと思います。私は今の道路運送法、あれに欠陥があるのじゃないか、と申しますのは、あの道路運送法は御承知のように、米軍の占領時代にできた法律でございまして、当時は、日本の交通状態も非常に混乱して、何とか足をつけたいという時代だったのです。その時代を背景にいたしましてできた法律でございまして、もう今日になっては、いろいろな面で再検討される時期じゃないかと思うのです。どうかそういう意味におきまして全面的にこの道路運送法を再検討されて、そして現在のわが国の経済の実勢に合うように、一つ大臣の御事業としておやりになるように希望いたしますが、決意ございますか。
  94. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) その道路運送法を、私も第一条を見てみる。第六条を見てみる。まあこれは実にどうでもできるような法律ですね。そして今おっしゃったように、私も終戦後政界を退いておりまして、米軍の行政を知らなかったわけですが、あのとき、仰せになった通り、足らないからああいう法律が……、今じゃむしろ多過ぎるというのですか、多過ぎるということは、自動車が大いに進歩することはけっこうなんですが、ただそれが無秩序に発達をするということは、私もこれは矯正したいと思いまして、これは今いい示唆を与えていただきました。私も痛切に感じておることでございますから、努力いたしたいと思っております。
  95. 中村正雄

    中村正雄君 今の仕事の渋滞したる原因自体として、今、大島委員の指摘しました道路運送法にもあると思うわけなんです。私たちもあれをこさえるときにいろいろ議論が出たわけですが、当時はあれができたわけで、いかにして道路運送法を改正するかという点についてはそれぞれ意見もあると思いますが、別な機会に申し上げるとして、一度に改正するにいたしましても、現在出ておりますものは現行道路運送法によって出ているわけなんで、これを処理することは行政事務としてはやらなければいけないわけなんです。今二年前とおっしゃいましたが、いわゆる地方陸運局から半年も一年もたってから上げてくるものもありましょう。これはまた地方の陸運局でいろいろ事務が渋滞しているというふうな原因もあると思いますが、現在、本省なりに上ってきております問題については一つ大臣が就任された現在において早急にイエスかノーのやはり解決をやってもらいたいと思うのです。古いのはもう四年も五年も前からお宅に行ってそのままになっているのがあるわけなんです。もちろんその解決には非常に困難な問題もあると思います。けれども、困難な問題はありましょうとも、結論が出せないからといって、運輸省がじっと握っているということは、これは運送行政から見て、非常に不謹慎きわまるものですからして、この点は大臣は事情を察して、懸案になっております問題についてはできるだけ早く処断を下してもらいたいということを希望しておきたいと思います。  次に、業務部長にお尋ねしたいのですが、現在のバスの路線ですね、これについて、いわゆるまあ需要等が中心になると思いますが、一社独占のバス路線も相当あるわけなんで、一社独占のバス路線については相当住民間の不満が出ているということで、有力な業者がまたそこに申請すると、こういう事例が方々にあると思うのです。大体、出願者の資力、信用も関係あろうし、また根本はその土地のバスに対しまする需要がやっぱり決定的なものになると思いますので、現在の運輸省方針としてバス路線については単独路線を原則にしておるのか、いわゆる複数路線を原則にいたしておるのか。この方針について一つ業務部長にお尋ねしたいと思います。
  96. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 道路運送法に、第一条に書いてございますが、「道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路連送の総合的な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」と書いてございますが、この趣旨、ことに「公正な競争を確保するとともに」というような書き方から見ますと、これは複数化というものをも考えているのではないかとわれわれは考えておりますが、ただわれわれの運用の方針といたしましては、輸送の需給なり、あるいは資力、信用なり、道路運送法の第六条によって免許を見ておりますので、適正な業者が、適正な、妥当な大衆に利便を与える運営をしております場合には、あえて独占路線であっても、必ず複数化しなければならないというようなことはないとわれわれは考えておる次第でございます。
  97. 中村正雄

    中村正雄君 いや、私の質問しておりますのは、道路運送法をこさえるときの速記録を見てもらってもわかるわけですが、一番第一条のいわゆる公正な競争ということが問題になったときに、私たち委員は結局今後需要があり、しかも資力、信用があればやはり競争させることが住民の利益になるということで、複数制ということを中心に第一条ができたわけなんです。ところが現在の状態を見ますと、ほとんどの路線が複数になっておりますけれども、住民の要望もあり、またその土地輸送力の需要もあり、また出願者が資力、信用があっても、既存業者の反対なり、既存業者の政治的な圧力によって渋滞いたしておる出願が相当あると思うのです。そういう面についても、先ほど大臣に僕はお願いしたように、現在上っております懸案の問題については早急に一つ結論を出すようにお願いいたしたいと思うのです。  もう一つ質問は、これも先ほど鉄道私鉄運賃値上げのときに私大臣にちょっと要望したわけなんですが、バス運賃値上げの問題なんです。これがちょうど国鉄運賃値上げをし、また私鉄運賃値上げの申請をして、同時に各路線バスの値上げ、これは本省の権限でない問題もあって、いろいろやっていることがあるわけなんですね。またそれと同時に申請もあるし、すでに免許になっているものもあると思いますが、バスの運賃について、やはりよそがやるから当然やるんだというような気風が各地に見られると思うのです。また当然だれが見てもこの運賃については値上げする必要はないと思われるところでもやったり、また複数制の区間において一社が値上げをしても、一社は値上げする必要もないという問題が起きてる区間もあると思うのです。従ってもし現在の運賃ではやっていけないというようなところがあるとすれば、たとえば複数の路線の中で、一社は値上げの必要がない、一社は値上げの必要あり、こういう個所があると思うのです。そういう場合住民からすれば値上げをしてもらわない方がいいわけなんで、ところで値上げの必要な会社値上げの必要でないという会社がある場合、値上げを申請している会社について、経営内容なり運営の方式なりにおいて欠陥があるために値上げの必要がある、片方は公正な運営をやっているから値上げの必要がない、現在の運賃でも採算がとれる、こういうところもあるのじゃないかと思うのです。従ってそういう複数の路線において一方が値上げをし、一方が値上げの必要ないという場合においては、値上げを申請している会社経営についての欠陥等があった場合には、運輸省としては、こういう点があるから赤字で採算がとれないのであるから、こういう点を改正すべきであるというような行政指導をやられる義務があるかどうか、またやり得る権限があるかどうか、この点業務部長にお願いしたい。
  98. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 部長、ちょっと待って下さい。今の質問に答える際に、ついでに申し上げますが、ここへ提出されている資料は、これはこれだけが要するに申請されたものというふうにも解釈できるけれども、私ども聞き及ぶところによれば、もっともっと数多くの申請がある、こういうふうに聞いているわけなんです。ここへ出されたものは、ただ今までの処理済みだ、許可であろうと何であろうと処理済みのものであって、全体としては一体幾らあるのか、ついでに。  それから今最も行政処理上問題になっている件数だね、それがどの程度あるのか。その点今後努力すればそれも調整できるものもあろうし、なかなか調整が困難だというようなものはどんなのがあるのか、そういうのもついでにお答え願えれば時間の節約上都合がいいと思います。
  99. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 委員長の御質問から先にお答え申し上げます。  現在資料は、柴谷先生の御要求によりまして、宮澤前運輸大臣がおやめになります前一カ月間の免許及び却下をいたしました事案につきまして資料提出をいたしましたわけでございまして、現在処理を要する事案といたしまして、運輸審議会に諮問いたしまして、公聴会なり、答申を得て処理しなければならない事案と、それほど問題はなくて、運輸審議会に諮りまして、これは軽微であって自動車局限りで処理していいというふうに認定を受けます事案と、この二種類の事案があるわけでございますが、この重要事案と称しまして運輸審議会に諮問いたします事案、これが諮問いたすべき必要のある事案が千五十六件、千件をこえておりまして、実はこの中でどの事案とどの事案が非常にむずかしいということを申し上げるにはあまりに数が多過ぎるのでございます。あと軽微事案の処理というのが、またこれが一月に千件程度ございまして、これは二キロなり三キロなりを延ばすもの、あるいは競願でなくて十キロ延ばす場合でも、問題がないような場合には軽微でやっておりますが、これが一月に千件ほどございます。現在運輸審議会に諮問し、あるいは陸運局で調査をいたしておりますものが千五十件ほどございまして、これの処理にわれわれとしては忙殺されておるわけでございます。  それから中村先生の御質問運賃に関しまして、われわれといたしましては、運賃改訂の申請がございました場合には、その申請内容、それから会社の経理内容等につきまして詳細に検討をいたしております。まあ望むらくは、その地域全体の運営状態を見まして全部一緒に出ざれるのが望ましいことと存じまして、そういうまあ指導で、現在におきましては各都道府県単位でバス運賃の改訂の認可ということがなされております。で、御指摘のございました、一社が必要ありと認め、一社が必要ないという場合にはどうかというお話の場合に、その運賃の改訂の申請が出て参りました場合に、運賃改訂の内容につきまして相当突っ込んで調査をいたしまして、こういう面において改善をする必要があるではないか、改善し得るではないか、あるいはまた車両の償却費等はどうか、あるいはガソリン代はどうかとか、人件費についてはどうかとかいうようなことも一々審査するわけでございまして、その際に行政指導はやっております。さらにもっと突っ込んでぜひとも改善させなければならない場合には、業務改善命令も出せるのでございますが、現状におきましては、運賃の改訂申請がございました際に、個々のすべてのデータについてよく検討した上で行政指導をしておるということでございます。
  100. 中村正雄

    中村正雄君 最後に運輸大臣にいろいろ注文があるわけですが、一言で言えば、公正にしてかつ早急な事務処理をやってもらいたいということの希望だけ申し添えまして、質問を打ち切ります。
  101. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  それでは私からも当局に希望いたしておきますが、実はこれは大臣も前大臣のとき、委員長も前委員長のときの問題でありますけれども、米軍の貨物の問題について本委員会で論議された際、大臣におかれて十分調査をしてここに報告をするというお約束があったそうであります。その後大臣がかわられましたので、あるいは引き継がれておると思いますけれども、十分当時の事情を御承知にはなっていないかもしれません。事務当局が御承知のはずでありますから、この問題について調べて、次の機会に一つ十分説明ができるように御用意願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  それからもう一つは、最近喧伝されております外車輸入の汚職の問題、これは大蔵省の関係から、通産省の関係から、それから自然運輸省関係と、こうなるわけなんで、新聞に伝えられておるところによれば、単に外車を輸入しただけでああいう汚職ができるのではなしに、輸入して届を出した、それが一週間もたたぬうちに、何百万円の自動車が一ぺんに何十台もきっそく廃車を受け付けておる。しかも同一人が受け付けておるというところにやはり問題があるのじゃないか。この三カ所の省にまたがるものがどっかでしっかりしておれば、ああいうことができないというあれになっておるわけですから、そこで今は陸運関係には逮捕者が出ないからこれは幸いでありますけれども、しかしこれは自然問題になって参りますので、理事会にまだ諮っておりませんからきょうの議題にいたしませんでしたが、国民世論からすれば、どうしても当委員会はこれを取り上げざるを得なくなると思います。次の機会にさような処置をとるつもりでありますのでこれも十分準備をしていただきたい。  右二つを要望しておきます。  以上をもって本日の会議は終りたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会