○石井
説明員 大へんむずかしい問題でございまして、御満足のいくような御答弁を申し上げることができるかどうか、はなはだおぼつかないのでございまするが、御
承知のように、
国鉄バスが開通いたしましたときは、いわゆる建設線の先行、代行あるいは
鉄道の既設路線の短絡と、非常にはっきりしたイデオロギーと申しますか、方針というものがあったわけでございます。ところが戦争中に、御
承知のように、非常にガソリンの規制がはなはだしくなって、
バスと自動車の運行が民間も非常に減って参り、一方交通の需要と申しますと、いわゆる戦力増強のために、山の中の材木であるとか鉱石であるとか、そういうものをどうしても運び出さなければならない。ところが採算からいってもまた資材の手当からいっても、民間ではなかなかできない。そこで
国鉄自動車が出ていってやったらよかろうというようなことでいろいろトラックな
ども、代燃でございますが、たくさん入れまして、鉱石輸送その他の輸送、あるいは
旅客輸送と申しますと、海軍の病院のあるところに路線を開通したいというような、いわゆる軍
関係の輸送だけは、これがまた民間ではなかなか手の延ばし得ないところも
国鉄がかわってやったというようなことで、いささかそこに観念がごちゃごちゃになって参りまして、
国鉄バスの開通当時のはっきりした、方針というものが乱れて参ったのでございます。その後終戦後になりまして、御
承知のように、GHQの方針として、何でもかんでも民間
バスと同じレベルに立ってやるべきだという方針が非常に強く出された。私
どもこれに対しましてそういう
考え方をするのはどうかとも思ったのでありますが、何分にも当時のGHQの民政担当官の意見がそういうふうになっておりますので、今までやっておりました
国鉄との通算
——国有
鉄道と同じように通算
運賃で処理するとかいうことも全部離れまして、別建の
運賃となって参り、そして民間
バスと同じ立場で公平に競争するのだ
——競争と申しますか、同じ立場でやるのだという方向になって参ったのであります。その結果といたしまして、当時戦争中から戦後にかけまして非常にふくらんだ輸送に対して、経営が非常に不合理だ
——人員は非常に膨脹しておりましたし、またいろいろな経費な
どもよけいかかって、
赤字が非常にはなはだしかったわけでございます。こういうことでは申しわけがないので、何とかこれを正常な方向に近づけるというために、
国鉄自動車といたしましては、できる限り現有の勢力の範囲内で、路線も拡張できるものはお願いし、また
貨物輸送につきましては、
鉄道輸送の補完といたしまして、共同輸送という言葉で表現しておりますが、貨車代行というこで、小口
貨物の輸送を自動車でかわってやって、そうして幹線のレールウエーの方は車扱い輸送という根幹的な輸送の方に回す、あるいは支線区でございますれば、
貨物列車と
旅客列車を分離して、のろい混合列車というものを整理するという方向に自動車を使って参りたい。あるいはまた都内におきまして荷物電車というものが走っておりまして、一般の電車のフリーケンシーを非常に妨げておりましたのを、
貨物を自動車輸送に切りかえるというようなことをやりまして、いわゆる合理化をはかるとともに、
鉄道と共同の態勢の方向に持ってくるようにして参ったわけであります。この間の過程におきまして、民間の自動車といういろいろ路線の調整と申しますか、充実等についてトラブルが各所にあったことも事実でございます。私これをあえて否定はいたしません。またそのときには、地元の御要望も、
国鉄バスを非常に強く御要望になるところもございますし、あるいはまた二派に分れて、われわれもその渦中に巻き込まれて進退に困るというような場面もございました。今日では現在員あるいは車両の運用というものも相当能率的になって参りまして、自動車
関係の収支のバランスもだんだんととれて参りました。おそらく本年度から来年度にかけましては、収支とんとんというような数字も出てくるのじゃないかと思っております。そういうことでございますので、
国鉄自動車のいき方につきましては、この辺であらためて再検討いたしまして、そうして
鉄道とあわせて一貫した輸送という本来の本義に立ち直って
——しかしその一貫した輸送というものは、
戦前と比べて今日では道路の状態その他各種の
産業構造等の変化とにらみ合せて、どういうものが
国鉄と一体化されたところの国
営自動車のあり方であるかというこをきめて、その方針で進んで参りたい、かように
考えております。はなはだ抽象的なことでございますが、具体的な問題になりますと、沿革もございますし、また地元の御要望、
民営業者との
関係もございまして、今私が申し上げましたような線ではっきり割り切ったお答えをしにくいところもございますが、そういう
考え方でやって参りたいと思っております。