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1957-02-13 第26回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十三日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席分科員    主査 宇都宮徳馬君       上林山榮吉君    河野 金昇君       小坂善太郎君    山本 猛夫君       井岡 大治君    井手 以誠君       岡本 隆一君    辻原 弘市君       森 三樹二君    小松  幹君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君  出席政府委員         運輸政務次官  福永 一臣君         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 静夫君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 光夫君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (船員局長)  森  嚴夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君         運輸事務官         (捕獲審検再審         査委員会事務局         長)      辻  章男君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         高等海難審判庁         長官      長屋 千棟君         気象庁長官   和達 清夫君  分科員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  今井 四郎君         日本国有鉄道参         与         (電気局長)  関  四郎君     ————————————— 二月十三日  分科員横錢重吉辞任につき、その補欠として  森三樹二君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  分科員井手以誠君及び森三樹二君辞任につき、  その補欠として井岡大治君及び岡本隆一君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員井岡大治君及び岡本隆一辞任につき、  その補欠として井手以誠君及び森三樹二君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科員辻原弘市君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計予算運輸省所管  昭和三十二年度特別会計予算運輸省所管  昭和三十二年度政府関係機関予算運輸省所管     —————————————
  2. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 ただいまより予算委員会第四分科会を開きます。  本日は昭和三十二年度一般会計特別会計、同政府関係機関予算運輸省所管について審査いたします。  本予算につきましては去る十一日運輸大臣より説明を聴取いたしておりますので、本日は直ちに質疑に入ります。通告がありますので、質疑通告順にこれを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本分科員 旅客運賃値上げについて二、三お伺いいたしたいと思います。  今度の旅客運賃値上げによりますところの値上げ率の問題でありますけれども旅客運賃と、それから貨物運賃と、値上げ総額に対してそれぞれ何パーセントを見積っておられるか、それを聞かしていただきたい。
  4. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 両方とも、収入において、平均いたしまして一割三分、一三%上げるようにしております。
  5. 岡本隆一

    岡本分科員 それでは、従来の運賃に対する値上げ率はそれぞれ何パーセントになりますか。
  6. 權田良彦

    權田政委員 実は、ただいま日本国有鉄道運賃法改正法案賃率の問題を研究いたしておりまして、運輸省原案はすでにできておりますが、なお関係方面と折衝いたしております。旅客は、御承知通りに、基本の三等運賃賃率は、それぞれの各地帯に対しまして大体一三%くらいの値上げでありまして、貨物につきましては、賃率が非常に複雑でございますけれども、おおむね平均増収額が二二%になるように若干の制度改正を織り込んで案を作っております。
  7. 岡本隆一

    岡本分科員 それでは、旅客運賃の中でバス鉄道——汽車と申しますか、それは同じようにやはり同比率においての値上げ考えておられますか、あるいはその中に多少差異があるのですか。
  8. 權田良彦

    權田政委員 鉄道賃率につきましてはただいま申し上げたような概略でございまして、なお、その間、定期運賃その他学生運賃等については、なるたけこれを低く押えるように今考究中でございます。バス運賃については自動車局長からお答えした方が適当かと思いますが、私の方は、省営自動車運賃については普通のバス運賃のようにやっております。
  9. 山内公猷

    山内政府委員 バス運賃につきましては、国鉄の全体的な運賃と切り離しまして、民営がおもでございますので、ケース・バイ・ケースにずっとやってきております。その場合に、バスにつきましては全国一斉の改訂をやっておりませんで、これは法律でも申請があればこれを審査しなければならない義務を負っておりますので、継続的にやっておりますが、大体現在の情勢におきましては、バスにおきましても昭和二十六年に改正をいたしましただけでございます。自後人件費あるいは物件費値上げ等がございまして逐次改訂をいたしておりまして、最近におきまして改訂をいたしましたのは愛媛県、秋田県等数県でございますが、相当の県が出ております。改訂の方針といたしましては、大体、バス事業というようなものの性格から言いまして、同一経済圏におきまするものは大体同一にしなければならないという原則に基きまして、特殊の会社におきましては一部その中でも高いのがありますが、大体において同一賃率運賃率値上げをしております。  それで、実は、バスにつきましては、従前物価庁がその運賃をやっておりまして、制度的にも精密さを欠いておったきらいもありますので、バス運賃改訂とともに制度的な適正化というものもはかっておりまして、従来二円六十銭、三円、三円三十銭という三段階制運賃率を持っておったのでありますが、今回は七段階くらいにふやしまして、それで大体一割五分程度運賃率値上げになります。三円の賃率が従来におきましては基本的なものでございましたけれども、それが三円四十五銭になりました。しかし、実質的に計算いたしますと、たとえばキロ程につきまして、従前は一・一キロという場合には二キロ計算するというふうに物価庁計算をやっておりましたが、今度は一・一キロは一・一キロと正確に計算をいたしますとともに、従前最低運賃が十円でございますので子供も十円でございましたが、子供はやはり社会環境によりまして五円にするというような値下げの分も相当ございますので、一割ちょっと上程度値上げになるようになっております。  それで、国鉄バスにおきましても、一つの路線で運賃が違いますということは、やはり同じ交通機関の間に不当な競争が起りますので、民間にさや寄せをいたしまして、大体同じ運賃率をとっておる次第でございます。
  10. 岡本隆一

    岡本分科員 通学及び通勤定期運賃、これはあまり上げないように努力したい、こういうふうな御意向のように承わりましたが、現在立てておられるところの案では、現在の運賃に対する平均どれくらいの値上げにされるつもりですか。
  11. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。御承知のように、現在定期割引は、通勤最高割引率が八割三分三厘、通学で九割八厘でございます。今回、先ほど申し上げましたように、基本賃率は三等が今まで二円十銭でございましたのを約一三%値上げをいたしまして端数整理をいたしますと、二円四十銭に相なります。この二円四十銭で計算いたしまして、通学については、現在の最高割引率を据え置きますと、大体距離によって違いますが、十キロくらいの地帯のところでは一割一分ないし一割二分程度値上げ実額にいたしますと一月で二十円ないし三十円の値上げでございます。それから、二十キロ地帯で大体一割一分、一割二分、一割三分くらいの値上げ実額にいたしまして一ヵ月四十円、五十円というのもございますが、四、五十円の値上り。それから、遠い方で二十一キロ以上、これは通学では、御利用なさる方の全体の四分の一くらいしか数がございません。しかし値上げ率が一割一分、一割二分くらいの値上げ実額にいたしまして月額約四十円、五十円、六十円というのもございます。平均いたしますと大体値上率といたしましては一割一分から一割二分前後、実額にして四十三円五十銭くらいに相なると思います。その程度値上げでとどめたいと思っております。それから、通勤につきましては、現行割引率最高の、先ほど申し上げました八割三分三厘を八割で押えてみたい。要するに、普通運賃の二割だけはお客の方で支払うようにしていただきたい。こういう原案でございますると、大体、これまた距離別に違いますが、十キロ地帯程度でございますると、一割二分前後の値上り実額にいたしまして三十円から六十円ぐらいまでの値上り、二十キロ地帯では大体一割二分から一割三分、一割三分をちょっとこすものもありますが、大体七十円から九十円ぐらいまでの値上り、遠距離の二十一キロ以上になりますと、率は二割を越しますが、実額は、一番遠いようなところでも三百九十円、あるいは二十一キロぐらいでございますと百七十円ぐらい、これくらいの値上りになります。これは、普通運賃と比較いたしますと、普通運賃の約六日分ないし七日分、こういう程度に押え得るかと存じております。
  12. 岡本隆一

    岡本分科員 さらに、貨物運賃のことでございますけれども、いろいろ等級があるように聞いておりますが、その等級によって、原価計算原価を割るものと上回るものとがそれぞれの貨物種類によってあるように聞いておりますが、原価を割るものはどういうふうな種類のものですか。
  13. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。実は貨物では御指摘のように賃率等級と両建てで運賃計算することになっておりますが、今回私どもが計画いたしております運賃改訂では、賃率の方に触れておりまして、等級の方は大体現行のままで参るつもりでおります。等級は、御承知通りに、二十八年に各方面権威者にお集まり願いまして、根本的な等級改正をいたしております。従いまして、その等級制度は今回は手をつけない。ただし、二十八年以降今日に至るまで、若干の品目につきまして、何と申しますか、世間には一般的でないようなものが今技術の進歩で出て参っておりますので、そういうものの等級については、その後の検討の結果若干のいじりはいたしておりますけれども、根本的には今回等級には触れておりません。従いまして、先ほど申し上げましたように、賃率としておおむね増収が一三%ということになっておりまして、等級関係にはそういう二十八年以降のやむを得ざる事情の手直ししかいたしておりません。
  14. 岡本隆一

    岡本分科員 どういう種類のものが従来原価を割っておるかということを……。
  15. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。御案内のように、現在では鉄道運賃、特に貨物についても全体的な赤でございますから、等級から申し上げますと、等級賃率の低い適用をさせる低級貨物については、原則として国鉄計算をいたしますと赤の部分が多い、こういうことになります。
  16. 岡本隆一

    岡本分科員 私がお伺いいたしておりますのは、大体採算のとれるものを一〇〇と見て、そしてそれ以下の指数になるものはどういう商品の品目かということを承わっておるのです。それで、できましたら、それと一緒に、たとえばセメントは何級で、そしてトン当り運賃は大体幾らか、鉄鋼は幾らか、あるいは石炭木材砂糖、そういうふうな品目についての等級と、そのトン当り運賃とを聞かしていただきたい。
  17. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。  前段の、大体特別等級と申しまして、生活必需物資、これは大体赤の多く出るものでございます。  なお、御指摘価格トン当り運賃でございますが、セメントにつきましては——大体今回の改訂案で申し上げました方がよろしゅうございますか、それとも現在の制度で……。
  18. 岡本隆一

    岡本分科員 同じことになるでしょう。
  19. 權田良彦

    權田政委員 じゃ改訂案の方で申し上げます。今回一三%値上げいたしまして、改訂単価で申し上げますと、貨車の一トン当り運賃は、セメントでは五百十三円、一トン当り価格は七千五百円でございます。それから、今申し上げておりますのは、平均輸送距離を一一〇キロという大体戦前並み距離で申し上げております。これを一七二・八キロ輸送キロが伸びております実情からみますと、トン当り六百四十九円くらいになります。
  20. 岡本隆一

    岡本分科員 ややこしいですから、どちらか一つで言って下さい。戦前の百十キロでけっこうですから……。
  21. 權田良彦

    權田政委員 それから、砂糖でございますが、砂糖につきましては、大体トン当り価格が十二万二千四十四円、それに対しまして、改訂いたします運賃が七百七十九円、これは輸送距離が一九六キロ戦前並み輸送距離であります。
  22. 岡本隆一

    岡本分科員 統一距離で比較できるように言うていただかぬと、わかりにくいですね。
  23. 權田良彦

    權田政委員 これは、実際その貨物日本で送られております平均輸送距離というものがございます。これで申し上げませんと、価格に対して占める運賃の割合は正確に出て参りません。たとえば、砂糖の送られる距離セメントの送られる距離と魚の送られる距離は、それぞれ違うのでありまして、そのものの持っております平均輸送距離で申し上げませんと、価格との関係が出て参らない。  石炭は、大体トン当り価格が六千百六十五円、トン当り運賃は、輸送距離が一七・四キロ、三百七十九円でございます。鉄鋼は、普通銅鋼材で申し上げますと、トン当り価格が四万四千七百二十二円、平均輸送距離二五四キロと見ますと、運賃は八百六十三円。  いずれもこの運賃は今回値上げする運賃でございます。値上げされたあとの運賃で申し上げております。
  24. 岡本隆一

    岡本分科員 そういうふうなお答えをされると、しろうとにはわかりにくいのであります。私らが運賃計算すると、一定距離一定重量のものを運ぶのに大体どれくらいという単価がやはりあると思うのです。その単価を比較していかなければ、各貨物の優遇されている状態がわからない。私はそれをお伺いしているのです。その等級々々によってどの品種のものはどういうふうに優遇されており、どれだけ鉄道の現在の赤字影響があるかということを承わりたいと思っているのです。
  25. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。そういう御質問でございますと、これは等級表を持って参りませんでしたが、等級表ごらんになりますと一目瞭然でございまして、大体七級が普通でございますから、それより高くなっているものは高い運賃をとっているし、それより低いものはうんと優遇している、こういうことに相なります。
  26. 岡本隆一

    岡本分科員 等級表を見ますと、六級と五級の間が一〇〇になっておりますね。だから、つまり六級のものは少し赤字、それから五級のものは少し黒というふうに従来の運賃ではなっているように思うのであります。そうしますと、セメントは何級か、今伺いました各品目について何は何級だということを一つ教えていただきたいと思います。
  27. 權田良彦

    權田政委員 セメントは六級でございます。それから普通鋼鋼材は五級でございます。それから砂糖は四級でございます。石炭は七級でございます。それから、木材はものによって違いますが、原木が七級、製材が六級でございます。
  28. 岡本隆一

    岡本分科員 なるほど、セメントとか石炭とかいうものは産業基礎材料でございますから、考え方によればこういうものの運賃が高ければそれだけ物価も高くなるというふうなことも考慮されているのかもしれませんが、しかしながら、やはりそれぞれの企業体自分のところで使う原材料に対して、運賃というものは原価計算の中に当然入っております。従って、そういうふうなものを使って今度は品物を作ってそれを売る場合に、それに伴う利潤を計上しておると思うのです。ところで、こういうふうな大資本が使うところの資材に対してはすべての運賃が非常に割引されて、鉄道運賃の上で赤字になっておるということ、このことはやはり大資本企業利潤鉄道赤字の上に出てきておるということが私は言えると思うのですが、そういう点についてはどういう御見解を持っておられましょうか。
  29. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。今等級でお答え申し上げましたように、そういうものについては六級なり七級なり五級になっております。一方、生活必需物資の方はうんと特別等級になっておりまして、従いまして、御指摘の点は逆なように私どもは了解しております。
  30. 岡本隆一

    岡本分科員 米、麦、野菜なんかが安くなっておるということは、これはある程度大衆生活に密着しておりますから、私どももうなずけると思うのです。ところが、このごろいわゆる三日景気と言われたり、造船ブームと言われたりして、鉄鋼会社や何かが非常に大きな利潤を上げて、株主配当をだんだんふやしつつある傾向があるわけです。従って株も神武以来の大きな値上りを見せておると言われておるのであります。そういうふうな時期に、やはりそういう非常に好況に恵まれておる産業に対して、鉄道がその材料とするところの品物運賃に対してそのような赤字サービスをすべきかどうかということについては、私は、やはりそういうふうな会社は、自分の方の利益配当を少くしても、運賃としては原価を割らない——割らないどころか、むしろ多少のものはある程度黒字を約束するような運賃を当然払うべきであるし、また国鉄としてもそれを要求し得ると思うのですが、それについてどういうふうなお考えを持っておりましょうか。
  31. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。等級は、先ほど申し上げましたように、二十八年に根本的改正をいたしまして、これは各界の権威者をわずらわしまして、御指摘のような点を十分考慮の上、等級上の配列をいたしております。今先生がごらんになっております等級指数は、原価との指数ではございません。この一〇〇と申しますのは等級上の指数でございまして、この七というところに九五という数字が多分出ておると思いますが、ここらが原価と見合ったものでございまして、これは原価に対する九五ではございません。等級指数上の一〇〇から九五になっておるだけでございます。従って、先ほどお答え申し上げましたように、七級というものは原価と見合っておりますから、六級、五級というものは原価以上の黒字になっております。一方、二十一級、二十二級、二十三級というような特別賃率があります。これらのものはおおむね国民生活必需物資でありまして、これらにつきましては赤字負担せしめて、公共政策的な等級の立て方にしてある、こういうことであります。
  32. 岡本隆一

    岡本分科員 今度の運賃値上げの中にやはり問題になってくるのは、通勤定期及び通学定期値上げが一番大衆のふところに響いてくると私は思うのです。それで、距離が短かければ実額何ぼにもならないではないかというふうなお考えをあるいはお持ちかもしれません。先ほどの御説明のように、十キロであれば二、三十円、二十キロであれば四、五十円。通勤する人としてはこの程度距離が多い。しかしながら、そういうふうな距離の人は、一家族の中で三人四人が通勤通学しているというふうな家庭はたくさんあると思います。それを合計いたしまして年額に直しますと、やはり相当な金額になって参ります。従って、私はこういうふうな運賃はできるだけ値上り率を押えて、そして今度は好況に恵まれておるところの大事業が支払うところの運賃において——この貨物運賃値上げはやはり膨大な金額になると思うのです。従って、そういうふうな貨物運賃の中において大資本が上げる利潤の幾分をさいて勤労者生活の重荷になるのを取るような、そういうふうな御配慮をこれからの運賃——これはもうすでにおきめになったかもしれませんが、しかしながら、あるいは組み直してでもいただいて、そういうふうな御配慮を願いたいと思うのですが、どうでしょう。
  33. 權田良彦

    權田政委員 先ほど御説明申し上げましたように、旅客運賃におきましては大体全体として一三%の増収になるように賃率を組んでおりますが、その中でも通勤通学につきましては、いろいろ社会政策的な面も加味いたしまして、この値上げはなかなか影響もあることでありますから、そういう点も考えましてあの程度にとどめたのでございます。  それから、貨物運賃につきましては、等級上の配慮がすでにしてございまするので、各貨物負担構成度合いに応じて、いろいろな産業政策その他ともからみ合せてこれを盛ったのでございます。  それで、私どもはただ、国鉄はこの結果、これによりまして得たる資金で十分なサービスをする、これをあげて輸送力の拡充に向けまして、車両の増備なりあるいは線路の増設なりをいたしまして輸送力をつけさして、それで国民の皆様にサービスをさせたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 岡本隆一

    岡本分科員 そこで、通学運賃の問題でありますが、ごく山間僻地の方へ参りますと、中学校生徒バスで相当通っておるところが多いと思います。従来でありますと義務教育の小学校は各村々にありましたが、中学校組合立になっています。従って、組合立になっております関係上、今度はその地域のどこに置くかということが問題になってくるわけであります。それで、自分のところに置いてもらった村や部落の人は非常に通学に便利であるが、遠いところのものは非常に不便になる。勢いバスで通わなければならない。そうすると、そのバス料金がそれだけ負担になるわけでありますから、設置場所が取り合いになるわけであります。そこで、その問題を緩和するために、それじゃ一つ村でバス運賃を持とう、こういうふうなことになって、中学生の通学バス料金を乏しい村の財政負担しているところがあります。ところが、今度バス料金が上りますと、これが村の財政に非常に響くのです。私の方へ言うて参ております例でも、今まで村が年額二百万円払っておった、ところが、これが値上りになると村の財政に非常に響く、——大体中学校生徒は大人の料金のようであります。小学生だと比較的安くて済んでいる。中学はおとなの料金。しかもそれが値上りになってくると、相当これは負担にたえかねる。従って、これの値上りをストップするか、あるいは義務教育通学定期小人並みにしてもらえないだろうか、こういうことを言ってきておりますが、これは都会周辺通勤通学の問題と同じで、山間僻地の非常に乏しい暮らしをしている人たちにはより一そう大きな問題だと思うのですけれども、そういうようなお取り計らいが願えますでしょうか。
  35. 山内公猷

    山内政府委員 バスにおきます運賃につきましては、先ほど御説明した通りでございますが、御承知通りバス公共事業でございますので、そういうところで公益的な運賃配慮をいたしております。主として地方におきましてはできるだけそういう定期運賃割引率を高めております。都会地におきますものよりも、実際上地方におけるバス定期割引率は高くなっておるわけであります。と申しますのは、都会地におきましては、大体国鉄、電車というものが利用できますが、地方におきますと、バスだけが交通機関になるということでございまして、できるだけバス割引率は高いように勧奨をいたしております。しかし、これは、民営企業の場合におきましては、結局トータルの収入が、一応適正利潤を見ました、会社が経営できるというものに考えなければなりませんので、具体的な例を申しますと、ある市におきますところの通勤定期割引率が非常に高くほかよりも出ておりますと、同じ地帯におきましてもそのことのために今度は一般の運賃の額が高くなるという、どちらかに割り込んでくる格好になっておりますので、その辺、一般の運賃を高めて定期を安くしたらいいのか、あるいは定期もほどほどにとどめて一般の人の料金を上げることを押えたらいいのかということは一つの政策になるわけでございまして、ただいまのような問題におきましても、幾分それはどうしても上らざるを得ない、運賃値上げに伴うものだろうと思いますが、できるだけそういう状態を会社とも個々の場合に打ち合せまして、事情を聞いて善処いたしたい、かように考えております。
  36. 岡本隆一

    岡本分科員 私が申しておりますのは、その路線は会社バスではなくて国鉄バスなんです。それで、別にどことも御相談願わなくとも、国鉄自体においてきめていただけると思うのですが、少くとも義努教育の通学バス定期は中学生も小学生も同額にするようなことはできないですか。
  37. 權田良彦

    權田政委員 国鉄バスにつきましては、先ほど自動車局長からお答えいたしました通り、その地区その地区の民間バスとの調整、振り合いを考えまして、大体民間バス並みの賃率と同じような扱い制度というふうにいたしておりますので、国鉄バス限りで他の民間バスにない扱いをするということは、今のところはいたしておらないのでございます。民間バスと調整いたしまして、自動車局長が今お答えしましたように私ども考えておるのでございます。
  38. 岡本隆一

    岡本分科員 今しておられないのは知っているのです。だから、していただきたい、こう申しておるのです。それから、国鉄バスが民間バスに右へならへしなければならないという理由は私はないと思うのです。少くとも国鉄バスと民間バスとが二本通っているところは相当利用度の高いところなんです。従って、そういうところは、民間バスにもある程度の収益があればこそ国鉄バスが通るのです。かりに民間バスが先に通っておったところを国鉄バスが通るとすれば、民間バスでははけ切れないからなんです。また国鉄バスが通っておったところを民間バスが通るとすれば、国鉄バスだけでははけ切れないから、それ以上利潤があるという考え方の上に立って民間バスが入ってくるのです。そういうところで国鉄バスが民間バスに右へならえしなければならないという理由は、どこにもない。そこの住民にできるだけ低料金サービスするというのが国鉄の精神であると思うのですが、それはどうなんです。
  39. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。国鉄バス限りにおいてその地区だけそういう制度をとるということは、他へ波及する影響がきわめて甚大でございますので、小児割引制度によって扱うわけには参らないものと存じております。
  40. 岡本隆一

    岡本分科員 小児割引、大人割引などの問題ではないと思うのです。これは義務教育の問題です。あなたの方はいろいろな産業に対してサービスしていられます。先ほど承わったように、セメントであるとか砂糖であるとか——砂糖なんかは四等級ですから、これは何としても赤字なんです。三日景気などと言われて、砂糖はものすごく問題を起した。特別な利益があるからそれを吐き出させようという砂糖法案を政府が出すほど大きな利潤を上げた砂糖なんです。その砂糖運賃割引していられる。にもかかわらず、義務教育で毎日通学する子供に対してどうして割引ができないかという理由が私たちにはのみ込めないのです。ことに、このごろは町村合併で村や町が大きくなっておりますので、相当遠距離から組合立——今はもう町村合併をしましたから組合立というのはだんだん減っていると思うのです。従って、同じ村で同じように町村税を負担しながら遠いところへ通わなければならない者には不公平だ。だから、貧弱な地方財政通学の経費を持っておる。そういうものに対して特殊なはからいができないというのは、バス会社へのサービス考えておられるからだと私はひがむのですが、どうでしょうか。一つ大臣のお答えを承わりたいと思います。
  41. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 実はそういう話は初めて伺ったような次第ですが、御趣旨の点、義務教育の点とか何とかいろいろ重大だと思いますから、よく打ち合せてみます。
  42. 岡本隆一

    岡本分科員 打ち合せようというような御意見を聞いているのではないのです。これは全国的な僻地教育の問題です。しかも山間僻地の人は乏しい暮しをているのです。都会の人のようなけっこうな暮しをしていない。みんな林業だとかいろいろなことで苦しい生活をしている。段々畑を耕して苦労な生活をしている。そういう僻地の人の生活の問題である。だから、私の今申し上げたことに対して、あなたとして賛成か反対か、そういうことを実現したいと思うか思わないかを承わりたいと思います。
  43. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 国鉄バスと私鉄バス全体のことにも関係します。今お話のことは、できればしたいと思うのは当然であります。できる実情にあるかないかよく調べて、できればそういう方向に行きたい。けれども、この影響がどこまであるかということも考えなければなりませんので……。
  44. 岡本隆一

    岡本分科員 できればしたいというお答えを承わりまして、三分の一ほど満足をいたしました。しかしながら、そういうふうなことでなしに、一つぜひやりたい、こういうふうにおっしゃっていただくと、三分の二になるわけです。でき上ったらば百パーセントということになるわけですが。金額国鉄全体の経済の問題としてそんなに大きなものではないと思うのです。  もう一つ民間バスのことでお伺いいたしたい。私の近くに人口八千ほどの村があります。ところが、そこに一つだけ谷の奥になっている。従って、鉄道に出るのにどうしてもバスを利用しなければならぬ。京都府の綴喜郡の宇治田原というところです。ところが、バスは一会社だけ許可されている。そうして村営バスを村が計画しても許可にならない。しかも、そのバス会社は、もう営利追求主義というか、ものすごうサービスが悪い。そうして満員満員なんです。車体もひどいのです。夜は七時よりもうないのです。電車まで二十分くらいで出られるところでありますから、そこからたくさんの人が通勤しているのです。京都、大阪へ通勤しており、帰りにちょっと用足ししていると七時過ぎるのです。そうすると、バスがないから歩かなければならぬ。従って、村の方では不自由なものだから、何べんも村営バスの計画を立てている。運輸省の方へ何とかしてもらいたいと言うてきていると思うのです。御承知でしょう。ところが、どうしても実現できない。こんなのはどこに理由があるのか、私はわからないのです。一つその点自動車局長のお考えを承わりたいと思います。
  45. 山内公猷

    山内政府委員 具体的な実情を私よく承知しておりませんが、その申請は私の時代ではないのではないかと思います。村営バスとか、全国的にそういう問題が相当出ております。これにつきましては、まずそういう必要性があるかどうか、あるいは需要に対してそういう必要があるかないかとか、いろいろ法律の基準に基きまして審査をいたしておるわけであります。ただ、小さい村のような場合におきましては、その企業を始めましても十分やっていけないことが多いわけでありまして、ただいまのようなことが事実であるといたしますならば、運輸省といたしましては、そのサービスを十分やらせるように監督と指導をしていくつもりでございます。また、バスが夜早く終ってしまうということにつきましては私も耳にしております。たとえば、東京都内におきましても、大体九時半、十時、おそくても十時半くらいには終車が出てしまうので、もう少し長くしてやるようにいたしております。これには、労働基準法で、十時以降には女子の車掌が乗れないという問題がございますので、私といたしましては、男子を乗せてでもその勤務時間を延長すべきであるというふうなことを今進めておりまして、漸次そういうようにバスの運行時間を長くするという方向にいたしておりますが、あるいはまだ地方におきまして十分徹底しないところがありましたならば、さらにそういう点を徹底させるように配慮いたしたいと思います。
  46. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 今のお話のような個々の点はごもっともですから、十分具体的な問題として考えていきたいと思います。  もう一つ、十時以降女子の従業員を乗せられないという問題も、私もちょいちょい聞いております。実は、内部において、十時以降のバスはもう一人男の車掌を乗せると非常に費用がかかる、外国あたりでは運転手一人でやっておるのですから、そういうことを考慮してやらせていきたいということを実は考えて、何とか相談してやろうと思っております。個々のそういう問題につきましては、なかなかいろいろな手続を経て参りますので、実情がすぐ私ども通りませんが、お話を承わって、実際問題として善処したいと思っております。
  47. 岡本隆一

    岡本分科員 大体趣旨は了解していただけたと思うのであります。しかしながら、なお一言つけ加えて質問を終らせていただこうと思うのですが、ただいま私が申し上げた例は、十時じゃないのです。七時に終ってしまう。そのようなことをしておる。バス交通機関は、ラッシュ・アワーにはたくさんの乗客で大きなプラスになるでしょう。しかしながら、閑散期には乗客がうんと少くても、からででも走らなければならないのは、これはやむを得ないのです。ところが、比較的乗客の乗るときだけ運行して、乗客の少いときは全然なくしてしまうというふうな運営の仕方は、その土地の人の福祉を何ら考えておらない。とにかく京都へ一時間あまりで出られる土地なんです。従って、そこからたくさんの人が通っているにもかかわらず、七時にバスの発着点に着かなければ、言う家へ帰れない。そうなれば、二里、三里ほどの道を歩かなければならぬ。それが三年や五年ではない。ずっと昔から今日まで平然として続いておる。だからこそ村の人たちが何べんも村営バスの何を申請しておる。ところが、あなたの御意見でありますと、そんなものをやらしてもうまいこといくかいかぬかわかりゃしないというような御説でございます。しかしながら、そこへ村営で競争線を出せば、どんどんそれがサービスをするのです。競争線を作って一旦料金を下げさせたら、長い目から見ればうんとプラスになる。だから、村営が三月で赤字になってつぶれてもいいのであります。結局そのことによってそのバス会社サービスするようになれば、村としてはプラスなのです。だから、一度あなたの方からその会社へ忠告してもらいたい。そうして、言うことを聞かなければ、村営のバスを許可してもらいたい。そうしたら下げる。だから、そこまでのことを運輸省が責任を持ってやっていただかないことには、住民の福祉は考えられないと思う。  では私の質問は終ります。
  48. 山内公猷

    山内政府委員 つけ加えて御説明申し上げておきますが、実は、先ほど運賃の点に関して御説明いたしたわけでございますが、従来運賃改正いたします場合に、全国一斉に短期間でやりますために、その精査の期間がなくて、同一運賃を一斉に適用したわけでございます。御承知通りバスは三百数十社ございまして、国鉄運賃あるいは大きな私鉄の運賃と違って、個々の会社がございますので、最近ケース・バイ・ケースで一社別にやりまして、相当前から手がけまして、まだほとんど全部の会社運賃の改定ができないでいるわけで、ただいま御指摘のありましたような点も逐一この機会に洗って、どういう工合になっているか、あるいはキロは正確に行われておるかということを、会社自体に責任を負わせて十分資料を出させて審査いたしておりますので、非常に時間がかかっておるわけでございます。われわれといたしましては、平常時の運賃制度に移りますので、その際に、ただいまおっしゃいましたようなサービスの点において欠ける点がないかということも、個々のダイヤを調べると出て参ります。その都度今注意をしておりますし、会社においても、今走らせている路線のキロが明治何年以来これは何キロであるというふうに取り扱っておるところも多いので、再審査をやらしておる段階であります。できるだけ公益事業として欠けることのないように、この機会にはっきりしたものにさせたいということでやっておりますので、御注意を受けましたことは、また別の場所でも伺いまして御要望に沿うようなサービスをさせるように努力いたしたいと思います。
  49. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 上林山君。
  50. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 運賃値上げは、国鉄が徹底した経営の合理化を前提としてやるのだということと、輸送力を増強するという点から、われわれはこの程度値上げはやむを得ないと思う。しかし、これからあまりにひどい影響を受ける方面が二つばかりある。その一つは、先ほど岡本委員からも御指摘になったように、通学に対する割引料はもう少しくらいは温情をたれてやってもらわなければならぬということが一点、もう一点は、私はこの点に重点を置いてお尋ねいたしたいのですが、北海道、九州あるいは四国、この方面の遠距離にある貨物輸送の問題でございます。聞くところによりますと、あなた方の方では遠距離逓減の方式を今回改めるお考えを持っておられるようでありますが、私は、それこそ角をため牛を殺す結果になりかねない、こういうように考えるのです。ことに、一割三分の値上げだと言っておるが、一割三分の値上げが実際は三割くらいの値上げ木材種類によってはなっている。これは法律ではないのであるから、運輸当局で手心を加えて、この際改正をする必要があると思えばできると思うのだが、この辺をもう一ぺん再確認をいたしておきたい。こういうわけでお尋ねするわけです。
  51. 權田良彦

    權田政委員 御指摘のように、ただいま運輸省の原案として持っておる貨物賃率改訂には、遠距離逓減率の修正を考慮いたしております。それは、すでに御承知通り戦前においては国鉄は三百五十キロまで遠距離逓減をして、あとは同じ賃率でいった。それを戦争中に海上の貨物を陸上に転換せしめるために八百キロまで延ばして遠距離逓減をしておる。これが現行制度でございます。それを、今回私どもは、三百五十キロまでに戻りはいたしませんが、五百キロまでにいたしたい。と申しますのは、海陸のいろいろな運賃調整をも考慮いたしますときに、戦前船の運賃の方が鉄道運賃より諸掛りを入れて安かったのでありますが、最近ではとんとんあるいは倍以上にもなるものも出て参っておる。内航海運と陸上長距離貨物との調整をはかるために、ここにある程度合理的に近いものに一歩前進いたしたいと考えて、さようにいたしたわけです。この結果、賃率をいろいろ計算いたしますと、今御指摘のように、北海道、九州、四国の遠距離のものについては値上率が一三%より高くなるものが出て参ります。ただ、お示しになりましたような三割幾らというのは出て参りません。これは、一時一割八分値上げの申請案がございまして、そのときに同時にいろいろな公共政策割引をこの際ある程度廃止をいたしたいという国鉄申請原案によりますと、さような高率なものが出て参りますが、その後一割三分に政府としても最終決定をいたしまして、さらに公共政策割引をいろいろ存続いたすことにいたしましたために、一割八分、九分程度のものが出て参ります。なお二割三分、二割七分というようなものがごく例外に残るかもしれませんが、かようなものにつきましては、そういうものが産業構造なりその地方の荷主あるいは経済に与える影響が多いものにつきましては、私どもはこれをさらに特別な公共割引制度においてさような値上りは調整いたしたい、かように考えておる次第でありまして、遠距離逓減の修正は、ただいま御説明いたしましたようなことによって若干修正いたしますけれども、現実の貨物負担いたします賃率につきましては、これは法律事項でございませんので、特段の割引制度を活用いたしたい。この点については、各物資別の具体的な問題につきまして目下農林省とも調整中でございまして、大体めどがつくものと私は了解いたしておるのであります。
  52. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 ある程度の手心を加える用意を持っておるということについては私も一応了承いたしますが、しかし、私が三割くらい上るものもあると言ったのに対しまして、一割八分くらいから、二割二、三分くらいまで上るものがあるということをお認めになったわけでございますが、これは、ことに長崎あるいは鹿児島、宮崎・熊本、こうしたような南九州方面は非常に影響を受けておるわけなのであります。ことに南九州地方は経済的にも非常に悪い地域です。そういうような関係から考えまして、私はあなた方が八百キロのものを五百キロに修正されて、このままで何ら積極的な手心をお加えにならないものとするならば、これは、同志諸君に働きかけまして政治的配慮を加えよう、私どもは実際これくらい熱心に考えておるところです。これは与党、野党を問わず、おそらくこの問題については熱心に考えておられるものと私は信じております。だから、こういう意味において、今あなたが公益関係あるいは物資の種類については一割三分と同等程度にこれを是正するというお話であれば、これは私は、その具体案を後刻お示し下さいまして、それに協力をするにやぶさかでございませんが、しかし、ほかのものが一割三分であるのに、一割八分ないしは二割以上ということは、あまりにもでこぼこがひどい。この点については大臣に一つ、事務当局もあんなに言っておられるのですが、しっかりしたお答えが願えれば幸いだと思います。
  53. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 遠距離逓減の問題はなかなかめんどうな問題になっております。しかし、今度の値上げの精神もくんでいただかなければならぬ点もあります。同時に、北海道、九州等に別個に貨物定期航路というようなものを設けて、もっと安く運ぶようなことも考えて、鉄道ばかりに依存させないで——これは御承知通り、今の八百キロというのは、軍が国内船を全部動員するために鉄道に荷物をまかせることから、軍の指図でやった。戦前は三百五十キロであったものが一ぺんに八百キロにしたというようなことの無理が生じてきて、御承知のように今日北海道から材木を積んで九州まで持っていくというようなことをしている。とても船では倍以上もかかるようなものを鉄道に背負わせる。こういう点を一ぺんにどうこうするというわけには、経済的に激変があっていきませんけれども、それらに対する幾らかの歩み寄りは両方からやっていただくようにしなければうまくいかないのではないか、こう思います。
  54. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 ただいまの大臣の答弁は含みもあるようでございますけれども、事務当局の話とは相当隔たりがあるようにも、聞きようによっては聞けるわけですが、一割三分の値上げ、これはやむを得ない。もちろんわれわれは協力にやぶさかでないわけです。しかし、今申しましたように、歩み寄りと申しましても、二割以上のものがある、あるいは一割八分以上のものも相当ある、こういうことになりますと、一割三分か一割四分ぐらいになるのなら、これは万やむを得ないというように私ども考えるけれども、あまりにも懸隔があるようでございますから、これ以上私は時間の関係もあってお尋ねをいたしませんが、どうぞ一つ積極的にこの点をお考え下さいまして、なるほど歩み寄りはけっこうでございますが、あまりに隔たりが大きいのであるから、それをうんと縮めてもらうという意図のもとに一つ御提案をいただくように特にお願いを申し上げまして、私は質問を終りたいと思います。
  55. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 井岡大治君。
  56. 井岡大治

    井岡分科員 大臣に外航船舶建造利子補給についてお尋ねいたしたいと思います。  昨年は三十一億の利子補給を計上いたしておるわけでありますが、第十三次造船については利子補給を行わない、こういうふうに明確にいたしております。第十二次造船以前の利子補給についても辞退を期待して計上しなかった、こういうように説明がなされておるわけであります。もし辞退をしないという場合はどういう御処置をとられるのか、この点をまずお聞きしたい。
  57. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 辞退をしてもらうようにいろいろしておりますが、どうしてもしないと言いますれば、これは法律の関係でやむを得なくなる。辞退をどうしてもなさらないというなら、しょうがないから、補正予算であとから出すというよりほかないと思います。
  58. 井岡大治

    井岡分科員 簡単に大臣は、補正予算だ、こういうようにお話しになっているわけですが、利子補給の問題のいきさつ等について必ずしも理解のできないものもたくさんあります。しかしながら、いわゆる海運事業というものがわが国にとってどういう影響を持つか、どれだけ大事なものであるかということについては、われわれ申すまでもないわけであります。そういう立場から、戦前においても定期船には政府はかなりの補助金を出しておったわけであります。こういう立場から利子補給の問題が出てきたのではないかと思うわけでありまして、辞退をしなければ補正予算等を組むのだ、こういうようなことでございましたならば、なぜ初めからこれに対して組んでおかなかったか、そして逆に辞退をしてもらうように努力をするということが順序ではなかろうかと私は思うのですが、この点はどうなのですか。
  59. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 一応ごもっともな理屈にもなるわけでございますが、これは、お話の通り、利子補給は、日本の一般の市中金利が高い、そして日本の造船が非常におくれておって対外競争力もないという点から、御承知通りやったんですが、今日は海運界は相当に活況を呈しまして、利子補給もわれわれとしてはやはり契約で義務ですし、これをただこっちで一方的に打ち切るわけにいきませんから、いろいろ考えたんですが、それよりもまだ造船資金の方の安いものをよけい供給してやるということは、一面において利子補給と同じようなことになるわけですから、安い利子の資金を先によけい回してやるというのですから、そういうような点もあり、その方にできるだけ積極的に努力していこう、政府の方も積極的な気持でやる、海運業者も利子補給にこだわらないで、配当のできない会社もあるのですが、配当のできない会社はごく大きな有力な会社だけで、こまかいところはだんだん全部配当ができるようになりましたから、そこで、安い資金をよけい回してやって、それによって造船界を強力にしていく。私は、利子補給は一応やめましたけれども、もちろんこれはまたやらなければならない事情が出てくればやりますが、それよりも、今あなたのお話しの戦前におけるような海運界に対する助成策というものをあらためて検討してみなければいけないと思う。これは列国の助成策ともにらみ合せて、そうして企業の成り立つ最低の範囲において、日本戦前におけるような海運の立場を築いていくためには定期航路その他に関してもある程度考えをしていかなければならぬ、こういうようなことをあらためて考えていきたい。こういう点から、大局的に見て、利子の補給はお気の毒ではあるけれども、一応みんな配当ができるようになったのですから、配当のできるような会社には遠慮してもらう。配当のできない会社は大きな会社だけですから、それも海運界の大きな発展、前進という見地から一つ辞退をしてもらいたい。辞退の方はだんだん話が進んでおりまして、今あなたのおっしゃる通り、おれは辞退しないのだということは実際問題としてないようにしたい。どうしてもいけないというときには何ですが、どうしてもいけないというときのために、あらかじめ予算を計上しておくというだけの必要もないので、これはこれでいけるという考えから予算にも計上しなかった、こういう次第であります。
  60. 井岡大治

    井岡分科員 大臣は非常に巧妙な答弁をされておるわけです。利子補給というものの性格から考えて、そういうものに依存しないように安い利子を融資するように努力をする、こういうように考えている、これがまず第一点。従って、利子補給というものをしないのだという建前をとる、こういうお話がまず前提に貫かれている。そうするならば、辞退をしないものというような表現でなくて、第十三次造船のように行わない、こういうようにきめて、そのかわりに大会社だけが今赤字を出して配当をしないという状態であるから、これに対しては安い資金を貸すように努力をするという方向に向うべきだ。従って、当然利子補給法というものをこの際廃止する、こういうようになって初めて一貫した思想になると思うのですが、それをやる、しかし一方断わる者がなければこれはやむを得ない、法律の建前であるからこれを補給するんだということになれば、場合によっては両方から吸い上げられる。こういうことになろうかと考える。こういうことでは、これはまた非常に大きな問題になってくるわけで、この点を明確にしていただきたいと思うのです。
  61. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 大会社が配当をしておらないで、利子補給をやめさせるのが無理だから、その方へ造船資金をよけいやるということはいたしません。造船資金の分配はそれによって左右はされませんが、大会社の方は従来通り自然と割当が多くいく、そういう場合はありますけれども、そのために交換条件として安い資金をよけい割り当てるということはいたしません。  それから、今のお話の、造船資金の方はよけいやるが、どうしても承知しないで請求する者があればそれは利子はとられるということですが、しかし、実際問題としてそれはないという前提でやっておりまして、それがありそうな危険な状態なら、なかなかそんなことはやれませんけれども、これは辞退していただける、——承知通りこれには金融界も間に入っております。銀行等すべて入っておりまして、およその了解のつく見当がついているからやれるわけでありまして、そういう問題は起きてこない、こういう建前で予算にも義務のあるものを計上しなかったくらいですから、その点はそういうふうにいく、こういうわけでやっておるわけであります。
  62. 井岡大治

    井岡分科員 そうしますと、利子補給法は廃止する、こういうように理解していいですか。
  63. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 廃止はいたしません。これは存続さしておいて、そうして、またこれに利子補給をしてやらなければならない事態が生ずれば、これは行うという建前にしております。しかし、私自身としては——再び利子補給をやるというようなことになってくればやむを得ませんが、これだけは建前として置いておきます。海運政策についてはあらためて一つ別個に政府の出方を考えてみたい、こういう気持を持っております。
  64. 井岡大治

    井岡分科員 この問題は後にまた運輸委員会で承わりたいと思います。  次に揮発油税の問題でありますが、本年度五百四億というのですが、これは何キロリッターを中心にしておやりになるのですか。
  65. 山内公猷

    山内政府委員 大蔵省の計算では大体三百九十万リッターのように聞いております。
  66. 井岡大治

    井岡分科員 大蔵省の計算は三百九十万リッター、こういうことでございますが、往々にして使用キロリッターが大蔵省と運輸省と食い違うわけです。運輸省の方は現在どのくらい、並びに明年度は何キロリッター使用の予定をされておりますか。
  67. 山内公猷

    山内政府委員 大蔵省とわれわれの方とは大体使用量の違いはありません。
  68. 井岡大治

    井岡分科員 その次に、日航では約四十万キロリッターの使用をしておる、これについて免税をやっておるわけですね。これに税金をかける意思がありますか。将来どういうふうになりますか、この点をお伺いしたい。
  69. 林坦

    ○林(坦)政府委員 揮発油税につきましては、三十四年三月まで航空については免税になっております。将来の問題としましては、またそのときの情勢にもよると思いますが、さらにまたこの点も航空事業の育成の点を考慮してやりたいと思っております。
  70. 井岡大治

    井岡分科員 なお、港湾の予算はことしかなり大きく増額をされておるようでありますが、この詳細については運輸委員会でお聞きするといたしまして、農村漁村におけるいわゆる僻地における港、こういうものにどういうような方向で助成策をお考えになっておやりになっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  71. 天埜良吉

    天埜政府委員 港湾の予算はことしかなり大幅に増加いたしております。これは主として工業原材料、そういうような面に非常に重点を置いております。お話のような地方開発予算という面については、やはりこれと並行にいきたいということで検討をしておりますが、片方の重点ほどは伸びないというような状況にございます。
  72. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 小松幹君。
  73. 小松幹

    ○小松分科員 それでは運輸省全体についてちょっとお尋ねをいたします。  地方鉄道軌道整備補助費ですか、それの具体的にどこにどれだけやるのだという数字を説明してもらいたい。
  74. 權田良彦

    權田政委員 本三十二年度の予算には、お手元に参っておりますように、二千五十万円ばかりの予算が計上されてございますが、その一部は、新線鉄道補助と申しまして、重要なる資源開発、その他国家的に見て国民にとっても重要な新線をやるものに補助をいたします。もう一つは、欠損の補助と申しまして、その鉄道がなくては国民生活上困るものについての欠損を補助いたします。それで、この両方の補助をいたしますには、認定ということをいたしまして、ただいままで認定せられましたものは、新線鉄道補助については六社、欠損鉄道補助については七社でございます。今回の二千万円余の予算をどういたしますかは、予算の成立後さらにその関係の決算が出ましてからいろいろ配分をいたすわけでございまして、どこに幾らやるということは、そういう実績が出ませんときまらぬわけでございます。三十一年の千七百万ばかりの分については、その決算の終了を待っていろいろ計算を今いたしているわけでございます。従いまして、どの会社に幾らということは今申し上げられない状態になっております。
  75. 小松幹

    ○小松分科員 六社の内容、七社の充てている会社を言って下さい。
  76. 權田良彦

    權田政委員 新線鉄道補助は、天塩鉄道、羽幌炭鉱鉄道、岩手開発鉄道、江名鉄道、岡山臨港鉄道、一、二道でございます。それから、欠損関係といたしましては、寿都鉄道、津軽鉄道、南部鉄道、長岡鉄道、草軽電気鉄道、北丹鉄道、和歌山鉄道でございます。これらにつきまして、先ほど申し上げましたようにその決算の状態によって査定をいたすわけでございます。
  77. 小松幹

    ○小松分科員 そうすると、会社の決算が出ない先にどういう計算で欠損補助が出るのか、それをはっきり伺いたい。また、会社自体は決算も出ていないのに、こちらで先に決算数字を出していくというのはどういうわけか、御説明願いたい。
  78. 權田良彦

    權田政委員 予算を計上いたしますときは、一応お手元の数字を使いまして予算の概算要求額としては出します。しかしそれを交付いたしますには、予算が成立いたしまして確定交付額として計算をし直して渡すわけでございます。
  79. 小松幹

    ○小松分科員 それがいい悪いは別にしまして、それはわかります。それでは、この会社には何ぼ欠損が出るという概算はどういうふうにしてやったか、その数字をはっきり伺いたい。
  80. 權田良彦

    權田政委員 それは、今までの決算額を基礎といたしまして、それが新しい会計年度にはこうなるであろうと想いたしまして、そのこまかい数字に基いて個々に計算をいたしまして概算要求額を計上いたしたわけであります。当方の当初の要求額と今回の成立額との間には査定がございまして、当方の大蔵省に対する要求通りには査定が来ておりませんので、要求額よりは今回の計上額は非常に低めになっております。
  81. 小松幹

    ○小松分科員 まあ言うならば欠損の実績数というわけでございましょうが、よその私鉄民営会社の決算をあらかじめ予定して、そうして補助金を組むという考え方そのものについて疑義がある。これは大臣に聞きますけれども、その前に、どういう計算でその決算の概算が出たのか、計算の数字を承わりたい。たとえば長岡鉄道なり草軽鉄道が本年あるいは来年度にこれだけ欠損するんだという私鉄会社の欠損をあらかじめ予定して、利子補給よりなお悪いようなことを計算なしでやっておるかどうか、計算があるならそれを出してもらいたい。たとえば、長岡鉄道にはどれだけの欠損がどういう計算で出るから、これだけ概算的に要求ができたという、その数字を詳細にあげていただきたい。
  82. 權田良彦

    權田政委員 各会社別のこまかい資料がございますから、さっそく取り寄せまして、後ほどお手元に差し上げたいと存じます。
  83. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、この資料が出次第さらに質問しますが、あなた方の、一応概念的に私鉄民間の経営自体が欠損を来年度にこれだけするなどという想定は、どういう計算のもとに成り立つのか、それをちょっと言って下さい。運輸省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  84. 權田良彦

    權田政委員 御案内のように、会社別に、一年決算をいたしますものと、半期決算——一年に二回決算いたすものがありますが、それぞれについて一番最近の決算書、これは予算年度と合わないのでありますけれども、その決算書に基きまして、まず収入の点につきましては、その社の収入の大体の今までの実績の伸びその他の事情を査定いたしまして、次の期の決算の収入を立てます。それから、支出につきましては、人件費、動力費、修繕費、列車キロその他の大体の伸びが見通しがつきますので、それでこちらの査定いたしました額を立てまして、それで、それぞれの社について欠損の出るものについては欠損の概算請求をいたします。  新線鉄道補助につきましては、同様の作業をいたしまして、それによって新線建設費に見合いますものを法律の規定に従って計算いたすわけでございます。
  85. 小松幹

    ○小松分科員 その数は出てきませんから、これ以上は事務当局の方々にはお尋ねいたしませんから、新線建設六社にわたる詳細な資料、それから欠損補助七社にわたる詳細なる資料を出していただきたい。それは本日中に出していただきたい。  大臣にお伺いしますが、国有鉄道すら健全財政、独立採算制で突っ放して、補助もしなければ、あるいは欠損の補助も考えないで、独立採算でやれ、こういう一応の指導をやっておる。しかるに、民営私鉄会社は、欠損をするかあるいはもうかるかわからないのに、額としては二千万円程度ですからわずかですけれども、それをどういう理由があって一般会計予算に計上せねばならないのか、その理由を承わりたい。
  86. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 国鉄と比較してのお話ですが、国鉄自体は日本全体の陸上輸送の大役を果しているわけでありまして、今の計算で二兆一千億とかいう国家から資産も与えて、そうしてあの大きな何で独立採算でやっていく。従って、自分の力において借入金もやる。それで経営ができる建前になっております。私鉄の方は、私まだ詳しいことは知りませんが、大体、今補助金を与えるというような鉄道は、そろばんも合わない、会社自体としてもやめたいんだ、しかしやめれば地方民の交通もしくは生活の上に非常に重大な支障を来たすからやめさせられないんだ、仕方がないから存続してやらしておる。中には、御承知通り、やめさせて道路に変えていかなければならぬというようなものもありまするけれども、一たん敷設した以上どうしてもやめさせることはできない。経営は成り立たないというような点で、その地方民の交通と福祉のために、生活のために、こういう公共的な交通機関ですから、政府がある程度費用を出して補助して、まず一応維持していってみよう、これが何十年でも続いていくことになれば、これに対してまた何か考えなければならぬ、そういう建前で、これは一般会計の上から補助するよりほか、国鉄がこれへ向って補助していくというわけにもいかないと思いますので、そういう点で一般会計から出すようにしております。
  87. 小松幹

    ○小松分科員 欠損続きで運営ができぬというのに、今まで新線建設を補助しているんじゃないですか。一方ではそんな泣き言を言いながら、一方では六社にわたって新線建設補助をやっているというのは、これは内容が違うのじゃないですか。——そういう意味の考え方とすれば。
  88. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 この新線建設の問題は、今新線を建設するのに赤字の線ばかりを建設するというわけですが、しかし、これはやはり、国鉄の建前から、日本全体の産業の上から交通をもっとこまかくしていく、そして、赤線でない黒線の幹線といえども、そういう赤線から荷物も出てくるし人も出てくるというところから黒線も出ておるわけですから、これは日本全体の、ことにこういうような国土の狭いところへもう近く一億になんなんとする人口を養うところとしては、これはバスで行けるところはバスで行くわけですが、鉄道による方が全国的な輸送の上からいいというところは、これはやはり国鉄の使命として赤線であってもだんだんやっていかなければならぬ、こういうように考えておりますので、その新線の補助……。
  89. 小松幹

    ○小松分科員 いや、私鉄の場合です。
  90. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 それは、資源開発上どうしてもやらなければならぬ線だそうですから、そういうふうなわけで補助をしてもやっていく。それは、しまいには資源が出てくれば黒線になるという見通しで一時やっていることと思います。
  91. 小松幹

    ○小松分科員 大臣は最初国鉄の新線建設計画についてお述べになった。私は国鉄の新線建設計画についても相当問題があると思う。それは全部赤字線です。既往のも赤字線であり、新設のも赤字線です。しかし、国鉄のは一応伏せて、補助関係の私鉄、これは、新線の建設を一方ではやる、片方では経営がどうも成り立たぬ、やめてもいいんだけれども、やめるのは惜しいから補助するんだ、そういう泣き言を言っている一面にまた新線建設、また赤字線を補助して作らせるのか、ここに問題があるわけです。赤線の新線建設は羽幌鉄道、岩手鉄道とか岡山鉄道とかにありますが、どういう意味で一体新線建設をやろうとお考えになるか、この私鉄関係の補助についてお伺いしたい。
  92. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 その内容を政府委員から答弁いたさせます。
  93. 小松幹

    ○小松分科員 新線を建設するときには、これは、最初からだめだ、だめだけれどもこしらえなければならぬというような理屈は絶対に言わないでしょう。何か理屈があることはわかっておる。その理屈もあんまりいい理屈ではないわけだが、そこをどういう理屈をつけて言うか聞きたい。理屈を一つ聞きたい。
  94. 權田良彦

    權田政委員 では、さっそく資料を取り寄せて、一線ごとに御説明いたしますから、しばらく御猶予いただきたいと思います。
  95. 小松幹

    ○小松分科員 これは大臣の所管の範囲になりますけれども、大きい予算の建前から言って、これは一つの穴である。鉄道全体が運賃値上げを出しながら、しかも独立採算制をうたっておりながら、国有鉄道においては赤字線新線建設計画をいろいろもくろんでおります。しかし、それは曲りなりにも公募公債、財政投融資等から一応新線建設に持っていくというわけで、一応理屈はのがれております。なぜ私鉄のいわゆる新線建設を補助しなければならぬような羽目に陥っておるのか。ここはどういう理屈をつけて補助しなければならぬのか。国鉄の新線建設さえも一般会計からびた一文出さない。しかも新線建設というのは一年の短期ではない。二十年、三十年の長きにわたって、一つの資産となるところの建設に、一般会計からわずかながら——これはおそらく、二千万円だから、二で割って新線建設が千万円、千万円を六で割ると二百万円か百何万円の補助だと思う。一体どういう意味の補助か。これは大蔵大臣のあれだとつまみ補助かもしれませんが、新線建設に伴うつまみ補助を二百万円か百万円出さねばならぬ論拠を一つ聞きたいのです。
  96. 權田良彦

    權田政委員 これは地方鉄道軌道整備法という法律に基きまして出しておりまするので、その法律が成立いたしました理由は、私鉄といえどもその地方の開発あるいは地方国民生活の安定には非常に重大な意味を持つ公共的交通機関である、従って、これの特別な必要のある有益な開発に資しておるものについては、その建設費の利子に見合う程度のものを補助しよう、それから、欠損会社につきましては、その地方でやめるわけにいかない重大な足となっております地方鉄道でどうしても赤が出るものは、その欠損額を限度としてこれに対し補助を与える、こういうことになっておりまして、こまかい計算内容は、ただいま資料を取り寄せておりまするから、各社別に御説明いたしますが、法律の精神はそういうところから出て法律として施行せられておるのでございます。
  97. 小松幹

    ○小松分科員 あなたたちは何かというとすぐ法律をたてにとるが、法律があるからやむを得ず盛ったのですか。これはもう削ってもいいのだけれども、法律があるからしかたがないからこれだけ予算を盛った、こうおっしゃるのですか。
  98. 權田良彦

    權田政委員 中小私鉄の助成策につきましては、私どもも、その公共的使命に考えて、これを強化したいと存じておるのであります。この助成策にはいろいろございますが、その一つの大きなものとして、私ども地方鉄道軌道整備法による補助についてはもっとこれを強化したいと考えております。なお、税法上のいろいろな助成の問題その他各般についてもなお努力いたしたいと思っておるのでございます。
  99. 小松幹

    ○小松分科員 私の聞いているのは、法律に基いて、あるからしかたがないからやるのだというようなことではない。積極的な意味があるのだ。  それでは運輸省のあなたに伺いますが、大元の国有鉄道は独立採算で、運賃料金を上げればいいじゃないか、何も一般会計から補助する必要はない、運賃値上げをしろと言うて、一方では、私鉄の方には利子補給をしてやって、新線建設を大いに慫慂するのだという。今運輸省で私鉄の新線建設を大いに慫慂しているのですか。そこをはっきりしていただきたい。
  100. 權田良彦

    權田政委員 私鉄の新線建設につきましては、すでに御案内のように、地方鉄道法あるいは軌道法で免許を申請いたしまして、これが必要なものについては免許を与えてこの工事に着手せしめる、こういうやり方にいたしております。
  101. 小松幹

    ○小松分科員 今地方鉄道で新線建設して採算に合う鉄道は絶対にないのですよ。バスやらトラックがあるし、国有鉄道さえも新線建設は全部赤字線です。今度の十二を予定している線も全部赤字線です。赤字線を予定しながら、一方では国鉄赤字だといって運賃値上げを試みておる。私鉄においては新線建設を一体どういう格好で運輸省としてはやれと言っておるのか。これを、利子補給ですか、するから新線建設をやれ、こういうふうに勧めておるのですか。その辺どうなんですか。
  102. 權田良彦

    權田政委員 この法律は、利子補給をするから新線をおやりなさいという趣旨の法律ではございません。地方鉄道法、軌道法によって免許をとって新線を建設し、営業を開始したものについて、そのうち特に国民生活あるいは資源開発上必要なものを認定いたしまして、その認定いたしましたものについて建設費の興業費に見合う幾分のものを補助しておるのでございます。
  103. 小松幹

    ○小松分科員 これだけの補助が地方鉄道の死活の問題には何ら影響していない。実際は、これで補助したからこの鉄道赤字線が黒字線になって採算が合うというようなことにはならぬと思うが、こういういわゆる新線の私鉄の採算上の指導は一体どういう指導をしておりますか。独立採算はしいていないのですか。
  104. 權田良彦

    權田政委員 先ほどもお答えいたしましたように、欠損については欠損額を限度として幾分の補助をするのでございまして、その社その社の企業につきましては、これは私鉄でございまするので、当該社にあって当然経済的に自立をする努力をいたしておりまするし、われわれといたしましても、いろいろな輸送上の問題あるいは経営の合理化等について指導をいたしておるのでありまして、この補助によって直ちに黒字になるとか、そういった筋合いの補助ではございません。最小限度必要な補助をいたしておるだけであります。
  105. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、もう一つ資料を出していただきたいのは、あなたたちは昭和三十二年度の私鉄の経営か赤字になるであろうと、実に親心も親心・一年先の赤字を見越して予算を組んで、しかもそれに経営合理化の指導をやっておるというのですから、欠損会社七社のバランス・シートを出して、それに対する運輸省の指導方針をはっきり書いて出していただきたい。運輸省が欠損会社七社に対してバランス・シートを見ながらどういう指導を過去にやっておるか、その指導方針をはっきり——あなたが経営合理化のために大いに指導していると言ったのだから、その言ったのをはっきり出していただきたい。これは絶対出していただきたい。六社の新線建設はいいですが、欠損補助会社七社のバランス・シートを見ながらのあなたの経営合理化の指導方針はどういう指導をやってきたか。いいですか。寿都鉄道、津軽鉄道はバランス・シートがこうなっておる、お前方は合理化のためにこうやれと、どういう指導をやって、そのかわりおれ方は補助をこれだけやるという、昭和三十二年度でもいい、経営合理化のためのサゼスチョンを与えた、また与えようかとする計画をはっきり出していただきたい。きょうじゅうに出せますね。−それでは地方鉄道補助の問題は資料が出てからのことにいたします。  その次、港湾の問題でございます。これは資料を要求してありましたが、相当膨大な資料になると思いますが、資料をお引き受けになったと思いますが、いかがですか。
  106. 天埜良吉

    天埜政府委員 資料は本日お届けしてあるはずでごいます。
  107. 小松幹

    ○小松分科員 運輸省にこれくらい厚い港湾の資料があると思うのですが、それをいただきたいのです。あなたの方で使っておる、おそらく確定しない一応内輪予算だと思うんです。  そこで、ちょっと資料要求だけしておきまして、質問をしますが、四日市港の石油タンカーを今度は合理的に入れる港湾の修築というのがありますが、これはどういうように予算を手当するのか。さらに、これは日本石油が四日市の燃料廠は大体受けるようになっておると思いますが、その辺の契約はどうなっておるか、ちょっと…。
  108. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の石油タンカーの件でございますが、これは御承知と思いますが、最近非常にタンカーが大きくなりまして、いわゆるスーパー・タンカーというのを使うようになりました。三万二千トンないし四万五千トンというようなのが使われるようになって参りまして、ほとんどそれに切りかえられるというような状況に進んでおります。これに伴いまして、四日市港のような石油基地につきましては十二メートルの水深をぜひ必要だというような点から、石油関係から非常に強い要望がございまして、早急に三年間をもって十二メートルの水深の航路並びに泊地を造成したいというような状況でございます。これにつきましては、受益者と申しますか要請者と申しますか、非常にはっきりしておりまして、それは昭和石油と大協石油でございます。こういうはっきりした利益を受けるものからは多額の分担金を徴収したいというような考えから、現在のところでは工事費の五割をとるようにしたいということで進めております。
  109. 小松幹

    ○小松分科員 私、ちょっと数字を聞いたんです。四日市港の港湾改修費の額と、それから地元負担に値する受益者負担ですか、それが五割とおっしゃったので、それをどういうようにあんばいしておるか、それをちょっと聞かしてもらいたい。
  110. 天埜良吉

    天埜政府委員 石油の関係で四日市における浚渫の総事業費が七億要ります。そのうち三十二年度は事業費として二億の事業をいたしたいと思います。そのうち、国費が六千万円、それから港湾管理者が四千万円、受益者が一億、こういう構成をもって二億の事業をやる予定であります。
  111. 小松幹

    ○小松分科員 港湾管理者というのは府県ですか。
  112. 天埜良吉

    天埜政府委員 港湾管理者は、四日市港におきましては三重県でございます。
  113. 小松幹

    ○小松分科員 何年計画で七億やるのですか。
  114. 天埜良吉

    天埜政府委員 三十二年度から三ヵ年の予定にしております。
  115. 小松幹

    ○小松分科員 七億というのは、三十二年、三十三年、三十四年にわたる一つの計画ですか。
  116. 天埜良吉

    天埜政府委員 七億というのは、お説の通り、三ヵ年にわたる計画が七億ということでございます。
  117. 小松幹

    ○小松分科員 同じようなケースで、徳山港はどうなりますか。
  118. 天埜良吉

    天埜政府委員 徳山港につきましては、総事業量が一億八千万円かかります。このうちに占める国費の額は五千四百万円ということになっておりまして、それを三十二年度においてはまだ確定をしておりません。これから検討いたすわけでありますが、大体八百万円で、三ヵ年程度でできるようにしたいというふうに考えております。
  119. 小松幹

    ○小松分科員 ちょっとはっきりしませんが、総事業量が一億八千万円でしょう。五千四百万円というのは何ですか。
  120. 天埜良吉

    天埜政府委員 一億八千万円のうちに占める国の負担が五千四百万円でございます。
  121. 小松幹

    ○小松分科員 そのうち本年八百万円……。
  122. 天埜良吉

    天埜政府委員 そのうち国が八百万円程度というふうに考えておりますが、まだこれは確定しておりません。
  123. 小松幹

    ○小松分科員 これは、受益者になるのは丸善石油ですか、出光ですか。
  124. 天埜良吉

    天埜政府委員 出光興産でございます。
  125. 小松幹

    ○小松分科員 それの負担額ははっきりしていませんか。
  126. 天埜良吉

    天埜政府委員 全体の事業に対しましては、五割で参りますので九千万円でありますが、三十二年度どれだけにするかという点で、三十二年度の分はまだはっきりしておりません。
  127. 小松幹

    ○小松分科員 これは総体的に港湾整備計画は毎年ですけれども、本年の数字というのがまだはっきりしないで、以後動くと思いますけれども、やはりそれならば、いわゆる事業の総計画というものを一応出してもらわないと、ただこれだけでこれくらい要るんだというような当て込み数字が入っているような感じがするから、一応そういう数字を出していただきたいと思います。  その次に、資料をだしていただきましたが、北海道の苫小牧、これは一体どういう意味で港を作ろうとしたのか。しかも本気で運輸省はやっているのかどうか。やめるのかやるのかということを一つ。同時に、別府港もどういう意味で作ったのか。これは本気でやるのかやらぬのか。この二つをちょっと聞きたい。
  128. 天埜良吉

    天埜政府委員 北海道の苫小牧港につきましては、資料に出してございますように、二十六年度から継続して事業をやっておるわけでございますが、苫小牧港の目的は、北海道の開発、ことに工業地帯の整備を主眼に置いております。苫小牧の付近一帯の地は工業地帯として非常にすぐれた所でございますが、これに対する港の整備ということで進めております。現在まで、資料に出してございますように、二億六千八百十三万円を支出しております。これについては、現在までに防波堤が四百四十メートル、これと水面を囲んでいる二百メートルと百八十五メートル、計三百八十五メートルの波除堤をさらに出しまして、それに泊地の四万平方メートルができております。この水深は現在のところ三メートル五十でございまして、付近の漁船はすでに利用をしておるようになっておりますし、それから、三十二年度の事業をやることによりまして、内側の方へこれは興り込む方針でございますが、これによって機帆船は相当活用できるようになる見込みで、運輸省といたしましては苫小牧港の整備を急ぎたいと考えております。  それから、別府港でございますが、これも資料に申し上げておりますように、三十一年度までに二億一千八百三十二万円という予算を注入しております。これによりまして別府港の南側の方にマイナス五メートル五十のワン・バース九十メートルが完成いたしております。なお、その裏側に、掘りさえすれば九メートルまで掘れるのでありますが、現在のところではやはり同じくマイナス五メートル五十の岸壁が六十メートルできております。いろいろ別府港の利用の状況その他を考案いたしまして、まず別府港についてはこの程度で一応まとめ、そうして一日も早く利用をはからなければならぬということで、工事といたしましては三十二年度をもって一応打ち切りたいと考えております。それとあわせて三十二年度におきましては旅客の待合所を融資をあっせんいたしましてこれが活用をはかるというふうに進めたいと考えます。
  129. 小松幹

    ○小松分科員 苫小牧港は工場地帯の室蘭の一帯になるでしょう。だから、その志はよしです。しかし、昭和二十六年からかかって七年を経過して、二億六千八百万円の金を使って、一体どういう港の結果をあげておるか。そうして、およそ予定の一二%しかやらないで、今聞けば、水深三・五メートル、機帆船が通れるという。七年間で二億六千八百万円使って、機船を入れるような港を作って、一体どうするんですか。機帆船を入れるということは、——工場地帯整備のためと言って、しかもその仕事は防波堤だけしかできない。水深は三・五メートルで、帯に短かしたすきに長しで、いなか漁船を入れることしかならぬ。こういう港に運輸省が何億と使って作ったんじゃどうにもならぬ。しかも七年を経過して進捗度は一二%。さらに別府港に至っては三〇%、三割方できておりますが、別府港と苫小牧港ではその成り立ちが違います。違いますけれども、苫小牧の方は防波堤を先に作っております。別府の方は防波堤なしで、岸壁だけを先に作った。これは設計が違うと思います。しかし、別府港は、豊後水道から吹き込んでくる余波、台風の進路になる九州の大分県にあるのに、防波堤なしの岸壁だけで一体船が着け得るかどうか。今水深五・五メートルと言っておりますが、それで予算を打ち切るのだ、三〇%だけで予算を打ち切ろうというような考え方に立っておるというが、これでは一体どういう港湾設計を考え、どういう意味の港湾を理想としておるのかわからない。同じ何億という金を使ったのならば、一応船だまりとし、関西汽船なり——あるいは外国航路を入れるという理想だったけれども、外国航路は入れぬとしても、国内航路の就航船ぐらいは入れるだけの港を作らなければ意味がなさないと思うのです。二億からの金を使って三〇%の進捗度で岸壁だけ作って防波堤なし、こういうような運輸省の港湾計画に対して私は疑いを持つ。この点について、一体これでいいのかどうか、こういう格好でいいのかどうか。これはあとで大臣にも聞きますが、三〇%でもう終り、岸壁ばかりで、波の一番くるところに突き出して、防波堤なしで船を着けろという。水深は五・五メートル、こういうことで果して運輸省として常識ある港湾計画かどうか、お伺いしたい。
  130. 天埜良吉

    天埜政府委員 まず苫小牧について申し上げます。苫小牧につきましては、お話にもございましたように、この地域は非常に工場地帯としてりっぱなところであるという点は御承知通りでありまして、これに対しの港湾計画でありますが、あの場所は漂砂その他がございまして、まず防砂堤と申します兼防波堤を作って進むのが順序でございまして、ただいまは三メートル五十でございますが、直ちに来年度からは機帆船程度が入る状況になって参りまして、うしろの土地の利用度が出てくるというような状況で、これは大いに進めていくべきものというふうに考えて、その方針で進んでおります。  それから、別府港につきましては、ただいま防波堤のお話がありましたが、これは御承知通り、あの前面は非常に深い水深でございまして、ここに防波堤を作るということになりましては非常な金額が要るのでありまして、これは当初の計画から防波堤は入っていないのであります。全体の計画といたしましても防波堤は考えていないのでありまして、考えておりましたのは、五メートル五十の水深の岸壁と、一万トンの観光船が来られるような岸壁、こういうことで進んでおったのでございますが、いろいろ利用の点あるいは世界観光会社日本に滞在する日数その他を考えまして、観光のための大きな船の岸壁はこの際あとに回すべきだというような点から、五メートル五十の岸壁で、現在あそこに就航しております関西汽船よりももっと大きい、あるいは、千九百トン程度のものから二千トンないし三千トンの船がここには着ける予定でございますので、これで別府港としては十分なる活用に耐えるというふうに考えておるわけでございます。
  131. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 小松さん、ちょっと御相談しますが、十二時半になっておりますので……。
  132. 小松幹

    ○小松分科員 国鉄の方は残しまして、運輸省だけやりますから……。  苫小牧はあと何ヵ年計画でやるのか。それがまず一つ。ただのんべんだらりと七年間やって一二%では、一〇〇%やるのにはもう六十年くらいかかりそうになります。(笑声)それから、別府の場合は三〇%、三割だけだ。ものは、やりかけたら、作り上げてしまうか、ほぼできなければ意味をなさないと思うのです。まるで残骸みたいなものを別府湾の海岸の砂原みたいなところにこしらえて、それで終りというような建設計画じゃものにならない。しかも、これは、別府市長があなたのところに行ったら、社会党の者が反対するからこれを打ち切るのだというようなことを言ったらしい。もってのほかだ。私はそんなことを去年の委員会で言いはせぬ。やるならば思い切ってぼいんとやって、すぐ役に立たさなければ、のんべんだらりと牛のよだれみたいにやられたのではたまらぬということを言った。予算もつけるならすぱっとつけなさい。いつになったら残骸の見えぬようになるかと思ったら、七年たっても残骸が見えておるような格好だ。だから、一万トンあるいは二万トンの船とは言わぬが、少くとも関西汽船なら関西汽船の五千トン級の船が安心して着けられるくらいの港を早く作りなさいということを言っておる。やめなさいと言ったことはない。とんでもないことを言っておる。
  133. 天埜良吉

    天埜政府委員 ただいまの苫小牧の計画でございますが、われわれといたしましては、あと五ヵ年と思って、完成したいという気持で進んでおります。しかし、相当な額に上りますので、この点は進み方その他にかなり注意をしなければならぬというふうに考えております。  それから、別府港につきましては、決してさようなことは申した覚えはないのでありまして、何かのお間違いであろうというふうに考えます。われわれとしては、そういうような考えから別府港について打ち切りにしようということではなしに、すでに関西汽船が現在就航しておるよりもさらに大きな船が着ける計画をして参りましたので、あとはこまかい取りつけのところとかを整備すれば、これは現在よりもずっとりっぱな岸壁ができる、これで十分間に合わされるので、これについて、そのことよりもむしろ待合所を作るとかいうような陸上の設備の方がより急を要しますので、その方で融資のあっせんなりいたしまして活用したいという考えでございます。どうぞ御了承願います。
  134. 小松幹

    ○小松分科員 とにかく、役に立つような港を作れ、中途半端で投げたり、のんべんだらりとやるなということを申し上げて、特に苫小牧は五ヵ年後には完成する、別府港においては利用度のできるまでやるというように伺ったところで一応この問題は終ります。  次に、先ほど委員どなたかも大臣に承わっておりましたが、スクール・バス等の問題でありますが、これはもっと本質的なものがある。いわゆるバス路線の許可制というようなものが問題だと思う。一つ例をとってみましても、箱根の山は天下の嶮じゃないけれども、堤さんと五島慶太さんか知らないが、箱根の路線で民間企業がえらい血みどろな争いをしておる。−天下の公道で。これは許可制の問題なのです。ところが、それは、一つは堤さんと五島慶太さんか、大きい財閥の争いだから問題になっておる。こういう問題は、大なり小なり地方府県にはバス会社同士の血みどろな争いがある。しょせん迷惑しておるのは国民なのです。地元民が一番迷惑しておる。この許可制があるがゆえに、許可制を悪用してか利用してか知らぬけれども、互いになわ張り争いを何年間としてやっている。一つ会社がここのバス路線を設定すると、すぐ追っかけて次のバス会社がする。運輸省はどう判定するのか。陸運事務局で公聴会を何回も開いて結論を出し切らぬならば、こっちが出してあげますか。一体運輸省としては許可制の問題についてどう考えているか。今ひっかかっているバス路線の問題について、許可制を一応認めたときに、どういう観点でこれを許可しようとするのか。たとえば、先ほどの例にありましたように、バス会社がスクール・バスを経営している、ところが、サービスが悪いからその村自体でバス路線を設定して村の公営でバスを運転しようとすれば許可にならない。村民が公営バスをしようという場合に、私鉄のバスを一回認めたから、もう孫末代許さぬというような態度でいくのかどうか、この点について一つ明快なる判断と答弁をしていただきたい。
  135. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 このバス路線の許可の問題は、今のお話が許可の仕方についてどういう見解を持つかということであろうと思うのです。許可制を撤廃して自由にやらせるという御意見ではないと思いますから、その点で、許可制のやり方についてといえば、抽象的、一般的にお答えするよりないのです。これは、公衆交通の建前から便利的にやらせる、その企業の成り立たないような無理はさせないというような抽象的なことを申し上げるよりないと思います。しかし、個々の問題については、ただいまお話しの箱根の問題も、箱根ばかりでなく至るところにあるということは、なるほどごもっともと思いますから、それらについては、私は私なりに一つ考えて、この問題を何とか一つ全国的に考えていく時期に来ているのではないかと思いますので、その点は、スクール・バスの問題も、これは個々の問題ですが、個々の問題は、すべてただいま申し上げた抽象的な立場からやっていくように、国会でも済みましたら一つゆっくりやっていきたいと思います。
  136. 小松幹

    ○小松分科員 大臣の気持は私もわかるのですけれども、そういうことで逃げられてはしょうがないと思う。
  137. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 決して逃げません。
  138. 小松幹

    ○小松分科員 別に大臣が逃げるとは言いませんけれども、これは最高ケースは箱根の問題です。あれは陰険なかっこうでやられているし、同時にバス路線の設定が悪いと言っているのだから、もう一つしんにゅうをかけておりますけれども、これは、大なり小なり、国鉄バス地方バスバス同士、あるいは公営企業バスと民間バスとの間にある問題だ。これはやはり許可制に問題があると思う。それほど許可制を固守しなければならぬか。一応許可制でもいいけれども、あるときにはこれは自由競争じゃないですか。ほとんどなわ張り争い。なわ張り争いのためにお互い同士が損をするというのもある程度ありましょうけれども、損をするのは地元民であり国民である。このバスがある一定地から突き抜けて縦貫鉄道式に縦貫していこうというバス路線を、半分からちょん切って、どうしてもそこで、なわ張り争いのために、一回降りて乗りかえなければならぬ。そうすると、直通を入れればこっちのバスが問題だ、こっちから直通を入れればこっちの方が問題だ、こういう問題で、いつも峠のところでかち合うか、あるいは並行線でかち合うか、申請でかち合うか。ここで事務的な問題だと思うが、陸運関係で一体何ヵ月たったらそれを判定するのか、判定をし切らぬのか。判定しているのもありますよ。ありますけれども、はなはだしいのは、箱根のごとく、いつまでたっても判定し切らぬ。まだほかにもありますが、一体何ヵ月たったら事務的にこれを判定するのか、その辺を一つ、これは事務当局からでよろしゅうございます。
  139. 山内公猷

    山内政府委員 事案がいろいろございますので、一般的に何ヵ月という資料がございませんので、お答えしにくいわけでございますが、事案によりましては、軽微の事案と重要事案と二つに分れます。軽微の事案につきましては、その前に自動車一般の免許制度がまだあるわけでございますが、概括的に言いまして、定期定路線で運行しているのは本省の権限でやっている。そうでなくて、たとえば観光バスでありますとか、あるいは区域のトラックでございますとか、あるいはハイヤー、タクシーというようなものにつきましては陸運局の権限になっております。私の申し上げますのは、ただいま御指摘になりましたバス路線のようなものになるわけでございますが、その中で軽微なものにつきましては、申請がありましてから大体一ヵ月ぐらいで判定が下せるようになっております。と申しますのは、軽微の事案につきましては、大体そのまま本省に上って参りますので、すぐに判定ができるわけでございますが、重要事案になりますと、ただいま言いましたような競願関係でありますとか、まず陸運局で調査いたしまして、それからその調査報告を本省に上げまして、本省において運輸審議会にかけて、それがあるいは公聴会の申請がありますと、公聴会を終って、それから判定をするということになりますので、非常にスピードにやりましても、どうしても半年近くかかることになります。事案が非常に困難になりますと、一年、二年というようなものも起ってくることになります。
  140. 小松幹

    ○小松分科員 これは直接運輸行政の面でありますから、運輸委員会あたりで別にやります。これは重要な問題でありますから、これで私はおいておかない。徹底的に解決しようと思いますが、一応予算関係のある問題だけ運輸省関係の質問を終ります。
  141. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 午前の会議はこの程度にして、午後引き続いて質疑を行いたいと思います。  それでは二時まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後二時三十五分開議
  142. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 午前の会議に引き続き昭和三十二年度一般会計特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省所管について質疑を続行いたします。小松幹君。
  143. 小松幹

    ○小松分科員 国鉄資産再評価の資料をいただきました。これについて、再評価額で問題があるのは、利用度の問題をどの程度考えるか、全く利用価値のないものが高額に再評価の中に載っておるということがあると思う。利用度というものを全く考えていないのかいるのか、伺いたい。
  144. 權田良彦

    權田政委員 お手元に資料をお配りしておりますが、今御指摘の全然利用してないような固定資産がございますれば、それは再評価をいたしておりません。
  145. 小松幹

    ○小松分科員 決算書にもちょっと出ておるのですが、函館本線の有川岸壁は一億八百万円の旧価格を再評価額で五億九千九百万円に再評価しているが、この岸壁は利用価値というものがあるのかないのか。
  146. 權田良彦

    權田政委員 国鉄経理局長からお答えしてよろしゅうございますでしょうか。
  147. 小松幹

    ○小松分科員 どうぞ。
  148. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいま御指摘の三十年度の決算で検査院から指摘を受けましたのは青森までの小湊の連絡施設でございます。これは戦時中北海道との連絡のために作られたものでありまして、その後現在使用いたしておりませんことは事実でございますが、再評価いたしました当時、まだ私どもとしては将来永久に使わないということを必ずしも確定しておらなかったわけでございまして、一応再評価いたしまして、将来使用の方針がきまり、あるいは廃棄するということにきまりますれば除却の処分をいたしたい、かように考えて一応再評価をいたしたわけでございます。
  149. 小松幹

    ○小松分科員 それと同じように、他の車両等に、これはお医者さんが一点単価とか言うが、一点一円単価で再評価する。器材等をいわゆるあてがいの再評価をしている。そうすることによって、いわゆる市場採算価格等よりもはるかに高く再評価されておるということがいわれておる。これについてはどうなんです。  もう一つは、それに伴って、およそ使用にたえないところの車両とかあるいは貨車でも、あるいは器材等もあると思いますが、どういう判定のもとにこれを再評価したか。たとえば、もう使いものにならぬようなものが十万円で買ったものが、今であったら一万円もないものが、一応再評価で一点単価でいくと十五万円になったりする場合があると思う。このところがはっきりしないのですが、その点はどういう再評価の仕方をしたのですか。
  150. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいま御指摘の第一点でございますが、第一の点は、従来、たとえて申しますと備品として購入いたしまして、つまり資産にあげておらなかったもので整理上漏れておったものがございまして、この再評価の機会にこれを経費で落したものでございますから、一応備忘価格と申しておりますが、一応こういうものがあるということを資産の中へ入れまして、それをあらためて時価に再評価して資産に組み入れるということにいたしたわけでございまして、結局正当な価格で評価されておるわけでございますが、検査院の指摘のございましたのは、一応そういうものは従来経費で決算いたしておりますから、利益であげて、その上で固定資産に変えるべきものだというふうな御指摘もありましたが、私どもといたしましては、すでに経費で決算いたしたものでございまして、新たに利益といたしましても資金が生まれてくるわけでもございませんので、適正に再評価いたしまして、固定資産として組みかえたわけでございまして、再評価の額といたしましては適正にいたしておるつもりでございます。  それから、もう一点の車両等について、オンボロを再評価したのではないかということでございますが、もちろん使用にたえないものはどんどん廃却いたしておりまして、落した分は財産台帳から除却しております。もちろん、古いものにつきましては、取得価格から経年減価を差し引きまして——現在率直に申しますと耐用命数を超過した車両は現実にございます。こういったものは、九割まで経年減価、つまり償却引き当てを引きまして、一割ということで帳面には残っているわけでございますが、ほんとうに使用にたえないものはもちろんどんどん廃棄いたしまして、帳面から落していっておるわけでございます。
  151. 小松幹

    ○小松分科員 耐用年数によると、工作物は三十年ですね。七年というのは割と短かい方なんで、あとは耐用年数は相当上っておりますが、それならば、十年以内のものについて、耐用年数の低いものについての再評価はどういう格好でしたのですか。
  152. 久保亀夫

    ○久保説明員 再評価のやり方はものによって全部違うのでございますが、大体三十年四月の単価を当時の物価で一応検討して作りまして、それを個々の現存しております財産にかけまして作りましたわけで、たとえば自動車等は、車両の種類によりまして、三十年四月における購入の価格を推定いたしまして、それを一応あげまして、それからさらに経年減価——たとえば鉄道車両が三十年の耐用命数がある、そのときにたまたま十五年たっておるといたしますと、一割の残存価格を引きまして、残りの三十分の十五、二分の一を引いたものが正味価格としてあがっておる。自動車の場合は耐用命数は六年でございますから、かりに三年たったものがあれば、十分の一の残存価格を除いたものから、さらに二分の一の経年減価を除いたものを正味価格としてあげておる、こういうことでございます。
  153. 小松幹

    ○小松分科員 先ほどあなたの答弁の中に、台帳に載っていないのがあるから、それをまとめて一点単価にして原簿に載せたのだと言われたように思いますが、台帳に載っていない備品というのが国鉄にはあるのですか。
  154. 久保亀夫

    ○久保説明員 先ほど申し上げましたのは、先生が初めに御指摘になりました検査院から指摘を受けました、昔備品ということで消耗——消耗と申しますと語弊がありますが、その年度限りにいわば備品ということで決算をいたしました。ところが、実際は五年、六年持つというものもあったわけでございます。これは相当長期持つ。たとえば、器具類、小さい機械等はこの例に当るわけでございますが、当時の考え方として修繕費なり備品で決算いたしましたのを、これは数年前会計制度を厳正にいたしまして、そういったものは財産として処理するということにいたしましたので、これはあらためて財産として記帳することにいたしたということが、小さい機械類等に一部あるわけでございまして、もちろん大部分は正当な工事経費で決算いたしまして、その都度財産にあげております。一部そういう例外がありましたのを、ああいった整理をいたしまして、それで御指摘を受けたわけであります。
  155. 小松幹

    ○小松分科員 小さいといっても、国鉄で使う器具、機械ですからね。それを全部消耗品で国鉄は今まで扱っておったのかどうか。実際の消耗品だったら消耗品として消耗していけばいいのだし、何年かたってそれを資産再評価にあげねばならないような消耗品があったということになるわけです。そこで、国鉄は今まで機材などを消耗品で扱って再評価の段階になって、これは消耗品にするのはどうも惜しいから再評価の舞台の上で再評価してしまえというようにも見えるわけです。国鉄の過去の経営において機材などは消耗品でやっておったのかどうか、この点を伺いたい。
  156. 久保亀夫

    ○久保説明員 私の御説明の申し上げようが不十分であったかとと思いますが、もちろん、当時備品として購入いたしましたものも、備品台帳をもちまして整理なりあるいは保管については万全な措置をいたしておったわけでございます。ただ、たとえば十数万円のものをこういった備品台帳で整理をするのは適当でないということで、これはある時期に財産に編入すべきだという会計検査院の御見解もございましたから、これを財産に編入いたしたわけでありまして、備品といたしましても、もちろん保管なり台帳の整理については財産と同様に厳格にいたしておったわけでございます。
  157. 小松幹

    ○小松分科員 ここに二つ問題点があると思う。鉄道において——これからは知らないとしても、今までの経理の中に、機材器具の中で台帳に載ってないところの機材器具、備品でないところの消耗品の機材器具があったということを露出しておるわけです。同時に、これを会計検査院から指摘されたのは八千点からのものです。八千点のうち二千何百点かを再評価したのですが、その再評価の仕方が一円単価でやった。そのために再評価価格がいわゆる市場価格よりはるかに、三倍くらいはね上って再評価されておるという事実があるわけです。その点についてもう少し具体的な解明をしていただきたい。
  158. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいま御指摘のございました一円単価と申しますのは、私ども備忘価格と申しておりますが、こういうものがあるということを確かに記帳いたしまして、そうして、それを再評価いたします場合には、これは先ほど申し上げました三十年四月の市価をもって評価いたしまして、もちろん経年減価は差し引きまして市価をもって再評価をいたしたわけでありまして、市場価格としては正当な価格で載っておるわけでございます。ただいまお話しの市場価格の三倍ということはないわけでありまして、三十年四月の市価ベースで再評価をいたしたわけでございます。もちろん、一円単価で、備忘価格から申しますと相当な率になっておりますが、そのものの価格はその当時の価格で評価をいたしたわけでございます。
  159. 小松幹

    ○小松分科員 過去のことはさっき問いましたが、今国鉄の機材器具には消耗品の機材器具というのがあるのですか。
  160. 久保亀夫

    ○久保説明員 私、消耗品という言葉を使いましたのは、不十分でございまして、備品あるいは機械器具ということで台帳にそれぞれ整理いたしておりまして、消耗品は紙類とかインキのごときものでございますが、備品は、財産ほどではないけれども、ある程度長期使うものに対しては、もちろん備品、機械器具ということで厳正に台帳をもって保管整理をいたしておる次第でございます。
  161. 小松幹

    ○小松分科員 いつだったか北海道連絡船で沈没した洞爺丸が再評価で十億円になっておる。沈んだ船が再評価で十億円になっておるが、これはどういうことなんですか。あのときに沈んだのは洞爺丸だけではない、他の貨物船も沈んだ。全部海の底にあるものを再評価して十億円とかあるいは十何億円という再評価をしておるのは、どういう意味の再評価なんですか。
  162. 久保亀夫

    ○久保説明員 当時洞爺丸その他あの海難で沈みました船をどう扱うかということについては、私どもとしてももちろん検討したわけでございますが、当時引き揚げて使えるかどうか、あるいは廃却いたしますと、今度はその中からいろいろ売却できる物品が出て参るわけでございます。そういったものの評価等は実は当時はっきりしていなかったものでございますから、一応再評価いたしまして、あとの処分のきまりました上で廃却するものはするということで、現にその後洞爺丸と第十一青函丸につきましては、引き揚げても使いものにならぬということで、この二隻については除却処分をいたしたわけでございます。
  163. 小松幹

    ○小松分科員 あなたの説明を聞くと、洞爺丸と青函丸というのは、いわゆる鉄道連絡船として、船舶としての台帳に載っている一つの連絡船の資産である。それを鉄くずにしたときの資産とみなして、くずして資産再評価するという再評価の仕方があるのかどうか。たとえたならば、この鉄筋コンクリートの家は旧原簿では十万円だった、再評価すれば一千万円になる、しかしこれをくずして鉄くずとしたときには何ぼであるから、その鉄くずの再評価をするというような再評価の仕方があるのかどうか。その点を……。
  164. 久保亀夫

    ○久保説明員 その点につきましては、今の洞爺丸あるいは第十一青函丸等につきましては、一応当時の考え方としては、いずれともまだはっきりしない、引き揚げて使えるものかどうか、そういった点もはっきりしないということで一応再評価をいたしたので、事態の判明次第処理するということで、一応洞爺丸自体として使えるものとして評価をいたしたわけでございます。
  165. 小松幹

    ○小松分科員 私が質問しておるのは、再評価価格というものがやがては国鉄運賃一つ資本勘定の設備資金の繰り入れになるわけです。そうなると、再評価価格というものが上ることによって勘定における繰り入れ勘定が多くなるわけです。そういう見方をすれば、海に沈んだ洞爺丸や青函丸の鉄くずの再評価をやって再評価価格を上げたとしか考えられない。私は、常識的に見て、洞爺丸が海に沈めば、少くともこれは二億くらいの資産でしょうが、それを再評価して十億にしておる。海に沈んだものが、船舶の価値として一ぺんに二億から十億に評価されておる。これは国鉄の資産再評価の仕方として私は疑義がある。海に沈んで船舶の効用のないものを五倍の再評価価格に引き上げておるというところに疑点を持つわけなんです。国鉄はこの再評価の資料を出したが、一切そういうような格好で皆再評価したのかどうか。
  166. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいまの仰せの点は、見方によりますれば、財務上できるだけその正確な損失利益を見出そうといたしますと、今の洞爺丸の損失はやはり十億円の損失でございまして、二億の損失ではないということなんでございまして、そういう点も考えまして、一応再評価した上で廃棄処分にいたした、こういうことで、国鉄の損失はやはり十億の船を失ったという言い方もできるかと存じます。  それから、もう一つ、今小松先生のお問いになりました全体の問題でございます。この点につきましては、私ども、個々のものの単価、たとえば建物なら、木造なら一平方メートル当り一万円とか、そういった相当こまかい時価を作りまして、それを専門の先生方あるいは関係業界の方々等にいろいろとお教え願いまして、全体としては再評価が過大にならぬように、むしろこの単価の作り方等につきましては、どちらかと言うと実は低めに——現実に単価ごらんになると、木造一平方メートル当り一万円といったような低いような単価でございまして、全体として再評価が過大になるというようなことは全然考えておりません。また、今御指摘のございましたような点につきましては、私ども財務の真実の姿としては、現実にそういう損失があったものだというふうにも考えられまするし、私どもといたしましては、隧道等の、たとえば配線変更しまして使わなくなった隧道といったようなものは、しかも将来使う見込みがないといったようなものは、はっきり評価いたしておりません。また、線路が変りまして橋梁が遊んでいる、こういったもの等については、はっきり評価いたしておりませんで、ただいま御指摘のあった二、三の点、これは会計検査院の御指摘のあったものでもございますが、私どもといたしましては、一応考えました上で、そうすることが妥当であろうということに実は考えましたわけで、過大に評価しょうとか、そういう考え方は私どもとしては当時も持っておりませんし、また現実に単価の査定等については十分意を用いたつもりでございます。
  167. 小松幹

    ○小松分科員 今あなたが言ったように、洞爺丸が沈んだ、青函丸が沈んだ、その損失の点を考えて再評価に繰り入れたんだ、こう言っておられる。これはまたおかしなものです。こわされたもの、紛失したもの、海低に埋没したものは損失として資産再評価に繰り入れて一体何になるか。資産再評価というものは損失を再評価しているのですか。これは相当考え方の相違だと思います。損失を再評価に繰り入れてやるということはおかしな話です。資産再評価というのは、耐用年数があって使われるものを十万円の原価帳簿を百万円にする。洞爺丸が海に沈んで、耐用年数が十年も八年もあるなら別なんです。海に沈んだら耐用年数はゼロでしょう。資産として、役に立たぬものを、損失を見るために再評価の中に入れたなどということは、もってのほかだと思うが、その点はどうですか。
  168. 久保亀夫

    ○久保説明員 損失を見るために入れたという意味ではございませんが、そのときに、はっきり、引き揚げも不可能であるということで引き揚げないで、そのまま再評価もしないでかりに除却しますれば、二億で落ちる。この点が一応当時ははっきりしていないので、一応十億と再評価して、それで、今度、後にはっきりとこれは見込みなしということで財産から落すときには十億で落すということでございまして、再評価の姿で十億の損失、これは極端に言えばどちらでも同じことになりますが、一応事態のはっきりしないままに再評価して、その形であらためて落したということでございまして、損失を見るために落したということではございません。もう一つ、やはり償却の考え方といたしましても、取得価格に対する償却費を見ていかなければ、大体の計算はできないわけでございまして、現に来年度の予算以降で洞爺丸の代船も十億余りで作るようなことにもなっておりますが、やはり当時はっきりしないままの場合は、あくまで再評価しまして、その上で損失なりに立てるのが一応妥当である、こう考えたわけでございます。
  169. 小松幹

    ○小松分科員 これは、そういう前提をもっ見ては悪ていのかもしれません。しかし、もっと悪く解釈するならば、再評価価格をたくさん上げて、そうして資本勘定に繰り入れるならば、国鉄はいつまでも赤字々々と言われる。資本勘定に繰り入れなければならぬし、減価償却はしなければなりませんから、赤字になる。そのもとになる耐用年数とかあるいは減価償却費を、海の中に沈んだものまでも五倍にはね上げて再評価しておれば、幾らあっても足りない。指摘された点は、使わないところの岸壁、あるいは小湊のあれを再評価したり、あるいは消耗品はでないでしょうが、原簿に載っておらぬものを、原簿に載っておらぬけれども役に立つから再評価にするんだといってあわてて再評価したとしか考えられない。それがかりに過小なるものとしても、国鉄が今出しておる再評価価格というものは信憑性がない、その場その場で適当に作ったんだ、国鉄運賃を上げるために、減価償却を何とかせんならんために、ここににわかごしらえの再評価をやったとしか考えられない。その一つの例が今言われたような点に一つ指摘されるのではないか、私はこういうふうに考えて、この再評価価格をあなたたちが減価償却の最大のよりどころとして運賃値上げをしようとする気持に対しては、これはどうも信頼性が置けぬのではないか、こういうように考えますが、さらに質問を続けますと、その再評価価格というものは一応おきまして、今度の二十二年度予算の概算を見ると、資本勘定、減価償却の点は今言うた点から相当上ってきておりますが、鉄道改良費というものは運賃値上げの最大の要素になっておる。これはどういう意味の改良になるのか、国鉄資産の再評価の素材になる改良か、そうでないのかどうか。
  170. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。三十二年度の予算におきましては、一割三分程度値上げ増収額で約三百六十六億——ラウンド・ナンバーに上げて申しますが、出まして、それから、必要な経費を差し引きまして資本勘定へ繰入れます額は八百二十八億でございます。この中からいろいろな借入金の返還等を行いまするので、実際工事勘定へ参りまするのは千六十九億でございまするが、これは、ただいま申しました損益勘定から参りますもの以外に、鉄道債券の二百三十五億と資金運用部からの受け入れが八十億ございますのでそうなるのでございますが、このうち建設線の費用の七十億を除きました九百九十九億、約一千億が改良費と相なるわけでございます。この改良費は、通勤輸送の強化なり、幹線の輸送の強化あるいは電化、電車化、気動車化、車両増備、その他改良並びに取りかえ等の費用に使われるわけでございます。従いまして、先ほどの財務的な点から合せますると、これは八百二十八億の中に減価償却として四百八十九億が含まれておりまして、それ以外のものは自己資金からそれだけの自己資金を生み出すわけでございます。それで、改良費といたしましては、今申し上げたような輸送力増強に使われまして、これが資産に見合うものは資産増として財産で整理されて参るわけでございます。
  171. 小松幹

    ○小松分科員 大まかな数字でいきますと、八百億のうちの四百億は一応資産再評価の素材になる。四百億を改良費と見て、改良費の中の資産再評価に上げられる割合は、三十二年度予算の中でどのくらいですか。
  172. 權田良彦

    權田政委員 これは、ただいま御説明いたしましたように、改良費の方から減価償却に上げるわけではございませんので、改良費を使いました結果資産増をいたします。そうすると、それが翌年度において今度は減価償却となって現われて参りまするので、ざっと試算してみますると、三十二年度の減価償却がただいま申し上げましたように四百八十九億ぐらいと考えておりますが、今年度の改良費で資産増を来たしますので、三十三年度では五百億くらいの減価償却に相なるかと思います。
  173. 小松幹

    ○小松分科員 五百億というのは減価償却をする四百億を加えてですか。そうすると、改良費の中で百億というものは本年の改良費に使ったものが来年度は資産再評価の要素になる、大まかな数字でいきますと、こういうわけですね。
  174. 權田良彦

    權田政委員 本年度使いました改良費で資産増をいたします。これはもう再評価の必要はございません。時価になっておりまするから、その資産に見合う分を耐用年数で見合って割りまして、それを四百八十九億にプラス・アルファーする。だから、約十数億の減価償却費増と相なることになるわけであります。
  175. 小松幹

    ○小松分科員 だから、私の聞いているのは、改良費というものの考え方が先に出てくるわけなんです。改良費の中で必ず資産になって資本勘定に繰り入れられていくものがあるという見込みなんですが、そのいわゆる割合というものを聞いているわけです。
  176. 久保亀夫

    ○久保説明員 ちょっとその前提に扱い方を申し上げますと、来年度七百五十億ばかりの自己資金を資本勘定へ繰り入れます。その場合、決算上その七百五十三億のうち約四百九十億を減価償却費として決算をいたします。これはいわば会社の内部保留のような形で、現実にはそれと利益と一緒になって七百五十億というものが改良費の資金になるわけであります。そうして、その資金を受けまして、約九百何十億という改良費で工事をやっていくわけであります。工事をやっていく中で、拡張になる工事と、そうでなくて取りかえと、両方あるわけでございます。取りかえました場合は、取りかえた工事費を新しく財産に載せまして、そのかわり取りかえられた財産の価格を台帳から落すわけでございます。たとえば、貨車なら貨車を一両作りまして、そして古いのを一両廃棄するということにいたしますと、新しいのを台帳に上げまして、古い、廃棄しました分を台帳から落すわけでございます。それから、そのほかに、全然新しい拡張になる、たとえば車両の増備ということになれば、それは財産価格としてはまるまるふえるわけでございます。そういうことで、九百億という改良費のうちの大体半分は全くふえる分と、半分は取りかえに当る、こういうふうに大きくお考えになればけっこうだと思います。
  177. 小松幹

    ○小松分科員 だから、半分はまるまる資産勘定に残っていく、そのうちのまた半分は取りかえによって資産勘定になっていくかもしれない。そうなると、プラス、マイナスで改良費というものは半分以上か三分の二は資産勘定になっていくと見ていいかどうか。大まかな数字を言っているのですよ。
  178. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。資産勘定と申しますか、そうではないのでございまして、いわゆる資産としてそれだけの増が来るわけでございます。
  179. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、この改良費が今度の国鉄運賃値上げの最大の要素をなしている。それで、まるまるとは言わぬけれども、半分は完全、残りの半分くらい、三分の二は資産として残って将来何年かいくという費用を、三十二年度の一年限りの予算運賃値上げに見合うような収入、歳入に見ることが正しいのかどうか。いわゆる資産というものになっていく場合に、十年も二十年も長く使われるような国鉄資産を、本年一年の運賃値上げでまかなっていくということは私は無謀だと思う。運賃値上げというものは、国鉄の経営を主体にして考えると、ある程度の改良費は運賃値上げで見合うてもいいけれども国鉄資産、車両とか、どんどんふやしていくようなものを、そのときどきの現実の足代というか、鉄道運賃にぶっかけていくということは私は無謀だと思う。そういうことをやれば国鉄運賃はますます上ると思う。長い、五十年も耐用年数を持つような資産を本年の運賃に全部ぶち込んでやれば、それは一気にできる。設備なり車両なりは本年はまたたく間によくはなる。よくはなるけれども、その犠牲は、ことし汽車に乗る者、ことし貨物輸送をする者の頭に全部かけられる。これは犠牲が大きいと思う。この点について、本年の運賃値上げの分が全部そういうところに使われるということの考え方ですね。改良費のもとになる運賃値上げの取り方をどう考えるか。そういうことを国鉄はいつもやるつもりなのか。毎年々々そういうことを考えているのか。運賃値上げを一回やったら毎年毎年そうなるが、そうすると、毎年々々の運賃値上げ国鉄資産を作っていくというわけなんだがそういう考え方はどうなんですか。
  180. 權田良彦

    權田政委員 御説明申し上げます。そうではないのでありまして、先ほど申し上げましたように、三十二年度において見ますると、資本勘定へ八百二十八億参りますが、その中から出資金と借入金返還の七十八億が減りますので、工事費としてはそれを差し引いたものが入って参ります。それにさらに、先ほど申し上げましたように三百十五億の外部資金と合せてその九百九十九億の改良費が出てくるわけでございまして、従いまして、三百億有余のものは外部資金によりまして、これは将来輸送力増強に資し、その利子の支払いも可能である電化のことでありますとか、あるいは車両の増備でありますとかいうものに充てられるわけであります。自己資金で見合います分は先ほど御説明いたしました減価償却の四百八十九億と、自己資金で生み出すもので七百五十億くらいでありますが、これは一つは主体として今御説明いたしました取りかえに充てられますし、それから、二百何億のものは、これは事故防止の施設でありますとか、あるいは通勤輸送の緩和でありますとか、現状を打開いたしますために自己資金で充当いたすのでありまして、これは年度々々においてその年度に属する減価償却費を見合って見ておりまするので、三十二年度の二二%値上げで先々何年間の輸送力増強資金を生むわけではございません。従いまして、三十三年、三十四年、三十五年、三十六年と、逐年この一二%に見合う自己資金増並びに外部資金というものによりまして、この工事が見合って、輸送力が増強されて参る、こういうことに相なるわけでございます。
  181. 小松幹

    ○小松分科員 今日国鉄の外部の借入金が出ておることは存じております。しかし、今新線建設もございますから、新線建設に使った残りはほとんどこちら勘定になってくると思う。そうなると、今年の運賃値上げ三百億を生み出す最大の要素は、やはり改良費というものが大幅に見合っておると私は考える。その改良費に国鉄運賃を見合うように引き上げたということについての疑義がある。これは一つの意見にもなるかもしれない。当座の運賃値上げの要素を国鉄の運営費に見合っていくか、資産の場で国鉄運賃値上げを使っていくかという意見の相違もあると思いますが、私は、やはり、本年の国鉄運賃の引き上げの要素に大きく改良費が加わってきたということは、これは十年、二十年の資産を本年一ぺんにぶっ込んだという考え方に立つわけです。もちろん減価償却もあるけれども、その点についての意見の相違もございますけれども運賃値上げをしてこれほどの犠牲を払わねば国鉄は独立採算が保てないのかどうか、こういう観点になるわけです。この点、運賃値上げをせねばならない大きな要素をもう一回説明願いたい。
  182. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。先ほど御説明いたしましたように、将来の改良資金をすべて単年度の三十二年度でまかなうわけではございませんので、三十二年度には当該年度における正当なる減価償却費を自己資金として認めておるわけでありまして、それで、外部資金と合せてこの九百九十九億の改良費ができるわけでございます。運賃原価としてはどういったものを考えておるかということにつきましては、今回の改訂に当って考慮いたしましたものは、まず経営費、それから利子及び債務取扱諸費、租税公課、減価償却費、予備費、さらに採算を度外視しても公共性のために実施しなければならない若干の設備資金繰入額並びに債務償還額、こういうものを原価に織り込んだわけでございます。
  183. 小松幹

    ○小松分科員 運賃値上げの最大の要素は何かというのです。
  184. 權田良彦

    權田政委員 この結果、運賃値上げといたしましては、老朽施設の取りかえをいたしまして輸送の安全度を向上せしめますのと、それから輸送力の増強をいたしまして現在の逼迫せる輸送難を打開することでございます。
  185. 小松幹

    ○小松分科員 輸送力の増強ということは、車両を新設したりすることなんでしょう。そうなれば、やがてはそれが一つの資産として残っていく。それならば、私が先ほど言うたように、輸送力の増強とか言うても、結局は、運賃値上げというものが国鉄資産の膨張のにない手であるということになるわけです。それは間違いですか。
  186. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。それでございますので、三百十五億の外部資金を入れまして、そういう輸送力増強に見合う分の経費に充当いたすわけでございます。
  187. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、三百億なりの外部資金の借入金でいわゆる国鉄の資産に見合うものを全部埋めて、運賃値上げの三百億は全部経営だけの費用にする、こういうことですか。
  188. 權田良彦

    權田政委員 その点は、お答え申し上げました通りに、千六十九億の所要資金が出て参りまして、それの財源といたしましては、三百十五億を外部資金に依存し、残った七百五十何億を自己資金で充当するわけでございます。
  189. 小松幹

    ○小松分科員 だから、私は、外部資金というものは、それはいいと言うのです。いい悪いというのは、一応そう認めよう。しかし、自己資金というものの中に国鉄運賃の三百何十億の引き上げがあるでしょう。その自己資金を振り当てる場所がおおむね改良費に行っている。その改良費は何年か先の資産にまでなる要素がある。こういうことを言っている。それは違うかどうか。
  190. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。改良費と申しております中には、先ほど御説明いたしましたように、取りかえ費もございますし、その他いろいろな完全輸送の強化費もございます。それを、改船費を使いました暁においては、財産純に増なるものと、取りかえ費のごときは前のものが落ちて新しいものが資産に振りかわる、債務の整理ができて参る、こういうことでございます。
  191. 小松幹

    ○小松分科員 だから、やはり私の言うように、運賃値上げの主たる要素というものは、国鉄輸送力の増強とかいろいろありましょうけれども国鉄の資産になるもの、たとえばホームを長くする、長くすると言うても、そのホームを長くしたのが一つの資産として残れば、その資産の膨張というものを本年のいわゆる運賃にぶち込んでいることになる。私は、経営費あるいは輸送力の増強というものの中で、多くのいわゆる国鉄資産として残るようなものは、その年の運賃値上げで見合うてはいかぬ、借入金三百億がありますから全部が見合うたとは言いませんけれども、全部見合うていなくても、主たる要素が運賃値上げにきている。これは少し酷だと思う。そのときの運賃にあまりぶち込み過ぎているという感じがするわけです。ここは意見の相違になるでしょう。運賃値上げをどういう面に使っていくかというのは意見の相違になりますから、それは意見として私は申し上げておきますが、国鉄運賃値上げする場合、三百億の値上げをするのに、一体国鉄は経営合理化をどういう形でやったか、そのことをお伺いします。
  192. 久保亀夫

    ○久保説明員 経営合理化につきましては、鉄道経営調査会の調査の過程にもいろいろ御指摘を受け、またいろいろと御批判を受けた面も実はございます。私どもといたしましては、従来におきましても、あらゆる面におきまして、たとえば人員につきましては、二十四年に十万人整理いたしまして以来、業務量は増加いたしましても、逆に人は減らして参るといったようなきびしい人員の配置転換等をいたして参っておりますし、また、物件費につきましても、予算面にも明らかになっておりますように、たとえば石炭費の節約であるとか、あるいは修繕費の節約であるとか、いろいろな努力をして参りました。   〔宇都宮主査退席、河野(金)主査代理着席〕 それから、端的には、来年度の予算におきましても、予算面に現われておりますように、たとえば収入は運賃値上げによるものを除きまして約二百八十五億ふえるという輸送目標になっておりまして、これに対しまして、固定資産税のわずかの増加を見ますと、六十二億、二百八十五億の増収に対して六十二億の経費を盛っているということで、経営費を極端に切り詰める。これは、たとえば修繕費につきましては、工事費の単価も削りますし、またいろいろな面で工夫を加えて参る、こういったことを強行いたしまして、できるだけ、先ほどお話の出ました減価償却の増加等、あるいは改良資金につきましても自己資金をできるだけふやして、どうしても足りない分を運賃値上げにお願いするというような努力をいたしまして、繰り返し申し上げますように、来年度予算におきましては、物件費につきましては前年度に対して約二十五億予算面で減っている。これを資材の値上り、たとえば石炭、鋼材等の値上り、あるいはまた業務量の増加、一割もふえているわけでございますから、こういったものを考え合せますと、推算いたしまして約百二、三十億というものは三十一年度よりも節約しなければならぬ、していこうということで予算も組まれましたわけで、従来の努力に引き続きまして来年度はさらに一そう経営合理化、経費の節減を徹底してやっていきたい、またやっていかねばならぬ予算の姿でございまして、その上でどうしても足りない部分を運賃値上げにお願いしたい、かような考え方で予算も組みましたし、また今後やって参る考え方でございます。
  193. 辻原弘市

    辻原分科員 関連してちょっとお伺いいたしたいのでありますが、本質的な問題であります。配付されました予算の参考資料の一番最後に本年度の工事の経費の内訳表が出ておりますが、そこでちょっとお伺いしておきます。  承わるところによりますと、最近の交通の隘路を打開するということで、国鉄の方では新しい五ヵ年計画を設定して、相当量の建設を進められるやに承わっておりますが、また、それとは逆に、従来進捗しておった計画が本年度の予算の中で計画以下に削減されているような向きも承わっておるのでございます。具体的にお答えを願いたいと思いますのは、これは古い時代の問題で、戦時中に一時中絶をして、その後建設を継続している紀勢東線の全通の問題でございます。時間がありませんので詳細なことは省きますが、大体目安として三十三年度に一応全通が完成する、こういう見通しのもとに相当期待をしておったのであります。御承知のように、当該地区は、最近の電源開発、あるいは森林資源の開発というものが順調に進みまして、鉄道の要衝とも将来目される地域でありますので、この点、もし当初の計画とは異なって、今年度の計画の中で計画が変更されて削減されるようなことに相なりますと、他産業との関連において非常に支障を生じ、また停頓する面が多々あるかと思いますので、その点、削減されるような計画を今年度持っているのか、ないしは従来通りその建設を進める計画であるのか、また完成年度は予定通りであるか、ただいまのところ延長されるということはないか、こういう点について伺ってみたいと思います。
  194. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。お手元に配付してあると存じますが、日本国有鉄道新線建設計画表と申しまするものは、これは実は昨年の一月に行いました建設審議会へ参考資料として御提出いたした表でございます。これは、今回の三十二年度予算が成立いたしますると、建設費が七十億、うち五億が油須原線になっておりますので、普通建設費が六十五億でございますが、この予算の決定配賦額ではないのでございます。これは、予算の見通しもつきましたならば、再び今年におきまして建設審議会をお開き願いまして、その小委員会並びに総会において大体の工事規模をおきめ願うことになっておりますので、各線別配賦はまだ未定でございます。一応の御参考としてとっていただきたいと存じます。  今御指摘の紀勢線につきましては、私どももこの線は非常に研究、調査いたしておりまして、この表に現われておりますところでは、一応三十五年までに計画数として割り振りをしてございますが、実際問題としては、私、これを繰り上げたい、さよう努力いたしたいと考えておるのでございます。具体的な工事費のワクの配分は来たるべき建設審議会で御決定願うことに相なっておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  195. 辻原弘市

    辻原分科員 今の御説明で若干わかったようでございますが、この表がどうやらいろいろ配布されて、動揺しておるようであります。この表のままでいきますと、従来の建設計画は延びるということになります。今当局としても熱意を持ってこれらの線については予定通りの進行ということをお考えになっておるようでありますから、くどいことは申し上げませんが、これは相当長年月をかけてやった問題ですから、この最終段階にきて、あとちょっぴりさらに計画年次を延ばすということは不届きしごくじゃないかと私は思う。今ともかく運賃値上げの問題が非常にやかましくなっており、しかもそれらを充当してまで隘路打開をやらなければならぬという国鉄の状況をあなた方はるる説明されておるのですから、それにもかかわらず、運賃値上げを伴う、それを財源としない年において立てられた計画において、それが短縮されておるのに、そういうものと見合ってかなりゆとりをもって策定しようとする計画の中で、こういう重要路線が延びていくということは矛盾もはなはだしいわけです。この点は、一つ十分お考えの上、予定通りの進行、建設ができるように要望しておきます。それだけであります。
  196. 權田良彦

    權田政委員 なお重ねて申し上げておきますが、紀勢線については、延ばすどころか、むしろ繰り上げたいと考えておりまして、せっかく努力をいたしております。
  197. 辻原弘市

    辻原分科員 どの程度に繰り上げたいというお考えですか。
  198. 權田良彦

    權田政委員 その点は、私といたしましては、できれば一年繰り上げたいと存じておりますが、先ほど申し上げたように、三十二年度の予算の見通しがつきますれば、来たるべき建設審議会でその点の御決定を願いますので、その方にも十分御説明いたしたいと存じております。
  199. 辻原弘市

    辻原分科員 一年繰り上げたいということになると、完成年度は何年になりますか。
  200. 權田良彦

    權田政委員 三十五年度になっておりますが、三十四年度にいたしたいと思っております。
  201. 辻原弘市

    辻原分科員 先ほどの説明によると、これは審議会の一応の参考に提出した資料だと言われた。その参考の計画から一年繰り上げてもらうということだけでは、別にありがたくもおそれることもないわけです。そういうことじゃないのです。前々からの計画において一年繰り上げるなら話はわかる。ところが、単なる一つの審議会に提出したプランから一年を繰り上げるということでは、実質的な繰り上げ方にはならぬ。これは関連ですからくどいことは申し上げませんけれども、できるだけ繰り上げて進行するように、もう一つ突っ込んでお考え願いたいと思います。
  202. 河野金昇

    ○河野(金)主査代理 先ほどの小松君の質問に対して、鉄監局長から発言を求められております。これを許します。
  203. 權田良彦

    權田政委員 先ほど小松先生から地方鉄道軌道整備法の関係のいろいろな内容について質問がございましたので、ここでお答え申し上げておきたいと存じます。地方鉄道軌道整備法では、天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線に補助を与えます。また設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道でありまして、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずるおそれのあるものについての欠損の補助をいたします。その内容でございますが、まず補助の認定会社というのがございまして、これは先ほどご説明いたしましたが、この資料は今一部手元に持っておりますけれども、膨大なものでありまして、印刷が間に合いませんので、簡単にその内容を説明させていただきます。新線関係も合せまして、今申し上げました通り認定会社から三十一年の五月三十一日までに補助金交付申請書というものが提出されておるのでございます。   〔河野(金)主査代理退席、主査着席〕 新線補助の関係につきましては三十年度末の固定資産を基礎といたしまして、その見込みを含んでおりますし、また欠損補助の認定会社からは二十九年四月から三十年三月までの一年間の実績を基礎として予想収支をあげておるのでございます。これに対して各社別に、新線補助につきましては減価償却費その他を見込みまして査定額を出すのでございます。欠損補助につきましては収入及び支出について査定を加えまして異常なものは取り捨てるのでございます。たとえば人件費等につきましても、責任事故等によります増額は除きます。物件費についても、そういった責任事故等によりますのは、例外なその年限りのものでございますので除きます。なお普通経費でも延帯金とか罰則的な利子払い、過年度の税金というものはこれを取り除いて査定をいたすのであります。こういたしました結果、これが大体予算査定となって現われて参りまして、三十二年度計上額は二千五十二万円でございます。これに対して補助金の実際の交付はどうなるかと申し上げますと、まず新線につきましては三十二年の五月末までに固定資産決算表を提出させまして、これについて査定を行います。それで三十二年九月末現在における補助対象固定資産額を確定いたすのでございまして、そこではっきり整理がつくわけでございます。なお収支の関係が利益がありますと、補助金の控除がございますので、収支決算も査定いたすのであります。欠損会社の申請に対しましては三十一年十月から三十二年九月までの期間の決算についてこまかい各費目別の内規がございますので、各費目別に査定を行うのであります。その結果確定額として補助金の決定をいたすのでありますが、そのためには大体三十二年度の予定を申し上げますと、三十二年の十月から三十三年の二月の間に監査を行いまして、この補助対象固定資産額または欠損額を確定いたすのであります。大体こういった手続になっておりまして、この申請会社に対しては、経営保全に関する指示あるいは研究等に関する指示を行なっております。今まで行いました例でも、たとえばある鉄道会社につきまして自動車事業関係の経営合理化の指示を行なって、この会社の経理内容を好転せしめたというような事例もございます。各社別の数字も持っておりますけれども、これは予算要求としての資料でございまして、今申しました手続でそれぞれ行われますので、ここではっきり各社別の収入、営業支出、これはこまかい内容になっておりますが、一応の要求査定額という数字を申し上げますこともいかがかと存じますので、今そういう手続的な点を申し上げたわけでございます。
  204. 小松幹

    ○小松分科員 そういう手続のことも伺ってもいいが、それがほんとうのねらいではない。問題はいつまで赤字鉄道を敷かれていくのかということです。国鉄ですら独立採算でやれと突っぱねて運賃値上げをやっているのに、片一方では私鉄を何年かかかえて赤字経営を埋めていくのかという基本的な態度を聞いておる。同時にこれは数字的な答弁ではなく政治的な答弁になりますが、もう一つ聞くのは、これはほとんど株式会社ですね。その株式の利益配当というものはないのですか、あるのですか。
  205. 權田良彦

    權田政委員 欠損補助の会社には当然欠損でございますので配当のあるものはございません。新線建設関係の補助会社には、ごく一部にごく低い配当のあるものがございます。これは補助金を減額しております。
  206. 小松幹

    ○小松分科員 そういう赤字線を新設し、それがまた赤字線になって補給金をくれろ、こういう意味の新線建設はどういう観点でやっているのか、私は疑わしくなる。と同時に、先ほど辻原君が陳情演説みたいなことをやっていましたが、国鉄線の新線建設は今一番問題になっているところだと思います。国鉄における赤字の主たるものはこの新線建設が持っていると思う。そうしてその新線建設はいろいろな陳情によって行われておる。採算の合わないようなところを陳情で新線建設をして、そうして赤字が出たら、その地区の運賃ではなしに別の地区の運賃——たとえば北海道でどこか赤字線をやったとすると、そのしわ寄せを九州の野菜にひっかけてみたり、たった二十円か三十円の運賃にひっかけてみたりしてまかなわせる。このようなことを新線建設はやっている。もちろん新線建設は永久に赤字ということもないと思いますが、今後作るところの新線はほとんど赤字線であろうと思います。黒字線などというのは国鉄にまかせやせぬ。黒字のところはバスでも何でも一番先に民間が手をつける。そうして赤字線のところを国鉄にひっかぶせる。そうして国鉄のひっかぶったのは国民大衆にひっかぶせる。こういう格好になっていくのに、一体赤字線をどういう観点でどういう経緯をもって作るのか。作る審議過程も私は大体わかっていますが、私ほんとうに個々の新線建設をここで批判してみたいと思う。今度十何本か新線建設がありましょうけれども、相当問題な新線建設があると思う。一体どういう観点で国鉄赤字線新設を試みようとしておるのか、この点を承わりたい。
  207. 權田良彦

    權田政委員 お答え申し上げます。まず前段の私鉄関係で少し補足を申し上げますると、この新線の補助と欠損の補助が重複している会社はございません。全然別な会社でございます。先ほども御質問がございましたが、あげました鉄道は、一部は、北海道拓殖鉄道補助に関する法律がございましたのが、その法律が廃止になりまして、それをこの地方鉄道軌道整備法で受けて、運輸開始後二十五年を限って補助をいたしますものが二つと、それからあるいは国土総合開発の北上地区でありまするとか、地下資源の開発でありますとか、石炭、工員の輸送に資するものでありまするとか、それぞれ重要な産業開発に資するものと見て、運輸が開始されたときから固定資産の価額の六分に相当する金額以内で補助をするのでありますが、これは運輸開始後十年ということになりまして、補助機関は限られておるのでございます。  次に、今国鉄の新線建設のお話が出ましたが、現在日本の国の鉄道交通網の配置その他から見て、私どもはまだ日本の国有鉄道が十分な交通網を形成しておるとは考えておりません。特に国土の開発、国民生活の安定その他から、なお国家的に見ましても重要な線が残っておりまして、これらについては財政規模との見合はございますが、やはり新線は重要なものから建設して参らなければならないと考えております。その路線の選定その他につきましては、先ほど申し上げました建設審議会というものがございまして、この御意見を尊重して政府としては善処して参っておるわけであります。御指摘のように大体建設線というものは当初においては赤字でございます。しかしこれが永久に赤字であるかどうかはきまらないのでありまして、将来においては相当いい線も出て参るのじゃないか。これに対して一方私鉄には補助をしておいて、国鉄には補助がないじゃないかということがございまするが、御指摘通りでございます。財政規模その他の点から勘案いたしまして、今日の段階では日本国有鉄道に対する新線の建設利子の補助ということは、予算化されておりませんけれども、私ども事務当局といたしましては、この問題に真剣に取り組んで研究をいたしたいと存じておるのであります。
  208. 小松幹

    ○小松分科員 一般会計から補助を出す場合には、これは名目はいろいろあるでしょう、産業開発とかあるが、必ず受益者負担とかあるいは地元負担というものが考えられるはずだと思う。道路を作っても地元負担があるでしょう。港を作っても受益者負担もあれば地元負担もある。営業会社である私鉄会社に補助をして、受益者負担というものを一つも見ない。たとえば、ある産業開発をやるならば、必ず森林資源がそこに出るとすれば、その受益者負担というものを考える。こういう点受益者負担で片手落ちだと思うのです。そうしてここに私鉄のいわゆる赤字線に対する補助をする。それは会社自体は気の毒な点もあります。私がこれを言えば、私鉄の中に働いている、赤字線の中に働いている従業員は給料ももらえないということもあるかもしれぬ。しかし今そういうことを私は論じておるのじゃない。一般会計から支出する補助金の中に——民間企業であるところの私鉄の会社一般会計から補助している。国有鉄道には補助してない。民間会社に補助金をやっている、ここに私は問題があると思う。それじゃその線が産業開発上非常に必要だというならば、受益者負担というものは一体どう考えておるか、その点は考えておるのかいないのか、こういうことをお伺いいたします。
  209. 權田良彦

    權田政委員 交通機関の場合には、運賃の形において利用者から原価に見合うべきものを徴収せしめておりまするので、この地方鉄道軌道整備法におきましては、ただいま御説明いたしました補助は考えておりまするが、受益者負担ということは考えておらないのでございます。
  210. 小松幹

    ○小松分科員 十年間の経営において私企業に補助金を出す。これは相当問題がありますから、私はこのままここで認むるわけにはいかないのですが、それにはそれなりの問題点もあると思います。それから法律の建前もあると思いますが、法律の建前を論ずるのではなくして、それは個々のケースにおいては問題があると思いますけれども予算全体の一つの建前から考えて、私企業に補助金をじかに出して、そうして独立採算制に違反しておるのですね。国鉄運賃等がそういう格好になるのはある程度やむを得ません。しかし、国鉄運賃は独立採算制にして突っぱねて運賃値上げをしておるところにバランスがこわれておるということです。それは私企業は二千万円ですから金はわずかですけれども、おそらくこれに伴って固定資産税の含みもあると思います。この補助の対象にしたことによって、やがては私鉄の固定資産税が相当変ってくる。わずか百万か二百万の補助を受けたことによって相当利益を得ておると思う。こういうことが、私企業に対する考え方としてはちょっとおかしい。何か別個な方法があるのではないか。せっかく作った私鉄でございますから、産業開発なりあるいはその地域の地場の発展を考えれば、こわしてしまうということもできないでしょうけれども、しかし今は地方軌道というものは赤字線になる率が大きいのであります。たとえば引き揚げてバス路線に切りかえておる向きもある、あるいはトラック路線に切りかえておる傾向もあると思います。もし合理化をするならば、ここまで合理化するような考え方に立たなければ——ただ陳情によって、作るときにはやれどうだこうだといって大陳情を受けておって、そうして陳情で新線を作っておいて、あとで赤字になったから補助してくれ、今度の国鉄の新線建設も、作るときには国会議員を利用してやれどうだこうだ、大きなほらを吹いて、帰ってからこれは何々代議士線なんという。これじゃ選挙用の路線じゃないか。代議士のために新線を建設して国鉄をまかなう必要はない。こういうことがたくさんあると思う。だからこういう意味において、もっと抜本的に考えなければならぬ。そういう面において、運輸省全体としてあるいは国鉄全体として、赤字線新設に対しては相当考えて、もっとそこまでほんとうの合理化をやらなければ、あるいは合理的な設計をやらなければ、私は意味がないと思う。ただ国鉄運賃値上げだとかあるいは減価償却をするのだとか、そういう小さなワクの中だけで合理化を考えておるから、こういうところに穴があくと私は思う。これは私鉄に関してはわずか二千万円、あるいは国鉄の新線建設では何十億ですけれども、それを全体として見た場合に、国鉄の経営は一つところをえらく締めて行儀ようつじつまを合せておるけれども、運輸省全体の計画あるいは国鉄全体の計画からすれば、穴があいておると思う。つじつまが合わぬところが出てきておると思う。そこにやはりもう少し考えてやらなければ——何か金が足らぬことがあると、ほら運賃値上げだ、すぐ運賃値上げとか何とかいってぶっかかってくるけれども、足元を締めてもう少し手前をちゃんと整理してかからなければ私はこれは許されない問題だ、かように考えております。そこで先ほどからついておる通り国鉄の合理化は一体どういう形でやられたか。これは答申の内容もあると思いますから、一つ合理化はこういうようにやりました、そうして合理化のために国鉄経営上数字的にこれだけのプラスがありましたというのを一つ言ってみていただきたい。
  211. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄につきましては、前々からいろいろな各方面からのきびしい御注意を受けておりますので、私ども極力合理化をはかって参りましたし、また今後も推進して参りたい、こう考えております。  それで、合理化と申しましても、いろいろな点で合理化をして参らなければなりませんが、大ざっぱに申し上げますと、第一は、経営形態に関する合理化、第二は、節約及び増収・主として財政方面の合理化、それから第二番目には、各方面から御指摘を受けました外郭的団体等に対することでございます。  それで第一点の企業自体のあり方あるいは経営の能率増進という点につきましては、経営調査会の御答申がございまして、経営委員会をやめて理事制にし、また地方をブロックにして責任単位を明確にせよ、こういうふうな御指摘でございまして、それにつきましては日本国有鉄道法の改正がございました。なお先般地方機構の整備を完了いたしまして支社制にし、なおこれに経営目標も授けて、できるだけの能率増進的経営をはからせたいと努力中でございます。  それから第二に、増収並びに節約でございますが、これにつきましては、最近好景気に原因するところも多大でございまするが、とにかく三十年度に対し三十一年度の決算見込みでは大体百四十億程度増収がほぼ見込まれたのでございます。それでこの増収につきましては、やはりそれだけ車も動かし、人も働いて増収を得たのでありまして、これは私どもも極力車の回転率をよくするとか、あるいは職員に努力してもらうとか、そういういろいろな努力を払って参ったのでございます。なおまた節約の面につきましても、これは推進して参りまして、来年度の予算につきましては、先ほども話が出ましたときに御答弁申し上げましたように、増収を三十一年度対三十二年度には二百八十億を見込みましたのに対しまして、経営費の方はできるだけの節約をいたすということで、固定資産税増徴分を除きましては、わずか六十億しか見込んでございません。これにつきましては極力物件費を節約して参りたい、また改良費につきましても工事単価を切り下げて所期の目的を達成していくつもりでございます。  第三の外かく的団体のことにつきましては、国鉄内に公正委員会というものを設置いたしまして、私どもだけではへんぱな見方があるかもしれぬということで、外部の各方面権威者の方々に御委嘱申し上げまして、その御答申を得て、外かく的な団体についてそれぞれ措置を完了いたしました。それでこの点をごく概略申し上げますると、前に共済組合から九つばかりの会社に投資をしておりましたが、これを引き上げるということで、そのうちの二、三の会社につきましては、全額株式を手離しまして、その他の会社にいたしましても、できるだけ急速に二、三年間に株式を整理するという方針で進んでおるのでございます。  それからまたこの工事請負会社につきましては、請負工事予定価格積算基準委員会を作り、また各地に請負業者指名委員会も作らせまして、こういうところで請負工事の価格適正化及び注文先の契約方式の適正化をはかっております。  そのほか、たとえて申しますれば、鉄道弘済会には今まで他の構内営業者よりも多少の割引をしておりましたのを、全く他の会社と同様の構内営業料金をとるとか、あるいは役員その他に国鉄関係以外の者を起用するとか、そういう処置をいたしました。  また日本交通公社については、従来旅館あっせんが独占でございましたのを、複数制にするというふうな措置をいたしました。日本食堂会社につきましても、今まで列車食堂をほとんで独占しておりますのを、これを複数制にいたしまして、極力おいしく安くさせるつもりでございます。  その他、長くなりますので以上にいたしておきますが、そのほかのことにつきましても極力合理化をはかり、できるだけ皆様の御批判にこたえて参りたいと努力中でございます。
  212. 小松幹

    ○小松分科員 では合理化をやったとおっしゃるから一つ……。国有鉄道静岡鉄道管理局で指名競争契約により、日本電設工業株式会社に工事費百九十五万円で請け負わせた飯田線小和田、沢渡間電車線路支線改修工事を設計通りやっていないで、同じものを二度つけ足しておる。それで設計個所が過年度工事で施工済みとなっておる個所と重複している個所が五十三ヵ所、設計個所と相違する個所に施行したと称するものが八十七ヵ所もある。これは一つの例なんですが、こういうことはどうして実際にできるのか、これを御説明願いたい。
  213. 関四郎

    ○関説明員 お答え申し上げます。この問題は日本電設工業に、飯田線というものが買収以来戦時中に手がかけられないために非常に荒廃した、これに対して急速にこれをよくしようということでございまして、これに対する電車線路の支線の改修を請け負わせたわけでございます。ところが、飯田線は御承知のように災害を受けておりまして、そのために支線の不良個所が非常にございましたために、支線取りかえなら取りかえを何ヵ所やるという、数に重きを置きまして個所が合っていなかった。この点は大へん申しわけないことだと存じております。しかしながら、これは一ヵ所が非常に工事量が少い、それに対して人手をかけて十分調査できないというためにこういう結果になっているわけでございます。しかしこれについては今後こういうことのないように——これは戦後の荒廃した飯田線が、その後の災害等で非常に設備そのものが困難になって、しかも老朽しているというようなところから、こういうようないわば台帳の整理が十分にいかなかったという点にあるのでありまして、これについては関係者を十分に厳重に処分いたしまして、今後全国的にこういうことのないように気をつけさせたい、こう考えております。
  214. 小松幹

    ○小松分科員 すでに四十二ヵ所過年度によって支払いをしたものをまた支払っておる。こういうことは帳簿が幾らずさんであったというても、目の先に工事をして、過年度に工事をしたのをまたもう一回支払うというようなことは、いかに国鉄の建設工事がずさんであるかということの一つの例であると思うのです。これは過年度支出をしたものを、過年度に支出ということの帳簿がないというようなことがあるんですか。国鉄の工事では、帳簿がない工事ということを実際やっているんですか。そういうことをやっているんでしょう。ここに証拠が出たんですから……。どうなんです。
  215. 関四郎

    ○関説明員 これについては先ほど申しましたように、非常に飯田線は荒廃しておりまして、それから災害等を受けて——電車線の支線というのは、御承知のように電柱が風で傾いたり何かしないように、鉄撚線で引っぱっているわけでございます。こういうような簡単な設備でございますために、戦後これの整理が十分にできていなかったという点は、大へんこれは申しわけないことに思っておりますが、ただこれももっと大きな——大きなというと誤弊がございますが、これも電柱とかなんとかいうものでございましたら整理が十分できているわけでございますが、今度はこれを機会に完全に整理いたしたい。それからもう一つ工事数量については、これはもともと単価契約のようなふうにしてやるべきものであるはずでございまして、これを個所別に請負工事をこまかくやるということ自身に、かなり現場は広く、二百キロにわたる範囲でございまして、これを一々調べるということにかなり困難がございますので、今後はこれの請負のやらせ方自身についても、数量的にだけ押えるというようなこと一をこれは日本電設工業以外のどこの会社がやるにいたしましても、そういうような簡略な方法をとって、たとえば私鉄なんかでやっておりますような単価契約というふうな方法によるほかにないんじゃないか、こういうふうに考えております。  その台帳の不備の点については・これは今後これを機会に急速に整理するようにいたしたい。これは、実は昨年から大体全国的にやっておりますが、カード式とパンチ式によって整理するようにいたしましたので、今後はこういうことがないようになると思います。
  216. 小松幹

    ○小松分科員 地方の土建屋は、国鉄の工事を請け負うのが一番もうけると言っておる。一番甘やかされた設計で、金もふんだんに取れる、だから国鉄の工事を取りたいというのが、土建屋の一つの念願です。一体随意契約の率が多いのか、指名競争をやらせているのか、あるいは国鉄のお墨付きをいただいた建設会社のみが独占しているのか。最近は少しは民間会社等も指名入札に入れております。入れておりますけれども、大体今までの経営を見ると、国鉄お墨付きの、まあちょうど国鉄推薦旅館のようなものです。お墨付きの土建屋が優先的にその指名に入って、しかも、あるいは随意契約をやって問題を起している。この例をあげますと、国有鉄道大阪工事事務所で、三ヵ年計画で三十一年の四月までやつた工事の、いわゆる赤穂線第五、第六、第七工区建設工事では、それは西松建設株式会社外二会社が受けているが、これは随意契約でもあるし指名競争入札をやらせておりますが、七億二千五百万円の工事をやらせて四千九百万円の高値の、いわゆる指名競争入札、随意契約をやっている。五千万円も高い値段で随意契約をやらせているということがあるが、これはどういうことを意味するのですか。
  217. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 具体的の事件につきましては、係の説明員から説明させることにいたしまして、大体の工事につきまして、私どもの心構えをお答え申し上げたいと思っております。先ほどもちょっと触れましたが、工事関係につきましては、やはり各方面からの御指摘が厳しいので、私どもこれを全く御非難のないようにいたしたい、こういうつもりで、先ほどから申しましたように、国鉄部内に部外者の権威ある方々を御委嘱いたしまして、積算基準委員会あるいは請負工事指名委員会というような委員会を作りまして、工事請負単価の積算などを非常に厳格にいたしまして、それと同時に契約関係を全部改訂いたしまして、一般競争契約を原則とする。ただ国鉄といたしましては、事故なんかの場合に緊急に請負に出さなければならない、あるいは特殊な技能がなければ工事ができないというふうな特殊なものがございますから、そういうものにつきましては随意契約もやむを得ないであろう。しかし極力原則として一般競争契約とし、それに対して、その請負工事会社の資格を明確にいたしまして、工事契約の明朗をはかる、かような方針をもちまして、先般もうすでに積算基準委員会の御答申を受けた次第でございます。さらにまた来年度からは工事量が増額して参りますので、この点につきましては十分に監督もし、また工事の推進をいたすために、国鉄の組織内に監察局というのがございますが、それの運営方針を変え、また強化いたしまして、工事関係につき監督検査を一段と強化して参る、こういうふうな心づもりで今進んでおる次第でございます。なお具体的のことにつきましては係の説明員から御説明申し上げます。
  218. 今井四郎

    ○今井説明員 それでは施設局長からお答え申し上げます。ただいま赤穂線の例がございましたが、これは建設部所管でございまして、私からは具体的に御返事申し上げかねるのでございますが、今副総裁が具体的にと申し上げましたが、施設局といたしまして御質問の趣旨になるべく沿うようなお答えをしたいと思います。  ただいま副総裁からお話のありました通り、従来いろいろと工事単価の甘いこと、あるいは一部のものにばかりやらしておるんじゃないかというような御非難がございました。私どももその点深く反省いたしまして、いわゆる行監問題という時期から今日までいろいろと改善をはかっておる次第でございます。工事単価の積算につきましては、いろいろ直接の工費、材料費とかあるいはそれにいわゆる本支店経費というような間接的な経費を考えまして、その両者の諸経費率というものが、材料の占める割合あるいはその他直接的な経費の占める割合というものによって、非常にむずかしくなってくるわけでございます。この点従来大蔵省の筋の方から出しておりますいろいろな基準もございまするが、そうしたものを参考にいたしまして、またいろいろな権威ある方々の、たとえば建築研究会というふうな方々のお作りになった資料というふうなものでやってきたわけでございまするが、一昨年来そういう積算に関する部外の権威者にお願いいたしまして、約一年間積算の基準を検討いたしまして、いろいろ有益なこのやり方についての御示唆がございましたので、それを全国に流して逐次改善に努めております。  それから指名の方法でございますが、ただいま副総裁からお話がありました通り、国有鉄道は国有鉄道法によりまして、原則は公開競争入札でございまして、一般の工事はこれによっておるわけでございまするが、ただ御承知通り、非常に鉄道の線路建造物というものは特殊な施設でございまして、たとえば一般のアパートに幾ら経験がありましても、線路の加重を受けます建造物というものは果してそれが責任を持ってやれるかどうかわからないというふうなこともございまして、一般の宿舎とか事務所とか、そうしたものは公入札でやっておりまして、特殊な線路の加重を負担する部分あるいは信号保安的な鉄道の機能に密接な影響のある部分、あるいは場合によりましては跨線橋のように脚圧加重の非常に専門的な常識といいますか、そういうもの、あるいは、それに関連のあるような工事の経験、こういうようなもののある工事というふうに拾いまして、そうしたものはそれぞれそうした工事経歴というものを考えまして指名競争もいたしておる次第でございます。随意契約といいますのは、法規で許されましたごく特殊なものでございまして、ごく特殊な技術、あの人しかないという技術をやる者、あるいは特許に関係のあるもの、その他部内の規定できめられましたようなものをやっておるような次第でございます。本日表を用意してなかったのでございますが、いわゆる外かく的な会社指名を受ける回数並びに実際に工事をとった率はぐんぐん下っております。本日その的確な数字を申し上げる用意がないのでありますが、大体以上のような情勢でございます。
  219. 小松幹

    ○小松分科員 今の赤穂線の例をとってみても、いわゆる設計基礎となった、国鉄考えた積算は、電力料金だけをとってみても、電力の使いようがきわめて機械的に積算されておる。受けたものはのんべんだらりと、あれは二年くらいな長期間にわたってやったのだから、電力料金はそれを使っていないが、最初の設計は電力料金というものをきわめてフルにペーパー・プランで出して、実際やってみると電力はどれほども使っていないという結果が出ておる。これはやはりまだ工事者というよりも私は設計の見積りがずさんだといわれても仕方がないと思う。こういう点については、この赤穂線だけをとってみても、一体どこがそういう設計を最終的に判定するのか、それをちょっと伺いたい。
  220. 今井四郎

    ○今井説明員 本日建設部長が出ておりませんで、私かわって御説明することを御了承願います。赤穂線の工事につきましては、ただいま御指摘のように、電力料金並びに火薬使用量が非常に過大に見積ってあって、あえてそれを工事完結までに修正をしてないということだと大体記憶いたしております。われわれ技術者の積算の心がまえといたしましては、どこまでもいろいろな経費を分析いたしまして、それも妥当なる個々の経費を査定して、それを積み上げるということに尽きるのでございますが、何と申しましても、いろいろ複雑な工事になりますと、これは事前の想定にならざるを得ないのでございまして、工事の進捗につれまして実際とこれを合わしていくということが理想でございますが、大体個々のものをぴっしゃり合わすということは、いろいろ現実的にもまた理論的にも非常にむずかしい面がございますので、総合したものがいわゆる予定価格というふうに考えまして、多少片方のプラスを片方でマイナスするというふうなことは、常時各級の工事関係幹部の持っておる常識でございます。しかしながらこの赤穂線の問題のように、非常に予定よりも岩がやわらかかった、そのために火薬量が少くて済んだ、それから事前に見積った電力料が過大であったということになりますと、これは大幅に内訳を修正いたし、設計変更をいたしまして、そこで個々の内容の積算の差引によりまする請負金額というものを修正する必要があるわけでございます。私建設の方を担当しておりませんので、的確に詳細を申し上げがたいのでありますが、しかしながら隧道工事におきましては、その一面やわらかければやわらかいでまた今度は別な経費のかかる事項もあるのでございます。一例をあげますと、支保工のごときは相当やわらかいと、それだけ違った金がかかるということに相なるわけでございまして、要は、どの程度までこれでいいか——要するに総合的に予定価格として大体間違いないからいいのだと判断するかという問題でございまして、ただいま御指摘の最終的にだれが判断するか、これはもちろん従来いわれておりまする工事事務所長、今日の名称では工事局長が判断いたします。
  221. 小松幹

    ○小松分科員 私が特にこういう例を取り上げたのは、本年度の予算が、相当工事多量になり、新線建設も多いので、この予算を通す場合には相当突っ込んだ批判をしておかなければ、金がダブついて、工事請負者がわんさわんさ国鉄へ詰めかけるということがわかっておる。幾ら予算を四苦八苦して作っても、使う方がいいかげんな設計をやり、入札も適当なことをやっているのでは仕方がないから、あえて私は予算委員会でこの既成事実の上に立って申し上げておるわけです。さらに入札の場合に、ぎりぎりの競争入札をされたときには引き札は九掛でいくのですか、八掛でいくのですか。そこのところはどういうところでやっていくのですか。
  222. 今井四郎

    ○今井説明員 国有鉄道では最低価格入札でございまして、その最低の価格に対して八掛の線を引くとか六掛の線を引くということはいたしておりません。
  223. 小松幹

    ○小松分科員 それでは完全なる競争入札というわけですね。
  224. 今井四郎

    ○今井説明員 そうです。
  225. 小松幹

    ○小松分科員 これは、副総裁が今言われた、国鉄合理化の一つの、工事請負制度に伴う請負単価について再検討し、経費の節減に資するとともに、請負工事関係の明朗化をはかる要がある、という経営合理化の答申書について国鉄がどのように考えておるかということを私は聞いたわけなんです。工事請負関係については相当問題があると思いますので、今副総裁が言ったこの答申書をすなおに国鉄が解釈されて、工事請負単価あるいは経費等については御配慮になる必要があると思います。さらに資材購入のことについての答申もありますが、国鉄の古鉄ですね。三月のどんじりになると、古鉄業者がウの目タカの目で国鉄にわんさと押し寄せてきます。品川の工事区なんかには古鉄買いがわんさと詰めておりますが、拾ってみると、くず鉄といってもいろいろあるわけです。案外新品も入っておる。これは私も知っているのです。だれがそれをサゼスチョンしているかということも私は調べておるわけなんです。この古鉄をどういう観点で民間に払下げておるか。きょうの一番くじをとるのとあすの一番くじをとるのとは古鉄業者としても大へんに値が違う。きょうとったやつはいいやつをどんどんとって、新品と思われるものを先に引き抜いてしまう。だから、あとのくじの者の方が悪いわけです。朝、夜の明けぬうちから行って一番くじをとろうとしてがんばっているような状態です。それは、よく見ると古鉄ではない、使えるものが入っているからです。この点、資材調達あるいは払い下げに関して、どういう観点で指導しこれを処置しているか。
  226. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 御承知通り、最近スクラップが非常に貴重になりまして、ことに国鉄の五ヵ年計画を進行いたしますには多大の鋼材が必要である。やはり鉄鋼メーカーにスクラップをこちらから渡しますと非常に製造が楽になる、こういうことで、鉄鋼メーカーからスクラップの供出を依頼されております。従来はスクラップを民間にも払い下げておりましたが、最近に至りまして、かような情勢からほかに売却するのを一応私のところでストップさせてございます。これは中間的な利益を排除して、私の方から直接できるだけメーカーにスクラップを供出し、それによりまして鉄鋼生産を上げてもらう。そうして国鉄五ヵ年計画に多量の鋼材が要りますのでそれを入れてもらう、こういうふうな考え方で、ただいま全国に指令を出しましてスクラップの売却をとめております。たとえば、レールのごときは八幡から買っておりますので、そちらの方へ売り渡しして、価格の差額は払うとして、新品とバーター式にいたしております。ただそれ以外に地方鉄道国鉄の古レールがほしい、こういうことがございまして、かような場合には、同じ交通業者でありますので、適正な価格で払い下げることもございます。しかし、今御指摘になりましたように、新品を故意にくず鉄商売人に払い下げるということは私承知しておりませんし、またそうあってはならぬことだと考えております。
  227. 小松幹

    ○小松分科員 その点については国鉄副総裁の善意を一応認めます。それから日本食堂が食堂車を引かしておりますね。千分の三十だそうですが、かりに東京から大阪まで食堂車を引いた場合、大体計算上十万円は上がると私は見ております。国鉄日本食堂からそのうちの三千円だけ受け取って一車両を引いておるのですが、やはりこういうことで行くつもりなんですか。
  228. 石井昭正

    ○石井説明員 食堂車の営業料金の査定につきましては、昭和二十九年だと思いましたが、いろいろな観点から明朗を期するということでいたしたのであります。結局食堂給食につきましては、鉄道自体といたしましても旅客サービス上いわゆる直営——外国では直営でやっておるところもございます。その業務を代行して営業せしめるという観点もございますので、車両の使用料、運転料というようなものを計算いたし、従来の最も計算しやすい売り上げ料金に加算して千分の三十という率をきめたのでございます。しかし、最近におきましてはこの点についてもう一ぺん検討し直して参りたい、来年度からはその率も改定いたしたいと思ってデーターを集めてただいま検討いたしておる最中でございます。
  229. 小松幹

    ○小松分科員 これは客車輸送というか貨車輸送の一つの問題だと思いますけれども、食堂車を日本食堂に貸して千分の三十の利益金をとるという計算は、私は今の国鉄運賃値上げをして赤字赤字だというものが、東京から大阪までかりに一本入れても、相当の輸送犠牲が単価計算から見てもかかるわけです。そして売上金は十万か何万かわかりませんけれども、私たちの計算では十万くらいはあると思っております。それが三千円だけ国鉄に払って余裕しゃくしゃくと独占経営をしておるところを見ると、これはこの点にも考える余地があるのじゃないか。パーセンテージは私は幾らにしたらいいなんて今考えておりません。同時に鉄道弘済会についても、構内営業が千分の十一になっておる。列車食堂と構内営業あるいは弘済会、こうした独占形態をやっているものに対して、昨年から国鉄に付随した外かく団体というものが相当問題になっている。この問題になった点について——鉄道弘済会と営業の方は少し開いておりますけれども、この点について本年、三十二年度の営業的な一つの観点から見て、どういう考え方に立っているか承わりたい。
  230. 石井昭正

    ○石井説明員 弘済会につきましては、御承知の特殊な使命があるからということで、一般の営業者と料率を異にして、低くいたしておりましたのが従来の沿革でございますが、この点に非常な各方面の御非難がございまして、私どももその御趣旨に沿いまして、三十一年度においては弘済会を一般の業者と区別しないで同じ料率に引き上げたわけでございます。今度は、問題は同じ利率に引き上げられました料率そのものが、一般的にほかの業者も含めて安いか高いかという問題がございます。この点につきましては、二十九年のときに、いろいろの御批判にこたえて、各方面の御意見も拝聴して直したのでございまするが、最近売り上げが増加しておることは事実でございますので、こういう経済界の推移に対応いたしまして、やはりこの点もう一ぺん再検討して参りたい、かように考えておりまして、私どもできれば実は累進的に売り上げの多いものについては率が高いというような方法もあるじゃないかということも検討いたしております。また逆に売り上げの少い所でやっておるものは、半分犠牲的なもので、お客のために荷札を売ったり、切手を売ったり、タバコを売ったりしておりますが、非常に売り上げが少い、一日千円とか二千円しかないところもあります。これらに逆に同じような料率をかけるのはどうかという点もございますので、あわせて検討して参りたいと今作業中でございます。
  231. 井手以誠

    井手分科員 関連して。こんなことを予算分科会で申し上げていいかどうかわかりませんが、小松委員から話が出たついでに申し上げておきたいと思います。列車食堂の食事が高くて、まずくて、サービスが悪いということは定評がございます。朝食をとる場合でも、コーヒーなんかは三回のうち一回、五回のうち二回くらいは忘れられて出てこないのです。今さらここでサービスのことは申し上げませんが、むしろ私は今日駅の立ち売りがこれだけ普及しました場合には、もう運賃まで値上げしなければならない車両拡充の場合に、食堂車は廃止していいのじゃないか。ここで幾ら食堂の問題、率の問題を考えてみましても、直らぬものは直りません。あんな食堂の会社なんかは社長、重役初め第一線に立ってやるべきですよ。会社用の車なんかに乗って回るような仕事じゃありません。そこで私はそういう是正するということよりも、運賃まで値上げして車両の増強をはかろうという今日でございますから、むしろ列車食堂を廃止するということについて一つ御研究を願いたい、ここで私はその点だけ申し上げておきます。
  232. 小松幹

    ○小松分科員 列車食堂を廃止するという方針には私は異議がありますけれども、それはどっちでもいいんですがいわゆる民間の足賃を上げる責任上、国鉄合理化の一つの要素として内部経営の合理化を一つ——御無理なことを言っておるわけではない、積極的にやる必要があるのじゃないかということを申し上げたんです。  さらに国鉄財政の最近における答申の第一に、民間自動車の進出に対していかに対処するかという諮問に対していろいろ出ておりますが、民間バス国鉄バスとのバランス、一体今後国鉄バスをどういう形で運営していこうとするのか。この点に対しましては、バスの路線と民間バスの路線の取り合いがある。そうしてどっちかというと、公聴会などでも、国鉄の方が遠慮している。国鉄が大きいから遠慮しておるのかしらぬが、民間の方がなかなか強い。それは強くてもいいんですが、この民間自動車の進出に対して国鉄はいかに対処するかの答申に対して、今後国鉄バス運営をどのような観点で考え、もうすべて路線の競争はやらない、民間にまかせる、だんだん国鉄バスは遠慮していくという方針かあるいは競争場裏に立ってやるのか。競争場裏に立つておるということは明らかなんです。ということは、朝もあったように、定期パスを発行しないとか、民間の経営と同じように、対々に一つ基本をそろえて競争しておるわけです。しかも競争しておりながら遠慮しておる。だから遠慮するなら遠慮するという方針があるわけです。その点国鉄バス運営と民間バス運営に対する基本的観点はいかに。同時に国鉄バスの進出をどのように具体化しようと計画なさっておるか、その方針やいかに。こういう質問であります。
  233. 石井昭正

    ○石井説明員 大へんむずかしい問題でございまして、御満足のいくような御答弁を申し上げることができるかどうか、はなはだおぼつかないのでございまするが、御承知のように、国鉄バスが開通いたしましたときは、いわゆる建設線の先行、代行あるいは鉄道の既設路線の短絡と、非常にはっきりしたイデオロギーと申しますか、方針というものがあったわけでございます。ところが戦争中に、御承知のように、非常にガソリンの規制がはなはだしくなって、バスと自動車の運行が民間も非常に減って参り、一方交通の需要と申しますと、いわゆる戦力増強のために、山の中の材木であるとか鉱石であるとか、そういうものをどうしても運び出さなければならない。ところが採算からいってもまた資材の手当からいっても、民間ではなかなかできない。そこで国鉄自動車が出ていってやったらよかろうというようなことでいろいろトラックなども、代燃でございますが、たくさん入れまして、鉱石輸送その他の輸送、あるいは旅客輸送と申しますと、海軍の病院のあるところに路線を開通したいというような、いわゆる軍関係の輸送だけは、これがまた民間ではなかなか手の延ばし得ないところも国鉄がかわってやったというようなことで、いささかそこに観念がごちゃごちゃになって参りまして、国鉄バスの開通当時のはっきりした、方針というものが乱れて参ったのでございます。その後終戦後になりまして、御承知のように、GHQの方針として、何でもかんでも民間バスと同じレベルに立ってやるべきだという方針が非常に強く出された。私どもこれに対しましてそういう考え方をするのはどうかとも思ったのでありますが、何分にも当時のGHQの民政担当官の意見がそういうふうになっておりますので、今までやっておりました国鉄との通算——国有鉄道と同じように通算運賃で処理するとかいうことも全部離れまして、別建の運賃となって参り、そして民間バスと同じ立場で公平に競争するのだ——競争と申しますか、同じ立場でやるのだという方向になって参ったのであります。その結果といたしまして、当時戦争中から戦後にかけまして非常にふくらんだ輸送に対して、経営が非常に不合理だ——人員は非常に膨脹しておりましたし、またいろいろな経費などもよけいかかって、赤字が非常にはなはだしかったわけでございます。こういうことでは申しわけがないので、何とかこれを正常な方向に近づけるというために、国鉄自動車といたしましては、できる限り現有の勢力の範囲内で、路線も拡張できるものはお願いし、また貨物輸送につきましては、鉄道輸送の補完といたしまして、共同輸送という言葉で表現しておりますが、貨車代行というこで、小口貨物の輸送を自動車でかわってやって、そうして幹線のレールウエーの方は車扱い輸送という根幹的な輸送の方に回す、あるいは支線区でございますれば、貨物列車と旅客列車を分離して、のろい混合列車というものを整理するという方向に自動車を使って参りたい。あるいはまた都内におきまして荷物電車というものが走っておりまして、一般の電車のフリーケンシーを非常に妨げておりましたのを、貨物を自動車輸送に切りかえるというようなことをやりまして、いわゆる合理化をはかるとともに、鉄道と共同の態勢の方向に持ってくるようにして参ったわけであります。この間の過程におきまして、民間の自動車といういろいろ路線の調整と申しますか、充実等についてトラブルが各所にあったことも事実でございます。私これをあえて否定はいたしません。またそのときには、地元の御要望も、国鉄バスを非常に強く御要望になるところもございますし、あるいはまた二派に分れて、われわれもその渦中に巻き込まれて進退に困るというような場面もございました。今日では現在員あるいは車両の運用というものも相当能率的になって参りまして、自動車関係の収支のバランスもだんだんととれて参りました。おそらく本年度から来年度にかけましては、収支とんとんというような数字も出てくるのじゃないかと思っております。そういうことでございますので、国鉄自動車のいき方につきましては、この辺であらためて再検討いたしまして、そうして鉄道とあわせて一貫した輸送という本来の本義に立ち直って——しかしその一貫した輸送というものは、戦前と比べて今日では道路の状態その他各種の産業構造等の変化とにらみ合せて、どういうものが国鉄と一体化されたところの国営自動車のあり方であるかというこをきめて、その方針で進んで参りたい、かように考えております。はなはだ抽象的なことでございますが、具体的な問題になりますと、沿革もございますし、また地元の御要望、民営業者との関係もございまして、今私が申し上げましたような線ではっきり割り切ったお答えをしにくいところもございますが、そういう考え方でやって参りたいと思っております。
  234. 小松幹

    ○小松分科員 確かに国鉄バスの運営についてはある意味で山がきておるのではないか。再検討するか、あるいは思い切った営業方針に従ってやるかの境が今きておると思いますから、ここで私は国鉄副総裁に問題点を申し上げてみたいのです。あなたたちは都合がいいときは独立採算でやるから運賃は上げねばならぬと言うて、もう昨年からマスコミュニケーションでえらい宣伝をやつてきた。ところがある面では公社というか、何か半官半民の親方日の丸というような考え——現在の交通事業というのは熾烈な生存競争の渦中にあるわけです。この運輸情勢の中にあって、国鉄が片や独立採算制という建前で、一般の国民運賃料金に片寄ってもたれかかろうとする。それならばもう少しサービスの面でも、あるいは一切の経営合理化ということも考え直さなければならぬ。あるいは一面においては競争場裡に本式に入っていかねばならぬ。一面いわゆる生存競争の中に入ることは一向に入ろうとしない。まあ親方日の丸のような経営の姿をして、きわめて、のんびりしたそろばんを持っておる。何も頭がのんびりしておるとか、そういうことではない。事業をやる以上はそろばんを持たなければだめなんです。そろばんを持ってほんとうにやっているのかというと、ある一面では中風病みみたいなそろばんをはじいている。片一方はほんとうに一けたも違っておるようなそろばんをはじいておる。片方はえらいつじつまのあった、独立採算でやりますから、運賃料金赤字でございますから、減価償却はこれだけしなければなりませんから、国鉄運賃は一度上げてくれと言って、えらい国民によりかかってくる。よりかかってくる前に、まず手元を締めなさい。手元を締めて、ほんとうにその交通業の独立採算でやるならば、やるというそろばん、きちっとはじいたそろばんでこなければ、私は国鉄運営というものは今後成り立たない、こういうように考えております。たとえば貨物輸送は、二つの要素をかみ合せて作ってありますが——一体輸送の原価を一〇〇とした場合に、一〇〇の位置を何等級のところに置くか。今六と七の等の間に一〇〇の原価を置いておるが、その一〇〇の原価を一体今度どういう位置に持ってこようか、こういう点についてもそろばんの上で相当考えるかどうか。一方では国策運賃もあるだろう。今貨物はほとんど赤字輸送になっておる。七、八、九、十、十一、十二という等級は、以下一切、いわゆる一〇〇を割るところの赤字輸送になっておる。こういう点について一体どう考える。完全なそろばんをはじいてやるのか、その点についてはそろばんをはじかないのか、そういうところを一つはっきりしてもらいたい。一つの例として貨物輸送をとりましたが、赤字輸送をやりながら、独立採算制というて多数の運賃にぶら下っているような点についてはどうお考えになるか。その点について副総裁の意見を伺いたい。
  235. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国有鉄道は、昔は国家でございましたが、ただいまは公社の形式をとっております。その公社というもののあり方が適当であるかどうかということは、経営調査会で朝野の権威者が研究せられまして、やはりこの形態がまず一番適当ではないか、こういう御結論のようでありました。それで公社と申します性格はいろいろむずかしいことのようでございますが、ただいま御指摘のように、独立採算もいたさねばならぬし、公益的使命も課せられているというふうな相矛盾した使命をになわされ、またそういう両方の負担を受けておるわけでございます。公社の「公」は公けでございまするし「社」は営業を代表しているというふうなことで、営利と公益と両方課せられております。これはいろいろ見る方もございましょうが、割り切っていただければ非常に簡単でございます。しかしまた国民国鉄であり非常に膨大な資産を有しておりますのが、これが営業一本となりましたならば、これも大へんなことじゃなかろうか。と申しまして、また公益だけでいきましても、やはりこれは独立企業体である以上、採算ということも考えていかなければならぬ。でありますから公益と独立採算、こういうものを両方の肩に載せられるのも宿命ではないかというふうにも考えられるわけでございます。その例にとりますると、ただいま貨物運賃についての例をお引きになりましたが、もしほんとうに営利でございましたらば、運賃の立て方も全く違ってくるだろうと思いまするが、たとえて申しますれば、鮮魚あたりは、全国的な平均輸送キロ運賃は、大体五割くらいしかいただいておりせん。五割は赤字だということでございます。木炭あたりも四割くらいは赤字承知しております。その他いろいろな運賃を個々別々に計算してみますと、米でも四割くらいの勉強をいたしております。そういうふうにいたしまして、独立採算をとりまして一ぱいに運賃をいただくということも、国鉄の性格からしてやはりできないのではないか。結局公益と営業と両方うまく使い分けていくということで、私ども非常に力が不足なのでございまするが、両方の重い使命をにらみ合せて、その間でできるだけ勉強して参りたい。片一方はできるだけ冗費を省く、収入もあげていくという面については、できるだけその方法をとりたいと思っております。たとえば電化をいたしまするとか、ディーゼル・カーをいたしますとか、それもそういう意図に立っております。しかしながら通勤輸送というようなものは、これは通勤を強化いたしましても、別に収入がふえるわけではございませんが、これも大きな公益的使命として、こういうこともあわせて遂行していきたい。はなはだ割り切れないことで恐縮でございまするが、そういうふうに考えております。
  236. 小松幹

    ○小松分科員 国鉄については経営合理化の問題、これは特に運賃料金の設定の問題、運賃値上げをする一つの大きな要素になっておる問題だと思います。国鉄運賃値上げ一本にたよって今度増額をして、国会においても運賃値上げを認めたところで予算を提出してきております。私はまだ運賃値上げに対して全面的な賛意を表しがたい。これはもう少し今の運賃率の査定の問題から合理化の問題あるいは減価償却というような問題から考えなければならない点があるのではないかと考えますが、この点については意見の相違とも考えられるので質問はこれで終りたいと思います。  最後に運輸大臣に申し上げておきたいことは、運輸省の所管においては、船舶の問題もあり、国鉄の問題もあり、民間私企業として、の問題もある。重点的な施策をするという観点も考えられますけれども基本的にはどういう観点で考えるか。企業にはやはり独立採算を強要するのか。それとも補助事業としてやっていくのか。ここが問題の点だと思う。  先ほども船舶の問題、利子補給の問題が出ました。本年は利子補給はやらない、既往の第十二次までの造船利子の補給についても辞退を期待する、辞退をしなかったらどうするか、補正予算でもせなければならぬ。こういうことも実に運輸大臣の人の人柄のよさの発言であろうと思っておる。その点は、あまり我を張らないで、強調しないで、実情に即して考えていこうとする御人格の現われだろうと思っておりますけれども、やはり国鉄運賃を上げるという問題点を抱えておるならば、収支独立採算だという建前をとっていくならば、造船の問題にしてもそれを貫かねばならぬだろうし、あるいは私鉄企業についてもその点を考える。そうして筋を通しながら、財政投融資なりあるいは事業の再建なりあるいは新線設定なり、民間企業の補強の問題等は別個な観点から考えて総体的に打ち出して行かなければならぬ。一方は独立採算だから一般会計から出さない。片方では民間企業に補助金を出そうとしておる。造船利子の補給を補正予算いわゆる予算の追加補正をして出さねばならぬだろうというようなことでは、国民にしっかりした観点で打ち出していけない。一つたたかれると弱みが出てくると思う。国民に独立採算をやるから国鉄運賃を今度はぜひ一三%上げさせてくれろ、こうまっ正面からぶち当っていくのにはまことに心もとない気持がしている。この点について運輸大臣の所懐の一端でも承わりまして、私は本日の運輸予算の全体にわたっての質問を終りたいと思います。予算全体についての問題点は指摘いたしましたから、今後はこの問題について考えたいと思いますが、一応全般の質問は終りたいと思います。
  237. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 ただいまの御質問はきわめて重要な運輸行政の方針というか、つまり日本経済の今後のいき方にも関連するわけでありまして、ことにこれは責任の立場にある私として率直に自分考え方を申し上げたいのですが土台は、やはり日本経済は今日資本主義の自由経済の立場にあるわけですけれども、これだけではやっていけない。ということは、社会党の皆さんのお考え方も今日の日本の経済には重大な意味において織り込んでいかれつつあるわけでありまして、その意味から、今日の段階においては、やはり造船であれ、鉄道であれ、私鉄であれ、企業としての原則は認めていかなければならぬ。その意味で政府の直接の仕事でなくて、公社というものを認めて独立採算ということをやっておる以上、やはり企業としての同列の立場は一応認めていかなければならぬ。けれども国鉄のように大資産を持ち、そしてこれに国家が出資しており、ことに公共的な、一番運輸交通の陸上の根幹をなすというものについては、その企業だけの立場でもって押し切っていくこともできない。しかし今日鉄道を利用する人の受けるいわゆる受益というものと、それから国家が投資しておる鉄道の上から、ことに二兆億とかいうものに一切の配当も何も、国家の方は利息も受けておらぬというような立場から、鉄道はやはりその公共的使命に徹していかなければならぬ。こういうようなわけで、これは今ここで割り切ってなかなか申し上げられないので、やはり日本経済の進んでいく行き方に即応して、そういう行き方もだんだん修正していかなければならぬじゃないか。船舶の問題にいたしましても、海運の問題にいたしても、できるだけはその企業の私企業としての立場で行ってもらう。国家の助成とか国家の制約とかいうものはできるだけ避けていきたい。しかし世界の海運の情勢から、世界の各国がこれに対して非常な強力な助成策を講じてきて、日本の立場がなくなる、なくなるときになお貿易の観点からこれをどこまでも押し進めていかなければならぬという情勢ならば、また新たに考えをし直さなければならぬ。国民の税金をもってどの程度にこれはやっていくべきかというようなことは、そのときそのときの情勢でいかなければならぬと私は思うのでありますが、今日の段階においては、やはり国鉄にしてもその他にしても、企業としての独立的な行き方というものは一応認めて、その上に立っていろいろ手を加えて実情に即していくよりないのじゃないか、こういうように私は考える。これが今のあなたの御質問に対するお答えになっておるかどうかよくわかりませんけれども、大体そういう考え方を持っております。
  238. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 山本猛夫君。
  239. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 私は時間もございませんから要点だけ二、三——あるいは国鉄基本方針になるかもしれませんし、また運輸省の今後の運営の基本の問題の一、二点を運輸大臣にお尋ね申し上げます。  世界の大都市、ことに東京でありますとか大阪というような膨大な人口を持っておりまする世界の大都市は、大都市へ汽車が入って参りました場合に、もうほとんどと言っていいくらい地下にもぐって、地上線というものははずしております。たとえばパリの停車場にいたしましたも、シカゴやニューヨーク市の停車場にいたしましても、地上路線をとっている。ことにニューヨークなどは高架線もはずしている。こういうようなときに、東京でありますとか大阪でありますとかいうようなところでは、地上線をさらに倍加していく、駅の構内を広げていく、こういうような実情でございますけれども運輸大臣はこういうようなやり方をいつまでも続けていかれるのか。つまり鉄道鉄道、ほかの交通には関係がないのだというようなことを現実の上でやっております。ところが交通行政に関する限は運輸省がどうだこうだと言われます。でありますから、基本的な問題として将来の運輸大臣考えておられる点を明示されたい。
  240. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 この問題は都心の交通機関として、たとえば郊外の電車が地下鉄に連結していくというようなことは、これはどうしても日本でもやっておかなければならぬことだと思っております。しかし貨物を持つ大きな主要線の鉄道まで地下に埋めていくということは、今日の日本の実情においてはとうていやり得ないと思うのですが、都市の交通という面で、ことに電車のようなものを地下鉄が完備していきますればこの中に乗り入れてやっていくということは欧州その他アメリカあたりでもやっている通り、だんだんその点はやっていかなければならぬと思っております。
  241. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 今の大臣の御答弁に関連して、小倉副総裁にお尋ねをいたします。実情は上野の停車場をごらん下さい、あるいは東京のステーションをごらん下さい。ほかの交通機関からおりてくる人たちが殺到して、車の置き場所もありません。こういうようなことで、たとえば上野の停車場などは、あれ以上もう客を収容している場所を広げることもできますまい。こういうような場合に、地上路線があのどまん中までやってきている。それを今運輸大臣のお答えになるようなことでいったら、今後百年たち二百年たつうちに、大都市の交通運営に鉄道がじゃまになって、どうにもならなくなる。あなたはこれをどういうふうにお考えになりますか。
  242. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 もちろん都心の鉄道は高架か地下になるのが最も適切だと存じます。ところが昔は上野駅でも東京駅でも、あの程度でよかったのでございますが、近年非常に乗降客が多くなってきた。昭和十一年あたりは東京駅の乗降客が十五万くらいでございましたが、最近は五十万、六十万になっております。ことに東京付近の通勤は、毎年五%ないし六%程度ふえる。こういうふうに急に輸送力がふえて参りましたために、上野であるとか東京駅は施設が追いつきませんので、ああいうふうな混雑状況になります。それで私どもは極力駅の改良を考えてはおりますが、おっしゃいました線路を直ちに地下に入れるあるいは高架にするということは、これは非常に金がかかります。地下鉄の例から申しましても、おそらく一キロ今二十億くらいかけておると思います。それから大阪で環状路線を少しの区間高架にいたしますのでも四、五十億かかる。こういうようなことでございますから、理想はできるだけ都心にある線路は高架または地下が望ましいのでございますが、現状におきましては、そこまでの改良をいたすだけの余裕財源がない、率直に申し上げればそう白状申し上げるよりほかないのでございます。
  243. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それでは将来財源に余裕ができたりあるいは財源の見通しがついたりなどしました場合には、都心に入って参ります路線は地下でいくというお考えがおありになるわけですか。
  244. 今井四郎

    ○今井説明員 私からお答え申し上げます。ただいま先生から言われました、国鉄が将来都心に地下でもってくるような考えがあるかどうかという御質問でございますが、現実の問題といたしましては、御承知のように、東海道も増強を要しますし、中央線も増強を要します。また常磐、東北それぞれ困っておらないところはないような実情でございまして、将来一定の資金をもってこれを打開するのに実は日夜苦心いたしておる次第でございます。都心において地下を利用するかどうかの前に、どこまで、たとえば東京駅前に集めるかどうか、こういう問題を私ども考えております。従来もいろいろ国会のほかの問題に関連いたしまして、あるいはは池袋駅の将来あるいは新宿駅の将来こういう問題も御論議があったのでありますが、そこでも御説明通り、できる限り新宿で持ち得る終端駅としての機能は新宿に持たせたい。また池袋においても、上野を救済するという意味でもなるべく池袋をそういうふうに扱っていきたい、こういうふうに考えておりました。しかしながらなかなか新宿なり池袋を都心としてそういうふうに使うという考え方も、これまたいろいろな資金を要する、あるいはは他機関との協議も要するというようなむずかしい問題もございまして、私どもは高架ばかりも考えておらないのでありまして、先生の御意見のような地下も比較案といたしまして常時できるだけの検討をいたしております。その一例といたしましては、相当将来の問題でございますが、総武線の地下による東京駅周辺の乗り入れ、これも検討はしておりますが、ただいま副総裁のお話の通り、これは非常に巨額の経費を要するというようなことで、今のところとても具体的には検討が進まない。こういうふうなことでございまして、そういう一面から申し上げますと、やはり個々の路線については比較検討はいたしておるわけでございいまして、決して一概に地下を考えないということでもないのでございます。
  245. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 簡単にやめようと思いましたが、夢のような話だとおっしゃるから申し上げます。もしそういうふうに今財源の問題でできないのだということが主眼であったら方法があるじゃないですか。たとえばわざわざ川を埋めて、川を使わないで建物を川の中に建ててしまったり何かしているような、たとえば高速道路のごときはそうなのです。それから今池袋でやっておいでになる、わざわざあんなところまで、狭くなるのがわかり切っていて民間資本とタイアップした駅舎の構築をやっている、ああいうものは将来地下にするのだというなら、ああいうようなものを建てるときにだけでもせめて将来の構想に向ってなぜあの路線の上を利用しないか。分科会ですから具体的に申し上げますが、今の池袋のものを一階だけにとめて、あとは線路のあるところに持っていってお建てになるという御意思はありますか。
  246. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先ほど申し上げました通りに、ただいまのところ環状線も京浜東北線も総武線も都心に近いところは高架になっておるのでございます。
  247. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 そんなことを聞いておるのではないのです。池袋のものを一階だけでやめてあとは線路の上に建てる意思があるのかないのかということを聞いておるのです。あるならある、ないならないでいいです。
  248. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 それは今調査研究をいたしております。
  249. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それではその問題はあまり長くなるからやめましょう。  運輸大臣一つ伺いますが、関門トンネルができて、本州と九州をつないで大へん便利をいたしております。今は北海道の開発とか東北の開発がやかましくいわれておりますけれども、まずその前提となりまする本州と北海道をつなぐ海峡路線のお考えはどの程度までお進みになっておりますか。
  250. 權田良彦

    權田政委員 青函の航路の関係においてこれを将来隧道にいたしまして、北海道の開発に資するという計画、並びに四国に対しまして橋梁もしくは隧道でこれを結ぶ、これによりまして日本の島がすべて鉄道によって結ばれて国の経済開発上きわめて大きな効果があるという問題は御指摘通りでございます。その点については私どもといたしましても目下慎重に研究をいたしておりますが、さらに技術的な点については国鉄ですでにいろいろな調査もいたされておりまして、そのデータを取りまとめ中でございます。少くともこの三十二年度におきましてはこれの根本計画を政府としても樹立いたして、できるだけこれが実現に努力をいたしたいという心組みでおるわけでございます。
  251. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それで了承しましたが、三十二年度の予算でディーゼル動車を何両お作りになりますか。
  252. 權田良彦

    權田政委員 ただいまのおおむねの計画では大体ディーゼル動車は三百四十二両ばかり作る計画になっております。
  253. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それだけの数量を重点的に配置をせられますか、それとも按分して均等に各線に配置をせられますか。
  254. 權田良彦

    權田政委員 この配置計画についてはまだ具体的に考えておりません。いずれ国鉄ともよく打ち合して配置をきめたいと思います。
  255. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それでは注文しておきますが、たとえば四国の、トンネルが百以上もあるところとか、あるいは岩手県の山田線のような、一線に百以上もトンネルのありますようなところに重点的に配置せられるようにお願いいたします。  それからもう一つお伺いしておきますが、観光局長さんは汽車や船で観光客を運ばれる場合、今の御方針としては、数が少いでしょうけれども、外客は考えておらないか、あるいは国内の人だけを考えておるか。
  256. 間島大治郎

    ○間島政府委員 観光政策といたしましては、現在までのところは国際観先に重点が置かれておりましたので、われわれといたしましては交通機関の点につきましても、外客輸送の改善というふうな点に重点を置いておったことは事実でございます。ただ最近この一年くらい前からの考え方といたしましては、国内の経済、民生も安定いたして参りましたので、この際大衆の健全な旅行の奨励というふうな見地から国内観光業務を取り上げなければならないという考えでございまして、御承知かと思いますが、昨年八月上旬に観光事業の振興基本方策という閣議決定がございました。その中でも国際観光のみならず国民の健全な旅行の奨励をはかるという方針が打ち出されましたので、私どもといたしましても、現在はそういった面につきましても、国内交通の改善という点は両者を考えていく方針であります。
  257. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それで客を運ぶ方はわかりましたけれども、行ったら泊らなければならない場合もあるのです。外客を誘致した場合にホテルに泊めなければならぬ。また国内の今のそういうレクリエーション的なものでも泊めなければならない。そういうような方の連絡はどうなりますか。
  258. 間島大治郎

    ○間島政府委員 外客の宿泊施設の面につきましては、御承知かとも存じますが、国際観光ホテル整備法というような法律がございまして、これに外客の宿泊に適する宿泊施設の設備基準をきめてございます。そういった施設ができるための各種の援助をやる。たとえば、そういった一定の基準のホテルができました場合には、登録という制度を作りまして、運輸大臣に登録いたしましたものにつきまして若干の税制面の助成あるいは融資のあっせんをする、こういうことをやっております。それから、国内的な問題につきましても、中小企業金融公庫あたりで、たとえば旅館の施設の改善というふうなものにつきましては融資の対象にするというふうな措置を現在までもとっております。相当額、数億の金が毎年中小企業金融公庫からも旅館の設備改善に融資されております。
  259. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 そんなことをおっしゃいますけれども、私も世界中あっちこっちほっつき歩きましたが、日本のホテルのどこと連絡をとっているのか知りませんけれども、たとえば、具体的に名前をあげては差しさわりがあるかもしれませんが、日比谷の日活ホテルなんというのは、外客を泊めて恥こそかけ、あんなものはホテルのうちに入らない。ベッドはひざっこぞうが傷だらけになるような、終戦直後のかどのとんがったやつがにゅっとマットの上に出ていたり、そうして飯はこげたようなものしか食わせない。おそらく日本では、例をあげれば帝国ホテルとか、大阪の、古いけれども新大阪ホテル、箱根の富士屋ホテルくらいです。これ以外のところは、私も勉強のためにずいぶんホテルを歩いておりますけれども、ホテルらしいホテルというものはないのです。そうすると、今あなたのおっしゃっていることと実際とは違うのです。それから、国内の人たちが泊るような場合でも、温泉宿へ行ってごらんなさい。たとえば熱海とか箱根あたりでも、これは国内の健全なとかなんとかあなたがおっしゃったようなことのために旅行するような人たちが泊まったって、値段ばかりべらぼうに高くて、サービスが悪い。それから、東北の温泉へ行けば、下を向けばウジがうようよしていて、くさくてたまらないというような状況で、今あなたがおっしゃることとはおそらくそぐわないと思うのです。こういうような点をどういうふうに改善されていこうとするのか、あるいはまた、あなたは観光局長としてその職責だけおやりになっておって、そういうホテルを泊まり歩いたことはおありにならないのかどうか。
  260. 間島大治郎

    ○間島政府委員 現在の日本の国内の宿泊施設が、今御指摘になりましたように、必ずしもまだ海外諸国と比べて十分な域にまで達していないということは、私もよく承知をいたしております。しかし、この点は、私の見ますところでは逐年改善を見ております。まだ不十分な点もございまするので、私どもは、融資あっせんあるいはまた行政指導というふうな面、あるいは業者の協力を得まして、逐次改善をさしていっておるはずでございますが、ただ、現在制度的にいたしましても、たとえば融資の面におきましても、融資条件あるいは融資量と申しますか、そういうふうな点が必ずしも十分ではないのでございます。現在各方面の応援を得まして、また特に自民党の方におかれましても観光事業特別委員会でそうした施設の改善のための各種の方策を研究されております。私どもは、至急にこの点を改善いたしたいということで、そういった施設に対しまする融資の面の改善で、まず資金量を十分確保する、それから融資条件、たとえば利率あるいは貸付の期限というふうなものを、従来のものよりも延長するというふうな措置をとりたいということで、せっかく各方面と協議中でございますが、この点につきましては、先ほども申し上げました通り、国際観光並びに国民の健全な旅行の奨励、こういう二つの面から、従来よりも範囲を拡大いたしまして、できるだけそういった施設をりっぱなものにしていきたい、かように考えております。
  261. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それでは、もう一つだけ、政府委員どなたでもけっこうですが、さっき小倉副総裁が言っておられました国鉄は独立採算の公社だということ、その反面にはやはり公共の福祉とおっしゃっておる。そこで伺いますが、東海道線は、なるほど、上等なお客様がたくさん乗っかって、いい荷物をたくさん積んで、お金がもうかるのでありましょうが、それでは東北の方には上等な人間はいないのかというふうにもひがまざるを得なくなる。ことに運輸大臣の長野県には上等な人がたくさんおるはずであります。それから、もう一つには、そんなにもかかるまいと思うようなことで、非常に便利になって、もちろん公共のためにもなる、運輸上も大変いいと思うようなことの例として、たとえば山田線、釜石西線の循環線、あれは盛岡の駅舎にホームを一つよけいつけて、そうして東北本線を利用すれば、ぐるっと循環線になる。こんなことは、あえて山田線や釜石西線ばかりではない。そういうようなものをおやりになろうとしたって、こんなものは予算が幾らもかかるものではないと思う。構内をちょっといじればよい。これはどうですか。
  262. 今井四郎

    ○今井説明員 今盛岡のホームの例が御指摘がありましたが、盛岡を中心とする山田線、釜石西線の循環の運行は、鉄道考えておるのでございますが、ただいまお話のありました盛岡のホームは、御指摘通り広げなくては、現在のままではだめでございまして、山田線のホーム一面は行きどまりになっておりますので、駅本屋の前をつき抜けていかなければならないのでございます。そのつき抜け計画は国鉄としては持ってございますが、そうあまり安くいきませんので、やはり駅本屋を前に出しまして、山田線をつき抜けてもう一面島式ホームを作るということになりますと、やはりそれだけでも四、五億の金に相なります。駅本屋改築ということになりますので、そのくらいの額になりますので、早急には実現が不可能か、かように考えております。
  263. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それは私も別な見解がありますけれども、時間がありませんから、あと何かの機会に保留しておきましょう。  それから、東北には上等な人間がいないのだというふうにお考えになっておる一例として、たとえば東北本線の復線には金が要るだろう。しかし、電化にはさしたる金が要らないだろう。来年度、三十二年度までに上野からどこまで電化されますか。
  264. 関四郎

    ○関説明員 お答えいたします。ただいまの御質問で、東北には上等な人間がいないというふうに考えるとのことでございましたが、私も東北であります。それで、三十二年度には東北線関係は車両と地上と合せまして約四十五億の金をつぎ込みまして、宇都宮まで今年一ばいくらいには電化運転を開始したいと思っております。それから、引き続きまして福島までの電化を、もしも予算が成立することができましたならば三十二年度中にやりたい、こう考えております。大体一昨年秋に国鉄で三千三百キロ電化計画というものを立てまして、これで五ヵ年間に千六百六十五キロ、八百六十五億の予算で電化したいということになっておりました。その予定では、三十二年度が初年度でありまして、第五ヵ年、三十六年には盛岡まで電化がいくことになっておりまして、大体線増と同じくらいのスピードでいくと存じます。
  265. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 青森まではどうですか。
  266. 関四郎

    ○関説明員 お答えいたします。青森までについては、これは現在五ヵ年計画の中に載っておりまして、予算ではこれは入っておりませんが、しかしながら、一応電化をもっと促進しろというふうな御意見もございました。実は、現在の状態では、五ヵ年間に盛岡へいくこと自身も財源の問題がかなり問題になると思います。しかし、これは国鉄の合理化の意味からもぜひ進めたいと考えておりますが、できますれば、これをもっと——財源的に、またこの五ヵ年計画が正常にいきますと、資材の準備その他のことも軌道に乗りますと、もっと進めることができる。しかし、五ヵ年後にどこをもっと先に延ばすかということは、もう少し検討してからきめられるものじゃないかと思っております。これが五ヵ年間にもっと進めば……。
  267. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 最後に運輸大臣に伺います。それでは、東京から大阪を通って九州までも日本でございます。東京から仙台を通って北海道の端っこまでも日本でございますが、運輸大臣はこの縦断の主要路線を積極的におやりになる御意思がありますかどうか。たとえば複線とか電化とかを含めて、東京から東海道線を通って九州の方ばかりりっぱになさっておるということは独立採算制のためだと言われるが、しかし公共のためのもあるのです。ですから、これを機会に、あなたが御在任中にそういう考えを軌道に乗せていくだけのことをおやりになっていただきたい。
  268. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 やっていこうと考えております。
  269. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮主査 他に御質疑はありませんか。——ないようでありますから、それでは運輸省所管質疑はこれにて一応終了いたしました。  次会は明十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会