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1957-02-11 第26回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十二年二月九日(土曜日)委員 長の指名で次の通り選任された。    主査 宇都宮徳馬君       江崎 真澄君    小泉 純也君       河野 金昇君    河本 敏夫君       小坂善太郎君    上林榮吉君       山本 猛夫君    井手 以誠君       小松  幹君    森 三樹二君 —————————————————————   会 議 昭和三十二年二月十一日(月曜日)     午後一時四十八分開議  出席分科員    主査 宇都宮徳馬君       江崎 真澄君    河野 金昇君       河本 敏夫君    小坂善太郎君       上林榮吉君    井手 以誠君       小松  幹君    森 三樹二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君         郵 政 大 臣 平井 太郎君         建 設 大 臣 南條 徳男君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 静夫君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  加藤 桂一君         郵政事務官         (保険局長)  成松  馨君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君         建設政務次官  小沢久太郎君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         郵政事務官         (事務次官)  小野 吉郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計予算運輸省郵政省及び建設省所管  昭和三十二年度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管  昭和三十二年度政府関係機関予算運輸省及び郵政省所管     —————————————
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査の職務を行うことになりましたので、よろしくお願いいたします。  本分科会は、御承知通り昭和三十二年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管審査を行うことになっておりますが、予算委員会理事会の申し合せによりまして、分科会審査日程は一応本日より十四日まで四日間となっております。よって、本日はまず本分科会所管全部についてそれぞれ政府説明を聴取し、引き続き郵政省所管について質疑を行い、明十二日は建設省所管、明後十三日は運輸省所管、十四日は再び郵政省所管のそれぞれ質疑を行う予定にいたしておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。  では、ただいまから昭和三十二年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管一括議題とし、審査を行います。  順次政府から説明を求めることにいたします。  まず運輸省所管について説明を求めます。宮澤運輸大臣
  3. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 それでは私から昭和三十二年度運輸省予算について御説明申し上げます。  まず歳入予算でありますが、昭和三十二年度運輸省主管歳入予算総額は、十三億三千二十六万四千円でありまして、前年度予算額六億三千七百八十六万二千円に比較いたしますと、六億九千二百四十万二千円の増加となっております。このおもな理由は、三十二年度におきましては、日本国有鉄道に対する政府貸付金の一部償還を見込み六億五千二百三十六万三千円を計上したことによるものであります。  次に歳出予算について御説明いたします。  三十二年度の運輸省所管予算計上総額は二百五十三億三千六百二十一万二千円でありまして、これを前年度予算額二百四十四億四千百五十四万五千円に比較いたしますと、八億九千四百六十六万七千円の増加となっております。この他、他省所管予算として計上されておりますもので当省に関係あるものといたしまして、北海道港湾事業費北海道空港整備事業費等三十億二千五百六十三万九千円がございます。  以下歳出予算のおもな点につき御説明申し上げます。  まず、国際収支改善目的とした施策に関連した経費でございますが、第一に国際観光事業振興に必要な経費として一億五千万円を計上しております。これは前年度予算額に比べ七千万円の増額となっておりますが、海外からの観光客は年々増加の傾向にある現状より見まして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、三十二年度においては、財団法人国際観光協会に対する補助金を大幅に増額するとともに、観光事業振興に必要な諸調査実施し、もってわが国国際観光事業飛躍的進展をはかろうとするものであります。  第二は、国際航空事業に対する助成措置でありますが、これに要する経費といたしましては、大蔵省所管産業投資特別会計中に前年度と同額の十億円が計上されております。国際航空事業振興については、各国とも積極的助成策をとっているのにかんがみ、日本航空株式会社に対し、昭和二十八年度以来四ヵ年にわたって、四十億円の政府出資をなしてきたのでございますが、さらに健全な発展をはかるため、三十二年度においても十億円の政府出資をいたしたいと考えているのでございます。なお、日本航空株式会社に対する補助金は、同社営業状態改善にかんがみ、三十二年度はこれを打ち切る方針でございますが、同社に対する融資円滑化をはかるため、社債の政府保証は三十二年も行いたいと存じます。  第三に、船舶車両等輸出振興に必要な経費でありますが、これは、船舶舶用機関車両及びこれらの部品等輸出増進をはかるため関係団体の行う海外市場開拓維持のための諸施策に要する経費の一部を、補助しようとするものでありまして、通産省所管貿易振興費の中に含まれて計上されております。  以上は国際収支改善に関する経費でございますが、これに関連いたしまして、外航船舶建造融資利子補給につきまして一言御説明いたしたいと存じます。  御承知のように、目下のところ海運界は好況に恵まれ、海運会社経理内容は好転いたしております。従って第十三次計画造船につきましては利子補給を行わないこととするほか、第十二次船以前分の利子補給についても円満に辞退していただくよう措置いたす方針でございます。しかしながら、海運国際競争力保持はきわめて重要な問題でございますので、将来もし海運界が不況に陥るような際にはまた利子補給を行うようにいたしたいと存じております。また、わが国経済規模拡大に即応し、貿易振興国際収支均衡をはかるためには、引き続き積極的に外航船腹の拡充をはかることが必要と考えられますので、計画造船のための日本開発銀行よりの融資につきましては、これを重点的に拡充し、百八十億円をこれに充てることとし、さらに同銀行のその他のワクより二十億円を加え、合計二百億円の資金をもって約四十万トンの建造を遂行いたしたいと考えております。  次に輸送力整備に関する経費について申し上げますと、第四に、港湾整備に要する経費として、運輸省所管に八十六億三千五百九十六万五千円を計上いたしておりますが、この他総理府所管北海道港湾事業費十一億六千六百五十万円が計上されており、また、労働省所管特別失業対策事業費のうち四億五千七百万円が港湾事業に充てられることとされております。従いまして、三十二年度の港湾整備のための経費は、総額百二億五千九百四十六万五千円となり、前年度に比べ約二十七億円の増加となっております。  港湾整備事業内容といたしましては、外国貿易港、工業原材料輸送、特に石油輸入関係のある港湾地方中小港湾離島、僻地の港湾及び避難港の整備海岸保全事業港湾災害復旧事業等がおもなものでございます。  第五に、離島航路整備補助に必要な経費として五千五十四万三千円を計上しておりますが、これは、離島航路整備法に基きまして、民生の安定と向上をはかるため、国が特に維持を必要と認める離島航路事業航路補助金を交付するに必要なる経費及び離島航路用船舶建造または改造資金融資に対し利子補給を行うための経費であります。なお、三十二年度において締結する新規利子補給契約限度額は二千万円といたしたいと考えております。  第六に、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として二千五十二万円を計上いたしておりますが、これは、地方鉄道軌道整備法によりまして、天然資源開発等のため特に重要な新線及びその運輸継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずるおそれのある老朽線に対し補助金を交付するために必要な経費であります。  第七に、高速自動車道整備計画樹立のための調査に要する経費として、五百万一千円を計上いたしておりますが、高速自動車道建設は、多額の経費を要するものであり、かつ陸上輸送体系根本的革新をもたらすものでありまして、その整備計画樹立に当っては十分な調査を行わなければならないと考えられますので、三十二年度においては、高速自動車道に関する経済調査を、東京−神戸間について実施しようとするものであります。  第八に、空港整備事業に必要な経費として運輸省所管に六億一千二万円を計上いたしておりますが、この他総理府所管北海道空港整備事業費一億二百五十万四千円が計上されております。従いまして、空港整備のための経費総額七億一千二百五十二万四千円となり、前年度に比べ約五億五千万円の増加となっております。  三十二年度の事業といたしましては、東京国際空港に関しては、昭和三十五年度よりのジェット輸送機の就航に即応するため、一万フィート滑走路新設工事に着手することとし、ローカル空港に関しては、三十一年度に着工した稚内、高松、大村、熊本、鹿児島等の五空港整備をさらに進めるとともに、釧路、函館、広島、松山、高知の五空港新規に着工いたしたいと考えております。  次に交通安全確保災害防止に関する経費について申し上げますと、第九に、自動車検査施設整備に要する経費として四千二十八万三千円を計上しております。これは、最近における自動車数の激増に対処するため、所要の地に車検場を新設するとともに、既設車検場における検査合理化能率化をはかるため、機械器具等を充足整備するに必要な経費であります。  第十に、海上保安体制整備に要する経費として、七億四千八百四十五万三千円を計上いたしておりますが、これは、海難救助海上犯罪の捜査の体制を強化するため、巡視船艇航空機及び諸施設等整備するとともに、海上航行の安全と能率化をはかるため、水路業務燈台業務等を強化するに要する経費でありまして、このうちおもなるものは、巡視船艇代替建造に要する経費二億三千二百七十五万八千円、航空機増強に要する経費二千五百九十三万三千円、航路標識整備に要する経費四億二千八百六十六万六千円等であります。  第十一に、気象業務整備に要する経費といたしまして三億六百十二万四千円を計上いたしております。これは、気象観測、通信、予報体制を強化し、もってその的確化迅速化をはかり、災害防止産業発展国民福利増進に資するため、施設整備等をはかりますのに必要な経費でありまして、そのおもなる内容は、無線模写放送実施に要する経費五千三百三十六万三千円、水理水害気象業務整備に要する経費一億二千二百八十五万七千円、測候所新設に要する経費一千四十七万円等であります。なお、この他数値予報実施に必要な電子計算機借り入れ契約をあらかじめ締結するため、国庫債務負担行為二億円を計上いたしております。  次に、第十二といたしましては、科学技術振興に要する経費一億四千四百六十五万八千円を計上しておりますが、これは運輸関係科学技術向上振興をはかるために必要な経費でありまして、運輸技術研究所及び気象研究所整備に要する経費、原子力の利用に必要な経費並びに民間の科学研究促進、奨励するための科学研究補助金等がその内容であります。  第十三に、船員教育充実に必要な経費として一億五千八百三十四万一千円を計上いたしておりますが、これは、船員教育重要性にかんがみ、その充実をはからんとするものであります。その内容は、海技専門学院航海訓練所及び海員学校における施設整備等をはかるに要する経費並びに小型船舶職員の養成に対する補助金であります。  以上が昭和三十二年度運輸省予算概要でございますが、何とぞ十分に御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に、昭和三十二年度日本国有鉄道予算概要について御説明申し上げます。  来年度の予算編成に当りまして、まず収入につきましては今年度の経済情勢がそのまま来年度も持続するものと想定いたしまして、相当の増収予定し、一方支出におきましては、避けられない経費増加もありますが、極力経営合理化に努めることといたしております。最近の国内経済の活況を反映いたしまして、国鉄に対する輸送需要は急激に増加し、これに対応いたします輸送力はその限界に達しており、一方累積する老朽施設の取りかえを行い輸送の安全を期しますことは、これまた遷延を許さないまでになっております。しかしながら、これらに要します資金は莫大なものがありまして、とうてい従来の運賃率ではまかない切れないものでありますので、極力外部資金を調達いたしますほかに、最小限度運賃改訂を行うことによりまして収支均衡をはかることにいたしたわけであります。  次に収入支出予算について、損益資本工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定収入について申し上げますと、旅客輸送人員は、対前年度増一一%、四十五億六百万人、人キロでは一千三十九億一千万人キロといたし、旅客収入一千七百三十六億円を見込み、また、貨物輸送トン数は対前年度増一〇・七%で一億八千七百万トンといたし、貨物収入一千五百五十七億円を見込んでおります。これら旅客貨物輸送に要します列車キロは四億二千万キロで、対前年度一一%の増加となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を合せまして三千三百八十二億円の収入を見込んでおります。  次に、経営費について見ますと、人件費につきましては昭和三十二年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当一・五ヵ月分、奨励手当半ヵ月分、休職者給与等を見込んでおりまして、給与の額は一千百八億円となっております。また、物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として二百九十五億円、修繕費として四百九十二億円、その他業務費等合せまして経営費総額二千三百八十七億円であります。以上の諸経費のほかに、資本勘定への繰り入れ八百二十八億円、利子百三十七億円、予備費三十億円を合せまして、損益勘定支出合計は三千三百八十二億円となっております。  次に資本勘定について申し上げます。先ほど申し上げました損益勘定より受け入れます八百二十八億円、資金運用部よりの借入金八十億円、鉄道債券発行による二百三十五億円、不用資産等売却による四億円、合計一千百四十七億円を収入として計上いたし、このうち一千六十九億円を工事勘定に繰り入れることにいたしております。このほか借入金等償還七十五億円は、資金運用部よりの借入金年賦償還額並びに既発行鉄道債券の一部償還金及び政府会計よりの借入金の一部償還金であり、出資としての三億円は帝都高速度交通営団の増資に伴うものであります。  次に工事勘定について申し上げます。輸送力増強を主たる目的とする国鉄五ヵ年計画の初年度といたしまして、総額において前年比四百八十五億円の増加となっております。  まず、新線建設費についてでありますが、前年に引き続きさらに十五億円を増額し七十億円を計上いたしております。  電化設備費につきましては、現在施行中の山陽本線、東北線、北陸線の電化工事を引き続いて行うため六十一億八千万円を計上いたしておりますほか、これに伴う電気機関車八十三両、電車九十七両、その他の工事費等合計百二十三億円を計上しております。  また、通勤輸送緩和対策として、東京付近五十三億円、大阪付近十三億円、電車増備二百八十三両、四十四億円、合計百十一億円を計上しております。以上のほか幹線輸送強化対策車両増備、諸施設等の取りかえ工事、総係費等を含めまして、支出合計は一千六十九億円となっております。これらに要します財源としましては、さき資本勘定の御説明の際申し上げました通り資本勘定より一千六十九億円を受け入れてこれに充てることにいたしております。  なお、以上の諸計画実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千三百二十四億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入をあげ、工事計画を完遂するには、格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するよう指導監督をいたして参る所存でございます。  以上昭和三十二年度日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 次に、建設省所管について説明を求めます。南條建設大臣
  5. 南條徳男

    南條国務大臣 建設省関係昭和三十二年度歳入歳出予算案について概略を御説明申し上げます。  まず総額について申し上げますと、建設省所管一般会計予算といたしましては、歳入が六億二千四百余万円、歳出が一千百五十八億二千八百余万円でありますが、このほかに、予算計上所管は異なっておりますが、予算執行の際、建設省に移しかえいたしまして、建設省所管事業として実施されます予定経費が、別途総理府北海道開発関係のものとして百二十三億千百余万円、労働省特別失業対策事業として二十八億八千二百万円が計上されておりますので、これらと合算して前年度に比較いたしますと、昭和三十一年度一千九十六億三千七百余万円に対しまして、昭和三十二年度一千三百十億二千二百余万円でありまして、差引二百十三億八千四百余万円の増加となっております。  次に個々の事業予算について御説明申し上げます。  まず、治山治水事業につきましては、総額といたしましては二百九十九億六千四百余万円でありまして、前年度二百八十四億一千二百余万円に比較して、十五億五千二百余万円の増額となっておりますが、このほか労働省所管計上の上移しかえて使用いたします特別失業対策事業費のうち前年度と同額の七億三千五百万円を治山治水事業に充当することとしておりますので、実質上の治山治水予算は三百六億九千九百余万円となります。その内訳といたしましては、河川改修及び海岸保全に百五十六億九千四百余万円、河川総合開発に七十七億二千八百余万円、砂防に五十二億九千万円、機械整備費に六億八千余万円、地方財政再建団体補助率差額に五億七千百万円でありまして、このほかに、特別失業対策事業費として河川改修及び海岸保全に六億三千五百万円、砂防に一億円を予定しております。  治山治水事業実施につきましては、治山治水緊急五ヵ年計画基本方針にのっとり、重要な河川改修促進重点を置くとともに、施行効率化関連事業との総合化をはかり、経済効果確保を期することといたしておりますが、本年度においては特に最近における電力及び工業用水の不足を充足し、経済基盤を拡充するため治水を根幹とする多目的ダム早期完成をはかり、かつ事業を合理的に実施するため、新たに特別会計を設置し、その推進をはかるほか、特に直轄事業及び海岸保全事業促進重点を置くことといたしております。  次に、おもなる事業内容を申し上げますと、河川改修につきましては、直轄河川としては継続施行中の利根川外九十河川のほか、北海道における開拓事業に関連する特殊河川十一河川合計百二河川改修を行い、補助事業としては前年度より継続施行中の中小河川二百八十二河川重点を置いて特に災害防除及び土地改良等関連事業との調整をはかりつつ実施いたしたいと考えております。  砂防事業につきましては、直轄事業として施行いたしております利根川外二十四水系継続実施いたしますほか、補助事業につきましては、特に直轄河川等重要水系工事促進重点を置いて参りたいと考えております。  河川総合開発事業につきましては、さきに御説明申し上げました通り昭和三十二年度より直轄事業の大部分を特別会計をもって施行することとしましたので、河川総合開発関係予算七十八億八百余万円のうち四十六億三千余万円は特別会計への繰入金でありまして、従って、一般会計において実施されまする事業は、直轄事業十四億六千三百万円、補助事業十七億一千五百余万円、合計三十一億七千八百余万円となっております。  一般会計に残されました直轄事業は、昭和三十二年度に完成する予定利根川外四ダムであり、補助事業といたしましては、継続中の一迫川外ダムのほか、新規小瀬川外ダム合計ダムについて事業施行し、鮫川外二ダムについては実施計画調査実施する予定であります。  次に、災害復旧関係事業でありますが、災害復旧関係予算といたしましては、総額二百六十八億九千二百余万円で、うち災害復旧事業費二百三十一億七千六百余万円、災害関連事業費三十七億一千六百余万円を計上いたしておりますが、ほかに特別失業対策事業費として災害関連事業に四千二百万円が予定されております。  その内容を申し上げますと、災害復旧事業につきましては、直轄事業残事業の全部を完了する予定でありますが、補助事業につきましては、二十六年ないし二十九年の発生災害にかかるものは残事業のおおむね四割程度の復旧をはかるものとし、三十年及び三十一年の発生災害につきましては、国庫負担法改正の趣旨にのっとり、緊要事業については災害発生年を含め三ヵ年で復旧することを目途とし、三十二年度中に三十年発生災害は全体額の八六%、三十一年災は六五%までの復旧をはかりたいと考えております。  次に道路整備について御説明申し上げます。  道路整備につきましては、昭和二十九年度以降道路整備五ヵ年計画実施して参ったのでありますが、その後の経済力拡大に伴いまして道路輸送は飛躍的に増加し、現在ではわが国経済済発展の隘路となっておりますので、昭和三十二年度におきましては、既定計画を再検討し、これを拡充して産業発展に対応する新たな道路整備計画樹立することを目途として、画期的な道路整備促進をはかることといたしまして、予算も前年度に比し大幅に増額することといたしております。すなわち、昭和三十二年度の道路整備費は五百三十二億三千六百余万円でありまして、昭和三十一年度の三百三十三億三千余万円に対しまして百九十九億六百余万円の増加となっておりますが、このほかに労働省所管計上されております特別失業対策事業費のうち十五億二千万円を道路整備に充当することになっておりますので、これを加えますと、五百四十七億五千六百余万円となり、前年度三百四十七億三千余万円に対しまして二百億二千六百余万円の増となるわけであります。右のうち、建設機械に二十億六千三百余万円、災害関連として一億三千八百余万円、道路公団補助金として三十億円、地方財政再建団体補助率差額として八億七千四百余万円を充てております。  積雪寒冷特別地域に対する経費としては、機械費を合せ十億百万円を予定いたしております。なお、前年度に引き続き臨時就労対策事業として七十四億円を計上いたしまして失業者の吸収をはかることとしております。以上御説明申し上げました道路整備費は、道路事業関係のほか、都市計画関係の街路事業を含むものでありまして、その内訳は、道路事業関係として四百七十五億三千余万円、都市計画関係街路事業として七十二億二千六百万円であります。  なお、道路整備費の財源について一言申し上げますと、昭和三十二年度はガソリン税を一キロリットル当り四千八百円引き上げまして、収入見込み額五百三億九千四百万円のほか、一般財源を四十三億六千二百余万円充当いたしております。  次に、一般公共事業のほか、有料道路関係につきましては、御承知通り前年度より日本道路公団を設立いたしまして民間資金を導入し、有料道路整備促進をはかっているのでありますが、昭和三十二年度における日本道路公団の資金といたしましては、一般会計からの補助金三十億円に加えまして、資金運用部資金等より四十億円の融資を受けるほか、一般民間資金六十億円の導入を予定いたしまして、総計百三十億円の資金によりまして関門国道等十一ヵ所の有料道路を完成せしめる等既定継続事業促進をはかるほか、新規事業として名古屋−神戸間の高速自動車道路の新設等にも着手いたしまして、わが国道路網の整備促進して参りたいと考えております。  次に都市計画事業費について御説明申し上げます。  都市計画事業費は、総額七十六億千五百余万円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費のうち十億八千五百万円を都市計画事業費に充当いたしますので、これを合せますと八十七億余万円の予算となり、前年度五十四億二千七百余万円に比し三十二億七千二百余万円の増となっております。この中には、昭和三十二年度より下水道事業建設省所管となりましたので、その関係予算として、一億円、ほかに特別失業対策事業費四億五千万円、計五億五千万円が含まれております。  都市計画事業につきましては、都市における産業基盤を確立するため、都市施設特に街路の整備重点的に施行するとともに、戦災復興事業等の土地区画整理事業を推進いたしたいと考えております。  また、東北興業株式会社を改組して、東北開発株式会社とし、新たなる構想のもとに東北地方の開発に当らせるため、産業投資特別会計よりの出資金五億円及び社債二十億円を予定いたしております。  次に住宅対策について御説明申し上げます。  昭和三十二年度の住宅建設につきましては、現下の住宅難をできるだけ早期に解消することを目途として、政府施策による住宅につきましては、前年度より二万三千戸を増加し、十九万九千戸の住宅建設計画いたしております。また、民間自力によって建設される住宅につきましては、最近の実績より見まして、約三十万戸程度の建設が見込まれますので、これらを合せて昭和三十二年度においては約五十万戸の住宅建設を目標といたしております。  政府施策によって建設する十九万九千戸の内訳は、公営住宅四万六千戸、住宅金融公庫融資住宅八万八千戸、日本住宅公団が建設する住宅三万五千戸及び厚生年金融資住宅、公務員住宅等三万戸、計十九万九千戸といたしております。  これに対する予算措置は、公営住宅に対しましては、一般会計予算として、百六億五千一百万円を予定いたしておりまして、第一種住宅二万一千戸、第二種住宅二万五千戸、計四万六千戸の建設に対し補助いたすことといたしております。住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金三十億円と政府低利資金二百三十五億円、総計二百六十五億円を予定いたしておりまして、住宅新築六万三千戸、増築二万五千戸及び住宅用地の取得、造成を行うほか、新規に市街地の不燃高層化をはかるため、住宅と店舗等の併存する中高層耐火建築物に対する融資を行い、また災害による被災住宅の補修に対しまして所要の資金の貸付を行うことといたしております。日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金九十五億円に加えまして、政府低利資金百二十億円と一般民間資金百五十億円を予定いたしまして、総計三百六十五億円の資金によりまして、賃貸住宅二万四千戸、分譲住宅一万一千戸、計三万五千戸の住宅建設並びに土地区画整理及び埋め立てによる宅地の造成を計画いたしております。また、都市における耐火建築物の建築を促進し、防火建築帯を造成し、火災その他の災害防止をはかるため、その助成金として一般会計より一億五千余万円を計上し、防火帯造成事業促進をはかりたいと考えております。  次に、官庁営繕について御説明申し上げますと、官公庁施設建設等に関する法律の規定により建設省実施する官庁営繕費といたしましては二十一億九千三百余万円が計上されておりまして、前年度の十三億六千六百余万円に比し八億二千六百余万円の増額となっております。  以上をもって一般会計予算説明を終りまして、次に特定多目的ダム建設工事特別会計について概要を御説明申し上げます。  本特別会計昭和三十二年度予算総額は六十八億七千六百万円でありまして、この資金の内訳は、一般会計よりの繰入金四十六億三千余万円、資金運用部資金等の借り入れ九億七千八百余万円、電気事業者等の工事負担金十一億一千余万円、その他一億五千六百余万円となっております。  次に昭和三十二年度における事業内容を申し上げますと、前年度まで一般会計において実施しておりました継続事業のうち昭和三十三年度以降に完成の予定される天龍川外六ダムを本特別会計において実施することとしたほか、新規に名取川、淀川を加え、合計ダム建設を行うこととし、その他に雄物川外二ダムの実施設調査実施する予定であります。  実施方針といたしましては、工事実施中のものについては、その経済的施行をはかり、重点的に実施するとともに、その他のダムについては特に用地補償等の促進に努める所存であります。  なお、本特別会計の設置によりまして、従来の方式による場合よりも昭和三十二年度において約十億円の事業規模が拡大され、事業早期完成がはかられるほか、資金の一元的経理によって事業実施合理化せられまして、多目的ダム建設は一そうの促進が期待されるものと考えております。  以上で昭和三十二年度の建設省関係一般会計及び特別会計予算説明を終ります。何とぞよろしく御審議のほど御願いいたします。
  6. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 次いで郵政省所管について説明を求めます。平井郵政大臣。
  7. 平井太郎

    ○平井国務大臣 それでは私から昭和三十二年度郵政省所管案とこれに付随する若干の問題につきまして説明申し上げたいと存じます。  まず郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算総額は千四百十四億一千万円でありまして、その歳出予算の内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便、郵便貯金、簡易生命保険及び電気通信等の諸業務に要する業務費が千五十二億六千万円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出経費が三百八億六千万円、公債及び借入金償還金が一億円、予測しがたい経費支出に充てるための予備費といたしまして八億円、郵便局舎等の建設費といたしまして約四十四億円を計上いたしております。  次に定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における昭和三十二年度の予算定員は二十五万八千六十二人でありまして、前年度に比べ千九百六十一人の増員となりますが、この増員は主として郵政窓口機関の増置、郵政業務量の増加並びに特定局における電話施設増加に伴う所要人員であります。  次に歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額歳出予算同額の千四百十四億一千万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入及び雑収入が四百九十二億七千万円、郵便貯金、保険年金、電気通信等の各業務の運営経費に充てるため他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が五百八十一億一千万円、郵便局舎の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年令特別会計の両会計から受ける設備負担金が八億八千万円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が二十三億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が三百八億六千万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに四百五十七億四千万円を計上いたしております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算は、歳入が千二百二十六億五千万円で、歳出は四百十九億七千万円を計上いたしており、歳入超過額八百六億八千万円は法律の定めるところによりまして積立金として処理することになっており、一般公共貸付の運用原資といたしまして七百四十億円を確保する予定となっております。  次に当省所管一般会計予算案について説明申し上げますと、歳出予算総額は十六億四千百万円でありまして、これを前年度予算額十五億五百万円に比べますと一億三千六百万円の増加となっております。この増加のおもな事項といたしましては、無線局の検査並びに電波監視業務における機器類の整備充実経費として千三百万円、電波に関する新技術の研究開発の経費として九百万円、海外放送交付金の増加において九百万円、一般公務員の給与改訂に伴う人件費等の増加に伴う経費として一億二百万円、その他旅費等の増加経費として三百万円であります。  なお、国際地球観測に関する経費の各省間の配分額につきましては、未定でありますが、当省所管経費は三十一年度の九千四百万円を下回らない額が予定されております。  次にこれら業務の運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は二千九百四十二人で、前年度予算成立定員二千九百四十七人に比べ五人の減員となっておりますが、この減員は昭和三十一年中における科学技術庁の新設に伴い、これに定員を移しかえたことによるものであります。  次に日本電信電話公社の予算案について申し上げますと、同公社の予算は、損益資本及び建設の三勘定に分れており、その総計におきましては、収入支出とも二千七百七十七億九千二百万円でありますが、このうち勘定間の振替によって重複する金額一千八十五億五千七百万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額はいずれも一千六百九十二億三千五百万円でありまして、これを三十一年度と比較いたしますと、百八十九億七千万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設両勘定の収入支出の内訳について申し上げますと、損益勘定につきましては、収入は、電信収入および電話収入が一千四百二十四億三千五百万円、委託業務収入が十七億九千二百万円、雑収入が三十一億一千二百万円、計一千四百七十三億三千九百万円となっており、支出は、給与その他諸費が四百八十六億一千五百万円、営業費が二百二十四億二百万円、保守費が百五十八億六千二百万円、共通費が五十二億八千三百万円、利子および債務取扱費が七十八億七百万円、減価償却費が二百五十八億円、受託業務費が五億八千四百万円、予備費が十五億円、計一千二百七十八億五千三百万円となり、収支差額百九十四億八千六百万円は建設改良及び債務償還に充てるため資本勘定へ繰り入れることになっております。  次に、建設勘定におきましては、建設改良のための財源として、電信電話債券の公募による分が九十五億円、加入者及び受益者引き受けによるものが五十四億七千万円、電話設備負担金等が六十九億二千七百万円、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百五十八億円を含めて四百十三億七千四百万円、計六百三十二億七千百万円を計上いたしております。同じく支出といたしましては、総係費が五十五億五千八百万円、建設改良工事費が五百七十七億一千三百万円、計六百三十二億七千百万円となっております。  この建設改良工事につきましては、昭和三十二年度は、電信電話拡充五ヵ年計画の最終年度に当りますので、今まで種々の理由で繰り延べを余儀なくされてきました主要工程を極力完遂するとともに、農山漁村の電話普及につきましても特に重点を置きまして、ただいま申し上げました六百三十二億七千百万円をもちまして、加入者開通十八万五千名、六大都市とその近郊都市との即時通話サービスを含めまして、市外公衆回線が四十四万二千キロメートル、電話局の建設では、年度内にサービスを開始するもの六十九局、継続工事であって次年度以降にサービスを開始するもの十六局、新規着工のもの五十一局等の主要工程のほかに、町村合併に伴う区域合併局二百三十局、市外線増設一万四千六百キロメートル及び農山漁村電話普及特別対策として三千個の公衆電話、二千二百余名の加入電話の設置を計画いたしております。  次に建設財源の調達について一言申し上げますと、政府の財政投融資計画と関連いたしまして、公募による電信電話債券の発行によって九十五億円を調達し、その他電話設備費負担臨時措置法に基く加入者等の引受債券及び電話設備負担金による外部資金、並びに減価償却引当金、損益勘定よりの繰入金等の内部資金によることといたした次第でございます。  なお、建設勘定の支出面におきましても、工事能率の向上、新技術の導入等による設計面の合理化、経済化等により極力、経費の効率を高めて、拡充五ヵ年計画工程の完遂を期するように配意されております。  以上、公社の予算について申し上げましたが、今後とも公社の経営合理化に一段と意を用いますとともに、建設資金の調達に努力し、健全なる財政的基礎の上に、電信電話事業を拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえるとともに、今後ますます国民経済活動の進展に寄与していきたいと存じます。  これをもちまして私の説明を終りたいと思いますが、なお詳細な点につきましては御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、すみやかに御承認下さいますようお願い申し上げます。
  8. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 以上で政府説明は終りました。  ただいまより昭和三十二年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関各会計中、郵政省所管について質疑を行います。質疑は通告順にこれを許します。
  9. 小松幹

    小松分科員 その前に、今承わった建設運輸、郵政にわたる資料要求でございます。  運輸省関係では、鉄道新線建設計画の全貌、それと、新線建設の完成後のいわゆる採算バランス・シートをつけて出していただきたい。二番目が港湾関係で、特に北海道苫小牧港の事業進捗とその予算配分、別府観光港の事業進捗状況とその予算配分、それから、四日市、徳山港、下松、特にこれは石油港ともいわれる改修工事予算についての資料、さらに石油業者等の資金の配分等の割り振りがあれば、それをつけていただきたい。国鉄関係では減価償却の全貌を一つ出していただきたい。  建設省関係では、昭和二十五年の災害は完了しましたから、二十六年からの災害の進捗度と残事業量を完成する予算、二十六年災害から三十一年災害にわたる災害復旧程度と残事業量を金にしたときの金額、それを年次別に提示していただきたい。  以上の予算審議に伴う資料要求をお願いしておきます。
  10. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 ただいま小松幹君より資料の要求がございましたが、できる限り提出させます。  では上林榮吉君。
  11. 上林山榮吉

    上林分科員 私も質問に入る前に資料を要求したいと思います。  先ほど新線建設関係予算の配分の資料の要求がございましたが、私もその点についてはもう少しく資料をととのえてほしいと考えておりますので、さようお取り計らいを願いたいと思うのであります。  次に、公務員住宅もしくは政府関係機関の住宅、ことに寮、あるいは夫婦者の寮にしても、あるいは個人の寮にしても、どういう運営になっておるか、その詳細を知りたいと思うわけであります。  もう一つ追加したいことは、三十二年度の計画の各空港別の予算の配分並びにいつごろできるかというめど。  以上三点について資料要求をいたしておきます。  では質問を進めたいと思いますが、大蔵当局御承知通り、今度の予算は、人によってはあるいはインフレになるんじゃないかというふうに心配しておるわけですが、われわれは必ずしもそうは思いません。しかし、そういう方向に行かないような防止策というものをまじめに考えておかなければならない。その一つとして、まず第一に考えられることは、大蔵当局で預貯金の本年度の目標額をどの程度に置いておられるか。これはきわめて重要だと思うので、あなたが御答弁できなければ、御相談の上御答弁願いたい、こういうように考えます。
  12. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 お言葉を返すようですが、預貯金といいますと、郵便貯金だけでなくて全般の預貯金の問題でございますか。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 言うまでもなく全体のものをまずお尋ねしてから、こまかく入っていきたいと思っておるわけです。
  14. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 全般の預貯金の問題に対しましては、私御答弁申し上げるのは少し無理かと存じますので、主査にお願いしまして、銀行局担当の局長なりどなたか至急御手配願いたいと思います。少し私では担当が狭うございますので……。
  15. 上林山榮吉

    上林分科員 だから、主査にあらかじめ答弁できる人を私は要望しておったわけです。それでは審議にならぬと思うのです。これは決してやかましく申し上げるわけではないけれども、大事な問題でありますので……。それから私どもは郵政所管の問題についてもお尋ねしたいと思っておるわけですが、この点についてはあとでお尋ねすることにいたしまして、適宜また御連絡の上御答弁願うことにいたします。私はそれがわからないとほんとうの論は進められないと思っておるわけでありますけれども、一応保留いたしておきます。  そこで、お尋ねいたしたいことは、租税特別措置法がございますね。これにつきまして大蔵大臣が本会議並びに予算委員会の総括質問でお答えになっておったようでございますが、この法律を、これは時限立法でございますが、一年間延期される御方針であるのかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  16. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 担当主計官としてはちょっと無理でございますので……。
  17. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 上林山君、鹿野説明員で説明できる範囲のことが常識的にわかると思いますから、その点をまず御質問願えませんか。
  18. 上林山榮吉

    上林分科員 郵便貯金の問題を考えているとするなら、それくらいのことは大蔵省の主計官として知っていなければならぬと思います。
  19. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 速記を止めて……。   〔速記中止〕
  20. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 速記を始めて……。
  21. 上林山榮吉

    上林分科員 大蔵省の方にお尋ねしてから郵政省の方にお尋ねした方が非常に便宜だ、こういうように考えたのですが、今お聞きのような状態でございますから、それならば便宜郵政省の方にお尋ねをいたしたいと思います。  これはもう長い間問題になっていることで、私どもといたしましては郵便定額預金の利率というものを引き上げなければならないと考え、これは当委員会においてもそういう熱心な希望があったわけです。それをいろいろな事情でできなかったわけですが、その最大なる理由は、あるいは低金利時代になるかもしれない、しかも銀行の預貯金に対する免税処置は、あれは時限立法であるからやがてやまるだろう、ことし一ぱいぐらいであるいはやめるかもしれない、こういうような情勢がありまして実現に至っていないわけですが、そこで、大蔵大臣の予算委員会等における説明によりますと、預金を吸収するために租税特別措置法の改正をしてこれを存置する、ことに長期の預金に対しては今まで通りの処置をとりたい、こういうような話があったわけなんです。そこで、郵政省としては新しく大臣がかわられたわけですが、この問題についての今までのいきさつはわれわれも承知しておりますが、本予算に関連して大蔵省とどの程度の御折衝をなさったか、こういうことについてまず承わりたいのであります。
  22. 平井太郎

    ○平井国務大臣 お説は大体市中銀行の一年ものの定期預金を対象にしてのお話かと思いますが、これは今度大蔵大臣といたしましても一年ものについては金利に対する課税は免除しております。そこで郵政省といたしまして、今まで大体一年ものは四分八厘の金利をつけておりましたが、その間郵政省といたしましても、市中銀行の、今回大蔵省の考えの一年ものに対して六分の金利というものは、やはり郵便貯金が少しく不利だ、一般から見まして、この点については、事務当局の方にも、郵政大臣としては、何かこれはおかしいじゃないか、やはり預金を吸収するのには普通銀行と大して変らないじゃないかということを申しておりまするので、事務当局はこの問題について今大蔵当局と折衝いたしておりますが、その折衝の今過程中と存じますが、事務当局の方から御説明をさせることにいたします。
  23. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 ただいま大臣から御説明いたしました荒筋でございますが、なお大蔵省との交渉の経過等につきまして私から補足して御説明させていただきたいと思います。  上林委員の御指摘の通り昭和三十年六月に租税特別措置法が改正されまして、三十年の七月一日から本年の三月末までの暫定期間を限りまして銀行預貯金に対する免税措置がとられておったのでありまして、それは時限立法ということで、本年の四月からは銀行の預貯金には課税されるという大蔵省のお話でありましたので、一応私どもの方の定額貯金の利率につきまして改正するということは、前に一度計画されたのでございますが、そのままにしておきました。ところが聞き及びまするところによりますと、四月一日から銀行の六ヵ月もの以下のものにつきましては一〇%の課税がされることになるようでございますが、特に銀行の一年ものの定期につきましては、長期性の貯金を優遇するという建前から免税措置がとられるということを聞いておる次第でございます。従いますと、銀行の一年ものの定期は利率は六分でございまして、こちらのそれに対しまするものが、ただいま大臣から御説明がありましたように四分八厘となるわけでございます。それから、銀行の六ヵ月ものは五分の利率でございまして、こちらがそれに相当するものは四分二厘でございます。従いまして、銀行の六ヵ月ものの定期は四月から一〇%の課税でございますので、税引きの利率に直しますと四分五厘になります。従いまして、こちらが四分二厘でございますから、大体似たような利率になるわけでございますが、一年ものにつきましては、銀行の方が六分であり、こちらが四分八厘ということになりますので、そこに相当の開きが出て参りますので、私どもといたしましては、銀行の一年ものに見合うところのこちらの一年ものの定額につきまして利率を改正してほしいということを大蔵省の主税局なり理財局と折衝したのでございますが、何分にも郵貯特別会計の赤字と申しますか、要するに郵便貯金特別会計におきましては、あげてその一年間の吸収された預金を大蔵省の資金運用部に預託しておりまして、それからいただく利子収入が年六分ということに三十二年度は相なっております。従いまして、私どもの方のいわゆる経費、それから公衆に払います利子の支払い費というものをきめまして、総ワクで結局全部で預金コストを計算いたしますと六分六厘ということになっております。経費率が二分二厘、それから支払い利子率が四分四厘ということになっておる次第でございます。この経費率の方の二分二厘につきましては、もうこれは極端に切り詰めた経費でございまして、これは落すということは、われわれとしては不可能と考えておる次第でございます。従いまして、この六分六厘の預金コストでいわゆる資金運用部の剰余金から郵便貯金特別会計へ補てんしていただく額が、昭和三十二年度は四十億八百万円となっておる次第でございます。従いまして、郵便貯金の利率を上げるという問題になりますと、いわゆる支払い利子率が上るという関係からいたしまして、大蔵省の理財局と赤字補てんの額等につきまして交渉しなければならぬというようなめんどうな問題も起きるかと存じます。そういったような次第で、いまだその点につきましては大蔵省とはっきりした解決点には達していないというような事情でございます。  なお、先ほど上林委員からお話がございましたが、この一年ものにつきまして免税されるという期間は、私の聞いておりまするところでは、今後二年間の継続だということに承知いたしております。
  24. 上林山榮吉

    上林分科員 御承知通り、郵便貯金は、庶民階級と言うと語弊があるかもわかりませんが、そういう方面の人々が貯金をするわけでございまして、銀行は必ずしもそうではなく、大部分はそれよりも裕福な階級に属する者あるいは事業関係の者、こういう方面の人たちが多く預金をしておる性格のものだと考えるのであります。ことに、先ほどから申し上げました通り、インフレをあらかじめ起らないように防止する対策として、場合によっては預貯金全体の国民運動でも起さなければならぬというまことに大事な時期に、一方だけ一年ものが年六分で免税であるのに、郵便貯金の方は年四分八厘である、こういうような状態では、あまりに私は、行政措置として考えても、あるいは金融全体の立場から考えましても、バランスが合っていない、こういうように考えるので、これは郵政大臣熱心に事務当局とともに御研究になっていることを信じますが、この機会でないと、ちょっとまたいろいろと理由が出て参りまして実現ができないのではないかということを杞憂するわけです。この際ならば、予算全体の関係から考えてみても、金融全体の点から考えても、一方がまた免税措置を存置したということから考えましても、私、きわめて適切な時期であり、また積極的に努力を願わなければならぬ点だと思います。この点については、ここに井手委員もおられますが、非常にこの方面に理解を持っておられる委員だと思いますが、いずれにいたしましても、この機会をはずしますとほんとに不可能に近い、こういうように考えるわけです。常識的に考えてみても、私は無理な話ではないと思う。決して無理ではない。ことに、集められた預金は、銀行のは多くは御承知通り個人が事業資金に使うわけで、郵便貯金のものは財政融投資の中にも入ってくるように、資金部の金となって、これが地方に還元されて、非常に有効に使われているわけなんです。だから、単にこまかいコストだけにとらわれないで、大局的にこの際大蔵当局としても一つ大きな気持で処置をとってもらうべきであり、郵政当局ももっと一つ御奮闘を願いたいものだと、こういうように考えておるわけです。これについて、先ほどから申し上げますように、主計官にはお気の毒ですが、一つほかの方々と連絡されて、当委員会の空気をお伝え願います。郵政大臣、御承知通りでありますから、どうかこれが実現するように、この機会に一つ御奮闘を願いたい。  そこで、最後に郵政大臣に伺います。今折衡の経過を事務当局から伺いましたので承知をいたしましたが、見通しですね。努力をすればあるいは可能であるという見通しか、ことに今度の国会に間に合うように改正法案を出すだけの熱意と信念を持っておられるかどうか。(発言する者あり)この辺でもっと強く聞けという声もあるようでございますが、これに対する国務大臣としての御信念——郵政大臣即国務大臣であって、今までのしきたりからいうと大蔵省と郵政省は別であるが、大臣は国務大臣として並列されておるわけなんです。この辺をどう思っておられるか、最後の締めくくりとしてお尋ねしておきたいと思います。
  25. 平井太郎

    ○平井国務大臣 上林委員のお説はごもっともだと思っております。私といたしましても、その点は十分考慮しなければ相ならぬと考えております。なかんずく、私、郵政大臣になりましていろいろ各省との関係その他も事務当局から聞かされ、なかなか思うよに相ならぬのが役所の事情だということも十分考えておるのでございます。しかし、御趣旨は十分拝聴いたしましたから、その御趣旨に沿って一つ十分なる努力を払おうと思っております。この程度で一つごかんべんを願います。
  26. 上林山榮吉

    上林分科員 ただいまできるだけやりますという御信念を承わりましたが、責任を転嫁するようですけれども、だれが考えても、今は前の時代よりもタイムリーにやりやすいときです。そういう時期だから、一つ御奮闘を願わなければならぬと思うわけなんで、御信念だけでなく、できるなら、今度の国会に改正案を出すというところまで一つあなたの御手腕を見せていただきたいと考えます。  次に申し上げたいことは、先ほど資料を要求したものの中に、公務員の住宅ないし政府関係機関職員の住宅の問題があったわけですが、郵政関係の問題について一つだけお尋ねをいたしておきたい。なおあとで資料が出てきた場合にさらにお尋ねしたいと思っておりますが、郵政省ないしは郵政省関係機関、公社、そういうようなところで、今坪当り幾らくらいになっておるものか、その価額を知りたい。それから、第二点といたしましては、資格を失った者がまだその住宅に入っておって、新しく入りたいという人が非常に多いのに入ることができないで困っておる、こういうことを聞いたのでございますが、そういう事実があるのかないのか。私はあとで政府機関全体についてお尋ねいたしたいのですけれども、まず郵政省所管だけのことをお聞きしておきたいと思います。
  27. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 上林委員お尋ねの第一点の郵政省関係各種建築工事の坪当り単価としましては、上林山先生御承知通り、いろいろな種類の建物がございまして、それぞれの種類によっていろいろと違いがございますので、後刻文書をもちましてお手元にさような建物についての単価をお知らせ申し上げたい、かように思うのでありますが、大体におきまして坪当り四万円というところで積算いたしております。  第二点の、公務員宿舎に資格を失った者が居住するという点につきましては、御承知のように、上林山先生御在任当時決算委員会その他において取り上げられました。事実存在しておるのでございまして、これにつきましては、私どもも立ちのき等いろいろと手段を講じておりまして、ある者につきましてはすでに立ちのき訴訟を提起しているものもあり、また、たとえば主人が死んだ、しかも非常な貧乏でその行く先が見つからぬような者につきましては、とにかく筋は通すが人情も要るので、こういうことについても何とかできないものかと考えながら、御趣旨に沿うように今後とも努力していくつもりでおります。
  28. 上林山榮吉

    上林分科員 私がお尋ねしたのは、畳一枚について幾らくらいの賃貸料を取っておるかという点を明らかにしていただきたいことと、さらに、資格を失った者が、これは郵政省ないしはその関係機関だけでなく政府全体の機関にあるので、先ほど申し上げたのでございます。私はこの問題についてはもう少し詳しくお聞きしたいと思っておりますが、とりあえず今は郵政省関係のものだけをお尋ねするわけですが、資格を失っても、同情すべきものは三ヵ月や半年はやむを得なかろうと思います。われわれもそれくらいの同情は持ってしかるべきものだと思いますが、中には一年以上、あるいは三年という長い間資格を失ったにもかかわらずそれを占拠しておって、ほかの希望者を、申し込みが多いのに入れることができない、こういう状態だと聞いております。なかんずく、もと郵政省の幹部をしておったような人とか、あるいは、これははなはだ言いにくいのでありますが、もと郵政や電電関係の職員であって国会に議席を持っておる人も中に入っておるということを聞いております。こういうことではまことにいかぬと思うが、そういう事実があるのかないのか、あるいはこういう人たちには気持よく立ちのいてもらえないものかどうか。この点は、私できるだけえん曲に申し上げておりますけれども、ほんとうに自粛してしかるべきものではないかと思うのです。というのは、公務員住宅などを政府がどしどし作ることはけっこうでありますけれども、作ってもまだ希望者が多いので需要に応じ切らぬという状態なんであります。だから、こういう問題を払拭すべき時期にきておる。今年の予算を見ると、公務員住宅あるいは政府関係機関の住宅も相当たくさん作ることになっておるようでございますが、一つのけじめとして、タイムリーにきておるから、この辺でこの問題もしっかり考えたらどうだろうか、こういう考えから質問しているので、決してあげ足とりではないわけでありますから、一つそういう意味で御勘案を願いたい。大臣その他いかに考えられますか、お伺いをいたします。
  29. 平井太郎

    ○平井国務大臣 お説はまことにごもっともでございます。その件については十分調査をいたそうと思っております。そこで、もしもお話のようなことがございましたら、今住宅難でございますから、そのお話しになっておる方その他とも十分円満な話し合いの上、十分御納得していただいて、御趣旨のような点は十分お話しもし、この問題の解決に早急に一つ処置いたしたいと存じております。
  30. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 答弁漏れをいたして恐縮であります。坪当り百円ということになっております。
  31. 上林山榮吉

    上林分科員 これは公務員の住宅あるいはそれに類する住宅ですから、できるだけ安いほどけっこうな話であります。しかし、私どもは、一軒よりも二軒作ってやった方がいいのじゃないか、百軒よりも二百軒作った方がいいじゃないかというように考えるわけであります。そこで、社会の通念に従わなければならぬが、ほかのところでは畳一枚が普通のところで千円しております。今の話を聞くと、坪百円とおっしゃるから、畳一枚が五十円に当るようであります。いわゆる市価が千円するところに五十円というのは、生活保護者階級ではないのでありますから、果してどういうものであろうか。ことに、それよりもあまり上げてはならぬけれども、少しくらい上げてたくさん作るという方向に向って進むべきではないだろうかというように考えます。これは郵政大臣としてばかりでなく国務大臣としてほかの閣僚とも御相談願いたいという意味を含んで私はお尋ねしておるわけでありますが、その点一つ大所高所からお答え願っておきたいと思います。
  32. 平井太郎

    ○平井国務大臣 お話しの点はこれもごもっともでございます。それはいろいろ事情もあると思いますが、相当やはり古くから入っておられる方は、既得権と申しますか、相当な権利もお持ちのようにも、一般通念から見てあるのじゃないかと思うのであります。一般には現在五十万円もする土地を借地して非常に安く銀座などでも非常識な値段で賃貸されておるというような実情もございます。これは一般的なものでございまするので、この問題に当てはまるかはまらないか別問題でございます。今の御説のようなものは、役所関係は同じ屋根の下に住んでおって苦労しておる連中で、昔から一定の金額で生活をしておる。それに物価がいろいろと上ってきたが、そういう点で非常にいろいろなむずかしいところもあるじゃないかと思いますので、私といたしましては、御説はよくわかりまするから、機会あるたびに一つその問題に対して研究をいたしたい。やはり今の経済状態に合うような金利を一つ考えていきたいと存じます。
  33. 上林山榮吉

    上林分科員 大臣の答弁がわからぬじゃありませんが、非常に遠慮しておられるようにも思いますので、一言だけお尋ねいたします。私は同じ地域のあるいは同じくらいの建物で基準をとって申し上げているわけで、それによりますと、大体畳一枚がほかのところは千円くらいです。高いところもあります。安いところもありますが、大体東京近郊の値段はそういうふうになっております。そこで、それの二十分の一の値段で——カード階級でない、いわゆる生活保護者階級でないところの人々が、ことに月給の安い方面の人は別としても、独身寮のごときは別としても、それ以外の堂々たる人たちも入っておるようでございますが、そういう家賃で果して常識的であると言えるでございましょうか。何かくすぐったいような気持は起らぬものでございましょうか。私はすなおな気持で考えておるのですが、答弁に要領を使わないで、あっさりと常識的な意見をお考えになって、これ以上お尋ねしませんが、ほかの国務大臣とも御相談になって、あなたきょうお聞き下さったわけでありますから、郵政省関係だけに限らず、国全体として、新内閣の一つの方針としておきめ下さるくらいの考えで研究を進めてもらいたい、こう思うわけですが、これに対して、答弁は簡単でけっこうでございますから、お答え願いたい。
  34. 平井太郎

    ○平井国務大臣 よくわかりました。よく検討いたします。
  35. 上林山榮吉

    上林分科員 けっこうです。
  36. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 森三樹二君。
  37. 森三樹二

    ○森(三)分科員 大臣もお時間がないそうでありますから二、三点簡単にお尋ねいたします。  先ほどの郵政省所管予算説明資料を見たのですが、この中で、昭和三十二年度は電信電話拡充五ヵ年計画最終年度に当るので、今までの繰り延べされた工事も極力完成するというようなことをるる説明されておる。まことにけっこうだと思うのであります。そこで、郵政大臣は非常にサービスを主張しておられたのでありますが、電話の問題につきまして、東京区内に例をとりますと、電話をつける場合に、公債六万円のほかに、加入金とか設置料等で三万五、六千円、約九万五、六千円の金がなければつかないということになっております。もっとも、公債は、六万円で買ったものをあとでもって売って、幾分か損をすれば、それで解決つく問題かもしれませんけれども、ともかく一時金としては九万円以上のものがかかるわけです。そういうような高額でもってつけなければならぬが、その点については何ら触れてありません。電話の加入については極力負担を軽減するというようなことでも書いてあるかと思うと、実際そういう問題は出ておらない。そういう点は、従来通りそういうような高額の負担をしなければ電話加入はできないのかどうか、それについて何らか御配慮されておるものか、その点を聞きたい。あなたも御承知通り、外国の例をとれば、アメリカあたりは、きょう言えばきょうすぐつく。ほんとうに安く、ほとんどただみたいにつけられる。その電話の度数料金でもって収入をまかなうというのです。もっとも、向うとこっちでは機械の方の生産その他の設備も違いますけれども、こちらの方ではなかなかつかない。
  38. 平井太郎

    ○平井国務大臣 この問題につきましては、公社自体といたしましてもよほど苦慮いたしまして、事務当局などもこの問題と取り組んでおります。私、郵政大臣になりましたそのときも、公社側からの説明を承わりました。そのときの説明の中で、今東京の電話が大体九万四千円かかる、そのうち公債が六万円であり、設備の経費として三万四千円かかる、しかし何とかこの金は軽減をしたい、地方へ行けば大体二万円程度で建設費が上るというようなところもございますので、早くこの問題を何とか一つ安くするように今研究しておる、その事情は、一体なぜ高くなるか、やはり東京は建物を建ててもいろいろあらゆる方面で物が高い、また労働賃金も高い、その他架設する上においても種々なる特殊事情もありまして、非常に困難が伴う、しかしこの点は十分研究をして、何とか少しでも安くやっていきたい、こういうように私に説明をしておりましたから、ぜひとも一つその点は検討してくれ、電話というものは公衆の最も大切なものである、諸外国と比べても日本の電話というものはまだ開拓の余地がたくさんある。だからその点について十分考慮いたしましょうという事務当局からのお話も承わっております。そこで、公社としてもその点は十分留意をいたしまして、今年も何か処置を考えて私にも報告をしたい、こう申しておるのでございますが、その方法その他についての具体的な説明はまだ承わっておりません。そこで、毎年十八万五千個程度の電話を増設いたしておりますが、今年は二十万個以上増設をして大いに御期待に沿おう、こういう考えで行っております。大体そういうようなことでございますので、あとは一つ公社の事務当局から説明を願います。
  39. 森三樹二

    ○森(三)分科員 大臣は、私の質問に対して、電話加入者の便をはかるためにできるだけ経費の軽減をはかりたいということに賛意を表されたのですが、それも、先ほどの上林山君の郵便貯金の問題と同じように、お考えがあってもやはり実現されなければならぬと思うのです。各国務大臣にあらゆる質問をしましても、非常にごもっともであるというような意見は述べられるけれども、それが実現するのはほど遠いことであるというのではいけないと私は思うのです。今回平井さんが石橋内閣の閣僚となられた以上は、これは平井国務大臣の一つの功績だというようなものをやはり何らかの形で二つや三つお残しにならなければならぬじゃないかと思う。これは非常にばかばかしい経費ですよ。ぜひこれをあなたの大臣時代に軽減するような御決意があるかどうか、それを一つ述べていただきたい。総裁からもまた聞きましょう。
  40. 平井太郎

    ○平井国務大臣 御説はごもっともでございますが、私としましても、郵政大臣になった以上は、一つ何か記念を残したい。また私も日ごろ電話の高い問題についてはあなたと同じ考えを持っております。そこで、私が大臣に就任当初、公社の靱副総裁並びに総裁、その他事務当局に対してもこの点は十分触れたのでございます。私は率直に申し上げますと、実は三十二年度はなかなかむずかしい事情もあるのです、こういうことなんです。そこで、十分努力はいたしますが、ほんとうは一つ三十三年度から軽くしたい。(「それでは内閣がかわっちゃうんだよ」と呼ぶ者あり)まあ、かわればやむを得ませんが、なるべく私は引き続いてうまくやるようにいたしまするから、どうぞ御了解をお願いいたします。(「そんなことじゃだめですよ、あなたの大臣のときにやるというのでなければ」と呼ぶ者あり)いや、そういうふうな皆さんの御支持があれば、いつまでも大臣にとどまってがんばりますが、そういうようなことでありますので、一つ御了解を願いたいと思います。
  41. 靱勉

    ○靱説明員 お答えを申し上げます。この問題は、世界にもあまり例のないわが国だけの、必ずしもいい方法でないのでございますが、こういう社債なり負担金をちょうだいする制度は、法律によりまして国会の御承認を得ておるわけでございます。これがすでに期限が切れまして、昨年さらに延長いたしましたときに、国会からのこれに対する御意見が非常に出まして、できるだけ早くこれを軽減していかなければならぬという御注意があった次第でございます。三十二年度すなわち来年度におきましては、第一回の五ヵ年計画の最終年度でございますので——今非常に需要が多くて、毎年三分の一程度しか需要におこたえできておりませんので、三十二年度は第一次五ヵ年計画の最終年度として、できるだけ設備を拡張する、さらに、五ヵ年計画が終りまして後におきましては、新たに加入される方の負担を軽減するということによって計画を立てる、こういうことで目下その計画案を作成中でございますので、ただいま大臣から御答弁がありましたように、三十三年度から何としてでも一つ軽減いたしたいという郵政省の御趣旨もあり、また国会の強い御趣旨もありますので、公社といたしましても計画を今作成中でございます。
  42. 森三樹二

    ○森(三)分科員 大臣からも、あるいは副総裁からも、強いそういう御趣旨を述べられましたことは、私どもとしても非常に心強いですけれども、しかし、ことしはとにかく何といっても電話の拡充をやるのであって、料金の問題については改正法案等を出す考えはない、来年あたりからやるというような御意見ですが、できましたならば、あなたが国務大臣の地位にあられる間にやられるように、一つ御努力願いたいと思います。  そこで、私は平素から非常に疑問に思っておることですが、同じ電話局がありましても、ケーブル線その他でもって、今所要の九万四千円を出してもどうしてもつかないという所が都内に非常に多いのです。これについてはどういう対策を講じておられるのか。そのために、実際においては、九万四千円出せばつく電話が、場所によっては二十万円もする、番号が少しよければ二十五万円もするという実例が、これは私が例を申し上げなくても、あなた方もどこの電話が幾らするということはわかっておると思うが、そういうようなばかな相場を出しておるのです。これは私は非常に遺憾にたえないのです。都内においてケーブル線がないとかその他の理由でもってつかないのですが、これに対してどういう御意見を持っておられますか。
  43. 平井太郎

    ○平井国務大臣 ただいまの御質問に御答弁申し上げますが、これにつきましては、設備を拡充いたしまして、やはり今のところ局舎の非常に狭い状態にある場所がそういったような事情だと思いますから、そういう地方またそういう場所に対しましては、局舎の拡充をはかり、機械の増設をはかって、そういう問題についての解消をいたしたい、かように思い、目下その問題は準備中でございますし、また本年度の計画にもそういうものはございます。
  44. 森三樹二

    ○森(三)分科員 そこで、私は、さらに問題がそこにあると思うのですが、本来ならば九万四千円出せばつく電話がつかないために、電話のいわゆる公けの相場ではないのでしょうが、業者がつけた相場でしょうけれども、二十万円とか二十五万円するのです。それを担保として、現在年一割くらいの高金利で貸しているところの団体がある。しかもその貸金組合の元締めをやっているのが、ある政党の大ボスだといわれる。その人が貸金組合の組合長をやっているということを聞いているわけです。これについて郵政大臣は御存じかどうか知りませんが、とにかく電話の加入権を担保として金融の対象になっているということは、あなたも御存じだと思う。これは一体取締りをしなくていいのかどうか、御所見をお伺いしたいと思うのです。
  45. 平井太郎

    ○平井国務大臣 その問題につきましては、今いろいろ通産省と事務当局と折衝中だそうです。その理由は、やはり中小企業と電話というものは非常に不可分の関係がある。中小企業は最近非常に金詰まりで、業態の悪いものもあるのでありますし、金融その他の関係を考慮して電話の金融の問題、金利の問題をやはり考えなければいけないというような面も相当あるのでありまして、現在通産省の中小企業関係者とも十分折衝して、何かの成案を得たいというような事柄で今話を進めております。
  46. 森三樹二

    ○森(三)分科員 電話の加入権の価値というものはあってないようなものですが電話局が新設されてたくさんつけば、今まで二十万円したものがずっと暴落する。相場というものは非常に危険性、浮動性を持っているわけです。結局需要供給の原則から言って値段に上り下りはあるのですけれども、もちろん、私どもといたしましても、中小企業の今日の金融難から言って、その電話一本担保にすればそれでもって十万円なり二十万円金が出る、これはゆゆしい問題であって、だれしも有力なる担保物件としてこれを出すのは当りまえだと思うのです。ただいま大臣の御答弁を聞いていると、通産省とも相談してこれに対する金融の道を開きたいというような御意見のように聞えるのですが、私は、そこは非常にむずかしい問題であって、開くならば開くように、月一割の利息というような、今日の市場でもってやっているようなことをやらずに、国家がこれに対して相当の低金利でもって公益質屋のような形において貸してやる。そうでなければ、月一割で十万円借りますと、年利息だけでも十二万円になるのですから、結局その電話を取られてしまうのですよ。そのために結局売り渡し担保のような形でもって出してありますから、電話は今度おれのものだ、おれのものでない、権利はこっちのものだといって非常にトラブルが起きて、電話局も困っているのが実情です。これは一つの大きな中小企業の問題でもあり、また金融面の大きな問題でもあると思いますが、今の郵政大臣の御答弁を聞いていると、そこに金融性というものを持たした方がいいというようにも聞えるのでありますが、この点をもう少し明確にしていただきたい。
  47. 平井太郎

    ○平井国務大臣 この問題は、私の考えとしては、非常に重要な問題だと考えております。中小企業者に対する思いやりとか、また他の金融関係との問題、その他非常に複雑な要素も含んでいると思うので、大臣としてでなく、私個人の考えとしては、相当高い電話でございますから、やはり多少これに対しての金融性を持たして、何とか中小企業者に対する金融の道を開いてやって、うまくやれば、その担保だけでも助かって、運営がうまくいくのではなかろうか、かように私個人は考えておりますが、また役所側にはいろいろ事務当局その他多年経験のある非常にりっぱな方がたくさんおります。十分検討しなければならぬ。また、他省との関係、いろいろ複雑な事情もその間にあると思うので、ただ私個人の考えはそうだから、絶対にそうでなくちゃいけないというような事柄ではないのでございます。十分お説はわかっておりまするから、私といたしましては、事務当局にも十分検討させ、一ついい案を考えてみたいと思います。
  48. 靱勉

    ○靱説明員 その問題は、国会におきましても問題になりまして、いろいろ陳情等も出ておるように了承いたしております。ただ、これはいろいろ過去におきまして歴史的なあれがありまして、ただいま初めの御質問の趣旨から見ますと、実は電話局をこれから建てるということになりますと二年、三年かかりますから、この間なかなか増設ができないということで非常な高値を呼ぶ、できるとドカンとくる。もともと、日本の電話というものは、戦争前は加入者の御負担によって作ったような電話が非常に多かった。どうしても財産権的なものになってしまう。これは事実問題でございます。その後、占領下におきましては、新たにつけた電話は譲渡禁止、すなわち売買できないというようなポツダム政令が出た。また、占領が終りましたとき、ちょうどポツダム政令も効力がなくなるということで、再び自由に売買ができることになりましたものでございますから、そこにやはり市価というものが出てきた。こういう状況になっております。これはあまりおもしろくない現象でありますが、ただいま大臣から御答弁のあった、さて中小企業としますると、相当価格のあるものであるから、これに何か金融の道を講ぜられないかということで、質権設定の問題を目下郵政省で非常に御検討になっておる。私ども、現在の法律の建前から言いますと、そういうような担保にできない。これはやはり法律の改正を要する次第であります。公社としましては、今おっしゃったようにやたらにこれができるようになりますと、やはりそこに高い利息といいますか、弱みにつけ込んだことになりますし、また経理関係も複雑になりまするので、何か公の機関か何かでもって質権のあれができるような形にしてはどうかというような意見を郵政省の方にも具申しておりますが、この問題はなお郵政省においても御検討中のように承わっております。
  49. 森三樹二

    ○森(三)分科員 ただいま国務大臣並びに総裁の御意見を聞きますると、これはやはり重大な問題であります。すなわち、中小企業の金融難を緩和するという面からいけば、これに担保力を国家が公認してやるということになれば、やはり金融の面では相当大きな価値を生ずると思います。現在のようにただ放任制にしてあれば、これはほんとうに高利でもって貴重な電話権というものが期限に払わなければ取られてしまう。非常にトラブルが起きているし、またそれでもって大きなボスが暗躍しておるということをわれわれ聞いておるのですよ。でありますから、平井郵政大臣はそこに思いをいたされて先ほどのような御答弁があったと思うのです。やるならば、はっきりと、一つあなたがそれこそ大臣の地位におる間に目鼻をつけてやることが、私はむしろ中小企業に対して忠実ではないかと思う。彼らとしては、そういう法案ができるだろうということを考えている人も多数あるようです。現在のところですと、全く電話金融の担保というものはヘビのなま殺しのようなものです。いわゆる貸す方では、非常に有力な担保であるから虎視たんたんとしてねらっているわけです。借りる方では、やむを得ないから何でもかんでも判を押してしまう。期日を一日でも過ぎると取られてしまうという、非常に悲惨な状況が起きておりますから、これは十分御注意を願いたい、私はかように考えておりますが、重ねて郵政大臣の御決意のほどを聞きたいと思います。
  50. 平井太郎

    ○平井国務大臣 事柄が非常に重要な問題でございまして、十分事務当局に検討させ、なおあわせて公社の方の御意見も十分拝聴しまして、一ついい線を出し——私個人としては、先ほど申し上げたように、中小企業に対する思いやりの線を考えておりまするが、なかなか法律の問題その他種々な問題がそれには付帯するのでございまして、十分検討の上、一つ結論を出したいと思っております。
  51. 森三樹二

    ○森(三)分科員 中小企業に非常に御同情のある御趣旨のようでありますが、今後そういう法案を提出するような御意図がここであるというふうに承わっていいのですか、どうですか。その辺のところを明確にしていただきたい。
  52. 平井太郎

    ○平井国務大臣 私の申し上げたことでちょっと誤解があってはいけませんが、私個人といたしましては、やはり中小企業に対する思いやりを考慮いたしたい、かように思いますが、やはり何と申しましてもまだ大臣になって一年生でございますし、いろいろの事情もわかっておりません。そこで、事務当局の意見も十分拝聴いたし、またこの問題につきましては一般の世論にも聞かなければいけない問題もあると思います。そういうような点で、御指摘のようにこの国会に法案として提出できるのかできないのか、大臣の腹はどうか、こう申されても、これから一つ十分検討して結論を出したいと思いますので、御了承を願いたいと思います。
  53. 森三樹二

    ○森(三)分科員 そういうような方向で期待に沿いたいという御意見なんですか。
  54. 平井太郎

    ○平井国務大臣 そこまで申し上げると、ちょっと何でございまするが、私個人といたしましては、これはちょっと二つに分けてお話をさしていただきますが、私個人としては、この問題は非常に中小企業に対する思いやりになると思いますので、個人的には努力をいたしたいと思うのでございますが、何を申しましても、私自身が最近郵政大臣を拝命いたしてまだその当初でございます。いろいろ電電公社内部の事情、また過去のこの問題に対する経緯も相当あると思いますので、過去の問題、またいろいろ法律的な問題その他を十分勘案をいたしまして、私としては腹をきめたいと思います。そういうような意味において、御指摘のように今ここではっきりその法案を出す、またそういう方向に向って私も努力するということも、もう少し私に時間を与えていただきたい、かように存じます。
  55. 森三樹二

    ○森(三)分科員 大体御意見わかりましたが、非常に中小企業に対する御理解あるお考えのようです。ぜひ一つ悪徳の金融業者を撲滅する——という言葉は適当かどうか知らぬが、なくすために、ぜひ一つそういう方向に持っていって、安い金利でもって中小企業の者が金を借りることができるように、そういう御配慮を願いたいと思います。  時間がないから、あと一つだけお尋ねしますが、特定郵便局の問題についてお尋ねしたいと思います。  これは特定郵便局の予算を一つお示し願いたいと思います。どうも、全国的に見まして、私はふだんから非常にふしぎに思っているのですが、あまりにも特定郵便局というものの設置の予算が少い。そうして各都道府県についても一年に一ヵ所くらい設置されるかされないかというような実情を見ましたときに、これではあなたの強調されている一般公衆へのサービスという問題は解決されておらないのじゃないかと思うのです。これについて御所見を承わりたいいと思います。
  56. 平井太郎

    ○平井国務大臣 特定郵便局の申請は今まで千三百局申請が出ておりますが、そのうち設置基準にかのうておるものが五百局ございます。そこで、本年度としましては、特定郵便局を五十局設置することに相なっております。また簡易郵便局を百局設置することになっております。
  57. 森三樹二

    ○森(三)分科員 ただいまの郵便大臣のお話では、五十局の予算だということですが、そうしますと、各府県に一つずつぐらいしかつかない。私実は北海道選出ですが、平井さんは香川県選出だそうですけれども、あの北海道には根室の別海村といって香川県より大きい村があるんですよ。とにかく四国、九州を合したよりか北海道は大きいんです。その大きい北海道に、郵便局が年にたった一つ当るか当らないかというのです。ここの人口は四百七十万です。しかも今後の日本の人口問題の解決は北海道に移民を持っていかなければしょうがないのです。ですから、私らは特定郵便局をどこそこに設置してもらいたいということを熾烈に要求され、その陳情が多くて、そういうことにわれわれの仕事が時間的にほとんど空費されるということは実に残念ですし、また地方の住民は三里も四里も行かなければ郵便局がない。ひどいところは何十里も行かなければ郵便局がない実情なんです。別海村なんかそうですよ。こういう実情を解消して、平井さんが言われるサービス大臣としては、年間五十局ぐらいの特定郵便局の設置では問題の解決はつかないと思うのです。これについて大臣並びに所管の方からもう少し誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  58. 平井太郎

    ○平井国務大臣 北海道のような香川県よりも大きい村があるというような事柄につきましては、私も非常に御同情申し上げるのであります。しかし、郵政省には設置するのに設置基準というものが今まで作られておるように聞いております。それに当てはまらないのでそういったような不便な事情があるのだと思いますが、その点は多年経験を持つ事務当局から一つ御説明さしていただきたいと思います。
  59. 松井一郎

    ○松井政府委員 それでは私から補足さしていただきます。  郵便事務の窓口機関というものはできるだけ広く普及し、そして皆さん方に利用しやすいというふうに持っていくのが本筋でありまして、もとより私どももできる限りそうした窓口機関の普及ということを念願しておるわけでありますが、ただ、特定郵便局の現在の形態から申し上げますと、大体、一局作ってみますと、これはさしあたりのプラス、マイナスの計算をいたしますと、一局作ると百万円くらいの負担をこちらとしてはしていかなければいけない、そういうような計算になるわけであります。もとより、われわれは、公益事業をやっておる関係上、何も採算のみにとらわれてこれをやるやらぬというわけではございませんが、御承知のように、私どもは現在独立採算制の建前で運営しております。そこで、できるだけ広げたいと申しましても、われわれの財政的な負担ということともにらみ合して作っていく、こういうような考え方をしている関係上、五十ではもとより十分だとは思っておりません、できればこれが七十も八十もできることを念願しておるのでございますが、ただいまのところ、そうした状況からして、大体特定郵便局については五十局くらいのものを年間消化していくのがやっとだというふうに考えております。
  60. 宇都宮徳馬

  61. 井手以誠

    井手分科員 簡易保険局長にお尋ねいたしますが、簡保年金の三十二年度の増加見込み額はどのくらいですか。
  62. 成松馨

    ○成松政府委員 三十二年度といたしましては、財政投融資の目標といたしましては七百四十億円を見込んでおります。
  63. 井手以誠

    井手分科員 ちょっと今資料を持ちませんが、財政投融資の方から局舎の改築などに振り向けられる金額は幾らでございますか。
  64. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 二十三億簡保年金資金から借り入れる予定にしております。
  65. 井手以誠

    井手分科員 二十三億円が、それでは四十数億円のうちの局舎改築に充てる分になると思いますが、大体三分、お約束の通りだと思います。  そこで、これも同じお約束の、簡保投融資を受ける金額の大体半分は、特定局舎に充てるというのが本委員会の建前であります。そこで五十局の改築予算は幾らでございますか。
  66. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 この五十局は新設の特定郵便局数でございまして、例の逓信委員会におきます御決議の対象となり、簡保から融資を受くるもの云々の建設費は、あれは新設局舎ではなしに、現在ある郵便局の緊急改善、改築の費用、こういうことになっている次第でございます。
  67. 井手以誠

    井手分科員 その緊急改築費用に振り向けられる特定局の予算は幾らでございますか。
  68. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 七億円ということになっております。
  69. 井手以誠

    井手分科員 十七億でございますか。
  70. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 七億百万円であります。
  71. 井手以誠

    井手分科員 大臣にお尋ねをいたします。ただいま私の質問に対する経理局長のお答えでおわかりだろうと思うのですが、財政資金から投融資を受ける金額は大体三%を約束されておるのであります。これは委員会において大蔵大臣と郵政大臣話し合いの上に言明せられた金額であります。さらに、その財政資金を受けたものの大体半分は特定局舎の改築資金に回すということが委員会で決議をされておるのであります。ところが、今承わりますと、二十三億円の中でわずかに七億円、これでは半分にも三分の一にも該当していないと思うのですが、いかがでございますか。これは何か計算違いじゃないかと思いますが、何なら、私、御答弁は後日に回していただいてもけっこうでございます。私はこんな七億円などというものは絶対承服できません。もしあなたの方で計算違いであるとか、あるいはなお考慮の余地があるということであれば、後日承わってもよろしゅうございます。何か間違いではございませんか。
  72. 平井太郎

    ○平井国務大臣 お話の件は、前郵政大臣の当時からそういうお話があったことはよく存じております。そこで、今七億という数字を経理局長から申し上げたのは、三十二年度は大体今出ておる数です。大体七億程度のものが、現在局舎を直しまた増改築するという数字でございまして、今後まだ十分検討の余地がある数字であると、かように今事務当局から申しておりますから、御趣旨は十分尊重することには変りがない、こう考えております。
  73. 井手以誠

    井手分科員 各都道府県の関係者からは、ただいまも森委員から御指摘がありましたように、ものすごい改築の要望があっておると存じております。また、直轄化のためにも、改築工事をしなくちゃならぬことは申すまでもございません。ただいま非常に含みのある御答弁でございましたので、おそらくその数字の誤りをお考えになって御訂正になるだろうと私は期待いたしております。あらためて二十日ごろからの一般質問においてお答えをいただくことにいたしまして、きょうはこれで私は関連質問を打ち切ることにいたします。
  74. 森三樹二

    ○森(三)分科員 お忙しいようですから、もう一点だけ……。御承知通り、全国的に各町村合併が行われましたが、各町村合併が行われた結果、郵便物の配達区域というものの取り扱いの問題も自然に変ってこなければならぬと思うのですが、しかし、従来どうも、町村合併をされたにかかわらず、合併されないままのような集配をされておる部分も多々あるように聞いておるのですが、これについては、やはり私は新町村の合併の趣旨に沿った配達をされなければならぬと思うのですが、それについての構想、並びに、いかようになさっておるか、御答弁願いたいと思います。
  75. 平井太郎

    ○平井国務大臣 御答弁申し上げます。郵政省といたしましては、新市町村建設の線に沿いまして十分配意をいたしております。しかし、この問題につきましては、町村が合併する条件その他いろいろその地域の事情がございまして、なかなかそろばんで割り切るようにも参らぬので、今解決していない地域につきましては、その地方のいろいろな事情を今勘案中でございます。郵政省当局といたしましては、すみやかにこの問題を解決して、新市町村建設の線に沿うて局舎の整備拡充という点に向って、今鋭意努力中であります。
  76. 森三樹二

    ○森(三)分科員 ただいま御答弁がありましたので、私は納得したのですが、改築その他集配の問題等につきましても、やはり新市町村合併の方向に向って御努力されるように私は御答弁をお願いして、一応私の質問を終りたいと思います。
  77. 平井太郎

    ○平井国務大臣 集配局も同様十分考慮をいたすことにいたします。
  78. 上林山榮吉

    上林分科員 大体終りに近づいたように思われますので、一言お尋ねいたしておきたいことは、今度の国会中に郵政省所管の法案はどういう種類のものを準備しておられるか、これは審議上きわめて重要だと思うので、あらかじめ承わっておきたいと思います。
  79. 小野吉郎

    ○小野説明員 お答え申し上げます。ただいま予定いたしております法案で、大体これは出し得ると考えまして内閣の方に連絡をとっておりますものは二件ございます。その一件は有線電気通信法の改正でございまして、内容は、御承知おきの最近の農村等における有線放送に付置いたしました通話設備に対する適当なる法的措置でございます。いま一件は公衆電気通信法の改正でございまして、内容は、簡単な乙種増設、いわゆるスイッチで切りかえのできます工事につきましては、在来そういった工事は電電公社自体しかやれない、加入者自体ではそういう設備はやれないということになっておりましたのを、加入者自体もなし得るというように拡張するわけでございます。また、まだ御連絡いたしておりません法案といたしましては、簡易生命保険法の改正も予想されます。大体今のようなものか今国会に出し得るのではないか、かように考えております。
  80. 上林山榮吉

    上林分科員 もう一つ大事な問題が落ちておりましたが、すでに放送法の審議会ができまして答申も出ておりますところの放送法の改正、この問題は御研究中であると思いますが、新しい大臣は方針がおきまりになりましたかどうか、今国会に出すお気持で研究を進めておられるのか、そこまではまだ至っていないのか、この点をみんな聞きたいと言っておるようですから、お尋ねいたしておきます。
  81. 平井太郎

    ○平井国務大臣 放送法の改正につきましては、この法案は非常に重要なものでございまして、一般に与える影響も甚大かと存じます。そこで、昨年の暮れ臨時放送法審議会の答申が出ております。この答申によりまして、郵政省の事務当局は今検討中でございます。そこで、事務当局において十分検討ができましたなれば、私の手元で十分再検討いたし、そこでどうすべきであるかという結論を出したいと思います。そういう意味合いにおきまして、現段階においては、今国会にこの法案が提出できるかできないかということは、今言明の段階にはまだ立ち至っていないということを申し上げたいと思います。
  82. 上林山榮吉

    上林分科員 これはきわめて重要なので、大臣が慎重を期せられることは当然なことだと思います。しかし、ただ一点聞きたいことは、結論は今どうするかわからない、そういうように承知していいのでございましょうか、それとも、やる意思は、結論が出てみなければわからないが、できるだけ審議会の意見を尊重して、やる方向に持っていく考えを含んでおるのか、全然白紙なのか、その辺を明確にしておきたいと思います。
  83. 平井太郎

    ○平井国務大臣 私の現在の心境は、これは、十分この問題の重要性を考えまして、やらなければいけないのかどうかということについては、もう少しばらく時間をかしていただいて御答弁させていただきたいと思います。
  84. 井手以誠

    井手分科員 御承知通り、今国会は与野党が共通の場をもって円満に運営を正常化していこうという話し合いが進んでおるわけであります。従って、重要法案については——放送法も重要法案に私ども考えておりますが、当然野党にも事前に相談があるものと思うのです。そういたしますと、ただいまの御答弁によりますれば、今事務当局で検討中である、こういうことになりますると、私はあなたの結論が出るまでには相当時間がかかると思う。四月になってからではもう間に合いませんが、与野党の話し合いということになれば、私は今国会における提案は困難だろうと思っておるのです。また、あなたもその点についてはいろいろと経験も豊富であるし、学識も高い方でありますから、よもやそういう法律案は出されまいと私は考えておりますが、もちろん一部には改正すべき点があるかもしれませんけれども、今まで伝えられているような方向の、これを統制するがごとき方向に改正なさる大臣ではなかろうと私は信じております。だから、国会の運営の正常化という立場から考えましても、私は今国会の提案は困難と存じておりますが、いかがでございますか。十分お考えの上に御答弁を願いたい。
  85. 平井太郎

    ○平井国務大臣 先ほど申し上げた通り、この放送法という問題につきましては、非常に与える影響が甚大でございます。そこで、私といたしましても、かねがね、この問題を慎重にやらなければいかぬ、もしも誤まったならば言論を圧迫する、官僚統制になるきらいがある、——いろいろ風評も立てられております。そこで、昨年臨時放送法審議会ができまして、学識経験者、一般の有力者十五名が委員になられて十分検討されて、今答申案が出ております。その答申案の内容も全部が全部賛成の答申案でもなく、いろいろ少数意見もあるようでございます。そういう点は非常に慎重を要する点でございまして、事務当局において十分検討せよ、そうしてその検討の内容を郵政大臣によく説明をしてくれと申しております。そこで私といたしましては、十分検討いたし、また各方面の御意見をよく拝聴いたしたい。もちろん政党政派を超越するという気持を持っております。そういう観点に立って、この法案に対しては、私はまっすぐなほんとうに真剣な態度で検討をいたして結論を出したい。先ほどお話しのように、今国会に提出ができるのかできないのかという問題でございますが、時間がいろいろ制約されると思いますし、なかなかむずかしい問題でございまして、郵政大臣だけの考えでいかぬところもある。この法案は内閣全般の問題として扱わなければいけないという問題も多少含まっておると思うので、私の見解といたしましては、現段階においては十分検討の上検討を加え、相当の時間をかしていただきたい。この程度で一つ御答弁とさしていただきたいと思います。
  86. 井手以誠

    井手分科員 重ねてお尋ねをいたしますが、きょうの御答弁はあまりにも慎重すぎると存じます。聞くところによると、放送法の今国会提案は断念されたというように私ども承わっておるのであります。実は一昨日私は聞きたかったのでありますが、あの問題のために私は質問いたさなかった。先刻も申し上げますように、重要法案については国会再開以前に野党と話し合うということが、申し合せではございませんが、そういう空気になっておる。従って、重要法案と思われるような機密保護法案とかあるいは教科書法案とかいうものは国会提案を中止されておるやに私は聞いておるのであります。従って、時期的に見ますならば、今から研究なさっても、とても間に合う日にちじゃないと思うのです。もやもやとするようなことでなく、あなたははっきりした信念を持っておられると私は聞いておる。そういう人であればこそ信頼を受けて郵政大臣に抜擢されておるのだと思います。もう日にちもないというこの段階に、もう少しはっきりした見通しをおっしゃって下さい。そういう遠慮は要りません。
  87. 平井太郎

    ○平井国務大臣 なかなか事柄がむずかしい問題なのでございまして、郵政大臣として、この席で、これはどうだとか、今国会に出すとか出さないとか言うことは、まだ閣議ででも私から話をしていない事項なんでございます。いろいろこの問題についてはまだ事情もございますので、答申案について事務当局が今相当検討中でございますので、御指摘のように、時間の問題その他の問題で間に合わなければ、もちろん今国会に提出はできないものと考えております。しかし、私自身が、この法案に対してまだ自信がございません。——率直に申し上げて。十分検討しなければ、これを出し、皆さんの御協賛を仰ぐということはあり得ないと思っております。そこで、もう少しこの問題について私に自信を持たす時間を与えていただかなければ、何とも申し上げられないのでございます。また、党には党の機関がございまして、いろいろその間の事情もございまするので、郵政大臣としては、この委員会で井出さんの御質問に対して明確なる答弁はいたしたいのでございまするけれども、一つ私の立場にもなっていただいて、いろいろな事情を考慮させていただき、十分私に検討させていただいて御答弁させていただくということにいたしたいと存じます。
  88. 井手以誠

    井手分科員 それではこれで終りますが、大体ただいまの御答弁で結論はわかったように思います。十分一つ慎重に検討されて、半年でも、一年でも時間をかしますから、十分御検討願いたい。もし従来伝えられるような構想の改正案をお考えになりますならば、私はあくまでも反対することをこの際申し上げて質問を終ります。
  89. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 次会は明十二日午前十時より建設省所管質疑を行うことといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会