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井上分科員 はなはだ抽象的な何でございますが、私の伺っていますのは、午前中からたびたび繰り返しております
通り、赤字の原因というものが明確でございます。その明確なる赤字を
特別調査会に付託をしたからというて、その赤字が消えるものでもありません。ただ今後業務上の運営なりあるいは食糧政策、
農業政策等の
政府の考え方から、
一般会計で持つものと食管
会計にしわ寄せするものとをどう区分するかという
予算編成上の問題が残っているだけであって、純粋の赤字というものは、
特別調査会にこれを委託したからというて消えるものではないのです。ただこの赤字がどうやって出ておるかということをせんさくして、その業務運営の上における赤字を多少緩和するといいますか、合理的な運営によって赤字の高をできるだけ少く圧縮する方法は、金利の操作やあるいは運賃の
合理化やあるいは倉敷
保管料の改訂等いろいろやり方はありましょう。その面における
経費の節約による赤字の減少ということは多少は考えられますけれども、本筋の赤字はどうやってみたって消えるものではないと私は考えております。ましてやこの
特別調査会が扱います場合に、単に三十二年度の食管赤字をどうするか、どうやったがいいか、いわゆる消費者米価を上げるのを妥当とするかあるいはまた
一般会計から補てんするのを妥当とするか、どちが今日の情勢、国民生活の現状からいいかという政治的な判断を求めるにすぎないのであります。私はそう思っておる。またかりにそういうことを求めようとしても、一体この三十二年度産米の買い入れ
価格が果して一万円見当で農家が妥当とするかどうかという問題もございましょうし、あるいはまた三十二年度の麦の買い入れ
価格というものも一体前年度
通りでいいのかどうかという問題も当然起ってくるのです。これら
生産者米価、
生産者の麦価というものが、
政府は一体
予算に組んであるだけでいいとするのか。もしそれ米価審議会において本年度の麦価はこれを妥当とするという答申が出され、あるいは本年の産米に対してこれを妥当とするという答申が出されて参りますと、
特別調査会がいかなる結論を出そうとも、再びそこに新しい赤字の発生というものが起って参ります。ですから、問題の本質は、
政府が本年は
予算通りの米価でいく、
予算通りの麦価でいくという基本的な
方針をきめております以上は、当然これから出てきますところの赤字の
処理に対しては、いわゆる消費者米価を上げてこれを補てんしようとするか、それとも、さきにもちょっとお話が出ましたが、三十一年度の自然増によってこの赤字は穴埋めをしようとしておるのか、一体いかなる方法によってこれをやろうとするのかという
政府の心がまえ、腹がまえというものがその
特別調査会においても
政府側に対して質問されるのは当りまえです。当然質問されることです。その場合あなた方の良識によって、あなた方の公正妥当な御判断によって、消費者米価を上げるのがいいというならば、
政府はその
通りにいたします、また
一般会計から繰り込むのが妥当とすればそういたします。そういう不見識なものじゃないと私は思います。少くとも
政府は一つの見識を持って
予算を
編成している以上は、当然その
予算にのっとって消費者米価に対しても、一つの見識のある意見を持っておらなければならぬ、私はそう思う。そうでないと、われわれこれから
予算を審議いたす場合におきましても、今お話のように、かりに
政府が
予定をしておりましたような一升当り八円五十銭値上げをするとして、本年度の赤字がこれこれということを考えておって、そのうちで消費者米価がこれこれ上ったからこれだけは相殺できた、ところがそれだけではまだ赤字全体は消えないという問題がここに残ってきます。しかもその赤字の
処理については何ら
政府は
国会において明確な答弁をされておらぬ。されていないのにわれわれは
予算を通さなければならぬ、成立させなければならぬ、そういう事態になるのではありませんか。
予算を審議しておる
国会といたしましては、そんなつじつまの合わぬ意見によって、
予算を成立さすわけには参りません。
国会をなめるとあきまへんぞ。国民から預かった金を使う
政府であり、国民から預かった金をどう有効に国家国民のために使うかということを審議しておる
国会としましては、責任のある審議をしなければなりません。無責任な審議はできないのであります。従って赤字
予算を出しております以上は、その赤字
処理に対して
政府の基本的
方針というものをお示し願わなければ、
政府を信頼してこの赤字の穴埋めに対しての処置がまかされぬじゃありませんか。乗った汽車がどこに行くかわからないのに、そんな汽車に乗れますか。そうなるじゃありませんか。ですからこの
予算を通してもらい、成立させてもらおうと思うならば、この赤字の処置はこうしますということを言わぬことには、——何も法的に国家機関として当然そこを通らなければ結論が出ないという機関ではなし、
政府が窮余の
措置としてやろうとしておる
特別調査会というへんてこなものによって
予算が曲げられ、結論がつけられるというようなことは、
国会としては見のがすわけには参りません。もしあえてあなた方が
特別調査会を作るというならば、正式に法律を出して、その法制において正式な機関として、米価問題についてはこれこれの機関で結論を出してもらうという、
国会の承認を得て処置をまかすべきであります。そうでなければ、結局
特別調査会の一切の責任は
政府にあるのでありますから、
政府がその結論に対して見通しを持たなければ、はっきりした結論を言えないという今日の状態では、この
予算をわれわれが審議するわけにはいかぬことになります。この点に対してどう
農林大臣はお思いになりますか。