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1957-02-11 第26回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十二年二月九日(土曜日)委員 長の指名で次の通り選任された。    主査 大橋 武夫君       今井  耕君    重政 誠之君       楢橋  渡君    西村 直己君       福田 赳夫君    三浦 一雄君       今澄  勇君    川俣 清音君       小平  忠君    成田 知巳君       西村 榮一君    川上 貫一君     ―――――――――――――    会 議 昭和三十二年二月十一日(月曜日)    午後一時四十五分開議  出席分科員     主査大橋武夫君       今井  耕君    重政 誠之君       楢橋  渡君    三浦 一雄君       今澄  勇君    川俣 清音君       永井勝次郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  水田三喜男君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 松尾 金藏君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     川崎 立太君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  讃岐 喜八君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         特許庁長官   井上 尚一君         中小企業庁長官 川上 為治君         工業技術院長  黒川 眞武君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         通商産業事務官         (軽工業局軽工         業課長)    堀合 道三君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   村田 豊三君         通商産業事務官         (繊維局繊政課         長)      佐々木彰一君         通商産業事務官         (鉱山保安局管         理課長)    奥宮 正典君     ――――――――――――― 二月十一日  分科員成田知巳委員辞任につき、その補欠と  して永井勝次郎君が委員長指名分科員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計予算通商産業省所管  昭和三十二年度特別会計予算通商産業省所管     ―――――――――――――
  2. 大橋武夫

    大橋主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私がこの第三分科会主査を勤めることになりましたので、各位の御協力によりまして遺憾なきを期したいと存じます。よろしくお願いいたします。  本分科会は、昭和三十二年度一般会計予算経済企画庁農林省及び通立産業省所管、同特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行うことになっておりますが、審査順序といたしましては、大体通商産出省経済企画庁農林省順序審査を進めて参りたいと思いますので、あらかじめ御了承を願っておきたいと存じます。  それではまず昭和三十二年度一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管について説明を求めます。水田通商産業大臣
  3. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま議題となっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まづ三十二年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は百一億二千上百十五万五千円でありまして、これを三十一年度総額八十億七百三十四万四千円に比較いたしますと、二十一億一千九百八十一万一千円の増額となるわけであります。  次に三十二年度予定経費中重要なものについて、御説明を申し上げますと、第一に、貿易振興対策といたしまして総計十二億四十九万円を計上いたしましたが、これを前年度予算額十億七千九百八十三万五千円と比較いたしますと、一億二千六十五万五千円の増額を見ております。  施策の重点は、わが国貿易商社等がいまだ弱体であり、従ってその海外における活動も十分とは申せない現状にかんがみまして海外市場の開拓と販路の拡張とをはかるため、前年度に引き続き貿易情報の整備、市場調査充実及び取引あっせん等のための在外機関整備拡充をはかるとともに、輸出検査強化、意匠の改善等輸出増進のための基礎的施策を推進することといたしております。  まずわが国商品の展示、紹介及び貿易あっせんを行う貿易あっせん所につきましては、三十一年度に引き続き、既設のニューヨーク、サンフランシスコ、カイロ及びトロントの四カ所を維持いたすと同時に、その活動を活発化せんといたすものであります。  次に、国際見本市参加等補助につきましては、二億八百二十万円を計上し、来年度開催を予定されている国際見本市中、特に輸出振興上効果の期待されるニューヨークリオデジャネイロ等五カ所程度に対し、大規模参加予定し、なお国際絹業博覧会、及び中共見本市についても参加いたすことといたしております。また一九五八年ブラッセルにおいて開催される、万国博覧会に参加するために必要な準備経費一億六千二百万円を別途に計上いたしております。  次に、海外投資促進をはかるため、必要な法的措置を講ずるとともに、プラント輸出促進対策といたしましては、現地における機械設計技術相談等の便宜を供与する重機械輸出プラント協会活動を継続するため一億八千万円を計上し、経済協力に関する基礎的調査を行う等、事業内容充実をはかることといたしております。  なお、海外における土建事業協力し、あわせて建設機械輸出促進するための海外建設協力会事業を引き続き、補助するとともに、農水産物輸出増進をはかるため、海外に設置されている農水産物輸出振興共同施設事業を継続する費用等を計上し、なお医薬品輸出増進のための措置を講ずることといたしております。特に三十二年度における新規施策の主要なものといたしまして、バンコックに化学肥料サービス・センターを設置して、東南アジア地域等に対し化学肥料輸出の増進をはかることとし、また、医薬品、雑貨、繊維製品等につきこれらの輸出を一そう促進するため、海外共同施設を増置することとしたほか、輸出品検査を強力にするため別途所要法律改正を検討中でありますが、国立検査所経費増額するとともに、民間検査機関検査施設強化拡充する必要があるので、所要補助金一千万円を計上いたしました。  海外市場を開拓し、わが国商品の販路の拡張をはかることは輸出を振興するための根本でありますので、海外市場調査のため、前年度とほぼ同額の一億四百八十一万三千円を計上いたしまして、海外における諸情報の迅速なる収集をはかるとともに、わが国商品及び産業経済の実態を海外へ紹介宣伝するための海外広報宣伝費を一億三千八百三十七万五千円計上いたした次第であります。  さらにわが国中小企業製品輸出に占める役割はきわめて重要でありますので、その輸出商品品質向上意匠改善等をはかるため、新規試作品奨励技術研究の推進、各種展示会講習会開催等を行う経費として六千五百万円を計上いたしております。  その他、日本国際見本市補助については、前年度に引き続きまして、同額一千万円を計上いたしました。  第二に、技術振興対策でありますが、これは前年度対比二億七百九十二万円の増加で、十三億二千九百六十八万六千円を計上いたしております。  まず鉱工業技術研究助成費については、四億円を計上し、国家的見地より見て重要と思われる応用研究工業化試験補助いたしたい所存でありますが、そのうち特に欧米諸国に比して立ちおくれていると思われる電子技術を振興するため、一億三千万円を充て、また将来における中型輸送機の需要を勘案して、その国産化促進するため、その設計補助として三千五百万円を計上いたしております。  次に、当省所属試験研究機関につきましては、それぞれの基礎的研究に必要な研究費のほか、特別のテーマにかかる特別研究費として、前年度対比一億三千九百五十二万円増しの総計七億六千四百五十万六千円を計上いたしました。これにより、三十一年度に引き続き工作機械オートメーション海水利用石炭化学新種合成繊維の製造、電力系統連繋運転等わが国経済にとって喫緊の重要事項に関する研究を推進するとともに、新たに高度分析技術研究機械工業における部品の互換性研究生産加工技術研究等重要研究を開始する予定でございます。  なお、このほか電子機器試験検定のための設備を整備する費用のうち、本年度分として一億円を計上いたしました。  また、将来学科技術庁より当省所管試験研究機関に移しかえを予定されているもので、原子力関係試験研究費三億三千七百四十九万七千円がございます。  次に、発明奨励費につきましては三十一年度と同額の七百二十四万円を計上し、外国特許出願発明協会補助を行うことといたしております。なお、発明行政重要性にかんがみ、本年度は特許庁の人員並びに事務費充実をはかりました。  第三に、中小企業振興対策であります。まず金融対策でありますが、中小企業金融公庫につきましては、資金運用部よりの借入金二百億円に、回収金等自己資金二百十五億円を加えますと、運用資金総額は四百十五億円と相なり、三十一年度における運用計画三百億円に比し、相当程度増額になるわけであります。  さらに商工組合中央金庫につきましては、産業投資特別会計より十五億円出資するとともに、資金運用部資金をもって同金庫の債券二十億円を引き受けることとし、これによって資金充実と金利の引き下げをはかりたいと存じております。  また、全国五十二の信用保証協会強化をはかるため、中小企業信用保険特別会計に十億円を投入し、これを信用保証協会に貸し付けることによって、その資金的基礎強化に資すことといたしております。  中小企業振興対策の第二は、協同組合共同施設設備近代化及び中央会に対する補助金でありますが、前年度四億七千万円に対し、三十二年度は五億三千五百万円を計上し、施策の一そうの強化をはかることといたしました。  次に、中小企業相談所補助についてでありますが、中小企業特に零細企業に対する指導相談に応ずる機能を一そう強化し、中小企業の要望にこたえるため、三十一年度に一千万円を増加し、六千一百九十一万円を計上いたした次第であります。  また、都道府県の行う中小企業振興事業に対する補助については、三十一年度と同額診断指導を中心として計上いたしており、さらに先年からの風水害に伴う小企業者に対する復旧資金利子補給につきましては、引き続き所要額一百万円を計上いたした次第であります。  なお、中小繊維工業産業規模を合理化し、過当競争を避けて輸出市場安定確保をはかるための補助金として、三十一年度同様一億二千万円を計上いたしました。  第四に産業基盤強化対策であります。  まずわが国産業生産性の向上を三十一年度に引き続き、さらに強力に推進するため、三十一年度に三千五百万円を増額して、一億一千万円を計上いたしました。  工業用水事業補助といたしましては、工業用水確保が、今後における工業生産伸長のため重要不可欠な基盤である点にかんがみまして、従来取り上げた地盤沈下地帯以外に、補助対象を拡張し、重要工業地帯工業用水確保を特に必要とする地帯にも及ぼすこととし、三億一百万円を計上いたしました。  次に砂鉄、磁硫化鉄鉱等重要鉱物生産維持をはかりますための探鉱費補助は三千万円増しの五千万円とし、水溶性天然ガス探鉱費補助は、三十一年同様二千万円となっております。  なお重要機械国産化補助三千万円を新たに計上いたし、重要工作機械等国産化補助いたすこととしておりますほかに、発電水力調査費は三十一年度と同額の一千四百五十八万九千円及び核原料物質探鉱奨励費三千三十七万六千円を計上いたしました。  第五に、以上述べましたもの以外の主要施策といたしましては、防衛産業特定設備管理補償費七千七十五万二千円、鉱害対策費八千三百四十七万二千円等を計上いたしております。  次に当省所管特別会計について、その歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まずアルコール専売事業特別会計でございますが、三十二年度の歳入予定額は三十三億三千二百六十六万四千円、歳出予定額は三十億四千四百二十五万七千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減しますと、三十二年度の益金予定額は二億三千九百五十四万七千円となります。  第二に、輸出保険特別会計について御説明申し上げます。三十二年度歳入歳出予定額は、ともに五十二億八千十八万五千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入八億七千四百三十七万八千円、資金運用収入二億一千六百万円、雑収入八千一百六十九万八千円、前年度剰余金四十一億八百十万九千円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金五億六千四百六十八万円、予備費四十六億八千五百十三万一千円等であります。  なお海外との経済協力促進するため、すでに設けられている海外投資保険制度所要改善を行い、填補率の引き上げ、保険料率引き下げ等を実施いたしますとともに、プラント輸出促進をはかるため、普通輸出保険において機械包括保険を新設し、また保険料負担の軽減をはかることといたす所存であります。  第三に中小企業信用保険特別会計について御説明を申し上げます。三十二年度歳入歳出予定額は、ともに三十二億七千四百六十万六千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入四億八千三百三十七万六千円、資金運用収入一億二千六百二十五万円、雑収入一億三千五百八十四万七千円、前年度剰余金二十五億二千九百十三万三千円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金七億二千八百八十万八千円、予備費二十四億八千八百五十六万四千円等であります。  なおこのほか、さきに申し述べました通り、信用保証協会に貸し付けるため、一般会計から本会計の基金に十億円を繰り入れることといたしております。  第四に特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。本特別会計は、戦時中の石炭増産に伴う特別鉱害を復旧することを目的とする臨時立法に基くものでありまして、本年五月をもって一応期限が到来するものでありますが、別途一年間の期限延長のための法律案の御審議を願う予定にいたしております。本会計の三十二年度の歳入歳出予定額は、ともに二億六千四百十七万五千円でありますが、歳入のおもなるものは納付金等収入二億六千三百九十一万九千円であり、歳出は、その大部分が鉱害復旧事業費であります。  なお、本特別会計のほかに、臨時鉱害復旧事業としては、前に述べました当省分八千三百四十七万二千円のほかに、国庫補助金四億九千二百八十六万円を建設農林等の各主務省に計上してありますが、鉱害全体としての事業総額は十七億円程度に上ることとなり、鉱害地帯における失業対策にも万全を期しておる次第であります。  第五に特定物資納付金処理特別会計について御説明申し上げます。  本会計は前々国会において成立いたしました特定物資輸入臨時措置法に基くもので、三十二年度の歳入歳出予定額はおのおの三十億四千六百十五万七千円で、歳入のおもなるものは納付金十八億三千六百万円、前年度剰余金受け入れ十二億一千十四万七千円であり、歳出のおもなものは他会計繰り入れ二十九億円等であります。  以上をもちまして一般会計及び特別会計予算の概要について御説明いたしましたが、この際当省関係財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  まず開発銀行でございますが、電力、鉄鋼、石炭等重要産業及び新規産業強化発展をはかりますため、財政資金二百五十億、自己資金三百五十億円、合計六百億円を計上いたし、特に重点的、効率的運用に留意して施策の推進に努める所存でございます。  次に輸出入銀行につきましては、プラント輸出振興等に必要な資金としまして、自己資金を合せ六百九十二億円を計上し、昨年度額に比べて百四十四億円の増加をはかり、所要資金の円滑なる供給をはかっております。  次に電源開発株式会社につきましては、財政資金四百四十六億円を計上いたし、電源開発計画を円滑に達成いたしたいと考えている次第でございます。  また石油資源開発株式会社につきましては、原油の探鉱試掘等を一そう促進するため財政出資として十五億円を計上いたし、民間出資増額と相待って事業費確保をはかる所存でございます。  中小企業関係金融機関につきましては、すでに中小企業対策のところで触れましたので、ここでは省略させていただきます。  以上で通商産業省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたします。
  4. 大橋武夫

    大橋主査 これより質疑を行います。質疑の通告がありますから順次これを許します。  なおこの機会に御了解を願っておきたいと存じますが、水田通産大臣渉外事務のため、今日二時半ごろから退席されるそうでございます。そのかわり明日は出席されて、質疑に応ぜられることになっておりますから、御了承をいただきます。川俣清音君。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 通産大臣に対する質問を先にいたしまして、あとで少しの間事務当局から御説明を願いたいと思います。  第一にお尋ねしたいのは、電源開発についてでございますが、一体電源開発というものを通産大臣はどのようにお考えになっておられるかということでございます。これでは答弁しにくいと思いますからさらに申し上げますが、電源というからには、おそらくこの電源水力発電をお考えになっておると思います。そこで一体既設水利だけを目標にしておられるのか。将来さらに電源基礎であります水源をも培養していくという考え方でおられまするのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 電源開発会社を作りましたときの事情はすでに御承知だと思いますが、一般民間の九電力の力をもっては、なかなか開発できがたいという大規模電源開発を特にやらせるために作った会社でございますので、当初の計画に基いて今着々と大規模発電に着手しておりまして、これからまだやる仕事がたくさんございます。当面その開発をやらせることが急務でありまして、それができたあと、この電源開発をどうするかというような問題については、いろいろ論議されておりますが、まだそこまではさまっておりません。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 私の尋ねているのはその意味じゃないのです。流水ダムにいたしましても貯水ダムにいたしましても、今の流れておるものをそのまませきとめて電力を起そうとするのか、それとももっと進んでいわゆる水の利用度を高める意味において、その水源地をもさらに培養していこうという考えでおられるのか、ありのままの自然のままだけを活用するということを考えておられるのかというお尋ねなんです。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 今までわれわれの考えておったのは、そこまでやるのは電源開発仕事であるというふうには、別に考えていませんでした。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 むしろ私はそこに問題があるのじゃないかと思う。今まで下流において持っております水利権を買収するなり、あるいは譲渡を受けるなり、あるいは借用するなりして、下流で使っていた水を一時借用するというやり方電力源にいたしておった。従って自然に水が枯渇すれば、これもやむを得ないというやり方、あるいは豪雨の場合におきましては、むしろ貯水池のダムの推積を下流に流す等によって、被害こそ与えておるけれども、完全に水の利用というものを行なっておったとは言いかねると思うのです。このことについてあとで詳しく実例をあげて申し上げますけれども、むしろ今後の問題は、どうしてこの水源地を培養していくかということを考えなければならないところに来ておるのではないか、こういうお尋ねなんです。おわかりになりにくければもう少し説明しますけれども、この程度一つ答弁願いたいと思います。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 その御趣旨はわかりますが、これは電源開発にやらせる仕事であるか、全体として、国土保全の問題、治山治水の問題として政府の他の直接管掌の省がやる仕事かという問題があると思いますので、今までの考え方ではそういう仕事政府施策として今後やるべきものであって、電源開発会社にそういう仕事をしろというような方向では来ておりません。むろんそういう問題について電源会社協力をさせるということは当然でしょうが、仕事の性質は違うと思います。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 これは通産大臣というよりも国務大臣としての答弁をあわせて伺いたいのです。そうすると、水源地の培養とかいうものは電源会社にやらすべき問題ではなくして、一般行政費等でこれを国策として見るべきものだ、こういう御答弁のようにも聞える。また協力させようというからには、幾分は電源会社責任でもあるように聞えるのですが、区別することも一つの方法だろうと思いますが、この点を明確にしてほしいと思うのです。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりこれは本質的には国がやるべきものだ、電源開発責任ではないというふうに考えております。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、こういう点に思いをいたされませんか。水源地がもしも荒れまして期待量の水量が得られなかった場合の損失は会社が持つべきだ、こう考えてよろしいでしょうか。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 会社が持つべきだろうと思います。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 その場合に、それじゃ会社が持つべきだというものは、需要者負担をさせないという意味ですか、それとも危険は需要者もあえて負担すべきだ、こういうお考えですか、その点をお尋ねいたします。
  16. 岩武照彦

    岩武政府委員 事務的なお尋ねでございますから私からお答え申し上げます。お尋ねになりました点は、水源等がいろいろ様子が変って発生電力量が減って、その結果コスト以上になる、それを需要家負担させる、こういうことになるかと思っておりますが、これは状況によりましてそういう場合もあり得るだろうと思っております。ただ御承知のように電源会社あるいは電力会社はその発電所だけを持っておるわけではございませんので、ほかの発電所と一緒にプールして行いますので、それほど一つ発電所水源枯渇の影響が強く現われることはまずないのじゃないかと思っております。それから現在ありまする発電施設等自然的条件の変化あるいは年月の経過とともにいろいろ条件も変って参ります。それでその結果あるいは稼働率が落ちる、あるいは利用率が下ったというような関係で、ある程度いわば設計当時の能力が出ない、その結果原価の増加が出るという場合もあり得るかと思っております。ただ全国的に大きくプールして考えますと、それほどすぐ需要家のふところに響くほど料金を上げなくても済む場合が多いのではないか、こういうふうに考えております。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 この点は局長からよりも大臣から私は答弁を願いたい。自然的条件が期待した通りに行かなかった、非常に荒廃してきたという責任電源会社じゃないというのが、今までの電源会社の言い分であったのです。しかしながら、これは世間的、一般的常識からいって、すでにそれらの自然的条件が悪いということを計算のうちに入れてなかったという設計のミスをも、国または需用者負担させるということは、金額のいかんにかかわらず、私は大きな問題だと思うのです。一例を申し上げますと、今問題になっておりまする愛知用水公団の上流の地帯における中部電力、あそこにある二つの発電所は、すでにもう所要の用をなさなくなってきている。特に濁川という川の貯水ダムがもう荒廃しております。発電所は今や落ちそうになっております。これらのごときは、もう初めから条件が備わっていないところに無理にやっている。この資産評価を見ますると、当時の投じた資産よりも、現在加算をいたしまして相当膨大な固定資産に見積っております。すでに償却が終っていなければならない年月を経ているにかかわらず、いまだに資産を相当過大に見ている。その損害が計算の中には入っていないとは言わせない。入っていないと言うならば、除外して参りますると、中部電力の利益率がもっと大きく上ってこなければならぬはずである。ですからこうした計画がどっちの責任にあるかということを明確にしないといかんと思うのです。もし国がやるべきだというならば、当然あなた方の責任をもって荒廃に至らないように条件を満たしてやらなければならぬ。その責任電源開発会社にあるとするならば、責任を持って荒廃の起らないように措置させるべきである。どっちかしなければならぬはずである。ただいたずらに需要者負担をするということは、需要者が当然応じ得られないところなんです。国かあるいは電源会社かどちらかが責任を負わなければならない。それとも需要者負担において処理させようとする考えで今なおおられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう計画を立てる場合には、電源会社独自だけじゃなくて、最後にはいろんな審議会の議を経るし、それから政府の許可によってやるのですから、そういう不当な計画があったというようなときには、やはりその責任の一半は政府にあるので、電源開発会社だけにその負担を持たせるというわけには参りませんし、むろんそれを需用家に転嫁するというわけにはいきませんから、行政の事実上の問題としては、そういうものについてのいろんな補償とかいうものを、直接には電源会社にやらせるということはあるかもしれませんが、そのかわり国の責任を果すという意味においては、電源会社にそのために大きいコストをかけないようないろんな援助措置をとることによって、やはりその責任を最後は政府が持って措置するものであると考えています。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 通産大臣答弁は、許可した以上政府責任だから、その責任は負う、こういうことだと思うんです。それももちろん一つの問題だと思います。一体無条件で、山の荒廃程度を調べもせずに、現状のままの形において許可したために起ってくるところの大きな設計上の損失でありますから、許可したところの通産省の責任なしとは言えません。私の責任を問うているのは、その点じゃないのです。荒廃して、ほとんど水源地が荒されて貯水ダムの用をなさないであろうことが予見されるのに、その防御対策も政府は積極的に講じもせずに、また電源会社もそれに対応するような設備もせずに、結果こうなったのでありますということで、コスト高を需用者負担をさせるということは、不適当なことではないか。現にあなた方はコスト計算をする場合は、それを見ておられるのですよ。責任を追求しておられないのです。そこでお尋ねするのですが、一体政府責任だとするならば、それだけのコスト高になったものを補助するのか。自分たちの失態として補助されるのか、それなら別ですよ。今のところはコスト高に対する補助はしておられない。責任は負うというならば、そういうコスト高に対して補助するというなら、これは一つ責任の負い方です。許可した責任上、それだけのコスト高が起る理由がなかったにかかわらず、起きた場合に補助するというなら別問題です。あるいは予知されるから、そういうコスト高の起らないようにさらに積極的に保全施策を講ずる、これも一つの方法だと思います。一体どっちの方法をとられるつもりですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはそういう状況を見ながらこちらは許可するのですから、許可した方の責任であって、そういう問題に対する補助なり援助なり、そういうものは政府がやるべきものだと思っております。
  21. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、これからおやりになるのですか。今までかつてコスト高に対して電力会社補助されたことはない。積極的にはない。これはしかし現状ではなかなか無理じゃないかと思う。むしろそれよりも、積極的にそういう荒廃をしないような砂防工事なり造林工事なりをしていくという国策を立てる方が、より経済的に効果が大きいのではないかと私は見る。そこでどっちをとられるのかと聞いている。今までコスト高に対する補助をされたことはないのですよ。これからやられるというなら別問題です。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 今までできておったものに対してはそうですが、これからやるという場合には、そういう予防措置とか何とかというのは、許可するときに国がそういう措置をすべきだ、電源会社にそれをやらせるという建前ではないんだということを言っているわけです。
  23. 川俣清音

    川俣分科員 それではさらにお尋ねしますが、今までも時折そういう答弁が国会においてなされてきている。しかし答弁はされておりますけれども、いまだかって積極的にこの実現に対して――今度の予算上におきましても、他の省に対しましても、これらの要求が行われたということを聞かない。一度も聞きません。これはどうしたことでありますか。これからおやりになるつもりですか。まだ予算が衆議院において審議中でありますから、通産大臣がそういう意図をもって幾分ともそういうふうに実現されるというのであれば、これは了といたします。私別にここであなたをとっちめるという気はないですよ。少くともそういう方途というものを出されるからには、やはり裏づけの話がなければならないと思うのです。それだけ言われるならば、その裏づけになるようなものをおやりになりますかどうかということを聞いている。
  24. 岩武照彦

    岩武政府委員 いろいろな事務的の経過のお話もあるようでありますので、私から答弁いたします。実は先国会におきまして川俣先生からお話がありましたが、この問題はいろいろ他省の公共事業、ことに治山、砂防、道路等に関係しているように思います。それで一般的にそういうふうな被害の多い地域につきましては、われわれの方も、ここでは一雨降ればある程度山はくずれるであろうということはわかりますので、そういう点につきましては、具体的に幾ら幾らの金額とまではいきませんが、何とかならぬだろうかという話をしたこともありますが、なかなかあちらの方の官庁の計画もありまして、われわれの方の水源涵養というところまでは実は話がありません。まあ一種の、場所によりましては災害復旧的な問題のところもあります。たとえば只見系統なんか若干そういうふうな気配もあります。中部の天竜あたりもあるいはそういうふうに見られるかと思います。それから大体が荒れる山だ、荒れる川だというものもありまして、こういうものはむしろ災害復旧というよりも、事前にそういうところをねらって砂防費をつけるということが根本だと思っております。実は私ども少し怠けておりまして、注意が足りませんので、その結果がある程度既存の施設で見落されておるというところも君子あるかと思っておりますが、今後は十分注意いたしまして、横の連絡を十分いたしたいと思いますので、この辺で御了承願いたいと思います。
  25. 川俣清音

    川俣分科員 了承してくれということですから、なんですが、しかし今の治山治水のつけ方は、普通のいわゆる公共的な立場から治山治水がやられている。私はそれだけでなく、やはり電力資源の培養という立場からこれを見ていかなければならぬのじゃないかと思う。ところが今日の予算の上からいって電源はもちろん公共でありまするけれども、それよりもっと災害復旧であるとか、そちらに力をとられる現状であることはいなめないと思うのです。それだからといって相マッチするものがなしとはしない。そこでいはゆる水源地の培養、電力資源の培養というようなことに意見が出てこなければ、やはりその調整もできないのじゃないか、こういう建前でお尋ねしておるのです。通産大臣、事務当局があやまっておられるから、通産大臣責任ある答弁をもう一度……。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 お説のようにこれは通産省だけがやるのでなくて、こういう電源開発については、予防とかあるいは今度災害が起った場合の復旧とか、こういうものを国が責任を持つという態勢をはっきりして、当然そういう問額があればそれを予算化してやるのがほんとうだと思います。
  27. 川俣清音

    川俣分科員 この程度にしておきますが、もう一言触れておきますと、どんな会社でもある程度の危険負担というものを見ておるわけなんです。電源会社もまたこの危険負担ということを感じまするならば、水源地の培養等に対する経費もやはりある程度見させるということが長い月日の間においては必要になってくるのじゃないか、そのそめに起ってくる一時的なコスト高というようなものも、これは長い目で見るとコスト安ということにもなるのじゃないかと思います。ところが、いまだこういう立場をとって電源会社を指導されたことはないようなんですね。最近東京電力水源地に対してようやく幾分の経費を入れて考え出したようでありまするけれども、これもやはり国会でいろいろ問題になってきてからあわててやったようなことですが、やらざるよりはいい。しかしこれは全体に考えていかなければならない問題だと思いますが、通産大臣は今後どのような方針をおとりになるか。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、国の施策が十分及ばないから、結局こういうときに開発する会社に対していろいろな要望が出てくる。その要望にこたえて各社が別々にそういう方向へいく、これはいってくれるならけっこうですが、やはり国の施策がそこへ及んでいないからそういう形をとるので、やはり計画的にそういうものに対して国がやるというのがほんとうの方向だと思っています。
  29. 川俣清音

    川俣分科員 次にお尋ねしたいのは、これは事務当局に関することが、あるいはあとで多くなってくるかと思いますが、国内工業を、国内の需給を増していく、あるいは購買力を培養してやっていかなければ、通産行政というものはなかなかうまくいかないと思う。そこでお尋ねしたいのですが、最近の肥料工業であるとか、農薬工業であるとか、機械工業であるとかいうものが非常に発展をしておりますのは、これはやはり購買力に応じた発展をしておると私どもは見ておりますが、通産大臣はどのように見ておられますか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり購買力に応じて発展をしておるのだろうと思います。
  31. 川俣清音

    川俣分科員 そうしますと、輸出を切り離してみますと、結局国内工業の発展というものは、国内の購買力の強弱によってきまってくると思いますが、何といっても日本の購買力の根源は農村にあると思う。その中でも特に農村の購買力に依存をしながら発展を遂げておるのが、日本の工業じゃないかと思いますが、この点に対する見解はどうですか。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をもう一ぺん……。
  33. 川俣清音

    川俣分科員 これは、純然たる生活消費物資であれば別問題でありますが、日本の工業の大宗をなしつつあるところの肥料化学工業あるいは農薬工業あるいは機械工業というようなものは、農村の購買力の強弱によって支配されておると私どもは見ておりますが、そうではないのですか。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 農村の購買力によって支配される部門も相当大きいと思います。
  35. 川俣清音

    川俣分科員 相当大きいという程度でしょうか。それとも絶対的だと見てよろしいでしょうか。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは、人口比率から見ても農村は大きい比率を持っておりますし、農村の購買力に影響を受けるということも相当大きい。同時に農村以外の購買力に応じて動かされている部面及び世界的な好況によって他国の需要によって動かされている部分というものも、また相当多いということが言えると思います。
  37. 川俣清音

    川俣分科員 どうもその点が認めておるようで認めてないようですが、日本の化学肥料工業は、国内消費と輸出とを比較いたしますと問題になりません。農薬にいたしましても大体そうであります。そうすると輸出によってささえられておるというよりも、むしろ国内の購買力に支配されている、こう見ていいのじゃないですか。私はそう断定するのですが、大臣がそう断定しなければ別問題です。これは国内の生産量から見て、国内の消費量から見て明らかでありますから、あえて大臣に問わなくてもいいと思いますが、一応頭に入れておいていただきたいので申し上げたのです。  そこで日本の工業は、ことしも相当伸びるという説明政府はしておられるわけですが、そういたしますと、農村の購買力は、昨年よりもやはり伸びるという考え方をしておられなければ説明が成り立たないと思うのですが、そういうふうに見ておられますか。
  38. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりことしも農村の購買力は伸びると一応見ております。四、五日前から予算委員会でも説明されましたように、国民の消費水準は伸びるというので、農村のそういう消費力というものも伸びるという一応の数字上の想定も持っております。
  39. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますると、ことしの作柄、生産量は昨年と少くても同様、あるいはそれ以上、こう見なければならない。また農産物価格も昨年よりも幾らか高目だ、こう見なければ購買力が伸びるということは出てこない。そうすると数量が伸びると考えておられますのか、価格が上ると見ておられますのか、通産省としてはこれは通産行政に大きな影響がある問題でありますからお伺いしておきたい。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どもはやはり数量を伸ばそうという政策をとっておりますので、数量がふえるということによって、むしろ価格が、ほんとうなら下ることを期待するのですが、しかしいろいろな農村の一連の保護政策によって、農産物価格は大体落さないという方向でいますので、事実上は落ちないでしょうが、私どもが望むのは、今言った農薬にしろ肥料を使うにしろ、増産数量を多くすることを望んでいるわけでございます。
  41. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、価格は横ばいであるが数量がふえる、こういうことで購買力がふえる、こう見ておられるということでございますね。
  42. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうです。
  43. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、大へんえらい御説明だと思うのですが、天候を支配できて平年作をとり得るという政策は、いかにしても政府はとれないと思う。農村にはある程度天候に耐え得る態勢が徐々に生まれてきてはおりますが、多くは天候に支配される部面が非常に多い。そうすると非常に冒険的な組み方だといわなければならぬ。政府自体が天候をある程度支配できれば、これは計画通り行けると思うが、天気の方は全く政府のあずかるところにあらずということになると、これは価格で行かなければならないことになると思う。やり得るのは、政府の手に及ぶところは価格であって、なかなか数量までは、天候に支配されるところまでは及ばない、こういうことになるのじゃないかと思う。数量を期待する、これは期待して悪くはないし、そのように天候不順にも対応する対策を常にとることも必要であることは論を待たない。しかしそちらには非常な危険があるとすれば価格で考えていかなければならない。こういうことになると、ある程度通産行政を期待通り伸ばしていくには農産物価の上ることもまたやむを得ないと、こうお考えにならなければならないと思いますけれども、今すぐここで言えということは無理だと思いますから、通産当局に自分の支配の及ばない数量については非常に危険があるという考え方が出てくれば、私どもとしては価格について十分な関心を持たなければならないということになるということだけを明らかにして、これは答弁は要しません。
  44. 水田三喜男

    水田国務大臣 今言ったのは、こちらのそういう方向で行きたいという期待ですが、これが急に今年はえらい天災が起るとかなんとかいうような場合には、当然価格変化が出て参りますので、またそれによって農村を救うために、今食糧管理を中心としていろいろな値段をきめる立法が出ておるのですから、そのときは当然特別価格というものが出て、それによって保護されるということはあり得ると思いますが、私どもはなるべくそういうことがなくていこうと期待しておるというだけです。
  45. 川俣清音

    川俣分科員 次に一言お尋ねしておきたいことは貿易のことですが、これは貿易を管理しておられる通産当局としての御意見を伺いたいのです。なるべくならば国内に不必要なものは輸入したくないというお考えであると私は信じておるのですが、例外もあり得るのですかどうですか、その点をお尋ねいたします。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 国内で済むものはむろん輸入させないで済ませようという考えですが、これが非常にむずかしい。需要に応じないような国内生産であるのに、それを輸入させないという措置によって不当にその値を上げ、そのために今需要家から非常に文句を言われておるという物資も若干はあるのですから、そういうものは国内生産で生産者がりっぱにペイするようなところで、一定のものは輸入させるという措置によって、消費者の利益を守るという場合も相当あり得ると思います。
  47. 川俣清音

    川俣分科員 抽象的な答弁でございますから、それは必ずしも了承しないわけではなくその通りでありますが、しかし国内で生産されるものであり、施策によっては国内でさらに生産を上げることができるようなものであれば、あなたの御説からいうと輸入しない方がよい、こういうふうに理解してよろしいですか。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは当然でございます。
  49. 川俣清音

    川俣分科員 そういう見解を通産省でお持ちになっておるのだとすれば、もう一つお尋ねしておきたいことがあるのですが、そうすると東南アジア等から食糧を輸入する場合に、一体輸入が目的なのか、あるいは国内製品の輸出が主であるのかという疑惑の生ずるような貿易がある場合には、どのようなことを考えておりますか。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは貿易を拡大するというために、各国別の貿易の協定によって、こちらがそう買わなくてもあるいは済むものがあるかもしれませんが、それを買うことによって日本のものを売るというための協定に縛られて、いろいろ買う約束をしているというものも相当ございます。
  51. 川俣清音

    川俣分科員 するとさっきの答弁と今の答弁とだいぶん違ってきたと思う。さっきは国内で生産がペイするようなものであれば、できるだけ買わないようにするというのがあなたの方針だとも言われた。貿易上それはやむを得なく買ってくるのだということとこれは違った方向なんですね。これはいずれあなたと農林大臣のいる前で聞かなければならぬから、今聞いておく必要はないことですけれども、一応あなたの意見だけ聞いておかなければならぬと思う。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは自給度の向上で買わなくて済むものはもう買わない。それから国内で育成して済むもの、そうして需給を満たすものはそれ以上買わない、これは原則でございますが、今やっている貿易の協定で、たとえば砂糖なら砂糖、これをインドネシアから一定の砂糖を買うという約束によって、こちらは日本のものをまた売るというふうに、そういうものを種にして貿易を伸ばすといういろいろな協定がございますが、しかしそれは国内にあり余っているものを入れることによって、国内産業を圧迫するというような取引をする、そういう協定はあんまりやっておりません。
  53. 川俣清音

    川俣分科員 それも了承いたします。あとになってから取り消しのないようにいたしておきたいと思います。いずれ一般質問のときに農林大臣と合せてお尋ねしたい点の予備質問でありまするから、そのつもりでお聞きいたしておったのであります。  次に官房長にお尋ねしておきますが、これは答弁ができなければ資料でお出し願ってけっこうなんですが、近年の化学肥料の伸び方を見たいと思うのです。同時に国内の消費量の増大を調べたいのでございますが、私どもは何と言っても数年前に考えられた以上に反別が相当ふえてはいないにもかかわらず、一反歩当りの化学肥料の施肥量が非常に増大いたしてきております。そこであなた方の算定としては一反歩の施肥量はどの程度までいけば限度に達するかというような予想がなければ、肥料工業を指導されていく上に障害になると思う。そこで一体国内需要の限度はどの程度に見ておられますか、その点をお尋ねしたいのです。これはむずかしければ資料でお出しになってけっこうです。
  54. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 ただいま御指摘のように、従来国内の肥料の需要は、当初といいますか、経過的にわれわれが年々予想します以上に需要が増大してきたことは御指摘の通りであります。これはおそらく農村における食糧増産の熱意なり、またそれに伴う農村の購売力と申しますか、そういうものがわれわれの予想以上であったということの反映であろうと思いますが、今後どこまで行き得るかという計算は、われわれの方といたしましても若干やってみることはございますけれども、的確なものをつかみ得るわけではございませんので、今後当面の農業生産の担当官庁である農林省ともよく相談をいたして、できるだけのことはやってみたいと思いますが、的確なことをつかむことは非常に困難ではないか、こういうふうに考えております。
  55. 川俣清音

    川俣分科員 大体の伸びがどの程度で行くのか、どの程度行ったらば詰まるのかという予想がつかないで、化学工業は七コンマ幾ら伸びますとかなんとかいうあれは出てこないと思う。もう今年あたりから頭打ちをするのかどうかという予想も立てないで、そういうことを検討もしておりませんというこうであれば、一体日本の肥料工業、化学工業における重要な基本でありますこの肥料工業が限度に達しているのか、もっと伸びるのかという目安はつかないと思う。今検討中でありますでは、今までの政府答弁と違ってきている。どの程度伸びるのであるかあるいは頭打ちか、これは頭打ちだけれども、ほかのものはどれだけ伸びるのだ、それで平均どれくらいになっているというなら説明はわかりますが、今検討中だということになると、こういう化学工業の大宗をなすものがわからないということになれば、あとのものはなおわからない、こういうことになります。これはあなたを責める意味ではない。大体どの程度だということがわからなければならぬ。今答弁できなければ明日でもけっこうです、今無理に聞こうなんて言っているのじゃない。大体の方向だけは打ち出していただきたい。
  56. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 従来の経験値と申しますかによりますれば、年間三%ぐらいの伸びということは大体予想されるわけでありますが、その他同じく肥料によりましても、たとえば御承知の尿素のようなものになりますと、需要の増大は今後に持たなければならないような状況にあると思います。そういう関係を組み合せて考えてみますと、確かに将来の需給の見通しなくしてと言われますと、非常にわれわれも説明に困るのでありますが、通産省限りでこの問題を至急に答えを出すというわけにも参りません。農林省その他とよく相談をいたしまして、できるだけのところで今後の政策を立てるというほかにはないかと思います。御了承願います。
  57. 川俣清音

    川俣分科員 できるだけではほんとうは――実際はまあその通りだと思うのです。だけれども通産省も企画庁も相当な伸びを見ておられるので、現在のところ三%ぐらいの伸びではない。化学工業としては大宗をなすものですよ、これは。これがぐらつけば、ほかの方はなお当てにならないということになるので、ちょっときついようだったけれども、おそらくそういうことだろうと、あらかじめ予想をして聞いてはいたんだけれども、総体の企画庁の計画などはずさんなものだということにわれわれとしては見解をとる。これはあなたにとれと言うのじゃないのです。そこである程度の限界に来ているとすれば、今後一体どうしてコストを下げていくかということにならなければならない。そういたしますと、電力に依存いたしましたり、あるいは石炭に依存するところから、もっと天然ガス等に入っていかなければならないような事態も起きるのじゃないか。私通産行政を論じようと思うのではないんです、予算ですから。しかしあらためてそういう方向を打ち出さないというと、伸びというものはコストが現状である限りにおきましては、もはやとまるというふうに見なければならないのではないか、こういうふうに思うのです。これは一つの見方なんですから必ずしも強要はしません。そこで通産行政全体の伸びというものについて私は疑問を持っておったからこれだけお尋ねしたのです。  次に同様に、農薬もそうですけれども、このごろの品種改善に伴いまして、あるいはいろいろの新しい品種等が国内に入って参りますとともに、また世界がかなり狭くなって参りました結果、病虫害もまた世界的に蔓延しておるような傾向も出て参りますから、農薬の使用量は今後ともかなりふえるであろうと見てよろしいと思うのです。しかしこれは決して農薬のような消極的なものは――肥料のような積極的なものは別ですけれども、農薬のような積極的でないものは、ほんとうはあまり伸びは見るべきではない。経済活動から申しますると、こういう消極的な防衛的なものはなるべく見たくないのですけれども、伸びる傾向にあるわけです。そこで一体これも日本経済からいうと好ましくないものだけれども、ある程度発展を遂げておる形があるのです。これらに対して将来どういう対策をおとりになるつもりですか、この点をお聞きしたい。官房長が無理だったら当該局長でもけっこうです。
  58. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 実は農薬の関係は生産ともに農林省関係でありますが、私の方からあまり突っ込んで御説明を申し上げかねると思いますが、たとえば御指摘のように、農薬は肥料と違って、ただそれを伸ばすだけが目的じゃなくて、むしろやむを得ざるものであろうと思いますが、しかし従来御承知のように、相当量の輸入がだんだん国産化にかわりつつある状態でありますから、やはり必要なだけは国産の線を伸ばしていくということにわれわれも期待をしておるわけでございます。
  59. 川俣清音

    川俣分科員 私の聞いておるのは、農林省的な感覚で聞いておるのではないのです。農薬というものは、農薬となった場合には農林省の所管ですけれども、工場自体というものは農薬一本というのはごく少いのです。従って他の化学工業とともに出てくるところのものでありまするから、それであなたにお尋ねしておるので、農薬ということになれば当然農林省の所管ですが、しかし農薬の生まれる過程と申しますか、化学工業自体は、生産過程はあなた方の方の所管なんです。そこで一体農薬を主にした化学工業というものは私は日本には好ましくないと思う。しかしときにはやはり農薬にいつでも転換できるような設備は必要だと思うのです。しかし大宗はやはり別な積極的な用途に用いられるようなものに指導をされていって、ときに病虫害が発生した場合には、いつでも応ぜられるという化学工業の指導体制が必要になってくるのじゃないか。どうもただ農村にだけ依存をして、農薬でもうけようという考え方は私どもはとらない、こういうふうに申し上げておるのです。別な化学工業は損をしても、農薬だけで一つもうけようというようなことが、現状の工業界にあるように見受けるのです。そこでそれを転換する必要があるのじやないか、こうあなたにお尋ねしておるのです。その点どうですか。
  60. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 私、農薬関係の事情はあまり詳しく承知しておりませんのでなんですが、やはり御指摘のように、農薬には、あまり大規模の工場でなくして、しかもそれを中心に、いわば専業的にやっている工場もかなりあると思います。そういうところになりますと、御指摘のような決して好ましくない格好が出ていると思いますけれども、化学工業は全体といたしまして総合的な化学工業であり、しかも相当ユニットの大きい化学工業であることが望ましいことは一般の常識でございますので、そういう線で化学工業全体の育成等を考えて参りたい、こういうように考えております。
  61. 川俣清音

    川俣分科員 それなんです。どうも所管が農林省になっておりますと、農林省では単業の農薬をやっているものを優遇するがごとき傾向がなしとはしないのです。そこで通産省としてはやはり総合的な工場へ指導していかなければならないであろう。一体そういうことについて農林省と話し合ったことがあるのですか。どうもそうじゃないようです。農薬だけ作っておりますと通産省の手から離れるような格好がある。そこに私はむしろ問題があると思う。
  62. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 通産省といたしましては当然ただいま申しましたようなことで参りたいのでありますが、たまたま農薬については農林省の所管というようなことで、若干そういう面に対して不十分な点も従来あったかと思います。ただ通産省といたしましては、やはり農薬の原料面からのコスト低下の方に協力して、最終的な農薬の値段の引き下げには今後とも協力して参りたい、こういうふうに考えております。
  63. 川俣清音

    川俣分科員 これは今後日本の産業に重大な影響を及ぼす基本的な問題でもありますから、単に現状のコストの問題だけでなく、当然農林省と十分、話し合いと申しますか、協議を遂げて指導されていかなければならないものだと思いますけれども、この点いかがですか。
  64. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 まったく御同感でありまして、従来、ただいま申しましたようにそれらの点で必ずしも十分でなかった点も多かろうと思いますが、今後とも十分に一つ留意して参りたいと思います。
  65. 川俣清音

    川俣分科員 次にお尋ねいたしますが、通産省は最近工業用水について非常な力を注いでこられましたことは、おくればせながら当然のことだと思うのであります。御承知通り現在愛知地方等における工業用水の不足からくるところの地下水の吸い上げ等によって、地盤がかなり陥没いたしましたり、あるいはひいてはその上流にあります田畑にも相当の影響が徐々に現われてきている。これは何といいましても、正確なデータはいまだ十分ではないようでありますけれども、影響のあるということだけは、これは見のがせないようであります。どの程度の影響であるかということは農産物の生育の状態から見まして、その年の天候等にもよりますので必ずしも正確なデータが出ているとは言えないと思います。しかし影響のあることは事実です。そこで日本のような地理的条件におきましては、やはりかなり上流から用水の根源を確保して参らなければ、下流におる被害がだんだん増大してくる結果になる。そこで先ほどの電源開発と同じように、やはり工業用水としての水源地を培養していかなければ、工業地帯の地下水を吸い上げて、陥没等の被害が出てくるばかりでなくして、付近の農耕地にも影響してくるということになるので、ただ単に目前の工業用水確保というよりも、やはり一段進んで、水源地の培養に力をいたさなければならないと思うのであります。これだけの補助を載せるからには――これはごくわずかでございますが、もう一歩進んで、水源地の培養をも考えるべきだと思いますが、この点はどうなんですか。これは事務当局が検討すべきだと思うので伺ったのです。
  66. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 ただいま御意見のございましたのはもっともで、私ども全くその通り考えております。ただ、これを通産省の行政の面に乗せて考えてみますと、現在のところ、御承知のように、工業用水のための法律を作って、工業用水を現実に必要とするその地帯工業用水確保するところまで、やっと最近手をつけたばかりでございます。本年度の三億の補助金も、そのために目的を限定いたしましても決して十分ではないという状況にあります。また、御承知のように、所管関係から申しましても、工業用水というその点だけで、通産省の専管事項にはなっておりますけれども、さかのぼってその水源地帯の酒壷でありますとか、あるいはさらに広い意味治山治水ということになりますと、一応通産省の行政の所管の中に入っておりませんので、むしろわれわれといたしましては、工業用水の現実の需要確保するためには、さかのぼってそういうところにも国全体としての施策が及びますように、それを要求するといいいますか、お願いをするような立場にあると思いますが、今後とも公共事業費の運用等に当っては、そこまでさかのぼって工業用水確保計画関係各省に要望したい、こういうふうに考えております。
  67. 川俣清音

    川俣分科員 要望するようなことだけでは弱いと私は思うのです。通産省は、国よりも国際市場を相手にしてまで行政を広めておられるときに、もっと手近なところに手が及ばないで、そこで問題を起すようなことはまことに情ないと私は思うのです。少くとも国際市場を目当てにして仕事をする場合に、国内の手近なところに及ばないで、国際市場に手を伸ばすということはおこがましいといわれることになる。自分の足元も片づけないで、世界に手を伸ばすというようなことを考えるごと自体がまだ地に足がついていないということになると思うのです。  そこで、これは私は決しておだてた意味で言うのじゃないのです。日本の総合的な産業施設の上からいって、当然公共という立場とそれとがマッチしてこなければならないと思うので、何も通産省のあなた方にけしかけておもしろいなんて、そういう意味で申し上げておるのじゃないのです。あるいは通産省の権益を拡大せよというようなことを申し上げているのじゃないのですよ。事用水の問題は、国民経済全体の上に非常に大きな影響をもたらすものであるから、もう少し主張がなさるべきではないか。決して通産省の権益を大きくしろというようなけちな考え方で申し上げておるのじゃないのです。おそらく各省との連絡会議等がありますから、企画庁等もそれらを取り上げておるはずです。ことにあなたの方から企画庁に出ているはずです。総合的な施策の上に当然乗せべきだと私は思うのです。自分の小さな行政の範囲でないからということで逃げてはいられない問題ではないかと思うのですが、もう一度こういうふうになると大臣に聞かなければならないと思いますが、これは事務当局が解決していかなければならない問題だと思ってお伺いしておるわけです。
  68. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 私の答えがあまり通産行政の事務ルートに乗せて、少しお答えが狭きに過ぎたかと思いますけれども、ただいま御指摘のございましたような点は、工業用水確保のためにはむしろ当然に考えなければならない問題であることは、私もよく承知いたしております。今お話の中にも触れましたように、鉱工業地帯整備という観点からではございますけれども、経済企画庁にそのために関係各省の連絡協議会を存置いたしております。現在までのところは御指摘のところまでまだ十分に手が届いておりませんけれども、今後の問題としては当然そこまでさかのぼって、関係各省の計画の中に、実施官庁の計画の中に織り込んでもらうように、われわれの方もぜひ努力して参りたいと思います。
  69. 川俣清音

    川俣分科員 きょうは私の質問はこの程度で、あとあしたに留保しておきます。
  70. 大橋武夫

  71. 三浦一雄

    三浦分科員 私は貿易振興に関して一、二、こまかい問題でございますけれども、お伺いしたいと思います。大臣の御説明にもありました通り、特に三十二年度における新規施策の主要なものといたしまして、「バンコックに化学肥料サービス・センターを設置して」こうございますが、化学肥料ばかりでなくて、さらに医薬品、雑貨、繊維製品等についても一そうやりたいというふうに書いてございます。そこでただ単に化学肥料サービス・センターというふうなスケールの小さいものではなくて、ここに書いてある通り医薬品であるとか雑貨、繊維製品等というような日本のいわば特産品ともいうべき、特に東南アジア方面に進出しなければならぬものを、むしろ総合的にサービス・センターというふうなものにしてそれを設置するというお考えはないかどうか、その点についてその事情を若干御説明をつけ加えてお答えを願いたいと思います。
  72. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 今御指摘の点は、そういう総合的なサービス・センターを作った方が効果的ではないかという意味だと思います。これはまあ考え方なり実際の運用の仕方にもよると思いますけれども、今ここで一応考えておりますのは、たとえば肥料のサービスということになりますれば、ほかの商品と非常に違うサービスをしなければならないのではなかろうか。御承知のように、肥料センターのサービスということになりますれば、土壌の研究でありますとか、施肥の実際的な指導でありますとか、こういうサービスをしなければならない商品と、それから商品の性質によりましては、そういうサービスじゃなくて、実際に使ってもらったあとのサービスをしなければならぬようなものもあるわけであります。そういう意味で今度の案は一応特色のある商品については商品の分を独立したサービス・センターとこういうことになっておりますけれども、御指摘のような同じような商品の性格を持っておるものということで考えて参りますれば、あまり細分化したサービス・センターよりは、なるべく総合化したサービス・センターの方がよいということに相なるかもしれません。これらの点はもう少し商品の種類を考えて検討して参りたいと思います。
  73. 三浦一雄

    三浦分科員 きょう御列席の岩武君は、かって官房長時代だと記憶しておりますが、先年農機具の進出のためにビルマにサービス・センターを設立してビルマの農業開発に伴って日本に寄与したいというふうな計画があったはずでありますが、その後いろいろの事情で進展しない。聞いてみますと、ビルマ国側でもいろいろな事情があると了承しておりますし、それから日本側におきましてもだいぶん時間がたったために、いろいろな故障の起きたことも存じておりますが、いわば中途半端になっておるのですけれども、このセンターはやはりただいま松尾官房長から話されましたと同じような構想のもとに、当時いち早く打ち出された問題でございますが、その後これは停頓しておるように思うのです。これに対して今後推進する御予定でございますか、あるいは事業を中止するというふうなことになるのですか、その点を一つお聞かせを願いたいと思います。
  74. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 お答えいたします。農機具のサービス・センターは、お話の通り一昨年スタートしたいということで予算をとって、非常に農機具関係輸出団体が熱心で、再三ビルマに渡航してこの問題を推進したわけでございますが、残念ながらいろいろビルマ側の事情のために今日まで遅れて参りましたけれども、最近入電したところによりますと、すべて現地の問題は解決したようであります。土地の選択に相当ひまがかかりましたのが、これが政府の提供するところときまり、また輸入機械の許可、関税の問題につきましても、現地側の問題は処理できたということで、その点については問題が解決いたしましたので、今後は順調にいくものとかように考えております。従いましてわれわれは今後これをさらに推進してきいたい、かように考えております。
  75. 三浦一雄

    三浦分科員 貿易の振興に伴う外交機関の整備につきまして、これは自由民主党からも意見が出されておるのでありますが、従来の外交機関といいましても、貿易振興のためにはなかなか不十分である。特にインダストリアル・アタッシェあるいはエコノミカル・アタッシェといいますか、そういういわゆる経済的な面の知識経験を持っておる人を多数外交機関に配置したいという要望が、党側からもあったのであります。もとよりこれにつきましては、過去のいろいろな経緯がありますけれども、やはり東南アジア方面に対しまして、直接の貿易の面から見ましても重要なことだと思うのであります。物資を買います面においてもそうですし、ことに後進国でございますから、その方面の産業経済その他こまかいことを指導しつつ開発協力しなければならぬというふうな点から申しましても、この考え方というものは捨てられないと思うのです。そこでわれわれが党側として予算を作定する場合につきましても、これを強く要望しておったのでありますが、これは一つの通産省等におかれても積極的に、また有効な施策を織り込んで、同時に外務省と協調するの必要もあるし、具体的にもっと強力に進めなければならぬと思うのでありますが、本年はどの程度になっておるか、また今後この方面の見通しについていかなるお考えをお持ちか、お聞かせを願いたいと思うのです。
  76. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 ただいまお話のございました点は、われわれも平素からそういう気持で進めて参っておるつもりでございますが、ただ従来必ずしも、通産省からというのも変でありますけれども、通産省関係の貿易なり産業行政に平素親しんでおる者が海外に出てどれだけ活動をしておるかということについて、必ずしも十分でなかったと思います。しかし現在まで大体たしか二十四名通産省関係の者が外務省の籍に入りまして、そのような関係仕事を担当いたしております。来年度におきましてさらに五名追加いたしまして、その方の貿易関係、さらにその中には若干の技術者も入れまして現地の技術指導、産業指導あわせて通商外交に協力をいたしておりますし、外務省もその基本的な考え方については全く同じ考えで進んでもらっております。
  77. 三浦一雄

    三浦分科員 次には特許庁充実の問題で、ございますが、お尋ねする前に、しばしば問題になるのは、外国に対するロイアルティをたくさん払ってやらなければならぬ、つまり科学の技術が非常に進んできて日本とは段ちになっている。しばしばわれわれも聞かされるのでございますが、最近の電気関係といいその他農薬のものにつきまして外国のパテントが入ってくる、これについて膨大な特許料を払っておるということなので、これは一つの大きな問題になっておるわけです。そこで科学技術の振興のためにも、水田通産大臣るる御説明になった通り若干の進歩はあると思いますが、これに牽連しまして特許庁では今度とりあえず事務的なことを促進するという意味で、若干の人員を増加するという話があったのでありますが、その際にお聞きしますと、どうも審査する能力が問題になっているように聞かされたのであります。ほとんど段ちになってきた科学技術の現状ではあるいはそうじゃないかとさえわれわれが危惧するわけでございます。ただ大学を出た者を技術官に採用せられたからというので、日進月歩の新しいものに即応するだけの素養並びに経験がないのじゃないか、従って特許庁自体の審査能力といいますか、ただ事務の量ばかりでなく質的な方面に非常に欠くるのじゃないかという心配をするのでございます。しかも今度そういう事情があるために通産省では相当積極的に要求したにかかわらず、その陣容を整えないというので非常に狭められたということも灰関するわけでございますが、技術陣営の実質的な質の向上、同時にまた新時代に即応するだけの用意がなくてはならぬし、これが同時にまた今後日本の科学技術の水準を高めるために必要だと思うのですが、これについての通産省のお考え、対策等についてお聞かせを願いたいと考えます。
  78. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 お答え申し上げます。最近の特許行政実情について、審査官の数的増加と同時に、それの質的向上について十分な対策を講じておるかという点を中心とする問題であったように私一応了解しました。最初に申されましたロイアルティ、海外の外国人の技術に対しましての日本からのロイアルティの支払いは、一昨年の数字でございますけれども、年間一千四百万ドルという程度の金額を支払っておりますが、残念ながらわが国の技術に対しましての海外からのロイアルティの収入は、一昨年十万五千ドルで、非常にここに懸隔がございます。こういう点につきましては、わが国におきましても逐次優秀な発明が出て参っておりまするので、これにつきまして外国出願を奨励する意味合いから、その補助金制度の道も講じて参っております。今後の問題としましては、一方におきましてわが国の優秀発明についての外国特許出願の数がだんだん増加して参りますのと、なお他方におきましては、戦後十年間にいわゆる外資導入といいまするか、技術提携契約を中心にしましての外国特許権に対する実施契約の設定が数多くあったことは事実ですが、同時に国内技術の水準の向上に応じまして、海外に対する支払いの方も必ずしも従来のような上昇カーブを続けていくということは考えていないわけでございます。  なお審査官の陣容につきましては、最近特許、実用新案、意匠、商標を通じまして、出願件数は逐年非常な増加を続けて参りまして、戦前昭和十五、六、七年当時と比べますと二倍ないし二倍以上でございますので、いろいろな能率増進の方法を講じましても、究極するところどうしても人間のある程度増加は絶対必要であります。最近数年間平均三十名ずつの増員を続けまして、三十一年度におきましては八十名増加、今回三十二年度におきましては大体百名増加ということが決定しました。そういう審査陣容の強化によりまして、今日までのいわゆる審査、審判を通じましての遅延と申しますか、停滞件数の増加という遺憾なる実情をなるべくすみやかに改善したいと考えておりますが、仰せの通り、そういう数的増加と並行しまして質的向上考えることは当然必要でございます。この点につきましては、つとに審査官、審判官を中心としましての研修計画といいますか、これを内部で作りまして、新人の教育は言うまでもなく、中堅幹部のいわゆる再教育という研修教育計画も目下着々実施中であります。なお特に原子力等の新しい問題につきましては、まだようやく人数は二名ではございますけれども、英米に留学生として出すというような方法も並行して講じておりますが、特許庁審査官という業務の性質上、はっきり申しまして、一人前の審査官になりますには、どうしても三年ないし三年以上の月日が必要でございますので、今日の段階といたしましては、いわゆる古い審査官が新人の教育と同時に審査業務の遂行ということで非常な労働強化を見つつあるというのが実は実情であります。今申しましたように、質的向上ないしまた同時に海外資料、海外の技術文献のなるべくすみやかな、なるべく広範な収集という方法も講じまして、これを審査の用に供しまして、そうすることによっていわゆる出願に対する新規性の判断の場合にこれを引用することによって、不当に、必要以上に外国人の出願に対して特許を与えるというようなことがないように、今申しました内外文献、なかんずく海外の技術文献の迅速かつ広範囲な入手ということについては、格段の力をいたしておりまして、今回の予算の点でも、三十一年度から海外文献収集費等の増加を相当大幅にいたすという状況でございます。簡単でございますが、一応御説明いたしました。
  79. 三浦一雄

    三浦分科員 特許庁長官の大体の御意向はわかりましたが、予算書を見ましても、いかにも図書購入費は五百五十万ばかりある。それから原子力関係の図書購入費も二百万円程度ありますが、特許庁自体が外国旅費を一文も持っておらぬ。おそらくは原子力関係の方で留学等をしている。何も海外に留学するだけが素質を向上するゆえんではありませんけれども、先般も通産省出身の先輩たちが行っても、まるで審査能力が欠除しているかのごとき印象のお言葉等があるというのは、従来整備されておらぬために非常に弱くなっておるということで、特許関係についても権威が疑われるというようなことさえ感ぜられるのでありますから、今年度予算予算として、今後一そう科学技術の一翼としてこの方面の充実を期待いたします。  その次に生産性向上関係のことでございますが、これには「第四に産業基盤強化対策であります。」こういうて、生産性向上のために一億一千万円の予算を計上したというふうに書いてある。これは表現が実におかしい。重要産業基盤強化にたった一億一千万円の生産性向上経費を組んだなんということでは、われわれはほんとうは満足できません。しかも本年度の経済政策の重点は、鉄鋼あるいは電力充実、それから輸送の隘路を打開する、この三つが主たる対象になって、いろいろ施策を講ぜられたのでありますが、通産省にとって一番重要なのは鉄鋼の生産なわけです。そこで、それらは既存のいろいろな政策を推進して当るというお考えではございましょうが、この生産性向上と今のこういうような重要産業推進するというような関連性においてどういうような考えなのが。生産性推進本部がこれを助成して民間のものを海外に出すとかいろいろなことをやるということに伺っておるのですが、今非常に重要な問題になっておる、ことに当面の問題になっておる鉄鋼その他の資材の確保、その他重要な課題になっておる。これがもしも生産が伸びない、かっまた価格が高騰するようであるとすると、三十二年度予算の実行も不可能であるし、三十二年度に予想される経済的発展もそごを来たすと思うのですが、この生産性向上に関して民間側を活用する点とどういう関連を持ってお進みになるか、その点を一つ説明を願いたい、こう思うわけです。
  80. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 私御質問意味を十分のみ込んでいないかもしれませんが、ここに掲げております来年度の一億一千万円は、そのままそっくり全額生産性本部に対する補助金ということになっております。生産性本部の活動状況は、御承知のように、従来一部にいわれておりますように、主として海外生産性に関する勉強のために人を派遣することを中心にやってきて、生産性本部の活動としてはそれだけでは少し不十分ではないかという御批判がいろいろあったと思います。これは私の承知しております限りでも、諸外国の例を見ても、生産性本部というような組織の活動の当初には、そういう活動から入っていくのが多い例だそうであります。すでに生産性本部も年度を重ねて参りまして、来年度におきましては、そのようなチームの派遣というだけではなくて、生産性向上に関する調査研究、委託研究等もやりますし、また従来海外から生産性向上について各般の資料なり技術その他を獲得したものについて、これの生産性の教育のためにあるいはその講座を開く、あるいは移動相談所を持つというような活動も、来年度計画の中には大きな新しい項目として計画されております。また従来ある程度やって参ったのでありますが、資料を整備して、広報宣伝の活動も国内で大いにやらなければならないのであります。これらの点も、来年度計画として十分に盛っていきたい。特に来年度国内の補助金がこのようにふえました一つの大きな原因は、従来海外生産性本部がいろいろな活動をやります際の向うの費用は、御承知のように、向う側の援助の資金によってやっておったわけであります。それを来年度におきましては、このような国内活動にも相当重点を置かなければならないという意味から、国内の補助金をこの程度まで増額いたしたのでございまして、生産性本部の今後の活動につきましては、従来よりも一新した活動を続けて参りたいと思いますし、ただいま御指摘がございました鉄鋼の生産、その他の問題についても、包括してそのような方向に活動して参りたい、こういうように考えております。
  81. 三浦一雄

    三浦分科員 今の松尾官房長の御説明で、生産性に関することは大体了解されました。ただ、当面の重大な課題である鉄鋼の生産の確保、それらの重要性等については、直接にこの問題はあまり関連がない、その方面については、特段に意識的に積極的に、その政策を施行してやっているということではないことだけははっきりしておりますね。
  82. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 鉄鋼の技術そのものを特に中心として生産性本部が取り上げるということには、必ずしもなっていないと思います。
  83. 大橋武夫

    大橋主査 今澄勇君。
  84. 今澄勇

    今澄分科員 政務次官はいないのですか。
  85. 大橋武夫

    大橋主査 政務次官は旅行で不在だそうです。明日は出てくるそうです。
  86. 今澄勇

    今澄分科員 それでは簡単にやります。防衛産業についてちょっと聞いておきたいと思うのは、F86F、それからその他アメリカの飛行機を日本で製造しておる会社名、並びにP2V等の新しい型の飛行機を防衛庁は今検討しておるが、これを引き受けさせようとすればどういう会社に引き受けさせるのか、それから新しく七つの誘導弾を仕入れたが、通産省側から見ると、こういうものを、日本の今の産業規模でやり得る能力があるかどうかというような点について一つ局長の御報告を承わりたいと思います。
  87. 鈴木義雄

    ○鈴木(義)政府委員 御質問のF86F、それからT33Aでございますが、一昨年日米との取りきめによりまして、現在F86Fの方はノース・アメリカンと提携して、日本の新三菱重工がこれを製作しております。それからT33Aの方は、ロッキード会社と提携して、川崎航空がこれを製造しております。これに関する下の部品関係がございますが、これは小さく、非常にたくさんになりますので、省略さしていただきたいと思います。  御質問のP2Vでございますが、これは現在防衛庁の方において、これに対してどう考えるかということについて研究中でございまして、通産省としましては、その方針がはっきりした後において、これをいかなる数量において、またどういう担当会社においてやるかということを研究いたしたいと考えておりますので、まだこの点についてははっきりお答えできない段階にあるわけでございます。  それから誘導弾関係は、防衛庁が外国より見本輸入をしたという段階でございます。従いまして、今後これを国産化するかしないか、これはまだそこまで問題はいっておりません。それが現在の段階でございます。
  88. 大橋武夫

    大橋主査 明日は午前十時より開会し、通商産業省所管について質疑を継続することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会