○田原
委員 事例はないと言いますが、私は
一つの事例をここにあげましょう。これは一九五六年、昨年の四月八日午前八時に沖縄の美里村で起った
事件でありますが、与那悦子さん
事件といわれておりまして、
アメリカ軍の弾薬集結所の敷地内にくず鉄拾いに入っておった三人の
日本婦人のうち与那悦子さんに対して米兵は不当にもこれを射殺したのでございます。そうして他の二名を逮捕いたしました。そこは立ち入り禁止区域でありますけれ
ども、別になわを張ってあるわけでもなく、また従来暗黙のうちにくず鉄は拾うことを認められておったのでありまするが、午前八時という夜明けの、人の識別のできるときにこういう暴挙をやったのであります。しこうしてその後この射殺兵のサーバーというのは沖縄軍の軍法
会議で無罪となりまして、そうして本国に帰されております。それから与那悦子さんは軍令違反であるということで一円の補償料ももらえないのであります。所は琉球でありますけれ
ども、同じ
日本人であり、そしてやっておる相手は同じ
アメリカ人であります。私
どもがこういう
事件を調達庁の書類、だけから見ましても、逐年増加の傾向にありまして、殺人、殺傷、死傷
事件だけでも、
昭和二十一年に二十件でありましたのが、だんだんふえておりまして、二十八年には千九百十六件あります。死亡の総数四千七十八名が
昭和二十八年、だけであるのであります。こういうふうに、米軍の駐留による不当なる殺傷
事件というもの、が至るところに問題を起されておるのでありまして、たまたま今回の坂井なかさんの
事件が最近の問題でありますからわれわれの記憶に新しく、憤激しておるわけでありますが、こういう点につきまして、ほんとうに独立しておるという気持があるならば、行政
協定の改廃は第二といたしましても、明らかに行政
協定の第十七条では逮捕できることになっておるのでありますから、先方が逮捕しておっても、それならそれの引き渡しを要求する、そうして即時に明瞭に解決をするというだけの勇気を持ってもらわなければならない、この点を私は聞いておるのでありまして、私は、法務大臣が直ちにその決意をされまして、犯人の引き渡し、
日本官憲による独自の
調査を進められんことを希望するのであります。
なお、この機会に遠く南の方の沖縄にあります種々なる暴行
事件をわれわれは思い出します。
一つは由美子さん
事件と申しまして、これは一昨年の九月三日の夜石川郵便局前で遊んでおりました六才の由美子ちゃんを米兵が拉致したのであります。そうして翌四日嘉手納飛行場の米軍のごみ捨て場に暴行されて血まみれになった死体として発見されたのでございます。犯人のバード軍曹というのは、海岸でこの六才の由美子ちゃんに暴行を加え、胸部圧迫で殺してしまったのでございますが、ついに犯人の引き渡しをしないで、本国に転勤その他のことでうやむやになっておるのでございます。当時全沖縄の同胞諸君の憤激を買った
事件であります、が、
日本政府の力足らずして、そのままわれわれは泣き寝入りをさせられておる。それだけではありません。同じおととしの九月十一日夜中の零時半ごろにやはり沖縄の石川村中道地区の伊車三郎さんの宅に米国軍人、が戸を押し破って入ってきて、そうして次女のS子さんという九つになるお嬢ちゃんを拉致いたしまして、付近の松林で暴力を加えて重傷を負わせておりますが、これまた県民の怒りが爆発したにもかかわらず、
日本側の態度軟弱のためにうやむやのうちに犯人の逮捕はないのでございます。最近
日本にありまする第一騎兵師団が近く本国に帰るなどといわれておりますので、もしまごまごしておりますと、群馬県のジラード・S・ウイリアムズも本国転勤命令が出ないとも限りません。早く身柄を
日本側に引き取りまして、そうして独自の立場からやってもらいたいということはその
意味からであります。この点を強く希望いたしまして次の問題に移ります。
御
承知のように、今
日本には安保条約と行政
協定の中におきまして、およそ七百カ所の軍事基地がありまして、その中でほとんど
意味のなくなったような数カ所だけは返還が約束されておりますが、新たにこれにかわるにジェット機の発着地といたしまして、数カ所の飛行場の拡張が起っております。昨年はこのために砂川
事件という
事件が起ったことは皆さん御記憶の通りでございます。もちろん砂川だけではございません。小牧の飛行場、茨城県の百里ケ塚の飛行場、福岡の板付の飛行場、宮崎県の新田原の飛行場、福岡の築城の飛行場、島根の美保の飛行場の基地の拡張、そのほか木更津、新潟等等の問題も今なお紛糾を続けておりますし、さらにまた飛行場でないところの
演習場につきましては、静岡県側の東富士の
演習場、山梨県側の北富士の
演習場、あるいはそのほか山口県の秋吉台の
演習場や山形県の大高根の
演習場等も一ころ問題となってきておったのでございます。かように、軍事基地が依然として
日本の全国をおおっており、そうして
アメリカ軍の一方的の作戦の要求のために、その飛行場や
演習場付近に住んでおります良民の財産、土地その他が不当に奪われておる傾向に対しましては、
国民ひとしく憤激しておるのでございます。私は、首相代理の演説で他力にたよらず、独立自主、自力奥生をするという決意をされたからには、飛行場等につきましても、むしろ漸減
方針をとっていく、こういう
方針でなければならぬと思うにかかわらず、事実はあべこべになっております。これに対しまする
考え方なぜそういう問題を放置しているのであるか、もしくは航空基地等をふやすことに賛成したのであるか、その間の
経過や
考え方を聞かしてもらいたいと思います。