運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-19 第26回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十九日(火曜日)     ————————————— 議事日程 第十八号  昭和三十二年三月十九日   午後一時開議 第一 美容師法案野澤清人君外三十九名提出) 第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出) 第三 湿田単作地域農業改良促進法の一部を改正  する法律案青木正君外五名提出) 第四 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出) 第五 日本科学技術情報センター法案内閣提  出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 美容師法案野澤清人君外三十九名   提出)  日程第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第三 湿田単作地域農業改良促進法の一部   を改正する法律案青木正君外五名提出)  日程第四 科学技術庁設置法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第五 日本科学技術情報センター法案(内   閣提出)  昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)  昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1   号)    午後一時八分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 美容師法案野澤清人君外三十九名提出
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、美容師法案議題といたします。委員長報告を求めます。社会労働委員長藤本捨助君。   〔藤本捨助君登壇
  4. 藤本捨助

    藤本捨助君 ただいま議題となりました美容師法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  近年、近代人文化生活は非常に進歩向上を遂げて参りましたが、美容業界実態もまた、国民保健衛生とともに、その技術面もいよいよ高度な理論と知識とを必要とするに至って参ったのでございます。しかるに、現行理容師美容師法美容業理容業とともに一括処理いたしておりまして、このことは近年の斯業の発展を著しく妨げるのみならず、保健衛生上の立場からも不備の点を生ずる憂いなしとしないので、今回、理容業とは別途に、新たに美容師法制定して、これらの憂いを除去するとともに、美容業の健全な発展をはかろうとするものでございます。  次に、本法案内容現行法たる理容師美容師法とおおむね同様でありますが、今回特に規定を設けた主要な点について申し上げますれば、第一は、都道府県知事は、健康診断の結果、美容師の就業が公衆衛生上不適当と認めた場合は、期間を定めてその業務を停止することができることとしたこと、第二は、都道府県知事は、美容師がこの法律規定に違反して刑に処せられたときは、その免許を取り消すことができることとしたこと、第三は、美容師または美容所開設者の組織する会または連合会美容師養成に関する事業を行い得ることとしたこと、第四は、美容師養成施設養成課程に関し、従来省令で定めていたものを本法に明文化することにいたしたこと等でございます。  なお、本法案制定に伴い、附則において、現行理容師美容師法理容師に関する単独法に改めることとし、実質的には美容師の場合とほぼ同様の改正を行なっておるのでございます。  以上が本法案提出理由でありますが、本案は三月四日本委員会に付託せられ、同九日提出者より提案理由説明を聴取した後、審議を行い、同日討論を省略いたしまして採決に入りましたところ、本案原案の通り全会一致可決すべきものと議決いたした次第でございます。(拍手)  以上、御報告申し上げます。(拍手
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 農林漁業金融公庫法の   一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第三 湿田単作地域農業改良   促進法の一部を改正する法律案   (青大正君外五名提出
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第二、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案日程第三、湿田単作地域農業改良促進法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林水産委員長小枝一雄君。   〔小枝一雄登壇
  8. 小枝一雄

    小枝一雄君 ただいま議題となりました両案につき、農林水産委員会における審議経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  農林漁業金融公庫は、その設立以来、農林漁業生産力維持増進に必要な長期低利資金を貸し付けて参り、その額は千四百五十六億円に達しておりますが、昭和三十二年度においても三百五十億の貸付を予定し、その原資としては、産業投資特別会計からの出資金七十億円、回収金百億円、資金運用部からの借入金六十三億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金百十七億円をもって充当しようとしているのであります。よって、政府は、産投会計より七十億を公庫に出資するため、同法中、政府出資金の額四百七十六億七百万円を五百四十六億七百万円に改めようとして、本改正案提出したのであります。  本案については、三月十二日から十四日までの三日間にわたって質疑を行いました後、十四日討論を省略して採決をいたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  次に、湿田単作地域農業改良促進法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  湿田単作地域農業改良促進法は、常時排水不良である農地として利用率の低い地域農業改良をはかる目的をもって、昭和二十七年に制定せられたのでありますが、本法施行以来、農業改良計画に基いて実施した事業の実績は、およそその五分の一にすぎず、しかも、本法昭和三十三年三月三十一日をもって失効する時限法でありますので、この際、なお四カ年間延長して、経済効果の大きい本事業を促進し、本法制定の所期の目的を達成しようとして、この改正案提出を見たものであります。  本案は、三月十四日に提出され、翌十五日、質疑討論を省略して採決に付したところ、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 科学技術庁設置法の一   部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 日本科学技術情報セン   ター法案内閣提出
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第四、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案日程第五、日本科学技術情報センター法案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長菅野和太郎君。   〔菅野和太郎登壇
  12. 菅野和太郎

    菅野和太郎君 ただいま議題となりました両案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  原子力の平和利用とアイソトープの利用研究は急速な発展を見、今後多大の成果が期待されるのでありますが、放射線の人体に及ぼす影響等にかんがみまして、放射線の厳重な管理障害防止措置を講ずることはもちろん、放射線障害予防診断、治療並びに放射線医学的利用調査研究の急速なる確立をはからなければならないので、本案科学技術庁付属機関として放射線医学総合研究所を設置しようとするものであります。本研究所は、三カ年計画をもちまして、茨城県東海村に設置の予定であります。  次に、日本科学技術情報センター法案について申上げます。  経済発展国民生活向上科学技術振興に待たなければなりませんが、従来、科学技術情報は、学界、産業界の努力により個別に収集されており、有機的関連に欠けて十分活用せられない状況にありますので、本案は、わが国の科学技術情報に関する中枢機関として、内外の情報を迅速かつ的確に総合的に収集し、これを必要に応じて各方面に提供せんがため、日本科学技術情報センターを設けんとするものであります。しこうして、本センターは半官半民の特殊法人であり、役員は内閣総理大臣の任命または認可により、また、予算決算等認可その他の行政的監督権内閣総理大臣に付与されており、比較的軽微なものは科学技術庁長官に委任することができることになっております。  以上が両案の内容概略であります。  両案は、去る二月二十八日、三月二日に本委員会に付託され、それぞれ宇田国務大臣より提案理由説明を聴取した後、数回にわたり、きわめて熱心なる質疑が行われ、特に日本科学技術情報センターにつきましては、国立国会図書館または各官庁の科学技術情報活動等との関係について活発なる質疑応答がなされたのでありまするが、これらの内容速記録に譲りたいと思います。  かくて、三月十五日質疑を終了し、採決に入り、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決し、日本科学技術情報センター法案については、前田正男君外二十四名より、科学技術情報の定義について、「科学技術人文科学のみに係るものを除く。)に関する情報をいう。」との修正案提出され、全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、志村茂治君より、附帯決議として、  政府は、日本科学技術情報センター監督に当っては、科学技術振興に貢献せしめるため、営利を排し、その公共性に徹するよう、特に留意すべきである。 旨の提議がなされ、これまた全会一致をもって可決いたした次第であります。  以上をもって御報告といたします。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。日程第四の委員長報告は可決、第五の委員長報告修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ————◇—————  昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)  昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)
  17. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長山崎巖君。   〔山崎巖登壇
  20. 山崎巖

    山崎巖君 ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)外二案につきまして、予算委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  本補正予算三案は、去る十三日委員会に付託され、昨十八日池田大蔵大臣より提案理由説明を聴取した後、直ちに審議に入りました。  まず、一般会計予算補正について申し上げます。  一般会計における予算補正追加額は、歳入歳出ともに百四十七億円となっておりまして、これによって、さきに本院を通過しました補正(第1号)を合せまして、昭和三十一年度一般会計予算総額は一兆八百九十六億円となるわけでございます。  歳出のおもなるものについて申し上げますと、まず、義務教育費国庫負担金追加額十七億四千五百万円は、昭和三十年度における教職員給与費の実支出額に基く国庫負担金不足額十億三百万円と、さらに昨年末支給した期末手当〇・一五ヵ月の国庫負担金七億四千三百万円とを補うための措置であります。遺族及び留守家族等援護費二十八億円、国民健康保険助成費十億六千九百万円、旧軍人遺族等恩給費二十五億九千万円、地方交付税交付金十億円、国庫受入預託金利子六億七千五百万円等は、いずれも、三十一年度予算編成後に生じた事由によって、当面必要とされる最小限度所要額を計上いたしたものであります。また、沖繩関係特別措置費十一億円につきましては、米軍接収による土地その他の損失補償に関する問題が、早急なる解決が困難であるので、土地所有者等の困窮の現状を考慮して見舞金支給する等のため計上されておるのであります。食糧管理特別会計昭和三十年度決算による損失額三十三億五千六百万円の繰り入れにつきましては、昨年二月には百六十七億円の赤字が見込まれ、その補てん措置を行なったのでありますが、その後、三十年度決算の結果、なお三十三億五千六百万円の損失が残ることとなったので、これが補てんを行わんとするものであります。  次に、本予算歳入について申し上げます。さきの第一次予算補正におきましては、所得税及び法人税増収四百億円を財源としたのでありますが、今回は酒税、物品税関税等増収百三十億円、官業収入、雑収入の増加十七億円、合計百四十七億円をもってまかなうこととなっておるのであります。  特別会計予算補正としましては、交付税及び譲与税配付金特別会計及び漁船再保険特別会計給与保険勘定において、一般会計予算補正と関連して所要補正を行うとともに、予算総則の一部を改めて、輸出保険特別会計における保険契約限度額を増加することとなっておるのであります。  また、政府関係機関予算補正におきましても、予算総則規定されておる国民金融公庫中小企業金融公庫借り入れ限度額をそれぞれ増加することとなっておるのであります。  以上が補正三案の内容概略でございます。  次に、委員会における質疑の若干について御報告いたします。  第一は、沖繩における土地問題に関するものであります。質疑の要旨は、「講和条約発効後五年にもなっておるのに、いまだに土地接収に対する補償の問題が解決されていない。これは、はなはだ無責任ではないか。また、この補正予算に計上しておる見舞金支給は本年度限りのものであるかどうか。これは当然に米国側が支払うべきものと思われるがいかん。さらに、沖繩住民の利益を守るためにも、もっと積極的に米国に働きかけるべきではないか」との質疑がございました。これに対する政府答弁は、「この問題に関しては従来も米国側としばしば折衝してきたが、条約の解釈について双方の間に意見の一致を見ないため、いまだに妥結に至っていない。見舞金支給は今回限りのものであり、われわれとしては、これは米国側に支払いの義務があると解釈し、その旨通告済みである。また、沖繩施政権条約米国にあるから、個々の問題についてとやかく言うのは米国の内政に干渉することともなるので、むしろ施政権の返還という方向に交渉を進めていきたい」、以上の通りでありました。  次に、公務員給与改善の問題について申し上げます。  まず、一般職員につきましては、現在提案されております給与法の改正案に関し、俸給表の分断、ことに行政職俸給表を中央、地方に分けたこと、あるいは賃金上下格差等給与体系の問題、また、民間及び三公社、五現業との賃金均衡問題等について論議がかわされたのでありますが、これらの論点は内閣委員会設置される小委員会においてさらに審議を重ねることになりますので、ここでは一、二の点について申し上げたいと存じます。  「今回の給与表改正により、現行俸給表に比較して不利益を受ける者はないか。また、切りかえの場合、格づけされる等級が違うだけで将来相当の賃金の開きが出てくる。こうした職階級給与のもとでは、下級職員は希望を持って働くことができなくなるおそれはないか」との質問があり、これに対し、政府は、「改正案は、給与制度改善を前提としており、かつ、人事院勧告を尊重したものである。不利益を受ける者はないはずであるが、なお実施上十分に調整していきたい。各等級についてもワク外昇給を認めると同時に、責任度合い等に応じて上の等級にかわることもできるから、下級職員については十分配慮をしたものである」との答弁がありました。  次に、地方公務員給与改訂に対する政府の見解は、「国家公務員給与改善六・二%に沿った経費並びに昇給原資地方財政計画に組んである。ただし、国家公務員より給与水準の高い自治体があり、これが赤字原因ともなったことは資料によって明らかであるから、国家公務員給与との均衡をはかることも必要である。赤字再建団体給与については、それぞれの再建整備計画に合せ、できるだけ改善措置を講じたい」とのことでありました。  なお、三十年度食糧管理特別会計赤字補てんの問題につきましては、赤字原因赤字の実数、さらに政府赤字を招来した措置及びその責任等につき、昭和三十一年二月の昭和三十年度予算補正と関連して質疑応答がなされましたが、これらは会議録に譲ることといたします。  その他、原水爆使用禁止のための特使派遣の問題、日ソ漁業交渉等に関する外交問題、警察の思想調査等治安問題等につきましても質疑が行われましたが、これらはすべて会議録に譲ることを御了承願いたいと存じます。  かくて、本十九日午前質疑を全部終了いたし、引き続き討論採決を行なった結果、多数をもって本予算補正三案はいずれも政府原案の通り可決された次第でございます。  右、御報告申し上げます。(拍手
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより討論に入ります。小平忠君。   〔小平忠登壇
  22. 小平忠

    小平忠君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案による昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)外二案に対し、反対の意思を表明せんとするものであります。  岸内閣は、さきの本院本会議におきまして、組閣に対する所信の表明を行なったのでありますが、その基本をなすものは、石橋内閣施政方針を踏襲することを強調したものであり、石橋内閣の掲げてきました重要施策を自信を持って推進することを公言されたのであります。しかしながら、岸内閣は、組閣以来わずか数旬を経た今日、はや、国家予算編成においてその無定見きわまる場当り的性格を暴露しておるのであります。すなわち、ここ十日余りの間に、四百億に上る昭和三十一年度第一次予算補正と、ただいま議題となっておりまする第二次予算補正提出してきておる、そのぶざまな予算編成を見ても、明確なところであります。(拍手)  昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)の内容には、さきにわが社会党昭和三十一年度予算補正(第1号)の審議に当って提出いたしました組みかえ要求動議内容とほぼ同一のものもあり、従って、その歳入歳出に計上されております補正内容については賛意を表するものも少くないのであります。しかしながら、政府関係機関予算補正案におきまして、国民金融公庫に対する十五億円、あるいは中小企業金融公庫に対する二十億円の融資増額をはかっておるのでありますが、これは、少くとも、国民金融公庫については、さらに十五億円ふやした三十億円の融資を必要とするのでありましてこの点は、最近とみに逼迫しつつある庶民金融実態を認識せず、かつ、日を追うごとに公庫に対する資金需要が盛んになってきている事実をおおい隠さんとするものでありまして、岸内閣のいう国民生活の安定もまた、景気好況の恩恵にひとり浴し得ない中小企業者に対する設備の近代化技術向上あるいは経営の改善等による経済的地位向上確立も、から念仏に終ってしまうという危険性が多分にあるのでありまして、国民各層の声をよく聞き、その実態をつぶさに把握して、清新にしてはつらつたる政治を行わんと公言してきたそのことが、はや破られんとしておるのであります。(拍手)  本日ここで採決を前にしておりまする政府提出による予算補正三案については、わが社会党は、先にも述べましたごとく、部分的には賛意を表するに決してやぶさかでないのであります。しかし、昭和三十一年度一般会計予算補正編成における政府根本方針に対しては、われわれとしては全く氷炭相いれざるものを持っておるのであり、その方針には賛成をすることができ得ないのであります。(拍手)  その第一の理由は、食管特別会計赤字補てんについてであります。そのことは、すでに昭和三十二年度予算審議の過程においても最後まで問題とされてきたのであり、その間、何らの解決がなされていないのであります。今回政府提出しております三十一年度一般会計予算補正(第2号)について見ましても、一般会計より食管特別会計繰り入れる三十三億五千万円というのは、昭和三十年度における食管特別会計赤字処理でありまして、昨年の二月、昭和三十年度食管赤字は百六十七億円と見込み、そのうち百億円はインベントリーを取りくずし、六十七億円を一般会計より繰り入れて処理しているのでありますが、わずか一ヵ月後の決算において、見込み違いから、さらに三十三億の赤字を追加計上せねばならぬというような無定見きわまる措置に対し、鳩山内閣から現在の岸内閣に至る一連の保守党内閣責任を強く追及しなければならないのであります。(拍手)  さらに、昭和三十一年度食管特別会計赤字百六十一億円は同年の補正予算において当然処理すべきにもかかわらず、何ら組まれていないという状態であります。そもそも、その年度における赤字は当然その年度において解決すべきものでありましてそのことは財政法第十二条の趣旨から見ましても明確にされているところであります。昭和三十一年度に生じた食管特別会計赤字昭和三十二年度補正予算をもって処理しようとするがごときは明らかに違法行為であると同時に、そのふまじめきわまりない態度はあくまでも追及されなければなりません。(拍手)このように、百六十一億円に上る三十一年度食管特別会計赤字補てんは何ら解決していないにもかかわらず、一方三十二年度における産業投資特別会計原資への繰り入れ及び三十二年度における地方債返済原資への繰り入れを行なっているのでありますが、いわば、足元の赤字財政解決をはからずして、いたずらに財政規模の膨張を行わんとする、不健全きわまりない財政方針なのであります。  次に、反対の第二の理由は、かかる無理押し予算編成の裏には、消費者米価値上げという、今後の国民生活の上に大きく響いてくる重要問題が隠されているからであります。そのことは、政府が当然行なっていかねばならぬ食管特別会計に関する赤字解決を、さき設置されました臨時食糧管理調査会にゆだね、みずからの責任を同調査会に転嫁せしめて、これらによって三十一年度食管特別会計赤字及び三十二年度に推定される食管会計赤字分合計三百三億円の解決の方途を求めさせ、ここで消費者米価値上げやむなしという結論を出させようとしているのであります。すなわち、政府としては、消費者米価値上げによって起きる世論の反撃をこれによって回避せんとするものであり、消費者米価値上げは他動的にやむなく行わざるを得なくなったものであるという理由を作り、国民にその印象を与え、自民党政権の人気を少しでも落さぬようにせんとする苦肉の策以外の何ものでもないのであります。  本年の夏以降の物価の見通しについては全く暗たんたるものがあるといわれているにもかかわらず、政府は、この時期に消費者米価を引き上げ、消費者物価全般の値上りのてこ入れを行わんとしているがごとき動きを見せたり、一たび反撃にあえば、その態度を不鮮明にして、その場をのがれんとするがごときは、卑怯きわまりない態度といわなければならないのであります。(拍手)  消費者米価値上げ問題につきましては、同僚議員が本会議並びに当該委員会において明らかにしておりますので、この際私は詳しく述べようとはいたしませんが、周知のように、今や国鉄運賃の値上げを行わんとしており、また、引き続いて私鉄運賃の値上げも考えられてきております。さらに、揮発油税増徴の結果から生ずる自動車運賃の値上げ問題も起きてくるのであります。これらは、最近次第に上昇を見せつつある諸物価の値上げ傾向とともに、一般国民大衆にとっては大きな経済負担となってくることは明らかであります。このようなときに消費者米価値上げを行おうとするならば、今でさえ依然として貧しい生活を続けております国民大多数の現実の生活の上に一大脅威となってくることは必然であり、われわれとしては、かかる方向をたどる予算編成なり政策には絶対に賛成することができないのであります。(拍手)  最後に指摘しておかねばならぬ第三の反対理由は、かかる場当り的予算編成に加えて、政府は、日本経済の現状並びに今後の見通しについて何らの定見もなく指導力も持たぬ、不見識きしまる経済政策をとっているということであります。日本経済はすでに神武景気と称するものの峠は越したという意見が最近出てきつつあるのであります。すなわち、国際収支が黒字であり、物価も横ばい、金融も緩慢という数量景気段階は昨年秋をもって終り、今や、いわゆる物価高に対する警戒と思惑から価格景気に移行せざるを得ない段階に立ち至っているのであります。  去る三月八日の本院予算委員会におきまして、池田大蔵大臣は、三十一年度の国際収支は、実質一億七、八千万ドルの赤字、形式的には約三千万ドルの赤字であると答弁しているのでありますが、これは、当初政府が予測していた、実質八千万ドルの赤字、形式的には六千万ドルの黒字から見るとき、実に実質的には一億ドル、形式的には九千万ドルに上る見込み違いが生じたわけであります。また、三十二年度の国際収支に対しましては、政府は、実質は五千万ドルの赤字であり、形式的には均衡するものであるという予測をいたしているのであります。しかし、これらの基礎となっている輸入三十二億ドル、輸出二十八億ドルのワクで、果して三十二年度の貿易がおさまるでありましょうか。これは政府みずからが全く確信を持っていない状態であり、輸入の伸びを予測する基礎となる輸入原材料の在庫量については、大蔵省と経済企画庁との間に食い違いがあるという状態であります。  また、物価の動向につきましても、週間卸売物価はじり高の傾向を見せており、消費者物価もとみに値上りの傾向にあるのであり、この抑制策がなく、放任の状態であるのであります。これに対し、池田大蔵大臣は、企業努力の中に吸収をはかり、価格高を起させないようにすると言明しておりますが、価格統制は、社会党政権下ならばいざ知らず、自民党政権下ではとうてい望むべくもない相談であります。  かくのごとく、国内物価が値上り傾向にあるとき、国際物価の動きはどうでありましょうか。試みに二月中におけるイギリス及びアメリカの国際商品相場指数を見ますとき、二・二%から一・〇%に下り、わが国物価の値上りと逆に、低下の方向に向っておるのであります。これによっても、わが国の輸出というものが今後きわめて重大な段階に立ち至ってくるということを認識しなければならないのであります。  また、最近における日銀貸出残高は二千七百億円台になっており、昭和二十九年十二月以来二年二カ月ぶりのことであり、しかも、貸出増加が続けられ、高率適用がますますふえてきている状態であります。興業銀行、長期信用銀行の三十二年度の資金合計六百億円に対し、借り入れ申し込みはすでにその約三倍に達する千七百億円に及んでおるのであります。開発銀行のごときは、貸出しワク六百億に対し、電力、海運のみですでに四百三十億円を占めており、他の業種に対する貸出しは多くを期待でき得ない状況にあるのであります。すなわち、大蔵省は産業投資の伸びは三十一年度に比べて一五%程度の増加と見ているのに対し、経済企画庁は二〇ないし二五%の増加を見込んでいるのであります。いずれにいたしましても、現実は大蔵省の予測のように甘くなく、経済企画庁の予測よりはさらに上回ったところの資金需要があるはずであります。  このように、本院で三十二年度予算案の審議を終了して一月もたたぬ今日、はや、政府説明には現われ得なかった新しい経済の動きが見られるのであります。これらは、いずれも、政府の楽観的な予測とは反対に、三十二年度経済が容易でない方向に移行しつつあることを示しておるのであります。政府は、みずからの保身のみを考え、その内容を離れて、予算案の通過に狂奔しておるのでありますが、われわれは、あくまでも、常に一部の階層のみでなく、国民大衆の立場に立ってその予算をきめるべきであるという、真摯なる態度をもって臨んできておるのであります。予算の執行がその国の経済に影響し、国民生活に重大なつながりを持っているにもかかわらず、今後に起る経済の動向について何ら確固たる予測もなく、確信も持たず、加えて、三十一年度食管特別会計赤字補てんを放置しておくがごとき無計画きわまりない予算編成については、その後に来たるわが国経済のおそるべき混乱と国民大衆に及ぼす影響を予想いたしますとき、どうしても反対せざるを得ないのであります。(拍手)  岸内閣は、財政の健全性をうたい、国民生活の安定を説いてきております。しかし、その題目も、国会における予算審議を通じて今や色あせてきつつあり、日を追うごとに魅力を失ってきているというのが実態であります。桃李言わざれどもその下おのずから小道をなすということわざがあるごとく、岸内閣に、実のある政策、国民を納得させる実績があれば、そのもとには自然に国民の支持は集まってくるものであります。現在の岸内閣実態は、それとは全く反対であり、よく言う者よく行わずのたぐいに入るものと断定せざるを得ないのであります。  以上述べましたような理由によりまして、昭和三十一年度予算補正(第2号)及び外二案に対しまして、私は、反対の態度を明らかにいたしまして、討論を終る次第であります。(拍手
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)外二件を一括して採決いたします。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣         外 務 大 臣 岸  信介君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 井出一太郎君         通商産業大臣  水田三喜男君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君         労 働 大 臣 松浦周太郎君         建 設 大 臣 南條 徳男君         国 務 大 臣 石井光次郎君         国 務 大 臣 宇田 耕一君         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         科学技術庁調査         普及局長    三輪 大作君         厚生政務次官  中垣 國男君         農林政務次官  八木 一郎君      ————◇—————