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1957-05-18 第26回国会 衆議院 法務委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十八日(土曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 三田村武夫君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 長井  源君 理事 福井 盛太君    理事 横井 太郎君 理事 猪俣 浩三君       小島 徹三君    高橋 禎一君       馬場 元治君    林   博君       山口 好一君    横川 重次君       神近 市子君    佐竹 晴記君       坂本 泰良君    古屋 貞雄君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         警察庁長官    石井 榮三君         法務政務次官  松平 勇雄君         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         法務事務官         (矯正局長)  渡部 善信君         文部政務次官  稻葉  修君  委員外出席者         検     事         (大臣官房秘書         課長)     津田  実君         最高裁判所事務         総長      五鬼上竪磐君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岸上 康夫君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局査         長)      関根 小郷君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      江里口清雄君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 五月十七日  委員高橋禎一辞任につき、その補欠として高  碕達之助君が議長指名委員に選任された。 四月十八日  委員高碕達之助辞任につき、その欠として高  橋禎一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  小委員会設置に関する件  委員派遣承認申請に関する件  裁判所法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八九号)  法務行政及び人権擁護に関する件  請願(別紙)   一 保護司実費弁償金増額等に関する請願(     池田清志紹介)(第一二号)   二 印章法及び印章師法制走に関する請願(     小西寅松紹介)(第七八号)   三 同(岡良一紹介)(第七九号)   四 私文書偽造行使等の不起訴処分に関する     請願古屋貞雄紹介)(第一六九号)   五 戦犯釈放に関する請願砂田重政君紹     介)(第二三四号)   六 人権擁護に関する請願加賀田進君紹     介)(第三四五号)   七 前橋地方法務局沼田支局庁舎新築請願     (藤枝泉介紹介)(第五三七号)   八 宇都智地方裁判所真岡支部庁舎新築に関     する請願山口好一紹介)(第六三一     号)   九 印鑑法制定並びに戸籍手数料増額に関す     る請願徳田與吉郎紹介)(第九三〇     号)  一〇 鹿児島地方法務局大口出張所移転改築等     に関する請願池田清志紹介)(第一     一〇〇号)  一一 刑事訴訟法の一部改正に関する請願(松     本七郎君紹介)(第一八〇四号)  一二 司法官等待遇改善に関する請願原健     三郎君紹介)(第二六四八号)  一三 若松刑務支所移転に関する請願八田貞     義君紹介)(第二八五〇号)  一四 恩赦審議会設置に関する請願中村高一     君紹介)(第三〇九○号)  一五 同(高瀬傳紹介)(第三一〇八号)  一六 恩赦審議会設置に関する請願高瀬傳君     紹介)(第三一六四号)  一七 不起訴処分に関する請願河野金昇君     紹介)(第三二一九号)     —————————————
  2. 三田村武夫

    三田委員長 これより法務委員会を開会いたします。この際、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。すなわち、一、裁判所法等の一部を改正する法律案、二、違憲裁判手続法案、三、裁判所法の一部を改正する法律案、四、刑法の一部を改正する法律案、五、裁判所司法行政に関する件、六、司法試験制度に関する件、七、法務行政及び検察行政に関する件、八、国内治安及び人件擁護に関する件、九、外国人の出入国に関する件、一〇、交通輸送犯罪に関する件、一一、売春防止法の施行に関する件、一二、戦犯服役者に関する件について、閉会中もなお審査を継続する旨議長申し出をいたしたいと存じますが、これに御異業ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三田村武夫

    三田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお、申し出の作成につきましては委員長に御一任願います。
  4. 三田村武夫

    三田委員長 次に、閉会審査案件が付託されましたならば、閉会審査小委員会最高裁判所機構改革に関する小委員会司法試験制度調査小委員会の各小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 三田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。なお、小委員及び小委員長の選任は委員長に御一任願います。また、小委員及び小委員長は後刻公をもってお知らせすることとし、閉会中の小委員の異動、参考人招致等委員会運営上臨機必要な措置につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三田村武夫

    三田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 三田村武夫

    三田委員長 次に、委員派遣に関してお諮りいたします。閉会審査案件が付託されました際には、その審査のため委員派遣をいたしたい旨議長申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三田村武夫

    三田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお、派遣委員の氏名及び派遣期間等につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  8. 三田村武夫

    三田委員長 これより請願審査を行います。請願審査は、紹介議員が御出席になっておるものにつきましてはその紹介説明を聴取し、紹介議員の御出席になっておらないものにつきましては、その内容文書表によってすでに御承知のことと思いますので、朗読は省略し、直ちに関係当局意見を求めることにいたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 三田委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  まず、日程第一、保護司実費弁償金増額等に関する請願議題とし、政府当局意見を求めます。
  9. 松平勇雄

    松平政府委員 全国に五万二千五百人の保護司を置き、保護観察制度運用しているが、保護司法弟十一条に「保護司には、給与を支給しない。」旨を規定し、無報酬で困難な保護観察の仕事を担当しているもので、その職務執行に要する実費を国が負担しなければならないことは当然であります。従来、保護司保護観察対象者保護観察を担当する場合、対象者一人につき月最高百二十円を弁償していますが、昭和三十二年度はさらに二十円を増額することを内定し、かつ、旅費実費の支払いの範囲を拡張することとし、四月一日より適用すべく法令整備中であります。なお、今後も、国の財政をもにらみ合わせ、請願趣旨に沿うよう努力したいと存じます。
  10. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  11. 三田村武夫

    三田委員長 日程第二、第三は、いずれも印章法に関する請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。
  12. 松平勇雄

    松平政府委員 印章に関して請願趣旨のような犯罪行為が行われることがあるのは事実でありますが、現行法令以外に請願趣旨のような印軍法及び印章師法を制定しても、かならずしもこれによってかかる犯罪行為を防止することができるとは考えられないばかりでなく、他面、国民日常生活に不便を来たすおそれもあるので、請願趣旨のような立法をすることは適当でないと考えます。
  13. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  14. 三田村武夫

    三田委員長 日程第四、私文書偽造行使等の不起訴処分に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  15. 松平勇雄

    松平政府委員 本件は、請願者が、平野佐源司呉忠剛中島松吉勝田菊蔵墨田区長)、宮崎武墨田税務事務所長)、島藤延造熱田彦二等七名を、文書偽造、同行使、脅迫、職権乱用横領等の罪名で、昭和二十五年五月一日から同二十七年三月に至る間五回にわたり、向島警察署告訴状を提出して告訴をし、同署において捜査の上、同署より東京地方検察庁に送付され、同地検においては、それぞれ関係者を取り調べの上、昭和二十六年八月から同二十七年九月に至る間に、いずれも不起訴処分に付したものであります。本件告訴事実は多岐にわたりますが、要するに、被告訴人等は単独あるいは共謀して、あるいは土地使用承諾書等文書を偽造してこれを行使し、あるいは職権を乱用して、固定資産税を納入せざる場合は財産の差押えをなす旨の通告をして脅迫する等の行為によって、告訴人財産権を侵害した、というにあります。向島署及び東京地検において、右の事実について関係人を取り調べ、十分な捜査を遂げた結果、あるいは右の事実を認めるに足る証拠なく、あるいは正当な職務行為としてなされたもので、罪とならないことが判明したので、いずれも不起訴処分に付したものであります。  以上の通りであって、請願者告訴にかかる事件は、すべて検察官において十分捜査の上、不起訴処分に付されており、その間、国民の正当な権利行使保護に欠けるところはないものと認めます。
  16. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  17. 三田村武夫

    三田委員長 日程第五、戦犯釈放に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  18. 松平勇雄

    松平政府委員 終戦後十二年有余、平和条約発効後満五年を経た今日、巣鴨刑務所にはなお八十五名、この内訳は、米国関係七十一名、豪州が十四名でありますが、これらの同胞が戦争犯罪人の名のもとに拘禁を余儀なくされ、また、四百九十八名、この内訳は、A級十一名、米国関係三百三十八名、オランダ関係百四十八名、英国関係一名で、この多数が、仮釈放を許されたとはいえ、いまだ完全に戦争犯罪人の汚名を返上し得ないことは、まことに遺憾にたえないところであります。  戦争裁判受刑者は、平和条約によって、政府の赦免、減刑または仮出所の勧告に対し関係国が同意すれば釈放できることになっておりますので、全員に対しすでに一回ないし数回の勧告をいたし、執拗かつ熱意をもって関係国の同意を求めて参ったのであります。その結果、平和条約発効当時千百四十四名に達した巣鴨在所者数が、現在では前述の通り米国関係七十一名と豪州関係十四名を残すのみと相なり、豪州関係の十四名については近く全員釈放されるものと期待されております。残る米国関係の七十一名については、今後あらゆる努力を傾注し、これ等受刑者やその留守家族のなめつつある苦痛及び戦犯釈放に関する全国民の熱望を米国政府に強く訴え、もって全戦犯者釈放実現を期する所存であります。
  19. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  20. 三田村武夫

    三田委員長 日程第六、人権擁護に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  21. 松平勇雄

    松平政府委員 請願理由だけでは人権を侵害されたものとは思われませんが、目下調査いたしており、その結果人権侵害があれば、適当な措置を講ずる所存であります。
  22. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  23. 三田村武夫

  24. 松平勇雄

    松平政府委員 法務省としましては、つとにこれが新築を計画いたし、ここ数年引き続き大蔵当局に対してこれが新営費の予算要求を続けてきたのでありますが、いまだこれが承認を得られず、今日に及んでいるような次第でございます。当省としては、今後ともこれが実現努力するものであります。
  25. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  26. 三田村武夫

    三田委員長 次に、順序を変更し、日程第九、印鑑法制定並びに戸籍手数料増額に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  27. 松平勇雄

    松平政府委員 印鑑に関して請願趣旨のような法律を制定することは、市町村財政上の負担を増大させるおそれがあるばかりでなく、国民の利便が著しく増加するとも考えられないので、今直ちに請願趣旨のような立法を行うことは必ずしも適当ではないと考えます。  また、戸籍手数料増額については、目下法務省において検討中であります。
  28. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  29. 三田村武夫

    三田委員長 次に、順序を変更し、日程第一一、刑事訴訟法の一部改正に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  30. 松平勇雄

    松平政府委員 刑事訴訟法第二百四十八条の起訴便宜主一義は、主として刑事政策的見地から、検察官に対し、犯罪を犯した証拠が十分な被疑者についても訴追を必要としない理由があるときは公訴を提起しない処分をする権限を認めたものであり、現在この権限が乱用されているとは考えられないから、今のところこれを廃止するつもりはありません。また、裁判所公訴を提起された事件について有罪か無罪かを裁判する機関であるから、準起訴手続の認められる特別な事情を除いては、検察官公訴を提起しない処分の当否を一般的に裁判所審査させることは不適当であると考えます。
  31. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  32. 三田村武夫

    三田委員長 日程第一二、司法官等待遇改善に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  33. 松平勇雄

    松平政府委員 裁判官、検察官等については、その職務特殊性にかんがみ、その待遇等について十分に考慮する必要があることは申すまでもないことであります。政府といたしましても、これまでこれらの点についてできる限り配慮いたして参ったのでありますが、なお不十分な点もあるかと存じますので、今後十分に検討し、善処したいと考えております。
  34. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  35. 三田村武夫

    三田委員長 日程第二三、若松刑務支所移転に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  36. 松平勇雄

    松平政府委員 刑務所移転については、裁判所及び検察庁との関係もありますので、これらの立地条件を考慮に入れて、本請願趣旨に沿うよう努力したいと存じます。
  37. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はございませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  38. 三田村武夫

    三田委員長 日程第一四ないし第一六は、いずれも悪報審議会設置に関する請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。
  39. 松平勇雄

    松平政府委員 恩赦審議会設置の問題につきましては、この種の審議会を設置することを内容とする恩赦法の一部を改正する法律案が参議院に提出されまして、目下審議中でありますので、法務省におきましても、この問題について慎重に検討中であります。
  40. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  41. 三田村武夫

    三田委員長 日程第一七、不起訴処分に関する請願議題とし、政府当局説明を求めます。
  42. 松平勇雄

    松平政府委員 本件告訴事実の概要は、被告人深瀬一之は当時シグマ商事株式会社代表取締役であり、同井上信同社取締役、同長井雄同社業務課長であったが、共謀の上、同会社を害せんことをはかり、任務にそむき、昭和三十五年一月末ころより同年七月末ころに至る間に同社所有商品である数百万円分の会社財産を大阪市所在文房具卸商福井商店及び東京都中央区日本橋小伝馬所在文房具商東京福井商店等の利益のために納入し、同会社に対して財産上の損害を加えたものである、というにあります。右告訴は、警視庁捜査二課において捜査、の土、昭和三十一年三月二十八日東京地検において受理しましたが、同地検において告訴人被告訴人及びその他関係者を数回にわたり取り調べた結果、特別背任罪その他犯舞を構成することを認めるに足る証拠がないので、昭和三十一年六月十八日犯罪の嫌疑なしとして不起訴処分に付しました。なお、告訴人は、同年六月八日本件告訴を取り消しており、右不起訴処分に対しては、検察審査申し立て及び上級検察庁に対する不服申し立てのいずれをもなしていません。  右の通りであって、請願者告訴にかかる事件は、検察官において十分な捜査を遂げ、それによって収集された証拠に基いて適正に不起訴処分がなされたものであります。また、検察官公訴を維持するに足る証拠の有無の判断権の存することは、現行刑事訴訟法の構造上当然の事理に属するので、従って、本件資料として今直ちに検察制度を再検討する必要はないものと思料いたします。
  43. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんが。——なければ次に移ります。     —————————————
  44. 三田村武夫

  45. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 宇都宮地方裁判所真岡支部庁舎新築に関する件につきましては、この庁舎は明治二十五年の建築にかかる木造庁舎でございますので、裁判所といたしましては数年前から毎年予算要求をいたしております。ところが、ただいまのところ認められていないのでありますが、来年度も引き続いて予算要求をし、その実現努力したいと考えております。
  46. 三田村武夫

    三田委員長 御質疑はありませんか。山口好一君。
  47. 山口好一

    山口(好)委員 真岡支部庁舎につきましては、今最高裁当局から御意見の開陳がありましたように、非常に朽廃をいたしております古い建物で、非常に危険であります。私も、地元の裁判所であります関係上、市その他町当局といたしましても、これはぜひとも改造あるいは大修繕をしなければならないということで、至急の改造を要望いたしております。法務省及び最高裁判所にも私よりも再三お願いをいたしておるのでありまして、これは当然予算に入れるべきものと思考いたしております。法務省及び最高裁判所にも私よりも再三お願いいたしておるのでありまして、これは当然予算に入れるべきものと思考いたします。なお今後一そうの御努力を願いまして、すみやかに新築あるいは改造をお願いしたいと思います。これは見通しはいかがでしょうか。
  48. 五鬼上竪磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 三十三年度の予算には組んで大蔵省の方へ要求するつもりであります。
  49. 三田村武夫

  50. 坂本泰良

    坂本委員 全国的に朽廃して、法廷なんか留置場みたいで非常に陰うつな古いのがたくさんあると思いますが、そういうような改築その他を要するようなところは現在どのくらいあるか、調査ができておればそれを聞きたいと思います。
  51. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいま全国裁判所木造庁舎で古いのは相当たくさんございますが、そのうちで、建築しましてから四十年以上たっているというのが大体約三分の一でございます。坪数にいたしますと五万坪くらいございます。これは大多数と言っていいくらい改築に迫られておるわけでございますが、私どもといたしましては、そのうちでも特にひどいものから順次改築をするように予算化していきたい、こういうふうに考えております。     —————————————
  52. 三田村武夫

    三田委員長 日程第一〇、鹿児島地方法務局大口出張所移転改築等に関する請願議題とし、紹介議員説明を聴取することにいたします。紹介議員池田清志君。
  53. 池田清志

    池田(清)委員 請願の第一〇に掲げてあります鹿児島地方法務局大口出張所移転改築請願紹介いたしました議員といたしまして、請願趣旨を簡単に御説明いたします。  大口市は一昨年春できました新らしい市でございますが、市になります前は四方町村にそれぞれ分れておったのでありますが、市になりまして大口市ということに相なっております。この前に分れておった四カ町村、並びに現在残っております菱刈町、これが伊佐平野でありますが、これらの町村関係におきます法務事務を担当していただいておりますのが大口出張所であります。この大口出張所庁舎といたしましては、大口町の時代に関係町村が集まりまして建設をいたし、法務省当局にこれをお貸ししておるという沿革を持っておるようであります。ところが、その建物が非常に古く相なりますし、大口市の発展に伴いまして、その周囲が繁華街になって参りまして、役所の存在する地域にふさわしくないことに相なっておる次第であります。従いまして、この際この所在地を移転していただきますと同時にその建物新築をお願い申し上げるということが請願の第一点であります。  いま一つは、現在出張所でありますが、鹿児島県下におきます他の支局と比べ、担当いたしております事件件数等からいたしますと、名義上支局でありますところよりも、この出張所の方が相当多数の事件を担当していただいておる関係等もありまして、必ずこれを支局に昇格させていただきたいというのが請願の第二点であります。  この二つの請願趣旨を一緒にしてここにお願いいたしておるのでありますが、法務当局におかれましては、格段の御同情をいただきまして、必ずこの請願趣旨実現せられるようにお願い申し上げます。
  54. 三田村武夫

    三田委員長 以上で紹介説明は終りました。政府当局の御見を求めます。
  55. 松平勇雄

    松平政府委員 現在の大口出張所は職員四名の規模の小さいもので、移転改築については移転先敷地買収等の問題もあって、この逼迫した現在の国家財政では、これが直ちに実現は困難と思われます。しかしながら、当省といたしましては、本局並びに支局整備が相当進捗いたしましたので、今後はこれら出張所整備努力して参る所存であります。  なお、支局昇格の点については、裁判所検察庁支部に対応して設置されるのが普通であり、なお、管轄予定市町村及び現在の管轄支局との地理的関係並びに交通関係等もありますので、現在の状況においては支局昇格実現は必ずしも容易ではないと思われます。
  56. 三田村武夫

    三田委員長 以上をもって紹介議員説明並びに政府意見聴取は終了いたしました。  この際お諮りいたします。本日の請願日程第一ないし第十七は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 三田村武夫

    三田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお、本委員会に参考送付せられました陳情書はお手元に配付いたさせましたから、了承願います。     —————————————
  58. 三田村武夫

    三田委員長 次に、裁判所法等の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  発言の通告がありますので、これを許します。猪俣浩三君。
  59. 猪俣浩三

    猪俣委員 この政府提案裁判所法等の一部を改正する法律案は、本国会では衆議院を通適することができなくて、継続審議に相なったのであります。そこで、われわれも閉会中といえども小委員会を設けましてなお慎重審議を継続したいと思うのでありますが、ただ、今までの参考資料なんかを点検いたしましても、外国裁判所の実際がよくわからぬ。一体、大陸系裁判所運用の仕方とアメリカ風運用の仕方と大へん違いますし、あるいはドイツ、オーストラリアにおける憲法裁判所の実際のやり方、あるいはアメリカの憲法違反事件に対する実際のやり方——法規は翻訳したものが出ておりますけれども、実際実務がどういうふうに行われておるかというようなことについて、裁判所なり法務省なりは一体詳細な御研究をしておるのであろうか、そういう参考資料はお持ち合せないのであるかどうか、その点についてお知らせ願いたいと思います。
  60. 五鬼上竪磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 最高裁判所におきましては、裁判所機構に関する英米の制度及び大陸の制度については、もとよりできる限り資料を取り寄せて検討しつつあるのでありますが、何と申しましても、実際にどう運営されておるかという裁判の実務、及び事件がどういうふうにされておるかというようなことは、いろんな資料ではどうもちょっと知りがたいものがありまして、私どもから、年に一、二名行かれる裁判官等には、そういうことについていろいろ検討してもらっておるのですが、まだ十分とは申されないのです。私どもとしても、実際に運営されておる面は、できる限り向うに行って検討しなければ、とうてい資料だけでは得られない、かように考えております。
  61. 猪俣浩三

    猪俣委員 第一に私ども調べたいと思いますことは、合議の方法であります。どういうふうにして合議をやっておるか。最高裁判所の訴訟遅延の原因が結局において人員の不足にあるということは争うべからざることであります。裁判所の判事諸公が、はなはだ能力衰え、かつなまけておるということは考えられないのでありますから、結局において人員の不足ということに帰着する。それですから、これを素朴にしかも簡単に解決する道は、人数をふやすということが一等いいことなんです。そんなことは最高裁判所の諸公でも反対がないと思うのです。人数をふやしてもなかなかそう人材が得られないなんというのは傲慢な話であります。しかも現在の最高裁判所の判事がそういう考えを持っているとすれば、はなはだこれは越権な話だ。そんなここでなしに、われわれ一応なるほどなと思うことは、いわゆるワン・ベンチ論から全員の合議ということを主張なさる、これも一面の理があると思う。この場合に、三十人、四十人では合議がうまく進まないじゃないかという御議論は確かにあると思う。そこで、この法務委員会において論議の的になっておりますのは、五人や六人の合議の方法、それを三十人に応用しようとすれば、それは困難になることはきまっておる。そこで、三十人になったなら三十人の合議の仕方というのが、工夫すればあるのじゃなかろうか。最高裁判所側、法務省側の諸君は、そんなものはないんだというようなお考えのようであります。困難なんだと初めからきめてかかっておる。そうして、これはどうしても全員のワン・ベンチでなければならぬという建前から一歩も引いておられない。これではいつまでやったってけりがつかぬのであります。しかし、すなおに考えて、増員論というのは筋が立っておることであります。そこで、私どもも、合議の方法について一体どういうものがあろうか、外国において実際はどういうふうにしておるであろうかという、法規の上でなしに、しかも、通り一ぺんのただ官僚式の視察でなしに、ほんとうの腹を割った、やり方の実際を学びたい。また、そういうことについて、もし最高裁判所なり法務省が御存じであったならお知らせ願いたいと思ったのでありますが、今の御答弁によれば、まだ不十分のような様子であります。  そこで、ほんとうに権威ある最高裁判所のあり力を作りますには、何としても、そういう諸外国のやり方を、しかも形式的にあらずして、実際生きた、血潮の流れる裁判生活そのものの姿をとらえなければ、ほんとうのことが出てこないと思うのでありますが、法務省はどうお考えになっておりますか、その御意見を承わりたい。
  62. 井本臺吉

    ○井本政府委員 所管の調査課長が来ておりませんので、かわって……。
  63. 猪俣浩三

    猪俣委員 それじゃよござんす。再度一つ、最高裁判所からそういうことについての御所見を承わりたい。
  64. 五鬼上竪磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 ただいまの猪俣委員の御発言で、世界の文明国が最高裁判所のあり方についてどういうふうにやっておるかというようなことの御調査をなすということ、これは、私どもとしても、まことにけっこうなことで、日本の最高裁判所のこれほど重要な機構の改革に当っては、全く私どもとしてもぜひそういう方面の調査をいたしたいと思いますが、ただいま仰せられた合議の方法等については、何分にも資料が手元にございません。また、向うへ行っても、なかなか資料としては得られない。要するに、向うの実際は、その裁判官なりあるいはそれに携わっておる人々に聞くより方法がないというような状態でございます。しかも、国会方面においても、どういう点に御認識下さって、十分御調査を願って、この機構改革に対してお考え願うということは、私どもとし、もまことに喜ばしい次第でありまして、おそらく法務省の方もこれは同一意見だろうと思います。
  65. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、継続審査に相なりましたので、法務省側と申しますか、最高裁判所側と申しますか、お願いしたいことは、今回の審査に対して足らないことが一つある。それは、この新しく提案せられました裁判所法に即しました、いわゆる最高裁判所の規則というものが明らかになっておらない。この規則と法律と相にらみ合せませんと、実際の運営の方法が出てこないのでありますが、この規則というものが出てきませんために、抽象論議に終りまして、具体的の裁判の運営の仕方まで審議が運ばなかったと思うのであります。そこで、閉会後も小委員会において審査することに相なりましたが、最高裁判所側におきましても、あるいは提案者側の法務省になりますか知りませんが、資料といたしまして、この新法に即しました規則、実際の運用の規則を参考としてお作り願いたい。そうしないと、ほんとうの運営の仕方が浮きぼりされないのであります。この規則はできておるのでありますか、おらぬのでありますか、おるとするならば、出せますか出せませんか、その点の御所見を承わります。
  66. 五鬼上竪磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 もとより、この政府提出の法案に対応して、われわれのところでは、その規則の草案を作って、目下検討中であります。その草案ならば、御要望に応じていつでも提出いたすことができると思います。
  67. 猪俣浩三

    猪俣委員 いま一点、これは希望に相なりますけれども、この政府提案の今回の裁判所法等改正法律案は、本国会におきまして法務委員会で相当審議をいたしました。まだ微に入り細にわたっての実際の運用面からの審議には、ただいま申しましたように入らなかったのでありますけれども、法律の表面から考えても、どうも奇妙な組み立てになっていることは争うことができないと思う。下級裁判所であるにかかわらず最高裁判所小法廷なる名称を用い、現在そういう名称で最高裁判所として活動しているのに、それと同じ名称を下級裁判所としても用いるというところに、われわれから言うならば非常にごまかしがあるのであります。それから発生しますところのいろいろの不都合がある。しからば、司法行政はどういうふうにしてやるのであるか。地方裁判所、高等裁判所にはみな班長というものがあって統括しておる。これは、東京高等裁判所長官の統括された中に、なおまた高等裁判所という部がたくさんあるという組織に相なっておる。各部独立の裁判所でありますけれども、司法行政としては高等裁判所長官というものが統括しておるものであります。ところが、この最高裁判所小法廷なるものは、下級裁判所であり、一応最高裁判所と別な裁判所であるといいながら、その司法行政が一体どういうことになるのかは明確を欠いておる。これは最高裁判所に付置しておるという言葉から出てくるのでありまして、付置というのは一体どういう法律関係になるのであるかも明白でありません。なおまた、これは当法務委員会においてしょっちゅう論議されましたこの中二階式のやり方、四審制度になるのか三審制度になるのか、三審制度だということになると無理が出てきて、そこで、つまり、まだ憲法問題が残って審理されておるにかかわらず、三審小法廷の判決が出たということでどんどん執行されてしまうというような、今までの訴訟概念としてわずかに再審あるいは非常上告として特別の制度として存したことが一般的な制度と相なるというような異常な姿を呈しておる。さようなことにも何か無理があるのであります。無理のある制度というものは永続いたしません。どこからか破れてくるのであります。私は非常に考慮する余地がたくさんあると存じます。かようなことでありますがゆえに、なおわれわれも審議を継続するとともに、最高裁判所なり法務省側におきましても、どうかあまりに自説に固執せずして、何かそこに打開の道があるのかどうかを御研究願っておきたいと思う。そうして、少くとも来国会におきましてはこの法案を成就せしめなければならぬと思う。  そこで、お互いにその打開の道を発見する意味においても、やはり海外の生きた裁判のあり方を見なければならぬと思って、先ほどの質問をしたのでありますが、ちょうど今大臣もお見えになりましたので、法務省の御見解を承わりたいのです。実は、この裁判所法等の一部を改正する法律案は継続審査に相なりました。私どもが審査をいたしておりました途中に材料として欠けるものが二つある。一つは、海外の様子がわからぬ。ことに、合議の方法のごときに至りましては、表面的な視察あるいは文書だけではわかりかねると思う。実際合議をやっている裁判官とひざを交えてその体験談を聞くようにしなければ実際の運用を把握できないと思いますので、そういうことの知識がわれわれ乏しかった。今お聞きしますと、官庁側にもそういう生きた資料はあまりそろっておいでにならぬようです。それから、いま一つの資料として不足したことは、この新しい法律に対応しました最高裁判所の規則が明らかになっていない。そのために、実際のこまかい運用の面についての審議ができなかったのであります。そこで、この規則につきましては、最高裁判所事務総長から、今草案ができつつあるから提出してもいいという御答弁がありましたが、海外の、アメリカ及び大陸の生きた裁判の運営についての視察が必要だと思いますが、それについての大臣の御所見を承わりたいと存じます。
  68. 中村梅吉

    中村国務大臣 今日に至るまで、法務当局並びに裁判所関係といたしましては、法制審議会の審議及び調査立案の過程におきまして、諸外国立法例等につきましては、できるだけいろいろな資料を収集いたしまして、参考として参っておるつもりでございますが、ただ、ただいま御指摘のように、裁判の制度というのは、法律並びに制度の文章化したものだけを見ても、実態をほんとうに把握することは至難であろうと私どもも存じます。従来、渡航の制約等もございましたので、各国の裁判制度、ことに最高裁判機関の制度並びに運営の実情というようなものについて、親しく海外に渡りまして調査をしておらないのでありますが、私どもといたしましては、この問題が三権分立の一本の大きな柱についての根本的な問題である点にかんがみまして、国会等におきましてもすでにこの法案は継続審査を願ってさらに慎重審議をしていただく以外に道がないことになりましたので、その継続審査の期間におきまして、できれば国会の当該委員会の有識の方々に、海外の裁判制度の運営の実態というものをつぶさにごらん願い、御研究をいただいて、結論をしぼっていただくことについては、最も賛成をしておるところであります。できることならば、ぜひそういうような運びに一つ国会側におかれましてもしていただくことを強く念願いたしておる次第であります。
  69. 猪俣浩三

    猪俣委員 大臣が来られなかった前に最高裁判所側の御意見を承わったのて、同じ質問になるかもしれませんが、責任ある大臣がお見えになりましたから、なお申し上げたいと思うのであります。  この政府の提案は継続審議になりまして、衆議院すら通過できなかったのでありますが、私は相当無理があると思うのであります。われわれが素朴に考えるならば、裁判事件促進のために最高裁判所の判事をふやすということがまことにすなおな道なんです。ただ、そうした場合に、私どもが一番考えさせられたことは、三十人、四十人の判事が合議ができるかということなんです。これは非常に研究を要すべき点である。その点確かにつかえておるところであります。しかし、合議の方法というものは、何かここに技術的に考え出されるものじゃなかろうか。三人、五人の合議の方法と同じ方法をしなければならぬということもないから、そこで、お互いに考えなければならぬのではないか。今の政府提案の原案は、どうもそれに無理があって、下級裁判所でありながら最高裁判所の小法廷なんというものを作り、しかもこの司法行政はだれが責任者であるかも明らかにならず、なお、中二階式なやり方というものには非常に無理がありまするので、そこで、政府といたしましても、十分これは一つ考え直していただいて、来国会にはこれが無事通過できるように、法務委員会側も閉会中といえども審議を続けますが、政府側におきましても、あまり原案に固執せずして、何かそこに打開する道があるならば御考慮願っておいて、そうして海外の事情なんかもよく参酌いたしまして優秀なものを作りたい、こう思うのでありますが、法務大臣の御所見を承わりたい。
  70. 中村梅吉

    中村国務大臣 結局、法案が継続審査のやむなきに至りました以上は、継続審査の間におきまして、政府といたしましてもできるだけなお慎重に検討を加えて参りたいと思います。ただ、御承知の通り、この問題が懸案になりましてからすでに数年を経ておりまして、その間こういうような方面に学識経験のある人たち多数の合議体であります法制審議会におきまして、あらゆる角度から甲論乙駁して検討を加えて参りました。当初はいろいろ意見の相違がございましたが、結局しぼられたものが今回提案をいたしましたものの骨子のようなことになりましたので、われわれといたしましても、いろいろ考えますと、御指摘のように中二階のようなこの制度がどこか割り切れないような感じもいたしますが、いろいろ総合された結果、法制審議会の結論が出たのでありますし、この趣旨を尊重するという意味からも、また、いろいろ従来の検討の範囲におきましては、この程度以外にさしあたり改革する道はなかろうということであったのでありますが、御指摘の通り、十分われわれといたしましても引き続き慎重に検討を加えまして、決して一たび提案をいたしましたからといってその原案にのみ固執するようなことのないように、国会側と相協力いたしまして、最善の成案を得るように、また結論を得るように私どもとしても努力を続けて参りたいと思います。
  71. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 関連して……。  最高裁の機構改革というものは非常に重大であることは申し上げるまでもないのであります。今法務大臣の説明を聞いておりましても、欧米先進国に対してこの実情調査に行ったことはないということであります。私たちはただ法務大臣あるいは最高裁に質問するだけであって、この委員会の中からも、もし継続審議になるとするならば、こういう大きな問題に対しましては、大陸法と米英法との関係、それから裁判の運営等につきましては、委員の中から実情調査のために欧米等へ委員を派遣して、そうして実情を調査してもらいたいというふうに考えておりますが、委員長は一体その点についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  72. 三田村武夫

    三田委員長 お答えいたします。  椎名委員御発言の通り、また、先ほど来法務大臣並びに最高裁五鬼上事務総長御答弁の通り、最高裁の機構改革という問題はきわめて重要な案件でありますがゆえに、当委員会におきましても、結局はさらに慎重審議を重ねるということに御決定願ったような次第でございまして、従って、諸外国最高裁判所制度並びにその運営を十分知らなければならないことも当然であります。当委員会始まりましてから今日まで、政府当局の御説明を伺っても、容易にこの実態は認識し把握することができがたいのでありまして、委員長といたしましても、昨日の理事会でありましたか、一応御承認を得まして、この閉会中、継続審査の間に、当委員会の良識ある委員の方々にも直接御調査に行っていただきたいということを考えまして、法務大臣にせっかくの御努力もあわせてお願いいたしまして、昨日委員長名で議長あてその要請を手続をいたしました。同時に、この問題を所管いたしております議院運営委員長にもこのことを申し入れ、党の幹部にもこれを要請いたしております。  ただ、私、この機会に、この問題に関連して、多少私見になりますけれども、率直に申し上げたいと思いますことは、議員の海外派遣ということは常時ひんぱんに行われるようでありますが、具体的な目的を持った議員の派遣というものはなかなかめんどうであり、困難なようであります。しかしながら、国会が国政の最高権威として立法をつかさどる以上、国の重要機構に関し、その基本的な制度に関する審議、立案に当っては、十分その本旨をきわめることが必要でありますから、私は、ぜひともこれは実現いたしたいと、強い要求と決意を持っておることを御了承願いたいと思います。ただ、これは、従来の慣例もありまして、委員長要求だけではなかなか実現が困難なようであります。せっかく委員諸君の御協力も得まして、なお最高裁当局法務当局の御協力も得て、ぜひともこの機構、制度の万全を期する上においての御協力をわずらわしたい。この機会に、私からも自分の所信を申し述べ、かつお願い申し上げておきます。
  73. 古屋貞雄

    古屋委員 なお、これは非常に大事なことなんですが、実は議運がいつも問題になるわけですね。議運万能と申し上げちゃ悪いけれども、形式功労旅行というようなことで外国視察に行っている。そういう問題と混淆されるおそれがありますので、ただいま委員長の御決意を承わりまして非常に私ども力強く思うわけでございますが、さらに一段と、私どもも努力いたしますが、議連に対する努力をお願い申し上げたいと思います。これは議論の余地がないと思うのです。こういう国民人権に関する重要な問題なのですから、もちろんこれは異議ないと思うのですが、今の委員長のお話では、非常に困難なような気持もうかがえるわけなんです。従いまして、私どもも努力いたしますが、あらゆる方面から努力いたしまして、議運でこの問題がスムーズに通るようにいたさないと実現は困難なようでありますから、その点を、十分お気づきだと思いますけれども、なお私ども御注意申し上げて、私どもの方からも努力いたしますので、必ず実現するように一つこれに御努力願いたいと思います。要望を申し上げておきます。
  74. 三田村武夫

    三田委員長 古屋委員せっかくの御発言でありますから、私も特に社会党の皆さんにお願い申し上げておきます。お話の通り、国会が終ってからの海外旅行は、何か国会中の論功行賞といいますか、こういうことは私は悪例だと思う。そうでなくて、これはやはり、国会の審議権を行うために、立法権を行うために、厳粛な態度で諸外国の実地を見ることは必要である。それは具体的な目的を持つことが特に必要だと思うのであります。どうぞ、そういう点において、社会党の方におかれましても、今おっしゃいました議運の諸君に対して一つ強力にあっせん、御推薦あらんことを、この機会にお願い申し上げておきます。     —————————————
  75. 三田村武夫

    三田委員長 次に、法務行政及び人権擁護に関し調査を進めます。  発言の通告がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 私は法務大臣にお伺いしたいと思います。それは相馬ケ原の農婦射殺事件の問題でございますが、これは、御承知のように、アメリカ側は、公務中の事件として米側に裁判権がある、日本側は、傷害致死で日本側に裁判権がある、こういうことでありますが、これに対しまして、社会党では、軍事基地対策委員長の野溝氏と法規対策委員長の私が代表いたしまして、これは殺人罪であるという告発を提起しておる重大な事件であります。そこで、まず行政協定に基く日米合同委員会に裁判権の問題がかかりまして、先日日本側に裁判権があるというような新聞を見たわけであります。ところが、けさのUP電によりますと、アメリカのウィルソン国防長官は、国防省が調査をするまで米側の犯人の引き渡しを拒否と申しますか引き渡すなと言った、こういう電報がけさ入ったわけであります。そこで、もしも、行政協定に基くこの決定に対して、アメリカの国防長官がそういうような犯人引き渡しを拒否するという命令をする、こういうことになりますと、やはり、日本はアメリカの従属的な立場に立っておる、こういうもとにおける行政協定であるということがここに暴露されるというような重大な問題でございます。これに対して、われわれとしましては、至急に犯人の引き渡しを受けて——これは日本に裁判権があることは当然でありますから、われわれの要望としては殺人罪、検察当局のお考えは傷害致死でございますが、いずれにしましても、日本側の裁判所に至急に起訴の手続をとられるのがしかるべきである、かように考えるわけでございますが、所見をお伺いいたします。
  77. 中村梅吉

    中村国務大臣 この問題につきましては、先般御報告いたしましたように、張る十六日に両国の日米合同委員会におきまして、日本側の裁判に付する旨の最終的な意見の一致を見ました。昨日、アメリカ側の責任者から文書をもって、それに関する書面を日本側で接待いたしております。ところが、今UP電によりますと、お話のように、アメリカ本国において問題にしておるように聞きますが、私どもといたしましては、両国の制度によって定められた合同委員会において最終的な結論をいたしました以上は、たといアメリカの政府あるいは軍の機関の上層部の意向がどうあろうとも、制度上定められた合同委員会の最終決定は順守されるものであると考えます。従いまして、従来すでに事案の内容につきましては警察及び検察当局捜査は大体済んでおりますから、すみやかに起訴の手続を運ぶようにいたしたいと、われわれといたしましては思っております。  なお、この点につきましては、ちょうど日本側の裁判権分科委兵長の津田君が出席いたしましたから、必要がありましたら津田君から詳細お答えいたすようにいたします。
  78. 津田実

    ○津田説明員 相馬ケ原事件につきましては、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、去る十六日の合同委員会におきまして、日本側で裁判権を行使するという合意が成立しまして、昨日、アメリカ側は裁判権を行使しないという通告を、正式に法務省は受け取った次第でございます。前橋地検の方へ連絡いたしておりますから、一向日中には本件は傷害致死罪をもって前橋地方裁判所に起訴されるものと考えて、おります。  なお、先ほど御指摘のUP電につきましては、私もそういう事実を存じておりますが、内容につきましては、アメリカ側から正式には何ら通知がございません。ただいま大臣が御説明申し上げましたように、本件は合同委員会により正式に決定いたしておりますし、また、正式にアメリカ側から裁判権を行使しない旨の通告をいたしておりますので、問題があるとすれば、あくまでもアメリカ側内部の問題だと私は考えております。
  79. 坂本泰良

    坂本委員 詳細に承わりまして、よく事情が判明いたしましたが、これは日本の独立に対する重要な問題でございますから、社会党としても、先ほど告発もいたしましたような党の問題として取り上げまして、本日中央執行委員会におきまして、中村教宣局長、それから私、その他代表が、アメリカ大使館、アメリカ極東軍司令官に対して、もしもこういうようなことがあったら大問題だというので、抗議を申し込むことになっております。中村法務大臣に対しても要望することに決定を見たわけでありますが、どうぞ一つ、日本の独立を守るためにも、ただいま御答弁のように善処あらんことをお願いしておきます。
  80. 三田村武夫

    三田委員長 佐竹晴記君。
  81. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先日、例の衆議院決算委員会において中古エンジンの問題がありましたときに、参考人原田源之助が喚問せられることになって、昨年の五月十六日同委員会に出頭をして取調べを受けたのでありますが、その参考人は、二十一年の十二月ごろに軍事裁判で懲彼二年の刑に処せられましたが、精神分裂症で執行を停止中の者だということを聞いておるのであります。果してそのような受刑の事実があるかどうか、刑執行停止の事実があるかどうかということを、先日お尋ねをいたしまして、御回答に接しておりませんので、この際一つ御答弁を願いたいと思います。
  82. 井本臺吉

    ○井本政府委員 原田源之助氏の件につきまして、私どもの方でその後取調べをいたしました結果を申し上げます。  この方は、昭和二十七年ごろに広造機械株式会社の常務取締役でありまして、本件の問題のパッカード・マリン・エンジンにつきまして、第一通商株式会社との間でその購入について交渉をした模様でございます。この点につきましては、検察庁におきましてもその間の事情を一応調査いたしております。  なお、原田という方が、 このパッカード・マリン・エンジンの問題の間組関係者である杉山欽二郎という方から金を供与された事実はあるかないかということのお尋ねがこの前あったと存じます。この間の事情でございまするが、杉山欽二郎という方が、 このパッカード・マリン・エンジンの防衛庁納入に関しまして、間組その他から相当の金銭を受け取っており、かつその使い道も調べておりまするが、この杉山という方から原田源之助という方に金が渡ったという事実は、われわれの調べでは全然出ておりません。この点につきまして、何か参考になる点がございますれば、なお調べたいと存じます。  なお、この原田源之助という方が、何か精神分裂症で、軍事裁判の刑の執行の停止を受けでおるというようなお話でございます。この点につきまして、われわれの方でいろいろ調べたのでございますが、矯正当局関係の名薄にはこの人間の名前は全然出ておりませんし、また、軍事裁判の関係は、昭和二十七年の講和条約発効後に全然効力がなくなっておりまするので、現在この人間がさような軍事裁判の刑の執行を停止せられておるという事実は、われわれの調査では判明いたして下りません。また、ただいま申しましたように、軍事裁判は講和条約発効後に全然効力がなくなっておりまして、甘い渡された刑につきましても、講和条約発効と同時に刑が消滅しておりまするし、現在の状況では調べようがないわけでございます。いずれにいたしましても、われわれの方の調べで、お尋ねのような精神分裂症で軍事裁判の刑の執行を停止したというような事情は見受けられないわけでございます。
  83. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 金銭の授受は、実は最近になって、その取調べをいたしました後に、現金の授受が行われておるようであります。これについては、これより先、手形が授受されておりまして、百万円の借用証書一通が授受せられておったのでありますが、最近になって、そのうち五十万円だけ現金授受が行われておる。そうして、その報酬が当時払われないでその後に現金化されておるのでありますが、その金をもらって、国会の決算委員会へ出てきて、しめし合せてうそを言い、そうして決算委員会をあざむき、ないしは検察当局をくらます。こういったような人間が存在しておることは、とうてい許されません。ただいま刑市局長より、もし金銭の授受の事実等について参考事項があれば承わることにしようということでありますから、私は資料を整えて別途一つ上申することにいたします。  本日の質問はこの程度にいたしておきます。
  84. 三田村武夫

    三田委員長 志賀義雄君。
  85. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど相馬ケ原の問題が出ました。これはかねて法務省から御答弁を願うことになっておりましたが、新たに問題が出てきましたし、五月十六日の読売夕刊によりますと、「日米両国はそれぞれの法律的な解釈にもとづき第一次裁判管轄権を主張したが、それぞれの法的解釈に関する見解はそのままとし、この問題解決のため行政協定に定められた手続に従いこのような措置をとることになったもの。」ということになっておりますが、日本側の主張並びに特に合同委員会におけるアメリカ側の主張はどういうことであったでありましょうか。その点御存じであったならば御答弁願いたいと思います。
  86. 津田実

    ○津田説明員 お答え申し上げます。合同委員会におきます日本側の主張は、本件は公務外の行為でありまして、日本側に第一次裁判の管轄権があるという主張であります。アメリカ側の主張は、本件は公務中の犯罪であって、アメリカ側に第一次裁判権がある、こういう主張でございます。その両者の主張がそれぞれいずれとも解決するに至りませんでしたけれども、その見解は法的解釈としてそのままにしておいて、アメリカ側は本件について裁判権を行使しないということを決定して日本側に通知した、かように相なりましたわけでございますが、いずれの点からいたしましても、日本側の裁判権には欠くるところがない、こういうことになっております。
  87. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 犯人ウィリアム・ジラードの引き渡しを要求されましたか。また、要求されるつもりでしょうか。
  88. 井本臺吉

    ○井本政府委員 熊谷のキャンプに預けてあります。裁判には支障がない見込みで、そのままにいたしておりますが、判決が確定いたしますれば、直ちに日本側の刑務所で刑の執行をする予定であります。
  89. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうすると、別にこちら側で逮捕を通告するということはないのでしょうか。
  90. 井本臺吉

    ○井本政府委員 アメリカ人でございましても、刑事訴訟法の規定によってやっておるわけでございまして、住所、氏名がはっきりしておって、逃亡するおそれもなく、証拠隠滅のおそれもなければ、逮捕状は出ないわけでございますから、現在の状況では刑事訴訟法所定のような要件がありませんので、そのまま通わして裁判をするという予定にいたしております。
  91. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど坂本君からも質問がありましたが、アメリカの国務省その他で、アメリカ軍の勤務中のことであるからという故障が出ておりますが、その故障を押し切っておやりになるつもりであるかどうか、この点について法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
  92. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいまの点は、先ほども申し上げましたように、何か情報によりますとアメリカ本国あるいは軍首脳部の方面に故障があるように伝えられておりますが、日米合同委員会というのは、行政協定に基きまして両国の制度として設けられておる機関であります。この制度上設けられた機関が最終的に決定をし、しかも昨日文書も日本側で正式に受け取っておりますから、日本側といたしましては、たといどういう故障がアメリカの内部に起りましても、この取りきめは行政協定に関する事項としての最終的の取りきめである、従ってこれはあくまで遂行しなければならないし、また、できるもの、かように考えております。
  93. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 特にその点を伺いますのは、仙台でアメリカ兵が放火、殺人の事件を犯しまして、これが第一審の判決は死刑になっております。しかし、当時検察庁の方では、アメリカ側の裁判ではこれは死刑にまではならない、その調子を合せてと申しますか、その程度の求刑を検事がしておられます。これは新聞にも出まして非常に日本人に悪い印象を与えております。そういうわけで、検察庁がここでまた向うの方から故障が出たときに腰を折るようなことのないように要望しておきたいのですが、井本刑事局長いかがですか、腰を折るつもりですか、がんばるつもりですか。
  94. 井本臺吉

    ○井本政府委員 ブーンの事件でございまするが、御承知の通り、ブーンの関係事件は、五つか六つ事件がございまして、そのうちの四つくらいですか、それは、ブーンのこの事件が向う側の事件でありましたために、向うが先に裁判をやりまして、結局無期懲役になっておるわけでございます。ところが、日本側では、このブーンと相手の女と二人が裁判になったわけでございまするが、従来、日本側の裁判におきましては、女の方につきましては、よほどのことがないと、妙な話ですけれども、死刑の判決はほとんどないわけでございまして、結局女は五つほど犯罪がございますけれども、これにつきましては大体常識的に言うて無期が相当ではないだろうかということになりますと、前後の関係から無期である女に対しまして共犯の男の方が一つしか犯罪がないので、検察庁側といたしましては、その他諸般の事情を考慮いたしまして、結局無期懲役の求刑をしたわけでございまするが、裁判所は、両者につきまして、いずれも死刑の判決が至当であるというので、死刑の判決があったわけであります。現在これは仙台の高等裁判所で裁判中でございます。私どもといたしましては、別にアメリカ側だから腰を折るとか何とかいうことは全然考えておらないので、あくまでも法の厳正な執行を公平にやっていきたいというように考えております。
  95. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうも法の厳正が相手によって違いますので、特にその点でこの場合はしっかりやっていただきたいと思います。   次に、有名な死の行進事件について、自衛隊の警務官が調査した上で検察庁としては起訴するか不起訴にするかを決定する、それを待っておるということでありまして、いずれこの法務委員会において発表するということでありましたが、その後発表がございません。本田会もきょうで終るので、法務委員会もきょうで一応終るわけでございますが、その点については起訴されましたか。あるいは不起訴になったのか、またはそのままになっておるのか、その点を伺いたいと思います。
  96. 井本臺吉

    ○井本政府委員 自衛隊の例の死の行軍の関係でございまするが、本件につきましては、本年の三月十二日に神戸の地方検察庁に元陸上自衛隊第七普通科連隊第二大隊二等陸佐岡崎東洋二という方ほか三名、合計四角につきまして事件の送致を受けたわけでございます。この四名の方の送致事実は暴行容疑ということになっております。しかしながら、検察庁におきましては、この暴行容疑だけではなくて、問題になりました二人の方の死亡につきましても、何らか業務上過失致死、あるいは刑法の二百五条の犯罪などが成立するのではないかというようないろいろな観点に立ちまして、事件の送致を受けましてから今日まで被疑者関係者参考人等三十数名の取調べをいたしておるわけでございまするが、いまだ結論は出ておりません。近く来週早々に主任検事が関係の書類を取りまとめまして上京して、その結論を出したいというように考えておるわけでございまするが、ただいま申し上げましたように、この事件の結論がまだ出ていないので、起訴処分も不起訴処分も、両者ともまだいたしておりません。
  97. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 とにかく、二人の自衛隊員がこの事故のために死んでおります。人権上重大な問題として国民に受け取られておりますので、法務大臣の方としても、これをあいまいにすることなくやられるおつもりかどうか、そのことを一つお聞きしたいと思います。
  98. 中村梅吉

    中村国務大臣 検察の実務に関する問題でございますから、先ほど政府委員刑事局長からお答をいたしたような次第でございますが、私どもといたしましては、あくまで厳正な結論を得たい、かように考えております。経過及び現状等は、ただいま刑事局長が御説明申し上げた通りであります。
  99. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 とにかく、これは二人の隊員が事実上ああいう事件のために死んでいる。世間では非常に荷酷な取扱いのために殺されたということになっておりますので、世論を納得させる上からも、不起訴処分というようなことにならないことを希望しておきます。  最後に、先日外務委員会において藤井公安調査庁長官の失言について法務大臣から訂正されました。ところが、先日関東公安調査庁の人が共産党員の世田ケ谷に住んでいる北村のところに菓子折を持ってきたので、都会議員と一緒にこれを返しに行ったのです。一体公安調査庁は共産党につけ届けをするようなことがあるのですか。それを返しに行たところが、不法侵入を育って——ちゃんと受付に都会議員の名前を書いて、そこへ一緒に行って課長紹介してやったんです。その菓子万を出したとたんに、大へんうろたえたらしい。それで、不法侵入と言って、警察の方からすぐ逮捕によこして、外へ出さないという事件があった。これは何か破壊活動防止法に列記してあることにでも当るんですか。内乱罪か騒擾罪か、そういったようなものに当るのでしょうか。あなたがりっぱなことを国会で言われても、公安調査庁ではこういうことをしているのです。その点まだお聞きになりませんか。
  100. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま御指摘の事実、全然まだ承知をいたしておりません。至急事の次第等調査をいたしたいと存じます。
  101. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 とにかく、公安調査庁の役人が共産党員に対して金品を持ってくるというようなことは、やめさして下さい。おかしいことじゃありませんか。菓子折を持ってきたり、何か法律上そんなことをしていいと番いてあるところがあるのでしょうか。ないでしょう。あなたの責任を持っておられる官庁でこういうことをしております。そういうことのないように至急通告されるかどうか、その点を伺っておきます。
  102. 中村梅吉

    中村国務大臣 それもなるほど御趣旨としてはもっともでございますが、その出来事自体はどういういきさつから起って、事実菓子折を持っていったものかどうか、あるいは交際の範囲で知り合いの間柄であるか、そういうこともよくわかりませんから、私どもとしては十分事実を調査いたしたいと思います。
  103. 三田村武夫

    三田委員長 佐竹晴記君。
  104. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 本年の一月八日付で、広島市の舟入町六百二十四番地、丸江製材所の代表者新本高法が中村法務大臣あてに陳情書を出してあるようでありますが、一向に返事がないので聞いてもらいたいという照会がありました。これは刑務所の綱記にかかる問題でありますので、一応いきさつをお尋ねしておきたいと思います。  右丸江製材所は、二十五年の初めごろに、広島県安芸郡上瀬野村字荒谷というところで村有林の立木を買いまして、山のてっぺんからワイヤでその材木を出す計画をいたしました。索道を敷設して作業を開始しました。そのときに、ちょうど広島刑務所では受刑者の構外作業を各所に実施いたしておりましたので、刑務所に御相談をして、受刑者に労務に服してもらったのであります。ところが、その後刑務所の方ではその仕事を自分でやりたいということをおっしゃいまして、いろいろ折衝を重ねました結果、その山林を売ってあげることにいたしました。そうして、その契約書もここにございますが、すっかり文書を作って契約をいたしました。その際に、山の上から索道を引いて、ワイヤを引いて運搬をいたしておりましたそのワイヤをそのままに使いたいと刑務所の方でおっしゃいますので、それじゃ貸してあげましょうといって貸したのであります。ところが、その後に至って、その山林の売買契約書にもワイヤともに売るということは何も書いてないのにかかわらず、そのワイヤはおれの方において買ったのだ、おれのものだ、こう言って、どうしても引き渡しをいたしません。ところが、ちょうどそのときに中に入って衝に当りました保井技官は、はっきりと、これは確かに借り受けたものに相違ない旨を述べまして、その旨を証する書面まで、もとの所有者の丸江製材所にくれておるのでありますが、しかし、一面、刑務所の上役の方においてそれを否認するために一応形だけは刑務所財産になっているような形式にしておかなければ工合が悪いというので、そういう書類も実は一札刑務所の方に入れておるようであります。そこで、形においては刑務所の所有になったような形になっているが、他面、いやそれは実際あなたの方のものだからお借りしますという書類も入っている。つまり、借りる書類も所有者にくれておるのであります。ところ・が、今日に至りましてもどうしても返してくれませんのみならず、当時のお役人が全部転任いたしまして、交渉いたしましてもどうにもらちがあきません。ところが、聞きますと、どうも刑務所関係においては、事業をやっておりますが、その事業関係において全国至るところにいろいろなもつれがあるようであります。私が本日特にこれを取り上げようといたしまするものは、そういう事業や何かをやります官庁はえてして一般民衆との間の取引でいろいろいざこざを起したり、それからまた、これにからまって綱紀問題を起したりしやすいものであります。権力を持っております人がそういった場合に売らないものをおれのものだと言い出してみたり、あるいは、形だけそうしておいてくれと権力を持った者に言われると、それを信用する、そして、他面においては、所有権はあなたの方にあるという証明をくれておっても、それを無視して履行しないといったようなことが全国に行われておるやに聞きます。もしそういったような事態があるといたしますと、将来こういうやり方は私はまことによくないと思いますので、少し法務当局におきましてもこういう事実の有無を十分お調べ願いまして、適当の監督をせられる必要があるのではないかと思うのであります。こういう意味において、この件は事実はどんなでございましょうか。先日、お尋ねをいたしましょうと思いまして要点のみをお告げをいたしておきましたので、あるいはお調べをいただいているかもしれません。また、陳情書が一月八日に法務大臣あてに出されておりますから、一応お調べができておるかと思いますが、御答弁をいただけますならば幸いであります。
  105. 渡部善信

    ○渡部(善)政府委員 お答え申し上げます。  今年の一月八日付に丸江製材所の新本氏から法務大臣あての上申書が出ておるというお話でございますが、実は、私の方で調査いたしましたのですが、上申書が出ておるのが見当らないというのでございます。内容につきまして詳細の点はまだ目下調査中でございますが、お話しになりました材木の件、ことにそれにまつわりまするワイヤーの件につきましていろいろ問題が起っておるようでございますが、双方の行き違いがあるように存じますので、私らの方で一応調査いたしました概要を一応御説明申し上げたいと存じます。  この丸江製材所との関係でございますが、これは広島の刑務所昭和二十五年の当初から丸江製材所が買いました山の切り出しに受刑者を出しまして労務提供の作業をいたしておったのでございます。ところが、その後昭和二十五年の十一月一日付になっておりまするが、丸江製材所との間に山林立木売買契約なるものを締結いたしておるのでございます。その契約書によりますると、当該の山にありまする立木の残りを丸江の方から広島の刑務所が買い受けまして、それを刑務所の手で切り出しをいたしたのでございます。その契約書によりますると、立木三千石これに行当り百円といたしまして三十万円、それから、伐採済みの木材五百石、これは石当り単価百五十円で七万五千円、それから、土場まで出してあります木材のうち五百石、これは単価四百五十円として二十二万五千円、この合計四千石の木材と、それから、その切り出しの作業に使っておりました宿舎設備全部、これを十五万円、それから、伐採の運搬に使いまする施設一式、これはワイヤ・ロープも全部含めてでございますが、これが十四万円、合計八十九万円で売買契約ができておるのでございます。この契約に基きまして上瀬野村の材木を伐採いたしたのでございますが、この八十九万円の代金は六回にわたりまして全部完済いたしておるのでございます。この契約に基きまして、ただいま申し上げますごとく、この伐採に要しまする運搬設備一式の中にワイヤ・ロープが入っておるわけであります。刑務所といたしましては、十四万円で、そのワイヤ・ロープは全部刑務所で買い受けたということに相なっておるのでございます。ただいま佐竹委員から、何か保井技官から丸江製材所の方に刑務所として借りておるというふうな書面が行っておるということでございますが、これは一つ見せていただきましてよく調査いたしたいと存じます。実は私どもの方は丸江製材所の方から広島刑務所の作業課あてにワイヤ保管の証書が入っておるのでございます。どうもその辺はちょっと行き違いがあるように存じますが、保井技官がさような書面を先方に渡しておるといたしますれば、どういういきさつで渡しておりますか、よくその点調査いたしたいと存ずるわけであります。さようなわけで、広島の刑務所といたしましては、この契約書に基きましてワイヤ・ロープは広島の刑務所の所有に受け入れておりますので、丸江の方に返すべき筋合いのものではないというふうに考えておるのでございます。  なお、刑務所におきましていろいろ作業をいたしております点は、御指摘の通りいろいろと民間の業者との間の契約があるわけでございますが、決してさような場合に権力関係を振りかざして不当な行為のあるようなことがあってはならないわけであります。私どもといたしましては、この作業をいたすにつきまして、林業の圧迫というふうなことまでにいろいろ考えて配慮いたしておるのでございます。もしも間違いがありましたならば、直ちにその点は是正するようにいたしたいのでございます。さようなことがあってはならないと常々考えております。
  106. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 なるほど、契約書においては、施設一切とございます。この施設というのはこれではないのであります。  それから、先ほど言ったワイヤの保管書を入れてくれということは、たしかそのときの部長の藤咲という上役がやったそうであります。この部長が、契約書で今言った事業設備一切十四万円で買い取っておるのだからワイヤはそれに含まれておるのだということを言った。契約の衝に当らぬ藤咲が、契約面でいけば、あのワイヤもおれの方に入っているのだということを主張。きるのだと言い出したので、その中にあって保井技官が困って、それは藤咲部長の言うのは違います。あれは売ってはおりません、おりませんが、部長がそう言うてききませんから、一応保管書だけは入れておいて下さい、しかし決して売ったのではないということは私が証明しますと言って、実際の衝に当られた保井技官が、そのワイヤは実際売ったものではございませんという返り書をくれている。にもかかわらず、契約書にこうあったからといってカタにとっておりますが、その契約書にあるところの設備は、それ以外の設備でございます。ワイヤというのは全く別のものでございまして、それに関しますいきさつは詳細書いてありますが、きょうはもう時間ありませんので略します。私は法務当局を信用いたしますから、この書類をお預けいたしましょう。一つ、どういうわけでそうなったのか、また保管書をどういうわけで入れたのか、それから、保井技官と藤咲部長との間にどういう交渉が行われて、その後一体どういう工合になったのか、よく調べていただきたい。それから、保井技官はその後名古屋へかわりまして、今名古屋においでになると思うのです。それで、この間も参りまして、保井技官は、これは困った困ったと言って、向うの方へ返してやってくれということを広島の方へ通告しているのです。衝に当った人がそう言っているのです。ところが、上の人は、契約書にはこうあるのだからあれも取り込めるのだというような、まるで民間の詐欺師のようなことをやられては、これは困るのでありますから、一つ、保井技官も名古屋においでになることでありますから、あなたの方でお調べになればすぐわかりますから、お調べを願いまして、あとでまた詳しくお尋ねすることにいたします。このことは同僚の広島の佐竹新市代議士が関係いたしておりまして、私の方へ連絡がありましたから、それでは月曜か火曜に佐竹新市代議士と一緒におたずねしてなお詳しく申し上げますが、とりあえずこの書面を差し上げておきます。よくごらん願いたいと思います。  私はこれでよろしゅうございます。
  107. 三田村武夫

    三田委員長 この際、委員諸君のお許しを得て、最後の総括的な締めくくりといったような意味において、特に当委員会として重要だと思われる一、二の問題につき、私から政府関係当局にお尋ねいたしておきたいことがあります。  本国会における当委員会は、最高裁判所機構改革に関する法案審議のために会期の大半を費したため、検察行政司法行政、その他当委員会所管の案件に関する審議、調査を十分に行うことができなかったのであります。この点委員長としてはなはだ遺憾に思っておるのでありますが、本日で会期も終ることになっておりますので、この際、最近特にやかましい世論となっておる青少年犯罪の問題と、いわゆる暴力団事犯につき、政府当局の御所見と対策をお尋ねいたしておきたいのであります。この二つの問題については、当委員会の初めに、私から法務、警察両当局資料の提出を要求いたしておいたのでありますが、法務省調査の詳細な資料がつい二、三日前提出されましたので、主としてこの資料に基き要点を取りまとめ簡潔にお尋ねいたします。  まず、青少年犯罪、特に二十才未満の少年犯罪の傾向と対策についてお尋ねいたします。  法務省刑事局五月九日付調査資料によりますと、少年犯罪すなわち十四才から十九才までの少年で新しく罪を犯して検察庁に送致された者が、二十七年が十七万三千四百二十二人、二十八年が十九万四千三百三十六人、二十九年が二十三万八千八百五十六人、三十年が二十七万三千四百十二人、三十一年が三十万七千百三十八人となっており、逐年激増の傾向を示し、この五カ年間に警察または家庭裁判所の手を経て検察庁に送致された少年が実に百十八万七千百六十四人の多数に達しておるのであります。この数字の中には他の検察庁より移送されてきた者も含まれておりますから、実人員に多少重復したものがありますが、いずれにいたしましても、実に驚くべき激増の傾向であります。しかも、その四〇%ないし四五%は、肉体的に精神的に全く未成熟な十四才から十七才までの少年であります。さらに、この数字について考えられることは、この統計に現われた犯罪少年の数は、警察の門をくぐって検察庁に送られた者の数であって、警察の手にかからない同一傾向の少年がこれ以外にどのくらいあるだろうかということを想像いたしますと、全く心の痛む思いがいたすのであります。その上、さらに、二十才から二十五、六才までの青年犯罪者の数を加えたならば、どのような数字になるであろうかということを考えてみなければなりません。別に提出されました警察庁の資料によりますと、同じ少年犯罪が、昭和十六年を一〇〇として、いわゆる凶悪犯が、二十七年においては三五七、三十年には三七九、粗暴犯が、二十七年には三四九、三十年には四九〇となっており、いずれも大戦前の昭和十六年に比較して三倍ないし四倍となっておるのであります。成年者の犯罪の倍率と比較いたしますと、少年犯罪の方が大体二倍の増加率を示しております。この統計の示すものはまことに重大なる内容を持っており、国家の将来に思いをいたすとき、実に寒心にたえないものがあるのであります。  あらためて申し上げるまでもなく、青少年犯罪の問題は一国の政治の上に重要な関係を持っており、刑事政策の面から、あるいは文教政策の面から、格段の考慮を払わなければならない重要な問題であります。当法務委員会においては、つとに、この問題の重要性にかんがみ、たゆみなき調査研究を重ねてきておるのでありますが、私は、この際、当委員会の名において、特に政府及び関係当局の深き反省を要望し、あわせて法務、文部両大臣の御所見と御方針を伺いたいのであります。  御答弁の前に一言つけ加えますが、昭和二十四年の第五国会において、当委員会の発議による青少年犯罪防止に関する決議が行われ、同年六月、閣議決定によって青少年問題対策協議会が内閣に設置され、さらに、二十八年七月二十五日、法律第八十二号をもって青少年問題協議会設置法が制定せられ、今日に至っておるのであります。すなわち、当法務委員会の発議によって国会の決議となり、対策協議会の設置となり、法律の制定を見て、常時政府施策の重要部門として活動が行われているはずでありますが、この法律があり、機関があり、相当の国費を費して権威ある活動が行われておるにもかかわらず、事実は逆に逐年激増の一途をたどるということは何としたことか、これでは国民に対してはなはだ相済まぬ次第だと言わざるを得ないのであります。その原因と条件はどこにあるのか、最近の、五カ年間に罪を犯して警察の門をくぐり検察庁に送られた約百二十万に及ぶ少年を、いかにして補導し、矯正し、健全なる社会人たらしめるかは、刑事政策の面から見ても、社会教育の面から見ても、容易ならざる重大問題であります。同時に、純真なるべき少年をこのような傷つける犯罪者たらしめないためにはどのような対策を立てるかを真剣に検討する必要があると思います。当委員会においても、次期国会までに何らかの具体案を検討いたしたいと考えておりますが、政府においても、官庁内、形式的施策でなく、より有効にして適切なる方策を早急に御研究願いたいと思います。  文部大臣は御出席ありませんが、法務大臣並びに文部当局の真摯にして率直なる御所見と御方針をこの際伺っておきたいのであります。
  108. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま委員長から御指摘の通り、少年関係犯罪につきましては、まことにわれわれ重大な関心を払いまして心配をいたしておるところでございます。  世の中が戦後次第に安定をして参っておるにかかわらず、少年犯罪が減少いたしません。むしろ増加の傾向をたどっておるということは、はなはだ遺憾にたえないところでございます。そこで、世間には、大いに厳罰をもって臨むべきであるという意見も一部にはのるようでありますし、また、少年の年令を引き下げろという意見もあるようでありますが、私どもといたしましては、直ちにそういう方向には賛成をいたしかねるのでございまして、私どもの方の所管から申しますならば、むしろこれは司法保護の面に重点を置き、また警察と連携をいたしまして、できるだけ少年の補導に力を注ぐべきである、かように考えます。  また、青少年犯罪の起ります根本を考えてみますと、これは社会環境というものが非常に重大な影響を持っておりますので、環境の浄化ということには、これは法務省のみならず政府全体があらゆる角度から検討をいたしまして、今後正そうこの環境の浄化に努めて参りたい、かように存ずるのでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この点につきましては最善を期して参りたい、かように考えます。  なお、委員長からいろいろと少年犯罪件数等につきまして御指摘がございましたが、件数の増加傾向をたどっておりますことは御指摘の通りであります。ただ、内訳を申し上げますと、この中には刑法犯と特別法犯とがございます。刑法犯の方は、昭和二十七年が約十一万一千でございまして、二十八年が九万九千、二十九年が九万五千、三十年が十万、三十一年が十万、こういうことになっておりまして、大体刑法犯としては横ばいの状態でございますが、特別法犯は非常にふえておる状況になっております。この特別法犯の中で一番幅広くふえておりますのは、交通違反等の件数でありまして、これが非常に多いように考えられます。これはやはり日本の狭い道路に即した交通の制度がまだ不十分なのではないか、従って、こういうような交通違反の件数がはなはだしく増加するようなことのないように考慮して参る必要があると考えますので、これらの点につきましても十分措置いたしたい、かように考えます。
  109. 三田村武夫

    三田委員長 ただいまの法務大臣の御答弁及び御説明、了承いたしましたが、私もその統計の内容は承知しておるのであります。しかし、いずれにいたしましても、警察の門をくぐり検察の手に渡るということは、肉体的、精神的に未成熟な少年時代に、これは看過しがたい問題でありますから、この点も含めて、十分な御検討と対策の御考究あらんことを重ねて申し上げておきます。  次に文部当局の御所見を伺いたいのでありますが、文部大臣の御出席がありませんから、稻葉文部政務次官の御意見を伺います。
  110. 稻葉修

    ○稻葉政府委員 文部省といたしましては、社会教育の面から、また学校教育の面から、この問題はきわめて重視いたしておる次第でございます。  社会教育関係における不良化防止対策といたしましては、予算はきわめて少うございますけれども、こういう犯罪の起る原因たる社会環境の浄化ということから、映画対策費——優秀映画を選定してこれを無償配布することであるとか、音楽、演劇を地方に巡回させるとかいうことをやっており、また、家庭の環境をよくするために、婦人教育を露視しまして、婦人学級の拡充強化並びに指導者の研修等に努めて参っている次第でございます。予算は五百万円くらいのものでありますが、今後これを増大しまして、ますます強化したい。さらに青年自身の環境の問題もありますけれども、その強化の対策といたしましては、団体運動の健全な育成をはかり、市民教養を高めるために巡回文庫を実施しており、また、スポーツ、教育キャンプの野外活動等の普及奨励に努めておる次第でございます。本年度の予算におきましては、スポーツ関係については三千万円、教育キャンプについては三百万円を計上した次第でございます。  以上が社会教育関係における青少年の不良化防止対策の実態でございますけれども、今後、こういう点について、委員長の要請もあります通り、さらに施策を強化し、予算の増大をはかって参るつもりでございます。  さらに、青少年が不良化し、今日のような犯罪の激増を見るということの原因の重大な点は、学校教育における制度の改革等とも相待って、今日学校教育において道徳教育が割合に軽視せられているような傾向が見受けられるのでございまして、戦前・戦中のような軍事教育的な道徳教育はどうかと思いますけれども、そういうことにならないように、しかも社会人として健全な常識を持つように、初等中等教育における教科目の改訂等については今日具体案を作成中でございますので、これができますれば、中教審の答申等とも相待って、学校教育課程の改変をして、道徳教育をもっとしっかりやるという方向に参りたいと存ずるのであります。今日、学校制度の改革と相待って、教科目につきましても、道徳教育を軽視して——なるべく自由に伸び伸びと子供を育てるということはけっこうでありますけれども、少しその方向が誤まっているようなこともございますので、これらの点については、法務当局から出されました青少年犯罪の実態、その原因等とも十分にらみ合せまして、万遺憾なきを期したいと、かたく決意しておる次等であります。  以上文部大臣の所見ではありませんけれども、同様に考えておりますことを申し上げたわけであります。
  111. 三田村武夫

    三田委員長 ただいまのは了承いたしましたが、重ねて政府に要望いたしておきます。委員長として言葉に語弊があるかもしれませんが、率直に申しますならば、稻葉政務次官が御説明になりましたようなそういう施策は、私も了承しております。さらに、法律によって設けられた内閣の青少年問題協議会なるものの活動も了承しております。しかしながら、この活動があるにかかわらず、逐年少年犯罪が増加していくということは、まことに解しがたい。これは、言葉に語弊があるかもしれませんが、ともすると、こういう施策というものは、行政的、形式的に流れやすいのであります。それでは意味がないのでありますから、一つ厳重に、根本的にこの問題の対策を御検討願いたいということを御要望申し上げておきます。  次に、いわゆる暴力犯罪についてお尋ねいたします。  御承知のごとく、岸総理は、新しいスローガンとして三悪追放を掲げ、その中で暴力追放ということを大きく主張しておりますが、いわゆる暴力団の横行が善良なる民衆の平和な社会生活に大きな脅威を与え、民主的秩序の中に嫌悪すべき害毒を流していることは申すまでもないことであります。国民の基本人権を擁護し、平和な社会秩序に守るために、このような脅威と害悪を一帰することは、刑事政策の面から見ても、検察行政の面から考えても重要なことであります。従って、当委員会においても、毎国会、この問題に重要な関心を払い、政府当局の善処と対策を要望してきたのでありますが、遺憾ながら、暴力団的事犯は少年罪と同様に逐年増加の傾向を示しておるのであります。  警察庁の資料によりますと、これに特にいわゆる暴力団事件として調査したものでありますが、殺人、強盗、強姦、傷害、脅迫、暴行などの罪名で検挙した暴力団事件の検挙人員は、二十七年には二千四百五十人であったものが、二十八年には一躍一万一千百七十五人となり、二十九年三万四千四百十九人、三十年五万五千七百八十三人、三十一年には八万二千七十四人となっており、二十七年を一〇〇としてその増加率を調べてみますと、三十年は二二七七%で約二十三倍、三十一年は三十三倍となっております。これを法務省刑事局の資料によって見ますと、同種事件検察庁受理人員は、二十七年十二万一千九百二十四人、二十八年十二万五千二百四十九人、二十九年十四万七百六十一人、三十年十八万五千四百三十一人、三十一年二十万四千五百十六人と、驚くべき数に上っております。この法務省の統計の中には、いわゆる暴力団関係以外の刑法犯も含まれておりますが、いずれにいたしましても驚くべき傾向であります。  検察、警察両当局の取締りが厳重になったから検挙人員が激増したと見る見方もできないことはありませんが、それなら逐年増加していく傾向も納得がいかないのであります。この暴力団横行の問題についても、政治全体の面にどこか欠陥があるのか、刑事政策、検察、警察行政の面に欠陥があるのか、いずれにいたしましても放任しがたい問題であると思われます。最高検当局においては、この暴力事犯対策としては特別立法の必要を説いておるようでありますが、法務事務当局においてはこの特別立法に慎重な態度であるようにも聞いております。この間の事情もこの際御説明願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、この暴力団事犯というものをなくすることは絶対的な国民的要請でありますから、今後どのような対策ないし方針をお考えになっておられるか法務当局並びに警察当局の御所見と対策をこの際お尋ねいたしておきたいと思います。
  112. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘の通り、暴力事犯の受理件数は非常に急激に激増いたしております。数年前に比較いたしますと、最近約十倍に達しておるという状態でございますが、これは、一面において、今委員長もおっしゃられましたように、取締りの強化を最近極力やっておりますので、それがために検挙件数が非常に急激にふえておるということも確かにあるわけでございます。かつて麻薬群件のごときは徹底的な検挙をいたしまして、非常に急激に検挙件数がふえましたが、その後数年これを続けて参りますうちに、だんだん麻薬事犯というものがなくなって参りました。暴力事犯につきましても、私どもとしては、ぜひ、麻薬取締りを強化してその根を断って近い状態にまで参りましたのと同じように、その検挙を警察当局と連携をいたしまして十分に遂行いたしまして、暴力の根をまず根絶をする、こういうことにいたしたいと考えておるのでございます。実は、かつて最高検におきまして、暴力事犯取締りの立法措置について、いろいろ要点を拾いまして、こういう改正をしたらどうだろうかという議がありました。自来、法務省内の刑事関係の専門家の間におきまして、いろいろその点については考究を重ねてきておるのでありますが、いまだ何人も十分納得するような適当な成案を得ないでおる次第であります。私どもといたしましては今後もこの点につきまして一そう事務当局とも協議をいたしまして、われわれといたしましては、考え方としては、委員長が今結論としておっしゃられたように、暴力事犯の徹底的一掃を期することが治安確保の上において最も重要であると思います。その考え方においては全く同感でございます。極力その目的を果すために力を注いで参りたいと考えます。
  113. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 暴力事犯の徹底的取締りにつきましては、警察といたしましては、かねてこの点に努力をいたしておるのでございますが、特に、昨年の夏以来この問題に対処いたしまして、事犯の性格にかんがみまして、これは一時的な取締りであってはならない、長期継続的なものでなければならないという態度をとりまして今回に至っておるのでございます。先ほど委員長からお話もありましたように、中年の衆力団事犯の検挙の数字が従前に比しまして飛躍的に増加いたしておりますゆえんのものも、昨年の夏以来警察といたしましてこの暴力団事犯の検挙に徹底的な強い態度をもって臨んだ証左であろうと思うのでございますが、今申します通り、この種の問題に対処しましては、一時的に取り締っただけでは、警察の取締りの手がゆるめばまた頭をもたげてくるというのが従来のわれわれの経験に徴して明らかなるところであります。そこで、私どもといたしましては、長期継続的に根気ずくでこれをやっていく、相手がほんとうにしつこい警察の取締りで音を上げるというところまで追い詰めていきたい、かように考えておるのでございます。民主主義下の社会におきまして、国民の権利と自由に対して暴力をもってこれを侵すという者は完全に一掃しなければならぬという強い信念のもとに、全警察力をあげてこの問題と取り組んで参りたい、かように考えておるのでございます。  それにつきましては、国民の各位も、自分の周囲から暴力を一掃するという強い態度をもってわれわれ警察の取締りに協力していただきたいということを私どもかねがね思っておるのでございます。いわゆる被害者の方々が後難をおそれて泣き寝入りをするというようなことが、えてして暴力団の勢力を強からしめておった一つの原因になっておろうかと思うのでありまして、被害を受けた方が、いかに小さい被害であっても、勇気をもってわれわれ警察の方に申告をしていただく、そうしてわれわれが取締りをする端緒を得られるように御協力を願うということがきわめて大平ではなかろうかと思いまして、国民の各位に警察のこの暴力取締りに対する御協力をお願いいたしておるような次第でございます。同時に、われわれはまたそれと並行して考えなければならぬことは、従来の例に徴しても、いわゆる被害者の方々が後難をおそれるということは、確かに警察の被害者に対する保護の面に欠くるところがあったということになろうかと思いますので、そうした面はわれわれ警察としましても十分に反省をいたしまして、被害者の方の保護ということにも十分配慮いたして参りたい、かように考えておるのでございます。  現行取締り法令が十分であるかどうかというような点につきましても、いろいろと論議があるのでございますが、先ほど法務大臣からもお話がありましたように、そうした問題につきましては、法務当局において慎重に御検討願っておるのでございますが、私ども警察といたしましては、現在与えられている法令のもとにおきまして、現行法令を十分に活用いたしまして、暴力事犯の徹底的な取締りに当って参りたい、かように考えておる次第でございます。
  114. 三田村武夫

    三田委員長 先ほど法務大臣、法務当局にお尋ねいたしました青少年犯罪の問題に対して、何か新しい御方針か対策がありましたら、この際御意見を伺っておきたいと思います。
  115. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 少年非行の趨勢につきまして、先ほど委員長より詳細お示しがあったのでございますが、全くその通りでありまして、私ども警察といたしましても、この次代を背負う少年の方々の中から多くの犯罪少年を出す、また問題を起しそうないわゆる虞犯少年が多数おるということは、これはきわめて憂慮すべき問題でございます。かねがね、こうした少年非行、あるいは問題を起しそうな少年を対象として、私どもの部門におきましては、少年警察という部門を設けまして、この問題に対処いたして参っておるのでございます。少年非行が非常にふえております原因が那辺にあるかということになって参りますと、これはきわめて複雑ないろいろな要因があろうかと思いますが、何と申しましても、戦後道義が頽廃したということ、青少年を取り巻く社会的環境がきわめて悪いということ、あるいはまた不良出版物、あるいはヒロポンだパチンコだといったような、少年を不良化する誘因となるものが彼らの周囲に山積しておる。そういう社会的に悪い環境の中に少年が育っておるということは、何としましても大きな原因になろうかと思いますので、これはひとり警察の力をもってしては解決のできない問題でありますので、かねがね、文教、厚生等、少年保護の面あるいは少年教育の面を担当せられる各機関と私ども緊密に連絡をとりまして、また、先ほどお話の出ました青少年対策協議会の御意見等も十分に尊重いたしまして、これら各少年保護関係の機関と緊密に連絡をとりまして少年非行の防止に努めると同時に、問題少年を早期に発見して、いわゆる補導を加えていく、罪に陥る一歩手前においてこれを善導していくということに力をいたしておるのでございます。検挙の前にまず補導ということを少年警察のモットーといたしまして努力をいたしておるような次第でございます。今後とも、関係各方面と緊密に連絡をいたしまして、警察は警察の分野において可能な限りこの少年非行の問題につきまして善処して参りたい、かように考える次第でございます。
  116. 中村梅吉

    中村国務大臣 基本的な考え方といたしましては先ほど申し上げた通りでございますが、なお、法務省の所管といたしましては、現行の少年法の運営並びにその実態等につきましても目下いろいろ再検討を加えておりますので、できるだけ現在の運営の実情にかんがみまして適切な方法を生み出したい、かように考えております。
  117. 三田村武夫

    三田委員長 神近君。
  118. 神近市子

    ○神近委員 今長官もおっしゃっていましたけれども、青少年の育っていく環境として今非常に日本は悪い環境だということは、これは外国人の書いたものや何かでも拝見しております。その環境の悪いことの一つは、やはり売春業だったと思うのです。いつか警察庁にお尋ねしたときに、自動車犯罪あるいは凶悪犯罪の青少年の犯罪がもう全部遊興費ほしさということが出てくるのは、作ってつけておおきになるのですかと私はお尋ねしましたら、実情だとおっしゃっている。新聞に出る事件でもあれがついていないことはないのです。それで、この間の売春防止法が通る国会のときには、全国の婦人たちはあの弊害が一番子供たちを毒していると考えたと私は信じております。今あの法律ができまして、地方にいきますと、相当みんな熱意を持って、これを遂行しよう、来年までに備えよう、予備取締りをしようということを努力しているいい方々はたくさんいるわけですけれど、中央がちっとも熱意をお示しにならない。一体どういう御方針でおやりになるのか、私ども手をあげて待っているような状態だということがあるのでございます。この間そのことも売春対策審議会でもって問題になって、閣議でどこもこれを喜んでお引き受けにならない、厚生省ではなかろうかということで、この間新聞で厚生大臣が主管というようにおきまりになったように言うけれど、あれは厚生省だけでは何ともらちがあかない問題がたくさんあると思うのです。やはり法務大臣なりあるいは法務関係の方方の強力な御協力がないと、私はうまくいかないと思っています。  今さしあたっての問題は、転廃業をしてもらうということが一番大事なことなんで、私どもは、その点では、ちっともあの人たちを憎んでいるのでなく、何とかうまく転廃業ができないかというので、私どもの党内にも委員会を作りまして、自民党にもお作りになったようですけれども、対策をいろいろお世話しているのですけれども、それを、やはり、厚生省と法務省と、あるいはある程度のところは大蔵省も御協力を願って、金融面か何かで協力していただくということは、一体お考えになっていないのでしょうか。国会の方々の御様子を見ましても、男の方方はなかなかこの問題がおわかりにならないのです。私はそういう悪声を放ちたくないのですけれども、黙って見ているのですけれども、どうにも浸透しないで、この政策はあべこべに逆押しされそうな状態になっていると私は見ておるのです。この前予算のことで法務大臣にお願いもいたしましたけれども、この際この政策の遂行を二つ強力に厚生大臣とあるいは大蔵省あたりにお当りになってやっていただくということができないものかどうか。  それから、もう一つは、この間矯正処分に関する法律案がとうとう見送りということになったのであります。それで、審議会でもこれはずいぶん長いこと議論をいたしましたけれども、とうとう今国会には頭を出すこともできなかった。来年の実施を迎えてどうしても矯正院が要るということになっているのですけれども、来年の四月までに、かりに半年かかるとおっしゃるのですけれども、あれはさしあたりどこかを使ってその手続を始めるということになるのでしょうか。矯正院あるいは矯正所ですか、そういうものができるまでは、法律は中休みにして待っているということになっているのでしょうか。地方に行きますと、その問題をすごく聞かれるのでございます。私どもにも返答のしようがございませんのですが、大体どういうように法務省ではお考えになっているのですか。  その二点、御協力を全面的にいただきたいということに対する御返事と、それから、法律ができなかったために予算がとれない、予算がとれないために矯正院ができないということに対する御対策とを聞かせていただきたい。
  119. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもといたしましては、例の保安処分に関する立法措置が今国会でできなかったことをまことに遺憾に思っておるのであります。ただ、この問題は、御承知の通り、諸外国にも立法例があまりありませんし、他の法令との関係上、法理論士の関係等がからみ合いまして、法制審議会の小委員会にも御苦労願いまして、非常に熱心にその立案に当ってきたのでありますが、ついに適当な結論を得ず、今国会に提案の運びにならないことになってしまったのであります。そこで、私、最近事務当局——従来の刑事訴訟法等の既設の法令関係を持った立案をしようという方向で今まできたわけでありますが、そのために既設の法令との訴訟手続上の関係その他が理論上もまた実際上もむずかしい問題を多く生みまして、暗礁に乗り上ってしまっておるような状態でありますので、私といたしましては、今度はそういうことでなしに、理想の保安処分はどうすればいいかということを白紙の上に書きおろして、たとい既設の刑事訴訟法等の法律がありましても、それとは無関係に理想のものを一つ作ってみたらどうか、それならば非常に考えも起しやすいし、また書きおろしやすいということになるだろうから、そういう方向で急速にやってみるようにということを、今事務当局に指示をいたしておるような次第であります。考え方といたしましては、今国会には提案の運びにはついになりませんでしたけれども、たとい国会が終りましても、来国会まで手をこまぬいて休むというのではなしに、引き続きこの研究を急速に進めまして、できますことならば、法制審議会の議に付し、その答申をいただきまして、本質的には、今国会に提案をいたして継続審査になったと同じような結論を得て、そして大蔵当局とも財政的な措置については協議をいたしまして、昭和三十三年四月から刑罰法規の部分が実施されるまでに間に合うようにいたしたい、かように考えております。  なお、もう一点、基本的な点といたしましては、既設の矯正施設を兼用するということはあまり望ましくありませんので、ぜひそれは避けて、四月からの刑罰法規の実施に、保安処分の規定の処置が講ぜられるように運びたい考えで、現在その熱意を持って考えておる次第でございます。  なお、冒頭にお話のございました厚生省との関係につきましては、本年四月から施行されました部分につきましては、厚生省当局ともわれわれはできるだけ協力をいたしまして、なかなか困難な問題であることは間違いありませんが、できるだけ成果の上るように最善を尽していきたいと考えております。
  120. 神近市子

    ○神近委員 きのうあたりの新聞で、法務大臣と牧野前法務大臣がお立ち会いで、新宿の問題がちょっと出ていたようでございます。あそこを株式組織にしようということは、私どもも前から聞いていたのですが、同じようなケースがどこにも出てきているのです。たとえば、吉原でございますとか、あるいは佐世保でございますとか、あるいは大阪に行ってみましたら、飛田というところが何かいろいろ問題をかかえておるようです。あの場合に、この間大蔵省からの融資が幾らかというようなことが出ていたようですけれども、健全施設であれば、たとえば観光設備や、何かであれば、幾らか融資ができるというような御構想でも持っていらっしゃるのですか。それを一点伺いたい。
  121. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは、政府自体が融資するということは、予算関係もあり、制度上の関係もありますから、不可能かと思います。ただ、一定の地区が全然方向を変えまして健全な施設をして大きなビルディングを建てる、そういうことになりますと、建設省の許可建設物ということになります場合には、これは政府がそういう許可の面において協力をしなければなりませんでしょうし、また、こういう大転換をいたしまするのに、それがために資金が必要であるという場合には、それぞれの金融機関に政府としては品をきくとかあっせんの道を講ずるとかいうことはあり得ると思うのでありますが、政府自体が面接融資の道というのはないのではないだろうか、また、それまでにしなくとも、ああいう施設のありますところは、思い切って転換をすれば、利用価値が相当ある場所が多いわけでありますから、できるだけ自力史生を慫慂するようにいたしたい。また、この点は、御承知の通り世論の喚起ということが非常に必要で、政府のお世話だけでもって全国のこういう施設が改善をされていくということは、量から言いましても、実際から言いましても、なかなかむずかしいことでありますから、私どもといたしましては、まず第一には、売春防止対策審議会委員の方々にも先般も全国をお歩きを願いましたが、今後あらゆる方法で世論の喚起に努めまして、世論によって、それらの人たちが自発的に松葉の工夫をする、また有志の中にそのあっせんをしてあげる人が出てくる、こういう方向に持っていくべく努力をしておる次第でございます。
  122. 神近市子

    ○神近委員 お忙しいそうですが、もう一点。こういう問題が起っているのです。たとえば、私立の病院ですが、赤線があったそばに性病病院があって、それが赤線がなくなればそこが廃棄されるというので、失業の問題が起ってきているのです。これは、前に行政措置要綱に、そういう施設は国が買い上げてやると親切に規定してあったのを、おつぶしになって、それで親切なところはみんな抜いてしまって、あとの行政措置要綱が出てきたものですから、私どももほんとうに困っているのですけれども、小さなそういうような私設病院であれば、あと内科なり普通の住宅の病院として変えていただく。大きな、吉原病院のことが問題になったのですけれども、私のところに今来ているのはそんな大きな病院ではありません。私立でございます。そういうものを、国がたとえば幾らかの補助を出して買い上げる。私はこれは自治体の問題だと思っておりますけれども、そういうものを進めて下さることを今の内閣の対策協議会でやっていただくことができるかどうかということを一点お伺いいたしたい。
  123. 中村梅吉

    中村国務大臣 それらの具体的な問題につきましては、この売春防止法の施行を活発にやっていこうということになりますと、具体的な問題についてはいろいろなことが起ってくると思います。そこで、先般政府といたしましては、閣議の席上でも十分協議をいたしまして、厚生大臣がその主管大臣として今後推進をする、それには所要の方法を急速に関係者省が集まりまして相談をしてするということになっておりますので、それらの機構ができましたならば、そこでいろいろ具体的な問題が、このケースについてはこういうような方法がよかろうと、いろいろな問題が出てくると思います。なお、私どもの考え方といたしましては、せっかく売春防止対策審議会委員の方々が非常に熱心に御心配をいただいておりますので、この方々にもそうした推進については大いに関係をしてやっていただくようなことにいたしたいということを実は厚生大臣等とも下話をいたしておりまする次第で、できるだけ急速に活発な推進が厚生大臣中心に行われるようにいたしたいということを私も念願いたしておる次第であります。     —————————————
  124. 三田村武夫

    三田委員長 この際私よりごあいさつ申し上げます。  本日をもって第二十六国会は終了いたしますが、百数十日にわたる長期間、法務委員会は重要法案の審査並びに各方面にわたる国政調査について活動を続けて参りました。この間、与党、野党とも互いに協力し合い、委員会活動が適正に行われましたことは、ひとえに委員各位の御協力に負うものと存じます。委員長より厚く感謝の意を表します。なお、本委員会の活動に御協力下さいました関係各機関の諸君につきましても、厚く感謝いたします。  それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後一時十五分散会      ————◇—————