○中川(董)
政府委員 その点、
中村委員と全く同様に考えておりまして、民事関係の争いはそれぞれ民事
裁判所の解決するところでありますので、それはそれでいいのであります。われわれ、
刑法犯罪を防止し、これを検挙する
立場にある者といたしましては、居住について申せば、平穏公然に居住しているところに対しまして下意に人が入りてくることになれば住居侵入になります。御指摘の住居侵入の
事件につきましては、地元
警察におきましては、住居侵入いたしました二人を現行犯として逮捕しております。現行犯として逮捕いたしまして、所轄東京地方検察庁に送致しております。検察庁の方でもお調べになられまして、勾留の必要ありと検事さんの方でもなされまして、裁判官の方に勾留請求をなさったようでありますけれ
ども、勾留が却下になった、こういう事情等に基いて、お話のように釈放されたような事情のあることも事実でございますが、これはいろいろ裁判官の御判断でありますので、証拠穏滅その他の点がなかったということであろうと思いますけれ
ども、われわれ、
中村委員の御指摘のごとく、民事
事件としては民事
裁判所の
判決にゆだねる、平穏公然に住んでおる居住に対しては、それに対して侵す者があれば住居侵入である、平穏公然に所有しているものを侵すと窃盗である、強奪
行為があれば強盗である、これは全く中学で習った
法律と同様ですが、そういった点については、そういうように現行犯の場合は現行犯として処置する。たまたま不幸にして現行犯を
警察として認知し得ない事情もあります。すべての
犯罪を現行犯で検挙することは不可能でありまして、事後に
犯罪を発見する場合ももちろんありますので、事後に発見した場合は、事後
捜査として、あるいは逮捕する必要があれば通常逮捕状の請求をして逮捕するということにならざるを得ないと思うのでありますが、現行犯を認知する場合に、やるときは現行犯として処置いたしたいと思います。現にこの
事件もそのように処置いたしておるのであります。ところが、すべて現行犯としてでき得なかったことも事実であります。そういういろいろな
事件を本件で調べたのでありますが、現行犯で
警察官が認知し得る状態にありました場合には現行犯として処置いたしております。ところが、この中に暴行傷害ということがあるのでございますが、
警察はそこをパトロールしておったかもしれませんが、そのうちの中まで入っていなかった。そのうちの中におきまして、ある
関係者がある
関係者をなぐった、こういう容疑の事案が発生いたしたのであります。これは現行犯で認知できない状態でありましたので、事後にこれを認知いたしまして、暴行傷害の疑いをもちまして、この
事件は検察庁に送付いたしたのであります。それで、問題の要点は、すべての
犯罪をすべて現行犯で認知するということになれば、しょっちゅう人のうちまで入っていなければならぬということになるので、これは不可能と思いますが、現行犯として認知し得る状態の場合は現行犯として処置すべきものだ、その点は同様に考えております。事後に
犯罪の発生が発覚した場合におきましては、内容によると思いますけれ
ども、内容によって、逮捕するにあらずんば事案の真相を発見できない場合は強制処分の手続をとって、逮捕までしなくても事案の真相発見に必要と思量される場合におきましては、それぞれそれに基いての
捜査手続を進めていく、こういうことが当然の処置であろうと思うのであります。今回の場合につきまして、その当然の処置を一生懸命やっておったかどうかということが問題の要点になろうと思うのでありますが、われわれ、いろいろ現在までの
調査の状況につきましては、現行犯で逮捕した分もございますし、事後に発見いたしまして、任意で事情を聞いて調書を作って検察庁に送致した分もございますので、一応大体やっておると認められる。ただし、そのやり方の詳細な点につきましては、さらに
研究を要する点もあろうかと思いますので、今
調査を続行しておる次第でございます。