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1957-04-16 第26回国会 衆議院 法務委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十六日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 三田村武夫君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 長井  源君 理事 福井 盛太君    理事 横井 太郎君 理事 猪俣 浩三君    理事 菊地養之輔君       阿左美廣治君    小島 徹三君       田中 角榮君    中山 マサ君       林   博君    古島 義英君       松永  東君    山口 好一君       横川 重次君    佐竹 晴記君       坂本 泰良君    古屋 貞雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣         外 務 大 臣 岸  信介君         法 務 大 臣 中 村梅吉君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才蔵君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      關根 小郷君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局総         務課長)    海部 安昌君         判     事         (最高裁判所事         務総局家庭局         長)      菰淵 鋭夫君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 四月十六日  委員世耕弘一君、戸塚九一郎君及び馬場元治君  辞任につき、その補欠として中山マサ君、阿左  美慶治君及び田中角榮君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員阿左美廣治君、田中角榮君及び中山マサ君  辞任につき、その補欠として戸塚九一郎君、馬  場元治君及び世耕弘一君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  判事補職権特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一一〇号)  裁判所法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一一号)  法務行政及び人権擁護に関する件     —————————————
  2. 三田村武夫

    三田委員長 これより法務委員会を開会いたします。  判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題とします。  両案に対する質疑はすでに終了いたしておりますので、これより討論に入ります。  討論通告がありませんので、に採決いたします。両法案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  3. 三田村武夫

    三田委員長 起立総員。よって、両法案は原案の通り可決いたしました。  なお、ただいま議決せられました両法案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三田村武夫

    三田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  本日午前の会議はこの程度にとどめ、午後本会議散会後に開会することとし、それまで暫時休憩いたします。     午前十一時十七分休憩      ————◇—————     午後四時十三分開議
  5. 三田村武夫

    三田委員長 午前に引き続き会議を開きます。  法務行政及び人権擁護に関して調査を進めます。  発言の通告がありますので、順次これを許します。佐竹晴記
  6. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 私は、さきに外務大臣を通じてなされましたレムニッツァー琉球列島民政長官の招請によりまして沖縄に参り、現地実情を視察いたしました。レムニッツァー長官はわれわれを賓客として迎えられまして、礼儀を尽し、きわめて友好的気分をもって接待これ努められましたことは感謝の至りでありました。また、長官は、三日間にわたってみずから親しく各所を案内されまして、実地について種々説明をなされましたが、なかんずく、第二日目には、琉球足政府において現地民政官代理ギリース氏をして琉球におけるアメリカ民政府の機構並びに施政状況をつぶさに説明されました。この説明は、要するに、アメリカ沖縄に対する施政が適正妥当に行われていて業績をあげておるということを表明したものでありました。私は、これを承わって、その説明事項に関する限りはその通りであると感じました。ところが、その第二日目にわれわれが立法院を訪問いたしました際に、伊佐浜住民がわれわれ一行を待ち受けておりまして、自動車からおりまするわれわれ一行の手を握って放さず、土地問題について泣いて訴える場面がございました。また、午後三時から三時間われわれに与えられた自由時間においては、立法院座談会を開きましたところ、政党各派土地問題の団体、教職員の団体労働組合那覇市政関係者等、各階層代表者が多数参集いたしまして、種々意見の開陳がございましたが、その中には、アメリカ沖縄施策に対し相当な批判がございまして、また幾多の不満不服が訴えられ、進んでわれわれに対し熾烈なる要望が提出されましたことは、看過することのできないことであると存じました。そのうち最も注目すべきものは、一、施政権返還要求、二、土地問題に関する四原則の貫徹、三、土地取り上げにからまる人権じゅうりん訴え、四、労務者に対する人種的賃金差別の撤廃、五、日本本土への渡航自由の要請、六、在外、在日資権の保障、七、沖縄施政に対する弾圧の排除、八、本土より沖縄に対する救援の要望等々でありました。ところが、これらの諸問題のすべてを当委員会において取り上げて論議することは許されませんが、法規条約解釈を中心とする施政権返還要求の問題、土地問題に関する法的解釈並びに人権問題等については、当然当委員会において討議すべき問題であると考えまして、過日来しばしば岸総理外相の御出席を求めたのでありまするが、公務御多忙のために遷延今日に至りましたのはまことに遺憾であります。本日は幸い御出席をいただきましたので、この際沖縄住民の血の叫びをとくとお聞き取りを願いたいと同時に、政府所信をも承わりたいものと思います。ことに、総理は近く渡米されるということであります。沖縄住民施政権返還要求は、下なる懇請ではなくて、そこには相当の根拠のあること、並びに、沖縄問題の根幹をなす土地問題ほ、それ自体重大な人権問題であるのみならず、その土地取り上げにからまる武力行使暴行暴虐に至っては、天人ともに許さないものがありまして、世界注視の的であることを十分にお心にとめてもらいまして、沖縄住民のこの叫びアメリカ当局との折衝の資に供せられまするように切望いたしたいと存じます。  さて、今回私たちが沖縄を視察して最も強く感じたことは、あらゆる階層の方々が期せずして一致団結して施政権返還要求いたしておりますること、一日も早く祖国日本に帰りたいと絶叫いたしておりますることでありました。このことは、血を同じゅうする同胞の必然的な要求であるのはもちろんでありますが、この施政権返還要求叫びが今日のごとく強く盛り上りましたゆえんのものは、土地問題に対するアメリカ不当措置並びに土地取り上げにからまりまするアメリカの非人道的弾圧政策に対する反発が大きな原因をなしておるということも否定することができないものと思います。  そこで、私は、まず土地問題に関する沖縄住民叫び取り上げ政府所信を伺いつつ、施政権返還要求の問題に及びたいと考えます。  沖縄土地問題は実に深刻でございます。何しろ、沖縄は、土地狭小のために人口の密度がきわめて高くて、一平方マイルに一千百四十二人というありさまで、米国の二十二倍に当ります。農地はわずかに六万一千八百七十三エーカーしかございませんのに、農業が沖縄経済の主体をなしておりまして、総戸数の過半数に当る七万二千六百一戸が農家でございます。農家一戸当りの耕地面積が平均わずかに〇・八エーカーであって、アメリカの実に二百七十分の一にしか当りません。このような状態にある沖縄農民からどしどし垣用地として土地取り上げるのでありますから、問題がいかに深刻であるかがわかります。ここに軍用地問題の重要性があり、沖縄における政治経済、社会その他の問題もこの問題の解決いかんにかかっているし、本問題の解決住民政治的動向を左右し、ひいては日米間の諸問題に影響を及ぼすことは当然であります。沖縄には軍用地問題対策実践本部なるものが設けられてありまして、かつてガンジーが英国のインド植民地化政策に対して常に生命を賭して反対したように、鉄の団結をもって、あくまで国土を死守しなければならないと絶叫いたしております。この状況を見て、いかにアメリカ施政権下にありとはいえ、沖縄住民日本人であります。土地はその日本人所有であります。その土地取り上げが重大問題化しておりまする以上、日本政府としても対岸の火災視しおくわけには参らないと存じます。政府はこれにいかに対処せられようといたしまするか、まず大まかなところを承わりたいと存じます。
  7. 岸信介

    岸国務大臣 沖縄につきましては、言うまでもなく、われわれは、沖縄住民は本来の日本人であり、われわれの同胞であり、また沖縄につきましてはわれわれは潜在三権を持っておるという立場から、沖縄における施政権アメリカの手にゆだねられておりまするけれども沖縄におけるところの各種の問題に関しましては、私ども当然重大なる関心を持って、あらゆる点からこの沖縄問題というものを扱っていかなければならぬと考えております。今御指摘になりました土地問題につきまして、沖縄住民がいわゆる土地に関する四原則というものを実現するという悲痛なる叫びに対しましては、私どもも、これをアメリカ側十分通者をし、アメリカ側反省を求め、この要望がかなえられるように考慮を求めております。  ただ、遺憾なことは、言うまでもなく、沖縄における施政権条約アメリカの手にゆだねられておりまして、このステイタスのもとにおきましては、いわゆるアメリカがその施政権行使として行うところの事柄は——これは、私ども、それがどうしても適当でないと思う場合においては、今言ったように、そこの住民要望に対して、これをアメリカ側通告して、アメリカ側反省を求め、アメリカ側考慮を促すということはいたしますけれども、いわゆる施政権内容いかんの問題を処理する法的権利としてはアメリカがこれを持っておるというところに、私ども非常な遺憾があると思うのであります。従って、そういう問題を、真にわれわれの立場から、また、われわれの同胞としてのこの要望というものを、日本内地における政治と同じようにわれわれがそれを実現しようとするならば、どうしても施政権日本返還してもらうということが実現しなければならぬ。この問題につきましても、御承知通り国会の議決もあることでありますし、幾たびかアメリカ側と、その点について日本側の強い要望向う通告をいたしておるのでありますけれども、今日までそれが実現しておらない。ただ、アメリカ側としては、できるだけ今私どもがとってきておる処置に順応して、そうして沖縄施政というものをできるだけ現地住民の福祉に沿うように努力をしておるということをアメ可カ側としては言っており、また、アメリカ側では、そういう考えのもとに、今回国会あるいは民間の人をあそこへ招聘して、現実施政状況を視察してもらって、そうしてこれに対しての批判を受けるという態度をとっておるわけでありまして、私は、今後といえどもこの根本の施政権返還の問題についても強く努力を続けるとともに、また、沖縄現実施政について、同胞の非常な苦しみとかあるいはその悲痛なる要望というものについて、できるだけこれが実現されるようにアメリカ側とも話を進めていくということは、今後ともやらなければならぬ、全体としてはかよう考えております。
  8. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 沖縄土地問題が御承知のごとく紛糾いたしますのは、どこに原因があるかということを考えてみなければならぬと思います。基本的なことは、講和条約発効後にもかかわりませず、あたかもアメリカが占領中の軍政下におけると同様に、土地取り上げについて何の法的基準も示さず、その補償の道も開かずに独裁的にやつてきたということが重大なる原因ではないかと思うのであります。問題紛糾にかんがみまして、アメリカも多少考えるところがあったと見えまして、本年二月二十三日に市会第一六四号を出しましたが、それまでは、何の法的根拠も設けませず、全く圧政的行動に終始いたしておったのであります。今回やっと布告を出しましたが、しかも、それがやはり一方的布告であります。せっかく民政府を設け、立法院を置いてあるにもかかわりませず、その民意を代表する立法院には一切諮っていないのであります。これはあまりにも非民主的であり、沖縄問題解決のためにいい結果をもたらすものとは思われません。岸総理外相といたしましては、沖縄問題をいま少しく民主的に運営してもらうようにアメリカ当局に御要望せられてはいかがかと思いますが、その点いかにお考えでございましょうか。
  9. 岸信介

    岸国務大臣 御承知のように、米国は、平和条約第三条の規定によってあそこの施政権を持っておるという立場から、この施政権をいかに行使していくか、立法、行政、司法をいかに行なっていくかということは、実は米国側一つ考えによってきまることでございますけれども、言うまでもなく、われわれは自由主義の国であり民主主義の国であるということは、日本アメリカも同じ立場をとっておる国であります。従って、今佐竹委員お話のように、その施政がすべて民主的なルールによって円満に施行されることは、日米両国のために最も望ましいことであると考えられます。従って、いろいろな沖縄問題に関しての話し合いにつきましては、根本的な施政権返還の問題について、できるだけ実情に合い、民主的な方法によって円満に行われることをわれわれが希望することは当然であろうと思うのであります。従いまして、そういう心組みで十分沖縄問題を取り扱うと同時に、アメリカ側との折衝におきましてもそういう心持でやって参りたい、かように思っております。
  10. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 沖縄土地問題解決のために、いわゆる四原則なるものが立てられておりますが、それは、申し上げるまでもなく、第一が適正補償要望、第二が毎年払いの要望一括払い絶対反対、第三が新規収用反対、未使用地解放要求、第四が損害賠償の促進と法規の改廃の要望というのでありまして、これはまことに当然な、また穏当な要求であると考えます。この穏当な要求を掲げてアメリカ当局要望いたしておるのでありますが、しかし、容易にこれが行われません。かえって、過般プライス勧告が行われるに至りまして、住民の意思は無視されようといたしました。がぜん問題は重大化いたしております。政府はこの沖縄住民要望する四原則をいかにお考えでございましょうか。また、プライス勧告をどのようにお考えでございましょうか、御所見を承わっておきたいと思います。
  11. 岸信介

    岸国務大臣 土地に関するいわゆる四原則は、沖縄住民土地についての強い要望でありまして、私どももその要望をできるだけ実現してもらうようにアメリカ側にも従来その要望通告し、その考慮を求めております。プライス勧告は、御承知通り、これは現地及びワシントンにおきまして、この問題に関してアメリカ側一つ調査団によって調査され、その結論として国会において採択せられたものであります。従って、アメリカ国会における手続によってこれが決定をされたものでありまして、ただ、遺憾なことは、その内容沖縄住民要望に沿うておらないというところに私は問題があるのであろうと思います。ただ、言うまでもなく、アメリカ側の内部においてそういう手続のもとに国会において採択をされたこの報告につきましては、やはりアメリカ側としては国内の政治上これが非常に権威のあるものとされて、われわれの従来の折衝におきましても、軍においても国会が採択しておる報告は尊重しなければならないということを申しておるのでありまして、その内容が今申すように現地住民要望を満足せしめておらないというところに、いろいろな問題が起ってくる要因があるように考えております。
  12. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ここで、特に問題となりますのは、例の地代一括払いの問題でありますが、これは収用土地の全価格に相当する補償を一括して支払うというのでありますので、これによってアメリカ側に無期限に使用する権利を与え、沖縄住民永久権利を失ったにひとしい結果となるというので、絶対反対が叫ばれておるのであります。ただいま申し上げました市会第一六四号によれば、a、終結不動産権の項におきまして、土地所有権は地主に保有のまま収用と前置きはございますが、しかし、その内容は、アメリカ当該土地の必要を認めないことを決定しその終結すなわち放棄を土地所有者通告するまで存続する権利をいう、とございます。結局アメリカ側永久権利を与えたと解釈されなければならぬと思いますが、当局はいかにお考えでございましょうか。
  13. 石井通則

    石井(通)政府委員 ただいまの市会使用権を設定しておるものと考えるのでございますが、ただ、その期限につきましては、アメリカが不要だとするときまで使うということで、いわゆる永久のものであるということではないだろうと思うのであります。ただ、期限が定められていないという点でいろいろ問題があるわけでございますけれどもアメリカ側説明によりますと、たとえば、一括払いで十六年くらいの地代を払いまして、十年間使用したあと不要になった場合におきましては、その残余の六年分は返還する必要がないというように説明いたしておるような次第でございます。ただ、日本の法令の方から比較いたしますとどうかと思いますが、向うでそういう市会を出し得るという権能がございますので、このような点につきましては、いろいろアメリカ側と具体的に話し合って、もしこれに対する現地住民要望がありますれば、できるだけ現地住民要望がいれられるように善処することが適当ではないか、かように考えております。
  14. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この市会にもあります通り向うさんが放棄するまで存続する権利だというのでありますから、放棄しない限りいつまでも向うが持つことができるというわけです。これでは地元民が不安に考えるのは当然のことであります。しかし、地元民がこれに対して何とももう折衝しよう力がありません。どうしても祖国日本日本政府の力を借りるよりほかにはないと、すがっておるのであります。今まで、日本政府は、ややともいたしますと、沖縄施政についてとやかく言うことはアメリカ施政権に干渉するものであるかのごとく考えたかもわかりませんが、大へん消極的でございまして、ほんとうの住民を救うの道を開いておられないのであります。いま少しく積極的になっていただくことを私は要望いたします。現在非常に問題化しております例の久志村の辺野占地区接収でありますが、これは、前述市会の出される以前、すなわち昨年の十二月行われた七十八万坪の取り上げの件でありますが、この接収については、アメリカ側は、久志住民から喜んで承諾を得たと宣伝をいたしますし、また放送もいたしております。私ども現地に参りましたときもその通り聞かされましたが、事実は大へんこれと相違いたしておるようであります。現に、久志村長比嘉敬浩氏が一九五六年十二月十二日那覇市の玉白旅館において述べた証言によれば、村長拒否権行使してきたが、ついにどうにもならない圧制のもとに承諾せざるを得なかったことを明らかにいたしております。この久志辺野古地区の問題はいかにも何でもない平穏無事であるかのごとくに伝えられておりますが、実際そうではないのであります。当局はどのようにお感じでございましょうか。
  15. 石井通則

    石井(通)政府委員 辺野古のあの収用につきましては、私ども、具体的に細部にわたって現地において調査する権能がございませんので、詳しく承知いたしておりませんが、従来はその村の土地は割合に肥沃でない土地でありました関係から、アメリカ側折衝に対しまして、いやいやながらであるか、あるいは、まあある部分は喜んでというようなあれか、そういう点は十分よく把握しておりませんけれども、おおむねアメリカの申し出に対しまして了承して土地を提供したと聞いておるのでございます。昨年の十二月十二日にそういう弾圧のもとに承諾したというようなただいまのお話がございましたが、この点につきましては具体的に承知いたしておりません。なおできるだけそういう事情につきましては今後情報をつかみたいと思っております。
  16. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この久志辺野古地区接収契約書は、和文のものが広く発表せられておりますが、英文のものは何ゆえか秘密に付せられました。村長といえどもこれを秘して見せなかったのであります。ところが、今回私は幸いにこの英文を手に入れました。これによると、六条に、アメリカが必要とする場合は単純封土権以下一切の権利を取得することができる旨を規定せられておりまして、その処分、譲渡の権限も認められております。これは、かつて日本治外法権が認められたときのその治外法権を有する土地権利、これは最近まで築地にもその例が残っていて、非常に日本においても悩んだ難問題であったということでありますが、それにほとんどひとしい権利が与えられているではないかと思うのであります。政府といたしましては、この英文契約書和文契約書とを対比して御検討なさいましたことがございましょうか。
  17. 石井通則

    石井(通)政府委員 和文の方は見ましたが、英文の方は比較して検討するところまで至っておりません。なお英文も探しまして検討いたしたいと思いますが従来、この問題につきましては、直接われわれ南方連絡事務局の方には具体的にいろいろ希望も出ておりませんで、ただ、新聞その他の情報によっていろいろ議論されていることは知っておりますが、なお英文とも比較して検討いたしたいと思っております。
  18. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 どういうわけか英文契約書秘密になさる。これはようやっと私は今度手に入れたのでございますが、南方連絡事務局等においてもこれは十分御検討なさっておらなければならぬはずでございます。あまりにうかつではないかと思います。沖縄問題に対してあまりに冷たさを現わして余りがあるではないかと思う。もう少し沖縄住民の血の叫び一つ身につけて取り扱っていただきたいと私は考えます。  私は、進んでこの際、アメリカ沖縄土地をいかにして接収したかについて、沖縄住民の血涙をしぼっての訴え岸総理外相のお耳に入れまして、善処をお願いしなければなりません。  まず伊佐浜住民訴えから申し上げます。伊佐浜代表澤砥安良氏の陳情書によりますと、アメリカ軍接収しようとする土地沖縄においても最優秀な十三万坪の水田地帯で四カ部落土地であります、特に伊佐浜五十四戸はこの地域以外に一坪の耕地もなく、周辺すべて軍用地で、この土地を失えば餓死する以外にないのであります云々と前提いたしまして、この土地取り上げにつき代替地育作料、三カ年間の食糧補給等要求も退けられ、特別措置として一人一日米二合二百日分を支給する、不満があれば実力を行使する、強制接収をする、強制接収したら補償も援助も全部やらない、はいか、いいえか、どっちか返事せよと、代表者である村長に宣言されました云々、ついに海岸の湿地帯千三百坪の埋立地に立ちのきを承諾いたしました云々、だがあまりに無理なので婦人の決起となり、朝日新聞が取り上げ、勇気百倍、政治家も正しいことが言えるようになりました、しかしアメリカ反省することなく、武力をもって土地の略奪一行為をやりました、三月十一日のことです、A地区で明日から工事を開始すると知らされました、A地区はもうすでに水田に石や土を入れて耕作できなくなっておりますのであきらめることにしておりましたら、十一日重機で地ならしを始め、水稲や大豆を栽培しているB地区に二百メートルも侵入しました、これを見た婦人たちが昨夜の伝達と違うから工事をやめるよう申し入れましたがやめないので、全伊佐浜住民に知らせ、百二、三十人が集まり中止を申し入れましたが、聞かないので、機械の前にすわり込みました、すると五十五名の完全武装兵が出動し、住民の前で銃に着剣し、弾薬を装備し、住民を包囲しました、なおひるむ様子のない住民に包囲を圧縮し、子供を背負う婦人や老人を床尾板で押しやり、足でける、突き倒す、なぐる等の暴行を加え、七十二歳の伊波與一老人は数カ所の打撲傷を負い失神しました、このようにして沖縄住民は米軍の非人道的な行為により圧迫されております、これも祖国から切り離されて太平洋の孤児となったからであります、沖縄のすべての悩みも苦しみも祖国復帰によって根本的に解決されます、と悲痛な叫びを上げております。  われわれ木上にある者は講和条約によりましてどうにか安定いたしましたが、沖縄は今なおその苦しみを続けております。沖縄住民だけを戦争の犠牲者としてそのまま放置しておくことが、われわれ本土国民としてどうしてできましょうか。沖縄住民がもし日本に復帰しておれば、このような残虐な目に会うことはなかったであろうという悲痛な叫びを上げておりますのを聞いてまことに涙なきを得ないのであります。日本政府としてもアメリカに対し適当な外交折衝を行うべきはもちろんであると同時に、また、日本政府自身といたしましても、この犠牲者を救う道を講ずべきであると考えますが、いかがでございましょう。
  19. 岸信介

    岸国務大臣 沖縄における今日の施政が、戦争が済んで十幾年にもなって、なおわれわれが回想してみて占領下の状況と同じように考えられ、また、ある場合におきましては、ずいぶん、沖縄住民の人々が悲痛な言葉で示しているように、望ましくないような施政が行われておるということにつきましては、言うまでもなく、根本は、施政権をわれわれが一日も早く返還してもらって、そして日本施政下に置くということが、あらゆる問題を解決する根本的の問題であろうと思います。しかし、それにつきましては、いろいろ従来の交渉にかんがみましても、いわゆる極東における緊迫状態というものに関してのアメリカ側の見解というものが、今日の極東情勢というものの分析において、なお今日においても沖縄における施政権を保持しておる必要があるというふうな見解であるようであります。しかし、その点については、さらに沖縄自体を、いわゆる日本の安全保障の立場から、あるいは極東におけるところのアメリカ全体の政策の立場から、これを軍事基地としてかりになお使用し、これを軍事基地として用いなければならぬといたしましても、施政権というものをいつまでもアメリカが持っておるということにつきましては、私は、いろいろの点において大いに考慮しなければならぬ、かように考えておりますから、その根本の問題について、アメリカ側と、従来よりも一そう進んで積極的に日本側考えを述べ、これについてのアメリカ側考慮を求めるような折衝をすべきことは、今後していかなければならぬ、かように考えております。しかし、それができる前に、それではそういう事態を全然放置しておいていいのかという問題になりますと、先ほど来いろいろ南方事務局の方から答弁をいたしましたように、われわれの非常に遺憾なことは、沖縄におけるところの事情というものが、あらゆる面において正確に把握することのできないような事態にあるわけであります。こういうことにつきましては、われわれはやはり、たとい施政権をまだ全部返してもらうことができなくとも、少くともこの沖縄におけるところの正確なる事情を把握して、そうして沖縄住民の意向に沿うようにアメリカ施政が行われていくように、将来の問題として何らかの方途を講ずる余地がある、かように思っておるわけでありまして、それらのことにつきましては、今後アメリカ側との折衝において、十分、われわれの同胞であるところの沖縄住民の地位というものをできるだけ民主的に、またこれらの人々の福祉を擁護するという見地から、日本政府としてもアメリカ側折衝して努力すべきものである、かように考えております。
  20. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ついで、伊江島住民訴えを申し上げたいと思います。  本年三月十二日付伊江村真謝区長の本山正次外三人からの軍用土地接収に関する陳情書を私どもは受け取りました。これによれば、土地接収問題の起源は一九五三年七月十九日にさかのぼる当時米兵から測量させてくれと依頼を受け、不安はないというのでこれに応じ、終了後捺印をしいられたので、信頼して捺印したら、後日その捺印が立ちのきに同意した書類であったことがわかり、区民は憤慨しました、その後だんだん立ちのきを要求されるようになり、約束違反だ、一種の詐欺行為だと悲憤慷慨するようになりました云々、一九五五年三月十一日には三百余名の完全武装した米軍が現われ、有無を言わさず家屋を焼き払い、ブルドーザーで家屋を破壊し始めたので、全区民がその阻止方を懇願したものの、聞き入れられず、ますます傍若無人にふるまう非人道的、非道義的米軍の行為にただぼう然たらざるを得なくなり、死んだまねをした並里清二さん(六十歳)を動物扱いそのままで毛布にくるみ、なわでくくり、ガィディア中佐に暴行を加えられ逮捕されました、その有様を見ていた婦女たちもたまりかねて泣きながら阻止懇願したら、この島は米軍の血によってあぶなった島であり、君たちは三等国民だから黙れと言って相手にしない、米兵士がピストルを突きつけたので、恐怖のあまり区民はただおろおろと逃げまもるのみで、なすべきすべを知らなかった、島袋三助老人は腰を抜かしうなだれていると、米兵士が寄ってきて両王を合させ、金銭を与え、その場をフィルムに収め、それを土地接収賛成の古伝に供し、逃げ回る区民をつかまえてきて、みな無理矢理に拇印で捺印させられ、あたかも土地接収に承諾賛成治ているかのごとくふるまった、耕地甘いやおうなく接収され、水タンクは破壊され、九十八名中五十八名までが病人で栄養失調状態に陥り(保健所医師鑑定)、その悲惨さは極度に達した云々、各地で乞食せざるを得なくなり、アメリカの非道を訴えて回った、しかし米軍は毫も反省の色がないばかりか、一九五六年七月には、ガソリンをふっかけて焼き、農作物はもちろん、山林原野など約百十五万円の損害を与えています、その非道を米軍に訴え調査してもらい、賠償の約束をしたが、いまだに未支払いのままになっている、区民は背に腹はかえられず農耕を続行していたら、三十二名が大挙逮捕され、三ヵ月の懲役、一カ年の執行猶予の言い渡しを受けた、また今村堅男(十七才)も解禁時間である午前六時にイモ掘り中逮捕され、懲役六ヵ月の実刑を科せられたと述べ、しかもその裁判は、右今村少年以外はすべて弁護人もつけず、米兵が証人になって即決でどしどし懲役に処せられておりますことを具体的にるる記述いたしております。  東条内閣といえどもこんなことはやりませんでした。そうして、その裁判の記録によれば、土地アメリカ所有になっているとの前提に立ち、例のたま拾いも窃盗であるときめつけております。これはあまりにも間違った独断的解釈であり、また、その弾圧行動ははなはだしい人権問題であると思います。これはおそらく一線における下級軍人の専断行為で、アメリカの本心ではないと私は思いますがこの人権問題を中村法務大臣は何とお考えでございましょうか。この間の相馬ケ原の事件と対比御考察を願いたいと思います。世界に誇る民主主義国としてのアメリカが、こういったような態度で一体いいものであるか、私どもは胸深く考えさせられるものがございます。また、岸総理外相におかれましては、アメリカへおいでになりましたときは、ワシントン政府にこういった実情を一切訴えてもらって、外交折衝によって適当な措置を講じていただく必要があると考えますると同時に、もしアメリカにして反省しなければ、社会、人道問題として国連に訴える等の方法によっても、その不当不正を是正させ、悲劇の沖縄住民を救うべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
  21. 岸信介

    岸国務大臣 先ほど来申し上げております通り沖縄の現在の地位というものにつきましては、日本政府としても、こういう状況にいつまでもほうっておくことは、第一に、日本民族であるところの沖縄住民同胞たる沖縄住民に相済まぬことであり、国民感情としても、そういうことをほうっておくことのできないことは言うを待ちませんし、また、日米両国の正常なる、また恒久的な友好関係を深めていく上から申しましても、これは望ましくない事態であると思います。従って、この沖縄の地位の改善につきましては、アメリカの首脳部と会談する際には、十分に私は話し合いでこれを改善するような方向に持っていきたい、こう考えております。具体的の今の事例につきましては、私、初めて耳にすることでございますので、とくと調査のできるだけは調査をいたし、また十分胸にとどめて、今申し上げるように、沖縄の地位の改善について努力をいたさなければならぬ、かように考えております。
  22. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 沖縄の現状は、なるほど領土については日本に潜在主権があると申しながら、そこに日本民族が生活をしておるのでございますから、今御指摘のように、いろいろむずかしい問題が多々あることを、私どももかねがね考えております。人権擁護の問題につきましても、施政権アメリカ側にある現段階におきましては、かつて牧野法務大臣の時代に、在外の邦人に対しては外交保護権があるのだ、こういうことを言われたことがありますが、なるほど、基本権としてはそういうことは当然あるわけであると思います。しかしながら、それを行使するにつきましては、なかなか容易ならない事情にあると思います。従いまして、両国間の今後の外交関係を通しまして、できるだけ人権問題のないように、日本側としても努力をして参るべきであるかように考えます。外交保護権の問題につきましてもたとえば財産の無償没収でありますとか、特にはなはだしい問題について、国家の基本的権利として考えられるのでありますから、今後、これらに対しては、現状の沖縄の問題全体につきまして、ただいま総理大臣からもお答えがありましたように、われわれとして十分研究をいたしまして最善の道を考えたい、かように考えております。
  23. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 総理が時間の関係でお急ぎのようでありますから、なるべく端折って申し上げたいと思います。  第三に具志区民の合言葉をお耳に入れておきたいと思います。那覇市の具志区民より祖国九千万同胞訴えるとの陳情書を受けました。これにはかようにあります。「私達具志区民は戦争前の人口一二七六名で一戸当り一、八〇〇坪の農耕地をもっており全部落の所有耕地約六十万坪を有し地質は全沖縄でも屈指の良質と言われ戦前の産糖高は(黒糖百斤詰)で、七、〇〇〇樽を産し農産物を那覇及び遠く阪神地方に輸出して経済の安定した生活を営んでおりました。戦後全耕地の九〇%を軍用地にとられ一九五二年には部落の立退きが那覇航空隊から通達して来たのであります。」と前提し、一九五三年十二月五日には、こうごうたるブルドーザーの音とともに、装甲車十四、五台、機銃四、五丁、機関砲十数門、催涙弾、手榴弾まで用意し、兵士の自動小銃には実弾が装填され、着剣して住民に迫り、銃床でなぐる、軍靴でけるなぞあらゆる暴行をあえてし、武力行使によってあけ渡しを強行しました、住民は今でもその日を記念して、忘れるな十二月五日と合言葉のごとく唱えております旨が訴えられております。  沖縄問題を解決しようとするならば、この沖縄住民の恨み骨髄に徹する反発精神をまず解消しなければ問題にならないと私は考えます。これに対する御所見を重ねて承わることはいたしますまい。  この際、私は、ただいま申し上げました三つの陳情書を全文お訴えしたいのでありますが、ことに裁判所における問答等も詳しくしたためられてありまして、まことに参考になる点が多いので、全部申し上げたいのですが、時間がないので、これを一つ委員長のお許しを得て速記録におとどめ願いたいと思います。おとどめ願えますならば、私はきょう朗読することを省略いたします。  しかし、これを総理アメリカにおいでになるまでに一応お目通しを願いまして、血の涙をもってつづるこれら沖縄住民の声を十分頭の中に入れていただくよう、この際要請いたします。  さて、そこで、最後に沖縄住民の熾烈なる要求であります祖国復帰、施政権返還要求に関してお尋ねをいたしたいと思います。先ほども総理大臣からのお言葉にあります通り、要するに問題は、結局施政権返還要求の問題だ、日本施政権が返るならばこの問題を解決することができる、従って、結局その問題に落ちつくという趣旨の御答弁でありましたが、この際この施政権返還要求というものは単なる懇請であるべきか、また何らか法律上の根拠をもって要求すべきであるかという点について、政府のお考えを承わっておきたいと思います。平和条約第三条には、アメリカ沖縄を信託統治にする提案をした場合には日本はこれに同意する、信託統治が提案され可決されるまでは沖縄施政権アメリカが持つと規定いたしております。アメリカ沖縄を信託統治にする提案をいたします場合の規定であって、アメリカは必ずしも信託統治にする提案をしなければならないという趣旨ではないものと考えられます。信託統治にせずに、日本施政権返還することも自由であると考えられますが、これはいかがでございましょう。
  24. 岸信介

    岸国務大臣 この平和条約第三条の解釈につきましては、今お述べになりましたように、その本文においては、アメリカが信託統治にする場合に日本はこれに同意するという、そうして、そのことがきまるまでは施政権を持っているということでございまして、この条約のできた当時をいろいろと回想してみますと、一応この条文には期限ははっきりつけてありませんから、いつまでということは言えませんけれども、必ずこれを信託統治に付さなければならぬということを規定しているもでないことは言うを待ちませんし、また、この中に含んでいるところの地域についても、奄美大島は日本に完全に返還をいたしておりますし、将来も、われわれは、この地域における施政権は当然日本返還さるべきである、また返還を促進するように努力していくのが政府として当然やらなければならぬことである、かように考えております。
  25. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 時間が迫りますので、あと一問だけ、これを三つばかりに区切ってお尋ねをしようとは思っておりましたが、時間を省略する意味において一括申し上げて御所見を承わっておきたいと思います。  平和条約の第三条後段の、信託統治が提案され可決されるまで沖縄施政権アメリカが持つというのは、アメリカ沖縄を信託統治に付することを予想し、信託統治が可決されるまで、一時的、暫定的にアメリカ施政権を持つという趣旨を明らかにしたものでありますことは言うまでもないと思います。アメリカがいつまでも長く施政権を行うという趣旨でないことは当然であると思います。ところが、今日アメリカ沖縄を信託統治に付する腹もなければ、また、法律上から見ても、事実上から申し上げましても、信託統治にすることは不能といわなければならぬと思います。なぜなら、信託統治に付するには国連憲章に従わなければなりませんが、同憲章七十六条の基本目的は沖縄には当てはまりませんし、また、沖縄は同七十七条の信託統治に付すべき地域にも該当いたしませんし、さらに、日本は今回国連に加盟いたしましたので、同憲章七十八条によって、国連加盟国となった地域には適用されません上に、もし沖縄を戦略的信託統治にしようといたしますならば、安保理事国の一員であるソ連の同意を得られななければなりませんが、拒否権行使されることは火を見るよりも明らかでありますし、また、アメリカも、信託統治にしてわざわざ安保理事国を含む信託統治理事会の定期検査を受けるようなことを甘受しようはずはないのであります。そうだといたしますならば、平和条約三条の、信託統治に付するまでアメリカ施政権を持つという暫定的条項は、その根拠を失っているといわなければなりません。不能の条件を付せられた条文と化しているものといわなければなりません。不能の条件を付した条文が効力を持ちませんことは、公法、私法を通ずる原則であります。よって、今日においては、沖縄の基地については本土並みに日米安全保障条約及び行政協定を適用するかいなかを新たに協定すべき段階になっており、基地以外の一般住民に対する施政権はすみやかに日本に返すべきであると考えます。政府は強くこれをアメリカに主張すべきであると思いまするが、いかがでございましょう。
  26. 岸信介

    岸国務大臣 平和条約第三条並びに国連憲章の今おあげになりました条文等との対比における法律解釈につきましては、今佐竹委員お話しになりましたような御意見も、大いに私ども首肯すべき点が多いと思うのでありますが、また、反対的な法律的な解釈も立ち得るのでございまして、この解釈法律的にどうするかということは、なお一そう私としても研究をいたしたいと思います。しかし、法律的に申しましても、今佐竹委員が御指摘になったような議論も立つごとでございますし、また、この条約ができました当時と、今日の日本立場というものも非常に違っております。特に、国連に加盟しておるという一つの事実から見ましても違っておりますし、従いまして、また将来の日米関係というものを考えてみましても、沖縄の地位を今まで通りにしておくことが日米両国にとって決して長い友好関係を増進することにならないという点から考えましても、私は、沖縄の地位につきましては、十分腹を打ちあけて、日本国民の考えておる通り要望しておる国民の気持をアメリカの首脳部に十分に納得せしめ、これをアメリカ側において十分に考慮を求めるということがこの際必要である、かように考えておりまして、できるだけそういう努力をいたしたい考えでございます。
  27. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 私は、いま少しく掘り下げてお尋ねをしたい点がございますけれども、お約束の時間もありますから、これをもって終りますが、どうか、アメリカヘお越しの節は、血の涙をもって訴えておりまする沖縄住民のほんとうの訴えを露骨にお伝え願いまして、沖縄問題全体の解決のために強く御要求せられますよう切にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  28. 三田村武夫

    三田委員長 先ほど佐竹委員から御要求のありました、資料を速記録に載せることは、先例によって処理いたすことにいたします。次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれをもって散会いたします。     午後五時二十四分散会