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1957-04-16 第26回国会 衆議院 法務委員会 第26号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十二年四月十六日(火曜日) 午前十一時十六分
開議
出席委員
委員長
三田村武夫
君
理事
池田 清志君
理事
椎名 隆君
理事
長井 源君
理事
福井
盛太
君
理事
横井 太郎君
理事
猪俣 浩三君
理事
菊地養
之輔君
阿左美廣治
君 小島 徹三君
田中
角榮
君
中山
マサ
君 林 博君 古島 義英君 松永 東君 山口 好一君 横川 重次君
佐竹
晴記
君 坂本
泰良
君 古屋 貞雄君
出席国務大臣
内閣総理大臣
外 務 大 臣 岸 信介君 法 務 大 臣 中
村梅吉
君
出席政府委員
法制局長官
林 修三君
総理府事務官
(
南方連絡事務
局長)
石井
通則君
法務事務官
(
人権擁護局
長) 鈴木 才蔵君
委員外
の
出席者
判 事 (
最高裁判所事
務総局総務局
長) 關根 小郷君 判 事 (
最高裁判所事
務総局総務局総
務課長
) 海部
安昌
君 判 事 (
最高裁判所事
務総局家庭局
長)
菰淵
鋭夫君 専 門 員 小木 貞一君
—————————————
四月十六日
委員世耕弘一
君、
戸塚九一郎
君及び
馬場元治
君
辞任
につき、その
補欠
として
中山マサ
君、阿左
美慶治
君及び
田中角榮
君が
議長
の
指名
で
委員
に 選任された。 同日
委員阿左美廣治
君、
田中角榮
君及び
中山マサ
君
辞任
につき、その
補欠
として
戸塚九一郎
君、馬
場元治
君及び
世耕弘一
君が
議長
の
指名
で
委員
に 選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
判事補
の
職権
の
特例等
に関する
法律
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
第一一〇号)
裁判所法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 一一一号)
法務行政
及び
人権擁護
に関する件
—————————————
三田村武夫
1
○
三田
村
委員長
これより
法務委員会
を開会いたします。
判事補
の
職権
の
特例等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
及び
裁判所法
の一部を改正する
法律案
、以上両案を
一括議題
とします。 両案に対する質疑はすでに終了いたしておりますので、これより
討論
に入ります。
討論
の
通告
がありませんので、に採決いたします。両
法案
に賛成の諸君の
起立
を求めます。 〔
総員起立
〕
三田村武夫
2
○
三田
村
委員長
起立総員
。よって、両
法案
は原案の
通り
可決いたしました。 なお、ただいま議決せられました両
法案
の
委員会報告書
の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じます。これに御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
三田村武夫
3
○
三田
村
委員長
御
異議
なければ、さよう決定いたします。 本日午前の
会議
はこの程度にとどめ、午後本
会議散会
後に開会することとし、それまで暫時休憩いたします。 午前十一時十七分休憩 ————◇————— 午後四時十三分
開議
三田村武夫
4
○
三田
村
委員長
午前に引き続き
会議
を開きます。
法務行政
及び
人権擁護
に関して
調査
を進めます。 発言の
通告
がありますので、順次これを許します。
佐竹晴記
君
佐竹晴記
5
○
佐竹
(晴)
委員
私は、さきに
外務大臣
を通じてなされました
レムニッツァー琉球列島民政長官
の招請によりまして
沖縄
に参り、
現地
の
実情
を視察いたしました。
レムニッツァー長官
はわれわれを賓客として迎えられまして、礼儀を尽し、きわめて
友好的気分
をもって接待これ努められましたことは感謝の至りでありました。また、
長官
は、三日間にわたってみずから親しく各所を案内されまして、実地について
種々説明
をなされましたが、なかんずく、第二日目には、
琉球足政府
において
現地民政官代理ギリース
氏をして
琉球
における
アメリカ民政府
の機構並びに
施政
の
状況
をつぶさに
説明
されました。この
説明
は、要するに、
アメリカ
の
沖縄
に対する
施政
が適正妥当に行われていて業績をあげておるということを表明したものでありました。私は、これを承わって、その
説明事項
に関する限りはその
通り
であると感じました。ところが、その第二日目にわれわれが
立法院
を訪問いたしました際に、
伊佐浜
の
住民
がわれわれ
一行
を待ち受けておりまして、自動車からおりまするわれわれ
一行
の手を握って放さず、
土地
問題について泣いて
訴え
る場面がございました。また、午後三時から三時間われわれに与えられた自由時間においては、
立法院
の
座談会
を開きましたところ、
政党各派
、
土地
問題の
団体
、教職員の
団体
、
労働組合
、
那覇市政関係者等
、各
階層
の
代表者
が多数参集いたしまして、種々意見の開陳がございましたが、その中には、
アメリカ
の
沖縄施策
に対し相当な
批判
がございまして、また幾多の不満不服が
訴え
られ、進んでわれわれに対し熾烈なる
要望
が提出されましたことは、看過することのできないことであると存じました。そのうち最も注目すべきものは、一、
施政権返還
の
要求
、二、
土地
問題に関する四
原則
の貫徹、三、
土地取り上げ
にからまる
人権じゅうりん
の
訴え
、四、労務者に対する
人種的賃金差別
の撤廃、五、
日本本土
への渡航自由の要請、六、在外、
在日資権
の保障、七、
沖縄施政
に対する
弾圧
の排除、八、
本土
より
沖縄
に対する救援の
要望
等々でありました。ところが、これらの諸問題のすべてを当
委員会
において
取り上げ
て論議することは許されませんが、
法規
や
条約
の
解釈
を中心とする
施政権返還要求
の問題、
土地
問題に関する
法的解釈
並びに
人権問題等
については、当然当
委員会
において討議すべき問題であると
考え
まして、過日来しばしば
岸総理
兼
外相
の御
出席
を求めたのでありまするが、公務御多忙のために遷延今日に至りましたのはまことに遺憾であります。本日は幸い御
出席
をいただきましたので、この際
沖縄住民
の血の
叫び
をとくとお聞き取りを願いたいと同時に、
政府
の
所信
をも承わりたいものと思います。ことに、
総理
は近く渡米されるということであります。
沖縄住民
の
施政権返還要求
は、下なる懇請ではなくて、そこには相当の
根拠
のあること、並びに、
沖縄
問題の根幹をなす
土地
問題ほ、それ自体重大な人権問題であるのみならず、その
土地取り上げ
にからまる
武力行使
、
暴行暴虐
に至っては、
天人とも
に許さないものがありまして、
世界注視
の的であることを十分にお心にとめてもらいまして、
沖縄住民
のこの
叫び
を
アメリカ当局
との
折衝
の資に供せられまするように切望いたしたいと存じます。 さて、今回私たちが
沖縄
を視察して最も強く感じたことは、あらゆる
階層
の方々が期せずして一致団結して
施政権返還
を
要求
いたしておりますること、一日も早く
祖国日本
に帰りたいと絶叫いたしておりますることでありました。このことは、血を同じ
ゅうする同胞
の必然的な
要求
であるのはもちろんでありますが、この
施政権返還
の
要求
の
叫び
が今日のごとく強く盛り上りましたゆえんのものは、
土地
問題に対する
アメリカ
の
不当措置
並びに
土地取り上げ
にからまりまする
アメリカ
の非
人道的弾圧政策
に対する反発が大きな
原因
をなしておるということも否定することができないものと思います。 そこで、私は、まず
土地
問題に関する
沖縄住民
の
叫び
を
取り上げ
、
政府
の
所信
を伺いつつ、
施政権返還要求
の問題に及びたいと
考え
ます。
沖縄
の
土地
問題は実に深刻でございます。何しろ、
沖縄
は、
土地狭小
のために人口の密度がきわめて高くて、一
平方マイル
に一千百四十二人というありさまで、
米国
の二十二倍に当ります。農地はわずかに六万一千八百七十三エーカーしかございませんのに、農業が
沖縄経済
の主体をなしておりまして、総戸数の過半数に当る七万二千六百一戸が
農家
でございます。
農家
一戸当りの
耕地面積
が平均わずかに〇・八エーカーであって、
アメリカ
の実に二百七十分の一にしか当りません。このような状態にある
沖縄農民
からどしどし
垣用地
として
土地
を
取り上げ
るのでありますから、問題がいかに深刻であるかがわかります。ここに
軍用地
問題の
重要性
があり、
沖縄
における
政治
、
経済
、社会その他の問題もこの問題の
解決いかん
にかかっているし、本問題の
解決
が
住民
の
政治的動向
を左右し、ひいては
日米
間の諸問題に影響を及ぼすことは当然であります。
沖縄
には
軍用地
問題対策実践本部なるものが設けられてありまして、かつてガンジーが英国の
インド植民地化政策
に対して常に生命を賭して
反対
したように、鉄の団結をもって、あくまで国土を死守しなければならないと絶叫いたしております。この
状況
を見て、いかに
アメリカ
の
施政権下
にありとはいえ、
沖縄住民
は
日本人
であります。
土地
はその
日本人
の
所有
であります。その
土地取り上げ
が重大問題化しておりまする以上、
日本政府
としても対岸の火災視しおくわけには参らないと存じます。
政府
はこれにいかに対処せられようといたしまするか、まず大まかなところを承わりたいと存じます。
岸信介
6
○
岸国務大臣
沖縄
につきましては、言うまでもなく、われわれは、
沖縄
の
住民
は本来の
日本人
であり、われわれの
同胞
であり、また
沖縄
につきましてはわれわれは
潜在三権
を持っておるという
立場
から、
沖縄
における
施政権
が
アメリカ
の手にゆだねられておりまするけれ
ども
、
沖縄
におけるところの各種の問題に関しましては、私
ども
当然重大なる関心を持って、あらゆる点からこの
沖縄
問題というものを扱っていかなければならぬと
考え
ております。今御指摘になりました
土地
問題につきまして、
沖縄住民
がいわゆる
土地
に関する四
原則
というものを実現するという悲痛なる
叫び
に対しましては、私
ども
も、これを
アメリカ側
に
十分通者
をし、
アメリカ側
の
反省
を求め、この
要望
がかなえられるように
考慮
を求めております。 ただ、遺憾なことは、言うまでもなく、
沖縄
における
施政権
が
条約
上
アメリカ
の手にゆだねられておりまして、このステイタスのもとにおきましては、いわゆる
アメリカ
がその
施政権
の
行使
として行うところの事柄は——これは、私
ども
、それがどうしても適当でないと思う場合においては、今言ったように、そこの
住民
の
要望
に対して、これを
アメリカ側
に
通告
して、
アメリカ側
の
反省
を求め、
アメリカ側
の
考慮
を促すということはいたしますけれ
ども
、いわゆる
施政権
の
内容いかん
の問題を処理する
法的権利
としては
アメリカ
がこれを持っておるというところに、私
ども
非常な遺憾があると思うのであります。従って、そういう問題を、真にわれわれの
立場
から、また、われわれの
同胞
としてのこの
要望
というものを、
日本内地
における
政治
と同じようにわれわれがそれを実現しようとするならば、どうしても
施政権
を
日本
に
返還
してもらうということが実現しなければならぬ。この問題につきましても、御
承知
の
通り国会
の議決もあることでありますし、幾たびか
アメリカ側
と、その点について
日本側
の強い
要望
も
向う
に
通告
をいたしておるのでありますけれ
ども
、今日までそれが実現しておらない。ただ、
アメリカ側
としては、できるだけ今私
ども
がとってきておる処置に順応して、そうして
沖縄
の
施政
というものをできるだけ
現地
の
住民
の福祉に沿うように
努力
をしておるということを
アメ可カ側
としては言っており、また、
アメリカ側
では、そういう
考え
のもとに、今回
国会
あるいは民間の人をあそこへ招聘して、
現実
の
施政
の
状況
を視察してもらって、そうしてこれに対しての
批判
を受けるという態度をとっておるわけでありまして、私は、今後といえ
ども
この根本の
施政権返還
の問題についても強く
努力
を続けるとともに、また、
沖縄
の
現実
の
施政
について、
同胞
の非常な苦しみとかあるいはその悲痛なる
要望
というものについて、できるだけこれが実現されるように
アメリカ側
とも話を進めていくということは、今後ともやらなければならぬ、全体として
はかよう
に
考え
ております。
佐竹晴記
7
○
佐竹
(晴)
委員
沖縄
の
土地
問題が御
承知
のごとく紛糾いたしますのは、どこに
原因
があるかということを
考え
てみなければならぬと思います。基本的なことは、
講和条約発効
後にもかかわりませず、あたかも
アメリカ
が占領中の
軍政下
におけると同様に、
土地取り上げ
について何の
法的基準
も示さず、その
補償
の道も開かずに独裁的にやつてきたということが重大なる
原因
ではないかと思うのであります。
問題紛糾
にかんがみまして、
アメリカ
も多少
考え
るところがあったと見えまして、本年二月二十三日に
市会
第一六四号を出しましたが、それまでは、何の
法的根拠
も設けませず、全く
圧政的行動
に終始いたしておったのであります。今回やっと布告を出しましたが、しかも、それがやはり一方的布告であります。せっかく
民政府
を設け、
立法院
を置いてあるにもかかわりませず、その民意を代表する
立法院
には一切諮っていないのであります。これはあまりにも非民主的であり、
沖縄問題解決
のためにいい結果をもたらすものとは思われません。
岸総理
兼
外相
といたしましては、
沖縄
問題をいま少しく民主的に運営してもらうように
アメリカ当局
に御
要望
せられてはいかがかと思いますが、その点いかにお
考え
でございましょうか。
岸信介
8
○
岸国務大臣
御
承知
のように、
米国
は、
平和条約
第三条の規定によってあそこの
施政権
を持っておるという
立場
から、この
施政権
をいかに
行使
していくか、立法、
行政
、司法をいかに行なっていくかということは、実は
米国側
の
一つ
の
考え
によってきまることでございますけれ
ども
、言うまでもなく、われわれは
自由主義
の国であり
民主主義
の国であるということは、
日本
も
アメリカ
も同じ
立場
をとっておる国であります。従って、今
佐竹委員
の
お話
のように、その
施政
がすべて民主的なルールによって円満に施行されることは、
日米両国
のために最も望ましいことであると
考え
られます。従って、いろいろな
沖縄
問題に関しての話し合いにつきましては、根本的な
施政権
の
返還
の問題について、できるだけ
実情
に合い、民主的な方法によって円満に行われることをわれわれが希望することは当然であろうと思うのであります。従いまして、そういう心組みで十分
沖縄
問題を取り扱うと同時に、
アメリカ側
との
折衝
におきましてもそういう心持でやって参りたい、かように思っております。
佐竹晴記
9
○
佐竹
(晴)
委員
沖縄
の
土地問題解決
のために、いわゆる四
原則
なるものが立てられておりますが、それは、申し上げるまでもなく、第一が
適正補償
の
要望
、第二が毎年払いの
要望
、
一括払い
絶対
反対
、第三が
新規収用
に
反対
、未
使用地解放
の
要求
、第四が
損害賠償
の促進と
法規
の改廃の
要望
というのでありまして、これはまことに当然な、また穏当な
要求
であると
考え
ます。この穏当な
要求
を掲げて
アメリカ当局
に
要望
いたしておるのでありますが、しかし、容易にこれが行われません。かえって、過般
プライス勧告
が行われるに至りまして、
住民
の意思は無視されようといたしました。がぜん問題は重大化いたしております。
政府
はこの
沖縄住民
の
要望
する四
原則
をいかにお
考え
でございましょうか。また、
プライス勧告
をどのようにお
考え
でございましょうか、御所見を承わっておきたいと思います。
岸信介
10
○
岸国務大臣
土地
に関するいわゆる四
原則
は、
沖縄住民
の
土地
についての強い
要望
でありまして、私
ども
もその
要望
をできるだけ実現してもらうように
アメリカ側
にも従来その
要望
を
通告
し、その
考慮
を求めております。
プライス勧告
は、御
承知
の
通り
、これは
現地
及びワシントンにおきまして、この問題に関して
アメリカ側
の
一つ
の
調査団
によって
調査
され、その結論として
国会
において採択せられたものであります。従って、
アメリカ
の
国会
における
手続
によってこれが決定をされたものでありまして、ただ、遺憾なことは、その
内容
が
沖縄
現
住民
の
要望
に沿うておらないというところに私は問題があるのであろうと思います。ただ、言うまでもなく、
アメリカ側
の内部においてそういう
手続
のもとに
国会
において採択をされたこの
報告
につきましては、やはり
アメリカ側
としては国内の
政治
上これが非常に権威のあるものとされて、われわれの従来の
折衝
におきましても、軍においても
国会
が採択しておる
報告
は尊重しなければならないということを申しておるのでありまして、その
内容
が今申すように
現地住民
の
要望
を満足せしめておらないというところに、いろいろな問題が起ってくる要因があるように
考え
ております。
佐竹晴記
11
○
佐竹
(晴)
委員
ここで、特に問題となりますのは、例の
地代
の
一括払い
の問題でありますが、これは
収用土地
の全価格に相当する
補償
を一括して支払うというのでありますので、これによって
アメリカ側
に無
期限
に使用する
権利
を与え、
沖縄住民
は
永久
に
権利
を失ったにひとしい結果となるというので、絶対
反対
が叫ばれておるのであります。ただいま申し上げました
市会
第一六四号によれば、a、
終結不動産権
の項におきまして、
土地所有権
は地主に保有のまま
収用
と前置きはございますが、しかし、その
内容
は、
アメリカ
が
当該土地
の必要を認めないことを決定しその
終結
すなわち放棄を
土地所有者
に
通告
するまで存続する
権利
をいう、とございます。結局
アメリカ側
に
永久
の
権利
を与えたと
解釈
されなければならぬと思いますが、
当局
はいかにお
考え
でございましょうか。
石井通則
12
○
石井
(通)
政府委員
ただいまの
市会
は
使用権
を設定しておるものと
考え
るのでございますが、ただ、その
期限
につきましては、
アメリカ
が不要だとするときまで使うということで、いわゆる
永久
のものであるということではないだろうと思うのであります。ただ、
期限
が定められていないという点でいろいろ問題があるわけでございますけれ
ども
、
アメリカ側
の
説明
によりますと、たとえば、
一括払い
で十六年くらいの
地代
を払いまして、十年間使用したあと不要になった場合におきましては、その残余の六年分は
返還
する必要がないというように
説明
いたしておるような次第でございます。ただ、
日本
の法令の方から比較いたしますとどうかと思いますが、
向う
でそういう
市会
を出し得るという
権能
がございますので、このような点につきましては、いろいろ
アメリカ側
と具体的に話し合って、もしこれに対する
現地住民
の
要望
がありますれば、できるだけ
現地住民
の
要望
がいれられるように善処することが適当ではないか、かように
考え
ております。
佐竹晴記
13
○
佐竹
(晴)
委員
この
市会
にもあります
通り
、
向う
さんが放棄するまで存続する
権利
だというのでありますから、放棄しない限りいつまでも
向う
が持つことができるというわけです。これでは
地元民
が不安に
考え
るのは当然のことであります。しかし、
地元民
がこれに対して何とももう
折衝
しよう力がありません。どうしても
祖国日本
の
日本政府
の力を借りるよりほかにはないと、すがっておるのであります。今まで、
日本政府
は、ややともいたしますと、
沖縄
の
施政
についてとやかく言うことは
アメリカ
の
施政権
に干渉するものであるかのごとく
考え
たかもわかりませんが、大へん消極的でございまして、ほんとうの
住民
を救うの道を開いておられないのであります。いま少しく積極的になっていただくことを私は
要望
いたします。現在非常に問題化しております例の
久志
村の
辺野占地区
の
接収
でありますが、これは、
前述市会
の出される以前、すなわち昨年の十二月行われた七十八万坪の
取り上げ
の件でありますが、この
接収
については、
アメリカ側
は、
久志
村
住民
から喜んで承諾を得たと宣伝をいたしますし、また放送もいたしております。私
ども
が
現地
に参りましたときもその
通り
聞かされましたが、事実は大へんこれと相違いたしておるようであります。現に、
久志村長比嘉敬浩
氏が一九五六年十二月十二日
那覇
市の
玉白旅館
において述べた証言によれば、
村長
は
拒否権
を
行使
してきたが、ついにどうにもならない圧制のもとに承諾せざるを得なかったことを明らかにいたしております。この
久志
村
辺野古地区
の問題はいかにも何でもない平穏無事であるかのごとくに伝えられておりますが、実際そうではないのであります。
当局
はどのようにお感じでございましょうか。
石井通則
14
○
石井
(通)
政府委員
辺野古
のあの
収用
につきましては、私
ども
、具体的に細部にわたって
現地
において
調査
する
権能
がございませんので、詳しく
承知
いたしておりませんが、従来はその村の
土地
は割合に肥沃でない
土地
でありました
関係
から、
アメリカ側
の
折衝
に対しまして、いやいやながらであるか、あるいは、まあある部分は喜んでというようなあれか、そういう点は十分よく把握しておりませんけれ
ども
、おおむね
アメリカ
の申し出に対しまして了承して
土地
を提供したと聞いておるのでございます。昨年の十二月十二日にそういう
弾圧
のもとに承諾したというようなただいまの
お話
がございましたが、この点につきましては具体的に
承知
いたしておりません。なおできるだけそういう事情につきましては今後
情報
をつかみたいと思っております。
佐竹晴記
15
○
佐竹
(晴)
委員
この
久志
村
辺野古地区
の
接収
の
契約書
は、
和文
のものが広く発表せられておりますが、
英文
のものは何ゆえか
秘密
に付せられました。
村長
といえ
ども
これを秘して見せなかったのであります。ところが、今回私は幸いにこの
英文
を手に入れました。これによると、六条に、
アメリカ
が必要とする場合は
単純封土権
以下一切の
権利
を取得することができる旨を規定せられておりまして、その処分、譲渡の権限も認められております。これは、かつて
日本
に
治外法権
が認められたときのその
治外法権
を有する
土地
の
権利
、これは最近まで築地にもその例が残っていて、非常に
日本
においても悩んだ難問題であったということでありますが、それにほとんどひとしい
権利
が与えられているではないかと思うのであります。
政府
といたしましては、この
英文
の
契約書
と
和文
の
契約書
とを対比して御検討なさいましたことがございましょうか。
石井通則
16
○
石井
(通)
政府委員
和文
の方は見ましたが、
英文
の方は比較して検討するところまで至っておりません。なお
英文
も探しまして検討いたしたいと思いますが従来、この問題につきましては、直接われわれ
南方連絡事務局
の方には具体的にいろいろ希望も出ておりませんで、ただ、新聞その他の
情報
によっていろいろ議論されていることは知っておりますが、なお
英文
とも比較して検討いたしたいと思っております。
佐竹晴記
17
○
佐竹
(晴)
委員
どういうわけか
英文
の
契約書
を
秘密
になさる。これはようやっと私は今度手に入れたのでございますが、
南方連絡事務局等
においてもこれは十分御検討なさっておらなければならぬはずでございます。あまりにうかつではないかと思います。
沖縄
問題に対してあまりに冷たさを現わして余りがあるではないかと思う。もう少し
沖縄住民
の血の
叫び
を
一つ
身につけて取り扱っていただきたいと私は
考え
ます。 私は、進んでこの際、
アメリカ
が
沖縄
の
土地
をいかにして
接収
したかについて、
沖縄住民
の血涙をしぼっての
訴え
を
岸総理
兼
外相
のお耳に入れまして、善処をお願いしなければなりません。 まず
伊佐浜住民
の
訴え
から申し上げます。
伊佐浜代表澤砥安良
氏の
陳情書
によりますと、
アメリカ軍
の
接収
しようとする
土地
は
沖縄
においても最優秀な十三万坪の
水田地帯
で四
カ部落
の
土地
であります、特に
伊佐浜
五十四戸はこの地域以外に一坪の
耕地
もなく、周辺すべて
軍用地
で、この
土地
を失えば餓死する以外にないのであります
云々
と前提いたしまして、この
土地取り上げ
につき
代替地
、
育作料
、三カ年間の
食糧補給等
の
要求
も退けられ、
特別措置
として一人一
日米
二合二百日分を支給する、不満があれば実力を
行使
する、
強制接収
をする、
強制接収
したら
補償
も援助も全部やらない、はいか、いいえか、どっちか返事せよと、
代表者
である
村長
に宣言されました
云々
、ついに海岸の
湿地帯
千三百坪の
埋立地
に立ちのきを承諾いたしました
云々
、だがあまりに無理なので婦人の決起となり、朝日新聞が
取り上げ
、勇気百倍、
政治家
も正しいことが言えるようになりました、しかし
アメリカ
は
反省
することなく、
武力
をもって
土地
の略奪
一行
為をやりました、三月十一日のことです、A地区で明日から工事を開始すると知らされました、A地区はもうすでに水田に石や土を入れて耕作できなくなっておりますのであきらめることにしておりましたら、十一日重機で地ならしを始め、水稲や大豆を栽培しているB地区に二百メートルも侵入しました、これを見た婦人たちが昨夜の伝達と違うから工事をやめるよう申し入れましたがやめないので、全
伊佐浜住民
に知らせ、百二、三十人が集まり中止を申し入れましたが、聞かないので、機械の前にすわり込みました、すると五十五名の完全武装兵が出動し、
住民
の前で銃に着剣し、弾薬を装備し、
住民
を包囲しました、なおひるむ様子のない
住民
に包囲を圧縮し、子供を背負う婦人や老人を床尾板で押しやり、足でける、突き倒す、なぐる等の暴行を加え、七十二歳の伊波與一老人は数カ所の打撲傷を負い失神しました、このようにして
沖縄住民
は米軍の非人道的な行為により圧迫されております、これも祖国から切り離されて太平洋の孤児となったからであります、
沖縄
のすべての悩みも苦しみも祖国復帰によって根本的に
解決
されます、と悲痛な
叫び
を上げております。 われわれ木上にある者は講和
条約
によりましてどうにか安定いたしましたが、
沖縄
は今なおその苦しみを続けております。
沖縄住民
だけを戦争の犠牲者としてそのまま放置しておくことが、われわれ
本土
国民としてどうしてできましょうか。
沖縄住民
がもし
日本
に復帰しておれば、このような残虐な目に会うことはなかったであろうという悲痛な
叫び
を上げておりますのを聞いてまことに涙なきを得ないのであります。
日本政府
としても
アメリカ
に対し適当な外交
折衝
を行うべきはもちろんであると同時に、また、
日本政府
自身といたしましても、この犠牲者を救う道を講ずべきであると
考え
ますが、いかがでございましょう。
岸信介
18
○
岸国務大臣
沖縄
における今日の
施政
が、戦争が済んで十幾年にもなって、なおわれわれが回想してみて占領下の
状況
と同じように
考え
られ、また、ある場合におきましては、ずいぶん、
沖縄住民
の人々が悲痛な言葉で示しているように、望ましくないような
施政
が行われておるということにつきましては、言うまでもなく、根本は、
施政権
をわれわれが一日も早く
返還
してもらって、そして
日本
の
施政
下に置くということが、あらゆる問題を
解決
する根本的の問題であろうと思います。しかし、それにつきましては、いろいろ従来の交渉にかんがみましても、いわゆる極東における緊迫状態というものに関しての
アメリカ側
の見解というものが、今日の極東情勢というものの分析において、なお今日においても
沖縄
における
施政権
を保持しておる必要があるというふうな見解であるようであります。しかし、その点については、さらに
沖縄
自体を、いわゆる
日本
の安全保障の
立場
から、あるいは極東におけるところの
アメリカ
全体の政策の
立場
から、これを軍事基地としてかりになお使用し、これを軍事基地として用いなければならぬといたしましても、
施政権
というものをいつまでも
アメリカ
が持っておるということにつきましては、私は、いろいろの点において大いに
考慮
しなければならぬ、かように
考え
ておりますから、その根本の問題について、
アメリカ側
と、従来よりも一そう進んで積極的に
日本側
の
考え
を述べ、これについての
アメリカ側
の
考慮
を求めるような
折衝
をすべきことは、今後していかなければならぬ、かように
考え
ております。しかし、それができる前に、それではそういう事態を全然放置しておいていいのかという問題になりますと、先ほど来いろいろ南方事務局の方から答弁をいたしましたように、われわれの非常に遺憾なことは、
沖縄
におけるところの事情というものが、あらゆる面において正確に把握することのできないような事態にあるわけであります。こういうことにつきましては、われわれはやはり、たとい
施政権
をまだ全部返してもらうことができなくとも、少くともこの
沖縄
におけるところの正確なる事情を把握して、そうして
沖縄
の
住民
の意向に沿うように
アメリカ
の
施政
が行われていくように、将来の問題として何らかの方途を講ずる余地がある、かように思っておるわけでありまして、それらのことにつきましては、今後
アメリカ側
との
折衝
において、十分、われわれの
同胞
であるところの
沖縄
の
住民
の地位というものをできるだけ民主的に、またこれらの人々の福祉を擁護するという見地から、
日本政府
としても
アメリカ側
と
折衝
して
努力
すべきものである、かように
考え
ております。
佐竹晴記
19
○
佐竹
(晴)
委員
ついで、伊江島
住民
の
訴え
を申し上げたいと思います。 本年三月十二日付伊江村真謝区長の本山正次外三人からの軍用
土地
接収
に関する
陳情書
を私
ども
は受け取りました。これによれば、
土地
接収
問題の起源は一九五三年七月十九日にさかのぼる当時米兵から測量させてくれと依頼を受け、不安はないというのでこれに応じ、終了後捺印をしいられたので、信頼して捺印したら、後日その捺印が立ちのきに同意した書類であったことがわかり、区民は憤慨しました、その後だんだん立ちのきを
要求
されるようになり、約束違反だ、一種の詐欺行為だと悲憤慷慨するようになりました
云々
、一九五五年三月十一日には三百余名の完全武装した米軍が現われ、有無を言わさず家屋を焼き払い、ブルドーザーで家屋を破壊し始めたので、全区民がその阻止方を懇願したものの、聞き入れられず、ますます傍若無人にふるまう非人道的、非道義的米軍の行為にただぼう然たらざるを得なくなり、死んだまねをした並里清二さん(六十歳)を動物扱いそのままで毛布にくるみ、なわでくくり、ガィディア中佐に暴行を加えられ逮捕されました、その有様を見ていた婦女たちもたまりかねて泣きながら阻止懇願したら、この島は米軍の血によってあぶなった島であり、君たちは三等国民だから黙れと言って相手にしない、米兵士がピストルを突きつけたので、恐怖のあまり区民はただおろおろと逃げまもるのみで、なすべきすべを知らなかった、島袋三助老人は腰を抜かしうなだれていると、米兵士が寄ってきて両王を合させ、金銭を与え、その場をフィルムに収め、それを
土地
接収
賛成の古伝に供し、逃げ回る区民をつかまえてきて、みな無理矢理に拇印で捺印させられ、あたかも
土地
接収
に承諾賛成治ているかのごとくふるまった、
耕地
甘いやおうなく
接収
され、水タンクは破壊され、九十八名中五十八名までが病人で栄養失調状態に陥り(保健所医師鑑定)、その悲惨さは極度に達した
云々
、各地で乞食せざるを得なくなり、
アメリカ
の非道を
訴え
て回った、しかし米軍は毫も
反省
の色がないばかりか、一九五六年七月には、ガソリンをふっかけて焼き、農作物はもちろん、山林原野など約百十五万円の損害を与えています、その非道を米軍に
訴え
、
調査
してもらい、賠償の約束をしたが、いまだに未支払いのままになっている、区民は背に腹はかえられず農耕を続行していたら、三十二名が大挙逮捕され、三ヵ月の懲役、一カ年の執行猶予の言い渡しを受けた、また今村堅男(十七才)も解禁時間である午前六時にイモ掘り中逮捕され、懲役六ヵ月の実刑を科せられたと述べ、しかもその裁判は、右今村少年以外はすべて弁護人もつけず、米兵が証人になって即決でどしどし懲役に処せられておりますことを具体的にるる記述いたしております。 東条内閣といえ
ども
こんなことはやりませんでした。そうして、その裁判の記録によれば、
土地
は
アメリカ
の
所有
になっているとの前提に立ち、例のたま拾いも窃盗であるときめつけております。これはあまりにも間違った独断的
解釈
であり、また、その
弾圧
行動ははなはだしい人権問題であると思います。これはおそらく一線における下級軍人の専断行為で、
アメリカ
の本心ではないと私は思いますがこの人権問題を中村法務大臣は何とお
考え
でございましょうか。この間の相馬ケ原の事件と対比御考察を願いたいと思います。世界に誇る
民主主義
国としての
アメリカ
が、こういったような態度で一体いいものであるか、私
ども
は胸深く
考え
させられるものがございます。また、
岸総理
兼
外相
におかれましては、
アメリカ
へおいでになりましたときは、ワシントン
政府
にこういった
実情
を一切
訴え
てもらって、外交
折衝
によって適当な措置を講じていただく必要があると
考え
ますると同時に、もし
アメリカ
にして
反省
しなければ、社会、人道問題として国連に
訴え
る等の方法によっても、その不当不正を是正させ、悲劇の
沖縄住民
を救うべきであると
考え
ますが、いかがでございましょうか。
岸信介
20
○
岸国務大臣
先ほど来申し上げております
通り
、
沖縄
の現在の地位というものにつきましては、
日本政府
としても、こういう
状況
にいつまでもほうっておくことは、第一に、
日本
民族であるところの
沖縄住民
、
同胞
たる
沖縄住民
に相済まぬことであり、国民感情としても、そういうことをほうっておくことのできないことは言うを待ちませんし、また、
日米両国
の正常なる、また恒久的な友好
関係
を深めていく上から申しましても、これは望ましくない事態であると思います。従って、この
沖縄
の地位の改善につきましては、
アメリカ
の首脳部と会談する際には、十分に私は話し合いでこれを改善するような方向に持っていきたい、こう
考え
ております。具体的の今の事例につきましては、私、初めて耳にすることでございますので、とくと
調査
のできるだけは
調査
をいたし、また十分胸にとどめて、今申し上げるように、
沖縄
の地位の改善について
努力
をいたさなければならぬ、かように
考え
ております。
中村梅吉
21
○中村国務大臣
沖縄
の現状は、なるほど領土については
日本
に潜在主権があると申しながら、そこに
日本
民族が生活をしておるのでございますから、今御指摘のように、いろいろむずかしい問題が多々あることを、私
ども
もかねがね
考え
ております。
人権擁護
の問題につきましても、
施政権
が
アメリカ側
にある現段階におきましては、かつて牧野法務大臣の時代に、在外の邦人に対しては外交保護権があるのだ、こういうことを言われたことがありますが、なるほど、基本権としてはそういうことは当然あるわけであると思います。しかしながら、それを
行使
するにつきましては、なかなか容易ならない事情にあると思います。従いまして、両国間の今後の外交
関係
を通しまして、できるだけ人権問題のないように、
日本側
としても
努力
をして参るべきであるかように
考え
ます。外交保護権の問題につきましてもたとえば財産の無償没収でありますとか、特にはなはだしい問題について、国家の基本的
権利
として
考え
られるのでありますから、今後、これらに対しては、現状の
沖縄
の問題全体につきまして、ただいま
総理
大臣からもお答えがありましたように、われわれとして十分研究をいたしまして最善の道を
考え
たい、かように
考え
ております。
佐竹晴記
22
○
佐竹
(晴)
委員
総理
が時間の
関係
でお急ぎのようでありますから、なるべく端折って申し上げたいと思います。 第三に具志区民の合言葉をお耳に入れておきたいと思います。
那覇
市の具志区民より祖国九千万
同胞
に
訴え
るとの
陳情書
を受けました。これに
はかよう
にあります。「私達具志区民は戦争前の人口一二七六名で一戸当り一、八〇〇坪の農
耕地
をもっており全部落の
所有
農
耕地
約六十万坪を有し地質は全
沖縄
でも屈指の良質と言われ戦前の産糖高は(黒糖百斤詰)で、七、〇〇〇樽を産し農産物を
那覇
及び遠く阪神地方に輸出して
経済
の安定した生活を営んでおりました。戦後全
耕地
の九〇%を
軍用地
にとられ一九五二年には部落の立退きが
那覇
航空隊から通達して来たのであります。」と前提し、一九五三年十二月五日には、こうごうたるブルドーザーの音とともに、装甲車十四、五台、機銃四、五丁、機関砲十数門、催涙弾、手榴弾まで用意し、兵士の自動小銃には実弾が装填され、着剣して
住民
に迫り、銃床でなぐる、軍靴でけるなぞあらゆる暴行をあえてし、
武力行使
によってあけ渡しを強行しました、
住民
は今でもその日を記念して、忘れるな十二月五日と合言葉のごとく唱えております旨が
訴え
られております。
沖縄
問題を
解決
しようとするならば、この
沖縄住民
の恨み骨髄に徹する反発精神をまず解消しなければ問題にならないと私は
考え
ます。これに対する御所見を重ねて承わることはいたしますまい。 この際、私は、ただいま申し上げました三つの
陳情書
を全文お
訴え
したいのでありますが、ことに裁判所における問答等も詳しくしたためられてありまして、まことに参考になる点が多いので、全部申し上げたいのですが、時間がないので、これを
一つ
委員長
のお許しを得て速記録におとどめ願いたいと思います。おとどめ願えますならば、私はきょう朗読することを省略いたします。 しかし、これを
総理
が
アメリカ
においでになるまでに一応お目通しを願いまして、血の涙をもってつづるこれら
沖縄住民
の声を十分頭の中に入れていただくよう、この際要請いたします。 さて、そこで、最後に
沖縄住民
の熾烈なる
要求
であります祖国復帰、
施政権返還
の
要求
に関してお尋ねをいたしたいと思います。先ほ
ども
総理
大臣からのお言葉にあります
通り
、要するに問題は、結局
施政権返還要求
の問題だ、
日本
に
施政権
が返るならばこの問題を
解決
することができる、従って、結局その問題に落ちつくという趣旨の御答弁でありましたが、この際この
施政権返還
の
要求
というものは単なる懇請であるべきか、また何らか
法律
上の
根拠
をもって
要求
すべきであるかという点について、
政府
のお
考え
を承わっておきたいと思います。
平和条約
第三条には、
アメリカ
が
沖縄
を信託統治にする提案をした場合には
日本
はこれに同意する、信託統治が提案され可決されるまでは
沖縄
の
施政権
は
アメリカ
が持つと規定いたしております。
アメリカ
が
沖縄
を信託統治にする提案をいたします場合の規定であって、
アメリカ
は必ずしも信託統治にする提案をしなければならないという趣旨ではないものと
考え
られます。信託統治にせずに、
日本
に
施政権
を
返還
することも自由であると
考え
られますが、これはいかがでございましょう。
岸信介
23
○
岸国務大臣
この
平和条約
第三条の
解釈
につきましては、今お述べになりましたように、その本文においては、
アメリカ
が信託統治にする場合に
日本
はこれに同意するという、そうして、そのことがきまるまでは
施政権
を持っているということでございまして、この
条約
のできた当時をいろいろと回想してみますと、一応この条文には
期限
ははっきりつけてありませんから、いつまでということは言えませんけれ
ども
、必ずこれを信託統治に付さなければならぬということを規定しているもでないことは言うを待ちませんし、また、この中に含んでいるところの地域についても、奄美大島は
日本
に完全に
返還
をいたしておりますし、将来も、われわれは、この地域における
施政権
は当然
日本
に
返還
さるべきである、また
返還
を促進するように
努力
していくのが
政府
として当然やらなければならぬことである、かように
考え
ております。
佐竹晴記
24
○
佐竹
(晴)
委員
時間が迫りますので、あと一問だけ、これを三つばかりに区切ってお尋ねをしようとは思っておりましたが、時間を省略する意味において一括申し上げて御所見を承わっておきたいと思います。
平和条約
の第三条後段の、信託統治が提案され可決されるまで
沖縄
の
施政権
は
アメリカ
が持つというのは、
アメリカ
が
沖縄
を信託統治に付することを予想し、信託統治が可決されるまで、一時的、暫定的に
アメリカ
が
施政権
を持つという趣旨を明らかにしたものでありますことは言うまでもないと思います。
アメリカ
がいつまでも長く
施政権
を行うという趣旨でないことは当然であると思います。ところが、今日
アメリカ
は
沖縄
を信託統治に付する腹もなければ、また、
法律
上から見ても、事実上から申し上げましても、信託統治にすることは不能といわなければならぬと思います。なぜなら、信託統治に付するには国連憲章に従わなければなりませんが、同憲章七十六条の基本目的は
沖縄
には当てはまりませんし、また、
沖縄
は同七十七条の信託統治に付すべき地域にも該当いたしませんし、さらに、
日本
は今回国連に加盟いたしましたので、同憲章七十八条によって、国連加盟国となった地域には適用されません上に、もし
沖縄
を戦略的信託統治にしようといたしますならば、安保
理事
国の一員であるソ連の同意を得られななければなりませんが、
拒否権
を
行使
されることは火を見るよりも明らかでありますし、また、
アメリカ
も、信託統治にしてわざわざ安保
理事
国を含む信託統治
理事
会の定期検査を受けるようなことを甘受しようはずはないのであります。そうだといたしますならば、
平和条約
三条の、信託統治に付するまで
アメリカ
が
施政権
を持つという暫定的条項は、その
根拠
を失っているといわなければなりません。不能の条件を付せられた条文と化しているものといわなければなりません。不能の条件を付した条文が効力を持ちませんことは、公法、私法を通ずる
原則
であります。よって、今日においては、
沖縄
の基地については
本土
並みに
日米
安全保障
条約
及び
行政
協定を適用するかいなかを新たに協定すべき段階になっており、基地以外の一般
住民
に対する
施政権
はすみやかに
日本
に返すべきであると
考え
ます。
政府
は強くこれを
アメリカ
に主張すべきであると思いまするが、いかがでございましょう。
岸信介
25
○
岸国務大臣
平和条約
第三条並びに国連憲章の今おあげになりました条文等との対比における
法律
解釈
につきましては、今
佐竹委員
の
お話
しになりましたような御意見も、大いに私
ども
首肯すべき点が多いと思うのでありますが、また、
反対
的な
法律
的な
解釈
も立ち得るのでございまして、この
解釈
を
法律
的にどうするかということは、なお一そう私としても研究をいたしたいと思います。しかし、
法律
的に申しましても、今
佐竹委員
が御指摘になったような議論も立つごとでございますし、また、この
条約
ができました当時と、今日の
日本
の
立場
というものも非常に違っております。特に、国連に加盟しておるという
一つ
の事実から見ましても違っておりますし、従いまして、また将来の
日米
関係
というものを
考え
てみましても、
沖縄
の地位を今まで
通り
にしておくことが
日米両国
にとって決して長い友好
関係
を増進することにならないという点から
考え
ましても、私は、
沖縄
の地位につきましては、十分腹を打ちあけて、
日本
国民の
考え
ておる
通り
、
要望
しておる国民の気持を
アメリカ
の首脳部に十分に納得せしめ、これを
アメリカ側
において十分に
考慮
を求めるということがこの際必要である、かように
考え
ておりまして、できるだけそういう
努力
をいたしたい
考え
でございます。
佐竹晴記
26
○
佐竹
(晴)
委員
私は、いま少しく掘り下げてお尋ねをしたい点がございますけれ
ども
、お約束の時間もありますから、これをもって終りますが、どうか、
アメリカ
ヘお越しの節は、血の涙をもって
訴え
ておりまする
沖縄住民
のほんとうの
訴え
を露骨にお伝え願いまして、
沖縄
問題全体の
解決
のために強く御
要求
せられますよう切にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
三田村武夫
27
○
三田
村
委員長
先ほど
佐竹委員
から御
要求
のありました、資料を速記録に載せることは、先例によって処理いたすことにいたします。次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十四分散会