○
古屋委員 そうしますと、非常に詳しく知っておりますが、そこで私は承わりたい。三月の上旬に知っておったといのですね。一体、
市木こと
戸高、これはあなたの方で知っていなくちゃならないのですが、現に私はこれを聞きたいから前提として聞いておる。
爆発物の所持をしたことは明らかになっておる。もう一つは、この間私
どもがお尋ねした押収第七号の
脅迫状です。
自分が書いて
菅生の
駐在所にぶち込んだことも明らかなのです。
爆発物を持った事実、
脅迫状を投げ込んだ事実、しかもそれが三月の初めに
市木こと
戸高ということがわかっておるのだから、これを
捜査して、さっそくひっちばらなければならぬが、あなたの方として、
司法権として
——もっとはっきり申しましょうか、
菅忠愛は今この
爆発物所持によってひっちばられて
起訴されて二年の懲役の判決を受けておりますよ。それから、
市木に
ダイナマイトを渡したという村田もひっちばられて四十何日もとめられ
起訴されて、これも
執行猶予になっておる。この二人だけはひっちばられてしまった。いいですか。この点も日本中の人が
疑惑を持つ。あなた方がこれを隠しておるのじゃないかという
疑惑を持つのです。
爆発物を所持した者はどういう処罰をされるか、あなたは知っておるでしょう。所持しただけでひっちばるところの犯罪になる。
警察官なるがゆえにひっちばらないでいいということはない。それが一つ。それから、今どこにいるかわからぬというが、はっきり
本人からこの事実を聞いておる。私からもっとはっきり言うならば、あなたの方では
小林末喜を呼んでおる。あなたは聞いておるでしょう。末喜からあなたは一部始終を聞いておるはずです。
公判廷において
証言した村田は、
ダイナマイトを、
——そのときは
市木と言っておりますよ。
起訴状の中にも某氏と書いてありますよ。某氏の手を経て
後藤のところへ行ったということを
検事の
起訴状の場合は書いてある。
検事もおかしいですよ。
検事も逮捕状を出さないことはおかしいのだ。ここに検察行政と
警察行政の問題があるわけです。この点をはっきりしていただかなければ
国民は安心いたしません。
それで、参考に申し上げますが、三十年くらいの弁護士の経験を有する私だ
けがそう思うかというと、そうではない。学者も言っておる。九大の井上教授が三月十五日の西日本
新聞にこういうことを書いておる。これはあなたに
答弁していただく場合の参考のために一応読み上げましょう。「
戸高警官にききたいことは彼がやったかどうかだ。もし彼がやったとすれば、これほど恐るべき謀略はないし、政府対
共産党をめぐる三鷹
事件など、戦後のもたらしたどこか割り切れない
事件がこれを契機に全部すっきりする。そうした意味からこの
菅生事件は重大なものを含んでいる。こんご問題になる細目は1、
戸高警官がもし爆破はやっていないとすれば、これほど騒いでいる
事件で、しかも所在のはっきりしているものを
捜査当局はなぜいままで出さなかったのかと疑問がわく。アメリカの
検察官は攻撃一点張りだといわれているが、そのアメリカでさえ
捜査官が
被告人に有利な事実を知っていて法廷に出さなかった場合はその
裁判はすべて無効になる。まして日本の
公判廷でなぜ早く
戸高を出さなかったのか、立証の都合がどうのごうのといった逃げ口上だけでは回避できぬ重要な
検察庁側の責任が発生したことになる。2、
戸高は
ダイナマイトの件を部分的に認めている。これは日共のいうように
爆発物取締法違反にかかる容疑が十分である。一般市民がそのていどの容疑でもあればすぐ逮捕されるのであるから
国家が
戸高をすぐ逮捕するかどうか、そして市民と平等の扱いをするかどうかをわれわれは注目せねばなるまい。3、
戸高警官の
取調べに当たって、
戸高にほんとうのことをしゃベらせると
捜査機関に不利になるかもしれないと
考えられる。
捜査機関が果たしてこの矛盾した
立場でどう公平に処理できるか、これも十分監視せねばならぬところ。4、かりに
戸高を逮捕もしないし、
取調べもせず単なる
証人として法廷にでる場合、
戸高はもちろん「爆破はやらぬ」といいはるだろう。そのとき弁護団側がどんな弁護技術を駆使してしゃべらせるだろうか、そのテクニックは見ものといえよう。5、最後に
戸高の発見を知って
自分は非常に
捜査機関に疑念をもつようになった。というよりこれほどはっきりした
証人をいままで知らっぱくれていた
捜査当局の厚顔無恥さかげんに、非常な憤りと悲しみを感ずる。
戸高の出現も
捜査当局の十分に計算された、そして舞台を着々と進めている不真面目さの一端だと断ぜざるをえない。」、こういうことを九大の井上教授は
新聞に発表を行なっております。
こういうことを私
考えるときに、どう
考えましても、これは
被疑者としてさっそくあなたの方では縛らなければならぬと思う。あなたの方は縛らなくともいいという御判断をされておるのですか。されておるなら、その理由を承わりたい。