○
古島委員 どうもこのごろの役人は、
法律でもよけいこしらえなくんば自分の名が通らないというようなことで、むやみに
法律をこしらえておる。私は今は
法律の整理をせねばならぬ時期だと存じております。しかも、
国税徴収法によりますと、とうてい
しろうとにはわからないようなことが書いてあるのであります。御
承知でもありましょうが、あの三十一条の
規定でございます。三十一条の
規定によると、もし
税務署の発した
処分に向って
異議があるならば再
調査の
請求をしろ、しかも一カ月以内にやれという。その
決定に対してまた
異議があれば今度は
国税庁長官なりあるいは
国税局長なり
税関長なり、これらに向って
審査の
請求をしろという。
審査の
請求をして、それに何か不服があるならば
訴訟を起すことができるとある。しかも
訴訟を起す時期については非常に議論があるので、何らの
決定をしないで六カ月過ぎた、あるいは再
審査の
請求をしたけれども三カ月たって取り戻せないような
損害を受くるおそれがあるという場合には
訴訟が出せるという。ところが、そういうふうな難解のことを
しろうとに知れといっても、これは実際にはできゃしません。しかも、最後には、同じ
条文のしりの方でありますが、何でもかまわぬから再
調査の
申し出をいたしてそれから九カ月たってしまったならば
訴訟というものは一切できないぞと書いてある。しかもその九カ月は
不変期間だというのであります。こうなりますと、六カ月初めたって
訴えが出せる、しかも六カ月たつ間に、三カ月でもいいが回復することのできない
損害があるならば
訴えが出せる、こういうことをやっておりますと、六カ月待っておって
税務署に交渉をいたす、交渉している間に
税務署はいろいろな手を使います。あるいは書面を出せ、何かの証拠になるものがあったら出せと言う。そういうものを出そうというので
調査いたしておると、その間に一カ月や二カ月過ぎてしまう。一カ月、二カ月過ぎてしまうと、今度は、
書類を出したと仮定いたしますと、その
書類を預かっておって、そのうちにこっちから通知をやるから出てこいと、こうやります。出ていったときにはもう九カ月になんなんとするときであります。そこで、折衝している間にもう九カ月たって、十日か十五口も日を余すという場合には、お前の方で文句言うのならば
裁判所へ
訴えたらよかろう、こう出る。ところが、それから今度弁護士なんぞに相談いたして出そうというので計画いたしますと、もう九ヵ月過ぎてしまう。そこで
訴訟は出せない。それを
税務署の連中は知っておりますから、ことさらにそこまで引っぱってくる。そうしてこれはどうしても
異議の
申し立てあるいは
訴訟の出せないようにしむけてしまう。こういうふうなことがあるから、この
法律をこしらえるよりは先にこの
国税徴収法の三十一条等を
改正をいたして、民衆に大体のけじめがついて、そうしてどういうふうにやればいいかということが周知できるような
方法をとることが
ほんとうに親切な
やり方ではないか。この三十一条にさらに手をつけずに、こういうふうな
法律を出しても一向に私は用をなさぬと思うが、いかがでありますか。