○近藤説明員 社寺等に
無償で貸し付けてある財産の処分に関する
法律が出ましたのは、新
憲法が公布になりまする時期に関連いたしまして、それまでの国あるいは
地方公共団体と社寺との関連というものを政教分離というものの線によって切る、それから同時にその背後には神道指令がございまして、すみやかに新
憲法の精神に即応した態勢に移行するという建前から、この
法律が出たわけでございます。それと関連いたしまして、宗教団体が使用しておる
地方公共団体の財産の処分に関しまして、ただいまお話がございましたように、内務、文部両次官通牒をもちまして、国と同じように
地方公共団体においても措置をするようにという通牒を出したわけでございます。その当時におきましてこれが出まして、その通牒の中には、その申請に関しましては一年以内に申請をする、一年以内に申請を出したものにつきまして
無償譲渡すべきか、あるいは半額譲渡すべきか、あるいはまた随意契約によって売り払うか、こういうことに関しまして境内地処分
審査会というものがございまして、
審査会において決定する、こういうことが行われたわけでございます。この精神を内務、文部両次官通牒をもちまして、都道
府県知事に流したわけであります。当時の占領下の事情もありまして、すみやかに新
憲法の精神に即応していくということから、毎月その処分につきましては、都道
府県を通じましてその処分の状態報告を求めまして司令部へそれを報告する、こういう形をとって参ったのでございます。
この通達によりまして、国並びに
地方公共団体が宗教団体に
無償貸与しておるこの関連を明確に切るという線はすみやかに行われたものと
考えております。ただその場合に、ここで
無償譲渡または半額の
対象となっておりますものの範囲がきまっておりまして、宗教団体の宗教活動に固有のもの、こういうように売り払いの範囲または譲渡の範囲が決定されております。
ただいまの仙台の問題は墓地の関連の問題と
承知いたしておりますが、墓地に関しましては境内地処分
審査会でいろいろ問題になりまして、当時、参考人の意見を聞く等の方法によって相当研究された結果、境内地の内部にあります墓地につきましては、この
法律並びに通牒の
対象として
考える、境内外墓地はこれを除く、こういうことになっておるわけでございます。従って仙台の問題に関しましては、それが境内外墓地である場合には
法律並びに通牒の範囲外の問題となるわけでございまして、この通牒というものが出されたその墓地というものをどう
考えるかという別の問題になると思います。
それから墓地そのものの所有権の問題でございます。ただいまお話がございましたように、所有権が明白でなくていろいろ論争もあるということは
承知いたしておりますが、明治六年、七年、八年の地租
改正によりまして官有地と民有地とをはっきり分ける、そのときに人民共有墓地として、仙台の問題になっております場所が取り上げられておりまして、その後ずっと部落から町村合併
——町村が仙台市に編入されます過程においてそのまま移向しており、現在におきましても、その過程において一応所有権というものは仙台市が持っておるということで、問題は
管理の問題に関連しておるというように伺っております。従って直接
法律七十八号並びに五十三号、それから内務文部両次官通達そのものの問題と若干関連はありますけれども、実は墓地の
管理の問題としてこれが取り上げられているのではないか、こういうような感じを持っておるわけでございます。