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1957-05-16 第26回国会 衆議院 文教委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 赤城 宗徳君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 米田 吉盛君    理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君       永山 忠則君    田中 久雄君       塚原 俊郎君    辻  政信君       牧野 良三君    山口 好一君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       高津 正道君    辻原 弘市君       野原  覺君    平田 ヒデ君       小林 信一君   出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   出席政府委員         文部政務次官  稻葉  修君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君   委員外出席者         参議院議員   岡  三郎君         参議院議員   矢嶋 三義君         参議院議員   谷口弥三郎君         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    斎藤  正君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 五月十五日  委員茜ケ久保重光君、淡谷悠藏君、木下哲君、  木原津與志君及び下川儀太郎君辞につき、その  補欠として野原覺君、鈴木義男君、大西正道  君、高津正道君及び中村高一君が議長指名で  委員に選任された。 同月十六日  委員鈴木義男君、中村高一君及び根本龍太郎君  辞任につき、その補欠として小牧次生君、辻原  弘市君及び辻政信君が議長指名委員に選任  された。     ————————————— 五月十五日  公立学校学校医公務災害補償に関する法律  案(文教委員長提出参法第一四号)(予) 同日  公立学校学校医公務災害補償に関する法律  案(参議院提出参法第一四号) 同月十六日  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案  (永山忠則君外八名提出衆法第四五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案  (永山忠則君外八名提出衆法第四五号)  公立学校学校医公務災害補償に関する法律  案(参議院提出参法第一四号)  盲学校、聾(ろう学校及び養護学校幼稚部  及び高等部における学校給食に関する法律案(  参議院提出参法第一〇号)  農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及  び公立高等学校教員に対する産業教育手当  の支給に関する法律案赤城宗徳君外七名提  出、衆法第二一号)     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者より提案趣旨説明を聴取いたします。永山忠則君。     —————————————
  3. 永山忠則

    永山委員 ただいま議題となりました教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を申し述べます。  元来、教育職員免許法施行法は、教育職員免許法制定以前の旧教員免許関係法令による教員免許状を有する者及び旧制学校卒業者の新免許法への切りかえについて規定したものであります。このうち、旧制学校卒業者免許状の切りかえにつきましては、旧制大学旧制高等専門学校等比較的教員となる者の多かった学校出身者の場合は、その修業年限及び旧免許状授与資格等検討し、適当な新免許状への切りかえ規定が設けられております。ところが旧軍関係学校の場合は、旧制高等専門学校と同格に認められているにかかわらず、その出身者に対しては適切な切りかえが行われていなかったのであります。  現在、陸軍士官学校陸軍航空士官学校陸軍経理学校海軍兵学校海軍機関学校及び海軍経理学校卒業者で現に教職についている者は全国で約三百名ほどありますが、その職務内容能力は他の学校出身者と同様でありますので、そのうち在職一年以上のものに限り旧制高等専門学校卒業者と同様の免許状授与することを適当と認めてこの改正案提出することにいたしました。  何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 長谷川保

    長谷川委員長 これより本案に対する質疑に入ります。質疑を許します。高津正道君。
  5. 高津正道

    高津委員 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  この法案にあげている陸軍士官学校等、旧軍関係学校卒業者で、現に教員の職にある者のうちで、在職一年以上の者、それだけに限った理由を御説明願いたいと思います。
  6. 永山忠則

    永山委員 これからの関係者には言及いたしませずして、一年以上ということにうたったのでありますが、一年以内の関係者というのはほとんど実害はない程度であるというように考えて、在職一年以上の者にいたしたような次第でございます。
  7. 高津正道

    高津委員 この法律案が実施を見て適用を受ける者は全国で約三百名という御説明でありますが、それは文部省調査によるものでありましょうか。そしてまた約三百名というのは、三百名を下回るのか、あるいはどのくらい上回るのか、それも念のために聞いておきたいと思います。
  8. 辻政信

    辻委員 ただいまの御質問でございますが、これは文部省提案ではなくて、議員提案になっておりますが、私どものところへ署名で請願してきた者が約三百名でございます。それを上回るにいたしましてもごくわずかであり、下回るにしても数名という程度でございます。調査が徹底的に進んでおらない関係上、数名の前後はすると思いますが、大体三百名とお考えいただきまして大した誤まりはございません。その内訳を申し上げますと、陸軍学校を卒業した者が約二百名、海軍学校を卒業した者が約百名でございます。
  9. 高津正道

    高津委員 さらに念のためにお尋ねいたしますが、その人々は一年以上在職していれば、もはや軍部の学校にいたころ受けた思想は捨て去っている、こう認めてよいのでありましょうか。
  10. 辻政信

    辻委員 一年以上とここに書きましたが、実際に調べてみますと、三年以上もしくは二年以上の方が多いのであります。現在の社会情勢では新しく採用されるということは非常に困難な条件にあります。ほとんど全部の者が、一年どころじゃない、二年、三年以上というのが実情でございます。なおこの陸軍海軍学校で受けた、いわゆる軍事偏重思想を清算しているかどうかという点でございますが、皆様のお子供さんもその先生から教えを受けておられる人も相当あるのでございます。その御意見を徴しましても、きわめて中正な思想を持っておられるようであります。またその中には、ごく一部でありますが、日教組の幹部として働いておる人もあるというので、必ずしもこれは反動とは言えないと思います。
  11. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの法案につきまして、一、二質疑を申し上げまして、御所見を承わってみたいと思うのであります。それは今度の法案で、能力あるいは職務内容同一なら同等資格が与えられるということにつきましては異論がございませんが、まず一点お尋ね申し上げたいと思いますことは、法案の中では陸軍士官学校陸軍航空士官学校陸軍経理学校海軍兵学校海軍機関学校海軍経理学校というように軍関係学校だけに限られているわけでありますけれども、私ども心配いたしますのは、同等資格を持った学校が他にあるといたしますならば、私は若干不合理な点が起ってくると思うのです。なければこれでけっこうだと思いますけれども……。そこで他にそういうふうな同等考えられる学校があるのかないのか、この点御調査がございますならば御報告願っておきたいと思います。
  12. 辻政信

    辻委員 陸軍について申しますと、ただいまの御質問に当りますものは、工科学校あるいは縫科学校というものがあります。この工科学校というのは陸軍士官学校を卒業した者が入る学校で、これは適用を受けます。それから縫科学校は下士官から入った人が多くて、所定の教育内容が単位に到達しておらない者が多いのでありまして、やはりこれは適用を認めがたいという意味で省いておるのであります。
  13. 河野正

    河野(正)委員 さらにもう一点重ねてお尋ね申し上げておきたいと思いますことは、この法案能力というような点について認められるということになりますと、在職一年以上に限られるということにつきましては私は若干異論があるのではないか。そういった人人が軍関係学校を出て能力があるということになりますならば、一年以上というようなことは必要ないのじゃないかというふうにも考えるわけでございますが、ことさら在職一年以上というふうに御規定なさったお考え方を承わっておきたいと思います。
  14. 辻政信

    辻委員 今河野委員がおっしゃる通り、できることならば現在職にある者は一年未満の者でもやっていただきたいというのが私どもの希望でございました。しかしそうなりますと、この法令ができたというので、またすぐ新しく入るというような心配等もございますので、この法案ではむしろ現在おる者で、そして一年以上の経験を経た者で、能力があり中正な人というふうに限ったのでございます。できますことならば取っていただきたいという意見もありましたが、これは実は社会党の皆さんに御了解を得まして、社会党の御意見を尊重して、こういうふうに修正いたしております。どうぞあしからず……。
  15. 小林信一

    小林(信)委員 関連して。今提案になっておりますのはこれは純然たる軍関係です。しかし同じような立場にあるものがまだ私取り残されていると思うのです。辻さんのごく懇意の広瀬正貫という者がおりますが、これなんかが、これはやっぱり軍関係の人間ですが、しかし私が今申し上げるのは軍関係以外のものです。これをやっぱり国会で取り上げて何とかしてくれというふうな話があって、おそらく辻さんも御存じろうと思うのですが、私もこの法案に対しましては、かつてはどうあっても、その人たち立場というものを考慮するとき、これは無理からぬことだと思うのです。やはりそういう場合には、これと同様な立場にある者もあわせて考えていかなければいけないと思うのですが、果してお考えになっていられるかどうか。それはもとはやっぱり先生なんです。内地先生をやっておられたんですが、たまたまああいう立場に立ちまして、満鉄あたりに行った先生がたくさんありますが、その満鉄と同じ形で華北交通というものが作られたわけです。華北交通で満鉄の職員と同じような形式で、先生を採用したことがある。そこに行きますときには扶輪学校という——華北交通関係学校扶輪学校という名前なんですが、それが大がい内地教職にあった人が行きまして、やや宣撫工作的な仕事をやったんです。しかしその人たち終戦になると同時に国内に帰って参りまして、また教職についていますが、その扶輪学校に奉職した期間が、やはりこの人たちと同じように、今恩給年限等にその年間を認められておらない。これをお考えになっておられるかどうか、私はお尋ねしたいのです。
  16. 辻政信

    辻委員 軍以外の係の切りかえはほとんど大部分終っておりますが、今小林委員のおっしゃったように、満州とか中国等で特殊の学校に入った人が確かに漏れておると思います。ごく少数でございましょうが、これらは調査ができ次第、これと同様の処置をとっていただきたいと考えております。
  17. 小林信一

    小林(信)委員 そのことについて、文部省側でどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いします。
  18. 斎藤正

    斎藤説明員 今の先生の御質問は、免許状取得関係ではございませんで、恩給の継続の問題と拝聴したのでございますが、この問題について、ひとり満州北支のみならず、終戦の混乱の中で外地から引き揚げられた方々の継続的な問題として全般的に問題があろうと思いますが、政府といたしましてもなお検討いたしたいと存じております。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こういう免許状については非常に不公平な点がありまして、本案も三年前ごろから非常に熱心に陳情がありまして、軍国主義というものはわれわれは反対でありますけれども、その当時の若い人が士官学校海軍兵学校に入られた気持がわかりますので、本案には、私も同情してぜひ通過させたいと思っておりますが、文部省はこの種の教員免許状について、いろいろなケースがあると思うのですが、たまたまこういうケースが出まして、これは三百名ほどの人でありますから、当然やるべきだと思いますが、その他の点についてどういうふうにお考えになっておられるのか、あるいはまたこの教育職員免許法というものについては、文部省は比較的慎重であるということを聞いておりますが、何らかそういう理由があるのかどうかをこの際文部当局にお尋ねしておきます。
  20. 稻葉修

    稻葉政委員 本法の旧軍関係学校卒業者教育職員免許法の問題につきましては、検討の結果、文部省としては旧高専卒の学歴の者と同等に取り扱うことに異存はないので、本法成立の上はその趣旨に従って善処したいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つ軍関係以外で教育職員免許状を与えたいというようなほかのケースがあるかと思うのですが、これは斉藤説明員にお伺いしたいと思うのですけれども、そういうケースがあるかどうか。またそれについてあなたはどういうようにお考えになっておられるのか、一つお尋ねしておきたい。
  22. 斎藤正

    斎藤説明員 免許法関係につきましては、一面教員資質向上ということを現在考えなければなりませんので、その取得要件強化ということが原則としては必要だろうと思います。今お話の点につきましては、大体ほとんど解決されておるという実情でありますので、これと同様の者をさらに盛るということを今考えておりません。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つは御承知のようにこういうふうな免許状をもらっても就職できないような問題が起るのではないかと思うのです。特に地方財政が逼迫しておりますので、学芸大学を出ても就職できないという県が方々に出てきたのでありますが、こういう点について、これは政務次官にお尋ねしたいと思いますが、政府はどういう施策でせっかく学芸大学を出た者を遊ばせないようにする方法を考えておられるのか。実は御承知のように、学芸大学を出てきた人は比較的経済的には恵まれない人が多く、ほかの大学では金がかかるけれども学芸大学ならば就職口まで考えられておるからというので、父兄が学芸大学に出している場合が相当多いわけであります。これは大学教育学部もそうでありますが、そういう点についてこのごろはなかなか就職できないような声も聞いており、非常に残念に思っておりますが、こういう点についての文部当局考え方をこの際お伺いしておきたいと思います。
  24. 稻葉修

    稻葉政委員 教員免許状を持つ資格がある者で、実際上教職につけないという関係の者が多数今日ございます。これはわが国の教育上重大問題の一つでございますので、将来慎重にこれに対処する具体策を講じなければならぬというふうに思っております。そういった際に、旧軍関係の人にこういう待遇を与えることが、余っているところにさらにまた余りを生ずるという御懸念からの御質問かと存じますが、現在旧軍関係学校卒業者教職についておられる人は約二百七十人、これらの人も、二級免許状授与を受けるのには三年の教職経験を必要とするという制限規定もありますので、教員の需要と供給にこの数が直ちに非常な影響を及ぼすということにはならない。むしろ教員資格ある者が就職できないという関係は、他の方に欠陥がある問題でありますから、その方面を検討していくことは大いに考えなければなりませんが、この数が直ちにそれに非常な重大な影響を及ぼすとは考えておりません。
  25. 長谷川保

  26. 小牧次生

    小牧委員 一点辻さんに御質問いたします。この提案理由の中に、職務内容は大体他の学校出身者と同様である、こう書いてあるわけですが、私実情を存じませんけれども、こういう方方は大体どういうような教科を担当しておられるのか。それから給与実情でございますが、御存じであれば、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  27. 辻政信

    辻委員 職務内容と申しますのは、三百人について一々調査したわけではございませんが、大体正規の学校を出た人と全く同じ職務をやっているわけであります。それから給与関係は、ざっと調べましたところでございますから、多少違いがあるかもしれませんが、大体一万五千円もらっております。一万五千円、いわゆる代用教員としての——勤務年数にもよりますけれども一般学校を卒業した者よりも非常に低く現在なっております。
  28. 長谷川保

  29. 辻原弘市

    辻原委員 ちょっと文部省の方に質問しておきたいのでありますが、この問題は、提案趣旨を見ましても、何ら異存のないところであって、本来ならば当然施行法制定の際に顧慮しなければならない問題でありたと私は考える。すでに辻さんが先ほど述べられたように、この問題の陳情、請願があってからも、われわれはしばしばこれについての取扱い文部省にただしたことがあるのであります。しかしわれわれが常識的に考えるのと別な理由でもって、これらについての措置文部省がとらなかった何らかのいきさつがあるのではないかと思うのです。本来ならば、これが施行法——施行法は御承知通り、それぞれ同一学力、あるいは同一修業年限を持っておれば、同等とみなすという建前を貫くのが本筋でありますから、従ってそのような措置が抜けておれば、積極的に文部省自体がおとりになるのが建前だと思う。国会がこれを取り上げて、部分的にこういう措置をやっていかなければならぬということは、私は本来の正常な行き方ではないと思うのであります。文部省責任をもって、いわばこれは事務的取扱いでありますから、当然措置すべきがほんとうである。今政務次官から、文部省は何ら異存がないというお話だった。異存がないならば、なぜ積極的にこういうことを取り上げてやらないかという問題が出ると思います。私は他の同僚委員からも指摘されたように、他の問題もいろいろあると思う。確かに今大きな問題としては、外地から引き揚げて新しく新免許法にのっとって奉職している旧引揚教員方々恩給の通算の問題等々は、これは御本人にとっても非常にお気の毒な問題である。本人責任によって生じた問題ではなくして、自然的な国家の変革によって生まれた身分上の問題でありますから、これらはあげて文部省が精細に調査をして、解決をしていただかなければならぬ。これも先ほど斉藤説明員お話によれば、検討をしておるという程度であります。これをわれわれが取り上げて、国会立法すれば何ら異存がないとまた言わんとするのか、そういうことでは、私は消極的だと申し上げる。だから免許法には建前がありますから、できない点はあらかじめ、こういう点については逆にこういう不合理ができますということを述べて、あとでいろいろ問題が、法律建前をくずすところのおそれを来たさないように、この際しっかり答弁をなさった方が私は文部省のおためであると思うので、この点で一つ説明を求めておきます。
  30. 斎藤正

    斎藤説明員 御承知のように、免許制度改正になりまして、施行法ができましたのは、当時は軍関係者追放になった時代でございまして、そのときの立法当時には、その点を現実に考慮する必要がなかったという点がございます。その後先ほど申し上げましたように、免許法関係法令改正につきましては、やはり教員資質向上ということを主として考えまして、その資格取得要件強化ということを非常に考えなければならないのでございまして、これを拡張するということにつきましては、文部者としてはきわめて慎重な取扱いをしてきておったのでございます。お話のように、軍関係方々の就職している状況、あるいはその出身者方々現状学力状況等につきましても、慎重に検討する必要がございましたので、現在まで遺憾ながら政府立法の手続をとるというに至らなかったのでございますが、現在この出身者方々が、数もそう多くなく、しかも現状といたしましては、学力が相当すぐれておる方々がかなりおられるということが判明いたしましたので、免許法改正して、これらの方々免許状を付与し得る道を開くことができますことにつきまして、現在といたしまして、文部省としては特に異存はないわけでございます。
  31. 辻原弘市

    辻原委員 今の説明は了解できません。それはいかなる理由かといいますと、まず施行法のできた当時は、御説の通りです。しかしその後施行法改正もしばしば行われております。なぜそのときにこういう問題をやらなかったかという点、それから今御説明によれば、免許法建前は、資格資質向上中心にした、従って免許法本法に基く免許状取得ということを中心に置いた。このことの意味合いはわかります。しかしながらあなたが今言われたように、その後だんだんと軍関係人々もその資質内容を高めてきた。従ってこういう免許状——をいわゆる二級普通免あるいは臨時免許状を、高等専門学校同等としてやることも差しつかえないようになったという説明、これは私は了解できない。建前はそうじゃないでしょう。かつての軍関係学校がその修業年限、それからその修業年限が持っておった内容から見て、高等専門学校同等であるという意味合いにおいて、これをみなすというのでしょう、施行法建前は……。だからそれは理屈からいえば、その後御本人がどういうような資質向上をやっておろうがおるまいが、それは関係はないのですよ。だからそれは通り一ぺんの説明にすぎません。これは斉藤さんの明晰な頭脳から出た御説明とは私は受け取れない。そういう意味合いにおいて、われわれはこれを支持したのじゃないのです。一応これは修業年限、それから建前から見て、これは同等であるという意味において認めたわけなんです。だから今の斉藤さんの御説明によってやろうとするならば、これから、先ほど小林さんが指摘されたような問題は、全部一人々々の資質が果して向上しておるかどうかというようなことによってやらなければ、煩瑣な問題ができるのです。だからそうではなくて、大体すでに十年も経過して、一般的に追放その他の問題もなくなったのだから、一般のスタンダードにして、過去にあった学校においても、同じような修業年限をもってみなされるものについては、施行法建前に右へならえしてやっていくということが救済の措置であろうというのです。そういう建前でやってもらわないと私はいけないと思う。それからいま一つは、人数の多寡でやられては困ります。一人であろうとも不合理が出れば是正する。百人おろうが一万人おろうが、建前をくずすような改正はやらない。それはやはり筋を通しておかなければ、免許法というものは複雑な法律でありますから、これはくずれます。そういう点は十分配慮して、しっかりとやってもらわぬと、国会の方で改正すればけっこうでございます、そういうような消極的な立場で法の扱いをやられたのでは困るということだけ、蛇足ではありますが、つけ加えておきます。
  32. 稻葉修

    稻葉政委員 辻原さんの御質問はごもっともでございまして、旧軍関係学校文部省の所轄でなかったために、どういう科目をどういうふうに教えておるのか、そういう関係のことにつきましては、厚生省の引揚援護局長からも通牒をもらったり、いろいろやはり調査をするに多少の時間を要したということが一つございます。それもあまり時間を要し過ぎたきらいがあって、文部省怠慢の責めを問われば、頭を下げざるを得ない点もありましょう。そこで率直に私は今日においてこういうことを措置すべきである、こういうふうに思っておる次第でございます。御了承を願いたいと存じます。
  33. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はありませんか。——質疑がなければ、質疑を終局し、これより本案討論に付します。——別討論の通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立〕
  35. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。     —————————————
  36. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、公立学校学校医公務災害補償に関する法律案議題といたします。まず提案趣旨説明を聴取いたします。参議院文教委員長三郎君。
  37. 岡三郎

    ○岡参議院議員 ただいま議題となりました公立学校学校医公務災害補償に関する法律案につきまして、提案理由内容の概要を御説明申し上げます。  学校医は、学校教育法施行規則によりまして、各学校に置かれております。これら学校医は、教職員の保健活動、児童生徒の健康管理はもちろん、修学旅行、遠足、運動会等の学校行事の企画運営等にも参画いたし、学校保健にきわめて重要な職務を持っております。  現在、公立の学校におきましての学校医の身分は、地方公務員法におきまして、特別職の非常勤職員となっております。従いまして、これらの学校医学校教育活動におきまして公務上災害をこうむりましても、その補償が受けられないことになっております。  去る昭和二十四年七月、熊本県津森小学校の修学旅行に同行いたしました一学校医が、突風による乗船の転覆事故によって遭難し、二十二名の児童、一名の教師とともに、殉職いたしました事件は、当時天下の耳目を聳動させたのでありましたが、学校医公務災害補償についての法的規制がございませんため、適切な補償が行われず、遺家族をきわめて悲惨な状況に追い込んだのであります。またこのことが全国五万余名の学校医に与えました衝動も大きかったのであります。近年、学校行事に伴います各種の災害が学校内外におきまして頻々として起っておりますことは、まことに遺憾でございます。一方これらの学校行事に学校医が直接に参加いたしますことは、その運営上きわめて適切な措置であることは申すまでもありません。  すでに述べましたように、これらの行事に学校医が参加することは、きわめて必要であるにかかわらず、その際万一不幸にして災害をこうむりましても、補償については何らの法的規制がありませんから、この現状を改善し、学校に対する学校医の熱意と関心とを深め、学校医が安んじて学校保健に積極的に参画できるように、公立学校学校医の公務上の災害に対する補償を行うこととする必要があると存じますので、ここにこの法律案提案いたしました次第であります。  以下本案内容のおもな点について申し上げます。  まず地方公共団体は、その設置する学校の非常勤の学校医の公務上の災害に対して、補償をしなければならないことを規定いたしますとともに、その補償の種類を定めております。  次に、右の補償の範囲、金額及び支給方法等は、政令で定める基準に従いまして、地方公共団体の条例で定めることとし、その政令を定める場合には、国家公務員災害補償法の規定を参酌する等の規定をいたしております。  さらに、都道府県が市町村立の義務教育学校学校医にかかる補償に要する経費を負担することとし、国はその二分の一を負担することといたす等の規定を設けております。  その他、市町村教育委員会と都道府県教育委員会との協議、補償の実施についての審査請求等の規定をいたしたのであります。  なお、附則におきまして、本法律は、公布の日から起算いたしまして三箇月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することといたすとともに、関係法に所要の改正をいたすこととなっております。  以上、本法律案提案理由と、その内容について御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  38. 長谷川保

    長谷川委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。河野正君。
  39. 河野正

    河野(正)委員 ただいま上程になりました公立学校学校医公務災害補償に関する法律案につきまして、若干の質疑を行いまして、御所見を承わっておきたいと思います。  提案者も御指摘いただきましたように、今日まで公立学校学校医というものは、ほとんど無報酬に近いような待遇のもとに、いろいろと学校の保健衛生その他の業務に参加いたして参ったわけでございますけれども、しかしながらただいま提案者の御指摘のように、災害等につきましては何ら補償が行われない、このことにつきまして私どもも非常に遺憾に考えておったわけであります。そこでこの法案が通過するということになりますならば、今後学校医の熱意と関心というものが非常に深まっていって、学校医といたしましての与えられました使命がますます達成されて参るということにつきましては、私どもも全く御同感でございます。そこでせっかくそういう私どもが期待いたしますような法案でございますから、そういった法案の円滑あるいは完璧を期する意味におきまして、若干の質疑を行い御所見を承わっておきたいと思うわけでございます。  まず私がお尋ね申し上げたいと思いますことは、学校医が公務災害に基きましていろいろと補償を受けるわけでございますが、療養補償あるいは休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭補償、打切補償、こういったいろいろな列記されておりますような補償を受けるわけでありますが、問題は、学校医というものが特別職というような立場をとっておりまして、非常勤でございますし、その生活の本拠というものは別にあるわけでございます。ところが実際に災害をこうむりまして補償を受けます場合には、そういった補償というものが政令で定められると思いますけれども、一定の基準によってやられるということに相なって参るわけでございますけれども、しかしながら学校医の性格というものは、ほとんで開業というものを生活の本拠といたしておりますので、それぞれ個々におきまして生活的な条件というものが非常に異なっているわけでございます。たとえば具体的に申しますならば、非常に大きな病院を経営しておられる方もおりましょうし、あるいは小さな診療所の業務に従事しておられる方もおります。それが一たん災害をこうむって、これが政令で定めます同一の基準によって補償を受け得るということになりますと、補償を受けることにつきましては異論ございませんけれども、しかし災害をこうむりました学校医の受けます被害というものにつきましては、いろいろでこぼこができてくるというような結果になると思うのでございますが、これに対する点につきまして提案者はどのように御考慮をいただいておりますか、まずその点を明らかにしていただきたいと思います。
  40. 岡三郎

    ○岡参議院議員 今の御質問は、学校医立場と申しますか、営業している状態というものがいろいろと異なっているので、災害をこうむって補償を受ける段階になるとまちまちになるということですが、学校医というものが、それぞれ大きな病院を経営しているとか、あるいは町医者でやっているとか、いろいろな状態のあることは事実ですが、しかし一応の基準を国としてきめて、そうしてそれに基いてやるということによって、結果として相当経済的に恵まれておる者も、困窮しておる者も同一になるということは、法の建前上やむを得ないのじゃないかと考えております。従いまして、この点については、その内容についての検討はそれぞれの機関で十分することになっておりますから、できるだけ困っておる人を対象にしてやるということになりますが、しかし実際の部面としては同じにならざるを得ないだろう、こうせぬと、個々によって変ってくるということになると、その基準というものがまた非常にむずかしくなりますので、一応こういうふうな規定になったわけであります。
  41. 河野正

    河野(正)委員 その点につきましては、私ども立場から申し上げますと、やはり補償でありまする以上は、これは労災保険も同じでありますが、過去の実績に基きまして補償されるというような懸念もあるわけでございますので、できますれば私どもも、ただいま提案者から御説明いただきましたように、なるほど基準を定めることによって一応救済をしていきたいということは了承できるわけでありますけれども、しかし過去の実績において考慮するということは、やはり補償という建前からはきわめて私は重要な問題だというふうに考えるわけでございます。少くとも補償である以上は、過去の実績を尊重するということはきわめて重要だというふうに考えるわけでございます。  それから第二に指摘いたして御所見を承わっておきたいと思いますことは、大体基準というものが政令で定められ、その政令に基きまして地方公共団体が条例を定めるということでございますけれども、今日地方財政というものは非常に困難な状態に置かれておる、そういったことで、地方財政の状態いかんによってこのようないろいろの補償というものがでこぼこを生ずるおそれがありはせぬかというようなことも考えるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  42. 岡三郎

    ○岡参議院議員 ただいま指摘された点も実際の運用に当っては相当問題になろうと思います。しかし市町村立の義務教育学校にかかる補償につきましては都道府県もこれを負担する、そうしてさらに国としてその二分の一を支給する、こういうことになっておりまするので、今後の運用としては、都道府県あるいは市町村にこの趣旨を徹底して、そうしてこの法律に伴うところの補償というものをでこぼこにならぬように慎重に運営しなければならぬと思います。今後そういうことのでこぼこが起らないように法運営というものをしっかりやっていきたい、こう考えます。
  43. 河野正

    河野(正)委員 それからさらに一点お尋ね申し上げたいと思いまする点は、御承知のようにこの法案によりますると、市町村立の義務教育学校学校医がこの法律に基いて補償を受けるわけでございますが、その場合にあらかじめ都道府県の教育委員会と協議しなければならぬというようなことでございますが、この市町村の教育委員会で大体きめますることを、その以前におきまして都道府県の教育委員会とあらかじめ協議しなけければならぬということの意味が、多少私ども——もちろんこれは国ないし県がその二分の一を負担するということでそういったことが考えられておると思うわけでございますが、もしそのために市町村できめられようといたしまする補償額というものがいろいろ抑制を受けるというようなことが出てくるのではなかろうかというふうなことを心配するわけでありますが、さような危惧はないというふうにお考えになっておりまするかどうか、お伺いしたいと思います。
  44. 岡三郎

    ○岡参議院議員 ただいまの河野委員の御質疑でございますが、やはり法の建前上、市町村の教育委員会が案を作って、そうして県の方と協議をするということにやっておかぬと工合が悪いと思うのですが、特に財政負担を都道府県にかけるという点で、そういうふうに運営していきたいと思うわけです。それで実際面においては、やはり文部省全国教育委員会を通してこういう面についての十分な指導を行なっていかなければならぬ。さらにそれでもなお不均等が生ずるということになれば、これは審査請求もなされますので、そういう欠陥を是正していく方途も考えられておりますが、御心配の点が発生しないようにしていきたい、こう考えます。
  45. 長谷川保

    長谷川委員長 辻原弘市君。
  46. 辻原弘市

    辻原委員 提案者にそれに関連して承わっておきたいのでありますが、今回措置されようとする学校医方々に対する公務災害補償の問題は、これはまことにけっこうであります。教員の場合は国家公務員法の建前によっての補償が同様公務によって生じた場合は受けられる、こういうことに相なっておりますから、その間の均衡としては非常にいいのではないかと思います。ただ残る問題は、これは法の建前は多少違うでありましょうが、かねがねわが党から主張いたしております児童に対する災害補償の問題でありますが、法律の観念を除きますれば、やはりひとしく教育上生まれるいわゆる災害に対する補償の問題であろうかと思いますので、これら教育上生まれる災害補償の問題を、完璧を期するとすれば、当然教員、それから学校医方々、同時にまた教育の対象になっておる児童生徒、こういう関係にまで及ぼすのが考え方として妥当じゃないかとわれわれは考えておるのでありますが、この学校医方々の補償の問題を取り上げられる際、これは公務上の災害と限定をいたしておりますが、言葉を置きかえてみますと、教育上の災害であろうと思います。いわゆる学校という教育の場にあって生ずるそれらの災害補償であろうかと思いますので、児童に対する災害の補償の問題については、提案者の方ではどういうふうにお取り扱いになったか、これらの点にまで言及されて、関連ある事項として検討せられたかどうか、この点を承わっておきたいと思います。
  47. 岡三郎

    ○岡参議院議員 参議院の方といたしましては、衆議院の方に児童の災害補償に関する法律案が出ておることも承知いたしております。従いまして、この学校医公務災害補償に関する法律案を発議する場合に、それをどのように考えようかと検討した結果、参議院においては、今手元にその案文はありませんが、児童災害補償に対する委員会の決議をして、これを政府としては急速に措置しなければいかぬ、こういう決議をあわせて行うことによって、今後すみやかに児童災害に対する検討をして、これを法律案として提出するような方向が望ましい、こういうふうに委員会としてはこれを検討する際にやっております。
  48. 辻原弘市

    辻原委員 あわせて文部省に伺っておきたいのでありますが、承わればこの法案の審議の過程に、参議院としては、すみやかに児童災害について善処すべしという決議案をあげられておるようでありますが、この趣旨にこたえられて、それらの立法措置をおとりになる用意があるかどうか、政務次官から伺っておきたいと思います。
  49. 稻葉修

    稻葉政委員 児童災害補償法につきましては十分検討の上善処したいというふうに考えております。
  50. 辻原弘市

    辻原委員 あまりくどくはお尋ねいたしませんが、善処いたしますという政府の言葉は両三年来承わっておるのであります。両三年、研究いたします、善処いたします、調査いたしますという、この三つの言葉以外は承われなかったのでありますが、すでにかくのごとく国家補償を前提とした学校医に対する補償の問題も懸案として解決されたわけでありますから、そういう言葉でなくして、積極的にどういう目安でもって、また国家補償とするのか、あるいは相互扶助的な形とするのか、何がしかの方針はもう出ている段階ではないかと思うのであります。いかがですか、いまだ調査中でありますか、いまだ方針についての検討中でありますか、いま少し具体的に承わっておたいと思います。
  51. 稻葉修

    稻葉政委員 ただいまの御質疑には、公立学校学校医の災害補償に関する法律案についてもこういうことになって解決したからというお話でしたが、まだこの問題は解決していない。特に文部省としては見解も別にあるわけです。しかしながら、これとは別に、児童災害補償法につきましては、相当積極的に調査を進めておりますし、まだ今国会に間に合うという段階までいっていないというだけの話で、次期国会くらいまでには間に合せまして、御要望に応ずることができるのではないかと考えております。
  52. 辻原弘市

    辻原委員 これで終りますが、次期国会提出できるのではないかと思います、これを普通の文章に直してみますと、大体次期国会には提案できる見通しである、こういうふうに了解をいたしましたので、その言葉を後日の参考にいたしまして、われわれも一つ十分それに対して協力をして参りたいと思います。
  53. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はありませんか。——質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論に入ります。別に討論の通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕
  55. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。     —————————————
  56. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、盲学校、聾(ろう学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案議題とし、審査を進めます。質疑を許します。小林信一君。
  57. 小林信一

    小林(信)委員 私もこの法律案には賛成ですが、少し提案者にお聞きしたいところもありますのでお尋ねいたします。  まず第一番に、この法案の第一条に「この法律は、盲学校、聾(ろう学校及び養護学校における教育の特殊性にかんがみ、」と書いてありますが、提案理由の中にも多少そういうことを御説明になっております。私としては、もう少しこの特殊性というものに対する御見解をお聞きしておきたいと思うのですが、提案者の特殊性に対する御説明をお願いいたします。
  58. 岡三郎

    ○岡参議院議員 主として盲学校ろう学校でありますが、非常に気の毒な子供たちを何とか自活できるように教育したい、そうすると、小学校と中学校だけでは、あんまをやるにしてもはりをやるにしても、なかなか思うようにまかせない。特に小学校へ就学する前において、こういうふうな特殊児童は早期に教育になれさせ、そうしてその中において、小学校、中学校高等学校を通して何とか職業戦線にくみして自活できるようにさせたい。特に高等学校においてはそういうふうな必要が特段にあると思います。従いまして、他の一般の通常の子供と違って、教育的に実際方法を検討してきた人々の声を聞いても、幼稚部高等部というものは、普通学校における幼稚園、高等学校とは全然性格が異なるのだ、特に、職業教育を重視している建前から高等部というものは必須的なものである、こういうふうな見解に基いてこういうふうな法律を定めたわけでありまして、詳細に特殊性について申し述べればいいわけですが、以上でお許しを願いたいと思います。
  59. 小林信一

    小林(信)委員 私も提案理由を見せていただきましたが、述べられております御趣旨に対しましては私も賛成です。やはり幼稚部があり、高等部があり、しかもそれが一貫した形で運営されているという点を考えれば、確かにそれが一つの特殊性になるわけですが、ことに、盲学校ろう学校の生徒に対しては、こういう提案をするからには、その最も落してならない特殊性というものを強く認識しなければいけないと思うのです。というのは、多分提案者はそういうことは御研究なさっておられるのでしょうが、こういうところに明示されておらないことを非常に遺憾に思うのです。どこにでもそういう学校があるのじゃない、大がい一県に一つというような形で置かれております。そこに行こうとすれば、からだの不自由な子供ですから大がい寄宿生活をしなければならぬということにも当然なるし、さまざまな経費がかかろと思うのです。そのために、そういう学校に行かせようとしても行けない子供がたくさんおる。だから、こういう法律を作る場合に最も考えなければからぬことは、その経営の一貫性というような問題でなくて、あらゆるそういう該当者がこういう学校に収容されるために、こういうことをしなければからぬということが今一番必要じゃないかと私は思うのです。そうしてなるべく経費が低廉に済むようにしてやるということが、こういう該当者を多く収容する道になると私は思うのです。このことは、岡さんに御説明することは釈迦に説法になるかもしれませんが、しかしこういう提案理由だけでは、何か実体というものを忘れておるよう次感を与えているような気がしますので申し上げるのですが、そういうように考えて参りますと、この法案に盛られておりますように、この法律が作られまして学校給食幼稚部高等部にも適用されるということになりましても、法案内容を見るとまことに恩恵が少い。そういうただ一貫性の上から考えただけであって、もっとこういう身体不自由児が収容されなければならぬという現状考えてみるときには、施設の問題を見ましても、給食の実際におきましても、小麦粉や小麦が多少安くなるというような形で学校給食は事足れりというようなことでは、私は非常に不満であります。おそらくこういう点につきましては、提案者は一応この程度にして、さらにこういう段階を私たちは考えているのだというものがあるかもしれませんが、法案だけを見ますと、その注目するところがまことに部分的である、ほんとうの特殊性を把握しておらない、こういうような形で法律が通っても、その恩恵というものはまことに微々たるものである、今こういう学校に対して最も要望されているような最善の措置にならない、こういうことが言えると私は思うのであります。これに対して、そういうこともあるけれども、そういう点をあまりはっきりすると法律が通らないからというようなこともあるかもしれませんが、御抱負をこの際承わっておきたいと思います。
  60. 岡三郎

    ○岡参議院議員 今小林委員から指摘された点は御同感でありまして、われわれといたしましても小学校、中学校に与えられておるように、幼稚部高等部の生徒に対しても、教科書なり交通費なりさらに進んでその施設の改善等についても手をつけたい、こういう点で十分検討して参ったわけですが、予算も一応三十二年度予算としてはすでに決定済みでありまして、小部分でも本年度からこのような気の毒な子供たちに恩恵を国として与えてやりたいという点で、不十分ではありますが、このような法律案提出するようになったわけです。従いまして、われわれとしては昭和三十三年を期して——これは参議院の文教委員会における与党の委員の各位も積極的に予算獲得に邁進したい、こういうような申し合せ等もして、一まずこれを出して、三十三年度においては就学奨励費その他の点について、もっと積極的に、また学校給食の費用についても、就学奨励費の中でこれを出していきたい、こういうふうな構想を持っておりますことを御了解願いたいと思います。
  61. 小林信一

    小林(信)委員 そういうお考えは十分にあろうとは思ったのですが、しかしこうやって出されておる法律なんですから、従ってこういうことを申し上げたのです。盲学校ろう学校等の実際の運営を見ますと、そういう制度はあるけれども、十分な恩恵を与えることができないので、やみ制度と並べて、そうしていろいろな補助金等も獲得して、生徒たちの一人々々の負担も軽くして、なるべく大ぜいの者を収容しようということが行われておる、私はそういうことを見たのです。それが今度は先生たちがたまたまそれをいいことにして不正をやるということになって、盲学校ろう学校の経営の上にはおもしろくないことが多いのです。私はそういう点から、こういう法律を作っていく上においては、もっと根本的な問題を究明して、適切なる措置をしなければならぬと思うのでありますが、文部省現状から考えてこれに対してどういうふうにお考えになっておられるか。私は今のようなこの法案内容というものは非常に残念だと思うのです。実態の要求するものはもっと高度なものだと思う。しかも今ちょっと申し上げましたように、盲学校ろう学校を経営される校長さんや先生たちは、やってはならないことまでやって、そうしてなるべく生徒一人の負担を軽くしようということが行われておる。たまたまそれが不正だといって指摘されるようなことも往々にして聞いておるわけなんです。そういう現状を見ますときに、まことに今度は生徒たちがかわいそうなんです。辻原君のような指摘を受けることをおそれずに、文部省の態度をこの際お聞きしたいと思います。
  62. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 小林委員の御説、私どもまことにごもっともであると思います。一方において給食を今まではやみでやっておったのを、盲ろう学校の特殊性にかんがみて義務制と同じようにすることは非常にけっこうなことでありますが、同時に児童なり父兄の負担を考えますと、御指摘のように私どもも非常に気の毒に思うのであります。三十三年度の予算におきましては、ぜひ就学奨励費の補助の中にこの点をはっきりと加えるように、予算獲得のために最善の努力をいたすことを申し上げて御了承願いたいと存じます。
  63. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑を終局し、これより討論に入ります。  別に討論の通告もないようでありますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕
  65. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。     —————————————
  66. 長谷川保

    長谷川委員長 次に農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。竹尾弌君。
  67. 竹尾弌

    ○竹尾委員 ただいま議題になりました法案につきまして、提案者にお尋ねをいたしますと同時に、委員長にあらかじめちょっとお願いしておきたいのですが、これは文部当局にも至大な関係がある法案であることはもちろんのことです。そこで稻葉政務次官がお見えで、政務次官でもけっこうなわけですけれども、私もいろいろこれに体験を持っておりまして、政務次官の御答弁でもよろしいが、しかしこれはある意味で文教政策の一つの根本に触れる問題ですから、大臣もぜひ御出席を願いたいと思うのです。と申しますのは、きょうは委員長承知のように人事院総裁から自治庁長官からみんなお呼びしたのですが、全部やむを得ない、ほかにとられてこられない、こういうことです。これはある意味では文部当局だけではございませんが、提案者と文部当局に対しましてお尋ねしなければならぬ羽目に陥ったわけであります。と申しますのは、私も提案者の一人です。ここに名前がちゃんと書いてある。ところがこれはどういう事情か、私もこの提案理由についていろいろわからないところがある。提案者でわからないということはおかしいが、事実わからない点がたくさんございます。そこでそういう意味合いにおきまして——提案者は深刻な顔をしておりますが、そうあまりひどい質問はいたしませんから、ひどくなると速記をとめていただくようにお願いをいたします。(笑声)  この産業教育振興法は御承知でございましょうが、昭和二十七年の六月の幾日でありましたか、これは私が文部委員長をしたときに非常に苦労をして通した修正案でございまして、これは一度修正されております。そこでこれも御案内の通り、第三条の三に修正で入れてある。産業教育に従事する教員資格云々というのを入れたわけです。問題は、これにかかってくる問題でありまして、農業教員産業教育手当を支給するということについては、何の異存もございません。これはぜひ支給していただきたいのであります。しかしながら、これは片手落ちの点がございまして、農業教員に対して手当を支給するのであれば、これは何ゆえ工業の方に支給しないかということが、お尋ねの一点でありまして、この改正案を通すときも、問題は工業と農業のウェート、バランスをどうするかというようなことは、別に問題ではないでしょうが、農業教員とそのウェートにおいては、工業教員も決して劣っておらないのでございまして、むしろ数においては、現在も若干工業教員の方が上回っておる、こういうような現状なんで、それをなぜ落したかということが、結局お尋ねの重要な一点でございますが、それにつきまして、私はまず提案者にお尋ねする前に、大臣にお尋ねをしたいと思うのです。これは稻葉政務次官でもけっこうなわけではありますけれども、大臣から明白なる御答弁をしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  68. 長谷川保

    長谷川委員長 竹尾君に申し上げますがただいま竹尾君のお話のように、大臣を呼びに行っておりますから、大臣と関係のない点から御質問をしていただきますと、すぐこちらに来ていただけるのじゃないかと思います。
  69. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それではやむを得ず提案者に、まず最初にお尋ねを申し上げます。なぜ工業の教師を入れなかったかという点を、これは非常に大ざっぱですが、これからだんだん微細の点に入りますから……。
  70. 赤城宗徳

    赤城委員 竹尾委員から、産業教育振興法の改正についてお話がありましたが、竹尾委員委員長時代に大へんお骨折りをされて入れた条項であることは、私も承知しております。敬意を表しております。ただいまの質問でありますが、なぜ工業教員を入れなかったか、こういうことのようでありました。実はこの法律でも御承知だと思いますが、第三条で産業教育手当を支給する条件といたしましては、「農業又は水産に関する課程を置く国立の高等学校教員高等学校の農業若しくは農業実習又は水産若しくは水産実習の教諭又は助教諭の免許状を有する者」、それから第三の条件としては「当該農業又は水産に関する課程において、実習を伴う農業又は水産に関する科目を主として担任する場合」こういうことでありますから、農業教員、工業教員、こういう区別とは違いまして、この間に津はないと思いますが、実習を伴う、実習を主として産業教育手当を支給しようというのが、本案提案趣旨でございます。  そこで農業あるいは水産において実習をする場合も、工業において実習する場合も、大へんな差はないとは存じますが、段階的に考えまして、農業においては自然的な条件が非常にたくさんの要素を持っておるのではないか。それから実習の相手が生物でありますので、時間外の勤務等につきましても相当困難あるいは複雑性を持っておるのではないか、こういうことでありますので、まずもって農業及び水産の実習を伴う場合に、産業教育手当を出していきたい。工業の方面につきましても、いろいろ御説明があるだろうと思いますが、工業の方におきましても、実習の困難性や複雑性も当然あることと思います。しかし提案者としては、その方の検討をまだ十二分に尽しておりませんので、とりあえず農業及び水産に関して実習を伴う場合、これに対して産業教育手当を支給しようじゃないか、こういう趣旨でございます。
  71. 長谷川保

    長谷川委員長 この際、竹尾君に申し上げますが、一時十分に本会議の予鈴が鳴るそうでございます。時間もありませんが、ただいまの件につきましては、文部省としては一致した見解があるそうでございまして、もし大臣でなく、政務次官でよろしければ、政務次官からお答えをしていただきますが、いかがでございましょうか。
  72. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういう見解は、私も実は聞いておりまして、存じております。しかし根本の問題を一点だけお尋ねしておかないとはっきりしない。御答弁はわかっておりますが、それははっきりさせておかぬと困ると思いまして、申し上げるのであります。
  73. 長谷川保

    長谷川委員長 それではどうぞ御質問を願います。
  74. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで提案者にお尋ねをいたしますが、農業の方は調査ができておって、工業教員の方はできておらない。であるから、農業だけをとりあえずやられた、こういうような御答弁のようでしたが、そうでございますか。
  75. 赤城宗徳

    赤城委員 調査がしてはありますけれども、十二分とは申し上げられないような形であります。しかし農業と工業の実習とはむろん違いますので、たとえば工業においては、ある時間が過ぎれば実習を打ち切るというようなこともできますけれども、農業においてはち打切るということがなかなか困難である。しかし工業の方においても打ち切ることができないような実習もあるのです。そういう具体的な問題につきまして、残念ながらまだ十二分の研究をしてありませんので、農業の方はこれで差しつかえないが、工業の方については実習を伴う場合が相当あるので、これは研究の上次の機会に修正なりあるいは提案をしたい、こういうような気持を持っておるのであります。
  76. 竹尾弌

    ○竹尾委員 提案者の今のお言葉を結論づければ、とにかく十二分な研究がないから、それをあと回しにした、こういうふうに私とりますが、しかしいやしくもこういう法案提案する以上は、農業だけをやって、その影響がどういうふうに及ぶかというようなことは、十分お考えのことだと私は思うんです。赤城先生ともあろう者が、そういうことを御存じないはずがないので、そういう点でどうも私は提案者の説明には納得いかぬ点が多いのであります。工業の方も、いろいろ時間外の超過勤務というような形のものもあるであろう、こういうような話でございましたが、むしろあの当時法律改正する場合にも、工業の方に非常にそういうケースが多いから、それでまず変えなくちゃならぬ、こういうことで出発したものでありまして、これはこういうことをやると引き延ばしのようになって悪いけれども、そういう意味じゃないのですよ。工業の実習に関する教員及び実習助手などの時間外勤務というものは、非常に多いのです。深夜作業をするものが、電気科あるいは窯業、土木、機械、いろいろの面にわたって読み出したら切りがないほどたくさんある。それほど深夜業をやって、今のお説のような産業手当を出されるのであれば、当然工業の方にも出さなくちゃいかぬ。そういう点はおそらく赤城提案者もお調べになったことだと私は思うんですけれども、そういう点はどうですか、もう一度。
  77. 赤城宗徳

    赤城委員 御承知通り産業教育振興法が二十七年に改正されまして、第三条の三ですか、できました。教員資格、定員及び待遇について特別の措置を講じなければならぬ、こうありながら、じんぜんとしてこれに対しての実施を怠ってきたと言いますか、こういうことについては、私は政府当局に対してまことに遺憾に思っております。そういうことでありますから、われわれといたしましても、これを一つ実施面に移そうじゃないか。移させるにつきましては、一番はっきりしている方面からやっていこうじゃないか。工業の方面がはっきりしていないわけじゃありませんが、今御指摘のようにいろいろな工業の部門がありまして、これをわれわれの手で急速に調査を仕上げるまでには行っておらなかったのであります。でありまするから、決して工業関係を粗末にするとか無視するとかいう考えは持っておりません。ただいま御指摘のようなことも大体においては了承しておるのでありますが、農業の方なら問題なしに取り上げることができる。工業の方面もそういういろいろな実習状態がありますことを私も承知しておりますから、そういうことをとくと調査の上工業関係も含ましていきたいという気持を持っておるのであります。繰り返すようでありますが、十二分なる調査ができておりませんので、とりあえず捨てておかれた第三条の三の実施を農業方面から行なっていこう、こういう考え方から本案提出した次第であります。
  78. 竹尾弌

    ○竹尾委員 お話の御趣旨はわかったような、わからないようなことなんで、お互いに議員立法をやっておりますから、いかに議員立法を作ることの困難かくらいは十分わかっておる。そういう場合には、それこそあなたのおっしゃられる十二分の用意と準備をもってかからぬと、法案というものはうまく通りません。これは御承知通りです。そこで私がその点を一つお尋ねするのですが、産振法の改正ができてからきょうまで、実際じんぜん日を伸ばして、何ら手を打たないということについては、文部当局も大いにその責任がある。私も文部省にいた関係で、私だけ責任がないとは言いませんけれども責任がある。何ゆえにかくのごとく日を延ばしたかということについても、これは内藤局長でけっこうですから、あとからお尋ねをいたしますが、とにかくこれだけ延びてしまった。でありますから、私の考えでは、そういう教員の対象になるものは、そうたくさんはありませんけれども、しかし考え方によっては非常に大きな問題でございまして、産業教育現状をくつがえすか、あるいは伸ばすかというほどの問題だと私は思うんです。でありますから、私はこういう質問は絶対にしたくもないし、大体御承知のように私ぜんそく病みなんで、あまり質問はしたくない。やむを得ず私はきょう質問に立ったような次第でございます。この点は赤城提案者において十分御承知下さることと思う。とにかく問題は相当重要性をはらんでおりまして、そういう法案——農業だけ十二分に調査をして工業の方は調査をしない、しかもどうしてもこれを通さなくちゃならぬというようなところに、私はどうも割り切れないものを感ずるのでございますけれども、その点はいかがなものでございましょう。
  79. 赤城宗徳

    赤城委員 御質疑でありますが、農業だけは通して工業だけは通さないというような御質疑らしくも聞えましたが、決してそういう意図ではありません。農業の方は、今の実習に伴って工業よりは自然的条件、あるいは生物を相手にしているので、本来超過勤務手当等を出すべきでありますが、学校教員等については規定上超過勤務手当がありません。そこでほんとうは人事院の規則で一般職の給与の面からやるべきでありますが、これもできない。あるいはまたそのほかいろいろ研究いたしましたが、結局産業教育振興法の第三条の三の実施規定のようなもので、法律としてはまことにおかしいのですが、それでいこう、こういうところにだんだん研究して持ってきたのであまりす。そこにおきまして、繰り返すようですが、工業の面においては非常にまだ複雑な点もありまして、調査が不十分なんです。調査ができているこの方面から一つ片づけていこうじゃないか、こういうことから農業の方を取り上げたので、決して工業をネグレクトするということじゃない。実際上の問題として、御承知通り議員提出法律でありますから、政府とかスタッフを持っているわけではありません。いろいろ調査をするにつきましても、個人的な調査あるいは党の方の調査によらざるを得ないのであります。その調査がまだ未完了といいますか、十分にしておらないという事情から、工業の方よりも農業を先に片づけていこう、こういうことで、工業の方面を無視するということは全然ないということだけは、御了承願えると思います。
  80. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私も無視するというような言葉を今申し上げた覚えはないし、無視するとは毛頭思っておりません。それは大いに重要視している。それに相違ないのであります。それはお互いに議員であり、しかも文教に携わっている議員としては、そんなことはあるはずがないので、そういうことは毛頭疑っておりません。しかしながらこの際急いでとにかく調査ができている農業方面、こうおっしゃいますが、これも時間があればいろいろお尋ねしなくちゃなりませんが、これでも完全に調査ができている、こうはっきり断言もできないのじゃないかとも思います。そこで工業をあとにするということは、産業教育振興の上にむしろマイナスの影響を及ぼすと私は思うのです。そこでもしそういう調査が行き届かなかったならば、これは党の政調会もありましょうし、そのための専門員室があるのでございます。かつて産業教育振興法が通ったときも、あれは議員立法で専門員室でほとんど骨格を作ったわけなんで、現在そういう機関があるのでありますから、そういうところにも御連絡をとられて調査をされれば、何もそうむずかしいことばかりではないと思うのです。でありますから、工業を無視するとは私は断じて思っておりませんが、ただそれだけを早一急に通して、あと工業に移ろう、こういうことをおっしゃられても、事はしかく簡単には参らぬということを心配いたしまして、お尋ねを申し上げるのであります。人事院への皆さんの折衝も私は全部知っております。それから人事院がどういう態度であったかということも、私なりにわきまえております。しかしそういう隘路があるから、農業だけは調査が十分届いているから、どうしてもこれをやるのだ、そういうわけでこれを早く通さなくちゃならぬという点は、しつこいようですが、私はどうも納得がいかぬのです。これを一度お答え願いたい。同時にあとから内藤局長に、なぜ今まで延ばしたのだということの御回答を願いたい。
  81. 赤城宗徳

    赤城委員 産業教育振興法第三条の三の規定は、御承知通り産業教育に従事する教員を優遇して、優秀な人材を産業教育界に誘致しようということと、他面勤務内容の適正によってこれに相応する待遇方法を講じようということでございますから、別に農業と工業というところに差別をつける理由はないはずであります。しかし前に申し上げましたように、農業関係については、はっきり自信を持って提案が出せる。工業の方面においてもこれは出すべきでありますが、調査が不十分であるということを繰り返して申し上げております。  そこで、農業だけは取り扱って工業をあとにするということは悪影響を与えるのじゃないかという御意見でありますが、あるいはそういう考え方もあるかもしれませんが、実習を伴う学校教員に百分の十だけの産業教育手当を出すという制度をここに新たに取り上げるということは、これは工業方面の人々が変な頭で考えなかったならば、これは農業から工業と、こういう方面の給与がよくなるので、実習に従事する者に対してこういう産業教育手当というものが出るのだという希望が持てる。ここで打ち切ってしまうということではないのですから、私の考え方では悪影響はない。むしろ非常にいい影響といいますか、期待の持てることじゃないかと思います。  もう一つ予算の点でありますが、実はこういうことをやろうということで、予算の方も折衝いたしまして、自治庁の財政需要額の中に一億六千万円程度の予算が計上されておるわけであります。こういうふうに予算の面におきましても、まず農業関係から取り上げていこうというような予算関係の裏づけもありますので、そういうことからも農業関係を先に取り扱ったわけであります。実際の調査によりますと、この法律が施行されれば農業関係が七千四百八十二名、水産関係が四百二十九名、合計して七千九百十一名で、月額百分の十の額を支給すると、約二億二千万円の経費が必要のようであります。現在予算といたしましては、一億六千万円という予算が、農業関係を主として扱おうじゃないかという形から財政需要の額の中に見込んでおります。そういう点も考えまして、先ほど申し上げました、調査の点もまだ十二分にとはいかない工業を第二段階的に取り上げていこうじゃないかという考え方から、本案提出したような次第でございます。
  82. 竹尾弌

    ○竹尾委員 提案者に対するお尋ねはあとにいたしまして、私、大臣をお呼びした関係で、大臣にまずお尋ね申し上げたいと思います。  それは私も非常な熱意を持っており、ぜひそうしていただきたいと存じておりますけれども、去る四月の二十日に坂田道太君から出された教員養成機関の改善と自然科学振興云々に関する決議案が通ったことは御同慶にたえません。そこで大臣が、自然科学の教育の振興をはかると言われることは、具体的な表現としては、産業教育等を振興させるということ、これは表裏一体のものであるというように感じますが、その点はいかがでございますか。
  83. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 科学技術教育の振興という問題につきましては、しばしば私の考えを申し上げたわけであります。また先般は衆議院におきまして全会一致をもってこれに関する御決議もあり、その御趣旨を体してできるだけ努力をいたしたいと思います。その内容といたしましては、申すまでもなく、ただ単に大学教育を振興するというのではなしに、小学校より大学に至る全部の課程を通じます科学技術教育の振興に資する方策を求め、これを実行して参りたい、かように考えている次第でありますので、お話のように産業教育、理科教育の振興ということは、もちろんその検討の内部に含まれていると御承知を願いたいのであります。
  84. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと、来年度はさらに積極的に産業教育に対して力を注がれるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  85. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 適当な方策を検討し、それに基きました計画を立て、来年度予算におきましては積極的にこの方面の推進をはかりたいと考えております。
  86. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それで一応わかりましたが、先ほど局長からの答弁をお願いしてありますので、それはどういうわけで延ばしてきたか、これは赤城委員とともにお尋ねいたしたいところであります。
  87. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 御承知通り産業教育振興法第三条の三に、「特別の措置が講ぜられなければならない。」こういうふうに規定してありますが、規定の仕方が実は非常にあいまいな点がございますので、先ほど提案者の赤城委員からもお話がございましたように、超過勤務にするのか、あるいは特殊勤務にするのか、あるいは特殊勤務手当を出した場合に、他の公務員とのつり合いの問題、こういう点が人事院、大蔵省給与課等で非常に問題がありまして、私どももこの五カ年間、実は怠慢であるというそしりは免れないと思いますが、いろいろ苦労を重ねて参ったわけでありまして、ある程度の了解がつきかけておったのですが、最終的には、結果としてははなはだおもしろくなかったのですが、実はこういう形で議員提案が出されたゆえんも、そこにあったと私記憶しております。
  88. 長谷川保

    長谷川委員長 竹尾君に伺いますが、まだ質問は続きますか。
  89. 竹尾弌

    ○竹尾委員 まだ序の口です。ここまで切り出した以上は、もう少しやらしてもらわぬと……。私は時間を延ばすとかいう意味じゃないのです。非常に大事なところですから……。
  90. 長谷川保

    長谷川委員長 この際暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  91. 長谷川保

    長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹尾弌君。
  92. 竹尾弌

    ○竹尾委員 引き続きお尋ねいたしますが、先ほど提案者は、自治庁の基準財政需要額の中に一億六千五百万でございましたか、盛り込んでおる、こういうお話でございましたが、これは予算明細書のどの項目に入っておりましょうか。——それではこれは政府当局が来てからお尋ねをいたしましょうか。どちらでもけっこうです。  それではもう一つお尋ねいたしますが、基準財政需要額の中に入っておる、こういうお話でございましたが、その積算の基礎や何かについても不明な点がございまして、果していうところの予算がついておる、こういう工合にはとれないのじやないか、私はこういうふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  93. 赤城宗徳

    赤城委員 積算の基礎でございますが、当時文部当局と自治庁と折衝いたしまして、また大蔵省とも私ども話し合ったわけですが、大体百分の十という基準を向うへは話しておるわけであります。正確なことは申し上げられませんが、その程度において積算の基礎はできておる、こういうふうに了承しておるわけであります。
  94. 竹尾弌

    ○竹尾委員 農業の先生方にだけこれを与える。そして工業にはとにかく与えておらない。こういう点につきまして、実は大蔵当局もお呼びしたのですが、どなたもおいでになりませんので、ちょっとこれも文部省から聞かなければあるいはわからぬかもわかりませんが、そういう点でもしお気づきの点がありました、一つ御答弁願います。
  95. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほどから御答弁申し上げていますように、農業の方から片づけていこうということで折衝いたしておった関係上、積算あるいは予算等も、農業という考え中心といたしまして計上した、こういうふうに私は了承しております。
  96. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういたしますと、この額にさらに若干の額を加え、そして工業の方にもそれを潤すというようなことにつきまする大蔵当局の——これも当局の意見になりますが、どなたもいらっしやらないのでまことに残念なんですが、こういう点についても私は非常に疑問があるのであります。今提案者は、まず農業方面をやって、それから工業にこれを及ぼすというお考えのようですが、これにつきましては、私は実は自信がないのでございまして、ただいま提案者は、こういうことを工業の方でもやってやるから、工業の方ではこれに反対する理由がないのだというような御答弁のようですが、  私はここに問題があると思いますので、なかなかそう簡単には参らぬ、こういう工合に考えております。その点につきまして、もう一度御答弁をお願いいたします。
  97. 赤城宗徳

    赤城委員 その前に先ほどの積算の基礎ですが、これは自治庁の方とは別に、私の方にも、自治庁の計上した予算に近いものの積算が出ておるのでありますが、農業、水産合計で七千九百十一名ありまして、月額の百分の十を支給するということになると、二億一千九百十六万円でございます。それから工業に関する方面の調査をいたしますると、五千七百八十六万人ありまして、一億六千ばかりになるのであります。でありまするから、農業関係でも、私どもの計算からいうと少し足りないのでありますが、こういう基礎で積算はできておると思うのであります。それから今のお尋ねの、工業関係が反対ないというようなことではないじゃないかということでありますが、これは反対もあるいはあるかもしれませんが、この法案趣旨といたしまして、とにかく多年の懸案であるところの問題を一つ解決した、俗な言葉でいえば、突破口を開いたということでありますから、これに続いて工業の方面においても希望を持てる、また私どもといたしましても、工業の方面を軽視するという気持はありませんから、これを段階的にやっていきたいということで、あるいは次の国会等におきまして法律を修正するか、あるいは別の提案にいたしますか、そういうことで、一つ突破口を作ったのだ、次にやろうということでありますから、あるいはいろいろな点で反対があるかもしれませんが、そういう希望、期待が持てるので、工業の方面においても、私はそう長い期間ではないうちに解決をしたいと思うので、反対があるかもしれませんが、反対をしていただかないような了解を得たい。また竹尾委員などからも、私の気持を徹底させるといいますか、その点を了解させていただくことを私からもお願いする次第であります。
  98. 竹尾弌

    ○竹尾委員 反対があるかないかということは、ある面からいえば主観的な問題にもなりましょうけれども、大体この改正案が出たときも、工業は非常に骨を折りまして——これは農業も骨を折ったでしょうが、できた法律でありますから、今は工業に対して一つも手当を出さないということになると、当然そうした不満が起るのは人間の常であって、現にそうした不満が起っておる、私はこう思います。事実起っておると断言しても差しつかえないと思います。そこでそうしたことを起さないようにするということは、私もある意味で同僚議員でありまする以上、これはやぶさかではありません。それは大いに努力はいたしますが、事実そういう不満がある。そうした不満も押し切ってまでやらなければならぬというところに、私はどうも割り切れない点があるのであります。赤城委員の今のお話の中にも、これを突破口としてやるのだ、こうおっしゃられましたが、あるいは次の機会に出すかもしらぬ、こういう程度なんで、これは次の機会に絶対出すのだというような強い気持であれば、まだ多少納得がいくかもしれませんが、あるいは次の機会に出すかもしらぬというようなことでは、私はますます心配になるので、工業学校先生方の気持云々よりも、私が非常に心配しておるのです。でありますから、この点につきまして、もう少しはっきりしたお答えを願わないと、ただ来議会出すかもしらぬじゃ、大へんな問題だと思うのです。
  99. 赤城宗徳

    赤城委員 あるいは出すかもしらぬという意味は、一たん法律になりますれば、あるいは政府から出されるかもしれない、もし政府から出さないときには、議員提出として責任を持って出す、こういう意味で、あるいは出すかもしらぬというのは、出す方法について申し上げたのであります。出さないということは、あるいは出さないかもしらぬという意味にはおとりにならないように御了承願います。
  100. 竹尾弌

    ○竹尾委員 この法律が制定されたあとと、今審議中の現在では情勢が変るかもしれません。変るかもしれませんが、文部省の意向としては、これは赤城委員が特に身にしみて感じられたかどうかは別として、この法案では非常に御苦労された。文部省で出させようと思ったら出さないのだ、こういうお話だった。その出さないという意向の文部省は、法律一つ作ったからその改正をすぐ来国会に出すなんというなまやさしい考え方ではないと思う。だからそういう点で、どうも私はお尋ねすればするほど不安が増すのでありますが、その点いかかでございましょう。
  101. 赤城宗徳

    赤城委員 政府で出さなければ議員提出としてやります。これは私個人の意見じゃありません。党議にきょう諮りました。提案者の一人である坂田委員から、党議に諮って、これは次の段階においては工業あるいは商船、こういうものも入れるということになっているのですから、私一個の考えではありません。だからもしも政府が出さぬということでありまするならば、政党政治でありますから、党の一貫性からいいまして、どういう人にかわっても出させますし、もしそれでも出さぬということであれば議員提出としてでもやる、こういうことでありますから、一つ信用していただきたいと思います。
  102. 竹尾弌

    ○竹尾委員 きょう党議できまったということでありますと、私はそういうことは存ませんから、ただあるいは出されるかもしらぬということだったら、心配もしましたが、それでも私の心配はそれで解消したということではもちろんないのです。党議できまった、きまれば政府に交渉して政府に出させるか、政府が出さない場合は、党議できまったその法案というのは、やはり議員立法になりましょう。これはどうですか。
  103. 赤城宗徳

    赤城委員 御説の通りでございます。
  104. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで一つ大臣にお尋ねを申したいのですれども、この法案を議員立法として出される前に、いろいろと折衝を重ねられたと思っております。そのとき私の聞いたところでは、結局文部省は反対である、こういう結論に到達をした、人事院もその通り、大蔵省もその通りというようなことでありましたが、たがほかの役所はともかくとして、文部省としては、この法案に対してどういうお考えをお持ちでございましょうか。
  105. 長谷川保

    長谷川委員長 この際竹尾君にちょっと申し上げますが、聞くところによりますと、社会党ではやはりこの工業その他の関係をぜひ今回の何に入れるようにということが強い党議できまったようです。しかしいろいろな事情からいたしまして、今日の方針は変えたようでありますが、もしただいまお話のような御疑念がありますならば、社会党としましても、この次の国会におきましては、必ずこの法案に工業その他を入れて改正するという強い党議の決定をしておるようであります。従いまして、それらのことにつきましては、自民党側もそういう御意向でありますから、御納得いただきたいと思うのであります。何分にも本会議の終局の時間が迫っておりますので、なるべく簡単にお願いいたします。
  106. 竹尾弌

    ○竹尾委員 内藤局長だけちょっと呼んで下さい。
  107. 長谷川保

    長谷川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 長谷川保

    長谷川委員長 では速記を始めて下さい。  灘尾文部大臣。
  109. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの案件に対しましては、いろいろ委員各位の間にも御意見がございましたし、文部省といたしましても、事務当局の手元におきましては、人事院その他とも、いろいろ相談をいたしておりましたようなことでございますから、別にその際、事務当局が賛成とか反対とかいうふうなこととはなかったかと思うのです。この機会に本案に対する政府の所見を申し上げたいと思います。  産業教育に従事する教員の待遇につきまして、特別な措置を講ずることについては、産業教育振興法第三条の三の規定もあり、その趣旨には賛成でございますけれども本案につきましてはなお種々検討すべき問題が残されておりますので、政府といたしましては、今にわかに賛成しがたいのでございます。
  110. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私もまことにそのお言葉には同感でございます。いろいろの御都合、いろいろの研究すべき点があるから、にわかに賛成ができない。これは当然大臣のお考えでもあろうし、文部省のお考え方であろうと思いますが、私もその通り考えるのです。何も農業の先生に手当をやっちゃいかぬなんということはない。それ自体に対しては賛成ですが、今大臣のおっしゃられた通りであります。  そこで時間も切迫しているそうですから、私はあまり引き延ばしませんが最後に一点だけ、これは大臣じゃありません。大臣は御退出願っても、ほかに質問者がなければけっこうです。局長に伺いますが、今一億六千五百万ですか、この基準財政需要額の中に入っておるという提案者の御説明でございますが、これはあなたであれば予算書——赤城さんだってわかるに違いないけどれも、この中のどこに入っているかということを一つお尋ねしたいのです。
  111. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 地方財政計画は、別に国会提出されておりますので、この予算書には地方財政計画は関係ございません。ただ地方財政と密接な関係がありますのが、交付税交付金でございます。交付税交付金の額が、本年度御承知通り所得税、法人税、酒税の二六%が計上されておりますので、これを基礎にして地方財政計画を立案したので、これは自治庁から国会提案されておることでございます。この際に一億六千万というものが考慮されたということは事実でございます。
  112. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと、考慮されたという程度でありまして、実際は表面には予算は組んでないのだ。ただそうした交付税の中に突っ込みでぶち込んである、こういうことでございますか。
  113. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 この法案に支障のないだけの財源措置がされておる、こういう意味でございます。
  114. 竹尾弌

    ○竹尾委員 だから、どういうふうに、どういう工合にされたおるのかということになるのです。今あなたのおっしゃるのは、それを説明したのでしょうが、ちょっとわからぬように説明してあるから、もう少しわかるように……。
  115. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 これは地方財政計画でございますので、ちょっと国庫負担金と違いますので、この法案に必要な予算が見込んでありますので、もしかりにこの法案が通過いたしますれば、支障のないように財源措置してありますし、また地方ではそれを必ず実施できるであろうと私どもは期待しております。
  116. 竹尾弌

    ○竹尾委員 その見込んであるということがわからない。どういう工合にして見込んであるのか、それをはっきりしないと、ただ見込んでありますということではちょっと納得いかぬですね。
  117. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 そのお尋ねでございますが、これは地方財政計画の中で、たとえば教員の俸給が幾らであるとか、それから勤務地手当が幾らであるとか、こういうふうに計算をいたしますから、農水産の関係のものにつきましては、一億六千万ほどの分が、高等学校の経費の中に増額されておるわけでございます。
  118. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今の答弁によれば、内藤局長は何もかも知っている。私は知らないはずはないと思う。そういう工合に、ここで具体的になってきた。そういうように高等学校教員に充てる交付税ということだから、それでよろしい。そういうことですね。  そこでその交付税が高等学校の分として本年度大体幾らくらいになっておりますか。
  119. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 今年度増額いたしましたのは、義務教育を含めて約二百億ほど増額いたしました。そのうち、高等学校の経費は、従来高等学校の経費が非常に低く算定されておったので、これを大幅に増額いたしまして、約八十億ほど見込んでおりますが、この農水産の手当の関係につきましては、一億六千万見込んでおるわけであります。
  120. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういうようにはっきり説明してくれれば、すぐわかるのです。それを何とかかんとかいっているから、どうもおかしいのです。知っていて、それを言わない。そこで八十億増額されておる。その中に一億六千五百万というのが入っているのですか。——そういうことだ。そうなると、その中で、もし万一この法案が通らなかった場合とか、あるいは工業をふやすという場合には、とにかく八十億あるのだから、この中で操作ができるものであるかないかということをお尋ねしたい。
  121. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 その八十億の内訳というものの積算の基礎がございますので、どういうものに幾らというふうに積算の基礎が一々明瞭でございますので、この農水産の関係の分としては一億六千万加わっておる、こう申し上げざるを得ないのでございます。
  122. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それはそれでよろしい。積算の基礎も明らかである、こうおっしゃるけれども、しかしとにかく八十億は高等学校先生給与でしょう。(「ほかの費目だ」と呼ぶ者あり)ほかの費目ではない。これも高等学校の費目だろう。この交付税というのは、もとの平衡交付金と似たり寄ったりのものだ、そうでしょう。どうですか。だから、これの増減ができないとかなんとかいっても、やろうと思えば、できるのですよ。やろうと思えば、必ずできるに違いない。どうですか。
  123. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 農水産の手当として一億六千万計上しておるだけでございます。
  124. 竹尾弌

    ○竹尾委員 八十億増額したのだから、それはいろいろ費目がありましょう。それはわかっているけれども、その費目が絶対不動の固定のものであるというような考え方がおかしいのであって、折衝の次第によっては、どうでもなることです。だからそういう努力をされるかされないか、これは自治庁の方がいないからどうにもしようがないのだけれども……。この坂田青年が一生懸命になって僕の質問を阻止してどうしても上げてくれと言うから、私も実に不満この上ない。手当をやることには何も不満じゃありませんよ。しかしこういう片手落ちのことをして、そうして農業高等学校と、それから工業課程を一緒にした学校がありましょう。日本全国で幾らあるか、わかりましょう。これは八十何校かあるのですよ。これは私の千葉県にだって、野田実業高等学校には化学工業科と農業科がある。そういう学校給与が、赤城委員が言われるように、やがて工業課程の先生にも手当を出せば、かりに来国会から手当を出すようにすればですよ、六カ月か七カ月後にはアンバランスがとれるかもしれぬけれども、このままではそうじゃない。一方で上げれば片一方は悪くなる。同じ学校内で混乱が起ってきます。そういうことを急いでやらなければならぬかということです。それはやる必要はないということは文部省の御意見だから、あなたも私に賛成しておると思うのだ。だから、そばで時間がないと言うし、同僚の代議士でもあるから、私は実に不満やる方ないけれども、まあ今回はこの程度にとどめておきます。こういう青年が再びあやまちのないように一つやってもらいたいと思う。私は敗北いたしましたが、ほんとうにやれば大いにこれからやりたいし、いろいろ方法はあろうけれども、私も自民党の党員ですから、党に迷惑をかけてはどうかと思うので、けしからぬと思うのだけれども、今回だけは一つ目をつぶって、私はこの程度質問を終ります。ただし決議には私はやむを得ず加わりませんから、それだけ御了承を願います。
  125. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  この際、国会法第五十七条の三の規定により、本案に対する内閣の意見を聴取いたします。灘尾文部大臣。
  126. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 産業教育に従事する教員の待遇について特別の措置を講ずることにつきましては、産業教育振興法第三条の三の規定もあり、趣旨には賛成でありますが、本案にはなお種々検討すべき問題が残されておりますので、政府といたしましては今にわかに賛成しがたいのであります。
  127. 長谷川保

    長谷川委員長 これより本案討論に付します。別に討論の通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕
  129. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決するに決しました。  この際辻原弘市君より発言を求められております。これを許します。辻原弘市君。
  130. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま可決を見ました産業教育手当支給の法律は、その審議の過程におきましても、竹尾委員より、農林水産と工業との間における取扱いの不均衡という点を強く指摘せられ、不満の意思を表明せられたのであります。さらに産業教育を担当する高等学校にあっての実習助手の立場はきわめて重要でありまするが、本法律にはこれら実習助手の手当については何ら規定せられておらないのであります。従って私といたしましては、この不均衡の問題よりも、実習助手を除外いたしたという点について、きわめて片手落ちの措置であるということを重ねて指摘をいたしたいのであります。まことにこの点に関する限り不満の意思を表明せざるを得ません。しかしながら産業教育振興法第三条の規定は、できる限りすみやかにこの種待遇改善の措置を講ずることを期待いたしておる趣旨がありますので、この点にかんがみまして、次善の策として、先刻この法律に対して賛意を表明いたしたのでありますが、この際さらに法律趣旨の完璧を期するために、ここに自由民主党、社会両党の共同提案にかかります附帯決議を提出いたしたいと思います。    附帯決議案  産業教育の重要性にかんがみ、政府は農業高等学校及び水産高等学校とこれら以外の産業教育をなす高等学校との間における均衡を保持せしめるため、特に工業高等学校及び商船高等学校に対しては、昭和三十三年度において、同種の教員に対する産業教育手当を支給し得るよう所要の措置を講ずべきである。  なお、産業教育をなす高等学校における実習助手の職務内容は、教員に準じ、極めて重要にしてかつ、特種の性格を有する点にかんがみ、政府は、昭和三十三年度において、前項記載のそれぞれの学校における実習助手をも、産業教育手当支給の対象となし得るよう所要の措置を講ずべきである。
  131. 長谷川保

    長谷川委員長 ただいまの辻原君の動議に対し御発言があればこれを許します。  別になければ、これより採決いたします。辻原提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  132. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案は、附帯決議を付するに決しました。  次に、本日議決いたしました四法案委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  本日はこの程度とし、次会は明十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時三十六分散会