○高津
委員 私は、今から三十数年前に、そこに来ておられる
大久保大臣が、満州及び北支方面に出張されて、われわれが国外へ脱出するのを一生懸命に守っておられたのでありますが、やはり
警察関係の担当の
大臣になっておられるので、この際特に一言重要な問題を申し上げたいと思うのです。それは
一つの政党の政治家、あるいは長く続いておる多くの内閣の、その
一つの内閣の行動が国の運命にも大なき影響を及ぼすということを私は思うのであります。大正九年ごろに
警察の取締り方はどういうものであったかというと、われわれがメーデーに参加しようとすると、みんなそれを引っぱってしまうのです。会場に集まろうとすると、入口にわれわれの顔を知った者が何十人もいてみんな引っぱってしまう。途中で行列に入ろうとすると、それをまた引っぱってしまう。仕方がないから、前の晩に隠れようと思うと、それを全部前の晩に予備検束といって引っぱってしまう。その次の年は一日早目に逃げようと思うと、それをまた一日早く検束してしまう。それでも家の中におれば検束しないのです。出たところをつかまえるのです。しかしその後弾圧はいよいよ激しくなって、家の中でメーデーの歌を歌っておると、土足でかけ上ってそれをみんな引っぱってしまう。こういうように乱暴になって、そうして戦争へどんどん深入りをしていったのでありますが、今
日本はただ
一つ世界に誇るべき、文明史的に見ても誇るべき名誉のものを持っております。昔は特攻隊が世界一だといい、綿製品の輸出が
日本は世界一だといっていばったこともあるが、今
日本は全く世界に誇るべき
一つの宝のようなものを持っております。気づいておる
人々は非常に少いのでありますが、私が言えば、それはそうだとみんな反省するに違いないことであります。クイズのような表現になって恐縮でございますが、それは原水爆禁止の平和運動において、
日本が初めて世界をリードしておるこの姿であります。この平和運動をかくばかり盛り上げてきたのは革新勢力でありますが、この大津波の前にはほおかむりをしていると損をするというので、才人である岸さんは、乗りおくれてはいけないというので、松下特使を送ったところが、予想外の成功で、英国の労働党も動き、西ドイツも影響され、全世界が非常に動くような態勢を生んできたのでありますが、これは
日本の革新勢力が原水爆実験禁止、使用禁止、製造禁止で署名運動を非常に盛んにやって、青年も婦人もの投票をひっくるめてその勢力に入ってきたから、それゆえに世界が
日本について動かねばならないような
状態になり、ソ連も
日本とこの問題について共同提案をして、
日本が共同提案者となって、アメリカとイギリスに提案しよう、こういうようなことまで言ってくるようになったのであります。私はこの平和主義運動とそれから民主主義運動というものは表裏一体の
関係をなしておるものであると思うのだが、民主主義が
日本でくずれたならば、この名誉ある
日本のただ
一つ持っている世界に誇るべき宝のようなものを失うことになるということをおそれるのであります。総評の中で量的には一番大きな勢力である教組を目がけて不当弾圧行為で臨んでおるのでありますが、このことは、いやしくも
教員の大集団であり、
教育家でありますから、これにはよほど慎重に、よほどお手やわらかに、婉曲に、ストレートで突き当らずにやるのでなければ、悔いを千載に残すと思う。私はこのような攻撃を日教組に加えるということは、現在の組合運動を
一つの混乱
事態に陥れるものだ、熾烈なる対立抗争を呼び起す。私は
一つだけ覚えておる英語の言葉があるが、プロボーク、これが一番当るのです。あなた方が好んでそういうものを引き起す、呼び起しておる姿でありますが、そんな深い意味がある、そんな大きな問題を今呼び起しつつあることを全く知らないで、末の末の末のことのように考えておられるが、これは大へんなことになって、そのもとをなしたのは一体だれなんだ、そのときの
大臣は謹厳そのもののような顔をして座っておった
灘尾弘吉という者であるというようなことに歴史家は評価するのでありまして、三十数年前に高津正道その他の者を追っかけ回しておった人間が、またそのとき現われてきておって、ともにその
大臣の職に連なっておった。スズメ百まで踊りを忘れずで、ずっとその本心を無拘束で、まる出しにして、
日本を誤まるものであると私は思うのであります。今度の首切りのあの大量発表といい、これよりどうなるのですかね。必ず
責任を負いますか。実に私は憂慮にたえないのでありまして、今からでもおそくはないから、
佐賀県の問題については深甚なる反省をされて、残務整理に入られねば困るでしょう。何らかの手の打ちようがあるので、腹芸の政治家も、自民党の中にも、内閣の中にも——岸さんが行かれる前の
日本の
状態は少し静かでなければならないはずであると思うのに、大へんな大混乱時代、国鉄の民同は勢力を弱めて、革同よ強まれといってこの内閣があおっておる姿でありますが、革同くらいではだめであって、少し右翼の方へ行ってはどうかといわぬばかりのような
態度、そういう政策を現在の内閣はとっておるのであります。どうも知らないくらい安心な恐しいことはないのでありまして、今度打った
政府の労働に対する攻撃がどういう結果をもたらすか、今ならまだどうにかからだをかわす手が打てますよ。その方が国のために賢明であり、あなた方もいついつまでも反動の元凶であったといわれないで済むのである。あなた方の名誉はまあ小さいけれ
ども、これが大きいのでありますから、この際何らか転換をする用意ありや否や、昔なじみの
大久保大臣や、県を同じくする
灘尾大臣のお二人から、私も国を憂えて質問しておるのでありますから、御
答弁をいただきたいと思います。