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1957-03-29 第26回国会 衆議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君       清瀬 一郎君    千葉 三郎君       塚原 俊郎君    永山 忠則君       濱野 清吾君    牧野 良三君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       高津 正道君    辻原 弘市君       野原  覺君    平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才藏君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         厚生事務官         (医務局長)  小澤  龍君  委員外出席者         参議院議員   矢嶋 三義君         外務事務官         (欧米局次長) 稲垣 一吉君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 本日の会議に付した案件  私立大学研究設備に対する国の補助に関する  法律案内閣提出第三七号)(参議院送付)  学校教育及び学術に関する件     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  文教行政に関する質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。平田ヒデ君。
  3. 平田ヒデ

    平田委員 私は南極観測の計画についてお尋ねをいたしたいと思います。問題点を二つにしぼってお伺いいたしたいと思います。私、昨年の予備観測のときに御質問申し上げまして、前文部大臣清瀬先生がそこにお見えになっていらっしゃいますけれども、あの宗谷能力では不安心ではないかということを伺いましたところが、それは大体大丈夫だというような自信のあるお答えでありました。これは前の学術局長、今の次官の稲田さんもそのように申されておりました。もちろん自信がなくてはとうていこれは出発できるものではないのでございまして、そのお答えは了承できるのでありますけれども、このたびの宗谷能力の問題についてお尋ねいたしたいと思うのでございます。問題点宗谷砕氷能力でございますけれども、この点についてどんなふうにこれからお考えになっていらっしゃるんでしょうか。大体宗谷は改装しても無理だということを新聞は伝えております。それからもう一つ、これから新しく作るにしても、もう時日がないということなんでございますけれども、本観測を放擲なさるということは考えられませんし、どうなさるおつもりか。もちろんきょうかあす永田隊長もお帰りになることでございますし、それからいろいろな打ち合せもあるでしょうと思いますけれども、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
  4. 緒方信一

    緒方政府委員 南極観測宗谷の問題につきましては、大へん心配いただいたのでございますが、宗谷砕氷能力につきましては、ただいまお話がございましたように、本日の夜に永田隊長並びに宗谷山本航海長が急遽帰ってこられることになりましたので、これらの方々が帰られました上、よく御報告を伺いまして、その上に、その御意見あるいは経験に徴して、今後十分検討をしなければならぬ問題だと存じます。今までにおきましても、電報等で断片的な報告は参っております。しかし実際の状況というものはよくわからないのが真実でございますので、今申し上げましたように、急遽帰ってくることになりましたので、その上で十分慎重に検討していかなければならぬと存じます。なお砕氷船を作る等の問題につきましては、これもやはり十分技術的にその道専門家におきまして検討していただきませんと、まだ私どもから申し上げる段階ではないようでございますので、よろしく御了承願います。
  5. 平田ヒデ

    平田委員 きょうお帰りになることでもございますし、今これから御質問申し上げましても、かえって重複いたすようなことになると思いますので、いろいろ調べたのでございますけれども、簡単に打ち切ります。  もう一点は、荷物が大へん流失したようでございますが、これで越冬に差しつかえないかどうかという点でございます。
  6. 緒方信一

    緒方政府委員 この点につきましても大へん心配をおかけ申しました。こっちにいろいろと電報によりましての報告は参っております。しかし内地から、あの現地のきびしい自然条件のもとにおきます越冬隊の人々の状況は、いろいろな想像はできますけれども、的確にはなかなか知り得ないのでございます。越冬に要しまする物資につきましては時々報告が参っております。不幸にして流失したものもございますけれども、現在までの報告によりますと、越冬に必要なものは食糧、油でございますが、これにつきましては、現在昭和基地におきます食糧は、越冬隊用の分といたしまして主食は約二年分、副食約一年分、これを確保しておるという報告でございます。なお燃料につきましても約二十カ月分は確保してある、こういう報告が今日までに参っております。隊長から正式に参っておりますので、越冬につきましては、私ども心配ないもの、こう思っております。
  7. 平田ヒデ

    平田委員 このたびの予備観測で本観測の非常にいい経験を積まれたことと思います。いずれお帰りになりましてからいろいろお打ち合せもございましょうから、私、簡単にこの程度にとどめておきますけれども、国民全部にこんなに心配をかけないような、オビ号のような世界最優秀と言われるくらいの砕氷能力を持って、ほんとうに胸のすくような観測をしていただくために、どうか予算をそちらの方に回してりっぱに本観測を遂げられるように要望しておきます。何と申しましても、平凡な言葉で申しますと銭がないということになると思いますけれども、そこは灘尾大臣大いにがんばって予算をたっぷりおとり下さって、ほんとうに狭い範囲ではございましょうけれども、りっぱな観測ができますようにお願いをいたす次第であります。
  8. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 平田委員の仰せの趣旨はよくわかっております。本観測につきましては、せっかくやりかけたものでございますので、ぜひやりたいという心持を持っておる次第でございます。現地の実情ないしは国内における能力という点を勘案いたしまして、万全を期してこの問題はやって参らなければならぬと思います。慎重に検討いたしたいと考えております。
  9. 長谷川保

    長谷川委員長 それでは暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ————◇—————    午後零時一分開議
  10. 長谷川保

    長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。櫻井奎夫君
  11. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は去る三月十四日の当委員会において取り上げました新潟医科大学ツツガムシ病原体注射の件につきまして、御質問を申し上げたいと思います。当時は関係各省調査、たとえば人権擁護局文部省厚生省調査がまだ不十分でありまして、了解に達する回答をいただけなかったわけでありますが、その後新聞紙等の伝えるところによりまして、法務省の人権擁護局は、係官が当地に行って種々調査をなさったようなことを聞き及んでおります。その調査の結果、現在どのような見解をこの事件について所持しておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  12. 鈴木才藏

    鈴木(才)政府委員 人権擁護局といたしまして、前回の当委員会におきましては、まだ十分な調査ができておりませんで、まことに遺憾でございましたが、去る三月十八日、本省の調査員と、それから東京法務局の二人が参りまして、約三日間にわたりまして関係者全部を調べたところ、相当たくさんの資料を得たのでございまして、まだ十分にその確信までの検討ができておりませんが、大体の調査の結果をここで御報告申し上げたいと思います。  新潟大学医学部桂内科におきましては、従来から、大体昭和二十五年ごろから、ツツガムシ病治療方法であります抗生物質による療法について、特にこの抗生物質療法に伴います再燃、その防止方法研究しておったようであります。その研究中、その研究目的かどうかわかりませんが、昭和二十七年十一月から昭和三十年二月までの間、新潟市にあります新潟精神病院患者百四十九名に対しまして、精神病院院長の同意のもとに、ツツガムシ病原菌を人工的に接種いたしました。これは事実でございます。そしてそのうちの十一名の患者ツツガムシ病原菌接種部分の一部、すなわち約一センチ平方、深さ三ミリ程度皮膚を切除しておることも事実でございます。桂博士及びその桂内科関係者言い分は、このツツガムシ病原菌接種精神病者に対する発熱療法のために行なった、そしてそれに関連いたしまして、ツツガムシ病治療実験もした、こういうふうな主張なのであります。ところが、人権擁護局におきまするこの調査の結果によりますと、遺憾ながら、発熱療法という理由もございますが、抗生物質研究の方が主たる目的ではなかったかと認められる事由が多いのであります。そういうふうに私たちが認定いたしました事由は、相当あるのでございますが、これを今申し上げますと、相当長くなりますが、いかがいたしましょうか。
  13. 櫻井奎夫

    櫻井委員 詳細はよろしゅうございますが、根拠のおもな点だけ言って下さい。
  14. 鈴木才藏

    鈴木(才)政府委員 これはまだ確信がございませんが、そういうふうに疑わしい点がございます。その理由であります。それは発熱療法を行なった、そのためのツツガムシ病原菌でございますか、ツツガムシ・リケッチャの接種、それが発熱療法のために行われた、それは認められるのでございますけれども接種をいたしました、あるいはその後の治療をいたしました人は、全部桂内科医者でございまして、その精神病患者を預かっております新潟県の精神病院医者というものは、ほとんどこの件にはタッチをしておりません。それから、発熱療法のためにツツガムシのリケッチャを人工的に接種しようという申し出は、桂内科の方からなされたようでございます。精神病院の方から、積極的にこの発熱療法をやろうという申し出はなされておりません。それから、だいぶ事由があるのでございますが、発熱療法だといわれますけれども昭和三十一年二月以降は、この療法は同病院で行なっておりません。他の発熱療法でありますマラリアチフスワクチン等による療法は行われております。それから、このツツガムシ病原菌接種による発熱療法について治療費というものはほとんど打ち合せができておりません。  次に適用患者の選択につきましても、果して発熱療法にきく患者が選ばれたかどうかということは、相当疑問がある。もう一つは、発熱療法といわれますが、調べました体温表によりますと、発熱をいたしまして一日か二日で、抗生物質投与によりまして熱を下げておる事例があるのであります。それから一たんツツガムシ病原菌接種いたしました後におきます治療方法が、患者によって一定しておりません。それからその薬の与え方等を見ますと、再燃防止研究重点が置かれているような形跡が見えるのでございます。それから、これは科学的な言い分ではございませんが、精神病院の看護に当りました人たち感じでは、やや実験ではないかという疑いを持った形跡がある。そういう事例がございます。また桂教授が発表しております論文の内容を見ますと、発熱療法に関連した実験、こういうふうな言葉もございます。まだほかにいろいろございますが、こういうふうな事情を総合いたしますと、発熱療法を行なったことは事実でございますが、その主眼点がむしろ抗生物質微量投与法研究にあったんじゃないかという節が見えるのでございます。これは非常に残念なことと思います。  ただ、この百四十九名の患者に対するツツガムシ病原菌接種後の療法の結果、ツツガムシに対する一つの画期的な治療方法が、ここに発見された。そしてこれが世界的にも非常に関心を持たれたようでございます。これは一つの大きな桂教授の功績であると認めざるを得ないのであります。ただここに、人工的にツツガムシ病原菌接種した結果、偉大な研究の結果が生まれたのでありますが、何分にもまだツツガムシ病原菌接種によって生命がいかなる場合にも安全に保たれる、こういう確信がないときには、この桂内科のとりました研究方法というものは、やや行き過ぎた点があるんじゃないか、こういう感じを持っておりますが、まだもう少し私の方の局といたしまして、この医者研究限度、それから治療における研究限度というものを、もう少し専門家意見を聞いて検討したいと思っております。  それからもう一つ皮膚の切除の点でございます。皮膚を切り取りました点でございますが、なぜツツガムシ病原菌接種した部分皮膚を切り取ったか。これに対する釈明がまちまちでございまして、はっきりした返答が得られなかったのは遺憾に思っております。接種いたしました局所反応の強いもの、あるいはその局所反応が強くなって発熱があまり激烈になりますというと、発熱療法効果を阻害するので、それをゆるめる意味で切り取ったんだという説もあるのであります。よく調べますと、接種いたしましてすぐ切り取った場合もあるようであります。はっきり申し上げますと、そういう場合もあるのであります。何かツツガムシに刺されました場合に、すぐ皮膚を切り取ればその病状が軽くなる、こういうふうに今までいわれておった、その実験をしたんじゃないかという疑いもあるのであります。これは少しはっきり申し上げ過ぎるかもしれません。しかし、全部がそうじやございませんが、一部そういう例がある。その点は私たちこの病気についてしろうとでございますので、はっきりした結論は出し得ないと思っております。  大体そういう事情でございますが、私ども人権擁護局といたしましては、むしろ重点は、精神病患者を預かっております新潟精神病院院長あるいはその関係医員の方の責任と申しますか、人権軽視の点があるんじゃないか。そこに私ども重点を置いております。従来も日本におきます精神病院患者がどういうふうな処遇を受けているか、あるいはこれを契機にしてもう少し徹底的に、関係方面と打ち合せまして研究していかなくちゃいかぬ大きな問題があるんじゃないかと思っております。まだ説明の足りませんところは、幾らでもあとで説明をいたします。
  15. 櫻井奎夫

    櫻井委員 人権擁護局において詳細に、係官を出されて調査された点については、敬意を表する次第であります。今局長から指摘されました点、これは私どもが聞きましても非常に人権を侵害したのではないかという疑わしい点があるわけです。特に三点、四点、五点、六点こういうふうに十点ばかりおあげになりましたが、その中で、そういう点においては非常に疑義がある。いずれにいたしましても擁護局としても、たくさんの資料あるいは実地検証をなさいまして目下慎重に検討中であろうかと思います。私ここは裁判所ではございませんので、こまかい追求は避けますが、厚生省の方のその後の調査はいかがですか。
  16. 小澤龍

    小澤政府委員 その後県からも人に行ってもらいまして、いろいろ調査事項について詳細に指示いたしました報告が近く参る予定であります。それを入手いたしまして大体検討した結果に基いて、さらに担当官現地に派遣して照らし合せて調べたいと考えております。そこで、最近と申しましても今から十日ほど前の三月十六日付でございますが、私どもに入りました一番新しい新潟県からの報告がございますので、この内容を申し上げてみたいと思います。  ツツガムシ発熱療法を実施したいきさつについてでございますが、これは新潟精神病院の副院長が、新潟医科大学附属病院に来たときに、桂内科の人から、精神病患者に対する治療方法として、発熱療法としてのツツガムシ接種をやってみたらどうかという勧めを受けた。そしてツツガムシについては桂内科はその経験を持っておる。もしおやりになるならば桂内科でそれに関する部分をお教え申してもよろしいということであったのであります。そこで精神病院の副院長自分病院に戻りまして、院長にその旨を報告いたしましたところ、院長言い分は、これからマラリア病原体がなかなか手に入りにくくなる、それで発熱療法としてチフスワクチン療法よりもマラリア療法がすぐれている、同じ意味ツツガムシ療法もすぐれていると考えられるから、これは桂内科の申し入れもあるのだから、自分のところも実施してみることにしようじゃないか、こういうふうに院長が言われたそうであります。そこでその旨を新潟医科大学桂内科に伝えまして、それからツツガムシ治療につきましては、新潟精神病院は未経験であったので、桂内科にお願いしてその部分治療を担当してもらった、こういう経過になっております。  それからその次は、発熱療法をやるならば、相当長期間発熱が継続してなければ治療効果が少いのではないか、ツツガムシ病の場合では一週間そこそこであるので、ツツガムシ病を用いた場合には、精神病発熱療法としては効果か少いのではないだろうか、この点新潟精神病院はいかなる見解を持っておるかという点を調べていただいたのでございますが、それによりますと、マラリア療法発熱が一日置きである。それから発熱時間も少い。これに比べるとツツガムシ病発熱期間は短かいけれども、毎日継続的に発熱するからして大丈夫効果をおさめるだろう、そう信じてやったのであるということでございました。  それから、新潟精神病院だけでやってよそでやらなかったかどうかということを調べてもらったのでありますけれども、これはすでに桂内科におきましては、脊髄癆とか脳梅毒とかいう患者に対して、この発熱療法を試みていい成績をおさめておったという返事でございました。  それからツツガムシによるところの旧療法治療責任の所在はどこにあるか。県の見解といたしましては、全般的に新潟精神病院であると考えております。ただし精神病治療の一部であるところのツツガムシ接種による治療は、抗性物質使用する関係上、その部分についてのみ新潟大学桂内科にお願いした、分任したのだ、こういう見解をとっております。  それからその次は、ツツガムシ病に対するところの抗性物質投与法、ことに桂内科が成功をおさめたと言っておりますところの少量投与法は、その当時実験段階であったのではないか、つまり実験が完成したのではなくて、実験段階であったのではないかといの質問に対しましては、実は桂内科におかれましては昭和二十四年夏からツツガムシ患者——これはツツガムシ自然発生患者でありますが、その患者に対して抗生物質療法をやって、その年には七名の患者について抗生物質投与したところが、結果として死亡者が一人も出なくて非常によい治療成績をおさめた。それから二十五年には、そ の成績にかんがみまして県の経費を四十六万四千円出しまして、オーレオマイシン、クロロマイセチンを購入いたしまして、新潟県におけるところの厄介な地方病であるツツガムシ病のこの薬によるところの治療桂内科に委託した。二十五年には五十数名のツツガムシ自然発生患者にこの県の費用によるところの抗生物質を与えまして、全患者治療して死亡者がなかった。次いで昭和二十六年にも県下で五十八名の患者抗生物質療法を行なって、これまた死亡率が、ゼロで全治しておる。十六年のこの抗生物賢療法においては県費を出したのかどうか記録がございませんが、二十五年には県費を計上しております。この間にあって初めは通例の大量投与療法を行なったそうでありまして、全量といたしまして十グラムに達する抗生物質を与えておったのでありますが、だんだん使用方法を変えまして、少量のものを継続して投与する方法に切りかえた結果、従来一人当り全量が十グラム必要であったものが、全量一・五グラム程度でもって大量投与法よりもさらによい治療成績をおさめた。そういう経験を過去に持っておった。従って昭和二十七年の六月から九月に至りますまでの県下六十五名の患者に対しましては全部小量投与法に切りかえて成績をおさめた、こういう報告でございました。従いまして、その後行われましたところの新潟精神病院におけるツツガムシ発熱療法に対しましては、小量投与法を用いて治療したということでございます。  それから、この発熱療法をやった結果として患者に何か悪い障害を与えたのではないかということの調査を依頼したのであります。それに対しましては、ツツガムシ病によるところの発熱療法をやる前に、かなり念入りに健康診断をして心配のない患者を選んだ、病院側意見としては、その結果として病状が悪くなった、一般状態が悪くなったというようには考えられないということを申しております。  それから、多数の入院患者から一部の入院患者を選んで接種したわけでございますけれども、その適応症はどうやって調べたかという質問に対しましては、それは、精神障害の高度の者で、他の治療方法ではなかなか治療目的が達せられない者を精神病院の副院長みずから選定した、かように述べております。これがごく最近に参りましたところの調査でございます。  この中で、なお私どもが確かめたいと思うような事項もございますので、続いていろいろなことをお願いしておりますから、また調べ得ましても、精神医学に関する、あるいはツツガムシ病の病態に関する、あるいは抗生物質使用に関する非常な高度の医学の問題でございますので、これは行政官庁のみではなかなか判断しにくいのではないか。従いまして、こういうデータがそろいましたならば、その道のそれぞれの専門家に御判断をお願いしなければならぬ、かように考えておる次第ございます。
  17. 櫻井奎夫

    櫻井委員 文部省のその後の調査の結果をお話し願いたいと思います。
  18. 緒方信一

    緒方政府委員 文部省におきましても、その後さらに学長から報告書が出て参りまして、大学側の一応の説明は聞いたのでございますが、大体要旨はただいま厚生省から御発表になったようなことでございます。しかしながらこの問題は、厚生省からも言われましたように、非常に大事な問題でございますので、特に専門的な医学の問題にかかることも非常に多い問題でございますので、今後さらに慎重に検討をいたしたいと存じております。特に大学教授等専門家意見を徴しまして善処いたしたいと考えておる次第であります。
  19. 櫻井奎夫

    櫻井委員 この問題は非常に重要な問題を含んでおるわけです。治療法における一つの大きな画期的なことがなされた。そのためにいろいろな実験と疑わしいようなことがなされておるのでありますが、それがどこまで人権を侵害したものであるか、あるいは純医学的な立場において行われたものであるか、非常な微妙な段階があると思います。しかしながら先ほど人権擁護局長の方から言われた、だれが見ても明らかに人権を侵害した実験をやったというような疑いの節があるということ、この疑惑をはっきり解かないと、これは将来の学術特に医学研究の上における非常な障害になる。従って、これは関係各省の中において等閑に付さないで慎重に研究を進めて、この問題をいかに対処するかということをやってもらいたい。私どもも、今の各当局の提出されました資料参考にして研究いたしまして、あるいは今後、病院あるいは新潟大学、そういうところから参考人を呼んで事態をはっきりさせなければならないようなことになるかもしれません。ぜひ関係各省善処方を要望して、特に世間の疑惑を一掃されんことを切に望むものであります。  私の質問は、きょうはこれで終ります。
  20. 河野正

    河野(正)委員 先般もこの問題につきまして関連をしていろいろ御質問を申し上げたのでございますけれども、私どもは単にそういった事態に対しまして追及のみを事とするわけではないわけでございます。私の願いますことは、患者がどこまでもこの医療に対しまして不安を抱かないように、あるいはまた研究におきましても伸び伸びと研究ができるように、あるいはまた治療する者はそういうことで萎縮するようなことがないようにというふうな、こういういろいろな立場からお尋ねを申し上げ、また当局に対しまして御善処をお願い申し上げたい、かように考えておるわけでございます。たまたま櫻井委員の方から結論的なことを申し上げられましたので、いずれそういった機会におきましてもそういった事態を明らかにしていきたいというふうに私ども考えておるわけでございますが、ただ一点、本日の御答弁を承わりまして私どもが非常に心外に思いましたのは、きょう御説明を願いまする場合に、むしろ厚生省当局の方が私どもの納得するような御説明を願えるかというふうに実は期待しておったわけでありますけれども、あにはからんや、法務省当局の方がきわめて具体的な御説明があって、厚生省当局の御説明を聞いておりますと、全くおざなり式な御答弁で、私どもはその点非常に遺憾に存ずるわけでございます。もちろんこれは厚生省当局の方が最も専門的な立場でございますから、私が先ほど申し上げましたようないろいろな不安なりいろいろな問題を除去するためには、厚生省当局の方がもっと積極的にこの問題の解明に当られる方が至当ではなかったかというふうな印象を強く持って参るわけでございます。ところが残念なことには、きわめて抽象的な御報告ばかりでございますし、なおまた私どもが非常に残念に思いますのは、法務当局の御説明厚生省当局の御説明に非常に食い違った事実があるという点でございます。このことは具体的に行われた事実でございますから、率直に申し上げまして、いろいろな考え方ならば相違するということもあると思いますけれども、行われた事実に対する調査が食い違っておるということはまことに残念だと思います。ことに、専門的な立場から見られたという厚生省当局の御答弁の中に、私どもがどう専門的に見ても不可解に思われることがたくさんある。少くとも専門的な立場から見ればこういう御説明はあり得ぬと私は思うのです。たとえば一例を申し上げますと、高熱療法というものが脊髄癆とかあるいは麻痺性痴呆の治療にきくということは私どもも了解するにやぶさかではございません。ところが、学問的定説によりますと、これは少くとも三十九度以上の熱を少くとも十発作くらい出さなければきかないというのが定説なんです。ところが法務当局の御見解によりますと、大体一回か二回熱を出しているというふうな御答弁である。そうすると、もしそういったようなやり方を厚生省の方がおとりになりますならば、この治療というものがいかにずさんなものか、いかに学問的に不合理なものであるか、これが治療だったかあるいは実験であったかということがこの一つだけではっきり断定できると思うのであります。これは、専門家でなくても少くとも精神病学を習った人ならば、熱療法がどういうことで効果があるかということは御承知であると思う。ツツガムシを植えましたけれども、一回か二回熱を出してあとは抗生物質で落している、この一つだけでもこの問題が実験であったということはもうすでに私は断定できると思うのであります。これについては私は聞きたいことがたくさんあるが、先ほど法務当局から御説明がありまして、私の立場から見れば、これも実験だ、これも実験だと断定する事実がたくさんございます。ところが、先ほど櫻井委員から、いずれ参考人等々を呼んでいただいてここで事実を明らかにしたいという結論が出ていましたから、いろいろ申し上げませんけれども、私はこの一事だけで明らかだと思う。だれが考えても事実だ。専門家でなくてもこの事実というものは明らかだと私は思うのです。  そこで一つだけ申し上げたい点は、先ほど私御指摘申し上げましたように、非常に残念であったのは、むしろ厚生省当局から具体的な詳しい私どもを納得させるような事情説明されると思いましたけれども、本日はまことに不幸なことでございましたが、そういったことが聞かれなかった。この点については私はむしろ厚生省当局がこの問題についてあまり責任を痛感しておらぬのではないかという感じを持つわけです。事人命に関することであり、非常に重要な問題でありますから、もし責任感じておられましたならば、専門的立場でございますから、少くとも法務当局よりもっと具体的な資料をきょう出されたのではないかと考えますので、一つこの点はともかくもっと私どもを納得させるような資料を、いい悪いは別として、そういった資料をおまとめにならんことを最後に要望いたしておきます。
  21. 小澤龍

    小澤政府委員 了承いたしました。お言葉のようにいたしたいと存じます。
  22. 長谷川保

    長谷川委員長 この際委員長からも申し上げますけれども、ただいまの質疑応答を伺っておりますると、これは基本的人権を侵害しているような疑いが多分にあると思います。基本的人権の問題は民主国家における最も根本の問題でありますから、さらに後日あらためてこの問題については十分究明したいと思います。
  23. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほど来御質疑を伺っておったわけでございますが、われわれといたしましても、この問題は学術に関する問題であり、ことにいわゆる人権に関する侵害の疑いを持たれておるような問題であり、同時にまた大学病院のあり方についても十分考えなければならぬ問題というような意味合いにおきまして、非難に大切な問題と考えております。これが真相につきましても、また今後の取扱いにつきましても、まじめに十分に一つ検対して参りたいと思っております。
  24. 長谷川保

    長谷川委員長 次に私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。河野正君。
  25. 河野正

    河野(正)委員 ただいま上程になりました私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律案に対しまして、若干の質疑を行なって当局の御見解というものを明確にしておきたいと存ずる次第でございます。  今回出て参りました法案の趣旨につきましては、私どもも科学振興という建前から全く同感でございます。しかしその法文の内容を見て参りますと、ややもいたしますれば、この法の精神というものが不明確に流れるおそれがございますので、その点を御指摘申し上げまして、今後この法の運用に円滑を期してもらいたいということを申し上げたいと思うわけでございます。  もうすでにこれはある程度お話し合いをいたしましたので、御承知の点だと思いますが、この法案の第二条の中に「学術の基礎的研究に通常必要な機械、器具、標本、図書その他の設備の購入に要する経費の二分の一以内を補助することができる。」という条項がございますが、もちろん法律用語という建前と、私どもかつて研究に従事いたしました学内の立場とはおのずからニュアンスも異なると思うわけでございますが、少くとも私どもがかつて研究に従事いたしておりましたような観念から申し上げますと、この「学術の基礎的研究」ということにつきましてはいろいろ問題があるように理解するわけでございます。と申しますのは、ことに私自然科学、医学研究に多年従事して参りましたが、私の医学という一つの立場からながめてみますと、この基礎的研究というものは御承知のように、医学の場合はグルントとクリニクということが二つに大きく区別されて参りますので、ややもいたしますると、この基礎的という言葉から受けまする印象というものは、一例でございまするけれども医学の場合から申し上げるとグルントのみに適用されるかのような印象を強く受けて参るわけでございます。もちろん法案を立案されました精神はそういったことではないと思いますけれども、しかし将来そういったことで研究に必要な機械、器具、標本、図書等ではありましても、その研究の一部にのみ限局されるということになりますと、せっかくこの法案が上程されましたけれども、その目的を完全に達成するということは不可能になるのではないかというふうな印象も持ちますので、その点を一つここで明確にしておいていただきたいと思うわけでございます。
  26. 緒方信一

    緒方政府委員 法案の第二条の基礎的研究の解釈でございますが、ここに「基礎的な研究」こういうふうにうたいました意味は、大学で通常教室で行われまする理論的な研究並びに通常行われまする応用的研究の一部ももちろん含んで考えております。ただ基礎的研究と特にうたいましたのは、生産化等の段階にまたがりまする特別な研究は含まない、かように考えた次第でございまして、ただいま例におあげになりました医学関係で申しまするならば、いわゆる基礎と臨床とございますが、両者とも含むものと考えております。そのほかあるいは工科等においても応用の面はございますので、それらの面を含めて「基礎的な研究」という言葉は、それを含む意味でこういう立案をいたしたのでございます。御了承願いたいと思います。
  27. 河野正

    河野(正)委員 もちろん立案をされました精神というものは、そういった点にあるだろうというふうに考えて参ったわけでございますけれども、しかしながら私どものようにかつて学内でそういった面に従事いたしました者たちにとりましては、そういった印象を強く受けるということでいろいろ考えて参ったわけでございますので、別に強くはこだわりませんけれども、将来この法の運営に当りましては、そういった疑問があるということは事実でございますので、そういった誤解がないように運用をやっていただきたいということを要望いたしまして終りたいと存じます。
  28. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいまの質問に関連いたしまして若干御質問申し上げたいと思います。この法案の内容を見ますと新たに私立大学研究設備審議会を設けることになっておりますが、これは法案にあります通り、文部大臣の諮問に応じて、補助の調査、審議をしたり、文部大臣に建議をする、こういう内容になっております。それに基いて大臣の方が配分の方針をきめまた交付に関する決定をするということで、最後はやはり大臣の方で措置をされるわけでございます。この審議機関の構成でありますが、現在どのような考えを持っておられるのか、あらかじめお伺いいたしておきたいと思います。
  29. 緒方信一

    緒方政府委員 審議機関の構成は、これは政令で定めることにいたしておりますが、特に人文科学、社会科学、あるいは理工というような分野がございますが、その各分野にわたりまして、それぞれの分野から専門の学者、学識経験者等を入れたいと存じております。なお私立大学関係でございますから、私立大学の学長、教授あるいは学校経営に当りまする理事者の方々、こういうものから構成いたしまして、この補助金の運営の適正を期したい。これに諮問をいたしまして十分意見を聞いて運用をいたしたいと考えておる次第でございます。
  30. 小牧次生

    ○小牧委員 何人ぐらいお考えですか。
  31. 緒方信一

    緒方政府委員 大体四十人ぐらいを目途として考えております。
  32. 小牧次生

    ○小牧委員 大体審議会の構成の構想というものは一応わかりましたが、予算を見ますと八千八百万円というかなり大きな金額でございまして、先ほど河野委員からもいろいろ質問がありましたが、その交付の決定につきましては相当諮問機関の意見も聞いて慎重を期せられる、かように考えるわけでございます。昭和二十八年以来今日まで一応の補助の措置が講ぜられておる、こういう状況でございますので、きょうでなくてもけっこうでございますが、二十八年以来の補助決定の内容について資料を作っていただきたいということを委員長の方からも要望していただきたいと思います。  さらに予算内容を見ますと、そのほかに私立大学理科特別助成補助金、これが五千万円、内容をよく存じませんが、どういう関連にあるのか。まだほかにも輸入機械及び図書購入費補助金が一億、いろいろ項目は分れておりまして、ばらばらになっておるような感じもするのでありますが、こういった問題も今回の審議会において検討されるのかどうか、全然別個な問題か、お伺いしたいと思います。
  33. 緒方信一

    緒方政府委員 前段に御要求になりました資料につきましては、なお内容をお伺いいたしまして提出いたします。  後段の御質問でございますが、理科特別助成金、そのほか科学研究費交付金等の科学振興のための補助金がございますが、これはそれぞれ別個の目的を持っておりまして、ただいま御審議願っておりますのは、私立大学研究設備に対する補助金だけでございます。この審議会で審議されますのは、この関係だけでございます。ほかの今おあげになりましたうちで、科学研究費交付金等につきましては、すでに審議会がございまして、その審議会に諮問をいたしましてこれを運用しておる状況でございます。
  34. 小牧次生

    ○小牧委員 ちょっとよくわかりませんでしたが、私立大学理科特別助成金というのは全然違うわけでございますか。
  35. 緒方信一

    緒方政府委員 私立大学の特別助成金は、これは学生の実験実習のための設備等につきまして助成をするものでございまして、このたびの大学研究設備の助成とは目的を異にいたしております。別個に運営をいたしております。
  36. 小牧次生

    ○小牧委員 先ほど河野委員からも述べられた基礎的研究とかいろいろ意見があったようでございますが、そういたしますと何か補助の対象というものについての基準というものをお考えになっておるわけでありますか。その基準といいますと、ちょっとばく然たる質問のようになりますが、ある程度範囲を考えておられるのか、研究設備機関であれば何でもやるというふうにお考えになっておるのか、お伺いしてみたいと思います。
  37. 緒方信一

    緒方政府委員 先ほど第二条の「基礎的研究」の解釈について申し上げましたように、特に生産化の過程において用いますような研究設備についてはこれは除外いたします。しかしながら大学研究といたしまして通常行われまする研究につきましての研究設備に対しましては、全部含まれるわけでございます。ただしかしこの補助金の配分あるいはその運用の方針につきましては、先ほどお話もございました審議会にも十分諮問をいたしまして、その意見を聞いて定めたいと思っております。  なおその対象の学校でございますが、従来三十一年度までは予算額も三千八百万円でございまして、大学院を置く大学、それから医学、歯学の関係大学、これだけに出しましたが、この法律で制定せられました上は、四年制の私立大学全部に方針としてやっていきたいと考えております。
  38. 小牧次生

    ○小牧委員 もうこの辺で質問をやめますが、いろいろ大学もたくさんあるわけでございまして、今後こういった制度が法律で確立された以上は、毎年予算も組まれてやることを願うわけでありますが、その運営については、あるいは言い過ぎかもわかりませんが、大きな特定の学校に片寄るというようなことのないように、十分一つ慎重に審議会等の意見もお聞きになって、運営には円滑を期していただくように要望いたしまして、質問を終りたいと思います。
  39. 長谷川保

    長谷川委員長 本案は参議院において修正議決され、本院に送付されましたので、この際本案に対する参議院の修正に関し、その趣旨説明を聴取いたしたいと存じます。矢嶋三義君   〔「簡単に」と呼ぶ者あり〕
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋参議院議員 ご要望がございましたので簡単に申し上げます。  参議院はこの法律案を審議するに当りまして、各委員から熱心な質疑が行われたのでございますが、その質疑応答の際に最も不明確であったのが、「基礎的研究に通常必要な機械、器具、標本、図書」という点でございました。基礎的研究に通常必要な標本、図書とはたとえばどんなものか、しからざるものはどういうものかという区別はなかなかつきかねるのでございます。その点非常に不明確であり、なお他面、予算面についてただした場合に、当初文部省としては四億五千万円を概算要求したところが、御承知のように八千八百万円の予算が計上されておるわけでございますが、その四億五千万という数字はどういう根拠から積み上げたのかという質疑に対しまして、何にも数字を持っておられなく、全くつまみ金みたいに出されている点、非常に私立大学研究設備の充実が必要であるのにかかわらず、積極性を欠いた消極的なものである。しかも「基礎的」、「通常」というような言葉は不明確であるので、「基礎的」とい言葉も、「通常」という言葉も、どちらも削除するのが適当である、かように考えるわけでございますが、参議院の審議においては時間的制約もございまして、「通常」だけを削除いたした次第でございます。その際に施設設備の施設も補助の対象にするために挿入すべきであるという強力な意見がありました。その理由としては、もちろん私立大学の施設については、私立学校振興会で貸付等の制度があるわけでございますけれども研究のための設備と施設というものは、だんだんと区別がつかなくなるのではないか、しかも研究のためならば施設に拡大して、施設設備と、補助の対象にするために「施設」を挿入すべきであるという意見も強力にあったわけでございますが、これまた時間的に十分調整することができませんでしたので、これらはあげて第一院である衆議院の皆さん方の御審議に期待をし、もしあなた方の方で「施設」を挿入し、さらに「基礎的」、「通常」をともに削除するというようなことで、わが参議院に回付を願いますならば、参議院としては双手をあげて賛成をするというような含みをもちまして、とりあえず「通常」だけを削除して衆議院の方へ送り込んだ次第であります。  以上をもって修正の説明といたします。
  41. 長谷川保

    長谷川委員長 何か御質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  これより本案を討論に付します。別に討論の通告もないようでございますので、討論は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  43. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。  この際佐藤觀次郎君より発言を求められております。これを許します。佐藤觀次郎君。
  44. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律案に対する附帯決議を付するの動議を提出いたします。その案文を朗読いたします。     附帯決議   大学における学術研究は、極めて重要であり、その各部門のあらゆる研究は、それぞれ広く経済、産業、医療とともに、社会秩序、文化一般の発達に関して、その基礎根幹をなしつつある現実にかんがみて、政府は大学におけるすべての部門の研究の奨励助成について、万全の措置を講ずる必要がある。  右決議する。 以上でございます。委員各位の御賛成をお願いいたします。
  45. 長谷川保

    長谷川委員長 ただいま提出されました佐藤君の動議に対し、何か御発言がありますればこれを許します。——別に御発言がなければ、お諮りいたします。佐藤君提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立〕
  46. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって、佐藤君提出の動議のごとく、私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律案は附帯決議を付するに決しました。  なおお諮りいたします。本案議決に伴う委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  48. 長谷川保

    長谷川委員長 この際文教行政についての質疑を継続いたします。野原覺君。
  49. 野原覺

    ○野原委員 時間がありませんから簡単にいたしたいと思います。法務省がまだ見えておりませんから、委員部の方から至急呼んでいただきたい。  きょうの毎日新聞を見ますと、都留教授がアメリカの治安委員会で証言をしたと、「ワシントン特電二十七日関口泰発」「米国内の共産主義活動を調査中の米上院国内治安委員会(イーストランド委員会)に喚問された都留重人一橋大学教授(ハーヴァード大学客員教授で渡米中)は二十六、七の両日にわたってハーヴァード大学時代や米軍の日本占領当時における交友関係などについて証言を行なった。」これは関口泰さんがみずからの名をあげて責任を明確にして、特電としてこれは報道されてきておるのでありますから、この記事は非常に真実性のある記事だと私どもは考えるのです。そこでこれを読んでみて、私は若干問題点があるように思いますので、時間の関係もございまするから、端的にお尋ねをいたします。まず文部大臣にお聞きしますが、都留教授はハーヴァード大学の客員教授と報道されておりますが、これはハーヴァード大学の客員教授になられたそのいきさつをお伺いいたします。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  51. 緒方信一

    緒方政府委員 都留教授は昨年の十月四日から本年の十月一日までの期間で公用出張でアメリカに行っております。その目的は、アメリカにおきまする経済学及び経済事情調査研究ということでございます。かねてハーヴァード大学で講義をいたしておるということがあると存じます。さようなことでございまして、公用出張で行っております。
  52. 野原覺

    ○野原委員 ハーヴァード大学から招聘をされたということではございませんか。
  53. 緒方信一

    緒方政府委員 ハーヴァード大学の招聘があったと存じます。
  54. 野原覺

    ○野原委員 法務省は見えてませんか。法務大臣がおらなければ井本局長でけっこうですが、隣りの部屋でやっているのだから、委員部から至急に願いたい。  法務省がいないので、文部大臣にお尋ねいたします。都留さんがアメリカの国会に喚問された。都留さんは日本の公務員です。日本の公務員がアメリカの国会に喚問をされるという場合、当然監督官庁に対して都留教授から何らかの連絡がなければならない。この新聞を見てみますと、こう書いているのです。渡米についてお世話になった日米文化交流委員会とハーヴァード大学に相談してこの国会に出て行った。——都留教授は一橋大学の教授でございますから、監督官庁は一橋大学の学長、だから一橋大学の学長に対して、当然これは法的に、こういうわけで国会に喚問され、私は出席するということの連絡なり報告なりされなければならないと思いますが、その点文部大臣はどうお考えになりますか。
  55. 緒方信一

    緒方政府委員 私もその新聞記事だけしかわかりませんので、実情が把握されておりませんから、はっきりしたことは申し上げかねますが、果して国会に喚問ということがどういうことであろうかということであると思います。強制的に出たのか、本人が本人の自由意思に基いて出席して話をしたということになっているのか、その辺はよくわかりません。従いまして、学長の承認を得るというような手続が必要かどうかということに対しましては判断はできないわけでありますが、おそらくはこの実情が判明いたしましたあとで判断すべきだと存じます。
  56. 長谷川保

    長谷川委員長 野原君に申し上げますが、外務省より欧米局次長稲垣参事官が見えております。
  57. 野原覺

    ○野原委員 そこで外務省の稲垣参事官にお尋ねいたしますが、外国の公務員を国会が喚問するという場合には、国際的な慣例はどういうことになるのですか。たとえば日本の国会がアメリカ人を、しかもアメリカの公務員を喚問するという場合には、これは国際的な問題として、やはり日本人を喚問するような方式だけではいかぬと私は思う。だからこれはどういうことになるのでありますか、国際的な慣例についてお伺いします。
  58. 稲垣一吉

    ○稲垣説明員 あまり私例をまだ調べておりませんし、事実問題がまだ的確でありませんので、今至急調査中でありますから、次会にお答えさせていただきたいと思います。
  59. 野原覺

    ○野原委員 私は都留教授という具体的な事実を尋ねてはいないのです、あなたがそう答弁するだろうという予感がしましたから……。私は外国の公務員を国会が喚問する場合の国際的慣例を聞いているのです。だからあなたはその御答弁をなさったらいいわけです。どうなっているか。
  60. 稲垣一吉

    ○稲垣説明員 実は私国際的慣例についてよく調べておりませんので、よく調べて次会に御説明したいと思います。
  61. 野原覺

    ○野原委員 国際的慣例についての御答弁がただいま不可能であるとするならば、こういうことについてはどうですか、国際的な道義の問題として、たとえば駐在大使館を通じて連絡をとる、おそらく日本政府はそうするだろうと私は思う。アメリカの公務員を国会が喚問しなければならぬという事態が起った場合に、やはりアメリカ大使館を通じて、こういうわけで喚問をするから了解してもらいたいというのが、国際道義じゃないかと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  62. 稲垣一吉

    ○稲垣説明員 日本の国会が考えることと、米国の国会が考えることとは、一応考え方が違うかもしれません。必ずしも召喚なるものの内容が、事実はよくわかりませんけれども、都留氏自身をいろいろ窮地に陥れたり何かするという意味の喚問であるかどうか、事実はわかりませんが、非常に軽い意味で喚問したのかもしれませんし、その点やはり事実をもう少しはっきりさせてからお答えさせていただきたいと思います。
  63. 野原覺

    ○野原委員 これはどうもあなたでは失礼ですが答弁ができそうもない。だから私は外務大臣の御出席を要求したのですけれども、出てこない。政務次官も出てこない。この問題は私どもは非常に重要に考えるのです、簡単に思わないのです。何となれば、関口さんがこの報道をしたのはよほどのことです。しかも都留さんは先ほど緒方局長の御答弁によると、ハーヴァード大学から招聘されて客員教授となって向うで講義をしている。アメリカの大学が都留さんを呼んでおきながら、国会に出てこいと呼び出して、これは事実の調査をしなければわかりませんが、おそらく私はこの喚問は日本の証書要求の喚問と同じじゃないかと思うのです。つまり出ていかなければ処罰されるというような、そういった裏づけのある喚問ということになってきた場合に、出ざるを得ない。アメリカの大学が呼んでおきながら、君は赤とつき合ったことがあるだろうとか、お前は赤じゃなかったのか、こういうような証言の要求の仕方というものは、これは国際的な道義の問題として私どもの常識では理解ができないのです。あまりひどいやり方じゃないか、こういうことなんです。これに対して、いやそれはその通り非常識きわまるやり方だと思うという御答弁はあなたにはできません。稲垣さんにそれを要求することは私は無理だと思う。だからこれは委員長、きょうは時間的に困難ですから、他日外務大臣においで願ってこの問題は明確にしたいと思います。あなたの方でも、日本の大使館はワシントンにありますね、だからそこで至急に調べて下さいよ。この次にまだ事情がわからないということでは困る。——法務省は見えておりますか。
  64. 長谷川保

    長谷川委員長 野原君に申し上げますが、ほかの委員会に呼ばれておって、今通じてはありますが、まだこちらに出席できないそうです。
  65. 野原覺

    ○野原委員 それでは私はきょうは残念ながら質問が不可能ですね。これは竹尾さんやもののわかったお方に対しても申しわけありませんからこの辺で打り切りますが、ただ文部大臣から法務大臣にお伝え願いたいことは、日本の公務員が外国の議会に喚問されるという場合には、それは日本の公務員でございますから、私は日本の国内法が適用されると思うのです。そうなると、日本の国家公務員法、それから刑事訴訟法、民事訴訟法に証人尋問の条文がございます。それによれば、当該監督官庁が当該公務所として秘密に属する、国家の利益を害する、こう判断をした場合にはその拒否をすることのできる条文が至るところにあるわけです。だからそこのところを法務大臣としてはどう考えるか。つまり私は都留さんのようなりっぱな方が、どういうわけで一橋の学長に御連絡もなしに出席されたかをきわめて残念に思うのです。たとえば都留さんが国会に行って証言をする場合に、それがその国の利益を害すること、あるいは公務員としては発言することをとめられておる秘密事項、国の秘密に属すること、こういうようなことでももしありとするならば、学長としてはお前はそれを言うことはならぬと言って証言をとどめる機会すらもないのです。何せ外国のことですから、何の連絡もないのですからね。従って、ややこしい尋ね方になりましたが、日本の公務員が外国の議会へ喚問され、証言をする場合には、当然日本人であり、日本の公務員である以上、日本の国内法で拘束されると思うがどうか。その答弁いかんによっては次から次と問題が出てくるわけですから、これは慎重に研究されて、この次の文教委員会には、委員長これは一つすみやかにお手配願いたい。外務大臣の出席を正式にここで要求しておきます。
  66. 長谷川保

    長谷川委員長 高津正道君。
  67. 高津正道

    ○高津委員 この日本の著名な、進歩的な、しかも代表的な学者を呼んで、小さい十数年前のできごとを根掘り葉掘り聞くということは、日本の学者に対してもまた日本に対してもエチケットに反するし、国際道義の上からも非常な行き過ぎだと私は思います。そうしてソ連との人事交流がだいぶ行われておるが、アメリカが最も攻撃しておるソ連においてそのことが起らず、アメリカにおいてこのようなことが行われるのであれば、今後日本人が渡米する場合に、これはわれわれも引っぱられるのではあるまいか、こういうような不安さえも抱く重大な問題だと私は思いますので、委員長におかれては外務大臣にこの委員会に必ず出てもらい、十分にこの問題は討議されることを望みます。
  68. 長谷川保

    長谷川委員長 この際委員長より文部当局に対しまして、先刻小牧君要求の資料をすみやかに提出せらるるよう要望いたします。なお外務省におかれましても、ただいまの野原君、高津君の質問に対しまして十分事情説明ができるように、次会において外務大臣を必ず出席させるように、私らも外務大臣に要求いたしますけれども、外務省においても取り計らわれるように要望いたします。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後一時十八分散会